JPH0614863B2 - 抗腫瘍キラ−t細胞の誘導方法 - Google Patents

抗腫瘍キラ−t細胞の誘導方法

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JPH0614863B2
JPH0614863B2 JP61306260A JP30626086A JPH0614863B2 JP H0614863 B2 JPH0614863 B2 JP H0614863B2 JP 61306260 A JP61306260 A JP 61306260A JP 30626086 A JP30626086 A JP 30626086A JP H0614863 B2 JPH0614863 B2 JP H0614863B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、抗腫瘍キラーT細胞誘導材を使用し、白血球
細胞を活性化して腫瘍細胞障害性T細胞を誘導する方法
に関する。
(従来の技術) 周知の如く、生体の悪性腫瘍に対する免疫監視機構をに
なう抗腫瘍細胞としては、キラーT細胞、NK細胞、活
性化マクロファージ、K細胞等が重要な役割をはたして
いることが報告されている。したがって、悪性腫瘍に対
する免疫学的療法としては、癌患者免疫細胞(白血球)
を活性化して、これらの抗腫瘍細胞を効率的に誘導する
ことが考えられる。しかしながら、癌患者は一般的に、
癌の進行とともに免疫能が低下することが報告されてお
り、癌患者生体中においては、免疫応答を抑制する免疫
抑制因子の存在あるいはサプレッサーT細胞、サプレッ
サーマクロファージの誘導活性化が報告されている。
このような免疫能の抑制状態下にある癌患者生体中にお
いて、効率的な抗腫瘍細胞の誘導は困難であると言わな
ければならない。したがって、免疫抑制状態から解放さ
れた体外に患者白血球を取り出し、体外で効率的な抗腫
瘍細胞誘導活性化を行うことは、効果の高い新しい癌免
疫療法になると考えられる。
最近、体外に取り出した癌患者末梢血白血球に遺伝子組
み換えヒト・インターリューキン2を加えて培養させ、
患者白血球を活性化して、広範囲に腫瘍細胞だけを障害
し、患者正常細胞は障害しないキラーT細胞を誘導し
て、これを癌患者体内にもどすことにより、癌を治療す
る試みがなされている。
(発明が解決しようとする問題点) 前記の治療法は、癌患者から大量の末梢血単核細胞を取
り出し、無菌的に長期間、インターリューキン2の存在
下で培養した後に、癌患者に輸液注入するという操作面
で非常に煩雑であること、また、時間的にも1回の操作
あたり3日から4日の時間を要すること、さらには、一
人の患者あたり医師の相当な手間が必要なことから、莫
大な治療費がかかる等の問題がある。
本発明者らは、これら問題点を解決するため研究した結
果、従来の方法よりも操作性よく、さらに、強力な腫瘍
障害性細胞を誘導できる誘導材および誘導方法を提供し
てきた(特開昭60−120821号公報、特開昭60
−252423号公報)。すなわち、これら発明の誘導
材を使用することにより、前記治療法が操作性よく実施
できるようになった。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、上記の如き従来技術に基づく抗腫瘍免疫細胞
誘導法の問題点に鑑み、従来の方法よりも操作性、安全
性の点で実用的に向上させた抗腫瘍キラーT細胞の誘導
方法を提供するものである。
本発明者らは、上記目的に沿って鋭意研究した結果、白
血球を含む体液成分を抗腫瘍キラーT細胞の誘導可能な
誘導材を充填したカラムに、白血球のカラム内線速が5
×10-2cm/sec以下で、カラム内滞留時間が2分以上の
条件で通液することを特徴とする白血球細胞の活性化方
法によって、安全性の問題もなく抗腫瘍キラーT細胞を
強力に誘導できることを発見し、本発明を完成した。
本発明における白血球を含む体液成分とは、末梢血や末
梢血を遠心分離装置で処理した後に得られる白血球の豊
富な画分(バッフィーコート層)を指すが、リンパ管、
リンパ節、脾臓、骨髄、胸管から得られる白血球画分も
含まれる。
本発明における抗腫瘍キラーT細胞とは、培養癌細胞株
に対して障害機能を有し、かつ、細胞表面にT3抗原を
有するリンパ球画分をさしている。
本発明でいう抗腫瘍キラーT細胞の誘導可能な誘導材と
は、白血球細胞膜表面に存在する細胞表面抗原やレセプ
ターをはじめとするタンパク質、糖タンパク質、脂質、
糖脂質等の分子と接触することにより、抗腫瘍免疫細胞
を誘導できる水に不溶な物質であるが、例えば、不溶性
の担体表面に抗腫瘍キラーT細胞の誘導可能なリガンド
を固定させることによって得られる。
本発明において、担体表面に固定させる抗腫瘍キラーT
細胞誘導可能なリガンドとしては、レクチン、リンフオ
カイン類、モノカイン類、抗白血球抗体、プロテイン
A、リボポリサッカライド(LPS)、OK432、オ
リゴ糖などの生物由来の物質、および核酸塩基、ヌクレ
オシド、ヌクレオチド、ピラゾロ(3,4−d)ピリジン
やその誘導体、あるいはアニオン性基を有する有機化合
物等をリガンドとして例示することができる。
レクチンとしては、ファセオラス・ブルガリス(Phaseol
us vulgaris)由来のアカインゲンマメレクチン(PH
A)、コンカナバリア・エンシフォルミス(Concanavali
a ensiformis)由来のコンカナバリンA(Con A)、ウ
ィステリア・アオリバンダ(Wisteria aoribanda)由来の
ノダクジマメレクチン(WFA)、レンズ・キュリナス
(Lens culinaris)由来のレンズマメレクチン(LC
H)、フィトラッカ・アメリカーナ(Phytolacca americ
ana)由来のアメリカヤマゴボウレクチン(PWM)、グ
リシン・マックス(Glycine max)由来のダイズレクチン
(SBA)、フォセオラス・リメンシス(Phaseolus lim
ensis)由来のリママメレクチン(LBA)、ロビナ・プ
ソイドアカシア(Robina Pseudoacacia)由来のニセアカ
シアレクチン(RPA)、ソホラ・ジャポニカ(Sopnora
japonica)由来のイヌエンジニマメレクチン(SJ
A)、ピサム・サチバム(Pisum sativum)由来のエンド
ウマメレクチン(PSA)、ビシア・ファバ(Vicia fab
a)由来のソラマメレクチン(VFA)等が例示できる。
リンフォカイン類、モノカイン類としては、天然あるい
は遺伝子工学を用いて得られたインターリューキン1、
インターリューキン2、γ−インターフェロン、腫瘍壊
死因子(TNF)等を例示することができる。
抗白血球抗体としては、T細胞、単球、マクロファー
ジ、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)や、K細胞の表
面に存在する抗原、レセプターに対するモノクローナル
抗体、活性化リンパ球表面に存在するレセプターに対す
るモノクローナル抗体、およびクラスI抗原、クラスII
抗原に対するモノクローナル抗体が挙げられる。
たとえば、抗Leu-1抗体、抗Leu-2抗体、抗Leu-3抗体、
抗Leu-4抗体、抗Leu-5抗体、抗Leu-8抗体、抗Leu-9抗
体、抗Leu-15抗体、抗Leu-M3抗体、抗Leu-7抗体、抗Leu
-11抗体、抗IL-2レセプター抗体、抗トランスフェリン
レセプター抗体、抗HLA-DR抗体、抗HLA-DC抗体(以上、
ベクトン・ディッキンソン社製、USA)や、抗T3、
抗T4、抗T6、抗T8、抗T11、抗MI、抗DR、
抗T9、抗T10抗体等を例示できる。また、抗T細胞
抗原レセプター抗体や抗IL−2レセプター抗体も好ま
しく使用できる。抗T細胞抗原リセプター抗体として
は、T細胞抗原リセプターの抗原結合部位に対する抗イ
デイオタイプモノクローナル抗体が特に選択的活性化の
点で好ましい。
オリゴ糖としては、N−アセチルグルコサミン、N−ア
セチルガラクトサミン、ガラクトース、フコース、マン
ノース、グルコース、シアル酸の中の三つ以上から構成
される。たとえば、シアル酸、ガラクトース、N−アセ
チルグルコサミン、フコースから成るオリゴ糖、あるい
はガラクトース、N−アセチルグルコサミン、フコース
から成るオリゴ糖であり、たとえば、 Galβ→4GalNAcβ→3Galβ Fucα の構造を有するオリゴ糖が例示できる。
免疫細胞の刺激、活性化用のリガンドとしては、以上の
例示に限定されるものではなく、本発明の基材に固定し
て抗腫瘍キラーT細胞を誘導できるリガンドは全て使用
できる。
また、本発明の基材に2種以上のリガンドを保持させて
用いることもできる。さらには、リガンドを保持した材
料を2種以上併用して用いることもできる。
本発明で用いられる不溶性担体は、親水性担体、疎水性
担体いずれも使用できる。不活性担体の形状は、粒子
状、繊維状、中空糸状、膜状等いずれの公知の形状も用
いることができる。粒状もしくは球状不溶性担体として
は、粒径50ミクロン〜3000ミクロンのものが使用
できる。粒径50ミクロン以下では、白血球の大きさが
10ミクロン前後であることを考えると、誘導材を充填
したカラムに白血球を通液させる際に、誘導材がカラム
から流出することなく、白血球を通液させることは困難
である。とくに粒径100ミクロン以上であれば、圧力
の上昇もなく、白血球を通液させることが可能である。
粒径3000ミクロン以上では、白血球との担体単位重
量あたりの接触面積が低下するため好ましくない。特に
好ましくは、粒径200〜2000ミクロンのものであ
る。平膜状あるいは中空糸状多孔性担体を使用する場
合、その孔径が、細胞は通過できないが倍地成分は自由
に通過できる0.05〜10ミクロンのものを使用すれば、
膜の一方の面に結合した白血球に膜の他方の面より栄養
を補給でき、高濃度の白血球を刺激活性化することが可
能である。特に0.1〜5ミクロンの孔径の平膜状あるい
は中空糸状の多孔性担体が良好に使用できる。
不溶性担体の材質としては、無機ベースのものにあって
は活性炭、ガラス等およびその誘導体があり、天然高分
子由来担体には、セルロース、セファロース、デキスト
ラン、デンプン等の単細多糖類およびその誘導体があ
る。
また、合成高分子にあっては、ビニル系高分子には、ス
チレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エステル、アクリル
酸エステル、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メチルビニル
ケトン、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、エチ
レン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等およびそ
の誘導体の重合体および共重合体があり、環状化合物の
開環重合体には、ジメチルシクロプロパン、スピロ−ジ
−o−キシリレン、ノルボルネン、シクロブテン、トリ
オキサン、ラクチド、シクロポリシロキサン、塩化ホス
ホニトリル、N−カルボキシ−α−アミノ酸無水物等お
よびその誘導体の重合体および共重合体、ポリホルムア
ルデヒド、ポリエチレンオキシド、ポリブロピレングリ
コール、ポリ−3,3−ビス(クロルメチル)オキサシク
ロブタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラクタ
ム等およびその誘導体がある。
また、重縮合体には、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
アンヒドリド、ポリカーボネート、ポリ尿素、ポリスル
ホンアミド、ポリイミド、ポリベンゾイミダゾール等お
よびその誘導体があげられる。
樹脂その他のものにあっては、アクリル樹脂、メタクリ
ル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アミノ
樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン、シ
リコン樹脂、アルキド樹脂等およびその誘導体が例示で
きる。
以上にあげた高分子担体は、必要に応じた適当なコモノ
マー、架橋剤を用い、不溶化担体を得ることができ、架
橋剤にあっては、硫黄、有機過酸化物、フェノール樹
脂、ジイソシアナート、エポキシ化合物、ジエン、グル
タルアルデヒド等、被架橋物の官能基に合わせ、種々の
ものを選択できる(大成社,“架橋剤ハンドブック”,
p3〜77,1981)。
また、上記不溶性担体にコーティングを施した多層構造
を有した担体も使用できる。たとえば、活性炭やガラス
ビーズにポリヒドロキシルエチルメタクリレートをコー
ティングした担体等が使用できる。
リガンドを不溶性担体の表面に固定する方法としては、
共有結合、イオン結合、物理吸着等あらゆる公知の方法
を用いることができるが、溶出性から考えると、共有結
合で固定して用いることが望ましい。そのためには通常
固定化酵素、アフィニティクロマトグラフィで用いられ
る方法を用いることができる。例えば、臭化水素(CNBr)
でアガロース、セファロース等を活性化し、あるいはシ
リカガラスビーズをr−アミノプロピルトリエトキシシ
ランと反応させてアルキルアミノガラスを得、これをグ
ルタルアルデヒドで活性化し、結合させる等の方法を用
いることができる。また、必要に応じて、不溶性担体と
の間に任意の長さの分子(スペーサー)を導入して使用
することもできる。例えば、アガロースのヒドロキシル
基とヘキサメチレンジイソシアナートの片側のイソシア
ナート基を反応結合させ、残ったイソシアナート基と抗
体のアミノ基を反応結合させるごとく実施することがで
きる。
以上の要素よりなる本発明の誘導材の製造法は、その構
成容素の結合順序を規定したものではない。すなわち、
本発明で使用する誘導材は、基本的には不溶性担体表面
に抗腫瘍キラーT細胞を誘導可能なリガンドが1種以上
存在すればよいのであり、製造方法に左右されるもので
はない。
本発明の誘導材は、使用に際して、単一の不溶性担体表
面に1種以上のリガンドを結合した誘導材はもとより、
単一の不溶性担体表面に1種類のリガンドを結合させた
誘導材を複数組合わせて使用することも可能である。
本発明でいう白血球浮遊液のカラム内滞留時間とは、カ
ラム内に充填されている誘導材の排除容量(もしくは、
むだ容量)を流体を通過するのに要する時間である。
本発明でいう白血球浮遊液のカラム内線速とは、カラム
に充填されている誘導材の充填長を滞留時間で除した値
で、単位としてはcm/secで表わすことができる。
抗腫瘍キラーT細胞の誘導可能な誘導材を充填したカラ
ムを使用して、キラーT細胞を誘導するには、全血ある
いは白血球を含む体液成分のカラム内滞留時間が2分以
上、線速が5×10-2cm/sec以下の条件で通液して白血
球を活性化すればよい。しかしながら、滞留時間が2分
より短かいときには、白血球細胞膜表面の抗原やレセプ
ターと誘導材表面上のリガンドとの接触時間が充分でな
かったり、白血球細胞と誘導材の接触の確率が低下する
ため、白血球が充分に活性化されない。その結果、抗腫
瘍キラーT細胞の誘導効率が低下すると考えられる。滞
留時間が72時間より長くなると、白血球の生存率が低
下するため、充分な抗腫瘍キラーT細胞が誘導できな
い。全血あるいは白血球を含む体液成分のカラム内滞留
時間として、より好ましい範囲は4分から6時間であ
り、さらに好ましくは5分から3時間の範囲である。
線速に関しては、5×10-2cm/secより高速のときに
は、白血球と誘導材の接触が充分に起こらないめ、白血
球の活性化効率が低下する。全血あるいは白血球を含む
体液成分のカラム内線速として、より好ましくは2×1
-2cm/sec以下であり、さらに好ましくは1×10-2cm
/sec以下の範囲である。白血球を含む体液成分を誘導材
充填カラムに導入後、一定時間静置して白血球と誘導材
を接触させて、白血球を活性化することも可能である。
重要なことは、白血球を含む体液成分を誘導材充填カラ
ム内に通液させる間に、5×10-2cm/sec以下の線速で
2分間以上通液させる条件を設けてやればよく、この条
件を満たせば、あとは任意の線速で通液できる。
誘導材充填カラムに通過させる体液中の白血球濃度とし
ては、5×109個/ml以下の範囲が好ましい。体液中
の白血球濃度が5×109個/ml以上では、誘導材単位
容量当りの白血球数が極めて多量になることから、効率
的に白血球を活性化できない。
したがって、白血球の活性化効率から考えて、より好ま
しい白血球濃度としては1×109個/ml以下であり、
さらに好ましくは5×108個/ml以下である。
全血または白血球を含む体液成分を誘導材充填カラムに
通過させるときの温度としては、15℃から40℃の範
囲が好ましい。温度が15℃以下では、白血球は有効に
活性化されず、温度が40℃以上では白血球の生存率は
低下する。
全血または白血球浮遊液を誘導材と接触させて活性化す
るときに、インターリューキン2および/またはガンマ
・インターフェロンを添加してやると、さらに強力に抗
腫瘍キラーT細胞を誘導できる。
上記のようにして得られた活性化白血球は、強力な腫瘍
障害細胞を含有する。すなわち、誘導材充填カラムを通
過させた白血球を自己血清20%含有RPMI1640
培地(ニッスイ)中、5%CO2インキュベーター内で3
7℃で20時間培養した後、各種ヒト腫瘍細胞に作用さ
せたところ、 ZR75−30乳癌細胞、MKN−1胃癌細胞、PC−
9肺癌細胞、NBT−2膀胱癌細胞等を強く障害した。
(実施例) 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1 不溶性担体として、メチルメタアクリレート〜ジビニル
ベンゼン共重合体(80:20重量%)の粒子(350
〜500μm)を作製した。次に、2−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレートとジエチルアミノエチルメタアクリ
レートとのランダム共重合体の2%wt/vメタノール溶液
を調製し、上記の不溶性担体にコーティングを施した。
この多層構造を有した不溶性担体に、ハロゲン化シアン
(CNBr)を用いた方法(アフィニティクロマトグラフィー
p.30〜p.49,千畑一郎・土佐哲也・松尾雄志著.197
6)で、アメリカヤマゴボウレクチン(PWM)を結合
した誘導材を得た。
誘導材1.4mlを直径0.6cmの円筒型のカラムに充填し、0.
5%ヘパリン添加生理食塩水で洗浄して、誘導材充填カ
ラムとして使用した。
ヒト白血球は次のようにして得た。すなわち、採血した
ヒト末梢血をハンクス液で2倍希釈し、フィコールパッ
ク液(ファルマシア社製)に重層し、2000rpmで2
0分間遠心分離した後、中間層の白血球層を分離して、
これをハンクス液で洗った後、ヘパリン加自己血漿を2
0%添加したRPMI1640培地(ニッスイ)に2×
106個/mlの細胞濃度で浮遊させた。
白血球浮遊液の誘導材充填カラムへの通液法を以下に示
す。
上記の誘導材充填カラムに2×106個/mlに調製した
白血球浮遊液7mlをカラム内滞留時間が10分になるよ
うに通液させた。白血球のカラム通液は、37℃の加温
下で実施した。カラムを通液させた白血球は、CO2イン
キュベーター中、37℃で20時間培養して、キラー活
性の測定に供した。
抗腫瘍免疫細胞誘導材カラムで活性化された白血球の癌
細胞障害性は、次のようなキラー活性測定法を用いて評
価した。
標的細胞として、培養プレートに付着して増殖する種々
のヒト癌細胞株を、5×104/mlの細胞濃度で10%
牛胎児血清添加RPMI1640培地に浮遊させ、これ
を10μlずつ10μl容テラサキプレートに分注し、
CO2インキュベーター中で温度37℃で培養する。24
時間培養を行うと、癌細胞は培養プレート底面に強く付
着する。これを培養液で洗った後、自己血清10%添加
RPMI1640培地に、5×104/mlの細胞濃度で
浮遊させた活性化白血球液10μlを添加し、37℃で
4時間、CO2インキュベーター中で培養し、プレートに
付着している癌細胞を障害させる。障害を受けた癌細胞
は、プレート底面への付着性を喪失し、ハンクス液で洗
うと、白血球とともに除去される。生残してプレート底
面に付着している癌細胞をアセトンで固定し、ギムザ液
で染色した後、顕微鏡で計数する。キラー活性は次式に
より計算する。
キラー活性={1−〔(活性化白血球を添加した場合の
の生存腫瘍細胞数)/(活性化白血球を添加しない場合
の生存腫瘍細胞数)〕}×100(%) 前述の条件下で誘導材充填カラムに通液させた白血球の
各種ヒト癌細胞に対する障害性を表1に示した。
実施例2 実施例1で示した誘導材を充填したカラムの直径が1.3c
mであり、白血球浮遊液のカラム内滞留時間が2分にな
るように設定した以外は、全て実施例1と同様に実験を
行なった。
白血球浮遊液のカラム通液条件と活性化白血球の各種ヒ
ト癌細胞に対する障害性を表1に示した。
実施例3 実施例1で示した誘導材充填カラムの直径が0.34cmであ
り、白血球浮遊液のカラム内滞留時間が30分になるよ
うに設定した以外は、全て実施例1と同様に実験を行な
った。
白血球浮遊液のカラム通液条件と活性化白血球の各種ヒ
ト癌細胞に対する障害性を表1に示した。
比較例1 実施例1で示した誘導材を充填したカラムの直径が2.68
cmであり、白血球浮遊液のカラム内滞留時間が0.5分に
なるように設定した以外は、全て実施例1と同様に実験
を行なった。
表1に、白血球浮遊液のカラム通液条件とカラム通過白
血球の各種ヒト癌細胞に対する障害性を示した。
実施例4 実施例1と同様にして調製した誘導材1.4mlを直径0.90c
mの円筒型のカラムに充填し、0.5%ヘパリン添加生理食
塩水で洗浄して、誘導材充填カラムとして使用した。
この誘導材充填カラムに、実施例1と同様の方法で得た
ヒト白血球浮遊液(細胞濃度:2×106/ml)7mlをカ
ラム内線速が3.3×10-3cm/secになるように通液させ
た。白血球のカラム通液は、37℃の加温下で行なっ
た。カラムを通過させた白血球は、CO2インキュベータ
ー中、37℃で20時間培養して、実施例1と同じ方法
でキラー活性を測定した。その結果を表2に示す。
実施例5 白血球を通液させるときに、直径0.29cmの円筒型カラム
を使用して、白血球浮遊液のカラム内線速が3.1×10
-2cm/secになるように通液させた以外は、全て実施例4
と同様に実験を行なった。その結果を表2に示す。
比較例2 白血球を通液させるときに、直径0.16cmの円筒型カラム
を使用して、白血球浮遊液のカラム内線速が0.1cm/sec
になるように通液させた以外は、全て実施例4と同様に
実験を行なった。
その結果を表2に示す。
実施例6 白血球浮遊液を誘導材充填カラムへ導入後、一定時間静
置することによって白血球を活性化する方法について示
す。
実施例1と同様の方法で調製した誘導材2mlを直径1cm
の円筒型のカラムに充填し、0.5%ヘパリン添加生理食
塩水で洗浄して、誘導材充填カラムとして使用した。こ
のカラムに、実施例1と同じ方法で得た白血球浮遊液
(2×106個/ml)1mlをポンプを用いて導入する。
導入後、15分間静置させたあとに、自己血清を20%
添加させたRPMI1640培地2mlをポンプで流して
カラム内の白血球を回収した。白血球のカラム通液は3
7℃の加温下で実施した。
回収した白血球は、CO2インキュベーター中、37℃
で20時間培養して、実施例1と同様のキラー活性の測
定に供した。
誘導材充填カラムの通液により活性化した白血球のMK
N−1胃癌細胞、NBT−2膀胱癌細胞、ZR75−3
0乳癌細胞、PC−9肺癌細胞に対する障害性は、それ
ぞれ65%、60%、70%、60%であった。
実施例7 実施例6と同様の誘導材充填カラムおよび20%自己血
清含有RPMI1640培地に、細胞濃度5×106
/mlで浮遊させたヒト白血球を使用した。
白血球浮遊液の誘導材充填カラムへの通液法を以下に示
す。
誘導材充填カラム(2mlの誘導材を充填)に、上記白血
球浮遊液1mlをポンプを用いて導入する。導入後、30
分間静置させたあと、さらに白血球浮遊液1mlをポンプ
で導入すると同時に、先にカラム内に導入していた白血
球浮遊液を回収する。この操作を4回繰り返し、最後に
カラム内に導入した白血球は、30分間静置させたあと
に、自己血清を20%添加したRPMI1640培地2
mlをポンプで流して白血球を回収した。誘導材充填カラ
ムは37℃に加温しておいた。
上記のように、間欠的に白血球を誘導材充填カラムに導
入して刺激した白血球を回収して、CO2インキュベー
ター中、37℃で20時間培養して、キラー活性の測定
に供した。
この活性化白血球のMKN−1胃癌細胞、NBT−2膀
胱癌細胞、ZR75−30乳癌細胞、PC−9肺癌細胞
に対する障害性は、それぞれ60%、55%、65%、
60%であった。
実施例8 遺伝子工学を用いて得られたインターリューキン2(レ
コンビナントIL−2)を、実施例1で使用した不溶性
担体にハロゲン化シアン(CNBr)を用いた方法で結合した
誘導材を得た。誘導材としてインターリューキン2を固
定化した不溶性担体を使用した以外は、全て実施例1と
同様にして白血球浮遊液を誘導材充填カラムへ通液させ
た。
上記の条件で通液した白血球の抗腫瘍キラー活性を実施
例1と同様の方法で評価したところ、MKN−1胃癌細
胞、NBT−2膀胱癌細胞、ZR75−30乳癌細胞に
対する障害性は、それぞれ30%、30%、35%であ
った。
実施例9 OKT3モノクローナル抗体(オーソ・ダイアグノステ
ィック・システム株式会社製)を、ブロティンA−セフ
ァロース4B(ファルマシア社製)を用いたアフィニテ
ィクロマトグラフィーにより精製し、この精製抗体をリ
ガンドとして実施例1で使用した不溶性担体に、ハロゲ
ン化シアン(CNBr)を用いた方法で結合した誘導材を得
た。上記誘導材を使用して、実施例8と同様にカラム通
液した白血球の抗腫瘍キラー活性は、MKN−1胃癌細
胞、NBT−2膀胱癌細胞、ZR75−30乳癌細胞に
対する障害性は、それぞれ35%、30%、30%であ
った。
(発明の効果) 本発明の抗腫瘍免疫細胞の活性化方法は、白血球(免疫
細胞)を効率良く、かつ操作性よく、強力に抗腫瘍免疫
細胞を誘導するものである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗腫瘍キラーT細胞を誘導する方法におい
    て、全血もしくは白血球浮遊液を抗腫瘍キラーT細胞を
    誘導可能な誘導材を充填したカラムに、滞留時間が2分
    以上、線速が5×10-2cm/sec以下の条件で通液するこ
    とを特徴とする抗腫瘍キラーT細胞の誘導方法。
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