JP2000007618A - カルボン酸誘導体、およびこれを用いた光学活性カルボン酸の製造法 - Google Patents

カルボン酸誘導体、およびこれを用いた光学活性カルボン酸の製造法

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JP2000007618A
JP2000007618A JP10721899A JP10721899A JP2000007618A JP 2000007618 A JP2000007618 A JP 2000007618A JP 10721899 A JP10721899 A JP 10721899A JP 10721899 A JP10721899 A JP 10721899A JP 2000007618 A JP2000007618 A JP 2000007618A
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hydroxy
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Katsumi Takahashi
克実 高橋
Sachiko Kato
幸子 加藤
Takashi Mimura
孝 三村
Shinichiro Mori
慎一郎 毛利
Takehiro Ogasa
剛裕 小笠
Masaji Kasai
政次 河西
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Kyowa Hakko Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 医薬中間体として有用な光学活性3,3,3-トリ
フルオロ-2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸を、容易
に且つ高い収率及び高い光学純度で得る。 【請求項1】 3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロキシ-2-メ
チルプロピオン酸のラセミ体に、対応する光学活性なア
ミン又はアルコールを反応させて、下記一般式(Ia)のカ
ルボン酸誘導体を得、このジアステレオマーを光学分割
する工程を含む製造方法により、光学活性な上記目的物
を得る。〔式(Ia)中、R5は(S)体または(R)体のどちらか
一方の一般式(A)を表し、Xは酸素原子又はNR4(R4は水
素または低級アルキル)、R1、R2及びR3はそれぞれ異な
り、水素、置換もしくは非置換の、低級アルキル、シク
ロアルキル、低級アルコキシ、アリール、アラルキル表
す。〕 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬原料として有
用な光学活性な3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオン酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性な3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸について、そ
の各種アミド誘導体がヒトなどの細胞カリウムチャンネ
ルオープナーとして有用な化合物であることが特開平5
−286915号公報、WO97/14672に記載さ
れている。
【0003】特開平5−286915号公報には、光学
活性な3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオン酸の製造法について記載されてい
る。それによると、ラセミ体の3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸に(S)
−1−メチルベンジルアミンを作用させてジアステレオ
マー塩とし、この塩を再結晶により光学分割する方法が
記載され、それにより、全収率15%以下で(S)−
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオン酸(光学純度99.5%)を得ている。し
かしながら、この方法は収率が低いため効率の良い光学
分割法とは言い難い。
【0004】ラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、上記の通
り、1−メチルベンジルアミンを始めとした各種光学活
性アミンを光学分割剤としてその塩に導くことによって
光学分割することができ、ジャーナル・オブ・ザ・ケミ
カル・ソサエティ(J. Chem. Soc.)、1951, 2329には、
ブルシンを用いた方法が記載されている。しかし、該方
法で得られる光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の収率は4.7%
と低く、収率、分割効率の点で実用上満足されるもので
はない。
【0005】また、WO97/38124には、3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸をエステルの酵素的加水分解により光学活性
な3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メ
チルプロピオン酸を製造する方法が開示されている。し
かしながら、この方法は、得られる化合物の収率および
光学純度の点で(例えば、実施例2において、99%e
eの目的物を得るための加水分解工程での収率は、10
%である)、医薬品の原料として工業的に製造する方法
としては実用上、満足されるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオン酸のラセミ体を出発原料とし、従来の
方法よりも簡便に、光学純度の高い光学活性3,3,3
−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオ
ン酸を収率良く製造する方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
の下、鋭意検討した結果、3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体と
各種光学活性アミンもしくはアルコールとを反応させて
対応するアミドもしくはエステルを合成したところ、生
成するアミドもしくはエステルの2種のジアステレオマ
ーが簡単な方法で分割可能であることを見出した。これ
らのアミド又はエステルは、容易な処理により高い光学
純度を有する光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸にすることができ
る。即ち、一般式(I)
【0008】
【化7】
【0009】{式(I)中、Xは酸素原子またはNR
4(式中、R4は水素原子または低級アルキルを表す)を
示し、R1、R2およびR3はそれぞれ異なり、水素原
子、置換もしくは非置換の低級アルキル、置換もしくは
非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換の低級ア
ルコキシ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしく
は非置換のアラルキルのいずれかを表す。*は不斉炭素
を意味する。}で表されるカルボン酸誘導体が、光学活
性な3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロピオン酸を得るために有用な化合物であるこ
とを見出した。
【0010】また、本発明は、一般式(Ia)
【0011】
【化8】
【0012】{式(Ia)中、R5は、(S)体または
(R)体のどちらか一方の一般式(A)
【0013】
【化9】
【0014】(式(A)中、R1 、R2 、R3 およびX
は、前記と同義である)を表す}で表されるカルボン酸
誘導体も提供する。
【0015】さらに、本発明によれば、3,3,3−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸
のラセミ体を光学活性な一般式(II)
【0016】
【化10】
【0017】{式(II)中、X、R1 、R2 、R3 及び
*は、前記と同義である}で表されるアルコール又はア
ミンと反応させて、前記一般式(Ia)で表されるカルボ
ン酸誘導体とした後、そのジアステレオマーの混合物を
分割して単一のジアステレオマーを得る工程を含むこと
を特徴とする光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造法により、
容易に且つ極めて高い収率及び光学純度で、光学活性
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオン酸を製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明において、一般式(I)で表される化合物
は、その不斉炭素により、種々の光学異性体をもつが、
その全てを包含する。また、一般式(Ia)で表される化
合物においても同様である。
【0019】一般式(I)、(Ia)および(II)の
1、R2およびR3の各基の定義において、低級アルキ
ルおよびアラルキル、又は低級アルコキシのアルキル部
分としては、直鎖または分枝状の炭素数1〜6のもの、
例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ
ル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられ、シクロアルキル
としては、炭素数3〜8のもの、例えばシクロプロピ
ル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル
等が挙げられ、アリールとしては、フェニル、ナフチル
等が挙げられ、アラルキルとしては、炭素数7〜15の
もの、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル
等が挙げられる。
【0020】また低級アルキル、シクロアルキル、低級
アルコキシ、アリール、アラルキルのアリール部分は置
換基を有していてもよく、具体的な置換基としては、同
一または異なって置換数1〜3の、例えば低級アルキ
ル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロゲン原子(例え
ばフッ素、塩素、臭素、沃素の各原子)、ニトロ等が挙
げられる。低級アルキルおよび低級アルコキシのアルキ
ル部分は前記低級アルキルと同様、直鎖または分岐状の
炭素数1〜6のものが挙げられる。
【0021】R1、R2およびR3としては、水素原子、
アリール及びヒドロキシ置換アルキルの組み合わせ、水
素原子、アラルキル及びヒドロキシ置換アルキルの組み
合わせ、または水素原子、低級アルキル及びアリールの
組み合わせが好ましい。
【0022】本発明の製造法の原料である3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸のラセミ体及び化合物(II)は、市販品を購入するこ
とにより入手することができる。
【0023】本発明に用いられる一般式(II)で表され
る光学活性なアミンおよびアルコールの好ましい具体例
としては、(S)および(R)−1−メチルベンジルア
ミン、(S)および(R)−1−(1−ナフチル)エチ
ルアミン、(S)および(R)−2−フェニルグリシノ
ール、(S)および(R)−2−アミノ−3−フェニル
−1−プロパノール、(S)および(R)−1−フェニ
ルエタノール、(S)および(R)−1−(2−ナフチ
ル)エタノール等が挙げられる。
【0024】一般式(II)で表される光学活性なアミン
又はアルコールを、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体と反応さ
せて、一般式(Ia)で表されるカルボン酸誘導体を得る
方法としては、通常のエステル合成、アミド合成の方法
が適用でき、例えば3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体を塩化チ
オニル等で一旦酸クロリドに導く方法、又はジシクロヘ
キシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WS
C)、もしくはカルボニルジイミダゾール(CDI)等
の各種縮合剤を用いる方法が挙げられる。
【0025】例えば、縮合剤を使用して前記の反応を行
う場合、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸のラセミ体と0.1〜20当量
の一般式(II)で表される光学活性なアミン又はアルコ
ールに、1〜20当量の縮合剤を加え、必要であれば、
0.1〜100倍容の溶媒の存在下または非存在下、攪
拌を行う。
【0026】反応温度としては、好ましくは−20℃〜
溶媒の沸点の間である。また、反応時間は、好ましくは
1〜20時間である。また、上記の反応において、必要
であれば、塩基を使用してもよく、その使用量は、3,
3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸のラセミ体に対して、0.1〜10当量が好
ましい。また、上記の反応において、反応を促進するた
めに、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOB
t)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)等を添加
してもよく、その使用量は、3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体
に対して、0.1〜10当量が好ましい。また、上記の
反応は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスの雰囲
気下行うことが好ましい。
【0027】ここで、反応溶媒としてはテトラヒドロフ
ラン、アセトニトリル、酢酸エチル、ジクロロメタン、
ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジメチルスルホ
キシド、1,2−ジメトキシエタン等の各種不活性溶媒
が挙げられ、塩基としてはトリエチルアミン、N−メチ
ルモルホリン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩
基、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
【0028】反応終了後、必要であれば、反応液を抽
出、洗浄、濃縮等の処理に付した後、ジアステレオマー
の混合物を再結晶、シリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー、分取用高速液体クロマトグラフィー等の方法により
精製することにより、ジアステレオマーを容易に分割す
ることができる。
【0029】中でも、再結晶によってジアステレオマー
間の分別晶析を行うことが好ましく、高いジアステレオ
選択性で単一のジアステレオマーの片方を取得すること
ができる。また、該再結晶工程では、少ない再結晶回数
で目的物のジアステレオマー過剰率(de)を上げるこ
とができる。本方法は煩雑な操作を必要としないため、
大量合成に適した方法である。
【0030】分別晶析への適用性の有無は、得られたジ
アステレオマーのそれぞれの結晶性の程度の差によって
当業者において容易に判断することができる。特にジア
ステレオマーの分別晶析の目的のために使用できる好ま
しい一般式(Ia)の化合物の具体例としては、N−
〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニル)メ
チル〕−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオンアミド等を挙げることができる。
【0031】また、分別晶析に使用される溶媒として
は、得られたジアステレオマーの種類等により変わるた
め、特に限定されないが、トルエン、キシレン、ヘキサ
ン、酢酸エチル、プロパノール、イソプロパノール、ブ
タノール等もしくはこれらの混合溶媒があげられ、中で
も、トルエンと酢酸エチルの混合溶媒が好ましく使用さ
れる。
【0032】このようにして得られたジアステレオマー
過剰率(de)の高い一般式(Ia)の化合物(アミドま
たはエステル)から、そのアミンまたはアルコール部分
を除去することにより、目的の光学活性3,3,3−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸
を得ることができる。
【0033】一般式(Ia)で表される化合物を、通常の
加水分解方法により、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、メタ
ンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の酸、ボロントリフ
ルオリド・エーテル錯体等のルイス酸、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等の塩基等を用い、水中または有機
溶媒中もしくはこれらの混合溶媒中で0℃〜溶媒の沸点
の間の温度、好ましくは60℃〜溶媒の沸点の間の温度
で処理することにより光学活性3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を得るこ
とができる。有機溶媒としては前記の反応溶媒と同様の
ものの他に、メタノール、エタノール、プロパノール等
のアルコール類も使用可能である。
【0034】また、アミド〔一般式(Ia)で表される化
合物:式中、XがNR4で、R4が低級アルキルの場合〕
は、ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・ケミカル・ソ
サエティ(J. Am. Chem. Soc.),1976, 98, 1275記載の方
法に準じて、カリウム t-ブトキサイド等の水溶液中で
加水分解するのが好ましい。
【0035】また、アミド〔一般式(Ia)で表される化
合物:式中、XがNHの場合〕の場合は、バーチ還元
{テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.), 19
86, 27, 4941に記載の方法}、接触水素還元{ジャーナ
ル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org. Che
m.), 1997, 62, 8271 に記載の方法}等の還元、または
複素環討論会1997年要旨集156頁記載の方法により、ア
ニソール存在下メタンスルホン酸を作用させることによ
って光学活性な下記一般式(III)
【0036】
【化11】
【0037】で表されるアミドとした後、これをさらに
ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティ(J. Chem. S
oc.), 1951, 2329記載の方法により酸加水分解するか、
または水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基等を
用い、水中または有機溶媒中もしくはこれらの混合溶媒
中で0℃〜溶媒の沸点の間、好ましくは60℃〜溶媒の
沸点の間の温度で処理することにより、アミド部分を加
水分解することにより、光学活性3,3,3−トリフル
オロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を得る
こともできる。有機溶媒としては、前記の加水分解工程
に使用されるものと同様のものが使用可能である。
【0038】前記各反応液から、抽出、乾燥、蒸留、昇
華等の方法を適宜用いて、目的とする光学活性3,3,
3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オン酸を得ることができる。この加水分解のステップで
は、原料のジアステレオマー過剰率(de)がそのまま
光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の光学純度(ee)に反映さ
れ、ラセミ化は起こらない。
【0039】本発明の方法は従来の方法に比較してはる
かに高い収率で高い光学純度の3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を容易に
得ることができる優れた方法であると言える。
【0040】本発明の方法で製造される3,3,3−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸
は、尿失禁治療薬等の医療原料として、有用な化合物で
ある(特開平5−286915号公報、WO97/14
672)。
【0041】
【実施例】以下に、実施例および比較例により本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって
限定されるものではない。尚、各化合物の物理化学デー
タは次の機器類によって測定した。1 H-NMR:日本ブルカー AC 300 (300 MHz) MS :日立M-80B
【0042】実施例1 N−〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニ
ル)メチル〕―(S)―3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミドの合成及び
光学分割:(±)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオン酸50gをテトラヒド
ロフラン316mLに溶解し、窒素雰囲気下氷冷して撹
拌した。氷冷下N−メチルモルホリン34.8mL、1
−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物24.2g、
(R)−フェニルグリシノール47.7g、1−エチル
−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
塩酸塩72.8gを順番に加え、氷冷下1時間、室温で
8時間撹拌した。この溶液に酢酸エチルおよび水を加え
て分液し、有機層を1N 塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、溶媒を減圧留去し
た。
【0043】トルエンで置換濃縮したのち、トルエン8
80mLおよび酢酸エチル88mLの混合溶媒から室温
で再結晶することにより、N−〔(R)−(1−ヒドロ
キシメチル−1−フェニル)メチル〕−3,3,3−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンア
ミド(ジアステレオマー混合物、S体過剰)33.1g
(収率37.7%)を得た。このもののHPLC分析(カラ
ム: AM312 ODS,ワイエムシィ株式会社製、 6.0×150 m
m, 移動相:10 mM KH2PO4水溶液/メタノール=6/
4,1.0 mL/分、検出 : UV 220 nm)により、ジアステ
レオマー過剰率(de)は81.9%であった。
【0044】S体過剰のN−〔(R)−(1−ヒドロキ
シメチル−1−フェニル)メチル〕−3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミ
ド(81.9%de)32.0gをトルエンおよび酢酸
エチルの混合溶媒から3回再結晶することにより、N−
〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニル)メ
チル〕−(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオンアミド21.7gを得た
(収率67.8%)。
【0045】TLC Rf = 0.12 (ヘキサン:酢酸エチル=
1:1、メルク株式会社製 Silica Gel 60 F254 )、1 H-NMR(DMSO-d6) δ(ppm): 1.50 (3H, s), 3.65 (2H,
t, J = 5.6 Hz), 4.80-4.83 (1H, m), 4.99 (1H, t, J
= 5.5 Hz), 7.20-7.33 (5H, m), 8.28 (1H, d, J= 8.0
Hz)。MS (EI) m/z = 261 (M+-H2O)
【0046】このもののHPLC分析〔カラム : AM312
ODS、ワイエムシィ株式会社製、6.0×150 mm, 移動
相:10mM KH2PO4水溶液/メタノール=6/4,1.0 mL
/分、検出 : UV 220 nm)〕により、ジアステレオマー
過剰率(de)は99.9%以上であった{保持時間
(R,S)体15.9分、(R,R)体10.1分}。
【0047】実施例2 (S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の合成:実施例1で得たN−
〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニル)メ
チル〕−(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオンアミド(>99.9%d
e)2.0gを6N硫酸40mLおよび1,2−ジメト
キシエタン4mLの混合液に懸濁し、90℃付近で12
時間加熱撹拌した。この溶液に10N水酸化ナトリウム
を加えてpH1付近まで中和し、水を加えて生じた無機
塩の結晶を溶解した後、酢酸エチルで三回抽出した。有
機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去
し、さらに減圧下乾燥して(S)−3,3,3−トリフ
ルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸1.
13gを得た(実施例1からの全収率25.3%)。
【0048】1H-NMR (300mHz、CDCl3)δ(ppm) :1.66
(3H, s)。〔α〕D 23=−18.9°(c = 4.00、メタノー
ル)〔特開平5−286915号公報記載の値:〔α〕
D 23=−18.9°(c = 9.04、メタノール)〕。
【0049】上記で得られた(S)−3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸
を、特開平5−286915号公報記載の方法によりp
−アミノベンゾフェノンのアミドに導いてHPLC分析
(カラム : Chiralpak AD ダイセル化学工業株式会社
製、4.6 ×250 mm, 移動相:ヘキサン/エタノール=9
/1、0.5 mL/分、検出 : UV 291 nm)した結果、光学
純度が99.9%ee以上であった{保持時間、(S)
体20.7分、(R)体28.3分}。
【0050】
【化12】
【0051】実施例3 N−〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニル
メチル)メチル〕―(S)―3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド、およ
びN−〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニ
ルメチル)メチル〕―(R)―3,3,3−トリフルオ
ロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミドの合
成及び光学分割:
【0052】(±)−3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸158mgをテト
ラヒドロフラン2mLに溶解し、窒素雰囲気下氷冷して
撹拌した。氷冷下N−メチルモルホリン0.11mL、
1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物153m
g、(R)−2−アミノ−3−フェニル−1−プロパノ
ール166mg、1−エチル−3−(3−ジメチルアミ
ノプロピル)カルボジイミド塩酸塩230mgを順番に
加え、氷冷下1時間、室温で8時間撹拌した。この溶液
に酢酸エチルおよび水を加えて分液し、有機層を1N 塩
酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次
洗浄し、溶媒を減圧留去した。残渣をヘキサン/酢酸エ
チル(7/3から1/1)を用いたシリカゲル20g上
でのカラムクロマトグラフィーに付し、標題アミドの2
種類のジアステレオマーを分割した。
【0053】N−〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−
1−フェニルメチル)メチル〕―(S)―3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
アミド:99mg(収率34%)。 TLC Rf = 0.15 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1、メル
ク株式会社製 Silica Gel 60 F254)1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm):1.49 (3H, s), 2.85-2.99 (2
H, m), 3.62-3.75 (2H,m), 4.13 (1H, br), 4.23-4.28
(2H, m), 6.54 (1H, br), 7.20-7.34 (5H, m)。MS (EI)
m/z = 291 (M+)
【0054】N−〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−
1−フェニルメチル)メチル〕―(R)―3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
アミド:114mg(収率39%)。 TLC Rf = 0.30 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1、メル
ク株式会社製 Silica Gel 60 F254)1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm):1.51 (3H, s), 2.85-2.98 (2
H, m), 3.62-3.75 (2H,m), 4.19-4.29 (2H, m), 6.58
(1H, br), 7.20-7.34 (5H, m)。MS (EI) m/z = 291
(M+)
【0055】実施例4 (S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の合成:実施例3で得たN−
〔(R)−(1−ヒドロキシメチル−1−フェニルメチ
ル)メチル〕−(S)−3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド92mgを
6N硫酸2mLおよび1,2−ジメトキシエタン0.2
mLの混合液に懸濁し、90℃付近で12時間加熱撹拌
した。この溶液に10N水酸化ナトリウムを加えてpH
1付近まで中和し、水を加えて生じた無機塩の結晶を溶
解した後、酢酸エチルで三回抽出した。有機層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、さらに減
圧下乾燥して(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸48mgを得た
(実施例3からの全収率30%)。
【0056】上記の(S)−3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸をHPLC
分析(カラム : Sumichiral OA-5000,住化分析センター
株式会社製、4.6×150 mm、移動相:2 mM CuSO4水溶液
/2-プロパノール=85/15,1.0 mL/分、検出 : UV 23
0 nm)した結果、このものの光学純度は99%ee以上
であった{保持時間、(S)体24.5分、(R)体21.9
分}。
【0057】
【化13】
【0058】実施例5 N−〔(S)−(1−フェニル)エチル〕―(S)―
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチ
ルプロピオンアミド、およびN−〔(S)−(1−フェ
ニル)エチル〕―(R)―3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミドの合成及
び光学分割:(±)−3,3,3−トリフルオロ−2−
ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸2.6gをテトラ
ヒドロフラン33mLに溶解し、窒素雰囲気下氷冷して
撹拌した。カルボニルジイミダゾール2.8gを加え、
氷冷下0.5時間、室温で2.5時間撹拌した。さらに
(S)−1−メチルベンジルアミン2.5mLを加え、
室温で8時間撹拌した。この溶液に塩化メチレンおよび
水を加えて分液し、有機層を1N塩酸、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液で順次洗い、溶媒を減圧留去した。残渣を
トルエン/酢酸エチル(10/1から5/1)を用いたシ
リカゲル40g上でのカラムクロマトグラフィーに付
し、標題アミドの2種類のジアステレオマーを分割し
た。
【0059】N−〔(S)−(1−フェニル)エチル〕
―(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロピオンアミド :1.66g(収率3
8.6%)。 TLC Rf = 0.16 (トルエン:酢酸エチル=7:1、メル
ク株式会社製 Silica Gel 60 F254)1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm):1.53 (3H, d, J = 6.9 Hz),
1.58 (3H, s), 4.20 (1H, s), 5.13 (1H, quint, J =
7.1 Hz), 6.53 (1H, br), 7.27-7.39 (5H, m)。MS (EI)
m/z = 261 (M+)
【0060】N−{(S)−(1−フェニル)エチル}
―(R)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロピオンアミド :1.50g(収率34.9
%)。TLC Rf = 0.29 (トルエン:酢酸エチル=7:
1、メルク株式会社製 Silica Gel 60 F254),1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm) : 1.52 (3H, d, J = 6.9 Hz),
1.56 (3H, s), 4.36 (1H, s), 5.10 (1H, quint, J =
7.3 Hz), 6.75 (1H, br), 7.25-7.40 (5H, m)。MS (EI)
m/z = 261 (M+)
【0061】実施例6 (S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の合成:
【0062】(i)(S)―3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミドの合成:
実施例5で得られたN−〔(S)−(1−フェニル)エ
チル〕―(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒド
ロキシ−2−メチルプロピオンアミド131mgをトル
エン2mLおよびアニソール0.27mLの混合液に懸
濁し、メタンスルホン酸0.16mLを加え、60℃付
近で4時間加熱撹拌した。反応混合物にトルエンおよび
水を加えて分液し、有機層を水で再抽出した後に水層を
合併し、酢酸エチルで5回抽出し、有機層から溶媒を減
圧留去して(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオンアミド73mgを得た
(収率93%)。 融点 143.8℃〔ジャーナル・オブ・ケミカル・ソサエテ
ィ(J. Chem. Soc.), 1951, 2329記載の値:融点 142
℃〕。1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm) : 1.37 (3H, s), 6.75 (1H,
s), 7.49 (2H, s)。
【0063】(ii)(S)−3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の合成:上記
(i)で得た(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオンアミド73mgを5N
水酸化カリウム1mLに懸濁させ、80℃付近で5時間
加熱撹拌した。反応液を6N 塩酸で酸性とし、ジエチル
エーテルで5回抽出した。有機層から溶媒を減圧留去し
て(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ
−2−メチルプロピオン酸65mgを得た(収率88
%)〔(±)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオン酸からの収率:31.6
%〕。
【0064】上記の(S)−3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を、HPL
C分析(カラム : Sumichiral OA-5000,住化分析センタ
ー株式会社製、4.6×150 mm, 移動相:2mM CuSO4水溶
液/2-プロパノール=85/15,1.0 mL/分、検出: UV 2
30nm)した結果、このものの光学純度は99.3%eeで
あった{保持時間(S)体24.5分、(R)体21.9分}。
【0065】
【化14】
【0066】実施例7 N−{(S)−〔1−(1−ナフチル)エチル〕}―
(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオンアミド、およびN−{(S)−
〔1−(1−ナフチル)エチル〕}―(R)―3,3,
3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オンアミドの合成及び光学分割:(±)−3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸215mgをテトラヒドロフラン5mLに溶解し、窒
素雰囲気下氷冷して撹拌した。カルボニルジイミダゾー
ル232mgを加え、氷冷下0.5時間、室温で2時間
撹拌した。さらに(S)−1−(1−ナフチル)エチル
アミン0.264mLを加え、室温で8時間撹拌した。
この溶液に塩化メチレンおよび水を加えて分液し、有機
層を1N 塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で順次洗
い、溶媒を減圧留去した。残渣をトルエン/酢酸エチル
(10/1から5/1)を用いたシリカゲル20g上での
カラムクロマトグラフィーに付し、標題アミドの2種類
のジアステレオマーを分割した。
【0067】N−{(S)−〔1−(1−ナフチル)エ
チル〕}―(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオンアミド :156mg
(収率36.8%)。 TLC Rf = 0.19 (トルエン:酢酸エチル=7:1、メル
ク株式会社製 Silica Gel 60 F254)1 H-NMR(CDCl3) δ(ppm) :1.51 (3H, s), 1.70 (3H, d,
J = 6.8 Hz), 4.19 (1H, br), 5.92 (1H, quint, J =
7.0 Hz), 6.4 (1H, br), 7.44-7.69 (4H, m), 7.79-8.0
8 (3H, m)。MS (EI) m/z = 311 (M+)
【0068】N−{(S)−〔1−(1−ナフチル)エ
チル〕}―(R)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオンアミド :159mg
(収率37.6%)。 TLC Rf = 0.33 (トルエン:酢酸エチル=7:1、メル
ク株式会社製 Silica Gel 60 F254)1 H-NMR(CDCl3)δ(ppm) :1.58 (3H, s), 1.71 (3H, d,
J = 6.8 Hz), 3.91 (1H, br), 5.92 (1H, quint, J =
6.9 Hz), 6.5 (1H, br), 7.44-7.60 (4H, m) , 7.81-8.
00 (3H, m) 。MS (EI) m/z = 311 (M+)
【0069】実施例8 (S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸の合成:
【0070】(i)(S)―3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミドの合成:
実施例7で得られるN−{(S)−〔1−(1−ナフチ
ル)エチル〕}―(S)―3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド240m
gをトルエン5mLおよびアニソール0.43mLの混
合液に懸濁し、メタンスルホン酸0.26mLを加え、
60℃付近で4時間加熱撹拌した。反応混合物にトルエ
ンおよび水を加えて分液し、有機層を水で再抽出した後
に水層を合併し、酢酸エチルで5回抽出し、有機層から
溶媒を減圧留去して(S)―3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオンアミド103
mgを得た(収率85.0%)。
【0071】(ii)(S)−3,3,3−トリフルオロ−
2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の合成:上記
(i)で得た(S)―3,3,3−トリフルオロ−2−ヒ
ドロキシ−2−メチルプロピオンアミド105mgを5
N 水酸化カリウム2mLに懸濁させ、80℃付近で5時
間加熱撹拌した。反応液を6N 塩酸で酸性とし、ジエチ
ルエーテルで5回抽出した。有機層から溶媒を減圧留去
して(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキ
シ−2−メチルプロピオン酸96mgを得た(収率93
%)〔(±)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
キシ−2−メチルプロピオン酸からの収率:29%〕。
【0072】上記の(S)−3,3,3−トリフルオロ
−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を、HPL
C分析(カラム : Sumichiral OA-5000,住化分析センタ
ー株式会社製、4.61×150 mm, 移動相:2mM CuSO4水溶
液/2-プロパノール=85/15,1.0 mL/分、検出 : UV
230 nm)した結果、このものの光学純度は99%ee以
上であった{保持時間(S)体24.5分、(R)体2
1.9分}。
【0073】
【化15】
【0074】比較例 (S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
2−メチルプロピオン酸 (S)−1−メチルベンジル
アミン塩からの製造(先行文献特開平5−286915
号公報記載の方法の実施):(±)−3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸3
1.3gのエタノール(80mL)溶液に、氷冷下
(S)−1−メチルベンジルアミン24.0gを加え、
室温に戻して1時間撹拌した。エタノールを留去し、残
渣をジイソプロピルエーテルに懸濁させてろ過し、塩3
5.8gを得た。この塩を用い、10%ブタノール/ト
ルエンから7回再結晶を行い、(S)−3,3,3−ト
リフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸
(S)−1−メチルベンジルアミン塩8.7gを得た
(収率15.7%)。
【0075】得られた塩20mgをとり、1N塩酸に溶
解し、ジエチルエーテルで抽出し、有機層から減圧下で
溶媒を留去することにより、(S)−3,3,3−トリ
フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸1
1mgを得た〔(±)−3,3,3−トリフルオロ−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸からの収率:1
4.3%〕。このもののHPLC分析(カラム : Sumic
hiral OA-5000,住化分析センター株式会社製、 4.6×15
0 mm, 移動相: 2mM CuSO4水溶液/2-プロパノール=85
/15, 1.0 mL/分, 検出 : UV 230 nm)により、光学純
度は99.2%eeであった。
【0076】
【発明の効果】本発明により、従来の方法よりも簡便か
つ効率の良い、大量合成に適した光学活性3,3,3−
トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
酸の製造法を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 67/52 C07C 67/52 235/06 235/06 // C07M 7:00 (72)発明者 小笠 剛裕 大阪府堺市新金岡町3−4−6 (72)発明者 河西 政次 神奈川県藤沢市鵠沼松ケ岡3−12−15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 {式(I)中、Xは酸素原子またはNR4(式中、R4
    水素原子または低級アルキルを表す)を示し、R1、R2
    およびR3はそれぞれ異なり、水素原子、置換もしくは
    非置換の低級アルキル、置換もしくは非置換のシクロア
    ルキル、置換もしくは非置換の低級アルコキシ、置換も
    しくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアラル
    キルのいずれかを表す。*は不斉炭素を意味する。}で
    表されるカルボン酸誘導体。
  2. 【請求項2】一般式(Ia) 【化2】 {式(Ia)中、R5は、(S)体または(R)体のどち
    らか一方の一般式(A) 【化3】 (式(A)中、R1、R2、R3およびXは、請求項1記
    載ものと同義である)を表す}で表されるカルボン酸誘
    導体。
  3. 【請求項3】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体を光学活性な
    一般式(II) 【化4】 {式(II)中、X、R1、R2、R3及び*は、請求項1
    記載のものと同義である。}で表されるアルコール又は
    アミンと反応させて、請求項2記載の一般式(Ia)で表
    されるカルボン酸誘導体とした後、そのジアステレオマ
    ーの混合物を分割して単一のジアステレオマーを得る工
    程を含むことを特徴とする光学活性3,3,3−トリフ
    ルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製
    造法。
  4. 【請求項4】 3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロ
    キシ−2−メチルプロピオン酸のラセミ体に光学活性な
    一般式(II) 【化5】 {式(II)中、X、R1、R2、R3及び*は、請求項1
    記載のものと同義である。}で表されるアルコール又は
    アミンを反応させて、請求項2記載の一般式(Ia)で表
    されるカルボン酸誘導体とし、そのジアステレオマーの
    混合物を分割して単一のジアステレオマーを得た後、加
    水分解することを特徴とする光学活性3,3,3−トリ
    フルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の
    製造法。
  5. 【請求項5】 一般式(Ia)で表されるカルボン酸誘導
    体を、再結晶による分別晶析で単一のジアステレオマー
    に分割する請求項3又は4記載の光学活性3,3,3−
    トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン
    酸の製造法。
  6. 【請求項6】 一般式(Ia)で表されるカルボン酸誘導
    体の単一のジアステレオマーを、酸または塩基の存在下
    において加水分解することを特徴とする請求項4記載の
    光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−
    2−メチルプロピオン酸の製造法。
  7. 【請求項7】 一般式(Ia)で表されるカルボン酸誘導
    体(式中、XがNR 4であり、R4が水素原子である場
    合)の単一のジアステレオマーを、還元する方法、また
    はアニソール存在下メタンスルホン酸を作用させる方法
    によって光学活性な一般式(III) 【化6】 (*は、前記と同義である。)で表されるアミドとし、
    これをさらに加水分解することを特徴とする請求項3記
    載の光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキ
    シ−2−メチルプロピオン酸の製造法。
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