JP2000026573A - エポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂の製造方法、エポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂組成物

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JP2000026573A
JP2000026573A JP10229228A JP22922898A JP2000026573A JP 2000026573 A JP2000026573 A JP 2000026573A JP 10229228 A JP10229228 A JP 10229228A JP 22922898 A JP22922898 A JP 22922898A JP 2000026573 A JP2000026573 A JP 2000026573A
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resin
phenol
epoxy
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Norio Michiiwa
典生 通岩
Yasuyuki Murata
保幸 村田
Masao Tajima
正夫 田嶋
Tomoaki Fujii
智彰 藤井
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Kashima Oil Co Ltd
Yuka Shell Epoxy KK
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Kashima Oil Co Ltd
Yuka Shell Epoxy KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反応性、成型性、低吸湿性に優れたエポキシ
樹脂とその製造方法及び該エポキシ樹脂を用いたエポキ
シ樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 重質油類またはピッチ類と、平均分子量
から算出した前記重質油類またはピッチ類1モルに対し
て、0.3〜10モルのフェノール類、ホルムアルデヒ
ド換算で0.2〜9モルのホルムアルデヒド化合物、お
よび0.01〜3.0モルの酸触媒とを混合した後、昇
温し、重縮合反応させて得られた変性フェノール樹脂と
エピハロヒドリンとを反応させることを特徴とするエポ
キシ樹脂の製造方法と、これにより得られたエポキシ当
量が160〜280g/eqであるエポキシ樹脂及びこ
のエポキシ樹脂に硬化剤を配合したエポキシ樹脂組成物
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高反応性、高成型
性、高接着性および低吸湿性に優れた硬化物を与えるエ
ポキシ樹脂およびその製造方法とこの製造方法により得
られたエポキシ樹脂、及び該エポキシ樹脂を主成分とす
る、高反応性、高成型性、低吸湿性および高接着性に優
れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】エポキシ樹脂は、その優れた硬化物性や
取扱いの容易さから、接着、注型、封止、積層、成型、
塗装等の広い分野で使用されている。また、エポキシ樹
脂には、多くの種類があり、その選択により硬化物性が
大きく変わるため、使用分野目的に応じて使い分けられ
ている。近年、高分子材料の使用条件が苛酷になるに従
って、高分子材料に対して要求される諸特性は厳しくな
り、一般に用いられている各種のエポキシ樹脂では、要
求特性を充分に満足できなくなってきた。例えば、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用したエポキシ樹
脂組成物は、半導体封止用に用いられているが、この分
野でも、要求性能は、厳しくなっている。すなわち、半
導体装置の高集積化が進み、半導体素子の大型化が著し
いとともに、パッケージそのものが小型化、薄型化して
いる。そのため、これ等のパッケージの量産化の成型サ
イクルにおいては、効率よく、成型工程の時間短縮のた
めにも高反応性、高成型性が要求される。また、半導体
装置の実装も表面実装へと移行しており、表面実装にお
いては半導体装置がハンダ浴に直接浸漬され、高温にさ
らされるため、吸湿された水分の急速な膨張により、パ
ッケージ全体に大きな応力がかかり、封止材にクラック
が入る。そのために、耐ハンダクラック性の良好な封止
材用のエポキシ樹脂には、低吸湿性と高接着性が要求さ
れる。現在主として用いられているクレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂では、高反応性、高成型性は、ほぼ満
足するものの、低吸湿性および高接着性とも充分なもの
とは言えなくなってきた。これ等の問題を解決するため
に、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂を用いる
ことにより、低吸湿性を改良することも行われている
が、このタイプのエポキシ樹脂は、反応性、成型性に劣
り、低吸湿性も未だ充分ではなかった。特開平7−19
6766号公報には、石油重質油類またはピッチ類にア
ルデヒド類を混合し、加熱撹拌下酸触媒存在下にフェノ
ール類又はナフトール類を滴下して重縮合させることに
より得られた変性フェノール樹脂をアルカリ金属水酸化
物の存在下エピハロヒドリンと反応させたエポキシ樹脂
が記載されているが、この方法で作製されたエポキシ樹
脂は、エポキシ当量と樹脂溶融粘度が高く、反応性にも
乏しい。これはここで用いられた変性フェノール樹脂自
身の水酸基当量が高すぎることが大きな原因であり、こ
の他樹脂粘度が高く、また反応性を妨げる未反応物等が
混入していることが原因であると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、反応性、成
型性、低吸湿性及び接着性に優れた硬化物を与えるエポ
キシ樹脂とその製造方法を提供すること、さらに、その
エポキシ樹脂を使用した反応性、成型性、低吸湿性及び
接着性に優れた硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提
供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記の課
題を解決するために種々研究を重ねた結果、重質油類ま
たはピッチ類、フェノール類及びホルムアルデヒド化合
物を特定の製造方法で重縮合させて得られた、特定の範
囲のフェノール性水酸基当量を有する変性フェノール樹
脂と、エピハロヒドリンとから製造されたエポキシ樹脂
を使用することにより課題を解決し目的を達成すること
ができたのである。
【0005】すなわち、本発明のエポキシ樹脂の製造方
法は、 「1. 重質油類またはピッチ類と、平均分子量から算
出した前記重質油類またはピッチ類1モルに対して、
0.3〜10モルのフェノール類、ホルムアルデヒド換
算で0.2〜9モルのホルムアルデヒド化合物、および
0.01〜3.0モルの酸触媒とを混合した後、昇温
し、重縮合反応させて得られた変性フェノール樹脂とエ
ピハロヒドリンとを反応させることを特徴とするエポキ
シ樹脂の製造方法。 2. 重質油類またはピッチ類として、芳香族炭化水素
分率fa値が0.40〜0.95、芳香環水素量Ha値
が20〜80%である石油系重質油類またはピッチ類を
用いることを特徴とする、1項に記載されたエポキシ樹
脂の製造方法。 3. フェノール性水酸基当量が100〜200g/e
q.である、重質油類またはピッチ類、フェノール類お
よびホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた変
性フェノール樹脂と、該フェノール樹脂のフェノール性
水酸基1モル当たり、3〜20モルのエピハロヒドリン
とをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることを
特徴とする、1項または2項に記載されたエポキシ樹脂
の製造方法。 4. フェノール類としてフェノール、クレゾール、お
よびキシレノールから選ばれた少なくとも1種類のフェ
ノール化合物を用いて製造した変性フェノール樹脂を使
用したことを特徴とする、1項ないし3項のいずれか1
項に記載された方法でのエポキシ樹脂の製造方法。 5. 重質油類またはピッチ類、フェノール類とホルム
アルデヒド化合物及び酸触媒を反応が進行しない温度に
保って均一に混合した後、徐々に50℃〜200℃に昇
温して重縮合反応させることを特徴とする、1項ないし
4項のいずれか1項に記載されたエポキシ樹脂の製造方
法。 6. 変性フェノール樹脂とエピハロヒドリンの反応
を、常圧下では30〜105℃、減圧下では30〜80
℃で行うことを特徴とする、1項ないし5項のいずれか
1項に記載されたエポキシ樹脂の製造方法。」である。
【0006】また、本発明のエポキシ樹脂は、 「7. 1項ないし6項のいずれか1項に記載された方
法で製造されたエポキシ当量が160〜280g/e
q.であるエポキシ樹脂。」である。
【0007】さらに、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成
物は、 「8. 1項ないし6項のいずれか1項に記載された方
法で製造されたエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂硬化剤と
を必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組成物。 9. 1項ないし6項のいずれか1項に記載された方法
で製造されたエポキシ樹脂と、フェノールノボラック樹
脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹
脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、重質油類ま
たはピッチ類、フェノール類とホルムアルデヒド化合物
を重縮合させて得られた変性フェノール樹脂から選ばれ
た少なくとも一種類のエポキシ樹脂硬化剤とを必須成分
として配合してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 10. 9項に記載されたエポキシ樹脂組成物に、無機
充填剤として、組成物全体の70〜93重量%の破砕型
および/又は球状の、溶融および/又は結晶シリカ粉末
充填剤を配合してなる、半導体封止用エポキシ樹脂組成
物。」である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のエポキシ樹脂の製造方法
は前述のように重質油類またはピッチ類、フェノール類
及びホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた変
性フェノール樹脂をアルカリ金属水酸化物の存在下で反
応させることを特徴とするエポキシ樹脂の製造方法とこ
の方法により製造されたエポキシ樹脂とそのエポキシ樹
脂を用いたエポキシ樹脂組成物である。ここで、重質油
類及びピッチ類としては、石油系及び石炭系のいずれか
の原料油を用いてもよい。石油系重質油類またはピッチ
類としては、原油の蒸留残油、水添分解残油、接触分解
残油、ナフサまたはLPGの熱分解残油及びこれらの残
油の減圧蒸留物、溶剤抽出によるエキストラクトあるい
は熱処理物、石油精製過程における熱分解及び接触分解
等の分解工程で得られる特定の留出油を例示できる。石
炭系重質油類及びピッチ類としては、石炭乾留における
コールタールを蒸留して得られる特定の分留成分及び石
炭液化における重質油等を例示できる。
【0009】石油系重質油類およびピッチ類では、芳香
族炭化水素分率fa値および芳香環水素量Ha値の適当
なものを選んで使用することが好ましい。例えば、石油
系重質油類およびピッチ類は、0.40〜0.95、好
ましくは0.5〜0.8、さらに好ましくは0.55〜
0.75のfa値と、20〜80%、好ましくは25〜
60%、さらに好ましくは25〜50%のHa値とを有
することが望ましい。なお、fa値およびHa値は、各
々石油系重質油類およびピッチ類の13C−NMR測定
によるデータ、および1H−NMRによるデータから、
下記式に基づいて算出される。 fa値=(油またはピッチ中の芳香族炭素数)/(油ま
たはピッチ中の全炭素数) Ha値=(油またはピッチ中の芳香環水素数)/(油ま
たはピッチ中の全水素数)×100(%) 原料の石油系重質油類およびピッチ類のfa値が0.4
より小さくなると、芳香族分が少なくなるため、得られ
る変性フェノール樹脂の性能の改質効果、特に耐熱性、
耐酸化性の改質効果が小さくなる傾向にある。また、原
料のfa値が0.95より大きい石油系重質油類および
ピッチ類の場合には、芳香族炭素とホルムアルデヒドと
の反応性が低くなる傾向がある。
【0010】原料の石油系重質油類およびピッチ類のH
a値が20%より小さくなると、ホルムアルデヒドと反
応する芳香環水素分が少なくなり、反応性が低下するた
め、フェノール樹脂の性能の改質効果が低下する傾向が
ある。Ha値が80%より大きい石油系重質油類および
ピッチ類を原料とした場合には、変性フェノール樹脂の
強度が弱くなる傾向を示す。
【0011】このような石油系重質油類およびピッチ類
としては、石油精製過程における熱分解および接触分解
等の分解工程が得られる留出油を用いることが、原料の
安定供給、前処理の削減等の観点から、特に好ましい。
分解工程において、得られた接触分解物および熱分解物
は、様々な真沸点を有するとともに、種々の化合物組成
を有する留分に分かれるが、この内本発明で好適に用い
られる留出油は、上述の芳香族炭化水素分率fa値およ
び芳香環水素量Ha値を有するとともに、真沸点が18
0℃以上かつ500℃以下、好ましくは180℃以上か
つ490℃以下、さらに好ましくは190℃から490
℃以下である。
【0012】本発明において、石炭系重質油類およびピ
ッチ類として用いられる分留成分は、上記沸点を有する
限りいずれかのコールタールを蒸留したものであっても
よいが、所望の蒸留成分の含有量が多いという観点か
ら、特にコークス炉タール等の高温タールが好適であ
る。このようなコールタールを蒸留すると、様々な分留
成分を得ることができ、例えばコークス製造時に得られ
るコークス炉タールを蒸留した場合、タール軽油(沸点
約94〜178℃)、カルボン油(石炭酸油:沸点約1
68〜200℃)、ナフタリン油(中油)および吸収油
(沸点約202〜223℃)、重油(沸点約218〜3
14℃)、アントラセン油(沸点約296〜360℃)
およびピッチ(残さ:沸点約450℃)等が分留成分と
して得られる。この内、沸点が200℃を越える分留成
分はナフタリン油、吸収油、重油、アントラセン油およ
びピッチである。
【0013】本発明で用いる石炭系重質油類またはピッ
チ類としては、上述の沸点を有する分留成分を、単独で
用いても二種類以上組み合わせて用いてもよい。また、
これらの分留成分の混合物から特定成分を分離・回収
し、混合したものであってもよく、例えばナフタリン油
以上の沸点を有する留分の混合物で、ナフタリン、アン
トラセン、タール酸類およびタール塩基等を分離・回収
して得られるクレオソート油を用いることもできる。た
だし、石炭系すなわちコールタール系の重質油類または
ピッチ類は、石油系のものと比較すると、一般的にfa
およびHa値が大きいにも関わらず、ホルムアルデヒド
化合物との反応が進行することから、石炭系原料は、分
子構造に基づくホルムアルデヒド化合物との反応性の根
本的違いがあると推測される。なお、沸点が200℃以
下の分留成分を用いた場合、原料油中に含まれる縮合多
環芳香族成分の量が少なく、反応性が低下する。
【0014】本発明では、石炭系重質油類またはピッチ
類として、石炭液化に伴って生産される重質油を用いる
こともでき、この重質油は、単独で用いても、上述のコ
ールタール分留成分の一種類以上と混合して用いてもよ
い。なお、本発明では、石炭系重質油類またはピッチ類
は、これをそのまま用いてもよいが、フェノール類、カ
ルボン酸類等の酸性化合物、およびカルバゾール類、ピ
リジン類、アニリン類、キノリン類、等の塩基性化合物
が含まれている可能性があり、これらを除去することが
望ましい。以上説明した石油、石炭系重質油類またはピ
ッチ類は、石油化学工業において一般的な工程で安定し
て生産される製品であり、したがってこれを使用するこ
とで原料の低コストでの供給を図ることが可能となる。
【0015】目的の性状である変性フェノール樹脂を得
るための、原料として用いられるフェノール類として
は、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシ
ン、メチルレゾルシン、ハイドロキノン、メチルハイド
ロキノン、ジメチルハイドロキノン、ジブチルハイドロ
キノン、カテコール、フェニルフェノール、ビニルフェ
ノール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェ
ノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフ
ェノールAD、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキ
シナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、およ
びテルペンフェノール、ビフェノール、ヒドロキシナフ
タレン等を挙げることができ、この中から選ばれた少な
くとも1種類のフェノール化合物を用いる。好ましく
は、フェノール、クレゾール、またはキシレノールであ
る。本発明で、ホルムアルデヒド化合物とは、ホルマリ
ン、パラホルムアルデヒド等が挙げられる。本発明で用
いられる酸触媒としては、シュウ酸、パラトルエンスル
ホン酸(PTS)、キシレンスルホン酸、およびギ酸等
の有機酸、塩酸および硫酸等の無機酸を挙げることがで
きる。この中で好ましくはシュウ酸、パラトルエンスル
ホン酸(PTS)である。
【0016】各成分の使用割合としては、重質油類また
はピッチ類と、平均分子量から算出した前記重質油類ま
たはピッチ類1モルに対して、0.3〜10モルのフェ
ノール類、ホルムアルデヒド換算で0.2〜9モルのホ
ルムアルデヒド化合物、および0.01〜3.0もモル
の酸触媒とする。ここで、重質油類またはピッチ類の平
均分子量は蒸気圧浸透法分子量測定装置を用いて測定し
た。
【0017】本発明で用いる変性フェノール樹脂の製造
方法は、特定量の重質油類またはピッチ類、フェノール
類、ホルムアルデヒド化合物および酸触媒を反応器に一
括で仕込み、加熱撹拌しながら反応温度まで昇温して重
縮合させることに特徴がある。反応条件は、原料の種類
や目的とする樹脂の特性等に応じて制御されることは当
然であるが、本発明で用いる変性フェノール樹脂は例え
ば次のようにして製造する。先ず、特定量の原料および
酸触媒を反応器に入れ、重縮合反応が進行しない温度、
例えば50℃以下、好ましくは40〜50℃の温度に保
ちながら撹拌して均一に混合させる。次に、得られた化
合物を、50〜200℃、好ましくは80〜180℃ま
で徐々に昇温し、15分間〜8時間、好ましくは30分
間〜6時間重縮合反応させる。なお、重縮合原料等の混
合は、重縮合反応が進行しないうちに均一な混合物が得
られればよいので、重縮合反応温度まで徐々に昇温して
いる間に行ってもよい。得られた反応混合物中には未反
応成分、低分子成分、酸触媒等が残存しているので、適
宜、精製処理してこれらを除去することが好ましい。精
製方法としては、例えば、水蒸気蒸留、不活性ガスの吹
き込み、減圧蒸留等による未反応成分、低分子成分の除
去、水、アルカリ溶液処理、加熱分解等による酸触媒の
除去、静置分離による未反応成分等の除去、有機溶媒や
水を用いた抽出、再結晶、デカンテーション等による未
反応成分、低分子成分、酸触媒の除去や目的とする変性
フェノール樹脂の分離などが可能であり、これらの処理
を単独であるは適宜、組み合わせて実施することが好ま
しい。
【0018】本発明の変性フェノール樹脂の製造方法に
よれば、例えば反応温度までの昇温時間や原料の組成を
制御することによって、生成する変性フェノール樹脂の
水酸基当量の値を100〜200g/eq程度に小さく
することが可能であり、本樹脂を原料とするエポキシ樹
脂のエポキシ当量を160〜280g/eqに制御する
ことが容易となる。上記の製造方法を用いて得られる変
性フェノール樹脂は、エポキシ樹脂の原料として用いる
と、その硬化物性は良好な結果を示す。
【0019】次にこれらの変性フェノール樹脂と、エピ
ハロヒドリンをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応さ
せれば、目的のエポキシ樹脂が得られる。その反応は一
般的な条件でも可能だが、その反応の代表的な態様例
を、以下に詳述する。先ず、変性フェノール樹脂をその
フェノール性水酸基1モル当たり3〜20モルに相当す
る量のエピハロヒドリンに溶解させて均一な溶液とす
る。次いで、その溶液を撹拌しながらこれにフェノール
性水酸基1モル当り1〜2モル量のアルカリ金属水酸化
物を固体または水溶液で加えて反応させる。この反応
は、常圧下または減圧下で行わせることができ、反応温
度は、通常、常圧下の反応の場合に約30〜105℃で
あり、減圧下の反応の場合に約30〜80℃である。反
応は、必要に応じて所定の温度を保持しながら反応液を
共沸させ、揮発する蒸気を冷却して得られた凝縮液を油
/水分離し、水分を除いた油分を反応系に戻す方法によ
って反応系より脱水する。アルカリ金属水酸化物の添加
は、急激な反応をおさえるために、1〜8時間かけて少
量ずつ断続的もしくは連続的に添加する。その全反応時
間は、通常、1〜10時間である。反応終了後、不溶性
の副生塩を瀘別して除くか、水洗により除去した後、未
反応のエピハロヒドリンを減圧留去して除くと、目的の
エポキシ樹脂が得られる。この反応におけるエピハロヒ
ドリンとしては、通常、エピクロルヒドリンまたはエピ
ブロモヒドリンが用いられ、またアルカリ金属水酸化物
としては、通常、NaOHまたはKOHが用いられる。
【0020】また、この反応においては、テトラメチル
アンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムブロ
ミド等の第四級アンモニウム塩;ベンジルジメチルアミ
ン、2,4,6−(トリスジメチルアミノメチル)フェ
ノール等の第三級アミン;2−エチル−4−メチルイミ
ダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール
類:エチルトリフェニルホスホニウムイオダイド等のホ
スホニウム塩:トリフェニルホスフィン等のホスフィン
類等の触媒を用いてもよい。さらに、この反応において
は、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類;
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル
類;ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の
非プロトン性極性溶媒等の不活性な有機溶媒を使用して
もよい。さらに、上記のようにして得られたエポキシ樹
脂の可鹸化ハロゲン量が多すぎる場合には、再処理し
て、充分に可鹸化ハロゲン量が低下した精製エポキシ樹
脂を得ることができる。つまり、その粗製エポキシ樹脂
を、イソプロパノール、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジオキサン、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスル
ホキシドなどの不活性な有機溶媒に再溶解し、アルカリ
金属水酸化物を固体または水溶液で加えて約30〜12
0℃の温度で、0.5〜8時間再閉環反応を行った後、
水洗等の方法で過剰のアルカリ金属水酸化物や副生塩を
除去し、さらに有機溶媒を減圧留去して除くと、精製さ
れたエポキシ樹脂が得られる。
【0021】次に、本発明のエポキシ樹脂は、上記の本
発明のエポキシ樹脂の製造方法により製造されたエポキ
シ当量が160〜280g/eq.であるエポキシ樹脂
である。この発明のエポキシ樹脂の製造にあたっては、
最終的に得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量が160
〜280g/eqとなるよう各原料の種類、使用割合、
製造条件等を調整する必要がある。
【0022】本発明のエポキシ樹脂組成物は、本発明の
エポキシ樹脂の製造方法により製造されたエポキシ樹脂
とエポキシ樹脂硬化剤を必須成分として配合してなるエ
ポキシ樹脂組成物であるが、本発明のエポキシ樹脂以外
のエポキシ樹脂を混合使用することができる。その混合
することができる他のエポキシ樹脂としては、例えば、
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノール
AD、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ジメチ
ルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、ジブチル
ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフ
ェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナ
フタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノー
ルノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフ
ェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェ
ノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールノ
ボラック樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェ
ノール類や、種々のフェノール類と、ヒドロキシベンズ
アルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の
種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノ
ール樹脂等の各種のフェノール系化合物と、エピハロヒ
ドリンとから製造されるエポキシ樹脂やジアミノジフェ
ニルメタン、アミノフェノール、キシレンジアミン等の
種々のアミン化合物と、エピハロヒドリンとから製造さ
れるエポキシ樹脂、メチルヘキサヒドロフタル酸、ダイ
マー酸等の種々のカルボン酸類と、エピハロヒドリンと
から製造されるエポキシ樹脂等が挙げられる。また硬化
物を難燃化するために使用するエポキシ樹脂の一部を臭
素化エポキシ樹脂とすることができる。その臭素化エポ
キシ樹脂としては、例えば、臭素化ビスフェノールAま
たは臭素化フェノールノボラック樹脂と、エピハロヒド
リンとから製造されるエポキシ樹脂、低分子エポキシ樹
脂と臭素化ビスフェノールAとの反応にょり製造される
エポキシ樹脂等が挙げられる。それら他のエポキシ樹脂
の使用割合は、エポキシ樹脂成分全量に対して50重量
%以下が好ましい。本発明のエポキシ樹脂以外のエポキ
シ樹脂の使用割合が多すぎると、本発明の効果が充分に
発揮されなくなる。
【0023】本発明のエポキシ樹脂組成物に使用される
エポキシ樹脂硬化剤には、特に指定はなく、一般のエポ
キシ樹脂硬化剤を使用することができる。その使用でき
るエポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイド
ロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノー
ル、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレ
ン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、フェノールノボ
ラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノー
ルAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール
樹脂、テルペンフェノール樹脂、ナフトールノボラック
樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボ
ラック樹脂等の種々の多価フェノール類、および重質油
類またはピッチ類、フェノール類およびホルムアルデヒ
ド化合物を重縮合させる高反応性変性フェノール樹脂
や、種々のフェノール類とメチルハイドロキノン、ジメ
チルハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン、レゾル
シン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチル
ビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシ
ジフェニルエーテル、フェノールノボラックグリオキザ
ール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多
価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類、それら
各種のフェノール(樹脂)類のフェノール性水酸基の全
部もしくは一部をベンゾエート化あるいアセテート化等
のエステル化することによって得られる活性エステル化
合物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ
無水フタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸
等の酸無水物類、ジエチレントリアミン、イソホロンジ
アミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニ
ルスルホン、ジシアンジアミド等のアミン類等が挙げら
れる。
【0024】特に本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体
封止用として使用する場合には、その硬化物性等から、
フェノールノボラック樹脂、テルペンフェノール樹脂、
フェノールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエンフェ
ノール樹脂、重質油類またはピッチ類、フェノール類お
よびホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた変
性フェノール樹脂から選ばれた少なくとも一種類のエポ
キシ樹脂硬化剤が好ましい。
【0025】本発明のエポキシ樹脂組成物で使用される
エポキシ樹脂硬化剤の使用量は、全エポキシ樹脂成分中
のエポキシ基1モルに対して、全エポキシ樹脂硬化剤成
分のエポキシ基と反応する基の合計が0.5〜1.5モ
ルとなる量が好ましく、より好ましくは、0.7〜1.
3モルになる量である。
【0026】本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に
応じて無機充填剤、硬化促進剤、カップリング剤、可塑
剤、顔料、溶剤、難燃剤等を適宜に配合することができ
る。その無機充填剤の種類としては、例えば、溶融シリ
カ、結晶性シリカ、ガラス粉、アルミナ、炭酸カルシウ
ム等が挙げられる。その形状としては、破砕型または球
状である。各種の無機充填剤は、単独でまたは、2種以
上混合して用いられる。本発明のエポキシ樹脂組成物を
半導体封止用として使用する場合には、各種の無機充填
剤の中では溶融シリカまたは結晶性シリカが好ましく、
その形状は、破砕型または球状である。その使用量は、
組成物全体の60〜95重量%であり、好ましくは70
〜93重量%である。
【0027】また、本発明のエポキシ樹脂組成物に用い
られる硬化促進剤は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と硬
化剤中の活性基との反応を促進する化合物である。硬化
促進剤としては、例えば、トリブチルホスフィン、トリ
フェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホ
スフィン、トリス(ヒドロキシプロピル)ホスフィン、
トリス(シアノエチル)ホスフィン等のホスフィン化合
物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレー
ト、メチルトリブチルホスホニウムテトラフェニルボレ
ート、メチルトリシアノエチルホスホニウムテトラフェ
ニルボレート等のホスホニウム塩、2−メチルイミダゾ
ール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メ
チルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−
シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジシ
アノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチ
ル−S−トリアジン、2,4−ジシアノ−6−[2−ウ
ンデシルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリア
ジン等のイミダゾール類、1−シアノエチル−2−ウン
デシルイミダゾリウムトリメリテート、2−メチルイミ
ダゾリウムイソシアヌレート、2−エチル−4−メチル
イミダゾリウムテトラフェニルボレート、2−エチル−
1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレー
ト等のイミダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチ
ルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミ
ン、テトラメチルブチルグアニジン、N−メチルピペラ
ジン、2−ジメチルアミノ−1−ピロリン等のアミン
類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート等
のアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,
0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,
3,0)−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ(2,
2,2)−オクタン等のジアザビシクロ化合物、それら
ジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレート、フェ
ノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサ
ン酸塩等が挙げられる。硬化促進剤となる化合物の中で
は、ホスフィン化合物、イミダゾール化合物、ジアザビ
シクロ化合物、及びそれらの塩が好ましい。それらの硬
化促進剤は、単独でまたは、2種以上混合して用いら
れ、その使用量は、全エポキシ樹脂成分に対して、0.
7〜7重量%である。また、難燃助剤として、三酸化ア
ンチモン、リン酸等を適宜に配合することができる。
【0028】本発明のエポキシ樹脂の製造方法は、高反
応性、高成型性、高接着性及び低吸湿性に優れた硬化物
を与える本発明のエポキシ当量160〜280g/eq
のエポキシ樹脂を与える。さらに、そのエポキシ樹脂を
使用したエポキシ樹脂組成物は、高反応性、高成型性、
高接着性及び低吸湿性に優れた硬化物を与えるので接
着、注型、封止、積層、成型、塗装等の広い分野、特に
半導体封止の分野で有利に使用することができる。
【0029】
【実施例】以下に、本発明の変性フェノール樹脂の製造
例、エポキシ樹脂の製造法の実施例、本発明の半導体封
止用エポキシ樹脂組成物の実施例及び比較例を挙げてさ
らに詳述する。
【0030】変性フェノール樹脂の製造例1〜4 表1に示す原料油100.0g、フェノール108.3
gパラホルムアルデヒド19.7g及びシュウ酸1.3
3gを1Lガラス製反応容器に仕込み、250〜350
rpmの速度で撹拌させながら、20分で100℃まで
昇温する。100℃まで昇温後、同温度で100分間撹
拌させながら反応させて反応生成物を得た。上記反応生
成物を分液ロートに入れ80℃に保ちながら20分間静
置し、上層の未反応原料油分と下層の粗変性フェノール
樹脂を分離した。上記粗変性フェノール樹脂を、175
℃でフェノールの留出がなくなるまで減圧蒸留を行った
後、さらに温度を185℃に上昇し減圧下窒素を吹き込
むことにより未反応フェノールを除去した。このように
して得られた粗変性フェノール樹脂にヘビーナフサ10
0mlを加え、約98℃まで昇温させた後30分間撹拌
し、樹脂中に残存する未反応原料油を抽出した。その
後、室温まで冷却し、上層に分離した未反応油を含むヘ
ビーナフサ層をデカンテーションにより除去した。上記
のヘビーナフサを用いた一連の未反応油抽出除去操作を
同条件でさらに1回行った。抽出操作終了後、極少量残
存するヘビーナフサを減圧蒸留により除去して、最終的
に重質油類またはピッチ類、フェノール類及びホルムア
ルデヒド化合物を重縮合させてできた変性フェノール樹
脂を得た。ここで重質油類またはピッチ類、フェノール
類及びホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた
変性フェノール樹脂の水酸基当量と軟化点を表1に示し
た。なお、この変性フェノールの数平均分子量は64
9、150℃での溶融粘度は1.1psであった。ま
た、製遣法は例1と同様で、フェノール使用量を変更、
あるいはオルソクレゾールを使用した系、パラホルムア
ルデヒド、シュウ酸の添加量を変更、あるいはパラトル
エンスルホン酸(PTS)を添加した系を表1の製造例
2〜4に示す。
【0031】エポキシ樹脂の製造法実施例1〜4 温度計、撹拌装置、冷却管を備えた内容量31の三つ口
フラスコに、重質油類またはピッチ類、フェノール類及
びホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得られた変性
フェノール樹脂を表2に示す量、エピクロルヒドリン1
295g及びイソプロピルアルコール504gを仕込
み、35℃に昇温して均一に溶解させた後、48.5重
量%の水酸化ナトリウム水溶液190gを1時間かけて
滴下した。その間に徐々に昇温し、滴下終了時には系内
が65℃になるようにした。その後、65℃で30分間
保持して反応を行わせた。その反応終了後、水洗して副
生塩及び過剰の水酸化ナトリウムを除去した。次いで、
生成物から減圧下で過剰のエピクロルヒドリン及びイソ
プロピルアルコールを留去して、粗製エポキシ樹脂を得
た。この粗製エポキシ樹脂をメチルイソブチルケトン5
00〜900gに溶解させ、48.5重量%の水酸化ナ
トリウム水溶液6〜10gを加え、65℃の温度で1時
間反応させた。その反応終了後に、第一リン酸ナトリウ
ムを加えて過剰の水酸化ナトリウムを中和し、水洗して
副生塩を除去した。次いで、減圧下でメチルイソブチル
ケトンを完全に除去して、エポキシ樹脂を得た。これら
のエポキシ樹脂のエポキシ当量、及び軟化点を表2に示
した。
【0032】半導体封止用エポキシ樹脂組成物実施例5
〜9及び比較例1〜3 表3に示したように、エポキシ樹脂として、製造実施例
1〜4で製造した各エポキシ樹脂、テトラメチルビフェ
ノール型エポキシ樹脂またはオルソクレゾールノボラッ
ク型エポキシ樹脂、及び臭素化ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤として、フェノールノボ
ラック樹脂、製造例1で得た重質油類またはピッチ類、
フェノール類及びホルムアルデヒド化合物を重縮合させ
た変性フェノール樹脂、無機充填剤として溶融シリカ粉
末、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用い、
さらに難燃助剤として三酸化アンチモン、充填剤表面処
理剤としてエポキシシラン、離型剤としてカルナバワッ
クスをそれぞれ用いて、各半導体封止用エポキシ樹脂組
成物を配合した。次いで、各配合物をミキシングロール
を用いて70〜130℃の温度で5分間溶融混合した。
得られた各溶融混合物はシート状に取り出し、粉砕して
各成形材料を得た。これらの各成形材料を用いトランス
ファー成形機で金型温度180℃、成形時間180秒で
成形して、各試験片を得、180℃で8時間ポストキュ
アーさせた。各成形材料のポストキュアー後のガラス転
移温度、吸湿率、及び耐ハンダクラック性を試験した結
果は表3に示す通りであり、実施例5〜9の各成形材料
は、比較例1〜3の成形材料に較べて反応性、成型性、
吸湿率及び接着性のバランスに優れており、その結果耐
ハンダクラック性に優れていた。
【0033】
【表1】
【0034】(註)*1:重質油類およびピッチ類との
モル比 *2:p−トルエンスルホン酸
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】(註)*1:臭素化ビスフェノールAエポ
キシ樹脂(油化シェルエポキシ社商品名 エピコート5
050、エポキシ当量:385臭素含有量:49%) *2:溶融シリカ粉末(龍森社商品名 RD−8) *3:エポキシシラン(信越化学工業社商品名 KBM
403) *4:175℃でのエポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化
剤、硬化促進剤混合時の硬化時間 *5:脱型時のShoreD硬度 *6:TMA を用いて熱膨張曲線の転移点より求め
た。 *7:85℃ 85%RH 168時間の吸湿率 *8:幅 4mmのアルミピール試験 *9:80ピンQFP 16個を85℃ 85%RH
168時間吸湿後、260℃ハンダ浴に30秒間浸せき
し、クラックが発生した個数を求めた。 A:テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(油化シ
ェルエポキシ社商品名 エピコート YX4000H、
エポキシ当量:193) B:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化
シェルエポキシ社商品名 エピコート180S65、エ
ポキシ当量:213 ) C:フェノールノボラック樹脂(群栄化学社製、水酸基
当量:103、軟化点:85℃)
【0038】
【発明の効果】本発明のエポキシ樹脂の製造方法により
得られるエポキシ樹脂は、反応性、成型性、低吸湿性及
び接着性に優れな硬化物を与え、さらに、そのエポキシ
樹脂を使用したエポキシ樹脂組成物は、反応性、成型
性、低吸湿性及び接着性に優れた硬化物を与えるので接
着、注型、封止、積層、成型、塗装等の広い分野、特に
半導体封止の分野で有利に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 保幸 三重県四日市市塩浜町1番地 油化シェル エポキシ株式会社開発研究所内 (72)発明者 田嶋 正夫 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内 (72)発明者 藤井 智彰 茨城県鹿島郡神栖町東和田4番地 鹿島石 油株式会社鹿島製油所内 Fターム(参考) 4J002 AG002 CC032 CD041 CE002 EJ016 EJ036 EL136 EN046 EN076 ER026 EV216 FD146 GQ05 4J033 CA01 CA02 CA11 CA12 CA34 CA37 CB01 CB12 CB18 CB25 CC03 CC08 CC09 HB06 4J036 AF03 AF05 AF06 AF07 AF08 AF09 AF15 AF16 AF17 AF22 AF26 AF27 AF29 FA05 FB07 FB08 JA07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油類またはピッチ類と、平均分子量
    から算出した前記重質油類またはピッチ類1モルに対し
    て、0.3〜10モルのフェノール類、ホルムアルデヒ
    ド換算で0.2〜9モルのホルムアルデヒド化合物、お
    よび0.01〜3.0モルの酸触媒とを混合した後、昇
    温し、重縮合反応させて得られた変性フェノール樹脂と
    エピハロヒドリンとを反応させることを特徴とするエポ
    キシ樹脂の製造方法。
  2. 【請求項2】 重質油類またはピッチ類として、芳香族
    炭化水素分率fa値が0.40〜0.95、芳香環水素
    量Ha値が20〜80%である石油系重質油類またはピ
    ッチ類を用いることを特徴とする、請求項1に記載され
    たエポキシ樹脂の製造方法。
  3. 【請求項3】 フェノール性水酸基当量が100〜20
    0g/eq.である、重質油類またはピッチ類、フェノ
    ール類およびホルムアルデヒド化合物を重縮合させて得
    られた変性フェノール樹脂と、該フェノール樹脂のフェ
    ノール性水酸基1モル当たり、3〜20モルのエピハロ
    ヒドリンとをアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させ
    ることを特徴とする、請求項1または2に記載されたエ
    ポキシ樹脂の製造方法。
  4. 【請求項4】 フェノール類としてフェノール、クレゾ
    ール、およびキシレノールから選ばれた少なくとも1種
    類のフェノール化合物を用いて製造した変性フェノール
    樹脂を使用したことを特徴とする、請求項1ないし3の
    いずれか1項に記載された方法でのエポキシ樹脂の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 重質油類またはピッチ類、フェノール類
    とホルムアルデヒド化合物及び酸触媒を反応が進行しな
    い温度に保って均一に混合した後、徐々に50℃〜20
    0℃に昇温して重縮合反応させることを特徴とする、請
    求項1ないし4のいずれか1項に記載されたエポキシ樹
    脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 変性フェノール樹脂とエピハロヒドリン
    の反応を、常圧下では30〜105℃、減圧下では30
    〜80℃で行うことを特徴とする、請求項1ないし5の
    いずれか1項に記載されたエポキシ樹脂の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    された方法で製造されたエポキシ当量が160〜280
    g/eq.であるエポキシ樹脂。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    された方法で製造されたエポキシ樹脂と、エポキシ樹脂
    硬化剤とを必須成分として配合してなるエポキシ樹脂組
    成物。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    された方法で製造されたエポキシ樹脂と、フェノールノ
    ボラック樹脂、テルペンフェノール樹脂、フェノールア
    ラルキル樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、
    重質油類またはピッチ類、フェノール類とホルムアルデ
    ヒド化合物を重縮合させて得られた変性フェノール樹脂
    から選ばれた少なくとも一種類のエポキシ樹脂硬化剤と
    を必須成分として配合してなる半導体封止用エポキシ樹
    脂組成物。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載されたエポキシ樹脂組
    成物に、無機充填剤として、組成物全体の70〜93重
    量%の破砕型および/又は球状の、溶融および/又は結
    晶シリカ粉末充填剤を配合してなる、半導体封止用エポ
    キシ樹脂組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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