JP2000011753A - イミダゾリウム系溶融塩型電解質 - Google Patents
イミダゾリウム系溶融塩型電解質Info
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Abstract
使用する電解質において、イミダゾリウム塩に種々のア
ニオンを導入した化合物を簡便に合成して、多様な物性
を備えた室温で高いイオン伝導性を示し、且つ温度安定
性に優れた電解質を提供する。 【解決手段】 N−ビニルイミダゾールと酸を反応させ
て得られるN−アルキルイミダゾリウム塩、あるいはN
−ビニルイミダゾールと酸を反応し、その反応生成物を
重合させて得られるN−ビニルイミダゾリウム溶融塩ポ
リマーを有効成分とするイミダゾリウム系溶融塩型電解
質。
Description
伝導性を示し、且つ温度安定性と力学的特性が優れた、
イミダゾリウム系室温溶融塩型電解質に関するものであ
る。
塩を合成する方法としては、1,3−ジアルキルイミダ
ゾリウムハライドに、酸アニオンを含む銀塩を反応させ
るアニオン交換法が知られている。この方法によれば、
副生成物であるハロゲン化銀が溶媒に難溶性であるた
め、精製し易いという利点があるが、使用しうる銀塩の
種類に制約があって所期の室温溶融塩を調製し難いもの
であり、また出発物質である1,3−ジアルキルイミダ
ゾリウムハライドを合成し、精製する過程が煩雑である
ため、実用化されるに至っていない。
33670号及び同60−136180号公報には、
1,3−ジアルキルイミダゾリウムハライド及び1,
2,3−トリアルキルイミダゾリウムハライドとアルミ
ニウムハロゲン化物を使用した電解質が開示されてい
る。しかしながら、これらの化合物を用いた電解質は、
室温で高いイオン伝導性を示すものの、アルミニウムハ
ロゲン化物が、僅かな水分の混入によって分解したり、
また溶融塩の相状態が温度変化に対して不安定であると
いう難点があった。本発明者等は、これらを改善する手
段として既に1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウム
ハライド、1−ビニル−2,3−ジアルキルイミダゾリ
ウムハライドなどのイミダゾール誘導体に、酸または酸
モノマーを反応し、重合させた溶融塩ポリマーを有効成
分と溶融塩型高分子電解質を提案している。(特開平1
0−83821号公報)
室温溶融塩が、リチウム二次電池用の電解液として期待
されている。イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩のよう
なオニウム塩のなかには、室温で溶融塩を形成するもの
があり、特に有機酸アニオンを対イオンとするイミダゾ
リウム塩は、室温における粘度が低いため、その研究例
が増えている。しかしながら、これらのイミダゾリウム
塩の合成はかなり煩雑であり、アニオン交換法を応用し
うる有機塩に制限があるため、アニオン種の効果に関す
る検討は未だ充分に為されていない。
効成分として使用する電解質において、イミダゾリウム
塩に種々のアニオンを導入した化合物を簡便に合成し
て、多様な物性を備えた室温で高いイオン伝導性を示
し、且つ温度安定性に優れた電解質を提供することを課
題とする。
は3位のいずれか一方だけにビニル基を有するN−ビニ
ルイミダゾール化合物に酸を中和反応させて得られるN
−アルキルイミダゾリウム塩、あるいは前記N−ビニル
イミダゾール化合物に酸を反応し、その反応生成物を重
合させて得られるN−ビニルイミダゾリウム塩を用いる
ことによって、所期の目的を達成しうることを見い出し
本発明を完成するに至った。
リウム系の室温溶融塩は、不純物の含有量が極めて少な
いことを特徴とするものである。すなわち、従来知られ
ているイミダゾリウム系の室温溶融塩は、無機塩などの
混入によって諸物性、特にイオン伝導性の低下を引き起
こすため、煩雑な精製を余儀なくされていた。単純な塩
を混合する場合は、精製する無機塩の分離精度があまり
向上せず、また難溶性の銀塩を生成させることによっ
て、その効率を高められるものの、銀塩の生成が限られ
ているため所期の精製を為し得ないものであったが、本
発明によれば、電解質として1位または3位のいずれか
一方だけにビニル基を有するN−ビニルイミダゾール化
合物に酸を中和反応させて得られるN−アルキルイミダ
ゾリウム塩、あるいは前記N−ビニルイミダゾール化合
物に酸を反応し、その反応生成物を重合させて得られる
N−ビニルイミダゾリウム塩を用いることによって、こ
れらの問題点を一挙に解決し、純度の高い室温溶融塩を
容易に調製することを可能にし、且つ種々のアニオンを
導入した多様な特性を備えた溶融塩を容易に得ることが
できる。
ビニルイミダゾール化合物と臭化水素酸、塩酸、硝酸、
弗化ホウ素酸、亜硫酸水、硫酸、メタンスルホン酸など
の無機酸あるいは酢酸などの有機酸を中和反応させて得
られる化合物である。N−ビニルイミダゾール化合物と
酸を反応させるには、0〜20℃の水溶液中で両者を攪
拌混合し、反応溶液から余分の水を溜去し、ジエチルエ
ーテルなどの有機溶媒を用いて抽出すれば良い。なお、
酸として酢酸などの有機酸を用いる場合は、精製の過程
で溜去し減圧乾燥すべきである。本発明の溶融塩型電解
質は、前記N−ビニルイミダゾリウム塩にアゾビスイソ
ブチロニトリル、などの重合開始剤を加えて重合させ
た、N−ビニルイミダゾリウム塩のポリマーとして使用
することも可能である。
明する。なお、これらの試験におけるN−ビニルイミダ
ゾール(VyImと記す)と酸の中和反応の進行は、H
−NMR及びDSCの測定によって行い、反応前後にお
けるイミダゾール環の2位に存在するプロトンの化学シ
フトを比較して確認したものであり、イオン伝導度は2
端子交流インピーダンス法によって測定し、30℃にお
けるlogσi(S/cm)値で示したものである。
gに47%臭化水素酸水溶液12mlを加え、これを温
度0℃に維持しながら3時間攪拌したのち、減圧乾燥し
て余分な水を除去しジエチルエーテル中に滴下して、析
出した結晶を回収し乾燥してN−ビニルイミダゾリウム
ブロミド(VyImBrと記す)18.4g(収率98
%)を得た。本品のH−NMR測定及びDSC測定を行
った結果は表1に示したとおりであり、反応前後におけ
るイミダゾールの2位に存在するプロトンの化学シフト
が、反応後低磁場にシフトしていることから反応の進行
が確認された。本品は融点22℃であり、無機塩などの
不純物は皆無であって、そのイオン伝導度は−4.66
であった。
gに36%塩酸水溶液10mlを加え、これを温度0℃
に維持しながら3時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分
な水を除去しジエチルエーテル中に滴下して、析出した
結晶を回収し乾燥しN−ビニルイミダゾリウムクロライ
ド(VyImClと記す)13.3g(収率96%)を
得た。本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結
果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に反
応の進行が確認された。本品の融点−12℃を示し、無
機塩などの不純物は皆無であって、そのイオン伝導度は
−2.84であった。
gに61%硝酸水溶液8mlを加え、これを温度0℃に
維持しながら3時間攪拌したのち、減圧乾燥して余分な
水を除去し、ジエチルエーテル中に滴下して、析出した
結晶を回収し乾燥しN−ビニルイミダゾリウム硝酸塩
(VyImNO3と記す)15.7g(収率94%)を
得た。本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った結
果は、表1に示したとおりであり前記実施例と同様に反
応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は皆
無であり、その融点は42℃であり、また本品のイオン
伝導度は−7.59であった。
gに42%弗化ホウ素酸水溶液18mlを加え、これを
温度0℃に維持しながら3時間攪拌したのち、減圧乾燥
して余分な水を除去し、ジエチルエーテル中に滴下し
て、析出した結晶を回収し乾燥しN−ビニルイミダゾリ
ウム弗化ホウ素酸塩(VyImBF4と記す)18.6
g(収率96%)を得た。本品のH−NMR測定及びD
SC測定を行った結果は、表1に示したとおりであり前
記実施例と同様に反応の進行が確認され、無機塩などの
不純物の含有量は皆無であり、その融点は20℃、また
イオン伝導度は−4.66であった。
gにメタンスルホン酸7mlを加え、これを温度0℃に
維持しながら3時間攪拌したのち、ジエチルエーテル中
に滴下し、析出した結晶を回収し乾燥して、N−ビニル
イミダゾリウムメタンスルホン酸塩(VyImCH3S
O3と記す)19.2g(収率95%)を得た。本品の
H−NMR測定及びDSC測定を行った結果は、表1に
示したとおりであり前記実施例と同様に反応の進行が確
認され、無機塩などの不純物の含有量は皆無であり、そ
の融点は5℃、また本品のイオン伝導度は−3.02で
あった。
gに5%亜硫酸水172mlを加え、これを温度0℃に
維持しながら3時間攪拌したのちジエチルエーテル中に
滴下し、ジエチルエーテル中に滴下し、析出した結晶を
回収し乾燥して、N−ビニルイミダゾリウム亜硫酸塩
(VyImHSO3と記す)17.9g(収率96%)
を得た。本品のH−NMR測定及びDSC測定を行った
結果は表1に示したとおりであり、前記実施例と同様に
反応の進行が確認され、無機塩などの不純物の含有量は
皆無であり、その融点は32℃また本品のイオン伝導度
は−3.41であった。
いて合成された、N−ビニルイミダゾリウムブロミド
(VyImBr)、N−ビニルイミダゾリウムクロライ
ド(VyImCl)、N−ビニルイミダゾリウム硝酸塩
(VyImNO3)、N−ビニルイミダゾリウム弗化ホ
ウ素酸塩(VyImBF4)、N−ビニルイミダゾリウ
ムメタンスルホン酸塩(VyImCH3SO3)及びN
−ビニルイミダゾリウム亜硫酸塩(VyImHSO3)
の各々1.0gをそれぞれメタノール10ml中に溶解
し、これらに重合開始剤としてアゾビスイソブチロニト
リルを、ビニル基に対して1%の割合で加え、65℃の
温度で3時間ラジカル重合させて、N−ビニルイミダゾ
リウム溶融塩ポリマーを得た。
のガラス状固体であり、その物性は表2に示したとおり
であった。
ミダゾール系室温溶融塩を提供しうるものであり、また
イミダゾリウム塩の合成と同時に種々の対アニオンを導
入しうるので、量産に適しており且つ多岐に亘る物性を
備えたイミダゾリウム塩を得ることができる。本発明の
溶融塩は室温で高いイオン伝導性を示し、且つ温度安定
性並びに力学的特性が優れているので、固体電解質材料
として有用なものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 1位または3位のいずれか一方だけにビ
ニル基を有するN−ビニルイミダゾール化合物と酸を反
応させて得られるN−アルキルイミダゾリウム塩を有効
成分とするイミダゾリウム系溶融塩型電解質。 - 【請求項2】 1位または3位のいずれか一方だけにビ
ニル基を有するN−ビニルイミダゾール化合物と酸を反
応させ、その反応生成物を重合させて得られるN−ビニ
ルイミダゾリウム塩を有効成分とするイミダゾリウム系
溶融塩型電解質。
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