JP2023091841A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】口腔用組成物に関して、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させる。【解決手段】口腔内の細菌叢バランス改善用である口腔用組成物は、プロタミンと、アルギニンとを含有している。【選択図】なし

Description

本発明は、口腔用組成物に関する。
口腔内の細菌のうち非病原性細菌の一種としてStreptococcus oralis(以下、S.oralisともいう。)が知られている。S.oralisは、Streptococcus属のmitis groupに属する。mitis groupに属する他の菌種も、S.oralisと同じく非病原性細菌に分類される。
特許文献1には、Streptococcus属のmitis groupに属する菌種の生育に影響を与えることなく病原性細菌の生育を選択的に抑制する口腔用組成物が開示されている。すなわち、口腔内の病原性細菌に対して選択的抗菌作用を有する口腔用組成物が開示されている。特許文献1に記載されているように、口腔内の細菌叢における非病原性細菌の割合を増やして口腔内の細菌叢バランスを改善することが、口腔疾患の予防や進行抑制に有用であることが知られている。
特開2016-113460号公報
ところで、口腔用組成物には、細菌叢バランスを改善する効果のさらなる性能向上が求められている。
上記課題を解決するための口腔用組成物は、プロタミンと、アルギニンとを含有し、口腔内の細菌叢バランス改善用であることを要旨とする。
上記口腔用組成物は、ラクトースをさらに含有することが好ましい。
上記口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌であるStreptococcus属のmitis groupに属する菌種のうち、前記病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に抑制することによって、前記mitis groupに属する菌種の存在比率を増加させることが好ましい。
本発明の口腔用組成物によれば、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させることができる。
以下、口腔用組成物の一実施形態について説明する。
本実施形態の口腔用組成物は、プロタミンと、アルギニンとを含有している。口腔用組成物は、口腔内の細菌叢バランス改善用に用いられる。
〈プロタミン〉
口腔用組成物が含有するプロタミンについて説明する。
プロタミンは、塩基性ポリペプチドである。プロタミンは、しらこたん白抽出物に含有されている成分の一つである。プロタミンは、たとえば魚類の白子から得られる。魚類としては、たとえば、サケ目サケ科の魚類、ニシン目ニシン科の魚類等が挙げられる。このように、プロタミンは、魚類由来のものであることが好ましい。
口腔用組成物は、一種の魚類由来のプロタミンを含有するものであってもよいし、二種以上の魚類由来のプロタミンを組み合わせて含有するものであってもよい。口腔用組成物は、サケの白子由来のプロタミンを含有していることが好ましい。
プロタミンの抽出方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜採用することができる。口腔用組成物が含有するプロタミンは、抽出後に精製されたものでもよい。
プロタミンは、塩として口腔用組成物に含有されていてもよい。プロタミンの塩としては、たとえば塩酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
口腔用組成物におけるプロタミンの含有量は、特に制限されないが、たとえば、0.01質量%以上0.10質量%以下である。以下では、口腔用組成物における各成分の含有量について「質量%」を「%」に省略して表記する。プロタミンの含有量の上限値は、0.075%であることが好ましく、より好ましくは0.05%である。プロタミンの含有量の下限値は、0.03%であることが好ましく、より好ましくは0.05%である。
プロタミンの含有量が上記数値範囲であるとともに、アルギニンの含有量が後述の数値範囲であることによって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果をより向上させることができる。
〈アルギニン〉
口腔用組成物は、アミノ酸の一種であるアルギニンを含有している。アルギニンの具体例としては、特に制限されないが、たとえばL-アルギニン、ジヒドロキシプロピルアルギニン等が挙げられる。これらのアルギニンは塩であってもよく、たとえば塩酸塩等でもよい。
口腔用組成物は、アルギニンに加えて、他のアミノ酸を一種以上組み合わせて含有していてもよい。
口腔用組成物におけるアルギニンの含有量は、特に制限されないが、たとえば0.5%以上1.5%以下である。上記含有量の上限値は、1.25%であることが好ましく、より好ましくは1.0%である。上記含有量の下限値は、0.75%であることが好ましく、より好ましくは1.0%である。
〈糖〉
口腔用組成物は、糖を含有していることが好ましい。糖の種類としては、特に制限されないが、たとえば単糖、二糖、三糖以上のオリゴ糖、糖アルコールが挙げられる。
単糖としては、たとえば、ガラクトース、マンノース、アラビノース、及びそれらの水和物が挙げられる。
二糖としては、たとえば、マルトース、スクロース、ラクトース、及びそれらの水和物が挙げられる。
オリゴ糖としては、たとえば、ラフィノース、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、マルトオリゴ糖、環状オリゴ糖、ミルクオリゴ糖、及びそれらの水和物が挙げられる。
糖アルコールとしては、たとえば、上記の単糖、二糖、又はオリゴ糖を工業的に還元処理して得られるものが挙げられ、たとえば、ソルビトール、ラクチトール、還元イソマルツロース(パラチニット(登録商標))、トレイトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、スレイトール、グリトール、タリトール、ガアリトール、アルトリトール、ドルシトール、イディトール、イノシトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ツラニトールが挙げられる。
口腔用組成物は、上記糖のうちの一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。なお、口腔用組成物は、糖として、ラクトースを含有することが特に好ましい。
口腔用組成物における糖の含有量は、特に制限されないが、たとえば、1.0%以上4.0%以下である。上記含有量の上限値は、3.0%であることが好ましく、より好ましくは2.0%である。上記含有量の下限値は、1.5%であることが好ましく、より好ましくは2.0%である。糖の含有量が上記数値範囲であることによって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果をより向上させることができる。
〈適用形態、用途、及び剤形〉
口腔用組成物の適用形態は、特に限定されず、たとえば、医薬品、医薬部外品、化粧品として使用することができる。口腔用組成物の用途としては、公知のものを適宜採用することができる。たとえば、咀嚼剤、口腔内溶解剤、口腔内崩壊剤、舌ケア剤、口中清涼剤、練歯磨剤、洗口剤、含漱剤、液体歯磨剤、バイオフィルム分散剤、口臭予防剤、歯茎マッサージ剤、口腔用湿潤付与剤、舌苔除去剤、口腔内塗布剤、口腔殺菌剤、咽喉殺菌剤、口腔咽喉剤、歯周病治療剤、義歯装着剤、義歯コーティング剤、義歯安定化剤、義歯保存剤、義歯洗浄剤、インプラントケア剤等が用途として挙げられる。
口腔用組成物の剤形は、特に限定されず、たとえば、水、アルコール等の溶媒を含有することにより、軟膏剤、ペースト剤、パスタ剤、スプレー剤、ジェル剤、液剤、懸濁剤、ガム剤等に適用することができる。
溶媒として用いられる水の種類は特に限定されず、たとえば蒸留水、純水、超純水、精製水、水道水等を用いることができる。溶媒として用いられるアルコールの種類は特に限定されず、たとえばエタノールを用いることができる。水とアルコールを混合して用いることもできる。
口腔用組成物が液状に構成されている場合において、水等の溶媒の含有量は、特に制限されないが、60質量%以上99.8質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
〈その他成分〉
口腔用組成物は、適用目的、形態、用途等に応じて、前述した成分以外のその他成分を含有してもよい。その他成分としては、たとえば、抗菌剤、抗炎症剤、香料、湿潤剤、研磨剤、アルコール類、増粘剤、甘味成分、薬用成分、着色剤、安定化剤、pH調整剤が挙げられる。その他成分は、口腔用組成物に配合される公知のものを使用することができる。口腔用組成物は、上記のその他成分のそれぞれについて、一種のみを単独で含有するものであってもよいし、二種以上を組み合わせて含有するものであってもよい。
抗菌剤としては、たとえば、塩化セチルピリジニウム、パラベン、安息香酸ナトリウム、トリクロサン、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ヒノキチオールが挙げられる。
抗炎症剤としては、たとえば、グリチルリチン酸塩、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸が挙げられる。
なお、口腔用組成物においては、病原性細菌と共に非病原性細菌をも殺菌し得るような非選択的な作用を奏する成分を含有していることは好ましくない。こうした成分を口腔用組成物が含有している場合であっても、その含有量は、口腔用組成物における選択的な抗菌作用に及ぼす影響が小さい範囲となるように、極めて少量であることが好ましい。
香料としては、たとえば、アネトール、オイゲノール、カルボン、ウインターグリーン、サリチル酸メチル、チモール、丁字油、セージ油、オシメン油、シトロネロールが挙げられる。
研磨剤としては、たとえば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、シリカ、ゼオライト、メタリン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ベンガラ、硫酸カルシウム、無水ケイ酸が挙げられる。
アルコール類としては、たとえば、エチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
増粘剤としては、たとえば、ポリアクリル酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコールエステルが挙げられる。
薬用成分としては、たとえば、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フッ化第1スズ、フッ化ストロンチウム等のフッ化物、ピロリン酸ナトリウムやポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、リン酸一水素ナトリウム、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、トコフェロール酢酸エステル等のビタミン剤、デキストラナーゼ、ムタナーゼ等のグルカナーゼ酵素、プロテアーゼ、リゾチーム等の分解酵素、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化ストロンチウム、硝酸カリウム等の無機塩類、クロロフィル、グリセロホスフェート等のキレート性化合物、脂を溶解するポリエチレングリコール等、塩化ナトリウム、乳酸アルミニウム、塩化ストロンチウムが挙げられる。
着色剤としては、たとえば、緑色1号、青色1号、黄色4号等の法定色素、酸化チタン等が挙げられる。
安定化剤としては、たとえば、エデト酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ラノリン、トリアセチン、ヒマシ油、硫酸マグネシウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、たとえば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、リン酸、ピロリン酸、グリセロリン酸、並びにこれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩等の各種塩、水酸化ナトリウム等が挙げられる。口腔用組成物は、pH調整剤を配合することにより、pHが4以上9以下、特に5以上7以下の範囲になるように調整されていることが好ましい。
〈作用及び効果〉
本実施形態の作用について説明する。
口腔用組成物による口腔内の細菌叢バランスの改善効果は、口腔内の病原性細菌に対する選択的抗菌作用によって発揮される。たとえば、口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌であるStreptococcus属のmitis groupに属する菌種のうち、病原性細菌の生育を選択的に抑制する。これによって、口腔用組成物は、mitis groupに属する菌種の存在比率を増加させる。
口腔用組成物は、S.oralisの生育を選択的に促進することによって、mitis groupに属する菌種の存在比率を増加させることもできる。すなわち、口腔用組成物は、病原性細菌の生育を選択的に抑制しつつ、S.oralisの生育を促進することによって、口腔内の細菌叢バランスを改善することもできる。
口腔内の病原性細菌としては、う蝕病原菌、歯周病原菌等が挙げられる。う蝕病原菌の一例は、Streptococcus属のmutans groupに属するStreptococcus mutansである。歯周病原菌としては、たとえば、Porphyromonas gingivalis、Fusobacterium nucleatumが挙げられる。以下では、Streptococcus mutansをS.mutansと略記する。Porphyromonas gingivalisをP.gingivalisと略記する。Fusobacterium nucleatumをF.nucleatumと略記する。
口腔内の非病原性細菌であるStreptococcus属のmitis groupとしては、S.oralis、Streptococcus sanguinis、Streptococcus gordonii、Streptococcus mitis等が挙げられる。以下では、Streptococcus sanguinisをS.sanguinisと略記する。Streptococcus gordoniiをS.gordoniiと略記する。Streptococcus mitisをS.mitisと略記する。
口腔用組成物は、たとえば、S.mutansの生育を抑制することができる。口腔用組成物は、P.gingivalisの生育を抑制することもできる。口腔用組成物は、F.nucleatumの生育を抑制することもできる。
口腔用組成物は、たとえば、S.oralisの存在比率を増加させることができる。口腔用組成物は、S.sanguinisの存在比率を増加させることもできる。口腔用組成物は、S.mitisの存在比率を増加させることもできる。
本実施形態の効果について説明する。
(1)口腔用組成物は、プロタミンと、アルギニンとを含有する。これにより、口腔用組成物は、口腔内の病原性細菌に対して選択的抗菌作用を有したものとなる。口腔用組成物は、たとえば、口腔内細菌叢におけるmitis groupに属する菌種の存在比率を好適に増加させることができる。口腔用組成物は、mitis groupに属する菌種の存在比率を好適に増加させることで、口腔内の細菌叢バランスを好適に改善することができる。言い換えれば、口腔用組成物は、口腔内における細菌叢バランスの改善効果を向上させることができる。
(2)ラクトースをさらに含有する口腔用組成物は、S.oralisの生育を選択的に促進することができる。すなわち、口腔用組成物は、病原性細菌の生育を選択的に抑制しつつ、S.oralisの生育を促進することによって、mitis groupに属する菌種の存在比率を増加させることができる。したがって、口腔内における細菌叢バランスの改善効果をより向上させることができる。
(3)口腔内細菌叢のバランスを調整して口腔内細菌叢を改善する口腔用組成物によれば、口腔疾患の予防、口腔疾患の進行抑制等の効果が得られる。具体的には、う蝕の予防、う蝕の進行抑制、歯周病の予防、歯周病の進行抑制等の効果が得られる。
口腔用組成物について、以下の実施例に基づいてさらに詳細に説明する。なお、口腔用組成物は、実施例欄に記載の構成に限定されるものではない。
〈培養液〉
各菌種をそれぞれ適した培地にて培養して培養液を用意した。使用した菌種は以下の通りである。非病原性細菌として、S.oralis、S.sanguinis、S.mitisを用いた。病原性細菌として、S.mutans、P.gingivalis、F.nucleatumを用いた。Streptococcus属の菌種、すなわちS.oralis、S.sanguinis、S.mitis、及びS.mutansの培地は、BHI培地を用いた。P.gingivalisの培地は、変法GAM培地を用いた。F.nucleatumの培地は、GAM培地を用いた。
(試験1)
表1及び表2を用いて、抗菌効果試験について説明する。
Figure 2023091841000001
表1に示す比較例1~3、及び、実施例1及び2のサンプル溶液を調製した。表1における「○」は、当該成分を含有していることを意味する。表1における「-」は、当該成分を含有していないことを意味する。各成分の含有量は、以下の通りである。プロタミンの含有量は、0.05%である。アルギニンの含有量は、1%である。ラクトースの含有量は、2%である。各サンプル溶液の残部は、蒸留水である。
〈菌液の調製〉
試験1で用いる菌液を調製した。まず、2倍濃度培地を調製した。次に、波長660nmにおける培養液の濁度を測定した。濁度が0.1になるように2倍濃度培地で培養液を希釈して菌液とした。S.oralis、S.mutans、P.gingivalis、及びF.nucleatumの培養液を用いて、各菌種の菌液を調製した。
〈抗菌効果試験の試験方法〉
96穴プレートのウェルに菌液100μl及びサンプル溶液100μlを添加して、37℃、嫌気条件にて24時間培養した。コントロールとして、サンプル溶液に替えて水100μlを添加して同様に培養した。培養後、波長660nmにおける濁度を測定した。
測定した濁度に基づいて、コントロールの濁度を1.00とした相対値を各菌種の相対活性として算出した。すなわち、相対活性は、1.00よりも大きいほど菌種の生育が促進されていることを示す値である。一方、相対活性が1.00よりも小さいほど、菌種の生育が抑制されていることを示す。
〈抗菌効果試験の結果〉
算出した相対活性を以下の評価基準で評価した。それらの結果を表2に示す。
・抗菌効果試験における相対活性の評価基準
◎:相対活性が1.50以上である。菌種の生育が促進されている。
○:相対活性が0.90以上1.50未満である。菌種が生育されている。
△:相対活性が0.50以上0.90未満である。菌種の生育がある程度抑制されている。
×:相対活性が0.50未満である。菌種の生育が抑制されている。
Figure 2023091841000002
表2において、So、Sm、Pg、Fnは、それぞれ、S.oralis、S.mutans、P.gingivalis、F.nucleatumを意味する。以下では、各菌種を同様に略記することがある。
実施例1では、Sm、Pg、及びFnの生育が抑制されている一方で、Soについては生育が抑制されていなく、ある程度生育されていた。このような選択的抗菌作用は、比較例1及び2の結果との比較から、プロタミンとアルギニンとを含有している実施例1によって得られる効果であることがわかる。
実施例2では、Sm、Pg、及びFnの生育が抑制されていた。さらに、Soについては生育が促進されていた。このような選択的な抗菌及び生育促進作用は、比較例1~3の結果との比較から、プロタミン及びアルギニンに加えて、ラクトースをさらに含有している実施例2によって得られる効果であることがわかる。
実施例1及び2によって、口腔内の病原性細菌、及び口腔内の非病原性細菌であるStreptococcus属のmitis groupに属する菌種のうち、病原性細菌の生育が選択的に抑制されることがわかる。実施例1及び2によって、口腔内細菌叢におけるmitis groupに属する菌種の存在比率を増加させて口腔内細菌叢の改善作用を発揮することを期待できる。
(試験2)
表1及び表3を用いて、殺菌効果試験について説明する。
サンプル溶液は、表1に示す実施例1及び2、及び比較例1~3を用いた。
〈菌液の調製〉
試験2で用いる菌液を調製した。波長660nmにおける培養液の濁度を測定した。濁度が1.0になるようにリン酸緩衝生理食塩水で培養液を希釈して菌液とした。S.oralis、S.mutans、P.gingivalis、及びF.nucleatumの培養液を用いて、各菌種の菌液を調製した。
〈殺菌効果試験の試験方法〉
96穴プレートのウェルに菌液20μl及びサンプル溶液180μlを添加した。コントロールとしてサンプル溶液に替えて水180μlを添加した。予め設定した接触時間の経過後に、上記各ウェルの溶液20μlを不活化培地180μlに添加した。接触時間は、30秒及び3分とした。その後、37℃、嫌気条件にて24時間培養した。濁度を測定して、上記試験1の場合と同様に相対活性を算出した。
不活化培地は、殺菌剤の不活化剤として公知であるTween(登録商標)80及び大豆レシチンを各培地に添加したものである。殺菌剤が不活化培地に添加されると、殺菌剤は不活性化される。
〈殺菌効果試験の結果〉
算出した相対活性を以下の評価基準で評価した。それらの結果を表3に示す。
・殺菌効果試験における相対活性の評価基準
◎:相対活性が1.50以上である。菌種の生育が促進されている。
○:相対活性が0.90以上1.50未満である。菌種が生育されている。
△:相対活性が0.50以上0.90未満である。菌種の生育がある程度抑制されている。
×:相対活性が0.50未満である。菌種の生育が抑制されている。
Figure 2023091841000003
実施例1では、接触時間30秒の場合、及び接触時間3分の場合において、Sm及びPgの相対活性が低くなった。この結果から、実施例1においてSm及びPgの生育を抑制する効果は、接触時間30秒以上の場合に得られることがわかる。
実施例2では、接触時間30秒の場合、及び接触時間3分の場合において、Smの相対活性が低くなった。この結果から、実施例2においてSmの生育を抑制する効果は、接触時間30秒以上の場合に得られることがわかる。
実施例2では、接触時間3分の場合において、Pgの相対活性が低くなった。この結果から、実施例2においてPgの生育を抑制する効果は、接触時間30秒の場合には得られないが、接触時間3分以上の場合に得られることがわかる。
実施例1及び2では、接触時間3分の場合において、Fnの相対活性が低くなった。この結果から、Fnの生育を抑制する効果は、接触時間30秒の場合には得られないが、接触時間3分以上の場合に得られることがわかる。
(試験3)
表4を用いて、プロタミンが示す選択的抗菌作用の選択性を検証した試験について説明する。具体的には、試験3では、プロタミンに関してStreptococcus属のmitis groupの菌種に対する作用を検証した。
〈菌液の調製〉
試験3で用いる菌液を調製した。まず、2倍濃度培地を調製した。次に、波長660nmにおける培養液の濁度を測定した。濁度が0.1になるように2倍濃度培地で培養液を希釈して菌液とした。
Streptococcus属のmitis groupであるS.oralis、S.sanguinis、S.mitis、及びStreptococcus属のmutans groupであるS.mutansの培養液を用いて、各菌種の菌液を調製した。
〈試験方法〉
プロタミンを蒸留水に溶解して、希釈系列を調製した。これら希釈系列をサンプル溶液として試験1と同様に抗菌効果試験を行った。菌液は、上記のように調製したものを用いた。細菌の発育が認められなかった濃度を最小発育阻止濃度(Minimum Inhibitory Concentration、MIC)とした。結果を表4に示す。
Figure 2023091841000004
〈試験結果〉
プロタミンに関して、S.oralisに対するMICの値は、S.mutansに対するMICの値と比較して高かった。すなわち、S.mutansの生育を選択的に抑制しつつも、S.oralisの生育を抑制しにくいことを確認できた。さらに、S.oralisに限らず、S.sanguinis及びS.mitisに対するMICの値は、S.mutansに対するMICの値と比較して高かった。すなわち、S.oralisに限らず、S.sanguinis及びS.mitisの生育が抑制されにくいことを確認できた。このことから、mitis groupの菌種に対して生育を抑制しにくい選択性があることがわかる。
プロタミンとアルギニンとを含有する口腔用組成物によって、mitis groupの存在比率を増加させる効果を期待できる。
(試薬の詳細)
実施例欄に記載の各試験に用いた試薬の詳細は、以下の通りである。
BHI培地:Becton, Dickinson and Company製、ブレインハートインフュージョンブロス
GAM培地:日水製薬株式会社製、GAMブイヨン
変法GAM培地:日水製薬株式会社製、変法GAMブイヨン
プロタミン:富士フイルム和光純薬株式会社製、プロタミン硫酸塩
アルギニン:Sigma-aldrich社製、L-アルギニン
ラクトース:富士フイルム和光純薬株式会社製、ラクトース一水和物

Claims (3)

  1. プロタミンと、アルギニンとを含有し、口腔内の細菌叢バランス改善用である口腔用組成物。
  2. ラクトースをさらに含有する請求項1に記載の口腔用組成物。
  3. 口腔内の病原性細菌に属する菌種、及び口腔内の非病原性細菌であるStreptococcus属のmitis groupに属する菌種のうち、前記病原性細菌に属する菌種の生育を選択的に抑制することによって、前記mitis groupに属する菌種の存在比率を増加させる請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
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