JP2000024569A - 多層塗工装置 - Google Patents

多層塗工装置

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JP2000024569A
JP2000024569A JP10193295A JP19329598A JP2000024569A JP 2000024569 A JP2000024569 A JP 2000024569A JP 10193295 A JP10193295 A JP 10193295A JP 19329598 A JP19329598 A JP 19329598A JP 2000024569 A JP2000024569 A JP 2000024569A
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祐史 笹野
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Yoshihisa Mori
佳久 森
Tomohiro Yoneda
知弘 米田
Yoshitoshi Mitani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 各層の厚み調整が容易にできて、気泡等の発
生を防いで高速でムラを発生することなく、塗工できる
多層塗工装置を提供する。 【解決手段】 バッキングロール12の下方に、第1ノ
ズルヘッド14を配し、この出口から第1の塗工液を圧
力をかけて噴出してバッキングロール12に支持されて
走行されるウエブFに塗工し、第1ノズルヘッド14か
ら間隔を置いてバッキングロール12に対向して、第2
ノズルヘッド15を配し、この噴出口から第2の塗工液
を圧力をかけて噴出して前記第1の塗工液の上に塗工す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウエブに塗工液を
複数層連続塗工する多層塗工装置に関し、より詳細に
は、バッキングロールの周囲に複数のリップ型のノズル
ヘッドを間隔をおいて配して多数層の塗工層を形成する
多層塗工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、バックアップロールに支持されて
連続搬送されるウエブに多層塗工する装置としては、ス
ライド型塗工装置や、リップ型塗工装置等が知られてい
る。いわゆるスライド型多層塗工装置は、塗工液を噴出
する複数のスロットと、噴出した塗工液をバッキングロ
ールに支持されて搬送されるウエブ面に供給するスライ
ド面とを備え、各スロットから塗工液をスライド面に供
給し、スライド面に沿って流すことにより、スライド面
で塗工液を順次下方へ積層し、連続搬送されるウエブ面
に同時に多層塗工する。
【0003】また、いわゆるリップ型塗工装置はノズル
ヘッド又はダイのバッキングロールの対向面(リップ
面)に塗工液を供給する複数のスロットを形成し、各ス
ロットから塗工液をリップ面に供給することにより、前
方から順次、連続搬送されるウエブの面から上層へ積層
し、連続搬送されるウエブに同時に多層塗工する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のような塗工装置
による多層塗工は、各層の塗工厚の調整が困難であり、
高速では気泡等が発生して厚く塗工するのが困難である
と共に、塗工時に殆ど剪断力をかけることができず塗工
精度が悪かった。具体的には、スライド型塗工装置で
は、層毎に特定の粘度とか特殊な物性を持った塗工液を
選ぶ必要があり、塗工速度又は塗工製品の用途が制限さ
れると共に、塗工厚ムラが発生した。また、上記リップ
型塗工装置では、リップ面とウエブとの間隙調整、塗工
液物性の関連等との調節が困難であった。また、高速塗
工において、塗工液に気泡が発生したり、塗工厚ムラが
発生した。
【0005】本発明者は上述した問題に対処して創案し
たものであって、種々多層塗工装置の高速化について研
究し、塗工ヘッドを複数にして、間隔を置いて配置する
ことで、高速塗工でき、各層の厚み調整が容易にできる
ことを究明した。
【0006】本発明の目的とする処は、各層の厚み調整
が容易にできて、気泡等の発生を防いで高速でムラを発
生することなく、塗工できる多層塗工装置を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そして、上記目的を達成
するための手段としての本発明の請求項1の多層塗工装
置は、バッキングロールの下方に、第1ノズルヘッドを
配し、前記第1ノズルヘッドの出口から第1の塗工液を
圧力をかけて噴出してバッキングロールに支持されて走
行されるウエブに塗工し、前記第1ノズルヘッドから間
隔を置いてバッキングロールに対向して、第2ノズルヘ
ッドを配し、前記第2ノズルヘッドの噴出口から第2の
塗工液を圧力をかけて噴出して前記第1の塗工液の上に
塗工する多層塗工装置であって、前記第1ノズルヘッド
は、ヘッド本体とドクターエッジと蓋体とから構成し、
内部の幅方向に下液溜め室を設け、前記下液溜め室から
ドクターエッジの前方の前記出口に続く流出路を設け、
前記流出路の出口の周囲の前記ドクターエッジからその
前方にかけて、前記バッキングロールに対向する面に間
隙を残して、液溜め壁を立設し、前記バッキングロール
の下周面、前記液溜め壁及び前記ドクターエッジ前面と
により形成された部分を上液溜め室として前記流出路の
出口より前方に脹らまして前記流出路の容積より大きく
形成すると共に、前記ドクターエッジ下方部にスリット
を幅方向に伸ばして設け、前記スリットの隙間を調整す
る調整ボルトを前記スリットの長手方向に等間隔に複数
本、前記スリットに対して略直交して貫通するように設
け、前記第2ノズルヘッドは、第2ヘッド本体部と噴出
ヘッド部とから構成し、前記第2ヘッド本体部に塗工液
入口を設け、前記噴出ヘッド部に第2塗工液をウエブ面
に供給する噴出口を設け、前記噴出ヘッド部は突出して
バッキングロールに近設すると共に対向する面にリップ
面を形成し、前記噴出ヘッド部の内部に幅方向に伸ばし
て液溜部を設け、塗工液入口、液溜部、及び噴出口を導
通して塗工液流路を設けたことを特徴とする。
【0008】また、請求項2の多層塗工装置は、請求項
1の多層塗工装置において、前記第2ヘッド本体部は、
塗工液入口と、噴出ヘッド部を嵌合して複数のボルトで
固定するようにした凹面を設け、前記凹面に噴出ヘッド
部を固定して塗工液流路を連通させると共に、前記噴出
ヘッド部のリップ面は前方の上流側部を、後方の下流側
部より前記バッキングロールに対して段付に後退させる
と共に、前記上流側リップ部の前方端部におけるバッキ
ングロールの接線との角度を大きくし、前記第2ノズル
ヘッドは前記第1ノズルヘッドより低剪断で第2塗工液
を塗工する。
【0009】本発明の多層塗工装置は、第1ノズルヘッ
ドと第2ノズルヘッドを間隔を置いてバッキングロール
の周囲に配し、第1ノズルヘッドは、ヘッド本体とドク
ターエッジと蓋体とから構成し、前記ドクターエッジの
前方の本体に塗工液を供給する出口を設け、バッキング
ロールに対向する面に間隙を残して液溜め壁を立設し、
バッキングロールの下周面、前記液溜め壁及び前記ドク
ターエッジ前面とにより形成された部分を上液溜め室と
して前記塗工液の出口より前方に脹らまして前記流出路
の容積より大きく形成し、上液溜め室に塗工液を溜めて
塗工し、ドクターエッジ先端で塗工を均一にならす。第
2ノズルヘッドは、第2ヘッド本体部と噴出ヘッド部と
から構成し、前記第2ヘッド本体部の塗工液入口を設
け、前記噴出ヘッド部から第2塗工液をウエブ面に供給
する噴出口を設け、噴出ヘッド先端のリップ面で塗工液
を積層し、高速でムラなく塗工する。
【0010】本発明において、ウエブとは、金属ストリ
ップ、紙、フィルム、布、シート等の可撓性の帯状材を
意味する。流出路の容積とは、下液溜め室と出口間の流
出路の容積を意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら、
本発明を具体化した実施の形態について説明する。ここ
に、図1〜図5は本発明の一実施態様を示し、図1は本
発明に係る多層塗工装置を示す側面図、図2は第1ノズ
ルヘッドの圧力制御を行なうブロック図、図3は第2ノ
ズルヘッドの正面図、図4は図3のA−A線断面図、図
5は噴出ヘッド部の拡大図である。
【0012】(多層塗工装置10の構造の概略)多層塗
工装置10は、バッキングロール12に支持されて走行
されるウエブFに対向して、バッキングロール12の下
方に配置された第1ノズルヘッド14と、これと間隔を
置いて配置された第2ノズルヘッド15とを備えてい
る。
【0013】第1ノズルヘッド14は、概略、ヘッド本
体16とドクターエッジ18と蓋体22とから構成し、
第2ノズルヘッド15は、ノズル本体部52と噴出ヘッ
ド部54とから構成している。
【0014】そして、バッキングロール12に支持され
て走行されるウエブFに対向して、第1ノズルヘッド1
4から第1の塗工液が塗工され、続いて、この塗工層の
上に第1ノズルヘッド14と間隔を置いて配置された第
2ノズルヘッド15から第2塗工液が塗工される。
【0015】(第1ノズルヘッド14の構造)第1ノズ
ルヘッド14のヘッド本体16は、バッキングロール1
2と略同じ幅を有し、上部にドクターエッジ18が設け
られている。このドクターエッジ18は、縦断面形状が
円弧状に形成されたコンマ型をしている。ドクターエッ
ジ18の最先端とバッキングロール12とは間隙を持っ
て配置され、この間隙をウエブFが走行する。ヘッド本
体16の前面16aはフラットな面に形成され、この前
面16aに塗工液の供給口20が開口している。
【0016】ヘッド本体16のドクターエッジ18が設
けられた側と反対側の前方上流側には、蓋体22がボル
トにより着脱自在に取付けられている。蓋体22の後面
には、幅方向に凹部24によって第1ノズルヘッド14
内部の幅方向に伸びて下液溜め室26が形成される。下
液溜め室26の上部には流出路28が幅方向に第1液溜
め室26に連続して形成されている。この流出路28
は、垂直に上方に伸びて、ドクターエッジ18の前部と
第1ノズルヘッド14の前端部との間に形成された出口
28aに達している。そして、この出口28aの幅方向
の長さをウエブFの概略の塗工幅にしている。ウエブF
の塗工幅を変えるには、蓋体22の幅方向の長さを変化
させる。蓋体22の前面の上部に液溜め壁30を設け、
出口28aから供給された塗工液を貯えるようにしてい
る。
【0017】液溜め壁30は、蓋体22と略同じ幅を有
し、蓋体22の前面の上部にボルト31により着脱自在
に取付けられる。この液溜め壁30の上端とバッキング
ロール12の下端面の間には、ウエブFの走行用の間隙
が残されている。そして、液溜め壁30とドクターエッ
ジ18等により上液溜め室32が形成される。
【0018】上液溜め室32は、第1塗工液をウエブF
に塗工するように貯留する所で、ドクターエッジ18の
前面、蓋体22の上面、液溜め壁30の後面とによって
形成された空間と、この空間の両端面を第1ノズルヘッ
ド14の上面とバッキングロール12の下周面との間に
配された隔壁によって閉塞することにより形成されてい
る。この上液溜め室32の容積は、流出路28の出口2
8aより前方が脹らんだ状態になっていることにより、
流出路28の容積より大きくされている。隔壁は、第1
ノズルヘッド14の上面とバッキングロール12の下周
面との間を摺動自在に設けられている。また隔壁の底面
は幅方向に開口した流出路28の出口28aを閉塞でき
るように形成されている。
【0019】また、ヘッド本体16のドクターエッジ1
8の下方には、スリット36が設けられている。このス
リット36は、その一端がヘッド本体16の後上面に幅
方向に開口し、かつ、前方にいくほど下方に傾斜して設
けられている。また、スリット36と直交するように調
整ボルト38が幅方向に複数本等間隔に貫通している。
この調整ボルト38の端部は、第1ノズルヘッド14の
後面16bに臨んでおり、この後面16bから調整ボル
ト38の螺合具合を調整することによってスリット36
の幅を調整できる。スリット36の幅が変化することに
より、ドクターエッジ18の刃先が上下動して、上下に
それぞれ2〜3μmの幅で調整ができる。なお、幅方向
に複数個調整ボルト38が設けられていることから、上
下動させたい刃先の一番近い調整ボルト38で調整でき
る。さらに、第1ノズルヘッド14には、第1ノズルヘ
ッド14を保持する保持部材40が設けられている。
【0020】保持部材40は、第1ノズルヘッド14の
下方に設けられ、サーボモータ、エアーシリンダ、油圧
シリンダ等の位置調整用の駆動手段に連結されている。
保持部材40に保持されて第1ノズルヘッド14は、バ
ッキングロール12に対して接近、離反できるようにさ
れている。駆動手段は駆動により、第1ノズルヘッド1
4の中央部に設けられ、端部の位置をバッキングロール
12の中心方向にそれぞれ20〜30μmの幅で調整す
る。また、保持部材40の下方にはスケール保持部材が
配され、このスケール保持部材は位置計測用スケールを
内蔵し、第1ノズルヘッド14のバッキングロール12
に対する位置を検出する。
【0021】第1塗工液の塗工厚を測定する第1厚み測
定装置90が、第1ノズルヘッド14と第2ノズルヘッ
ド15との間のウエブFの走行路に設けられている。厚
み測定装置90の種類としては、β線厚み計、赤外線厚
み計等が使用される。この厚み測定装置90で測定した
厚み信号を制御装置のマイコン48に出力し、マイコン
48で厚みの設定値と比較し、後述するように、第1塗
工液の供給量、供給圧力、バッキングロール12とドク
ターエッジ18の間隙等を調節して塗工厚みが設定値に
なるように制御する。
【0022】また、マイコン48は、図示しないバッキ
ングロール12のモータ回転計、ギャップセンサ等に接
続され、バッキングロール12の回転、バッキングロー
ル12とドクターエッジ18の左右方向の所定位置にお
けるギャップの検出信号が入力されるようにされてい
る。
【0023】第1塗工液の供給量、供給圧力を制御する
第1ポンプ46は、ヘッド本体16の第1塗工液の供給
口に接続されている。このポンプ46は、マイコン48
に接続され、マイコン46からの動作信号DSによって
制御され、塗工液の供給量及び供給圧力を調節してい
る。第1塗工液の供給圧力は上液溜め室32の内圧を圧
力計49で測定して検出している。この圧力計49はマ
イコン48に接続され、測定した圧力を電気信号である
圧力信号ASによってマイコン48へ出力する。
【0024】(第1ノズルヘッド14の制御方法) (1) 第1の制御系統 まず、第1の制御系統について説明する。
【0025】第1塗工液の塗工厚みを制御する方法とし
ては,塗工厚は供給される塗工液の量によって決定され
るという原則に基づいて、供給量、供給圧力を制御して
行なう。
【0026】すなわち、この第1ポンプ46の単位時間
当りの吐出量はライン速度と塗工幅と塗工厚の積、すな
わち塗工量の体積によって決定される。なお、この場合
の塗工厚はウェット状態の塗工厚である。また、単位時
間当りの塗工液の吐出量はポンプ46の回転数によって
決定される。したがって、第1ポンプ46の必要な回転
数N(rpm)は、(1) 式によって決定される。
【0027】 N= D×W×V/K1 ×Q …… (1) 但し、Dはウェットの塗工厚(mm)、Wは塗工幅(m
m)、Vはライン速度(m/分)、Qはポンプ46の1
回転当りの吐出量(cc/REV)、K1 は定数である。
【0028】Qはポンプ46のポンプ形式が決まれば定
数と考えることができるので、(1)式は、 N= D×W×V/K2 …… (2) のようになる。
【0029】但し、K2 =K1 ×Qである。
【0030】したがって、ウェットの塗工厚Dと塗工幅
Wをマイコン48に数値入力し、バッキングロール12
のライン速度VをA/D変換器を介してマイコン48に
入力すれば、マイコン48は(2) 式によって求めたポン
プ回転数Nになるようにポンプ46の回転用モータを制
御する。
【0031】これにより、ライン速度Vの変化にポンプ
46の回転数が自動的に追従して、常に同じ塗工厚及び
同じ塗工幅で塗工液を塗工することができる。
【0032】(2) 第2の制御系統 次に、第2の制御系統について説明する。
【0033】塗工作業中には塗工厚や塗工幅の変更はな
いと考えられているため、(2) 式における塗工厚Dと塗
工幅Wは定数と考えられる。したがって、(2) 式は、 N=K3 ×V …… (3) のように表される。但し、K3 =D×W/K2 である。
【0034】ところで、塗工厚Dにおいて、全塗工幅に
対してその平均値Dp を、厚み測定装置90から求める
と上記定数K3 は下記のように与えられる。
【0035】 K3 =Ds /Dp ×K0 …… (4) 但し、Ds は設定塗工厚及びK0 は定数である。
【0036】(4) 式で求めたK3 を(3) 式に代入するこ
とにより、設定塗工厚に対応するポンプ46の回転数が
(5) 式のようになる。
【0037】 N= Ds ×V×K0 /Dp …… (5) これにより、ライン速度Vの変化にポンプ46の回転数
が自動的に追従して、常に同じ塗工厚及び同じ塗工幅で
塗工液を塗工することができる。
【0038】さらに、塗工厚みの制御をドクターエッジ
18とバッキングロール12との間隙を調節して行なう
制御としては、幅方向の塗工厚みを第1厚み測定装置9
0によりn区画して測定すると共に、ギャップセンサが
ドクターエッジ18とバッキングロール12の間隙を測
定し、マイコン48に記憶させる。これらのn区画部の
それぞれの平均塗工厚をノズルの左側よりD1 (t) ,D
2 (t) …Dn-1(t)、Dn (t) としてマイコン48が記憶
する。
【0039】そして、一定時間毎に入力するD1 (t) 、
D2 (t) …Dn-1(t)、Dn (t) に応じて、マイコン48
が下記の(6) 〜(8) 式の計算を行なって、ドクターエッ
ジ18左側とバックアップロール12左側との間隙をG
L (t) 、ドクターエッジ18右側とバックアップロール
12右側との間隙をGR (t) 、ドクターエッジ18中央
部とバックアップロール12中央部との間隙をGC (t)
を求める。
【0040】 GL (t) =GL (t-1) +{(D2 (t) +Dn-1(t))/2−D2 (t) }×K4 …… (6) GR (t) =GR (t-1) +{(D2 (t) +Dn-1(t))/2−D6 (t) }×K4 …… (7) GC (t) =GC (t-1) +{(D2 (t) +Dn-1(t))/2−D4 (t) }×K4 …… (8) 但し、GL (t-1) 、GR (t-1) 及びGC (t-1) は、一定
時間前の(6) 〜(8) 式によって求めたドクタエッジ18
とバッキングロール12の間隙である。また、K4 は塗
工係数である。
【0041】マイコン48は、GL (t) 、GR (t) 、G
C (t) になるように、一定時間毎にギャップを測定し、
ギャップモータを駆動して、ドクタエッジ18とバッキ
ングロール12の間隙を補正する。
【0042】これにより、常にウエブFの幅方向の塗工
厚が制御され、塗工厚にむらができたりすることがな
い。この場合において、幅方向のn区画のnの数はウエ
ブFの幅にもよるが3以上が好ましい。厚みの精度を良
くするには多い方が好ましいが、ウエブFの幅により選
べばよい。また、塗工厚の制御をポンプ46の回転数調
節や保持部材40の位置調節を併せて行なうことによ
り、より精度のよい塗工厚み調節ができる。
【0043】このようにして、第1ノズルヘッド14で
第1塗工液は、厚みを制御されてウエブFに塗工された
後、続いて、第1塗工液の層に積層されて第2ノズルヘ
ッド15で第2塗工液が塗工される。
【0044】(第2ノズルヘッド15の構造)第2ノズ
ルヘッド15は、第1ノズルヘッド14と間隔を置いて
配置され、ノズル本体部52と噴出ヘッド部54と支持
部材56で形成されている。そして、第2ノズルヘッド
15で、バッキングロール12に支持されて第1ノズル
ヘッド14で第1塗工液が塗工されて走行されてくるウ
エブFの塗工層の上に第2塗工液が塗工される。
【0045】第2ノズルヘッド15のノズル本体部52
は、前部ボデイ58と後部ボデイ60とを複数のボルト
62で着脱自在に螺着して構成している。
【0046】前部ボデイ58には、第2塗工液を第2ノ
ズルヘッド15に供給する供給口64を設けると共に、
供給口64に導通したマニホールド66を幅方向に伸ば
して設けている。前部ボデイ58と後部ボデイ60との
界面に、マニホールド66に導通した流路68が設けら
れている。前部、後部の各ボデイ58、60の先端面
(バッキングロールに対向する面)にはそれぞれ係合突
起70,72が設けられ、係合突起70,72間に凹面
74が形成されている。そして、この凹面74に噴出ヘ
ッド部54が嵌合され、複数本のボルト76を係合突起
70,72に螺合して締め付けることにより、ノズル本
体部52と噴出ヘッド部54とを着脱可能に一体化して
いる。
【0047】噴出ヘッド部54は、前部ヘッド54aと
後部ヘッド54bが合わされて構成され、ノズル本体部
52の凹面74に嵌合する底部とバッキングロール12
に向かって突出した先端部80が形成され、内部に液溜
82が設けられている。先端部80の先端に噴出口84
が設けられ、噴出口84から液溜82を経てノズル本体
部52の流路68に導通する塗工液流路86が設けられ
ている。
【0048】噴出ヘッド部54の噴出口84より前方
(走行上流側)の、前方リップ面88aと噴出口84を
形成する壁は、後方リップ面88bと後方の壁よりバッ
キングロール12周面から離れた段付に形成され、第2
塗工液を噴出口84の前方により多く保持するようにし
ている。また、噴出口84前方のバッキングロール12
に対向する前方リップ面88aの傾斜は、バッキングロ
ール12の接線とのなす角度で、噴出口84後方の後方
リップ面88bがなす角度より大きくされている。その
結果、低剪断力で第2塗工液を第1塗工液層の上に積層
できる。
【0049】第2ノズルヘッド15の支持部材56は、
第1ノズルヘッド14の保持部材40と同様に構成さ
れ、サーボモータ、エアーシリンダ、油圧シリンダ等の
位置調整用の駆動手段に連結されている。この駆動手段
は、バッキングロール12の半径方向に配され、第2ノ
ズルヘッド15をバッキングロール12に対して中心方
向にそれぞれ2〜30μmの幅で調整する。また、支持
部材56にはスケール保持部材が配され、このスケール
保持部材は変位計測用スケールを内蔵し、支持部材56
の変位を検出する。そして、第2ノズルヘッド15にお
ける塗工厚みの調節は、第1塗工層の上に塗工された第
2塗工層の厚みが設定値になるように、第2ノズルヘッ
ド15の噴出口84の前後の各リップ面88a、88b
とバッキングロール12の周面との間隙の大きさ、第2
塗工液の供給圧力等を調節することにより行う。第2塗
工層としては、第1塗工液の厚みの5〜30%で、数μ
m〜数十μmの厚みに積層する。
【0050】また、第2ノズルヘッド15における第2
塗工液の供給は、第1ノズルヘッド14における場合と
略同様に行なわれる。第2塗工液の供給口64に接続さ
れて第2ポンプ100が設けられ、この第2ポンプ10
0は、マイコン48からの動作信号によって制御され、
第2塗工液の供給圧力を調節している。塗工液の供給圧
力は液溜82の内圧を圧力計102で測定して検出して
いる。この圧力計102は測定した圧力を電気信号であ
る圧力信号によってマイコン48へ出力する。また、2
層目の塗工した後の塗工層厚を測定する厚み測定装置9
2を、ウエブFの第2ノズルヘッド15以降の走行路に
設けている。この厚み測定装置92で測定した厚み信号
をマイコン48に出力し、マイコン48で厚みの設定値
と比較し、第1塗工層の厚みと同様に、第2ノズルヘッ
ド15の先端部80とバッキングロール12の間隙、又
は塗工液の供給圧力を調節して設定値になるように制御
する。
【0051】(多層塗布装置10の作動状態)次に、多
層塗布装置10の作動状態について説明する。
【0052】多層塗工装置10のウエブFへの第1塗工
液の厚みは、バッキングロール12とドクターエッジ1
8の間隙と、上液溜め室32の内圧によって決定され
る。第2塗工液の塗工厚みは、第2塗工液の供給量の調
節と、リップ面とウエブF表面との間隙の大きさによっ
て調節する。ウエブFをバッキングロール12とドクタ
ーエッジ18の間隙に走行させる。第1塗工液は、第1
ポンプ46から下液溜め室26において第1ノズルヘッ
ド14の幅方向に拡散して流出路28を経て出口28a
から上液溜め室32の内部へ均一に噴出し、上液溜め室
32内部を一定の圧力(以下、基準圧力という)に保持
する。この基準圧力は、第1塗工液が上液溜め室を満た
した状態で、かつ液溜め壁30とバッキングロール12
との間隙からオーバーフローしないように設定してお
く。
【0053】そして、ウエブFは、第1塗工液が満たさ
れた上液溜め室32を通過してドクターエッジ18まで
走行し、ドクターエッジ18の刃先による線圧によって
塗工液が塗工される。この場合に、塗工液が狭い流出路
28を通過することにより塗工液の圧力が均一化され、
また、上液溜め室32は流出路28の出口28aより前
方に脹らまして流出路28の容積より大きく形成してい
るため、上液溜め室32内部を大気の圧力より高い基準
圧力に保持し易く、そのため、ウエブFが液溜め壁30
とバッキングロール12との間隙から上液溜め室32に
搬送される際に上液溜め室32に空気が侵入することが
なく、塗工層に気泡が生じることがない。
【0054】しかも、第1ノズルヘッド14のドクター
エッジ18はコンマ型であるため、この刃先に接近する
ほど上液溜め室32の容積が次第に小さくなっており、
それにともなってウエブFにかかる圧力は次第に高くな
り、また、圧力の調整により第1塗工液を上液溜め室3
2外にオーバーフローさせない構造としている。このた
め、ウエブFの移動に伴う塗工液の同伴流と流出路28
の出口28aからの塗工液の噴射流は、同じ方向の旋回
流となって不安定な流れとなることがない。よって、ド
クターエッジ18に達する前のウエブF表面にある塗工
液の量が幅方向で変化することがなく、ウエブFへの塗
工量が幅方向でムラを発生することがない。
【0055】第1ノズルヘッド14が、幅方向に撓んだ
等により幅方向の塗工厚が設定厚からずれた場合には、
保持部材40の駆動手段によって第1ノズルヘッド14
の中央部、左右側部を上下方向に変位させて、塗工厚を
補正する。マイコン48は、各種の測定値も入力するの
で、第1厚み測定装置90で測定した第1塗工層厚が設
定値から外れた場合、マイコン48はこの主な要因が第
1ポンプ46の回転数に基づくものかギャップの変化に
基づくものなのか、一定時間前のそれぞれの測定値と比
較し、それらが変化したものであればその変化したもの
を調節できる。
【0056】続いて、ウエブFは、バッキングロール1
2に走行されて、第1ノズルヘッド14から間隔を置い
て配された第2ノズルヘッド15で、第1の塗工液層の
上に第2の塗工液が積層される。第2ノズルヘッド15
の噴出ヘッド部54は、噴出口84を挟んで、前方に前
方リップ面88aを形成し、後方に後方リップ面88b
を形成している。供給口64に圧送された第2塗工液は
マニホールド66で幅方向に均一に分散され、流路68
から噴出部54の流路86を通って液溜82で圧力を均
一にされて噴出口84から、前方リップ面88a、後方
リップ面88bに供給され、ウエブFの第1塗工液層の
上に塗工される。このとき、ウエブFに対向する面は、
単に前方リップ面88a、後方リップ面88bが形成さ
れているだけなので、低剪断力で第2塗工液を塗工でき
る。従って、塗膜の厚みのムラは小さくできる。
【0057】第1塗工液の上液溜め室32での内圧が第
1ポンプ46の回転ムラや塗工液の粘度の変化、液温度
の変化等の外部の要因等で基準圧力より上昇すると、圧
力計からの圧力信号ASによって内圧が上昇したことを
マイコン48に伝達する。マイコン48は、動作信号D
Sによって第1ポンプ46の塗工液を圧送する圧力を下
げる。圧送の圧力が下がると、上液溜め室32の内圧が
下がって元の圧力になる。逆に、上液溜め室32の内圧
が基準圧力より下がると、マイコン48は第1ポンプ4
6の塗工液を圧送する圧力を上げて上液溜め室32の内
圧を上昇させる。
【0058】そして、ドクターエッジ18の刃先は、調
整ボルト38によって、上下にそれぞれ2〜3μm変化
させて刃先のうねりを微調整することにより、直線に近
付ける。このうねりの大きさや調整の変化量は、塗工し
たウエブFの塗工厚さを厚み測定装置90で測定して、
塗工液が幅方向に均一に塗工されたかどうかを確認す
る。幅方向の厚みにムラある場合には、第1ドクターエ
ッジ14のドクターエッジ18の刃先の直線を調節す
る。第2ドクターエッジでの厚みムラの調節は、リップ
面88bとウエブFとの間隙を均一にすればよい。
【0059】第1ヘッド本体16より蓋体22を取外す
と、第1ヘッド本体16はフラットな面に形成されてい
るため、前面18aに付着した塗工液やゴミ等の掃除が
し易い。また、第1ヘッド本体16に取付ける蓋体22
の幅を変化させると、流出路28の出口の出口28aの
幅が変化してウエブFの塗工幅を変化させることができ
る。さらに隔壁34を幅方向に摺動させることにより出
口28aの幅を変えてウエブF塗工幅を変化させること
ができる。
【0060】第2ノズルヘッド15とバッキングロール
12との間隙が幅方向で偏位し、塗工厚みにムラが生じ
た場合には、取付ボルト76の締め付けを調整してその
ボルト近辺の間隙を調整する。第2塗工液層の厚みの調
節は、先ず、支持部材56を駆動手段により進退させて
第2ノズルヘッド15の位置を変えることにより、バッ
キングロール12と噴出ヘッドのリップ面との間隙を調
節する。又は、ギャップモータを設け、このギャップモ
ータを駆動して噴出ヘッドのリップ面との間隙を調節す
る。
【0061】(変更例)なお、本発明は、上述した実施
態様に限定されるものでなく、本発明の主旨を変更しな
い範囲内で変形実施できるものを含む。
【0062】因みに、上述においては、第1ノズルヘッ
ド及び第2ノズルヘッドはそれぞれ1層を塗工する例で
示したが、一方又は両方を複数の塗工液を塗工する構造
としてもよい。このように、複数のノズルヘッドを用い
ると、それだけ層の調整が容易になり、層厚の均一化が
できる。また、図では第1ノズルヘッドと第2ノズルヘ
ッドの配置をバッキングロールの下方から中心線を通る
線で略90°離して配置した態様で示したが、この位置
に限らないことは勿論である。
【0063】また、第1塗工層の厚みの制御をバッキン
グロール12とドクターエッジ18の間隙をギャップセ
ンサで測定すると共に、幅方向の塗工厚みを計算して設
定値になるようにギャップモータを制御して行なう例で
示したが、第1ノズルヘッド14の位置を、保持部材4
0の駆動手段の駆動により調節してもよい。この場合、
第1ノズルヘッド14の位置を位置計測用スケールで測
定して、設定塗工厚を維持するように位置を調節する。
【0064】
【発明の効果】本発明の請求項1の多層塗工装置は、第
1ノズルヘッドと第2ノズルヘッドとを間隔を置いて配
置したので、各ノズルヘッド毎の調節ができて層の厚み
調整が容易でムラを防いで精度を良くでき、高速で塗工
できる。また、ウエブの第1ノズルヘッドでの塗工量
は、塗工液が満たされた上液溜め室を通過してドクター
エッジの刃先による線圧によって決まる。この場合に、
上液溜め室は流出路の出口より前方に脹らまして流出路
の容積より大きく形成しているため、その内部を大気の
圧力より高い基準圧力に保持し易く、上液溜め室内部に
空気が侵入することがなくなり、気泡が生じることを防
げる。第2ノズルヘッドでの塗工量は、リップ面とウエ
ブとの間隙によって決まるので、リップ面とウエブとの
間隙、即ち剪断圧力を調節して塗工厚みを調節できる。
【0065】また、請求項2の発明によれば、請求項1
の発明において、第1ノズルヘッドで精度良く塗工し、
その上に第2ノズルヘッドで塗工するから、第2ノズル
ヘッドで低剪断力で塗布しても、ムラを防いで精度を良
く塗膜を形成でき、装置を安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多層塗工装置を示す側面図であ
る。
【図2】第1,2ノズルヘッドの圧力制御を行なうブロ
ック図である。
【図3】第2ノズルヘッドの正面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】噴出ヘッドの拡大図である。
【符号の説明】
10・・・多層塗工装置 12・・・バッキングロール 14・・・第1ノズルヘッド 15・・・第2ノズルヘッド 16・・・第1ヘッド本体 18・・・ドクターエッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上北 廣一 奈良県北葛城郡河合町大字川合101番地の 1 株式会社ヒラノテクシード内 (72)発明者 森 佳久 奈良県北葛城郡河合町大字川合101番地の 1 株式会社ヒラノテクシード内 (72)発明者 米田 知弘 奈良県北葛城郡河合町大字川合101番地の 1 株式会社ヒラノテクシード内 (72)発明者 三谷 恵敏 奈良県北葛城郡河合町大字川合101番地の 1 株式会社ヒラノテクシード内 Fターム(参考) 4F041 AA12 AB01 BA05 BA13 BA35 BA43 BA57 CA02 CA12 CA13 CA16 CA22 4F042 AA22 BA02 BA08 BA10 CA09 CB07 CB10 DD04 ED02 ED04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】バッキングロールの下方に、第1ノズルヘ
    ッドを配し、前記第1ノズルヘッドの出口から第1の塗
    工液を圧力をかけて噴出してバッキングロールに支持さ
    れて走行されるウエブに塗工し、前記第1ノズルヘッド
    から間隔を置いてバッキングロールに対向して、第2ノ
    ズルヘッドを配し、前記第2ノズルヘッドの噴出口から
    第2の塗工液を圧力をかけて噴出して前記第1の塗工液
    の上に塗工する多層塗工装置であって、 前記第1ノズルヘッドは、 ヘッド本体とドクターエッジと蓋体とから構成し、内部
    の幅方向に下液溜め室を設け、 前記下液溜め室からドクターエッジの前方の前記出口に
    続く流出路を設け、 前記流出路の出口の周囲の前記ドクターエッジからその
    前方にかけて、前記バッキングロールに対向する面に間
    隙を残して、液溜め壁を立設し、 前記バッキングロールの下周面、前記液溜め壁及び前記
    ドクターエッジ前面とにより形成された部分を上液溜め
    室として前記流出路の出口より前方に脹らまして前記流
    出路の容積より大きく形成すると共に、 前記ドクターエッジ下方部にスリットを幅方向に伸ばし
    て設け、 前記スリットの隙間を調整する調整ボルトを前記スリッ
    トの長手方向に等間隔に複数本、前記スリットに対して
    略直交して貫通するように設け、 前記第2ノズルヘッドは、 第2ヘッド本体部と噴出ヘッド部とから構成し、 前記第2ヘッド本体部に塗工液入口を設け、前記噴出ヘ
    ッド部に第2塗工液をウエブ面に供給する噴出口を設
    け、 前記噴出ヘッド部は突出してバッキングロールに近設す
    ると共に対向する面にリップ面を形成し、 前記噴出ヘッド部の内部に幅方向に伸ばして液溜部を設
    け、 塗工液入口、液溜部、及び噴出口を導通して塗工液流路
    を設けたことを特徴とする多層塗工装置。
  2. 【請求項2】前記第2ヘッド本体部は、塗工液入口と、
    噴出ヘッド部を嵌合して複数のボルトで固定するように
    した凹面を設け、前記凹面に噴出ヘッド部を固定して塗
    工液流路を連通させると共に、 前記噴出ヘッド部のリップ面は前方の上流側部を、後方
    の下流側部より前記バッキングロールに対して段付に後
    退させると共に、前記上流側リップ部の前方端部におけ
    るバッキングロールの接線との角度を大きくし、 前記第2ノズルヘッドは前記第1ノズルヘッドより低剪
    断で第2塗工液を塗工することを特徴とする請求項1に
    記載の多層塗工装置。
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