JP2000028607A - 新規なモノクローナル抗体及びニックβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法 - Google Patents

新規なモノクローナル抗体及びニックβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法

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JP2000028607A
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貴美子 犬塚
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体試料中のニックβ2グリコプロテインI
を、試料中に同時に含まれると考えられるインタクトβ
2グリコプロテインIの量に影響を受けることなく、迅
速かつ正確に測定することのできるニックβ2グリコプ
ロテインIの免疫学的分析方法、及びそれに使用するモ
ノクロナール抗体を提供する。 【解決手段】 第1のモノクロナール抗体は、β2グリ
コプロテインIと反応しないが、プロテアーゼにより一
部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとは反応し、
第2のモノクロナール抗体は、β2グリコプロテイン
I、及びプロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グ
リコプロテインIと反応する。前記免疫学的分析方法で
は、第1のモノクローナル抗体少なくとも1種類と、別
種の第1のモノクローナル抗体又は第2のモノクローナ
ル抗体を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プロテアーゼによ
り一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインI(以下、
ニックβ2グリコプロテインIと称することがある)に
特異的に反応する各種の新規モノクローナル抗体及びそ
の抗体フラグメント、前記モノクローナル抗体を産生す
るハイブリドーマ、ニックβ2グリコプロテインIの免
疫学的分析方法、並びに生体内凝固線溶異常の検出法に
関する。ニックβ2グリコプロテインIは、生体内凝固
線溶異常の予知マーカーとして有用である。
【0002】本明細書において、「ニックβ2グリコプ
ロテインI」とは、プロテアーゼによりアミノ酸配列の
一部に開裂を受けて2本のポリペプチド鎖からなるもの
の、それらがジスルフィド結合により結合しているβ2
グリコプロテインIを意味する。また、本明細書におい
ては、プロテアーゼによる開裂を受けていないβ2グリ
コプロテインIを、前記の「ニックβ2グリコプロテイ
ンI」と区別する必要がある場合には、「インタクトβ
2グリコプロテインI」と称することがある。従って、
本明細書において、単に「β2グリコプロテインI」と
称する場合には、特に断わらない限り、「インタクトβ
2グリコプロテインI」を指すものとする。
【0003】
【従来の技術】β2グリコプロテインIは、5つの繰り
返しドメイン構造(第Iドメイン〜第Vドメイン)を有
する糖タンパク質であり、例えば、ヒトβ2グリコプロ
テインIは、326個のアミノ酸からなり、分子量が約
50,000である。インタクトβ2グリコプロテイン
Iは、血液中に約200μg/mlの濃度で存在し、陰
性荷電リン脂質(例えば、カルジオリピン又はホスファ
チジルセリンなど)、ヘパリン、又はDNAなどの負電
荷物質と結合することができる。インタクトβ2グリコ
プロテインIの生理的な機能としては、陰性荷電リン脂
質への結合による内因系凝固反応の阻害作用、及び血小
板膜上でのリン脂質依存性プロトロンビナーゼ活性の阻
害作用を示すことから、凝固制御因子としての役割が示
唆されている。
【0004】一方、β2グリコプロテインIにおける第
Vドメイン内の一部に、プロテアーゼにより開裂(例え
ば、ヒトβ2グリコプロテインIにおいては、第317
番目のリジン残基と第318番目のトレオニン残基との
間での開裂、あるいは、第314番目のアラニン残基と
第315番目のフェニルアラニン残基との間での開裂)
を受けたニックβ2グリコプロテインIは、前記の陰性
荷電リン脂質との結合親和性が約1/100に低下する
ことが報告されている[J.E.Huntら、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,第90巻,
第2141頁〜第2145頁,(1993年)]。ま
た、第317番目のリジン残基と第318番目のトレオ
ニン残基との間での開裂は、プラスミンの作用により生
じることが報告されている[大蔵ら,Blood,第9
1巻,第4173頁〜第4179頁,(1998
年)]。このように、インタクトβ2グリコプロテイン
Iは、生体内で凝固制御因子としての役割を担っている
が、様々な病態(例えば、癌、白血病、又は炎症など)
において血管内凝固系が活性化されると、それに引き続
き活性化される線溶系酵素であるプラスミンにより開裂
を受け、陰性荷電リン脂質との結合親和性が低下し、ニ
ックβ2グリコプロテインIとして血中に遊離するもの
と考えられる。
【0005】また、全身性炎症性自己免疫疾患の一つで
ある全身性エリテマトーデス(SLE)の患者の一部に
おいては、陰性荷電リン脂質に結合したβ2グリコプロ
テインIに対して反応する抗リン脂質抗体が血中に出現
する。この抗リン脂質抗体の存在により、血管内皮細胞
膜上において免疫複合体が形成されることで、補体系の
活性化、ひいては全身炎症反応に発展する。炎症反応に
伴い、局所で活性化された顆粒球より放出されたエラス
ターゼにより、β2グリコプロテインIが開裂を受ける
ことも考えられる。実際、前記のJ.E.Huntらの
報告では、顆粒球エラスターゼの特異性に一致するβ2
グリコプロテインIの第Vドメイン内の第314番目の
アラニン残基と第315番目のフェニルアラニン残基と
の間での開裂が示されている。また、生体内においては
プラスミンだけでなく、顆粒球エラスターゼも線溶に関
与している可能性が示唆されている[Blood Co
agulation and Fibrinolysi
s,第6巻,259頁,(1995年)]。
【0006】これらの事実及び報告から明らかなよう
に、生体試料中のニックβ2グリコプロテインIの存在
の有無を検出するか、あるいは、その存在量を測定する
ことができれば、生体内凝固線溶異常の有無又は程度を
判断することができる。しかしながら、ニックβ2グリ
コプロテインIの免疫学的分析方法は、従来全く知られ
ていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、生体試料中のニックβ2グリコプロテインIを、前
記試料中に同時に含まれると考えられるインタクトβ2
グリコプロテインIの量に影響を受けることなく、迅速
かつ正確に測定することのできるニックβ2グリコプロ
テインIの免疫学的分析方法を提供することにある。ま
た、本発明の課題は、前記免疫学的分析方法に用いるこ
とのできる新規モノクローナル抗体、そのモノクローナ
ル抗体を産生するハイブリドーマ、並びに生体内凝固線
溶異常の検出法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題は、本発明に
よる、β2グリコプロテインI(すなわち、インタクト
β2グリコプロテインI)と反応しないが、プロテアー
ゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインI
(すなわち、ニックβ2グリコプロテインI)とは反応
することを特徴とする、モノクローナル抗体(以下、
「本発明による第1のモノクローナル抗体」と称するこ
とがある)又はその抗体フラグメントによって達成する
ことができる。また、本発明は、β2グリコプロテイン
I(すなわち、インタクトβ2グリコプロテインI)及
びニックβ2グリコプロテインIと反応することを特徴
とする、モノクローナル抗体(以下、「本発明による第
2のモノクローナル抗体」と称することがある)又はそ
の抗体フラグメントに関する。また、本発明は、前記モ
ノクローナル抗体(すなわち、前記の本発明による第1
のモノクローナル抗体、又は前記の本発明による第2の
モノクローナル抗体)を産生することを特徴とする、ハ
イブリドーマに関する。
【0009】また、本発明は、本発明による第1のモノ
クローナル抗体又はその抗体フラグメントを第1抗体と
して不溶性担体に固定化し、この固定化された第1抗体
と被検試料とを接触させ、続いて、前記の第1抗体とは
別種の本発明による第1のモノクローナル抗体若しくは
その抗体フラグメントに標識を付した第2抗体、又は本
発明による第2のモノクローナル抗体若しくはその抗体
フラグメントに標識を付した第2抗体と接触させ、前記
の固定化第1抗体−ニックβ2グリコプロテインI複合
体と結合した前記第2抗体の前記標識からの信号、又は
前記の固定化第1抗体−ニックβ2グリコプロテインI
複合体と結合しなかった前記第2抗体の前記標識からの
信号を検出することを特徴とする、プロテアーゼにより
一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの免疫学的
分析方法に関する。
【0010】また、本発明は、不溶性担体に固定化され
た、本発明による第1のモノクローナル抗体又はその抗
体フラグメント少なくとも1種類と、不溶性担体に固定
化された、別種の本発明による第1のモノクローナル抗
体若しくはその抗体フラグメント又は本発明による第2
のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメント1
種類と、被検試料とを接触させ、凝集反応を観察するこ
とを特徴とする、プロテアーゼにより一部に開裂を受け
たβ2グリコプロテインIの免疫学的分析方法に関す
る。更に、本発明は、ニックβ2グリコプロテインIを
分析することを特徴とする、生体内凝固線溶異常の検出
法に関する。
【0011】本明細書において、「ニックβ2グリコプ
ロテインI」とは、前記のとおり、プロテアーゼにより
アミノ酸配列の一部に開裂を受けて2本のポリペプチド
鎖からなるものの、それらがジスルフィド結合により結
合しているβ2グリコプロテインIを意味する。具体的
には、前記「ニックβ2グリコプロテインI」には、
(1)プラスミンにより第Vドメインに開裂(ヒトβ2
グリコプロテインIにおいては、第317番目のリジン
残基と第318番目のトレオニン残基との間で開裂)を
受けたニックβ2グリコプロテインI(以下、P−ニッ
クβ2グリコプロテインIと称することがある)、及び
(2)顆粒球エラスターゼにより第Vドメインに開裂
(ヒトβ2グリコプロテインIにおいては、第314番
目のアラニン残基と第315番目のフェニルアラニン残
基との間で開裂)を受けたニックβ2グリコプロテイン
I(以下、E−ニックβ2グリコプロテインIと称する
ことがある)が含まれる。
【0012】また、本明細書において、β2グリコプロ
テインI(インタクトβ2グリコプロテインI及びニッ
ク2グリコプロテインIの両方を含む)における「第I
ドメイン〜第IVドメインからなる領域」とは、ヒトβ2
グリコプロテインIにおいては、326個のアミノ酸か
ら構成されるヒトβ2グリコプロテインIにおける(ア
ミノ末端側から数えて)第1番目のアミノ酸残基〜第2
41番目のアミノ酸残基からなる領域を意味する。
【0013】更に、β2グリコプロテインI(インタク
トβ2グリコプロテインI及びニック2グリコプロテイ
ンIの両方を含む)における「第Vドメイン」とは、ヒ
トβ2グリコプロテインIにおいては、326個のアミ
ノ酸から構成されるβ2グリコプロテインIにおける
(アミノ末端側から数えて)第242番目のアミノ酸残
基〜第326番目のアミノ酸残基からなる領域を意味す
る。
【0014】なお、ニックβ2グリコプロテインIにお
ける「第Vドメイン」は、その一部に開裂(ヒトβ2グ
リコプロテインIにおいては、第317番目のリジン残
基と第318番目のトレオニン残基との間での開裂、あ
るいは、第314番目のアラニン残基と第315番目の
フェニルアラニン残基との間での開裂)を受け、ジスル
フィド結合により結合した2本のポリペプチド鎖からな
る。一方、インタクトβ2グリコプロテインIにおける
「第Vドメイン」は、ヒトβ2グリコプロテインIにお
いては、326個のアミノ酸から構成されるβ2グリコ
プロテインIにおける(アミノ末端側から数えて)第2
42番目のアミノ酸残基〜第326番目のアミノ酸残基
からなる、開裂を受けていないドメインである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明による第1のモノクローナ
ル抗体は、インタクトβ2グリコプロテインI(特に
は、ヒトインタクトβ2グリコプロテインI)とは反応
せず、プロテアーゼ(特には、プラスミン又は顆粒球エ
ラスターゼ)により一部(特には、第Vドメイン)に開
裂を受けたβ2グリコプロテインI[特には、プロテア
ーゼ(特には、プラスミン又は顆粒球エラスターゼ)に
より一部(特には、第Vドメイン)に開裂を受けたヒト
β2グリコプロテインI]とのみ反応する。本発明によ
る好ましい第1のモノクローナル抗体は、(1)インタ
クトβ2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアー
ゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIと
反応し、しかも、プロテアーゼにより一部に開裂を受け
たβ2グリコプロテインIの第Vドメインに反応する
(以下、「本発明によるモノクローナル抗体1A」と称
することがある)か、あるいは、(2)インタクトβ2
グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより
一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIと反応し、
しかも、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グ
リコプロテインIの第Iドメイン〜第IVドメインからな
る領域に反応する(以下、「本発明によるモノクローナ
ル抗体1B」と称することがある)。
【0016】本発明によるモノクローナル抗体1Aのエ
ピトープは、ニックβ2グリコプロテインIの第Vドメ
イン[例えば、ヒトニックβ2グリコプロテインIにお
ける(アミノ末端側から数えて)第242番目のアミノ
酸残基〜第326番目のアミノ酸残基からなる領域]に
存在する。本発明によるモノクローナル抗体1Aのエピ
トープとしては、非還元状態のインタクトβ2グリコプ
ロテインI及び非還元状態のインタクトβ2グリコプロ
テインI第Vドメインにおいて分子内に隠れているが、
還元状態のインタクトβ2グリコプロテインI及び非還
元状態のインタクトβ2グリコプロテインI第Vドメイ
ンにおいて露出するエピトープであることが好ましい。
本発明によるモノクローナル抗体1Aとしては、後述す
る実施例で得られるモノクローナル抗体NGPI−59
を挙げることができる。
【0017】本発明によるモノクローナル抗体1Bのエ
ピトープは、ニックβ2グリコプロテインIの第Iドメ
イン〜第IVドメインからなる領域[例えば、ヒトニック
β2グリコプロテインIにおける(アミノ末端側から数
えて)第1番目のアミノ酸残基〜第241番目のアミノ
酸残基からなる領域]に存在する。本発明によるモノク
ローナル抗体1Bのエピトープとしては、立体構造依存
的なエピトープ、すなわち、非還元状態のニックβ2グ
リコプロテインIではエピトープの構造を保持し、還元
状態のニックβ2グリコプロテインIではエピトープの
構造を保持しないエピトープであることが好ましい。本
発明によるモノクローナル抗体1Bとしては、後述する
実施例で得られるモノクローナル抗体NGPI−60を
挙げることができる。
【0018】本発明による第2のモノクローナル抗体
は、インタクトβ2グリコプロテインI(特には、ヒト
インタクトβ2グリコプロテインI)、及びプロテアー
ゼ(特には、プラスミン又は顆粒球エラスターゼ)によ
り一部(特には、第Vドメイン)に開裂を受けたβ2グ
リコプロテインI[特には、プロテアーゼ(特には、プ
ラスミン又は顆粒球エラスターゼ)により一部(特に
は、第Vドメイン)に開裂を受けたヒトβ2グリコプロ
テインI]と反応する。
【0019】本発明による第2のモノクローナル抗体の
エピトープは、β2グリコプロテインI(インタクトβ
2グリコプロテインI及びニック2グリコプロテインI
の両方を含む)の第Iドメイン〜第IVドメインからなる
領域[例えば、ヒトニックβ2グリコプロテインIにお
ける(アミノ末端側から数えて)第1番目のアミノ酸残
基〜第241番目のアミノ酸残基からなる領域]に存在
することが好ましく、立体構造非依存的なエピトープ、
すなわち、非還元状態のβ2グリコプロテインIにおい
ても、還元状態のβ2グリコプロテインIにおいても、
エピトープとして機能するエピトープであることがより
好ましい。本発明による第2のモノクローナル抗体とし
ては、後述する実施例で得られるモノクローナル抗体N
GPI−23を挙げることができる。
【0020】本発明のモノクローナル抗体は、例えば、
近年各方面で行われている細胞融合法で作成されたハイ
ブリドーマによるモノクローナル抗体産生法により得る
ことができる。すなわち、ニックβ2グリコプロテイン
I(好ましくは、ヒトニックβ2グリコプロテインI)
を抗原として使用し、種々のニックβ2グリコプロテイ
ンI、インタクトβ2グリコプロテインI、及び/又は
それらのフラグメントを用いてスクリーニングを実施す
ることによって、本発明のモノクローナル抗体を産生す
る本発明のハイブリドーマを調製することができ、その
ハイブリドーマから本発明のモノクローナル抗体を調製
することができる。本発明のハイブリドーマ及びモノク
ローナル抗体の調製は、常法、例えば、続生化学実験講
座(日本生化学会編)又は免疫生化学研究法(日本生化
学会編)に記載の方法に従って行うことができる。
【0021】本発明のモノクローナル抗体は、そのモノ
クローナル抗体を産生することのできる本発明のハイブ
リドーマ(例えば、マウス・ハイブリドーマ)を、例え
ば、適当な培地又は哺乳動物(例えば、マウス)の腹腔
内で培養することにより製造することができる。本発明
のハイブリドーマは、一般的には、例えば、ニックβ2
グリコプロテインIで免疫した哺乳動物又は鳥類(例え
ば、マウス)の脾臓細胞と哺乳動物(例えば、マウス)
のミエローマ細胞(骨髄腫細胞)とを、Nature,
第256巻,495頁(1975年)に記載の方法によ
り細胞融合して製造することが可能である。詳細には、
下記実施例に記載の方法によって製造することができ
る。
【0022】前記のハイブリドーマを培養することので
きる培地としては、ハイブリドーマの培養に適した培地
であればよく、好適にはダルベッコ氏変法イーグル氏最
小必須培地(Dulbeccos modified
Eeagle's minimum essentia
l medium:以下、DMEと称する)にウシ胎児
血清、L−グルタミン、L−ピルビン酸、及び抗生物質
(ペニシリンGとストレプトマイシン)を含む培地が用
いられる。前記のハイブリドーマの培養は、培地中で行
う場合には、例えば、5%CO2濃度及び37℃の条件
下で約3日間行う。あるいは、マウスの腹腔内で行う場
合には、例えば、約14日間行う。
【0023】このようにして製造された培養液又は哺乳
動物の腹水から、例えば、タンパク質の単離・精製に一
般的に用いられている方法により、本発明のモノクロー
ナル抗体を分離・精製することが可能である。そのよう
な方法としては、例えば、硫安塩析、イオン交換セルロ
ースを用いるイオン交換カラムクロマトグラフィー、分
子篩ゲルを用いる分子篩カラムクロマトグラフィー、プ
ロテインA結合多糖類を用いる親和性カラムクロマトグ
ラフィー、透析、又は凍結乾燥等を挙げることができ
る。
【0024】本発明の抗体フラグメントは、本発明のモ
ノクローナル抗体のフラグメントであって、しかも、も
とのモノクローナル抗体と同じ反応特異性を有する抗体
フラグメントである。すなわち、本発明による第1のモ
ノクローナル抗体の抗体フラグメントは、インタクトβ
2グリコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼによ
り一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとのみ反
応する。また、本発明によるモノクローナル抗体1Aの
抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプロテイン
Iとは反応せず、プロテアーゼにより一部に開裂を受け
たβ2グリコプロテインIとのみ反応し、プロテアーゼ
により一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの第
Vドメインに反応する。また、本発明によるモノクロー
ナル抗体1Bの抗体フラグメントは、インタクトβ2グ
リコプロテインIとは反応せず、プロテアーゼにより一
部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとのみ反応
し、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコ
プロテインIの第Iドメイン〜第IVドメインからなる領
域に反応する。更に、本発明による第2のモノクローナ
ル抗体の抗体フラグメントは、インタクトβ2グリコプ
ロテインI、及びプロテアーゼにより一部に開裂を受け
たβ2グリコプロテインIと反応する。
【0025】本発明の抗体フラグメントには、例えば、
Fab、Fab'、F(ab')2、又はFv等が含まれ
る。これらのフラグメントは、例えば、本発明のモノク
ローナル抗体を常法によりタンパク質分解酵素によって
消化し、続いて、タンパク質の分離・精製の常法に従っ
て得ることができる。
【0026】このようにして得られた本発明による抗ニ
ックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体及びそ
の抗体フラグメントの内、本発明による第1のモノクロ
ーナル抗体又はその抗体フラグメントは、ニックβ2グ
リコプロテインIとのみ特異的に結合する能力を有する
ので、例えば、(1)本発明による第1のモノクローナ
ル抗体又はその抗体フラグメント2種類以上を用いるこ
とにより、あるいは、(2)本発明による第1のモノク
ローナル抗体又はその抗体フラグメント1種類以上と、
本発明による第2のモノクローナル抗体若しくはその抗
体フラグメント1種類以上と組み合わせて用いることに
より、本発明による抗ニックβ2グリコプロテインIモ
ノクローナル抗体又はその抗体フラグメントは、ニック
β2グリコプロテインIの各種の免疫学的分析方法の試
薬として有用である。なお、本明細書において、前記
「分析方法」には、分析対象物質の存在の有無を確認す
る検出方法と、分析対象物質の量を測定する定量方法の
両方が含まれる。
【0027】例えば、本発明による第1のモノクローナ
ル抗体又はその抗体フラグメントを第1抗体として不溶
性担体に固定化し、この固定化された第1抗体と被検試
料とを接触させ、続いて、第1抗体とは別種の本発明に
よる第1のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグ
メントに標識を付した第2抗体、又は本発明による第2
のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメントに
標識を付した第2抗体と接触させると、前記の固定化第
1抗体−ニックβ2グリコプロテインI複合体と結合し
た前記第2抗体又は前記の固定化第1抗体−ニックβ2
グリコプロテインI複合体と結合しなかった前記第2抗
体の前記標識からの信号を検出することができるので、
本発明による抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体又はその抗体フラグメントは、ニックβ2グ
リコプロテインIの免疫学的分析方法(サンドイッチ
法)の試薬として有用である。
【0028】また、本発明による第1のモノクローナル
抗体又はその抗体フラグメント少なくとも1種類と、別
種の本発明による第1のモノクローナル抗体若しくはそ
の抗体フラグメント又は本発明による第2のモノクロー
ナル抗体若しくはその抗体フラグメント1種類とを不溶
性担体に固定化し、これらの固定化したモノクローナル
抗体又はその抗体フラグメントと被検試料とを接触させ
ると、被検試料中のインタクトβ2グリコプロテインI
とは凝集反応を起こさず、ニックβ2グリコプロテイン
Iとの間でのみ凝集反応を起こさせることができるの
で、本発明による抗ニックβ2グリコプロテインIモノ
クローナル抗体又はその抗体フラグメントは、ニックβ
2グリコプロテインIの免疫学的分析方法(凝集法)の
試薬として有用である。
【0029】従って、本発明による抗ニックβ2グリコ
プロテインIモノクローナル抗体又はその抗体フラグメ
ントを用いて、本発明の免疫学的分析方法を実施するこ
とができる。本発明の免疫学的分析方法に用いる被検試
料は、ニックβ2グリコプロテインIを含む可能性のあ
る試料であれば特に限定されるものでないが、例えば、
生体試料、特には血液、血漿、血清、又は尿、好ましく
は血漿又は血清である。本発明の免疫学的分析方法にお
いては、被検試料を前処理せずに(例えば、クロマトグ
ラフィーの手法で、あらかじめインタクトβ2グリコプ
ロテインIとニックβ2グリコプロテインIとを分離操
作することなく)、そのまま使用しても、被検試料中に
存在するインタクトβ2グリコプロテインIの妨害を避
けることができる。
【0030】サンドイッチ法を利用する本発明の免疫学
的分析方法では、具体的には、本発明による第1のモノ
クローナル抗体(例えば、本発明によるモノクローナル
抗体1A又は本発明によるモノクローナル抗体1B)又
はその抗体フラグメントを適当な不溶性担体に固定化す
る(第1抗体)。次に、不溶性担体と被検試料との非特
異的結合を避けるために、適当なブロッキング剤[例え
ば、ウシ血清アルブミン(BSA)やゼラチン等]で不
溶性担体の表面を被覆する。続いて、未希釈の検体試料
を加えて一定時間(たとえば、5分〜3時間)及び一定
温度(例えば、4℃〜40℃、好ましくは室温付近)で
接触させ反応させる(1次反応)。続いて、前記第1次
抗体として用いたモノクローナル抗体とは別種の本発明
による第1のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラ
グメントに標識を付した第2抗体、又は本発明による第
2のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメント
に標識を付した第2抗体を加えて一定時間(たとえば、
5分〜3時間)及び一定温度(例えば、4℃〜40℃、
好ましくは室温付近)で接触させ反応させる(2次反
応)。これを適当な洗浄液(例えば、界面活性剤を含む
生理食塩水)で洗浄してから、不溶性担体上に存在する
標識抗体の量を定量する。その値から、被検試料中のニ
ックβ2グリコプロテインIの量を算出することができ
る。また、1次反応と2次反応とを同時に行うことも可
能である。
【0031】本発明のサンドイッチ法による免疫学的分
析方法に使用することのできる不溶性担体は特に限定さ
れるものでなく、例えば、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、
ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラ
ン、ポリサッカライド等の高分子、その他ニトロセルロ
ース、紙、アガロース及びこれらの組み合わせ等を例示
することができる。
【0032】標識物質としては、酵素、蛍光物質、又は
発光物質を使用するのが有利である。酵素としては、例
えば、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β
−D−ガラクトシダーゼ等、また、蛍光物質としては、
例えば、フルオレセインイソチオシアネート等、また、
発光物質としては、例えば、アクリジニウムエステル、
ルシフェリン等を使用することができる。
【0033】凝集反応を利用する本発明の免疫学的分析
方法において、不溶性担体としては、一般に抗原抗体反
応の凝集反応を利用する免疫学的分析方法において用い
られる任意の不溶性担体を用いることができ、例えば、
ラテックス粒子(特には、ポリスチレンラテックス粒
子)を挙げることができる。モノクローナル抗体を不溶
性担体に固定化させるには、公知の方法、例えば、化学
結合法(架橋剤としてカルボジイミド、グルタルアルデ
ヒド等を用いる)又は物理吸着法を用いることができ
る。こうして、モノクローナル抗体と不溶性担体との複
合体(抗体/担体複合体)を形成し、これを本発明の免
疫学的分析方法に用いることができる。
【0034】本発明の免疫学的測定方法(凝集法)にお
いては、前記の不溶性担体に固定化した少なくとも2種
のモノクローナル抗体又はその抗体フラグメント、すな
わち、(1)本発明による第1のモノクローナル抗体又
はその抗体フラグメント少なくとも1種類と、(2)別
種の本発明による第1のモノクローナル抗体若しくはそ
の抗体フラグメント又は本発明による第2のモノクロー
ナル抗体若しくはその抗体フラグメント1種類とを使用
するが、使用するモノクローナル抗体の各々のエピトー
プが互いに離れている方が凝集反応が起きやすい点で、
本発明によるモノクローナル抗体1A若しくはその抗体
フラグメント、本発明によるモノクローナル抗体1B若
しくはその抗体フラグメント、又は本発明による第2の
モノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメントの少
なくとも2種を使用することが好ましい。
【0035】本発明の免疫学的測定方法(凝集法)にお
いては、例えば、モノクローナル抗体を2種用いる場合
には、或る1種のモノクローナル抗体を不溶性担体に固
定化して調製した抗体/担体複合体を2種用いるか、あ
るいは、2種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶性
担体に固定化して調製した抗体/担体複合体を用いるこ
とができる。また、モノクローナル抗体を3種用いる場
合には、或る1種のモノクローナル抗体を不溶性担体に
固定化して調製した抗体/担体複合体を3種用いるか、
あるいは、3種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶
性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体を用いる
ことができる。更に、或る1種のモノクローナル抗体を
不溶性担体に固定化して調製した抗体/担体複合体1種
と、2種のモノクローナル抗体を或る1種の不溶性担体
に固定化して調製した抗体/担体複合体1種との組み合
わせを用いることもできる。スライド板を用いる場合に
は目視的に、又は反応セルを用いる場合には特定の波長
を用いて分光学的に凝集反応を測定し、被検試料中のニ
ックβ2グリコプロテインI濃度を定量することができ
る。
【0036】ニックβ2グリコプロテインIは、生体内
凝固線溶異常の予知マーカーであるので、本発明の免疫
学的分析方法を用いて、被検試料中に含まれるニックβ
2グリコプロテインIを検出することによって、あるい
は、ニックβ2グリコプロテインIの量を測定し、その
測定値と健常人の平均値とを比較することによって、生
体内凝固線溶異常の有無及び/又は程度を検出すること
ができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】《各種タンパク質の調製》 (a)インタクトβ2グリコプロテインIの調製 β2グリコプロテインIは、E.Polzらの方法[I
nt.J.Biochem,第11巻,265頁,(1
980年)]に準じて行った。すなわち、ヒト正常血漿
300mlに終濃度1.3%となるように過塩素酸を添
加し、4℃で15分間処理した後に、遠心分離(5,0
00×g,10分間)を実施した。遠心分離により得ら
れた上清に、1/3容量の1M−Tris−HCl(p
H8.0)を添加して中性に戻した後に、限外濾過によ
り濃縮した。この濃縮液を、予め10mM−Tris−
HCl(pH8.0)で平衡化したヘパリン固定化Hi
Trapカラム(Pharmacia Biotec
h,スウェーデン)に充填し、10mM−Tris−H
Cl(pH8.0)にてカラムを洗浄した後に、10m
M−Tris−HCl(pH8.0)と1M−NaCl
を含む10mM−Tris−HCl(pH8.0)とを
用いたグラジェント溶出法により、インタクトβ2グリ
コプロテインIを溶出した。このインタクトβ2グリコ
プロテインIは、NaCl濃度が0.20Mである画分
付近に溶出された。ヒト正常血漿300mlより、精製
インタクトβ2グリコプロテインI4.5mgが得られ
た。
【0038】得られた精製インタクトβ2グリコプロテ
インIを、以下に示すニックβ2グリコプロテインIの
調製のための原料及び抗ニックβ2グリコプロテインI
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを選別するため
のELISA用抗原として、更には、抗ニックβ2グリ
コプロテインIモノクローナル抗体の認識部位の同定に
使用した。
【0039】(b)P−ニックβ2グリコプロテインI
の調製 実施例1(a)で調製したインタクトβ2グリコプロテ
インI−3mgを20mM−NaCl及び0.3mM−
CaCl2を含有する0.1M−Tris−HCl(p
H8.0)3mlに溶解し、この溶解液にヒトプラスミ
ン86μgを添加した。このときのインタクトβ2グリ
コプロテインIとプラスミンとのモル比(インタクトβ
2グリコプロテインI:プラスミン)は、50:1であ
った。37℃で2時間インキュベートした後に、予め1
0mM−Tris−HCl(pH8.0)で平衡化した
ヘパリン固定化HiTrapカラム(Pharmaci
aBiotech,スウェーデン)に充填し、10mM
−Tris−HCl(pH8.0)にてカラムを洗浄し
た後に、10mM−Tris−HCl(pH8.0)と
1M−NaClを含有する10mM−Tris−HCl
(pH8.0)とを用いたグラジェント溶出法により、
P−ニックβ2グリコプロテインIを溶出した。P−ニ
ックβ2グリコプロテインIは、NaCl濃度が0.1
5Mである画分付近に溶出され、P−ニックβ2グリコ
プロテインI2.0mgを得た。
【0040】得られたP−ニックβ2グリコプロテイン
Iを、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル
抗体作製のための免疫原として、また、抗ニックβ2グ
リコプロテインIモノクローナル抗体産生ハイブリドー
マを選別するためのELISA用抗原として、更には、
抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体の
認識部位の同定に使用した。
【0041】(c)リコンビナント第Vドメイン及びイ
ンタクト第Vドメインの調製 ヒトβ2グリコプロテインIをコードする全遺伝子配列
を含むプラスミドpUC118−β2−GPI上の第IV
ドメインと第Vドメインとの間のヒンジ領域に相当する
箇所に、部位特異的突然変異誘発(site−dire
cted mutagenesis)法により制限酵素
HindIIIの切断部位を導入した[松浦ら,Int.
Immunol.,第3巻,第1217頁〜第1221
頁,(1991年)]。得られたプラスミドを制限酵素
HindIIIで切断することにより生じる、ヒトβ2グ
リコプロテインIの第Vドメイン(第242番目のアミ
ノ酸残基〜第326番目のアミノ酸残基からなる領域)
をコードする領域の5'側に、活性化血液凝固Xa因子
による切断部位をコードするDNA断片をリンカーとし
て接続し、得られたDNA断片を酵母(Pichia
pastoris)の発現ベクターであるpPIC9
(Invitrogen社;米国)に挿入した。このよ
うにして構築した第Vドメイン発現ベクターを、pNP
D5と名付けた。この第Vドメイン発現ベクターpNP
D5において、前記活性化血液凝固Xa因子による切断
部位及び第Vドメインをコードする領域の5'側には、
酵母(Saccharomyces cerevisi
ae)由来の分泌シグナルが存在している[萩原ら,
J.Biochem.,第121巻,第128頁〜第1
37頁,(1997年)]。
【0042】第Vドメイン発現ベクターpNPD5を制
限酵素BglIIで切断し、直鎖状にしてからヒスチジン
要求株である宿主GS115(Invitrogen
社;米国)にトランスフォーメーションした。抗β2グ
リコプロテインI・ウサギポリクローナル抗体(Ser
bio社;フランス)を用いたニトロセルロース膜ハイ
ブリダイゼーション法によるスクリーニングの結果、高
効率に第Vドメインを発現する形質転換株GS115
(pNPD5)を得た。
【0043】得られた形質転換株GS115(pNPD
5)を、増殖培地[4%グリセロールを含むBM培地
[酵母エキス(Difco社)10g/リットル,肉ペ
プトン(Sigma社)20g/リットル,酵母窒素ベ
ース(yeast nitrogen base;Di
fco社)6.7g/リットル,D−ビオチン(ナカラ
イテスク社)0.4mg/リットル,1Mリン酸カリウ
ム緩衝液(pH6.0)100ml/リットル]]2リ
ットル中で、600nmにおける吸光度が60を示すま
で増殖させた後に、誘導培地(3%メタノールを含むB
M培地)0.66リットルに交換し、更に13時間培養
を続けることにより、N末端側に酵母由来の分泌シグナ
ル及び活性化血液凝固Xa因子による切断部位とが連結
したβ2グリコプロテインIの第Vドメイン(以下、リ
コンビナント第Vドメインと称する)を培地中に発現さ
せた。
【0044】遠心分離にて細胞画分を除去した後に、上
清を、50mM−NaCl及び1mM−EDTAを含有
する50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)で6倍に希
釈し、予め50mM−NaCl及び1mM−EDTAを
含有する50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)にて平
衡化したCM−Sepharose CL−6Bカラム
(Pharmacia−Biotech)に充填した。
充分にカラムを洗浄した後に、50mM−NaCl及び
1mM−EDTAを含有する50mM酢酸ナトリウム
(pH4.5)と0.8M−NaCl及び1mM−ED
TAを含有する50mM酢酸ナトリウム(pH4.5)
とによるグラジェント溶出法により溶出した。目的の溶
出フラクションを限外濾過により濃縮した後に、蒸留水
に対して透析し、更には、Cosmosil 5C18
−ARカラムを用いた逆相HPLCにより、リコンビナ
ント第Vドメインを精製した。
【0045】このようにして調製したリコンビナント第
VドメインのN末端には、酵母(Saccharomy
ces cerevisiae)由来の分泌シグナルと
活性化血液凝固Xa因子による切断部位とが存在する。
これを除去するために、リコンビナント第Vドメインを
1.3mM−CaCl2、0.1M−NaCl、及び
0.1%アジ化ナトリウムを含有する60mM−HEP
ES(pH8.0)に溶解した後に、活性化血液凝固X
a因子を37℃で9時間作用させた。この際のリコンビ
ナント第Vドメインに対する活性化血液凝固Xa因子の
質量比は1/50であった。この分解物をCosmos
il 5C18−ARカラムを用いた逆相HPLCによ
り分離し、精製第Vドメインを得た。培養液1リットル
当たり、第Vドメイン100mgが得られた。この精製
第Vドメインを、以下に示すニック第Vドメインの調製
のための原料及び抗ニックβ2グリコプロテインIモノ
クローナルの認識部位の同定に使用した。なお、ここで
調製した第Vドメインを、以下のニック第Vドメインと
区別するために「インタクト第Vドメイン」と称するこ
ともある。
【0046】(d)P−ニック第Vドメインの調製 実施例1(c)で調製した第Vドメイン(インタクト第
Vドメイン)1mgを20mM−NaCl及び0.3m
M−CaCl2を含む0.1M−Tris−HCl(p
H8.0)3mlに溶解し、これにヒト・プラスミン1
44μgを添加した。この際の第Vドメインとプラスミ
ンとのモル比(第Vドメイン:プラスミン)は50:1
であった。37℃で2時間インキュベートした後に、C
osmosil 5C18−ARカラムを用いた逆相H
PLCによりニック第Vドメインを分離、精製した。こ
のようにして調製したP−ニック第Vドメインを、抗ニ
ックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体の認識
部位の同定に使用した。
【0047】
【実施例2】《ハイブリドーマの調製》 (a)免疫化した脾臓細胞の調製 前記実施例1(2)で得られたP−ニックβ2グリコプ
ロテインI免疫原溶液(A280nm=1.0)を等量
のフロインド氏完全アジュバンドと乳化するまで混和
し、その混合液0.1mlをマウス腹腔内に投与するこ
とにより免疫を行った(第1回免疫)。30日経過後
に、そのマウスに前記と同様の方法で腹腔内に投与した
(第2回免疫)。第2回免疫から、21日経過後に、P
−ニックβ2グリコプロテインI溶液(A280nm=
1.0)を等量の生理的食塩水で希釈し、その希釈液
0.1mlを、マウスの静脈内に投与した(最終免
疫)。最終免疫から3日経過後に、マウスから脾臓を無
菌的に摘出し、以下の工程に使用した。
【0048】(b)細胞融合 無菌的に摘出した前記の脾臓を、15%ウシ胎児血清を
含むDME培地5mlを入れたシャーレーに入れた。次
に、脾臓を15%ウシ胎児血清を含むDME培地約15
mlで還流して脾細胞を流出させた後、この脾細胞懸濁
液をナイロンメッシュに通した。この脾細胞を50ml
遠心チューブに集めて500×gで10分間遠心した。
こうして得たペレットにヘモライジング溶液(155m
M−NH 4Cl,10mM−KHCO3,及び1mM−N
2EDTA;pH7.0)5mlを加え、懸濁させ
た。0℃で5分間放置すると、懸濁液中の赤血球が破壊
された。15%ウシ胎児血清を含むDME培地15ml
を加えてから遠心分離した。このようにして得た細胞ペ
レットをDME培地で遠心法によって洗浄し、生きてい
る脾細胞数を測定した。
【0049】一方、予め培養しておいたマウス骨髄腫細
胞(ミエローマ細胞)SP2/0−Ag14(約2×1
7個)に前記脾臓細胞(1×108個)を加え、DME
培地中でよく混合し、遠心分離を行った(500×g,
10分間)。その上清を吸引し、ペレットをよく解きほ
ぐし、38℃に保温しておいた40%ポリエチレングリ
コール4000溶液0.5mlを滴下し、遠心チューブ
を手で、1分間穏やかに回転することによってポリエチ
レングリコール溶液と細胞ペレットとを混合させた。次
に、38℃に保温しておいたDME培地を30秒毎に1
mlずつ加えてチューブを穏やかに回転させた。この操
作を10回繰り返した後、15%ウシ胎児血清を含むD
ME培地20mlを加えて、遠心分離(500×g,1
0分間)を行った。上清を除去した後、細胞ペレットを
15%ウシ胎児血清を含むHAT培地(DME培地にア
ミノプテリン4×10-7M、チミジン1.6×10
-5M、及びヒポキサンチン1×10-4Mになるように添
加したもの)で、遠心法によって2回洗浄した後、前記
HAT培地40mlに懸濁した。
【0050】この細胞懸濁液を96ウェル細胞培養プレ
ートの各ウェルに200μlずつ分注し、5%炭酸ガス
を含む37℃の炭酸ガス培養器で培養を開始した。培養
中、2〜3日間隔で各ウェルの培地約100μlを除
き、新たに前記のHAT培地100μlを加えることに
よりHAT培地中で増殖するハイブリドーマを選択し
た。8日頃から15%ウシ胎児血清を含むHT培地(D
ME培地にチミジン1.6×10-5M及びヒポキサンチ
ン1×10-4Mになるように添加したもの)に交換し、
ハイブリドーマの増殖を観察するとともに、約10日目
に、後述するELISA法により、抗ニックβ2グリコ
プロテインIモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを
スクリーニングした。
【0051】(C)ハイブリドーマの樹立 ハイブリドーマ培養上清中の産生抗体の有無をELIS
A法により測定した。96ウェルELISA用プレート
(Immulon II;日本ダイナテック株式会社)の
各ウェルに、前述の精製P−ニックβ2グリコプロテイ
ンI溶液(A280nm=0.05;生理食塩水で希釈
した)を50μlずつ分注し、25℃で2時間放置し
た。次に、0.05%トウィーン(Tween)20を
含む生理食塩水(以下、トウィーン20−生理食塩水と
称する)で3回洗浄した後、各ウェルの培養上清50μ
lを加え、25℃で1時間反応させた。次に、トウィー
ン20−生理食塩水で洗浄した後に、トウィーン20−
生理食塩水で200倍希釈したペルオキシダーゼ結合抗
マウス免疫グロブリン・ウサギIgG抗体(ダコ社;デ
ンマーク)50μlを各ウェルに加えた。反応終了後、
トウィーン20−生理食塩水で各ウェルを3回洗浄し、
酵素基質溶液(0.5mM−4−アミノアンチピリン、
10mMフェノール、及び0.005%過酸化水素水を
含む20mMトリス−塩酸緩衝液;pH7.4)200
μlを各ウェルに加え、25℃で30分間反応させ、各
ウェルの492nmにおける吸光度を測定した。
【0052】その結果、382ウェル中3ウェルに抗体
産生が認められた。その3ウェル中の各ハイブリドーマ
を24ウェルプレートに移し、15%ウシ胎児血清を含
むHT培地で4〜5日間培養した。その後、再度ELI
SA法によって抗ニックβ2グリコプロテインIモノク
ローナル抗体の産生の有無を確認してから、限界希釈法
によりクローニングした。10日後に、ELISA法に
よって抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル
抗体を産生するハイブリドーマのクローンをスクリーニ
ングした。その結果、各ハイブリドーマにつき、20〜
40個の抗体産生クローンが得られた。これらのクロー
ンの中から、増殖の良い、抗体分泌能の高い、しかも安
定なクローンを選び、前述と同様の方法により再クロー
ン化を行い、本発明の抗ニックβ2グリコプロテインI
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマNGPI
−23、ハイブリドーマNGPI−59、及びハイブリ
ドーマNGPI−60を樹立した。これらのハイブリド
ーマ3種は、それぞれ工業技術院生命工学工業技術研究
所に平成10年7月9日から寄託されている。ハイブリ
ドーマNGPI−23の受託番号はFERM P−16
891であり、ハイブリドーマNGPI−59の受託番
号はFERM P−16892であり、そして、ハイブ
リドーマNGPI−60の受託番号はFERM P−1
6893である。
【0053】
【実施例3】《モノクローナル抗体の製造》 (a)イン・ビトロ法 マウスハイブリドーマNGPI−23を、15%ウシ胎
児血清を含むDME培地で37℃にて5%二酸化炭素雰
囲気中において72〜96時間培養した。培養物を遠心
分離(10,000×g,10分間)した後、上清に固
形の硫酸アンモニウムを50%最終濃度となるように徐
々に加えた。混合物を氷冷下で30分間攪拌した後、6
0分間放置し、遠心分離(10,000×g,10分)
した後、得られた沈渣を少量の10mMリン酸緩衝液
(pH8.0)に溶解し、1000倍量の10mMリン
酸緩衝液に対して透析した。
【0054】透析物を、10mMリン酸緩衝液で予め平
衡化したDEAE−セルロースのカラムに充填した。モ
ノクローナル抗体の溶出は、10mMリン酸緩衝液(p
H8.0)と0.2M−NaClを含む10mMリン酸
緩衝液(pH8.0)との間でグラジェント溶出法によ
り行った。溶出されたモノクローナル抗体を限外濾過法
で濃縮し、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に対し
て透析した。ウシ血清IgGを除くために、透析物をヤ
ギ抗ウシ血清IgG−セファロース4Bのカラムに通し
た。次に通過液を、0.1Mリン酸緩衝液(pH8.
0)で平衡化したプロテインA−セファロース4Bのカ
ラムに充填した。カラムをpH3.5の緩衝液で溶出し
て、精製した本発明の抗ニックβ2グリコプロテインI
モノクローナル抗体NGPI−23を得た。なお、本明
細書においては、各ハイブリドーマの名称を、そのハイ
ブリドーマから産生されるモノクローナル抗体の名称と
しても使用する。ハイブリドーマNGPI−59及びハ
イブリドーマNGPI−60についても、ハイブリドー
マNGPI−23と同様の前記操作をそれぞれ実施し、
本発明のモノクローナル抗体NGPI−59及びモノク
ローナル抗体NGPI−60を得た。
【0055】(b)イン・ビボ法 プリスタン(2,6,10,14−テトラメチルペンタ
デカン)0.5mlを10〜12週齢のBALB/C系
マウスの腹腔内に投与し、投与後14〜20日目のマウ
ス腹腔内にインビトロで増殖させたハイブリドーマNG
PI−23、ハイブリドーマNGPI−59、及びハイ
ブリドーマNGPI−60をマウス一匹あたり2×10
6細胞となるように接種した。各ハイブリドーマにつ
き、一匹のマウスから約10〜15mlの腹水が得られ
た。その抗体濃度は、5〜10mg/mlであった。腹
水中のモノクローナル抗体の精製は、前記のイン・ビト
ロ法と同様の方法で行った(但し、ヤギ抗ウシ血清Ig
G−セファロース4Bのカラムを通す操作は、実施しな
かった)。
【0056】
【実施例4】《モノクローナル抗体の免疫グロブリンク
ラスの同定》本発明の抗ニックβ2グリコプロテインI
モノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗
体NGPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−
60の免疫グロブリンクラスの同定は、オクテロニー免
疫拡散法により行った。結果を表1に示す。
【表1】モノクローナル抗体 免疫グロブリンのクラス NGPI−23 IgG1,κ NGPI−59 IgG2a,κNGPI−60 IgG1,κ
【0057】
【実施例5】《モノクローナル抗体の特異性》 (a)ELISA法 前記実施例1で調製したインタクトβ2グリコプロテイ
ンI、P−ニックβ2グリコプロテインI、インタクト
第Vドメイン、及びP−ニック第Vドメインを、150
mM−NaClを含む50mM−Tris−HCl(p
H8.0)で5μg/mlとなるように希釈し、96ウ
ェルELISA用プレート(Immulon II;日本
ダイナテック株式会社)の各ウェルに、抗原希釈液50
μlずつを分注し、25℃で2時間放置することで固定
化した。次に、トウィーン20−生理食塩水でウェルを
3回洗浄した後、抗ニックβ2グリコプロテインIモノ
クローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗体N
GPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−60
を0.05%トウィーン(Tween)20及び150
mM−NaClを含む50mM−Tris−HCl(p
H8.0)で5μg/mlとなるように希釈し、各ウェ
ルにモノクローナル抗体希釈液50μlずつを分注し、
25℃で1時間反応させた。対照試験は、各抗ニックβ
2グリコプロテインIモノクローナル抗体の代わりに、
SP2/0細胞をマウス腹腔に投与して採取した腹水を
使用して実施した。
【0058】ウェルを洗浄した後、トウィーン20−生
理食塩水で200倍希釈したペルオキシダーゼ結合抗マ
ウス免疫グロブリン・ウサギIgG(ダコ社;デンマー
ク)の希釈液を50μlずつ各ウェルに加えた。反応終
了後、トウィーン20−生理食塩水で各ウェルを3回洗
浄し、酵素基質溶液(0.5mM 4−アミノアンチピ
リン、10mMフェノール、及び0.005%過酸化水
素水を含む20mMトリス−塩酸緩衝液;pH7.4)
200μlを各ウェルに加え、25℃で30分間発色反
応させ、各ウェルの492nmにおける吸光度を測定し
た。各モノクローナル抗体と各抗原との結合反応の結果
を表2に示す。表2において、抗原(A)はインタクト
β2グリコプロテインIを示し、抗原(B)はP−ニッ
クβ2グリコプロテインIを示し、抗原(C)はインタ
クト第Vドメイン示し、抗原(D)はP−ニック第Vド
メインを示し、「+」は結合反応性を有することを示
し、「−」は結合反応性がないことを示す。
【0059】
【表2】 モノクローナル抗体 抗原 (A) (B) (C) (D) NGPI−23 + + − − NGPI−59 − + − + NGPI−60 − + − − 腹水 − − − −
【0060】表2の結果から明らかなように、抗ニック
β2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−
23は、インタクトβ2グリコプロテインI及びP−ニ
ックβ2グリコプロテインIに反応し、インタクト第V
ドメイン及びP−ニック第Vドメインに反応しなかっ
た。すなわち、抗ニックβ2グリコプロテインIモノク
ローナル抗体NGPI−23は、インタクトβ2グリコ
プロテインI及びP−ニックβ2グリコプロテインIに
おける第Iドメイン〜第IVドメインからなる領域に反応
することが判明した。しかも、後述するように、抗ニッ
クβ2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI
−23は、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロー
ナル抗体NGPI−59又は抗ニックβ2グリコプロテ
インIモノクローナル抗体NGPI−60と組み合わせ
ることによりサンドイッチ免疫測定法の構築が可能であ
ることから、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−59及び抗ニックβ2グリコプロ
テインIモノクローナル抗体NGPI−60とは異なる
部位に反応する。
【0061】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−59は、インタクトβ2グリコプ
ロテインI及びインタクト第Vドメインには反応せず、
P−ニックβ2グリコプロテインI及びP−ニック第V
ドメインに反応した。すなわち、抗ニックβ2グリコプ
ロテインIモノクローナル抗体NGPI−59は、プロ
テアーゼ、特にはプラスミンにより開裂を受けたP−ニ
ックβ2グリコプロテインIの第Vドメインに特異的に
反応することが判明した。
【0062】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−60は、インタクトβ2グリコプ
ロテインI、インタクト第Vドメイン、及びP−ニック
第Vドメインには反応せず、P−ニックβ2グリコプロ
テインIにのみ反応した。すなわち、抗ニックβ2グリ
コプロテインIモノクローナル抗体NGPI−60は、
プロテアーゼ、特にはプラスミンにより開裂を受けたP
−ニックβ2グリコプロテインIの第Vドメイン以外の
領域、つまり、P−ニックβ2グリコプロテインIの第
Iドメイン〜第IVドメインからなる領域に特異的に反応
することが判明した。
【0063】また、各抗原を固相に固定化する際に、ヘ
パリン(濃度:30μg/ml)、又は陰性荷電リン脂
質であるカルジオリピン(濃度:100μM)を共存さ
せても、インタクトβ2グリコプロテインI及びインタ
クト第Vドメインに対する抗ニックβ2グリコプロテイ
ンIモノクローナル抗体NGPI−59及びNGPI−
60の反応性は認められなかった。このことは、ヘパリ
ン又は陰性荷電リン脂質のカルジオリピンが、β2グリ
コプロテインIに結合することで誘導されるエピトープ
とは全く異なるエピトープを抗ニックβ2グリコプロテ
インIモノクローナル抗体NGPI−59及びNGPI
−60が認識することを示している。
【0064】(b)イムノブロット法 前記実施例1で調製したインタクトβ2グリコプロテイ
ンI、P−ニックβ2グリコプロテインI、インタクト
第Vドメイン、及びP−ニック第Vドメインを、非還元
下あるいは還元下のSDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動(SDS−PAGE)にて分画した後、ゲル中の
タンパク質をニトロセルロースメンブレンに電気的に転
写した。このメンブレンを、5%スキムミルク及び0.
15M−NaClを含む10mMトリス−HCl緩衝液
(pH7.5)中に25℃で30分間浸した後、一次抗
体として各抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロー
ナル抗体であるモノクローナル抗体NGPI−23、モ
ノクローナル抗体NGPI−59、又はモノクローナル
抗体NGPI−60を25℃で1時間反応させた。対照
試験は、各抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロー
ナル抗体の代わりに、SP2/0細胞をマウス腹腔に投
与して採取した腹水を使用して実施した。
【0065】0.05%トウィーン−20及び0.15
M−NaClを含む10mMトリス−HCl緩衝液(p
H7.5)でメンブレンを3回洗浄した後、二次抗体と
してアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG・ヤ
ギIgG抗体(バイオラッド社)を25℃で1時間反応
させた。前記と同様の方法でメンブレンを洗浄した後、
5mM−MgCl2を含む0.1Mジエタノールアミン
緩衝液(pH9.5)に、ニトロブルーテトラゾリウム
(終濃度=0.33mg/ml)及び5−ブロモ−4−
クロロ−3−インドリルホスフェート−p−トルイジン
(終濃度=0.17mg/ml)を加えた溶液を発色液
として用いた。この発色液を25℃で5〜10分間反応
させた。反応停止は、メンブレンを蒸留水で数回洗浄す
ることにより行った。非還元下のSDS−PAGEで分
画した後のイムノブロットの結果を表3に示し、還元下
のSDS−PAGEで分画した後のイムノブロットの結
果を表4に示す。また、表3及び表4において、抗原
(A)はインタクトβ2グリコプロテインIを示し、抗
原(B)はP−ニックβ2グリコプロテインIを示し、
抗原(C)はインタクト第Vドメイン示し、抗原(D)
はP−ニック第Vドメインを示し、「+」は結合反応性
を有することを示し、「−」は結合反応性がないことを
示す。
【0066】
【表3】 モノクローナル抗体 抗原 (A) (B) (C) (D) NGPI−23 + + − − NGPI−59 − + − + NGPI−60 − + − − 腹水 − − − −
【0067】
【表4】 モノクローナル抗体 抗原 (A) (B) (C) (D) NGPI−23 + + − − NGPI−59 + + + + NGPI−60 − − − − 腹水 − − − −
【0068】表3の結果(すなわち、非還元下のSDS
−PAGEで分画した後のイムノブロットの結果)は、
実施例5(a)で示した表2の結果(すなわち、ELI
SAの結果)と一致する。すなわち、抗ニックβ2グリ
コプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23は、
インタクトβ2グリコプロテインI及びP−ニックβ2
グリコプロテインIに反応し、インタクト第Vドメイン
及びP−ニック第Vドメインに反応しなかった。すなわ
ち、抗ニックβ2グリコプロテインIモノクローナル抗
体NGPI−23は、インタクトβ2グリコプロテイン
I及びP−ニックβ2グリコプロテインIにおける第I
ドメイン〜第IVドメインからなる領域に反応することが
判明した。
【0069】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−59は、インタクトβ2グリコプ
ロテインI及びインタクト第Vドメインには反応せず、
P−ニックβ2グリコプロテインI及びP−ニック第V
ドメインに反応した。すなわち、抗ニックβ2グリコプ
ロテインIモノクローナル抗体NGPI−59は、プロ
テアーゼ、特にはプラスミンにより開裂を受けたP−ニ
ックβ2グリコプロテインIの第Vドメインに特異的に
反応することが判明した。
【0070】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−60は、インタクトβ2グリコプ
ロテインI、インタクト第Vドメイン、及びP−ニック
第Vドメインには反応せず、P−ニックβ2グリコプロ
テインIにのみ反応した。すなわち、抗ニックβ2グリ
コプロテインIモノクローナル抗体NGPI−60は、
プロテアーゼ、特にはプラスミンにより開裂を受けたP
−ニックβ2グリコプロテインIの第Vドメイン以外の
領域、つまり、P−ニックβ2グリコプロテインIの第
Iドメイン〜第IVドメインからなる領域に特異的に反応
することが判明した。
【0071】表4の結果(すなわち、還元下のSDS−
PAGEで分画した後のイムノブロットの結果)から明
らかなように、抗ニックβ2グリコプロテインIモノク
ローナル抗体NGPI−23は、インタクトβ2グリコ
プロテインI及びP−ニックβ2グリコプロテインIに
反応し、インタクト第Vドメイン及びP−ニック第Vド
メインに反応しなかった。すなわち、抗ニックβ2グリ
コプロテインIモノクローナル抗体NGPI−23は、
インタクトβ2グリコプロテインI及びP−ニックβ2
グリコプロテインIにおける第Iドメイン〜第IVドメイ
ンからなる領域に存在する立体構造非依存的なエピトー
プに反応することが判明した。
【0072】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−59は、P−ニックβ2グリコプ
ロテインI及びP−ニック第Vドメインに反応するだけ
でなく、更に、非還元の状態では反応しなかったインタ
クトβ2グリコプロテインI及びインタクト第Vドメイ
ン(表3参照)にも反応した。この結果より、抗ニック
β2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−
59は、非還元状態のインタクトβ2グリコプロテイン
I及びインタクト第Vドメインにおいては分子内に隠れ
ているが、還元状態では露出するエピトープを認識して
いることが判明した。
【0073】抗ニックβ2グリコプロテインIモノクロ
ーナル抗体NGPI−60は、還元状態のインタクトβ
2グリコプロテインI、還元状態のP−ニックβ2グリ
コプロテインI、還元状態のインタクト第Vドメイン、
及び還元状態のP−ニック第Vドメインのいずれにも反
応しなかった。すなわち、非還元状態で反応したP−ニ
ックβ2グリコプロテインI(表3参照)にも、還元状
態では反応しなかった。この結果より、抗ニックβ2グ
リコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−60
は、非還元状態でのみ、P−ニックβ2グリコプロテイ
ンIにおける第Iドメイン〜第IVドメインからなる領域
に構成される立体構造依存的なエピトープを認識してい
ることが判明した。
【0074】
【実施例6】《酵素免疫測定法によるニックβ2グリコ
プロテインIの測定》ナカネ及びカワオイ[ジャーナル
・オブ・ヒストケミストリー・アンド・サイトケミスト
リー(Journal of Histochemis
try and Cytochemistry)第22
巻,第1084頁〜第1091頁(1974年)]の方
法に準じて、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼを抗ニック
β2グリコプロテインIモノクローナル抗体NGPI−
23及びNGPI−59に結合させた。この酵素標識抗
体を用いてニックβ2グリコプロテインIのサンドイッ
チ酵素免疫測定を以下のようにして行った。
【0075】すなわち、モノクローナル抗体NGPI−
60を20μg/mlの濃度で含有する50mM炭酸水
素ナトリウム緩衝液(pH9.5)100μlを96ウ
ェルELISA用マイクロタイタープレート(Immu
lon−II;日本ダイナテック株式会社)の各ウェルに
入れて、25℃で2時間放置した。そのプレートをトウ
ィーン20−生理食塩水で3回洗浄した。このようにし
て抗体を感作したプレートのウェルに、正常血漿に前記
実施例1(b)で調製したP−ニックβ2グリコプロテ
インIを、1000ng/ml、316ng/ml、1
00ng/ml、32ng/ml、10ng/ml、及
び3.2ng/mlの濃度となるようにそれぞれ添加し
て調製した試料100μlを加え、25℃で1時間反応
させた。次に、トウィーン20−生理食塩水で洗浄した
後に、先に調製したペルオキシダーゼ標識モノクローナ
ル抗体NGPI−23、0.15M−NaCl、及び2
%ウシアルブミンを含む20mM−Tris−HCl緩
衝液(pH7.5)100μlを加え、25℃で1時間
反応させた。
【0076】続いて、トウィーン20−生理食塩水でプ
レートを洗浄した後、酵素基質液[1mM−2,2'−
アジノ−ジ(3−エチルベンツチアゾリンスルホン酸)
ジアンモニウム塩(ABTS)及び0.0025%過酸
化水素水を含む溶液;pH4.5]200μlずつを各
ウェルに加え、25℃で40分間反応させた後に、各ウ
ェルの405nmにおける吸光度をマイクロプレートリ
ーダー(MPR A4i型;東ソー)で測定した。得ら
れた検量線を図1に示す。また、固相化抗体としてモノ
クローナル抗体NGPI−60を用い、ペルオキシダー
ゼ標識モノクローナル抗体としてモノクローナル抗体N
GPI−59を用いた場合、及び固相化抗体としてモノ
クローナル抗体NGPI−59を用い、ペルオキシダー
ゼ標識モノクローナル抗体としてモノクローナル抗体N
GPI−23を用いた場合にも同様の検量線を得ること
ができた。
【0077】
【実施例7】《生体内凝固線溶異常をきたした患者群並
びに健常人群におけるニックβ2グリコプロテインIの
測定》実施例6で示した酵素免疫測定法(すなわち、固
相化抗体としてモノクローナル抗体NGPI−60を用
い、ペルオキシダーゼ標識モノクローナル抗体としてN
GPI−23を用いた酵素免疫測定法)により、生体内
凝固線溶異常をきたした患者群(21例)、並びに健常
人群(10例)におけるニックβ2グリコプロテインI
濃度を測定した。結果を図2に示す。健常人群のニック
β2グリコプロテインI濃度は、全例において4ng/
ml以下であった。それに対して、生体内凝固線溶異常
をきたした患者群のそれは、全例において30ng/m
l以上であった。
【0078】
【実施例8】《抗体と不溶性担体との複合体含有液の調
製》 (a)不溶性担体上に1種類のモノクローナル抗体を担
持する複合体含有液の調製 モノクローナル抗体NGPI−23(2.0mg/m
l)を含有する水溶液2mlと、ラテックス溶液(2%
ポリスチレンラテックス,日本合成ゴム;粒径=0.3
10μm)2mlとを混合し、2時間撹拌して抗体をラ
テックス粒子上に固定化した。遠心分離(20,000
×g,20分間)した後、沈殿を0.1%ウシアルブミ
ン溶液に懸濁し、1時間撹拌した。再び、遠心分離(2
0,000×g,20分間)した後、沈殿を蒸留水に懸
濁し、2時間撹拌した。こうしてモノクローナル抗体N
GPI−23/ラテックス複合体含有液を得た。モノク
ローナル抗体NGPI−23の代わりに、モノクローナ
ル抗体NGPI−59又はモノクローナル抗体NGPI
−60を用いること以外は前記操作をそれぞれ繰り返す
ことにより、モノクローナル抗体NGPI−59/ラテ
ックス複合体含有液、及びモノクローナル抗体NGPI
−60/ラテックス複合体含有液を調製した。
【0079】(b)不溶性担体上に2種類のモノクロー
ナル抗体を担持する複合体含有液の調製 モノクローナル抗体NGPI−23及びモノクローナル
抗体NGPI−59をそれぞれ1.0mg/mlずつ含
有する水溶液水溶液2mlと、前記実施例8(a)で用
いたラテックス溶液2mlとを混合し、2時間撹拌して
抗体をラテックス粒子上に固定化した。以下、前記実施
例8(a)と同様の操作を行ない、モノクローナル抗体
NGPI−23/モノクローナル抗体NGPI−59/
ラテックス複合体含有液を調製した。モノクローナル抗
体の組み合わせを変更し、前記操作を繰り返すことによ
り、モノクローナル抗体NGPI−23/モノクローナ
ル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液、及び
モノクローナル抗体NGPI−59/モノクローナル抗
体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を調製し
た。
【0080】(c)不溶性担体上に3種類のモノクロー
ナル抗体を担持する複合体含有液の調製 モノクローナル抗体NGPI−23、モノクローナル抗
体NGPI−59、及びモノクローナル抗体NGPI−
60をそれぞれ0.66mg/mlずつ含有する水溶液
水溶液2mlと、前記実施例8(a)で用いたラテック
ス溶液2mlとを混合し、2時間撹拌して抗体をラテッ
クス粒子上に固定化した。以下、前記実施例8(a)と
同様の操作を行ない、モノクローナル抗体NGPI−2
3/モノクローナル抗体NGPI−59/モノクローナ
ル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を調製
した。
【0081】
【実施例9】《スライド凝集反応によるP−ニックβ2
グリコプロテインIの測定》前記実施例8で調製した種
々の抗体ラテックス複合体含有液又はそれらの混合液3
0μlと、正常血漿に実施例1(2)で調製したP−ニ
ックβ2グリコプロテインIを種々濃度で添加して調製
した試料30μlとをスライドガラス上で混合し、揺動
して3分後に凝集像を目視的に判定した。
【0082】結果を表5に示す。表5において、「+」
は凝集ありを、そして「−」は凝集なしを意味する。ま
た、表5の「モノクローナル抗体/ラテックス複合体の
種類」欄に示す「NGPI−23」は、モノクローナル
抗体NGPI−23/ラテックス複合体含有液を意味
し;以下、同様に、「NGPI−59」は、モノクロー
ナル抗体NGPI−59/ラテックス複合体含有液を;
「NGPI−60」は、モノクローナル抗体NGPI−
60/ラテックス複合体含有液を;「NGPI−23/
NGPI−59」は、モノクローナル抗体NGPI−2
3/モノクローナル抗体NGPI−59/ラテックス複
合体含有液を;「NGPI−23/NGPI−60」
は、モノクローナル抗体NGPI−23/モノクローナ
ル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液を;
「NGPI−59/NGPI−60」は、モノクローナ
ル抗体NGPI−59/モノクローナル抗体NGPI−
60/ラテックス複合体含有液を;「NGPI−23/
NGPI−59/NGPI−60」は、モノクローナル
抗体NGPI−23/モノクローナル抗体NGPI−5
9/モノクローナル抗体NGPI−60/ラテックス複
合体含有液を、それぞれ意味する。
【0083】また、同欄に示す「NGPI−23+NG
PI−59」は、モノクローナル抗体NGPI−23/
ラテックス複合体含有液と、モノクローナル抗体NGP
I−59/ラテックス複合体含有液との等量混合液を意
味し;以下、同様に、「NGPI−23+NGPI−6
0」は、モノクローナル抗体NGPI−23/ラテック
ス複合体含有液と、モノクローナル抗体NGPI−60
/ラテックス複合体含有液との等量混合液を;「NGP
I−59+NGPI−60」は、モノクローナル抗体N
GPI−59/ラテックス複合体含有液と、モノクロー
ナル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液との
等量混合液を;「NGPI−23+NGPI−59+N
GPI−60」は、モノクローナル抗体NGPI−23
/ラテックス複合体含有液と、モノクローナル抗体NG
PI−59/ラテックス複合体含有液と、モノクローナ
ル抗体NGPI−60/ラテックス複合体含有液との等
量混合液を意味する。
【0084】更に、同欄に示す「NGPI−23+NG
PI−59/NGPI−60」は、モノクローナル抗体
NGPI−23/ラテックス複合体含有液と、モノクロ
ーナル抗体NGPI−59/NGPI−60/ラテック
ス複合体含有液との1:2混合液を意味し;以下、同様
に、「NGPI−59+NGPI−23/NGPI−6
0」は、モノクローナル抗体NGPI−59/ラテック
ス複合体含有液と、モノクローナル抗体NGPI−23
/NGPI−60/ラテックス複合体含有液との1:2
混合液を;「NGPI−60+NGPI−23/NGP
I−59」は、モノクローナル抗体NGPI−60/ラ
テックス複合体含有液と、モノクローナル抗体NGPI
−23/NGPI−59/ラテックス複合体含有液との
1:2混合液を意味する。
【0085】
【表5】
【0086】
【発明の効果】本発明によれば、被検試料中のインタク
トβ2グリコプロテインIの干渉を受けることなく、患
者由来の被検試料中のニックβ2グリコプロテインIの
量を特異的に、簡便かつ迅速に、EIA法及び凝集法に
より測定することができる。これは、本発明により初め
て可能になったものである。従って、本発明は生体内凝
固線溶異常を把握するための有効な手段を提供するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるモノクローナル抗体を用いたサン
ドイッチ酵素免疫測定法により、P−ニックβ2グリコ
プロテインIの測定を行った検量線を示すグラフであ
る。
【図2】本発明によるモノクローナル抗体を用いたサン
ドイッチ酵素免疫測定法により、健常人(10例)と生
体内凝固線溶異常をきたした患者群(21例)のニック
β2グリコプロテインI濃度を測定した結果を示すグラ
フである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/53 C12N 15/00 C //(C12N 5/10 C12R 1:91) (72)発明者 犬塚 貴美子 東京都千代田区東神田1丁目11番4号 株 式会社ヤトロン内 (72)発明者 中原 邦彦 東京都千代田区東神田1丁目11番4号 株 式会社ヤトロン内 (72)発明者 加藤 久雄 大阪府吹田市上山田8−13−1013 Fターム(参考) 2G045 AA13 AA25 BB22 BB34 CA25 CA26 CB21 DA44 FB01 FB03 FB07 FB11 FB15 4B024 AA11 BA53 CA02 CA10 DA12 EA04 FA18 GA03 HA01 HA15 4B064 AG01 AG27 AG31 CA06 CA10 CA19 CA20 CB06 CC24 DA13 4B065 AA80X AA80Y AA92X AA93Y AB01 AB05 AC14 BA02 BA08 CA24 CA25 CA46 4H045 AA11 AA30 BA53 DA76 DA86 EA50 FA72 FA74

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 β2グリコプロテインIと反応しない
    が、プロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコ
    プロテインIとは反応することを特徴とする、モノクロ
    ーナル抗体又はその抗体フラグメント。
  2. 【請求項2】 プロテアーゼにより一部に開裂を受けた
    β2グリコプロテインIの第Vドメインに反応する、請
    求項1に記載のモノクローナル抗体又はその抗体フラグ
    メント。
  3. 【請求項3】 プロテアーゼにより一部に開裂を受けた
    β2グリコプロテインIの第Iドメイン〜第IVドメイン
    からなる領域に反応する、請求項1に記載のモノクロー
    ナル抗体又はその抗体フラグメント。
  4. 【請求項4】 β2グリコプロテインI、及びプロテア
    ーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインI
    と反応することを特徴とする、モノクローナル抗体又は
    その抗体フラグメント。
  5. 【請求項5】 プロテアーゼにより一部に開裂を受けた
    前記β2グリコプロテインIが、β2グリコプロテイン
    Iの第Vドメインに開裂を受けたものである、請求項1
    〜4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体又はそ
    の抗体フラグメント。
  6. 【請求項6】 プロテアーゼが、プラスミン又は顆粒球
    エラスターゼである、請求項1〜5のいずれか一項に記
    載のモノクローナル抗体又はその抗体フラグメント。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一項に記載のモ
    ノクローナル抗体を産生することを特徴とする、ハイブ
    リドーマ。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のモノクローナル抗体又
    はその抗体フラグメントを第1抗体として不溶性担体に
    固定化し、この固定化された第1抗体と被検試料とを接
    触させ、続いて、前記の第1抗体とは別種の請求項1に
    記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラグメン
    トに標識を付した第2抗体、又は請求項4に記載のモノ
    クローナル抗体若しくはその抗体フラグメントに標識を
    付した第2抗体と接触させ、前記の固定化第1抗体とプ
    ロテアーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテ
    インIとの複合体と結合した前記第2抗体の前記標識か
    らの信号、又は前記の固定化第1抗体とプロテアーゼに
    より一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIとの複
    合体と結合しなかった前記第2抗体の前記標識からの信
    号を検出することを特徴とする、プロテアーゼにより一
    部に開裂を受けたβ2グリコプロテインIの免疫学的分
    析方法。
  9. 【請求項9】 不溶性担体に固定化された請求項1に記
    載のモノクローナル抗体又はその抗体フラグメント少な
    くとも1種類と、不溶性担体に固定化された請求項1に
    記載の別種のモノクローナル抗体若しくはその抗体フラ
    グメント又は請求項4に記載のモノクローナル抗体若し
    くはその抗体フラグメント1種類と、被検試料とを接触
    させ、凝集反応を観察することを特徴とする、プロテア
    ーゼにより一部に開裂を受けたβ2グリコプロテインI
    の免疫学的分析方法。
  10. 【請求項10】 プロテアーゼにより一部に開裂を受け
    たβ2グリコプロテインIを分析することを特徴とす
    る、生体内凝固線溶異常の検出法。
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