JP2000008028A - 作動流体 - Google Patents

作動流体

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JP2000008028A JP10180738A JP18073898A JP2000008028A JP 2000008028 A JP2000008028 A JP 2000008028A JP 10180738 A JP10180738 A JP 10180738A JP 18073898 A JP18073898 A JP 18073898A JP 2000008028 A JP2000008028 A JP 2000008028A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 作動流体としての機能も優れ、なおかつ、オ
ゾン層の破壊や、地球温暖化に影響を与えることの少な
い新たな作動流体を提供すること。 【解決手段】 式(1)で表される1,1−ジフルオロ
エタン(HFC−152a)と、式(2)で表される
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−13
4a)および二酸化炭素からなる作動流体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ルームエアコン、カー
エアコン、冷蔵庫、冷凍機等の冷媒に使用される作動流
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ルームエアコン、カーエアコン、
冷蔵庫、冷凍機等の装置では、作動流体として、フロン
類と称するハロゲン化炭化水素が知られており、利用温
度としては、凝縮温度および/または蒸発温度が約−1
5℃〜50℃の範囲にて使用されている。中でもHCF
C−22(クロロジフルオロメタン)は家庭用ルームエ
アコン、ビル用エアコンに、特定フロンCFC−11
(トリクロロモノフルオロメタン)は発泡剤、噴射剤、
ターボ式冷凍機、大型冷蔵庫等用に、CFC−12(ジ
クロロジフルオロメタン)はレシプロ式冷凍機に用いら
れる最も一般的な冷媒で、エアコン、電気冷蔵庫、カー
クーラー、ウインドクーラー、列車冷房、食品冷蔵、工
場冷却装置等、冷凍、冷房等の作動流体としてこれまで
広く使用されていた。
【0003】しかしながら、これらの特定フロンは成層
圏のオゾン層を著しく破壊するために、既に国際条約に
より、1996年1月より生産が全廃となっている。こ
れに伴い暫定的に代替フロンHCFC−22が使用され
ているが、ODP(オゾン破壊係数:CFC−11を基
準値1.0としている。)が0.055であり、200
4年以降逐次生産削減になり、2030年には生産が全
廃になる。これに替わって、ハロゲン化炭化水素の一部
を水素に置換した代替フロン、例えば、HFC−134
a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)がカーエ
アコン、家庭用電気冷蔵庫等の冷媒として既に実用化さ
れている。HFC−134aはODPが0で世界的に代
替フロンの主流になっており、現在、世界の大手代替フ
ロンメーカーで生産されている、しかしながら近年問題
にされているHGWP(地球温暖化係数:CFC−11
を基準値1.0としている。)が0.28と高い点が京
都会議(COP3)によって議論された。ちなみにHF
C−134aのHGWPは二酸化炭素の数千倍以上と言
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らはこれらの
状況を鑑み、作動流体としての機能も優れ、なおかつ、
オゾン層の破壊や、地球温暖化に影響を与えることの少
ない新たな作動流体を得るべく鋭意研究を重ねた結果、
ODPが0であって、HGWPが0.03であるHFC
−152a(1,1−ジフルオロエタン)が、これらの
要求を満足する作動流体となることを知り得た。しか
も、このHFC−152aは大気寿命が1.5〜1.7
年と、HFC−134aの大気寿命15年等に比べれば
極めて短く、この点からも地球環境に優しい作動流体と
なり得る。さらに良いことには、このHFC−152a
は冷凍能力、成績係数ともに優れており、作動流体とし
ての使用量がHFC−134aの60〜70%以下で済
むという点からも、地球温暖化に影響を与えることが少
なく、かつ経済的にも優れている。
【0005】しかし、このHFC−152aは爆発範囲
が4.6〜16.9vol%と、その安全性に唯一問題
がある。最近、欧州等ではブタン等の可燃性ガスを作動
流体として用いる方法が検討され、一部実施されている
が、可燃性ガスを作動流体として用いるエアコン、冷蔵
庫、冷凍機等では従来の装置をそのまま使用すると言う
ことは不可能で、装置の大型化等の大幅な改良を強いら
れることになる。本発明者らはこの点に着目し、エアコ
ン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置をそのまま使用し
て、なおかつ安全性にも優れる方法を模索した。
【0006】ドイツ特許DE4116274は、安全性
を改善するためにHFC−152aに4〜25wt%の
二酸化炭素等の不活性ガスを添加することをアイデアと
して提唱しているが、詳細な実施データもなく、技術的
に不明瞭である。事実、低濃度の不活性ガスを添加する
だけではHFC−152aの安全性を改善することは困
難であり、かといって高濃度の不活性ガスを添加する
と、作動流体としての性能が著しく低下することにな
り、不活性ガスの添加というアイデアだけでは、HFC
−152aを安全かつ効率的に作動流体として用いるこ
とは不可能である。
【0007】同じ様な考え方で、特開平8−67870
はHFC−32(ジフルオロメタン)とHFC−134
aの組み合わせに、微量の二酸化炭素を添加してHFC
−32の燃焼性の問題を解決する提案をしているが、低
温時の漏洩ガスについての燃焼性の問題のみの解決で、
全面的に安全とは言えない。例えば、作動流体組成物の
全てが漏洩した時などの安全性については言及されてお
らず、必ずしも安全な作動流体とは言い難い。
【0008】また、これらの報告はアイデア若しくは理
論によるものであり、既存のエアコン、冷蔵庫、冷凍機
等の従来の装置にそのまま使用できるかどうかは甚だ疑
問であり、装置の大幅な改造等のデメリットを伴うもの
と考えられる。即ち、二酸化炭素等の不活性ガスを混合
して安全性を高めることができても、作動流体の冷凍能
力、成績係数が低ければ実用的ではなく、作動流体の組
成を限定することが重要な課題である。なおかつ、その
作動流体が現在使用されているエアコン、冷蔵庫、冷凍
機等の従来の装置にそのまま使用できれば、これは経済
的に有用といえる。
【0009】
【課題を解決するための手段】かかる問題を解決するた
めに、本発明者らはHFC−152aに二酸化炭素を限
定された範囲で添加し、さらに第三成分としてHFC−
134aをこれも限定された範囲で添加することによ
り、ODPが0であって、HGWPが小さく、燃焼性の
問題等安全性にも優れ、作動流体としての冷凍能力、成
績係数が優秀であって、なおかつ、現住使用されている
エアコン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置にそのまま使
用できる作動流体を完成すべく、鋭意研究を重ねた結
果、以下のような範囲の組成物がこれらの要求を満足す
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち本発明は、式(1)で表される
1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)と、式
(2)で表される1,1,1,2−テトラフルオロエタ
ン(HFC−134a)および二酸化炭素からなる作動
流体に関する。好ましくはHFC−152a:30〜8
0重量%、HFC−134a:10〜60重量%および
二酸化炭素1〜30重量%、さらに好ましくはHFC−
152a:60〜80重量%、HFC−134a:10
〜20重量%および二酸化炭素5〜20重量%からなる
組成分であって、ODPが0であって、HGWPが小さ
く、燃焼性の問題等安全性にも優れ、作動流体としての
冷凍能力、成績係数が優秀であって、なおかつ、現在使
用されているエアコン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置
にそのまま使用できる新規な作動流体を提供するもので
ある。
【0011】本発明に使用する組成物はそのいずれもが
ODPが0であって、大前提となるオゾン破壊係数の問
題をクリアーしている。また、HGWPは例えばHFC
−152a:70重量%、HFC−134a:15重量
%および二酸炭素15重量%からなる組成物の場合0.
07であって、HFC−134aの単独の場合の四分の
一程度に抑えることができる。しかも、本発明による作
動流体としての使用量は従来のHFC−134aの70
%以下で済むことから、実質のHGWPは0.05以下
となり、地球温暖化に及ぼす影響も極めて小さくなる。
【0012】本発明は作動流体としての冷凍能力、成績
係数を損なうことなく、燃焼性の問題等を解決するため
に、HCF−152aにHFC−134aおよび二酸化
炭素を範囲を限定して添加する。HFC−152aの爆
発範囲は4.6〜16.9vol%であり、最も危険性
の高いと考えられる一般的な450リットルの冷蔵庫で
は、全量のHFC−152a:120g(現在使用され
ている冷蔵庫ではHFC−134a:170g程度が充
填されているが、HFC−152aの冷凍能力、成績係
数が高く、充填量はHFC−134aの約70%以下で
済む。)が漏洩した場合、庫内のHFC−152aガス
濃度は9.1vol%となって、爆発範囲内となり危険
である。危険を回避するために、HFC−152aに二
酸化炭素を添加すると、その爆発範囲は図1のようにな
り、二酸化炭素濃度が約10vol%を超えると、その
爆発下限界が9.1vol%以上になることが分かる。
【0013】燃焼性を改善するという目的からは、二酸
化炭素を多量に添加することが好ましいが、添加量が多
すぎると今度は作動流体としての能力、即ち成積係数、
冷凍能力が低下し、系の圧力が上昇するという問題が生
じる。表1に、HFC−152aに二酸化炭素を添加し
た場合の成績係数、冷凍能力の変化、表2に系の圧力の
変化を示す。特に、系の圧力の上昇はその実用性に決定
的な致命傷を与える故、これらの問題を解決することが
急務となった。
【表1】 ただし、蒸発温度:−15℃、凝縮温度:30℃。
【表2】 ただし、圧力の単位はkg/cm2
【0014】これらの問題を克服するために、第三成分
としてHFC−134aを添加することにより、作動流
体としての能力を維持しつつ、なおかつ安全性にも優
れ、HGWPをそれ程上昇させないような組成を考え
た。HFC−134aの添加量としては10〜60重量
%、好ましくは10〜20重量%とすれば目的の作動流
体となり得ることを見出した。HFC−152aに二酸
化炭素及びHFC−134aを添加した場合の成績係
数、冷凍能力の変化を表3に、系の圧力の変化を表4に
示す。
【表3】 ただし、蒸発温度:−15℃、凝縮温度:30℃。
【表4】 ただし、圧力の単位はkg/cm2
【0015】表4から明らかなように、二酸化炭素の含
有率が30%を超えると系の高温での圧力が急激に上昇
し、実用には不向きである。また、表3から明らかなよ
うに、二酸化炭素の含有率が30%以下であっても、H
FC−134aの含有率が高いと成績係数、冷凍能力が
低下し、HFC−152aの高い能力を相殺する結果と
なっている。これらの結果から、二酸化炭素の含有率は
1〜30重量%好ましくは5〜20重量%、HFC−1
34aの含有率は10〜60重量%好ましくは10〜2
0重量%とすれば、作動流体としての能力を維持しつ
つ、なおかつ安全性にも優れ、HGWPをそれ程上昇さ
せないような優れた作動流体となり得る確信を得た。本
発明によるこれらの組成範囲の作動流体は、いずれも先
に述べた爆発下限界が9.1vol%以上でなければな
らないという要求を充分に満足しており、極めて、安全
な作動流体といえる。
【0016】本発明による作動流体は、現在使用されて
いるエアコン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置を改造す
ることなく使用できるという利点を有する。これまでに
数多くの作動流体が開発されてきたが、そのほとんどは
従来の装置を大幅に改造しなければ使用できず、その都
度新型機種のエアコン、冷蔵庫、冷凍機等として提供さ
れてきた。しかし、これは経済的には極めて不利であ
り、特に使用者にとっては大きい負担となる。本発明に
よる作動流体はこれらの点の考慮した優れた作動流体と
いうことができる。
【0017】また、本発明による作動流体を、現在使用
されているエアコン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置等
に使用する場合、従来のHFC−134aの70%以下
で済み、この点からも経済的に有利な作動流体である。
しかも実質のHGWPは0.05以下となり、地球温暖
化に及ぼす極めて小さくなる。
【0018】本発明による作動流体は、現在使用されて
いるエアコン、冷蔵庫、冷凍機等の従来の装置を改造す
ることなく使用しても、冷媒が接触する装置の部品に与
える影響は小さく、十分実用に供することができる。冷
媒が接触する装置の部品としては、銅合金製のフュージ
ブルプラグ、ゴム製のOリング、ゴム製のサクションホ
ース、アルミ製のサクションパイプ部、鉄製のサクショ
ンジョイント部等があるが、本発明による作動流体がこ
れらの部品に与える影響は小さく、従来使用されている
HFC−134aの影響と同等若しくはそれ以下であ
る。
【0019】本発明の作動流体は、特に添加しなくても
良いが、付臭剤としてアルキルメルカプタンを添加して
も良い。好ましくはメチルメルカプタン、エチルメルカ
プタン、n−プロピルメルカプタン、i−プロピルメル
カプタン、n−ブチルメルカプタン、i−ブチルメルカ
プタン、t−ブチルメルカプタン等が挙げられる。
【0020】本発明の作動流体は、HFC−134aと
同等以上の成績係数、冷凍能力を有する。極めて優秀な
冷媒特性を持つ。しかも冷媒としての必要量はHFC−
134aの70%以下程度で済み、経済的にも優れてい
る。なおかつODPは0であって、HGWPはHFC−
134aの0.25に対して0.07と低く、使用量が
70%以下であることから、実質のHGWPは0.05
以下となって、地球環境に極めて優しい冷媒である。さ
らに、本発明の作動流体は新たに装置を開発する必要が
なく、現在使用されているエアコン、冷蔵庫、冷凍機等
の従来の装置にそのまま使用できるという利点も併せ持
つ。本発明の作動流体は、ルームエアコン、カーエアコ
ン、冷蔵庫、冷凍機等の冷媒、標準冷凍の作動流体とし
て有用である。
【0021】
【実施例】以下、本発明の作動流体を実施例に基づいて
説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるも
のではない。
【0022】実施例1 HFC−152a/HFC−134a/二酸化炭素の混
合冷媒の爆発限界試験を以下の要領で行った。放電用白
金、圧力計、吸気弁、HFC−152a吸入弁、HFC
−134a吸入弁、二酸化炭素吸入弁を付した所定の爆
発容器に、所定量HFC−152a、HFC−134a
及び二酸化炭素を分圧調整により吸入し、スパークし
た。スパークは0.3秒間継続し、1度のテストにつき
3回の着火を試みた。また、条件を一定とするために、
2回目以降の着火は圧力が元に戻るのを待って実施し
た。爆発限界値の判定は最初に爆発した爆発した濃度の
一つ手前の濃度で再びテストし、不爆確認が可能である
濃度を限界とした。
【0023】結果を表5に示す。
【表5】
【0024】表5から明らかなように、本発明の冷媒の
爆発下限界は9.1vo1%以上であり、安全性の要求
を充分に満足しているといえる。
【0025】実施例2 使用車種は、トヨタ・ガルディナワゴン(平成6年製、
排気量2000cc、冷媒としてはHFC一134aで
規定充填量は750g)で、HFC−134aを真空吸
引で抜き取り、HFC一152a(沸点−24℃、蒸気
圧:596.0kPa(25℃)、蒸発潜熱:327.
5KJ/Kg(沸点)、ODP;0,HGWP:0.0
3)を276g、EFC−134a(沸点−26.2
℃、蒸気圧:665.7kpa(25℃)、蒸発潜熱:
178.0KJ/Kg(沸点)、ODP:0、HGW
P:0.253)を138g、二酸化炭素(液化炭酸ガ
ス:比重:1.101(−37℃)、沸点−78.5
℃、蒸発潜熱:284.0.0KJ/Kg(−20
℃))を46g充填した。さらにこの混合系冷媒に付臭
剤としてエチルメルカプタンを、冷媒が気化した状態を
基準に10ppm(vo1)添加した。この混合系冷媒
のカーエアコンとしての性能試験結果は次の通りであっ
た。
【0026】外気温度34.3℃、車内温度34.6
℃、内気循環して、カーエアコンの吹き出し口温度を測
定した結果を表6に示す。
【表6】 運転開始8分後には16℃まで低下し、アイドリング状
態での最低温度付近まで冷却していた。以後、14分経
過まで変化が少ないことから、この車種でのアイドリン
グ状態での冷却可能温度は16℃程度と判断し、走行状
態の同転数(rpm)で計測した。その結果、走行状態
にして8分後にサーモ設定温度(最低レベル)付近まで
冷却しており、CFC−12を使用した場合よりも冷却
効果が優れれていた。また、運転中、全くエチルメルカ
プタンの臭気はなく、水冷媒の洩れは全く認められなか
った。なお、付臭剤なしの混合系冷媒の性能は付臭剤を
添加した混合系冷媒一の性能と全く同様なものであっ
た。
【0027】実施例3 実施例2において、HFC−152aを243g、HF
C−134aを199g、二酸化炭素を18g、エチル
メルカプタンを5ppm添加した以外は実施例2と同じ
条件で、カーエアコン用冷媒の性能試験を実施した結果
は次の通りであった。
【0028】外気温度32.4℃、車内温度33.5
℃、内気循環して、カーエアコンの吹き出し口温度を測
定した結果を表7に示す。
【表7】 実施例2とほぼ同等の結果が得られ、試験中エチルメル
カプタンの臭気は全くなく。冷媒は安定に作動している
ことが確認された。なお、付臭剤なしの混合系冷媒の性
能は付臭剤を添加した混合系冷媒の性能と全く同様なも
のであった。
【0029】実施例2において、HFC−152aを3
22g、HFC−134aを83g、二酸化炭素を55
g、メチルメルカプタンを4PPm添加した以外は実施
例2と同じ条件で、カーエアコン用冷媒の性能試験を実
施した結果は次の通りであった。
【0030】外気温度33.8℃、車内温度34.9
℃、内気循環して、カーエアコンの吹き山し口温度を測
定した結果を表8に示す。
【表8】 実施例2とほぼ同等の結果が得られ、試験中エチルメル
カプタンの臭気は全くなく、冷媒は安定に作動している
ことが確認された。なお、付臭剤なしの混合系冷媒の性
能は付臭剤を添加した混合系冷媒の性能と全く同様なも
のであった。
【0031】実施例5 実施例2において、HFC−152aを299g、HF
C−134aを143g、二酸化炭素を18g、エチル
メルカプタンを3ppm添加した以外は実施例2と同じ
条件で、カーエアコン用冷媒の性能試験を実施した結果
は次の通りであった。
【0032】外気温度33.0℃、車内温度34.0
℃、内気循環にして、カーエアコンの吹き出し口温度を
測定した結果を表9に示す。
【表9】 実施例2とほぼ同等の結果が得られ、試験中エチルメチ
ルカプタンの臭気は全くなく、冷媒は安定に作動してい
ることが確認された。なお、付臭剤なしの混合系冷媒の
性能は付臭剤を添加した混合系冷媒の性能と全く同様な
ものであった。
【0033】比較例1 実施例2の車種にて、冷媒としてHFC−134aのみ
を使用してカーエアコンの性能試験を実施した結果を表
10に示す。外気温度32.4℃、内気循環にして温度
設定は最低レベルにした。
【表10】 HFC−134aのみによるカーエアコンの性能試験で
は、本発明の混合系冷媒に近い性能を示しているが、H
GWP値が二酸化炭素より数千倍高いことを考えると、
中古車からのHFC−134aの大気放出は地球環境の
温暖化を促進する観点から好まし冷媒とは考えられな
い。これに対して本発明による新規冷媒はHGWP値が
HFC−134aより低く、かつカーエアコンとしての
性能もHFC−134aと同等以上であり、種々のバラ
ンスが取れた優れた冷媒といえる。
【0034】比較例2 車種がトヨタ・スターレット(排気量1300cc)に
て、HFC−134aを500g、冷凍機油を50g充
填して、カーエアコンの性能試験を実施した結果を表1
1に示す。外気温度36.0℃、内気循環にして温度設
定は最低レベルにした。
【表11】
【0035】比較例3 車種は比較例2と同一で、CFC−12を500g充填
して、カーエアコンの性能試験を実施した結果を表12
に示す。外気温度31.0℃、内気循環にして温度設定
は撮低レベルにした。
【表12】
【0036】実施例6 三菱電機株式会社製冷蔵庫(冷蔵庫容量:450リット
ル)のHFC−134a:185gを真空吸引で抜き取
り、HFC−152aを88g、HFC−134aを1
8g、二酸化炭素を14g充填した。さらにこの混合系
冷媒に付臭剤としてエチルメルカプタンを、冷煤が気化
した状態を基準に10ppm(vo1)添加した。
【0037】この混合系冷媒の冷蔵庫を日常生活で使用
し、18ヶ月間の実用テストを行い、3ヶ月毎にその状
態を観測した。また、同じ冷蔵庫をそのまま、同様に1
8ヶ月間の実用テストを行って比較した。結果を表13
に示す。なお、温度調節は中の設定とした。
【表13】
【0038】実施例7 温度計並びに圧力計を付した、内径100mm、高さ2
50mmのステンレス製耐圧容器に、攪拌用のマグネチ
ックスタ−ラー(外皮テフロン製)とカーエアコンに使
用されているゴム製5/8インチO−リングを人れ、H
FC−152aを73g、HFC−134aを15g、
二酸化炭素を12g並びに冷凍機潤滑油20gを充填し
た。耐圧容器を恒温槽に浸し、系の温度が85℃になる
ように調整し、マグネチックスターラーで攪拌しながら
120時間保った。冷却後、耐圧容器を開放し、ゴム製
O−リングを取り出して、そのゴム径の変化を測定し
た。
【0039】ゴム径を測定したO−リングを速度10.
0mm/min、で引っ張り試験を行った。引っ張り試
験時の温度は21℃、湿度は50%であった。比較のた
めに、同様の装置にゴム製5/8インチO−リングを入
れ、HFC−134aを100g、冷凍機潤滑油20g
を充填して、耐圧容器を恒温槽に浸し、系の温度が85
℃になるように調整して、マグネチックスターラーで攪
拌しながら120時間保った。冷却後、耐圧容器を開放
し、ゴム製O−リングを取り出して、そのゴム径の変化
を測定した。ゴム径を測定したO−リングを速度10.
0mm/minで引っ張り試験を行った。引っ張り試験
時の温度は21℃、湿度は50%であった。ゴム製O−
リングのゴム径の変化、断面積変化率を表14に、引っ
張り試験の結果を表15に示す。
【表14】
【表15】
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明の新規冷媒は従来
品の冷媒と比較して同等以上の性能を有し、使用量も従
来品の70%以下で済み、なおかつ地球環境に優しい冷
媒であるといえる。カーエアコンによる連続運転走行試
験を15ヶ月以上実施したが、性能の経時的変化はな
く、付臭剤の洩れ即ち混合系冷媒の洩れもなく、安定に
作動していた。なお、本発明の作動流体はその安全性に
おいても優れており、仮にこの冷媒を使用した自動車が
衝突事故を起こしたとしても着火することは全く考えら
れず、極めて安全な作動流体といえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】HFC−152aに二酸化炭素を添加したとき
の爆発下限界並びに爆発上限界を示すグラフである。な
お、図1中、◆は爆発下限界を、■は爆発上限界を表
す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表される1,1−ジフルオロ
    エタンと、式(2)で表される1,1,1,2−テトラ
    フルオロエタンおよび二酸化炭素からなる作動流体。 〔化1〕 CHF2 −CH3 ・・・・・式(1) 〔化2〕 CF3 −CH2 F ・・・・・式(2)
  2. 【請求項2】 1,1−ジフルオロエタン30〜80重
    量%、1,1,1,2−テトラフルオロエタン10〜6
    0重量%および二酸化炭素1〜30重量%からなる作動
    流体。
  3. 【請求項3】 1,1−ジフルオロエタン60〜80重
    量%、1,1,1,2−テトラフルオロエタン10〜2
    0重量%および二酸化炭素5〜20重量%からなる作動
    流体。
  4. 【請求項4】 式(3)で表されるアルキルメルカプタ
    ンを25ppm(気化した容積単位)以下含有する請求
    項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載の作動
    流体。 〔化3〕 CnH2n+1SH ・・・・・式(3) (n:1〜4の整数)
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