JP7412107B2 - 塗料用ウレタン樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特定のポリカーボネートポリオール及びポリイソシアネートから得られる塗料用ウレタン樹脂組成物、及び該組成物を用いた耐薬品性に優れる塗膜に関する。
ポリウレタン樹脂は、耐摩耗性、屈曲性、可撓性、柔軟性、加工性、接着性、耐薬品性などの諸物性に優れ、且つ各種加工法への適性にも優れるため、電子機器部材、衣料、家具・家電、日用雑貨、建築・土木、及び自動車部材へのコーティング材、インキ、接着剤、塗料などの樹脂成分として、又はフィルム、シートなどの各種成形体として広く使用されている。イソシアネートと反応させるポリオール成分としてはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールが用いられてきた。
自動車内装部品のプラスチック塗料などについては、高い耐久性の他に耐擦傷性を付与するために、ポリカーボネートジオールを用いることが提案されている(特許文献1)。しかしながら、ポリウレタン樹脂に求められる物性はより高水準になっており、ポリカーボネートジオール由来のポリウレタン樹脂では、化粧品などに含まれる紫外線吸収剤などに対する耐薬品性が不十分であった。特許文献2には、ポリカーボネートポリオールを用いたポリウレタン樹脂が開示されているが、塗料用樹脂として用いられているわけではなかった。
特開2014-201680号公報 特開2012-184380号公報
本発明は以上のような背景技術に鑑みてなされたものであり、プラスチック基材への付着性が良好で、紫外線吸収剤などへの耐薬品性に優れる塗料用ウレタン樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に示す実施形態を含む。
[1]水酸基価が150~350mgKOH/gである一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)、及びポリイソシアネート(B)から得られることを特徴とする塗料用ウレタン樹脂組成物。
(式中、複数個のRは同一又は相異なって炭素数4から8の二価の脂肪族炭化水素基を表す。mは平均重合度を表し、1以上3未満の数である。qは0又は1を表す。Xは水素原子、メチル基、エチル基又は一般式(2)
(式中、R及びmは前記と同じ意味を表す。)で表されるカーボネート置換メチル基を表す。ただし、qが0の場合、Xは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)。
[2]ポリイソシアネート(B)が脂肪族イソシアネートの三量体を含むことを特徴とする上記[1]に記載の塗料用ウレタン樹脂組成物。
[3]上記[1]又は[2]に記載の塗料用ウレタン樹脂組成物から得られる塗膜。
本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物は、プラスチック基材への付着性が良好で耐薬品性に優れた塗膜を形成することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物は、水酸基価が150~350mgKOH/gである一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)、及びポリイソシアネート(B)から得られる。
<ポリカーボネートポリオール(A)>
本発明に使用できる一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)について説明する。
Rで表される炭素数4から8の二価の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状、分岐状又は環状脂肪族炭化水素基のいずれであってもよく、例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、へプタメチレン基、オクタメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、1,4-シクロヘキシレン基等を例示することができる。得られる塗膜の耐薬品性が高い点で、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
ポリカーボネートポリオール(A)の水酸基価は150mgKOH/g以上350mgKOH/g以下であり、170mgKOH/g以上350mgKOH/g以下の範囲がより好ましい。水酸基価が150mgKOH/g未満のポリカーボネートポリオール(A)を用いると耐薬品性が良好な塗膜を得ることができず、水酸基価が350mgKOH/gより大きいポリカーボネートポリオール(A)を用いると、付着性が良好な塗膜を得ることができない。すなわち、水酸基価を150mgKOH/g以上350mgKOH/g以下とすることで、プラスチック基材への付着性が良好で、耐薬品性が向上した塗膜が得られる。
ポリカーボネートポリオール(A)の水酸基価はJIS K1557-1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法により求めることができる。
本発明に使用できる一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)としては、例えば、下記一般式(I)~(XIV)等を例示することができる。これらは単独で用いても2種類以上組み合わせて用いても良い。
(式中、mは平均重合度を表し、1以上3未満の数である。)。
得られる塗膜の耐薬品性が高く、基材への付着性が高い点で、mが1.2以上2.5以下である一般式(I)で表されるポリカーボネートポリオール、mが1以上2以下である一般式(IV)で表されるポリカーボネートポリオール、mが1以上2.4以下である一般式(IX)で表されるポリカーボネートポリオール、mが1.1以上2.5以下である一般式(X)で表されるポリカーボネートポリオール、mが1以上1.9以下である一般式(XIII)で表されるポリカーボネートポリオール、mが1以上1.9以下である一般式(XIV)で表されるポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
本発明に使用できる一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)は、水酸基価が150mgKOH/g以上350mgKOH/g以下の範囲を保ち、塗膜の性能が低下しない程度に、一般式HO-R-OH(13)(Rは前記と同じ意味を表す。)で表されるジオール、一般式HO-R-O-(C(O)-O-R-O)-H(14)(Rは前記と同じ意味を表し、sは平均重合度を表し、1以上3以下の数を表す。)で表されるポリカーボネートジオール、一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)の分子内環化体及び分子間縮合体等のアルコールを含んでいてもよい。
次に、本発明に使用できる一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)の製造方法について説明する。
本発明に使用できるポリカーボネートポリオール(1a)は、ポリオール(3a)を原料として用い、経路A(工程-1、工程-2及び工程-3を経る経路)、経路B(工程-1、工程-2及び工程-4を経る経路)、経路C(工程-5及び工程-3を経る経路)、経路D(工程-5及び工程-4を経る経路)、又は経路E(工程-1及び工程-6を経る経路)により合成することができる。
(式中、R及びqは前記と同じ意味を表す。Xは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。nは平均重合度を表し、1以上3未満の数である。pは0又は1を表す。ただし、nが1の場合、pは0である。Yは炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいメトキシメチル基;又はメトキシ基で置換されていてもよりベンジル基を表す。Aは塩素原子又は(p-ニトロフェニル)オキシ基を表す。)。
で表される炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいメトキシメチル基としては、例えばメトキシメチル(MOM)基、1-エトキシエチル(EE)基、1-メチル-1-メトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル(THP)基、テトラヒドロフラン-2-イル基等を例示することができる。収率が良い点で、メトキシメチル基が好ましい。
で表されるメトキシ基で置換されていてもよいベンジル基としては、例えばベンジル(Bn)基、2-メトキシベンジル基、4-メトキシベンジル(PMB)基、3,4-ジメトキシベンジル基等を例示することができる。収率が良い点で、ベンジル基が好ましい。
工程-1は、ポリオール(3a)をクロロギ酸p-ニトロフェニルと反応させ、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)を製造する工程である。
工程-1の原料として用いることのできるポリオール(3a)において3個のpが全て0であるポリオールとしては、例えばグリセロール、メチルグリセロール、エチルグリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが挙げられ、これらは市販されている。また、3個のpが1であるポリオール(3a)としては、上記ポリオール(3a)を原料として用い、経路A~経路Eのいずれかの合成経路を経て製造できるpが1であるポリカーボネートポリオール(1a)をポリオール(3a)に置き換えて用いることができる。
工程-1は、塩基の存在下に行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等の第三級脂肪族アミン類、ピリジン、ピコリン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン等の芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を例示することができる。中でも収率が良い点で、芳香族アミン類を用いることが好ましく、ピリジンを用いることがさらに好ましい。
工程-1は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、ジクロロメタン、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
ポリオール(3a)とクロロギ酸p-ニトロフェニルとのモル比に特に制限はないが、1:1から1:10の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:3から1:5の範囲にあることがさらに好ましい。クロロギ酸p-ニトロフェニルと塩基とのモル比は特に制限はないが、1:1から1:10の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:1から1:3の範囲にあることがさらに好ましい。
工程-1の反応温度は、-78℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で20℃から120℃の範囲にあることが好ましい。
工程-1で得られるポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
工程-2は、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)をアルコール(5)と反応させ、ポリカーボネート(6a)を製造する工程である。
工程-2の原料であるアルコール(5)は、対応する市販のポリカーボネートジオールから文献記載の方法(Tetrahedron,56巻,9281-9288ページ,2000年;Tetrahedron Letters,48巻,6105-6108ページ,2007年)を参考に調製することができる。
工程-2は、塩基の存在下に行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等の第三級脂肪族アミン類、ピリジン、ピコリン、4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を例示することができる。中でも収率が良い点で、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、炭酸カリウムを用いることが好ましい。
工程-2は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、ジクロロメタン、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)とアルコール(5)とのモル比に特に制限はないが、1:1から1:100の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:3から1:5がさらに好ましい。アルコール(5)と塩基とのモル比は特に制限はないが、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:1から1:3がさらに好ましい。
工程-2の反応温度は、-78℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で20℃から120℃の範囲が好ましい。
工程-2で得られるポリカーボネート(6a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
工程-3は、ポリカーボネート(6a:Y=メトキシ基で置換されていてもよいベンジル基)のベンジル基を脱保護する脱保護反応で、ポリカーボネートポリオール(1a)を製造する工程である。
工程-3は、金属触媒存在下、水素ガス雰囲気下または水素等価体の存在下に行うことができる。水素等価体としては、例えばシクロヘキセン、1,4-シクロヘキサジエン、ギ酸、デカリン、ギ酸アンモニウム等を例示することができる。収率が良い点で、水素ガス雰囲気下で行うことが好ましい。水素ガスの圧力は特に制限はなく、常圧から10気圧程度の低圧で反応を行うことができる。水素等価体はポリカーボネート(6a)に対して当量以上用いることにより、収率良くポリカーボネートポリオール(1a)を得ることができる。
工程-3に用いる金属触媒としては、例えばパラジウム炭素、パラジウムブラック、パラジウムアルミナ、塩化パラジウム、水酸化パラジウム、ラネーニッケル、ロジウムアルミナ等を例示することができる。収率が良い点で、パラジウム炭素を用いることが好ましい。
工程-3は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、水等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、テトラヒドロフラン、エタノールを用いることが好ましい。
金属触媒の添加量はいわゆる触媒量でよく、ポリカーボネート(6a)に対して0.1~20モル%程度用いればよい。
工程-3の反応温度に特に制限はなく、20℃から100℃の間から適宜選ばれた温度で実施することができる。
工程-3で得られるポリカーボネートポリオール(1a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
工程-4は、ポリカーボネート(6a:Y=炭素数1から4のアルキル基で置換されていてもよいメトキシメチル基)のメトキシメチル基を酸処理することにより脱保護する脱保護反応で、ポリカーボネートポリオール(1a)を製造する工程である。
工程-4で用いることのできる酸としては、例えば塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、p-トルエンスルホン酸およびメタンスルホン酸等のブレンステッド酸等を例示することができる。中でも収率が良い点で、塩酸を用いることが好ましい。
工程-4は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコールを用いることが好ましい。
工程-4に用いるポリカーボネート(6a)と酸とのモル比は特に制限はない。
工程-4の反応温度は、0℃から100℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で0℃から50℃の範囲が好ましい。
工程-4で得られるポリカーボネートポリオール(1a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
工程-5は、ポリオール(3a)を保護アルコール(8)と反応させ、ポリカーボネート(6a)を製造する工程である。
工程-5の原料として用いることのできるポリオール(3a)において3個のpが全て0であるポリオールとしては、例えばグリセロール、メチルグリセロール、エチルグリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらは市販されている。また、3個のpが1であるポリオール(3a)としては、上記ポリオール(3a)を原料として用い、経路A~経路Eのいずれかの合成経路を経て製造できるpが1であるポリカーボネートポリオール(1a)をポリオール(3a)に置き換えて用いることができる。
工程-5の原料である保護アルコール(8)は、アルコール(5)から文献記載の方法(米国特許第4654366号公報、Journal of the American Chemical Society,138巻,16380-16387ページ,2016年)により調製することができる。
工程-5は、塩基の存在下に行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等の第三級脂肪族アミン類、ピリジン、ピコリン、4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を例示することができる。中でも収率が良い点で、ピリジンを用いることが好ましい。
工程-5は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、ジクロロメタン、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
ポリオール(3a)と保護アルコール(8)とのモル比に特に制限はないが、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:3から1:5がさらに好ましい。保護アルコール(8)と塩基とのモル比は特に制限はないが、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:1から1:3がさらに好ましい。
工程-5の反応温度は、-78℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で20℃から120℃の範囲が好ましい。
工程-5で得られるポリカーボネート(6a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
工程-6は、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)をアルコール(9)と反応させ、ポリカーボネートポリオール(1a)を製造する工程である。
工程-6の原料であるアルコール(9)は、市販のポリカーボネートジオールを用いることができる。
工程-6は、塩基の存在下に行うことができる。塩基としては、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン等の第三級脂肪族アミン類、ピリジン、ピコリン、4-ジメチルアミノピリジン等の芳香族アミン類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を例示することができる。中でも収率が良い点で、ピリジンを用いることが好ましい。
工程-6は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。中でも収率が良い点で、ジクロロメタン、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。
ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)とアルコール(9)とのモル比に特に制限はないが、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:3から1:5がさらに好ましい。アルコール(9)と塩基とのモル比は特に制限はないが、1:1から1:10の範囲が好ましく、中でも収率が良い点で1:1から1:3がさらに好ましい。
工程-6の反応温度は、-78℃から150℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で20℃から120℃の範囲が好ましい。
工程-6で得られるポリカーボネートポリオール(1a)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
また、本発明に使用できるポリカーボネートポリオール(1b)は、ポリオール(3b)を原料として用い、経路F(工程-7、工程-8及び工程-9を経る経路)、経路G(工程-7、工程-8及び工程-10を経る経路)、経路H(工程-11及び工程-9を経る経路)、経路I(工程-11及び工程-10を経る経路)、又は経路J(工程-7及び工程-12を経る経路)により合成することができる。
(式中、R、Y、A、n及びpは前記と同じ意味を表す。Xは下記一般式(2a)を表し、Xは下記一般式(2b)を表し、Xは下記一般式(2c)を表し、Xは下記一般式(2d)を表す。
(式中、R及びpは前記と同じ意味を表す。)
(式中、R及びpは前記と同じ意味を表す。)
(式中、R、Y及びnは前記と同じ意味を表す。)
(式中、R及びnは前記と同じ意味を表す。))。
工程-7は、ポリオール(3b)をクロロギ酸p-ニトロフェニルと反応させ、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4b)を製造する工程である。工程-1のポリオール(3a)をポリオール(3b)に置き換えて製造することができる。
工程-7の原料として用いることのできるポリオール(3b)において3個のpが全て0であるポリオールは、ペンタエリスリトールであり、市販されている。また、3個のpが1であるポリオール(3b)としては、ペンタエリスリトールを原料として用い、経路F~経路Jのいずれかの合成経路を経て製造できるpが1であるポリカーボネートポリオール(1b)をポリオール(3b)に置き換えて用いることができる。
工程-8は、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4b)をアルコール(5)と反応させ、ポリカーボネート(6b)を製造する工程である。工程-2のポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)をポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4b)に置き換えて製造することができる。
工程-9は、ポリカーボネート(6b:Y=メトキシ基で置換されていてもよいベンジル基)のベンジル基を脱保護する脱保護反応で、ポリカーボネートポリオール(1b)を製造する工程である。工程-3のポリカーボネート(6a)をポリカーボネート(6b)に置き換えて製造することができる。
工程-10は、ポリカーボネート(6b:Y=炭素数1から8のアルキル基で置換されていてもよいメトキシメチル基)のメトキシメチル基を酸処理することにより脱保護する脱保護反応で、ポリカーボネートポリオール(1b)を製造する工程である。工程-4のポリカーボネート(6a)をポリカーボネート(6b)に置き換えて製造することができる。
工程-11は、ポリオール(3b)を保護アルコール(8)と反応させ、ポリカーボネート(6b)を製造する工程である。工程-5のポリオール(3a)をポリオール(3b)に置き換えて製造することができる。
工程-12は、ポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4b)をアルコール(9)と反応させ、ポリカーボネートポリオール(1b)を製造する工程である。工程-6のポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4a)をポリ(p-ニトロフェニル)カーボネート(4b)に置き換えて製造することができる。
また、本発明に使用できるポリカーボネートポリオール(1)は、ポリオール(3c)を原料として用い、経路K(工程-13)を経て合成することができる。
(式中、R、X、m及びqは前記と同じ意味を表す。Xは水素原子、メチル基、エチル基又はヒドロキシメチル基を表す。ただし、qが0の場合、Xは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。Xが水素原子、メチル基又はエチル基の場合、XとXは同一であり、Xがヒドロキシメチル基の場合、Xは一般式(2)で表されるカーボネート置換メチル基を表す。Zは炭素数1から4のアルキル基を表す。)。
工程-13は、ポリオール(3c)をジオール(9a)及びカーボネート(10)と触媒存在下反応させることで、ポリカーボネートポリオール(1)を製造する工程である。
Zで表される炭素数1から4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等を例示することができる。また、カーボネート(10)中の2つのZは、両者が結合しているカーボネート基と一体となって環を形成してもよい。
工程-13の原料として用いることのできるポリオール(3c)としては、例えばグリセロール、メチルグリセロール、エチルグリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられ、これらは市販されている。
工程-13の原料として用いることのできるジオール(9a)としては、例えば1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1、8-ヘキサンジオール等が挙げられ、これらは市販されている。
工程-13の原料として用いることのできるカーボネート(10)としては、例えばジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられ、これらは市販されている。
工程-13は、触媒の存在下に行うことが必須である。用いることのできる触媒としては、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等の金属アルコキシド類、リチウムアセチルアセトナト、アルミニウムアセチルアセトナト、ジルコニウムアセチルアセトナト等の金属エノラート類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の金属カルボン酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等の第三級アルキルアミン、ピリジン、ピラジン、キノリン等の環状アジン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の第三級環状アミン、t-ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1-t-Bu)、t-ブチルイミノトリ(ピロリジノ)ホスホラン、t-オクチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1-t-Oct)、1-t-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P2-t-Bu)、1-エチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ、4λ-カテナジ(ホスファゼン)、1-t-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-Bu)、1-tert-オクチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-Oct)等のホスファゼン類を例示することができる。これらの触媒は単独、又は二種類以上で適宜併用しても良い。中でも収率が良い点で、リチウムアセチルアセトナト又はP4-t-Buを用いることが好ましい。
工程-13は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリオール(3c)、ジオール(9a)及びカーボネート(10)のモル比に特に制限はないが、1:3:3から1:20:20の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:3:3から1:10:10の範囲にあることがさらに好ましい。
ポリオール(3c)と触媒とのモル比は特に制限はないが、1:0.01から1:0.4の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:0.01から1:0.1の範囲にあることがさらに好ましい。
工程-13の反応温度は、-78℃から250℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で20℃から220℃の範囲から適宜選ばれた温度であることが好ましい。
工程-13の反応の進行とともに低沸成分が生成する場合、反応混合物をダイアフラムポンプ、油回転ポンプ、油拡散ポンプ、ターボポンプ、スパッタポンプ、クライオポンプ等の当業者が通常用いる汎用的なポンプを用いて、減圧下に加熱し、低沸成分を除去しながら反応を行うことで反応を促進することができる。該減圧度は、低沸分の留出速度に応じて、高真空(0.1~0.00001Pa)から低真空(0.1~10kPa)の範囲から適宜選択することができ、0.13kPa(1mmHg)から26kPa(200mmHg)の範囲に減圧することで、反応を加速することができる。
工程-13で得られるポリカーボネートポリオール(1)は、必要に応じて反応終了後、反応溶液から精製することができる。精製する方法には特に限定は無いが、蒸留、溶媒抽出、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層分取クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の汎用的な方法で目的物を精製することができる。
また、本発明に使用できるポリカーボネートポリオール(1)は、ポリオール(3c)を原料として用い、経路L(工程-14及び工程-15を経る経路)を経て合成することができる。
(式中、R、X、X、m及びqは前記と同じ意味を表す。rは平均重合度を表し、1以上3以下の数を表す。)。
工程-14は、ポリオール(3c)とジオール(12)を触媒存在下反応させる工程である。
工程-14の原料として用いることのできるポリオール(3c)としては、例えばグリセロール、メチルグリセロール、エチルグリセロール、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられ、これらは市販されている。
工程-14の原料として用いることのできるジオール(12)は市販されている。
工程-14は触媒の存在下に行うことが必須である。用いることのできる触媒としては、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド等の金属アルコキシド類、リチウムアセチルアセトナト、アルミニウムアセチルアセトナト、ジルコニウムアセチルアセトナト等の金属エノラート類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の金属炭酸塩、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の金属水酸化物、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の金属カルボン酸塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等の第三級アルキルアミン、ピリジン、ピラジン、キノリン等の環状アジン、N-メチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N,N’-ジメチルピペラジン、N-メチルモルホリン、ジアザビシクロウンデセン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン等の第三級環状アミン、t-ブチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1-t-Bu)、t-ブチルイミノトリ(ピロリジノ)ホスホラン、t-オクチルイミノトリス(ジメチルアミノ)ホスホラン(P1-t-Oct)、1-t-ブチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P2-t-Bu)、1-エチル-2,2,4,4,4-ペンタキス(ジメチルアミノ)-2λ、4λ-カテナジ(ホスファゼン)、1-t-ブチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-Bu)、1-tert-オクチル-4,4,4-トリス(ジメチルアミノ)-2,2-ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスホラニリデンアミノ]-2λ,4λ-カテナジ(ホスファゼン)(P4-t-Oct)等のホスファゼン類を例示することができる。これらの触媒は単独、又は二種類以上で適宜併用しても良い。中でも収率が良い点で、リチウムアセチルアセトナト又はP4-t-Buを用いることが好ましい。
工程-14は、反応を阻害しない溶媒であれば溶媒中で行なってもよい。本工程で用いることのできる溶媒として、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を例示することができ、これらの溶媒の中から2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリオール(3c)とジオール(12)のモル比に特に制限はないが、1:1から1:10の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:3から1:5の範囲にあることがさらに好ましい。
ポリオール(3c)と触媒とのモル比は特に制限はないが、1:0.01から1:0.4の範囲にあることが好ましく、中でも収率が良い点で1:0.05から1:0.1の範囲にあることがさらに好ましい。
工程-14の反応温度は、-78℃~250℃の範囲から適宜選ばれた温度で行うことができる。中でも収率が良い点で100℃~195℃の範囲から適宜選ばれた温度が好ましく、さらに110~190℃の範囲から適宜選ばれた温度が好ましい。
工程-14は、加減圧を伴わない常圧下に行うことが好ましい。
工程-14の終了後、その反応混合物は特段の処理を行わず、次の工程-15に供する。
工程-15は、工程-14の反応混合物を減圧下に加熱し、ポリカーボネートポリオール(1)を製造する工程であり、低沸分として主にジオール(12)の構成成分であるグリコールを減圧留去することで反応を促進する。
工程-15は、ダイアフラムポンプ、油回転ポンプ、油拡散ポンプ、ターボポンプ、スパッタポンプ、クライオポンプ等の当業者が通常用いる汎用的なポンプを用いて、減圧下に加熱し、低沸成分を除去しながら反応を行うことができる。該減圧度は、低沸分の留出速度に応じて、高真空(0.1~0.00001Pa)から低真空(0.1~10kPa)の範囲から適宜選択することができ、0.13kPa(1mmHg)から26kPa(200mmHg)の範囲に減圧することで、反応を加速することができる。
工程-15は、100℃~200℃の範囲から適宜選ばれた温度で行う。反応を十分に完結させるため、好ましくは130℃~195℃の範囲、さらに好ましくは140℃~190℃の範囲から適宜選ばれた温度で行う。
工程-15の終了後に得られる粗生成物は、特に単離精製操作を加えることなく、ポリカーボネートポリオール(1)として利用することができるが、蒸留、分液、カラムクロマトグラフィー、再沈殿等、当業者の良く知る方法で精製してもよい。
<ポリイソシアネート(B)>
次に、本発明に使用できるポリイソシアネート(B)について説明する。
本発明に使用できるポリイソシアネート(B)としては、例えば芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環族ポリイソシアネートから選択されるポリイソシアネートを挙げることができる。また、これらのイソシアヌレート変性ポリイソシアネート(イソシアネートの三量体)、アロファネート変性ポリイソシアネート、ウレトジオン変性ポリイソシアネート、ウレタン変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネート、ウレトイミン変性ポリイソシアネート、アシルウレア変性ポリイソシアネート等を単独、又は二種以上で適宜併用することができる。得られる塗膜の光沢がよい点で、ポリイソシアネート(B)は脂肪族ポリイソシアネート又は脂肪族イソシアネートの三量体を含むポリイソシアネート(B)を用いることが好ましい。
<芳香族イソシアネート>
芳香族イソシアネートとしては、例えば2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート/2,6-トリレンジイソシアネート混合物、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート/4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート混合物、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジフェニルプロパン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
<芳香脂肪族イソシアネート>
芳香脂肪族イソシアネートとしては、例えば1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシリレンジイソシアネート、又はそれらの混合物;1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、1,4-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン、又はそれらの混合物;ω,ω’-ジイソシアナト-1,4-ジエチルベンゼン等が挙げられる。
<脂肪族イソシアネート>
脂肪族イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2’-ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3-ブタジエン-1,4-ジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8-ジイソシアナト-4-(イソシアナトメチル)オクタン、2,5,7-トリメチル-1,8-ジイソシアナト-5-(イソシアナトメチル)オクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4-ブチレングリコールジプロピルエーテル-α,α’-ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート、2-イソシアナトプロピル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等が挙げられる。
<脂環族イソシアネート>
脂環族イソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2’-ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4-イソシアナト-n-ブチリデン)ペンタエリスリトール、水素化された水添ダイマー酸ジイソシアネート、2-イソシアナトメチル-3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(イソシアナトメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-3-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-3-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-2-(3-イソシアナトプロピル)-5-(2-イソシアナトエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2-(イソシアナトメチル)-2-(3-イソシアナトプロピル)-6-(2-イソシアナトエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5-ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、水素化された水添ジフェニルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化された水添トリレンジイソシアネート、水素化された水添キシレンジイソシアネート、水素化された水添テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
<脂肪族イソシアネートの三量体>
脂肪族イソシアネートの三量体としては、前記脂肪族イソシアネートから選ばれるジイソシアネートモノマー同士が環化重合したもので、次式で示される。
(式中Rは前記脂肪族イソシアネートに例示される2価の脂肪族基を表す。)。
この環化重合で得られるポリイソシアネートは三量体、五量体、多量体を含むイソシアヌレート基を有するポリイソシアネートとなる。脂肪族イソシアネートは単独、又は二種以上で適宜併用することができる。光沢などの得られる塗膜物性が良好となることからヘキサメチレンジイソシアネートの三量体が好ましい。
<塗料用ウレタン樹脂組成物>
次に、本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物について説明する。本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物は、水酸基価が150~350mgKOH/gである一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とのウレタン化反応によって得られる。
<配合比>
本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物の製造におけるポリカーボネートポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との配合比は、ポリカーボネートポリオール(A)の活性水素原子とポリイソシアネート(B)中のイソシアナト基とのモル比が、9:1~1:9であることが好ましく、6:4~4:6であることが更に好ましい。この範囲内とすることで、より優れた性能を持つ塗膜を得ることができる。
<配合方法>
ポリカーボネートポリオール(A)とポリイソシアネート(B)の配合方法は特に制限はないが、ポリカーボネートポリオール(A)にポリイソシアネート(B)を添加する、又はウレタン分野で常用の有機溶剤に溶解させてから添加する等の方法が挙げられる。
用いることのできる有機溶剤としては、有機溶剤の存在下で反応に影響を与えないものが適宜選ばれる。有機溶剤の具体例としては、オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル類、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、エチル-3-エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル類、ジオキサン等のエーテル類、ヨウ化メチレン、モノクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホニルアミド等の極性非プロトン溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<その他添加剤>
ウレタン化反応は、無触媒でも反応が進行するが、公知のウレタン化反応触媒を使用し、反応を促進することもできる。ウレタン化反応に使用できる触媒の具体例としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート(以下DOTDLと言う)等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩を挙げることができる。
本発明においては、ソフトフィール性の発現のために艶消し剤として粒径1~30μmの無機微粉体及び有機微粉体からなる群より選ばれる少なくとも一種を使用することができる。無機微粉体としては、シリカが好ましく使用され、ガラス、マイカ、ゼオライト、珪藻土、グラファイト、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどの塩類、金属、金属酸化物なども使用される。有機微粉体としては、ポリウレタンビーズが好ましく使用され、アクリル樹脂やポリアミドなどの各種の樹脂、シリコーンゴム、パルプ、セルロースなども使用できる。これらの微粉体は二種以上を併用してもよい。微粉体は好ましくは球状であり、粒径は1~30μmのものが好ましく使用され、それを超えるとざらざらした触感になってしまう。配合量はポリウレタン樹脂組成物の1~30質量%、好ましくは10~20質量%である。
本発明には、より物性を高め、また、各種物性を付加するために、添加剤として汎用されている、界面活性剤、レベリング剤、粘度調節剤、ゲル化防止剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、加水分解抑制剤、抗菌剤、充填剤、内部離型剤、補強材、導電性付与剤、帯電制御剤、帯電防止剤、分散剤、滑剤、染料、顔料その他の加工助剤を用いることができる。
<塗装方法>
次に、本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物から得られる塗膜について説明する。本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物は、クリア塗料やソフトフィール塗料として、家電製品、OA製品、携帯電話、自動車内装部品、皮革表面処理などに用いる事ができ、プラスチック基材への付着性と化粧品などに含まれる紫外線吸収剤に対する耐久性を両立することができる。
本発明の塗料用ウレタン樹脂組成物は、従来行われている通常の塗装方法によって塗装することで塗膜を得ることができる。塗装にはエアレススプレー機、エアスプレー機、静電塗装機、浸漬、ロールコーター、ナイフコーター、ハケ等を用いることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す実施例1~7のうち、実施例6は本発明の範囲に属しない参考例としての試験例である。
[評価方法]
〈水酸基価〉
JIS K1557-1(2007)に準拠して、アセチル化試薬を用いた方法にて水酸基価を測定した。
〈GPC:数平均分子量の測定条件〉
(1)測定器:HLC-8220(東ソー社製)
(2)カラム:TSKgel(東ソー社製)
・G3000H-XL
・G3000H-XL
・G2000H-XL
・G2000H-XL
(3)移動相:THF(テトラヒドロフラン)
(4)検出器:RI(屈折率)検出器
(5)温度:40℃
(6)流速:1.000mL/min
(7)検量線:標準ポリスチレン(東ソー社製)
・F-80(分子量:7.06×105、分子量分布:1.05)
・F-20(分子量:1.90×105、分子量分布:1.05)
・F-10(分子量:9.64×104、分子量分布:1.01)
・F-2(分子量:1.81×104、分子量分布:1.01)
・F-1(分子量:1.02×104、分子量分布:1.02)
・A-5000(分子量:5.97×103、分子量分布:1.02)
・A-2500(分子量:2.63×103、分子量分布:1.05)
・A-500(分子量:5.0×102、分子量分布:1.14)
(8)サンプル溶液濃度:0.5wt%THF溶液。
<合成例-1>
グリセロール(2.77g,30mmol)とクロロギ酸4-ニトロフェニル(18.9g,93mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に、ピリジン(9.7mL,120mmol)を0℃で滴下した後、20℃に昇温し2時間反応させた。反応混合物に水(100mL)を加えて固体を析出させた。析出した固体をろ取し、水、エタノールで洗浄し、得られた粗生成物をトルエンで再結晶し、グリセリル=トリス[(4-ニトロフェニル)カーボネート](14.8g、収率84%)を白色固体として得た。
グリセリル=トリス[(4-ニトロフェニル)カーボネート](1.17g,2mmol)、6-(ベンジルオキシ)ヘキサノール(1.38g,6.6mmol)、ピリジン(0.64mL,8mmol)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(28mg,0.2mmol)のテトラヒドロフラン(8mL)溶液を70℃で19時間加熱した。反応混合物に水(10mL)を加えて、トルエン(20mL×3)で抽出し、1N水酸化ナトリウム水溶液で有機層が無色透明になるまで洗浄した。得られた有機層を飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/トルエン)で精製し、グリセリル=トリス[[6-(ベンジルオキシ)へキシル)カーボネート](1.02g、収率64%)を得た。
グリセリル=トリス[(6-(ベンジルオキシ)へキシル)カーボネート](1.02g、1.28mmol)(645mg)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、10%パラジウム/カーボン粉末(26mg)を加えた後、反応容器内を水素ガスで置換し、20℃で12時間反応させた。反応混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%メタノール/クロロホルム)で精製し、Polyol-1(グリセリル=トリス[(6-ヒドロキシへキシル)カーボネート](369mg,0.70mmol、収率55%、GPC純度94%))を無色透明油状物として得た。得られたポリオールの水酸基価は320.9(mgKOH/g)であった。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):5.11(tt,J=4.2,5.8Hz,1H),4.44(dd,J=4.2,12.0Hz,2H),4.30(dd,J=5.8,12.0Hz,2H),4.17(t,J=6.5Hz,2H)4.15(t,J=6.5Hz,4H),3.65(t,J=6.4Hz,6H),1.72-1.66(m,6H),1.60‐1.56(m,6H),1.42‐1.38(m,15H)。
<合成例-2>
ペンタエリスリトール(136mg,1mmol)とクロロギ酸4-ニトロフェニル(806mg,4mmol)のテトラヒドロフラン(4mL)溶液に、ピリジン(0.32mL,4mmol)を0℃で滴下した後、20℃に昇温し7時間反応させた。反応混合物に水(50mL)を加えて固体を析出させた。析出した固体をろ取し、水、エタノールで洗浄した。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/へキサン)で精製し、ペンタエリスリチル=テトラキス[(4-ニトロフェニル) カーボネート](0.683g、収率86%)を白色固体として得た。
ペンタエリスリチル=テトラキス[(4-ニトロフェニル)カーボネート](20.8g,26mmol)、1,6-ヘキサンジオール(62g,522mmol)及び炭酸カリウム(22g,157mmol)のテトラヒドロフラン(260mL)溶液を40℃で12時間反応させた。反応混合物に水(10mL)を加え、得られた混合物を酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、得られた有機層が無色透明になるまで1N水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。TLCでヘキサンジオールの除去を確認した後、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%メタノール/クロロホルム)で精製し、Polyol-2(ペンタエリスリチル=テトラキス[(6-ヒドロキシヘキシル)カーボネート](14g,収率75%))を無色透明油状物として得た。得られたポリオールの水酸基価は314.9(mgKOH/g)であった。H NMR(400MHz,CDCl)δ(ppm):4.23(s,8H),4.14(t,J=6.9Hz,8H),3.65(dd,J=6.2,11.6Hz,8H),1.70-1.63(m,8H),1.62-1.54(m,8H),1.47-1.36(m,20H)。
<合成例-3>
300mL三口フラスコにグリセロール(1.82g,19.8mmol)、テトラヒドロフラン(70mL)、ピリジン(6.5mL,79.1mmol)を量り取った。反応容器を氷浴し、クロロギ酸[4-(ベンジルオキシ)ブチルオキシカルボニルオキシ]ブチル(24.1g)を滴下した後、20℃に昇温し12時間反応させた。反応終了後、反応液に水(100mL)を加えて、反応混合物を酢酸エチル(150mL×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/トルエン)で精製し、グリセリル=トリス[4-(4-(ベンジルオキシ)ブチルオキシカルボニルオキシ)ブチルカーボネート](13.9g)を無色透明油状物として得た。
200mLナスフラスコにグリセリル=トリス[4-(4-(ベンジルオキシ)ブチルオキシカルボニルオキシ)ブチルカーボネート](13.9g)、テトラヒドロフラン(26mL)を量り取り、容器内をアルゴンガスで置換した。反応液に10%パラジウム/カーボン粉末(278mg,4wt%)を加えた後、水素ガスで置換し、20℃で11時間撹拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/クロロホルム)で精製し、Polyol-3(グリセリル=トリス[(4-(4-ヒドロキシブチル)オキシカルボニルオキシ)ブチルカーボネート])(5.22g,6.62mmol,3工程収率33%,GPC純度85%)を無色油状物として得た。得られたポリオールの水酸基価は213.4(mgKOH/g)であった。H NMR(400 MHz, CDCl) δ(ppm): 5.11(tt,J=4.2,5.7Hz,1H),4.41(dd,J=4.2,11.9Hz,2H),4.27(dd,J=5.7,11.9Hz,2H),4.21-4.15(m,18H),3.68(dt,J= 4.7,5.9Hz,6H),1.81-1.74(m,18H),1.69-1.62(m,6H),1.53-1.47(m,3H)。
<合成例-4>
トリメチロールプロパン(67mg,0.5mmol)と6-(ベンジルオキシ)ヘキシル=4-ニトロフェニルカーボネート(579mg,1.55mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解した。反応液にN,N-ジメチルアミノピリジン(6mg,0.05mmol)とピリジン(0.16mL,2mmol)を加えた後、10時間加熱還流した。反応終了後、反応液に水(10mL)を加え、トルエン(10mL×2)で抽出を行った。有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液で水層に黄色の着色がなくなるまで洗浄した後、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/トルエン)で精製し、トリメチロールプロパン=トリス[(6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)カーボネート](282mg,収率67%)を無色油状物として得た。
トリメチロールプロパン=トリス[(6-(ベンジルオキシ)ヘキシル)カーボネート](282mg,0.34mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に溶解し、アルゴンガスで置換した。混合液に10%パラジウム/カーボン粉末(11mg,4wt%)を加えた後、水素ガスで置換し、20℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/クロロホルム)で精製し、Polyol-4(トリメチロールプロパン=トリス[(6-ヒドロキシヘキシル)カーボネート](171mg,収率89%))を無色油状物として得た。得られたポリオールの水酸基価は297.4(mgKOH/g)であった。H NMR(400MHz,CDCl):δ(ppm)4.13(t,J=6.6Hz,6H),4.12(s,6H),3.65(dd,J=6.4,4.0Hz,6H),1.72-1.65(m,6H),1.62-1.58(m,6H),1.53(q,J=7.6Hz,2H),1.44-1.37(m,15H),0.91(t,J=7.6Hz,3H)。
<合成例-5>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、トリメチロールプロパン(以下TMP)/1,4-ブタンジオール(以下1,4-BG)/ジエチルカーボネート(以下DEC)のモル比が1/6/6となるようにTMPを48.5g、1,4-BGを195.4g、DECを255.9g仕込むとともに、反応触媒としてLiacac(リチウムアセチルアセトナート)を0.25g仕込み、窒素気流下で120℃まで昇温。その後、常圧で10℃/30分で昇温反応を行った。更に190℃で揮発成分が出てこなくなるまで1.3kPaの圧力で減圧蒸留を行った。反応後、クロロホルム/水の分液により水洗し、ポリカーボネートポリオールを得た(Polyol-5)。得られたポリオールの数平均分子量は579であり、水酸基価は265(mgKOH/g)であった。
<合成例-6>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、TMP/1,4-BG/DECのモル比が1/6/7.1となるようにTMPを44.3g、1,4-BGを178.6g、DECを276.8g仕込むとともに、反応触媒としてLiacac(リチウムアセチルアセトナート)を0.25g仕込み、窒素気流下で120℃まで昇温。その後、常圧で10℃/30分で昇温反応を行った。更に190℃で揮発成分が出てこなくなるまで1.3kPaの圧力で減圧蒸留を行った。反応後、クロロホルム/水の分液により水洗し、ポリカーボネートポリオールを得た(Polyol-6)。得られたポリオールの数平均分子量は840であり、水酸基価は178.9(mgKOH/g)であった。
<合成例-7>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、1,6-ヘキサンジオール(以下、1,6-HGと略す。)/DECのモル比が1.38/1になるように、1,6-HGを925g、DECを671g仕込むとともに、さらに反応触媒としてテトラブチルチタネート(以下、TBTと略す。)を0.05g仕込み窒素気流下にて徐々に190℃まで温度を上昇させた。エタノールの留出が緩慢となり蒸留塔の塔頂温度が50℃以下となった時点で、反応温度は190℃のまま、1.3kPaまで徐々に減圧を行ない、1.3kPaの圧力でさらに7時間反応させた。さらに190℃の反応温度で1.3kPa以下の減圧下、反応物の水酸基価が222~226(mgKOH/g)になるまで反応を続行し、ポリオールを得た(PCD-A)。得られたポリオールの平均水酸基官能基数は2.0であり、水酸基価は223.8(mgKOH/g)であった。
得られたポリオール(PCD-A)を424.3g、TMPを75.7g仕込むとともに、反応触媒としてホスファゼン塩基であるP4-tBuを0.8g仕込み、130℃で24時間常圧反応を行い、更に150℃で1.3kPaの圧力で2時間減圧蒸留を行った。反応後、分液により水洗し、ポリカーボネートポリオールを得た(Polyol-7)。得られたポリオールの数平均分子量は1244であり、水酸基価は213(mgKOH/g)であった。
<合成例-8>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、1,6-HG/DECのモル比が1.16/1になるように、1,6-HGを841g、DECを723g仕込むとともに、さらに反応触媒としてテトラブチルチタネート(以下、TBTと略す。)を0.05g仕込み窒素気流下にて徐々に190℃まで温度を上昇させた。エタノールの留出が緩慢となり蒸留塔の塔頂温度が50℃以下となった時点で、反応温度は190℃のまま、1.3kPaまで徐々に減圧を行ない、1.3kPaの圧力でさらに7時間反応させた。さらに190℃の反応温度で1.3kPa以下の減圧下、反応物の水酸基価が110~114(mgKOH/g)になるまで反応し、Polyol-8を得た。得られたポリカーボネートジオールの水酸基価は112.2(mgKOH/g)であった。
<合成例-9>
グリセリル=トリス[(4-ニトロフェニル)カーボネート](17.9g,30.5mmol)と4-(ベンジルオキシ)ブタノール(18.2g,101mmol)をテトラヒドロフラン(100mL)に溶解した。混合液にN,N-ジメチルアミノピリジン(401mg,3.2mmol)とピリジン(10mL,122mmol)を加えた後、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液に水(100mL)を加え、トルエン(100mL×2)で抽出を行った。有機層を1N水酸化ナトリウム水溶液で水層に黄色の着色がなくなるまで洗浄した後、飽和食塩水(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧下で留去し、得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/トルエン)で精製し、グリセリル=トリス[[4-(ベンジルオキシ)ブチル]カーボネート](17.5g,収率81%)を無色油状物として得た。
グリセリル=トリス[(4-(ベンジルオキシ)ブチル)カーボネート](17.5g,24.6mmol)をテトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、アルゴンガスで置換した。混合液に10%パラジウム/カーボン粉末(368 mg,2wt%)を加えた後、水素ガスで置換し、60℃で24時間撹拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、ろ液を濃縮することで粗生成物を得た。得られた粗生成物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%メタノール/クロロホルム)で精製し、Polyol-9(グリセリル=トリス[(4-ヒドロキシブチル)カーボネート](8.56g,収率79%、GPC純度96%))を淡黄色油状物として得た。得られたポリオールの水酸基価は382.5(mgKOH/g)であった。H NMR(400MHz,DMSO-d)δ(ppm):5.07(tt,J=3.4,6.5Hz,1H),4.43(t,J=5.1Hz),4.34(dd,J=3.4,12.0Hz,2H),4.22(dd,J=6.5,12.0Hz,2H),4.10(t,J=6.6Hz,2H),4.09(t,J=6.6Hz,4H),3.40(m,6H),1.66-1.59(m,6H),1.48-1.41(m,6H)。
<合成例-10>
撹拌機、温度計、加熱装置、蒸留塔を組んだ反応装置に、TMP/1,4-BG/DECのモル比が1/6/8となるようにTMPを41.4g、1,4-BGを166.9g、DECを291.4g仕込むとともに、反応触媒としてLiacac(リチウムアセチルアセトナート)を0.25g仕込み、窒素気流下で120℃まで昇温。その後、常圧で10℃/30分で昇温反応を行った。更に190℃で揮発成分が出てこなくなるまで1.3kPaの圧力で減圧蒸留を行った。反応後、クロロホルム/水の分液により水洗し、ポリカーボネートポリオールを得た(Polyol-10)。得られたポリオールの数平均分子量は1814であり、水酸基価は109.8(mgKOH/g)であった。
その他、本発明で使用した原料を下記に示す。
・Polyol-11(PCL-308 ポリカプロラクトントリオール(分子量=850、水酸基価=195、官能基数=3) ダイセル社製)。
[評価用塗膜の作成]
表1の実施例1の通り、ポリオール5部に対してレベリング剤BYK-331(ビックケミー・ジャパン社製)を0.05部、触媒DOTDL(キシダ化学社製)を0.01部、さらに硬化剤も考慮して固形分=50質量%となるように酢酸ブチルを10.5g添加後、混合して主剤を得た。次に主剤の水酸基モル数と硬化剤のイソシアネート基モル数が1/1となるように、硬化剤C-HXR5.5部を主剤と混合し、基材(ABS樹脂)に乾燥膜厚が100μmとなるように塗布し、25℃/30分乾燥、80℃/30分乾燥、さらに25℃/96時間養生させることにより塗膜を作製した。この塗膜を用いて物性の評価を行った。
・C-HXR ポリイソシアネート硬化剤(NCO含量=21.9%) 東ソー社製。
実施例2~7、比較例1~4についても実施例1と同様に塗膜を作成し、物性の評価を行った。
得られた塗膜については以下の項目について評価し、表1に結果を記載した。
1.基材付着性評価
得られた塗膜をJIS K5600-5-6に準じて、クロスカット法による付着性試験を実施した。分類0,1であれば良好と言える。
<付着性評価基準>
・分類0,1:〇
・分類2~5:×。
2.耐薬品性評価
<耐紫外線吸収剤性>
下記化合物のグリセリン3%溶液をそれぞれ調製し、塗膜に各調製液を1滴垂らし、40℃で1時間放置後拭き取り、外観を目視で評価した。
<化合物>
(1)2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン
(2)サリチル酸2-エチルヘキシル
(3)サリチル酸3,3,5-トリメチルシクロヘキシル
(4)4-tert-ブチルベンゾイル(4-メトキシベンゾイル)メタン
(5)3,3-ジフェニル-2-シアノアクリル酸2-エチルヘキシル
<評価基準>
・塗膜の大部分に膨潤、皺、溶解を生じたもの(評価:×)
・塗膜の大部分に皺を生じたもの(評価:×)
・塗膜に滴下痕が残る程度に僅かにふくれを生じたもの(評価:○)
・塗膜に変化が見られないもの(評価:〇)。
















Claims (4)

  1. 水酸基価が213~350mgKOH/gである一般式(1)で表されるポリカーボネートポリオール(A)、及びポリイソシアネート(B)から得られることを特徴とする塗料用ウレタン樹脂組成物。
    (式中、複数個のRは同一又は相異なって炭素数4から8の二価の脂肪族炭化水素基を表す。mは平均重合度を表し、1以上3未満の数である。qは0又は1を表す。Xは水素原子、メチル基、エチル基又は一般式(2)
    (式中、R及びmは前記と同じ意味を表す。)で表されるカーボネート置換メチル基を表す。ただし、qが0の場合、Xは水素原子、メチル基又はエチル基を表す。)
  2. ポリイソシアネート(B)が脂肪族イソシアネートの三量体を含むことを特徴とする請求項1に記載の塗料用ウレタン樹脂組成物。
  3. ポリカーボネートポリオール(A)の平均官能基数が2.7~3であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料用ウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の塗料用ウレタン樹脂組成物から得られる塗膜。
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