WO2024116997A1 - 二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータ、および、二次電池 - Google Patents

二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータ、および、二次電池 Download PDF

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二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含む。ポリビニルアルコールのケン化度が、85mol%以上である。

Description

二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータ、および、二次電池
 本発明は、二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータ、および、二次電池に関し、詳しくは、二次電池セパレータ用コート材原料、その二次電池セパレータ用コート材原料を含む二次電池セパレータ用コート材、その二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を備える二次電池セパレータ、および、その二次電池セパレータを備える二次電池に関する。
 従来、二次電池内には、正極と負極とを隔離し、電解液中のイオンを通過させるためのセパレータが備えられている。
 このようなセパレータとしては、例えば、ポリオレフィン多孔膜が知られている。
 一方、セパレータの表面には、各種物性を付与するために、コート層を設ける場合がある。このようなコート層は、例えば、セパレータの表面に、二次電池セパレータ用コート材を塗布して、乾燥させることにより形成される。
 このような二次電池セパレータ用コート材として、例えば、メタクリルアミドおよびメタクリル酸を含む水溶性ポリマー原料を重合してなる水溶性ポリマーを含む二次電池セパレータ用コート材原料と、無機充填剤とを含む二次電池セパレータ用コート材が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2021-103676号公報
 一方、熱による収縮で、セパレータの形状が変化すると、正極と負極との間でショートする場合がある。そのため、コート層には、耐熱性が要求される。
 また、コート層には、セパレータに対する密着性が要求される。
 本発明は、耐熱性および密着性に優れる二次電池セパレータ用コート材原料、その二次電池セパレータ用コート材原料を含む二次電池セパレータ用コート材、その二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を備える二次電池セパレータ、および、その二次電池セパレータを備える二次電池を提供することにある。
 本発明[1]は、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含み、前記ポリビニルアルコールのケン化度が、85mol%以上である、二次電池セパレータ用コート材原料である。
 本発明[2]は、前記ポリビニルアルコールの含有割合が、前記水溶性アクリル樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、上記[1]に記載の二次電池セパレータ用コート材原料を含んでいる。
 本発明[3]は、前記ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコール、および、アニオン性基変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つである、上記[1]に記載の二次電池セパレータ用コート材原料を含んでいる。
 本発明[4]は、前記水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が、10000以上150000以下である、上記[1]に記載の二次電池セパレータ用コート材原料を含んでいる。
 本発明[5]は、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の二次電池セパレータ用コート材原料と、無機粒子とを含む、二次電池セパレータ用コート材を含んでいる。
 本発明[6]は、多孔膜と、前記多孔膜の少なくとも片面に配置される上記[5]に記載の二次電池セパレータ用コート材の塗布膜とを備える、二次電池セパレータを含んでいる。
 本発明[7]は、正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に配置される上記[6]に記載される二次電池セパレータとを備える、二次電池を含んでいる。
 本発明の二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、所定値以上のケン価度を有するポリビニルアルコールを含む。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 本発明の二次電池セパレータ用コート材は、本発明の二次電池セパレータ用コート材原料を含む。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 本発明の二次電池セパレータは、本発明の二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を備える。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 本発明の二次電池は、本発明の二次電池セパレータを備える。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含む。
<水溶性アクリル樹脂>
 水溶性アクリル樹脂は、水溶性アクリル樹脂原料を重合してなる重合体である。
 なお、水溶性アクリル樹脂とは、一旦乾燥させた水溶性アクリル樹脂を、水100mlに対し1gを24時間撹拌溶解させた後、300メッシュの金網でろ過した場合において、残存固形分が0.1%以下であるアクリル樹脂と定義される。
 水溶性アクリル樹脂原料は、例えば、(メタ)アクリルアミドおよびカルボキシ基含有ビニルモノマーを含む。
{(メタ)アクリルアミド}
 (メタ)アクリルアミドは、メタクリルアミドおよび/またはアクリルアミドを示す。(メタ)アクリルアミドとして、イオン透過性の観点から、好ましくは、メタクリルアミドが挙げられる。
 (メタ)アクリルアミドの含有割合は、水溶性アクリル樹脂原料の総量100質量部に対して、例えば、60質量部以上、好ましくは、75質量部以上、また、例えば、98質量部以下、好ましくは、90質量部以下、より好ましくは、85質量部以下である。
{カルボキシ基含有ビニルモノマー}
 カルボキシ基含有ビニルモノマーは、(メタ)アクリルアミドと共重合可能であり、カルボキシ基を含有するビニルモノマーである。
 カルボキシ基含有ビニルモノマーとして、例えば、モノカルボン酸、ジカルボン酸、または、これらの塩が挙げられる。モノカルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸が挙げられる。ジカルボン酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、および、無水フマル酸が挙げられる。
 カルボキシ基含有ビニルモノマーとして、好ましくは、モノカルボン酸が挙げられる。カルボキシ基含有ビニルモノマーとして、より好ましくは、(メタ)アクリル酸が挙げられる。カルボキシ基含有ビニルモノマーとして、さらに好ましくは、メタクリル酸が挙げられる。
 カルボキシ基含有ビニルモノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
 カルボキシ基含有ビニルモノマーの含有割合は、水溶性アクリル樹脂原料の総量100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、3質量部以上、また、例えば、35質量部以下、好ましくは、20質量部以下、より好ましくは、10質量部以下、さらに好ましくは、7質量部以下である。
{共重合性モノマー}
 水溶性アクリル樹脂原料は、(メタ)アクリルアミドおよびカルボキシ基含有ビニルモノマーと共重合可能な共重合性モノマーを含むこともできる。
 共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、官能基含有ビニルモノマー(カルボキシ基含有ビニルモノマーを除く。)、ビニルエステル類、芳香族ビニルモノマー、N-置換不飽和カルボン酸アミド、複素環式ビニル化合物、ハロゲン化ビニリデン化合物、α-オレフィン類、ジエン類、および、架橋性ビニルモノマーが挙げられる。
 (メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数1~12のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数1~12のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、炭素数1~4のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレート、および、炭素数5~12のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数1~4のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、および、t-ブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。炭素数5~12のアルキル部分を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、および、オクタデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
 官能基含有ビニルモノマー(カルボキシ基含有ビニルモノマーを除く。)としては、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー、リン酸基含有ビニルモノマー、水酸基含有ビニルモノマー、アミノ基含有ビニルモノマー、グリシジル基含有ビニルモノマー、シアノ基含有ビニルモノマー、および、アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーが挙げられる。
 スルホン酸基含有ビニルモノマーとしては、例えば、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、および、アクリルアミドt-ブチルスルホン酸が挙げられる。また、スルホン酸基含有ビニルモノマーには、その塩が含まれる。スルホン酸基含有ビニルモノマーの塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)、および、アンモニウム塩が挙げられる。具体的には、例えば、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、および、メタリルスルホン酸アンモニウムが挙げられる。
 リン酸基含有ビニルモノマーとして、例えば、2-メタクロイロキシエチルアシッドフォスフェートが挙げられる。
 水酸基含有ビニルモノマーとして、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、および、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有ビニルモノマーとして、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基含有ビニルモノマーとして、より好ましくは、2-ヒドロキシエチルメタクリレートが挙げられる。
 アミノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、(メタ)アクリル酸2-(N-メチルアミノ)エチル、および、(メタ)アクリル酸2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルが挙げられる。
 グリシジル基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルが挙げられる。
 シアノ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。シアノ基含有ビニルモノマーとして、好ましくは、アクリロニトリルが挙げられる。
 アセトアセトキシ基含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチルが挙げられる。
 ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、および、プロピオン酸ビニルが挙げられる。
 芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、および、クロロスチレンが挙げられる。
 N-置換不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、N-メチロール(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
 複素環式ビニル化合物としては、例えば、ビニルピロリドンが挙げられる。
 ハロゲン化ビニリデン化合物としては、例えば、塩化ビニリデン、および、フッ化ビニリデンが挙げられる。
 α-オレフィン類としては、例えば、エチレン、および、プロピレンが挙げられる。
 ジエン類としては、例えば、ブタジエンが挙げられる。
 架橋性ビニルモノマーとしては、例えば、2つ以上のビニル基を含有するビニルモノマーが挙げられる。2つ以上のビニル基を含有するビニルモノマーとしては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、および、ペンタエリストールテトラアクリレートが挙げられる。
 共重合性モノマーとして、好ましくは、官能基含有ビニルモノマーが挙げられる。共重合性モノマーとして、より好ましくは、水酸基含有ビニルモノマーが挙げられる。
 共重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用することができる。
 共重合性モノマーの含有割合は、水溶性アクリル樹脂原料の総量100質量部に対して、例えば、3質量部以上、好ましくは、5質量部以上、より好ましくは、12質量部以上、また、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
 水溶性アクリル樹脂は、水溶性アクリル樹脂原料を、公知の方法で重合することにより得られる。
 具体的には、例えば、水に、水溶性アクリル樹脂原料および重合開始剤を配合し、水溶性アクリル樹脂原料を重合させ、その後、必要に応じて、エージングする。
 重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、水溶性開始剤、油溶性開始剤、および、レドックス系開始剤が挙げられる。水溶性開始剤としては、例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム)、過酸化水素、および、有機ハイドロパーオキサイド、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)酸が挙げられる。油溶性開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、および、アゾビスイソブチロニトリルが挙げられる。
 重合開始剤として、好ましくは、水溶性開始剤が挙げられる。重合開始剤として、より好ましくは、過硫酸塩が挙げられる。重合開始剤として、さらに好ましくは、過硫酸アンモニウムが挙げられる。
 重合開始剤の配合割合は、水溶性アクリル樹脂原料100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、より好ましくは、0.2質量部以上、さらに好ましくは、0.5質量部以上、また、例えば、3質量部以下、好ましくは、1質量部以下である。
 重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 重合温度は、常圧下において、例えば、30℃以上、好ましくは、50℃以上、例えば、95℃以下、好ましくは、85℃以下である。また、重合時間が、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1.5時間以上、また、例えば、20時間以下、好ましくは、10時間以下である。
 エージング時間は、例えば、0.5時間以上、好ましくは、1.5時間以上、また、例えば、6時間以下、好ましくは、4時間以下である。
 また、上記の重合においては、製造安定性の向上を図る観点から、pH調整剤、金属イオン封止剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸およびその塩)、例えば、分子量調節剤(連鎖移動剤)(例えば、メルカプタン類、低分子ハロゲン化合物)などの公知の添加剤を適宜の割合で配合することができる。
 また、上記の重合前または重合後には、アンモニアなどの中和剤を配合し、pHを6以上11以下の範囲に調整することもできる。
 これにより、水溶性アクリル樹脂原料の重合体として、水溶性アクリル樹脂(水溶性アクリル樹脂を含む水溶液)が得られる。
 水溶性アクリル樹脂を含む水溶液において、水溶性アクリル樹脂の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、また、例えば、50質量%以下である。
 水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量は、イオン透過性を向上させる観点から、例えば、10000以上、好ましくは、50000以上、より好ましくは、68000以上、また、例えば、500000以下、好ましくは、200000以下、イオン透過性を向上させる観点から、より好ましくは、150000以下、さらに好ましくは、100000以下、とりわけ好ましくは、80000以下である。
 なお、上記重量平均分子量の測定方法は、後述する実施例において詳述する。
 また、水溶性アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、例えば、100℃以上、好ましくは、150℃以上、より好ましくは、210℃以上、さらに好ましくは、220℃以上、また、例えば、270℃以下、好ましくは、250℃以下、より好ましくは、225℃以下である。
 なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、FOXの式により算出できる。
 水溶性アクリル樹脂の含有割合は、水溶性アクリル樹脂およびポリビニルアルコールの総量100質量部に対して、例えば、60質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上、また、例えば、98質量部以下、好ましくは、90質量部以下である。
<ポリビニルアルコール>
 ポリビニルアルコールは、二次電池セパレータ用コート材原料に、濡れ性を付与し、密着性を向上するための成分である。
 ポリビニルアルコールは、所定値以上のケン価度を有する。
 具体的には、ポリビニルアルコールのケン価度は、85mol%以上、好ましくは、90mol%以上、より好ましくは、95mol%以上、とりわけ好ましくは、98mol%以上、また、例えば、100mol%以下、好ましくは、99mol%以下である。
 ポリビニルアルコールのケン価度が、上記下限以上であれば、耐熱性および密着性が向上する。
 一方、ポリビニルアルコールのケン価度が、上記下限未満であれば、耐熱性および密着性が低下する。
 ポリビニルアルコールとしては、例えば、未変性ポリビニルアルコール、および、変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
 変性ポリビニルアルコールとして、例えば、アニオン性基変性ポリビニルアルコール(例えば、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホ基変性ポリビニルアルコール)、および、疎水基変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
 ポリビニルアルコールとして、好ましくは、イオン透過性を向上させる観点から、未変性ポリビニルアルコール、および、アニオン性基変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つが選択される。
 ポリビニルアルコールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
 ポリビニルアルコールの含有割合が、水溶性アクリル樹脂100質量部に対して、例えば、塗工性の観点から、5質量部以上、好ましくは、10質量部以上、また、例えば、90質量部以下、好ましくは、イオン透過性の観点から、50質量部以下、より好ましくは、30質量部以下、さらに好ましくは、20質量部以下である。
 また、ポリビニルアルコールの含有割合は、水溶性アクリル樹脂およびポリビニルアルコールの総量100質量部に対して、例えば、2質量部以上、好ましくは、塗工性を向上させる観点から、10質量部以上、また、例えば、60質量部以下、好ましくは、イオン透過性を向上させる観点から、40質量部以下、より好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。
 また、ポリビニルアルコールの含有割合が、上記範囲内であれば、濡れ性に優れる。そのため、とりわけ、多孔膜の表面に、表面処理(例えば、コロナ放電処理、後述)を施さなくても、耐熱性および密着性に優れる塗布膜を形成できる。
 また、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールの水溶液として調製することもできる。ポリビニルアルコールの水溶液において、ポリビニルアルコールの固形分濃度は、例えば、5質量%以上、また、例えば、50質量%以下である。
 また、二次電池セパレータ用コート材原料は、上記した所定値以上のケン価度を有するポリビニルアルコールとともに、上記所定値未満のケン価度を有するポリビニルアルコール(以下、他のポリビニルアルコール)を含むこともできる。
 他のポリビニルアルコールの含有割合は、二次電池セパレータ用コート材原料(固形分)に対して、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下、より好ましくは、1質量%以下である。
 二次電池セパレータ用コート材原料は、好ましくは、他のポリビニルアルコールを含まない。
<二次電池セパレータ用コート材原料の調製>
 二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂(水溶性アクリル樹脂を含む水溶液)と、ポリビニルアルコールとを混合することにより調製される。
 また、二次電池セパレータ用コート材原料には、必要により、濡れ剤、分散剤、親水性樹脂、湿潤剤、消泡剤、pH調製剤などの添加剤を、適宜の割合で配合することができる。つまり、二次電池セパレータ用コート材原料は、必要により、添加剤を含む。
 一方、この二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含むため、濡れ性に優れる。そのため、二次電池セパレータ用コート材原料は、濡れ剤を含まなくても、濡れ性に優れる。すなわち、二次電池セパレータ用コート材原料は、好ましくは、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含み、濡れ剤を含まない。
 二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含むため、耐熱性および密着性に優れる。
 そして、このような二次電池セパレータ用コート材原料は、とりわけ、二次電池セパレータ用コート材の原料として、好適に用いることができる。
 以下、この二次電池セパレータ用コート材原料を用いて得られる二次電池セパレータ用コート材について、詳述する。
<二次電池セパレータ用コート材>
 二次電池セパレータ用コート材は、上記二次電池セパレータ用コート材原料と、無機粒子と含む。
 無機粒子としては、例えば、酸化物、窒化物、炭化物、硫酸物、水酸化物、および、チタン酸カリウムが挙げられる。酸化物としては、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、セリア、イットリア、酸化亜鉛、および、酸化鉄が挙げられる。窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化チタン、および、窒化ホウ素が挙げられる。炭化物としては、例えば、シリコンカーバイド、および、炭酸カルシウムが挙げられる。硫酸物としては、例えば、硫酸マグネシウム、および、硫酸アルミニウムが挙げられる。水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、および、水酸化酸化アルミニウムが挙げられる。ケイ酸物としては、例えば、タルク、カオリナイト、ディカイト、ナクライト、ハロイサイト、パイロフィライト、モンモリロナイト、セリサイト、マイカ、アメサイト、ベントナイト、アスベスト、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ藻土、ケイ砂、および、ガラスが挙げられる。
 無機粒子として、好ましくは、水酸化物が挙げられる。無機粒子として、より好ましくは、水酸化酸化アルミニウムが挙げられる。
 無機粒子の平均メジアン径D50は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上、また、例えば、5μm以下、好ましくは、1μm以下である。
 無機粒子は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 無機粒子の配合割合については後述する。
 そして、二次電池セパレータ用コート材を製造するには、まず、水に、無機粒子、および、必要により、分散剤を配合し、無機粒子の水分散液を調製する。分散剤を配合する場合には、二次電池セパレータ用コート材は、分散剤を含む。
 分散剤としては、例えば、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸ナトリウムが挙げられる。分散剤として、好ましくは、ポリカルボン酸アンモニウムが挙げられる。
 分散剤(固形分)の配合割合は、無機粒子100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
 分散剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 次いで、無機粒子の水分散液に、二次電池セパレータ用コート材原料(二次電池セパレータ用コート材原料の水分散液)を配合し、撹拌する。
 撹拌方法は、特に限定されず、例えば、ボールミル、ビーズミル、遊星ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ロールミル、高速インペラー分散、スターラー、ディスパーザー、ホモジナイザー、高速衝撃ミル、超音波分散、および、撹拌羽根が挙げられる。
 また、二次電池セパレータ用コート材には、必要により、上記添加剤を、適宜の割合で配合することができる。つまり、二次電池セパレータ用コート材は、必要により、上記添加剤を含む。また、二次電池セパレータ用コート材は、好ましくは、濡れ剤を含まない。
 これら添加剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 これにより、二次電池セパレータ用コート材が得られる。また、このような二次電池セパレータ用コート材は、水に分散された水分散液として得られる。
 二次電池セパレータ用コート材の水分散液の固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、30質量%以上、また、例えば、50質量%以下である。
 また、二次電池セパレータ用コート材(固形分)において、二次電池セパレータ用コート材原料(固形分)の含有量は、二次電池セパレータ用コート材原料(固形分)および無機粒子の総量100質量部に対して、例えば、3.0質量部以上、好ましくは、4.2質量部以上、また、10.0質量部以下、好ましくは、7.0質量部以下、より好ましくは、6.0質量部以下である。また、無機粒子の含有量は、二次電池セパレータ用コート材原料(固形分)および無機粒子の総量100質量部に対して、90.0質量部以上、好ましくは、93.0質量部以上、より好ましくは、94.0質量部以上、また、例えば、97.0質量部以下、好ましくは、95.8質量部以下である。
 また、二次電池セパレータ用コート材(固形分)において、二次電池セパレータ用コート材原料(固形分)の含有量は、無機粒子の総量100質量部に対して、例えば、3.0質量部以上、好ましくは、4.4質量部以上、また、例えば、10.0質量部以下、好ましくは、7.0質量部以下、より好ましくは、5.0質量部以下である。
 二次電池セパレータ用コート材は、二次電池セパレータ用コート材原料を含む。そのため、この二次電池セパレータ用コート材を用いて得られる塗布膜を備える二次電池セパレータは、耐熱性および密着性に優れる。
 以下、この二次電池セパレータ用コート材を用いて得られる二次電池セパレータについて、詳述する。
<二次電池セパレータ>
 二次電池セパレータは、多孔膜と、多孔膜の少なくとも片面に配置される二次電池セパレータ用コート材の塗布膜とを備える。
[多孔膜]
 多孔膜としては、例えば、ポリオレフィン多孔膜、および、芳香族ポリアミド多孔膜が挙げられる。ポリオレフィン多孔膜としては、例えば、ポリエチレン多孔膜およびポリプロピレン多孔膜が挙げられる。多孔膜として、好ましくは、ポリオレフィン多孔膜が挙げられる。
 多孔膜の厚みは、例えば、1μm以上、また、例えば、40μm以下、好ましくは、20μm以下である。
[塗布膜]
 塗布膜は、多孔膜に耐熱性を付与する。塗布膜は、二次電池セパレータ用コート材からなる。
 塗布膜の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上、また、例えば、10μm以下、好ましくは、8μm以下である。
[二次電池セパレータの製造方法]
 二次電池セパレータの製造方法は、多孔膜を準備する第1工程、および、多孔膜の少なくとも片面に、セパレータ用コート材を塗布する第2工程を備える。
(第1工程)
 第1工程では、多孔膜を準備する。
(第2工程)
 第2工程では、多孔膜の少なくとも片面に、二次電池セパレータ用コート材を塗布し、その後、必要により、乾燥させる。これにより、塗布膜を得る。
 多孔膜の少なくとも片面に、二次電池セパレータ用コート材を塗布するには、まず、必要により、多孔膜の片面に、表面処理を施し、多孔膜の片面に、表面処理層を形成する。
つまり、このような場合には、二次電池セパレータは、多孔膜と、表面処理層と、二次電池セパレータ用コート材の塗布膜とを備える。
 表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、グロー放電処理、プラズマ処理、および、オゾン処理が挙げられる。この製造方法では、好ましくは、イオン透過性を向上させる観点から、表面処理を実施しない。換言すれば、二次電池セパレータは、好ましくは、表面処理層を備えない。
 そして、二次電池セパレータ用コート材を塗布する塗布方法としては、特に制限がなく、例えば、ワイヤーバー法、グラビアコーター法、小径グラビアコーター法、リバースロールコーター法、トランスファロールコーター法、キスコーター法、ディップコーター法、マイクログラビアコート法、ナイフコーター法、エアドクタコーター法、ブレードコーター法、ロッドコーター法、スクイズコーター法、キャストコーター法、ダイコーター法、スクリーン印刷法、および、スプレー塗布法が挙げられる。塗布方法として、好ましくは、ワイヤーバー法が挙げられる。
 乾燥温度は、例えば、40℃以上、また、例えば、80℃以下である。
 これにより、多孔膜と、多孔膜の少なくとも片面に配置される上記した二次電池セパレータ用コート材の塗布膜とを備えた二次電池セパレータが製造される。
 なお、上記した説明では、多孔膜の少なくとも片面に、二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を配置したが、多孔膜の両面に、上記の塗布膜を配置することもできる。
 この二次電池セパレータは、上記した二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を備える。そのため、二次電池セパレータは、耐熱性および密着性に優れる。そのため、この二次電池セパレータは、二次電池の製造に好適に用いることができる。
<二次電池>
 二次電池は、正極と、負極と、正極および負極の間に配置される上記の二次電池セパレータと、正極、負極および上記の二次電池セパレータに含浸される電解質とを備える。
 正極としては、例えば、正極用集電体と、正極用集電体に積層される正極活物質とを備える公知の電極が用いられる。
 正極用集電体としては、例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスの導電材料が挙げられる。
 正極活物質としては、特に制限されないが、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、リチウム含有リン酸塩、リチウム含有硫酸塩などの公知の正極活物質が挙げられる。
 これら正極活物質は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 負極としては、例えば、負極用集電体と、負極用集電体に積層される負極活物質とを備える公知の電極が用いられる。
 負極用集電体としては、例えば、銅やニッケルの導電材料が挙げられる。
 負極活物質としては、特に制限されないが、炭素活物質が挙げられる。炭素活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボンが挙げられる。
 これら負極活物質は、単独使用または2種類以上併用することができる。
 電解質として、二次電池として、リチウムイオン電池が採用される場合には、例えば、リチウム塩が、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチルメチルカーボネート(EMC)などのカーボネート化合物に溶解された溶液が挙げられる。
 そして、二次電池を製造するには、例えば、二次電池のセパレータを、正極と、負極との間に挟み込み、これらを電池筐体(セル)に収容して、電解質を電池筐体に注入する。
これにより、二次電池を得ることができる。
 上記の二次電池は、上記の二次電池セパレータを備える。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
<作用効果>
 二次電池セパレータ用コート材原料は、水溶性アクリル樹脂と、所定値以上のケン価度を有するポリビニルアルコールを含む。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 詳しくは、ポリビニルアルコールのケン価度が低くなると、濡れ性が低下する傾向がある。そうすると、均一な塗布膜が形成できなくなり、耐熱性および密着性が低下する。
 一方、この二次電池セパレータ用コート材原料では、ポリビニルアルコールのケン価度が、所定値以上であるため、濡れ性を向上できる。その結果、均一な塗布膜が形成することができ、耐熱性および密着性が向上する。
 二次電池セパレータ用コート材は、上記の二次電池セパレータ用コート材原料を含む。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 二次電池セパレータは、上記の二次電池セパレータ用コート材の塗布膜を備える。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 二次電池は、上記の二次電池セパレータを備える。そのため、耐熱性および密着性に優れる。
 以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。また、以下の記載において特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。
<成分の詳細>
 各実施例、および、各比較例で用いた成分の、商品名および略語について、詳述する。
Mam:メタクリルアミド
AM:アクリルアミド
Mac:メタクリル酸
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
St:スチレン
BA:n-ブチルアクリレート
クラレポバール60-98:未変性ポリビニルアルコール、ケン価度98mol%~99mol%、株式会社クラレ社製
クラレポバール28-98:未変性ポリビニルアルコール、ケン価度98mol%~99mol%、株式会社クラレ社製
クラレポバール5-98:未変性ポリビニルアルコール、ケン価度98mol%~99mol%、株式会社クラレ社製
クラレポバール44-88:未変性ポリビニルアルコール、ケン価度87mol%~89mol%、株式会社クラレ社製
クラレポバール40-80E:未変性ポリビニルアルコール、ケン価度80mol%、株式会社クラレ社製
AF17:カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ケン価度96mol%超過、日本酢ビ・ポバール株式会社製
ゴーセノールCKS50:スルホ基変性ポリビニルアルコール、ケン価度99mol%、三菱ケミカル株式会社製
エクセバールRS-2117:疎水基変性未変性ポリビニルアルコール、ケン価度98mol%~99mol%、株式会社クラレ社製
エクセバールRS-1113:疎水基変性未変性ポリビニルアルコール、ケン価度98mol%~99mol%、株式会社クラレ社製
オルフィンE1010:濡れ剤(アセチレン系界面活性剤)、日信化学工業株式会社製
ポリカルボン酸アンモニウム:分散剤、ポリカルボン酸アンモニウム水溶液、商品名SN5468、サンノプコ社製
<水溶性アクリル樹脂の製造>
  製造例1
 攪拌機、還流冷却付きのセパラブルフラスコに、蒸留水を200.0質量部仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウムを0.6質量部添加してから下記水溶性アクリル樹脂原料を3時間かけて連続的に添加し、さらに、3時間保持して重合を完結させた。アンモニア水を加えてpH9.0に調整し、さらに、適量の水を加え、水溶性ポリマーの水溶液(固形分15.0質量%)を得た。
{水溶性アクリル樹脂原料}
   メタクリルアミド           80.0質量部
   メタクリル酸              5.0質量部
   2-ヒドロキシエチルメタクリレート  15.0質量部
   25%アンモニア水           3.0質量部
   蒸留水               300.0質量部
  製造例2、製造例3、製造例5および製造例6
 製造例1と同様の手順で、水溶性ポリマーの水溶液(固形分15.0質量%)を得た。但し、表1の記載に従って、水溶性アクリル樹脂原料の処方を変更した。
<アクリルエマルションの製造>
  製造例4
 撹拌機を装備したセパラブルフラスコに、界面活性剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸0.4質量部、水300質量部を仕込み、攪拌しながら窒素パージして、70℃まで昇温した。次いで、重合開始剤として、過硫酸カリウム1質量部を添加してから、下記の乳化液を3時間かけて連続的に添加し、さらに、80℃で5時間攪拌して反応させた。その後、冷却し、25%アンモニア水でpH9に調整した。その後、適量の水を加え、アクリル樹脂粒子の水分散液(固形分濃度20質量%)を得た。アクリル樹脂粒子の粒子径は、0.2μmであった。
{乳化液の調製}
 水170質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸1.0質量部を含む水溶液に、n-ブチルアクリレート55質量部、スチレン30質量部、メタクリル酸5質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート10質量部を攪拌しながら連続的に添加し、乳化液を得た。
<ポリビニルアルコールの調製>
 表2および表3に記載のポリビニルアルコールは、以下の通り、調製した。具体的には、具体的には、撹拌機を装備したセパラブルフラスコに、水90質量部を仕込み、攪拌しながら、ポリビニルアルコール10質量部を少しずつ添加し、その後、95℃まで昇温し、3時間保持した。ポリビニルアルコールが完全に溶解したことを確認後、冷却し、適量の水を加え、ポリビニルアルコールの10%水溶液を調製した。
<二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材および二次電池セパレータの製造>
  実施例1~実施例13、および、比較例1~比較例3
(二次電池セパレータ用コート材原料の製造)
 表2および表3に記載の処方に従って、水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを混合した。これにより、二次電池セパレータ用コート材原料を製造した。また、比較例2では、水溶性アクリル樹脂に代えて、アクリルエマルションを用いた。なお、表2および表3に記載の数値は、固形分の数値である。
(二次電池セパレータ用コート材の製造)
 表2および表3に記載の処方に従って、水123質量部に、分散剤を添加した。次いで、ディスパー(1000rpm)で撹拌しながら、無機粒子として、ベーマイト(水酸化酸化アルミニウム、ナバルテック製、商品名「アピラールAOH60」、平均メジアン径D50:0.9μm)100質量部を、徐々に添加した。添加後、さらに、ホモジナイザー(5000rpm)で撹拌した。これにより、無機粒子の水分散液(無機粒子の固形分濃度45質量%)を得た。
 次いで、無機粒子の水分散液に、二次電池セパレータ用コート材原料を配合し、水を適宜加えて、撹拌した。
 その後、これを300メッシュ(濾過粒度48μm)のフィルターで濾過した。これにより、二次電池セパレータ用コート材(二次電池セパレータ用コート材の分散液)を製造した。二次電池セパレータ用コート材の分散液の固形分濃度は、40質量%であった。
(二次電池セパレータの製造)
[第1工程]
 多孔膜として、ポリオレフィン多孔膜(表面処理(コロナ処理)なし)を準備した。
[第2工程]
 ワイヤーバーを用いて、ポリオレフィン多孔膜の一方面に、上記二次電池セパレータ用コート材(二次電池セパレータ用コート材の分散液)を塗布して、その後、50℃で乾燥した。これにより、ポリオレフィン多孔膜の一方面に、二次電池セパレータ用コート材の塗布膜(厚み2μm)を形成した。これにより、二次電池セパレータを製造した。
<評価>
[重量平均分子量]
 各製造例の水溶性アクリル樹脂またはアクリルエマルションについて、下記条件に基づいて、標準ポリエチレングリコール/ポリエチレンオキサイド換算により重量平均分子量重量平均分子量を求めた。その結果を表1に示す。
{条件}
装置:GPC装置:装置名:P KP-22、フロム社製
サンプル濃度:0.1(w/v)%
サンプル注入量:100μL
溶離液:0.2M NaNO/アクリロニトリル(AN)=90/10
流速:1.0ml/分
測定温度:40℃
カラム:ShodexohPAK SB-806M HQ ×2
[ガラス転移温度]
 各製造例の水溶性アクリル樹脂またはアクリルエマルションのガラス転移温度(Tg)を、下記のFOX式により算出した。その結果を表1に示す。
  1/Tg=W/Tg+W/Tg+・・・+W/Tg     (1)[式中、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Tg(i=1、2、・・・n)は、単量体iが単独重合体を形成するときのガラス転移温度(単位:K)、W(i=1、2、・・・n)は、単量体iの全単量体中の質量分率を表す。]
[耐熱性]
 各実施例および各比較例の二次電池セパレータを、5cm×5cmに切り出し、これを試験片とした。この試験片を150℃で1時間オーブン内に放置した。放置前後において、試験片の各辺の長さを測定した。収縮前の各辺の長さと、収縮後の各辺の長さより、下記式(2)に基づいて、収縮率を算出した。その結果を表2および表3に示す。
収縮率(%)={収縮前の1辺の平均長さ(cm)-収縮後の1辺の平均長さ(cm)}/収縮前の1辺の平均長さ(cm)×100  (2)
[イオン透過性]
 各実施例および各比較例の二次電池セパレータについて、旭精工社製の王研式透気度平滑度試験機により、JIS-P-8117に準じて測定した透気抵抗度を求めた。多孔膜自身の透気度に対する透気度の低下量をΔ透気度とした。具体的には、下記式(3)に基づいて、Δ透気度を算出した。Δ透気度が小さいほど、イオン透過性に優れると評価した。その結果を表2および表3に示す。
Δ透気度=測定した透気度-180(多孔膜自身の透気度)  (3)
[密着性]
 各実施例および各比較例の二次電池セパレータにおける塗布膜を、消しゴムでこすり、塗布膜の剥がれ具合を、以下の基準に基づいて、評価した。その結果を表2および表3に示す。
1点:100g加重で1回こすると、塗布膜が剥がれた。
2点:100g加重で2~3回こすると、塗布膜が剥がれた。
3点:100g加重で4~5回こすると、塗布膜が剥がれた。
4点:100g加重で5回こすっても、塗布膜は剥がれなかった。400g加重で5回こすると、塗布膜が剥がれた。
5点:100g加重で5回こすっても、塗布膜は剥がれなかった。400g加重で5回こすっても、塗布膜は剥がれなかった。
<考察>
 水溶性アクリル樹脂と、所定値以上のケン価度を有するポリビニルアルコールを含む実施利例1~実施例13は、ポリビニルアルコールを含まない比較例1と水溶性アクリル樹脂を含まず、アクリルエマルションを含む比較例2と、所定値未満のケン価度を有するポリビニルアルコールを含む比較例3とに比べて、耐熱性および密着性に優れるとわかる。
 なお、上記発明は、本発明の例示の実施形態として提供したが、これは単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。当該技術分野の当業者によって明らかな本発明の変形例は、後記請求の範囲に含まれるものである。
 本発明の二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータは、二次電池の製造に好適に用いられる。
 

Claims (7)

  1.  水溶性アクリル樹脂と、ポリビニルアルコールとを含み、
     前記ポリビニルアルコールのケン化度が、85mol%以上である、二次電池セパレータ用コート材原料。
  2.  前記ポリビニルアルコールの含有割合が、前記水溶性アクリル樹脂100質量部に対して、5質量部以上50質量部以下である、請求項1に記載の二次電池セパレータ用コート材原料。
  3.  前記ポリビニルアルコールは、未変性ポリビニルアルコール、および、アニオン性基変性ポリビニルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の二次電池セパレータ用コート材原料。
  4.  前記水溶性アクリル樹脂の重量平均分子量が、10000以上150000以下である、請求項1に記載の二次電池セパレータ用コート材原料。
  5.  請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池セパレータ用コート材原料と、無機粒子とを含む、二次電池セパレータ用コート材。
  6.  多孔膜と、
     前記多孔膜の少なくとも片面に配置される請求項5に記載の二次電池セパレータ用コート材の塗布膜と
    を備える、二次電池セパレータ。
  7.  正極と、負極と、前記正極および前記負極の間に配置される請求項6に記載される二次電池セパレータとを備える、二次電池。
     
PCT/JP2023/041987 2022-11-29 2023-11-22 二次電池セパレータ用コート材原料、二次電池セパレータ用コート材、二次電池セパレータ、および、二次電池 WO2024116997A1 (ja)

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