【発明の詳細な説明】
ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤 発明の背景
Rasタンパク質(Ha−Ras、Ki4a−Ras、Ki4b−Ras及び
N−Ras)は、細胞表面の成長因子レセプターを、細胞増殖を開始させる核シ
グナルと結びつけるシグナル伝達経路の一部である。Ras作用の生物学的及び
生化学的研究によると、RasはG−調節タンパク質のように機能する。不活性
状態では、RasはGDPと結合している。成長因子レセプターが活性化される
と、RasはGDPをGTPに変えるように誘導され、コンフォメーション変化
を起こす。RasのGTP結合型は成長刺激シグナルを伝達し、Rasの内因性
GTPase活性によってシグナルは終り、Rasタンパク質を不活性GDP結
合型に戻す(D.R.Lowy and D.M.Willumsen,Ann.Rev.Biochem.62:851-891(1993
))。変異ras遺伝子(Ha−ras、Ki4a−ras、Ki4b−ras及
びN−ras)は、直腸結腸癌、膵外分泌腺癌、骨髄性白血病を含む多くのヒト
癌で見出されている。これらの遺伝子のタンパク質産物は
GTPase活性を欠き、絶えず成長刺激シグナルを伝達する。
Rasは、正常機能及び発癌機能の両方のために形質膜に局在化している必要
がある。Rasの膜局在化と共に、少なくとも3つの翻訳後修飾が起り、3つの
全ての修飾は、RasのC末端で起る。RasのC末端は、“CAAX”又は“
Cys−Aaa1−Aaa2−Xaa”ボックス(Cysはシステイン、Aaaは
脂肋族アミノ酸、Xaaは任意のアミノ酸である)と命名された配列モチーフを
含む(willumsenら,Nature310:583-586(1984))。特異的配列により、このモチ
ーフは、酵素であるファルネシル−タンパク質転移酵素又はゲラニルゲラニル−
タンパク質転移酵素のシグナル配列として働く。それそれの酵素は、それぞれC15
又はC20イソプレノイドによるCAAXモチーフのシステイン残基のアルキル
化を触媒する(S.Clarke.,Ann.Rev.Biochem.61:355-386(1992);W.R.Schafe
r and J.Rine,Ann.-Rev.Genetics 30:209-237(1992))。Rasタンパク質は、
翻訳後ファルネシル化をうけることが知られている幾つかのタンパク質の1つで
ある。他のファルネシル化タンパク質には、RhoのようなRas関連GTP結
合タンパク質、真菌接合因子、核ラミン、及びトランスデューシン
のガンマサブユニットなどがある。Jamesら,J.Biol.Chem.269,14182(1994)は、
同様にファルネシル化されるペルオキシソーム結合タンパク質Pxfを同定した
。Jamesらは、上記のタンパク質の他に、末知の構造と機能のファルネシル化タ
ンパク質があることも示唆した。
ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害は、軟寒天中でRasで形質転換さ
れた細胞の成長を阻害し、形質転換の表現型の他の面を修飾することが知見され
た。ファルネシル−タンパク質転移酵素のある阻害剤は、細胞内でRas癌タン
パク質のプロセシングを選択的に阻害することも示された(N.E.Kohlら,Scienc
e,260:1934-1937(1993);G.L.Jamesら,Science,260:1937-1942(1993))。最近
、ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤は、ヌードマウスでras依存性
腫瘍の成長を阻害し(N.E.Kohlら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,91:9141-91
45(1994))、rasトランスジェニックマウスで乳癌と唾液腺癌の退化を誘導す
る(N.E.Kohlら,Nature Medicine,1:792-797(1995))ことが知見された。
ファルネシル−タンパク質転移酵素のインビボでの間接的阻害が、ロバスタチ
ン(Merck&Co.,Rahway,NJ)及びコンパク
チン(Hancockら,上記;Caseyら,上記;Schaferら,Science245:379(1989))
を用いて示された。これらの薬剤は、ファルネシルピロリン酸を含むポリイソプ
レノイド産生の律速酵素であるHMG−CoAレダクターゼを阻害する。ファル
ネシル−タンパク質転移酵素はファルネシルピロリン酸を用い、ファルネシル基
により、RasのCAAXボックスのCysチオール基を共有結合で修飾する(R
eissら,Cell,62:81-88(1990);schaberら,J.Biol.Chem.,265:14701-14704(19
90);Schaferら,Science,249:1133-1139(1990);Manneら,Proc.Natl.Acad.Sci
.USA,87:7541-7545(1990))。HMG−CoAレダクターゼ阻害によるファルネ
シルピロリン酸生合成の阻害は、培養細胞でRasの膜局在化を阻害する。しか
し、ファルネシル−タンパク質転移酵素の直接的阻害はより特異的であり、イソ
プレン生合成の一般的阻害剤の必要な投与量で起るよりも少ない副作用しか起ら
ないであろう。
ファルネシル−タンパク質転移酵素(FTPase)の阻害剤は、2つの一般
的クラスに分類されてきた。第1はファルネシルニリン酸(FPP)のアナログ
であり、阻害剤の第2のクラスは該酵素のタンパク質基質(例えば、Ras)に
関連する。
報告されたペプチド由来阻害剤は一般的に、タンパク質のプレニル化のシグナル
であるCAAXモチーフに関連するシステイン含有分子である(Schaberら,上記
;reissら,上記;reissら,PNAS,88:732-736(1991))。このような阻害剤は、
ファルネシル−タンパク質転移酵素の別の基質として働いてタンパク質のプレニ
ル化を阻害しうるし、又は純粋の拮抗阻害剤でありうる(米国特許第5,141
,851号,テキサス大学;N.E.Kohlら,Science,260:1934-1937(1993);Grahamら
,J.Med.Chem.,37,725(1994))。一般的に、CAAX誘導体からのチオールの欠
失は、化合物の阻害力価を劇的に減少させることが知見されてきた。しかし、チ
オール基によって、薬物動力学、薬力学、及び毒性に関して、FPTase阻害
剤の治療適用に限界が存在する可能性がある。それ故、機能を有したままチオー
ルを置換することが望ましい。
最近、ファルネシル−タンパク質転移酵素阻害剤は、血管の平滑筋細胞の増殖
の阻害剤であり、それ故、動脈硬化及び血管の糖尿病による障害の予防と治療に
有用であることが報告された(日本特許出願公開第平成7−112930号)。
最近、場合によってはピペリジン部分を含むある種の三環系
化合物がFPTaseの阻害剤であることが開示された(WO 95/1051
4, WO 95/10515及びWO 95/10516)。ファルネシル−
タンパク質転移酵素のイミダゾール含有阻害剤も開示された(WO 95/09
001及び欧州特許出願公開第0675112A1号)。
それ故、チオール部分を有せず、ファルネシル−タンパク質転移酵素、即ちタ
ンパク質の翻訳後ファルネシル化を阻害するペプチド擬似化合物の開発が、本発
明の目的である。本発明の化合物を含む化学療法組成物及び本発明の化合物の製
造方法の開発も、本発明の更なる目的である。発明の概要
本発明は、ファルネシル−タンパク質転移酵素を阻害する小分子で、ペプチド
擬似物の、アミド含有化合物を包含する。本化合物は、チオール部分を欠き、動
物における薬物動力学挙動の改善、迅速自己酸化及び内因性チオールとのジスル
フィド形成のようなチオール依存性化学反応の防止、並びに全身的毒性の軽減の
点で、独特の利点を有する。更に、これらのファルネシル転移酵素阻害剤を含む
化学療法組成物及びそれらの製造方法も本発明に包含される。
本発明の化合物は、式I
によって表される。発明の詳細な説明
本発明の化合物は、ファルネシル−タンパク質転移酵素及び癌遺伝子タンパク
質Rasのファルネシル化の阻害に有用である。本発明の第1の実施態様では、
ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤は、式I
[式中、
R1a、R1b及びR2は独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、C3−C10シクロアルキル、C2−C6
アルケニル、C2−C6アルキニル、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8
−、CN、NO2、(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O
)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、C3−C10シクロア
ルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、R8O−、R9S(O)m−
、R8C(O)NR8−、CN、(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8
OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくはR9OC(O)NR8−で置換された
C1−C6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、CF3(CH2)nO−、(
R9)OC(O)NR8−、C1−C20アルキル、置換もしくは非置換のアリール
、及び置換もしくは非置換の複素環
から選択される;
R5は、
a)水素、
b)非置換の、又は置換されたアリール、
c)非置換の、又は置換された複素環、
d)非置換の、又は置換されたC3−C10シクロアルキル、及び
e)水素で置換されたC1−C6アルキル、又は、非置換のもしくは置換されたア
リール、非置換のもしくは置換された複素環、非置換のもしくは置換されたC3
−C10シクロアルキル、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)O−、(R9)S(
O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(R8)C(O)−、
(R8)OC(O)−、N3、CN(R9)OC(O)NR8−から選択される基で
置換されたC1−C6アルキルから選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、C3−C10シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C2−
C6アルキニル、ぺルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R8O−、R9S(O
)m−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、(R8)2N−C(NR8)−、R8C
(O)
−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、C3−C10シクロア
ルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F
、Cl、Br、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NH−、CN、H2N−
C(NH)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくは
R8OC(O)NH−で置換されたC1−C6アルキルから選択される;
R7は、
a)水素、
b)C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F、C
l、Br、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、(R8
)2N−C−(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8
)2、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br
、R8O−、R9S(O)m−、R8C(O)NR8−、CN、(R8)2N−C(N
R8)−、R8C(O)−、
R8OC(O)−、N3、−N(R8)2もしくはR9OC(O)NR8−で置換され
たC1−C6アルキル
から選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
非分枝鎖もしくは分枝鎖の、非置換の、もしくは
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
の1個以上で置換されたC1−C5アルキル
から選択される:
R12は、H、C1−C10アルキル、置換もしくは非置換のア
リールであるか、又は置換もしくは非置換のアリールで置換されたC1−C10ア
ルキルである;
A1及びA2は独立に、結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−
C(O)NR8−、−NR8C(O)−、O、−N(R8)−、−S(O)2N(R8
)−、−N(R8)S(O)2−又はS(O)mから選択される;
A3は、−NR5−又は結合から選択される;
Vは、
a)水素、
b)複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(但し、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選択
されるヘテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合であり、nが0であり且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない
;
Wは複素環である;
Yはアリール又はヘテロアリールである;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である;
及び
tは0又は1である]
によって表される化合物又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物の好適な実施態様は、式Ia
[式中、
R1a及びR2は独立に、水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、シクロアルキル、ア
ルケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R8)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1−C20アルキル、置換もしくは非置換のアリール、及び置換もしくは非
置換の複素環
から選択される;
R5は、
a)水素、及び
b)水素で置換されたC1−C6アルキル、又は、非置換のもしくは置換されたア
リール、非置換のもしくは置換された複素環、非置換のもしくは置換されたC3
−C10シクロアルキル、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)O−、(R9)S(
O)m
−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(R8)C(O)−、(R8
)OC(O)−、N3、CN(R9)OC(O)NR8−から選択される基で置換
されたC1−C6アルキル
から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2
、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)NR8−、(R8)2
N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2又はR9O
C(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R7aは水素又はメチルである;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;非分枝鎖もしくは分枝鎖の、非置換の、もしくは
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
の1個以上で置換されたC1−C5アルキル
から選択される;
R12は、H、C1−C10アルキル、及び置換されたもしくは非置換のアリール
である;
A1及びA2は独立に、結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−
C(O)NR8−、O、−N(R8)−、又はS(O)mから選択される;
A3は、−NR5−又は結合から選択される;
Vは、
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、ピリジニル、チアゾリル、ピリドニル、2−
オキソピペリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、及びチエニル
から選択される複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(但し、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選択
されるヘテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合であり、nが0であり且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない
;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;及び
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である]によって表される
化合物又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物の第2の好適実施態様は、式Ib
[式中、
R1a及びR2は独立に、水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、シクロアルキル、ア
ルケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)
OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8−、C1−C20アルキル、置
換もしくは非置換のアリール、及び置換もしくは非置換の複素環
から選択される;
R5は、
a)水素、及び
b)水素で置換されたC1−C6アルキル、又は、非置換のもしくは置換されたア
リール、非置換のもしくは置換された複素環、非置換のもしくは置換されたC3
−C10シクロアルキル、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)O−、(R9)S(
O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(R8)C(O)−、
(R8)OC(O)−、N3、CN(R9)OC(O)NR8−から選択される基で
置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)
−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2、又はR9OC(O)NR8
−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)NR8−、(R8)2
N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2又はR9O
C(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R7は水素及びC1−C6アルキルから選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
非分枝鎖もしくは分枝鎖の、非置換の、もしくは
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
の1個以上で置換されたC1−C5アルキル
から選択される;
R12は、C1−C10アルキル、及び置換されたもしくは非置換のアリールであ
る;
A1及びA2は独立に、結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−
C(O)NR8−、O、−N(R8)−、又はS(O)mから選択される;
A3は、−NR5−又は結合から選択される;
Vは、
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、ピリジニル、チアゾリル、ピリドニル、2−
オキソピペリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、及びチエニル
から選択される複素環、
c)アリール、
d)C1−C20アルキル(但し、0〜4個の炭素原子が、O、S及びNから選択
されるヘテロ原子で置き換えられている)、及び
e)C2−C20アルケニル
から選択されるが、但し、A1がS(O)mであるとき、Vは水素ではなく、A1
が結合であり、nが0であり且つA2がS(O)mであるとき、Vは水素ではない
;
Wは、ピロリジニル、ピリジニル、チアゾリル、ピリドニル、2−オキソピペ
リジニル、インドリル、キノリニル、又はイソキノリニルから選択される複素環
である;
mは0、1又は2;
nは0、1、2、3又は4;
pは0、1、2、3又は4;
rは0〜5であるが、但しVが水素のとき、rは0である;
及び
tは1である]
によって表される化合物又は医薬として許容できるその塩である。
本発明のより好適な実施態様では、ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害
剤は、式Ic
[式中、
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、シクロアルキル、ア
ルケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R2は独立に水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1
−C20アルキル、置換もしくは非置換のアリール、及び置換もしくは非置換の複
素環から選択される;
R5は、
a)水素、及び
b)水素で置換されたC1−C6アルキル、又は、非置換のもしくは置換されたア
リール、非置換のもしくは置換された複素環、非置換のもしくは置換されたC3
−C10シクロアルキル、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)O−、(R9)S(
O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(R8)C(O)−、
(R8)OC(O)−、N3、CN(R9)OC(O)NR8−から選択される基で
置換されたC1−C6アルキルから選択される;
R6は独立に、
a)水素、
b)C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C1−C6ペ
ルフルオロアルキル、F、Cl、R8O−、R8C(O)NR8−、CN、NO2、
(R8)2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2
、又はR9OC(O)NR8−、及び
c)C1−C6ペルフルオロアルキル、R8O−、R8C(O)NR8−、(R8)2
N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8OC(O)−、−N(R8)2又はR9O
C(O)NR8−で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
非分枝鎖もしくは分枝鎖の、非置換の、もしくは
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくは
の1個以上で置換されたC1−C5アルキル
から選択される;
R12は、C1−C10アルキル、及び置換されたもしくは非置換のアリールであ
る;
mは0、1又は2;
pは0、1、2、3又は4である]
によって表される化合物又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の第2のより好適な実施態様では、ファルネシル−タンパク質転移酵素
の阻害剤は、式Id
[式中、
R1bは独立に、
a)水素、
b)アリール、複素環、シクロアルキル、R8O−、−N(R8)2、又はC2−C6
アルケニル、
c)非置換のC1−C6アルキル、又は、アリール、複素環、シクロアルキル、ア
ルケニル、R8O−もしくは−N(R8)2で置換されたC1−C6アルキル
から選択される;
R2は独立に水素又はC1−C6アルキルから選択される;
R3及びR4は独立に、F、Cl、Br、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)
O−、(R9)S(O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(
R8)C(O)−、(R8)OC(O)−、N3、CN、(R9)OC(O)NR8
−、C1−C20アルキル、置換もしくは非置換のアリール、及び置換もしくは非
置換の複素環から選択される;
R5は、
a)水素、及び
b)水素で置換されたC1−C6アルキル、又は、非置換のもしくは置換されたア
リール、非置換のもしくは置換された複素環、非置換のもしくは置換されたC3
−C10シクロアルキル、N(R8)2、CF3、NO2、(R8)O−、(R9)S(
O)m−、(R8)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(R8)C(O)−、
(R8)OC(O)−、N3、CN(R9)OC(O)
NR8−から選択される基で置換されたC1−C6アルキルから選択される;
R8は独立に、水素、C1−C6アルキル、ベンジル及びアリールから選択され
る;
R9は独立に、C1−C6アルキル及びアリールから選択される;
非分枝鎖もしくは分枝鎖の、非置換の、もしくは
1)アリール、
2)複素環、
3)OR8、
4)SR9、SO2R9、もしくはの1個以上で置換されたC1−C5アルキル
から選択される;
R12は、C1−C10アルキル、及び置換されたもしくは非置換のアリールであ
る;
mは0、1又は2;及び
pは0、1、2、3又は4である]
によって表される化合物又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物の特別の例は、
N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N−[2−
((3−クロロフェニル)アミノ]エチル]アセトアミド
もしくは
N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N−(3−
フェニルプロピル)アセトアミド
又は医薬として許容できるその塩である。
本発明の化合物は、不斉中心を有しえ、ラセミ化合物、ラセ
ミ混合物、及び個々のジアステレオマーとしてとして存在しえるが、光学異性体
を含む可能な全ての異性体は本発明に包含される。いずれの可変部分(例えば、
アリール、複素環、R1a、R2など)もいずれかの説明文で2度以上存在すると
きには、各存在での定義はあらゆる他の存在とは独立である。また、置換基及び
/又は変化しうる基の組合せは、このような組合せにより安定な化合物が得られ
る場合のみ許される。
本明細書で使用する“アルキル”は特定数の炭素原子を有する分岐鎖及び直鎖
の飽和脂肪族炭化水素基を含むように意図している;“アルコキシ”は酸素を介
して結合した指示数の炭素原子を有するアルキル基を表す。本明細書で使用する
“ハロゲン”又は“ハロ”はフルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを意味する。
本明細書で使用する“アリール”は、各環において最大7員の安定な単環又は
二環の炭素環(少なくとも一つの環が芳香族である)を意味するように意図して
いる。このようなアリール基の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフ
チル、インダニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリル、又はアセナフチ
ルが含まれる。
本明細書で使用する複素環(heterocycle又はheterocyclic)という用語は、
安定な5〜7員の単環又は安定な8〜11員の二環の複素環であって、飽和又は
不飽和であり、炭素原子及びN、O、Sからなる群から選択される1〜4個のヘ
テロ原子からなる複素環であり、上記複素環がベンゼン環に融合している二環基
を含む複素環を表す。複素環は、安定な構造ができる任意のヘテロ原子又は炭素
原子に結合してもよい。このような複素環基の例には以下のものが含まれるが、
それらに限定されない。アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾ
リル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル
、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾリル、クロマニル、シノ
リニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオ
ピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、
イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、
イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イ
ソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オ
キソアゼピニル、2−オキソピペラジニル、2−オ
キソピペルジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリ
ジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル
、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テト
ラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チア
モルホリニル、チアモルホリニル、スルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、
チエノフリル、チエノチエニル、及びチエニル。
本明細書で使用する“ヘテロアリール”は、各環が最大7個のメンバーからな
る安定な単環又は二環の炭素環であって、少なくとも一つの環は芳香族であり、
1〜4個の炭素原子が、N、O、Sからなる群から選択されるヘテロ原子に置き
換えられていることを特徴とする該単環又は二環の炭素環を意味するものとする
。このような複素環基の例には、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル
、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベン
ゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シノリニル
、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニ
ル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フ
リル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインド
リニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル
、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル
、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、
テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、及びチ
エニルなどがあるが、それらに限定されない。
本明細書で使用する“置換されたアリール”、“置換された複素環”、及び“
置換されたシクロアルキル”という用語は、F、Cl、Br、CF3、NH2、N
(C1−C6アルキル)2、NO2、CN、(C1−C6アルキル)O−、−OH、(
C1−C6アルキル)S(O)m−、(C1−C6アルキル)C(O)NH−、H2N
−C(NH)−、(C1−C6アルキル)C(O)−、(C1−C6アルキル)OC
(O)−、N3、(C1−C6アルキル)OC(O)NH−、及びC1−C20アルキ
ルを含むが、それらに限定されない基から選択される1〜2個の置換基で置換さ
れた環状基を含むものとする。
環系に置換基から(R2、R3、R4などからのような)ひか
れた線は、示された結合が、置換されうる環の炭素原子の任意のものに結合でき
ることを示す。
好ましくは、R1a、R1b及びR2は独立に、水素、−N(R8)2、R8C(O)
NR8−から選択されるか、あるいは非置換のC1−C6アルキル、又は−N(R8
)2、R8O−もしくはR8C(O)NR8−によって置換されたC1−C6アルキル
から選択される。
好ましくは、R3及びR4は独立に、水素、ペルフルオロアルキル、F、Cl、
Br、R8O−、R9S(O)m−、CN、NO2、R8 2N−C(NR8)−、R8C
(O)−、R8OC(O)−、N3、−N(R8)2、R9OC(O)NR8−、及び
C1−C6アルキルから選択される。
好ましくは、R5は水素であるか、あるいは、水素、R9S(O)m−、CF3−
又は非置換のもしくは置換されたアリール基で置換されたC1−C6アルキルであ
る。
好ましくは、R6は水素、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R8O−、
R9S(O)m−、CN、NO2、R8 2N−C(NR8)−、R8C(O)−、R8O
C(O)−、N3、−N(R8)2、R9OC(O)NR8、及びC1−C6アルキル
から
選択される。
好ましくは、R7は水素である。
好ましくは、R8は、H、C1−C6アルキル及びベンジルから選択される。
好ましくは、R9はC1−C6アルキルから選択される。
好ましくは、R10及びR11は、H、C1−C6アルキル及びベンジルから選択さ
れる。
好ましくは、R12はC1−C6アルキルから選択される。より好ましくは、R12
はメチルである。
好ましくは、A1及びA2は独立に、結合、−C(O)NR8−、−NR8C(O
)−、O、−N(R8)−、−S(O)2N(R8)−及び−N(R8)S(O)2
−から選択される。
好ましくは、Vは、水素、複素環、及びアリールから選択される。最適には、
Vはフェニルである。
好ましくは、Yは、フェニル、フリル、チエニル及びピリジルから選択される
。最適には、Yはフェニルである。
好ましくは、n、p及びrは独立に0、1又は2である。
好ましくは、tは1である。
本発明の化合物の医薬的に許容できる塩には、例えば非毒性
の無機酸又は有機酸から形成される本発明の化合物の通常の非毒性塩がある。例
えば、このような通常の非毒性塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン
酸、リン酸、硝酸などの無機酸から得られる塩:及び酢酸、プロピオン酸、コハ
ク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アス
コルビン酸、パモ酸(pamoic)、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル
酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ
安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホ
ン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸から製造される
塩がある。
一つの分子内の特定の位置における置換基又は可変部分(例えば、R1a、Z、
nなど)の定義は、その分子内の他のところの定義からは独立しているものとす
る。即ち、−N(R8)2は、−NHH、−NHCH3、−NHC2H5などを表す
。本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは、当業者が選択でき、容易に入
手できる出発物質から、当業界公知の技術、及び下記の方法によって、化学的に
安定で、容易に合成できる化合物を得ることができる。
本発明の化合物の医薬的に許容できる塩は、塩基性部分を含む本発明の化合物か
ら通常の化学的方法により合成されることができる。一般的には、塩は、イオン
交換クロマトグラフィーによって、あるいは適切な溶媒中、又は溶媒の適切な種
々な組合せ物中で、遊離塩基を所望の塩を形成する無機酸又は有機酸の化学量論
的量又は過剰量と反応させることによって製造する。
本発明の化合物を製造するために使用される反応は、スキーム1〜12に記載
の反応、並びに文献で公知であるか、又は本明細書の実験方法で例示した、エス
テル加水分解、保護基の切断などの他の標準的操作を用いて行う。スキームに示
す置換基R’及びR’CH2−は、合成する本発明の化合物により、置換基R8、
R9及び他のものを表す。変化しうるp’はp−1を表す。
これらの反応を直線的順番で用いて本発明の化合物を得ることができ、又はフ
ラグメントを合成するためにこれらの反応を用い、次に、スキームで記載したア
ルキル化反応によってフラグメントを結合しうる。スキーム1−12の要約
必要な中間体はいくつかの場合では市販されており、又は大部分、文献の方法
により製造できる。スキーム1−2は、本発
明の好適実施態様の一つの合成を示す。ここで、変化しうる基Wは、適切に置換
されたベンジル基で置換されたイミダゾリル部分として存在する。置換されてい
る、保護されたイミダゾールアルカノールIIは、F.Schneider,Z.Physiol.Che
m.,3:206-210(1961);C.P.Stewart,Biochem.Journal,17:130-133(1923)によ
って記載の方法のような当業界公知の方法で製造できる。イミダゾールアルカノ
ールのベンジル化及び脱保護により、中間体IIIを得、それは対応するアルデヒ
ドIVに酸化されることができる。
スキーム1にその合成が示されているアルデヒドは、スキーム2に示されてい
るアニリンVから製造された適切に置換されたジアミンVIと反応して、中間化合
物VIIを得ることができる。化合物VIIは、示されたもののような標準的条件下、
選択的にN−アシル化されることができ、化合物VIIIを得ることができる。A3
が結合であることを特徴とする化合物に関する類似反応をスキーム2aに示す。
スキーム3−6は、変化しうる基Wがピリジル部分として存在することを特徴
とする化合物の合成に有用な適切に置換されたアルデヒドの合成を示す。変化し
うる基Wとして他の複素環部分を取込んだアルカノールの製造の同様の合成戦略
も、当業
者に周知である。
スキーム7に示すように、ジアミンVIは、IXのような種々の他のアルデヒドと
反応できる。最初に生成物Xはアシル化され、次いで脱保護でき、化合物XIを得
ることができる。化合物XIは、例えば特に、トリフルオロ酢酸塩、塩酸塩又は酢
酸塩として、塩形態で単離される。スキーム8に示すように、化合物XIは更に選
択的に保護化され、XIIを得ることができ、次にそれは、XIIIのような第2のア
ルデヒドにより還元的アルキル化され、XIVを得ることができる。保護基の除去
、及びジヒドロイミダゾールXVのような環状化生成物への変換は、文献記載の方
法で行うことができる。
ジアミンVIは、スキーム9におけるXVIのような、保護化ヒドロキシル基をも
有するアルデヒドによって還元的アルキル化される場合、生成物XVIIは最初にア
シル化され、次に保護基を除去し、ヒドロキシル基の遮蔽を取除くことができる
(スキーム9,10)。アルコールは標準的条件下、例えばアルデヒドに酸化さ
れることができ、そのアルデヒドは、グリニャール試薬のような種々の有機金属
試薬と反応させて、XXIのような第2級アルコールを得ることができる。更に、
完全に脱保護され
たアミノアルコールXXIIは種々のアルデヒドにより(上記条件下)還元的アルキ
ル化され、XXIII(スキーム10)のような第2級アミン、又は第3級アミンを
得ることができる。
Boc保護化アミノアルコールXIXを用いても、XXIV(スキーム11)のよう
な2−アジリジニルメチルアミドを合成できる。ジメチルホルムアミドのような
溶媒中、1,1’−スルホニルジイミダゾール及び水素化ナトリウムで、XIXを
処理すると、アジリジンXXIVが生成する。アジリジンは塩基の存在下、チオール
のような求核試薬と反応して、開環生成物XXVIを得ることができる。
更に、スキーム12に示すように、ジアミンVIは標準的方法により、O−アル
キル化チロシンのようなアミノ酸由来アルデヒドと反応して、XXXIIのような化
合物を得ることができる。最初に中間体XXXIIをアシル化し、次いで更に加工す
る。R’がアリール基の場合、XXXIIIを最初に水素化しフェノールの遮蔽を取外
し、アミン基を酸で脱保護し、XXXIVを得ることができる。あるいは、XXXIIIの
アミン保護基を除去し、XXXVのようなO−アルキル化フェノール性アミンを産生
させることができる。スキーム1 スキーム2 スキーム2(続き) スキーム2a スキーム3 スキーム4 スキーム5 スキーム6 スキーム7 スキーム8 スキーム8(続き) スキーム9 スキーム9(続き) スキーム10 スキーム11 スキーム12 スキーム12(続き) スキーム12(続き) 本化合物は、哺乳動物用、特にヒト用の医薬として有用である。これらの化合
物は、癌治療に使用するために、患者に投与できる。本発明の化合物で治療でき
る癌の型の例には、結腸直腸癌、膵外分泌腺癌、骨髄性白血病、及び神経系腫瘍
があるが、それらに限定されない。このような腫瘍は、ras遺伝子それ自身の
変異、Ras生成を制御できるタンパク質の変異(即ち、神経線維腫(NF−1
)、neu、scr、abl、lck、fyn)、又は他の機構により起りうる
。
本発明の化合物は、ファルネシル−タンパク質転移酵素及び癌遺伝子タンパク
質Rasのファルネシル化を阻害する。本化合物はまた、腫瘍血管新生も阻害し
、腫瘍成長に影響しうる(J.Rakら,Cancer Research,55:4575-4580(1995))。
本化合物のこのような抗血管新生という性質は、網膜血管新生関連失明のある種
の型の治療にも有用でありうる。
本発明の化合物はまた、Rasタンパク質が、他の遺伝子の発癌的変異の結果
(即ち、Ras遺伝子それ自体は、発癌形態への変異によって活性化されない)
として異常に活性化されることを特徴とする他の増殖性疾患(良性も悪性も両方
含めて)の阻害にも有用であり、該阻害は、このような治療の必要な哺
乳動物に有効量の本発明の化合物の投与によって行う。例えば、NF−1の一症
状は良性増殖性疾患である。
本発明の化合物は、ある種のウイルス感染の治療、特に肝炎デルタウイルス及
び関連ウイルスの治療にも有用でありうる(J.S.Glennら,Science,256:1331-1
333(1992))。
本発明の化合物は、新生内膜形成阻害による、経皮的管腔冠血管形成後の再発
狭窄症の予防にも有用である。
本化合物は、多発性嚢胞腎疾患の治療と予防にも有用である(D.L.Schaffner
ら,American Journal of Pathology,142:1051-1060(1993);B.Cowley,Jrら,F
ASEB Journal,2:A3160(1988))。
本発明の化合物は、哺乳動物、特にヒトに投与でき、単独か、又は好ましくは
、標準的製薬実務に従い、医薬製剤として医薬的に許容できる担体又は希釈剤、
必要によりミョウバンなどの公知のアジュバントと組合せて投与できる。該化合
物は、経口、又は静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸、局所経路投与を含む非
経口で投与できる。
本発明の化学療法化合物の経口での使用の場合、選択された化合物を、例えば
錠剤もしくはカプセルの形態で、又は水溶液
もしくは水性懸濁液として投与できる。経口使用用の錠剤の場合、通常使用され
る担体には乳糖及びコーンスターチがあり、ステアリン酸マグネシウムなどの潤
滑剤が通常使用される。カプセル形態における経口投与の場合、有用な希釈剤に
は、乳糖及び乾燥コーンスターチがある。水性葱濁液が経口投与用に必要の場合
、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と組合せる。所望ならば、ある特定の甘味料及び
/又はフレーバー剤を加えることができる。筋肉内、腹腔内、皮下、静脈内での
使用の場合、通常活性成分の滅菌液を製造するが、溶液のpHを適切に調整し、
緩衝化すべきである。静脈内使用の場合、溶質の合計濃度を、製剤を等張にする
ために制御すべきである。
本明細書で用いる“組成物”という用語は、特定量の特定成分、及び特定量の
特定成分の組合せから直接的又は間接的に得られる物を含む物を包含するものと
する。
本発明はまた、治療上有効量の本発明の化合物を医薬的に許容できる担体又は
希釈剤と共に、又はそれ無しで投与することを含む癌の治療に有用な医薬組成物
をも包含する。本発明の適切な組成物は、本発明の化合物と薬理的に許容できる
担体、例えばあるpHレベル(例えば7.4)の生理食塩水を含む水溶
液を包含する。
本発明の化合物をヒト患者に投与する場合、一日の投与量は通常は、主治医に
より決定されるが、その投与量は一般的に年齢、体重、個々の患者の反応及び患
者の症状のひどさによって変わる。
一つの典型的な適用においては、適切な量の化合物が、癌の治療を受ける哺乳
動物に投与される。1日当り約0.1〜約60mg/体重kg、好ましくは0.
5〜約40mg/体重kgが投与される。
本発明の化合物は、組成物中のファルネシル−タンパク質転移酵素(FPTa
se)の存在と量の迅速測定のアッセイにおける成分としても有用である。即ち
、試験する組成物を分割し、2個の部分を、FPTaseの公知の基質(例えば
、アミン末端にシステインを有するテトラペプチド)及びファルネシルピロリン
酸、及び混合物の一つには本発明の化合物を含む混合液と接触させることができ
る。アッセイ混合物を、FPTaseが基質をファルネシル化するのに十分な時
間(当業者周知)インキュベートした後、アッセイ混合液の化学的内容を、周知
の免疫学的、放射化学的、又はクロマトグラフィー技術で決定で
きうる。本発明の化合物は、FPTaseの選択的阻害剤であるので、本化合物
を含むアッセイ中の変化しない基質の存在に対し、本発明の化合物を含まないア
ッセイ混合液中の基質の存在しないこと又は基質量の定量的減少は、試験組成物
中のFPTaseの存在を示す。
上記のようなアッセイは、ファルネシル−タンパク質転移酵素を含む組織サン
プルの同定と該酵素の定量に有用であることは、当業者に自明であろう。即ち、
本発明の強力な阻害化合物は、サンプル中の酵素量の測定のために、活性部位滴
定アッセイで使用できる。未知量のファルネシル−タンパク質転移酵素、過剰量
のFPTaseの既知基質(例えば、アミン末端にシステインを有するテトラペ
プチド)及びファルネシルピロリン酸を含む組織抽出液のアリコートからなる一
連のサンプルを、種々の濃度の本発明の化合物の存在下、適切な時間インキュベ
ートする。サンプルの酵素活性を50%阻害するのに必要な十分に強力な阻害剤
(即ち、アッセイ容器中で酵素濃度よりかなり小さいKiを有する化合物)の濃
度は、その特定のサンプル中の酵素濃度の半分にほぼ等しい。
実施例
本発明のなおいっそうの理解の助けとなるように、実施例を記載する。使用す
る特定の物質、種類及び条件は本発明を更に例証するものであって、本発明の妥
当な範囲を制限するものではない。
実施例1 N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N−[2−( (3−クロロフェニル)アミノ)エチル]アセトアミド二塩酸塩(1) 工程1:1−トリフェニルメチル−4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール(2 )の製造
室温の乾燥DMF250mL中の4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸
塩(35g)の溶液に、トリエチルアミン(90.6mL)を加えた。白色固体
が溶液から沈殿した。DMF500mL中のクロロトリフェニルメタン(76.
1g)を滴下添加した。反応混合液を20時間攪拌し、氷上に注ぎ、濾過し、氷
水で洗浄した。得られた生成物を冷ジオキサンでスラリー状にし、濾過し、真空
乾燥して、白色固体として2を得たが、それは次工程での使用のために十分に純
粋であった。工程2:1−トリフェニルメチル−4−(アセトキシメチルイミダゾール(3) の製造
アルコール2(上記製造)を、ピリジン500mLに懸濁した。無水酢酸(7
4mL)を滴下添加し、反応液を48時間攪拌したが、その間に反応液は均一に
なった。溶液をEtOAc2Lに注ぎ、水(3×1L)、5%HCl水溶液(2
×1L)、飽和 NaHCO3水溶液、ブラインで洗浄し、次に乾燥し(Na2S
O4)、濾過し、真空濃縮し、粗生成物を得た。アセテート3を白色粉末として
単離したが、それは次工程での使用のために十分に純粋であった。工程3:1−(4−シアノベンジル)−5− アセトキシメチル)イミダゾール 臭化水素酸塩(4)の製造
EtOAc500mL中の3(85.8g)とα−ブロモ−p−トルニトリル
(50.1g)の溶液を、60℃で20時間攪拌したが、その間に淡黄色沈殿が
生成した。反応液を室温に冷却し、濾過し、固体のイミダゾリウム臭化物塩を得
た。濾液を容量200mLに真空濃縮し、60℃で2時間再加熱し、室温に冷却
し、再度濾過した。濾液を容量100mLに真空濃縮し、60℃で更に2時間再
加熱し、室温に冷却し、真空濃縮し、
淡黄色固体を得た。固体物質の全てを一緒にし、メタノール500mLに溶解し
、60℃に温めた。2時間後、溶液を再度真空濃縮し、白色固体を得、それをヘ
キサンで摩砕し、可溶性物質を除去した。残りの溶媒を真空除去して、標記生成
物の臭化水素酸塩を白色固体として得たが、それを、更に精製せずに次工程で使
用した。工程4:1−(4−シアノベンジル)−5−(ヒドロキシメチル)イミダゾール (5)の製造
0℃の THF/水(3:1)1.5L中のアセテート4(50.4g)の溶
液に、水酸化リチウム一水和物(18.9g)を加えた。1時間後、反応液を真
空濃縮し、EtOAc(3L)で希釈し、水、飽和NaHCO3水溶液、ブライ
ンで洗浄した。次に、溶液を乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、粗生
成物を淡黄色のふんわりした固体として得たが、それは、更なる精製をせずに、
次工程での使用のために十分純粋であった。工程5:1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾールカルボキシアルデヒド (6)の製造
室温のDMSO500mL中のアルコール5(21.5g)
の溶液に、トリエチルアミン(56mL)、次にSO3−ピリジン錯体(40.
5g)を加えた。45分後、反応液をEtOAc2.5Lに注ぎ、水(4×1L
)とブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、アルデヒ
ド6を白色粉末として得た。それは、更に精製せずに次工程での使用に十分純粋
であった。工程6:N−(2−アミノエチル)−3−クロロアニリン塩酸塩(7)の製造
0℃のジクロロメタン500mL中の3−クロロアニリン(30mL)の溶液
に、1,4−ジオキサン中4N HCl溶液(80mL)を滴下添加した。溶液
を室温に温め、次に真空濃縮乾固し、白色粉末を得た。この粉末と2−オキサゾ
リジノン(24.6g)の混合物を窒素雰囲気下160℃で10時間加熱した。
その間に固体は融解し、ガス発生が観察された。反応液を冷却し、標記化合物7
を淡茶色の固体を生成させた。工程7:N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N’ −(3−クロロフェニル)エチレンジアミン(8)の製造
アミン塩酸塩7(978mg)を希NaHCO3水溶液と塩
化メチレンに分配した。水層をCH2Cl2で3回洗浄し、一緒にした有機相を乾
燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、遊離アミンを得た。0℃の1,2−
ジクロロエタン11mL中のアミンの溶液に、4Å粉末モレキュラーシーブ(2
g)、次いで水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(3.04g)を加えた。
アルデヒド6(1.21g)を加え、反応液を0℃で攪拌した。15時間後、反
応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、水層をEtOAc
で抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾
過し、真空濃縮した。得られた生成物を、ベンゼン:CH2Cl2(5:1)60
mL中にとり、プロピルアミン(10mL)を加えた。反応液を12時間攪拌し
、次に真空濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(5%MeOH/CHCl3
)で精製し、標記化合物8を白色泡状物として得た。工程8:N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N− [2−((3−クロロフェニル)アミノ)エチル]アセトアミド二塩酸塩(1) の製造
CH2Cl22.5mL中のジアミン8(150mg)の溶液に、トリエチルア
ミン(0.057mL)を加えた。溶液を0℃
に冷却し、無水酢酸(0.019mL)を加えた。反応液を一晩攪拌し、反応液
は室温に徐々に温まった。混合液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液
とブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。この物を
シリカゲルクロマトグラフィー(2.5−5%MeOH/CH2Cl2)で精製し
、CH2Cl2にとり、1M HCl/エーテル溶液で処理し、真空濃縮した。生
成物の塩酸塩1を白色固体として単離した。
FABマススペクトルm/e408(M+1)。
C22H22ClN5O・2.00HCl・0.50H2Oとして計算した分析値C,
53.95;H,5.14;N,14.30;実測値C,53.93;H,5.
42;N,13.42。
実施例2 N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル−N−(3−フェ ニルプロピル)アセトアミド塩酸塩(9) 工程1:N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N− (3−フェニルプロピル)アミン(10)の製造
0℃の1,2−ジクロロエタン5mL中の3−フェニルプロ
ピルアミン(0.202mL,1.42mmol)の溶液に、4Å粉末モレキュ
ラーシーブ(0.38g)、次に水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(30
1mg,1.42mmol)を加えた。実施例1工程5からのアルデヒド6(2
00mg,0.947mmol)を加えた。反応液は室温に温まった。2日後、
反応液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、水層をEtoA
Cで抽出した。一緒にした有機相をブラインで洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、
濾過し、真空濃縮した。得られた生成物を20%CH2Cl2/プロピルアミン1
2mL中にとり、12時間攪拌し、真空濃縮し、分取HPLCで精製した。生成
物を水/MeOH溶液にとり、Delta-Pak(C−18,100A,15mm,40
mm×100mm)分取HPLCカラムに直接注入し、溶媒として0.1%トリ
フルオロ酢酸/水と0.1%トリフルオロ酢酸/アセトニトリルのグラジエント
を用いた。次に、純粋な分画の一部を塩化メチレンと水に分配し、有機相を乾燥
し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮し、標記生成物10を白色固体として得た
。工程2:N−[1−(4−シアノベンジル)−5−イミダゾリルメチル]−N− (3−フェニルプロピル)アセトアミド塩酸塩(9)の製造
CH2Cl22mL中の工程1からのアミン10(41mg,0.125mmo
l)の溶液に、トリエチルアミン(0.035mL,0.250mmol)を加
えた。溶液を0℃に冷却し、無水酢酸(0.012mL,0.125mmol)
を加えた。1時間後、混合液をEtOAcに注ぎ、飽和NaHCO3とブライン
で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、濾過し、真空濃縮した。この物をシリカゲル
クロマトグラフィー(70%アセトン/ヘキサン)で精製し、CH2Cl2にとり
、1M HCl/エーテル溶液で処理し、真空濃縮した。標記生成物の塩酸塩9
を白色固体として単離した。
FABマススペクトルm/e373(M+1)。
C23H24N4O・1.00HCl・0.90H2Oとして計算した分析値C,64
.98;H,6.35;N,13.18;実測値C,65.10;H,6.32
:N,12.82。
実施例3 Rasファルネシル転移酵素のインビトロ阻害
ファルネシル−タンパク質転移酵素のアッセイ。部分精製ウシFPTase及
びRasペプチド(Ras−CVLS,Ras−CVIM及びRas−CAIL
)をそれぞれ、Schaberら、
J.Biol.Chem.265,14701-14704(1990);Pomplianoら,Biochemistry 31:3800(19
92);及びGibbsら、PNAS USA86,6630-6634(1989)によって記載されたように調製
した。ウシFPTaseを、100mM N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラ
ジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES),pH7.4、5mM
MgCl2、5mMジチオトレイトール(DTT)、100mM[3H]−ファル
ネシル二リン酸([3H]−FPP;740CBq/mmol,New England Nuc
lear)、650nM Ras−CVLS及び10μg/mL FPTaseを含
む容量100μL中で、31℃、60分間アッセイした。反応をFPTaseで
開始させ、エタノール中の1.0MHCl 1mLで停止させた。沈殿物を、To
mTec Mach II細胞回収器を用いてフィルター−マット上に回収し、100%エタ
ノールで洗浄し、乾燥し、LKB β−プレートカウンターで計測した。アッセ
イは、両方の基質、FPTaseレベル及び時間に関し直線的であった。[3H
]−FPPの10%未満が反応時間中利用された。精製化合物を100%ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)に溶解し、アッセイ溶液中に20倍希釈した。試験
化合物の存在下での放射活性の取込み量を、試験化合物の
非存在下での取込み量と比較して、%阻害を測定する。
ヒトFPTaseは、Omerら,Biochemistry 32:5167−5176(1993)に記載のよ
うに調製した。ヒトFPTase活性は、0.1%(w/v)ポリエチレングリ
コール20,000、10μM ZnCl2及び100nM Ras−CVIMを
反応混合液に加えたということを除いて、上記のようにアッセイした。
反応を30分間行い、エタノール中30%(v/v)トリクロロ酢酸(TCA)
100μLで停止させ、ウシの酵素の場合での上記のように処理した。
実施例1に記載の本発明の化合物を、上記アッセイによって、ヒトFPTas
eに対する阻害活性についてアッセイし、10μM未満のIC50を有することが
知見された。
実施例4 インビボrasファルネシル化アッセイ
本アッセイで使用した細胞系は、ウイルスHa−ras p21を発現する、
Rat1細胞又はNIH3T3細胞由来のv−ras系である。アッセイは、本
質的にDeClue,J.E.ら,Cancer Research 51:712-717(1991)に記載のように行う
。10cmディッシュ中50−75%密集度の細胞を、試験化合物
(溶媒、即ちメタノール又はジメチルスルホキシドの最終濃度は0.1%)で処
理する。37℃で4時間後、10%レギュラーDMEM、2%ウシ胎児血清及び
400mCi[35S]メチオニン(1000Ci/mmol)を補充したメチオ
ニン非含有DMEM 3mL中で細胞を標識する。更に20時間後、溶解緩衝液
(1%NP40/20mM HEPES,pH7.5/5mM MgCl2/1m
M DTT/10mg/mLアプロチネン/2mg/mLロイペプチン/2mg
/mLアンチパイン/0.5mM PMSF)1mL中で細胞を溶解し、溶解液
を100,000×g、45分間の遠心で清澄化する。等しい数の酸沈殿カウン
トを含む溶解液のアリコートを、IP緩衝液(DTTを欠く溶解緩衝液)で1m
Lにし、ras−特異的モノクローナル抗体Y13−259(Furth,M.E.ら,J.
Virol.43:294-304(1982))で免疫沈殿させる。4℃で2時間の抗体インキュベー
ション後、ウサギ抗ラットIgGで被覆したプロテインA−セファロースの25
%懸濁液200mLを45分間加える。免疫沈殿物を、IP緩衝液(20nM
HEPES,pH7.5/1mM EDTA/1%Triton X−100,
0.5%デオキシコレート/0.1%SDS/0.1M NaCl)
で4回洗浄し、SDS−PAGEサンプル緩衝液中で煮沸し、13%アクリルア
ミドゲルにかける。色素前線が底に到達したときに、ゲルを固定し、Enlighteni
ngで濯ぎ、乾燥し、オートラジオグラフィーを行う。ファルネシル化及び非ファ
ルネシル化rasタンパク質に対応するバンドの強度を比較し、タンパク質への
ファルネシル転移の%阻害を決定する。
実施例5 インビボ成長阻害アッセイ
FPTase阻害の生物的結果を決定するために、v−ras、v−raf、
又はv−mos癌遺伝子で形質転換されたRat1細胞の足場−非依存性成長に
対する本発明の化合物の効果を試験する。Rasで誘導される細胞形質転換につ
いて本化合物の特異性を評価するための解析に、v−Raf及びv−Mosで形
質転換された細胞を含めることができる。
v−ras、v−raf、又はv−mosで形質転換されたRat1細胞を、
底のアガロース層(0.6%)上の培地A(10%ウシ胎児血清を添加したダルベ
ッコ改変イーグル培地)中の0.3%トップアガロース層に、密度1×104細
胞/プレート(直径35mm)で播く。両層は、0.1%メタノール又は
適当な濃度の本発明化合物(アッセイで使用する最終濃度の1000倍で、メタ
ノールに溶解する)を含む。細胞に、1週間に2度、0.1%メタノール又は当
該濃度の本発明化合物を含む培地A0.5mLを供給する。培養液を播いた16
日後に、光学顕微鏡写真をとり、比較する。
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Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ,BA
,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,CZ,
EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,KR,K
Z,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG,MK
,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,
SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,US,U
Z,VN
(72)発明者 ハートマン,ジヨージ・デイ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126