JPH083132A - プロリルプロリン誘導体及びその新規な製造法 - Google Patents

プロリルプロリン誘導体及びその新規な製造法

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JPH083132A
JPH083132A JP6164740A JP16474094A JPH083132A JP H083132 A JPH083132 A JP H083132A JP 6164740 A JP6164740 A JP 6164740A JP 16474094 A JP16474094 A JP 16474094A JP H083132 A JPH083132 A JP H083132A
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compound
prolyl
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JP6164740A
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Takayuki Inaba
隆之 稲葉
Minoru Akamatsu
稔 赤松
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Japan Tobacco Inc
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Japan Tobacco Inc
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式〔I〕 【化1】 (式中、R1は置換されてもよいアリール基又は置換さ
れてもよいヘテロアリール基を表し;R2は水素原子、
ハロゲン原子又はアシルオキシ基を表し;R3はカルボ
キシル保護基を表し;Aは酸素原子、NH基又はCH2
基を表し;nは1乃至3の整数を表す。)で示されるプ
ロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩及び一般式〔VII
I〕 【化2】 (式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様の意味を
表す。)で示されるプロリルプロリン誘導体の製造方
法。 【発明の効果】 従来法に比べて極めて効率的に、一般
式〔VIII〕で示される化合物を製造でき、抗健忘症薬、
抗痴呆薬、抗アルツハイマー治療薬として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロリルエンドペプチ
ダーゼ阻害活性を有するプロリルプロリン誘導体の新規
な製造方法、及びそれ自体プロリルエンドペプチダーゼ
阻害活性を有するそれら誘導体の製造に有用な中間体化
合物に関する。
【0002】
【従来の技術】プロリルエンドペプチダーゼ (Prolyl e
ndopeptidase; EC 3.4.21.26) はヒト子宮中に発見され
た後、脳を含む多くの臓器から見出された酵素で、特に
脳内において多く分布していることが知られている。
【0003】本酵素は、サイロトロピン放出ホルモン
(TRH)やサブスタンスP、ノイロテンシンなどの神
経伝達物質に作用するとともに学習、記憶の過程に関与
しているとされているバソプレシンにも作用し、これら
を分解、不活性化することが知られている。
【0004】これらの知見から、本酵素に特異的な阻害
活性を有する化合物を得ることができるならば、こうい
った化合物はバソプレシン等の分解、不活性化を抑制
し、痴呆の中核症状に直接作用する薬剤として、健忘症
又は痴呆の予防や治療に応用できる可能性が期待される
〔生化学、55巻、831頁(1993年);日本薬理
学雑誌、89巻、243頁(1987年);ジャーナル
・オブ・ファーマコバイオ ダイナミクス、10巻、7
30頁(1987年)[J. Pharmacobio-Dyn., 10, 730
(1987)]〕。
【0005】又、TRH、サブスタンスP、ノイロテン
シンなどのホルモン、神経伝達物質の分解、不活性化を
抑えることにより、これらの物質の分解、不活性化に起
因する諸疾患の症状改善にも有効性を示すことが期待さ
れる。
【0006】最近になって、in vitro、in
vivo実験において、ベータアミロイドタンパク質が
神経毒性作用を示すことによってアルツハイマー病の発
症に本質的に重要な役割を果たすことが示された。
【0007】プロリルエンドペプチダーゼはアミロイド
前駆タンパク質からのベータアミロイド切り出し酵素で
あるとの仮説〔FEBS レターズ、260巻、131
〜134頁(1990年)[FEBS Lett., 260, 131-134
(1990)]〕、或はベータアミロイドタンパク質の神経毒
性はサブスタンスPによって抑えられるという実験事実
〔プロシーディング・オブ・ザ・ナショナル・アカデミ
ー・オブ・サイエンスUSA、88巻、7247〜72
51頁(1991年)[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 8
8, 7247-7251(1991)]〕から、プロリルエンドペプチダ
ーゼ阻害剤はアルツハイマー病の有効な治療薬となりう
ると考えられる。
【0008】これらプロリルエンドペプチダーゼ阻害剤
としては従来より、種々の物質が知られている。例え
ば、特開平4−9367号公報には
【化10】 等が開示されており、特開平2−262577号公報に
【化11】 等が、特開平2−218663号公報には
【化12】 等が、特開平1−156957号公報には
【化13】 等が、特開昭64−42475号公報には
【化14】 等が、特開昭62−148467号公報には
【化15】 等が、開示されている。
【0009】本発明者らも、下記式〔XI〕で示される優
れたプロリルエンドペプチダーゼ阻害物質を見出し、先
に特許出願した(PCT/JP93/01687)。
【化16】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】しかしながら、例えば上記式〔XI〕で示さ
れるプロリルプロリン誘導体の製造方法は、下記フロー
図に示すように工程数も多く、煩雑であって収率もあま
り良くなく、実用的でなかった。
【化17】 (フロー図中、Bocはtert−ブトキシカルボニル
基を表し、Bnはベンジル基を表す。) そこで、これらプロリルプロリン誘導体を効率的に製造
するための新規な製造方法が強く望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意
研究を重ねた結果、上記プロリルプロリン誘導体〔XI〕
を始めとする下記一般式〔VII〕又はその加水分解体で
ある一般式〔VIII〕で示されるプロリルプロリン化合物
を極めて効率的に製造する方法を見出し、本発明を完成
した。
【0012】
【化8】
【0013】
【化9】
【0014】即ち、本発明は、上記一般式〔VII〕及び
一般式〔VIII〕で示されるプロリルプロリン化合物の新
規な製造方法、及びその製造に有用な各種中間体に関す
るものであり、より詳しくは、下記(1)乃至(13)
に示す通りである。
【0015】(1) 一般式〔I〕
【化1】(式中、R1は置換されてもよいアリール基又
は置換されてもよいヘテロアリール基を表し;R2は水
素原子、ハロゲン原子又はアシルオキシ基を表し;R3
はカルボキシル保護基を表し;Aは酸素原子、NH基又
はCH2基を表し;nは1乃至3の整数を表す。)で示
されるプロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
【0016】(2) R2が水素原子である上記(1)
記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
【0017】(3) R2がハロゲン原子である上記
(1)記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
【0018】(4) R2がアシルオキシ基である上記
(1)記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
【0019】(5) R1がフェニル基、AがNH基、
nが1である上記(2)記載のプロリルプロリル酢酸誘
導体又はその塩。
【0020】(6) R1がフェニル基、AがNH基、
nが1である上記(3)記載のプロリルプロリル酢酸誘
導体又はその塩。
【0021】(7) R1がフェニル基、AがNH基、
nが1である上記(4)記載のプロリルプロリル酢酸誘
導体又はその塩。
【0022】(8) 一般式〔II〕
【化2】(式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様
の意味を表す。)で示される化合物をカルボニルジイミ
ダゾールと反応させ、次いで一般式(iii)
【化3】(式中、R3は前記と同様の意味を表し、Mは
アルカリ金属を表す。)又は一般式(iii’)
【化4】(式中、R3は前記と同様の意味を表し、M’
はアルカリ土類金属を表す。)で示されるマロン酸モノ
エステル塩とを反応させることを特徴とする、一般式
〔IV〕
【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
同様の意味を表す。)で示されるプロリルプロリル酢酸
エステルの製造方法。
【0023】(9) 一般式〔IV〕
【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
同様の意味を表す。)で示される化合物をハロゲン化剤
と反応させることを特徴とする、一般式〔V〕
【化6】(式中、Xはハロゲン原子を表し、R1、R3
A及びnはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で示さ
れるプロリルプロリルハロゲン化酢酸エステルの製造方
法。
【0024】(10) 一般式〔V〕
【化6】(式中、R1、R3、A、X及びnはそれぞれ前
記と同様の意味を表す。)で示される化合物をアシルオ
キシ化剤と反応させることを特徴とする、一般式〔VI〕
【化7】(式中、R4はアシル基を表し、R1、R3、A
及びnはそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で示され
るプロリルプロリル(アシルオキシ)酢酸エステルの製
造方法。
【0025】(11) 一般式〔IV〕
【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれそれぞ
れ前記と同様の意味を表す。)で示される化合物を不活
性有機溶媒中、アシルオキシ化剤の存在下に、ハロゲン
化剤で処理することを特徴とする、一般式〔VI〕
【化7】(式中、R1、R3、R4、A及びnはそれぞれ
前記と同様の意味を表す。)で示されるプロリルプロリ
ル(アシルオキシ)酢酸エステルの製造方法。
【0026】(12) 一般式〔VI〕
【化7】(式中、R1、R3、R4、A及びnはそれぞれ
前記と同様の意味を表す。)で示される化合物を脱保護
と同時に脱炭酸させることを特徴とする一般式〔VII〕
【化8】(式中、R1、R4、A及びnはそれぞれ前記と
同様の意味を表す。)又は一般式〔VIII〕
【化9】(式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様
の意味を表す。)で示されるプロリルプロリン誘導体の
製造方法。
【0027】(13) 一般式〔IV〕
【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
同様の意味を表す。)で示される化合物をハロゲン化剤
と反応させ、更にアシルオキシ化剤と反応させた後、脱
保護と同時に脱炭酸処理することを特徴とする一般式
〔VII〕
【化8】(式中、R1、R4、A及びnはそれぞれ前記と
同様の意味を表す。)又は一般式〔VIII〕
【化9】(式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様
の意味を表す。)で示されるプロリルプロリン誘導体の
製造方法。
【0028】なお、最終目的化合物〔VIII〕を製造する
ための上記(1)乃至(7)に記載の中間体化合物は、
それ自体プロリルエンドペプチダーゼ阻害活性を有し、
アルツハイマー病、健忘症等の中枢神経系疾患の治療薬
としての活用も期待される。
【0029】又、本発明化合物には立体異性体及び光学
異性体が存在するが、本発明はそれら全てを包含する。
【0030】ここで「アリール基」とは、例えばフェニ
ル基、ナフチル基又はインデニル基等の非縮合の又は縮
合した芳香族炭化水素基であり、場合によっては、イン
ダニル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基
等のように一部水素化又は飽和されていてもよい。又、
それらの結合位置は任意である。好ましくはフェニル
基、インダニル基又は1,2,3,4−テトラヒドロナ
フチル基で、特に好ましくはフェニル基である。
【0031】「ヘテロアリール基」とは、窒素原子、酸
素原子又は硫黄原子等の異項原子を含む5乃至6員の、
縮合してもよい複素環基を意味し、例えばチエニル基、
フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル
基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル
基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、ピリジル基、
ピラジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ベンゾ
フラニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラニル基、ベン
ゾチエニル基、インドリル基、クロメニル基、クロマニ
ル基、キノリニル基又はイソキノリニル基等が挙げられ
るが、好ましくはチエニル基、フリル基、ピリジル基、
ベンゾフラニル基、2,3−ジヒドロベンゾフラニル
基、ベンゾチエニル基、クロメニル基又はクロマニル基
等であり、特に好ましくはベンゾフラニル基、2,3−
ジヒドロベンゾフラニル基、クロメニル基又はクロマニ
ル基である。
【0032】「アリール基」又は「ヘテロアリール基」
の置換基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、te
rt−ブチル基、ペンチル基若しくはヘキシル基等の低
級アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ
基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、
tert−ブトキシ基、ペントキシ基若しくはヘキソキ
シ基等の低級アルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭
素原子若しくはヨウ素原子等のハロゲン原子;又は水酸
基等が挙げられ、好ましくはメチル基若しくはエチル基
等の低級アルキル基;メトキシ基若しくはエトキシ基等
の低級アルコキシ基;又は塩素原子若しくは臭素原子等
のハロゲン原子であり、特に好ましくはメチル基、メト
キシ基又は塩素原子である。これらの置換基は、上記
「アリール基」又は「ヘテロアリール基」の任意の位置
に0又は1乃至3個、好ましくは0又は1乃至2個、特
に好ましくは0又は1個、任意の組み合わせで存在する
ことができる。
【0033】「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素
原子、臭素原子又はヨウ素原子等を意味し、好ましくは
塩素原子又は臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子
である。
【0034】「アシルオキシ基」とは、ハロゲン原子で
置換されていてもよい炭素数1乃至6のアシルオキシ基
を意味し、例えばホルミルオキシ基、アセチルオキシ
基、プロピオニルオキシ基、ブチロイルオキシ基、バレ
リルオキシ基、ピバロイルオキシ基、クロロアセチルオ
キシ基、トリクロロアセチルオキシ基、トリフルオロア
セチルオキシ基又はベンゾイルオキシ基等が挙げられ、
好ましくはアセチルオキシ基、ピバロイルオシ基又はベ
ンゾイルオシ基であり、特に好ましくはアセチルオキシ
基である。
【0035】「カルボキシル保護基」とは、通常カルボ
キシル基を保護するために用いられるものであればいか
なる保護基でもよく、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基若しくはイソブチル基等
のアルキル基;2,2,2−トリクロロエチル基若しく
は2,2,2−トリフルオロエチル基等のハロゲン置換
アルキル基;ベンジル基、p−メトキシベンジル基、
3,4−ジメトキシベンジル基、o−ニトロベンジル
基、p−ニトロベンジル基、p−ブロモベンジル基、ジ
フェニルメチル基若しくはトリチル基等のアラルキル
基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプ
ロピルジメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシ
リル基、ジ−tert−ブチルメチルシリル基、フェニ
ルジメチルシリル基若しくはtert−ブチルジフェニ
ルシリル基等のシリル基;又はアリルオキシカルボニル
基等が挙げられ、好ましくはメチル基若しくはエチル基
等のアルキル基;又はベンジル基、p−メトキシベンジ
ル基若しくはp−ニトロベンジル基等のアラルキル基で
あり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基
又はp−ニトロベンジル基である。
【0036】「ハロゲン化剤」とは、カルボニル基のア
ルファ位をハロゲン化するものならいかなるものでもよ
く、例えば塩素、臭素、ヨウ素、N−クロロコハク酸イ
ミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸
イミド、、塩化スルフリル、tert−ブチルハイポク
ロリド、ピリジニウムブロミドパーブロミド、四臭化炭
素等が挙げられ、好ましくは塩素又は臭素で、特に好ま
しくは臭素である。
【0037】「アシルオキシ化剤」とは、カルボニル基
のアルファ位のハロゲン原子と置換してアシルオキシ化
するもので、例えば蟻酸ナトリウム若しくは蟻酸カリウ
ム等のホルミルオキシ化剤;酢酸ナトリウム、酢酸カリ
ウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム若しくは酢酸カ
ルシウム等のアセチルオキシ化剤;プロピオン酸ナトリ
ウム若しくはプロピオン酸カリウム等のプロピオニルオ
キシ化剤;酪酸ナトリウム若しくは酪酸カリウム等のブ
チロイルオキシ化剤;吉草酸ナトリウム若しくは吉草酸
カリウム等のバレリルオキシ化剤;ピバル酸ナトリウム
若しくはピバル酸カリウム等のピバロイルオキシ化剤;
クロロ酢酸ナトリウム若しくはクロロ酢酸カリウム等の
クロロアセチルオキシ化剤;トリクロロ酢酸ナトリウム
若しくはトリクロロ酢酸カリウム等のトリクロロアセチ
ルオキシ化剤;トリフルオロ酢酸ナトリウム若しくはト
リフルオロ酢酸カリウム等のトリフルオロアセチルオキ
シ化剤;安息香酸ナトリウム若しくは安息香酸カリウム
等のベンゾイルオキシ化剤が挙げられ、好ましくは酢酸
ナトリウム若しくは酢酸カリウム等のアセチルオキシ化
剤;ピバル酸ナトリウム若しくはピバル酸カリウム等の
ピバロイルオキシ化剤;安息香酸ナトリウム若しくは安
息香酸カリウム等のベンゾイルオキシ化剤であり、特に
好ましくは酢酸ナトリウム又は酢酸カリウムである。
【0038】本発明は、公知の製造方法に比べ、工程数
が短縮され、又従来のように酸化還元工程がほとんどな
いため収率も向上し、更に立体特異性を保持した優れた
反応である点に特徴があり、プロリルプロリン誘導体を
効率的に製造できる。
【0039】次に、本発明をフロー図を参考にして、詳
細に説明する。
【化18】
【0040】
【化19】
【0041】第1工程 この工程は、プロリンのN−末端側に
【化20】 を、又C−末端側にカルボキシル基が保護されたプロリ
ンを順次縮合する工程である。Aが酸素原子で表される
化合物を所望の場合は、プロリン(x)をクロロホルム、
ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキ
サン、水等あるいはこれらの混合溶媒に懸濁又は溶解
し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウ
ム若しくは炭酸水素カリウム等の無機塩基又はトリエチ
ルアミン若しくはN,N−ジイソプロピルエチルアミン
等の有機塩基の存在下で、A’が
【化21】 で表される一般式(xi)の化合物(R1、A及びnはそれ
ぞれ前記と同様の意味を表す。)と反応させる。AがN
H基で表される化合物を所望の場合は、プロリン(x)を
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、アセトン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタ
ン等あるいはこれらの混合溶媒に懸濁又は溶解し、A’
【化22】 で表される一般式(xi)の化合物、例えばベンジルイソシ
アナートと反応させる。この時、トリエチルアミン又は
N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の塩基を加えて
もよい。AがCH2基で表される化合物を所望の場合
は、プロリン(x)をN,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン等
或はこれらの混合溶媒に懸濁又は溶解し、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム若しくは炭酸水
素カリウム等の無機塩基又はトリエチルアミン若しくは
N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基の存
在下で、A’がハロゲン原子で表される一般式(xi)で表
される化合物と反応させる。続いてカルボキシル基が保
護されたプロリン(xii)(R5はカルボキシル保護基を表
す。)又はその塩、例えばL−プロリン ベンジルエス
テル又はL−プロリン メチルエステル等を加えて、ジ
シクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボ
ジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロ
ピル)カルボジイミド塩酸塩又はジフェニルホスホリル
アジド等の縮合剤の存在下に反応を行うことにより、一
般式(xiii)(R1、R5、A及びnはそれぞれ前記と同様
の意味を表す。)で表される化合物が得られる。この反
応では、縮合剤とともに1−ヒドロキシベンゾトリアゾ
ール、N−ヒドロキシコハク酸イミド又は4−ジメチル
アミノピリジン等の反応補助剤を加えることが好ましい
場合がある。
【0042】第2工程 この工程は、第1工程で得られた一般式(xiii)で表され
る化合物のカルボキシ保護基を、公知の手法に従って脱
保護する工程である。例えば、ここで用いられている保
護基R5がベンジル基、p−メトキシベンジル基又はp
−ニトロベンジル基等である場合、一般式(xiii)で表さ
れる化合物をメタノール、エタノール、n−プロパノー
ル、ジオキサン、酢酸、ジクロロメタン等あるいはこれ
らの混合溶媒中で、パラジウム炭素又は水酸化パラジウ
ム炭素等の触媒を用いて、水素気流中で接触還元を行う
ことにより、化合物〔II〕(R1、A及びnはそれぞれ
前記と同様の意味を表す。)が得られる。又、該保護基
R5が例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基等の
塩基性条件下で除去できる保護基である場合、メタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン、水等あるいはこれらの混合溶媒中、水
酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化
リチウム水溶液又は水酸化バリウム水溶液等の塩基を用
いることにより化合物〔II〕が得られる。あるいは、該
保護基R5が例えばtert−ブチル等の酸性条件下で
除去できる保護基である場合、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、ジオキサン、テトラヒドロフラ
ン、酢酸、水等あるいはこれらの混合溶媒中、塩酸、硫
酸若しくは臭化水素酸等の無機酸又はトリフルオロ酢酸
若しくはp−トルエンスルホン酸等の有機酸を用いるこ
とにより化合物〔II〕が得られる。
【0043】第3工程 この工程は第2工程で得られた化合物〔II〕のカルボキ
シル基に増炭反応を行う工程である。化合物(xv)をテト
ラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジエチルエーテ
ル等あるいはこれらの混合溶媒中で、カルボニルジイミ
ダゾール等のカルボン酸活性化剤を用いて、一般式(ii
i)
【化3】(式中、R3及びMはそれぞれ前記と同様の意
味を表す。)で示されるマロン酸モノエステルのアルカ
リ金属塩、例えばマロン酸モノエチルエステル カリウ
ム塩あるいは一般式(iii’)
【化4】(式中、R3及びM’はそれぞれ前記と同様の
意味を表す。)で示されるマロン酸モノエステルのアル
カリ土類金属塩、例えばマロン酸モノ−p−ニトロベン
ジルエステル マグネシウム塩と反応させることにより
一般式〔IV〕(R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と同
様の意味を表す。)で表される化合物が得られる。この
反応において、マロン酸モノエステルマグネシウム塩を
用いる時以外は、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩
を加えるとよい。
【0044】第4工程 この工程は、第3工程で得られた一般式〔IV〕で表され
る化合物のカルボキシル基のアルファ位に脱離基として
ハロゲン原子を導入する工程である。一般式〔IV〕で表
される化合物をジクロロメタン、クロロホルム、1,2
−ジクロロエタン、四塩化炭素、酢酸等あるいはこれら
の混合溶媒中で、酢酸アルカリ金属等を緩衝剤として用
い、臭素等のハロゲン化剤を加えることにより、一般式
〔V〕で表される化合物(Xはハロゲン原子を表し、R
1、R3、A及びnはそれぞれ前記と同様の意味を表
す。)が得られる。又、上記溶媒中で、過安息香酸又は
アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤ととも
にN−クロロコハク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミ
ド、N−ヨードコハク酸イミド又は四臭化炭素等のハロ
ゲン化剤を反応させてもよい。
【0045】第5工程 この工程は、第4工程で導入したハロゲン原子をアシル
オキシ基に置換する工程である。一般式〔V〕で表され
る化合物をアセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒ
ドロフラン、1,4−ジオキサン等あるいはこれらの混
合溶媒中で、アシルオキシ化剤としての酢酸ナトリウ
ム、酢酸カリウム若しくは酢酸セシウム等の酢酸アルカ
リ金属塩又は酢酸マグネシウム等の酢酸アルカリ土類金
属塩を反応させることにより、一般式〔VI〕(R4はア
シル基を表し、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と同
様の意味を表す。)で表される化合物が得られる。
【0046】第5’工程 第4工程と第5工程を同時に行う方法として、一般式
〔IV〕で表される化合物をアセトン、メチルエチルケト
ン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等ある
いはこれらの混合溶媒中、アシルオキシ化剤としての酢
酸ナトリウム、酢酸カリウム若しくは酢酸セシウム等の
酢酸アルカリ金属塩又は酢酸マグネシウム等の酢酸アル
カリ土類金属塩の存在下に、臭素等のハロゲン化剤を加
えて反応させることにより、一般式〔VI〕で表される化
合物を得ることもできる。
【0047】第6工程,第6’工程 この工程は、一般式〔VI〕で表される化合物のカルボキ
シル保護基を脱保護すると同時に脱炭酸を行って、目的
化合物である一般式〔VII〕(R1、R4、A及びnはそ
れぞれ前記と同様の意味を表す。)で表される化合物又
は一般式〔VIII〕(R1、A及びnはそれぞれ前記と同
様の意味を表す。)で表される化合物を得る工程であ
る。一般式〔VI〕で表される化合物のカルボキシル保護
基R3が、例えばベンジル基、p−メトキシベンジル基
又はp−ニトロベンジル基等である場合、第2工程で示
したこれらの保護基を除去するための方法を採用するこ
とにより、R3の脱離と同時に脱炭酸が行われて、目的
化合物〔VII〕が得られる(第6工程)。
【0048】一般式〔VI〕で表される化合物のカルボキ
シル保護基R3が、例えばメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基又はtert−ブチル基等の低級アルキル基で
ある場合、一般式〔VI〕で表される化合物をメタノー
ル、エタノール、テトラヒドロフラン、1、4ージオキ
サン、酢酸、水等あるいはこれらの混合溶媒中で、塩
酸、硫酸又は臭化水素酸等の無機酸又はトリフルオロ酢
酸若しくはp−トルエンスルホン酸等の有機酸を加える
ことにより、カルボキシル保護基の除去とともに脱炭酸
がおこりる。この時、同時に水酸基の保護基R4が脱離
し、最終目的化合物〔VIII〕が得られる(第6’工
程)。
【0049】第7工程 この工程は、一般式〔VII〕で表される化合物のアシル
基を除去し、最終目的化合物〔VIII〕を得る工程であ
る。化合物〔VII〕をメタノール、エタノール、テトラ
ヒドロフラン、1、4ージオキサン、酢酸、水等あるい
はこれらの混合溶媒中、塩酸、硫酸又は臭化水素酸等の
無機酸又はトリフルオロ酢酸若しくはp−トルエンスル
ホン酸等の有機酸を用いるか、又はメタノール、エタノ
ール、n−プロパノール、イソプロパノール等あるいは
これらの混合溶媒中、ナトリウムメトキシド、ナトリウ
ムエトキシド、カリウム−tert−ブトキシド等の塩
基を用いることにより、最終目的化合物〔VIII〕が得ら
れる。
【0050】以下に、本発明に係る化合物〔I〕及びそ
の製造方法を、実施例によって具体的に説明する。な
お、下記実施例は
【化20】がベンジルアミノ基の場合であるが、本発明
の本質がプロリンのC末端の反応に特徴を有することか
ら、プロリンのN末端がこれ以外の
【化20】であっても、同様に一般式〔VII〕で示され
る各種化合物が製造できることは、本明細書全体の記載
からして明らかであろう。
【0051】
【実施例】
実施例1(第1工程)
【化23】 ベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル−(S)
−プロリン ベンジルエステル L−プロリン(33.4g)のジメチルホルムアミド(400ml)懸
濁液に、氷冷下、攪拌しながらベンジルイソシアナート
(37ml)を40分かけて滴下した。氷冷下でさらに20分
攪拌した後、トリエチルアミン(40ml)を40分かけて滴
下し、氷冷下で20分、室温で60分攪拌した。この反
応混合物に氷冷下、L−プロリン ベンジルエステル塩
酸塩(70g)を加えて、10分間攪拌した後、1−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール(43.1g)、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
(61.1g)を順次加えて室温で一晩攪拌した。反応混合物
を10%クエン酸水溶液(400ml)に空け、ジクロロメタ
ン(200ml)で2回抽出した。有機層を合わせ、水(300ml)
と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(150ml)で洗浄し、硫
酸マグネシウムで乾燥した。乾燥剤を濾別し、減圧濃縮
して得られた残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解し、活性
炭(1.5g)を加えて1時間攪拌した。活性炭を濾別し、濃
縮して得られた残渣をトルエン(150ml)とヘキサン(150m
l)の混合溶媒から結晶化させることにより、表記化合物
(94.5g,75%)を無色結晶として得た。 融点 134〜137℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.80-2.30(8H,m),
3.30(1H,m), 3.49(1H,m), 3.59(1H,m), 3.83(1H,m), 4.
32(1H,d,J=14.0Hz), 4.47(1H,d,J=14.0Hz), 4.55-4.72
(3H,m), 5.05(1H,d,J=12.0Hz), 5.19(1H,d,J=12.0Hz),
7,20-7.40(10H,m) IR(cm-1, KBr) 3330, 2972, 1744, 1630, 1540, 1430,
1388, 1351, 1172, 699 FAB(+) MS(低分解能) 436, 303, 231, 154, 136, 91, 7
0 〔α〕20 D -88.7°(c 0.99, CHCl3)
【0052】実施例2(第1工程)
【化24】 ベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル−(S)
−プロリン メチルエステル 実施例1と同様の方法により、L−プロリン(34.5g)及
びL−プロリン メチルエステル塩酸塩(54.7g)より、
表記化合物(79.9g,74%)を無色結晶として得た。但し、
ジメチルホルムアミドの代わりに1,2−ジクロロエタ
ン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩の代わりにジシクロヘキシルカル
ボジイミドを用い、結晶化溶媒としてイソプロピルエー
テルを用いた。 融点 153〜157℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.80-2.30(8H,m),
3.32(1H,m), 3.49(1H,m), 3.62(1H,m), 3.70(3H,s), 3.
83(1H,m), 4.35(1H,dd,J=3.5 and 15.0Hz), 4.48(1H,d
d,J=3.5 and 15.0Hz), 4.58(1H,dd,J=3.9 and 8.1Hz),
4.58(1H,broad d,J=3.5Hz), 4.70(1H,dd,J=2.7 and 7.7
Hz), 7.20-7.35(5H,m) IR(cm-1, KBr) 3333, 2954, 1749, 1659, 1629, 1540,
1432, 1389, 1333, 1199, 1177, 698 FAB(+) MS(低分解能) 360, 231, 203, 91, 70 〔α〕20 D -79.1°(c 0.98, CHCl3)
【0053】実施例3(第2工程)
【化25】 ベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル−(S)
−プロリン 実施例1で得られたベンジルアミノカルボニル−(S)
−プロリル−(S)−プロリン ベンジルエステル(77.
2g)をエタノール(270ml)に溶解し、10%パラジウム炭
素(3.8g)の水(115ml)懸濁液を加え、水素雰囲気下、室
温で5時間攪拌した。反応混合物をセライトを用いて濾
過し、濾液を濃縮して得られた残渣をジクロロメタン(2
00ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウム水溶液(16.5g/400m
l)を加えて室温で15分攪拌した。水層を分離し、濃塩
酸で強酸性とし、ジクロロメタン(200ml)で抽出した。
硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を濾別後、減圧濃縮
することにより、表記化合物(62.6g,91%)を無色無定形
固体として得た。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.80-2.40(8H,m),
3.32(1H,m), 3.45-3.62(2H,m), 3.82(1H,m), 4.32(1H,
d,J=13.9Hz), 4.48(1H,d,J=13.9Hz), 4.59-4.72(2H,m),
4.83(1H,broad s), 7.10-7.35(5H,m) IR(cm-1, KBr) 3384, 2973, 2877, 1735, 1637, 1543,
1452, 1395, 1352, 1189, 700 FAB(+) MS(低分解能) 346, 231, 203, 91, 70 〔α〕20 D -95.3°(c 1.06, CHCl3)
【0054】実施例4(第2工程)
【化26】 ベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル−(S)
−プロリン 実施例2で得られたベンジルアミノカルボニル−(S)
−プロリル−(S)−プロリン メチルエステル(10g)
をメタノール(50ml)に溶解し、氷冷下で5N水酸化ナト
リウム(8.34ml)を加え、室温で2時間攪拌した。反応溶
液に5N塩酸を加えてpHを約3としてから、外温40
℃で減圧濃縮した。残渣に水(50ml)とジクロロメタン(3
0ml)を加えてから、塩化ナトリウムを加えて水層を飽和
し、有機層を分離した。さらにジクロロメタン(30ml)で
抽出し、有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し
た。乾燥剤を濾別後、減圧濃縮することにより、表記化
合物(29.5g,99%)を無色無定形固体として得た。得られ
た化合物の各種スペクトルは前記実施例3と完全に一致
した。
【0055】実施例5(第3工程)
【化27】 (S)−2−[[(S)−2−(エトキシカルボニルア
セチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フ
ェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例3又は実施例4で得られたベンジルアミノカルボ
ニル−(S)−プロリル−(S)−プロリン(58.4g)を
テトラヒドロフラン(300ml)に溶解し、窒素雰囲気下、
カルボニルジイミダゾール(27.4g)を加えて4時間攪拌
した。その後、塩化マグネシウム(16.9g)とマロン酸モ
ノエチルエステル カリウム塩(57.5g)を順次加えて室
温で一晩攪拌した。反応混合物を減圧濃縮して得られた
残渣にジクロロメタン(300ml)と2N塩酸(400ml)を加え
て有機層を分離した。有機層を水(200ml)と飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液(300ml)で順次洗浄後、硫酸ナトリ
ウムを用いて乾燥した。乾燥剤を濾別し、減圧濃縮して
得られた固体を粉砕し、イソプロピルエーテルで洗浄、
減圧乾燥することにより、表記化合物(54.4g,78%)を無
色結晶として得た。 融点 135〜137℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.27(3H,t,J=7.2H
z), 1.85-2.25(8H,m), 3.32(1H,m), 3.43-3.63(2H,m),
3.50(1H,d,J=15.8Hz), 3.69(1H,d,J=15.8Hz), 3.90(1H,
m), 4.18(2H,q,J=7.2Hz), 4.33(1H,broad dd,J=2.3 and
15.0Hz), 4.50(1H,broad dd,J=2.3 and 15.0Hz) 4.60-
4.73(3H,m), 7.20-7.40(5H,m) IR(cm-1, CHCl3) 3321, 2972, 1740, 1720, 1630, 154
1, 1430, 1390, 1335,1269, 1029, 699 FAB(+) MS(低分解能) 416, 309, 231, 203, 70 〔α〕20 D -110.4°(c 1.07, CHCl3) 元素分析 C22H29N3O5: 計算値 C,63.60; H,7.04; N10.
11, 測定値 C,63.47;H,7.12; N,10.18
【0056】実施例6(第3工程)
【化28】 (S)−2−[[(S)−2−[2−(4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル)アセチル]−1−ピロリジニ
ル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロ
リジンカルボキサミド 実施例5と同様の方法により、実施例3又は実施例4で
得られたベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル
−(S)−プロリン(3.56g)より、表記化合物(3.32g,64
%)を淡黄色結晶として得た。但し、塩化マグネシウムと
マロン酸モノエチルエステル カリウム塩の代わりにマ
ロン酸モノ−p−ニトロベンジルエステル マグネシウ
ム塩を用い、結晶化溶媒としてトルエンを用いた。 融点 125〜127℃(分解)1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.87-2.22(8H,m),
3.32(1H,m), 3.48(1H,m), 3.58(1H,dt,J=6.4 and 10.6H
z), 3.67(1H,d,J=15.8Hz), 3.76(1H,d,J=15.8Hz), 3.90
(1H,dt,J=7.3 and 9.5Hz), 4.32(1H,dd,J=5.0 and 14.5
Hz), 4.51(1H,dd,J=6.2 and 14.5Hz), 4.63-4.72(3H,
m), 5.24(1H,d,J=13.4Hz) 5.27(1H,d,J=13.4Hz), 7.22-
7.34(5H,m), 7.53(2H,diffused d,J=8.9Hz), 8.21(2H,d
iffused d,J=8.9Hz) IR(cm-1, KBr) 3315, 2968, 1747, 1726, 1630, 1521,
1433, 1390, 1349〔α〕25 D -92.0°(c 0.94, CHCl3) 元素分析 C27H30N4O7: 計算値 C,62.06; H,5.79; N10.
72, 測定値 C,61.88;H,5.77; N,10.50
【0057】実施例7(第3工程)
【化29】 (S)−2−[[(S)−2−(ベンジルオキシカルボ
ニルアセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N
−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例5と同様の方法により、実施例3又は実施例4で
得られたベンジルアミノカルボニル−(S)−プロリル
−(S)−プロリン(23.5g)より、表記化合物(27.7g,85
%)を無色結晶として得た。但し、マロン酸モノエチルエ
ステル カリウム塩の代わりにマロン酸モノベンジルエ
ステル カリウム塩を用い、反応を40乃至45℃に加
熱して行った。 融点 129〜130℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.82-2.27(8H,m),
3.30(1H,broad q,J=7.5Hz), 3.45-3.60(2H,m), 3.57(2
H,d,J=16.1Hz), 3.75(1H,d,J=15.8Hz), 3.87(1H,dt,J=
6.6 and 9.5Hz), 4.31(1H,broad d,J=14.3Hz), 4.51(1
H,broad d,J=14.3Hz), 4.65-4.69(3H,m) 5.16(2H,s),
7.24-7.36(10H,m) IR(cm-1, KBr) 3480, 3320, 2968, 1740, 1719, 1654,
1629, 1541, 1429, 1390, 1335, 1270, 698 〔α〕25 D -99.3°(c 1.01, CHCl3) 元素分析 C27H31N3O5: 計算値 C,67.91; H,6.54; N8.8
0, 測定値 C,67.81; H,6.58; N,8.78
【0058】実施例8(第4工程)
【化30】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ブ
ロモ−2−(エトキシカルボニル)アセチル]−1−ピ
ロリジニル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−
1−ピロリジンカルボキサミド 実施例5で得られた(S)−2−[[(S)−2−(エ
トキシカルボニルアセチル)−1−ピロリジニル]カル
ボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカ
ルボキサミド(1.25g)をジクロロメタン(11ml)に溶解
し、酢酸(1ml)を加えた。この混合物に、氷冷下、臭素
のジクロロメタン溶液(3mol/l,1ml)を滴下し、同温で
2.5時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮して得られ
た残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)を加え、
酢酸エチル(50ml)で2回抽出した。有機層を合わせ、硫
酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣を
高速液体クロマトグラフィーで精製することにより、表
記化合物のジアステレオマー混合物(6:4)を淡黄色
無定形固体として得た(1.2g,81%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.29(0.4×3H,t,J=
6.9Hz), 1.31(0.6×3H,t,J=6.9Hz), 1.85-2.30(8H,m),
3.30(1H,q,J=7.9Hz), 3.49(1H,m), 3.58(1H,m),3.92(1
H,m), 4.20-4.34(3H,m), 4.49(0.6H,dd,J=3.0 and 6.3H
z), 4.54(0.4H,dd,J=3.1 and 6.7Hz), 4.67(2H,m), 4.8
2(0.4H,m), 4.89(0.6H,m), 5.30(0.6H,s), 5.42(0.4H,
s), 7.23-7.35(5H,m) IR(cm-1, CHCl3) 3341, 2978, 1728, 1636, 1540, 145
1, 1389, 1330, 1025,701 FAB(+) MS(高分解能) 測定値496.1265, 494.1285, 計算
値496.1270, 494.1290 〔α〕20 D -130.6°(c 1.05, CHCl3)
【0059】実施例9(第4工程)
【化31】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ブ
ロモ−2−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ア
セチル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フ
ェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例8と同様の方法により、実施例6で得られた
(S)−2−[[(S)−2−[2−(4−ニトロベン
ジルオキシカルボニル)アセチル]−1−ピロリジニ
ル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロ
リジンカルボキサミド(522mg)より、表記化合物のジア
ステレオマー混合物(6:4)を淡黄色無定形固体とし
て得た(380mg,63%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.83-2.20(8H,m),
3.30(1H,m), 3.43(1H,m), 3.58(1H,m), 3.93(1H,m), 4.
26-4.36(1H,m), 4.48(0.6H,dd,J=5.3 and 11.0Hz), 4.5
3(0.4H,dd,J=5.9 and 10.6Hz), 4.63(2H,m), 4.85(1H,
m), 5.26(0.6H,d,J=13.5Hz), 5.30(0.4H,d,J=12.5Hz),
5.34(0.4H,d,J=12.5Hz), 5.38(0.4H,s), 5.46(0.6H,d,J
=13.5Hz), 5.49(0.6H,s), 7.22-7.33(5H,m), 7.54(2H,d
iffused d,J=9.1Hz), 8.19(0.6×2H,diffused d,J=9.1H
z), 8.23(0.4×2H,diffused d,J=9.1Hz) IR(cm-1, CHCl3) 3433, 2974, 1734, 1637, 1522, 134
2, 739 FAB(+) MS(高分解能) 測定値603.1297, 601.1302, 計算
値603.1277, 601.1298 〔α〕20 D -106.7°(c 0.94, CHCl3)
【0060】実施例10(第4工程)
【化32】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ブ
ロモ−2−(ベンジルオキシカルボニル)アセチル]−
1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フェニルメチ
ル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例8と同様の方法により、実施例7で得られた
(S)−2−[[(S)−2−(ベンジルオキシカルボ
ニルアセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N
−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド
(3.91g)より、表記化合物のジアステレオマー混合物
(1:1)を得た(4.64g,未精製)。但し、緩衝剤として
酢酸ナトリウム(1.1g)を加えた。得られた化合物の一部
(1g)を高速液体クロマトグラフィーで精製することによ
り、純粋な表記化合物のジアステレオマー混合物(1:
1)を無色無定形固体として得た(911mg,93%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.82-2.28(8H,m),
3.28(1H,m), 3.41-3.60(2H,m), 3.90(1H,m), 4.30(1H,
m), 4.50(1H,m), 4.61-4.65(2H,m), 4.78(0.5H,broad
t,J=5.6Hz), 4.87(0.5H,dd,J=5.5 and 7.7Hz), 5.18(0.
5H,d,J=12.4Hz), 5.23(1H,s) 5.29(0.5H,d,J=12.4Hz)
5.38(0.5H,s), 5.43(0.5H,s), 7.26-7.36(10H,m) IR(cm-1, CHCl3) 3332, 2972, 1730, 1726, 1633, 153
7, 1453, 1384, 1329,1211, 747, 699 FAB(+) MS(高分解能) 測定値558.1478, 556.1442, 計算
値558.1426, 556.1447 〔α〕20 D -123.7°(c 1.08, CHCl3)
【0061】実施例11(第5工程)
【化33】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ア
セトキシ−2−(エトキシカルボニル)アセチル]−1
−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フェニルメチ
ル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例8で得られた(S)−2−[[(S)−2−
[(2R,S)−2−ブロモ−2−(エトキシカルボニ
ル)アセチル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N
−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド
(367mg)をアセトン(5ml)に溶解し、酢酸カリウム(250m
g)を加えて室温で3.5時間攪拌した。反応混合物を減
圧濃縮し、得られた残渣に水を加えて酢酸エチル(25ml)
で2回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで
乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣を高速液体クロマ
トグラフィーで精製することにより、表記化合物のジア
ステレオマー混合物(6:4)を無色無定形固体として
得た(299mg,85%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.30(0.4×3H,t,J=
6.9Hz), 1.31(0.6×3H,t,J=6.9Hz), 1.76-2.25(8H,m),
2.21(0.4×3H,s), 2.22(0.6×3H,s), 3.30(1H,q,J=6.6H
z), 3.47(1H,m), 3.59(1H,m), 3.88(1H,m), 4.24-4.38
(3H,m), 4.47(0.6H,t,J=6.7Hz), 4.52(0.4H,t,J=6.9H
z), 4.60-4.69(2H,m), 5.02-5.10(1H,m), 5.67(0.6H,
s), 5.86(0.4H,s), 7.23-7.35(5H,m) IR(cm-1, CHCl3) 3342, 2979, 1752, 1638, 1535, 143
8, 1375, 1210, 1094,702 FAB(+) MS(高分解能) 測定値474.2244, 計算値474.2240 〔α〕20 D -70.3°(c 1.00, CHCl3)
【0062】実施例12(第5工程)
【化34】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ア
セトキシ−2−(4−ニトロベンジルオキシカルボニ
ル)アセチル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N
−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例11と同様の方法により、実施例9で得られた
(S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ブ
ロモ−2−(4−ニトロベンジルオキシカルボニル)ア
セチル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フ
ェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド(276m
g)より、表記化合物のジアステレオマー混合物(6:
4)を無色無定形固体として得た(158mg,59%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.82-2.23(8H,m),
2.22(3H,s), 3.30(1H,m), 3.46(1H,m), 3.60(1H,m), 3.
90(1H,m), 4.29-4.37(1H,m), 4.44-4.52(1H,m),4.59(1
H,m), 4.67(1H,m), 5.00(1H,dd,J=5.6 and 9.4Hz), 5.2
7-5.40(2H,m), 5.77(0.6H,s), 5.79(0.4H,s), 7.21-7.3
3(1H,m), 7.52(0.4×2H,diffused d,J=8.8Hz), 7.55(0.
6×2H,diffused d,J=8.8Hz), 8.19(0.6×2H,diffused
d,J=8.8Hz), 8.20(0.4×2H,diffused d,J=8.8Hz) IR(cm-1, CHCl3) 3432, 2954, 1752, 1637, 1523, 134
8, 1212 FAB(+) MS(高分解能) 測定値581.2252, 計算値581.2247 〔α〕20 D -44.3°(c 1.00, CHCl3)
【0063】実施例13(第5工程)
【化35】 (S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ア
セトキシ−2−(ベンジルオキシカルボニル)アセチ
ル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フェニ
ルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例11と同様の方法により、実施例10で得られた
(S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ブ
ロモ−2−(ベンジルオキシカルボニル)アセチル]−
1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フェニルメチ
ル)−1−ピロリジンカルボキサミド(3.27g)より、表
記化合物のジアステレオマー混合物(6:4)を得た
(3.51g,未精製)。得られた化合物の一部(927mg)を高速
液体クロマトグラフィーで精製することにより、純粋な
表記化合物のジアステレオマー混合物(6:4)を無色
無定形固体として得た(607mg,73%)。1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.70-2.20(8H,m),
2.20(0.4×3H,s), 2.21(0.6×3H,s), 3.29(1H,m), 3.47
(1H,m), 3.57(1H,m), 3.85(1H,m), 4.33(1H,broad d,J=
14.7Hz), 4.49(1H,broad d,J=14.3Hz), 4.61(1H,broad
s), 4.66(1H,m),4.96(0.4H,dd,J=5.8 and 8.0Hz), 5.06
(0.6H,dd,J=4.4 and 8.4Hz), 5.20(0.4H,d,J=12.1Hz),
5.22(0.6H,d,J=11.0Hz), 5.27(1H,d,J=11.4Hz), 5.72
(0.6H,s),5.90(0.4H,s), 7.23-7.38(10H,m) IR(cm-1, CHCl3) 3334, 2954, 1751, 1637, 1534, 145
3, 1381, 1213, 751 FAB(+) MS(高分解能) 測定値536.2421, 計算値536.2397 〔α〕20 D -60.5°(c 0.87, CHCl3)
【0064】実施例14(第5’工程)
【化36】(S)−2−[[(S)−2−[(2R,
S)−2−アセトキシ−2−(ベンジルオキシカルボニ
ル)アセチル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N
−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例7で得られた(S)−2−[[(S)−2−[ベ
ンジルオキシカルボニルアセチル]−1−ピロリジニ
ル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロ
リジンカルボキサミド(522mg)をアセトン(5ml)に溶解
し、酢酸カリウム(536mg)を加えた。この混合物に、臭
素(59μl)を滴下し、同温で3時間攪拌した。反応混合
物に酢酸エチル(10ml)を加え、不溶物を濾別した後、濾
液を減圧濃縮して得られた残渣を酢酸エチル(20ml)に溶
解し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:
メタノール=40:1)で精製することにより、表記化
合物のジアステレオマー混合物(6:4)を無色無定形
固体として得た(473mg,81%)。得られた化合物の各種ス
ペクトルデータは前記実施例13と完全に一致した。
【0065】実施例15(第6工程)
【化37】(S)−2−[[(S)−2−(アセトキシ
アセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−
(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例12で得られた(S)−2−[[(S)−2−
[(2R,S)−2−アセトキシ−2−(4−ニトロベ
ンジルオキシカルボニル)アセチル]−1−ピロリジニ
ル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロ
リジンカルボキサミド(92mg)をメタノール(3ml)に溶解
し、10%パラジウム炭素(10mg)を加えて水素雰囲気
下、8時間攪拌した。触媒を濾別し、濾液を濃縮して得
られた残渣を薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:
メタノール=10:1)で精製することにより、表記化
合物(52.1mg,82%)を無色結晶として得た。 融点 151〜152℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.92-2.24(8H,m),
2.14(3H,s), 3.32(1H,m), 3.49(1H,dt,J=4.5 and 7.1H
z), 3.60(1H,dt,J=7.4 and 10.1Hz), 3.87(1H,dt,J=7.8
and 10.0Hz), 4.32(1H,dd,J=5.3 and 14.1Hz), 4.52(1
H,dd,J=6.1 and 14.1Hz), 4.64-4.71(3H,m) 4.74(1H,d,
J=16.5Hz), 4.88(1H,d,J=16.5Hz), 7.22-7.35(5H,m) FAB(+) MS(低分解能) 402, 231, 203, 91, 70 〔α〕20 D -152.9°(c 1.00, MeOH)
【0066】実施例16(第6工程)
【化38】(S)−2−[[(S)−2−(アセトキシ
アセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−
(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例7で得られた(S)−2−[[(S)−2−(ベ
ンジルオキシカルボニルアセチル)−1−ピロリジニ
ル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロ
リジンカルボキサミド(19.1g)から実施例10及び実施
例13又は実施例14の方法により得られた未精製の
(S)−2−[[(S)−2−[(2R,S)−2−ア
セトキシ−2−(ベンジルオキシカルボニル)アセチ
ル]−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−(フェニ
ルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミドより、実施
例15と同様の方法により、表記化合物(6.94g,三段階
通し収率43%)を淡黄色結晶として得た。但し、精製は酢
酸エチルからの再結晶を行った。得られた化合物の各種
スペクトルデータは前記実施例15と完全に一致した。
【0067】実施例17(第6’工程)
【化39】(S)−2−[[(S)−2−(ヒドロキシ
アセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−
(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例5で得られた(S)−2−[[(S)−2−(エ
トキシカルボニルアセチル)−1−ピロリジニル]カル
ボニル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカ
ルボキサミド(35.8g)から実施例8及び実施例11の方
法により得られた未精製の(S)−2−[[(S)−2
−[(2R,S)−2−アセトキシ−2−(エトキシカ
ルボニル)アセチル]−1−ピロリジニル]カルボニ
ル]−N−(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボ
キサミドを酢酸(216ml)に溶解し、水(216ml)と濃塩酸(8
6ml)を加えてアルゴン雰囲気下40℃で20時間攪拌し
た。反応混合物をジイソプロピルエーテル(200ml)で2
回洗浄し、減圧濃縮して得られた残渣にジクロロメタン
(250ml)と飽和塩化ナトリウム水溶液(250ml)を加えて、
激しく攪拌しながら炭酸水素ナトリウム(固体)を加え
ることにより中和した。析出した無機塩を濾別した後、
有機層を分離し、水層をさらにジクロロメタン(150ml)
で2回抽出した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで
乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をテトラヒドロフラ
ン(70ml)から再結晶することにより、表記化合物(7.96
g,26%)を褐色の結晶として得た。得られた化合物はメタ
ノール中の活性炭処理とテトラヒドロフランからの再結
晶を繰り返すことにより無色結晶(3.67g)となった。 融点 139〜140℃1 H NMR(300MHz, δppm, in CDCl3) 1.80-2.26(8H,m),
3.33(1H,q,J=7.3Hz), 3.48(1H,dt,J=7.7 and 4.4Hz),
3.61(1H,dt,J=9.5 and 6.6Hz), 3.92(1H,dt,J=9.5 and
7.0Hz), 4.32(1H,d,J=19.1Hz), 4.33(1H,diffused d,J=
15.0Hz), 4.44(1H,d,J=19.1Hz) 4.50(1H,diffused d,J=
15.0Hz), 4.64-4.73(3H,m), 7.24-7.34(5H,m) FAB(+) MS(低分解能) 359, 328, 301, 231, 203, 91 〔α〕20 D -126.5°(c 1.00, MeOH)
【0068】実施例18(第7工程)
【化40】(S)−2−[[(S)−2−(ヒドロキシ
アセチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−N−
(フェニルメチル)−1−ピロリジンカルボキサミド 実施例15又は実施例16で得られた(S)−2−
[[(S)−2−(アセトキシアセチル)−1−ピロリ
ジニル]カルボニル]−N−(フェニルメチル)−1−
ピロリジンカルボキサミド(3g)をメタノール(30ml)に溶
解し、濃塩酸(0.75ml)を加えて室温で36時間攪拌し
た。減圧濃縮して得られた残渣をジクロロメタン(50ml)
に溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液(30ml)と飽和塩化
ナトリウム水溶液−飽和炭酸水素ナトリウム水溶液の混
合溶液(30ml-5ml)で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネ
シウムで乾燥し、減圧濃縮して得られた残渣をメタノー
ル(30ml)に溶解し、活性炭(3g)を加えて室温で30分間
攪拌した。活性炭を濾別し、減圧濃縮して得られた残渣
をテトラヒドロフラン(15ml)から再結晶することによ
り、表記化合物(1.81g,67%)を無色結晶として得た。得
られた化合物の各種スペクトルデータは前記実施例17
と完全に一致した。
【発明の効果】
【0069】本発明によれば、従来法に比べて工程数も
少なく、又酸化、還元等の工程を含まないことから、化
合物〔XI〕を始めとする一般式〔VII〕、〔VIII〕で示
されるプロリルプロリン化合物を極めて効率的に、且つ
立体特異性を維持しつつ合成でき、しかも上記のごとき
一般式〔I〕で示される中間体化合物はこれら一般式
〔VII〕、〔VIII〕で示される化合物を製造するのに有
用であるばかりでなく、それ自体プロリルエンドペプチ
ダーゼ阻害活性を有するものであり、抗健忘症薬、抗痴
呆薬、抗アルツハイマー治療薬としての使用が期待され
る。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔I〕 【化1】 (式中、R1は置換されてもよいアリール基又は置換さ
    れてもよいヘテロアリール基を表し;R2は水素原子、
    ハロゲン原子又はアシルオキシ基を表し;R3はカルボ
    キシル保護基を表し;Aは酸素原子、NH基又はCH2
    基を表し;nは1乃至3の整数を表す。)で示されるプ
    ロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
  2. 【請求項2】R2が水素原子である請求項1記載のプロ
    リルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
  3. 【請求項3】R2がハロゲン原子である請求項1記載の
    プロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
  4. 【請求項4】R2がアシルオキシ基である請求項1記載
    のプロリルプロリル酢酸誘導体又はその塩。
  5. 【請求項5】R1がフェニル基、AがNH基、nが1で
    ある請求項2記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はそ
    の塩。
  6. 【請求項6】R1がフェニル基、AがNH基、nが1で
    ある請求項3記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はそ
    の塩。
  7. 【請求項7】R1がフェニル基、AがNH基、nが1で
    ある請求項4記載のプロリルプロリル酢酸誘導体又はそ
    の塩。
  8. 【請求項8】一般式〔II〕 【化2】 (式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様の意味を
    表す。)で示される化合物をカルボニルジイミダゾール
    と反応させ、次いで一般式(iii) 【化3】 (式中、R3は前記と同様の意味を表し、Mはアルカリ
    金属を表す。)又は一般式(iii’) 【化4】 (式中、R3は前記と同様の意味を表し、M’はアルカ
    リ土類金属を表す。)で示されるマロン酸モノエステル
    塩とを反応させることを特徴とする、一般式〔IV〕 【化5】 (式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と同様の意
    味を表す。)で示されるプロリルプロリル酢酸エステル
    の製造方法。
  9. 【請求項9】一般式〔IV〕 【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
    同様の意味を表す。)で示される化合物をハロゲン化剤
    と反応させることを特徴とする、一般式〔V〕 【化6】 (式中、Xはハロゲン原子を表し、R1、R3、A及びn
    はそれぞれ前記と同様の意味を表す。)で示されるプロ
    リルプロリルハロゲン化酢酸エステルの製造方法。
  10. 【請求項10】一般式〔V〕 【化6】(式中、R1、R3、A、X及びnはそれぞれ前
    記と同様の意味を表す。)で示される化合物をアシルオ
    キシ化剤と反応させることを特徴とする、一般式〔VI〕 【化7】 (式中、R4はアシル基を表し、R1、R3、A及びnは
    それぞれ前記と同様の意味を表す。)で示されるプロリ
    ルプロリル(アシルオキシ)酢酸エステルの製造方法。
  11. 【請求項11】一般式〔IV〕 【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
    同様の意味を表す。)で示される化合物を不活性有機溶
    媒中、アシルオキシ化剤の存在下に、ハロゲン化剤で処
    理することを特徴とする、一般式〔VI〕 【化7】(式中、R1、R3、R4、A及びnはそれぞれ
    前記と同様の意味を表す。)で示されるプロリルプロリ
    ル(アシルオキシ)酢酸エステルの製造方法。
  12. 【請求項12】一般式〔VI〕 【化7】(式中、R1、R3、R4、A及びnはそれぞれ
    前記と同様の意味を表す。)で示される化合物を脱保護
    と同時に脱炭酸させることを特徴とする一般式〔VII〕 【化8】 (式中、R1、R4、A及びnはそれぞれ前記と同様の意
    味を表す。)又は一般式〔VIII〕 【化9】 (式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様の意味を
    表す。)で示されるプロリルプロリン誘導体の製造方
    法。
  13. 【請求項13】一般式〔IV〕 【化5】(式中、R1、R3、A及びnはそれぞれ前記と
    同様の意味を表す。)で示される化合物をハロゲン化剤
    と反応させ、更にアシルオキシ化剤と反応させた後、脱
    保護と同時に脱炭酸処理することを特徴とする一般式
    〔VII〕 【化8】(式中、R1、R4、A及びnはそれぞれ前記と
    同様の意味を表す。)又は一般式〔VIII〕 【化9】(式中、R1、A及びnはそれぞれ前記と同様
    の意味を表す。)で示されるプロリルプロリン誘導体の
    製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998035960A1 (en) * 1997-02-14 1998-08-20 Chinoin Gyógyszer és Vegyészeti Termékek Gyára Rt. Prolylendopeptidase inhibitors
US6121311A (en) * 1999-04-28 2000-09-19 Japan Tobacco Inc. Method for treating cocainism
WO2016135866A1 (ja) 2015-02-24 2016-09-01 三菱電機株式会社 空気調和機

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