WO2024143038A1 - ポリオール含有組成物、並びに、それを原料としたポリウレタン及び水系ポリウレタン - Google Patents

ポリオール含有組成物、並びに、それを原料としたポリウレタン及び水系ポリウレタン

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陽一 廣瀬
康文 川合
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旭化成株式会社
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Abstract

本発明は、耐久性に優れるのみならず機能性基の導入にともない各種機能性が高められたポリウレタン或いは水系ポリウレタンを形成可能な、新規なポリオール含有組成物等を提供する。本発明は、少なくとも一種のヒドロキシ化合物を含む、ポリオール含有組成物であって、前記ポリオール含有組成物は、300~5,000の数平均分子量を有し、少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物は、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種の主骨格構造と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、カーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種の副骨格構造と、前記副骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、少なくとも2以上の末端ヒドロキシ基と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、ヒドロキシ基以外の少なくとも一種の機能性基と、を有する、ポリオール含有組成物を提供する。

Description

ポリオール含有組成物、並びに、それを原料としたポリウレタン及び水系ポリウレタン
 本発明は、ポリオール含有組成物、並びに、それを原料としたポリウレタン及び水系ポリウレタン等に関する。
 ポリウレタン樹脂は、合成皮革、人工皮革、接着剤、家具用塗料、自動車用塗料等の幅広い領域で使用されている。ポリウレタン樹脂は、通常、イソシアネート類とポリオール成分との付加重合物として得られる。ポリウレタン樹脂には、耐熱性、耐水性、耐候性、耐加水分解性、耐溶剤性、耐日焼け止め性、耐傷付き性等の各種耐久性が要求されている。そのため、ポリウレタン樹脂の原料のうち、イソシアネート類と反応させるポリオール成分として、例えばポリエーテルやポリエステルやポリカーボネート等の骨格構造を有するポリオール成分を用いることが検討されている。
 近年、高機能ポリウレタン樹脂として、例えば水分散性や防汚・耐摩耗性等の機能をより高めたポリウレタンの開発が検討されている。具体的には、特許文献1には、アニオン性基含有ポリオール(b1)と、トリメチロールプロパンモノ(ポリエチレンオキシドメチルエーテル)と、脂肪族環式構造含有ポリオール(b3)とを、ポリイソシアネート(C)と反応させて得られる、アニオン性基(a1)と側鎖にポリエチレンオキサイド鎖(a2)とを有するウレタン樹脂(A)が開示されている。また、特許文献2には、イソシアネートとして二以上のイソシアネート官能基を有するポリシロキサンを併用することで、防汚性を高めたポリウレタン-ポリシロキサンネットワークが開示されている。
特許第5316427号 特許第6235329号
 ポリウレタンのさらなる高機能化にあたり、上記の各種耐久性への要求を満たしつつ、新たな機能性基の導入が検討されている。しかしながら、新たな機能性基の導入にあたり、特許文献1のように3種類以上のポリオール成分を配合する方法では、イソシアネートとの混合時に意図せぬゲル化が生じる等してイソシアネート基との反応率の低下等を招きやすく、所望する3次元網目状ネットワークの形成が困難になる傾向にあり、得られるポリウレタンの耐久性がむしろ損なわれてしまうというトレードオフが生じるという課題があった。しかも、特許文献1では、柔軟なアルキル基を主骨格構造とし、この主骨格構造に側鎖を有するポリオール成分を導入しているため、これを用いて得られるポリウレタンの分子間相互作用が弱く、耐熱性に劣るという課題があった。
 また、特許文献2のようにポリシロキサンジイソシアネートを用いると、機能性基であるポリシロキサンはポリウレタンの主骨格に組み込まれることとなる。このように機能性基をポリウレタンの主骨格に導入する場合、期待される機能性の発現のためには機能性基含有成分を比較的に多量に配合する必要があり、そのため他の成分の使用割合が必然的に制限されてしまうので、他の物性とのトレードオフが生じるという課題があった。
 そこで、本発明は、耐久性に優れるのみならず機能性基の導入にともない各種機能性が高められたポリウレタン或いは水系ポリウレタンを形成可能な、新規なポリオール含有組成物等を提供することを目的とする。また、本発明の別の目的は、上記の新規なポリオール含有組成物を用いて得られる、高品質なポリウレタン及び水系ポリウレタン等を提供することにある。
 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、比較的に運動性の高い側鎖として機能性基が導入された特定の構造を有するヒドロキシ化合物をポリオール成分として用いることで、上記トレードオフが発生しにくいことを見出し、これにより、耐久性に優れるのみならず機能性基の導入にともない各種機能性が高められた、高品質なポリウレタン或いは水系ポリウレタンを実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下に示す種々の具体的態様を提供する。
(1)
 少なくとも一種のヒドロキシ化合物を含む、ポリオール含有組成物であって、
 前記ポリオール含有組成物は、300~5,000の数平均分子量を有し、
 少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物は、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種の主骨格構造と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、カーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種の副骨格構造と、前記副骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、少なくとも2以上の末端ヒドロキシ基と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、ヒドロキシ基以外の少なくとも一種の機能性基と、を有する、
ポリオール含有組成物。
(2)
 前記ポリオール含有組成物の総量を100質量部とした際、前記機能性基の含有割合が0.1~60.0質量部である
(1)に記載のポリオール含有組成物。
(3)
 前記ポリオール含有組成物の総量を100質量部とした際、前記機能性基の含有割合が0.1~20.0質量部である
(1)又は(2)に記載のポリオール含有組成物。
(4)
 前記機能性基が、親水性基、疎水性基、吸着性基、及び架橋性基よりなる群から選択される少なくとも一種である
(1)~(3)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(5)
 前記機能性基が、親水性基である
(1)~(4)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(6)
 前記機能性基が、疎水性基である
(1)~(5)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(7)
 前記機能性基が、吸着基である
(1)~(6)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(8)
 前記機能性基が、架橋基である
(1)~(7)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(9)
 前記機能性基が、親水性基、疎水性基、吸着性基、及び架橋性基よりなる群から選択される少なくとも二種以上である
(1)~(8)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
(10)
 少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物が、下記式(I)で表される構造を有する
(1)~(9)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物。
 式(I)
  (R-X-FG)m
   |
   Z-(R-X-P-OH)n
(式(I)中、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数であり、Zは、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種であり、Rは直鎖或いは分岐の二価の炭化水素基、脂環構造又は単結合であり、Rはそれぞれ異なっていてもよく前記二価の炭化水素基及び前記脂環構造はヘテロ原子を有していてもよく、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、FGは前記機能性基であり、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、Pは下記式(II)で表され、Pはそれぞれ異なっていてもよい。)
 式(II)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式(II)中、nは1以上の整数であり、*は結合手であり、Rは二価の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、Rはそれぞれ異なっていてもよくヘテロ原子を有していてもよく、Yはカーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種である。)
(11)
 前記式(I)中の前記X、Xが、ウレタン、ウレア、チオウレアの少なくとも1つ以上含む
(10)に記載のポリオール含有組成物。
(12)
 前記式(II)中の前記Yが、カーボネート結合である
(10)又は(11)に記載のポリオール含有組成物。
(13)
 (1)~(12)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物を用いて得られる、
ポリウレタン。
(14)
 (1)~(12)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物を用いて得られる、
水系ポリウレタン。
(15)
 (1)~(12)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物と多官能イソシアネートとの付加重合物を含む、
ポリウレタン。
(16)
 (1)~(12)のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物と多官能イソシアネートとの付加重合物を含む、
水系ポリウレタン。
 本発明によれば、耐久性に優れるのみならず機能性基の導入にともない各種機能性が高められたポリウレタン或いは水系ポリウレタンを形成可能な、新規なポリオール含有組成物等を実現することができる。そして、上記ポリオール含有組成物を用いることで、高品質なポリウレタン及び水系ポリウレタン等を実現することができる。また、本発明によれば、比較的に運動性の高い側鎖として機能性基が導入されていることで、比較的に少ない導入量で各種機能性を発現可能であり、上記トレードオフが生じにくい。そのため、所望物性を有するポリウレタン及び水系ポリウレタンの合成にあたり、設計自由度を高めることができる。
 以下、本発明を実施するための一形態(以下、「本実施形態」と言う。)について、詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない範囲内で任意に変更して実施することができる。なお、本明細書において、例えば「1~100」との数値範囲の表記は、その下限値「1」及び上限値「100」の双方を包含するものとする。また、他の数値範囲の表記も同様である。
[ポリオール含有組成物]
 本実施形態のポリオール含有組成物は、少なくとも一種のヒドロキシ化合物を含む、ポリオール含有組成物であって、前記ポリオール含有組成物は、300~5,000の数平均分子量を有し、少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物は、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種の主骨格構造と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、カーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種の副骨格構造と、前記副骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、少なくとも2以上の末端ヒドロキシ基と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、ヒドロキシ基以外の少なくとも一種の機能性基と、を有することを特徴とする。
 本実施形態のポリオール含有組成物は、上記特徴を有することにより、上記トレードオフが発生しにくく、これにより、耐久性に優れるのみならず機能性基(機能性官能基)の導入にともない各種機能性が高められた、高品質なポリウレタン或いは水系ポリウレタンを形成可能である。なお、機能性基は、ヒドロキシ基以外の任意の官能基を意味し、特定の機能を有することで高品質のポリウレタンないしは水系ポリウレタンを形成することができる。機能性基の具体例としては、特に限定されないが、例えば親水性基、疎水性基、吸着性基、架橋性基等が挙げられる。なお、特定ヒドロキシ化合物が有する機能性基は、1種のみでもよく、また、任意の2種以上であってもよい。例えば、特定ヒドロキシ化合物は、親水性基、疎水性基、吸着性基、及び架橋性基よりなる群から選択される一種のみの機能性基を有していてもよく、二種以上或いは三種以上の機能性基を有していてもよい。
 本実施形態のポリオール含有組成物は、少なくとも一種のヒドロキシ化合物を含む。ここで本明細書において、必須成分である少なくとも一種のヒドロキシ化合物を「特定ヒドロキシ化合物」と称し、この特定ヒドロキシ化合物以外の任意成分であるヒドロキシ化合物を「他のヒドロキシ化合物」と称する。他のヒドロキシ化合物としては、例えば、特定ヒドロキシ化合物以外の多価アルコール化合物、特定ヒドロキシ化合物以外のポリカーボネートポリオール、特開2018-012769号公報に記載のポリエステルポリオール、アルカンジオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオールなどのポリオール類が挙げられるが、これらに特に限定されない。
 また、本実施形態のポリオール含有組成物は、本実施形態のポリオール含有組成物は、上述した特定ヒドロキシ化合物のみを含有する単独化合物であってもよく、また、上述した特定ヒドロキシ化合物と他のヒドロキシ化合物との混合物であってもよい。そして、本実施形態のポリオール含有組成物は、本発明の効果を過度に阻害しない範囲で、上述した特定ヒドロキシ化合物及び他のヒドロキシ化合物以外の成分(以降において、単に「他の成分」と称する場合がある。)を含んでいてもよい。
 本実施形態のポリオール含有組成物は、300~5,000の数平均分子量(Mn)を有する。数平均分子量が前記範囲内であると、水分散性や塗膜形成時の外観に優れるポリウレタン塗膜や水系ポリウレタン塗膜を形成することができる。ポリオール含有組成物の数平均分子量は、好ましくは500以上、さらに好ましくは800以上であり、好ましくは3,500以下、さらに好ましくは2,700以下である。ポリオール含有組成物の数平均分子量は、後述する実施例に記載のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定(THF)により算出することができる。なお、本実施形態のポリオール含有組成物の数平均分子量を前記範囲に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、当該ポリオール含有組成物の製造時に、数平均分子量が前記範囲となるように原料の比率を調整する方法や、当該ポリオール含有組成物の製造時に多価アルコール化合物を添加及び/又は抜き出すことで制御する方法等が挙げられる。
 本実施形態のポリオール含有組成物の分子量分布(質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、特に限定されないが、下限側は1.00以上が好ましく、1.20以上がより好ましく、1.50以上がさらに好ましく、1.80以上がよりさらに好ましく、2.00以上が特に好ましく、2.10以上がより特に好ましく、2.20以上が極めて好ましい。また、分子量分布の上限側は、特に限定されないが、7.00以下が好ましく、6.00以下がより好ましく、5.00以下がさらに好ましく、4.50以下がよりさらに好ましく、4.00以下が特に好ましく、3.70以下がより特に好ましく、3.50以下が極めて好ましく、3.30以下がより極めて好ましい。ここで、ポリオール含有組成物の分子量分布(Mw/Mn)の数値範囲は、前記下限値と上限値とを適宜組み合わせて規定することもできる。例えば、分子量分布の数値範囲を、1.00~6.00、1.20~5.00、1.50~4.50、1.80~4.00、2.00~3.70、2.10~3.50、2.00~3.30等としてもよい。本実施形態のポリオール含有組成物の分子量分布が前記範囲であることにより、例えば、得られるポリウレタンの塗膜外観が優れる傾向にある。なお、本実施形態のポリオール含有組成物の質量平均分子量と数平均分子量は、後述する実施例に記載のGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定(THF)により算出することができる。そして、分子量分布(Mw/Mn)は、算出された質量平均分子量と数平均分子量に基づいて、下記式により求めることができる。
 分子量分布(Mw/Mn)=質量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)
 本実施形態のポリオール含有組成物は、下記式で算出される機能性基数が、1.20~10.00であることが好ましく、1.30~8.00であることがより好ましく、1.40~6.00であることがさらに好ましく、1.50~5.00であることがよりさらに好ましく、1.60~4.00であることが特に好ましく、1.70~3.50であることがより特に好ましく、1.80~3.00であることが極めて好ましい。
 機能性基数=Mn×OHV/56.11/1000
(上記式中、MnはGPC測定(THF)により求めたポリオール含有組成物の数平均分子量を表し、OHVはポリオール含有組成物の水酸基価を表す。)
 また、機能性基の含有割合は、特に限定されないが、ポリオール含有組成物の総量を100質量部としたとき、0.1~60質量部が好ましく、0.1~40質量部がより好ましく、0.1~20質量部がさらに好ましく、0.2~20質量部がより好ましく、0.5~20質量部がさらに好ましく、1~10質量部が極めて好ましい。
<特定ヒドロキシ化合物>
 特定ヒドロキシ化合物は、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種の主骨格構造と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、カーボネート結合(-O-(C=O)-O-)、エーテル結合(-O-)、及びエステル結合(-(C=O)-O-)よりなる群から選択される少なくとも一種の副骨格構造と、前記副骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、少なくとも2以上の末端ヒドロキシ基(-OH)と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、ヒドロキシ基以外の少なくとも一種の機能性基と、を有する。
 上記の特定ヒドロキシ化合物は、上述した主骨格構造と2以上の末端ヒドロキシ基を有する上述した副骨格構造とを備えるポリオール化合物であり、このような構造を有することで、耐熱性や耐水性や耐薬品性等の耐久性に優れる。しかも、その主骨格構造には、比較的に運動性の高い側鎖として機能性基が導入されていることで、比較的に少ない導入量で各種機能性を発現する機能性基の具体例としては、特に限定されないが、例えば親水性基、疎水性基、吸着性基、架橋性基等が挙げられる。
 親水性基は、水との親和性が高い官能基を意味する。機能性基として親水性基が導入されていることで、本実施形態のポリオール含有組成物を用いて得られるポリウレタンないしは水系ポリウレタンの水分散性を向上させることができる。親水性基としては、特に限定されないが、ノニオン型親水性基、アニオン型親水性基、カチオン型親水性基、双性型親水性基等が挙げられる。これらの中でも、汎用性等の観点から、ノニオン型親水性基及びアニオン型親水性基が好ましい。なお、ここでいう親水性基には、ヒドロキシ基は含まれない。
 ノニオン型親水性基としては、特に限定されないが、オキシアルキレン基、多価アルコールと脂肪酸からなる多価エステル等が挙げられる。具体的には、オキシエチレンアルキルエーテル(ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等)が挙げられる。
 アニオン型親水性基としては、特に限定されないが、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。これらの中でも、耐水性等の観点から、カルボキシ基及びスルホン酸基が好ましく、より好ましくはカルボン酸基である。
 カチオン型親水性基としては、特に限定されないが、テトラアルキルアンモニウム基等が挙げられる。
 双性型親水性基としては、特に限定されないが、アニオン型とカチオン型の構造を同一分子内に有する、カルボキシベタイン基、スルホベタイン基、ホスホリルベタイン基等のベタイン構造を有する基が挙げられる。
 親水性基の含有割合は、特に限定されないが、ポリオール含有組成物の総量を100質量部としたとき、0.1~60質量部が好ましく、0.2~40質量部がより好ましく、0.5~20質量部がさらに好ましく、1~10質量部が極めて好ましい。本実施形態におけるポリオール含有組成物中の親水性基含有量が前記範囲にあることで、ポリオール含有組成物や、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタンないしは水系ポリウレタンの水分散性が高められ、さらに得られるポリウレタン塗膜の耐水性も同時に高められる傾向にある。
 疎水性基は、得られるポリウレタンないしは水系ポリウレタンの表面自由エネルギーを低下させることが可能な官能基を意味する。機能性基として疎水性基が導入されていることで、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタン塗膜の撥水系を向上させることができる。
 疎水性基としては、特に限定されないが、炭素数が3以上のヘテロ原子を有していてもよい直鎖又は分岐の炭化水素基やポリジアルキルシロキサン構造を有する基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は5以上が好ましく、6以上がより好ましく、7以上が極めて好ましい。
 疎水性基の含有割合は、特に限定されないが、ポリオール含有組成物の総量を100質量部としたとき、0.1~60質量部が好ましく、0.2~30質量部がより好ましく、0.5~20質量部がさらに好ましく、1~10質量部が極めて好ましい。本実施形態におけるポリオール含有組成物中の疎水性基含有量が前記範囲にあることで、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の撥水性と塗膜外観が高められる傾向にある。
 吸着性基は、隣接する基材に対し、化学結合、或いは物理的相互作用、例えばファンデルワールス力、水素結合、静電相互作用等、を介して吸着可能な官能基を意味する。機能性基として吸着性基が導入されていることで、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の基材への密着性を高めることができる。
 化学結合を介して吸着する吸着性基としては、特に限定されないが、アルコキシシリル基、フェノール性水酸基等が挙げられる。物理的相互作用を介して吸着する吸着性基としては、特に限定されないが、フェニル基、アミド基、ウレア基等が挙げられる。また、基材と同一の構造を導入することも有効である。例えば、PET基材に対しては、エステル基を導入する目的でポリエステル構造を導入することによりPET基材への吸着性向上が可能である。
 吸着性基の含有割合は、特に限定されないが、ポリオール含有組成物の総量を100質量部としたとき、0.1~30質量部が好ましく、0.2~15質量部がより好ましく、0.5~10質量部がさらに好ましい。本実施形態におけるポリオール含有組成物中の吸着性基含有量が前記範囲にあることで、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタン塗膜及び水系ポリウレタン塗膜の基材への吸着性が高められる傾向にあり、また、得られるポリウレタンないしは水系ポリウレタンの貯蔵安定性が高められる傾向にある。
 架橋性基は、架橋反応が可能な官能基を意味する。機能性基として吸着性基が導入されていることで、得られるポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の耐久性を向上させることができる。なお、架橋性基による架橋は、分子内架橋でも、分子間架橋であってもよく、分子間架橋の場合は、ポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の作製時に任意で架橋性基と反応可能な官能基を有する硬化剤と併用してもよい。
 架橋性基としては、特に限定されないが、エポキシ基、イソシアネート基、不飽和炭素結合、チオール基、カルボキシ基等が挙げられる。また、得られるポリウレタンないしは水系ポリウレタンの貯蔵安定性を向上させる等の目的で、架橋性基は保護基によって保護されていてもよい。保護された架橋性基としては、特に限定されないが、例えば、β-ケトエステル基、アゾール基、二級アミノ基が結合したイソシアネート基やtert-ブチル基等の三級炭素が結合したカルボキシ基が挙げられる。
 架橋性基の含有割合は、特に限定されないが、ポリオール含有組成物の総量を100質量部としたとき、0.1~50質量部が好ましく、0.2~30質量部がより好ましく、0.5~20質量部がさらに好ましい。本実施形態におけるポリオール含有組成物中の架橋性基含有量が前記範囲にあることで、ポリオール含有組成物を使用して得られるポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の耐久性が高められる傾向にあり、また、得られるポリウレタン及び水系ポリウレタンの貯蔵安定性が高められる傾向にある。
 上記の特定ヒドロキシ化合物の具体例としては、下記式(I)で表される構造を有するものが挙げられる。
 式(I)
  (R-X-FG)m
   |
   Z-(R-X-P-OH)n
(式(I)中、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数であり、Zは、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種であり、Rは直鎖或いは分岐の二価の炭化水素基、脂環構造又は単結合であり、Rはそれぞれ異なっていてもよく前記二価の炭化水素基及び前記脂環構造はヘテロ原子を有していてもよく、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、FGは前記機能性基であり、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、Pは下記式(II)で表され、Pはそれぞれ異なっていてもよい。)
 式(II)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(式(II)中、nは1以上の整数であり、*は結合手であり、Rは二価の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、Rはそれぞれ異なっていてもよくヘテロ原子を有していてもよく、Yはカーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種である。)
 上記式(I)中、Zは、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香環骨格、及び脂環骨格よりなる群から選択される少なくとも一種である。その中でも、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、脂環骨格が好ましく、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格がより好ましい。なお、Zは上記の一種を含んでいればよく、ここに挙げた以外の主骨格構造と併用してもよい。
 上記式(I)中、Xは、単結合又は二価の連結基である。二価の連結基としては、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、チオウレア結合、チオエーテル結合が挙げられる。これらの中でも、Xは、単結合、ウレア結合、ウレタン結合、チオウレア結合がより好ましく、ウレア結合、ウレタン結合がさらに好ましい。なお、Xは上記の一種を含んでいればよく、ここに挙げた以外の連結基と併用してもよい。
 上記式(I)中、Xは、単結合又は二価の連結基である。二価の連結基としては、エステル結合、アミド結合、ウレア結合、ウレタン結合、チオウレア結合、チオエーテル結合が挙げられる。これらの中でも、Xは、単結合、ウレア結合、ウレタン結合、チオウレア結合がより好ましく、ウレア結合、ウレタン結合がさらに好ましい。なお、Xは上記の一種を含んでいればよく、ここに挙げた以外の連結基と併用してもよい。
 上記式(I)中、X、Xが、ウレタン、ウレア、チオウレアの少なくとも1つ以上含むこと好ましい。このとき、Xが、ウレタン、ウレア、チオウレアの少なくとも1つ以上を含み、Xが、ウレタン、ウレア、チオウレアの少なくとも1つ以上を含むことがより好ましい。
 上記式(I)中、Rは、直鎖或いは分岐の二価の炭化水素基、脂環構造、又は単結合である。Rはそれぞれ異なっていてもよく、前記二価の炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。Rの分子量は、特に限定されないが、下限側は、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましく、上限側は、3000以下であることが好ましく、2500以下であることがより好ましく、2200以下であることがさらに好ましい。
 上記式(I)中、Rの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピル基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシテトラメチレン基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、イソプロピレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、イソヘキシレン基、イソヘプチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、ジヒドロイソホロン基、イソオクチレン基、オキシ1-メチルエチレン基、オキシ2,2-ジメチルトリメチレン基、ポリオキシ1-メチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、汎用性等の観点から、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシテトラメチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基又はイソヘキシレン基、オキシ1-メチルエチレン基、ポリオキシ1-メチルエチレン基が好ましい。
 上記式(I)中、mは1以上の整数であり、好ましくは1~2であり、より好ましくは1である。また、上記式(I)中、nは2以上の整数であり、好ましくは2~5であり、より好ましくは2~4である。
 上記式(II)中、Yは、カーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種である。これらの中でも、耐久性等の観点から、カーボネート結合、エステル結合が好ましく、カーボネート結合がさらに好ましい。なお、Yは、上記の一種を含んでいればよく、ここに挙げた以外の結合と併用してもよい。
 上記式(II)中、Rは、直鎖或いは分岐の二価の炭化水素基、又は単結合である。Rはそれぞれ異なっていてもよく、前記二価の炭化水素基はヘテロ原子を有していてもよい。Rの分子量は、特に限定されないが、下限側は、20以上であることが好ましく、30以上であることがより好ましく、40以上であることがさらに好ましく、上限側は、3000以下であることが好ましく、2500以下であることがより好ましく、2200以下であることがさらに好ましい。
 上記式(I)中、Rの具体例としては、特に限定されないが、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2-メチルプロピル基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシテトラメチレン基、フルオロアルキル基、パーフルオロアルキル基、イソプロピレン基、イソブチレン基、tert-ブチレン基、イソペンチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、イソヘキシレン基、イソヘプチレン基、イソオクチレン基、オキシ1-メチルエチレン基、オキシ2,2-ジメチルトリメチレン基、ポリオキシ1-メチルエチレン基等が挙げられる。これらの中でも、汎用性等の観点から、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、オキシエチレン基、オキシテトラメチレン基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシテトラメチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基、イソペンチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基又はイソヘキシレン基、オキシ1-メチルエチレン基、ポリオキシ1-メチルエチレン基が好ましい。
 上記式(II)中、nは1以上の整数であり、好ましくは1~50であり、より好ましくは3~30である。
[ポリオール含有組成物の製造方法]
 本実施形態のポリオール含有組成物は、例えば、過剰のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させる方法、ポリカーボネートポリオールと任意のポリオールをエステル交換触媒の存在下で反応させる方法等により、特定ヒドロキシ化合物を合成することで得ることができ、その製造方法は、特に限定されない。なお、上記方法で用いたポリイソシアネートに、ポリオールとの反応性を有さない末端が一部存在している場合、得られるポリオールには反応性を有さない末端が側鎖として存在する。したがって、本実施形態のポリオール含有組成物は、特定ヒドロキシ化合物単独の組成物であってもよいし、特定ヒドロキシ化合物と他のヒドロキシ化合物との混合物であってもよい。
 ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させる方法としては、特に限定されないが、例えば、原料を混合し、加熱しながら撹拌することにより実施できる。反応の温度は、特に限定されないが、下限は、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましく、80℃以上がよりさらに好ましい。また、上限は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましく、160℃以下がよりさらに好ましい。反応温度を上記下限値以上とすることで、反応をより短時間で行うことができ経済性に優れる。反応温度を上記上限値以下とすることで、得られるポリオールの熱劣化をより効果的に防止することができる。
 ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を反応させる方法におけるイソシアネート基と水酸基の比率(NCO/OH)としては、特に限定されないが、0.01以上0.90以下が好ましく、0.03以上0.40以下がより好ましく、0.04以上0.30以下がさらに好ましく、0.05以上0.20以下が特に好ましい。
 反応圧力は、特に限定されないが、常圧以上1MPa以下が好ましい。反応圧力を上記範囲とすることで、反応をより簡便に実施できる。また、副原料を用いる場合、これらの蒸気圧等を考慮して、ある程度加圧することで反応をより効率よく促進させるができる。
 反応の進行及び完了は、例えばGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定及びFT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)によって確認することができる。反応の進行に伴い、GPC測定により原料に由来するピークは経時的に小さくなっていき、該ピークが消失したことにより確認できる。また、FT-IRによりイソシアネート基(-NCO基)に由来する波数2273cm-1付近の赤外吸収スペクトル吸光度(Abs)ピークが消失したことにより確認することもできる。なお、本実施形態のポリオール含有組成物を得る際には、上記した反応の前に、前処理として、使用する原料の脱水処理を行う工程等を行ってもよい。
[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]
 本実施形態のポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法としては、特に限定されないが、仕込み量と構造が明らかな場合は、仕込み量から計算することができる。また、仕込み量と構造が不明な場合は、まずは機能性基の構造を特定したうえで、その機能性基に応じた方法で定量することが望ましい。機能性基の定量方法として、例えば後述する実施例で使用した親水性基であれば、ポリオール含有組成物を塩基の存在下で加水分解した後にガスクロマトグラフィー(Gas Chromatography:GC)を用いて定量することができる。もしGCで測定が難しいであれば、GCに代えて、ゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography:GPC)を用いてもよい。また、機能性基自体が加水分解を受ける場合は、H-NMRにより定量する方法が好ましい。
・加水分解方法
 100mLのナスフラスコにポリオール含有組成物の試料を約5g精秤し、エタノール50gと水酸化カリウム4.0gを加えた。これに磁気撹拌子を入れて、105±5℃に設定したオイルバス中で1時間撹拌し、カーボネート結合部分をアルカリ分解させた。その後、室温まで冷却し、反応液にフェノールフタレイン指示薬を数滴加え、色が消えるまで塩酸を量ずつ加えた。その上澄み液約40mLを採取して、サンプル瓶に移し、内温5℃の冷蔵庫中で一晩静置した。静置後、孔径0.45μmのメンブレンフィルターを用いて上澄み液を濾過して、濾液を得た。得られた濾液についてGC分析、GPC分析を行う。なお、ポリオール含有組成物に含まれる機能性基成分を用いて別途作成した濃度検量線から、サンプル中の機能性基濃度を求め、溶液量から質量を算出し、アルカリ分解に使用したポリオール含有組成物の質量で除した値が、ポリオール含有組成物中の機能性基の含有量である。
H-NMRにより定量する方法
 ポリオール含有組成物の試料をDMSO-dに溶解させ、H-NMRを行う。ポリオールの水酸基由来の積分値をA、機能性基由来のピークBをし、AとBの比とOHVから求めたAのモル濃度及び機能性基の分子量から、機能性基の含有量を計算することができる。
(ポリカーボネートポリオール)
 本実施形態のポリオール含有組成物を製造する際に使用可能な、原料としてのポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、比較例1-1に記載のポリカーボネートポリオールの製造方法により得ることができる。また、市販品を使用することもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、旭化成株式会社製のT6002、T6001、T5652、T5651、T5650J、T5650E、G4672、T4672、T4671、G3452,T3451、G3450J、AK011等が挙げられる。
 また、ポリカーボネートポリオールと任意のジオールをエステル交換させることによって、主鎖にジオール構造を導入されたポリカーボネートポリオールを得ることができ、これを原料として用いることもできる。例えば、カーボネート化合物と、任意のジオール化合物とをエステル交換触媒の存在下で反応させてポリカーボネートポリオールを得ることができる。エステル交換反応触媒としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、並びに、そのアルコラート、その水素化物、そのオキシド、そのアミド、その水酸化物及びその塩等が挙げられる。前記方法で合成されたポリカーボネートポリオールは、ジオールが主鎖に導入された構造を有する。
(ポリエステルポリオール)
 本実施形態のポリオール含有組成物を製造する際に使用可能な、原料としてのポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、特開2006-328372に記載のポリエステルポリオールの製造方法により得ることができる。また市販品を使用することもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、クラレ社製のP-**10、F-**10シリーズ、DIC社製のポリライトシリーズ等が挙げられる。
(ポリエーテルポリオール)
 本実施形態のポリオール含有組成物を製造する際に使用可能な、原料としてのポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、特許第3299803号に記載のポリエーテルポリオールの製造方法により得ることができる。また、市販品を使用することもできる。市販品としては、特に限定されないが、例えば、富士フィルム和光純薬製のポリエチレングリコール等が挙げられる。
(ポリイソシアネート化合物)
 本実施形態のポリオール含有組成物を製造する際に使用可能な、原料としてのイソシアネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートのような脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記することがある)、キシリレンジイソシアネート及びナフチレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート、トリフェニルメタン-4,4’-4’’-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトエン及び4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートのような3個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物、イミノオキサジアジンジオン化合物、並びにこれらのイソシアネート類のイソシアヌレート化変性品、ビウレット化変性品等を挙げることができる。イソシアネート化合物の市販品としては、特に限定されないが、例えば、旭化成株式会社製の24A-100、22A-75P、TPA-100、TKA-100、P301-75E、D101、D201、21S-75E、MFA-75B、MHG-80B、TUL-100、TLA-100、TSA-100、TSS-100、TSE-100、E402-80B、E405-80B、AE700-100、A201H、17B-60P、TPA-B80E、MF-B60B、MF-K60B、SBB-70P、SBN-70D、E402-B80B、WB40-100、WT30-100、WT31-100、WB40-80D、WT20-100、WL70-100、WE50-100、WM44-L70Gの「デュラネート(商品名)」シリーズ等が挙げられる。
 また、本実施形態のポリオール含有組成物を製造する際に使用可能な、原料としてのポリイソシアネート化合物は、上記以外に合成したものも使用可能である。例えば、WO2003/027163に記載のアルコールとジイソシアネートとアロファネート触媒を反応させることで得られるアロファネート構造を有するポリイソシアネートや、アミンとジイソシアネートを反応させることで得られるビュレット構造を有するポリイソシアネートを用いることもできる。このとき、前記アルコールとアミンが一官能であれば、アルコール、アミンの構造に由来する側鎖を有するポリイソシアネートを得ることができる。なお、ポリイソシアネート化合物の構造の同定については、特に限定されないが、例えば特許第6647130に記載の13C-NMRによる方法が挙げられる。
[ポリウレタン、水系ポリウレタン]
 本実施形態のポリウレタン及び水系ポリウレタンは、前記ポリオール含有組成物を用いて得られる。本実施形態のポリウレタン及び水系ポリウレタンは、前記のポリオール含有組成物を用いて得られることにより、上述した耐久性とその他の物性とのトレードオフが生じにくく、高品質のポリウレタン塗膜及び水系ポリウレタン塗膜の形成が可能である。また、ここでいうポリウレタン及び水系ポリウレタンは、数平均分子量が少なくとも10,000以上のものを意味する。なお、ポリウレタンの数分子量の測定方法は、例えば、静的光散乱(SLS)による方法や後述するGPC(DMF)を用いる方法が挙げられる。
 本実施形態のポリウレタン及び水系ポリウレタンは、例えば、前記ポリオール含有組成物と多官能イソシアネート(NCO基を2個以上有するイソシアネート、好ましくはNCO基を2個以上2~4個有する。)との付加重合物であり得る。多官能イソシアネートとしては、特に限定されず、ジイソシアネート等の公知の多官能イソシアネートを特に制限なく用いることができる。また、本実施形態のポリウレタン及び水系ポリウレタンは、前記ポリオール含有組成物と多官能イソシアネートと、公知のポリオール1種以上と、公知の多官能イソシアネート1種以上との付加重合物であり得る。
[塗膜の表面自由エネルギー]
 固体の表面自由エネルギーの測定方法としては、Owens-Wendt法、Fowkes法、Zisman法が知られている。例えば、Owens-Wendt法では、表面自由エネルギーをγ、表面自由エネルギーの分散成分をγ、水素基項をγとすると、γ=γ+γ(*)が成り立つ。また固体の表面張力をγ、液体の表面張力をγとすると、γ(1+cosθ)=2(γ ・γ 1/2+2(γ ・γ 1/2(**)が成り立つことが知られている。したがって、γが既知の2種の液体を滴下して接触角θを測定し、上記式(**)に当てはめて連立方程式を解くことで、表面自由エネルギーの分散成分γ、水素基項γを算出し、上記式(*)からポリウレタン塗膜ないしは水系ポリウレタン塗膜の表面自由エネルギーγを算出することができる。
 以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本実施形態をさらに具体的に説明するが、本実施形態はその要旨を超えない限り、これらの実施例及び比較例によって何ら限定されるものではない。すなわち、以下に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更することができる。また、以下における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における好ましい上限値又は好ましい下限値としての意味をもつものであり、好ましい数値範囲は前記の上限値又は下限値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。後述する実施例及び比較例における評価及び物性は、以下の方法により評価及び測定された。本実施例中、特に断りがない限り、「部」及び「%」は質量基準に基づくものである。
[水酸基価(OHV)の測定]
 後述する実施例及び比較例で得られたポリオール及びポリオール含有組成物の水酸基価は、以下の方法で測定した。メスフラスコを用い、無水酢酸12.5gにピリジンを加えて50mLとし、アセチル化試薬を調製した。後述の実施例及び比較例で得られたポリオール及びポリオール含有組成物をサンプルとして、100mLのナスフラスコに、該サンプルをそれぞれ1.0~10.0g精秤して入れた。前記ナスフラスコに、アセチル化試薬5mLとトルエン10mLとをホールピペットで添加して溶液を得た。その後、前記ナスフラスコに、冷却管を取り付けて、前記溶液を100℃で1時間撹拌加熱した。前記ナスフラスコに、蒸留水2.5mLをホールピペットで添加し、得られた溶液をさらに10分加熱撹拌した。前記溶液を2~3分冷却後、前記ナスフラスコに、エタノールを12.5mL添加し、指示薬としてフェノールフタレインを2~3滴入れた後に、0.5モル/Lエタノール性水酸化カリウムで滴定した。アセチル化試薬5mL、トルエン10mL及び蒸留水2.5mLを100mLナスフラスコに入れ、10分間加熱撹拌した後、得られた溶液について同様に滴定を行った(空試験)。この結果をもとに、下記式(III)でポリオール及びポリオール含有組成物の水酸基価を計算した。
 水酸基価(mg-KOH/g)={(b-a)×28.05×f}/e・・・(III)
(式(III)中、aはサンプルの滴定量(mL)を表し、bは空試験の滴定量(mL)を表し、eはサンプル量(g)を表し、fは滴定液のファクターを表す。)
[GPC測定(THF)]
 GPCによりポリオール及びポリオール含有組成物の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、以下の方法でそれぞれ測定した。後述の実施例及び比較例で得られたポリオール及びポリオール含有組成物を試料とした。測定試料の濃度が0.5質量%になるようにテトラヒドロフラン(以下、THF)で調製し、下記GPC装置を用い、標準ポリスチレン換算でのポリオール及びポリオール含有組成物の質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
 GPC装置   :東ソー社製 HLC-8320
    カラム  :TSKgel G4000H 1本
                 G3000H 1本
                 G2000H 2本
    溶離液  :テトラヒドロフラン(THF)
    流速   :1.0mL/min
    カラム温度:40℃
    RI検出器:RI(装置HLC-8320内蔵)
    検量線式 :3次多項式
    検量線  :標準ポリスチレン(東ソー社製)
          ・F-40(分子量:4.27×105)
          ・F-20(分子量:1.90×105)
          ・F-10(分子量:9.64×104)
          ・F-4(分子量:3.79×104)
          ・F-2(分子量:1.81×104)
          ・F-1(分子量:1.02×104)
          ・A-5000(分子量:5.97×103)
          ・A-2500(分子量:2.63×103)
          ・A-500
          ・A-1000
 なお、A-500及びA-1000から2~10量体の分子量を算出した。
  2量体(分子量:266)
  3量体(分子量:370)
  4量体(分子量:474)
  5量体(分子量:578)
  6量体(分子量:682)
  7量体(分子量:786)
  8量体(分子量:890)
  9量体(分子量:994)
 10量体(分子量:1098)
[GPC測定(DMF)]
 GPCによりポリウレタンの質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を、以下の方法で測定した。後述の応用実施例及び応用比較例で得られたポリウレタン及び水系ポリウレタンを試料とした。測定試料の濃度が0.5質量%になるようにジメチルホルムアミド(以下、DMF)で調製し、下記GPC装置を用い、標準ポリスチレン換算でのポリウレタンの質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定した。
 GPC装置      :東ソー社製 HLC-8320
   分析カラム    :TSKgel SuperHM-H 3本
   ガードカラム   :TSKgel guardcolumn H-H
   リファレンスカラム:TSKgel SuperH-RC
   溶離液      :N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)
   流速       :0.5mL/min
   カラム温度    :40℃
   RI検出器    :RI(装置 HLC-8320内蔵)
   検量線式     :3次多項式
   検量線      :標準ポリスチレン(東ソー社製)
             ・F-40(分子量:4.27×105)
             ・F-20(分子量:1.90×105)
             ・F-10(分子量:9.64×104)
             ・F-4(分子量:3.79×104)
             ・F-2(分子量:1.81×104)
             ・F-1(分子量:1.02×104)
             ・A-5000(分子量:5.97×103)
             ・A-2500(分子量:2.63×103)
             ・A-1000(分子量:2.63×103)
[FT-IR測定]
 後述の実施例及び比較例で得られたポリオール含有組成物を試料として、FT-IR(フーリエ変換赤外分光光度計)により試料の赤外吸収スペクトル吸光度を、以下の方法で測定した。 測定試料を岩塩板(NaCl板、35×35×5mm)に薄く塗り広げ、下記装置及び条件にてFT-IRにより試料の赤外吸収スペクトル吸光度を測定した。
 FI-IR装置:FT/IR-4600typeA(日本分光株式会社)
   光源       :標準光源
   検出器      :TGS
   積算回数     :16
   分解       :4cm-1
   ゼロフィリング  :On
   アポダイゼーション:Cosine
   ゲイン      :Auto(2)
   アパーチャー   :Auto(7.1mm)
   スキャンスピード :Auto(2mm/sec)
   フィルタ     :Auto(30000Hz)
   データタイプ   :等間隔データ
   横軸       :Wavenumber(cm-1
   縦軸       :Abs
   スタート     :400cm-1
   エンド      :40000cm-1
[ポリイソシアネートの構造解析]
 ポリイソシアネートの構造については、13C-NMRによる方法で解析した。Bruker社製Biospin Avance600(商品名)を用いた13C-NMRの測定により、イソシアヌレート基、アロファネート基、ビュレット基のモル比率を求めた。具体的な測定条件は以下の通りであった。
 13C-NMR装置  :AVANCE600(ブルカー社製)
            クライオプローブ(ブルカー社製)
            Cryo Probe
            CPDUL
            600S3-C/H-D-05Z
   共鳴周波数   :150MHz
   濃度      :60wt/vol%
   シフト基準   :CDCl(77ppm)
   積算回数    :10000回
   パルスプログラム:zgpg30
            (プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
 そして、以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル比を求めた。
 イソシアヌレート基のモル量(モル%、「A」で示す。):148.6ppm付近:積分値÷3
 アロファネート基のモル量(モル%、「B」で示す。):154ppm付近:積分値÷1
 ビュレット基のモル量(モル%、「C」で示す。):155.8ppm付近:(積分値-アロファネート基積分値)÷2
[イソシアネート基濃度(質量%)]
 ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基濃度(質量%)は次のように測定した。三角フラスコに製造例で製造したポリイソシアネート化合物1~3gを精秤し(Wg)、トルエン20mLを添加し、ポリイソシアネート(組成物)を完全に溶解した。その後、2規定のジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液10mLを添加し、完全に混合後、15分間室温放置した。さらに、この溶液にイソプロピルアルコール70mLを加えて、完全混合した。この溶液を1規定塩酸溶液(ファクターF)で、指示薬を用いて滴定して、滴定値VmLを得た。同様の滴定操作についてポリイソシアネート(組成物)を用いないで行ない、滴定値VmLを得た。得られた滴定値VmL及び滴定値VmLから、ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(質量%)を、下記式に基づいて算出した。
 イソシアネート基濃度=(V-V)×F×42/(W×1000)×100
[ポリイソシアネート(PI)の合成]
(合成例1)
 攪拌器、温度計及び冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記することがある)300gとポリエチレングリコールモノメチルエーテル(mPEG)(日本乳化剤社製、商品名「MPG-081」)200gを仕込み、攪拌下90℃で1時間ウレタン化反応を行った。次いで130℃に昇温し、アロファネート化触媒として2-エチルヘキサン酸ジルコニルの固形分20%ミネラルスピリット溶液(日本化学産業株式会社製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム12%」をミネラルスピリットで希釈したもの)を0.26g加えた。1時間後、反応液の屈折率上昇が0.008となった時点で、ピロリン酸(片山化学工業株式会社製の試薬)の固形分50%イソブタノール溶液を0.097g(アロファネート化触媒に対して2.0倍mol)を加え反応を停止した。反応液の13C-NMRを測定したところ、アロファネート基を確認した。流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(0.2Tor)、2回目150℃(0.1Tor)で未反応のHDIを除去することで、PEG側鎖構造とアロファネート構造を有するポリイソシアネートPI1-1を得た。NCO%は7.9%であった。
(合成例2)
 攪拌器、温度計及び冷却管を取り付けた四ッ口フラスコにHDI300gと2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム(Alfa Chemistry社製)20.1gを仕込み、攪拌下40℃で1時間反応を行った。その後、160℃で1時間反応させた。反応液の13C-NMRを測定したところ、ビュレット基の生成mol比から、ビュレット基のみから構成されることを確認した。流下式薄膜蒸留装置を用いて、1回目160℃(0.2Tor)、2回目150℃(0.1Tor)で未反応のHDIを除去することで、2-アミノエタンスルホン酸に由来するスルホン酸側鎖構造とビュレット構造を有するポリイソシアネートPI1-2を得た。NCO%は17.9%であった。
(合成例3)
 300mlセパラブルフラスコに、被変性ポリイソシアネートとして24A-100(旭化成社製:NCO 24.0%)100gとイソシアネートへの変性原料としてDL-乳酸(東京化成工業製:以下LAと表記する)14.8g、触媒としてジブチルリン酸0.047g(固形分に対し300ppm)を加え、窒素化で攪拌しながら50℃4時間反応させた。なお、NCOに対する変性原料の割合は30mol%とした。NCO%が理論量±3%となったことを確認し反応を終了した。この操作により、ビュレット構造とLAに由来するカルボキシ基側鎖構造を有するポリイソシアネートPI1-3を得た。NCO%は14.0%であった。
(合成例4~8)
 被変性ポリイソシアネートと変性原料、仕込みNCOのモルに対する変性比率を表1に記載のとおりに変更した以外は、同様の方法でポリイソシアネートPI1-4~1-8を得た。
(合成例9)
 2-アミノエタンスルホン酸ナトリウムの代わりに、HFBLを60.3g用いた以外は、合成例2に同様の方法でHFBLに由来するフッ化アルキル構造を側鎖に有するポリイソシアネートPI2-1を得た。
(合成例10~13)
 被変性ポリイソシアネートと変性原料、仕込みNCOのモルに対する変性比率を表1に記載のとおりに変更した以外は、同様の方法でポリイソシアネートPI2-2~2-5を得た。
(合成例14~22)
 被変性ポリイソシアネートと変性原料、仕込みNCOのモルに対する変性比率を表2に記載のとおりに変更した以外は、同様の方法でポリイソシアネートPI1-10~1-14およびPI2-6~2-9を得た。
 表1及び表2に合成したポリイソシアネートとそのNCO%、及びポリイソシアネートの合成に用いた被変性ポリイソシアネート、変性原料とその変性比率(ポリイソシアネート中のNCOモル数に対するモル%)、さらにポリイソシアネート中の変性原料の質量%を示す。
 なお、表1及び表2に記載の原料は下記の通りである。
被変性ポリイソシアネート
・24A-100:ビュレット構造を有するポリイソシアネート、旭化成社製、NCO24.0%)
・TLA-100:イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート、旭化成社製、NCO23.3%
・CHTI:脂環構造を有するポリイソシアネート、Tetrahedron, 2007, vol. 63, # 31, p7285-7301に記載の方法で合成、NCO60.8%。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
・Desmodur N3900:イミノオキサジアジンジオン構造を有するポリイソシアネート、Covestro社製、NCO23.5%
・VESTANAT T1890:イソホロンジイソシアネート系イソシアヌレート、エボニック社製、NCO17.3%。酢酸ブチルで固形分70%希釈品のため、変性後に酢酸ブチルを留去した。
変性原料
・mPEG:ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(側鎖へのPEG構造導入に使用、日本乳化剤社製、商品名「MPG-081」。一官能)
・2-アミノエタンスルホン酸ナトリウム(スルホン酸基導入に使用、Alfa Chemistry社製)
・LA:DL-乳酸(カルボキル構造導入に使用、東京化成工業社製)
・m-dPEG-チオール(側鎖へのPEG構造導入に使用、Sigma Aldrich社製)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
・m-dPEG-アミン(側鎖へのPEG構造導入に使用、Sigma Aldrich社製)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
・APTES:アミノプロピルトリエトキシシラン(トリアルコキシシリル構造導入に使用、東京化成工業製)
・DMTAZ:3,5-ジメチルピラゾール(イソシアネート基の保護基として導入、東京化成工業社製)
・HFBL:2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブタノール(フッ化アルキル構造導入に使用、東京化成工業社製)
・1-ヘキサドデシルチオール(炭素数16の炭化水素基導入に使用、東京化成工業社製)
・サイラプレーンFM-0411(ポリジメチルシロキサン構造導入に使用、JNC社製)
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
[実施例1-1]
 500mlセパラブルフラスコに、PI1-1(NCO:7.9%)300g、PEG-1000(和光純薬工業株式会社製)6.4gを入れ、窒素下置換後に100℃で1時間反応させることで、POL1-1を得た。NCO/OH(モル比)は0.02とした。FT-IRにてNCOに由来するピークの消失を確認した。また、PI1-1中のmPEGの含有量を、[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]のGPCを用いて定量する方法により算出した結果、仕込み量から計算した1.35wt%に対し、1.36wt%であった。
[実施例1-2~1-12、比較例1-4]
 表3に示すとおり、用いたポリイソシアネートをPI1-2~1-8に変更し、用いたアルコールを変更し、アルコールとのNCO/OH(モル比)を表3に記載の値に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法でPOL1-2~1-12及びPOL1-16を合成した。また、機能性基の含有量も上述した[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]の項にしたがってそれぞれ算出した。
[比較例1-1]
 特許第6276848号の実施例2にしたがい、規則充填物を充填した精留塔と攪拌装置とを備えた2Lのガラス製フラスコ(以下、「反応器」とも記す。)に1,5-ペンタンジオールを458g、1,6-ヘキサンジオールを500g、及び、エチレンカーボネートを760g仕込んだ後、触媒としてチタンテトラ-n-ブトキシドを0.086g入れた。留出液の一部を抜き出しながら、反応温度160~175℃で12時間反応した。次いで、反応器を直接コンデンサーに接続し、反応温度を175~190℃に上げた後、圧力を徐々に下げ、適宜サンプリングして生成したポリカーボネートポリオールの水酸基価を測定しながら、反応器内のジオール成分を留去することにより、水酸基価が109.8mgKOH/gのポリカーボネートポリオール(860g)を得た。得られたポリカーボネートポリオール(600g)にノニオン型親水性基を形成する原料としてPEG-1000(和光純薬工業株式会社製、「ポリエチレングリコール1000」(商品名))を200g加え、150℃で6時間撹拌後、反応温度を115℃まで下げて、85%リン酸を0.056g添加し115℃で3時間撹拌することで水酸基価が112.2mgKOH/gのPOL1-13を得た。
[比較例1-2、1-3]
 表3に記載のPEG及びOFHDの質量以外は比較例1-1と同様の方法でPOL1-14,1-15を合成した。
[比較例1-5]
 POL1-17として、Ymer N120(パーストーブ製)を用いた。
[実施例1-13~1-20]
 表4に示すとおり、ポリイソシアネート、アルコールを変更し、アルコールとのNCO/OH(モル比)を表yに記載の値に変更した以外は、実施例1-1と同様の方法でPOL1-18~1-25を合成した。また、機能性基の含有量も上述した[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]の項にしたがってそれぞれ算出した。
 表3及び表4に、変性ポリオールの合成に用いた原料とNCO/OH(モル比)、及び組成を示す。なお、組成に記載のFG1及びFG2は、変性ポリオール中に含有される機能性基(FG)とその質量部を表す。ここで質量部は、FGに記載の構造の質量を表す。またZ,R,X,X,P,R,Yは、上記式(I)及び式(II)に記載のZ,R,X,X,P,R,Yにそれぞれ対応する。さらに、表3及び表4のFG1及びFG2に記載の質量は、以下の部分構造の質量を示す。なお、各部分構造において、*は、結合手を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 なお、表3及び表4に記載の原料は下記の通りである。
・PEG-1000:ポリエチレングリコール(ポリイソシアネートと反応させ、ポリオール含有組成物の主鎖へのPEG構造導入に使用。和光純薬工業株式会社製、「ポリエチレングリコール1000」(商品名))
・NH-PEG-OH
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
・SH-PEG-OH
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
・P-1010:2-メチルプロパンジオールとアジピン酸の共重合ポリエステル(ポリイソシアネートと反応させ、ポリオール含有組成物の主鎖へのポリエステル構造導入に使用。クラレ社製、「クラレポリオールP-1010」(商品名))
・PTMG2000:ポリオール含有組成物の主鎖へのポリエーテル構造導入に使用。三菱ケミカル社製
・PPG:ポリプロピレングリコール、三洋化成工業製、数平均分子量1000
 下記カーボネートジオールは、ポリイソシアネートと反応させ、ポリオール含有組成物の主鎖へのカーボネート構造導入に用いた。
・4651:1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量1000。
・5001:1,5-ヘプタンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量1000。
・T5650E:旭化成社製。1,5-ヘプタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量500。
・T5651:旭化成社製。1,5-ヘプタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量1000。
・T5652:旭化成社製。1,5-ヘプタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量2000。
・T6001:旭化成社製。1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量1000。
・2,2,3,3,4,4,5,5-1,6-ヘキサンジオール(OFHD)
・Ymer N120
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000016
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000017
[応用実施例1-1~1-12及び応用比較例1-1~1-5]
<水系ポリウレタン塗膜(ポリウレタンディスパージョン(PUD))の作製方法>
(使用原料)
・実施例及び/又は比較例で得られたポリオール含有組成物(以下、「Pol」と略記することもある)
・DMPA(2,2-ジメチロールプロピオン酸)
・メチルエチルケトン(MEK)
・ジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)
・IPDI(イソホロンジイソシアネート)
・トリエチルアミン(TEA)
・純水
・エチレンジアミン(EDA)
(仕込み量)
・Pol、IPDI、DMPA、TEA、及びEDAについてはPol/IPDI/DMPA/TEA/EDA=1.0/3.0/1.0/1.0/0.5のモル比となるように仕込んだ。
・DBTDLは、Pol、IPDI、及びDMPAの総量に対して100ppmになるように仕込んだ。必要に応じてDBTDLはトルエンで希釈して仕込むことができる(例:5%DBTDL-トルエン溶液)。
・MEKはプレポリマー工程の固形分が65%になるように仕込んだ。
・純水はMEK除去工程後の最終固形分が30%になるように仕込んだ。但し、鎖伸長工程で粘性が高くなった場合は、適宜純水を加えて固形分を調整してもよい。
(プレポリマー工程)
 撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた1Lセパラブルフラスコ内を窒素雰囲気にし、Pol、DMPA、DBTDL、及びMEKを仕込み、80℃で還流させながら、200rpmで15分撹拌した。次いで、IPDIをシリンジで仕込み、NCO%が3.5±0.3質量%に達するまで80℃で還流させながら撹拌し、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのMEK溶液を得た。なお、前記NCO%は、プレポリマー工程に使用した原料の合計質量に対する、そのうちポリイソシアネートが有するイソシアネート基の質量の割合であり、[イソシアネート基濃度(質量%)]に記載の方法で求めた。
(中和工程及び乳化工程)
 得られたウレタンプレポリマー溶液を35℃まで冷却させ、500rpmで撹拌しながら、TEAを添加した。次いで、溶液を35℃に保ち、500rpmの撹拌を継続しながら、純水を10mL/minの速度で滴下を行い、エマルジョン液(乳化液)を得た。
(鎖伸長工程)
 得られたエマルジョン液を35℃に保ち、500rpmの撹拌を継続しながら、EDAを添加し、鎖伸長反応を行った。
(MEK留去工程)
 鎖伸長反応後の溶液を加熱減圧下、メチルエチルケトンを留去し、PUD-1~PUD-17の水系ポリウレタン溶液をそれぞれ得た。
[PUDの水分散安定性評価]
 ガラス容器に密栓し、50℃の恒温器で4週間の加熱試験を行う前後の、PUD溶液の分散粒子の粒子径を測定した。なお、水系ポリウレタンの体積平均粒子径測定には、日機装社製の「ナノトラックUPA」を用いた。判定基準は下記に示す通りであり、粒子径の変化が小さいほど安定性が良好であると判断した。
(判定基準)
 A+:粒子径の変化の割合が1%未満
 A :粒子径の変化の割合が2%未満
 B :粒子径の変化の割合が2%以上5%未満
 C :粒子径の変化の割合が5%以上
(PUD塗膜作製工程)
 得られたPUD-1~PUD-17の水系ポリウレタン溶液を、型枠を取り付けたポリプロピレン板(JIS K6921)に乾燥膜厚が300μmになるようそれぞれ塗工し、23℃×50%RHで1日静置後、80℃で3時間焼き付けを行い、23℃×50%RHで1週間養生し、応用実施例1-1~1-12及び応用比較例1-1~1-5の水系ポリウレタン塗膜を得た。得られた水系ポリウレタン塗膜について後述する方法により各種物性の評価を実施した。評価結果を、表5に示す。
[応用実施例1-13~1-20]
 用いたポリオール含有組成物をPol1-18~1-25に変更した以外は、[応用実施例1-1~1-12及び応用比較例1-1~1-5]に記載と同様の方法でPUD-18~25の水系ポリウレタン溶液を得た。その後、得られたPUD-18~25の水系ポリウレタン溶液を用いて、同様にPUD塗膜作製を行い、応用実施例1-13~1-20の水系ポリウレタン塗膜を得た。得られた水系ポリウレタン塗膜について各種物性評価を実施した。評価結果を、表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000018
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000019
[実施例2-1]
 500mlセパラブルフラスコに、PI2-1(NCO:16.1%)31.3g、PEG-1000(和光純薬工業株式会社製)300gを入れ、窒素下置換後に100℃で1時間反応させることで、POL2-1を得た。NCO/OH(モル比)は0.02とした。FT-IRにてNCOに由来するピークの消失を確認した。また、PI1-1中のmPEGの含有量を、[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]のGPCを用いて定量する方法により算出した結果、仕込み量から計算した1.35wt%に対し、1.30wt%であった。
[実施例2-2~2-9、比較例2-4]
 表7に示すとおり、用いたポリイソシアネートをPI2-2~2-5に変更し、用いたアルコールを変更し、アルコールとのNCO/OH(モル比)を表7に記載の値に変更した以外は、実施例2-1と同様の方法でPOL2-2~2-9及びPOL2-13を合成した。
[比較例2-1~2-3]
 表7に示すとおり変更した以外は、比較例1-1と同様の方法でPOL2-10~2-12を合成した。
・サイラプレーンFM-4421(JNC社製):主鎖にポリジメチルシロキサンを有するジオール
・サイラプレーンFM-DA-11(JNC社製):側鎖にポリジメチルシロキサンを有するジオール
 表7に、変性ポリオールの合成に用いた原料とNCO/OH(モル比)、及び組成を示す。なお、組成に記載のFG1及びFG2は、変性ポリオール中に含有される機能性基(FG)とその質量部を表す。ここで質量部は、FGに記載の構造の質量を表す。またZ,R,X,X,P,R,Yは、上記式(I)及び式(II)に記載のZ,R,X,X,P,R,Yにそれぞれ対応する。さらに、表7のFG1及びFG2に記載の質量は、以下の部分構造の質量を示す。なお、各部分構造において、*は、結合手を表す。
・T4671:旭化成社製。1,4-ブタンジオールと1,6-ヘキサンジオールとカーボネート化合物の共重合により得られるポリカーボネートジオール。分子量1000。
・PEG-2000:三洋化成工業社製。分子量2000のポリエチレングリコール。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
  長鎖アルキル:*-C1633
  トリアルコキシシラン:*-Si(OEt)
  イソプロピルアルコール(IPA):*-CH(CH
  ネオペンチルアルコール:*-CHC(CH
[実施例2-10~2-14]
 表8に示すとおり、ポリイソシアネート、アルコールを変更し、アルコールとのNCO/OH(モル比)を表8に記載の値に変更した以外は、実施例2-1と同様の方法でPOL2-14~2-18を合成した。また、機能性基の含有量も上述した[ポリオール含有組成物中の機能性基の定量方法]の項にしたがってそれぞれ算出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000022
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000023
[応用実施例2-1~2-9及び応用比較例2-1~2-4]
<熱可塑性ポリウレタン(TPU)組成物及びポリウレタン塗膜(TPU)の作製方法>
(使用原料)
・実施例及び/又は比較例で得られたポリオール含有組成物(以下、「Pol」と略記することもある)
・ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
・ジメチルホルムアミド(DMF)
・ジブチル錫ジラウリレート(DBTDL)
・1,4-ブタンジオール(BDL)
(仕込み量)
・Pol、MDI、BDLについてはPol/MDI/BDL=1.0/3.0/2.0のモル比となるように仕込んだ。
・DBTDLは、Pol、IPDI、及びDMPAの総量に対して100ppmになるように仕込んだ。必要に応じてDBTDLはトルエンで希釈して仕込むことができる(例:5%DBTDL-トルエン溶液)。
・DMFは最終固形分が20%になるように仕込んだ。
 Pol、DMF、DBTDLを仕込み、均一になるように混合し、溶液1とした。なおDMFは、使用する全体量の80%を用いた。次いで、撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた1Lセパラブルフラスコ内を窒素雰囲気にし、そこにMDIとDMFを加え、40℃で均一になるまで攪拌した。DMFは残りの20%を用いた。ここに先に調製した溶液1を30分かけて攪拌しながら徐々に滴下した。滴下終了後、NCO%が仕込みモル比から計算される90%以上となるまで反応を継続した。NCO%は[イソシアネート基濃度(質量%)]に記載の方法で求めた。次いで、BDLを加え、80℃に昇温した。GPCにて分子量をモニタリングし、数平均分子量が50,000以上になるのを確認後、エタノールを3ml加えて反応停止を行うことで、TPU-1~TPU-13の熱可塑性ポリウレタン(TPU)組成物をそれぞれ得た。
(TPU塗膜作製工程)
 得られたTPU-1~TPU-13の熱可塑性ポリウレタン組成物を、ポリカーボネート板(「タキロンPC-1600」(商品名)、2mm×70mm×150mm)上に、乾燥膜厚が厚さ40μmになるようにそれぞれ塗布した。ポリカーボネート板上に塗布された塗料組成物を、60℃で焼付を行うことにより、表面に指触跡が付かなくなるまで乾燥して、応用実施例2-1~2-9及び応用比較例2-1~2-4のポリウレタン塗膜を得た。得られたポリウレタン塗膜について後述する方法により各種物性の評価を実施した。評価結果を、表9に示す。
[応用実施例2-10~2-14]
 用いたポリオール含有組成物をPol2-14~2-18に変更した以外は、[応用実施例2-1~2-9及び応用比較例2-1~2-4]に記載と同様の方法でTPU-14~18の熱可塑性ポリウレタン組成物を得た。その後、得られたTPU-14~18の熱可塑性ポリウレタン組成物を用いて、同様にTPU塗膜作製塗膜作製を行い、応用実施例2-10~2-14のポリウレタン塗膜を得た。得られたポリウレタン塗膜について後述する方法により各種物性の評価を実施した。評価結果を、表10-12に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000024
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000025
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000026
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000027
[引張試験]
 ポリウレタン塗膜又は水系ポリウレタン塗膜から1cm×10cmの短冊状のサンプルを作成し、引張試験機(株式会社オリエンテック社製、製品名「テンシロン、モデルRTE-1210」)を用いて、チャック間距離20mm、引張速度100mm/分にて、温度23℃(相対湿度55%)で引張試験を実施し、破断応力を測定した。
[耐熱性試験]
 上記の方法で得られた塗膜、及び120℃のオーブンで1週間の追加の加熱試験を行った塗膜について、引張試験における破断応力をそれぞれ測定し、下記式に従い耐熱性前後の応力保持率を測定した。応力保持率が50%以上を合格とした。なお、破断応力は上述の引張試験に記載の方法で測定した。
 [(耐熱試験後の破断応力)/(耐熱試験前の破断応力)]×100
[耐水性試験後の応力保持率]
 上記の方法で得られた塗膜、及び前記塗膜を水に浸し60℃の恒温器内で1週間の追加の耐水性試験を行いキムタオル内で水分を簡易的にふき取った塗膜について、引張試験における破断応力をそれぞれ測定し、下記式に従い耐熱性前後の応力保持率を測定した。応力保持率が50%以上を合格とした。なお、破断応力は上述の引張試験に記載の方法で測定した。
 [(耐水性試験後の破断応力)/(耐水性試験前の破断応力)]×100
[表面自由エネルギー]
 Owens-Wendtの方法による表面自由エネルギー評価方法にて、ポリウレタン塗膜の表面自由エネルギーをそれぞれ算出した。具体的には、ポリウレタン塗膜上に既知の液体として水、ジヨードメタンをそれぞれ滴下し、接触角θを測定することで、ポリウレタン塗膜の表面自由エネルギーγを算出した。なお、既知の値として、水はγ =21.8(mN/m)、γ =51.0(mN/m)、ジヨードメタンはγ =50.8(mN/m)、γ =0(mN/m)を用いた。表面自由エネルギーが低いほど、撥水系に優れた膜となる。表面自由エネルギーが25mN/m以下を合格とした。
[耐薬品性スポット試験]
 耐薬品性として、エタノール(EtOH)とキシレン(Xylene)を用い耐溶剤性試験を行った。水系ポリウレタンフィルムを切り出し、ガラス板(JIS R3202、2m m×100mm×150mm)上に貼り付け、水平台の上で、23℃、50%RHの雰囲気下、溶剤(エタノール、キシレン)を含浸させたコットンボールを塗膜表面に静置させ、目視にて傷や白化等の異常が生じるまでの時間を評価した。但し、評価の再現性から10秒未満は「<10秒」とした。
[塗膜外観]
 得られたTPU塗膜の外観を目視にて確認した。塗膜外観の判定方法は以下の通りとした。
(判定方法)
 A:平滑でひび割れやブツなし
 B:ひび割れはないが、わずかにブツあり
 C:ひび割れあり
[金属密着性]
 アルミ板(JIS H4000,A1050p;1.0×70×150mm)に上記と同様の方法で塗膜を作製し、密着性を評価した。密着性の評価は、JIS K5600-5-6:1999のクロスカット法に準じて、カッターナイフを用いて、1mm×1mmの大きさのマスが100マスとなるように塗膜に切り込みを入れた。そして、切り込みが入れられた塗膜表面にセロハンテープを貼り付け、それを引きはがし、残ったマスの数を測定した。測定されたマスの数から、以下の評価基準に基づいて、密着性を評価した。
(評価基準)
 A:マスの数が90以上
 B:マスの数が80以上90未満
 C:マスの数が80未満、及び、評価不可
 本発明によれば、耐久性に優れるのみならず機能性基の導入にともない各種機能性が高められたポリウレタン或いは水系ポリウレタンを形成可能であり、比較的に少ない導入量で各種機能性を発現可能であり、設計自由度が高められるので、ポリウレタン或いは水系ポリウレタンの素材分野において、広く且つ有効に利用可能である。
 

Claims (16)

  1.  少なくとも一種のヒドロキシ化合物を含む、ポリオール含有組成物であって、
     前記ポリオール含有組成物は、300~5,000の数平均分子量を有し、
     少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物は、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種の主骨格構造と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、カーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種の副骨格構造と、前記副骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、少なくとも2以上の末端ヒドロキシ基と、前記主骨格構造に直接又は連結基を介して接続された、ヒドロキシ基以外の少なくとも一種の機能性基と、を有する、
    ポリオール含有組成物。
  2.  前記ポリオール含有組成物の総量を100質量部とした際、前記機能性基の含有割合が0.1~60.0質量部である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  3.  前記ポリオール含有組成物の総量を100質量部とした際、前記機能性基の含有割合が0.1~20.0質量部である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  4.  前記機能性基が、親水性基、疎水性基、吸着性基、及び架橋性基よりなる群から選択される少なくとも一種である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  5.  前記機能性基が、親水性基である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  6.  前記機能性基が、疎水性基である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  7.  前記機能性基が、吸着基である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  8.  前記機能性基が、架橋基である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  9.  前記機能性基が、親水性基、疎水性基、吸着性基、及び架橋性基よりなる群から選択される少なくとも二種以上である
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
  10.  少なくとも一種の前記ヒドロキシ化合物が、下記式(I)で表される構造を有する
    請求項1に記載のポリオール含有組成物。
     式(I)
      (R-X-FG)m
       |
       Z-(R-X-P-OH)n
    (式(I)中、mは1以上の整数であり、nは2以上の整数であり、Zは、イソシアヌレート骨格、イミノオキサジアジンジオン骨格、ビュレット骨格、アロファネート骨格、芳香族骨格、及び脂環族骨格よりなる群から選択される少なくとも一種であり、Rは直鎖或いは分岐の二価の炭化水素基、脂環構造又は単結合であり、Rはそれぞれ異なっていてもよく前記二価の炭化水素基及び前記脂環構造はヘテロ原子を有していてもよく、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、FGは前記機能性基であり、Xは単結合又は二価の連結基であり、Xはそれぞれ異なっていてもよく、Pは下記式(II)で表され、Pはそれぞれ異なっていてもよい。)
    式(II)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (式(II)中、nは1以上の整数であり、*は結合手であり、Rは二価の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、Rはそれぞれ異なっていてもよくヘテロ原子を有していてもよく、Yはカーボネート結合、エーテル結合、及びエステル結合よりなる群から選択される少なくとも一種である。)
  11.  前記式(I)中の前記X、Xが、ウレタン、ウレア、チオウレアの少なくとも1つ以上含む
    請求項10に記載のポリオール含有組成物。
  12.  前記式(II)中の前記Yが、カーボネート結合である
    請求項10に記載のポリオール含有組成物。
  13.  請求項1~12のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物を用いて得られる、
    ポリウレタン。
  14.  請求項1~12のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物を用いて得られる、
    水系ポリウレタン。
  15.  請求項1~12のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物と多官能イソシアネートとの付加重合物を含む、
    ポリウレタン。
  16.  請求項1~12のいずれか一項に記載のポリオール含有組成物と多官能イソシアネートとの付加重合物を含む、
    水系ポリウレタン。
     
PCT/JP2023/045270 2022-12-27 2023-12-18 ポリオール含有組成物、並びに、それを原料としたポリウレタン及び水系ポリウレタン WO2024143038A1 (ja)

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