JP2000017034A - 水性樹脂分散体組成物および多孔性シート材料の製造方法 - Google Patents

水性樹脂分散体組成物および多孔性シート材料の製造方法

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JP2000017034A
JP2000017034A JP10199742A JP19974298A JP2000017034A JP 2000017034 A JP2000017034 A JP 2000017034A JP 10199742 A JP10199742 A JP 10199742A JP 19974298 A JP19974298 A JP 19974298A JP 2000017034 A JP2000017034 A JP 2000017034A
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meth
polymer
vinyl
acrylate
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JP10199742A
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English (en)
Inventor
Yoshio Kobayashi
良夫 小林
Chishi Murahashi
智至 村橋
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Sanyo Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Sanyo Chemical Industries Ltd
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
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  • Polyurethanes Or Polyureas (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 とくに人工皮革および合成皮革等に好適な、
通気性に優れる多孔性シート材料を与える水性樹脂樹脂
組成物を提供する。 【解決手段】 自己乳化型ポリウレタン樹脂(A)の水
性分散体と、特定組成の重合体からなる群から選ばれる
一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化
して加熱によりゲル化に至るビニル重合体(B)とから
なることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乾式法によって柔
軟で通気性に優れる多孔性シート材料を与える水性樹脂
分散体組成物およびそれを用いた多孔性シート材料の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、天然皮革代用品等としてポリウレ
タン樹脂から多孔性シート材料を製造する方法は多数知
られており、ポリウレタン樹脂の有機溶媒(たとえばジ
メチルホルムアミド等)溶液を繊維質基体に含浸させ、
ポリウレタン樹脂に対し非溶媒で、かつ有機溶媒と相溶
性のある凝固液(通常は水)中で凝固させ、次いで水
洗、乾燥させることにより、多孔性シートを形成させる
湿式法がある。湿式法による多孔性シートは、独特の風
合いを与えるため、特に人工皮革分野において常用され
ている。しかしながら、この湿式法は、生産機および周
辺付帯設備に加え、公害防止の見地から水中に溶出する
有機溶媒の回収装置の設置が不可欠であり、これらの理
由から巨額の設備投資が必要である。近年、有機溶媒を
使用しない、ポリウレタン樹脂エマルションの人工皮革
分野への応用が検討されており、例えば、ポリウレタン
樹脂エマルションに起泡剤および増粘剤を加え、機械的
に発泡させて得た発泡液を基体にコーティングし、乾燥
させる方法;あるいは、界面活性剤を用いて水性乳化し
たポリウレタンエマルションに感熱凝固剤を添加した感
熱凝固性ポリウレタンエマルション組成液を繊維質基体
に含浸させて加熱して凝固させ、乾燥して多孔性シート
材料を得る方法(特開昭56−79780号公報)など
の乾式法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
ものでは、泡の安定性を保つために一定の増粘が必要で
あり、従って加工方法がコーティング法に限定される結
果、基体への適度な含浸が行われない。また、後者のも
のは、加熱による凝固の発現が緩慢なことから凝固温度
と乾燥速度のバランスがとりにくく、安定かつ均一な多
孔性シート材料を得るのが困難であるため、未だ工業的
製造方法としては確立していない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、有機溶媒
を使用せず、かつ水系の乾式法によって、柔軟で通気性
に優れる均一な多孔性シート材料を与える水性樹脂分散
体組成物およびそれを用いた多孔性シート材料の製造方
法について鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、自己乳化型ポリウレタ
ン樹脂(A)の水性分散体と、下記(B1)〜(B7)
からなる群から選ばれる一定の温度を境界にして親水性
と疎水性が可逆的に変化して加熱によりゲル化に至るビ
ニル重合体(B)とからなることを特徴とする水性樹脂
分散体組成物; (B1):環状アミンまたは炭素数5以上の非環状アミ
ンのアルキレンオキシド付加物のビニルカルボン酸エス
テル(b)からなる重合体、 (B2):N−アルキル、N−アルキレンまたはN−ア
ルコキシメチル(メタ)アクリルアミドからなる重合
体、 (B3):ポリアルキレングリコールモノアルキルエー
テルモノ(メタ)アクリレートまたはポリアルキレング
リコールモノアリールエーテルモノ(メタ)アクリレー
トからなる重合体、 (B4):ポリアルキレングリコールモノアルキルモノ
ビニルエーテルからなる重合体、 (B5):ポリアルキレングリコールモノフェニルモノ
ビニルエーテルからなる重合体、 (B6):ポリアルキレングリコールモノアルキルエー
テルモノ(ビニルフェニル)エーテルからなる重合体、 (B7):酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体。 並びに、該組成物を基体に含浸し、該組成物中の(B)
の転移温度以上かつ(A)の熱軟化点以下の温度で加熱
することを特徴とする多孔性シート材料の製造方法であ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、自己乳化型ポリ
ウレタン樹脂(A)の水性分散体としては、たとえば、
分子内に親水性基[アニオン性基(例えば、カルボキシ
ル基、スルホン酸基、リン酸基など、またはこれらのア
ミン類および/またはアルカリ金属塩など)、カチオン
性基(例えば、3級アミノ基の酸類による中和物または
4級化剤による4級化物など)、非イオン性基(例え
ば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシエチレンプロピ
レン鎖など)など]を含有させて水性分散体としたもの
が用いられる。これらのうち好ましいのはアニオン性親
水基を有する自己乳化型ポリウレタン樹脂の水性分散体
である。
【0007】上記自己乳化型ポリウレタン樹脂(A)と
しては、たとえば、有機ポリイソシアネート(a1)、
数平均分子量が500〜5,000の高分子ポリオール
(a2)、分子量が500未満の低分子活性水素化合物
(a3)および親水性基含有活性水素化合物(a4)お
よび必要により反応停止剤(a5)から誘導されるもの
が挙げられる。
【0008】上記有機ポリイソシアネート(a1)とし
ては、例えば、炭素数(NCO基の炭素を除く、以下同
様)6〜20の芳香族ジイソシアネート[2,4−もし
くは2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、
4,4’−もしくは2,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(MDI)、4,4’−ジイソシアナトビフ
ェニル、1、5−ナフチレンジイソシアネートなど];
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート[テトラメチ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,
6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4
−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジン
ジイソシアネートなど];炭素数4〜15の脂環族ジイ
ソシアネート[イソホロンジイソシアネート(IPD
I)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネ
ート(水添MDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソ
シアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート
(水添TDI)、2,5−もしくは2,6−ノルボルナ
ンジイソシアネートなど];炭素数8〜15の芳香脂肪
族ジイソシアネート[キシリレンジイソシアネート(X
DI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレン
ジイソシアネート(TMXDI)など];これらの有機
ジイソシアネートの変性体(例えばイソシアヌレート
基、ビュレット基、カーボジイミド基などを有する変性
体);およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものはTDI,MDI,HDI,
IPDI、水添MDI、XDIおよびTMXDIであ
る。
【0009】上記数平均分子量が500〜5,000の
高分子ポリオール(a2)としては、例えばポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネ
ートジオール、ポリブタジエンジオール、水添ポリブタ
ジエンジオールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げ
られる。ポリエーテルポリオールとしては、低分子量ポ
リオール[たとえばエチレングリコール、プロピレング
リコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノール類
(ビスフェノールAなど)、グリセリン、トリメチロー
ルプロパンなど]を出発物質として、アルキレンオキシ
ド[炭素数2〜4のアルキレンオキシド、たとえばエチ
レンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、
1,2−、1,3−もしくは2,3−ブチレンオキシ
ド、テトラハイドロフランなど)を付加重合または付加
共重合(ブロックおよび/またはランダム)させて得ら
れるものが挙げられる。ポリエーテルポリオールの具体
例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレン(ブ
ロックまたはランダム)グリコール、ポリオキシテトラ
メチレングリコール(PTMG)、ポリオキシテトラメ
チレンオキシエチレン(ブロックまたはランダム)グリ
コールおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、前記ポリエ
ーテルポリオールの出発物質として例示した低分子量ポ
リオールの1種以上と、ジカルボン酸[脂肪族ジカルボ
ン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など)、芳香
族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)な
ど]の1種以上とを反応させて得られる縮合ポリエステ
ルポリオール[ポリエチレンアジペートポリオール、ポ
リブチレンアジペートポリオール、ポリエチレンブチレ
ンアジペートポリオールなど];ラクトン(ε−カプロ
ラクトン、γ−バレロラクトンなど)の開環重合により
得られるポリラクトンポリオール(ポリカプロラクトン
ジオールもしくはトリオール、ポリバレロラクトンジオ
ールもしくはトリオールなど)およびこれらの2種以上
の混合物が挙げられる。ポリカーボネートジオールとし
ては、ポリブチレンカーボネートジオール、ポリヘキサ
メチレンカーボネートジオールなどが挙げられる。
【0010】上記分子量500未満の低分子活性水素化
合物(a3)としては、例えば前記ポリエーテルポリオ
ールの出発物質として例示した低分子量ポリオール、こ
れらのアルキレンオキシド(EOおよび/またはPO)
付加物(分子量500未満)、水、脂肪族ジアミン(エ
チレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)、脂環
族ジアミン(イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタンなど)、芳香族ジアミン(4,
4’−ジアミノジフェニルメタンなど)、芳香脂環族ジ
アミン(キシリレンジアミンなど)、ヒドラジンもしく
はその誘導体(二塩基酸ジヒドラジド、たとえばアジピ
ン酸ジヒドラジドなど)およびこれらの2種以上の混合
物が挙げられる。
【0011】上記親水性基含有活性水素化合物(a4)
としては分子内に親水性基(またはアニオンもしくはカ
チオン形成性基)と活性水素含有基とを有する化合物が
挙げられ、具体例としては、例えば、アニオン性化合物
{親水性基としてカルボキシル基を有する化合物(乳
酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸な
ど)、スルホン酸基を有する化合物[アミノエチルスル
ホン酸、3−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)プロ
パンスルホン酸など]、リン酸基を有する化合物[ビス
ー(2−ヒドロキシエチル)ホスフェートなど]、これ
らのアミン類(トリエチルアミン、モルホリンなど)お
よび/またはアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム
など)などによる中和物};カチオン性化合物{N−メ
チルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノール
アミンなどの酸類(酢酸など)による中和物または4級
化剤(ジメチル硫酸など)による4級化物など}、非イ
オン性化合物[重合度が5〜20またはそれ以上の、ポ
リエチレングリコール、ポリエチレンプロピレングリコ
ール(オキシエチレン単位の含有量60重量%以上)な
ど]などが挙げられる。該非イオン性化合物は上記アニ
オン性化合物またはカチオン性化合物と併用してもよ
い。これらのうち、アニオン性化合物およびカチオン性
化合物が好ましく、アニオン性化合物が特に好ましい。
該(a4)の含有量は、親水性基がアニオン性基または
カチオン性基の場合は(A)中の親水性基(COO-
SO3 -、PO-またはN+)の量が通常0.3〜10重量
%、好ましくは0.5〜5重量%となる量であり、親水
性基が非イオン性基の場合は(A)中の親水性基(ポリ
オキシエチレン鎖)の量が通常0.5〜30重量%、好
ましくは1〜15重量%となる量である。
【0012】上記反応停止剤(a5)としては、たとえ
ば炭素数1〜8の脂肪族1価アルコール(メタノール、
エタノール、ブタノールなど)、モノアミン類[モノ−
もしくはジアルキル(C1〜C8)アミン、たとえばジエ
チルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、オクチル
アミンなど);アルカノール(C2〜C4)アミン、たと
えばモノエタノールアミン、モノイソプロパノールアミ
ン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンな
ど)]などが挙げられる。
【0013】自己乳化型ポリウレタン樹脂(A)の水性
分散体の製法としては、例えば、分子内に活性水素基を
含まない有機溶剤[ケトン類(アセトン、メチルエチル
ケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類
(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテー
トなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラハイドロフ
ランなど)、炭化水素類(n−ヘキサン、n−ヘプタ
ン、シクロヘキサン、テトラリン、トルエン、キシレン
など)、塩化炭化水素類(ジクロロエタン、トリクロロ
エタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンな
ど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセ
トアミドなど)、N−メチルピロリドンなど]の存在下
または非存在下で、前記(a1)と、(a2)、(a
3)のうちの低分子ポリオールおよび(a4)とを、イ
ソシアネート基と活性水素含有基(カルボキシル基を除
く)との当量比(イソシアネート基/活性水素基)が通
常1.01〜3、このましくは1.1〜2の範囲で、ワ
ンショット法または多段法により、通常20℃〜150
℃、好ましくは60℃〜110℃で2〜10時間反応さ
せて、遊離イソシアネート(NCO)基含量が通常0.
5〜6重量%のウレタンプレポリマーとし、次いで該プ
レポリマーを塩基[(a4)がアニオン性化合物の場
合]または酸もしくは4級化剤[(a4)がカチオン性
化合物の場合]で親水化(中和または4級化)するか、
あるいは親水化しながら、通常10℃〜60℃、好まし
くは20℃〜40℃で、水または前記(a3)のうちの
ポリアミン[脂肪族ポリアミン(エチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、ジエチレントリアミンなど)、
脂環族ポリアミン(イソホロンジアミン、4,4’−ジ
アミノジシクロヘキシルメタンなど)、芳香族ポリアミ
ン(4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど)、芳香
脂肪族ポリアミン(キシリレンジアミンなど)、ヒドラ
ジンもしくはその誘導体など]から選ばれる少なくとも
1種の鎖伸長剤および必要により前記反応停止剤(a
5)を含む水溶液と混合して水性分散体となし、NCO
基がなくなるまで伸長反応させ、必要により有機溶剤を
留去する方法が例示できる。また、予め親水性基を有す
るポリウレタン樹脂を形成させた後に、これを水中に分
散させてもよい。
【0014】上記反応に際しては、反応を促進させるた
め、必要により通常のウレタン反応において使用される
触媒[アミン触媒(トリエチルアミン、N−エチルモル
ホリン、トリエチレンジアミンなど)、錫系触媒(ジブ
チル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジラウリレート、
オクチル酸錫など)、チタン系触媒(テトラブチルチタ
ネートなど)など]を使用してもよい。触媒の使用量は
ポリウレタン樹脂に対して通常0.1重量%以下であ
る。
【0015】本発明において、該(A)の水性分散体と
ともに必要により、自己乳化型アクリル系樹脂(A1)
および/または自己乳化型スチレン/ジエン系樹脂(A
2)の水性分散体を併用することができる。併用する場
合の該(A1)および/または(A2)の量は、(A)
と(A1)および/または(A2)の合計重量に対して
通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下であ
る。
【0016】上記自己乳化型アクリル系樹脂(A1)と
しては疎水性のアクリル系モノマーを主構成成分とする
(共)重合体が挙げらる。該疎水性のアクリル系モノマ
ーとしては、例えば、(シクロ)アルキル(C1
20)(メタ)アクリレート[たとえばメチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデ
シル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)ア
クリレートなど];芳香環含有(メタ)アクリレート
[たとえばベンジル(メタ)アクリレートなど];ポリ
アルキレン(C3〜C10)グリコール(重合度2〜20
またはそれ以上)モノ(メタ)アクリレート[たとえば
ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
ポリテトラメチレンエーテルグリコール(メタ)アクリ
レートなど];エポキシ基含有(メタ)アクリレート
[たとえばグリシジル(メタ)アクリレートなど];シ
アノ基含有(メタ)アクリレート[たとえば2−シアノ
エチル(メタ)アクリレートなど];多官能(メタ)ア
クリレート[たとえばエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコール(重合度2〜20)ジ
(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリ
レートなど]およびこれらの2種以上の混合物が挙げら
れる。
【0017】該疎水性のアクリル系モノマーとともに必
要によりその他の疎水性モノマーを併用することができ
る。該その他の疎水性モノマーとしては、たとえば、ス
チレン類(たとえばスチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、p−クロロスチレンなど);ビニルエス
テル類(たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、オ
クチル酸ビニルなど);ビニルエーテル類(たとえばメ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチ
ルビニルエーテルなど);ニトリル基含有モノマー[た
とえば(メタ)アクリロニトリルなど];(メタ)アク
リルアミド誘導体[たとえばN−ブトキシメチル(メ
タ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミ
ドなど];ポリオルガノシロキサン(重合度2〜50ま
たはそれ以上)含有モノマー(たとえばメタクロイルオ
キシポリジメチルシロキサンなど);オレフィン類(た
とえばエチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテ
ンなど);ジエン系モノマー(たとえばブタジエン、イ
ソプレン、クロロプレン、シクロペンタジエンなど);
ハロゲン含有モノマー(たとえば塩化ビニル、塩化ビニ
リデン、弗化ビニリデンなど);複素環含有モノマー
[たとえばN−ビニルカルバゾールなど];多官能モノ
マー(たとえばジビニルベンゼン、ジビニルフタレート
など)およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
併用する場合の上記疎水性のアクリル系モノマーの重量
割合は、モノマー全量に基づいて通常50重量%以上、
好ましくは70重量%以上である。
【0018】自己乳化性を付与するための親水性基の導
入方法としては、親水性基(または親水基形成性基)を
有するラジカル重合性モノマーを前記アクリル系モノマ
ーからなるモノマーと共重合する方法が挙げられる。該
親水性基(または親水基形成性基)を有するラジカル重
合性モノマーとしては、例えば、アニオン性モノマー
[たとえば(メタ)アクリル酸、3−スルホプロピル
(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシポ
リオキシアルキレン(C2〜C4)硫酸エステル、スチレ
ンスルホン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無
水)イタコン酸、ビニル安息香酸、ビニルスルホン酸、
アリルスルホン酸、アルキル(C2〜C10)アリルスルホ
コハク酸など、およびこれらの塩基(水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ、アンモニア、ジエ
チルアミン、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミンなどのアミン類)による(部分)
中和塩など];カチオン性モノマー[たとえばN,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N
−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N
−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,
N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、p
−アミノスチレン、ビニルイミダゾール、2−ビニルピ
リジンなど、およびこれらの酸(塩酸、ギ酸、酢酸、リ
ン酸など)による中和物もしくは四級化剤(アルキルハ
ライド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸など)による四級
化物など];両性モノマー[アミンイミド系モノマー、
たとえば1,1,1−トリメチルアミン(メタ)アクリ
ルイミド、1,1−ジメチル−1−エチルアミン(メ
タ)アクリルイミドなど];非イオン性モノマー[2−
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコ
ール(重合度2〜20またはそれ以上)モノ(メタ)ア
クリレート、(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロ
リドンなど]などが挙げられる。これらのうち好ましい
ものはアニオン性モノマーおよびこれと非イオン性モノ
マーの併用である。該親水性基(または親水基形成性
基)を有するラジカル重合性モノマーの使用量は、親水
性基がイオン性基場合は(A1)中の親水性基(COO
-、SO3 -、PO-またはN+)の含有量が通常0.3〜
10重量%、好ましくは0.5〜5重量となる量であ
り、親水性基が非イオン性基の場合は(A1)中の親水
性基(ポリオキシエチレン鎖、水酸基、CONH2
ど)の含有量が通常0.5〜20重量%、好ましくは1
〜15重量%となる量である。
【0019】自己乳化型アクリル系樹脂(A1)の水性
分散体の製法としては、例えば、前記疎水性のアクリ
ル系モノマーおよび必要によりその他の疎水性モノマー
と前記親水性基(または親水基形成性基)を有するラジ
カル重合性モノマーとを、ラジカル重合開始剤の存在下
で有機溶剤[たとえば前記ケトン類、エステル類、エー
テル類、芳香族炭化水素、アルコール類(メタノール、
エタノール、イソプロパノールなど)およびこれらの2
種以上の混合溶剤など]中で共重合し、必要により中和
もしくは4級化等により親水性基を形成させ、水を加え
て乳化後に溶剤を除去する方法;前記疎水性のアクリ
ル系モノマーおよび必要によりその他のモノマーを、分
子内にラジカル重合性基を有する乳化剤または水溶性ポ
リマーおよびラジカル重合開始剤の存在下で乳化重合す
る方法(この場合は前記親水性基を有するモノマーは必
ずしも使用しなくてもよい)が例示できる。
【0020】上記ラジカル重合開始剤としては、たとえ
ば、有機系重合開始剤[パーオキシド類(たとえばベン
ゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンハ
イドロパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシ
ド、t−アミルハイドロパーオキシド、t−ブチルパー
ベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート等)、
アゾ化合物類〔たとえばアゾビスイソブチロニトリル、
アゾビスイソバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2
−アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’−アゾビス[2
−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩、
2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾ
リン−2−イル)プロパン]塩酸塩、4,4’−アゾビ
ス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾ
ビス(2−メチルプロピオンアミド)等];無機系重合
開始剤[たとえば過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウム等)、過炭酸塩(過炭酸
ナトリウム等)、過酸化水素等]等が挙げられる。これ
らは1種または2種以上を組み合わせて用いられる。重
合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマー全量に対
して通常0.01〜5重量%である。
【0021】上記ラジカル重合性基を有する乳化剤(反
応性乳化剤)としては、たとえば、下記(1)〜(1
0)のものが例示できる。 (1)アニオン系(メタ)アクリル酸エステル類、次式
で示されるもの等: CH2=C(R3)CO2(CH2)mSO3M CH2=C(R3)CO2CH2C(R4)(OCOR5)CH2
SO3M CH2=C(R3)CO2CH2CH2OCOArCO2CH2
CH2OSO3M CH2=C(R3)CO2(AO)pSO3M (2)アニオン系アリル化合物類、次式で示されるもの
等: CH2=CHCH2OCOCH(SO3M)CH2CO25 CH2=CHCH2OCH2CH(OH)CH2OCOCH
(SO3M)CH2CO25 (R6)(R7)Ar(CH2CH=CH2)O(AO)qSO3M (3)アニオン系マレイン酸エステル類、次式で示され
るもの等: R8OCOCH=CHCO2CH2CH(OH)CH2SO3
M R9O(AO)qCOCH=CHCO2(CH2)rCH(R10)
SO3M R9(AO)qOCOCH=CHCO2M (4)アニオン系イタコン酸エステル類、次式で示され
るもの等: CH2=C(CH2CO28)CO2(CH2)mSO3M CH2=C(CH2CO28)CO2CH2CH(OH)CH2
SO3M (5)非イオン系(メタ)アクリル酸エステル類、次式
で示されるもの等: CH2=C(R3)CO(AO)qOR8 CH2=C(R3)CO(PO)q(EO)sOHまたは CH2=C(R3)CO(EO)q(PO)sOH (6)非イオン系アリル化合物類、次式で示されるもの
等: (R6)(R7)Ar(CH2CH=CH2)O(AO)qH (7)非イオン系マレイン酸エステル類、次式で示され
るもの等: R6(AO)qOCOCH=CHCO2(AO)sR7 (8)非イオン系イタコン酸エステル類、次式で示され
るもの等: CH2=C[CH2CO2(AO)qR6]CO2(AO)sR7 (9)カチオン系(メタ)アクリル酸エステル類、次式
で示されるもの等: (10)カチオン系アリル化合物類、次式で示されるも
の等: [CH2=CHCH2CH(OH)CH2N(CH3)211
X [CH2=CHCH2N(CH3)211]X 上記(1)〜(10)における式中、R3およびR4は水
素原子またはメチル基、R5は炭素数7〜21のアルキ
ル基またはアルケニル基、R6は炭素数4〜18のアル
キル基、アルケニル基またはアラルキル基、R7は水素
原子または炭素数4〜18のアルキル基、アルケニル基
またはアラルキル基、R8は炭素数5〜21のアルキル
基、アルケニル基またはアラルキル基、R9およびR10
は炭素数1〜21のアルキル基、アルケニル基またはア
ラルキル基、R11は炭素数4〜21のアルキル基、アル
ケニル基またはアラルキル基、Arは芳香族環または脂
肪族環、AOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、P
Oはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、M
はアルカリ金属、アンモニウムイオンまたはアミニウム
イオン、Xはハロゲン原子を表し、mは1〜4の整数、
pは2〜30の整数、qおよびsは2〜200の整数、
rは0〜3の整数を表す。これらは1種または2種以上
を併用することができる。該反応性乳化剤の使用量は、
該乳化剤とモノマーの合計重量に対して通常0.1〜2
0重量%である。
【0022】上記水溶性ポリマーとしては、たとえば、
アニオン性水溶性ポリマー[たとえば(メタ)アクリル
酸、(メタ)アクリルスルホン酸、(メタ)アクリロイ
ルポリオキシアルキレン硫酸エステル、スチレンスルホ
ン酸、ビニル安息香酸、(無水)マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、アルキルアリルス
ルホコハク酸などを50重量%以上含有するビニルポリ
マーの塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
アルカリ、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルア
ミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど
のアミン類)による(部分)中和塩など];カチオン性
水溶性ポリマー[たとえばN,N−ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロ
ピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプ
ロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリルアミド、p−アミノスチレン、
ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジンなどを50重
量%以上含有するビニルポリマーの酸(塩酸、ギ酸、酢
酸、リン酸など)または四級化剤(アルキルハライド、
ジメチル硫酸、ジエチル硫酸など)による(部分)カチ
オン化物など]などが挙げられる。該水溶性ポリマーの
使用量は、水溶性ポリマーとモノマーの合計重量に対し
て通常0.1〜20重量%である。
【0023】上記ラジカル重合反応において(A1)の
分子量を調整する目的で必要により公知の連鎖移動剤を
使用できる。該連鎖移動剤としては、たとえばメルカプ
タン類(ドデシルメルカプタンなど)、ジペンテン、四
塩化炭素およびこれらの2種以上の併用が挙げられる。
該連鎖移動剤の使用量はモノマー全量に対して通常5重
量%以下である。
【0024】自己乳化型スチレン/ジエン系樹脂(A
2)としてはスチレン類とジエン系モノマーを主構成成
分とする(共)重合体が挙げられる。スチレン類および
ジエン系モノマーそしては前記に例示したものが挙げら
れ、好ましいのはスチレンとブタジエンの組み合わせで
ある。該(A2)において、該スチレン類およびジエン
系モノマーと共に必要により前記(A1)の構成モノマ
ーとして例示した疎水性のアクリル系モノマーおよびそ
の他の疎水性モノマー(スチレン類およびジエン系モノ
マーを除く)から選ばれる1種以上を併用してもよい。
該(A2)におけるスチレン類とジエン系モノマーの重
量割合は通常(20〜80):(80〜20)、好まし
くは(30〜70):(70〜30)であり、モノマー
全量中のスチレン類およびジエン系モノオマーの合計の
含有量は通常50重量%以上、好ましくは70重量%以
上である。該(A2)に自己乳化性を付与するための親
水性基の導入方法ならびに水性分散体の製造方法として
は、前記(A1)の場合と同様の方法が用いられる。
【0025】自己乳化型ポリウレタン樹脂(A)からな
る水性分散体の樹脂[(A)および必要により(A1)
および/または(A2)]濃度は通常1〜60重量%、
好ましくは5〜50重量%である。該(A)からなる樹
脂のガラス転移温度は通常−100℃〜50℃であり、
軟化点は通常40℃〜250℃である。ガラス転移点
は、樹脂の示差走査熱量測定により求められる。また、
軟化点は、ASTM1525のビカット軟化点測定法に
よって求められる。
【0026】本発明で用いられるビニル重合体(B)と
しては、その水溶液または水懸濁液を一定温度まで加熱
するとシャープにゲル化に至り、この作用が可逆的であ
るものが好ましい。該ビニル重合体(B)は、アニオン
形成性基を有するもの、カチオン形成性基を有するもの
またはノニオン性のもののいずれかあってもよい。
(A)からなる自己乳化型水性樹脂分散体がアニオン性
である場合は、該(B)としてカチオン形成性基を有す
るものを使用すると、ゲル化時にゲルがより強固になり
好ましく、カチオン性である場合は、(B)としてアニ
オン形成性基を有するものを使用するとゲル化時にゲル
がより強固になり好ましい。
【0027】該(B)は、環状アミンまたは炭素数5以
上の非環状アミンのアルキレンオキシド付加物のビニル
カルボン酸エステル(b)からなる重合体(B1)、N
−アルキル、N−アルキレンまたはN−アルコキシメチ
ル(メタ)アクリルアミドからなる重合体(B2)、ポ
リアルキレングリコールモノアルキルエーテルモノ(メ
タ)アクリレートまたはポリアルキレングリコールモノ
アリールエーテルモノ(メタ)アクリレートからなる重
合体(B3)、ポリエチレングリコールモノアルキルモ
ノビニルエーテルからなる重合体(B4)、ポリアルキ
レングリコールモノフェニルモノビニルエーテルからな
る重合体(B5)およびポリアルキレングリコールモノ
アルキルエーテルモノ(ビニルフェニル)エーテルから
なる重合体(B6)、酢酸ビニル−ビニルアルコール共
重合体(B7)からなる群から選ばれるが、これらのう
ち、含浸層表面への水性分散体中の自己乳化型ポリウレ
タン樹脂(A)のマイグレーション(偏在化)を抑制す
る効果が高い点で、カチオン形成性基を有するもの[重
合体(B1)、ならびに、カチオン形成性の化合物を共
重合した、(B2)、(B3)、(B4)、(B5)お
よび(B6)]が好ましく、重合体(B1)がよりシャ
ープな感温ゲル化性を与えるという点で特に好ましい。
【0028】重合体(B1)を構成するビニルカルボン
酸エステル(b)における環状アミンとしては、アルキ
レンオキシドが付加するための活性水素を有する環状ア
ミンであれば特に制限はなく、環の内外にアミン性窒素
を有していればよい。活性水素基は、アミノ基から由来
してもよいし、また水酸基、カルボキシル基など、アル
キレンオキシドが付加し得る基であればいずれから由来
していてもよい。
【0029】このような環状アミンとしては、例えば、
非芳香族性ヘテロサイクリックアミン[アジリジン環を
有するもの(アジリジン、2−メチルアジリジン、2−
エチルアジリジンなど)、ピロリジン類(ピロリジン、
2−メチルピロリジン、2−エチルピロリジン、2−ピ
ロリドン、スクシンイミド、1,2−シクロヘキサンジ
カルボキシイミドなど)、ピペリジン類(ピペリジン、
2−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、
2−エチルピペリジン、4−ピペリジノピペリジン、2
−メチル−4−ピロリジノピペリジン、エチルピコリコ
ネートなど)、ピペラジン類(1−メチルピペラジン、
1−メチル−3−エチルピペラジンなど)、モルフォリ
ン類(モルフォリン、2−メチルモルフォリン、3,5
−ジメチルモルフォリン、チオモルフォリンなど)、ピ
ロリン類(3−ピロリン、2,5−ジメチル−3−ピロ
リン、2−フェニル−2−ピロリンなど)、ピラゾリン
類(ピラゾリンなど)、イミダゾール類(2−メチルイ
ミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2
−フェニルイミダゾールなど)、ピラゾール類(ピラゾ
ール、ピラゾールカルボン酸など)、ピリドン類(α−
ピリドン、γ−ピリドンなど)、およびε−カプロラク
タム、ピリダジノン、ピリダリン、ピリドインなど];
芳香族ヘテロサイクリックアミン[2−ヒドロキシピリ
ジン、2−ヒドロキシ−3,5−ジターシャリブチルピ
リジン、2−カルボキシルピリジン、4−ピリジルカル
ビノール、2−ヒドロキシピリミジン、ピロール、2−
フェニルピロールなど];芳香族アミン[アニリン、3
−メチルアニリン、N−メチルアニリン、N−イソプロ
ピルアニリンなど]などが挙げられる。
【0030】これらの環状アミンのうち好ましいのは、
非芳香族性ヘテロサイクリックアミンである。なかでも
好ましいのは、ピペリジン類及びモルフォリン類であ
り、最も好ましいのは、モルフォリン類である。
【0031】(b)における総炭素数5以上の非環状ア
ミンは、アルキレンオキシドが付加するための活性水素
を有する総炭素数5以上の非環状アミンであれば特に制
限はなく、例えば、総炭素数5以上の脂肪族非環状1級
アミン(ジメチルプロピルアミン、2−エチルブチルア
ミン、ペンチルアミン、2,2−ジメチルブチルアミ
ン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチル
アミン、2−エチルヘキシルアミン、イソデシルアミ
ン、ラウリルアミンなど);総炭素数5以上の脂肪族非
環状2級アミン[メチルブチルアミン、メチルイソブチ
ルアミン、メチルターシャリブチルアミン、メチルペン
チルアミン、メチルヘキシルアミン、メチル(2−エチ
ルヘキシル)アミン、メチルオクチルアミン、メチルノ
ニルアミン、メチルイソデシルアミン、エチルプロピル
アミン、エチルイソプロピルアミン、エチルブチルアミ
ン、エチルイソブチルアミン、エチルターシャリブチル
アミン、エチルペンチルアミン、エチルヘキシルアミ
ン、エチル(2−エチルヘキシル)アミン、エチルオク
チルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミ
ン、プロピルブチルアミン、プロピルイソブチルアミ
ン、プロピルターシャリブチルアミン、プロピルペンチ
ルアミン、プロピルヘキシルアミン、プロピル(2−エ
チルヘキシル)アミン、プロピルオクチルアミン、イソ
プロピルブチルアミン、イソプロピルイソブチルアミ
ン、イソプロピルターシャリブチルアミン、イソプロピ
ルペンチルアミン、イソプロピルヘキシルアミン、イソ
プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、イソプロピル
オクチルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミ
ン、ジターシャリブチルアミン、ブチルペンチルアミ
ン、ジペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなど]
などが挙げられる。
【0032】上記非環状アミンのうち好ましいのは、総
炭素数5〜8の脂肪族非環状1級アミンである。
【0033】アルキレンオキシドとしては、エチレンオ
キシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどが
挙げられる。これらのうち好ましいものは、エチレンオ
キシドまたはプロピレンオキシド、及びこの両者の組合
せである。
【0034】該ビニルカルボン酸エステル(b)におけ
るアルキレンオキシドの付加モル数は、通常1〜50モ
ル、好ましくは1〜5モルである。
【0035】該(b)は、前記環状アミンまたは総炭素
数5以上の非環状アミンのアルキレンオキシド付加物と
ビニルカルボン酸とを反応させることによって得られ
る。このビニルカルボン酸は、ビニル基とカルボキシル
基が直結している必要はなく、例えば、(メタ)アクリ
ル酸、(イソ)クロトン酸、マレイン酸、フマル酸及び
イタコン酸などのラジカル重合性不飽和脂肪族カルボン
酸;ビニル安息香酸および2−カルボキシ−4−イソプ
ロペニル−3−ピロリジン酢酸などのラジカル重合性芳
香族カルボン酸;ならびにこれらのエステル形成性誘導
体(メチルエステル、酸無水物あるいは酸ハロゲン化
物)が挙げられる。
【0036】これらのうち、(メタ)アクリル酸、マレ
イン酸、ビニル安息香酸、およびこれらのエステル形成
性誘導体が好ましく、(メタ)アクリル酸およびそのエ
ステル形成性誘導体が特に好ましい。
【0037】重合体(B1)は、ビニルカルボン酸エス
テル(b)の重合体でも、(b)と他のビニル系モノマ
ー(c)との共重合体でもよいが、(b)を構成単位と
して50重量%以上含有することが好ましく、さらに好
ましくは70重量%以上含有することである。
【0038】他のビニル系モノマー(c)としては、
(c−1)親水性のもの[(b)を除く]または(c−
2)親油性のもののいずれでもよい。
【0039】該(c−1)としては、ノニオン性の化合
物[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリ
ロイルオキシポリグリセロール、ビニルアルコール、ア
リルアルコール、(メタ)アクリルアミド、N−メチル
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、ビニルイミ
ダゾール、N−メチロール−ε−カプロラクタム、N−
メチロールマレイミド、N−ビニルスクシンイミド、p
−アミノスチレン、N−ビニルカルバゾール、2−ビニ
ルピリジン、2−シアノエチル(メタ)アクリレート
等];アニオン形成性の化合物[(メタ)アクリル酸、
(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニルス
ルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸、スチレンスル
ホン酸、ビニル安息香酸、アルキルアリルスルホコハク
酸、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エ
ステル等の酸およびこれらの塩];カチオン形成性の化
合物[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アク
リルアミド、ビニルアニリン及びこれらの酸塩];アミ
ンイミド基を有する化合物[1,1,1−トリメチルア
ミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチル−1−
エチルアミン(メタ)アクリルイミド、1,1−ジメチ
ル−1−(2’−フェニル−2’−ヒドロキシエチル)
アミン(メタ)アクリルイミド、1,1,1−トリメチ
ルアミン(メタ)アクリルイミド等]が挙げられる。
【0040】また、該(c−2)としては、例えば、メ
チル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オ
クタデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)ア
クリレート等の(メタ)アクリレート誘導体、N,N−
ジブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル
(メタ)アクリルアミド等のN−アルキル(メタ)アク
リルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、スチレ
ン、1−メチルスチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、イ
ソプレン、塩化ビニル、ビニルトリメトキシシラン等が
挙げられる。
【0041】重合体(B1)は、例えば、特開平6−9
848号公報に記載の方法によって得られる。
【0042】重合体(B2)としては、N−アルキル、
N−アルキレンまたはN−アルコキシメチル(メタ)ア
クリルアミドモノマーの(共)重合体および該モノマー
と前記の他のビニルモノマー(c)との共重合体が挙げ
られる。
【0043】重合体(B2)を構成するN−アルキル、
N−アルキレンまたはN−アルコキシメチル(メタ)ア
クリルアミドモノマーの具体例としては、N−エチル
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)ア
クリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イ
ソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル
ピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N
−(メタ)アクリロイルヘキサヒドロアゼン、(メタ)
アクリロイルモルホリン、N−テトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メ
タ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)ア
クリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルア
ミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチル
(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキ
シエチル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメ
チルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−
ジオキソラン−2−イル)−N−メチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−8−アクリロイル−1,4−ジオキサ−
8−アザ−スピロ[4,5]デカン、N−メトキシエチ
ル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−
(エトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(プ
ロポキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ブト
キシメチル)(メタ)アクリルアミド、N−(ペンチル
オキシメチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ
る。
【0044】重合体(B2)は、前記N−アルキル、N
−アルキレンまたはアルコキシアルキル(メタ)アクリ
ルアミドモノマーの(共)重合体または前記ビニル系モ
ノマー(c)との共重合体である。該(B2)は、例え
ば特開平1−14276号公報に記載の方法によって得
られる。
【0045】重合体(B3)としては、ポリアルキレン
グリコールモノアルキルもしくはモノフェニルエーテル
モノ(メタ)アクリレート1種以上の(共)重合体およ
びコモノマーとの共重合体が挙げられる。コモノマーと
しては、前記ビニル系モノマー(c)と同一のものが使
用できる。ポリアルキレングリコールモノアルキルもし
くはモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレートと
しては、1価アルコールのエチレンオキシド付加物の
(メタ)アクリル酸エステル[ポリエチレングリコール
モノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノエチルエーテルモノ(メタ)アク
リレート、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテ
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール
モノブチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノシクロヘキシルエーテルモノ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノフェニ
ルエーテルモノ(メタ)アクリレート等];1価アルコ
ールのプロピレンオキシド/エチレンオキシドランダム
またはブロック付加物の(メタ)アクリル酸エステル
[(ポリ)オキシプロピレンポリオキシエチレングリコ
ールモノメチルエーテルモノ(メタ)アクリレート、
(ポリ)オキシプロピレンポリオキシエチレン(ポリ)
オキシプロピレングリコールモノメチルエーテルモノ
(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(ポリ)オ
キシプロピレンポリオキシエチレングリコールモノメチ
ルエーテルモノ(メタ)アクリレート等]等が挙げられ
る。前記ポリアルキレングリコールモノアルキルもしく
はモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレート中の
ポリオキシアルキレンの重合度は通常2〜50である。
【0046】該重合体(B3)は、例えば特公平6−2
3375号公報に記載の方法によって得られる。
【0047】重合体(B4)を構成するポリアルキレン
グリコールモノアルキルモノビニルエーテルとしては、
1価アルコールのエチレンオキシド付加物と塩化ビニル
とから得られるビニルエーテル(ポリエチレングリコー
ルモノエチルモノビニルエーテル、ポリエチレングリコ
ールモノプロピルモノビニルエーテル、ポリエチレング
リコールモノブチルモノビニルエーテル等);1価アル
コールのプロピレンオキシド/エチレンオキシドランダ
ムまたはブロック付加物と塩化ビニルとから得られるビ
ニルエーテル[(ポリ)オキシプロピレンポリオキシエ
チレングリコールモノメチルモノビニルエーテル、(ポ
リ)オキシエチレン(ポリ)オキシプロピレンポリオキ
シエチレングリコールモノメチルモノビニルエーテル
等]が挙げられる。重合体(B5)を構成するポリアル
キレングリコールモノフェニルモノビニルエーテルとし
ては、フェノール類のエチレンオキシド付加物と塩化ビ
ニルとから得られるビニルエーテル(ポリエチレングリ
コールモノフェニルモノビニルエーテル等)が挙げられ
る。前記ポリアルキレングリコールモノアルキルまたは
モノフェニルモノビニルエーテル中のポリオキシアルキ
レンの重合度は通常2〜50である。
【0048】重合体(B4)または(B5)としては、
これらのモノビニルエーテル1種以上の(共)重合体お
よびコモノマーとの共重合体が挙げられる。コモノマー
としては、前記ビニル系モノマー(c)と同一のものが
使用できる。
【0049】重合体(B4)または(B5)は、例え
ば、ジャーナル・オブ・ポリマーサイエンス:パート
A:ポリマーケミストリー、30巻2407頁(199
2年)に記載の方法によって得られる。
【0050】重合体(B6)を構成するポリエチレング
リコールモノアルキルモノ(ビニルフェニル)エーテル
としては、1価アルコールのエチレンオキシド2〜50
モル付加物とビニルフェニルブロミドから得られるもの
[ポリエチレングリコールモノメチルモノ(ビニルフェ
ニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノエチルモ
ノ(ビニルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコー
ルモノプロピルモノ(ビニルフェニル)エーテル、ポリ
エチレングリコールモノブチルモノ(ビニルフェニル)
エーテル、ポリエチレングリコールモノシクロヘキシル
モノ(ビニルフェニル)エーテル、ポリエチレングリコ
ールモノフェニルモノ(ビニルフェニル)エーテル等]
が挙げられる。重合体(B6)としては、これらのモノ
(ビニルフェニル)エーテル1種以上の(共)重合体お
よびコモノマーとの共重合体が挙げられる。コモノマー
としては、前記ビニル系モノマー(c)と同一のものが
使用できる。該重合体(B6)は、例えば特公平6−2
3375号公報に記載の方法と同様の方法で得られる。
【0051】重合体(B7)を構成するポバール(酢酸
ビニル−ビニルアルコール共重合体)としては、酢酸ビ
ニルの単独重合体または酢酸ビニルとコモノマーとの共
重合体の部分ケン化物が挙げられる。コモノマーとして
は、前記ビニル系モノマー(c)と同一のものが使用で
きる。ケン化度は45〜90モル%が好ましい。該重合
体(B7)は、例えば特公平6−23375号公報に記
載の方法と同様の方法で得られる。
【0052】ビニル重合体(B)の重量平均分子量は、
通常1,000〜5,000,000、好ましくは1
0,000〜2,000,000、特に好ましくは10
0,000〜1,000,000である。
【0053】ビニル重合体(B)は、一定の温度を境界
にして親水性と疎水性が可逆的に変化するが、この親水
性と疎水性が変化する温度(転移温度)は、通常15〜
100℃、好ましくは40〜80℃である。なお、転移
温度は、(B)の1%水溶液を徐々に加温してゆき、そ
の水溶液が白濁またはゲル化し始める温度を測定するこ
とによって求められる。
【0054】本発明の水性樹脂分散体組成物において、
(A)からなる水性分散体中の樹脂分と(B)の重量割
合は、通常(20〜99.99):(0.01〜8
0)、好ましくは(70〜99.99):(0.01〜
30)、さらに好ましくは(80〜99.5):(0.
05〜20)である。(B)の比率が0.01未満で
は、得られる多孔性シート材料の通気性が不十分とな
り、80を越えると強度が低下する。
【0055】本発明の水性樹脂分散体組成物は、(A)
からなる水性分散体とビニル重合体(B)単独あるいは
該(B)を必要により水で希釈したものとを、(B)の
転移温度よりも低い温度で、通常の混合装置(櫂型攪拌
翼等)で混合することによって得られる。該組成物の固
形分濃度は任意に設定し得るが、通常2〜60重量%、
好ましくは5〜50重量%である。
【0056】本発明の水性樹脂分散体組成物には、必要
に応じて架橋剤、補助配合剤などを任意に含有させるこ
とができる。該架橋剤としては、水溶性または水分散性
のポリエポキシ化合物、アミノプラスト、ポリイソシア
ネート化合物、ポリアジリジン化合物などが挙げられ
る。また、該補助配合剤としては、例えば、着色剤(染
料、顔料など)、無機充填剤(微粉末シリカ、各種クレ
ー、カオリン、炭酸カルシウムなど)、有機充填剤(微
粉末セルロース、ポリウレタンパウダーなど)、増粘剤
(ポリアクリル酸など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化
防止剤、耐候安定剤など)、消泡剤(シリコン系など)
などが挙げられる。
【0057】本発明の組成物を用いて多孔性シート材料
を製造する方法としては、該組成物またはそれからなる
配合液(固形分濃度2〜50重量%、好ましくは5〜4
0重量%)を繊維質基体(不織布、織布、編布、起毛布
など)に1〜1,000g/m2のウェット含浸量(目
付量)で均一含浸せしめ、(B)の転移温度以上かつ
(A)および必要により(A1)および/または(A
2)からなる樹脂の熱軟化点以下の温度で加熱しながら
乾燥する方法が例示できる。
【0058】本発明の組成物は乳化剤を実質的に含ま
ず、(B)の転移温度以上に加熱することによって瞬時
にゲル化するため、樹脂エマルション粒子が固定された
まま皮膜を形成する。このため、本発明の組成物から得
られるシート材料は、水の蒸発に伴う微細な孔を多数有
し、通気性に優れる多孔性シート材料を形成する。さら
に、加熱によりゲル化する作用によって、乾燥時に樹脂
が含浸層表面へマイグレーション(偏在化)することな
く均一に付着するため、風合いの柔らかい多孔性シート
材料を与える。このため本発明の組成物は含浸法による
多孔性シート材料の製造にとくに好適に用いることがで
きる。該多孔性シート材料は、たとえば靴、履物、鞄、
衣料、家具、自動車シートなどの各種用途に用いられる
人工皮革または合成皮革として有用である。
【0059】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。な
お、以下において「部」は重量部、「%」は重量%を示
す。
【0060】製造例1(自己乳化型ポリウレタン樹脂分
散液の製造) 温度計および撹拌機を付けた加圧重合器に、ポリカプロ
ラクトンジオール(分子量2,000)269.5部、
1,4−ブタンジオール3.8部、ジメチロールプロピ
オン酸20.9部、トリレンジイソシアネート86.9
部およびアセトン381部を仕込み、反応系を窒素ガス
で置換したのち、撹拌下80℃で7時間反応させて遊離
イソシアネート基(NCO)含有量1.83%のNCO
基末端ウレタンプレポリマーのアセトン溶液を得た。得
られたアセトン溶液を30℃に冷却してトリエチルアミ
ン18.9部を加えた。つぎに水600部を加え、減圧
下40〜50℃でアセトンを留去し固形分40%、粘度
150mPa・s/25℃のポリウレタン樹脂分散液
(A−1)を得た。
【0061】製造例2(自己乳化型ポリウレタン樹脂分
散液の製造) 温度計および撹拌機を付けた加圧重合器に、ポリオキシ
テトラメチレングリコール(分子量2,000)26
9.5部、1,4−ブタンジオール3.8部、ジメチロ
ールプロピオン酸20.9部、トリレンジイソシアネー
ト86.9部およびアセトン381部を仕込み、反応系
を窒素ガスで置換したのち、撹拌下80℃で7時間反応
してNCO含有量1.83%のNCO基末端ウレタンプ
レポリマーのアセトン溶液を得た。得られたアセトン溶
液を30℃に冷却してトリエチルアミン18.9部を加
えた。つぎに水600部を加え、減圧下40〜50℃で
アセトンを留去し固形分40%、粘度180mPa・s
/25℃のポリウレタン樹脂分散液(A−2)を得た。
【0062】比較製造例1(乳化剤乳化型ポリウレタン
樹脂分散液の製造) 温度計および撹拌機を付けた密閉反応容器に、ポリオキ
シテトラメチレングリコール(分子量2,000)28
7.6部、1,4−ブタンジオール5.4部およびトリ
レンジイソシアネート67.3部を仕込み、反応系を窒
素ガスで置換したのち、撹拌下80℃で5時間反応して
NCO含有量4.26%のNCO基末端ウレタンプレポ
リマーを得た。該ウレタンプレポリマーを500ml乳
化槽に100部採り15℃まで冷却したのち、ノニルフ
ェノールエチレンオキシド20モル付加物を11部均一
に混合し、ついで水167部を加え、固形分40%、粘
度54mPa・s/25℃の比較のためのポリウレタン
樹脂分散液(A−3)を得た。
【0063】製造例3(ビニル重合体の製造) 2−モルホリノエチルメタクレート(モルホリンのエチ
レンオキシド1モル付加物とメタクリル酸とのエステ
ル)100部と、2,2−アゾビス(2,4−ジメチル
バレロニトリル)0.1部とをアンプルに加え、凍結脱
気後密閉し、50℃で8時間重合させて、ビニル重合体
(B−1)を得た。この(B−1)の転移温度は38℃
であった。
【0064】製造例4(ビニル重合体の製造) 2−(2−モルホリノエトキシ)エチルメタクレート
(モルホリンのエチレンオキシド2モル付加物とメタク
リル酸とのエステル)100部と、2,2−アゾビス
(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.1部とをアン
プルに加え、凍結脱気後密閉し、60℃で8時間重合さ
せて、ビニル重合体(B−2)を得た。この(B−2)
の転移温度は50℃であった。
【0065】製造例5(ビニル重合体の製造) 3,5−ジメチルモルホリンエチレンオキシド4モル付
加物のメタクリル酸エステル85部と、ヒドロキシエチ
ルメタクリレート15部と、2,2−アゾビス(2,4
−ジメチルバレロニトリル)0.1部とをアンプルに加
え、凍結脱気後密閉し、50℃で8時間重合させて、ビ
ニル重合体(B−3)を得た。このビニル重合体(B−
3)の転移温度は80℃であった。
【0066】実施例1〜5および比較例1、2 製造例1、2および比較製造例1で製造した各ポリウレ
タン樹脂分散液および製造例3〜5で製造した各ビニル
重合体を用いて表1に示す配合液をそれぞれ調製した。
【0067】
【表1】
【0068】各配合液をポリエステル繊維からなる不織
布に含浸し、500g/m2の目付量となるようにニッ
プロールで絞液し、直ちに100℃に加熱し、60分間
乾燥させて樹脂含浸シートを得た。得られたシートにつ
いて樹脂目付量、シート断面(樹脂含浸状態、多孔
性)、通気性および柔軟性を評価した。結果を表2に示
す。
【0069】
【表2】 通気性:ガーレのデンソメーターを使用して、JIS
P8117の方法に準じて、50mlの空気が通過する
に要する時間(秒)を測定した。
【0070】
【発明の効果】本発明の水性樹脂分散体組成物は有機溶
剤を含有せず、加熱によりシャープにゲル化し、製造工
程が簡便な水系の含浸乾式法によって優れた通気性およ
び柔軟性を有する多孔性シート材料を与える。上記効果
を奏することから本発明の組成物を用いて得られる多孔
性シート材料は、人工皮革および合成皮革(たとえば
靴、履物、鞄、衣料、家具、自動車シートなど)として
極めて有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 33/00 C08L 33/00 75/04 75/04 Fターム(参考) 4F074 AA45 AA46 AA50 AA78E AA98 CB42 CC04Y CC10X CC29Y CC32Y DA10 DA17 DA59 4J002 BE04X BF02X BG04Y BG05Y BG07X BG07Y BG12X BH02X BJ00X CD19Y CK03W CK04W CK05W FD020 FD090 FD140 FD310 FD330 GC00 HA07 4J034 CA02 CA04 CA05 CA13 CA14 CA15 CA16 CA17 CA19 CA22 CB01 CB03 CB04 CB05 CB07 CB08 CC03 CC07 CC08 CC12 CC23 CC26 CC29 CC33 CC37 CC45 CC52 CC61 CC62 CC65 CC67 CD04 CD07 CD09 CD18 CE01 CE03 DA01 DB03 DB07 DF02 DF11 DF12 DF16 DF20 DF22 DG03 DG04 DG05 DG06 DG08 DG10 DG12 DG14 DG16 HA01 HA07 HB06 HB08 HB12 HC03 HC09 HC12 HC13 HC17 HC22 HC35 HC46 HC52 HC53 HC61 HC64 HC67 HC71 HC73 JA01 JA02 JA14 KA01 KB02 KC16 KC17 KD02 KD12 KE02 MA22 QC03 QC05 QC08 RA03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己乳化型ポリウレタン樹脂(A)の水
    性分散体と、下記(B1)〜(B7)からなる群から選
    ばれる一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的
    に変化して加熱によりゲル化に至るビニル重合体(B)
    とからなることを特徴とする水性樹脂分散体組成物。 (B1):環状アミンまたは炭素数5以上の非環状アミ
    ンのアルキレンオキシド付加物のビニルカルボン酸エス
    テル(b)からなる重合体、 (B2):N−アルキル、N−アルキレンまたはN−ア
    ルコキシメチル(メタ)アクリルアミドからなる重合
    体、 (B3):ポリアルキレングリコールモノアルキルエー
    テルモノ(メタ)アクリレートまたはポリアルキレング
    リコールモノアリールエーテルモノ(メタ)アクリレー
    トからなる重合体、 (B4):ポリアルキレングリコールモノアルキルモノ
    ビニルエーテルからなる重合体、 (B5):ポリアルキレングリコールモノフェニルモノ
    ビニルエーテルからなる重合体、 (B6):ポリアルキレングリコールモノアルキルエー
    テルモノ(ビニルフェニル)エーテルからなる重合体、 (B7):酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体。
  2. 【請求項2】 (A)がアニオン性親水性基を有する自
    己乳化型ポリウレタン樹脂である請求項2記載の組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1〜3いずれか記載の組成物を繊
    維質基体に含浸し、該組成物中の(B)の転移温度以上
    かつ(A)の熱軟化点以下の温度で加熱することを特徴
    とする多孔性シート材料の製造方法。
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