JP2000017418A - 軸受部品の製造方法 - Google Patents

軸受部品の製造方法

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JP2000017418A
JP2000017418A JP10182432A JP18243298A JP2000017418A JP 2000017418 A JP2000017418 A JP 2000017418A JP 10182432 A JP10182432 A JP 10182432A JP 18243298 A JP18243298 A JP 18243298A JP 2000017418 A JP2000017418 A JP 2000017418A
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昌行 伊藤
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国彦 和田
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Masaki Kataoka
正記 片岡
Mamoru Sato
守 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄肉化のための機械加工を不要にし、しかもホ
ワイトメタル層に偏析が少なく、軸受基材との密着性を
良好にすることにある。 【解決手段】軸受基材1の軸受面に1mm〜30mmの
厚さでかつ気孔率が20%以下のホワイトメタルからな
る被覆層2を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受基材の軸受面
にホワイトメタルからなる耐摩耗コーティングを有する
軸受部品およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ー般に、軸受基材の軸受面にはホワイト
メタルがライニングされている。このホワイトメタルの
ライニングは鋳造法によって行われている。この鋳造法
は、軸受基材を約摂氏80度の有機溶剤浴に浸積して十
分に脱脂洗浄し、次に錫メッキまたは半田メッキを下地
処理として施した後に、ホワイトメタルを置き注ぎ鋳造
法や遠心鋳造法によってライニングするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋳造法
はホワイトメタルライニング層が肉厚となってしまうの
で、鋳造後に薄肉化のための機械加工が必要であり、且
つホワイトメタル層に組成偏析が多く、軸受基材へのホ
ワイトメタルの密着強度が不均一になるといった問題が
あった。
【0004】また、軸受は偏荷重を受けると、ホワイト
メタル層に極部的な摩耗損傷が生じ、この損傷部の補修
が必要になる。しかしながら、鋳造法は損傷部のみにホ
ワイトメタルを盛り肉ライニングすることが困難であ
り、鋳造法による補修はホワイトメタル層を全て一度落
とした後に軸受面全体にホワイトメタルをライニングし
なければならない問題があった。
【0005】また、この鋳造法は、前処理として大量の
有機溶剤を使用しての脱脂作業や下地処理としてのメッ
キ作業があり、作業環境からも問題があった。本発明は
かかる問題を解消するためなされたもので、薄肉化のた
めの機械加工を不要にし、しかもホワイトメタル層に偏
析が少なく、軸受基材との密着性も良好な優れた軸受部
品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、次のような手段を講じるものである。請求項
1に対応する発明は、軸受基材の軸受面に1mm〜30
mmの厚さでかつ気孔率が20%以下のホワイトメタル
からなる被覆層を形成するものである。
【0007】このような構成の軸受部品とすれば、ホワ
イトメタル層の厚さが1mm未満では耐摩耗コーティン
グの効果が小さく、厚さが30mmを超えると溶射コー
ティング中に剥離し易くなるが、ホワイトメタル層を1
mm〜30mmの厚さで気孔率が20%以下に形成する
ことにより、耐摩耗コーティングの効果を十分に得るこ
とができると共に、溶射コーティング中の剥離が生じ難
くなり、溶射コーティング法では軸受基材に前処理とし
てのメッキ処理が不要である。
【0008】請求項2に対応する発明は、軸受基材にホ
ワイトメタルからなる耐摩耗コーティング層を有する軸
受部品の製造方法において、軸受基材の軸受面に、ホワ
イトメタル層を1mm〜30mmの厚さでかつ気孔率が
20%以下に緻密に溶射方法でコーティングするコーテ
ィング処理工程と、前記ホワイトメタル層がコーティン
グされた軸受基材に対し、加熱炉でホワイトメタルの融
点温度以下で加熱による拡散密着熱処理を行う拡散密着
処理工程とからなることを特徴とする。
【0009】このような製造方法によれば、軸受基材の
軸受面に、ホワイトメタル層を1mm〜30mmの厚さ
でかつ気孔率が20%以下に緻密に溶射方法でコーティ
ングした後に、加熱炉でホワイトメタルの融点温度以下
で加熱による拡散密着熱処理を行うことにより、軸受基
材とホワイトメタルの密着力を良好にすることができ
る。
【0010】請求項3に対応する発明は、請求項2に対
応する発明において、コーティング処理工程は、軸受基
材の軸受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法また
は超高速フレーム溶射法を用いて、350m/秒〜15
00m/秒の高速度で溶射して、ホワイトメタルのコー
ティング層の気孔率を20%以下とし、拡散密着処理工
程は、ホワイトメタルのコーティング層の気孔率を10
%以下に形成することを特徴とする。
【0011】このような製造方法によれば、上記請求項
2に対応する発明の作用に加えて、ホワイトメタルのコ
ーティング層に気孔等の欠陥の少ない軸受部品を得るこ
とができる。
【0012】請求項4に対応する発明は、上記請求項2
又は3に対応する発明において、コーティング処理工程
は、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを溶射施工する
前に、軸受溶射面をブラスト処理によってRaが5μm
〜50μm、またはRmaxが30μm〜500μmの
表面粗さにすることを特徴とする。
【0013】このような製造方法によれば、上記請求項
2又は3に対応する発明の作用に加えて、軸受基材の表
面粗さがRa5μm以下またはRmax30μm以下で
は粗面化の効果が小さく溶射施工中に剥離し、またRa
50μm以上またはRmax500μm以上にプラスト
処理すると軸受基材へのダメージが大きくなることか
ら、軸受溶射面をプラスト処理によってRaが5μm〜
50m、またはRmaxが30μm〜500μmの表面
粗さにすることにより粗面化の効果が大きくなるので、
溶射施工中に剥離することがなくなると共に、軸受基材
ヘのダメージを小さくすることができる。
【0014】請求項5に対応する発明は、請求項2乃至
4のいずれかに対応する発明において、上記コーティン
グ処理工程は、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを溶
射施工する際に、空気または不活性ガスを吹き付けて軸
受基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながらホワイ
トメタルを溶射コーティングすることを特徴とする。
【0015】このような製造方法によれば、上記請求項
2乃至4のいずれかに対応する発明の作用に加えて、軸
受基材の温度が摂氏200度を超えると軸受基材が酸化
してコーティング層が剥離し易くなり、またホワイトメ
タルが酸化や溶融して良好な耐摩耗コーティングが得ら
れないことから、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを
溶射施工する際に、空気または不活性ガスを吹き付けて
軸受基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながらホワ
イトメタルを溶射コーティングすることにより、軸受基
材が酸化しないようにしてコーティング層を剥離し難く
すると共に、ホワイトメタルが酸化や溶融することのな
い良好な耐摩耗コーティングを得ることができる。
【0016】請求項6に対応する発明は、請求項2乃至
5のいずれかに対応する発明において、上記コーティン
グ処理工程は、ホワイトメタルの溶射粉末として粒子径
10μm〜200μmの粉末、又は球形の粉末を用いる
ことを特徴とする。
【0017】このような製造方法によれば、上記請求項
2乃至5いずれかに対応する発明の作用に加えて、粉末
粒子径が10μm未満では高速フレームでも加速され難
く、高速度、高衝撃での溶射施工ができずに緻密な層が
得られず、また粒子径が200μmを超えると高速フレ
ーム溶射で溶融され難く溶射効率が悪くなることから、
高速フレーム溶射法、超高速フレーム溶射法を用いてホ
ワイトメタルをコーティング施工する際に粒子径が10
μm〜200μmのホワイトメタル溶射粉末を用いるこ
とにより、高速フレームで加速され易くして、高速、高
衝撃での溶射施工をして緻密な層を得ることができると
共に、高速フレーム溶射で溶融され易くして、溶射効率
を良くすることができる。また、ホワイトメタルの粉末
形状を球形にすることにより、溶射時の空気抵抗が小さ
くなり、高速度、高衝撃での溶射施工して緻密で密着力
の大きなホワイトメタル層を得ることができる。
【0018】請求項7に対応する発明は、請求項2に対
応する発明において、拡散密着処理工程は、ホワイトメ
タルがコーテイングされた軸受基材を、加熱炉でホワイ
トメタルの融点温度以下である摂氏100度〜250度
で30分〜50時間加熱保持することを特徴とする。
【0019】このような製造方法によれば、上記請求項
2に対応する発明の作用に加えて、摂氏100度未満、
または30分未満の加熱保持では拡散密着熱処理が不十
分で、ホワイトメタル層に気孔等の欠陥が多く残り、基
材との密着力も小さくなり、また摂氏250度を超えた
り、50時間を超える加熱保持ではホワイトメタル層が
溶融して流れ落ちたり、軸受基材とホワイトメタル層の
界面に開口部欠陥ができることから、ホワイトメタルが
コーテイングされた軸受基材を、加熱炉でホワイトメタ
ルの融点温度以下である摂氏100度〜250度で30
分〜50時間加熱保持することにより、拡散密着熱処理
を十分に行ってホワイトメタル層に気孔等の欠陥が残る
のを少なくすることができると共に、軸受基材とホワイ
トメタル層との界面に開口部等の欠陥が生じないように
することができる。
【0020】請求項8に対応する発明は、請求項7又は
請求項8のいずれかに対応する発明において、拡散密着
処理工程は、軸受基材とホワイトメタル層との界面に拡
散層を2μm〜200μmの厚さに形成することを特徴
とする。
【0021】このような製造方法によれば、上記請求項
7又は請求項8に対応する発明の作用に加えて、拡散層
が2μm未満の厚さでは軸受基材とホワイトメタル層と
の密着力が小さく、また200μmを超える厚さでは拡
散層に開口部等の欠陥ができることから、拡散密着熱処
理で軸受基材とホワイトメタル層との界面に拡散層を2
μm〜200μmの厚さに形成することにより、軸受基
材とホワイトメタル層との密着力を大きくすることがで
きると共に、拡散層に開口部等の欠陥が生じることがな
くなる。
【0022】請求項9に対応する発明は、請求項2、請
求項7又は請求項8のいずれかに対応する発明におい
て、拡散密着処理工程は、ホワイトメタル層の硬さをブ
リネル硬度18〜35とすることを特徴とするこのよう
な構成とすれば、上記請求項2、請求項7又は請求項8
に対応する発明の作用に加えて、ホワイトメタル層の硬
さをブリネル硬度18未満では軸受摺動摩耗が多くな
り、ブリネル硬度35を超えると軸を傷つけたり摩耗す
ることより、拡散密着熱処理でホワイトメタル層の硬さ
をブリネル硬度18〜35とすることにより摺動摩耗特
性の良好なホワイトメタル層を得ることができる。
【0023】請求項10に対応する発明は、請求項2乃
至請求項6のいずれかに対応する発明において、コーテ
ィング処理工程は、軸受基材の軸受面にホワイトメタル
溶射粉末として、0〜15重量%Sb.0〜10重量%
Cu.0〜20重量%Pb.0〜30重量%Zn、残部
Sn等のSn基ホワイトメタル、または0〜50重量%
Sn、0〜20重量%Sb.0〜5.0重量%Cu、0
〜1.5重量%As、,残部がPb等のPb基ホワイト
メタル、5〜15重量%Sn、0.5〜5.0重量%C
u、2.0重量%以下Ni、残部Al等のAl基ホワイ
トメタルを用いるようにしたことを特徴とする。
【0024】このような製造方法によれば、上記請求項
2乃至6のいずれかに対応する発明の作用に加えて、加
熱炉中でホワイトメタルの融点温度以下で加熱保持によ
る拡散密着熱処理を行う際に、拡散密着による緻密化と
共に、Cu化合物、Sb化合物を析出させて、耐摩耗特
性、摺動特性に必要な硬さを得ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の一形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態で
は、次のようにして軸受部品を製造する。すなわち、軸
受基材の軸受面に、ホワイトメタル層を1mm〜30m
mの厚さでかつ気孔率が20%以下に緻密に溶射法でコ
ーティングする。(コーティング工程)その後、上記コ
ーティング工程によりホワイトメタルがコーティングさ
れた軸受基材に対して、加熱炉でホワイトメタルの融点
温度以下で加熱による拡散密着熱処理を行う(拡散密着
処理工程)。
【0026】ここで特に、上記コーティング工程におい
て、軸受基材の軸受面にホワイ卜メタルを高速フレーム
溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて、350m
/秒〜1500m/秒の高速度で溶射して、ホワイトメ
タルのコーティング層の気孔率を20%以下に形成す
る。
【0027】また、コーティング工程において、軸受基
材の軸受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法また
は超高速フレーム溶射法を用いて溶射施工する前に、軸
受溶射面をブラスト処理によってRaが5μm〜50μ
m、より好ましくは10μm〜35μm、またはRma
xが30μm〜500μm、より好ましくは100μm
〜400μmの表面粗さにする。
【0028】さらに、コーティング工程において、軸受
基材の軸受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法ま
たは超高速フレーム溶射法を用いて溶射施工する際に、
空気または不活性ガスを吹き付けて軸受基材の温度を摂
氏200度以下に冷却しながらホワイトメタルを溶射コ
ーティングする。
【0029】また、コーティング工程において、高速フ
レーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて溶射
施工する際に、ホワイトメタルの溶射粉末として粒子径
10μm〜200μm、より好ましくは30μm〜15
0μmの径のものを用いる。
【0030】さらに、コーティング工程において、高速
フレーム溶射法または超高速フレーム溶射法を用いて溶
射施工する際に、ホワイトメタルの溶射粉末として球形
の粉末を用いる。
【0031】さらに、コーティング工程において、軸受
基材の軸受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法ま
たは超高速フレーム溶射法を用いて溶射施工する際に、
ホワイトメタル溶射粉末として、0〜15重量%Sb、
0〜10重量%Cu、0〜20重量%Pb、0〜30重
量%Zn、残部Sn等のSn基ホワイトメタル、または
0〜50重量%Sn、0〜20重量%Sb、0〜5.0
重量%Cu、0〜1.5重量%As、残部がPb等のP
b基ホワイトメタル、5〜15重量%Sn、0.5〜
5.0重量%Cu、2.0重量%以下Ni、残部Al等
のAl基ホワイトメタルを用いる。
【0032】一方、上記拡散密着熱処理工程において、
上記コーティング工程によりホワイトメタルがコーテイ
ングされた軸受基材を、加熱炉でホワイトメタルの融点
温度以下である摂氏100度〜250度、より好ましく
は摂氏170度〜230度で30分〜50時間、より好
ましくは5時間〜30時間加熱保持する。
【0033】この拡散密着熱処理工程において、軸受基
材とホワイトメタル層との界面に拡散層を2μm〜20
0μm、より好ましくは5μm〜100μmの厚さに形
成する。
【0034】さらに、上記拡散密着熱処理工程におい
て、ホワイトメタル層の硬さをプリネル硬度18乃至3
5とする。上述したような製造方法により作製した軸受
部品を図1乃至図2に例示する。
【0035】図1はラジアル軸受に適用した場合を示す
もので、軸受基材1の円柱状の内壁面にホワイトメタル
被覆層2を形成したものである。図2はスラスト軸受に
適用した場合を示すもので、軸受基材3の平面にホワイ
トメタル被覆層4を形成したものである。
【0036】以上のような各軸受部品において、軸受基
材の軸受面に、ホワイトメタル層を1mm〜30mmの
厚さでかつ気孔率が20%以下に緻密に溶射法でコーテ
ィングした後に、加熱炉でホワイトメタルの融点温度以
下で加熱による拡散密着熱処理を行なっているため、軸
受耐摩耗コーティング、摺動特性の効果を十分に得るこ
とができると共に、コーティング層の剥離を生じ難くす
ることができる。
【0037】また、ホワイトメタル層の気孔率を20%
以下にしているため、加熱炉中での加熱保持による拡散
密着熱処理で気孔の極めて少ない耐摩耗特性、摺動特性
に優れた軸受部品を得ることができる。
【0038】さらに、高速フレーム溶射法または超高速
フレーム溶射法を用いて、軸受基材の軸受面にホワイト
メタル粉末を350m/秒〜1500m/秒の高速度で
溶射してコーティングした後に、加熱炉中でホワイトメ
タルの融点温度以下で加熱保持して拡散密着熱処理を行
っているため、ホワイトメタルのコーティング層の気孔
率を10%以下に形成することができ、ホワイトメタル
層に気孔等の欠陥の少ない軸受部品を得ることができ
る。
【0039】また、拡散密着熱処理工程で、ホワイトメ
タルがコーテイングされた軸受基材を、加熱炉中でホワ
イトメタルの融点温度以下である摂氏100度〜250
度で30分〜50時間加熱保持しているため、拡散密着
熱処理を十分に行ってホワイトメタル層に気孔等の欠陥
が殆ど残ることがなくなると共に、軸受基材とホワイト
メタル層との界面に開口部等の欠陥が生じることが少な
くなる。
【0040】さらに、拡散密着熱処理工程で、軸受基材
とホワイトメタル層との界面に拡散層を2μm〜200
μmの厚さに形成しているため、軸受基材とホワイトメ
タル層との密着力を大きくすることができると共に、拡
散層に開口部等の欠陥が生じることが少なくなる。
【0041】また、拡散密着熱処理工程で、ホワイトメ
タル層の硬さをブリネル硬度18乃至35としているた
め、軸を傷つけず耐摩耗特性に必要な硬さを得ることが
できる。
【0042】また、軸受溶射面をブラスト処理によって
Raが5μm〜50μm、またはRmaxが30μm〜
500μmの表面粗さにしているため、粗面化の効果を
大きくして溶射施工中に剥離することがなくなると共
に、軸受基材のダメージを小さくすることができる。
【0043】さらに、高速フレーム溶射法または超高速
フレーム溶射法を用いてホワイトメ夕ルを溶射施工する
際に、軸受基材に空気または不活性ガスを吹き付けて軸
受基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながらホワイ
トメタルを溶射コーティングしているため、軸受基材や
ホワイトメタル層が酸化することがなく、コーティング
層が剥離し難くなると共に、軸受基材やホワイトメタル
が酸化することのない良好な軸受部品を得ることができ
る。
【0044】また、高速フレーム溶射法または超高速フ
レーム溶射法を用いてホワイトメタルを溶射施工する際
に、ホワイトメタルの溶射粉末として粒子径10μm〜
200μmのものを用いているため、高速フレームで加
速され易くなり、高速度、高衝撃での溶射施工により緻
密な層を得ることができると共に、高速フレーム溶射で
溶融され易くなり、溶射効率が良好になし得る。
【0045】さらに、高速フレーム溶射法または超高速
フレーム溶射法を用いてホワイトメ夕ルを溶射施工する
際に、ホワイトメタルの溶射粉末として球形の粉末を用
いるため、溶射時の空気抵抗が小さくなり、高速度、高
衝撃での溶射施工により緻密で密着力の大きなホワイト
メタル層を得ることができる。
【0046】また、高速フレーム溶射法または超高速フ
レーム溶射法を用いてホワイトメタルを溶射施工する際
に、ホワイトメタル溶射粉末として、0〜15重量%S
b、0〜10重量%Cu、0〜20重量%Pb、0〜3
0重量%Zn、残部Sn等のSn基ホワイトメタル、ま
たは0〜50重量%Sn、0〜20重量%Sb、0〜
5.0重量%Cu、0〜1.5重量%As、残部がPb
等のPb基ホワイトメ夕ル、5〜15重量%Sn、0.
5〜5.0重量%Cu、2.0重量%以下N1、残部A
l等のAl基ホワイトメタルを用いているため、加熱炉
中でホワイトメタルの融点温度以下で加熱保持による拡
散密着熱処理を行う際に、拡散密着による緻密化と共
に、Cu化合物、Sb化合物を析出させて、耐摩耗特
性、摺動特性に必要な硬さを得ることができる。
【0047】他方、軸受が偏荷重を受けてホワイトメタ
ル層に局部的な摩耗損傷が生じた場合には前述した製造
方法によりその部分の補修形成が容易にできる。また、
前述した製造方法により発電システム用の軸受を製作す
ることにより、ホワイトメタル層に気孔が少なく緻密で
あり、しかも軸受基材との密着性も良好なので、高速高
荷重軸受を得ることができる。
【0048】
【実施例】以下、上記本実施の形態に基づく軸受部品お
よびその製造方法の具体な実施例について説明する。 (実施例1)軸受基材として縦300mm、横500m
m、厚さ250mmの炭素鋼(SS41)に直径320
mm、長さ300mmの半円柱形の軸受部を設け、その
軸受面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミナグリ
ット(#15)でブラスト圧力を4kg/cm2 で表面
粗さをRma×250μmにした後に、超高速フレーム
溶射(HP/HV0F)法のーつであるJP−5000
溶射でホワイトメタル(9.0重量%Sb、5.5重量
%、および残部Sn)の溶射粉末(粒子径30〜100
μmの球形粉末)を用いて1200m/秒の超高速度で
溶射を行い、10mmの厚さにコーティングした。ま
た、溶射中に軸受基材に空気を吹き付け、軸受基材の温
度を摂氏150度にした。この時のコーティング層の気
孔率は3%であった。
【0049】次に、このコーティングした軸受基材を加
熱炉中で摂氏200度で36時間加熱保持して拡散密着
熱処理を行った。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は1.0%であった。また、軸受基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは10μmであった。
この後、コーティングしたホワイトメタル層の表面を機
械加工によりRa0.25μm以下の粗さに仕上げ加工
を行った。
【0050】そして、このようにして得られた軸受部品
を、軸受摺動試験に用いた。軸受摺動試験は、12Cr
鋼の300mm径の円柱形の棒を軸に用い、軸受面の面
圧を200kg/cm2 として、軸の回転を3,000
rpmで1時間行った。
【0051】軸受摺動試験結果、12Cr鋼の軸に傷等
がなく、焼き付きも起こらなかった。また、軸受のコー
ティングしたホワイトメタル層にも問題となるような傷
や極部的な摩耗損傷がなく、摺動特性が良好であった。
しかも、ホワイトメタル層がほとんど摩耗しておらす、
耐摩耗特性も良好であった。
【0052】このように、優れた軸受部品を得ることが
できる。 (実施例2)軸受基材として縦300mm、横500m
m、厚さ250mmの炭素鋼(SS41)に直径320
mm、長さ300mmの半円柱形の軸受部を設け、その
軸受面を溶射前処理としてブラスト装置でアルミナグリ
ット(#15)でブラスト圧力を4kg/cm2 で表面
粗さをRma×250μmにした後に、高速フレーム溶
射(HV0F)法のーつであるダイヤモントジェット
(DJ)溶射でホワイトメタル(9.0重量%Sb、
5.5重量%、および残部Sn)の溶射粉末(粒子径3
0〜100μmの球形粉末)を用いて850m/秒の超
高速度で溶射を行い、15mmの厚さにコーティングし
た。また、溶射中に軸受基材に空気を吹き付け、軸受基
材の温度を摂氏180度にした。この時のコーティング
層の気孔率は7%であった。
【0053】次に、このコーティングした軸受基材を加
熱炉中で摂氏200度で45時間加熱保持して拡散密着
熱処理を行った。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は1.5%であった。また、軸受基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは15μmであった。
この後、コーティングしたホワイトメタル層の表面を機
械加工によりRa0.25μm以下の粗さに仕上げ加工
を行った。
【0054】そして、このようにして得られた軸受部品
を、軸受摺動試験に用いた。軸受摺動試験は、12Cr
鋼の300mm径の円柱形の棒を軸に用い、軸受面の面
圧を200kg/cm2 として、軸の回転を3,000
rpmで1時間行った。
【0055】軸受摺動試験結果、12Cr鋼の軸に傷等
がなく、焼き付きも起こらなかった。また、軸受のコー
ティングしたホワイトメタル層にも問題となるような傷
や極部的な摩耗損傷がなく、摺動特性が良好であった。
しかも、ホワイトメタル層がほとんど摩耗しておらず耐
摩耗特性も良好であった。
【0056】このように、優れた軸受部品を得ることが
できる。 (実施例3)軸受基材として縦300mm、横500m
m、厚さ250mmの純銅に直径320mm、長さ30
0mmの半円柱形の軸受部を設け、その軸受面を溶射前
処理としてブラスト装置でアルミナグリット(#30)
でプラスト圧力を4kg/cm2 で表面粗さをRma×
120μmにした後に、超高速フレーム溶射(HP/H
V0F)法のーつであるJP−5000溶射でホワイト
メタル(9.0重量%Sb、5.5重量%、および残部
Sn)の溶射粉末(粒子径30〜100μmの球形粉
末)を用いて1200m/秒の超高速度で溶射を行い、
15mmの厚さにコーティングした。また、溶射中に軸
受基材に空気を吹き付け、軸受基材の温度を摂氏120
度にした。この時のコーティング層の気孔率は3%であ
った。
【0057】次に、このコーティングした軸受基材を加
熱炉中で摂氏220度で36時間加熱保持して拡散密着
熱処理を行った。この拡散密着熱処理後のコーティング
層の気孔率は0.8%であった。また、軸受基材とコー
ティング層との界面の拡散層厚さは40μmであった。
この後、コーティングしたホワイトメタル層の表面を機
械加工によりRa0.25μm以下の粗さに仕上げ加工
を行った。
【0058】そして、このようにして得られた軸受部品
を、軸受摺動試験に用いた。軸受摺動試験は、12Cr
鋼の300mm径の円柱形の棒を軸に用い、軸受面の面
圧を200kg/cm2 として、軸の回転を3,000
rpmで1時間行った。軸受摺動試験結果、12Cr鋼
の軸に傷等がなく、焼き付きも起こらなかった。また、
軸受のコーティングしたホワイトメタル層にも問題とな
るような傷や極部的な摩耗損傷がなく、摺動特性が良好
であった。しかも、ホワイトメタル層がほとんど摩耗し
ておらず、耐摩耗特性も良好であった。このように、優
れた軸受部品を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、薄肉化の
ための機械加工が不要になり、しかもホワイトメタル層
に偏析が少なく、軸受基材との密着性も良好にできる優
れた軸受部品及びその製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る軸受部品をラジア
ル軸受に適用した場合の一例を示す概要図。
【図2】本発明の実施の一形態に係る軸受部品をスラス
ト軸受に適用した場合の一例を示す概要図。
【符号の説明】
1……軸受基材 2……被覆層 3……軸受基材 4……被覆層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年10月1日(1999.10.
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 軸受部品の製造方法
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軸受基材の軸受面
にホワイトメタルからなる耐摩耗コーティングを有する
軸受部品の製造方法に関するものである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】また、この鋳造法は、前処理として大量の
有機溶剤を使用しての脱脂作業や下地処理としてのメッ
キ作業があり、作業環境からも問題があった。本発明は
かかる問題を解消するためなされたもので、薄肉化のた
めの機械加工を不要にし、しかもホワイトメタル層に偏
析が少なく、軸受基材との密着性も良好な優れた軸受部
品の製造方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正内容】
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、次のような手段を講じるものである。請求項
1に対応する発明は、軸受基材にホワイトメタルからな
る耐摩耗コーティング層を有する軸受部品の製造方法に
おいて、軸受基材の軸受面に、ホワイトメタル層を1m
m〜30mmの厚さでかつ気孔率が20%以下に緻密に
溶射方法でコーティングするコーティング処理工程と、
前記ホワイトメタル層がコーティングされた軸受基材に
対し、加熱炉でホワイトメタルの融点温度以下で加熱に
よる拡散密着熱処理を行う拡散密着処理工程とからなる
ことを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】このような製造方法によれば、軸受基材の
軸受面に、ホワイトメタル層を1mm〜30mmの厚さ
でかつ気孔率が20%以下に緻密に溶射方法でコーティ
ングした後に、加熱炉でホワイトメタルの融点温度以下
で加熱による拡散密着熱処理を行うことにより、軸受基
材とホワイトメタルの密着力を良好にすることができ
る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】請求項2に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、コーティング処理工程は、軸受基
材の軸受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法また
は超高速フレーム溶射法を用いて、350m/秒〜15
00m/秒の高速度で溶射して、ホワイトメタルのコー
ティング層の気孔率を20%以下とし、拡散密着処理工
程は、ホワイトメタルのコーティング層の気孔率を10
%以下に形成することを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】このような製造方法によれば、上記請求項
に対応する発明の作用に加えて、ホワイトメタルのコ
ーティング層に気孔等の欠陥の少ない軸受部品を得るこ
とができる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】請求項3に対応する発明は、上記請求項1
又は2に対応する発明において、コーティング処理工程
は、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを溶射施工する
前に、軸受溶射面をブラスト処理によってRaが5μm
〜50μm、またはRmaxが30μm〜500μmの
表面粗さにすることを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】このような製造方法によれば、上記請求項
1又は2に対応する発明の作用に加えて、軸受基材の表
面粗さがRa5μm以下またはRmax30μm以下で
は粗面化の効果が小さく溶射施工中に剥離し、またRa
50μm以上またはRmax500μm以上にプラスト
処理すると軸受基材へのダメージが大きくなることか
ら、軸受溶射面をプラスト処理によってRaが5μm〜
50m、またはRmaxが30μm〜500μmの表面
粗さにすることにより粗面化の効果が大きくなるので、
溶射施工中に剥離することがなくなると共に、軸受基材
ヘのダメージを小さくすることができる。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】請求項4に対応する発明は、請求項1乃至
のいずれかに対応する発明において、上記コーティン
グ処理工程は、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを溶
射施工する際に、空気または不活性ガスを吹き付けて軸
受基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながらホワイ
トメタルを溶射コーティングすることを特徴とする。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】このような製造方法によれば、上記請求項
1乃至3のいずれかに対応する発明の作用に加えて、軸
受基材の温度が摂氏200度を超えると軸受基材が酸化
してコーティング層が剥離し易くなり、またホワイトメ
タルが酸化や溶融して良好な耐摩耗コーティングが得ら
れないことから、軸受基材の軸受面にホワイトメタルを
溶射施工する際に、空気または不活性ガスを吹き付けて
軸受基材の温度を摂氏200度以下に冷却しながらホワ
イトメタルを溶射コーティングすることにより、軸受基
材が酸化しないようにしてコーティング層を剥離し難く
すると共に、ホワイトメタルが酸化や溶融することのな
い良好な耐摩耗コーティングを得ることができる。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】請求項5に対応する発明は、請求項1乃至
のいずれかに対応する発明において、上記コーティン
グ処理工程は、ホワイトメタルの溶射粉末として粒子径
10μm〜200μmの粉末、又は球形の粉末を用いる
ことを特徴とする。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】このような製造方法によれば、上記請求項
1乃至4いずれかに対応する発明の作用に加えて、粉末
粒子径が10μm未満では高速フレームでも加速され難
く、高速度、高衝撃での溶射施工ができずに緻密な層が
得られず、また粒子径が200μmを超えると高速フレ
ーム溶射で溶融され難く溶射効率が悪くなることから、
高速フレーム溶射法、超高速フレーム溶射法を用いてホ
ワイトメタルをコーティング施工する際に粒子径が10
μm〜200μmのホワイトメタル溶射粉末を用いるこ
とにより、高速フレームで加速され易くして、高速、高
衝撃での溶射施工をして緻密な層を得ることができると
共に、高速フレーム溶射で溶融され易くして、溶射効率
を良くすることができる。また、ホワイトメタルの粉末
形状を球形にすることにより、溶射時の空気抵抗が小さ
くなり、高速度、高衝撃での溶射施工して緻密で密着力
の大きなホワイトメタル層を得ることができる。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】請求項6に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、拡散密着処理工程は、ホワイトメ
タルがコーテイングされた軸受基材を、加熱炉でホワイ
トメタルの融点温度以下である摂氏100度〜250度
で30分〜50時間加熱保持することを特徴とする。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】このような製造方法によれば、上記請求項
に対応する発明の作用に加えて、摂氏100度未満、
または30分未満の加熱保持では拡散密着熱処理が不十
分で、ホワイトメタル層に気孔等の欠陥が多く残り、基
材との密着力も小さくなり、また摂氏250度を超えた
り、50時間を超える加熱保持ではホワイトメタル層が
溶融して流れ落ちたり、軸受基材とホワイトメタル層の
界面に開口部欠陥ができることから、ホワイトメタルが
コーテイングされた軸受基材を、加熱炉でホワイトメタ
ルの融点温度以下である摂氏100度〜250度で30
分〜50時間加熱保持することにより、拡散密着熱処理
を十分に行ってホワイトメタル層に気孔等の欠陥が残る
のを少なくすることができると共に、軸受基材とホワイ
トメタル層との界面に開口部等の欠陥が生じないように
することができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】請求項7に対応する発明は、請求項5又は
請求項6のいずれかに対応する発明において、拡散密着
処理工程は、軸受基材とホワイトメタル層との界面に拡
散層を2μm〜200μmの厚さに形成することを特徴
とする。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】このような製造方法によれば、上記請求項
5又は請求項6に対応する発明の作用に加えて、拡散層
が2μm未満の厚さでは軸受基材とホワイトメタル層と
の密着力が小さく、また200μmを超える厚さでは拡
散層に開口部等の欠陥ができることから、拡散密着熱処
理で軸受基材とホワイトメタル層との界面に拡散層を2
μm〜200μmの厚さに形成することにより、軸受基
材とホワイトメタル層との密着力を大きくすることがで
きると共に、拡散層に開口部等の欠陥が生じることがな
くなる。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】請求項8に対応する発明は、請求項1、請
求項6又は請求項7のいずれかに対応する発明におい
て、拡散密着処理工程は、ホワイトメタル層の硬さをブ
リネル硬度18〜35とすることを特徴とする このような構成とすれば、上記請求項1、請求項6又は
請求項7に対応する発明の作用に加えて、ホワイトメタ
ル層の硬さをブリネル硬度18未満では軸受摺動摩耗が
多くなり、ブリネル硬度35を超えると軸を傷つけたり
摩耗することより、拡散密着熱処理でホワイトメタル層
の硬さをブリネル硬度18〜35とすることにより摺動
摩耗特性の良好なホワイトメタル層を得ることができ
る。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】請求項9に対応する発明は、請求項1乃至
請求項5のいずれかに対応する発明において、コーティ
ング処理工程は、軸受基材の軸受面にホワイトメタル溶
射粉末として、0〜15重量%Sb.0〜10重量%C
u.0〜20重量%Pb.0〜30重量%Zn、残部S
n等のSn基ホワイトメタル、または0〜50重量%S
n、0〜20重量%Sb.0〜5.0重量%Cu、0〜
1.5重量%As、,残部がPb等のPb基ホワイトメ
タル、5〜15重量%Sn、0.5〜5.0重量%C
u、2.0重量%以下Ni、残部Al等のAl基ホワイ
トメタルを用いるようにしたことを特徴とする。
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】このような製造方法によれば、上記請求項
1乃至5のいずれかに対応する発明の作用に加えて、加
熱炉中でホワイトメタルの融点温度以下で加熱保持によ
る拡散密着熱処理を行う際に、拡散密着による緻密化と
共に、Cu化合物、Sb化合物を析出させて、耐摩耗特
性、摺動特性に必要な硬さを得ることができる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、薄肉化の
ための機械加工が不要になり、しかもホワイトメタル層
に偏析が少なく、軸受基材との密着性も良好にできる優
れた軸受部品の製造方法を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 吉延 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 片岡 正記 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 佐藤 守 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 3J011 DA02 LA01 QA03 SB03 SB04 SB05 SB15 SB19 SB20 4K028 CA01 CA02 CA03 CB05 CC02 CD01 CE02 4K031 AA02 AB08 BA01 CB18 CB31 CB37 DA01 EA11 EA12 FA02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸受基材の軸受面に1mm〜30mmの
    厚さでかつ気孔率が20%以下のホワイトメタルからな
    る被覆層を形成したことを特徴とする軸受部品。
  2. 【請求項2】 軸受基材にホワイトメタルからなる耐摩
    耗コーティング層を有する軸受部品の製造方法におい
    て、軸受基材の軸受面に、ホワイトメタル層を1mm〜
    30mmの厚さでかつ気孔率が20%以下に緻密に溶射
    方法でコーティングするコーティング処理工程と、前記
    ホワイトメタル層がコーティングされた軸受基材に対
    し、加熱炉でホワイトメタルの融点温度以下で加熱によ
    る拡散密着熱処理を行う拡散密着処理工程とからなるこ
    とを特徴とする軸受部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 コーティング処理工程は、軸受基材の軸
    受面にホワイトメタルを高速フレーム溶射法または超高
    速フレーム溶射法を用いて、350m/秒〜1500m
    /秒の高速度で溶射して、ホワイトメタルのコーティン
    グ層の気孔率を20%以下とし、拡散密着熱処理工程
    は、ホワイトメタルのコーティング層の気孔率を10%
    以下に形成することを特徴とする請求項2記載の軸受部
    品の製造方法。
  4. 【請求項4】 コーティング処理工程は、軸受基材の軸
    受面にホワイトメタルを溶射施工する前に、軸受溶射面
    をブラスト処理によってRaが5μm〜50μm、また
    はRmaxが30μm〜500μmの表面粗さにするこ
    とを特徴とする請求項2又は請求項4記載の軸受部品の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 コーティング処理工程は、軸受基材の軸
    受面にホワイトメタルを溶射施工する際に、空気または
    不活性ガスを吹き付けて軸受基材の温度を摂氏200度
    以下に冷却しながらホワイトメタルを溶射コーティング
    することを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか
    に記載の軸受部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 コーティング処理工程は、ホワイトメタ
    ルの溶射粉末として粒子径10μm〜200μmの粉
    末、又は球形の粉末を用いることを特徴とする請求項2
    乃至請求項5のいずれかに記載の軸受部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 拡散密着処理工程は、ホワイトメタルが
    コーテイングされた軸受基材を、加熱炉でホワイトメタ
    ルの融点温度以下である摂氏100度〜250度で30
    分〜50時間加熱保持することを特徴とする請求項2記
    載の軸受部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 拡散密着処理工程は、軸受基材とホワイ
    トメタル層との界面に拡散層を2μm〜200μmの厚
    さに形成することを特徴とする請求項2又は請求項7記
    載の軸受部品の製造方法。
  9. 【請求項9】 拡散密着処理工程は、ホワイトメタル層
    の硬さをブリネル硬度18〜35とすることを特徴とす
    る請求項2、請求項7又は請求項8のいずれかに記載の
    軸受部品の製造方法。
  10. 【請求項10】 コーティング処理工程は、軸受基材の
    軸受面にホワイトメタル溶射粉末として、0〜15重量
    %Sb、0〜10重量%Cu、0〜20重量%Pb、0
    〜30重量%Zn、残部Sn等のSn基ホワイトメタ
    ル、または0〜50重量%Sn、0〜20重量%Sb、
    0〜5.0重量%Cu、0〜1.5重量%As、残部が
    Pb等のPb基ホワイトメタル、5〜15重量%Sn、
    0.5〜5.0重量%Cu、2.0重量%以下Ni、残
    部Al等のAl基ホワイトメタルを用いるようにしたこ
    とを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載
    の軸受部品の製造方法。
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