JP2000034618A - 糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法 - Google Patents
糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法Info
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- JP2000034618A JP2000034618A JP10200190A JP20019098A JP2000034618A JP 2000034618 A JP2000034618 A JP 2000034618A JP 10200190 A JP10200190 A JP 10200190A JP 20019098 A JP20019098 A JP 20019098A JP 2000034618 A JP2000034618 A JP 2000034618A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】糸強度の改善された繊維を得るための安定した
高速製糸操業を可能とする。 【解決手段】ポリカプロラクタムを溶融紡糸し、引き続
き、得られる繊維の伸度が35%以上かつ50%以下と
なるように延伸を行い、その後5000m/min.以上の速
度で巻き取ることにより繊維を得るに当たり、原料とし
て98%硫酸相対粘度ηrが下記式(I)の範囲である
ポリカプロラクタムを用いることを特徴とする糸強度の
改善された衣料用繊維の製造方法。 2.52≦ηr≦2.58 ・・・・・・・・ (I)
高速製糸操業を可能とする。 【解決手段】ポリカプロラクタムを溶融紡糸し、引き続
き、得られる繊維の伸度が35%以上かつ50%以下と
なるように延伸を行い、その後5000m/min.以上の速
度で巻き取ることにより繊維を得るに当たり、原料とし
て98%硫酸相対粘度ηrが下記式(I)の範囲である
ポリカプロラクタムを用いることを特徴とする糸強度の
改善された衣料用繊維の製造方法。 2.52≦ηr≦2.58 ・・・・・・・・ (I)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリカプロラクタム
(以下、ナイロン6)を原料とする衣料用フィラメント
の製造方法に関し、さらに詳しくは糸強度の改善された
衣料用繊維の製造方法に関する。
(以下、ナイロン6)を原料とする衣料用フィラメント
の製造方法に関し、さらに詳しくは糸強度の改善された
衣料用繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミドはポリエステルとともに衣料
用、産業用等の繊維用途あるいは樹脂用途として幅広く
使用されている。衣料用繊維の分野においては、ポリア
ミドのうち特にナイロン6およびナイロン66が汎用ポ
リアミドとして品質面、コスト面などから優れており生
産量の大きなウェイトを占めている。
用、産業用等の繊維用途あるいは樹脂用途として幅広く
使用されている。衣料用繊維の分野においては、ポリア
ミドのうち特にナイロン6およびナイロン66が汎用ポ
リアミドとして品質面、コスト面などから優れており生
産量の大きなウェイトを占めている。
【0003】通常、ナイロン6繊維はナイロン6ポリマ
を溶融し口金孔より吐出、紡糸することにより得られ
る。従来、吐出されたナイロン6は500〜1500m
/min.程度の速度で一旦未延伸糸として巻き取られ、そ
の後3倍程度に延伸することにより延伸糸を得る紡糸別
延伸方式であった。しかし、紡糸と延伸が2工程に分か
れているため効率的でなく、このためコスト高要因とも
なっていた。このため近年では、紡糸後に直接延伸を行
うDSD方式、あるいは紡糸後の機械的延伸を行わず高
速でそのまま巻き取るいわゆるPOY方式のワンステッ
ププロセスが主流となっている。
を溶融し口金孔より吐出、紡糸することにより得られ
る。従来、吐出されたナイロン6は500〜1500m
/min.程度の速度で一旦未延伸糸として巻き取られ、そ
の後3倍程度に延伸することにより延伸糸を得る紡糸別
延伸方式であった。しかし、紡糸と延伸が2工程に分か
れているため効率的でなく、このためコスト高要因とも
なっていた。このため近年では、紡糸後に直接延伸を行
うDSD方式、あるいは紡糸後の機械的延伸を行わず高
速でそのまま巻き取るいわゆるPOY方式のワンステッ
ププロセスが主流となっている。
【0004】衣料用繊維の強度が必要な場合には、機械
的延伸を行うDSD方式が採用されており、繊維の強度
を上げるために延伸倍率を上げたり、原料として重合度
の大きいポリカプロラクタムを用いたりしている。
的延伸を行うDSD方式が採用されており、繊維の強度
を上げるために延伸倍率を上げたり、原料として重合度
の大きいポリカプロラクタムを用いたりしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら繊維の強
度を上げるために通常用いられる前記2つの方法には製
糸工程の操業安定性の点で好ましからぬ悪影響がある。
度を上げるために通常用いられる前記2つの方法には製
糸工程の操業安定性の点で好ましからぬ悪影響がある。
【0006】すなわち、延伸倍率を上げ高強度の繊維を
得る方法においては、繊維の強度が上がるが逆に伸度が
低下してしまう。このため、糸切れ増加など操業安定性
の点からは好ましくない結果となる。
得る方法においては、繊維の強度が上がるが逆に伸度が
低下してしまう。このため、糸切れ増加など操業安定性
の点からは好ましくない結果となる。
【0007】また、原料として重合度の大きいナイロン
6を用いる方法においては、紡糸機内での溶融ナイロン
6の粘度が高くなるため、異物などを除去する目的で紡
糸機内に設置された濾過フィルターでの圧力損失が大き
くなりフィルター交換頻度が増加する問題がある。この
ためナイロン6の溶融粘度を抑制する目的でやむなく溶
融温度を上げることは可能であるが、その結果として原
料ナイロン6の熱劣化が促進され、得られる繊維に毛羽
の発生が増加し品位が損なわれたり、また、紡糸時に溶
融ナイロン6からのラクタムや低分子量オリゴマーの発
生が増加することにより口金面の汚れが激しくなり清掃
頻度が増加する。
6を用いる方法においては、紡糸機内での溶融ナイロン
6の粘度が高くなるため、異物などを除去する目的で紡
糸機内に設置された濾過フィルターでの圧力損失が大き
くなりフィルター交換頻度が増加する問題がある。この
ためナイロン6の溶融粘度を抑制する目的でやむなく溶
融温度を上げることは可能であるが、その結果として原
料ナイロン6の熱劣化が促進され、得られる繊維に毛羽
の発生が増加し品位が損なわれたり、また、紡糸時に溶
融ナイロン6からのラクタムや低分子量オリゴマーの発
生が増加することにより口金面の汚れが激しくなり清掃
頻度が増加する。
【0008】高速製糸時の糸強度改善については、特定
のジカルボン酸を共重合する方法(特表平7−5066
39号公報)が提案されているがアミノ末端基が減少す
るため得られる繊維の染色性が悪化する。染色性改善の
ためにさらにジアミンなどを共重合することは可能であ
るが重合原料系に酸及び塩基が共存するため繊維の艶消
し剤として使用される酸化チタン(以下、TiO2とい
うことがある)が凝集し易くなり、その結果、得られる
繊維原料ナイロン6ポリマ中に酸化チタンの粗大粒子が
含まれることとなり高速製糸安定性が損なわれる。
のジカルボン酸を共重合する方法(特表平7−5066
39号公報)が提案されているがアミノ末端基が減少す
るため得られる繊維の染色性が悪化する。染色性改善の
ためにさらにジアミンなどを共重合することは可能であ
るが重合原料系に酸及び塩基が共存するため繊維の艶消
し剤として使用される酸化チタン(以下、TiO2とい
うことがある)が凝集し易くなり、その結果、得られる
繊維原料ナイロン6ポリマ中に酸化チタンの粗大粒子が
含まれることとなり高速製糸安定性が損なわれる。
【0009】本発明は前記問題点を解決するため、繊維
の伸度を保持したまま、かつ比較的重合度の高くないナ
イロン6を用いて強度の改善された衣料用繊維を得るこ
とを課題とする。
の伸度を保持したまま、かつ比較的重合度の高くないナ
イロン6を用いて強度の改善された衣料用繊維を得るこ
とを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は次の構成を有する。すなわち、ポリカプロラク
タムを溶融紡糸し、引き続き、得られる繊維の伸度が3
5〜50%となるように延伸を行い、その後5000m/
min.以上の速度で巻き取ることにより繊維を得るに当た
り、原料として98%硫酸相対粘度ηrが下記式(I)
の範囲であるポリカプロラクタムを用いることを特徴と
する糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法である。
本発明は次の構成を有する。すなわち、ポリカプロラク
タムを溶融紡糸し、引き続き、得られる繊維の伸度が3
5〜50%となるように延伸を行い、その後5000m/
min.以上の速度で巻き取ることにより繊維を得るに当た
り、原料として98%硫酸相対粘度ηrが下記式(I)
の範囲であるポリカプロラクタムを用いることを特徴と
する糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法である。
【0011】 2.52≦ηr≦2.58 ・・・・・・・・ (I)
【0012】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明ではナイロン6繊維の製造方法とし
て溶融紡糸後直接延伸を行うDSD方式の場合、その原
料ナイロン6の98%硫酸相対粘度ηr(以下、ηr)が
重要である。
て溶融紡糸後直接延伸を行うDSD方式の場合、その原
料ナイロン6の98%硫酸相対粘度ηr(以下、ηr)が
重要である。
【0014】従来からの知見では、重合度が高いポリマ
ーほど前記した操業上の不安定要因はあるものの得られ
る糸の強度は改善されると考えられてきた。しかし、η
rと糸強度との関係について詳細に検討した結果、驚く
べきことにηrが2.65以下の比較的重合度が高くない
範囲では、原料ナイロン6のηrが2.55付近におい
て、得られる糸の強度が極大となることがわかった。す
なわち、本発明の目的とする糸強度が改善された衣料用
繊維を得るためには、ηrが2.52以上2.58以下、
好ましくは2.52〜2.57、さらに好ましくは2.
52〜2.56の範囲とするものである。ηrが2.52
に満たない場合、ηrが2.58を越える場合にはいずれ
も糸強度が不十分となり本発明の目的を達成できない。
ーほど前記した操業上の不安定要因はあるものの得られ
る糸の強度は改善されると考えられてきた。しかし、η
rと糸強度との関係について詳細に検討した結果、驚く
べきことにηrが2.65以下の比較的重合度が高くない
範囲では、原料ナイロン6のηrが2.55付近におい
て、得られる糸の強度が極大となることがわかった。す
なわち、本発明の目的とする糸強度が改善された衣料用
繊維を得るためには、ηrが2.52以上2.58以下、
好ましくは2.52〜2.57、さらに好ましくは2.
52〜2.56の範囲とするものである。ηrが2.52
に満たない場合、ηrが2.58を越える場合にはいずれ
も糸強度が不十分となり本発明の目的を達成できない。
【0015】本発明の衣料用繊維の製造方法に用いるナ
イロン6は、紡糸に供せられる状態でのηrが本発明の
範囲であれば特に重合方法は限定されないが一例を示せ
ば次のとおりである。
イロン6は、紡糸に供せられる状態でのηrが本発明の
範囲であれば特に重合方法は限定されないが一例を示せ
ば次のとおりである。
【0016】ナイロン6を構成するモノマーであるε−
カプロラクタムを少量の水および重合度調整剤とともに
240℃〜270℃の溶融状態で加熱し重合反応後、重
合平衡の関係から含まれる約10%程度のεカプロラク
タムおよび低重合体を熱水により除去、さらに紡糸のた
めの溶融時に発泡あるいは加水分解反応により重合度が
不必要に低下しない程度まで水分を乾燥除去する。
カプロラクタムを少量の水および重合度調整剤とともに
240℃〜270℃の溶融状態で加熱し重合反応後、重
合平衡の関係から含まれる約10%程度のεカプロラク
タムおよび低重合体を熱水により除去、さらに紡糸のた
めの溶融時に発泡あるいは加水分解反応により重合度が
不必要に低下しない程度まで水分を乾燥除去する。
【0017】ηrは重合温度および重合度調整剤の添加
率などにより調整、適正化を行うことが可能であり、ま
た、水分を乾燥する段階の固相状態で重合を行うことに
より最終的に調整することも可能である。例えば、ηr
を適正範囲に下げるためには、最終重合段階での重合温
度を高くすること、重合度調整剤の原料ε−カプロラク
タムに対する添加率を上げること、また逆にηrを適正
範囲に上げるためには、最終重合段階での重合温度を低
くすること、重合度調整剤の原料ε−カプロラクタムに
対する添加率を下げること、さらには水分乾燥時の温度
を固相において重合が進む程度(例えば110℃〜17
0℃)まで上げることなどを得られるナイロン6の他の
特性値が損なわれない範囲で行えばよい。
率などにより調整、適正化を行うことが可能であり、ま
た、水分を乾燥する段階の固相状態で重合を行うことに
より最終的に調整することも可能である。例えば、ηr
を適正範囲に下げるためには、最終重合段階での重合温
度を高くすること、重合度調整剤の原料ε−カプロラク
タムに対する添加率を上げること、また逆にηrを適正
範囲に上げるためには、最終重合段階での重合温度を低
くすること、重合度調整剤の原料ε−カプロラクタムに
対する添加率を下げること、さらには水分乾燥時の温度
を固相において重合が進む程度(例えば110℃〜17
0℃)まで上げることなどを得られるナイロン6の他の
特性値が損なわれない範囲で行えばよい。
【0018】重合度調整剤としては通常、酢酸、プロピ
オン酸、安息香酸などのモノカルボン酸が用いられる
が、アミノ安息香酸などのモノアミン類、ヘキサメチレ
ンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン類
などナイロン6のアミノ末端基量とカルボキシル末端基
量とのいずれか、あるいは両方を減少させる化合物であ
って、得られるナイロン6の熱劣化を誘発したり着色原
因となるといった不都合がなければ特に限定されない。
なお、得られる繊維の酸性染料による染色性の点から考
慮される好ましいアミノ末端基量は30meq/kg以上であ
り、重合度調整剤はアミノ末端基量がこの範囲となるよ
うに添加率を選ぶのが好ましい。
オン酸、安息香酸などのモノカルボン酸が用いられる
が、アミノ安息香酸などのモノアミン類、ヘキサメチレ
ンジアミン、メタキシリレンジアミンなどのジアミン類
などナイロン6のアミノ末端基量とカルボキシル末端基
量とのいずれか、あるいは両方を減少させる化合物であ
って、得られるナイロン6の熱劣化を誘発したり着色原
因となるといった不都合がなければ特に限定されない。
なお、得られる繊維の酸性染料による染色性の点から考
慮される好ましいアミノ末端基量は30meq/kg以上であ
り、重合度調整剤はアミノ末端基量がこの範囲となるよ
うに添加率を選ぶのが好ましい。
【0019】さらに重合度調整剤の他に繊維の艶消し剤
であるTiO2、TiO2の分散剤、Mn化合物などの耐
候剤、ヒンダードアミン類化合物などの耐光剤、ヒンダ
ードフェノール類化合物などの耐熱剤等を必要に応じて
重合前あるいはそれ以降に添加することも可能である。
であるTiO2、TiO2の分散剤、Mn化合物などの耐
候剤、ヒンダードアミン類化合物などの耐光剤、ヒンダ
ードフェノール類化合物などの耐熱剤等を必要に応じて
重合前あるいはそれ以降に添加することも可能である。
【0020】次に添付図面により本発明の製造方法につ
いて説明する。図1は、衣料用ナイロン6繊維を溶融紡
糸直接延伸により得る工程の一実施態様を示す略略図で
ある。
いて説明する。図1は、衣料用ナイロン6繊維を溶融紡
糸直接延伸により得る工程の一実施態様を示す略略図で
ある。
【0021】245℃〜265℃に加熱、溶融された本
発明のナイロン6はパック1内で必要により異物濾過さ
れた後、口金2の10〜50個の孔から口金孔一つ当た
り0.5g/min.〜3g/min.吐出される。吐出されたナイ
ロン6は冷却チムニー3により冷却され、給油ローラ5
によって水系あるいは非水系油剤が均一に付与される。
その後、引取ローラ6,7および180℃〜210℃程
度に加熱された延伸ローラ8,9により例えば1.15
〜1.50の延伸倍率で延伸がかけられ糸の配向を進め
ることにより糸強度が付与される。その後、5000m/
min.以上の速度でワインダー10によって巻き取られ
る。
発明のナイロン6はパック1内で必要により異物濾過さ
れた後、口金2の10〜50個の孔から口金孔一つ当た
り0.5g/min.〜3g/min.吐出される。吐出されたナイ
ロン6は冷却チムニー3により冷却され、給油ローラ5
によって水系あるいは非水系油剤が均一に付与される。
その後、引取ローラ6,7および180℃〜210℃程
度に加熱された延伸ローラ8,9により例えば1.15
〜1.50の延伸倍率で延伸がかけられ糸の配向を進め
ることにより糸強度が付与される。その後、5000m/
min.以上の速度でワインダー10によって巻き取られ
る。
【0022】ここで、口金から吐出されるナイロン6の
量は所望する繊維の太さ、口金の孔数およびワインダー
の巻き取り速度から計算することができる。
量は所望する繊維の太さ、口金の孔数およびワインダー
の巻き取り速度から計算することができる。
【0023】また、本発明においては、織物、編み物用
として適当であり、かつ安定して製糸が可能なように、
得られる繊維の伸度を35〜50%、好ましくは36〜
48%、さらに好ましくは37〜46%となるように延
伸する。繊維の伸度をこの範囲とするには、引取ローラ
の周速度を調節すればよい伸度が35%に満たなくなる
程度まで延伸倍率を上げると得られる繊維の強度は改善
されるが製糸操業性が悪化する。また、伸度が50%を
超える場合は、十分延伸されていないために繊維の強度
が充分でない。
として適当であり、かつ安定して製糸が可能なように、
得られる繊維の伸度を35〜50%、好ましくは36〜
48%、さらに好ましくは37〜46%となるように延
伸する。繊維の伸度をこの範囲とするには、引取ローラ
の周速度を調節すればよい伸度が35%に満たなくなる
程度まで延伸倍率を上げると得られる繊維の強度は改善
されるが製糸操業性が悪化する。また、伸度が50%を
超える場合は、十分延伸されていないために繊維の強度
が充分でない。
【0024】本発明ではワインダーの巻取速度が500
0m/min.以上、好ましくは5200m/min.以上、さらに
好ましくは5400m/min.以上とするものである。50
00m/min.に満たない速度では本発明のηrと糸強度の
関係が明確には発現しない。なお、一般にワインダーの
巻取速度を10000m/min.以上とするのは困難であ
る。
0m/min.以上、好ましくは5200m/min.以上、さらに
好ましくは5400m/min.以上とするものである。50
00m/min.に満たない速度では本発明のηrと糸強度の
関係が明確には発現しない。なお、一般にワインダーの
巻取速度を10000m/min.以上とするのは困難であ
る。
【0025】5000m/min.以上の速度で、原料ナイロ
ン6のηrが本発明の特異な範囲においてのみ得られる
繊維の強度が改善される原因は明確でない。しかし一つ
の推察として、高速で巻き取られる場合、糸の冷却ある
いは延伸の過程で溶融粘度が適度に小さいことが均一な
冷却あるいは配向に対し重要となり、また、ηrが高い
ほど大きくなる分子間力との均衡により特異なηrの範
囲において糸強度が改善されるものと考えられる。
ン6のηrが本発明の特異な範囲においてのみ得られる
繊維の強度が改善される原因は明確でない。しかし一つ
の推察として、高速で巻き取られる場合、糸の冷却ある
いは延伸の過程で溶融粘度が適度に小さいことが均一な
冷却あるいは配向に対し重要となり、また、ηrが高い
ほど大きくなる分子間力との均衡により特異なηrの範
囲において糸強度が改善されるものと考えられる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに詳細に
説明する。なお、硫酸相対粘度ηrは次の方法により測
定した。
説明する。なお、硫酸相対粘度ηrは次の方法により測
定した。
【0027】[98%硫酸相対粘度]乾燥したナイロン6
約0.25gを98wt%の濃度の硫酸100mlに対して
1.000gになるように溶解し、オストワルド型粘度
計を用いて25℃での流下時間を測定した(T1)。引
き続き、同様に98wt%の濃度の硫酸の流下時間を測定
した(T2)。
約0.25gを98wt%の濃度の硫酸100mlに対して
1.000gになるように溶解し、オストワルド型粘度
計を用いて25℃での流下時間を測定した(T1)。引
き続き、同様に98wt%の濃度の硫酸の流下時間を測定
した(T2)。
【0028】T2に対するT1の比、すなわちT1/T2を
98%硫酸相対粘度ηrとした。
98%硫酸相対粘度ηrとした。
【0029】(実施例1)カプロラクタム100モルに
対し0.4モルの酢酸およびカプロラクタム100重量
部に対して1重量部の水、0.27重量部のTiO2を原
料として加熱温度270℃で7時間、その後加熱温度2
50℃で3時間の重合を行い、重合後のポリマーを重合
反応器からストランド状に吐出し冷却、ペレタイズ化し
た後、95℃の熱水により約15時間カプロラクタムお
よび低分子量成分の抽出除去を行い、さらに115℃の
窒素気流下で約20時間の乾燥および固相重合を行いナ
イロン6を得た。
対し0.4モルの酢酸およびカプロラクタム100重量
部に対して1重量部の水、0.27重量部のTiO2を原
料として加熱温度270℃で7時間、その後加熱温度2
50℃で3時間の重合を行い、重合後のポリマーを重合
反応器からストランド状に吐出し冷却、ペレタイズ化し
た後、95℃の熱水により約15時間カプロラクタムお
よび低分子量成分の抽出除去を行い、さらに115℃の
窒素気流下で約20時間の乾燥および固相重合を行いナ
イロン6を得た。
【0030】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.54であった。
(ηr)は2.54であった。
【0031】得られたナイロン6を260℃で溶融し、
13孔を有する口金より単孔当たり1.8g/min.の速度
で吐出、冷却チムニー部により冷却、油剤を付与後、紡
糸ローラ速度4200m/min.、延伸ローラ速度5200
m/min.、ワインダー速度5100m/min.の延伸、巻き取
り条件で溶融紡糸直接延伸により40d-13fの繊維
を得た。この繊維の強度、伸度を表1に示した。
13孔を有する口金より単孔当たり1.8g/min.の速度
で吐出、冷却チムニー部により冷却、油剤を付与後、紡
糸ローラ速度4200m/min.、延伸ローラ速度5200
m/min.、ワインダー速度5100m/min.の延伸、巻き取
り条件で溶融紡糸直接延伸により40d-13fの繊維
を得た。この繊維の強度、伸度を表1に示した。
【0032】
【表1】 (実施例2)窒素気流下での乾燥および固相重合を12
5℃で18時間行った以外は実施例1と同様の方法でナ
イロン6を得た。
5℃で18時間行った以外は実施例1と同様の方法でナ
イロン6を得た。
【0033】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.58であった。
(ηr)は2.58であった。
【0034】さらに実施例1と同様の方法により40d
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
【0035】(実施例3)酢酸添加率をカプロラクタム
100モルに対し0.45モルとした以外は実施例1と
同様の方法でナイロン6を得た。
100モルに対し0.45モルとした以外は実施例1と
同様の方法でナイロン6を得た。
【0036】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.52であった。
(ηr)は2.52であった。
【0037】さらに実施例1と同様の方法により40d
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
【0038】(比較例1)酢酸添加率をカプロラクタム
100モルに対し0.5モルとした以外は実施例1と同
様の方法でナイロン6を得た。
100モルに対し0.5モルとした以外は実施例1と同
様の方法でナイロン6を得た。
【0039】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.49であった。
(ηr)は2.49であった。
【0040】さらに実施例1と同様の方法により40d
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
【0041】(比較例2)窒素気流下での乾燥および固
相重合を135℃で18時間行った以外は実施例1と同
様の方法でナイロン6を得た。
相重合を135℃で18時間行った以外は実施例1と同
様の方法でナイロン6を得た。
【0042】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.60であった。
(ηr)は2.60であった。
【0043】さらに実施例1と同様の方法により40d
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
【0044】(比較例3)酢酸添加率をカプロラクタム
100モルに対し0.25モルとした以外は実施例1と
同様の方法でナイロン6を得た。
100モルに対し0.25モルとした以外は実施例1と
同様の方法でナイロン6を得た。
【0045】得られたナイロン6の98%硫酸相対粘度
(ηr)は2.65であった。
(ηr)は2.65であった。
【0046】さらに実施例1と同様の方法により40d
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
-13fの繊維を得た。この繊維の強度、伸度を表1に
併せて示した。
【0047】
【発明の効果】本発明の繊維の製造方法により、糸強度
の改善された繊維を得るための安定した高速製糸操業が
可能となる。
の改善された繊維を得るための安定した高速製糸操業が
可能となる。
【図1】本発明の衣料用繊維の製造に用いる製糸工程の
一例を示す概略図。
一例を示す概略図。
1:パック 2:口金 3:冷却チムニー 4:糸道ダクト 5:給油ローラ 6、7:引取ローラ 8、9:延伸ローラ 10:ワインダー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 EA06 EA15 FA03 FB01 FC01 HA02 JA10 JB02 JC04 4L035 BB33 BB36 BB40 BB53 BB59 CC13 EE08 EE20 GG05 HH10
Claims (1)
- 【請求項1】ポリカプロラクタムを溶融紡糸し、引き続
き、得られる繊維の伸度が35〜50%となるように延
伸を行い、その後5000m/min.以上の速度で巻き取る
ことにより繊維を得るに当たり、原料として98%硫酸
相対粘度ηrが下記式(I)の範囲であるポリカプロラ
クタムを用いることを特徴とする糸強度の改善された衣
料用繊維の製造方法。 2.52≦ηr≦2.58 ・・・・・・・・ (I)
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10200190A JP2000034618A (ja) | 1998-07-15 | 1998-07-15 | 糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10200190A JP2000034618A (ja) | 1998-07-15 | 1998-07-15 | 糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000034618A true JP2000034618A (ja) | 2000-02-02 |
Family
ID=16420302
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10200190A Pending JP2000034618A (ja) | 1998-07-15 | 1998-07-15 | 糸強度の改善された衣料用繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000034618A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004050345A1 (ja) * | 2002-12-04 | 2004-06-17 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisya | 引裂き強力に優れた透湿防水性布帛およびその製造方法 |
JP2007510015A (ja) * | 2003-10-20 | 2007-04-19 | ロディアニル | 光および/または熱に対して安定化された組成物 |
-
1998
- 1998-07-15 JP JP10200190A patent/JP2000034618A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004050345A1 (ja) * | 2002-12-04 | 2004-06-17 | Toyo Boseki Kabushiki Kaisya | 引裂き強力に優れた透湿防水性布帛およびその製造方法 |
JP2007510015A (ja) * | 2003-10-20 | 2007-04-19 | ロディアニル | 光および/または熱に対して安定化された組成物 |
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