JP2000021957A - 試料加熱装置 - Google Patents

試料加熱装置

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JP2000021957A
JP2000021957A JP18669998A JP18669998A JP2000021957A JP 2000021957 A JP2000021957 A JP 2000021957A JP 18669998 A JP18669998 A JP 18669998A JP 18669998 A JP18669998 A JP 18669998A JP 2000021957 A JP2000021957 A JP 2000021957A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】加熱、冷却の繰り返しに伴う熱サイクルによっ
てセラミックヒータ2とセラミック筒状支持体12との
接合部10にクラックが発生することを防止する。 【解決手段】抵抗発熱体4を埋設してなる板状セラミッ
ク体3の一方の主面を試料Wの載置面5とし、他方の主
面に上記抵抗発熱体4と電気的に接続された給電端子6
を有するセラミックヒータ4の上記他方の主面に、前記
給電端子6を包囲するようにセラミック筒状支持体12
を焼結により接合一体化するとともに、上記セラミック
筒状支持体12との接合部10の外周縁及び/又は内周
縁に沿って環状溝2aを刻設して試料加熱装置1を構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマCVD、
減圧CVD、光CVD、スパッタリングなどの成膜装置
やプラズマエッチング、光エッチング等のエッチング装
置において、半導体ウエハ等の試料を保持した状態で各
種処理温度に加熱する試料加熱装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体装置の製造工程において、
プラズマCVD、減圧CVD、光CVD、スパッタリン
グなどの成膜装置や、プラズマエッチング、光エッチン
グなどのエッチング装置では、試料となる半導体ウエハ
(以下、ウエハと称す。)を保持しつつ各種処理温度に
加熱するために試料加熱装置が使用されている。
【0003】例えば、図7に従来の試料加熱装置を真空
処理室内に取り付けた状態を示すように、20はプロセ
スガスを供給するためのガス供給孔21と真空引きする
ための排気孔22を備えた真空処理室で、該真空処理室
20内にはセラミックヒータ32とセラミック筒状支持
体42とからなる試料加熱装置31が設置されている。
この種のセラミックヒータ32は、円盤状をなし上下面
が平滑かつ平坦に形成された板状セラミック体33から
なり、該板状セラミック体33中には抵抗発熱体34を
埋設するとともに、一方の主面をウエハWの載置面35
とし、他方の主面には上記抵抗発熱体34と電気的に接
続された給電端子36が接合されている。また、上記板
状セラミック体33の他方の主面には、前記給電端子3
6を包囲するようにセラミック筒状支持体42がガラス
接合でもって接合一体化され、給電端子36へ接続され
るリード線37を真空処理室20外へ取り出すようにな
っていた(特開平4−78138号公報参照)。
【0004】そして、この試料加熱装置31によりウエ
ハWに成膜やエッチング等の処理を施すには、まず、真
空処理室20内を真空状態とするとともに、セラミック
ヒータ32の載置面35にウエハWを載せ、給電端子3
6に通電して抵抗発熱体34を発熱させることによりウ
エハWを400℃以上の設定温度まで加熱し、この状態
でガス供給孔21よりデポジッション用ガスやエッチン
グ用ガスなどのプロセスガスを真空処理室20内へ導く
ことで、ウエハWに各種処理を施すようになっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記セラミ
ックヒータ32の発熱によって試料加熱装置31に室温
域(25℃)から400℃以上の温度範囲で繰り返し熱
サイクルが加わると、セラミックヒータ32とセラミッ
ク筒状支持体42との接合部における気密性が損なわれ
るため、真空処理室20内の真空度が低下し、その結
果、成膜精度やエッチング精度に悪影響を与えるといっ
た課題があった。
【0006】即ち、試料加熱装置31は大型で構造が複
雑であるためにセラミックヒータ32とセラミック筒状
支持体42とを一体物として成形、焼成して製作するこ
とは難しく、両者を個別に製作したのちガラス接合によ
って一体的に接合してあるのであるが、セラミックヒー
タ32と接合部40及びセラミック筒状支持体42と接
合部40との間にはそれぞれ接合界面が存在するととも
に、セラミックヒータ32とセラミック筒状支持体42
との間には熱伝達特性の異なるガラスが介在することか
ら、これらの接合界面には熱応力が集中し易く、その結
果、繰り返し加わる熱応力によって接合部40にクラッ
クが発生することを防ぐことができなかった。
【0007】また、成膜装置やエッチング装置では、デ
ポジッション用ガス、エッチング用ガス、あるいはクリ
ーニング用ガスとして腐食性の高いハロゲン系ガスが使
用されているのであるが、接合部40がガラスからなる
ために上記ハロゲン系ガスに曝されると腐食摩耗し易
く、短期間のうちに気密性が損なわれるとともに、この
腐食摩耗により発生した摩耗粉がウエハWへの処理精度
に悪影響を与えるといった課題もあった。
【0008】しかも、ガラス接合ではせいぜい400℃
程度の温度域までしか使用に耐えられず、近年要求され
ている600℃以上の温度域での処理には対応すること
が出来なかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、第1の発明は、抵抗発熱体を埋設してなる板
状セラミック体の一方の主面を試料の載置面とし、他方
の主面に上記抵抗発熱体と電気的に接続された給電端子
を有するセラミックヒータと、上記給電端子を包囲する
ように前記セラミックヒータの他方の主面に気密に接合
一体化され、上記セラミックヒータを真空処理室内に設
置するセラミック筒状支持体とからなる試料加熱装置に
おいて、上記セラミックヒータの他方の主面のうち、上
記セラミック筒状支持体との接合部の外周縁及び/又は
内周縁に沿って環状溝を刻設したことを特徴とする。
【0010】また、第2の発明は、抵抗発熱体を埋設し
てなる板状セラミック体の一方の主面を試料の載置面と
し、他方の主面に上記抵抗発熱体と電気的に接続された
給電端子を有するセラミックヒータと、上記給電端子を
包囲するように前記セラミックヒータの他方の主面に気
密に接合一体化され、上記セラミックヒータを真空処理
室内に設置するセラミック筒状支持体とからなる試料加
熱装置において、上記セラミックヒータの他方の主面の
中央に凸状部を設け、該凸状部に上記セラミック筒状支
持体を接合するようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0012】図1は本発明の試料加熱装置を真空処理室
に取り付けた状態を示す断面図、図2は試料加熱装置の
みを示す斜視図、図3は試料加熱装置の分解図である。
【0013】図1において、20はプロセスガスを供給
するためのガス供給孔21と真空引きするための排気孔
22を備えた真空処理室で、該真空処理室20内にはセ
ラミックヒータ2とセラミック筒状支持体12とからな
る試料加熱装置1を設置してある。このセラミックヒー
タ2は、図2に示すように円盤状をなし上下面が平滑な
板状セラミック体3からなり、その大きさとしてはウエ
ハWのサイズにもよるが外径150〜350mm、厚み
8〜25mm程度のものを用いることができる。また、
板状セラミック体3中にはタングステンやモリブデンあ
るいは白金等の金属からなる抵抗発熱体4を埋設してあ
り、一方の主面をウエハWの載置面5とするとともに、
他方の主面には上記抵抗発熱体4と電気的に接続される
給電端子6を接合してある。なお、本発明において主面
とは、板状セラミック体3のうち最も広い表面のことで
あり、他方の主面とは、一方の主面と反対側の表面のこ
とを言う。
【0014】また、上記板状セラミック体3の中心には
熱電対等の温度検出手段8が内蔵してあり、載置面5の
温度を検出するようになっている。
【0015】そして、上記板状セラミック体3の他方の
主面には、給電端子6及び温度検出手段8のリード線9
を包囲するように円筒状をしたセラミック筒状支持体1
2が焼結によって気密に接合一体化してあり、給電端子
6及び温度検出手段8へ接続されるリード線7,9を真
空処理室20外へ取り出すようになっている。
【0016】ここで、セラミックヒータ2を構成する板
状セラミック体3及びセラミック筒状支持体12として
は、緻密で耐熱性、耐蝕性、さらには耐プラズマ性に優
れたセラミックスにより形成することが必要であり、こ
のようなセラミックスとしては窒化珪素、サイアロン、
窒化アルミニウム、窒化硼素を主成分とする窒化物系セ
ラミックスを用いることができる。これらの中でも特に
窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスは、他の
セラミックスと比較して高い熱伝導率を有することか
ら、急速昇温が可能であるとともに、腐食性の高いハロ
ゲン系ガスやプラズマに対して優れていることから好適
である。
【0017】また、板状セラミック体3とセラミック筒
状支持体12とは、焼結によって接合一体化する観点か
ら同種(主成分が同じ)のセラミックスにより形成する
ことが必要であり、好ましくは同一組成のセラミックス
により形成することが良い。これにより両者の熱膨張差
を極めて小さくすることができるため、接合界面に発生
する熱応力を大幅に低減することができ、接合部10に
クラックが発生するのを抑えることができる。
【0018】なお、本発明において、焼結により接合一
体化するとは、接合部10も板状セラミック体3やセラ
ミック筒状支持体12と同種あるいは同一組成のセラミ
ックスからなり、板状セラミック体3と接合部10及び
接合部10とセラミック筒状支持体12とがいずれも焼
結されていることを言う。焼結によって接合一体化する
方法としては、板状セラミック体3やセラミック筒状支
持体12を構成するセラミックスと同種あるいは同一組
成のセラミックスペーストをいずれか一方の接合面に塗
布し、他方を上記接合面に当接させたあと押圧した状態
で加熱して焼結させるホットプレス法により接合する
か、あるいは上記セラミックペーストをいずれか一方の
接合面に塗布し、他方を上記接合面に当接させたあと押
圧した状態で超音波振動を加えて焼結させる超音波振動
法により接合することができる。
【0019】このように、板状セラミック体3とセラミ
ック筒状支持体12とを焼結によって接合一体化すれ
ば、板状セラミック体3と接合部10との間、接合部1
0とセラミック筒状支持体12との間の熱膨張差を極め
て小さくできるため、接合部10に集中する熱応力を大
幅に低減することができる。しかも、接合部10は耐蝕
性、耐プラズマ性にも優れることから腐食摩耗が少な
く、摩耗粉の発生が少ないことからウエハWに悪影響を
与えることもない。
【0020】さらに、本発明の試料加熱装置1には、図
1や図3に示すようにセラミックヒータ3の他方の主面
のうち、セラミック筒状支持体12との接合部10の外
周縁に沿って上記セラミック筒状支持体12の外形状と
相似なリング状をした環状溝2aを刻設してあり、接合
部10近傍の表面積を大きくして冷却効果を高めてあ
る。
【0021】その為、セラミックヒータ2の発熱によっ
て室温域から400℃以上の温度範囲で繰り返し熱サイ
クルが加わったとしても接合部10に集中する熱応力を
緩和してクラックの発生を防ぐことができるため、長期
使用においても気密性を維持することができる。
【0022】即ち、セラミックヒータ2とセラミック筒
状支持体12とを焼結によって接合一体化してもセラミ
ックヒータ2と接合部10との間、及び接合部10とセ
ラミック筒状支持体12との間にはそれぞれ接合界面が
存在し、これらの接合界面の存在によりセラミックヒー
タ1とセラミック筒状支持体12を同種のセラミックス
により形成して熱膨張差を小さくしたとしても熱伝達が
悪いために熱応力が集中するのであるが、本発明は、セ
ラミックヒータ2の他方の主面のうち、接合部10の外
周縁に環状溝2aを設けて表面積を大きくすることで、
接合部10の放熱性を高めてあることから、接合部10
に熱応力が集中したとしてもその熱応力の大きさを低減
し、クラックの発生を防ぐことができる。
【0023】ところで、このような効果を得るために
は、環状溝2aの寸法、特に深さTが重要であり、1m
m未満では浅すぎるために熱応力を緩和する効果が小さ
い。その為、環状溝2aの深さTは少なくとも1mm以
上とすることが良く、例えば、板状セラミック体3及び
セラミック筒状支持体12が高熱伝導率を有する窒化ア
ルニウムを主成分とするセラミックスである場合、環状
溝2aの深さTを4〜6mmとすることで最も熱応力を
緩和する効果を得ることができる。ただし、環状溝2a
の深さTが板状セラミック体3の厚みの1/2mmより
大きくなると、セラミックヒータ2の強度が大きく低下
するとともに、載置面5の温度分布を均一にすることが
難しくなるため、上限は板状セラミック体3の厚みの1
/2mm以下とすることが良い。
【0024】また、環状溝2aの幅Lは、1〜25mm
の範囲で設定することが良い。これは1mm未満では幅
Lが狭すぎるために環状溝2aの深さTを1mm以上と
しても環状溝2a内に熱がこもり、熱応力を緩和する効
果が小さいからであり、逆に25mmより広くなると、
載置面5の温度分布にばらつきを生じる恐れがあるから
である。
【0025】さらに、環状溝2aの断面形状は、クラッ
クの発生を防ぐ観点から図1に示すような底面を曲面状
に形成したものが好ましく、その曲率半径R1 は0.5
〜12.5mmの範囲が良い。このような環状溝2aを
形成する方法としては、研削、ショットブラスト、超音
波加工等の加工方法を用いることで形成することができ
る。
【0026】なお、図1では、セラミックヒータ2の他
方の主面のうち、セラミック筒状支持体12との接合部
10の外周縁に沿って環状溝2aを設けた例を示した
が、図4に示すように、セラミック筒状支持体12との
接合部10の内周縁に沿ってのみ環状溝2aを設けたも
のでも良く、さらには図示していないがセラミック筒状
支持体12との接合部10の外周縁及び内周縁に沿って
それぞれ環状溝2aを設けたものでも構わない。
【0027】かくして、本発明の試料加熱装置1を用い
てウエハWに成膜やエッチング等の処理を施せば、室温
域から400℃以上の温度範囲で繰り返し熱サイクルが
加わったとしてもセラミックヒータ2とセラミック筒状
支持体12との接合部10における気密性を損なうこと
がなく、載置面5の温度分布を常に均一に保つことがで
きるため、長期間にわたって精度の高い成膜やエッチン
グを安定して施すことができる。
【0028】次に、本発明の他の実施形態について説明
する。
【0029】図5は本発明の試料加熱装置1の他の例を
示す断面図で、セラミックヒータ2を構成する板状セラ
ミック体3の他方の主面の中央部に円錐台状の凸状部2
bを形成し、この凸状部2bにセラミック筒状支持体1
2を焼結によって気密に接合一体化したものである。
【0030】このように、板状セラミック体3の他方の
主面の中央部に凸状部2bを形成しておくことで接合部
10の外周縁の表面積を大きくしたことと同様の効果が
得られ、接合部10の放熱性を高めることができるた
め、接合部10に集中する熱応力を緩和してクラックの
発生を防ぐことができる。
【0031】ただし、この構造の場合、凸状部2bの高
さQが1mm未満では熱応力を緩和する効果が小さく、
逆に、10mmより高くなると板状セラミック体3にお
ける中央部の厚みと周縁部の厚みの差が大きくなり過ぎ
るために、板状セラミック体3中に埋設されている抵抗
発熱体4の抵抗値を中央部と周縁部で調整したとしても
載置面5の温度分布を均一にすることが難しい。その
為、凸状部2bの高さQは1〜10mmの範囲で設ける
ことが良い。
【0032】また、板状セラミック体3の他方の主面と
凸状部2bの側面とのエッジは、クラックの発生を防ぐ
観点から滑らかな曲面状に形成することが良く、その曲
率半径R2 は0.3mm以上とすることが好ましい。
【0033】このように、図5では板状セラミック体3
の他方の主面の中央部に円錐台状の凸状部2bを形成し
た例を示したが、図6に示すように、板状セラミック体
3の他方の主面の中央部に、セラミック筒状支持体12
の接合部の形状と合致したリング状の凸状部2bを形成
し、この凸状部2bにセラミック筒状支持体12を焼結
によって接合一体化しても、接合部10の気密性を長期
間にわたって維持することができる。
【0034】(実施例1)ここで、セラミック筒状支持
体12との接合部10の外周縁及び/又は内周縁に沿っ
て環状溝2aを設けることによる効果を確認するため
に、環状溝2aを持たない従来の試料加熱装置31を真
空処理室20に設置し、セラミックヒータ32の平均温
度が800℃となるまで加熱したあと、赤外線放射温度
計にて載置面35の温度を10点測定して温度分布を測
定し、この温度分布をもとに有限要素法を用いたシミュ
レーション解析を行うことにより、セラミック筒状支持
体12との接合部10の外周縁に沿って環状溝2aを設
けた試料加熱装置1、セラミック筒状支持体12との接
合部10の内周縁に沿って環状溝2aを設けた試料加熱
装置1、セラミック筒状支持体12との接合部10の内
周縁及び外周縁に沿って環状溝2aをそれぞれ設けた試
料加熱装置1、及び環状溝2aを持たない従来の試料加
熱装置31について、板状セラミック体3,33とセラ
ミック筒状支持体12,42との接合部10,40に発
生する熱応力を各々解析した。
【0035】なお、モデルの寸法は、板状セラミック体
3,33が外径300mm、厚み15mm、セラミック
筒状支持体12,42が外径50mm、肉厚8mmと
し、板状セラミック体3,33及びセラミック筒状支持
体12,42はいずれも25℃における熱伝導率が64
W/mk、800℃における熱伝導率が32W/mkで
ある窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスを想
定して実験を行った。
【0036】それぞれの結果は表1〜表3に示す通りで
ある。
【0037】これらの結果、セラミック筒状支持体12
との接合部10の内周縁及び/又は外周縁に沿って環状
溝2aを設けることで、接合部10に発生する熱応力を
大きく緩和できることが判る。しかも、環状溝2aの深
さTが深くなるほど熱応力が小さくなる傾向にあり、環
状溝2aの深さは深い方が良いことが判る。
【0038】さらに、環状溝2aは、セラミック筒状支
持体12との接合部10の内周縁に設けるよりも外周縁
に設けた方が熱応力を小さくできることが判る。
【0039】次に、環状溝2aの幅Lを変えた時の効果
を確認するため、環状溝2aの深さTを4mmに固定
し、環状溝2aの幅Lを5mmより小さい2mmと逆に
5mmより大きい10mmとした時の熱応力について有
限要素法により解析したところ、熱応力には変化が見ら
れなかった。
【0040】このことから、接合部10に作用する熱応
力は特に環状溝2aの深さTに大きく起因し、環状溝2
aを設けることで熱応力を小さくできることが判る。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】(実施例2)次に、実施例1での効果を確
認するため、セラミック筒状支持体12との接合部10
の外周縁に沿って深さT1mmの環状溝2aを設けた試
料加熱装置1と環状溝2aを持たない従来の試料加熱装
置31をそれぞれ実際に試作し、これらの試料加熱装置
1,31を真空処理室20に設置し、セラミックヒータ
2,32を常温域(25℃)から800℃の温度範囲で
加熱、冷却を繰り返す熱サイクルを行い、Heリークデ
ィテクターにより接合部10,40の気密性について確
認する実験を行った。なお、セラミックヒータ2,32
を構成する板状セラミック体3,33及びセラミック筒
状支持体12,42はいずれも25℃における熱伝導率
が64W/mkでかつ、800℃における熱伝導率が3
2W/mkである高純度窒化アルミニウムセラミックス
により形成するとともに、セラミックヒータ2,32及
びセラミック筒状支持体12,42の寸法も実施例1と
同様の寸法にて形成したものを使用した。
【0045】この結果、環状溝2aを持たない従来の試
料加熱装置31では、10回程度の熱サイクルでセラミ
ックヒータ32とセラミック筒状支持体42との接合部
40にクラックが発生し、気密性が低下したのに対し、
環状溝2aを設けた本発明の試料加熱装置1は600回
の熱サイクル試験においてもセラミックヒータ3とセラ
ミック筒状支持体12との接合部10にクラックは見ら
れず充分な気密性を有することを確認することができ
た。
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、抵抗発
熱体を埋設してなる板状セラミック体の一方の主面を試
料の載置面とし、他方の主面に上記抵抗発熱体と電気的
に接続された給電端子を有するセラミックヒータと、上
記給電端子を包囲するように前記セラミックヒータの他
方の主面に焼結によって気密に接合一体化され、上記セ
ラミックヒータを真空処理室内に設置するセラミック筒
状支持体とからなる試料加熱装置において、上記セラミ
ックヒータの他方の主面のうち、上記セラミック筒状支
持体との接合部の外周縁及び/又は内周縁に沿って環状
溝を刻設するか、あるいは上記セラミックヒータの他方
の主面の中央部に凸状部を形成し、該凸状部にセラミッ
ク筒状支持体を接合したことから、セラミックヒータと
セラミック筒状支持体との接合部における温度勾配を小
さくし、接合部に作用する熱応力を低減することができ
るため、接合部にクラックを生じることがなく、優れた
気密性を維持することがきる。しかも、真空処理室内に
露出するセラミックヒータ、接合部、及びセラミック筒
状支持体は、いずれも緻密で耐熱性、耐食性、耐プラズ
マ性に優れたセラミックスからなるため、長寿命である
とともに、ウエハ等の試料に悪影響を与えることがな
く、さらに成膜精度やエッチング精度を劣化させること
がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の試料加熱装置を真空処理室に取り付け
た状態を示す断面図である。
【図2】本発明の試料加熱装置のみを示す斜視図であ
る。
【図3】本発明の試料加熱装置の分解図である。
【図4】図1の試料加熱装置の変形例を示す断面図であ
る。
【図5】本発明の試料加熱装置の他の例を示す断面図で
ある。
【図6】図5の試料加熱装置の変形例を示す断面図であ
る。
【図7】従来の試料加熱装置を真空処理室に取り付けた
状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1,31・・・試料加熱装置 2,32・・・セラミックスヒータ 2a ・・・環状溝 2b ・・・凸 3,33・・・板状セラミック体 4,34・・・抵抗発熱体 5,35・・・載置面 6,36・・・給電端子 7,9,37・・・リード線 8 ・・・温度検出手段 10,40・・・接合部 W ・・・ウエハ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/3065 H01L 21/324 K 5F103 21/324 21/302 B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抵抗発熱体を埋設してなる板状セラミック
    体の一方の主面を試料の載置面とし、他方の主面に上記
    抵抗発熱体と電気的に接続された給電端子を有するセラ
    ミックヒータと、上記給電端子を包囲するように前記セ
    ラミックヒータの他方の主面に気密に接合一体化され、
    上記セラミックヒータを真空処理室内に設置するセラミ
    ック筒状支持体とからなる試料加熱装置において、上記
    セラミックヒータの他方の主面のうち、上記セラミック
    筒状支持体との接合部の外周縁及び/又は内周縁に沿っ
    て環状溝を刻設したことを特徴とする試料加熱装置。
  2. 【請求項2】抵抗発熱体を埋設してなる板状セラミック
    体の一方の主面を試料の載置面とし、他方の主面に上記
    抵抗発熱体と電気的に接続された給電端子を有するセラ
    ミックヒータと、上記給電端子を包囲するように前記セ
    ラミックヒータの他方の主面に気密に接合一体化され、
    上記セラミックヒータを真空処理室内に設置するセラミ
    ック筒状支持体とからなる試料加熱装置において、上記
    セラミックヒータの他方の主面の中央に凸状部を設け、
    該凸状部に上記セラミック筒状支持体を接合したことを
    特徴とする試料加熱装置。
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