JP2000026130A - 強化ガラス板の製造方法 - Google Patents
強化ガラス板の製造方法Info
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- JP2000026130A JP2000026130A JP19123398A JP19123398A JP2000026130A JP 2000026130 A JP2000026130 A JP 2000026130A JP 19123398 A JP19123398 A JP 19123398A JP 19123398 A JP19123398 A JP 19123398A JP 2000026130 A JP2000026130 A JP 2000026130A
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-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C03—GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
- C03C—CHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
- C03C23/00—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments
- C03C23/007—Other surface treatment of glass not in the form of fibres or filaments by thermal treatment
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- Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 NiSを含む不良ガラスを確実に強制破損さ
せることのできる方法を提供する。 【解決手段】 強化ガラス板の製造工程で、溶解過程か
ら成形工程を経て製造されたガラス板を徐冷し、強化工
程に入る前に、前処理でガラス板を加熱することによっ
て、ガラス板に含まれる硫化ニッケルに対して、高温で
安定な相(α相)から低温で安定な相(β相)に相転移
を起こさせ、事前にガラス中に含まれる硫化ニッケルの
周囲に微小なクラックを発生させ、次の強化工程で発生
する熱応力の差によってクラックを急速に伸展させ自然
破損を起こさせて、ガラスを強化と同時に破損させて不
良品を除去する。
せることのできる方法を提供する。 【解決手段】 強化ガラス板の製造工程で、溶解過程か
ら成形工程を経て製造されたガラス板を徐冷し、強化工
程に入る前に、前処理でガラス板を加熱することによっ
て、ガラス板に含まれる硫化ニッケルに対して、高温で
安定な相(α相)から低温で安定な相(β相)に相転移
を起こさせ、事前にガラス中に含まれる硫化ニッケルの
周囲に微小なクラックを発生させ、次の強化工程で発生
する熱応力の差によってクラックを急速に伸展させ自然
破損を起こさせて、ガラスを強化と同時に破損させて不
良品を除去する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫化ニッケル(N
iS)を含む強化ガラス板を製造工程中で強制的に破損
させて、強化ガラス板全体の品質を高める強化ガラス板
の製造方法に関する。
iS)を含む強化ガラス板を製造工程中で強制的に破損
させて、強化ガラス板全体の品質を高める強化ガラス板
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】風冷強化板ガラス、特にソーダ石灰組成
の板ガラス(フロートガラス)は、建築用の窓ガラスあ
るいは自動車用サイドガラスやリヤーガラスに広く使用
されている。近年、これらの風冷強化ガラスは建材用を
中心として開口部に大面積で使用されており、強化ガラ
ス板の厚みは15〜20mmと厚く、総重量もかなり大
きい。
の板ガラス(フロートガラス)は、建築用の窓ガラスあ
るいは自動車用サイドガラスやリヤーガラスに広く使用
されている。近年、これらの風冷強化ガラスは建材用を
中心として開口部に大面積で使用されており、強化ガラ
ス板の厚みは15〜20mmと厚く、総重量もかなり大
きい。
【0003】この風冷強化ガラス板は、ガラス板の表面
層に表面圧縮応力(例えば2000kg/cm2 以上)
を発生させることにより生産されている。
層に表面圧縮応力(例えば2000kg/cm2 以上)
を発生させることにより生産されている。
【0004】風冷強化ガラス板に含まれる硫化ニッケル
(NiS)異物をはじめとするガラス欠点による強化ガ
ラス板の自然破損を防止するために、強化工程で加熱さ
れ常温に戻されたガラス板を再び焼成炉(ソーク炉)の
中に挿入して、300℃までの温度に加熱し一定時間保
持することによって、主として硫化ニッケル(NiS)
を356℃以上で安定なα相から282℃以下で安定な
β相に転移させることにより、約4%の体積膨張を生じ
させ、製造された強化ガラス板を強制的に破損させるこ
とによって、不良品を除去することが必要に応じて行わ
れている(この方法は、ソーク処理法と呼ばれてい
る)。
(NiS)異物をはじめとするガラス欠点による強化ガ
ラス板の自然破損を防止するために、強化工程で加熱さ
れ常温に戻されたガラス板を再び焼成炉(ソーク炉)の
中に挿入して、300℃までの温度に加熱し一定時間保
持することによって、主として硫化ニッケル(NiS)
を356℃以上で安定なα相から282℃以下で安定な
β相に転移させることにより、約4%の体積膨張を生じ
させ、製造された強化ガラス板を強制的に破損させるこ
とによって、不良品を除去することが必要に応じて行わ
れている(この方法は、ソーク処理法と呼ばれてい
る)。
【0005】また、強化ガラス板の自然破損を防止する
ため、強化ガラス板の表裏面に有機材料からなる保護フ
ィルムを貼付することによって、ガラス板が破損した場
合にも危険を及ぼさないような工夫もなされている。
ため、強化ガラス板の表裏面に有機材料からなる保護フ
ィルムを貼付することによって、ガラス板が破損した場
合にも危険を及ぼさないような工夫もなされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来のソーク処理法
は、一度常温にまで冷えた強化ガラスを再度昇温によっ
て所定の温度に保持するため、昇温に多くの時間と熱エ
ネルギーを費やし、またガラス板の板厚の変化に対し
て、一定温度の保持時間も異なり、生産コストのアップ
にもつながっている。
は、一度常温にまで冷えた強化ガラスを再度昇温によっ
て所定の温度に保持するため、昇温に多くの時間と熱エ
ネルギーを費やし、またガラス板の板厚の変化に対し
て、一定温度の保持時間も異なり、生産コストのアップ
にもつながっている。
【0007】また、ソーク処理法では、強化ガラス板の
製造後に加熱処理を行うため、強化ガラス表面に付与さ
れた表面圧縮応力が緩和されてしまい、強度の低下が生
じてしまう。また、ガラス板の寸法を、切断や研磨によ
って自由に変更することができず、生産性の効率化の阻
害やエネルギーコストの問題も大きく、早期の改善が望
まれていた。
製造後に加熱処理を行うため、強化ガラス表面に付与さ
れた表面圧縮応力が緩和されてしまい、強度の低下が生
じてしまう。また、ガラス板の寸法を、切断や研磨によ
って自由に変更することができず、生産性の効率化の阻
害やエネルギーコストの問題も大きく、早期の改善が望
まれていた。
【0008】また、強化ガラス板の表裏面に保護フィル
ムを貼付する方法にあっては、ガラス板の飛散は防止で
きるが、硫化ニッケル(NiS)の相転移による強化ガ
ラスの自然破損を防止するための根本的な対策になって
いない。
ムを貼付する方法にあっては、ガラス板の飛散は防止で
きるが、硫化ニッケル(NiS)の相転移による強化ガ
ラスの自然破損を防止するための根本的な対策になって
いない。
【0009】本発明の目的は、ソーク処理法によらず、
NiSを含む不良ガラスを確実に強制破損させることの
できる方法を提供することにある。
NiSを含む不良ガラスを確実に強制破損させることの
できる方法を提供することにある。
【0010】本発明の他の目的は、NiSを含まない強
化ガラス板の製造方法を提供することにある。
化ガラス板の製造方法を提供することにある。
【0011】本発明の他の目的は、このような強化ガラ
スにより作られた強化ガラス板を提供することにある。
スにより作られた強化ガラス板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、強化ガ
ラス板の製造工程で、溶解過程から成形工程を経て製造
されたガラス板を徐冷し、強化工程に入る前に、前処理
でガラス板を加熱することによって、ガラス板に含まれ
る硫化ニッケルに対して、高温で安定な相(α相)から
低温で安定な相(β相)に相転移を起こさせ、事前にガ
ラス中に含まれる硫化ニッケルの周囲に微小なクラック
を発生させ、次の強化工程で発生する熱応力の差によっ
てクラックを急速に伸展させ自然破損を起こさせて、ガ
ラスを強化と同時に破損させて不良品を除去する。
ラス板の製造工程で、溶解過程から成形工程を経て製造
されたガラス板を徐冷し、強化工程に入る前に、前処理
でガラス板を加熱することによって、ガラス板に含まれ
る硫化ニッケルに対して、高温で安定な相(α相)から
低温で安定な相(β相)に相転移を起こさせ、事前にガ
ラス中に含まれる硫化ニッケルの周囲に微小なクラック
を発生させ、次の強化工程で発生する熱応力の差によっ
てクラックを急速に伸展させ自然破損を起こさせて、ガ
ラスを強化と同時に破損させて不良品を除去する。
【0013】前処理工程における加熱条件は、50℃/
分以下の昇温速度で、170〜320℃の温度範囲に加
熱することである。
分以下の昇温速度で、170〜320℃の温度範囲に加
熱することである。
【0014】昇温速度が定まると、温度範囲は次のよう
な値とするのが好ましい。
な値とするのが好ましい。
【0015】 昇温速度 3℃/分(170〜320℃の温度範囲) 昇温速度 5℃/分(180〜320℃の温度範囲) 昇温速度 6℃/分(185〜325℃の温度範囲) 昇温速度10℃/分(215〜340℃の温度範囲) 昇温速度20℃/分(235〜345℃の温度範囲) 昇温速度40℃/分(270〜350℃の温度範囲) 昇温速度50℃/分(285〜350℃の温度範囲) また、α相からβ相への相転移は、昇温速度が遅いほど
確実に起こる作用であるため、3℃/分以下の昇温速度
であるならば、温度範囲が170〜320℃の範囲で相
転移を確実に起こすことができる。
確実に起こる作用であるため、3℃/分以下の昇温速度
であるならば、温度範囲が170〜320℃の範囲で相
転移を確実に起こすことができる。
【0016】クラックをさらに大きく伸展させたい場合
には、前記温度範囲内の任意の温度で、60分以内の一
定時間さらに保持させるのが好ましい。
には、前記温度範囲内の任意の温度で、60分以内の一
定時間さらに保持させるのが好ましい。
【0017】さらに、トータルの鉄含有量として数%
(重量%)以下の酸化第二鉄(Fe2O3 )が含有され
た着色ガラス板の場合には、前記の処理条件内であれ
ば、硫化ニッケルの周囲に次工程の強化ガラス製造過程
で破損に至るクラックを発生させて不良品を除くことが
できるが、板厚の増加によってはガラスそのものの昇温
速度が変化するために、前記の前処理の到達温度の範囲
内で60分以内の一定時間をさらに保持することが好ま
しい。
(重量%)以下の酸化第二鉄(Fe2O3 )が含有され
た着色ガラス板の場合には、前記の処理条件内であれ
ば、硫化ニッケルの周囲に次工程の強化ガラス製造過程
で破損に至るクラックを発生させて不良品を除くことが
できるが、板厚の増加によってはガラスそのものの昇温
速度が変化するために、前記の前処理の到達温度の範囲
内で60分以内の一定時間をさらに保持することが好ま
しい。
【0018】また、着色成分としてガラス中に微量のセ
レン(Se)やセリウム(Ce)、あるいはその他の成
分が添加されたガラス板の場合には、上記の熱履歴の条
件で前処理によってクラックを発生させることは可能で
あるが、異なる品質(ここではガラス中の微量成分の違
い)で全ての硫化ニッケルを完全にβ相に相転移させる
には、ガラスの昇温速度が3℃/分(170〜320℃
の温度範囲)以下であることが望ましい。この理由は、
セレンを添加した着色ガラス中のNiS中にはSe成分
が数%以上固溶されるものが存在するためである。ま
た、板厚の増加によっては含まれるNiSが所定の温度
に保持しにくくなることが考えられるので、上記の酸化
第二鉄(Fe2 O3 )を含む場合と同様に、前記の温度
範囲内で5〜60分間の一定時間を保持することが好ま
しい。
レン(Se)やセリウム(Ce)、あるいはその他の成
分が添加されたガラス板の場合には、上記の熱履歴の条
件で前処理によってクラックを発生させることは可能で
あるが、異なる品質(ここではガラス中の微量成分の違
い)で全ての硫化ニッケルを完全にβ相に相転移させる
には、ガラスの昇温速度が3℃/分(170〜320℃
の温度範囲)以下であることが望ましい。この理由は、
セレンを添加した着色ガラス中のNiS中にはSe成分
が数%以上固溶されるものが存在するためである。ま
た、板厚の増加によっては含まれるNiSが所定の温度
に保持しにくくなることが考えられるので、上記の酸化
第二鉄(Fe2 O3 )を含む場合と同様に、前記の温度
範囲内で5〜60分間の一定時間を保持することが好ま
しい。
【0019】
【発明の実施の形態】前処理工程における加熱条件を設
定するために、以下のプロセスを順次行う。 (1)常温でガラス内部に硫化ニッケルの欠点を含む試
料ガラス板を用意する。これら材料は、表1に示すよう
に、組成(wt%)および板厚を変えて、13個用意し
た。
定するために、以下のプロセスを順次行う。 (1)常温でガラス内部に硫化ニッケルの欠点を含む試
料ガラス板を用意する。これら材料は、表1に示すよう
に、組成(wt%)および板厚を変えて、13個用意し
た。
【0020】
【表1】
【0021】試料ガラス板1は、表1に示す組成で板厚
が10mm、色調は無色のものである。試料ガラス板2
は、試料ガラス板1のFe2 O3 の組成を0.01〜
1.0wt%とし、着色成分としたものであり、板厚は
10mm、色調は淡青色である。試料ガラス板3は、試
料ガラス板1のFe2 O3 の組成を0.06〜0.2w
t%とし、さらにSeを微量含有させて着色成分とした
ものであり、板厚は10mm、色調は淡茶色である。 (2)これら各ガラス板試料を、500℃まで昇温可能
な顕微鏡(以下、高温顕微鏡と言う)に装着し、昇温速
度を3℃/分,5℃/分,6℃/分,10℃/分,20
℃/分,40℃/分,50℃/分として、α相からβ相
への相転移の状態を連続的な観察を行いながら、NiS
粒子全体がβ相に相転移を完了する温度と時間を調べ
た。β相への相転移の確認は、上記の高温顕微鏡下で偏
光板をクロスニコルの状態にして、さらに530μm鋭
敏色検板を対角位に挿入して、β相に相転移する際の体
積増加に伴う硫化ニッケルの粒子の周囲のガラスへの圧
縮による残留応力の発生状況と強さを観察することで行
った。β相への完全な相転移の状態は、この圧縮応力の
状態が最大になる時点(高温顕微鏡下ではレターデーシ
ョンが最も強くなる時点)で判断した。 (3)上記の過程で、NiSがα相からβ相に相転移し
たことをグラフ上にプロットする。図1に、そのグラフ
を示す。縦軸は温度(℃)を、横軸は時間(分)を示
す。 (4)上記の(3)で作成したNiSのα相からβ相へ
の相転移の境界とβ相の安定な領域とを知るために、昇
温温度および/または試料ガラスを異ならせて多数回試
験を繰り返す。
が10mm、色調は無色のものである。試料ガラス板2
は、試料ガラス板1のFe2 O3 の組成を0.01〜
1.0wt%とし、着色成分としたものであり、板厚は
10mm、色調は淡青色である。試料ガラス板3は、試
料ガラス板1のFe2 O3 の組成を0.06〜0.2w
t%とし、さらにSeを微量含有させて着色成分とした
ものであり、板厚は10mm、色調は淡茶色である。 (2)これら各ガラス板試料を、500℃まで昇温可能
な顕微鏡(以下、高温顕微鏡と言う)に装着し、昇温速
度を3℃/分,5℃/分,6℃/分,10℃/分,20
℃/分,40℃/分,50℃/分として、α相からβ相
への相転移の状態を連続的な観察を行いながら、NiS
粒子全体がβ相に相転移を完了する温度と時間を調べ
た。β相への相転移の確認は、上記の高温顕微鏡下で偏
光板をクロスニコルの状態にして、さらに530μm鋭
敏色検板を対角位に挿入して、β相に相転移する際の体
積増加に伴う硫化ニッケルの粒子の周囲のガラスへの圧
縮による残留応力の発生状況と強さを観察することで行
った。β相への完全な相転移の状態は、この圧縮応力の
状態が最大になる時点(高温顕微鏡下ではレターデーシ
ョンが最も強くなる時点)で判断した。 (3)上記の過程で、NiSがα相からβ相に相転移し
たことをグラフ上にプロットする。図1に、そのグラフ
を示す。縦軸は温度(℃)を、横軸は時間(分)を示
す。 (4)上記の(3)で作成したNiSのα相からβ相へ
の相転移の境界とβ相の安定な領域とを知るために、昇
温温度および/または試料ガラスを異ならせて多数回試
験を繰り返す。
【0022】図1に、試料ガラス板1についての最終的
なプロットの状態を示す。プロットは、各昇温速度3℃
/分,5℃/分,6℃/分,10℃/分,20℃/分,
40℃/分,50℃/分での相転移を示している。○は
不完全なβ相を、●は完全なβ相を示す。ここで、「不
完全なβ相」とは、α相からβ相が核形成されて徐々に
粒子全体でβ相が成長されるような状態を示す。一般的
には、NiSは多結晶であり結晶相の全てがβ相に相転
移した時点で安定なβ相の領域に入ったと定義する。
なプロットの状態を示す。プロットは、各昇温速度3℃
/分,5℃/分,6℃/分,10℃/分,20℃/分,
40℃/分,50℃/分での相転移を示している。○は
不完全なβ相を、●は完全なβ相を示す。ここで、「不
完全なβ相」とは、α相からβ相が核形成されて徐々に
粒子全体でβ相が成長されるような状態を示す。一般的
には、NiSは多結晶であり結晶相の全てがβ相に相転
移した時点で安定なβ相の領域に入ったと定義する。
【0023】以上のグラフにおいて、不完全なβ相と完
全なβ相の境界にあるプロットを連続して相転移の曲線
20,22を2本描く。これら2本の曲線に挟まれた領
域内では、完全なβ相に変化している。前記の各昇温速
度では、β相に変わる温度範囲は、 昇温速度 3℃/分(170〜320℃の温度範囲) 昇温速度 5℃/分(180〜320℃の温度範囲) 昇温速度 6℃/分(185〜325℃の温度範囲) 昇温速度10℃/分(215〜340℃の温度範囲) 昇温速度20℃/分(235〜345℃の温度範囲) 昇温速度40℃/分(270〜350℃の温度範囲) 昇温速度50℃/分(285〜350℃の温度範囲) である。
全なβ相の境界にあるプロットを連続して相転移の曲線
20,22を2本描く。これら2本の曲線に挟まれた領
域内では、完全なβ相に変化している。前記の各昇温速
度では、β相に変わる温度範囲は、 昇温速度 3℃/分(170〜320℃の温度範囲) 昇温速度 5℃/分(180〜320℃の温度範囲) 昇温速度 6℃/分(185〜325℃の温度範囲) 昇温速度10℃/分(215〜340℃の温度範囲) 昇温速度20℃/分(235〜345℃の温度範囲) 昇温速度40℃/分(270〜350℃の温度範囲) 昇温速度50℃/分(285〜350℃の温度範囲) である。
【0024】以上により前処理工程において、NiSを
α相からβ相に相転移させる昇温速度と温度範囲の条件
が定まった。
α相からβ相に相転移させる昇温速度と温度範囲の条件
が定まった。
【0025】試料ガラス板2,3について、同様の試験
を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
【0026】以上の昇温速度と温度範囲の条件は、ガラ
ス内部に含まれる硫化ニッケル粒子そのものに与える条
件である。したがって、実際の工程では板厚によって昇
温条件が変化するのでガラス表面の時間変化によって処
理する炉の設定を制御することが望ましい。
ス内部に含まれる硫化ニッケル粒子そのものに与える条
件である。したがって、実際の工程では板厚によって昇
温条件が変化するのでガラス表面の時間変化によって処
理する炉の設定を制御することが望ましい。
【0027】図2は、着色成分を含む試料ガラス板2,
3について、NiSの相転移を示している。昇温速度4
℃/分で230℃に加熱したが、この過程で相転移は生
じなかった。そこで、さらに230℃の温度に保持した
ところβ相への相転移が確認された。このように、所定
の昇温速度で加熱してもβ相に相転移しない場合でも、
加熱時の温度に所定時間保持することによって相転移は
可能となる。
3について、NiSの相転移を示している。昇温速度4
℃/分で230℃に加熱したが、この過程で相転移は生
じなかった。そこで、さらに230℃の温度に保持した
ところβ相への相転移が確認された。このように、所定
の昇温速度で加熱してもβ相に相転移しない場合でも、
加熱時の温度に所定時間保持することによって相転移は
可能となる。
【0028】図3は、本発明による実際の強化ガラス板
の製造工程を示す図である。
の製造工程を示す図である。
【0029】溶解工程10では、ガラス原料が溶解され
てガラス素地が作られる。ガラス素地は、次の成形工程
12でフロート法によりガラス帯とされ、幅と厚さが決
められ成形される。その後、徐冷工程14で徐冷され
る。通常は、徐冷後は強化工程に送られるが、本発明で
は、強化工程の前処理工程として、焼成工程16が導入
される。この前処理工程では、例えば、昇温速度5℃/
分で、250℃の温度に加熱した。これにより、ガラス
板中にNiSが含まれていれば、NiSの粒子の周囲に
クラックが発生する。
てガラス素地が作られる。ガラス素地は、次の成形工程
12でフロート法によりガラス帯とされ、幅と厚さが決
められ成形される。その後、徐冷工程14で徐冷され
る。通常は、徐冷後は強化工程に送られるが、本発明で
は、強化工程の前処理工程として、焼成工程16が導入
される。この前処理工程では、例えば、昇温速度5℃/
分で、250℃の温度に加熱した。これにより、ガラス
板中にNiSが含まれていれば、NiSの粒子の周囲に
クラックが発生する。
【0030】この状態で、ガラス板は次の強化工程18
に送られる。強化工程では、まず、ガラス板は約600
℃に加熱される。600℃付近の温度域では、対象とし
ているガラス組成では軟化とクラックの界面での融着が
急速には起こらず、したがって前処理工程で成長したク
ラックは消滅することはない。続いて、風冷により急速
に冷却される。風冷によって急速に冷却される過程で生
じる熱応力差によって、硫化ニッケルの粒子の周囲で発
生したクラックは急速に拡大し伸展して、ガラス板を確
実に自然破壊させる。
に送られる。強化工程では、まず、ガラス板は約600
℃に加熱される。600℃付近の温度域では、対象とし
ているガラス組成では軟化とクラックの界面での融着が
急速には起こらず、したがって前処理工程で成長したク
ラックは消滅することはない。続いて、風冷により急速
に冷却される。風冷によって急速に冷却される過程で生
じる熱応力差によって、硫化ニッケルの粒子の周囲で発
生したクラックは急速に拡大し伸展して、ガラス板を確
実に自然破壊させる。
【0031】以上の製造工程により、NiSを含むガラ
ス板は確実に除去される。
ス板は確実に除去される。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、ガラス工場で製造され
た素板ガラスに含まれる硫化ニッケルの周囲にクラック
を成長させ、強化ガラスの製造の過程で連続的にまた効
果的に除去することができるので、強化ガラスの生産性
の省力化や自動化に貢献することができる。また、従来
のソーク処理のように、強化ガラスの製造後に再度熱処
理する必要が無いので、表面圧縮応力の緩和が起こら
ず、したがって強化ガラスの本来の製品の品質の低下は
無くなる。
た素板ガラスに含まれる硫化ニッケルの周囲にクラック
を成長させ、強化ガラスの製造の過程で連続的にまた効
果的に除去することができるので、強化ガラスの生産性
の省力化や自動化に貢献することができる。また、従来
のソーク処理のように、強化ガラスの製造後に再度熱処
理する必要が無いので、表面圧縮応力の緩和が起こら
ず、したがって強化ガラスの本来の製品の品質の低下は
無くなる。
【図1】ガラス板試料の硫化ニッケルのα相からβ相へ
の相転移の試験で得られた、焼成工程の最適な温度と時
間の範囲を示すグラフである。
の相転移の試験で得られた、焼成工程の最適な温度と時
間の範囲を示すグラフである。
【図2】着色成分を含んだガラス板に対するNiSのα
相からβ相への相転移の試験で得られた焼成工程の温度
と時間との関係を示すグラフである。
相からβ相への相転移の試験で得られた焼成工程の温度
と時間との関係を示すグラフである。
【図3】強化ガラス板の製造工程を示す図である。
10 溶解工程 12 成形工程 14 徐冷工程 16 焼成工程 18 強化工程 20,22 相転移曲線
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月13日(1999.1.1
3)
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G015 CA02 CB01 4G062 AA01 BB03 DA07 DB03 DC01 DD01 DE01 DF01 EA01 EB04 EC02 EC03 ED03 EE03 EF01 EG01 FA01 FB01 FC01 FD01 FE01 FF01 FG01 FH01 FJ01 FK01 FL02 GA01 GB02 GC01 GD01 GE01 HH01 HH03 HH05 HH07 HH09 HH12 HH14 HH15 HH17 JJ01 JJ03 JJ05 JJ07 KK01 KK03 KK05 KK07 MM01 NN33
Claims (11)
- 【請求項1】ガラス板の製造工程に連続して強化ガラス
板を製造する方法であって、強化ガラス板の製造の前処
理工程において、ガラス板を加熱することにより、ガラ
ス板中に硫化ニッケル(NiS)が含まれている場合
は、ガラス板中に含まれているα−NiS(α相)をβ
−NiS相(β相)に相転移させて、硫化ニッケルの体
積膨張により硫化ニッケル粒子の周囲にクラックを発生
させ、前記前処理工程に続く強化工程においてガラス板
を軟化点近くから急冷させることにより、ガラス板の表
面層に圧縮応力を発生させた後、発生する熱応力の差に
よってクラックを急速に伸展させ、ガラス板を強制的に
破損させて不良品を排除することを特徴とする強化ガラ
ス板の製造方法。 - 【請求項2】前記前処理工程は、温度範囲170℃〜3
50℃内の任意の温度に、50℃/分以下の昇温速度で
ガラス板を加熱することを特徴とする請求項1記載の強
化ガラス板の製造方法。 - 【請求項3】前記前処理工程は、温度範囲170℃〜3
20℃内の任意の温度に、3℃/分以下の昇温速度でガ
ラス板を加熱することを特徴とする請求項1記載の強化
ガラス板の製造方法。 - 【請求項4】前記昇温速度が3℃/分のとき、前記温度
範囲は、170〜320℃であり、 前記昇温速度が5℃/分のとき、前記温度範囲は、18
0〜320℃であり、 前記昇温速度が6℃/分のとき、前記温度範囲は、18
5〜325℃であり、 前記昇温速度が10℃/分のとき、前記温度範囲は、2
15〜340℃であり、 前記昇温速度が20℃/分のとき、前記温度範囲は、2
35〜345℃であり、 前記昇温速度が40℃/分のとき、前記温度範囲は、2
70〜350℃であり、 前記昇温速度が50℃/分のとき、前記温度範囲は、2
85〜350℃である、ことを特徴とする請求項2に記
載の強化ガラス板の製造方法。 - 【請求項5】前記クラックをさらに大きく伸展させるこ
とが要求される場合には、前記温度範囲内の任意の温度
にガラス板を、60分以内の一定時間さらに保持するこ
とを特徴とする請求項4記載の強化ガラス板の製造方
法。 - 【請求項6】前記ガラス板は、着色成分として少なくと
もセレン(Se)が添加されていることを特徴とする請
求項1〜5のいずれかに記載の強化ガラス板の製造方
法。 - 【請求項7】前記ガラス板は、着色成分として酸化第二
鉄(Fe2 O3 )が添加されていることを特徴とする請
求項1〜5のいずれかに記載の強化ガラス板の製造方
法。 - 【請求項8】前記ガラス板は、着色成分としてセリウム
(Ce)および/またはその他の成分が添加されている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の強化
ガラス板の製造方法。 - 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法
によって製造された強化ガラス板。 - 【請求項10】請求項9に記載の強化ガラス板により作
られた建築用ガラス板。 - 【請求項11】請求項9に記載の強化ガラス板により作
られた自動車用ガラス板。
Priority Applications (9)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19123398A JP2000026130A (ja) | 1998-07-07 | 1998-07-07 | 強化ガラス板の製造方法 |
CNB998010790A CN1159240C (zh) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | 风冷强化玻璃板的制造方法 |
US09/486,974 US6609394B1 (en) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | Method for producing air-quench-toughened glass plate |
EP20030027756 EP1413557A1 (en) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | Method for producing air-quench-touchende glass plate |
EP99926943A EP1018490A4 (en) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | METHOD FOR PRODUCING AIR-TEMPERED GLASS PANELS |
CA002302544A CA2302544A1 (en) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | Method for producing air-quench toughened glass plate |
PCT/JP1999/003631 WO2000001627A1 (fr) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | Procede permettant de produire une plaque de verre trempe refroidi a l'air |
KR1020007002288A KR100661762B1 (ko) | 1998-07-07 | 1999-07-06 | 풍냉 강화 유리판의 제조방법 |
US10/461,754 US7213415B2 (en) | 1998-07-07 | 2003-06-13 | Method for producing air-quench-toughened glass plate |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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-
1998
- 1998-07-07 JP JP19123398A patent/JP2000026130A/ja active Pending
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