JP2000026128A - 強化ガラス板の製造方法 - Google Patents

強化ガラス板の製造方法

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JP2000026128A JP19122398A JP19122398A JP2000026128A JP 2000026128 A JP2000026128 A JP 2000026128A JP 19122398 A JP19122398 A JP 19122398A JP 19122398 A JP19122398 A JP 19122398A JP 2000026128 A JP2000026128 A JP 2000026128A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫化ニッケル(NiS)を含まない強化ガラ
ス板の製造方法を提供する。 【解決手段】 強化ガラス板の種類毎に、NiSを前も
ってα相から不完全なβ相を経てβ相に転移する昇温速
度と温度領域を測定して温度と時間のグラフ(熱履歴)
を作成し、このグラフのβ相の領域に合わせて所定の昇
温速度と温度領域を決定し、決定された昇温速度および
温度領域をソーク処理において用いることにより、Ni
Sを含む不良ガラス板を効果的に強制破損させて除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、強化ガラスに熱エ
ネルギーを負荷することにより硫化ニッケル(NiS)
を含む強化ガラスを強制的に破損させて不良品を排除
し、強化ガラス全体の品質を高める強化ガラスの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】風冷強化ガラス、特にソーダ石灰系組成
のガラスは、建築用の窓ガラスあるいは自動車のサイド
ガラスやリヤーガラスに広く使用されている。ソーダ石
灰系ガラスの製造方法では、ガラス原料を溶融窯で15
00℃近い高温で溶解する過程で、溶融窯内部に使用さ
れているステンレス中のニッケル(Ni)成分や、ガラ
ス原料中に不純物として存在するNiを含む金属粒子
(例えばステンレス粒子)が溶融ガラス中に混入し、N
i成分とガラス原料として使用される芒硝(Na2SO
4 )の硫黄(S)とが反応して、溶融成形されたガラス
製品中に硫化ニッケル(NiS)が微小な異物として存
在することがある。NiSの異物の存在頻度は、ガラス
製品の10数tに1個程度と非常に低く、また球状を呈
しており、粒径が0.3mm以下と非常に小さいため、
製造ライン上での検出は非常に難しい。
【0003】このようなソーダ石灰系ガラスよりなる素
板は、加工して建築用ガラスまたは自動車用ガラスとす
るために、軟化点(600℃付近)まで加熱した後に空
気ジェットにより急冷してガラス板の表面層に圧縮応力
を発生させている(風冷強化)。
【0004】風冷強化工程で加熱され常温に戻された強
化ガラス中に硫化ニッケル(NiS)が溶融欠点として
含まれる場合には、約350℃以上で安定なα相が不安
定な相として存在する。α相は常温では安定に存在でき
ないため、時間の経過とともに常温で安定なβ相に相転
移する。この相転移に伴ってNiSは体積が膨張する。
強化ガラスはガラス板の厚み方向の内部約2/3の部分
に引張応力層が存在するため、引張応力層におけるNi
Sの体積膨張によりクラック(破損)が急速に進展して
ガラス板の自然破損に至る。
【0005】近年、これらの風冷強化ガラスは建材用を
中心として開口部に大面積で使用されており、強化板ガ
ラスの製品の厚みは15〜20mmと厚く、総重量もか
なり大きい。従って、風冷強化ガラスに含まれる硫化ニ
ッケル(NiS)異物や、その他のガラス欠点による強
化ガラスの自然破損を防止するため、強化ガラス板の表
裏面に有機材料からなる保護フィルムを貼付することに
よって、ガラス板が破損した場合にも危険を及ぼさない
ような工夫がなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、保護フ
ィルムを貼付する従来の方法では、硫化ニッケル(Ni
S)の相転移による強化ガラスの自然破損を防止するた
めの根本的な対策になっていない。
【0007】他の方法として、強化工程で加熱され常温
に戻された強化ガラスを再び焼成炉(ソーク炉)の中に
挿入して、特定の温度に再加熱し一定時間保持すること
によって、強化ガラス中にNiSが含まれている場合に
は、NiSを不安定なα相(約350℃以上で安定なα
相)から約300℃以下で安定なβ相に相転移させて体
積膨張を生じさせ、強化ガラスを強制的に破損させるこ
とによって、NiSの異物を含む不良品を除去する方法
が知られている(これをソーク処理という)。
【0008】このようなソーク処理において、NiSが
含まれる強化ガラス板を破損させて、不良品を確実に除
去することが要求される。
【0009】本発明の目的は、ソーク処理において、N
iSを含む不良ガラスを確実に強制破損させることので
きる最適条件を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、NiSを含まない強
化ガラス板の製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、このような強化ガラ
スにより作られた強化ガラス板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】強化ガラスに硫化ニッケ
ル(NiS)が含まれる場合には、NiSのα相からβ
相への相転移は昇温速度が遅いほど確実に起こる作用で
あるが、50℃/分以下の昇温速度で170〜350℃
の温度範囲に昇温させることにより、α相をβ相に相転
移させて硫化ニッケル(NiS)を含む不良ガラスの選
別を効率よく行うことができる。
【0013】したがって、強化ガラス板の種類(品種)
毎に、前もってα相から不完全なβ相を経てβ相に転移
する昇温速度と温度領域を測定して温度と時間のグラフ
(熱履歴)を作成し、このグラフのβ相の領域に合わせ
て所定の昇温速度と温度領域を決定し、決定された昇温
速度および温度領域をソーク処理において用いることに
より、硫化ニッケル(NiS)を含む不良ガラス板を効
果的に強制破損させて除去することが可能となる。
【0014】なお、この場合にガラス板厚の変化によっ
てガラス板自体の昇温速度は加熱炉内雰囲気の昇温速度
とは大きく相違するため、炉内に挿入したガラス板の表
面温度の時間変化を管理することにより、不良ガラス板
の選別をより効率的に行うことができる。
【0015】また、板厚の増加によっては、ガラス自体
の昇温速度が変化するため、前記所定の昇温速度と温度
範囲の条件に加えて、温度範囲内の任意の温度で強化ガ
ラスを5〜60分間の一定時間で保持することが好まし
い。
【0016】さらに、ソーク処理を行うガラス板が、
0.01〜0.6重量%の酸化第二鉄(Fe2 3 )を
含有する着色ガラスの場合には、前記所定の昇温温度と
温度範囲の条件内にあれば、NiSを含む強化ガラスの
不良品を除くことができる。
【0017】また、ソーク処理を行うガラス板が、ガラ
ス中に微量のセレン(Se)が添加された着色ガラスの
場合には、全ての硫化ニッケルを完全に相転移させるに
は、昇温速度が3℃/分(170〜320℃の温度範
囲)以下であることが望ましい。その理由は、NiS中
にセレン(Se)が固溶されるためである。また、板厚
の増加によっては、上記の酸化第二鉄(Fe2 3 )を
含む場合と同様に、前記の温度範囲内で5〜60分間の
一定時間を保持することが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態につ
いて説明する。
【0019】強化ガラスの製造工程は一般的に次のとお
りである。すなわち、加熱炉からガラス板が約620℃
で搬出され、この軟化点近くまで加熱されたガラス板は
風冷強化部において約450℃まで急冷され、この急冷
によりガラス板の表層に圧縮応力が発生し、強化ガラス
板となる。そして、風冷強化されたガラス板は、徐冷さ
れて常温まで降温する。次いで、常温状態の強化ガラス
板を加熱炉に搬入して所定の温度領域まで特定の昇温速
度で昇温される。
【0020】このとき、強化ガラス板中にα−NiS
(α相)が含まれていると、このα−NiS(α相)は
β−NiS(β相)へ相転移し、この相転移によって体
積が約4%膨張し、α−NiS(α相)が含まれている
ガラス板は強制的に破損される。破損しなかったガラス
板は洗浄機を通り、取り上げ部において製品として取り
上げられ、次工程に送られる。
【0021】本実施の形態においては、所定の昇温速度
および所定の温度領域を設定するために、実使用のフロ
ート式溶融窯を用いて粒径が0.3mm以下の硫化ニッ
ケル(NiS)の異物が形成されたガラス板を製造し、
製造されたガラス板を試料ガラス1〜3とした。試料ガ
ラス1〜3についての組成および厚みは以下の表1の通
りである。
【0022】
【表1】
【0023】試料ガラス1は、表1に示す組成で板厚が
12mm、色調は無色のものである。試料ガラス2は、
試料ガラス1のFe23 の組成を0.01〜0.6w
t%とし、着色成分としたものであり、板厚は12m
m、色調は淡青色である。試料ガラス3は、試料ガラス
1のFe2 3 の組成を0.06〜0.2wt%とし、
さらにSeを微量含有させて着色成分としたものであ
り、板厚は10mm、色調は淡茶色である。
【0024】これら各試料ガラスを約3mmの厚みに研
磨して、その試料サンプルを500℃まで昇温可能な顕
微鏡(以下、高温顕微鏡と言う)に装着し、異なる昇温
速度の過程でα相からβ相へその場観察を行いながら、
α相から不完全なβ相を経てβ相に相転移が完了する温
度と時間を調べた。
【0025】ここで「不完全なβ相」というのは、α相
から徐々にβ相が形成されるような状態を示す。NiS
は多結晶体から形成されており、結晶相の全てがβ相に
相転移した時点で安定なβ相の領域に入ったと定義す
る。
【0026】α相からβ相への相転移の確認は、高温顕
微鏡下で偏光板をクロスニコルの状態にして、さらに5
30μm鋭敏色検板を挿入して、β相に相転移する際の
体積増加に伴う硫化ニッケル(NiS)の周囲のガラス
への圧縮による残留応力の発生状況と強さを観察するこ
とで行った。β相への完全転移の状態は、この圧縮応力
の状態が最大になる時点で判断した。
【0027】以上のような測定から、ソーク処理におけ
る処理条件を設定する方法を以下に説明する。
【0028】一方の軸を温度、他方の軸を時間とするグ
ラフを用意する。次いで、昇温速度を選定し、一定時間
毎に硫化ニッケル(NiS)がα相からβ相に相転移し
たかをグラフ上にプロットする。そして、この操作を試
料ガラスおよび/または昇温速度を異ならせて多数回繰
り返す。多数回繰り返した後、不完全なα相とβ相の境
界にあるプロットを連続して、グラフ上に相転移曲線を
描く。そして、相転移曲線に近く且つβ相に入った領域
で温度領域と昇温速度を設定する。
【0029】図1〜図3は、各試料サンプルについて行
った温度、昇温速度、時間、相転移の関係を示すグラフ
である。グラフの縦軸は温度、横軸は時間である。
【0030】図1は、試料ガラス1のサンプルについ
て、異なる昇温速度で、α相からβ相に完全転移したこ
とをプロットしたグラフである。
【0031】図2は、試料ガラス2のサンプルについ
て、昇温速度10℃/分で、α相からβ相を完全転移し
たことをプロットしたグラフである。
【0032】図3は、試料ガラス3のサンプルについ
て、昇温速度3℃/分,5℃/分および10℃/分につ
いて、それぞれ、α相からβ相を完全転移したことをプ
ロットしたグラフである。
【0033】各図において、○は不完全なβ相を、●は
完全なβ相を示す。不完全なβ相と完全なβ相の境界に
あるプロットを連続して相転移の曲線を描く。図1にお
いて、相転移の曲線を10,12で示し、図2におい
て、相転移の曲線を20,22で示し、図3において、
相転移の曲線を30,32で示している。
【0034】図1〜図3から以下の点が明らかとなる。
常温でガラス中に存在するNiSをα相からβ相に転移
させるには、昇温速度は50℃/分以下が望ましく、昇
温速度が小さくなるに従って、相転移を起こす温度範囲
は、低くなっていく。昇温速度と温度範囲との関係は、
次のとおりである。
【0035】 昇温速度 3℃/分(170〜320℃の温度範囲) 昇温速度 5℃/分(180〜320℃の温度範囲) 昇温速度 6℃/分(185〜325℃の温度範囲) 昇温速度10℃/分(215〜340℃の温度範囲) 昇温速度20℃/分(235〜345℃の温度範囲) 昇温速度40℃/分(270〜350℃の温度範囲) 昇温速度50℃/分(285〜350℃の温度範囲) 温度範囲は、昇温速度が50℃/分以下では、170〜
350℃に分布していることがわかる。
【0036】以上の昇温速度と温度範囲の条件は、ガラ
ス内部に含まれる硫化ニッケル(NiS)の粒子自身に
及ぼす温度と時間の条件であり、強化されたガラス板の
場合には板厚によって昇温条件が変化するために、ガラ
ス表面の時間変化に対する温度変化によってソーク炉の
設定を制御することが望ましい。
【0037】したがって、ソーク処理を行う炉の性能に
よっては、前記の昇温速度と温度範囲の条件に加えて、
前記の温度範囲内の任意の温度で強化ガラスを5〜60
分間の一定時間で保持することが好ましい。
【0038】また、ソーク処理を行う強化ガラスが、
0.01〜0.6重量%の酸化第二鉄(Fe2 3 )が
含有された着色ガラスである場合には、前記の昇温速度
と温度範囲の条件内にあれば、硫化ニッケル(NiS)
を含む強化ガラスの不良品を除くことができるが、板厚
の増加によってはガラスそのものの昇温速度が変化する
ために、前記の温度範囲内で5〜60分間の一定時間を
保持することが好ましい。
【0039】また、ソーク処理を行う強化ガラスが、微
量のセレン(Se)を含む着色ガラスである場合には、
全ての硫化ニッケルを完全に相転移させるには、昇温速
度が3℃/分(170〜320℃の温度範囲)以下であ
ることが望ましい。この理由は、NiS中にセレン(S
e)が固溶されるためである。また、板厚の増加によっ
ては、上記の酸化第二鉄(Fe2 3 )を含む場合と同
様に、前記の温度範囲内で5〜60分間の一定時間を保
持することが好ましい。
【0040】以上のような条件でソーク処理を行う強化
ガラス板の製造工程の流れを図4に示す。
【0041】ガラス板は、加熱炉14に送られ、軟化点
近くの約620℃に加熱される。加熱炉14からガラス
板が約620℃で搬出され、ガラス板は風冷強化部16
において約450℃まで急冷され、この急冷によりガラ
ス板の表層に圧縮応力が発生し、強化ガラス板となる。
そして、風冷強化されたガラス板は、徐冷されて常温ま
で降温する。次いで、常温状態の強化ガラス板をソーク
炉18に搬入して前述した所定の温度領域まで特定の昇
温速度で昇温する。このとき、強化ガラス板中にα−N
iS(α相)が含まれていると、このNiSはα相から
不安定なβ相を経て安定なβ相に相転移する。α相から
β相への相転移によって、硫化ニッケル(NiS)の体
積は増加するために硫化ニッケル(NiS)粒子とガラ
スとの界面からガラスに対して円周方向に直交した方向
にクラックを生じて、急激な自然破損に至るため、これ
らの硫化ニッケル(NiS)を含む不良品のガラス板を
完全に排除することができる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ガ
ラス板中に含まれている硫化ニッケル(NiS)のα相
を完全にβ相に相転移させ、相転移に伴う体積膨張によ
ってガラス板を強制的に破損させて不良品を排除する強
化ガラスの製造方法において、予め、ガラス板の種類毎
に温度と時間を軸にした相転移曲線を描いたグラフを作
成しておき、保持温度および昇温速度を相転移曲線に近
く、且つβ相の領域に入るように選定したので、必要最
小限に近い保持時間でα−NiS(α相)をβ−NiS
(β相)へ相転移させて不良品のガラス板を排除でき、
品質の向上とコストの低減を同時に達成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料ガラス1について行った保持時間、温度、
相転移の関係を示すグラフを示す図である。
【図2】試料ガラス2について行った保持時間、温度、
相転移の関係を示すグラフを示す図である。
【図3】試料ガラス3について行った保持時間、温度、
相転移の関係を示すグラフを示す図である。
【図4】ソーク処理を行う強化ガラス板の製造工程の流
れを示す図である。
【符号の説明】
10,12,20,22,30,32 相転移曲線 14 加熱炉 16 風冷強化部 18 ソーク炉
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月13日(1999.1.1
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G015 CA02 CB01 4G062 AA01 BB03 DA07 DB03 DC01 DD01 DE01 DF01 EA01 EB04 EC02 EC03 ED03 EE03 EF01 EG01 FA01 FA10 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL01 GA01 GB02 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH12 HH13 HH15 HH17 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 KK01 KK03 KK05 KK07 MM01 NN33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】軟化点近くまで加熱したガラス板を急冷し
    てガラス板の表面層に圧縮応力を発生させた後、このガ
    ラス板を一旦常温まで降温させ、次いでこのガラス板を
    常温から特定温度領域まで昇温させることで、ガラス板
    中に硫化ニッケル(NiS)が溶融欠点として含まれて
    いる場合に、このガラス板に含まれているα−NiS
    (α相)をβ−NiS(β相)に相転移させ、相転移に
    伴う体積膨張によってガラス板を強制的に破損させて不
    良品を排除するようにした強化ガラス板の製造方法にお
    いて、 前記特定の温度領域は170〜350℃であり、またこ
    の温度領域への昇温速度は50℃/分以下であることを
    特徴とする強化ガラス板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記昇温速度が3℃/分のときの前記特定
    の温度領域は170〜320℃であり、 前記昇温速度が5℃/分のときの前記特定の温度領域は
    180〜320℃であり、 前記昇温速度が6℃/分のときの前記特定の温度領域は
    185〜325℃であり、 前記昇温速度が10℃/分のときの前記特定の温度領域
    は215〜340℃であり、 前記昇温速度が20℃/分のときの前記特定の温度領域
    は235〜345℃であり、 前記昇温速度が40℃/分のときの前記特定の温度領域
    は270〜350℃であり、 前記昇温速度が50℃/分のときの前記特定の温度領域
    は285〜350℃であることを特徴とする請求項1に
    記載の強化ガラス板の製造方法。
  3. 【請求項3】ガラス板を、前記特定の温度領域に昇温し
    た後、昇温した温度に一定時間保持することを特徴とす
    る請求項1または2に記載の強化ガラス板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記一定時間は、5〜60分間であること
    を特徴とする請求項3記載の強化ガラス板の製造方法。
  5. 【請求項5】前記ガラス板は、着色成分として酸化第二
    鉄(Fe23 )が含有されている請求項1〜4のいず
    れかに記載の強化ガラス板の製造方法。
  6. 【請求項6】前記ガラス板は、着色成分として少なくと
    もセレン(Se)が含有されている請求項1〜4のいず
    れかに記載の強化ガラス板の製造方法。
  7. 【請求項7】軟化点近くまで加熱したガラス板を急冷し
    てガラス板の表面層に圧縮応力を発生させた後、このガ
    ラス板を一旦常温まで降温させ、次いでこのガラス板を
    常温から特定の温度領域まで昇温させることで、ガラス
    板中に硫化ニッケル(NiS)が溶解欠点として含まれ
    ている場合に、このガラス板に含まれているα−NiS
    (α相)をβ−NiS(β相)に相転移させ、相転移に
    伴う体積膨張によってガラス板を強制的に破損させて不
    良品を排除するようにした強化ガラス板の製造方法にお
    いて、 前記特定の温度領域と、この温度領域への昇温速度との
    設定は、(a)一方の軸を温度、他方の軸を時間とする
    グラフを用意するステップと、(b)常温でガラス内部
    に硫化ニッケル(NiS)の粒子を含む試料ガラス板を
    用意して、一定の昇温速度で昇温させながら、硫化ニッ
    ケル(NiS)の相転移の状態を観察するステップと、
    (c)一定時間毎に硫化ニッケル(NiS)がα相から
    β相に相転移したかを前記グラフ上にプロットするステ
    ップと、(d)前記ステップ(c)を、試料ガラスおよ
    び/または昇温速度を異ならせて多数回繰り返すステッ
    プと、(e)不完全なβ相とβ相の境界にあるプロット
    を連続した相転移曲線を前記グラフ上に描くステップ
    と、(f)前記ステップ(e)で作成した相転移曲線か
    ら温度領域と昇温速度を設定するステップと、を含むこ
    とを特徴とする強化ガラス板の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法
    によって製造された強化ガラス板。
  9. 【請求項9】請求項8に記載の強化ガラス板により作ら
    れた建築用ガラス板。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の強化ガラス板により作
    られた自動車用ガラス板。
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