JPH0376288B2 - - Google Patents

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JPH0376288B2
JPH0376288B2 JP16857285A JP16857285A JPH0376288B2 JP H0376288 B2 JPH0376288 B2 JP H0376288B2 JP 16857285 A JP16857285 A JP 16857285A JP 16857285 A JP16857285 A JP 16857285A JP H0376288 B2 JPH0376288 B2 JP H0376288B2
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leukocytes
cell
tumor
cancer
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JP16857285A
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Kimimasa Yamada
Toshinori Kaieda
Naokuni Yamawaki
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、血液細胞中の免疫細胞を活性化して
抗腫瘍免疫細胞を誘導する機能を有する免疫細胞
刺激剤に関する。 (従来の技術) 周知の如く、生体の悪性腫瘍に対する免疫監視
機構をになう抗腫瘍細胞としては、キラーT細
胞、NK細胞、活性化マクロフアージ、K細胞等
が重要な役割をはたしていることが報告されてい
る。したがつて、悪性腫瘍に対する免疫学的療法
としては、癌患者免疫細胞(白血球)を活性化し
て、これらの抗腫瘍細胞を効率的に誘導すること
が考えられる。しかしながら、癌患者は一般的
に、癌の進行とともに免疫能が低下することが報
告されており、癌患者生体中においては、免疫応
答を抑制する免疫抑制因子の存在あるいはサプレ
ツサーT細胞、サプレツサーマクロフアージの誘
導活性化が報告されている。 このような免疫能の抑制状態下にある癌患者生
体中において、効率的な抗腫瘍細胞の誘導は困難
であると言わなければならない。したがつて、免
疫抑制状態から解放された体外に患者白血球を取
り出し、体外で効率的な抗腫瘍細胞誘導活性化を
行うことは、効果の高い新しい癌免疫療法になる
と考えられる。 キラーT細胞は、抗腫瘍細胞の中でも特に抗癌
免疫において主役をはたしていると考えられてい
るが、これを体外で誘導活性化しようとする研究
が精力的になされてきた。すなわち、体外に取り
出した癌患者未梢血白血球に、摘出した患者腫瘍
細胞を感作させ、患者白血球を活性化して、特異
的に患者腫瘍細胞だけを障害し、患者正常細胞は
障害しないキラーT細胞を誘導して、これを癌患
者体内にもどすことにより、癌を治療しようとす
る試みである。 しかしながら、この方法で誘導したキラーT細
胞は、治療効果を期待できるほど強力ではないた
め、リンフオカインの1種であるT細胞増殖因子
を用いて培養し、大量に増殖させた後、患者に投
与する方法が考えられている。 (発明が解決しようとする問題点) 前記の方法は、T細胞増殖因子が遺伝子操作の
技術により工業的大量生産が可能となり、大量の
T細胞増殖因子が使用できることが現実化してき
たために実施可能ではあるが、キラーT細胞を体
外で長期間培養することによる細胞の変質等の問
題がある。また、そのほかにも実用化するには困
難な種々の問題点があり、例えば、キラーT細胞
の誘導のために患者腫瘍細胞と手術が必要なこ
と、試みた癌患者の一部にのみキラーT細胞の誘
導が可能で、全例で誘導されるわけではないこ
と、操作が非常に煩雑であること等、解決されな
ければならない問題点が多い。 (問題点を解決するための手段) 本発明は、上記の如き従来技術に基づく抗腫瘍
免疫細胞誘導の問題点に鑑み、従来の方法よりも
実用性、操作性、安全性の点で飛躍的に向上させ
た抗腫瘍免疫細胞誘導用刺激剤を提供するもので
ある。 本発明者らは、上記目的に沿つて鋭意研究した
結果、核酸塩基、ヌクレオシド、ヌクレオチドお
よびそれらの化学修飾誘導体を共有結合で不溶性
担体に結合させた刺激剤を、ヒト末梢血白血球ま
たはマウス脾臓細胞白血球に接触させたところ、
強力な腫瘍障害性細胞が誘導されることを見出
し、先に特許出願した(特願昭59−208066)。 本発明者らは、さらに強力な腫瘍障害性細胞を
誘導する刺激材を見出すため、鋭意研究した結
果、ピラゾロ(3,4−d)ピリミジンおよびそ
の1位、3位、4位、6位の少なくとも1ケ所の
位置に、アミノ基、水酸基、メルカプト基の中か
ら選ばれる置換基を導入したピラゾロ(3,4−
d)ピリミジン誘導体を共有結合で不溶性担体に
結合させた刺激剤を、ヒト末梢血白血球またはマ
ウス脾臓細胞白血球に接触させたところ、驚くべ
きことに、極めて強力な腫瘍障害性細胞と抗腫瘍
ヘルパ−T細胞が誘導されることを見出し、本発
明を完成するに至つた。 すなわち、細胞浮遊液中に溶解した状態では細
胞活性化能を持たないピラゾロ(3,4−d)ピ
リミジン誘導体が不溶性担体に結合した状態で、
ヒトおよびマウスの白血球を活性化する能力を有
し、この活性化白血球を腫瘍細胞と混合したとこ
ろ、5時間の培養でほとんどの腫瘍細胞が障害を
うけて破壊され、さらに、この活性化白血球を腫
瘍細胞と活性化されていない白血球の系に加える
と、白血球の腫瘍細胞に対する障害能が増強さ
れ、強力な腫瘍障害性細胞と抗腫瘍ヘルバーT細
胞が誘導されていることを見出したのであり、こ
の知見に基づく本発明は、ピラゾロ(3,4−
d)ピリミジンおよびその1位、3位、4位、6
位の少なくとも1ケ所の位置に、アミノ基、水酸
基、メルカプト基の中から選ばれる置換基を導入
したピラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体の
少なくとも1種の不溶性担体の表面に結合させた
ことを特徴とする抗腫瘍免疫細胞誘導用刺激材で
ある。 本発明における不溶性担体の表面とは、細胞す
なわち白血球細胞膜表面に存在する細胞表面抗原
やレセプターをはじめとするタンパク質、糖タン
パク質、脂質、糖脂質と接触可能な担体の材料表
面をさしている。 本発明における白血球とは、血液細胞のうち赤
血球および血小板を除いた、いわゆる白血球を指
すが、梢血に限らず、リンパ管、リンパ節、脾
臓、胸管から得られる白血球分画も、本発明にお
ける白血球の概念に含まれる。また、この白血球
より顆粒球あるいはB細胞を除去した細胞分画
も、本発明における白血球の概念に含まれる。本
発明において活性化を行う白血球は、例えば、連
続遠心分離法にて末梢血より採取した白血球分画
を用いてもよく、また、フイコールパーク重層遠
心分離法にて分離した単核細胞分画でもよく、あ
るいは末梢血単核細胞より公知のノイラミニダー
ゼ処理羊赤血球とのロゼツト形成で分離濃縮した
T細胞分画を使用しても、強力な腫瘍障害性細胞
の誘導が可能である。 本発明において誘導活性化する腫瘍障害性細胞
は、白血球の中で顆粒球、単球、マクロフアージ
を除くリンパ球分画に属し、とりわけT細胞の性
質を有している。 本発明において用いる不溶性担体に結合するピ
ラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体として
は、ピラゾロ(3,4−d)ピリミジン、すなわ
ち、ピラゾロ(3,4−d)ピリミジン、4−ア
ミノピラゾロ(3,4−d)ピリミジン、6−ア
ミノピラゾロ(3,4−d)ピリミジン、4−ア
ミノ−6−ヒドロキシピラゾロ(3,4−d)ピ
リミジン、4−アミノ−6−メルカプトピラゾロ
(3,4−d)ピリミジン等が挙げられる。中で
も、4−アミノピラゾロ(3,4−d)ピリミジ
ン、4−アミノ−6−ヒドロキシピラゾロ(3,
4−d)ピリミジンが最も好ましい結果を与え
る。これらを単に一つだけ結合するのではなく、
複数の種類を不溶性担体に係合してもさしつかえ
ない。 これらの物質は、固定時の取扱いが容易であ
り、担体から溶出した場合にも、生体に対する安
全性は極めて高い。また、刺激剤の滅菌操作も容
易に行うことができる。 本発明で用いられる不溶性担体は、親水性担
体、疏水性担体いずれも使用できる。不溶性担体
の形状は、粒子状、繊維状、中空糸状、膜状等い
ずれの公知の形状も用いることができる。粒状も
しくは球状不溶性担体としては、粒径1〜3000ミ
クロンのものが使用できる。粒径1ミクロン以下
では、活性化白血球との分離困難である。特に粒
径50ミクロン以上であれば、容易に活性化白血球
との濾過分離が可能であり、粒径3000ミクロン以
上では、白血球との担体単位重量あたりの接触面
積が低下するため好ましくない。特に好ましく
は、粒径80〜2000ミクロンのものである。また、
粒状もしくは球状不溶性担体の比重が1.07以上で
あれば、容易に活性化白血球との遠心もしくは静
置による分離が可能である。 また、平膜状あるいは中空糸状多孔性担体を使
用する場合、その孔径が、細胞は通過できないが
培地成分は自由に通過できる0.05〜10ミクロンの
ものを使用すれば、膜の一方の面に結合した白血
球に膜の他方の面より栄養を補給でき、高濃度の
白血球を刺激活性化することが可能である。特に
0.1〜5ミクロンの孔径の平膜状あるいは中空糸
状の多孔性担体が良好に使用できる。 繊維状担体を用いる場合には、その繊維径が1
〜3000ミクロン、より好ましくは50〜2000ミクロ
ンの範囲にあるものがよい。繊維径が大きすぎる
場合には、白血球と繊維との接触頻度が低下し、
白血球の充分な活性化が起こらず、小さすぎる場
合には、血球の非特異的粘着や目づまりを起こし
やすい。繊維状の担体としては、再生セルロース
系繊維、ナイロン、アクリル、ポリエステル等公
知のものが使用できる。 不溶性担体の材質としては、無機ベースのもの
にあつては活性炭、ガラス等およびその誘導体が
あり、天然高分子由来担体には、セルロース、セ
フアロース、デキストラン、デンプン等の単純多
糖類およびその誘導体がある。 また、合成高分子にあつては、ビニル系高分子
には、スチレン、酢酸ビニル、メタクリル酸エス
テル、アクリル酸エステル、ハロゲン化ビニル、
ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、アク
リルアミド、メチルビニルケトン、ビニルピロリ
ドン、2−ビニルピリジン、エチレン、プロピレ
ン、ブタジエン、イソプレン等およびその誘導体
の重合体および共重合体があり、環状化合物の開
環重合体には、ジメチルシクロプロパン、スピロ
ージ−o−キシリレン、ノルボルネン、シクロブ
テン、トリオキサン、ラクチド、シクロポリシロ
キサン、塩化ホスホニトリル、N−カルボキシ−
α−アミノ酸無水物等およびその誘導体の重合体
および共重合体、ポリホルムアルデヒド、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレングリコール、ポ
リ−3,3−ビス(クロルメチル)オキサシクロ
ブタン、ポリテトラヒドロフラン、ポリカプロラ
クタム等およびその誘導体がある。 樹脂その他のものにあつては、アクリル樹脂、
メタクリル樹脂、フツ素樹脂、エポキシ樹脂、尿
素樹脂、アミノ樹脂、スチレン樹脂、メラミン樹
脂、ポリウレタン、シリコン樹脂、アルキド樹脂
等およびその誘導体が例示できる。 また、重縮合体には、ポリエステル、ポリアミ
ド、ポリアンヒドリド、ポリカーボネート、ポリ
尿素、ポリスルホンアミド、ポリイミド、ポリベ
ンゾイミダゾール等およびその誘導体が挙げられ
る。 以上に挙げた高分子担体は、必要に応じた適当
なコモノマー、架橋剤を用い、不溶性担体を得る
ことができ、架橋剤にあつては、硫黄、有機過酸
化物、フエノール樹脂、ジイソシアナート、エポ
キシ化合物、ジエン、グルタルアルデヒド等、被
架橋物の官能基に合わせ、種々のものを選択でき
る(大成社、“架橋剤ハンドブツク”、P3〜77、
1981)。 本発明の不溶性担体の表面は、多孔質構造を有
するものが、その抗腫瘍細胞誘導活性よりみて好
ましく用いられる。 不溶性担体表面の多孔質構造は、平均孔径50Å
ないし3000Åの範囲にあるものが好ましいが、平
均孔径が小さすぎる場合には、細胞表面に存在す
るタンパク質、糖タンパク質、脂質、糖脂質等の
細胞表面分子と不溶性担体材料表面の充分な接触
が得られず、孔径が大きすぎる場合には、不溶性
担体の強度が低下するため実用的ではない。細胞
表面分子と充分な接触が得られ、実用的に用いら
れる担体の孔径としては、より好ましくは100Å
ないし2000Åの範囲である。 平均孔径の測定は、水銀圧入式ポロシメーター
によつて行うことができる。この方法は多孔性物
質に水銀を圧入してゆき、浸入した水銀量から気
孔量を、圧入に要する圧力から孔径を求める方法
であり、40Å以上の孔を測定することができる。
平均孔径は、孔径をr、ポロシメーターで測定し
た累積気孔量をvとしたとき、dv/dlogrの値が
最大となるときのrの値とする。 多孔質構造を有する不溶性担体の中でも、架橋
共重合体は、物理特性の面でも耐熱性を有するこ
とから、熱滅菌を可能ならしめ、さらには合成高
分子の特性である物理的機械的強度に優れてい
る。 一例を挙げると、ビニル系モノマーとビニル系
またはアリル系架橋剤との共重合により作ること
ができる。この場合のビニル系モノマーとして
は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボ
ン酸のビニルエステル類、メチルビニルエーテ
ル、エチルビニルエーテル等のビニルエテール
類、ビニレンカーボネート類を例示することがで
きる。 架橋剤としては、トリアリルイソシアヌレー
ト、トリアリルシアヌレート等のアリル化合物
類、エチレングリコールジメタアクリレート、ジ
エチレングリコールジメタアクリレート等のジ
(メタ)アクリレート類、ブタンジオールジビニ
ルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエー
テル、テトラビニルグリオキザール等のポリビニ
ルエーテル類、ジアリリデンペンタエリスリツ
ト、テトラアリロキシエタンのようなポリアリル
エーテル類、グリシジルメタクリレート等のグリ
シジルアクリレート類を用いることができる。ま
た、必要に応じて、他のコモノマーを共重合した
ものも用いることができる。 ビニル系共重合体の場合には、カルボン酸のビ
ニルエステルとイソシアヌレート環を有するビニ
ル化合物(アリル化合物)を共重合し、共重合体
を加水分解して得られるポリビニルアルコールの
トリアリルイソシアヌレート架橋体が、強度、化
学的安定性、耐熱安定性の面での良好な担体を与
える。 以上、ビニル系共重合体の場合を例示したが、
本発明は、これに限定されるものではない。 ピラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体を、
不溶性担体の表面に固定する方法としては、共有
結合、イオン結合、物理吸着等あらゆる公知の方
法を用いることができるが、溶出性から考える
と、共有結合で固定して用いることが望ましい。
そのためには通常固定化酵素、アフイニテイクロ
マトグラフイで用いられる方法を用いることがで
きる。例えば、臭化水素(CNBr)でアガロー
ス、セフアロース等を活性化し、あるいはシリカ
ガラスビーズをγ−アミノプロピルトリエトキシ
シランと反応させてアルキルアミノガラスを得、
これをグルタルアルデヒドで活性化し、結合させ
る等の方法を用いることができる。また、必要に
応じて、不溶性担体との間に任意の長さの分子
(スペーサー)を導入して使用することもできる。
例えば、アガロースのヒドロキシル基とヘキサメ
チレンジイソシアナートの片側のイソシアナート
基を反応結合させ、残つたイソシアナート基とピ
ラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体のアミノ
基を反応結合させる如く実施することができる。 本発明で不溶性担体に結合させるピラゾロ
(3,4−d)ピリミジン誘導体の量は、不溶性
担体の比表面積1m2あたり0.05μmolないしは
500μmolの範囲であり、より好ましくは0.5μmkl
ないしは50μmolの範囲である。 比表面積とは、乾燥架橋共重合体単位重量あた
りに吸着した窒素ガスが占有する表面でもつて表
示したものである。 本発明の比表面積の測定は、最も一般的な窒素
ガスによるベツト法(BET法)で求めた。 以上の要素よりなる本発明の刺激剤の製造法
は、その構成要素の結合順序を規定したものでは
ない。具体的には、ピラゾロ(3,4−d)ピリ
ミジン誘導体の導入法において、これらをモノマ
ーに結合して重合を行う方法や、これらを活性化
後、不溶性担体に結合させることも可能である。
すなわち、本発明は、基本的には不溶性担体の表
面にピラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体の
1種以上を有すればよいのであり、製造方法に左
右されるものではない。 刺激材による白血球の活性化は、血清成分含有
培地で行うと強力な腫瘍障害性細胞の誘導が可能
である。すなわち、牛胎児血清、牛血清、馬血清
等の動物血清あるいはヒト血清を2〜20%含有し
た培地を調製する。この場合の培地は、動物細胞
培養に一般的に用いられる培地、例えば、RPMI
1640培地、MEM培地等が使用できる。また、血
清成分、例えば、血清アルブミンを添加した
RPMI 1640培地でも使用が可能である。また、
誘導期間中にインタリユーキン2を添加しても、
より強力な腫瘍障害性細胞を誘導できる。 調製した培地中に、種々の方法で採取した白血
球を0.5〜3×106個/mlの細胞濃度で浮遊させ、
これに適当量の刺激材を添加し、温度25〜46℃で
培養を行う。温度25℃以下ではほとんど有効な白
血球の活性化が起こらず、温度45℃以上では白血
球の生存率が低下する。培養は市販の細胞培養用
のプラスチツク製容器を使用し、CO2インキユベ
ーター中で行えば簡便である。培養数時間で白血
球は刺激材に付着し活性化される。 このようにして活性化した白血球は、強力な腫
瘍障害細胞と抗腫瘍ヘルパーT細胞を含有するこ
とを見出した。すなわち、刺激剤で活性化したヒ
ト末梢血白血球をヒト腫瘍細胞に作用させたとこ
ろ、MKN−1胃癌細胞、PC−10肺癌細胞を強
く障害し、この活性化白血球をヒト腫瘍細胞
(MKN−1胃癌細胞)と活性化していないヒト
白血球を混合した系に加えることにより、腫瘍細
胞に対する障害能が増強した。また、刺激剤で活
性化したBALB/cマウス脾臓の白血球は、
Colon26(BALB/c由来腫瘍細胞)に対し
て、強力な腫瘍障害活性と抗腫瘍ヘルパーT細胞
活性を有していた。 (発明の効果) 本発明の刺激材は、以上述べてきたように、患
者白血球を効率よく活性化し、安全にかつ操作性
よく、強力な腫瘍障害性細胞および抗腫瘍ヘルパ
ーT細胞を誘導するものであり、胃癌、肺癌、乳
癌、肝癌等の癌治療はもとより、胆癌患者のリン
パ球機能検査や、マウス、ラツト、ウサギ等の動
物実験において、抗腫瘍免疫の研究等に用いよう
とするものである。 (実施例) 実施例 1 刺激剤の調製は、次のようにして行つた。すな
わち、ポリビニルアルコール系ゲル(ポリビニル
アルコールとトリアリルイソシアナートの共重合
体:粒径140〜210μm)をエピクロロヒドリン法
(アフイニテイクロマトグラフイー、千畑一郎著、
講談社サイエンテイフイク、1976年、P71)によ
つて、エポキシ活性化ゲルとし、これに各種ピラ
ゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導体の5%水酸
化カリウム溶液を添加し、50℃にて24時間振盪し
て結合せしめ、PH4、0.1M酢酸バツフアー、PH
8.5炭酸ナトリウムバツフアーで繰り返し洗浄後、
生理食塩水で洗浄、オートクレーブ滅菌して実験
に供した。不溶性担体のピラゾロ(3,4−d)
ピリミジン誘導体保持量は、初めに添加した量よ
り、結合反応後の上清中の量をさし引いて結合量
を求め計算したところ、不溶性担体1mlあたり
20μmolないし200μmolであつた。この不溶性担
体の比表面積は、1mlあたり20m2であるため、比
表面積あたりの保持量は1μmolないし10μmolに
相当する。 ヒト白血球は次のようにして得た。すなわち、
採血したヒト末梢血をハンクス液で2倍希釈し、
フイコールパーク液(フアルマシア社製)に重層
し、2000rpmで20分間遠心分離した後、中間層の
白血球層を分離して、これをハンクス液で洗つた
後、自己血清を10%添加したRPMI 1640培地
(ニツスイ)に2×108/mlの細胞濃度で浮遊させ
た。この細胞浮遊液を1mlずつ、細胞培養用の2
mlウエル(フアルコンNo.3047)に分注し、これに
刺激剤を10μずつ添加し、CO2インキユベータ
ー中で温度37℃で培養を行つた。60時間培養を行
つた後、培養液をピペツテイングして活性化白血
球を刺激剤表面からはがして静置すると、刺激剤
は容器の底に沈下するので、上清細胞液を取り、
これをハンクス液で洗つた後、自己血清10%添加
RPMI 1640培地に5×106/mlの細胞濃度で浮遊
させた。 この活性化白血球が腫瘍細胞障害性を有するか
どうかは、次のようなキラー活性測定法を用いて
評価した。培養プレートに付着して増殖する種々
のヒト癌細胞株を標的細胞として、5×104/ml
の細胞濃度で10%牛胎児血清添加RPMI 1640培
地に遊有させ、これを10μずつ10μ容テラサ
キプレートに分注し、CO2インキユベーター中で
温度37℃で培養する。24時間培養を行うと、癌細
胞は培養プレート底面に強く付着する。これを培
養液で洗つた後、活性化白血球浮遊液10μを添
加し、37℃で4時間、CO2インキユベーター中で
培養し、プレートに付着している癌細胞を障害さ
せる。障害を受けた癌細胞は、プレート底面への
付着性を喪失し、ハンクス液で洗うと活性化白血
球とともに除去される。生残してプレート底面に
付着している癌細胞をアセトンで固定し、ギムザ
液で染色した後、顕微鏡で計数する。キラー活性
化は次式により計算する。 キラー活性=C1−活性化白血球を添加した場合
の生残腫瘍細胞数/活性化白血球を添加しない場合の生
残腫瘍細胞数)×100(%) 抗腫瘍ヘルパー活性の測定については、活性化
白血球による、活性化していない白血球の腫瘍細
胞に対する障害能の増強効果を観察することによ
り行つた。 すなわち、次のような測定法を用いて評価し
た。付着性のヒト癌細胞株を標的細胞として、1
×105/mlの細胞濃度で10%牛胎児血清添加
RPMI 1640培地に浮遊させ、これを10μlずつ、
96穴培養プレート(コーニング社製、CELL
WELLSTM25860)に分注し、CO2インキユベータ
ー中で温度37℃で3時間培養する。これに、2×
107/mlの細胞濃度で10%牛胎児血清添加RPMI
1640培地に浮遊させたヒト白血球を50μずつ添
加する系と添加しない系を設けて、3時間、37
℃、5%CO2条件下で培養後、1×104ないし1
×106/50μlの細胞濃度で10%牛胎児血清添加
PRMI 1640培地に浮遊させたヒト活性化白血球
を、上記の系にそれぞれ添加して、さらに、CO2
インキユベーター中で温度37℃で60時間培養す
る。培養中に、障害を浮けた癌細胞は、プレート
底面への付着性を喪失する。そのため、キラー活
性測定法と同様に、白血球細胞をハンクス液で洗
浄後、生残してプレート底面に付着している癌細
胞をアセトンで固定し、ギムザ液で染色した後、
生残癌細胞の有無を検鏡した。 このようにして評価した各種刺激材の抗腫瘍免
疫細胞誘導能を表1および表2に示す。
【表】
【表】 比較例 1 実施例1の刺激剤の調製に用いた不溶性担体
(ポリビニルアルコール系ゲル)の抗腫瘍免疫細
胞誘導能を、実施例1と全く同様の方法で評価し
たが、腫瘍障害性細胞、抗腫瘍ヘルパー細胞とも
に誘導されなかつた。 比較例 2 10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地に、2m
Mの各種ピラゾロ(3,4−d)ピリミジン誘導
体を溶解し、これらの培地1mlにヒト末梢血白血
球2×106個を浮遊させて、60時間培養したが、
腫瘍障害性細胞、抗腫瘍ヘルパー細胞ともに誘導
されなかつた。 実施例 2 刺激材の調製は、次のようにして行つた。
120/200メツシユ(75〜125ミクロン)の種々の
孔径からなる多孔質ガラスビース、CPG−10(フ
ナコシ薬品株式会社製)を3−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランと反応させて、多孔質ガ
ラスビーズに環状エポキシ基を導入し、これに4
−アミノピラゾロ(3,4−d)ピリミジンの
0.1M炭酸緩衝溶液(PH9.0)を添加し、50℃で24
時間振盪して結合させ、実施例1と同様に洗浄
後、オートクレーブ滅菌して実験に供した。保持
量も実施例1と同様の方法で求めたところ、多孔
質ガラムビーズ1gあたり10μmolないし70μmol
であつた。これら多孔質ガラスビーズの比表面積
は、1gあたり20〜140m2であるため、比表面積
あたりの保持量は約0.5μmolに相当する。 マウス白血球は次のようにした。すなわち、
BALB/cマウス(4〜6週令)から摘出した
脾臓をステンレス・メツシユでほぐした後、ハン
クス液に浮遊して静置、脾臓細胞を臓器片と分離
後、800rpmで10分間遠心分離して得た細胞ペレ
ツトを赤血球除去のため、0.85%塩化アンモニウ
ム水溶液に懸濁させ、温度37℃で2分間インキユ
ベートした後、直ちに10倍量のハンクス液と混
合、800rpmで10分間遠心分離して、牛胎児血清
を10%添加したRPMI 1640培地(ニツスイ)に
5×106/mlの細胞濃度で浮遊させた。この細胞
浮遊液を2mlずつ細胞培養溶の2mlウエル(フア
ルコンNo.3047)に分注し、これに刺激剤を0.5g
ずつ添加し、CO2インキユベーター中で温度37℃
で培養した。3日間の培養を行つた後、培養液を
ピペツテイングして活性化白血球を刺激剤表面か
らはがして静置すると、刺激剤は容器の底に沈下
するので、上清細胞液を取り、これをハンクス液
で洗つた後、牛胎児血清10%添加RPMI 1640培
地に1×107/mlの細胞濃度で浮遊させた。 この活性化白血球が腫瘍細胞障害性および抗腫
瘍ヘルパー活性を有するかどうかは、マウス癌細
胞株Colon26を標的細胞として、実施例1と同様
の測定法で評価した。 各種刺激剤の抗腫瘍免疫細胞誘導能を表3と表
4に示す。
【表】
【表】
【表】 比較例 3 10%牛胎児血清添加RPMI 1640培地2mlに、
実施例2と同様の方法で得たBALB/cマウス
白血球1×107個を浮遊させ、これに各種孔径
(120Å、350Å、700Å、1400Å)の多孔質ガラス
ビーズ、CPG−10(フナコシ薬品株式会社製、粒
径は75〜125ミクロン)を0.5gずつ添加し、3日
間培養したマウス白血球のColon26に対するキラ
ー活性は、いずれも10%以下であり、抗腫瘍ヘル
パー活性も見出されなかつた。なお、キラー活性
および抗腫瘍ヘルパー活性の測定は、実施例2と
同様の方法で行つた。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 ピラゾロ(3,4−d)ピリミジンおよびそ
    の1位、3位、4位、6位の少なくとも1ケ所の
    位置に、アミノ基、水酸基、メルカプト基の中か
    ら選ばれる置換基を導入したピラゾロ(3,4−
    d)ピリミジン誘導体の少なくとも1種を不溶性
    担体の表面に結合させたことを特徴とする抗腫瘍
    免疫細胞誘導用刺激剤。 2 不溶性担体の表面が多孔質構造を有する特許
    請求の範囲第1項記載の刺激剤。
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