【発明の詳細な説明】
ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤 発明の背景
Rasタンパク質(Ha−Ras、Ki4a−Ras)Ki4b−Ras及び
N−Ras)は、細胞表面の成長因子レセプターを、細胞増殖を開始させる核シ
グナルと結びつけるシグナル伝達経路の一部である。Ras作用の生物学的及び
生化学的研究によると、RasはG−調節タンパク質のように機能する。不活性
状態では、RasはGDPと結合している。成長因子レセプターが活性化される
と、RasはGDPをGTPに変えるように誘導され、コンフォメーション変化
を起こす。RasのGTP結合型は成長刺激シグナルを伝達し、Rasの内因性
GTPase活性によってシグナルは終り、Rasタンパク質を不活性GDP結
合型に戻す(D.R.Lowy and D.M.Willumsen,Ann.Rev.Biochem.62:851-891(19
93))。変異ras遺伝子(Ha−ras、Ki4a−ras、Ki4b−ra
s及びN−ras)は、直脳結腸癌、膵外分泌腺癌、骨髄性白血病を含む多くの
ヒト癌で見出されている。これらの遺伝子のタンパク質産物は
GTPase活性を欠き、絶えず成長刺激シグナルを伝達する。
Rasは、正常機能及び発癌機能の両方のために形質膜に局在化している必要
がある。Rasの膜局在化と共に、少なくとも3つの翻訳後修飾が起り、3つの
全ての修飾は、RasのC末端で起る。RasのC末端は、“CAAX”又は“
Cys−Aaa1−Aaa2−Xaa”ボックス(Cysはシステイン、Aaaは
脂肪族アミノ酸、Xaaは任意のアミノ酸である)と命名された配列モチーフを
含む(willumsenら,Nature
310:583-586(1984))。特異的配列により、このモチーフは、酵素であるファル
ネシル−タンパク質転移酵素又はゲラニルケラニル−タンパク質転移酵素のシグ
ナル配列として働く。それぞれの酵素は、それぞれC15又はC20イソプレノイド
によるCAAXモチーフのシステイン残基のアルキル化を触媒する(S.Clarke.
,Ann.Rev.Biochem.61:355-386(1992);
W.R.Schafer and J.Rine,Ann.Rev.Genetics 30:209-
237(1992))。Rasタンパク質は、翻訳後ファルネシル化をうけることが知られ
ている幾つかのタンパク質の1つである。他のファルネシル化タンパク質には、
RhoのようなRas関連GTP結合タンパク質、真菌接合因子、核ラミン、及
びトラン
スデューシンのガンマサブユニットなどがある。Jamesら,J.Biol.Chem.269
,14182(1994)は、同様にファルネシル化されるペルオキシソーム結合タンパク
質Pxfを同定した。Jamesらは、上記のタンパク質の他に、未知の構造と機能
のファルネシル化タンパク質があることも示唆した。
ファルネシル-タンパク質転移酵素の阻害は、軟寒天中でRasで形質転換さ
れた細胞の成長を阻害し、形質転換の表現型の他の性質を変化させることが知見
された。ファルネシル−タンパク質転移酵素のある阻害剤は、細胞内でRas癌
タンパク質のプロセシングを選択的に阻害することも示された
(N.E.Kohlら,Science,260:1934-1937(1993);G.L.James
ら,Science,260:1937-1942(1993))。最近、ファルネシル-タンパク質転移酵素
の阻害剤は、ヌードマウスでras依存性腫瘍の成長を阻害し(N.E.Kohlら,Proc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,
91:9141-9145(1994))、rasトランスジェニックマウスで乳癌と唾液腺癌の退
化を誘導する(N.E.Kohlら,Nature Medicine,1:792-797(1995))ことが知見され
た。
ファルネシル-タンパク質転移酵素のインビボでの間接的阻害が、ロバスタチ
ン(Merck & Co.,Rahway,NJ)及びコンパ
クチン(Hancockら,上記;Caseyら,上記;Schaferら,Science 245:379(1989))
を用いて示された。これらの薬剤は、ファルネシルピロリン酸を含むポリイソプ
レノイド産生の律速酵素であるHMG−CoAレダクターゼを阻害する。ファル
ネシル−タンパク質転移酵素はファルネシルピロリン酸を用い、ファルネシル基
により、RasのCAAXボックスのCysチオール基を共有結合で修飾する(R
eissら,Cell,62:81-88(1990);
schaberら,J.Biol.Chem.,265:14701-14704(1990);Schafer
ら,Science,249:1133-1139(1990);Manneら,Proc.Natl.Acad.
Sci.USA,87:7541-7545(1990))。HMG−CoAレダクターゼ阻害によるファ
ルネシルピロリン酸生合成の阻害は、培養細胞でRasの膜局在化を阻害する。
しかし、ファルネシル−タンパク質転移酵素の直接的阻害はより特異的であり、
イソプレン生合成の一般的阻害剤の必要な投与量で起るよりも少ない副作用しか
起らないであろう。
ファルネシル−タンパク質転移酵素(FPTase)の阻害剤は、2つの一般
的クラスに分類されてきた。第1はファルネシルニリン酸(FPP)のアナログ
であり、阻害剤の第2のクラスは該酵素のタンパク質基質(例えば、Ras)に
関連する。
報告されたペプチド由来阻害剤は一般的に、タンパク質のプレニル化のシグナル
であるCAAXモチーフに関連するシステイン含有分子である(Schaberら,上記
;reissら,上記;reissら,PNAS,88:732-736(1991))。このような阻害剤は、
ファルネシル-タンパク質転移酵素の別の基質として働いてタンパク質のプレニ
ル化を阻害しうるし、又は純粋の拮抗阻害剤でありうる(米国特許第5,141,
851号,テキサス大学;N.E.Kohlら,Science,260:1934-1937(1993);Grahamら
,J.Med.Chem.,
37,725(1994))。一般的に、CAAX誘導体からのチオールの欠失は、化合物の
阻害力価を劇的に減少させることが知見されてきた。しかし、チオール基によっ
て、薬物動力学、薬力学、及び毒性に関して、FPTase阻害剤の治療適用に
限界が存在する可能性がある。それ故、機能を有したままチオールを置換するこ
とが望ましい。
最近、ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤は、血管の平滑筋細胞の増殖
の阻害剤であり、それ故、動脈硬化及び血管の糖尿病による障害の予防と治療に
有用であることが報告された(日本特許出願公開第平成7−112930号)。
最近、場合によってはピペリジン部分を含むある種の三環系
化合物がFPTaseの阻害剤であることが開示された(WO95/10514
,WO 95/10515及びWO 95/10516)。ファルネシル−タン
パク質転移酵素のイミダゾール含有阻害剤も開示された(WO 95/0900
1及び欧州特許出願公開第0675112A1号)。
それ故、チオール部分を有せず、ファルネシル−タンパク質転移酵素を阻害す
る、即ちタンパク質の翻訳後ファルネシル化を阻害するペプチド擬似化合物の開
発が、本発明の目的である。本発明の化合物を含む化学療法組成物及び本発明の
化合物の製造方法の開発も、本発明の更なる目的である。発明の概要
本発明は、ファルネシル−タンパク質転移酵素を阻害する小分子の、イミダゾ
リジノン含有化合物を包含する。本化合物は、チオール部分を欠き、動物におけ
る薬物動力学挙動の改善、迅速自己酸化及び内因性チオールとのジスルフィド形
成のようなチオール依存性化学反応の防止、並びに全身的毒性の軽減の点で、独
特の利点を有する。更に、これらのファルネシル転移酵素阻害剤を含む化学療法
組成物及び該阻害剤の製造方法も本発明に包含される。
本発明の化合物は、式I
によって表される。発明の詳細な説明
本発明の化合物は、ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害及び癌遺伝子タ
ンパク質Rasのファルネシル化の阻害に有用である。本発明の第1の実施態様
では、ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤は、式I[式中、
R1a、R1b及びR2は独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、C3−C10シクロアルキル、C2−C6
アルケニル、C2−C6アルキニル、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8
−、CN、NO2、(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O
)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、C3−C10シクロアル
キル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、R8O−、R9S(O)m−、
R8C(O)NR8−、CN、(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8
OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくはR9OC(O)NR8−で置換された
C1−6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、CL、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、CF3(CH2)nO−、(
R9)OC(O)NR8−、C1−C20アルキル、置換されたもしくは非置換のア
リール、及び置換されたもしくは非置換の複素環から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、C3−C10シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C2−
C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R8O−、R9S(O
)m−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、(R8)2N−C(NR8)−、R8C
(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、
及び
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、C3−C10シクロアル
キル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F、
Cl、Br、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NH−、CN、H2N−C
(NH)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくはR8
OC(O)NH−で置換されたC1−C6アルキルから選択される;
R7はWの置換可能な炭素原子に結合しており、
a)水素、
b)C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F、C
l、Br、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、(R8
)2N−C−(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8
)2、
又はR9OC(O)NR8−、及び
c)非置換のC1−C6アルキル、又はペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、
R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8−、CN、(R8)2N−C(NR8
)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくはR9OC(
O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
は分枝である非置換の又は
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
5)
の1個以上で置換されたC1-5アルキルから選択される;
A1及びA2は独立に、結合手、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、
−C(O)NR8−、−NR8C(O)−、O、−N(R8)−、−S(O)2N(
R8)−、−N(R8)S(O)2−又はS(O)mから選択される;
Vは、
a)水素、
b)複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(ここで、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選
択されるへテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合手、nが0且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない;
Wは複素環である;
Yはアリール又はヘテロアリールである;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;
qは0、1、2、3又は4;
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である;及び
tは0又は1である]
によって表されるか、又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物の好適な実施態様は、式Ia
[式中、
R1a及びR2は独立に、水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、シクロアルキル、アル
ケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1−C20アルキル、置換されたもしくは非置換のアリール、及び置換され
たもしくは非置換の複素環
から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2
、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)
NR8−、(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N
(R8)2又はR9OC(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R7aは水素又はメチルである;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
は分枝である非置換の又は
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
5)
の1個以上で置換されたC1-5アルキルから選択される;
A1及びA2は独立に、結合手、−CH=CH−、−C≡C
−、−C(O)−、−C(O)NR8−、O、−N(R8)−、又はS(O)mか
ら選択される;
Vは、
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、ピリジニル、チアゾリル、ピリドニル、2−
オキソピペリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、及びチエニル
から選択される複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(ここで、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選
択されるヘテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合手、nが0且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;
qは0、1、2、3又は4;及び
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である]
によって表されるか、又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物の第2の好適な実施態様は、式Ib
[式中、
R1a及びR2は独立に、水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、シクロアルキル、アル
ケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、
NO2、(R8)O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C
(NH)−、(R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)O
C(O)NR8−、C1−C20アルキル、置換されたもしくは非置換のアリール、
及び置換されたもしくは非置換の複素環
から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2
、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)NR8−、(R8)2
N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2又はR9O
C(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R7は水素及びC1−C6アルキルから選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
は分枝である非置換の又は
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
5)の1個以上で置換されたC1-5アルキルから選択される;
A1及びA2は独立に、結合手、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、
−C(O)NR8−、O、−N(R8)−、又はS(O)mから選択される;
Vは、
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、ピリジニル、チアゾリル、
ピリドニル、2−オキソピペリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニ
ル、及びチエニルから選択される複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(ここで、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選
択されるヘテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合手、nが0且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない;
Wは、ピロリジニル、ピリジニル、チアゾリル、ピリドニル、2−オキソピペ
リジニル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルから選択される複素環
である;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;
qは0、1、2、3又は4;
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である;及び
tは1である]
によって表されるか、又は医薬として許容できるその塩である。
本発明のより好適な実施態様では、ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害
剤は、式Ic
[式中、
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、シクロアルキル、アル
ケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R2は独立に水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1−C20アルキル、置換されたもしくは非置換のアリール、及び置換され
たもしくは非置換の複素環から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2
、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)NR8−、(R8)2
N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2又はR9O
C(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリ
ールから選択される;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
は分枝である非置換の又は
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
5)
の1個以上で置換されたC1-5アルキルから選択される;
mは0、1又は2;
pは0、1、2、3又は4;及び
qは0、1、2、3又は4である]
によって表されるか、又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の第2のより好適な実施態様では、ファルネシル−タンパク質転移酵素
の阻害剤は、式Id[式中、
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又はアリール、複素環、シクロアルキル、アル
ケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R2は独立に水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1−C20アルキル、置換されたもしくは非置換のアリール、及
び置換されたもしくは非置換の複素環から選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
は分枝である非置換の又は
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
5)
の1個以上で置換されたC1-5アルキルから選択される;
mは0、1又は2;
pは0、1、2、3又は4;及び
qは0、1、2、3又は4である]
によって表されるか、又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の好適な化合物は以下のとおりである:
(±)−4−(2−ブチニル)−1−(3−クロロフェニル)−3−[1−(
4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−イミダゾリジノン;
(S)−4−n−ブチル−3−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾ
リルメチル]−1−(2,3−ジメチルフェニル)−2−イミダゾリジノン;
1−(3−クロロフェニル)−3−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミ
ダゾリルメチル]−2−イミダゾリジノン;
4−(S)−4−n−ブチル−3−[4−クロロ−1−(4−シアノベンジル
)−5−イミダゾリルメチル]−1−(2−クロロ−5,6−ジメチルフェニル
)−2−イミダゾリジノン;
(S)−1−(3−クロロベンジル)−3−[1−(4−シアノベンジル)−
5−イミダゾリルメチル]−4−[(2−メタンスルホニル)エチル]−2−イ
ミダゾリジノン;
又はその医薬として許容できる塩もしくは光学異性体。
本発明の化合物の特別の例は、
(S)−1−(3−クロロベンジル)−3−[1−(4−シアノベンジル)−
5−イミダゾリルメチル]−4−[(2−メタンスルホニル)エチル]−2−イ
ミダゾリジノン又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物は、不斉中心を有しえ、ラセミ化合物、ラセミ混合物、及び個
々のジアステレオマーとしてとして存在しえるが、光学異性体を含む可能な全て
の異性体は本発明に包含される。いずれの可変成分(例えば、アリール、複素環
、R1a、R2など)も任意の構成成分中で2度以上存在するときには、各存在で
の定義はあらゆる他の存在とは独立である。また、置換基及び/又は可変成分の
組合せは、このような組合せにより安定な化合物が得られる場合のみ許される。
本明細書で使用する“アルキル”は特定数の炭素原子を有する分岐鎖及び直鎖
の飽和脂肪族炭化水素基を含むように意図している;“アルコキシ”は酸素を介
して結合した指示数の炭素原子を有するアルキル基を表す。本明細書で使用する
“ハロゲン”又は“ハロ”はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意
味する。
本明細書で使用する“アリール”は、各環において最大7員の安定な単環式又
は二環式の炭素環(少なくとも一つの環が芳香族である)を意味するように意図
している。このようなアリール基の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロ
ナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、又はアセナ
フチルが含まれる。
本明細書で使用する複素環又は複素環式という用語は、安定な5〜7員の単環
式又は安定な8〜11員の二環式の複素環であって、飽和又は不飽和であり、炭
素原子とN、O及びSからなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子からなる
複素環であり、上記複素環がベンゼン環に縮合している任意の二環式基を包含す
る。複素環は、安定な構造ができる任意のヘテロ原子又は炭素原子に結合し得る
。このような複素環成分の例には以下のものが含まれるが、それらに限定されな
い。アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラザ
ニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル
、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロ
ベンゾフリル、ジヒドロベン
ゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホ
ン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル
、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチア
ゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジ
ニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、2−オキソピペラジニル、2
−オキソピペルジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、
ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジ
ニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、
テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、
チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル
、チエノフリル、チエノチエニル、及びチエニル。
本明細書で使用する“ヘテロアリール”は、各環が最大7個のメンバーからな
る安定な単環式又は二環式の炭素環であって、少なくとも一つの環は芳香族であ
り、1〜4個の炭素原子が、N、O及びからなる群から選択されるヘテロ原子に
より置き換えられていることを特徴とする該単環式又は二環式の炭素環を
意味するものとする。このような複素環成分の例には、ベンゾイミダゾリル、ベ
ンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル
、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ク
ロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジ
ヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イ
ミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、
イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジ
ル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾ
リニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒ
ドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、及びチエニルな
どがあるが、それらに限定されない。
本明細書で使用する“置換されたアリール”、“置換された複素環”、及び“
置換されたシクロアルキル”という用語は、F、Cl、Br、CF3、NH2、N
(C1−C6アルキル)2、NO2、CN、(C1−C6アルキル)O−、−OH、(
C1−C6アルキル)S(O)m−、(C1−C6アルキル)C(O)
NH−、H2N−C(NH)−、(C1−C6アルキル)C(O)−、(C1−C6
アルキル)OC(O)−、N3、(C1−C6アルキル)OC(O)NH−及びC1
−C20アルキルを含む(それらに限定されない)群から選択される1〜2個の置
換基で置換された環状基を含むものとする。
本明細書で使用する“窒素保護基”という用語は、米国特許第5,424,3
28号に記載のとおりであり、ペプチド化学で通常使用する基、典型的にはトリ
フェニルメチル、t−ブチルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、ジ(p−
メトキシフェニル)メチル及び(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチルを包
含する。
環系に置換基(例えば、R3、R4、R10、R11など)からひかれた線は、示し
た結合が、置換可能環炭素原子の任意のものに結合できることを示す。
好ましくは、R1a、R1b及びR2は独立に、水素、−N(R8)2、R8C(O)
NR8−から選択されるか、あるいは非置換のC1−C6アルキル、又は−N(R8
)2、R8O−もしくはR8C(O)NR8−によって置換されたC1−C6アルキル
から選択される。
好ましくは、R3及びR4は独立に、水素、ペルフルオロアルキル、F、Cl、
Br、R8O−、R9S(O)m−、CN、NO2、R8 2N−C(NR8)−、R8C
(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、
及びC1−C6アルキルから選択される。
好ましくは、R6は、水素、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R8O−
、R9S(O)m−、CN、NO2、R8 2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8
OC(O)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、及びC1−C6
アルキルから選択される。
好ましくは、R7は水素である。
好ましくは、R8は、H、C1−C6アルキル及びベンジルから選択される。
好ましくは、R9はC1−C6アルキルから選択される。
好ましくは、R10及びR11は、H、C1-6アルキル及びベンジルから選択され
る。
好ましくは、A1及びA2は独立に、結合手、−C(O)NR8−、−NR8C(
O)−、O、−N(R8)−、−S(O)2N(R8)−及び−N(R8)S(O)2
−から選択される。
好ましくは、Vは、水素、複素環、及びアリールから選択される。最適には、
Vはフェニルである。
好ましくは、Yは、フェニル、フリル、チエニル及びピリジルから選択される
。最適には、Yはフェニルである。
好ましくは、n、p及びrは独立に0、1又は2である。
好ましくは、tは1である。
好ましくは、Wがイミダゾリルであるとき、置換基(R6)r−V−A1(CR1 a 2
)nA2(CR1a 2)n−は、H、C1−C6アルキル又は窒素保護基ではない。
本発明の化合物の医薬的に許容できる塩には、例えば非毒性の無機酸又は有機
酸から形成される本発明の化合物の通常の非毒性塩がある。例えば、このような
通常の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸
などの無機酸から得られる塩:及び酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール
酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ
酸(pamoic)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン
酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル
酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、
シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から製造される塩があ
る。
分子内の特定の位置にある任意の置換基又は可変成分(例えば、R1a、R8、
nなど)の定義は、その分子内の他の位置での定義とは独立なものとする。即ち
、−N(R8)2は−NHH、−NHCH3、−NHC2H5などを表す。本発明の
化合物の置換基及び置換パターンは、化学的に安定な化合物であって、容易に利
用できる出発原料から当業界公知の技術及び下記の方法により容易に合成できる
化合物が得られるように、当業者によって容易に選択できることが理解される。
本発明の化合物の医薬的に許容できる塩は、塩基性部分を含む本発明の化合物
から通常の化学的方法により合成されることができる。一般的には、塩は、イオ
ン交換クロマトグラフィーによって、あるいは適切な溶媒中、又は溶媒の種々な
組合せ物中で、遊離塩基を所望の塩を形成する無機酸又は有機酸の化学量論的量
又は過剰量と反応させることによって製造する。
本発明の化合物を製造するために使用される反応は、スキーム1−13に記載
の反応、並びに文献で公知であるか、又は本明細書の実験方法で例示した、エス
テル加水分解、保護基の切
断などの他の標準的操作を用いて行う。スキームに示す置換基R’及びR’CH2
−は、合成する本発明の化合物により、置換基R8、R9などを表す。変化しう
るp’はp−1を表す。
これらの反応を、順番通りに用いて本発明の化合物を得ることができるし、又
はフラグメントを合成するためにこれらの反応を用い、次に、スキームで記載し
たアルキル化反応によってフラグメントを結合しうる。スキーム1−13の概要
必要な中間体は、幾つかの場合には市販されており、又は大部分では文献に記
載の方法で製造できる。スキーム1−4は、可変成分Wが、適切に置換されたベ
ンジル基で置換されたイミダゾリル部分として存在することを特徴とする本発明
の好適実施態様の一つの合成を示す。置換された保護イミダゾールアルカノール
IIは、F.Schneider,Z.Physiol.Chem.,3:206-210(1961)及びC.P.Stewart,Bioc
hem.Journal,17:130-133(1923)に記載の方法のような当業界公知の方法で製造
できる。イミダゾールアルカノールのベンジル化及び脱保護により、中間体III
を得、それを酸化して対応するアルデヒドIVを得ることができる。
その合成をスキーム1に示すアルデヒドは、適切に置換され
たジアミンと反応させることができる。スキーム2に示すように、そのジアミン
は、アニリンVII及び保護アルデヒドVIを介し適切に置換されたアミノ酸Vから
製造される。アルデヒドIVとのカップリングにより、中間体化合物VIIIを得る。
次に、図示したような標準的条件下、中間体VIIIをトリホスゲンと反応させて、
イミダゾリジノン環を生成させることができ、化合物IXを得ることができる。
スキーム3は、アルデヒドVIに対応するが、不飽和R10/R11部分を有するア
ルデヒドVIaの合成を示す。次なるいくつかの反応によって、本化合物XIIを得
る。
R10及びR11の両方が水素であることを特徴とする本発明の化合物の製造の一
般的合成経路は、スキーム4に示す。
スキーム5−8は、可変成分Wがピリジル部分として存在することを特徴とす
る本発明の化合物の合成に有用な適切に置換されたアルデヒドの合成を示す。可
変成分Wとして他の複素環部分が導入されているアルカノールの製造の同様の合
成戦略も当業界で周知である。
スキーム9に示すように、適切に置換されたジアミンXIIIは、XIVのような種
々の他のアルデヒドと反応させることがで
きる。生成物XVは最初にトリホスゲンと反応させて、イミダゾリジノン環を生成
させて、次いで脱保護し、本化合物XVIを得る。化合物XVIは、種々の塩の形態、
例えばトリフルオロ酢酸塩、塩酸塩、又は酢酸塩等として単離する。スキーム1
0に示すように、化合物XVIは更に選択的に保護化し、XVIIを得、次にそれを、X
VIIIのような第2のアルデヒドで還元的アルキル化し、中間体XIXを得ることが
できる。保護基の除去、及びジヒドロイミダゾールXXのような環状化生成物への
変換は、上記したような文献に記載の方法で行うことができる。
ジアミンXIIIが、スキーム11のXXIのような保護化ヒドロキシル基をも有す
るアルデヒドで還元的アルキル化される場合は、生成物XXIIをトリホスゲンと反
応させて、イミダゾリジノン環を生成させることができ、次に保護基を除去し、
ヒドロキシル基のマスクをはずすことができる(スキーム11、12)。アルコ
ールは標準的条件化酸化されて、例えばアルデヒドにすることができ、次いでそ
のアルデヒドを、グリニャール試薬のような種々の有機金属試薬と反応させて、
XXIVのような第2級アルコールを得ることができる。更に、完全に脱保護された
アミノアルコールXXVは、種々のアルデヒドで還元的
アルキル化され(上記条件下)、XXVIのような第2級アミン(スキーム12)又
は第3級アミンを得ることができる。
Boc保護化アミノアルコールXXIIIを用いても、XXVIIのような2−アジリジ
ニルメチルアミドを合成できる(スキーム13)。ジメチルホルムアミドのよう
な溶媒中1,1’−スルホニルジイミダゾールと水素化ナトリウムによるXXIII
の処理によって、アジリジンXXVIIが生成する。このアジリジンは、塩基の存在
下、チオールのような求核剤と反応させて、脱保護後、開環生成物XXVIIIを得る
ことができる。
更に、ジアミンXIIIは、標準的方法により、O−アルキル化チロシンのような
アミノ酸由来のアルデヒドと反応させて、スキーム14に示すように、XXXIIの
ような化合物を得ることができる。最初に中間体XXXIIをトリホスゲンと反応さ
せて、イミダゾリジノン環を生成させ、その後更に処理する。R’がアリール基
である場合、最初にXXXIIIを水素化し、フェノールのマスクをはずすことができ
、アミン基を酸で脱保護し、XXXIVを産生させることができる。あるいは、XXXII
Iのアミン保護基を除去でき、XXXVのようなO−アルキル化フェノール性アミン
を産生させることができる。スキーム1 スキーム2 スキーム3 スキーム4 スキーム5 スキーム6 スキーム7 スキーム8 スキーム9 スキーム10 スキーム10(続き) スキーム11 スキーム11(続き) スキーム12 スキーム13 スキーム14 スキーム14(続き) スキーム14(続き) 本化合物は、哺乳動物用、特にヒト用の医薬として有用である。これらの化合
物は、癌治療に使用するために、患者に投与できる。本発明の化合物で治療でき
る癌の型の例には、結腸直腸癌、膵外分泌腺癌、骨髄性白血病、及び神経系腫瘍
があるが、それらに限定されない。このような腫瘍は、ras遺伝子それ自身の
変異、Ras生成を制御できるタンパク質の変異(即ち、神経線維腫(NF−1
)、neu、scr、abl、lck、fyn)、又は他の機構により起りうる
。
本発明の化合物は、ファルネシル−タンパク質転移酵素及び癌遺伝子タンパク
質Rasのファルネシル化を阻害する。本化合物はまた、腫瘍血管新生も阻害し
、腫瘍成長に影響しうる(J.Rakら,Cancer Research,55:4575-4580(1995))。
本化合物のこのような抗血管新生という性質は、網膜血管新生関連失明のある種
の型の治療にも有用でありうる。
本発明の化合物はまた、Rasタンパク質が、他の遺伝子の発癌的変異の結果
(即ち、Ras遺伝子それ自体は、発癌形態への変異によって活性化されていな
い)として異常に活性化されることを特徴とする他の増殖性疾患(良性も悪性も
両方含めて)の阻害にも有用であり、該阻害は、このような治療の必要
な哺乳動物に有効量の本発明の化合物の投与によって行う。例えば、NF−1の
一症状は良性増殖性疾患である。
本発明の化合物は、ある種のウイルス感染の治療、特に肝炎デルタウイルス及
び関連ウイルスの感染の治療にも有用でありうる(J.S.Glennら,Science,256:
1331-1333(1992))。
本発明の化合物は、新生内膜形成阻害による、経皮的管腔冠血管形成後の再発
狭窄症の予防にも有用である(C.Indolfiら,Nature medicine,1:541-545(1995
))。
本化合物は、多発性嚢胞腎疾患の治療と予防にも有用である(D.L.Schaffner
ら, American Journal of Pathology,142:1051-1060(1993);B.Cowley,Jrら,
FASEB Journal,2:A3160(1988))。
本発明の化合物は、哺乳動物、特にヒトに投与でき、単独か、又は好ましくは
、標準的製薬実務に従い、医薬製剤として医薬的に許容できる担体又は希釈剤、
必要によりミヨウバンなどの公知のアジュバントと組合せて投与できる。該化合
物は、経口、又は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸、局所経路投与を含む非
経口で投与できる。
本発明の化学療法化合物の経口での使用の場合、選択された
化合物を、例えば錠剤もしくはカプセルの形態で、又は水溶液もしくは水性懸濁
液として投与できる。経口使用用の錠剤の場合、通常使用される担体には乳糖及
びコーンスターチがあり、ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤が通常使用さ
れる。カプセル形態における経口投与の場合、有用な希釈剤には、乳糖及び乾燥
コーンスターチがある。水性懸濁液が経口投与用に必要の場合、活性成分を乳化
剤及び懸濁剤と組合せる。所望ならば、ある特定の甘味料及び/又はフレーバー
剤を加えることができる。筋肉内、腹腔内、皮下、静脈内での使用の場合、通常
活性成分の滅菌液を製造するが、溶液のpHを適切に調整し、緩衝化すべきであ
る。静脈内使用の場合、溶質の合計濃度を、製剤を等張にするために制御すべき
である。
本発明はまた、治療上有効量の本発明の化合物を医薬的に許容できる担体又は
希釈剤と共に、又はそれ無しで投与することを含む癌の治療に有用な医薬製剤を
も包含する。本発明の適切な製剤は、本発明の化合物と薬理的に許容できる担体
、例えばあるpHレベル(例えば7.4)の生理食塩水を含む水溶液を包含する
。
本発明の化合物をヒト患者に投与する場合、一日の投与量は
通常は、主治医により決定されるが、その投与量は一般的に年齢、体重、個々の
患者の反応及び患者の症状のひどさによって変わる。
一つの典型的な適用においては、適切な量の化合物が、癌の治療を受ける哺乳
動物に投与される。1日当り約0.1〜約60mg/体重kg、好ましくは0.
5〜約40mg/体重kgが投与される。
本発明の化合物は、組成物中のファルネシル−タンパク質転移酵素(FPTa
se)の存在と量の迅速測定のアッセイにおける成分としても有用である。即ち
、試験する組成物を分割し、2個の部分を、FPTaseの公知の基質(例えば
、アミン末端にシステインを有するテトラペプチド)及びファルネシルピロリン
酸、及び混合物の一つには本発明の化合物を含む混合液と接触させることができ
る。アッセイ混合物を、FPTaseが基質をファルネシル化するのに十分な時
間(当業者周知)インキュベートした後、アッセイ混合液の化学的内容を、周知
の免疫学的、放射化学的、又はクロマトグラフィー技術で決定できうる。本発明
の化合物は、FPTaseの選択的阻害剤であるので、本化合物を含むアッセイ
中の変化しない基質の存在に
対し、本発明の化合物を含まないアッセイ混合液中の基質の存在しないこと又は
基質量の定量的減少は、試験組成物中のFPTaseの存在を示す。
上記のようなアッセイは、ファルネシル−タンパク質転移酵素を含む組織サン
プルの同定と該酵素の定量に有用であることは、当業者に自明であろう。即ち、
本発明の強力な阻害化合物は、サンプル中の酵素量の測定のために、活性部位滴
定アッセイで使用できる。未知量のファルネシル−タンパク質転移酵素、過剰量
のFPTaseの既知基質(例えば、アミン末端にシステインを有するテトラペ
プチド)及びファルネシルピロリン酸を含む組織抽出液のアリコートからなる一
連のサンプルを、種々の濃度の本発明の化合物の存在下、適切な時間インキュベ
ートする。サンプルの酵素活性を50%阻害するのに必要な十分に強力な阻害剤
(即ち、アッセイ容器中で酵素濃度よりかなり小さいKiを有する化合物)の濃
度は、その特定のサンプル中の酵素濃度の半分にほぼ等しい。
実施例
本発明のなおいっそうの理解の助けとなるように、実施例を記載する。本発明
の妥当な範囲を制限するためにではなく、本
発明を更に例証するように、使用する特定の物質、種類及び条件を記載する。
実施例1 (±)−4−(2−ブチニル)−1−(3−クロロフェニル−3−[1−(4− シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−イミダゾリジノン塩酸塩 工程A:1−トリフェニルメチル−4−(ヒドロキシメチルイミダゾールの製造
室温の乾燥DMF250mL中の4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸
塩(35g)の溶液に、トリエチルアミン(90.6mL)を加えた。白色固体
が溶液から沈殿した。DMF500mL中のクロロトリフェニルメタン(76.
1g)を滴下添加した。反応混合液を20時間撹拌し、氷上に注ぎ、濾過し、氷
水で洗浄した。得られた生成物を冷ジオキサンでスラリーにし、濾過し、真空乾
燥し、標記生成物を白色固体として得た。それは次工程の使用のために十分に純
粋であった。工程B:1−トリフェニルメチル−4−(アセトキシメチル)イミダゾールの製 造
工程Aからのアルコールをビリジン500mLに懸濁した。
無水酢酸(74mL)を滴下添加し、反応液を48時間撹拌した。その間に反応
液は均質になった。溶液をEtOAc2Lに注ぎ、水(3×1L)、5%HCl
水溶液(2×1L)、飽和NaHCO3水溶液、ブラインで洗浄し、次いで乾燥
し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、粗生成物を得た。該酢酸エステルを白
色粉末(85.8g)として単離した。それは次反応での使用のために十分純粋
であった。工程C:1−(4−シアノベンジル)−5−(アセトキシメチル)イミダゾール 臭化水素酸塩の製造
EtOAc500mL中の工程Bからの生成物とα−ブロモ−p−トルニトリ
ル(50.1g)の溶液を60℃で20時間撹拌した。その間に淡黄色沈殿が生
成した。反応液を室温に冷却し、濾過し、固体のイミダゾリウムブロミド塩を得
た。濾液を真空濃縮し、容量200mLにし、60℃で2時間再加熱し、室温に
冷却し、再度濾過した。濾液を真空濃縮し容量100mLにし、60℃で更に2
時間再加熱し、室温に冷却し、真空濃縮し、淡黄色固体を得た。固体物質の全て
を一緒にし、メタノール500mLに溶解し、60℃に温めた。2時間後、溶液
を再度真空濃縮し、白色固体を得た。それをヘキサンで摩砕し、
可溶性物質を除去した。残っている溶媒を真空除去して、標記生成物臭化水素酸
塩を白色固体(50.4g,純度はHPLCで89%)として得た。それを、更
に精製せずに次工程で用いた。工程D:1−(4−シアノベンジル)−5−(ヒドロキシメチル)イミダゾール の製造
0℃のTHF/水(3:1)1.5L中の工程Cからの酢酸エステル(50.
4g)の溶液に、水酸化リチウム一水和物(18.9g)を加えた。1時間後、
反応液を真空濃縮し、EtOAc(3L)で希釈し、水、飽和NaHCO3水溶
液、ブラインで洗浄した。次に溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮
し、粗生成物(26.2g)を淡黄色のふんわりした固体として得た。それは、
更に精製せずとも次工程での使用のために十分に純粋であった。工程E:1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾールカルボキシアルデヒド の製造
室温のDMSO 500mL中の工程Dからのアルコール(21.5g)の溶
液に、トリエチルアミン(56mL,402mmol)、次いでSO3−ビリジ
ン複合体(40.5g)を
加えた。45分後、反応液をEtOAc2.5Lに注ぎ、水(4×1L)とブラ
インで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、標記アルデヒド(
18.7g)を白色粉末として得た。それは、精製せずに次工程での使用のため
に十分純粋であった。工程F:1−(メタンスルホニル)−2−ブチンの製造
0℃のジクロロメタン200mL中の2−ブチノール(10.0mL,134
mmol)の溶液に、塩化メタンスルホニル(23.4g,134mmol)を
加え、次いでジイソプロピルアミン(30mL,174mmol)を滴下添加し
た。1.5時間後、溶液を0.5N KHSO4溶液に注ぎ、有機層をブラインで
洗浄した。溶液をNa2SO4で乾燥し、濾過し、真空濃縮し、標記生成物(13
.22g)を得た。工程G:(±)−エチル 2−[(フェニルメチル)イミノ−4−ヘキシノエー トの製造
ジクロロメタン200mL中のグリシンエチルエステル塩酸塩(10.11g
,72.4mmol)の溶液に、ベンズアルデヒド(7.36mL,72.4m
mol)、トリエチルアミン(20.0mL,143mmol)、及び硫酸マグ
ネシウム
(6g)を加えた。溶液を室温で16時間撹拌し、ガラスフリットで濾過し、真
空濃縮した。残渣をエーテルと水の間で分配し、有機層をブラインで洗浄した。
溶液をNa2SO4で乾燥し、濾過し、真空濃縮し、淡黄色油状物を得た。この溶
液の一部(9.90g,51.8mmol)をTHF200mLに溶解し、窒素
雰囲気下−78℃に冷却した。THF中のカリウムtert−ブトキシド(1Mを5
1.8mL,51.8mmol)を滴下添加すると鮮紅色溶液が生成した。20
分後、THF20mL中の工程Fのメシレート(8.05g,54.4mmol
)の溶液をカニューレで滴下添加し、溶液が室温に温まるままにした。2時間後
、反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3溶液とブラインで洗浄し、乾燥
し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、標記生成物を得た。工程H:(±)−エチル 2−[(tert−ブトキシカルボニルアミノ]−4−ヘ キシノエートの製造
工程Gの生成物(約51.8mmol)の溶液を、5%HCl水溶液(100
mL)中、室温で撹拌した。12時間後、溶液を真空濃縮し、橙色油状物を得た
。この生成物をTHF50mL中にとり、室温で飽和NaHCO3溶液(50m
L)、次いで
ジ−tert−ブチルピロカーボネート(11.3g,51.8mmol)を加えた
。6時間後、反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3溶液とブラインで洗
浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、標記生成物を得た。工程I:(±)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−4−ヘキシン酸 の製造
THF(100mL)と水(20mL)中の工程Hの生成物(約51.8mm
ol)の溶液に、0℃で水酸化リチウム一水和物(6.5g,155mmol)
の溶液を加えた。溶液を0℃で1時間撹拌し、次いで室温に温めた。48時間後
、溶液を真空濃縮した。水混合液をEtOAcで抽出し、0℃で10%HCl水
溶液で酸性化し、次いでジクロロメタンで3回抽出した。一緒にしたジクロロメ
タン抽出液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、標記化合物を橙色油
状物(10.58g)として得た。工程J:(±)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−N−メトキシ−N −メチル−4−ヘキシンアミドの製造
工程Iの生成物(10.58g,46.6mmol)、N,O−ジメチルヒド
ロキシルアミン塩酸塩(9.09g,93.
2mmol)、HOBT水和物(9.44g,69.9mmol)及びトリチル
アミン(13.0mL,93.2mmol)を、乾燥DMF(150mL)中、
窒素下、0℃で撹拌した。EDC塩酸塩(11.5g,60.6mmol)を加
え、反応液を3時間撹拌した。溶液を酢酸エチル:ヘキサン(2:1)と水の間
で分配し、水、10%HCl水溶液、飽和NaHCO3溶液、及びブラインで洗
浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を真空除去し、標記化合物(11
.10g,収率88%)を橙色油状物として得た。工程K:(±)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−ヘキシナール の製造
エーテル(150mL)中の水素化アルミニウムリチウム(1.56g,41
.1mmol)の懸濁液を室温で30分間撹拌した。窒素下、溶液を−55℃に
冷却し、エーテル(150mL)中工程Jの生成物(11.10g,41.1m
mol)の溶液を15分間で加え、その間温度を−50℃未満に維持した。添加
が終了したとき、反応液を5℃に温め、次いで−40℃に再冷却した。水25m
L中の硫酸水素カリウム(21.8g)の溶液をゆっくりと加え、その間温度を
−35℃未満に維持し
た。混合液を室温に温め、1時間攪拌し、セライトで濾過し、真空濃縮し、標記
アルデヒドを得た。工程L:(±)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−N−(3−クロロ フェニル)−4−ヘキシンアミンの製造
窒素下、ジクロロエタン(100mL)中の3−クロロアニリン(4.33m
L,40.9mmol)、工程Kの生成物(約41mmol)、及び砕いた4Å
モレキュラーシーブ(10g)の0℃の溶液に、水素化トリアセトキシホウ素ナ
トリウム(12.9g,61.5mmol)を加えた。反応液を1時間攪拌し、
次いで室温に温めた。3時間後、溶液をEtOACに注ぎ、水、飽和NaHCO3
溶液、ブラインで洗浄した。溶液を硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮し、粗
生成物を得た。工程M:(±)−2−[(1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチ ル)アミノ]−1−[(3−クロロフェニルアミノ]−4−ヘキシンの製造
ジクロロメタン15mL中の工程Lの生成物(2.74g,8.51mmol
)の溶液に、トリフルオロ酢酸7mLを0℃で滴下添加した。反応液が徐々に室
温に温まるままにした。4時間後、溶液を真空濃縮した。得られた生成物を希N
aHCO3
水溶液とジクロロメタンの間で分配した。水層をCH2Cl2で3回洗浄し、一緒
にした有機相を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、遊離アミンを得た
。0℃の1,2−ジクロロエタン5mL中のアミン(235mg,1.06mm
ol)の溶液に、4Å粉末モレキュラーシーブ(350mg)、次いで水素化ト
リアセトキシホウ素ナトリウム(285mg,1.35mmol)を加えた。工
程Eのアルデヒド(250mg,1.18mmol)を加え、反応液を0℃で攪
拌した。24時間後、反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液で洗
浄し、水層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾
燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。得られた生成物をベンゼン:CH2
Cl2(3:1)10mLにとり、プロピルアミン(0.5mL)を加えた。反
応液を4時間攪拌し、次いで真空濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(30
−75%アセトン/ヘキサン)で精製し、標記化合物を得た。工程N:(±)−4−(2−ブチニル)−1−(3−クロロフエニル)−3−[ 1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−2−イミダゾリジノ ン塩酸塩の製造
0℃のTHF1.0mL中の工程Mの生成物(75mg,0.14mmol)
の溶液に、トリエチルアミン(0.12mL,0.89mmol)、次いでトリ
ホスゲン(26mg,0.088mmol)を加えた。反応液を0℃で2時間攪
拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄した
。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。生成物をシリカゲルク
ロマトグラフィー(50−75%アセトン/ヘキサン)で精製し、CH2Cl2に
とり、1M HCl/エーテル溶液で処理し、真空濃縮した。標記生成物塩酸塩
(14mg)を橙色粉末として単離した。
FAB質量スペクトルm/e444(M+1)。
C25H22ClN5O・1.0HCl・1.60H2Oとしての計算分析値C,58
.97;H,5.19;N,13.75;実測値C,59.06;H,5.27
;N,12.49。
実施例2 (S)−4−n−ブチル−3−[1−(4−シアノベンジル−5−イミダゾリル メチル]−1−(2,3−ジメチルフェニル)−2−イミダゾリジノン塩酸塩 工程A:N−メトキシ−N−メチル2(S)−(tert−ブト キシカルボニルアミノ)ヘキサンアミド
2(S)−ブトキシカルボニルアミノヘキサン酸(24.6g,0.106m
ol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(15.5g,0.15m
ol)、EDC塩酸塩(22.3g,0.117mol)及びHOBT(14.
3g,0.106mol)を、窒素下、20℃の乾燥脱気DMF(300mL)
中で攪拌した。N−メチルモルホリンを加え、pHを7にした。反応液を一晩攪
拌し、DMFを高真空下蒸留し、残渣を酢酸エチルと2%硫酸水素カリウムの間
で分配した。有機相を飽和重炭酸ナトリウム、水、飽和ブラインで洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥した。溶媒を真空除去し、標記化合物を得た。工程B:2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ)ヘキサナール
エーテル(250mL)中の水素化アルミニウムリチウム(5.00g,0.
131mol)の機械的攪拌懸濁液を、窒素下−45℃に冷却した。工程Aの生
成物(28.3g,0.103mol)の溶液を加え、その間温度を−35℃未
満に維持した。添加が終了したとき、反応液を5℃に温め、次いで−45℃に再
冷却した。水中の硫酸水素カリウム(27.3g,0.200
mol)の溶液をゆっくりと加え、その間温度を−5℃未満に維持した。反応を
停止させた後、反応液を室温で1時間攪拌した。混合液をセライトで濾過し、エ
ーテルを蒸発させ、残渣を酢酸エチルと2%硫酸水素ナトリウムの間で分配した
。飽和ブラインで洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、及び溶媒除去後、標記化合物
を得た。工程C:N−(2,3−ジメチルフェニル)−2(S)−(tert−ブトキシカル ボニルアミノ)ヘキサンアミン
2,3−ジメチルアニリン(8.32mL,68.3mmol)を、窒素下、
ジクロロエタンに溶解した。酢酸を加え、pH5にし、水素化トリアセトキシホ
ウ素ナトリウム(17.2g,80.8mmol)と砕いたモレキュラーシーブ
(4g)を加えた。ジクロロエタン(80mL)中の工程Bの生成物(13.3
g,62.1mmol)の溶液を20℃でゆっくりと滴下添加した。反応液を一
晩攪拌し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で反応を止めた。水層を除去し、有機相を
飽和ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。ヘキサンからの結晶化に
より、標記化合物を得た。工程D:(S)−2−[(1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチ ル)アミノ]−1−[(2,3−ジメチルフェニル)アミノ]−4−ヘキサンの 製造
ジクロロメタン5mL中の工程Cの生成物(581mg,1.81mmol)
の溶液にトリフルオロ酢酸2.5mLを室温で滴下添加した。1時間後、溶液を
真空濃縮した。得られた生成物を3回ベンゼンから再濃縮し、過剰のトリフルオ
ロ酢酸を除去した。0℃の1,2−ジクロロエタン5mL中のアミン塩の溶液に
4Å粉末モレキュラーシーブ、次いで水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(
961mg,4.53mmol)を加えた。実施例1工程Eのアルデヒド(42
1mg,1.99mmol)を0℃で加え、反応液を一晩攪拌し、室温に温まる
ままにした。反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、水
層をEtOAcで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(N
a2SO4)、濾過し、真空濃縮した。得られた生成物をベンゼン:CH2Cl2(
5:1)6mLにとり、プロピルアミン(1mL)を加えた。反応液を一晩攪拌
し、次いで真空濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(5%MeOH/CH2
Cl2)で精製し、標記化合物
を得た。工程E:(S)−4−n−ブチル−3−[1−(4−シアノベンジル)−5−イ ミダゾリルメチル]−1−(2,3−ジメチルフェニル)−2−イミダゾリジノ ン塩酸塩の製造
0℃のTHF3.7mL中の工程Dの生成物(222mg,0.524mmo
l)の溶液に、トリエチルアミン(0.46mL,3.3mmol)、次いでト
リホスゲン(96mg,0.33mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間攪
拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄した
。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。生成物をシリカゲルク
ロマトグラフィー(2.5%MeOH/CH2Cl2)で精製し、不純な生成物約
80mgを得た。生成物をメタノールにとり、分取HPLCカラムに注入し、2
5−55%アセトニトリル/0.1%TFA;75−45%0.1%TFA水溶
液の混合グラジエントにより50分間で精製した。真空濃縮後、得られた生成物
をジクロロメタンとNaHCO3水溶液の間で分配し、水相をCH2Cl2で抽出
した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮乾固
し、生成物の遊離塩基を得、それをCH2Cl2
にとり、過剰の1M HCl/エーテル溶液で処理した。真空濃縮後、標記生成
物(33.7mg)を白色粉末として単離した。
FAB質量スペクトルm/e442(M+1)。
C27H31N5O・1.90HClとしての計算分析値C,63.53;H,6.
50;N,13.72;実測値C,63.78;H,7.14;N,11.74
。
実施例3 1−(3−クロロフェニル)−3−[1−(4−シアノベンジル−5−イミダゾ リルメチル]−2−イミダゾリジノン塩酸塩 工程A:N−(2−アミノエチル)−3−クロロアニリン塩酸塩の製造
0℃のジクロロメタン500mL中の3−クロロアニリン(30mL)の溶液
に、1,4−ジオキサン(80mL)中の4N HClの溶液を滴下添加した。
溶液を室温に温め、次いで真空濃縮乾固し、白色粉末を得た。この粉末と2−オ
キサゾリジノン(24.6g)の混合物を窒素雰囲気下、160℃で10時間加
熱した。その間に固体は溶解し、気体発生が観察された。反応液は冷えるままに
し、標記化合物が淡茶色固体とし
て生成した。工程B:N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N’ −(3−クロロフェニル)エチレンジアミンの製造
工程Aのアミン塩酸塩(978mg)を希NaHCO3水溶液と塩化メチレン
の間で分配した。水層をCH2Cl2で3回洗浄し、一緒にした有機相を乾燥し(
Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、遊離アミンを得た。0℃1,2−ジクロロ
エタン11mL中のアミンの溶液に、4Å粉末モレキュラーシーブ(2g)、次
いで水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(3.04g)を加えた。実施例1
工程Eのアルデヒド(1.21g)を加え、反応液を0℃で攪拌した。15時間
後、反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、水層をEt
OAcで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4
)、濾過し、真空濃縮した。得られた生成物をベンゼン:CH2Cl2(5:1)
60mLにとり、プロピルアミン(10mL)を加えた。反応液を12時間攪拌
し、次いで真空濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(5%MeOH/CHC
l3)で精製し、標記化合物(1.33g)を白
色泡状物として得た。工程C:1−(3−クロロフェニル)−3−[1−(4−シアノベンジル)−5 −イミダゾリルメチル]−2−イミダゾリジノン塩酸塩の製造
0℃のTHF9.6mL中の工程Bの生成物(500mg,1.37mmol
)の溶液に、トリエチルアミン(1.2mL,8.6mmol)、次いでトリホ
スゲン(251mg,0.847mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間攪
拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄した
。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。生成物をシリカゲルク
ロマトグラフィー(2.5−5%MeOH/CH2Cl2)で精製し、次いでメタ
ノールにとり、分取HPLCカラムに注入し、25−55%アセトニトリル/0
.1%TFA;75−45%0.1%TFA水溶液の混合グラジエントにより5
0分間で精製した。真空濃縮後、得られた生成物をジクロロメタンとNaHCO3
水溶液の間で分配し、水層をCH2Cl2で抽出した。有機溶液をブラインで洗
浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮乾固し、生成物の遊離塩基を得、そ
れをCH2Cl2にとり、過剰の1M HCl/エ
ーテル溶液で処理した。真空濃縮後、標記生成物(57.3mg)を白色粉末と
して得た。
FAB質量スペクトルm/e392(M+1)。
C21H18N5OCl・1.40HCl−0.50H2Oとしての計算分析値C,5
5.84;H,4.55;N,15.50;実測値C,55.93;H,4.5
6;N,14.81。
実施例4 4−(S)−4−n−ブチル−3−[4−クロロ−1−(4−シアノベンジル) −5−イミダゾリルメチル]−1−(2−クロロ−5,6−ジメチルフェニル) −2−イミダゾリジノン塩酸塩 工程A:(S)−2−[(4−クロロ−1−(4−シアノベンジル)−5−イミ ダゾリルメチル)アミノ]−1−[(2−クロロ−5,6−ジメチルフェニル) アミノ]−4−ヘキサン塩酸塩の製造
THF2.8mL中の実施例2工程Dの生成物(213mg,0.502mm
ol)の溶液に、−78℃で塩化スルフリル(0.044mL,0.55mmo
l)を加えた。反応液が室温に温まるままにした。1時間後、更に塩化スルフリ
ル(0.011
mL)を加え、反応液を一晩攪拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3
水溶液とブラインで洗浄した。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃
縮した。生成物をメタノールにとり、分取HPLCカラムに注入し、25−55
%アセトニトリル/0.1%TFA;75−45%0.1%TFA水溶液の混合
グラジエントにより50分間で精製した。真空濃縮後、得られた生成物をジクロ
ロメタンとNaHCO3水溶液の間で分配し、水相をCH2Cl2で抽出した。有
機溶液をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮乾固し、生成
物の遊離塩基を得、それをCH2Cl2にとり、過剰の1M HCl/エーテル溶
液で処理した。真空濃縮後、標記生成物を白色粉末として単離した。工程B:4−(S)−4−n−ブチル−3−[4−クロロ−1−(4−シアノベ ンジル)−5−イミダゾリルメチル]−1−2−クロロ−5,6−ジメチルフェ ニル)−2−イミダゾリジノン塩酸塩の製造
0℃のTHF1mL中の工程Aの生成物(49mg,0.10mmol)の溶
液に、トリエチルアミン(0.089mL,0.64mmol)、次いでトリホ
スゲン(19mg,0.0
63mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間攪拌した。更に、トリホスゲン
(5mg)を加え、反応液を15分間攪拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和N
aHCO3水溶液とブラインで洗浄した。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し
、真空濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(2.5−5%MeO
H/CH2Cl2)で精製し、次にCH2Cl2にとり、過剰の1M HCl/エー
テル溶液で処理した。真空濃縮後、標記生成物(18mg)を白色粉末として単
離した。
FAB質量スペクトルm/e510(M+1)。
C27H29N5OCl2・1.0HCl−0.30H2Oとしての計算分析値C,5
8.71;H,5.58;N,12.68;実測値C,58.75;H,5.7
2;N,11.10。
実施例5 (S)−1−(3−クロロベンジル)−3−[1−(4−シアノベンジル)−5 −イミダゾリルメチル]−4−[(2−メタンスルホニル)エチル]−2−イミ ダゾリジノン塩酸塩 工程A:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−N−メトキシ−N −メチル−4−(メチルチオ)ブタンアミドの製造
L−N−Boc−メチオニン(30.0g,0.120mol)、N,O−ジメ
チルヒドロキシルアミン塩酸塩(14.1g,0.144mol)、EDC塩酸
塩(27.7g,0.144mol)及びHOBT(19.5g,0.144m
ol)を、窒素下、20℃で乾燥DMF(300mL)中で攪拌した。更に、N
,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(2.3g,23mmol)を加えp
H7−8にした。反応液を一晩攪拌し、高真空下、最初の容量の半分までDMF
を蒸留し、残りを酢酸エチルと飽和NaHCO3水溶液の間で分配した。有機相
を飽和重炭酸ナトリウム、水、10%クエン酸、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥した。溶媒を真空除去し、標記化合物(39.8g)を得た。工程B:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−N−メトキシ−N −メチル−4−(メタンスルホニル)ブタンアミドの製造
0℃のメタノール(300mL)中の工程Aの生成物(23.1g,79.2
mmol)の溶液に、MeOH500mL中のモノペルオキシフタル酸マグネシ
ウム(117g,238mmol)の懸濁液を加えた。反応液が室温に温まるま
まにしてお
いた。16時間後、0℃で、2N Na2S2O3溶液を添加して、反応を止めた。
溶液を酢酸エチルと飽和NaHCO3溶液に注ぎ、有機層をブラインで洗浄し、
乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、粗標記化合物(23.9g,収率
93%)を得た。工程C:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−(メタンスル ホニル)ブタナールの製造
エーテル(290mL)中の水素化アルミニウムリチウム(5.15g,0.
136mol)の懸濁液を室温で1時間攪拌した。溶液を、窒素下−75℃に冷
却し、THF(60mL)中の工程Bの生成物(23.9g,73.6mol)
の溶液を約30分間で加え、その間温度を−40℃未満に維持した。添加終了時
に、反応液を−15℃に温め、次いで−35℃に再冷却した。水77mL中の硫
酸水素カリウム(19.4g)の溶液をゆっくりと加えた。混合液を室温に温め
、1時間攪拌した。溶液をセライト床で濾過し、10%HCl溶液、飽和NaH
CO3溶液、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、
標記アルデヒド(7.44g)を得た。工程D:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノN−(3−クロロベン ジル)−4−(メタンスルホニル)ブタンアミンの製造
窒素下、0℃のジクロロエタン(10mL)中の3−クロロベンジルアミン(
0.628mL,5.14mmol)と砕いたモレキュラーシーブ(1.5g)
の溶液に、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(2.73g,12.9mm
ol)、次いで工程Cの生成物(2.73g,5.14mmol)を加えた。反
応液を一晩攪拌し、その間室温に温まるままにしておいた。溶液をEtOAcと
飽和NaHCO3溶液に注ぎ、有機層をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4
)、濾過し、真空濃縮し、粗生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィー
(2.5−5%MeOH/CHCl3)で精製し、標記化合物(1.53g)を
白色泡状物として得た。工程E:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−N−(ベンジルオ キシカルボニル)−N−(3−クロロベンジル)−4−(メタンスルホニル)ブ タンアミンの製造
0℃のジクロロメタン5mL中の工程Dのアミン(754mg,1.93mm
ol)とトリエチルアミン(0.403mL,
2.89mmol)の溶液に、クロロギ酸ベンジルエステル(0.303mL,
2.12mmol)を加えた。2時間後、溶液をEtOAcと飽和NH4Cl溶
液に注ぎ、有機層を飽和NaHCO3溶液とブラインで洗浄し、乾燥し(Na2S
O4)、濾過し、真空濃縮し、粗生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフ
ィー(30−40%EtOAc/ヘキサン)で精製し、標記化合物(360mg
)を白色泡状物として得た。工程F:(S)−2−[(1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチ ル)アミノ]−N−(ベンジルオキシカルボニル)−N−(3−クロロベンジル )−4−(メタンスルホニル)ブタンアミンの製造
ジクロロメタン6mL中の工程Eの生成物(360mg,0.686mmol
)の溶液に、トリフルオロ酢酸3mLを室温で滴下添加した。30分後、溶液を
真空濃縮した。得られた生成物をベンゼンから3回再濃縮し、過剰のトリフルオ
ロ酢酸を除去した。0℃の1,2−ジクロロエタン4.2mL中のアミン塩の溶
液に、4Å粉末モレキュラーシーブ、次いで水素化トリアセトキシホウ素ナトリ
ウム(363mg,1.71mmol)を加えた。実施例1の工程Eのアルデヒ
ド(159mg,
0.754mmol)を0℃で加え、次いでN−メチルモルホリン(0.076
mL,0.69mmol)を加えた。反応液を一晩攪拌し、その間室温に温まる
ままにしておいた。反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液とブラ
インで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。得られた生成物
をシリカゲルクロマトグラフィー(50−75%アセトン/ヘキサン)で精製し
、標記化合物(250mg)を得た。工程G:(S)−2−[(1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチ )アミノ]−N−(3−クロロベンジル−4−(メタンスルホニル)ブタンアミ ンの製造
メタノール3mLとEtOAc3mL中の工程Fの生成物(163mg,0.
262mmol)の溶液に、室温で炭素上10%パラジウム(10mg)を加え
た。バルーンの水素気体を、注射針を通し溶液に導入し、反応液を約20分間攪
拌した。溶液をセライトで濾過して触媒を除去し、次いで真空濃縮した。得られ
た生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(4%MeOH/CH2Cl2(1%N
H4OH含有))で精製し、標記化合物(63mg)を得た。工程H:(S)−1−(3−クロロベンジル)−3−[1−(4−シアノベンジ ル)−5−イミダゾリルメチル]−4−[(2−メタンスルホニル)エチル]− 2−イミダゾリジノン塩酸塩の製造
0℃のTHF2.5mL中の工程Gの生成物(63mg,0.17mmol)
の溶液に、トリエチルアミン(0.15mL,1.0mmol)、次いでトリホ
スゲン(31mg,0.10mmol)を加えた。反応液を0℃で1.5時間攪
拌し、次いでEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄した
。溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。生成物をメタノールに
とり、分取HPLCカラムに注入し、25−55%アセトニトリル/0.1%T
FA;75−45%0.1%TFA水溶液の混合グラジエントにより50分間で
精製した。真空濃縮後、得られた生成物をジクロロメタンとNaHCO3水溶液
の間で分配し、水相をCH2Cl2で抽出した。有機溶液をブラインで洗浄し、乾
燥し(Na2SO4)、濾過し、濃縮乾固し、生成物の遊離塩基を得、それをCH2
Cl2にとり、過剰の1M HCl/エーテル溶液で処理した。真空濃縮後、標
記生成物(9.3mg)を白色粉末として単離した。
FAB質量スペクトルm/e512(M+1)。
C25H26N5O3SCl・HClとしての計算分析値C,54.75;H,4.9
6;N,12.77;実測値C,56.31;H,5.67;N,11.38。
実施例6 rasファルネシル転移酵素のインビトロ阻害
ファルネシル−タンパク質転移酵素のアッセイ。部分精製ウシFPTase及
びRasペプチド(Ras−CVLS,Ras−CVIM及びRas−CAIL
)をそれぞれ、Schaberら、J.Biol.Chem.265,14701-14704(1990);Pomplianoら
,Biochemistry 31:3800(1992);及びGibbsら、PNAS USA 86,6630-6634(1989)に
よって記載されたように調製した。ウシFPTaseを、100mM N−(2
−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPE
S),pH7.4、5mM MgCl2、5mMジチオトレイトール(DTT)
、100mM[3H]−ファルネシル二リン酸([3H]−FPP;740CBq
/mmol,New England Nuclear)、650nM Ras−CVLS及び10
μg/mL FPTaseを含む容量100μL中で、31℃、60分間アッセ
イした。
反応をFPTaseで開始させ、エタノール中の1.0M HCl 1mLで停
止させた。沈殿物を、TomTec Mach II細胞回収器を用いてフィルター−マット上
に回収し、190%エタノールで洗浄し、乾燥し、LKB β−プレートカウン
ターで計測した。アッセイは、両方の基質、FPTaseレベル及び時間に関し
線形であった。[3H]−FPPの10%未満が反応時間中利用された。精製化
合物を100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、アッセイ溶液中に
20倍希釈した。試験化合物の存在下での放射活性の取込み量を、試験化合物の
非存在下での取込み量と比較して、%阻害を測定する。
ヒトFPTaseは、0merら,Biochemistry 32:5167-5176(1993)に記載のよ
うに調製した。ヒトFPTase活性は、0.1%(w/v)ポリエチレングリ
コール20,000、10μM ZnCl2及び100nM Ras−CVIMを
反応混合液に加えたということを除いて、上記のようにアッセイした。反応を3
0分間行い、エタノール中30%(v/v)トリクロロ酢酸(TCA)100μ
Lで停止させ、ウシの酵素の場合での上記のように処理した。
実施例1で上記の本発明の化合物を、上記アッセイによるヒ
トFPTaseに対する阻害活性につき試験し、IC50が10μM未満であるこ
とが知見された。
実施例7 インビボrasファルネシル化アッセイ
本アッセイで使用した細胞系は、ウイルスHa−ras p21を発現するR
at1細胞又はNIH3T3細胞由来のv−ras系である。アッセイは、本質
的にDeClue,J.E.ら,Cancer Research 51:712-717(1991)に記載のように行う。
10cmディッシュ中50−75%密集度の細胞を、試験化合物(溶媒、即ちメ
タノール又はジメチルスルホキシドの最終濃度は0.1%)で処理する。37℃
で4時間後、10%レギュラーDMEM、2%ウシ胎児血清及び400mCi[35
S]メチオニン(1000Ci/mmol)を補充したメチオニン非含有DM
EM 3mL中で細胞を標識する。更に20時間後、溶解緩衝液(1%NP40
/20mM HEPES,pH7.5/5mM MgCl2/1mM DTT/1
0mg/mLアプロチネン/2mg/mLロイペプチン/2mg/mLアンチパ
イン/0.5mM PMSF)1mL中で細胞を溶解し、溶解液を100,00
0×g、45分間の遠心で清澄化する。等数の酸
沈殿カウントを含む溶解液のアリコートを、IP緩衝液(DTTを欠く溶解緩衝
液)で1mLにし、ras−特異的モノクローナル抗体Y13−259(Furth,
M.E.ら,J.Virol.43:294-304(1982))で免疫沈殿させる。4℃で2時間の抗体
インキュベーション後、ウサギ抗ラットIgGで被覆したプロテインA−セファ
ロースの25%懸濁液200mLを45分間加える。免疫沈殿物を、IP緩衝液
(20nM HEPES,pH7.5/1mM EDTA/1%Triton
X−100,0.5%デオキシコレート/0.1%SDS/0.1M NaCl
)で4回洗浄し、SDS−PAGEサンプル緩衝液中で煮沸し、13%アクリル
アミドゲルにかける。色素前線が底に到達したときに、ゲルを固定し、Enlighte
ningで濯ぎ、乾燥し、オートラジオグラフィーを行う。ファルネシル化及び非フ
ァルネシル化rasタンパク質に対応するバンドの強度を比較し、タンパク質へ
のファルネシル転移の%阻害を決定する。
実施例8 インビボ成長阻害アッセイ
FPTase阻害の生物的結果を決定するために、v−ras、v−raf、
又はv−mos癌遺伝子で形質転換されたRat
1細胞の足場−非依存性成長に対する本発明の化合物の効果を試験する。Ras
で誘導される細胞形質転換のための本化合物の特異性を評価するための解析に、
v−Raf及びv−Mosで形質転換された細胞を含めることができる。
v−ras、v−raf、又はv−mosで形質転換されたRat1細胞を、
底のアガロース層(0.6%)上の培地A(10%ウシ胎児血清を添加したダル
ベッコ改変イーグル培地)中の0.3%トップアガロース層に、密度1×104
細胞/プレート(直径35mm)で播く。両層は、0.1%メタノール又は適当
な濃度の本化合物(アッセイで使用する最終濃度の1000倍で、メタノールに
溶解する)を含む。細胞に、1週間に2度、0.1%メタノール又は上記濃度の
本化合物を含む培地A0.5mLを供給する。培養液を播いた16日後に、光学
顕微鏡写真をとり、比較する。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 35/00 A61K 31/00 635
A61K 31/4178 31/415 612
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,
CZ,EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,K
R,KZ,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG
,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,
SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,U
S,UZ,VN,YU
(72)発明者 ウイリアムズ,テリーザ・エム
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065―0907 ローウエイ、イースト・リ
ンカーン・アベニユー・126