JP2000001058A - レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法 - Google Patents

レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法

Info

Publication number
JP2000001058A
JP2000001058A JP10165705A JP16570598A JP2000001058A JP 2000001058 A JP2000001058 A JP 2000001058A JP 10165705 A JP10165705 A JP 10165705A JP 16570598 A JP16570598 A JP 16570598A JP 2000001058 A JP2000001058 A JP 2000001058A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermal transfer
transfer recording
layer
recording material
laser thermal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP10165705A
Other languages
English (en)
Inventor
Daigo Morizumi
大悟 森住
Noritaka Egashira
典孝 江頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP10165705A priority Critical patent/JP2000001058A/ja
Publication of JP2000001058A publication Critical patent/JP2000001058A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー光による光熱変換層自身の破壊を防
止し、記録画像の鮮明性に優れ、高速記録が可能である
レーザー熱転写記録材料を提供する。 【解決手段】 本発明のレーザー熱転写記録材料は、基
材上に、少なくとも近赤外線吸収材料と無機系バインダ
ーを主体とする光熱変換層、熱転写インキ層を、この順
に積層したレーザー熱転写記録材料において、該無機系
バインダーとして金属酸化物を用いることにより、熱分
解温度が高くなるため、耐熱性に優れた光熱変換層とな
り、また無機系バインダーは樹脂材料より高い熱伝導性
を付与でき、高感度化も達成できる。また、溶液状態の
金属水酸化物の重縮合を経て形成されるために、光熱変
換層は基材との密着性に優れ、高強度となる。さらに非
熱可塑性バインダーであるために加熱時に軟化して熱転
写インキ層の箔持ちを上げて感度低下を引き起こすこと
がなく、高感度な印字が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はヒートモードレーザ
ー方式の熱転写に利用される記録材料に関し、詳しく
は、記録画像の鮮明性、記録における熱感度の高さ、高
速記録を達成する等の点で優れたレーザー熱転写記録材
料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】基材上に熱転写インキ層を設けた熱転写
記録材料の表面にサーマルヘッドを密着走査させ、熱エ
ネルギーを熱転写インキ層に伝えることによって、受像
シートに熱転写インキ層を転写し、画像を記録する熱転
写記録方式は広範囲に知られており、ファクシミリやプ
リンター等に適用されている。しかしながら、このよう
な熱転写記録方法においては、サーマルヘッドを熱転写
記録材料に密着させて走査させるために、サーマルヘッ
ドが摩耗したり、サーマルヘッド表面へ熱転写記録材料
の成分がカスとなって付着することにより記録画像が正
しく得られない場合が生じたり、サーマルヘッドが破壊
されるという欠点があった。
【0003】また、このようなサーマルヘッドを用いた
熱転写記録方式には、サーマルヘッドの構造上の特質か
ら、発熱素子の加熱冷却の高速制御や発熱素子密度を大
きくする上での限界があるために、高速記録、高密度記
録、高画質記録を達成するには限度があるという欠点が
あった。サーマルヘッドを用いる熱転写記録方式の上記
の如き欠点を解決するために、レーザー光を用いた光熱
変換層を有する熱転写記録材料において、該光熱変換層
が近赤外線吸収材料と結着剤からなり、該結着剤とし
て、耐熱性の高い、高Tgである樹脂材料や、水溶性樹
脂材料を用いたもので、非接触且つ高速且つ高密度で熱
記録を行うことが報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ようなレーザー光を用いる熱転写記録材料で、高耐熱性
の樹脂材料を用いても、有機樹脂材料としての耐熱性に
は限界があり、レーザー光の出力を高くして高速印字を
目指していった時には光熱変換層自身が破壊してしま
い、画像劣化を引き起こすといった問題があった。した
がって、本発明は上記の問題を解決し、レーザー光によ
る光熱変換層自身の破壊を防止し、記録画像の鮮明性に
優れ、高速記録が可能であるレーザー熱転写記録材料を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、これらの光
熱変換層破壊が結着剤の耐熱性に起因していることに着
目し、鋭意研究を重ねた結果、光熱変換層の結着剤材料
として、無機系バインダー材料を用いることにより、従
来の樹脂材料では達成できなかった高耐熱性を実現する
ことが可能となることを見出した。また、結着剤を無機
バインダー主体で構成することにより、樹脂材料より高
い熱伝導性を付与でき、高感度化も達成できる。すなわ
ち、本発明は、基材上に、少なくとも近赤外線吸収材料
と無機系バインダーを主体とする光熱変換層、熱転写イ
ンキ層を、この順に積層したレーザー熱転写記録材料に
おいて、該無機系バインダーは金属酸化物であることを
特徴とする。また、前記の金属酸化物は金属水酸化物の
重縮合物であることが好ましい。また、前記の金属水酸
化物が金属水酸化物単独、金属水酸化物の水和物、複合
金属水酸化物、またはそれらの混合物の組成を有するこ
とが好ましい。
【0006】また、前記の金属水酸化物が金属有機化合
物、金属無機化合物、酸化物微粒子のうちの少なくとも
一種を加水分解して得られることが好ましい。さらに前
記の金属有機化合物が、金属アルコキシド、金属アセチ
ルアセトネート、金属カルボキシレートのうちの少なく
とも一種であり、金属無機化合物が、硝酸塩、オキシ塩
化物、塩化物のうちの少なくとも一種であることが好ま
しい。また、前記の金属水酸化物が、有機高分子を共重
合またはグラフト化されている有機無機複合金属水酸化
物であることが好ましい。また、前記の金属水酸化物
が、完全または部分加水分解された、ポリアルキルシロ
キサンであることが好ましい。また、前記の金属水酸化
物が、完全または部分加水分解された、有機高分子を共
重合またはグラフト化されているポリアルキルシロキサ
ンであることが好ましい。さらに、前記の光熱変換層は
有機高分子を含んでいることが好ましい。また、前記の
近赤外線吸収材料が無機粒子材料であることが好まし
い。さらに、前記の近赤外線吸収材料がカーボンブラッ
ク、チタンブラック、黒色酸化鉄、複合酸化物のうちの
少なくとも一種であることが好ましい。また、前記の基
材と光熱変換層の間にプライマー層を設けることが好ま
しい。
【0007】さらに前記の基材と光熱変換層の間にクッ
ション層を設けることが好ましい。また、前記の光熱変
換層と熱転写インキ層の間に剥離層を設けることが好ま
しい。また、前記の熱転写インキ層の上に接着層を設け
ることが好ましい。本発明のレーザー熱転写記録方法
は、上記のレーザー熱転写記録材料の熱転写インキ層
と、基材シート上に受像層を設ける受像シートの該受像
層とを接触させ、レーザー光を照射することにより該受
像層上に画像を転写することを特徴とする。また、レー
ザー熱転写記録方法において、前記の受像層上に画像を
転写後、該画像を被転写体に再転写することが好まし
い。
【0008】本発明の作用は、以下の通りである。本発
明のレーザー熱転写記録材料は、基材上に、少なくとも
近赤外線吸収材料と無機系バインダーを主体とする光熱
変換層、熱転写インキ層を、この順に積層したレーザー
熱転写記録材料において、該無機系バインダーとして金
属酸化物を用いることにより、熱分解温度が高くなるた
め、耐熱性に優れた光熱変換層となる。また、溶液状態
の金属水酸化物の重縮合を経て形成されるために、光熱
変換層は基材との密着性に優れ、高強度となる。さらに
非熱可塑性バインダーであるめに加熱時に軟化して熱転
写インキ層の箔持ちを上げて感度低下を引き起こすこが
なく、高感度な印字が可能となる。よって、本発明のレ
ーザー熱転写記録材料は、レーザー光による光熱変換層
自身の破壊を防止し、記録画像の鮮明性に優れ、高速記
録が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態につい
て、詳述する。本発明のレーザー熱転写記録材料は、基
材上に、少なくとも近赤外線吸収材料と無機系バインダ
ーを主体とする光熱変換層、熱転写インキ層を、この順
に積層し、該無機系バインダーは金属酸化物である。こ
のような構成とすることにより、従来よりも光熱変換層
の耐熱性を高くすることができる。
【0010】(基材)本発明の熱転写記録材料で用いら
れる基材としては、従来の熱転写記録材料に使用されて
いるものと同じ基材をそのまま用いることが出来ると共
に、その他のものも使用することが出来、特に制限され
ないが、レーザー光を熱転写記録材料側から照射する場
合は透明性の高い基材を用いることが好ましく、特に用
いるレーザー光の波長の透過率が60%以上であること
が好ましい。好ましい基材の具体例としては、例えば、
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプ
ロピレン、セロハン、ポリカーボネート、酢酸セルロー
ス、トリアセチルセルロース、ポリエチレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ナイロン、ポリイミド、ポリ塩
化ビニリデン、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、塩
化ゴム、アイオノマー等のように比較的耐熱性の良いプ
ラスチック、コンデンサー紙、パラフィン紙等の紙類、
不織布等があり、又、これらを複合した基材であっても
よい。この基材の厚さは、その強度及び熱伝導性が適切
になるように材料に応じて適宜変更することが出来る
が、その厚さは、好ましくは、例えば、2〜180μm
であり、材料保持手段として吸着ドラムを用いる場合は
50〜125μmが十分な印圧が得られるために好まし
い。
【0011】(光熱変換層)光熱変換層は基材の上に設
け、熱転写記録材料に記録のため照射するレーザー光を
熱に変換する層である。光熱変換層は、本発明では近赤
外線吸収材料と金属酸化物である無機系バインダーを主
体として構成されている。近赤外線吸収材料は、光を吸
収し効率良く熱に変換する物質であり、例えば半導体レ
ーザーを光源として使用する場合、炭素質粉体、チタン
ブラック、黒色酸化鉄(Fe3 4 )、複合酸化物(C
uO−Cr2 3 、CuO−Fe2 3 −Mn2 3
CuO−Fe2 3 −Cr2 3 )、フタロシアニン系
色素、スクアリウム系色素、ニトロソ化合物及びその金
属錯塩、ポリメチン系色素、チオールニッケル塩、トリ
アリールメタン系色素、インモニウム系色素、ナフトキ
ノン系色素、アントラセン系色素等を用いることができ
る。炭素質粉体は、ケッチェンブラック、アセチレンブ
ラック、ファーネスブラック等のカーボンブラックや、
天然又は人造の黒鉛等があり、その他のカーボンウィス
カー、カーボンファイバーやグラファイトファイバー等
の短繊維等を挙げることができる。これらの近赤外線吸
収材料は単独で使用することが出来る他、2種以上を組
み合わせて使用することもできる。
【0012】また、これらの近赤外線吸収材料の無機粒
子材料であるカーボンブラック、チタンブラック、黒色
酸化鉄(Fe3 4 )、複合酸化物(CuO−Cr2
3 、CuO−Fe2 3 −Mn2 3 、CuO−Fe2
3 −Cr2 3 )等を用いることにより光熱変換層の
構成材料のほとんどを無機材料で構成することができる
ので、有機材料系の光熱変換層よりも耐熱性の高い光熱
変換層皮膜を形成することが可能となる。本発明では光
熱変換層のバインダーは、金属酸化物の無機系バインダ
ーを用いることができる。この金属酸化物による光熱変
換層皮膜は、有機材料に比して高い耐熱性を有してい
る。そして金属酸化物による光熱変換層皮膜は、金属有
機化合物(金属アルコキシド、金属アセチルアセトネー
ト、金属カルボキシレート)、金属無機化合物(硝酸
塩、オキシ塩化物、塩化物)、酸化物微粒子等を水を含
む溶液中に溶解あるいは分散させて加水分解を行ない、
金属水酸化物ゾルとした後、基材上にコーティングし、
加熱、または焼成することによって得られる。
【0013】以上の如き無機系バインダーは近赤外線吸
収材料100重量部当たり約50重量部以上、好ましく
は、無機粒子系の近赤外線吸収材料を用いる時は、10
0〜500重量部の割合で使用する。高すぎると、熱変
換効率が低くなるために厚膜化する必要が出てくるため
感度低下となってくる。低すぎると、近赤外線吸収材料
の光熱変換層の膜強度が不足してくる。但し、有機系色
素の近赤外線吸収材料を用いる場合は0.1〜50重量
部の割合で使用する。又、前記の如き近赤外線吸収材料
と無機系バインダーとを塗料中に分散させる方法として
は、これらを良好に分散し得る方法であれば特に限定さ
れず、塗膜の形成方法としても、ロールコーティング
法、スピンコーティング法、ディップコーティング、電
着等特に制限されない。
【0014】本発明において目的物である近赤外線吸収
材料を含む金属酸化物による光熱変換層皮膜を形成する
ための原料である金属水酸化物としては、金属水酸化物
単独、金属水酸化物の水和物、複合金属水酸化物、また
はそれらの混合物であり、金属中に1個以上の金属原子
(M)と1個以上の水酸基(OH)を含む組成を有する
ものであれば良い。さらに具体的には例えば、1価金属
であるLi、Na、K、Rb、Csの水酸化物[MOH
で表示]とその水和物、2価金属であるBe、Mg、C
a、Sr、Ba、Ra、Po、Cr、Mo、W、Mn、
Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、N
i、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、H
g、Si、Pb、Sn、Sbの水酸化物[M(OH)2
で表示]とその水和物、3価金属であるSc、Y、N
b、Po、Ln[Lnはランタノイド及びアクチノイド
元素]、Al、Ga、In、Tl、Biの水酸化物[M
(OH)3 で表示]とその水和物が挙げられる。また、
本発明で使用される複合金属水酸化物としては、全ての
複合金属水酸化物が含まれ、具体的には、例えば、Zr
(OH)2 SO4 Hf(OH)2 SO4・VO(O
H)、VO(OH)2 、VO2 (OH)、V3 3 (O
H)5 、V33 (OH)5 、V3 4 (OH)4 、V
4 4 (OH)6 、FeOOH、γ−MnOOH等とそ
の混合物等を例として挙げることができる。
【0015】上記の如き金属水酸化物は、金属有機化合
物(金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金
属カルボキシレート)、金属無機化合物(硝酸塩、オキ
シ塩化物、塩化物)、酸化物微粒子のうちの少なくとも
一種を加水分解して得ることができる。具体的には、金
属アルコキシドとしては、テトラエトキシシランSi
(OC2 5 4 、アルミニウムイソプロポキシドAl
(OC3 7 3 、金属アセチルアセトネートとして
は、インジウムアセチルアセトネートIn(COCH2
COCH3 )、亜鉛アセチルアセトネートZn(COC
2 COCH3 2、金属カルボキシレートとしては酢
酸鉛Pb(CH3 COO)2 、ステアリン酸イットリウ
ムY(C1735COO)3 、硝酸塩としては硝酸イット
リウム、硝酸ニッケル、オキシ塩化物としてはオキシ塩
化ジルコニウム、オキシ塩化アルミニウム、塩化物とし
ては四塩化チタン、酸化物微粒子としてはフュームドシ
リカ(ゾル化させる)等が挙げられる。特に金属アルコ
キシドや無機金属塩を塗工液の原料として加水分解し、
続いて縮重合反応によって金属−酸素−金属の結合を持
つゲル網目を形成させる無機成分成長方法(いわゆるゾ
ル−ゲル法に属する)は、室温付近・溶液状態での反応
であり、塗布される基材の保護や処理の有利性の観点か
ら本発明の実現において好ましく利用される。
【0016】本発明で使用される光熱変換層が加水分解
可能な反応部位を有する金属化合物からの部分加水分解
物より構成した場合、その光熱変換層の塗工液は、加水
分解物の析出がないため、透明な液である。このような
部分加水分解物とするには、特に金属化合物の加水分解
可能な反応部位に対して化学量論量以下の水(例えば、
マグネシウム化合物の場合2以下)を用いて加水分解を
行い、反応部位を一部残した状態での加水分解物、すな
わち部分加水分解物とすることができる。このようにし
て生成される部分加水分解物には水が加水分解に消費さ
れているために、実質的に塗工液中には水が存在しな
い。
【0017】金属化合物を加水分解して部分加水分解物
を生成するための温度は、室温において十分に進行させ
ることができるが、場合によっては反応速度を速めるた
めに80℃程度まで加熱することも可能である。また、
部分加水分解物生成時に、塩酸やアンモニア等の加水分
解触媒を加え、加水分解を速やかに進行させることがで
きる。光熱変換層において、加水分解可能な反応部位を
有する金属化合物を部分加水分解してなる部分加水分解
物に含まれる金属の種類については、基材への高い密着
性及び高い塗膜強度を得る目的のためには特に限定され
ず、例えば、Si、Ti、Zr、Sb、Sn、Al等が
上げられ、これらのアルコキシドは比較的安価で容易に
入手でき、また反応の調整が容易であることから好まし
く使用される。
【0018】しかしながら、完全に加水分解反応を行う
と加水分解物が析出するような金属化合物、具体的に
は、Mg、Be、Cu、Ag、Pb、Zn、Ca、L
i、K、Na、等の金属を含む有機金属化合物、及び無
機金属化合物等の金属化合物を使用する場合、これらの
金属化合物を完全に加水分解せずに部分加水分解するこ
とにより、加水分解物の析出を防止することができるの
で、このような部分加水分解物からなる塗工液を調製す
ることは、特に、これらの金属酸化物からなる機能性膜
の基材への高い密着性を付与する目的及び高い強度を付
与する目的において有利である。
【0019】本発明の光熱変換層塗工液を製造する際
に、部分加水分解物生成反応を均一で効率良く進行させ
るために加水分解反応を水を含んだ溶媒中で行うことが
好ましい。このような溶媒は特に限定されないが、アル
コール、エステル、ケトン、あるいはプロピレンカーボ
ネート、γ−ブチロラクトン等の有機高誘電率溶媒が使
用可能である。生成した部分加水分解物は、上記液中に
化学量論量以上の水の混入がない限り、極めて安定に保
たれ、出発原料や水の量により部分加水分解物の形態は
異なるが、低重合度の重合物、あるいは粒子径が0.3
μm以下の超微粒子として溶媒中に溶解又は分散してい
る。光熱変換層塗工液はこのような、加水分解可能な反
応部位を有する金属化合物からの部分加水分解物が実質
的に水の存在しない溶媒中に溶解又は分散された状態の
ものをいう。
【0020】部分加水分解物の溶媒中における濃度は特
に限定されないが、部分加水分解物の溶媒中での安定性
を考慮すると、その濃度は重量比で0.1〜30%とし
た方が光熱変換層塗工液の長期保存が可能であり、より
好ましい。部分加水分解物からなる光熱変換層塗工液
を、基材上に塗布した後の乾燥工程において、塗膜中の
溶剤が揮発するとともに、塗膜は大気中の水分を取込
み、さらに加水分解反応が進行して完全に加水分解さ
れ、通常、最終的に塗膜は金属水酸化物となる。
【0021】尚、本発明で得られる上記の光熱変換層
は、必ずしも加熱処理する必要はなく、部分加水分解物
を含む湿潤膜により得られたゾル粒子から構成されたも
のであっても十分に機能し得る。このような光熱変換層
を得る場合には、特に、塗膜の加熱処理はしなくてもよ
い。上記の光熱変換層は、特に加熱、焼成工程を施さな
くても、常温で、上記の光熱変換層塗工液を基材上に塗
布することにより、基材密着性のある機能性膜が容易に
得られるが、必要に応じて加熱、焼成などを行えば、さ
らに完全に酸化物膜へ移行し、結晶性が高くなり、より
強度が高く、且つより基材密着性が増す。このような加
熱、焼成温度は、300〜500℃が好ましい温度範囲
である。上記の加水分解可能な反応部位を有する金属化
合物からの部分加水分解物からなる光熱変換層塗工液の
基材上への塗布法はスピンコート法、ディップ法、スプ
レー法、ロールコート法、メニスカスコート法、バーコ
ート法、カーテンフローコート法、流延法等の種々の塗
布法が適用できる。上記の光熱変換層塗工液のゾル溶液
の製造方法は、近赤外線吸収材料と例えばポリアルキル
シロキサンのアルコール溶液とを混合均一分散させたの
ち、塗工前に硬化促進剤としての触媒(スズ化合物、ジ
ルコニウム化合物)を添加する。
【0022】これに対して上記の光熱変換層は、加水分
解可能な反応部位を有する金属化合物からの部分加水分
解物を基本的に含む塗工液を基材上に塗布してなる金属
酸化物層で構成されている。したがって、塗工液中に
は、加水分解物、具体的には金属水酸化物の析出物が生
じることなく、塗工液は金属化合物の部分加水分解物の
ゾル粒子が非常に細かい粒子となって、実質的に水を含
まない溶媒中に溶解又は分散した状態となっている。こ
れに加え、上記の光熱変換層塗工液は、目的とする金属
酸化物の加水分解反応による中間体を非常に微小な粒子
で、かつ反応性の高い部分加水分解物としているので、
このような光熱変換層塗工液を用いて、塗布し、得られ
た塗膜を必要に応じて焼成した後に得られる機能性膜
は、適度の大きさの金属酸金属酸化物が平面的に均一に
分布して基材表面に一体となった密着性及び高強度が高
められた機能性膜が得られる。その結果、光熱変換層の
薄膜化が更に促進される。光熱変換層塗工液における部
分加水分解物の濃度は、重量比0.1%未満であると充
分な特性を発揮できず、30%より多いと膜厚が厚くな
りすぎひび割れなどが生じるので、好ましい範囲は0.
1〜30重量%である。
【0023】また、金属水酸化物として、有機高分子を
共重合またはグラフト化した有機無機複合金属水酸化物
を用いることも可能である。有機高分子を共重合または
グラフト化した金属水酸化物は、近赤外線吸収材料の分
散性向上、膜の可撓性が上がるため膜強度を上げるとい
った効果がある。但し、有機高分子がある分、耐熱性が
低下してくるため、前記金属酸化物100重量部に対し
て0.1〜500重量部、好ましくは1〜50重量部程
度共重合またはグラフト化すると良い。また共重合また
はグラフト化する有機高分子の種類は、金属水酸化物あ
るいは金属アルコキシドと重合、架橋、付加反応可能な
官能基を分子中に少なくとも一個以上有するものであれ
ば特に制限はされない。このような有機高分子として
は、例えばアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、セル
ロース系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリビニ
ルアルコール系樹脂等が挙げられる。光熱変換層の膜厚
は、乾燥時で0.1〜3μmが好ましく、光熱変換層に
おける近赤外線吸収材料の含有量は、通常、画像記録に
用いる光源の波長での吸光度が0.3〜3.0になるよ
うに決めることができる。一般的には吸光度が0.4〜
1.5程度あれば良い。この他に近赤外線吸収材料の分
散性、塗膜の可撓性を上げるために、有機高分子ポリマ
ーを耐熱性が大幅に低下しない程度に加えることができ
る。添加量は無機系バインダー100部に対して0.1
〜100部、好ましくは1〜50部である。
【0024】(熱転写インキ層)熱転写インキ層は、色
材とバインダー樹脂を主成分として構成され、印字時の
加熱により、受像シートの受像層との接着力が熱転写記
録材料側との接着力より強くなることにより受像層側に
転写される。上記色材としては、例えば無機顔料及び有
機顔料などの顔料ならびに染料を挙げることができる。
無機顔料としては、二酸化チタン、カーボンブラック、
酸化亜鉛、プルシアンブルー、硫化カドミウム、酸化鉄
ならびに鉛、亜鉛、バリウム及びカルシウムのクロム酸
塩等が挙げられる。又、有機顔料としては、アゾ系、チ
オインジゴ系、アントラキノン系、アントアンスロン
系、トリフェンジオキサジン系の顔料、バット染料顔
料、フタロシアニン顔料(例えば銅フタロシアニン)及
びその誘導体、キナクリドン顔料などが挙げられる。
【0025】有機染料としては、酸性染料、直接染料、
分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料又は昇華性色
素等が挙げられる。昇華性色素としては従来から公知の
昇華性色素を用いることができる。なお、本発明におい
ては、昇華性色素と言う時、これは熱昇華性色素を意味
する。この昇華性色素としては、例えばシアン色素、マ
ゼンタ色素、イエロー色素を挙げることができる。熱転
写インキ層に含有される昇華性色素は、形成しようとす
る画像が単色であるならば、イエロー色素、マゼンタ色
素及びシアン色素の何れ単独またはそれらの混合物であ
ってもよい。上記の色材は、記録材料として良好な特性
を有するもの、例えば、十分な着色濃度を有し、光、
熱、温度等により変褪色しないものが好ましい。また、
要求される色調に応じて、カーボンブラック、有機顔
料、無機顔料、又は各種染料から適当なものを選択して
用いることが出来る。熱転写インキ層における色材の含
有率は特に限定されないが、通常5〜70重量%の範囲
内にあり、好ましくは10〜60重量%である。
【0026】熱転写インキ層のバインダーとしては、樹
脂を主体として構成することが好ましく、樹脂として具
体的には、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、メラミ
ン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体、スチレン−ブタジエンゴム等の熱可塑性エラ
ストマーが挙げられる。特に従来より感熱接着剤として
使用されている比較的低軟化点、例えば、50〜150
℃の軟化点を有するものが好ましい。
【0027】その他、必要に応じて、耐熱性等を阻害し
ない程度に、ワックス成分を混合し使用することができ
る。ワックスとしては、例えば、マイクロクリスタリン
ワックス、カルナバワックス、パラフィンワックス等が
ある。更に、フィッシャートロプシュワックス、各種低
分子量ポリエチレン、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボ
タロウ、羊毛ロウ、セラックワックス、キャンデリラワ
ックス、ペトロラクタム、ポリエステルワックス、一部
変性ワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等、種々
のワックスが挙げられる。このなかで、特に融点が50
〜85℃であるものが好ましい。50℃以下であると、
保存性に問題が生じ、又85℃以上であると印字の感度
不足になる。
【0028】熱転写インキ層の形成は、上記のような色
材成分とバインダー成分と、必要に応じて分散剤、帯電
防止剤など、種々の添加剤を加え、さらにこれに必要に
応じて水、有機溶剤等の溶媒成分を配合調整した熱転写
インキ層形成用塗工液を、従来公知のホットメルトコー
ト、ホットラッカーコート、グラビアダイレクトコー
ト、グラビアリバースコート、ナイフコート、エアコー
ト、ロールコート等の方法により、乾燥状態で厚さ0.
05〜5μm、好ましくは0.2〜1.5μmを設ける
ものである。乾燥塗膜の厚さが、0.05μm未満の場
合、成膜性の問題で均一なインキ層が得られず、印字物
の擦過性低下の原因になる。また、厚さが5μmを越え
た場合、印字転写の際に、高エネルギーが必要となり、
印字の感度不足となる。
【0029】(プライマー層)本発明のレーザー熱転写
記録材料は、基材と光熱変換層との接着性が弱い場合、
基材と光熱変換層との間に、プライマー層を設けて、光
熱変換層と基材との接着を強めることができる。プライ
マー層に用いる樹脂としては、例えば、アルキッド樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体樹脂、NBR樹脂、SBR樹
脂、ポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド等
が単独もしくは共重合物、混合物、変性物として用いら
れる。変性物とは、例えば水酸基やカルボン酸、4級ア
ンモニウム塩含有モノマーを共重合もしくはグラフトさ
せて、接着性、親水性を上げたものなどである。
【0030】また、プライマー層の接着性、塗膜強度を
向上させるために、上記の樹脂を各種硬化剤、例えばエ
ポキシ樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート等により架
橋させてもよい。プライマー層の形成方法は、前述の光
熱変換層の形成方法と同様な方法が選べ、プライマー層
の厚みは乾燥時で0.01〜50μm、好ましくは0.
1〜10μmとするのが良い。
【0031】(クッション層)本発明のレーザー熱転写
記録材料は、基材と光熱変換層との間に、クッション層
を設けることができ、レーザー光照射による印字の時
に、熱転写記録材料と受像シートとの密着性を向上させ
ることができる。このクッション性を付与するには、低
弾性率を有する材料あるいはゴム弾性を有する材料を使
用すればよい。具体的には、天然ゴム、アクリレートゴ
ム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソ
プレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレン
ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、
弗素ゴム、ネオプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチ
レン、エピクロルヒドリン、エチレン・プロピレン・ジ
エンゴム、ウレタンエラストマー等のエラストマー、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリブ
テン、耐衝撃性ABS樹脂、ポリウレタン、ABS樹
脂、アセテート、セルロースアセテート、アミド樹脂、
ポリテトラフルオロエチレン、ニトロセルロース、ポリ
スチレン、エポキシ樹脂、フェノール−ホルムアルデヒ
ド樹脂、ポリエステル、耐衝撃性アクリル樹脂、スチレ
ン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、可塑剤入り
塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン等の内、弾性率の小さな樹脂が
挙げられる。
【0032】クッション層として使用可能な形状記憶樹
脂としては、ポリノルボルネンやポリブタジエンユニッ
トとポリスチレンユニットとが複合化されたスチレン系
ハイブリッドポリマー等を挙げることができる。また、
これらの材料を基材に適用して、基材自身にクッション
性を持たせることもできる。クッション層の厚みは使用
する樹脂あるいはエラストマーの種類、熱転写記録材料
−受像シート密着の際の吸引力、マット材の使用など様
々の因子により異なるので一概には決められないが、通
常5〜100μmの範囲である。クッション層の形成方
法としては、前記材料を溶媒に溶解又はラテックス状に
分散したものを、ブレードコーター、ロールコーター、
バーコーター、カーテンコーター、グラビアコーター等
の塗布法、ホットメルトでの押出しラミネーション法、
クッション層フィルムの貼合せ法などを適用できる。
【0033】(剥離層)本発明では、レーザー光照射に
より熱転写インキ層が光熱変換層から剥離して転写しや
すいように、光熱変換層と熱転写インキ層との間に剥離
層を形成することができる。剥離層はワックス単独で構
成することもできるが、通常はワックス及び/または熱
可塑性樹脂のバインダー樹脂等から構成することが好ま
しい。ワックスは、融点又は軟化点が50℃〜100℃
の蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キ
ャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワック
ス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステル
ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス;マ
ルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン
酸、ステアリン酸、フロイン酸、ベヘニン酸等の高級飽
和脂肪酸;ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール
等の高級飽和一価アルコール;ソルビタンの脂肪酸エス
テル等の高級エステル;ステアリン酸アミド、オレイン
酸アミド等の高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0034】剥離層における熱可塑性樹脂として、例え
ば、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のエチレン系共重合
体、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレ
タン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、
セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、
石油系樹脂、アイオノマー樹脂等の樹脂、天然ゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム、アクリルニトリル−ブタジエ
ン、イソプレンゴム、クロロプレンゴム等のエラストマ
ー類、エステルガム、ロジンマレイン酸樹脂、ロジンフ
ェノール樹脂、水添ロジン等のロジン誘導体、フェノー
ル樹脂、テルペン樹脂、シクロペンタジエン樹脂、芳香
族系樹脂等も使用できる。
【0035】剥離層は樹脂単独の皮膜で形成することも
できる。その樹脂として、例えば、ポリエステル、ポリ
ビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリパラバ
ン酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、エ
チルセルロース、ニトロセルロース、メチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピル
セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラ
ール、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル樹脂、塩酢
ビ、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリロニトリル
スチレン、スチレンアクリル樹脂、等のスチレン類及び
これら樹脂を架橋したもの、ポリアミド、ポリイミド、
ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、アラミド等のTgが65℃以上の熱硬化性樹脂及
びそれら樹脂の硬化物が挙げられる。硬化剤としてはイ
ソシアネート、メラミン等の一般的硬化剤を使用するこ
とができる。また、特に熱転写インキ層のバインダー樹
脂との親和性が低いものは剥離接着力が低くでき、感度
upに良い。
【0036】剥離層の形成は、上記のようなワックス、
熱可塑性樹脂、その他必要に応じて、高級脂肪酸、高級
アルコール、高級脂肪酸エステル、アミド類、高級アミ
ン類やシリコーンオイル、ポリエチレンワックス等の固
形ワックス類、フッ素系やリン酸エステル系の界面活性
剤等の剥離剤を加えた剥離層形成用塗工液を、従来公知
のホットメルトコート、ホットラッカーコート、グラビ
アダイレクトコート、グラビアリバースコート、ナイフ
コート、エアコート、ロールコート等の方法により、乾
燥状態で厚さ0.10〜4μm程度を設けるものであ
る。乾燥塗膜の厚さが、0.10μm未満の場合、光熱
変換層と熱転写インキ層の接着性が向上し、良好な剥離
効果が得られない。また、厚さが4μmを越えた場合、
印字時の転写感度が低下するため好ましくない。
【0037】(接着層)本発明の熱転写記録材料は、熱
転写インキ層の上に接着層を形成し、受像シートと転写
されるインキ層との接着性を向上させることができる。
接着層は、レーザー光照射手段による加熱により、軟化
して接着性を発揮する熱可塑性樹脂及び/または、ワッ
クス類、高級脂肪酸のアミド、エステル及び塩を主体と
して構成できる。さらに、フッ素樹脂や無機物質の粉末
のようにブロッキング防止剤を含有することができる。
【0038】熱可塑性樹脂として、例えば、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共
重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブデン、石油樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリ
デン樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネ
ート、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラー
ル、ポリ酢酸ビニル、ポリイソブチレン、ポリアセター
ルや、天然ゴム、アクリレートゴム、ブチルゴム、ニト
リルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン
−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、
シリコーンゴム、アクリルゴム、弗素ゴム、ネオプレン
ゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エピクロルヒド
リン、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンエ
ラストマー等のエラストマー等が挙げられ、特に従来感
熱接着剤として使用されている比較的低軟化点、例え
ば、50〜150℃の軟化点を有するものが好ましい。
【0039】接着層の形成は、上記の材料と添加剤をホ
ットメルトコートまたは適当な有機溶剤または水に溶解
または分散した接着層形成用塗工液を、従来公知のホッ
トメルトコート、ホットラッカーコート、グラビアダイ
レクトコート、グラビアリバースコート、ナイフコー
ト、エアコート、ロールコート等の方法により、乾燥状
態で厚さ0.10〜5μmを設けるものである。乾燥塗
膜の厚さが、0.10μm未満の場合、受像シート及び
熱転写インキ層との接着性が劣り、印字の際に転写不良
となる。また、厚さが5μmを越えた場合、印字時の転
写感度が低下し、満足のいく印字品質が得られない。
【0040】(裏面層)また本発明の熱転写記録材料に
は必要に応じて基材の光熱変換層、熱転写インキ層の設
けてある面と反対側に裏面層を設けても良い。裏面層
は、熱転写記録材料の機械搬送性向上、カール防止等の
ために、滑性層として、また帯電防止等の為に、帯電防
止層として、またブロッキング防止層として設けること
ができる。 滑性層 基材の光熱変換層、熱転写インキ層の設けてある面と反
対側に、レーザー熱転写記録材料の搬送性の向上や、カ
ール防止等のために、滑性層を設けることができる。こ
のような機能をもつ滑性層として、アクリル系樹脂等に
フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂などの有機フィラーを
添加したものを用いることができる。例えば、アクリル
ポリオール、有機フィラーを使用するのが好ましい。ア
クリルポリオールとしては、エチレングリコールメタア
クリレート、プロピレングリコールメタアクリレートな
どの重合物があげられる。この他、エチレングリコール
部分が、トリメチレングリコール、ブタンジオール、ペ
ンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジ
オール、シクロヘキサンジオール、グリセリン等のもの
も使用できる。これらアクリルポリオールは、カール防
止に寄与するほか、有機・無機フィラー等の添加剤を保
持しやすく、また、基材との接着性も良好である。
【0041】また滑性層として、アクリルポリオールを
硬化剤により硬化したものを使用することができる。硬
化剤は、一般に公知なものが使用できるが、中でもイソ
シアネート化合物が好ましい。アクリルポリオールはイ
ソシアネート化合物と反応しウレタン結合を形成して硬
化・立体化することにより、耐熱保存性、耐溶剤性が向
上し、さらには、基材との密着も良くなる。硬化剤の添
加量は、樹脂1反応基当量に対して、1乃至2が好まし
い。さらに、上記滑性層中に、有機フィラーを添加する
のが好ましい。このフィラーの働きで、レーザープリン
ター内等の熱転写記録材料の搬送性が向上し、また、ブ
ロッキングを防ぐ等、熱転写記録材料の保存性も向上す
る。有機フィラーとして、アクリル系フィラー、ポリア
ミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワッ
クスなどがあげられる。
【0042】滑性層は、上記にあげた樹脂と有機フィラ
ーを任意に添加し、溶剤、希釈剤等で、十分に混練し
て、塗工液を製造し、基材シートの他方の面に、受容層
の形成手段と同様に、例えば、グラビア印刷法、スクリ
ーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーテ
ィング法等の形成手段により、塗布し、乾燥して、滑性
層を構成する。その滑性層の厚みは、0.01〜3.0
μm程度である。
【0043】帯電防止層 レーザー熱転写記録材料の粉塵による汚染防止や、プリ
ンターでの搬送の安定性をもたせるため、下記の帯電防
止剤を含む帯電防止層を熱転写記録材料の裏面に設ける
ことができる。帯電防止剤としては、従来公知の陽イオ
ン、陰イオン、両性イオン、非イオン系のいずれの帯電
防止剤を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、
ポリアミン誘導体などのカチオン系帯電防止剤、アルキ
ルホスフェートなどのアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エ
ステルなどのノニオン系帯電防止剤が、あげられる。帯
電防止層は、上記の帯電防止剤と有機ないし無機フィラ
ーなどの滑剤を添加してもよく、それらを溶剤に溶解ま
たは分散させた配合液を、公知の方法、すなわち、グラ
ビアコート、グラビアリバースコート、ロールコート等
の方法で塗布、乾燥して、形成される。その帯電防止層
の厚みは、0.001〜0.1μm程度である。
【0044】ブロッキング防止層 ブロッキング防止層としては、粒子及びバインダー樹脂
を主体に構成できる。粒子材料としてはシリカ、炭酸カ
ルシウム、クレー等の無機粒子や、MMA、スチレン、
ベンゾグアナミン等の有機粒子が用いられる。粒径は、
通常1.0〜50μmで好ましくは5〜30μmであ
る。バインダー樹脂は前記熱可塑性樹脂のうち、Tgが
50℃以上のものが好ましい。特に基材との接着性が高
いもので、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アク
リル系樹脂等が好ましい。粒子の添加量はバインダー樹
脂100重量部に対して、0.1〜30重量部程度、好
ましくは1〜5重量部加えると良い。これより粒子が少
ないと、ブロッキング防止の効果が低くなり、一方、粒
子が多いと透明性が下がり熱変換効率が低下する。ブロ
ッキング防止層の厚さは、通常0.2〜20μmで好ま
しくは0.5〜10μmである。
【0045】(受像シート)本発明で使用する受像シー
トは、前記の熱転写記録材料から剥離した熱転写インキ
層を受容して画像が形成される。通常は、基材シート上
に受像層を設けたものであり、また基材シート単独で構
成することもある。基材シートは、受像層を保持すると
ともに、レーザー光照射の熱転写時の加熱条件でも取扱
上支障のない程度の機械的強度を有することが好まし
い。このような基材シートの材料は特に限定されず、例
えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、ま
たはサイズ度の高い紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポ
リスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャス
トコート紙、壁紙、裏打用紙、合成樹脂またはエマルジ
ョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添
紙、板紙等、セルロース繊維紙、あるいはポリエステ
ル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタ
ン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導
体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ
ビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルケトン、ポ
リサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオ
ロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポ
リビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチ
レン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピ
レン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデ
ンフルオライド等のフィルムが挙げられる。上記の基材
シートの厚みは、任意でよく、通常10〜300μm程
度である。
【0046】受像シートの受像層バインダーの具体例と
しては、ポリ酢酸ビニルエマルジョン系接着剤、クロロ
プレン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等の接着剤、天
然ゴム、クロロプレンゴム系、ブチルゴム系、ポリアク
リル酸エステル系、ニトリルゴム系、ポリサルファイド
系、シリコンゴム系、石油系樹脂などの粘着材、再生ゴ
ム、塩化ビニル系樹脂、SBR、ポリブタジエン樹脂、
ポリイソプレン、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニ
ルエーテル、アイオノマー樹脂、SIS、SEBS、ア
クリル樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン
−アクリル共重合体、エチレン−酢酸ビニル樹脂(EV
A)、塩ビグラフトEVA樹脂、EVAグラフト塩ビ樹
脂、塩化ビニル系樹脂、各種変性オレフィン、ポリビニ
ルブチラール、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリル
系樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、比較的低軟化点、
例えば50〜150℃の軟化点を有するものが好まし
い。特に、受像シートに転写した画像を被転写体に再転
写する点で、軟化点が50〜120℃の範囲にあるもの
が好ましい。
【0047】また、受像層はマット材を含有することが
好ましい。マット材は、シリカ、炭酸カルシウム、クレ
ー等の無機粒子や、MMA、スチレン、ベンゾグアナミ
ン等の有機粒子が用いられる。粒径は、通常1.0〜5
0μmで好ましくは5〜30μmである。受像層は、バ
インダーとマット材、必要に応じて添加される各種添加
剤から成り、その形成方法は、適当な有機溶剤または水
に溶解または分散した受像層形成用塗工液を、従来公知
のグラビアダイレクトコート、グラビアリバースコー
ト、ナイフコート、エアコート、ロールコート等の方法
により、乾燥状態で厚さ0.1〜20μm程度を設ける
ものである。
【0048】また、画像形成された受像シートを、他の
被転写体に再転写する場合には、基材シートは樹脂フィ
ルムの中でも、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタ
レート等の内部にミクロボイドを有するクッション性、
断熱性に優れた樹脂フィルムが好ましく、また、基材シ
ートと受像層との間に、剥離層やクッション層を設ける
ことも好ましい。剥離層は、バインダーとして、具体的
にポリエステル、ポリビニルアセタール、ポリビニルホ
ルマール、ポリパラバン酸、ポリメタクリル酸メチル、
ポリカーボネート、エチルセルロース、ニトロセルロー
ス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、酢
酸ビニル樹脂、塩酢ビ、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、アクリロニトリルスチレン、スチレンアクリル樹
脂、等のスチレン類及びこれら樹脂を架橋したもの、ポ
リアミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、アラミド等のTgが65
℃以上の熱硬化性樹脂及びそれら樹脂の硬化物が挙げら
れる。硬化剤としてはイソシアナート、メラミン等の一
般的硬化剤を使用することができる。
【0049】また、加熱後の冷却時に受像層との接着性
が極めて低くなる層を剥離層として利用することもでき
る。具体的には、ワックス類、バインダー等の熱溶融性
化合物や熱可塑性樹脂を主成分とする層とすることがで
きる。このような剥離層には添加剤として、高級脂肪
酸、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、アミド類、
高級アミン等を必要に応じて加えることができる。剥離
層の形成は、前記受像層の形成方法と同様であり、その
厚さは乾燥状態で0.3〜3.0μmが好ましい。ま
た、受像シートに用いるクッション層は、レーザー熱転
写記録材料の基材と光熱変換層との間に設けるクッショ
ン層と同様の材料、厚さ、形成方法が採用できる。ま
た、受像シートには、基材シートの受像層が設けられて
いる側と反対側に、裏面層を必要に応じて形成すること
ができる。
【0050】(記録方法)本発明の記録方法は、上記に
説明したレーザー熱転写記録材料の熱転写インキ層と、
受像シートの受像層とを接触させ、レーザー光を照射す
ることにより受像層上に画像を転写するものである。ま
た、レーザー熱転写記録材料の熱転写インキ層と、受像
シートの受像層とを接触させ、レーザー光を照射するこ
とにより受像層上に画像を転写後、該画像を被転写体に
再転写することができる。本発明の記録方法で使用する
レーザー光は、通常680〜1100nmの近赤外光を
発振する半導体レーザー光を5〜100μm径に集光し
たビームスポットにより走査露光が行われる。
【0051】例えば、図1及び図2に示すように、受像
シート2が材料保持手段(ドラム)5に接触した状態で
吸引孔4を通して吸引により保持され、該受像シート2
の受像層に、基材上に、光熱変換層、熱転写インキ層
を、この順に積層したレーザー熱転写記録材料1を圧力
ロール3を通して、熱転写インキ層が接触された状態と
して、材料保持手段5の吸引孔4からの吸引により受像
シート2とレーザー熱転写記録材料1が密着された状態
で、光学的書き込み手段6であるレーザー光が照射され
ることにより画像が形成される。ここで、光学的書き込
み手段6であるレーザー光は、ドラムの軸方向と平行に
走査される。また、図3に示すように、受像シート2が
材料保持手段(平板)7に接触した状態で吸引孔4を通
して吸引により保持され、該受像シート2の受像層に、
基材上に、光熱変換層、熱転写インキ層を、この順に積
層したレーザー熱転写記録材料1を熱転写インキ層が接
触された状態として、材料保持手段7の吸引孔4からの
吸引により受像シート2とレーザー熱転写記録材料1が
密着された状態で、光学的書き込み手段6であるレーザ
ー光が照射されることにより画像が形成される。ここ
で、光学的書き込み手段6であるレーザー光は、X、Y
方向に走査して、画像形成が行われる。上記の吸引によ
る密着は、真空密着手段により受像シートと熱転写記録
材料を密着させることが、密着性に優れるため好ましく
行われる。
【0052】レーザー光の光量や照射面積を変化させる
ことにより、与えるエネルギーを変化させることができ
る。レーザー熱転写記録材料の熱転写インキ層と、受像
シートの受像層とを接触させてレーザー光を5〜100
μm径に照射する際に、レーザー光を熱転写記録材料側
から照射して画像を形成してもよいし、またはレーザー
光を受像シート側から照射して画像を形成してもよい。
例えば、レーザー光を熱転写記録材料側から照射して画
像を形成する場合、レーザー光は熱転写記録材料の基材
から光熱変換層へ照射されるが、該基材はレーザー光の
吸収材料を含有しないことが好ましい。また、レーザー
光を受像シート側から照射して画像を形成する場合は、
レーザー光は受像シートの基材シート、受像層を経由し
て、熱転写記録材料の熱転写インキ層、光熱変換層へ照
射されるが、該受像シート、熱転写インキ層はレーザー
光の吸収材料を含有しないことが好ましい。それは、レ
ーザー光照射により、光熱変換層でレーザー光が熱に有
効に変換されるようにするためである。受像層上に画像
を転写後、該画像を被転写体に再転写する方法は、画像
形成された受像シートの受像面と被転写体とを重ねて、
熱ローラーで挟圧したり、サーマルヘッドで加熱した
り、赤外線を照射したりことが挙げられる。
【0053】
【実施例】次に実施例及び比較例をあげて、本発明を更
に具体的に説明する。尚、文中、部は固形分重量基準で
ある。 (実施例1)厚さ100μmのポリエチレンテレフタレ
ート(PET)フィルム(東レ(株)製、ルミラーT−
60)を基材として、その基材の一方の面に、下記組成
の塗工液をリバースロールコーターによって塗布・乾燥
して、プライマー層、光熱変換層、熱転写インキ層を、
この順に積層した。尚、塗工量は、乾燥時でプライマー
層が1.0μm、光熱変換層が0.8μm、熱転写イン
キ層が0.6μmである。
【0054】プライマー層塗工液 ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製、バイロン200) 10部 メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90部
【0055】光熱変換層塗工液 カーボンブラック 2部 ポリアルキルシロキサン20%アルコール溶液 30部 (日本合成ゴム(株)製、グラスカHP7003) スズ化合物/硬化触媒10%アルコール溶液 3部 (日本合成ゴム(株)製、グラスカHPC404H)
【0056】熱転写インキ層塗工液 マゼンタ顔料 3部 スチレン/アクリル樹脂 6部 (ハイマーSBM−100:三洋化成(株)製) トルエン 91部
【0057】また、上記基材の他方の面に、下記組成に
より裏面層をロールコートにより、塗工量を乾燥時で
1.0μmで形成して、実施例1のレーザー熱転写記録
材料を作成した。尚、上記の基材上に、プライマー層と
光熱変換層を設けた構成で、780nmの波長光におけ
る透過率は30%であった。裏面層塗工液 アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、BR87) 20部 ポリメチルメタクリレート粒子 0.4部 (積水化成(株)製、MBX−20) メチルエチルケトン/トルエン(重量比1/1) 80部
【0058】(実施例2)実施例1のレーザー熱転写記
録材料において、光熱変換層を下記組成のものに変更し
た以外は、実施例1と同様にして、実施例2のレーザー
熱転写記録材料を作成した。光熱変換層塗工液 カーボンブラック 2部 ポリアルキルシロキサン40%アルコール溶液 15部 (日本合成ゴム(株)製、グラスカHP7506) ジルコニア化合物/硬化触媒10%アルコール溶液 1.5部 (日本合成ゴム(株)製、グラスカHPC406H)
【0059】(比較例1)実施例1のレーザー熱転写記
録材料において、光熱変換層を下記組成のものに変更し
た以外は、実施例1と同様にして、比較例1のレーザー
熱転写記録材料を作成した。光熱変換層塗工液 カーボンブラック 1部 ポリエステル樹脂 3部 (東洋紡績(株)製、バイロン、Tg:45℃) メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 36部 尚、上記の基材上に、プライマー層と光熱変換層を設け
た構成で、780nmの波長光における透過率は30%
であった。
【0060】次に、厚さ60μmの内部にミクロボイド
を有するフィルムに下記組成の剥離層をグラビアコート
により、塗工量を乾燥時で1.5μmで形成し、さらに
剥離層の上に、下記組成の受像層をグラビアコートによ
り、塗工量を乾燥時で1.5μmで形成して、受像シー
トを作成した。剥離層塗工液 ヒドロキシプロピルメチルセルロース 10部 (信越化学(株)製、メトローズ) 水 60部 イソプロピルアルコール 30部
【0061】受像層塗工液 スチレンアクリル樹脂(三洋化成(株)製、ハイマーSBM−100)10部 トルエン 90部
【0062】上記の実施例及び比較例の各レーザー熱転
写記録材料について、下記条件にて耐熱性、転写性と残
存率を調べた。耐熱性 上記に用意した実施例及び比較例の各レーザー熱転写記
録材料と、上記の受像シートを用いて、レーザー熱転写
記録材料の熱転写インキ層と、受像シートの受像層とを
接触させた状態で、図3に示すように、材料保持手段7
の吸引孔4からの吸引により受像シート2とレーザー熱
転写記録材料1が、XYステージの吸引平板7で真空密
着させ、下記条件で印字した時の光熱変換層の破壊の程
度を目視にて調べた。 出力:100mW レーザー集光径:20μm 印加パルス:11.4μsec
【0063】耐熱性を以下の基準にて評価した。 ○:光熱変換層の破壊が起こらない。 △:一部光熱変換層の破壊が起こる。
【0064】転写性 上記の耐熱性評価の印字条件と同様に、印字して、受像
シートへの熱転写インキ層の転写性を目視にて調べた。
評価は以下の基準にて行った。 ○:20±5μm径のドットを均一に形成している。 ×:ほとんど転写されていない。
【0065】残存率 上記の実施例及び比較例で用意した各光熱変換層塗工液
による光熱変換層単独を、熱重量測定(TG)により、
15℃/分の昇温条件で、500℃での残存率を、セイ
コー電子(株)製TG/DTA220を使用して測定し
た。
【0066】(評価結果)評価結果を下記表1に示す。
【表1】
【0067】
【発明の効果】以上のように、本発明のレーザー熱転写
記録材料によれば、基材上に、少なくとも近赤外線吸収
材料と無機系バインダーを主体とする光熱変換層、熱転
写インキ層を、この順に積層したレーザー熱転写記録材
料において、該無機系バインダーとして金属酸化物を用
いることにより、熱分解温度が高くなるため、耐熱性に
優れた光熱変換層となる。また、溶液状態の金属水酸化
物の重縮合を経て形成されるために、光熱変換層は基材
との密着性に優れ、高強度となる。さらに非熱可塑性バ
インダーであるために加熱時に軟化して熱転写インキ層
の箔持ちを上げて感度低下を引き起こすことがなく、高
感度な印字が可能となる。よって、本発明のレーザー熱
転写記録材料は、レーザー光による光熱変換層自身の破
壊を防止し、記録画像の鮮明性に優れ、高速記録が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザー熱転写記録材料を受像シート
と重ねて材料保持手段のドラムに巻き付けることを示す
斜視図である。
【図2】材料保持手段のドラム及びドラムの周辺を示す
全体概略構成図である。
【図3】材料保持手段の平板及び平板の周辺を示す全体
概略構成図である。
【符号の説明】
1 レーザー熱転写記録材料 2 受像シート 3 圧力ロール 4 吸引孔 5 材料保持手段(ドラム) 6 光学的書込み手段 7 材料保持手段(平板)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、少なくとも近赤外線吸収材料
    と無機系バインダーを主体とする光熱変換層、熱転写イ
    ンキ層を、この順に積層したレーザー熱転写記録材料に
    おいて、該無機系バインダーは金属酸化物であることを
    特徴とするレーザー熱転写記録材料。
  2. 【請求項2】 前記の金属酸化物は金属水酸化物の重縮
    合物であることを特徴とする請求項1に記載するレーザ
    ー熱転写記録材料。
  3. 【請求項3】 前記の金属水酸化物が金属水酸化物単
    独、金属水酸化物の水和物、複合金属水酸化物、または
    それらの混合物の組成を有することを特徴とする請求項
    2に記載するレーザー熱転写記録材料。
  4. 【請求項4】 前記の金属水酸化物が金属有機化合物、
    金属無機化合物、酸化物微粒子のうちの少なくとも一種
    を加水分解して得られることを特徴とする請求項2に記
    載するレーザー熱転写記録材料。
  5. 【請求項5】 前記の金属有機化合物が、金属アルコキ
    シド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレー
    トのうちの少なくとも一種であり、金属無機化合物が、
    硝酸塩、オキシ塩化物、塩化物のうちの少なくとも一種
    であることを特徴とする請求項4に記載するレーザー熱
    転写記録材料。
  6. 【請求項6】 前記の金属水酸化物が、有機高分子を共
    重合またはグラフト化されている有機無機複合金属水酸
    化物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに
    記載するレーザー熱転写記録材料。
  7. 【請求項7】 前記の金属水酸化物が、完全または部分
    加水分解された、ポリアルキルシロキサンであることを
    特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載するレーザー
    熱転写記録材料。
  8. 【請求項8】 前記の金属水酸化物が、完全または部分
    加水分解された、有機高分子を共重合またはグラフト化
    されているポリアルキルシロキサンであることを特徴と
    する請求項2〜7のいずれかに記載するレーザー熱転写
    記録材料。
  9. 【請求項9】 前記の光熱変換層は有機高分子を含んで
    いることを特徴とする請求項1に記載するレーザー熱転
    写記録材料。
  10. 【請求項10】 前記の近赤外線吸収材料が無機粒子材
    料であることを特徴とする請求項1に記載するレーザー
    熱転写記録材料。
  11. 【請求項11】 前記の近赤外線吸収材料がカーボンブ
    ラック、チタンブラック、黒色酸化鉄、複合酸化物のう
    ちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に
    記載するレーザー熱転写記録材料。
  12. 【請求項12】 前記の基材と光熱変換層の間にプライ
    マー層を設けることを特徴とする請求項1〜11のいず
    れかに記載するレーザー熱転写記録材料。
  13. 【請求項13】 前記の基材と光熱変換層の間にクッシ
    ョン層を設けることを特徴とする請求項1〜12のいず
    れかに記載するレーザー熱転写記録材料。
  14. 【請求項14】 前記の光熱変換層と熱転写インキ層の
    間に、剥離層を設けることを特徴とする請求項1〜13
    のいずれかに記載するレーザー熱転写記録材料。
  15. 【請求項15】 前記の熱転写インキ層の上に接着層を
    設けることを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記
    載するレーザー熱転写記録材料。
  16. 【請求項16】 前記の請求項1〜15のいずれかに記
    載するレーザー熱転写記録材料の熱転写インキ層と、基
    材シート上に受像層を設ける受像シートの該受像層とを
    接触させ、レーザー光を照射することにより該受像層上
    に画像を転写することを特徴とするレーザー熱転写記録
    方法。
  17. 【請求項17】 前記の受像層上に画像を転写後、該画
    像を被転写体に再転写することを特徴とする請求項16
    に記載するレーザー熱転写記録方法。
JP10165705A 1998-06-12 1998-06-12 レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法 Withdrawn JP2000001058A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10165705A JP2000001058A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10165705A JP2000001058A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000001058A true JP2000001058A (ja) 2000-01-07

Family

ID=15817498

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10165705A Withdrawn JP2000001058A (ja) 1998-06-12 1998-06-12 レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000001058A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112351890A (zh) * 2018-07-10 2021-02-09 爱克发-格法特公司 树脂基制品的近红外(nir)激光加工
EP3717528B1 (en) * 2017-11-27 2022-05-25 Chemours-Mitsui Fluoroproducts Co., Ltd. Tfe/pave-copolymer for shape memory molded article and shape memory molded article

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3717528B1 (en) * 2017-11-27 2022-05-25 Chemours-Mitsui Fluoroproducts Co., Ltd. Tfe/pave-copolymer for shape memory molded article and shape memory molded article
CN112351890A (zh) * 2018-07-10 2021-02-09 爱克发-格法特公司 树脂基制品的近红外(nir)激光加工

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7143615B2 (ja) 熱転写シートの融着方法
JP3705445B2 (ja) 光熱変換型ヒートモード受像材料及び記録材料
JP2000033780A (ja) レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法
JP2000001058A (ja) レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法
JPH1016395A (ja) 光熱変換型記録材料及び受像材料から成る画像形成材料、並びに画像形成方法
JP7200609B2 (ja) 熱転写シート
JPH11348438A (ja) レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法
JP3256278B2 (ja) 熱転写受像シート及びその製造方法
JP2000118144A (ja) レーザー熱転写画像形成方法、レーザー熱転写画像形成用インクシートおよびレーザー熱転写画像形成用受像シート
JPH11321137A (ja) レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法
JP2020055287A (ja) 熱転写シート、熱転写プリンター及びサーマルヘッドのクリーニング方法
JP2000001059A (ja) レーザー熱転写記録材料及びレーザー熱転写記録方法
JP2001322359A (ja) 熱転写シート
JP3341138B2 (ja) ヒートモードレーザー記録用材料
JPH0357696A (ja) 感熱転写記録媒体
JP2004188676A (ja) 熱転写シート及び捺印層形成方法
JP2022149711A (ja) 使用済み熱転写シートから情報漏洩を防止する方法
JP3215987B2 (ja) 熱転写受像材料
JPH10264542A (ja) 感熱転写用記録材料、感熱転写用受像材料及び画像形成方法
JP3868587B2 (ja) 熱転写シート及びその製造方法
JPH09150535A (ja) 画像形成方法
JPH0353985A (ja) 感熱転写記録媒体
JP2001010094A (ja) レーザー熱転写記録方法
JPH0558064A (ja) 帯電防止性に優れた感熱転写記録用受像シート
JP2000263948A (ja) レーザー熱転写用インクシート及び受像シート

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20050906