WO2024143126A1 - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

口腔用組成物は、特定糖と、アミノ酸と、クエン酸類とを含有する。特定糖は、単数のガラクトースと、単数又は複数のガラクトース以外のその他の糖とを構成糖として含む多糖類である。クエン酸類は、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる少なくとも一種である。特定糖の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下であり、アミノ酸の含有量は、0.5質量%以上4質量%以下であり、クエン酸類の含有量は、0.001質量%以上2質量%以下である。

Description

口腔用組成物
 本開示は、口腔用組成物に関する。
 口腔内の細菌のうちの非病原性細菌の一種としてStreptococcus oralis(以下、S.oralisともいう。)が知られている。S.oralisは、Streptococcus属のmitis groupに属する。mitis groupに属する他の菌種も、S.oralisと同じく非病原性細菌に分類される。
 特許文献1には、Streptococcus属のmitis groupに属する菌種の生育に影響を与えることなく病原性細菌の生育を選択的に抑制する口腔用組成物が開示されている。すなわち、上記口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に対して選択的抗菌作用を有する。口腔内の細菌叢における非病原性細菌の割合を増やして口腔内の細菌叢バランスを改善することは、口腔疾患の予防や進行抑制に有用である。
特開2016-113460号公報
 健康な口腔環境を確保する観点において、口腔内のS.oralis濃度を高めることが有用であることが示唆されている。本発明者らは、特定糖とアミノ酸の組み合わせが、S.oralisの増殖に寄与することを見出した。しかしながら、糖とアミノ酸を組み合わせて用いた場合、糖とアミノ酸が反応して褐色物質を生成するメイラード反応が生じる。そのため、糖とアミノ酸が配合された組成物は、メイラード反応に起因する変色が生じやすい。
 本開示の態様を記載する。
 [態様1]
 特定糖と、アミノ酸と、クエン酸類とを含有し、前記特定糖は、単数のガラクトースを構成糖として含む多糖類であり、前記クエン酸類は、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、前記特定糖の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下であり、前記アミノ酸の含有量は、0.5質量%以上4質量%以下であり、前記クエン酸類の含有量は、0.001質量%以上2質量%以下である口腔用組成物。
 [態様2]
 前記特定糖は、非還元糖である[態様1]に記載の口腔用組成物。
 [態様3]
 前記アミノ酸は、塩基性アミノ酸類及び酸性アミノ酸類から選ばれる少なくとも一種であり、
 前記塩基性アミノ酸類は、塩基性アミノ酸及び塩基性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、
 前記酸性アミノ酸類は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種である[態様2]に記載の口腔用組成物。
 [態様4]
 前記塩基性アミノ酸類は、アルギニンであり、
 前記酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、
 前記非還元糖は、ラフィノースである[態様3]に記載の口腔用組成物。
 [態様5]
 前記アミノ酸は、中性アミノ酸である[態様2]に記載の口腔用組成物。
 [態様6]
 前記中性アミノ酸は、シトルリンであり、
 前記非還元糖は、ラフィノースである[態様5]に記載の口腔用組成物。
 [態様7]
 前記特定糖は、ラクトースであり、前記アミノ酸は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種の酸性アミノ酸類である[態様1]に記載の口腔用組成物。
 [態様8]
 前記酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種である[態様7]に記載の口腔用組成物。
 [態様9]
 S.oralisの増殖を促進させる細菌増殖用口腔用組成物として用いられる[態様1]~[態様7]のいずれか一つに記載の口腔用組成物。
 以下、本実施形態の口腔用組成物について具体的に説明する。
 本実施形態の口腔用組成物は、例えば、口腔内における細菌叢バランスを改善すること、具体的には、S.oralisの増殖を促進させることを目的とする細菌増殖用口腔用組成物として適用される。
 本実施形態の口腔用組成物は、特定糖と、アミノ酸と、クエン酸類とを含有する。
 口腔用組成物のpHは、例えば、5.5以上9.0以下であり、好ましくは、6.0以上8.5以下である。
 (特定糖)
 特定糖は、単数のガラクトースを構成糖として含む多糖類である。換言すると、単数のガラクトースと、単数又は複数のガラクトース以外のその他の糖とを構成糖として含むヘテロ多糖である。特定糖において、構成糖同士は、グリコシド結合により結合している。特定糖における単糖の結合数は、例えば、2以上5以下であり、好ましくは、2以上4以下である。特定糖は、例えば、二糖、三糖である。また、特定糖は、単糖の結合数が4~9であるオリゴ糖であってもよいし、単糖の結合数が10以上の多糖であってもよい。
 特定糖に含まれるガラクトース以外の構成糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、フコース等の六炭糖、キシロース、リボース等の五炭糖が挙げられる。ガラクトース以外の構成糖は、六炭糖であることが好ましい。
 特定糖としては、例えば、ラクトース等の還元糖、及びラフィノース等の非還元糖が挙げられる。ラクトースは、一つのガラクトースと一つのグルコースを構成糖とする二糖である。ラフィノースは、一つのフルクトース、一つのガラクトース、及び一つのグルコースを構成糖とする三糖である。口腔用組成物は、上記の特定糖のうちの一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
 なお、還元糖とは、遊離したアルデヒド基又はケトン基、若しくは、ヘミアセタール結合したアルデヒド基又はケトン基をもつ糖である。非還元糖とは、還元糖に対して、遊離の還元基をもたない糖類を意味する。すなわち、非還元糖とは、遊離したアルデヒド基及びケトン基、並びにヘミアセタール結合したアルデヒド基及びケトン基のうち、いずれももたない糖類を意味する。
 口腔用組成物における特定糖の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下である。上記特定糖の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上である。上記特定糖の含有量は、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。
 なお、口腔用組成物は、特定糖に該当しないその他の糖を含有していてもよい。この場合、口腔用組成物におけるその他の糖の含有量は、例えば、5質量%以下であることが好ましい。
 (アミノ酸)
 口腔用組成物に含有されるアミノ酸は、特に限定されるものではない。上記アミノ酸としては、例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン等の塩基性アミノ酸及び塩基性アミノ酸塩(以下、まとめて塩基性アミノ酸類と記載する。)、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩(以下、まとめて酸性アミノ酸類と記載する。)、アラニン、プロリン、スレオニン、セリン、バリン、グリシン、シトルリン等の中性アミノ酸が挙げられる。塩基性アミノ酸塩の具体例としては、塩酸塩、硫酸塩が挙げられる。酸性アミノ酸塩の具体例としては、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩やカルシウム塩等のアルカリ土類金属塩が挙げられる。口腔用組成物は、上記のアミノ酸のうちの一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
 口腔用組成物におけるアミノ酸の含有量は、0.5質量%以上4質量%以下である。アミノ酸の含有量は、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは1.5質量%以上である。アミノ酸の含有量は、好ましくは3.5質量%以下であり、より好ましくは3質量%以下である。また、口腔用組成物において、特定糖に対するアミノ酸の質量比(アミノ酸/特定糖)は、例えば、0.05以上10以下であり、好ましくは0.25以上4以下である。
 (特定糖とアミノ酸の組み合わせ)
 特定糖とアミノ酸の好ましい組み合わせとしては、非還元糖とアミノ酸の組み合わせが挙げられる。この場合、アミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、塩基性アミノ酸類、酸性アミノ酸類、及び中性アミノ酸のいずれであってもよい。非還元糖とアミノ酸の組み合わせの具体例としては、ラフィノースとアルギニンとの組み合わせ、ラフィノースとグルタミン酸との組み合わせ、ラフィノースとグルタミン酸塩との組み合わせ、ラフィノースとアスパラギン酸との組み合わせ、ラフィノースとアスパラギン酸塩との組み合わせ、及びラフィノースとシトルリンとの組み合わせが挙げられる。
 また、特定糖とアミノ酸の好ましい別の組み合わせとしては、ラクトースと酸性アミノ酸類の組み合わせが挙げられる。その具体例としては、ラクトースとグルタミン酸との組み合わせ、ラクトースとグルタミン酸塩との組み合わせ、ラクトースとアスパラギン酸との組み合わせ、及びラクトースとアスパラギン酸塩との組み合わせが挙げられる。
 (クエン酸類)
 口腔用組成物に含有されるクエン酸類は、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる少なくとも一種である。クエン酸塩としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウムが挙げられる。
 口腔用組成物におけるクエン酸の含有量は、0.001質量%以上2質量%以下である。上記クエン酸の含有量は、好ましくは0.003質量%以上であり、より好ましくは0.005質量%以上である。上記クエン酸の含有量は、好ましくは1.8質量%以下であり、より好ましくは1.5質量%以下である。
 口腔用組成物に含有されるアミノ酸が、塩基性アミノ酸類である場合、クエン酸類はクエン酸であることが好ましい。この場合、口腔用組成物において、塩基性アミノ酸類に対するクエン酸類の質量比(クエン酸類/塩基性アミノ酸類)は、例えば、0.001以上1.5以下であり、好ましくは0.005以上1以下である。
 口腔用組成物に含有されるアミノ酸が、酸性アミノ酸類である場合、口腔用組成物において、酸性アミノ酸類に対するクエン酸類の質量比(クエン酸類/酸性アミノ酸類)は、例えば、0.001以上1以下であり、好ましくは0.005以上0.8以下である。
 口腔用組成物に含有されるアミノ酸が、中性アミノ酸である場合、口腔用組成物において、中性アミノ酸に対するクエン酸類の質量比(クエン酸類/中性アミノ酸類)は、例えば、0.001以上1以下であり、好ましくは0.005以上0.8以下である。
 (適用形態、用途、及び剤形)
 口腔用組成物の適用形態は、特に限定されず、例えば、医薬品、医薬部外品として使用することができる。口腔用組成物の用途としては、公知のものを適宜採用することができ、例えば、練歯磨剤、洗口剤、含漱剤、液体歯磨剤、バイオフィルム分散剤、口臭予防剤、歯茎マッサージ剤、口腔用湿潤付与剤、舌苔除去剤、口腔内塗布剤、口腔殺菌剤、咽喉殺菌剤、口腔咽喉剤、歯周病治療剤、義歯装着剤、義歯コーティング剤、義歯安定化剤、義歯保存剤、義歯洗浄剤、インプラントケア剤が挙げられる。
 口腔用組成物の剤形は、特に限定されず、例えば、水、アルコール等の溶媒を含有することにより、軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、スプレー剤、ジェル剤、液剤、懸濁・乳化剤、ガム剤等に適用することができる。
 溶媒として用いられる水の種類は特に限定されず、例えば蒸留水、純水、超純水、精製水、水道水等を用いることができる。溶媒として用いられるアルコールの種類は特に限定されず、例えばエタノールを用いることができる。水とアルコールを混合して用いることもできる。口腔用組成物が液状に構成されている場合において、水等の溶媒の含有量は、60~99.8質量%であることが好ましく、70~95質量%であることがより好ましい。
 (その他成分)
 口腔用組成物は、適用目的、形態、用途等に応じて、前述した成分以外のその他成分を含有してもよい。その他成分としては、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、香料、湿潤剤、界面活性剤、研磨剤、アルコール類、増粘剤、甘味成分、薬用成分、着色剤、安定化剤が挙げられる。その他成分は、口腔用組成物に配合される公知のものを使用することができる。口腔用組成物は、上記のその他成分のそれぞれについて、一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
 抗菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、パラベン、安息香酸ナトリウム、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオールが挙げられる。
 抗炎症剤としては、例えば、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、オウバクエキスが挙げられる。
 香料成分としては、例えば、メントール、アネトール、オイゲノール、カルボン、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、チモール、丁字油、セージ油、オシメン油、シトロネロールが挙げられる。
 界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
 非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステル等の糖アルコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ラウリルグルコシド、デシルグルコシド等のアルキルグルコシド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、アルキルグルコシド類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。
 アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウムが挙げられる。
 両性界面活性剤としては、例えば、Nーラウリルジアミノエチルグリシン、Nーミリスチルジエチルグリシン等のアミノ酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N-アルキル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩、及び2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、コカミドプロピルベタイン等のベタイン系両性界面活性剤が挙げられる。
 研磨剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ベンガラ、硫酸カルシウム、無水ケイ酸が挙げられる。
 アルコール類としては、例えば、エチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
 増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。
 薬用成分としては、例えば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化ストロンチウム等のフッ化物、ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、トコフェロール酢酸エステル等のビタミン剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ酵素、プロテアーゼ、リゾチーム等の分解酵素、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等の無機塩類、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性化合物、脂を溶解するポリエチレングリコール等、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウムが挙げられる。
 着色剤としては、例えば、緑色1号、青色1号、黄色4号等の法定色素、酸化チタン等が挙げられる。なお、口腔用組成物が透明又は半透明である場合、特に液状である場合、メイラード反応により生成した褐色物質に起因する変色が顕在化しやすい。そのため、口腔用組成物が透明又は半透明な液状である場合、本実施形態における変色抑制効果が特に顕著に得られる。
 安定化剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
 (効果)
 次に、本実施形態の作用及び効果について記載する。
 (1)口腔用組成物は、特定糖と、アミノ酸と、クエン酸類とを含有する。特定糖は、単数のガラクトースを構成糖として含む多糖類である。クエン酸類は、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる少なくとも一種である。特定糖の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下であり、アミノ酸の含有量は、0.5質量%以上4質量%以下であり、クエン酸類の含有量は、0.001質量%以上2質量%以下である。
 上記構成によれば、S.oralisを口腔内にて増殖させることができるとともに、口腔用組成物の変色を抑制できる。
 (2)特定糖は、非還元糖である。上記構成によれば、上記(1)に記載した変色抑制効果がより顕著に得られる。特に、この場合には、特定糖とアミノ酸とが反応して褐色物質を生成するメイラード反応が効果的に抑制されるため、口腔用組成物の変色をさらに効果的に抑制できる。加えて、特定糖及びアミノ酸がメイラード反応により消費され難くなることにより、口腔用組成物における特定糖及びアミノ酸の各濃度の減少が抑制される。したがって、上記構成の口腔用組成物は、変色を抑制すること、及びS.oralisの増殖促進効果を維持することの両方の観点において、長期的に安定して保存できる。なお、非還元糖は、ラフィノースであることが特に好ましい。
 (3)上記(2)の構成において、アミノ酸は、塩基性アミノ酸類及び酸性アミノ酸類から選ばれる少なくとも一種である。塩基性アミノ酸類は、塩基性アミノ酸及び塩基性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種である。酸性アミノ酸類は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種である。
 上記構成によれば、上記(2)に記載した変色抑制効果がより顕著に得られる。なお、塩基性アミノ酸類は、アルギニンであることが特に好ましい。酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
 (4)上記(2)の構成において、アミノ酸は、中性アミノ酸である。上記構成によれば、上記(2)に記載した変色抑制効果がより顕著に得られる。なお、中性アミノ酸は、シトルリンであることが特に好ましい。
 (5)特定糖は、ラクトースである。アミノ酸は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種の酸性アミノ酸類である。上記構成によれば、上記(1)に記載した変色抑制効果がより顕著に得られる。なお、酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
 本開示の口腔用組成物について、以下の実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本開示の口腔用組成物は、以下の実施例の構成に限定されるものではない。
 (実施例1~15及び比較例1~2の調製)
 実施例1~15及び比較例1~2として、表1に示す処方例の液状洗口剤を、常法に従って各成分を混合し、撹拌することによって調製した。各例に用いた糖、アミノ酸、及びクエン酸類の種類及び配合量は、表2~4に示すとおりである。なお、表中における各成分の数値の単位は、質量%である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 (長期保管評価)
 調製した各実施例及び各比較例を密封した状態として、55℃にて1カ月間、保管した。上記保管処理の前後において、各例の黄色度を測定し、黄色度の変化率(処理後/処理前)を求めた。黄色度は、島津製作所社製紫外可視分光光度計(UV-2600型)を用いた。そして、黄色度の変化率に基づいて、以下の基準で各例の着色抑制効果を評価した。その結果を表2~4に示す。
 A:黄色度の変化率が2.0以下であり、着色抑制効果が高い。
 B:黄色度の変化率が2.0を超え、4.0以下であり、着色抑制効果がある。
 C:黄色度の変化率が4.0を超えており、着色抑制効果がない。
 また、上記保管処理の前に測定した各例のpHを表2~4に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 比較例1は、糖として、単糖であるガラクトースを含有する。比較例2は、糖として、二つのガラクトースと一つのグルコースを構成糖とする三糖であるガラクトオリゴ糖を含有する。表2に示すように、比較例1及び比較例2は、保管処理の前後における黄色度の変化率が20以上であり、保管処理によって大きく変色している。
 一方、実施例1~10,14,15は、糖として、一つのフルクトース、一つのガラクトース、及び一つのグルコースを構成糖とする三糖であるとともに非還元糖であるラフィノースを含有する。実施例11~13は、糖として、一つのガラクトースと一つのグルコースを構成糖とする二糖であるとともに還元糖であるラクトースを含有する。表2~4に示すように、実施例1~15は、保管処理の前後における黄色度の変化率が4以下であり、当該変化率が20以上である比較例1及び比較例2と比較して、保管処理による変色が大きく抑制されている。これらの結果から、特定糖として、単数のガラクトースを構成糖として含む多糖類を用いることにより、変色抑制効果が得られることが分かる。
 各実施例の中でも、糖として、非還元糖を含有する実施例1~10,14,15は、保管処理の前後における黄色度の変化率が2以下であり、保管処理による変色を抑制する効果が特に高い。同様に、糖とアミノ酸の組み合わせが、酸性アミノ酸類(グルタミン酸ナトリウム又はアスパラギン酸ナトリウム)と還元糖(ラクトース)である実施例12,13も、保管処理の前後における黄色度の変化率が2以下であり、保管処理による変色を抑制する効果が特に高い。
 また、実施例1~5の結果及び実施例14,15の結果に示されるように、黄色度の変化率は、クエン酸類の含有量に応じて変化している。この結果から、実施例の変色抑制効果を得るためには、クエン酸類の存在が重要であることが分かる。
 (S.oralisの培養試験)
 BHI培地(Brain Heart Infusion broth(BD社製))にてS.oralisを培養した。培養液の波長660nmにおける濁度を測定した後、測定した濁度が0.1になるように培養液をBHI培地にて希釈して、これを菌液とした。S.oralisとして、Streptococcus oralis spp. tigurinusを用いた。
 実施例1,9~13,14,15に相当するサンプル溶液を調製した。サンプル溶液は、表1に示す組成の水をBHI培地に変更した点のみが実施例1,9~13,14,15と異なる。
 96穴プレートのウェルに菌液100μl及びサンプル溶液100μlを添加し、37℃、嫌気条件にて24時間培養した。培養後、上清を取り除き、リン酸緩衝食塩水(PBS)にて11倍希釈したAlamar Blue溶液(Invitrogen社製)110μlを添加し、励起波長545nm、蛍光波長590nmにて蛍光強度を測定した。
 サンプル溶液未添加のコントロールの蛍光強度に対する相対値をS.oralisの育成度として算出した。その結果、実施例1,9~13,14,15に相当するサンプル溶液のいずれを用いた場合においても、育成度は1を超えており、S.oralisの増殖を促進させる効果が得られることが確認できた。

Claims (9)

  1.  特定糖と、アミノ酸と、クエン酸類とを含有し、
     前記特定糖は、単数のガラクトースを構成糖として含む多糖類であり、
     前記クエン酸類は、クエン酸及びクエン酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、
     前記特定糖の含有量は、0.5質量%以上5質量%以下であり、
     前記アミノ酸の含有量は、0.5質量%以上4質量%以下であり、
     前記クエン酸類の含有量は、0.001質量%以上2質量%以下である口腔用組成物。
  2.  前記特定糖は、非還元糖である請求項1に記載の口腔用組成物。
  3.  前記アミノ酸は、塩基性アミノ酸類及び酸性アミノ酸類から選ばれる少なくとも一種であり、
     前記塩基性アミノ酸類は、塩基性アミノ酸及び塩基性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、
     前記酸性アミノ酸類は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種である請求項2に記載の口腔用組成物。
  4.  前記塩基性アミノ酸類は、アルギニンであり、
     前記酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、
     前記非還元糖は、ラフィノースである請求項3に記載の口腔用組成物。
  5.  前記アミノ酸は、中性アミノ酸である請求項2に記載の口腔用組成物。
  6.  前記中性アミノ酸は、シトルリンであり、
     前記非還元糖は、ラフィノースである請求項5に記載の口腔用組成物。
  7.  前記特定糖は、ラクトースであり、
     前記アミノ酸は、酸性アミノ酸及び酸性アミノ酸塩から選ばれる少なくとも一種の酸性アミノ酸類である請求項1に記載の口腔用組成物。
  8.  前記酸性アミノ酸類は、グルタミン酸、グルタミン酸塩、アスパラギン酸、及びアスパラギン酸塩から選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載の口腔用組成物。
  9.  S.oralisの増殖を促進させる細菌増殖用口腔用組成物として用いられる請求項1~8のいずれか一項に記載の口腔用組成物。
PCT/JP2023/045792 2022-12-27 2023-12-20 口腔用組成物 WO2024143126A1 (ja)

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