JP2000034635A - 合撚複合糸及びそれを用いた織物 - Google Patents

合撚複合糸及びそれを用いた織物

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JP2000034635A
JP2000034635A JP10254767A JP25476798A JP2000034635A JP 2000034635 A JP2000034635 A JP 2000034635A JP 10254767 A JP10254767 A JP 10254767A JP 25476798 A JP25476798 A JP 25476798A JP 2000034635 A JP2000034635 A JP 2000034635A
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Yasushi Komura
恭史 香村
Atsushi Itsusui
篤 逸水
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 伸縮性のある合撚複合糸、及び膨らみ感とド
ライ感のある風合いと適度な伸縮特性を有する織物を提
供することにある。 【解決手段】 熱収縮性の異なる2成分のポリエステル
重合体を接合紡糸したポリエステル複合繊維とアセテー
ト繊維が35%以上80%以下の混率である合撚複合糸
及び、該合撚複合糸を経糸及び/又は緯糸に用いた織物
であって、該合撚複合糸を用いた方向に伸長率10%以
上50%以下、伸長回復率60%以上100%以下を満
たす伸縮特性を有する織物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伸縮性のある合撚
複合糸、及び膨らみ感とドライ感のある風合いと適度な
伸縮特性を有する織物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からアセテート繊維は、高光沢でド
ライな感触、深みのある色調、及び他繊維との優れた親
和性等といった特徴を活かして、シルクライクな春夏用
衣料素材として幅広く利用されているものの、近年の衣
料用繊維素材に関しては、消費者ニーズが多様化、高級
化し、より個性的な風合いを有する素材が要求されてい
る。
【0003】例えば、アセテート繊維を織物としたとき
にアセテート繊維独特のドライ感を維持しつつ、反撥
感、張り・腰を有し、且つウールライクな膨らみ感が表
現できるとともに、適度な伸縮特性を有する素材に対す
るニーズが挙げられる。従来、このようなニーズに対し
て単一成分からなる熱可塑性繊維、例えばポリエステ
ル等の仮撚加工糸とアセテート繊維を合撚や交絡、混繊
した複合糸を経糸及び/又は緯糸に用いた織物、ウレ
タン繊維等の伸縮特性を有する繊維にアセテート繊維を
カバリング、交絡、混繊した複合糸を経糸及び/又は緯
糸に用いた織物が検討されてきた。
【0004】しかしながら、前記は膨らみ感、適度な
ドライ感を有する織物が得られるものの、仮撚加工によ
る捲縮形態では伸縮特性が一般的に弱いものである。十
分な伸縮特性を得るためには織物規格や織物組織が制限
されるとともに、張り・腰、反撥感が不十分な織物しか
得られない。また、は伸縮性は優れるものの、ウレタ
ン繊維は高価格であること、分散染料による堅牢度が悪
く、これを改善するための染色加工コストが高くなるこ
と等、経済的な問題があり、またウレタン繊維固有の硬
さのために風合い面でも問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、伸縮性のある合撚複合糸、及び膨らみ感と
ドライ感のある風合いと適度な伸縮特性を有する織物を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第1の要
旨は熱収縮性の異なる2成分のポリエステル重合体を複
合紡糸したポリエステル複合繊維とアセテート繊維との
合撚糸であり、該アセテート繊維が35%以上80%以
下の混率であることを特徴とする合撚複合糸にあり、第
2の要旨は該合撚複合糸を経糸及び/又は緯糸に用いた
織物であって、該合撚複合糸を用いた方向に伸長率10
%以上50%以下、伸長回復率60%以上100%以下
を満たす伸縮特性を有する織物にある。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の合撚複合糸で用いられる
アセテート繊維は、酢化度53%以上57%以下のセル
ロースジアセテート繊維又は酢化度60以上62%以下
のセルローストリアセテート繊維のいずれも使用するこ
とが可能である。また、糸断面形態は特に限定されるも
のでなく、得られる織物の風合い、光沢等を考慮して、
菊型、円形、扁平、Y字等を選択すればよい。
【0008】また、熱収縮性の異なる2成分のポリエス
テル重合体を複合紡糸したポリエステル複合繊維は、加
熱収縮させるとコイル状等の立体捲縮を生じるものをい
う。特にJIS L−1090A法により測定される沸
水収縮率が3%以上から25%好ましくは6%以上20
%以下のものがよい。
【0009】この様な熱収縮性の異なる2成分からなる
ポリエステル複合繊維は、粘度の異なる2種のポリエス
テルポリマーが接合されたものである。2種のポリエス
テルポリマーは、固有粘度差で0.100以上あること
が望ましく、各ポリエステルポリマーは、エチレンテレ
フタレート単位或いはテトラメチレンテレフタレート単
位主体のポリエステルポリマーであればよいが、本発明
に用いるポリエステル複合繊維としては、ポリエチレン
テレフタレートを低粘度ポリマー及び高粘度ポリマー、
或いはポリエチレンテレフタレートを低粘度ポリマー、
第三成分を5〜15モル%共重合したエチレンテレフタ
レート単位主体の共重合ポリエステルを高粘度ポリマ
ー、とする2種のポリエステルポリマーが接合されるこ
とが好ましい。
【0010】ポリエステル複合繊維の接合成分としての
好ましい共重合ポリエステルの第三成分としては、イソ
フタル酸、アジピン酸、2,2−ビス[4−(2−ヒド
ロキシエトキシ)フェニル]プロパン、5−ナトリウム
スルホイソフタル酸等が挙げられる。より好ましい共重
合ポリエステルとしては、イソフタル酸、アジピン酸、
5−ナトリウムスルホイソフタル酸を単独或いは組み合
わせて共重合したエチレンテレフタレート単位主体の共
重合ポリエステルが挙げられる。
【0011】ポリエステル複合繊維を構成する2成分の
ポリマーの染色特性に関して、特に限定されることな
く、同染色特性のポリマーの組み合わせ、或いは、異染
特性を有するポリマー(例えば、分散染料可染ポリエス
テル成分とカチオン染料可染ポリエステル成分)の組み
合わせ等、目的に応じて、且つ、上述のポリマー粘度又
は共重合ポリエステルの第三成分等に準じて、選択すれ
ばよい。
【0012】ポリエステル複合繊維は、2種のポリエス
テルポリマが接合比(重量)で30/70〜70/3
0、より好ましくは40/60〜60/40に接合され
ていることが望ましい。また、ポリエステル複合繊維
は、その単繊維繊度が4デニール以上であり、単繊維繊
度が4デニール未満では、織物としたときハリ・腰感に
欠ける織物になる。
【0013】ポリエステル複合繊維は、粘度の異なる2
種のポリエステルポリマーのそれぞれの溶融流を紡糸口
金の上流部でほぼ面対称に合流させて複合流とし、該複
合流を4.5〜14cm/秒の吐出線速度で細孔部に続
く先端部が円錐状に末広に開口した形状の吐出孔より吐
出させることにより安定性よく得ることができる。
【0014】また、ポリエステル複合繊維は糸断面形態
は特に限定されるものでなく、得られる織物の風合いや
光沢等を考慮して、円形、扁平等を選択すればよい。
【0015】本発明の合撚複合糸におけるアセテート繊
維の混率は35%以上80%以下、好ましくは40%以
上65%以下である。該混率が35%未満であると、ポ
リエステル複合繊維の割合が多くなり、ポリエステル繊
維独特のヌメリ感が強く影響し、アセテート繊維のドラ
イ感が低下してしまい、目的の織物風合いが得られ難く
なる。一方、該混率が80%を越えると合撚複合糸にお
いて捲縮特性を発揮するポリエステル複合繊維の割合が
減少し、織物としたときに収縮特性、即ち伸長率、伸長
回復率が不十分なものとなる。
【0016】本発明の合撚複合糸とは、いわゆる引き揃
え撚糸、カバリング撚糸等の、同量又はフィード差をつ
けて該アセテート繊維と該ポリエステル複合繊維を供給
して撚糸を施した合撚複合糸のことである。合撚条件は
加工安定性や該合撚複合糸の風合いを考慮し、又合撚複
合糸のトータル繊度等から適宜設定されるものであり、
特に限定されるものではないが、トータル繊度をDとし
た場合、合撚数の好ましい範囲は、4500/D1/2
/m以上26000/D1/2T/m以下、更に好ましく
は7000/D1/2T/m以上21000/D1/2T/m
以下が良い。合撚数が4500/D1/2T/m未満の場
合には糸の自由度が大きいために伸縮特性は十分に得ら
れるものの撚糸効果による反撥感や張り腰等の風合いが
不十分なものとなり易く、一方、合撚数が26000/
1/2T/mを越えると撚糸効果により糸の自由度が小
さくなり、十分な伸縮特性が得られ難くなる。
【0017】本発明の織物は、経糸及び/又は緯糸に本
発明の合撚複合糸を用いる。経緯糸ともに本発明の合撚
複合糸を用いることは本発明の目的を達成するためには
最も好ましいが、例えば織物の一方向にのみに伸縮特性
が必要な場合等の理由により、経糸又は緯糸の片方のみ
本発明の合撚複合糸を用いることもできる。
【0018】又、他の繊維と混用して織物を製造しても
よい。混用する他の繊維としては、例えば、天然繊維や
合成繊維の原糸や各種加工糸等を混用することが可能で
あり、目的の織物風合いや伸縮特性を損なわない範囲で
適宜選定すればよく、合撚複合糸の混用比率は本発明の
目的を損なわない範囲内であれば特に限定されるもので
はないが、好ましくは35%以上、さらに好ましくは5
0%以上である。
【0019】本発明の織物は、伸縮特性として伸長率1
0%以上50%以下、伸長回復率60%以上100%以
下、好ましくは伸長率20%以上40%未満、伸長回復
率75%以上100%以下の特性を有する。伸長率10
%未満では織物の伸びが不十分なものであり、着心地を
向上させるには至らない。一方、50%を越えると衣料
としたときの寸法安定性に問題を生じ且ついわゆるパワ
ーストレッチ性を求めない本発明の織物では不必要な伸
縮特性となってしまう。又、伸長回復率60%未満もし
くは100%を越えると衣料としたときの寸法安定性に
問題が生じ、形態安定性が不十分となる。
【0020】本発明の織物の組織は、特に限定されるも
のではなく、平織、綾織、朱子織及びこれらの変化組織
による織物製造が可能であり、目的の織物風合い、意匠
性等を考慮して選択すればよい。又、織り密度は糸の自
由度を決定する因子であり、選択した織物の組織、及び
目的の伸縮特性、風合い等を考慮して適宜設定すればよ
い。
【0021】製織に次いで施される精練リラックス工程
及び染色仕上げ工程は、アセテート繊維とポリエステル
繊維が混用された通常織物と同様に常法に従って行えば
よい。すなわち例えばジアセテート繊維を用いた織物の
場合、精錬リラックスは60〜90℃で10〜20分の
処理をし、染色はサーキュラー染色の際は85〜100
℃で30〜60分で行えばよい。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例にて説明する。又、伸
長率、伸長回復率はJIS L―1096により測定し
た。
【0023】(実施例1)平均酢化度55.2%のジア
セテートをアセトンを主とした混合溶剤に溶解し、ジア
セテート紡糸原液を作製した。この紡糸原液を用いて乾
式法により紡糸し、84dTex/21fのジアセテー
ト繊維を得た。一方、紡出時の固有粘度が0.504の
ポリエチレンテレフタレートと5−ナトリウムスルホイ
ソフタル酸1.0モル%及びアジピン酸12モル%をポ
リエチレンテレフタレートに共重合した紡出時の固有粘
度が0.622の共重合ポリエステルとを接合成分と
し、各成分の溶融流を紡糸口金の上流部で面対称に合流
させ、複合流を細孔部に続く先端部がテーパ角度15゜
に円錐状に末広に開口した形状の吐出孔より吐出させて
紡糸し、接合比(重量)が50/50の56dTex/
12フィラメントの円形断面のポリエステル複合繊維を
得た。ジアセテート繊維とポリエステル複合繊維を、合
撚数1200T/mで合撚加工し合撚複合糸A(合計繊
度140dTex)を得た(S撚方向の合撚複合糸を
(S)、Z方向の合撚複合糸を(Z)とする)。次いで
表1の条件で、合撚複合糸を経糸及び緯糸に用いた織物
を作り、常法に従い精練リラックス、染色仕上げ加工を
して、仕上げ幅98cm、緯糸密度99本/2.54c
mのアセテート織物を得た。
【0024】得られた織物をハンドリングにより風合い
評価した結果、反撥感、膨らみ感、サラッとした適度な
ドライ感、張り腰を有し、且つ経糸方向の伸縮特性は、
伸張率13.5%及び伸張回復率86.0%、緯糸方向
の伸縮特性は、伸長率22.5%及び伸長回復率88.
4%を有する織物であった。また、染色時の同色性も特
に問題ないものであった。
【0025】
【表1】
【0026】(実施例2)実施例1と同様に、ジアセテ
ート繊維とポリエステル複合繊維を、合撚数1200T
/mで合撚加工し合撚複合糸A(合計繊度140dTe
x)を得た。次いで表2の条件で織物を作り、常法に従
い精練リラックス、染色仕上げ加工をして、仕上げ幅9
8cm、緯糸密度99本/2.54cmのアセテート織
物を得た。
【0027】得られた織物をハンドリングにより風合い
評価した結果、反撥感、膨らみ感、サラッとした適度な
ドライ感、張り腰を有し、且つ緯糸方向の伸縮特性は、
伸長率21.5%及び伸長回復率84.4%を有する織
物であった。また、染色時の同色性も問題ないものであ
った。
【0028】
【表2】 *沸水収縮率17.3%のポリエステル繊維
【0029】(実施例3〜4、比較例1〜2)実施例2
においてジアセテート繊維並びにポリエステル複合繊維
を表3に示した組み合わせにして、概ね14000/D
1/2T/mで、S方向並びにZ方向で2種の合撚複合糸
を得た。次いで実施例1と同様の織物組織、経糸密度、
通し巾で、各々の繊維組み合わせにより緯密度を66×
(220/D)1/2本/2.54cmとして織物を作
り、常法に従って精練リラックス並びに染色仕上げ加工
ををして、実施例3〜4並びに比較例1〜2を得た。
【0030】実施例3〜4のものは、実施例2と同様
に、反撥感、膨らみ感、サラッとした適度なドライ感、
張り・腰を有し、且つ表3で示す通り緯糸方向は伸長率
10%以上60%未満、伸長回復率60%以上100%
以下を満たす本発明の目的である伸縮特性を有するとと
もに染色時の同色性にも優れた織物であったが、比較例
1はドライ感が不十分でポリエステル繊維独特のヌメリ
感が強調された織物となり、一方、比較例2はアセテー
ト繊維独特のドライ感は保持しているものの、共に伸長
率8%及び伸長回復率75%であり伸縮特性の劣る織物
であった。
【0031】
【表3】 *合撚複合糸のアセテート繊維の混率
【0032】(実施例5)平均酢化度61.6%のトリ
アセテートを塩化メチレン及びメタノールを主とした混
合溶剤に溶解し、トリアセテート紡糸原液を作製した。
この紡糸原液を用いて乾式法により紡糸し、110dT
ex/26fのトリアセテート繊維を得た。一方、実質
的にエチレンテレフタレート単位よりなるポリエステル
成分とカチオン可染型高収縮性共重合ポリエステル成分
を各成分の溶融流を紡糸口金の上流部で面対称に合流さ
せ、複合流を細孔部に続く先端部がテーパ角度15゜に
円錐状に末広に開口した形状の吐出孔より吐出させて紡
糸し、接合比(重量)が50/50の110dTex/
24フィラメントの円形断面の異染性ポリエステル複合
繊維を得た。トリアセテート繊維と異染性ポリエステル
複合繊維を、合撚数800T/mで合撚加工し合撚複合
糸B(合計繊度220dTex)を得た。次いで表4の
条件で織物を作り、常法に従い精練リラックス、カチオ
ン染色、及び仕上げ加工をして、実施例5のアセテート
織物を得た。
【0033】得られた織物をハンドリングにより風合い
評価した結果、反撥感、膨らみ感、サラッとした適度な
ドライ感、張り腰を有し、且つ緯糸方向の伸縮特性は、
伸長率27.2%及び伸長回復率90.0%を有する織
物であった。また、異染性ポリエステル複合繊維の片側
成分のみが染色された、色彩意匠効果に富んだ織物が得
られた。
【0034】
【表4】
【0035】
【発明の効果】本発明は、アセテート繊維に熱収縮性の
異なる2成分のポリエステル重合体を接合したポリエス
テル複合繊維を合撚した合撚複合糸、並びに、該合撚複
合糸を用いて織物を得ることで、従来の加工糸を用いた
場合には困難であった、反撥感、膨らみ感、サラッとし
た適度なドライ感、張り腰を有し、且つ適度な伸縮特性
を発現するとともに染色時の同色性にも優れた織物、或
いは、色彩意匠効果を有する織物等を提供することを可
能としたものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱収縮性の異なる2成分のポリエステル
    重合体を複合紡糸したポリエステル複合繊維とアセテー
    ト繊維との合撚糸であり、該アセテート繊維が35%以
    上80%以下の混率であることを特徴とする合撚複合
    糸。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の合撚複合糸を経糸及び/
    又は緯糸に用いた織物であって、該合撚複合糸を用いた
    方向に伸長率10%以上50%以下、伸長回復率60%
    以上100%以下を満たす伸縮特性を有する織物。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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