JPH07224334A - 銅の分離回収方法 - Google Patents

銅の分離回収方法

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JPH07224334A
JPH07224334A JP6333251A JP33325194A JPH07224334A JP H07224334 A JPH07224334 A JP H07224334A JP 6333251 A JP6333251 A JP 6333251A JP 33325194 A JP33325194 A JP 33325194A JP H07224334 A JPH07224334 A JP H07224334A
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copper
iron
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sulfate
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JP6333251A
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Etsushiyuu I
悦周 韋
Mikiro Kumagai
幹郎 熊谷
Yoichi Takashima
洋一 高島
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SANGYO SOUZOU KENKYUSHO
SANGYO SOZO KENKYUSHO
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SANGYO SOUZOU KENKYUSHO
SANGYO SOZO KENKYUSHO
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銅と鉄とを含有する原料から、操作性よく、
かつコスト面でも有利に、高純度の銅を高回収率で効率
よく分離回収する方法を提供する。特に、晶析分離の効
率化を図る。 【構成】 銅と鉄とを含有する原料を、硫酸水溶液に溶
解し、その後必要に応じ酸化し、このようにして得られ
た溶液にアンモニアを添加して、銅のアンミン錯体を生
成させた後、この溶液に水溶性有機溶媒を添加して銅
(II)アンミン錯体の硫酸塩を選択的に晶析させて銅を
分離回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銅鉱石、銅と鉄とを含
むスクラップなど、銅と鉄とを含有する原料から銅を分
離回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅は導電材、各種銅合金、銅メッキなど
の素材として工業的に利用されているもっとも重要な金
属元素の一つであり、その原料の確保と安定供給が極め
て重要な課題である。
【0003】銅の原料として、現在利用されているのは
硫化銅鉱、酸化銅鉱および銅材スクラップなどである。
通常、これらの銅原料中に鉄が共存元素あるいは不純物
として多く含まれている。例えば、銅製錬の主要原料で
ある黄銅鉱(主成分CuFeS2 )精鉱にはCu15〜
30重量%、Fe25〜35重量%程度が含まれてい
る。このような原料から利用可能な純度の銅を製造する
ために、鉄などの不純物を分離除去するプロセスが不可
欠となっている。
【0004】従来、上記銅と鉄とを含有する原料から銅
を分離回収する方法として、主に溶融製錬と呼ばれる乾
式製錬法が工業的に行われている。また、硫酸化焙焼−
浸出法という湿式製錬法も一部採用されている。溶融製
錬法は、銅原料中のFeを1000℃以上の高温で選択
的に酸化した後、SiO2 などの溶剤を加えてスラグ化
させてCuの硫化物融体から分離除去するものであり、
Cuの硫化物融体に対し、さらにマット溶錬、転炉製
錬、電解精製などの工程を施して利用可能な純度のCu
を製造する。この方法では、プロセスが複雑で多量のエ
ネルギーを消費することや、排煙中のSO2 やダストに
よる環境汚染などの問題点がある。また硫酸化焙焼−浸
出法は、銅原料に適量の硫酸と酸素を加えて700〜8
00℃程度で加熱して焙焼し、原料中のCuを水溶性の
CuSO4 に、Feを難溶性のFe23 に変換した
後、Cuを選択的に浸出させて不溶性の鉄残渣から浸出
液として分離するものである。なお、硫酸銅浸出液は浄
液工程(主に残存Fe2+の沈澱除去)、電解採取工程を
経てさらに精製され、このものから高純度の銅が回収さ
れる。この方法では、焙焼工程において温度やO2 、S
3 のポテンシャルが適正に制御されないと、原料中の
Feの酸化が不完全となり可溶性の鉄(II)化合物とし
てCu浸出液中に混入する難点があり、また焙焼工程に
おいて溶融製錬の場合と同様にガス中のSO2 による環
境汚染問題も抱えている。
【0005】このように、銅と鉄とを含有する原料から
銅を工業的に分離回収する経済的かつ合理的な方法はま
だ確立されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術の問題点を解決し、銅と鉄とを含有する原料か
ら、銅を効率的かつ経済的に回収する方法、すなわち、
安価な試薬を使用して操作性、特に晶析分離の操作性の
良好なプロセスで、銅を高収率で効率よく、かつ利用可
能な純度で分離回収する銅の分離回収方法を提供するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1)銅と鉄とを含有する原料から銅を分離回収する方
法であって、硫酸水溶液に前記原料を溶解し、これによ
り得られた溶液にアンモニアを加えて銅のアンミン錯体
を生成させ、この後、この溶液に晶析剤として水溶性有
機溶媒を添加し、銅のアンミン錯体の硫酸塩を選択的に
晶析させる銅の分離回収方法。 (2)前記溶液にアンモニアを加えるに先立って酸化を
行い、この溶液中の鉄を鉄(III )とする上記(1)の
銅の分離回収方法。 (3)前記原料中の鉄含有量が15重量%以上である上
記(2)の銅の分離回収方法。 (4)前記晶析の際の溶液のpHを2以下とする上記
(2)または(3)の銅の分離回収方法。 (5)前記水溶性有機溶媒が、アルコール類、ケトン
類、アルデヒド類およびカルボン酸類のうちの少なくと
も1種である上記(1)〜(4)のいずれかの銅の分離
回収方法。
【0008】
【作用】本発明では、銅と鉄とを含有する原料から銅を
分離回収する際、まず硫酸水溶液を用いて、銅と鉄とを
含有する原料を溶解し、必要に応じ酸化し、このように
して得られた溶液に対しアンモニアを加え、銅(II)の
アンミン錯体を生成させ、この後この溶液に晶析剤を添
加し、銅(II)のアンミン錯体の硫酸塩を選択的に晶析
させているので、晶析を短時間で効率よく行うことがで
きる。この場合、晶析剤として用いられる水溶性有機溶
媒と水との混合溶媒に対する鉄硫酸塩と銅(II)のアン
ミン錯体の硫酸塩との溶解度の差を利用して、銅(II)
のアンミン錯体の硫酸塩のみを晶析させるものである。
銅(II)のアンミン錯体の硫酸塩は、短時間で大粒の結
晶として析出する。このため、晶析に要する時間を短縮
できるとともに、引き続き行う濾過等の分離操作が容易
になる。また、回収率が高く、しかも高純度の回収物が
得られる。
【0009】また、従来、工業的に行われている溶融製
錬法や硫酸化焙焼一浸出法に比べて、コスト面でも環境
保全面でも有利となる。すなわち、本発明は、用いる試
薬が安価であり、特別な装置も必要とせず、エネルギー
コスト的に有利である。さらに、従来法のようなSO2
排煙による環境汚染の問題も低減される。
【0010】なお、特開平3−207825号公報に
は、Nd等の希土類元素と鉄とを含有する原料を硫酸お
よび硫酸水溶液中に溶解し、次いで得られた溶液にアル
コールを添加して希土類元素の硫酸塩を選択的に晶析さ
せる方法が示されている。しかし、上記公報の方法で
は、本発明と異なり、硫酸および硫酸水溶液に溶解後、
アンモニアを添加し、希土類元素のアンミン錯体を生成
させる操作は行っていない。
【0011】また、特開平6−65656号公報は、ニ
ッケルと鉄とを含有する原料を、硫酸を含有する水溶液
に溶解して酸化し、この溶液中の鉄を鉄(III )とした
のち、この溶液に有機溶媒を添加してニッケルの硫酸塩
を選択的に晶析させる方法が示されている。しかし、上
記公報の方法では、本発明と異なり、鉄を鉄(III )と
したのち、アンモニアを添加し、ニッケルのアンミン錯
体を生成させる操作は行っていない。
【0012】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0013】本発明は、銅と鉄とを含有する原料(以下
「原料」ともいう。)から銅を選択的に分離回収する方
法であり、主に、(1)原料を硫酸水溶液に溶解する溶
解工程、(2)必要に応じて設けられる鉄(II)を鉄
(III )に酸化する酸化工程、(3)上記(1)または
(2)で得られた溶液にアンモニアを添加し、銅(II)
のアンミン錯体を生成させるアンモニア添加工程、
(4)晶析剤として水溶性有機溶媒を用い、銅をアンミ
ン錯体の硫酸塩として晶析させる晶析工程、および
(5)晶析物を溶液から分離する分離工程から構成され
る。
【0014】本発明に用いる銅と鉄とを含有する原料に
特に制限はなく、銅と鉄とを含有する硫化銅鉱(例えば
黄銅鉱)、酸化銅鉱(例えば藍銅鉱、孔雀石)、あるい
は銅材スクラップなどいずれのものであってもよい。特
に、本発明の方法は、鉄をFe換算で5〜40重量%程
度含有する銅含有原料に適用することが好ましい。ま
た、他に含有される金属は、通常、亜鉛、鉛、カルシウ
ム、バリウム、アルミニウム、スズ、ニッケル、コバル
ト等である。なお、上記の金属含有率は、硫酸水溶液と
したのち、溶液中の金属濃度を高周波誘導結合プラズマ
(ICP)発光分析法によって測定して得られたもので
ある。
【0015】このような原料のなかで、上記(2)酸化
工程は、原料組成、より具体的には原料中の鉄含有量に
応じて設けることが好ましく、鉄含有量がFe換算で1
5重量%以上のとき、特に20〜40重量%であるとき
に設けることが好ましい。一方、鉄含有量が15重量%
未満、特に5〜10重量%の原料では、酸化工程を設け
てもよいが、一般には、特に設ける必要がない。
【0016】鉄含有量が多いときに酸化工程を設けるの
は、晶析に用いる晶析剤である水溶性有機溶媒と水と
の混合溶媒に対する溶解度が、鉄(II)硫酸塩に比べて
鉄(III )硫酸塩の方が大きいこと、鉄(II)イオン
が存在する液に晶析剤を添加していくと、銅(II)の硫
酸塩が析出するのに要する晶析剤量が少ない場合には問
題とはならないが、晶析剤量が多くなると硫酸第1鉄の
コロイド沈澱物が生成して不純物が多くなること、など
の理由による。
【0017】このようなことから、原料中における鉄と
銅との比率が、金属換算の重量比で、鉄/銅が好ましく
は1以上、特に好ましくは1〜5の場合に酸化工程を設
ける必要があり、鉄/銅が1未満のとき、通常0.2〜
0.9のとき、酸化工程を設ける必要がなくなる。
【0018】次に、(1)溶解工程、必要に応じて設け
られる、(2)酸化工程、(3)アンモニア添加工程、
(4)晶析工程および(5)分離工程に分けて詳述す
る。
【0019】(1)溶解工程 本発明では、まず銅と鉄とを含有する原料を硫酸水溶液
に溶解する。使用する硫酸の量は原料中の銅と鉄とが硫
酸塩を生成するのに必要な化学量論量の1〜2倍、好ま
しくは1〜1.5倍とする。このような添加量とするこ
とによって、原料中の銅および鉄をすべて硫酸塩とする
ことができる。これに対し、硫酸の量が少なすぎると、
硫酸塩への変換が不完全となり、硫酸の量が多すぎると
無駄となるばかりでなく、過剰にSO4 2- が存在するた
め、共通イオン効果やスルファト錯形成反応による溶解
度の変化が起きる。
【0020】また、溶解液中の硫酸濃度は5mol/l 程度
以下、好ましくは0.8〜3.5mol/l 程度が適当であ
る。このような硫酸濃度とすることによって存在する銅
および鉄をすべて硫酸塩とすることができる。これに対
し、濃度が高くなりすぎると、硫酸はのちほど添加する
晶析剤と作用して硫酸エステルなどを生成する恐れがあ
る。硫酸エステルは不揮発性の油状液体であり、晶析物
に付着して晶析物を汚染するとともに晶析物の濾別およ
び乾燥が困難となりやすいので硫酸エステルの生成は好
ましくない。
【0021】なお、溶解時の温度は50〜100℃程度
に保つことが好ましく、これにより溶解を促進させるこ
とができる。また、溶解に要する時間は、酸化工程を設
けるときは酸化工程の時間も含めて、通常、0.8〜1
0時間程度である。
【0022】この溶解工程により、銅は銅(II)硫酸塩
(Cu換算で存在する銅の90重量%以上、通常95〜
100重量%)として存在する。また、鉄は鉄(II)ま
たは鉄(III )硫酸塩(Fe換算で存在する鉄の70〜
90重量%程度がFe(II)、10〜30重量%程度が
鉄(III ))として存在する。これらの化合物の存在お
よび存在量についてはICP発光分析法、可視紫外吸光
光度法等によって確認することができる。
【0023】(2)酸化工程 上述のように、原料中の鉄含有量が少ない場合は特に必
要とはしないが、原料中の鉄含有量が多い場合は酸化工
程を設ける。原料中の鉄含有量が多い場合において、原
料を溶解して得られた溶液中の硫酸第一鉄を硫酸第二鉄
に酸化させる。この場合の酸化は、溶液としたのち行っ
てもよく、また溶解と同時に進行させてもよく、特に限
定されるものではない。
【0024】硫酸第一鉄を硫酸第二鉄に酸化することに
よって、前述の理由から、後の晶析工程における硫酸銅
との晶析分離が容易になる。
【0025】酸化は、酸化剤の添加、電解酸化あるいは
バクテリアによる酸化などのいずれの方法によってもよ
い。通常、簡便な酸化法として酸化剤添加がよく行われ
ている。この場合、溶解にあたり硫酸水溶液中に酸化剤
を添加しても、上記溶解液中に溶解後もしくは溶解途中
で酸化剤を添加してもよい。通常は溶解にあたり硫酸水
溶液中に酸化剤を添加することが好ましい。これによっ
て、原料の溶解も促進される。
【0026】使用する酸化剤は特に限定するものではな
いが、電位的にFe2+をFe3+に酸化する能力を有する
ことが必要である。例えば、このような規準を示す特性
値として標準電極電位があり、Fe3+/Fe2+の標準電
極電位(+0.771V )よりもプラス側の標準電極電
位を有するものなどが挙げられる。
【0027】このような酸化剤として、例えば硝酸(H
NO3 )、酸素(O2 )、過酸化水素(H22 )、塩
素酸ナトリウム(NaClO3 )などが挙げられる。実
用的には6〜14規定程度の硝酸水溶液などを用いるこ
とが好ましい。
【0028】また、使用する酸化剤の量は原料中の鉄含
有量に応じて、第一鉄の酸化に必要な化学量論量の1〜
3倍程度が適当である。このような酸化によって、鉄硫
酸塩のほとんどすべて(Fe換算で存在する鉄の95重
量%以上、好ましくはほぼ100重量%)は鉄(III )
硫酸塩となる。一方、原料中の銅は硫酸溶解によって、
通常、前述のように、銅(II)硫酸塩となるが、さらに
酸化することによってほとんどすべて(Cu換算で存在
する銅のほぼ100重量%)が銅(II)硫酸塩となる。
酸化は50〜120℃の温度で行うことが好ましい。ま
た、酸化に要する時間は溶解工程も含めて、通常0.8
〜10時間程度とする。
【0029】上述した方法により原料中の銅および鉄は
容易に硫酸塩溶液として溶解され、それぞれ鉄(III )
と銅(II)の硫酸塩の形態で存在する。
【0030】酸化工程を経る場合はこの段階で、また酸
化工程を経ない場合は原料の硫酸溶解後に、溶液を濾過
することが好ましく、このとき少量の難溶性不純物(例
えば石灰石、石膏、シリカ等)は濾別されて分離除去さ
れる。
【0031】(3)アンモニア添加工程 原料中の鉄含有量が少ない場合は溶解工程で得られた溶
液に、また原料中の鉄含有量が多い場合は酸化工程で得
られた溶液に、アンモニア(NH3 )を添加する。この
アンモニアの添加により、銅イオンはきわめて安定な銅
のアンミン錯体の硫酸塩[Cu(NH3n (H2 O)
4-n ]SO4 (n=2、3または4)を形成する。この
銅のアンミン錯体の硫酸塩は後続の晶析分離工程や乾燥
工程を経ることで単一種の錯体(例えばn=4のもの)
として得られる。晶析工程において、銅のアンミン錯体
の結晶は通常の硫酸銅結晶より生成速度が速く、しかも
結晶粒子が大きい。従って、沈降濾過性が非常に優れて
おり、溶液からの分離は極めて容易に行われる。一方、
溶液中に共存する鉄イオン(Fe2+、Fe3+)はNH3
とは全く反応しないため、溶液中には硫酸塩のままの形
で存在する。
【0032】アンモニアの添加はNH3 水を直接注入す
るか、あるいはNH3 ガスを導入することによって容易
に行われる。NH3 の添加量は溶液中の銅含有量の約2
〜6モル量、 好ましくは3〜4モル量にするのが好ま
しい。NH3 添加量が2モル量未満の場合には、銅アン
ミン錯体の生成が不十分である。一方、銅含有量の6モ
ル量をこえるNH3 添加では、溶液中に過剰なNH3
存在することになり、これによって溶液のpH値が上昇
してしまうので好ましくない。すなわち、pHが上昇
し、特にpH値が約3をこえると、鉄(III )イオン
(Fe3+)が加水分解反応を起こして水酸化鉄となって
沈殿する恐れがある。従って、アンモニア添加工程にお
いては溶液のpH値を3程度以下、好ましくは2程度以
下、特に好ましくは0.1〜2に保つ必要がある。鉄含
有量の多い原料を用いたときには酸化工程を経るため、
ほとんどの鉄が鉄(III )となっており、一方鉄含有量
の少ない原料を用い、酸化工程を経ない場合、前述のよ
うに、鉄の大部分が鉄(II)硫酸塩となるが、少量の鉄
が鉄(III )硫酸塩となっているからである。
【0033】なお、NH3 添加にNH3 水を用いる場
合、10〜30重量%程度のNH3 水を用いることが好
ましい。また、NH3 添加時の温度に特に制限はなく、
室温(15〜28℃)程度での操作とすればよい。
【0034】上述のようにアンモニアを添加することに
より、溶液中の銅は、存在する銅のほとんど(Cu換算
で95重量%以上、好ましくはほぼ100重量%)が銅
(II)アンミン錯体の硫酸塩となる。これについては、
分光光度法やICP発光分析法等によって確認すること
ができる。なお、アンモニア添加開始から錯体生成終了
までに要する時間は10分間以内程度であり、添加開始
とほぼ同時に錯体生成がみられ、添加終了と同時に錯体
生成が終了することもある。
【0035】(4)晶析工程 得られた溶液中に晶析剤として水溶性有機溶媒を添加し
て銅(II)のアンミン錯体の硫酸塩を結晶物として析出
させる。
【0036】鉄含有量の少ない原料を用い、酸化工程を
経ることなく得られた溶液に対し晶析を行う場合は、溶
液のpHについては特に制限はなく、銅(II)のアンミ
ン錯体の硫酸塩が安定に存在し、鉄(II)が加水分解し
ないpH領域とすればよく、通常pH0.1〜6とすれ
ばよい。一方、鉄含有量の多い原料では、酸化工程を経
て、鉄(II)が鉄(III )となっているが、晶析中に、
鉄(III )が加水分解により水酸化鉄(III )の沈澱物
が生じる危険性があるので、これを防止するため、溶液
のpHを2以下、通常0.1〜2程度として晶析を行う
ことが好ましい。なお、原料の鉄含有量のいかんにかか
わらず、酸化工程を経る場合の溶液のpHは2以下、通
常0.1〜2程度とすることが好ましい。
【0037】使用する晶析剤はアルコール類、ケトン
類、アルデヒド類およびカルボン酸類のうちの少なくと
も1種以上の水溶性有機溶媒である。これらの晶析剤
は、脂肪族化合物、特に鎖式の化合物であることが好ま
しく、分子中の総炭素数が6以下、好ましくは4以下、
さらに好ましくは2〜4であることが好ましい。これら
の有機溶媒は炭素数が比較的少なく、分子の構造上極性
が高いため水によく溶ける。水に対する25℃における
溶解度は15 g/100g 水〜∞である。
【0038】このような晶析剤として具体的には、メチ
ルアルコール(CH3 OH)、エチルアルコール(C2
5 OH)、プロピルアルコール(C37 OH)など
の脂肪族アルコール、アセトール(CH3 COCH3
H)などのケトアルコールのようなアルコール類、アセ
トン(CH3 COCH3 )、メチルエチルケトン(C2
5 COCH3 )などのケトン類、プロピオンアルデヒ
ド(C25 CHO)などのアルデヒド類、ギ酸(HC
OOH)、酢酸(CH3 COOH)などのカルボン酸類
が挙げられる。
【0039】晶析剤の添加量は、当然のことながら原料
を溶解した溶液中の銅および鉄の含有量に応じる必要が
あり、特に限定するものではない。通常、原料を溶解し
た溶液中の銅および鉄の含有量に応じて決定すればよ
い。本発明における原料は、前記のとおり、鉄がFe換
算で5〜40重量%含有される銅含有原料であるが、こ
のような原料を溶解した溶液の溶液重量の10〜90重
量%の広い範囲の晶析剤添加量において好結果が得られ
る。
【0040】これらの晶析剤と水の混合溶液中において
硫酸鉄の溶解度は銅の硫酸塩の溶解度より遥かに高いた
め、銅をアンミン錯体の硫酸塩として選択的に晶析させ
て鉄から分離することが可能である。すなわち、鉄含有
量の少ない原料では、晶析工程において、鉄が主として
Fe2+と存在するが、晶析剤添加によって沈澱物が生成
する危険性はほとんどない。また鉄含有量の多い原料で
は、鉄がFe3+として存在し、晶析剤と水との混合溶媒
中において良好な溶解性を示す。
【0041】なお、晶析操作は上記有機溶媒の沸点以下
の温度で行う必要があり、工業的に容易に実現する10
〜60℃の温度範囲で行うことが好ましい。
【0042】また、晶析剤として用いた水溶性有機溶媒
の沸点は45〜100℃程度である。
【0043】有機溶媒の添加による銅(II)アンミン錯
体の硫酸塩の晶析は極めて迅速に進行し、例えば恒温水
槽中に容器を設置して数分間振蕩させると、銅(II)ア
ンミン錯体の硫酸塩の結晶が析出し始める。ただし、本
発明では、通常30分〜2時間程度振蕩させることが好
ましい。これにより析出した銅(II)アンミン錯体の硫
酸塩の結晶は十分に熟成され、沈降濾過性が良好であ
る。この結晶は大粒の結晶で、形状は多角形状やフレー
ク状等である。粒径は2〜10mm程度(球状でない場合
は投影面積を円に換算した直径として求めたもの)であ
る。
【0044】これに対し、アンモニア添加工程を設ける
ことなく、硫酸銅として結晶を析出させる場合は、アン
ミン錯体に比べ、晶析速度が遅く、結晶粒子が微細であ
る。このときの粒径は、上記と同義で、2mm程度以下で
あり、最大2mm程度から微細なものはコロイド粒子(粒
径1μm 程度)とよばれる程度のものまで存在する。従
って、硫酸銅では、晶析速度を大きくするため、晶析開
始に際し少量の硫酸銅結晶を結晶核として加えることな
どの操作が必要となることがあるが、アンミン錯体の場
合はこのような操作は全く必要とされない。このため、
アンモニア添加工程のほかは、ほぼ同一の条件として、
アンミン錯体を晶析させる場合と硫酸銅を晶析させる場
合とを比べると、アンミン錯体を晶析させる方が晶析時
間を短縮でき、晶析工程の効率化を図ることができる。
この場合の晶析時間は、硫酸銅を晶析させる場合の1/
2〜1/15の時間となる。なお、晶析時間を同一とす
れば、回収率が低下する。
【0045】なお、本発明に用いる容器は、特に限定さ
れず、公知の晶析器などを用いることができる。
【0046】(5)分離工程 銅(II)アンミン錯体の硫酸塩が完全に晶析した後、容
器を静置すると沈降性の良好な結晶物が沈降してくる。
晶析物と溶液の分離は、例えば上澄みを流すデカンテー
ション法や吸引濾過器を用いる濾別法により容易に行わ
れる。この場合の晶析物は、大粒の結晶であるため分離
が容易である。そして、その後、晶析物は乾燥される。
【0047】以上の各工程により、鉄および他の少量金
属不純物は硫酸塩として溶液中に残留して除去される。
また、原料中のSi、Cなどの非金属不純物や難溶性金
属不純物のほとんどは溶解工程で不溶残査として除去さ
れるか、または晶析工程で溶液中に残留して除去され
る。従って、高い純度の銅(II)アンミン錯体の硫酸塩
の晶析物が得られる。なお、上記の晶析工程および分離
工程を繰り返すことによって晶析物の純度をさらに上げ
ることができる。
【0048】このようにして、本発明では、重量%で9
5%以上の純度の銅(II)アンミン錯体の硫酸塩[Cu
(II)(NH3n (H2 O)4-n ]SO4 (n=2、
3または4:水和物であってもよい。)、例えば[Cu
(II)(NH34 ]SO4・H2 Oの結晶が得られ
る。回収物である銅(II)アンミン錯体の硫酸塩の確認
は、X線回折、熱重量測定−示差熱分析(TG−DT
A)により行うことができる。また、回収率はCu換算
で95重量%以上、特に97〜100重量%である。
【0049】得られた銅(II)アンミン錯体の硫酸塩の
晶析物は、水への溶解度が高く、これを溶解して溶液と
し、公知の電解採取法または酸化還元置換採取法により
高純度銅を製造することができる。
【0050】なお、晶析分離に使用した晶析剤は、いず
れも水との間に十分な蒸気圧差がある有機溶媒であるた
め、公知の蒸留分離法により容易に回収することができ
る。
【0051】これら回収後の有機溶媒は、再利用するこ
とができ、これによって処理コストの低減化が十分可能
である。
【0052】以上のように、本発明の方法において原料
の溶解から高純度銅の製造までの各工程はすべて閉回路
システムをとりやすい湿式プロセスであり、従来法に比
べてSO2 排煙やダストによる公害問題が少なく、環境
保全の面でも有利である。
【0053】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0054】実施例1 黄銅鉱(Fe/Cuの重量比1.7)粉末20.00g
をガラス製三角フラスコ入れ、その中に硫酸濃度3mol/
l の水溶液300mlを加えて攪拌し、次いで80〜90
℃に加熱しながら61重量%の市販硝酸水溶液40mlを
少量ずつ添加した。約1時間半経過したところで試料は
ほぼ完全に溶解した。続いて温度を120℃に上げて3
0分間加熱して残存硝酸を蒸発除去した。この溶解では
存在する鉄のほぼ100%が鉄(III )硫酸塩、銅のほ
ぼ100%が銅(II)硫酸塩として存在していること
が、分光光度計による測定およびICP発光分析により
確認できた。
【0055】この溶液を濾過し、得られた濾液を200
mlに定容量し、そのpH値は約1であった。この溶液中
の金属濃度をICP発光分析法により定量分析して原料
中の可溶性金属含有率として計算した結果を表1に示
す。一方、濾別された不溶残渣を乾燥、秤量した結果、
その重量は4.99g であった。
【0056】この溶液に、室温(20℃程度)で市販純
度30重量%のアンモニア水15mlを添加した。この添
加とほぼ同時に溶液の色は緑色から青紫色に変化し、銅
アンミン錯体の形成を示した。この場合アンモニア水添
加開始から錯体形成終了までに要する時間は5分程度で
あった。この段階で存在する銅のほぼ100%がアンミ
ン錯体として存在することがわかった。アンミン錯体は
[Cu(NH3n (H2 O)4-n2+(n=3、4)
の混合物であり、n=3のものが20%、n=4のもの
が80%程度であった。これらのことは、分光光度計に
よる測定およびICP発光分析によって確認した。な
お、溶液のpHは1.2になった。
【0057】上記溶液に純度99.5%のエチルアルコ
ール400ml(上記溶液重量に対するエチルアルコール
添加量:約53重量%)を約5分間間隔で80mlずつ添
加し、室温(20℃程度)にて1時間振蕩して晶析させ
た。沈降してきた晶析物を母液から濾別して回収し、乾
燥した後定量分析を行った。この工程を工程1Aとす
る。
【0058】また、工程1Aにおいて、酸化して得られ
た溶液に、アンモニア水を添加することなく、晶析剤を
添加するほかは同様の操作を行った。この場合、酸化し
て得られた溶液の濾液に純度99.5%のエチルアルコ
ール400ml(上記溶液重量に対するエチルアルコール
添加量:約55重量%)を約10分間間隔で80mlずつ
添加し、室温にて3時間振蕩して晶析させた。この工程
を工程1Bとする。
【0059】工程1A、1Bについて分析値から求めた
回収物中の金属含有率、回収率を原料の分析結果ととも
に表1に示す。表中の金属含有率および回収率はいずれ
も金属換算の重量%で表示している。なお、回収物をX
線回折および熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA)
により同定した結果、工程1Aではそのほとんどはテト
ラアンミンCu(II)錯体の硫酸塩[Cu(NH3
4 ]SO4 ・H2 Oであり、重量%で純度は97.23
%であった。また、この結晶の形状は多角形状であり、
その粒径(円投影面積相当径)は3〜7mmの範囲であっ
た。一方、工程1Bではそのほとんどは硫酸銅一水和物
結晶CuSO4 ・H2 Oであり、重量%で純度は95.
13%であった。また、この結晶の形状は粒状であり、
上記と同義でその粒径は1.5mm以下であり、最大1.
5mmから微細なものはコロイド粒子のオーダー(粒径1
μm 程度)までの範囲であった。
【0060】
【表1】
【0061】工程1A、1Bのいずれにおいても、銅を
収率よく高純度で回収することができるが、工程1Aに
よりテトラアンミンCu(II)錯体の硫酸塩として回収
する方が晶析時間を短縮できて効率的であり、大粒の結
晶であることから分離が容易であった。
【0062】実施例2 まず処理原料となる酸化銅鉱の精鉱粉末(主成分:Cu
CO3 ・Cu(OH)2 :Fe/Cuの重量比0.4)
をサンプリングして硝酸水溶液でほぼ完全に溶解し、原
料中の各金属元素の含有率をICP発光分析法により定
量分析して求めた。その結果を表2に示す。
【0063】この酸化銅鉱粉末15.00g をガラス製
三角フラスコに入れ、その中に硫酸濃度1mol/l の水溶
液200mlを加えて攪拌しながら、50〜60℃に加熱
して約1時間溶解させた。続いて吸引濾過法により石灰
石等の不溶残渣を濾過除去し、得られた濾液を200ml
に定容量し、そのpH値は約1.2であった。この溶液
では存在する鉄のほぼ100%が鉄(II)硫酸塩、銅の
ほぼ100%が銅(II)硫酸塩として存在していること
が、分光光度計による測定およびICP発光分析により
確認できた。
【0064】この溶液に、室温(20℃程度)で、市販
純度30重量%のアンモニア水を13ml添加したとこ
ろ、溶液の色は緑色から青紫色に変わり、銅アンミン錯
体の形成を示した。アンモニア水添加開始から錯体形成
終了までに要する時間は5分程度であった。この段階で
存在する銅のほぼ100%がアンミン錯体として存在す
ることがわかった。アンミン錯体は[Cu(NH3n
(H2 O)4-n2+(n=2、3、4)の混合物であ
り、n=2のものが5%、n=3のものが15%、n=
4のものが80%程度であった。これらのことは、分光
光度計による測定およびICP発光分析によって確認し
た。なお、溶液のpH値は約1.3になった。
【0065】上記濾液に純度99.5%のエチルアルコ
ール200ml(上記溶液重量に対するエチルアルコール
添加量:約35重量%)を約5分間間隔で40mlずつ添
加し、室温にて1時間振蕩して晶析させたところ、極め
て沈降濾過性の良好な青紫色の結晶が析出してきた。こ
の晶析物を母液から濾別して回収し、乾燥した後定量分
析を行った。これを工程2Aとする。
【0066】また、工程2Aにおいて、アンモニア水添
加の前に実施例1に準じた酸化工程を設け、存在する鉄
のほぼ100%を鉄(III )硫酸塩としてから、同様に
アンモニア水を添加するものとするほかは、同様に処理
した。これを工程2Bとする。この場合の酸化は、硫酸
溶解の後、80〜90℃に加熱しながら61重量%の市
販硝酸水溶液10mlを少量ずつ添加し、約1時間かけて
行い、続いて温度を120℃に上げて20分間加熱して
残存硝酸を蒸発除去した。
【0067】また、工程2Aにおいて、アンモニア水添
加工程を設けないものとし、晶析時間を10時間とする
ほかは同様に処理した。これを工程2Cとする。さら
に、工程2Bにおいて、アンモニア添加工程を設けない
ものとするほかは同様に処理した。これを工程2Dとす
る。
【0068】工程2A〜2Dについて、分析値から求め
た回収物中の金属含有率、回収率を原料の分析結果とと
もに表2に示す。なお、回収物をX線回析および熱重量
測定−示差熱分析(TG−DTA)により同定した結
果、工程2A、2Bでは、そのほとんどは[Cu(NH
34 ]SO4 ・H2 Oで、純度は、この順で、各々、
96.29重量%、95.41重量%であった。また、
これらの結晶の形状はともに多角形状であり、その粒径
は、実施例1と同義で、それぞれ順に、2〜8mmの範
囲、3〜10mmの範囲であった。一方、工程2C、2D
では、そのほとんどはCuSO4 であり、純度は、順
に、92.83重量%、95.76重量%であった。ま
た、これらの結晶の形状はともに粒状であり、その粒径
は、上記と同義で、順に、最大1.5mmからコロイド粒
子(粒径1μm 程度)のオーダーまでの範囲、最大2.
0mmからコロイド粒子(粒径1μm 程度)のオーダーま
での範囲であった。
【0069】
【表2】
【0070】工程2A、2Bのいずれにおいても、銅を
収率よく高純度で回収することができる。また、晶析、
分離の操作性が良好である。これに対し、工程2Cで
は、晶析物の純度が低下してしまい、結晶が微細であ
る。また、結晶の析出速度が遅く、晶析操作に長時間を
要する。一方、工程2Dでは、工程2A、2Bと晶析時
間を同じとしたため、回収率の低下がみられ、結晶が微
細である。晶析時間を長くすれば(例えば5〜6時間程
度)、結晶の微細化は免れられないが、回収率を95%
程度に向上できることがわかった。従って、工程2C、
2Dでは晶析操作に長時間を要し、また、晶析物の結晶
粒子は微細であるため、濾過沈降性が悪く、晶析物と溶
液との分離操作においても操作性が悪かった。
【0071】なお、上記実施例では黄銅鉱原料または酸
化銅鉱原料を用いたが、これに限らず、銅と鉄とを含有
する原料であればいずれにも適用でき、このほかのもの
でも、原料の鉄含有量に応じ、鉄含有量が多い場合は、
実施例1の工程1A、鉄含有量が少ない場合は実施例2
の工程2Aまたは2Bに準じて処理すれば、これらの場
合と同等の良好な結果が得られることがわかった。
【0072】また、実施例1の工程1A、実施例2の工
程2A、2Bにおいて、晶析剤として使用したエチルア
ルコールは濾液を蒸留することによって水溶液と分離す
ることができ、再使用に供することができた。
【0073】さらに、実施例1の工程1A、実施例2の
工程2A、2Bにおいて、晶析剤としてエチルアルコー
ルのかわりに、メチルエチルケトン、プロピオンアルデ
ヒド、酢酸を各々用いたところ、エチルアルコールと同
等の良好な結果が得られた。
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、銅と鉄とを含有する原
料から銅を良好な収率かつ高い純度で分離回収すること
ができる。本発明の方法は、全く知られていない新規な
方法であり、従来法に比べ、画期的に安価な試薬を使用
し、簡単な装置と容易な操作により銅の回収を確実に行
うことができる。特に、晶析分離操作の効率化を図るこ
とができる。また、本発明の方法は工程がすべて閉回路
システムをとりやすい湿式プロセスであり、従来法に比
べてSO2 排煙やダストによる公害問題が少なく、環境
保全上も有利である。従って、工業的規模で実施しうる
経済的かつ合理的な方法である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅と鉄とを含有する原料から銅を分離回
    収する方法であって、 硫酸水溶液に前記原料を溶解し、これにより得られた溶
    液にアンモニアを加えて銅のアンミン錯体を生成させ、
    この後、この溶液に晶析剤として水溶性有機溶媒を添加
    し、銅のアンミン錯体の硫酸塩を選択的に晶析させる銅
    の分離回収方法。
  2. 【請求項2】 前記溶液にアンモニアを加えるに先立っ
    て酸化を行い、この溶液中の鉄を鉄(III )とする請求
    項1の銅の分離回収方法。
  3. 【請求項3】 前記原料中の鉄含有量が15重量%以上
    である請求項2の銅の分離回収方法。
  4. 【請求項4】 前記晶析の際の溶液のpHを2以下とす
    る請求項2または3の銅の分離回収方法。
  5. 【請求項5】 前記水溶性有機溶媒が、アルコール類、
    ケトン類、アルデヒド類およびカルボン酸類のうちの少
    なくとも1種である請求項1〜4のいずれかの銅の分離
    回収方法。
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