JP2000007331A - セリウムの回収方法 - Google Patents

セリウムの回収方法

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JP2000007331A
JP2000007331A JP10170909A JP17090998A JP2000007331A JP 2000007331 A JP2000007331 A JP 2000007331A JP 10170909 A JP10170909 A JP 10170909A JP 17090998 A JP17090998 A JP 17090998A JP 2000007331 A JP2000007331 A JP 2000007331A
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chromium
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hydrogen peroxide
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Hiroshi Furuichi
弘 古市
Tsutomu Kiyohara
力 清原
Ichiro Fukuoka
一郎 福岡
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クロムエッチングに使用された硝酸アンモニ
ウムセリウム(IV)を含むクロムエッチング廃液から溶
解したクロムを除去し、セリウムを経済的に回収する方
法を提供する。 【解決手段】 クロム薄膜のエッチング液に使用された
クロムエッチング廃液、即ち、セリウムとクロムを含む
溶液からセリウムを回収するにあたり、該溶液に抽剤及
び過酸化水素を供給することにより含まれる4価セリウ
ムを還元して3価セリウムとし、クロムを油相側に移動
させ、油水分離を行いクロムを分離除去してセリウムを
回収する方法、及び、これらの方法により回収したセリ
ウムを用いたエッチング液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクロムエッチング等
に使用されたクロムエッチング溶液からのセリウムの回
収方法に関し、より詳細には硝酸アンモニウムセリウム
(IV)と酸とにより構成されるクロムエッチング液の溶
液で、セリウムとクロムを含む溶液からのセリウムの回
収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体や液晶ディスプレイ製造時には金
属薄膜のエッチングが必要となる。中でもクロムエッチ
ングにはセリウムの化合物が用いられる為、使用された
後の廃液には4価のセリウムと6価のクロムが溶解して
いる。共に強酸化性の物質で有害であるため廃液中から
これらの物質を除去する必要がある。その処理には従来
より、特開昭52−68860号公報のようにクロム,
セリウムを含有する硝酸アンモニウムセリウム(IV)廃
液に亜硫酸水素ナトリウムを加え、クロムを還元し、次
いで水酸化カルシウムを加え、該廃液中のクロムをセリ
ウム水酸化物と共沈させて除去する方法が広く行われた
きた。また特開平9−85264号公報のように4価セ
リウム及び6価クロムを還元した後、吸着剤に吸着させ
除去する方法も考案されている。しかし、いずれにせ
よ、これらの方法では高価なセリウムを大量に廃棄して
しまうことになる。
【0003】またセリウムの精製方法として特開昭62
−191422号公報のように3価のセリウムを酸化剤
で4価にし、4価セリウムと他の物質との性質の違いに
より分離精製する方法が提案されているが、この方法で
はクロムエッチング廃液のように不純物としてクロムが
混入しているものに対してはセリウムとクロムが共沈し
てしまう為、セリウムからクロムを分離除去することが
できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記の様
に、セリウムとクロムを含有する廃液の処理時に、高価
なセリウムを大量に廃棄しなくてはならないような現状
の廃液処理方法の改良方法であって、高価なセリウムを
回収でき、廃棄物を減らし環境に対して負荷の小さい、
セリウム及びクロム含有廃液の処理方法を提供すること
を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、少なくともセ
リウムとクロムを含有する溶液に抽剤及び反応時に酸素
を発生する還元剤を供給することにより、含まれる4価
セリウムを還元して3価セリウムとし、その時発生する
酸素と6価クロムとで錯体を形成させることによりクロ
ムを水相側から油相側に選択的に抽出し、次いで油水分
離を行いクロムを分離除去するセリウムの回収方法を見
いだした。クロムの酸素付加錯体の色は青色をしてお
り、油相側に抽出されると油相の色が青に変わり抽出さ
れていることが容易に観察できる。
【0006】即ち、本発明の要旨は、セリウム及びクロ
ムを含有する溶液を有機溶媒からなる抽剤の存在下、過
酸化水素と混合することにより、溶液中の4価セリウム
を3価セリウムに還元するとともに、クロムを油相側に
抽出し、セリウムを含有する水相を回収することを特徴
とするセリウムの回収方法に存する。
【0007】なお、上記で回収されたセリウムを硝酸ア
ンモニウムとして回収すること、及び、上記方法で回収
されたセリウムを使用したクロムエッチング液も本発明
の要旨として含まれる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるセリウム及び
クロムを含有する溶液とは、少なくともセリウム及びク
ロムを含有すればいずれの溶液も用いることができる
が、特に本発明においては、半導体や液晶ディスプレイ
製造時の金属薄膜のエッチング、主としてクロムのエッ
チングに使用された、硝酸アンモニウムセリウム(IV)
を含むクロムエッチング廃液が好適に用いられる。これ
らの溶液は通常、pH1以下の水溶液である。
【0009】本発明で使用される抽剤としては有機溶媒
からなり、3価のセリウムに対してクロムの抽出能の高
いものを選定する必要があり、例えば、脂肪族エステル
系のものが好ましく、特に酢酸エチルが良好である。本
発明において使用される還元剤は、特開昭52−688
60号公報で使用されているような亜硫酸水素ナトリウ
ムなどでは酸素発生が無く、クロムを抽出することはで
きない。そこで本発明者らは系を汚染しない、もしくは
回収セリウムに影響を与えない還元剤であり、更に還元
時に酸素発生を伴う還元剤を検討した。その結果、驚い
たことに特開昭62−191422号公報のようにセリ
ウムの製造方法では一般的に3価セリウムの酸化剤とし
て使用されている過酸化水素がpHが低い範囲ではセリ
ウムの還元剤として使用可能であり、還元時に酸素発生
があることがわかった。反応速度の面から言えば、この
反応は好ましくはpH0.6以下の範囲で、更に好まし
くはpH0以下で行うと良い。更に過酸化水素を用いる
とpHが低い範囲では6価クロムに対しても還元剤とし
て働く。6価クロムを還元できる範囲はセリウムの場合
より更に低いが、好ましくはpH0.5以下、更に好ま
しくはpH0以下で行うと良い。即ち、過酸化水素を用
いると、水相中に残留したクロムも3価クロムに還元さ
れており、その後の分離が可能となる。
【0010】ここでセリウム及びクロムを含む溶液のp
Hが高い場合は、過酸化水素がセリウム及びクロムに対
し還元剤として働かない為、該廃液に酸を供給してpH
を1以下にする前処理をしてから過酸化水素を供給する
必要がある。この時のpHは好ましくは0.5以下、更
に好ましくは0以下で行うのが良い。
【0011】この時、クロム除去率を上げる為には油水
界面の面積をできるだけ大きくすることが好ましい。こ
の方法としては抽剤と過酸化水素を混合攪拌した中にセ
リウム及びクロムを含有する溶液を入れたり、抽剤とセ
リウム及びクロムを含む溶液を攪拌し良く分散させた状
態にした中に過酸化水素を供給するのが良い。しかし、
油水界面を大きくとる方法としてはこれらの方法に限定
されるものではない。水相側では過酸化水素がセリウム
と反応し、酸素を発生してその酸素がクロムと錯体を形
成し、その錯体が油相側に抽出される。この錯体は水相
側では容易に酸素を放してしまい、その存在できる時間
は短いが、油相側に抽出されると水相側に比べて格段に
安定に存在できる。よって、形成されたクロム錯体をで
きるだけ早く油相側に抽出することがクロムの除去率を
上げる為には必要なのである。
【0012】なお上記のようにして油相側にクロムを抽
出除去した後の水相側にも微量のクロムが残留してい
る。残留クロムの除去方法の一つとしては、まず、セリ
ウムを析出物とし、クロムを6価クロムとして液中に溶
解し、固液分離をして、セリウムを回収する方法が挙げ
られる。
【0013】即ち、回収した水相側の液のpHを上昇さ
せると液中に溶解しているセリウムが水酸化物として沈
殿する。液をアルカリにしてセリウム及びクロムに対す
る酸化剤を共存させると、セリウム及びクロムは酸化さ
れる。この時使用する酸化剤は過酸化水素が好適であっ
た。4価の水酸化セリウムは過酸化水素と赤色の錯体を
生成し沈殿するが、6価クロムは液中に溶解する。この
時のpHはアルカリであれば良いが、クロムの溶解を実
際に行わせるには速度の問題から好ましくは10以上、
更に好ましくは12以上が良い。このような方法を用い
ると回収したセリウムをエッチング液として必要な4価
に酸化するとともにクロムの除去を同時に行うことがで
きる。この沈殿物を固液分離すれば、セリウムを回収す
ることができる。
【0014】この時使用するアルカリはpHを上げる目
的だけであるから、アルカリであれば、いずれでも良
く、供給する形態も、固体でも、水溶液でも構わない。
アルカリとして考えられるのは、水酸化リチウム,水酸
化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム、ア
ンモニア又はそれらの水溶液であるが、これだけに限定
されるものではない。
【0015】この処理においてpHがセリウム及びクロ
ムの酸化と密接な関係がある為、pHコントロールが重
要になる。pHが低い状態で過酸化水素を共存させて
も、クロムは溶解してこないのである。よってアルカリ
を供給する時には、電気化学的手法や分光学的手法を使
用して液性を測定しながら行うのが良い。電気化学的手
法としてはpHや酸化還元電位、分光学的手法としては
6価クロムの吸収を測定する方法がある。しかし測定方
法としてはこれらに限定されるものではない。
【0016】なお、本発明においては、必要なセリウム
濃度になるまで上記操作を繰り返すことによりより精密
なセリウムの分離ができる。この為には回収物中のクロ
ム濃度を定量するか、溶解しているクロムの濃度を測定
することにより沈殿物中に含まれるクロム濃度を推定す
る必要がある。沈殿物中のクロム濃度の測定にも溶液中
のクロム濃度の測定にも多くの方法があるが、分光学的
手法もしくは電気化学的手法を用いて測定するのが良
い。分光学的手法としてはICP発光や、蛍光X線測
定、吸光度の測定等があり、電気化学的手法としては酸
化還元電位等の測定がある。この方法により、セリウム
溶液とクロム除去の為の沈殿物からセリウムとクロムの
分離が可能になり、セリウムを回収することができる。
【0017】これらの方法で回収できるセリウム沈殿物
は赤色の水酸化セリウムの過酸化水素付加錯体である。
よってこのまま固液分離し、硝酸等の酸に溶解すると4
価セリウムは沈殿物自体に含まれる過酸化水素により還
元されてしまい、3価セリウムの溶液になってしまう。
この溶液をエッチング液として使用するには再度セリウ
ムを酸化する必要が生じる。これを回避するためには、
水酸化セリウムの過酸化水素付加錯体から過酸化水素を
除去する必要がある。
【0018】過酸化水素を除去する方法の一つとして、
セリウムの過酸化水素錯体から過酸化水素を自己分解し
て除去する方法がある。過酸化水素は自己分解すること
により酸素と水になり、除去することが可能であるし、
分解物はセリウムの回収に対し、なんら問題を起こさな
いからである。過酸化水素が除去されると、セリウム沈
殿物は赤色から水酸化セリウムの黄色に変化し、過酸化
水素の除去が確認できる。なお過酸化水素の除去は、セ
リウム沈殿物の固液分離をする前でも後でも構わない。
【0019】過酸化水素の自己分解速度は常温ではかな
り遅い。そこで過酸化水素の自己分解を促進させること
により、早く水酸化セリウムを回収することができる。
自己分解を促進させる方法として加熱,赤外線照射,紫
外光照射が有効であるが、自己分解を促進させる方法と
してこれだけに限定されるものではない。クロムを抽出
除去した後の水相側の残留クロムの除去方法として、次
に挙げられるのは、クロムの析出除去法である。
【0020】即ち、水相側に残留したクロムは3価クロ
ムになっていることから、pHを上昇させ3価クロムを
水酸化クロムとして沈殿除去する方法も有効である。但
し、この場合のように、pHを上昇させると、還元剤と
して使用した過酸化水素が酸化剤として働き、セリウム
の回収率が落ちてしまう。その為、本発明において過酸
化水素は該処理液中に過酸化水素が実質的に残らないよ
うに供給するべきである。過酸化水素が該処理液中に残
った場合には、過酸化水素で還元される物質を供給して
過酸化水素を分解除去する必要がある。これには4価セ
リウムを含む物質を供給するのが良い。その方法の一つ
としてはセリウム及びクロムを含む溶液自体を供給する
方法もあるし、新たに硝酸アンモニウムセリウム(IV)
を含む溶液を供給する方法もある。また過酸化水素によ
り酸化される物質を入れても過酸化水素を分解除去する
ことが可能である。なお、前述のような過酸化水素を自
己分解して除去する方法も用いることができる。
【0021】上記のようにして実質的に過酸化水素が残
っていない状態となったら、次に水相側にアルカリを供
給して残留クロムを沈殿除去する。この時使用するアル
カリはpHを上昇させるだけであるからアルカリであれ
ば、いずれでも良く、供給する形態も、固体でも、水溶
液でも構わない。アルカリとして考えられるのは、水酸
化リチウム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸
化カルシウム、アンモニア又はそれらの水溶液である
が、これだけに限定されるものではない。この時pHは
8以下であれば、分離は可能であるが、回収率を上昇さ
せる為にはpHコントロールを正確に行う必要が出てく
る。クロムを沈殿除去する時の好ましいpHは5〜7の
間になる。停止するpHを低くすると液中に残留するク
ロム量が増加するがセリウム回収率は高くなる。pHを
高くすると残留クロム量は低下するが、セリウム回収率
は低下する。このように液の条件によりセリウム回収率
及びセリウム純度が変化する。よって該処理液のpHを
上昇させるにあたり、電気化学的手法又は分光学的手法
を用いて該処理液の液性を測定しながらアルカリを供給
し、該処理液に対し最適な量のアルカリを供給するよう
にするべきである。この時用いられる電気化学的手法と
してはpH又は酸化還元電位を、分光学的手法としては
液の濁度、もしくは沈殿物をフィルトレーション等の手
法を用いて除去した液のクロムの吸収を測定するのが良
い。しかし液性の測定方法としてこれらの方法に限定さ
れるものではない。
【0022】更にクロム沈殿物の分離方法としては濾過
又は遠心分離で除去可能であるし、これらの方法を併用
する方法も考えられる。しかしクロム沈殿物の分離方法
としてこれらの方法に限定されるものではない。上記の
ようにセリウム及びクロムを含む溶液からクロム沈殿物
を除去し、セリウムの水溶液を得る方法を開発した。し
かし、回収できるのは3価のセリウムであり、実際エッ
チングに有用な4価のセリウムに酸化する必要がある。
ここで得られるセリウム水溶液のpHは5〜8程度であ
るため、この水溶液に酸化剤を供給すると、3価のセリ
ウムは4価のセリウムになる。酸化剤としては色々なも
のがあるが、その中でも過酸化水素が有効である。特に
過酸化水素は酸化剤として作用した後、酸素と水になる
為、系を汚すことが無く、高純度のセリウムを回収する
には有効である。酸化された4価セリウムはpH5〜8
の間では水酸化物として沈殿する。更に酸化剤として過
酸化水素を使用した場合には、4価の水酸化セリウムは
過酸化水素と赤色の錯体を生成し沈殿する。このような
方法を用いると回収したセリウムをエッチング液として
必要な4価に酸化することができる。この沈殿物を固液
分離すれば、セリウムを回収することができる。
【0023】なお、この方法で回収できるセリウム沈殿
物も前記と同様赤色の水酸化セリウムの過酸化水素付加
錯体である。従って前記と同様、水酸化セリウムの過酸
化水素付加錯体から過酸化水素を除去する必要がある。
なお、クロムを抽出除去した後の残留クロムの除去方法
として、クロムの析出除去法を用いた場合、クロムを析
出除去させた後も、クロムが微量残っている。これを防
ぐためには、クロムを析出除去した後の濾液に、上記の
ように単に酸化剤を供給するだけでなく、液をアルカリ
にした後に酸化剤を供給すると良い。
【0024】即ち、先のクロムを析出除去した後のセリ
ウム水溶液のpHは5〜8程度である。この水溶液のp
Hを上昇させると液中に溶解しているセリウムと残留ク
ロムが水酸化物として沈殿してくる。アルカリの状態で
過酸化水素等の酸化剤を共存させると、セリウムもクロ
ムも酸化される。この時4価の水酸化セリウムは過酸化
水素と赤色の錯体を生成し沈殿しているが、酸化され生
成した6価クロムは液中に溶解するため、除去すること
が可能である。なお、ここで用いるアルカリの種類や供
給方法等の種々の条件については、前述の残留クロムの
除去方法のうち、セリウムを析出物とする方法の際と同
様である。
【0025】先で述べたクロムの析出除去法において沈
殿させたクロム沈殿物を分析するとクロムとセリウムの
水酸化物の混合物であり、かなりの量のセリウムが含ま
れることがある。これはクロムとセリウムが沈殿を生成
するpHの範囲が近いこと及び、クロムとセリウムの共
沈が起こっていることによると考えられる。
【0026】このようにクロムの析出除去法におけるセ
リウム含有のクロム沈殿物からセリウムを回収する方法
及び上記で述べたいずれの方法においても得られるセリ
ウム沈殿物(水酸化セリウム)中のセリウム濃度が必要
な値まで上昇しなかった場合の対処法について検討し
た。その結果、先に記述したセリウム溶液中の残留クロ
ムを除去する方法が使用できる。即ち、回収した沈殿物
をアルカリ性の状態で過酸化水素と共存させることによ
り、クロムが酸化され溶解してくる。セリウムも酸化さ
れるが、4価の水酸化セリウムは過酸化水素と錯体を形
成し沈殿となる為、液中にはセリウムは観測されない。
【0027】なお、このときに用いられる種々の条件
は、前述と同様である。また、これらの方法は、所望の
セリウム濃度となるまでくり返すことによりより精密な
分離が可能となる。上記のようにして回収されたセリウ
ム水酸化物は硝酸アンモニウムセリウム(IV)にして回
収することが可能である。即ち、回収した水酸化セリウ
ムを硝酸に溶解し、濾過後硝酸アンモニウムを投入し、
濃縮・複塩化し析出物を硝酸アンモニウムセリウム(I
V)として回収する。しかし水酸化セリウムから硝酸ア
ンモニウムセリウム(IV)として回収する方法としては
この方法に限定されるものではない。
【0028】回収した硝酸アンモニウムセリウム(IV)
は再度エッチング液として使用可能な状態にすることが
できる。回収した硝酸アンモニウムセリウム(IV)を純
水溶解し過塩素酸を供給後濃度調整して、例えば硝酸セ
リウムアンモニウム13(重量)%、過塩素酸5wt%
の溶液としエッチング液として使用可能な状態にするこ
とができる。エッチング速度を測定すれば、試薬から調
整したものとの比較ができる。なお、本発明において、
回収したセリウムを使用したクロムエッチング液の組成
やその調整方法はこの方法に限定されるものではない。
【0029】
【実施例】以下、本発明につき実施例を挙げて説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 硝酸アンモニウムセリウム(IV)13wt%、過塩素酸
5wt%の組成のクロムのエッチング液によりクロム薄
膜をエッチングした廃液で6価クロム濃度0.017m
ol/l、4価セリウム濃度0.164mol/l、3
価セリウム濃度0.102mol/lの溶液100ml
に酢酸エチル100mlと35%過酸化水素水2mlを
供給し、攪拌した。セリウムを還元し、酸素を発生さ
せ、その酸素をクロムに配位させ錯体とし、油相側に抽
出した。その後油水分離し、水相側を水酸化ナトリウム
溶液を用いてpHを6.2まで上昇させ、水相側に残留
していた水酸化クロムを沈殿させた。更に沈殿物を除去
し、濾液に35%過酸化水素水2ml及び1規定水酸化
ナトリウム水溶液を供給してpHを12.5まで上昇さ
せた。常温で1時間攪拌後、80℃にして2時間更に攪
拌し、その後固液分離して水酸化セリウムを回収した。
この水酸化セリウムを硝酸に溶解し、濾過後硝酸アンモ
ニウムを投入し、濃縮・複塩化し析出物を硝酸アンモニ
ウムセリウム(IV)として回収した。この時セリウムと
しての回収率は81wt%、混入クロム濃度は100w
tppm以下であった。この硝酸アンモニウムセリウム
(IV)を純水溶解し過塩素酸を供給後濃度調製して硝酸
アンモニウムセリウム(IV)13wt%、過塩素酸5w
t%の溶液を50ml作った。クロム膜の方はガラス基
板上にクロムを1500Åスパッタリングした基板を作
り、回収したセリウムから調製した前述のエッチング液
に付け、ゆっくり攪拌しながらクロムをエッチングさせ
た。エッチングの終了はガラス基板の透過光を測定して
求めた。この時のエッチング速度は30Å/sであり、
別途試薬から調製したものとほぼ同じであった。
【0030】比較例1 硝酸アンモニウムセリウム(IV)13wt%、過塩素酸
5wt%の組成のクロムのエッチング液の廃液100m
lに、水酸化ナトリウムを供給してpH6.2まで上昇
させ、その時の沈殿物を得た。その結果、クロム及びセ
リウムの殆どが共沈してしまい、クロムとセリウムの分
離ができなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明によれば、クロムエッチング液の
使用済み廃液からセリウム及びクロムを回収することが
可能になり、今まで廃棄していたセリウム水酸化物及び
クロム水酸化物の廃棄物を減少させることが可能であ
り、環境対策としての効果が大きいとともに、高価なセ
リウムを回収することによりクロムエッチングのコスト
ダウンに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】セリウムの回収方法の一例(油相除去後、アル
カリ供給してクロムの析出除去を行う)を示す図であ
る。
【図2】セリウムの回収方法の一例(油相除去後、クロ
ムの析出除去を行う)を示す図である。
【図3】セリウムの回収方法の一例(油相除去後、セリ
ウムを析出物とする)を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福岡 一郎 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 Fターム(参考) 4D037 AA14 AB09 BA11 CA02 CA11 CA14 4D038 AA08 AB77 AB79 BB13 BB15 BB16 BB17 BB20 4D056 AB08 AC09 BA03 CA06 DA10 4G076 AA10 AA12 AA19 AB27 AC02 BA13 BC02 BC07 BC08 BD02 BE11 BE13 CA01 CA36 4K001 AA39 AA42 BA21 DB08 DB23 DB25 DB30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セリウム及びクロムを含有する溶液を有
    機溶媒からなる抽剤の存在下、過酸化水素と混合するこ
    とにより溶液中の4価セリウムを3価セリウムに還元す
    るとともに、クロムを油相側に抽出し、セリウムを含有
    する水相を回収することを特徴とするセリウムの回収方
    法。
  2. 【請求項2】 抽出操作が過酸化水素を含む抽剤中に、
    セリウム及びクロムを含有する溶液を供給する方法であ
    ることを特徴とする請求項1記載のセリウムの回収方
    法。
  3. 【請求項3】 セリウム及びクロムを含有する溶液のp
    Hが1以下であることを特徴とする請求項1記載のセリ
    ウムの回収方法。
  4. 【請求項4】 回収した水相に酸化剤及びアルカリを供
    給することにより水相に残留するクロムを沈殿除去し、
    次いで、該母液よりセリウムを回収することを特徴とす
    る請求項1〜4の何れかに記載のセリウムの回収方法。
  5. 【請求項5】 酸化剤が過酸化水素であることを特徴と
    する請求項4記載のセリウムの回収方法。
  6. 【請求項6】 クロムを沈殿させた後の水相中の過酸化
    水素を除去することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    かに記載のセリウムの回収方法。
  7. 【請求項7】 クロムを沈殿除去後の母液に酸化剤及び
    アルカリを供給し、セリウムを沈殿回収することを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載のセリウムの回収
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7において最終的に回収され
    たセリウムを更に硝酸アンモニウムセリウム(IV)とし
    て回収することを特徴とするセリウムの回収方法。
  9. 【請求項9】 請求項8において回収した硝酸アンモニ
    ウムセリウム(IV)をクロムエッチング液として使用可
    能な状態にして回収することを特徴とするセリウムの回
    収方法。
  10. 【請求項10】 請求項9の方法で回収されたセリウム
    を使用したクロムエッチング液。
JP10170909A 1998-06-18 1998-06-18 セリウムの回収方法 Pending JP2000007331A (ja)

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