JP2024005652A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させる。【解決手段】口腔用組成物は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有している。口腔用組成物は、口腔内の細菌叢バランス改善用である。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔用組成物に関する。
口腔内の細菌のうち非病原性細菌の一種としてStreptococcus oralis(以下、S.oralisともいう。)が知られている。S.oralisは、Streptococcus属のmitis groupに属する。mitis groupに属する他の菌種も、S.oralisと同じく非病原性細菌に分類される。
特許文献1には、Streptococcus属のmitis groupに属する菌種の生育に影響を与えることなく病原性細菌の生育を選択的に抑制する口腔用組成物が開示されている。すなわち、口腔内の病原性細菌に対して選択的抗菌作用を有する口腔用組成物が開示されている。特許文献1に記載されているように、口腔内の細菌叢における非病原性細菌の割合を増やして口腔内の細菌叢バランスを改善することが、口腔疾患の予防や進行抑制に有用であることが知られている。
特開2016-113460号公報
ところで、口腔用組成物には、細菌叢バランスを改善する効果のさらなる性能向上が求められている。
上記課題を解決するための口腔用組成物は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有し、口腔内の細菌叢バランス改善用であることを要旨とする。
上記口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、前記病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に抑制することによって、前記非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることが好ましい。
上記口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、前記非病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に促進することによって、前記非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることが好ましい。
本発明の口腔用組成物によれば、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させることができる。
以下、口腔用組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態の口腔用組成物は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有し、口腔内の細菌叢バランス改善用である。
<シンナムアルデヒド>
口腔用組成物は、芳香族アルデヒドの一種であるシンナムアルデヒドを含有している。シンナムアルデヒドは、たとえばシナモンから得られる抽出物である。シナモンは、クスノキ科ニッケイ属に属する樹木の樹皮から得ることができる。
口腔用組成物は、一種のシナモン由来のシンナムアルデヒドを含有するものであってもよいし、二種以上のシナモン由来のシンナムアルデヒドを組み合わせて含有するものであってもよい。
シンナムアルデヒドの抽出方法は、特に限定されず、公知の抽出方法を適宜採用することができる。口腔用組成物が含有するシンナムアルデヒドは、抽出後に精製されたものでもよい。
シンナムアルデヒドは、化学合成されたものを用いてもよい。シンナムアルデヒドは、抽出物と化学合成されたものとを組み合わせて用いてもよい。
口腔用組成物におけるシンナムアルデヒドの含有量は、特に制限されないが、たとえば、0.01質量%以上0.4質量%以下である。以下では、口腔用組成物における各成分の含有量について「質量%」を「%」に省略して表記する。シンナムアルデヒドの含有量の上限値は、0.3%であることが好ましく、より好ましくは0.2%である。シンナムアルデヒドの含有量の下限値は、0.05%であることが好ましく、より好ましくは0.1%である。
<アルギニン>
口腔用組成物は、アミノ酸の一種であるアルギニンを含有している。アルギニンの具体例としては、特に制限されないが、たとえばL-アルギニン、ジヒドロキシプロピルアルギニン等が挙げられる。これらのアルギニンは塩であってもよく、たとえば塩酸塩等でもよい。
口腔用組成物は、アルギニンに加えて、他のアミノ酸を一種以上組み合わせて含有していてもよい。
口腔用組成物におけるアルギニンの含有量は、特に制限されないが、たとえば0.5%以上2.0%以下である。上記含有量の上限値は、1.75%であることが好ましく、より好ましくは1.5%である。上記含有量の下限値は、0.75%であることが好ましく、より好ましくは1.0%である。
<糖類>
口腔用組成物は、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖を含有している。
ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とは、二つ以上の単糖がグリコシド結合によって一分子となった化合物であり、且つ、この化合物を構成する単糖のうち一つ以上の単糖がガラクトースである特定のオリゴ糖をいう。
ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖としては、二糖の一種であるラクトースが好ましい。他の例としては、メリビオース、ラフィノース、スタキオース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖及びミルクオリゴ糖等が挙げられる。
口腔用組成物は、上記オリゴ糖の一種を含有するものであってもよいし、上記オリゴ糖の二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。口腔用組成物は、上記オリゴ糖を水和物として含有していてもよい。
口腔用組成物は、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖に加えて、他の糖を一種以上組み合わせて含有していてもよい。糖の種類としては、特に制限されないが、たとえば単糖、二糖、オリゴ糖、糖アルコールが挙げられる。
単糖としては、たとえば、ガラクトース、マンノース、アラビノース、及びそれらの水和物が挙げられる。
二糖としては、たとえば、マルトース、スクロース、及びそれらの水和物が挙げられる。
オリゴ糖としては、たとえば、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、マルトオリゴ糖、環状オリゴ糖、及びそれらの水和物が挙げられる。
糖アルコールとしては、たとえば、上記の単糖、二糖、又はオリゴ糖を工業的に還元処理して得られるものが挙げられ、たとえば、ソルビトール、ラクチトール、還元イソマルツロース(パラチニット(登録商標))、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、スレイトール、グリトール、タリトール、ガアリトール、アルトリトール、ドルシトール、イディトール、イノシトール、マルチトール、イソマルチトール、ツラニトールが挙げられる。
口腔用組成物におけるガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖の含有量は、特に制限されないが、たとえば、1.0%以上4.0%以下である。上記含有量の上限値は、3.0%であることが好ましく、より好ましくは2.0%である。上記含有量の下限値は、1.5%であることが好ましく、より好ましくは2.0%である。
口腔用組成物では、シンナムアルデヒドの含有量が上記数値範囲であるとともに、アルギニンの含有量が上記数値範囲であり、且つラクトースの含有量が上記数値範囲であることによって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させることができる。
<適用形態、用途、及び剤形>
口腔用組成物の適用形態は、特に限定されず、たとえば、医薬品、医薬部外品、化粧品として使用することができる。口腔用組成物の用途としては、公知のものを適宜採用することができる。たとえば、咀嚼剤、口腔内溶解剤、口腔内崩壊剤、舌ケア剤、口中清涼剤、練歯磨剤、洗口剤、含漱剤、液体歯磨剤、バイオフィルム分散剤、口臭予防剤、歯茎マッサージ剤、口腔用湿潤付与剤、舌苔除去剤、口腔内塗布剤、口腔殺菌剤、咽喉殺菌剤、口腔咽喉剤、歯周病治療剤、義歯装着剤、義歯コーティング剤、義歯安定化剤、義歯保存剤、義歯洗浄剤、インプラントケア剤等が用途として挙げられる。
口腔用組成物の剤形は、特に限定されず、たとえば、水、アルコール等の溶媒を含有することにより、軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、スプレー剤、ジェル剤、液剤、懸濁剤、ガム剤等に適用することができる。
溶媒として用いられる水の種類は特に限定されず、たとえば蒸留水、純水、超純水、精製水、水道水等を用いることができる。溶媒として用いられるアルコールの種類は特に限定されず、たとえばエタノールを用いることができる。水とアルコールを混合して用いることもできる。
口腔用組成物が液状に構成されている場合において、水等の溶媒の含有量は、特に制限されないが、60質量%以上99.8質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
<その他成分>
口腔用組成物は、適用目的、形態、用途等に応じて、前述した成分以外のその他成分を含有してもよい。その他成分としては、たとえば、抗菌剤、抗炎症剤、香料、湿潤剤、研磨剤、アルコール類、増粘剤、甘味成分、薬用成分、着色剤、安定化剤、pH調整剤が挙げられる。その他成分は、口腔用組成物に配合される公知のものを使用することができる。口腔用組成物は、上記のその他成分のそれぞれについて、一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
抗菌剤としては、たとえば、塩化セチルピリジニウム、パラベン、安息香酸ナトリウム、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオールが挙げられる。
抗炎症剤としては、たとえば、グリチルリチン酸塩、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸が挙げられる。
なお、口腔用組成物においては、病原性細菌と共に非病原性細菌をも殺菌し得るような非選択的な作用を奏する成分を含有していることは好ましくない。こうした成分を口腔用組成物が含有している場合であっても、その含有量は、口腔用組成物における選択的な抗菌作用に及ぼす影響が小さい範囲となるように、極めて少量であることが好ましい。
香料としては、たとえば、アネトール、オイゲノール、カルボン、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、チモール、丁字油、セージ油、オシメン油、シトロネロールが挙げられる。
研磨剤としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ベンガラ、硫酸カルシウム、無水ケイ酸が挙げられる。
アルコール類としては、たとえば、エチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
増粘剤としては、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。
薬用成分としては、たとえば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化ストロンチウム等のフッ化物、ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、トコフェロール酢酸エステル等のビタミン剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ酵素、プロテアーゼ、リゾチーム等の分解酵素、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム等の無機塩類、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性化合物、脂を溶解するポリエチレングリコール等、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウムが挙げられる。
着色剤としては、たとえば、緑色1号、緑色3号、青色1号、黄色4号、黄色5号、赤色102号、赤色3号等の法定色素、銅クロロフィンナトリウム、酸化チタン等が挙げられる。
安定化剤としては、たとえば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、硝酸、リン酸、ピロリン酸、グリセロリン酸、並びにこれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩等の各種塩、水酸化ナトリウム等が挙げられる。口腔用組成物は、pH調整剤を配合することにより、pHが4以上9以下、特に5以上7以下の範囲になるように調整されていることが好ましい。
<作用及び効果>
本実施形態の作用について説明する。
口腔用組成物による口腔内の細菌叢バランスの改善効果は、口腔内の病原性細菌に対する選択的抗菌作用によって発揮される。
たとえば、口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、病原性細菌の生育を選択的に抑制する。これによって、口腔用組成物は、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させる。
口腔内の病原性細菌としては、う蝕病原菌、歯周病原菌等が挙げられる。う蝕病原菌の一例は、Streptococcus属のmutans groupに属するStreptococcus mutansである。歯周病原菌としては、たとえば、Porphyromonas属のPorphyromonas gingivalis、Fusobacterium属のFusobacterium nucleatumが挙げられる。
口腔用組成物は、Fusobacterium nucleatum(以下、F.nucleatumという。)の生育を選択的に抑制することによって、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることもできる。
たとえば、口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、非病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に促進することもできる。これによって、口腔用組成物は、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることもできる。
口腔内の非病原性細菌としては、Streptococcus属のmitis groupが挙げられる。Streptococcus属のmitis groupとしては、S.oralis、Streptococcus sanguinis、Streptococcus gordonii、Streptococcus mitis等が挙げられる。
口腔用組成物は、S.oralisの生育を選択的に促進することによって、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることもできる。すなわち、口腔用組成物は、病原性細菌の生育を選択的に抑制しつつ、S.oralisの生育を促進することによって、口腔内の細菌叢バランスを改善することもできる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)口腔用組成物は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有する。これにより、口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に対して選択的抗菌作用を有したものとなる。口腔用組成物は、病原性細菌に属する菌種の生育を抑制することで、口腔内細菌叢における非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることができる。口腔用組成物は、たとえば、口腔内細菌叢におけるmitis groupに属する菌種の存在比率を好適に増加させることで、口腔内の細菌叢バランスを改善することができる。
(2)口腔用組成物は、F.nucleatumの生育を選択的に抑制することができる。すなわち、口腔用組成物は、病原性細菌であるF.nucleatumの生育を選択的に抑制することによって、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることができる。したがって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果をより向上させることができる。
(3)口腔用組成物は、病原性細菌の生育を選択的に抑制しつつ、非病原性細菌の生育を選択的に促進することができる。これによって、口腔用組成物は、口腔内細菌叢における非病原性細菌に属する菌種の存在比率を好適に増加させることができる。口腔用組成物は、たとえば、口腔内細菌叢におけるmitis groupに属する菌種の存在比率を好適に増加させることで、口腔内の細菌叢バランスを好適に改善することができる。言い換えれば、口腔用組成物は、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させることができる。
(4)口腔用組成物は、S.oralisの生育を選択的に促進することができる。すなわち、S.oralisの生育を促進することによって、非病原性細菌であるmitis groupに属する菌種の存在比率を増加させることができる。したがって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果をより向上させることができる。
(5)口腔内細菌叢のバランスを調整して口腔内細菌叢を改善する口腔用組成物によれば、口腔疾患の予防、口腔疾患の進行抑制等の効果が得られる。具体的には、う蝕の予防、う蝕の進行抑制、歯周病の予防、歯周病の進行抑制等の効果が得られる。
口腔用組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、口腔用組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
(サンプル溶液の調製)
表1に示す比較例1、比較例2及び実施例1のサンプル溶液を常法に従って各成分を混合することによって調製した。各サンプル溶液の残部は、滅菌蒸留水である。また、ネガティブコントロールとして滅菌蒸留水を用意した。
(評価試験)
バイオフィルムの形成過程で各サンプル溶液を接触させることによって、サンプル溶液が菌叢に与える影響を評価する試験を行った。以下、試験方法を説明する。
被験者1名から唾液を採取した。採取した無刺激唾液とグリセリンとを等量ずつ混合して菌源唾液とした。採取した無刺激唾液の一部を氷上に置いてUV滅菌を行いペリクル唾液とした。菌源唾液及びペリクル唾液は、使用時まで冷凍保管した。
24ウェルプレートにペリクル唾液を分注した。ハイドロキシアパタイトディスク(HOYA Technosurgical 株式会社)をウェルプレートに配置して37℃で1時間静置することで、ハイドロキシアパタイトディスクの表面をペリクル膜で覆う処理を行った。以下、ハイドロキシアパタイトディスクのことをHAディスクという。
なお、本試験では、ウェル内におけるHAディスクの向きによる水平系と垂直系とを用意して、それぞれの系において各サンプルの試験を行った。水平系は、HAディスクにおける円板面をウェルの底に静置した系である。垂直系は、円板面を鉛直にした姿勢で固定したHAディスクをウェルに静置した系である。以降の工程においても、HAディスクの取り扱いは、各系に則した姿勢によって行う。水平系及び垂直系の両方で試験を行うことによって、実際の口腔内環境を模した状態での評価を行うことができる。具体的には、水平系では、歯磨き後、長時間プラークが成熟した状態の口腔プラークモデル、より具体的には、中期付着菌が定着した状態の口腔プラークモデルを構築しうることが期待できる。この口腔プラークモデルを用いることによって、バイオフィルム形成の初中期~中後期までの経時変化を捉えることができる。一方、垂直系では、歯磨き後、短時間でのプラーク形成初期の状態の口腔プラークモデル、より具体的には、初期付着菌が定着した状態の口腔プラークモデルを構築しうることが期待できる。この口腔プラークモデルを用いることによって、バイオフィルム形成の初期~中期までの経時変化を捉えることができる。
表2に示す組成の培地を調製した。調製した培地をオートクレーブで滅菌した。
調製した培地を用いて菌源唾液を10~100倍希釈することで菌液を調製した。菌液を新しい24ウェルプレートに適量分注した。ペリクル膜で表面を覆う処理を施したHAディスクを菌液の入った24ウェルプレートに移した。その後、37℃、嫌気条件下で培養を開始した。
培養を開始してから12時間~24時間以内に、HAディスクを取り出してサンプル溶液に3分間接触させた。その後、リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSという。)でHAディスクを1回洗浄してから新しい培地が入った24ウェルプレートにHAディスクを移して培養を再開した。
培養を再開してから24時間毎にHAディスクをサンプル溶液に3分間接触させる処理と、培地を交換する処理と、を行うことを2回繰り返しながら、培養を続けた。その後、さらに24時間経過した時点でHAディスクを取り出した。取り出したHAディスクをPBSで2回洗浄した。滅菌PBSを入れたチューブに洗浄後のHAディスクを入れてボルテックスミキサーによって撹拌し、モデルバイオフィルムを回収した。
(評価方法)
モデルバイオフィルムを定量PCR(qPCR)によって解析した。具体的には、モデルバイオフィルムが含有する総菌数と、S.oralisの菌数と、F.nucleatumの菌数と、を測定した。その後、モデルバイオフィルム中における総菌数に対するS.oralisの相対割合と、F.nucleatumの相対割合と、を算出した。以下、解析の方法を説明する。
回収したバイオフィルムについて、溶菌酵素を用いて菌体破壊することでDNAを抽出した。DNA抽出は、QIAamp DNA Mini Kit(QIAGEN社)を用いて所定の手順によって実施した。
抽出したサンプルDNAを用いて、qPCRによって総菌数と、S.oralisの菌数と、F.nucleatumの菌数とを測定した。総量20μlのPCR反応液を調製した。PCR反応液は、10μlの2×SYBR Green Master Mix(Thermo Fisher Scientific社)、2μlのサンプルDNA、及び、終濃度0.25μMの各プライマーを含む。
このとき、検量線用の標準DNAサンプルを7段階10倍希釈して、それぞれ特異的なプライマーを用いて、PCR反応を実施した。また、Universal primerによるPCRには、Fusobacterium nucleatumのDNAサンプルを用いた。
用いたプライマーの配列は、以下の通りである。
Universal primer (Forward): GTGSTGCAYGGYTGTCGTCA
Universal primer (Reverse): ACGTCRTCCMCACCTTCCTC
Streptococcus sp. (Forward): TCGGATCGTAAAGCTCTGTTGTA
Streptococcus sp. (Reverse): GGACAACGCTCGGGACCTAC
Streptococcus oralis (Forward): GATACATAGCCGACCTGAG
Streptococcus oralis (Reverse): TCCATTGCCGAAGATTCC
Fusobacterium nucleatum (Forward): CAACAGAAGAAGTGACGGCTAA
Fusobacterium nucleatum (Reverse): CAGTTTCCAACGCAATACAGAG
上記配列中のS、Y、R、Mは、次のように混合塩基を表す。S=G+C、Y=C+T、R=A+G、M=A+C。
PCRの反応条件は以下の通りである。初期変性を95℃、10分とした。その後の変性を95℃、15秒とした。アニーリング及び伸長を60℃、1分とした。40サイクルを繰り返した。
測定は、Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR System(Thermo Fisher Scientific社)を用いて行った。データの取得は、7500 Fast System SDS software ver.1.3.1(Thermo Fisher Scientific社)を用いて行った。各標準DNAサンプルのqPCRの結果から、それぞれの検量線を作成することで、各菌数を算出した。
(評価結果)
表3には、S.oralisの相対割合と、F.nucleatumの相対割合とを示す。
表3に示すように、比較例1の結果及び比較例2の結果では、F.nucleatumの相対割合がネガティブコントロールと比較して小さくなっていない。これに対して、実施例1の結果では、水平系及び垂直系の両方において、F.nucleatumの相対割合が小さくなっている。このことから、F.nucleatumの生育を選択的に抑制する効果は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ラクトースとを含有する実施例1によって得られる効果であることがわかる。特に実施例1における垂直系の結果においては、F.nucleatumの相対割合が「0」まで減少している。すなわち、実施例1における水平系の結果と垂直系の結果とを比較すると、水平系よりも垂直系の方が、F.nucleatumの生育を抑制する効果がより顕著に表れることがわかる。
表3に示すように、実施例1の結果では、水平系及び垂直系の両方において、S.oralisの相対割合がネガティブコントロールと比較して大きくなっている。さらに、実施例1の結果では、水平系及び垂直系の両方において、比較例1の結果及び比較例2の結果と比較してS.oralisの相対割合がより大きくなっている。このことから、S.oralisの生育を選択的に促進する効果は、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ラクトースとを含有する実施例1によって好適に得られる効果であることがわかる。特に実施例1における垂直系の結果においては、コントロールに対するS.oralisの相対割合の増加率が大きい。すなわち、実施例1における水平系の結果と垂直系の結果とを比較すると、水平系よりも垂直系の方が、S.oralisの生育を促進する効果がより顕著に表れることがわかる。
以上のように、バイオフィルムが形成される過程で実施例1のサンプル溶液を接触させることによって、バイオフィルムの菌叢に影響を与えられることがわかった。具体的には、病原性細菌であるF.nucleatumの生育を選択的に抑制することによって、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させられることがわかる。病原性細菌の生育を選択的に抑制しつつ、S.oralisの生育を促進することによって、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させられることがわかる。非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることで、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を期待できる。
水平系及び垂直系の両方で良好な結果が得られた実施例1の口腔用組成物によれば、バイオフィルム形成の初期~中期、およびバイオフィルム形成の初中期~中後期のいずれにおいても、口腔内の細菌叢バランスを改善する効果を発揮することを期待できる。さらに実施例1では垂直系においてより顕著な効果を確認できたことから、口腔内における細菌叢バランスを好適に改善する効果は、バイオフィルム形成の初期~中期において特に大きいことが期待できる。
また、上記評価試験に関して、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖のうちラクトース以外のオリゴ糖を実施例1におけるラクトースに替えて配合した例を用いた場合においても、実施例1と同様の効果を確認できた。すなわち、シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有する口腔用組成物について、非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させることで口腔内における細菌叢バランスを改善する効果が得られることを期待できる。
(シンナムアルデヒド含有量の評価)
表4に示すサンプル溶液を常法に従って各成分を混合することによって調製して実施例2とした。サンプル溶液の残部は、滅菌蒸留水である。実施例2のサンプル溶液について、上記比較例1、比較例2及び実施例1の場合と同様に、モデルバイオフィルムの生成と、モデルバイオフィルム中におけるS.oralisの相対割合と、F.nucleatumの相対割合と、の算出を行った。なお、HAディスクは水平系とした。結果を表4に示す。
表4に示すように、シンナムアルデヒドの含有量が0.2%である実施例2では、実施例1の場合と比較して、S.oralisの相対割合がより大きくなっている。このことから、S.oralisの生育がより促進されていることがわかる。また、実施例1の場合と比較して、F.nucleatumの相対割合がより小さくなっている。具体的には、F.nucleatumの相対割合が「0」まで減少している。このことから、F.nucleatumの生育がより阻害されていることがわかる。
以上の結果から、シンナムアルデヒドの含有量が多い場合には、S.oralisの生育を選択的に促進する効果が向上することがわかる。シンナムアルデヒドの含有量が多い場合には、F.nucleatumの生育を選択的に抑制する効果が向上することがわかる。口腔内における細菌叢バランスの改善効果が向上することを期待できる。
水平系において良好な結果を示した実施例2によれば、バイオフィルム形成過程の初中期~中後期においても、口腔内における細菌叢バランスを好適に改善する効果が向上することを期待できる。すなわち、シンナムアルデヒドの含有量を大きくすることによって、バイオフィルム形成の初期~中期、およびバイオフィルム形成の初中期~中後期のいずれにおいても、口腔内の細菌叢バランスをより好適に改善する効果を発揮することを期待できる。
また、上記評価試験に関して、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖のうちラクトース以外のオリゴ糖を実施例2におけるラクトースに替えて配合した例を用いた場合においても、実施例2と同様の効果を確認できた。

Claims (3)

  1. シンナムアルデヒドと、アルギニンと、ガラクトースを構成糖として含むオリゴ糖とを含有し、口腔内の細菌叢バランス改善用である口腔用組成物。
  2. 口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、前記病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に抑制することによって、前記非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させる
    請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌に属する菌種のうち、前記非病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に促進することによって、前記非病原性細菌に属する菌種の存在比率を増加させる
    請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
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