WO2024105515A1 - 半導体装置、及びその作製方法 - Google Patents

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肥塚純一
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株式会社半導体エネルギー研究所
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Abstract

微細化が容易な半導体装置を提供する。寄生容量が低減された半導体装置を提供する。 半導体装置は、トランジスタ、第1の絶縁層、第2の絶縁層、を有する。トランジスタは第1の導電層、第2の導電層、第3の導電層、半導体層及び第3の絶縁層を有する。第1の絶縁層は第1の導電層の上方に位置し、且つ、第1の導電層に達する第1の開口を有する。第2の導電層は第1の絶縁層の上方に位置する。半導体層は第2の導電層、ならびに第1の開口における第1の絶縁層の側面及び第1の導電層の上面に接する。第3の絶縁層は第1の絶縁層の上面及び第1の開口内における半導体層と接する。第2の絶縁層は第3の絶縁層の上方に位置し、且つ、第1の開口と重なる位置に第3の絶縁層に達する第2の開口を有する。第3の導電層は第2の開口及び第1の開口を埋めるように設けられる。

Description

半導体装置、及びその作製方法
 本発明の一態様は、トランジスタ、半導体装置、記憶装置、表示装置、および電子機器に関する。
 なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
 近年、半導体装置の開発が進められ、CPU、メモリ、またはこれら以外のLSIが主に半導体装置に用いられている。CPUは、半導体ウエハを加工し、チップ化された半導体集積回路(少なくともトランジスタ及びメモリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
 CPU、メモリ、またはこれら以外のLSIの半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えばプリント配線基板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
 また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。該トランジスタは集積回路、及び画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
 また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態におけるリーク電流が極めて小さいことが知られている。例えば、特許文献1には、リーク電流が小さいという特性を応用した低消費電力のCPUなどが開示されている。また、例えば、特許文献2には、長期にわたり記憶内容を保持することができる記憶装置などが、開示されている。
 また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、集積回路のさらなる高密度化への要求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求められている。例えば、特許文献3及び非特許文献1では、酸化物半導体膜を用いる第1のトランジスタと、酸化物半導体膜を用いる第2のトランジスタとを積層させることで、メモリセルを複数重畳して設けることにより、集積回路の高密度化を図る技術が開示されている。また、特許文献4には、酸化物半導体の側面がゲート絶縁体を介してゲート電極に覆われている縦型のトランジスタが開示されている。
特開2012−257187号公報 特開2011−151383号公報 国際公開第2021/053473号 特開2013−211537号公報
M.Oota et.al,"3D−Stacked CAAC−In−Ga−Zn Oxide FETs with Gate Length of 72nm",IEDM Tech.Dig.,2019,pp.50−53
 本発明の一態様は、微細化が容易な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、高集積化が可能な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、寄生容量が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、配線の負荷が低減された半導体装置を提供することを課題の一とする。または、信頼性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。または、良好な電気特性を示す半導体装置を提供することを課題の一とする。または、動作速度が高い半導体装置を提供することを課題の一とする。
 本発明の一態様は、新規な構成を有する半導体装置、記憶装置、表示装置、または電子機器を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減することを課題の一とする。
 なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
 本発明の一態様は、トランジスタと、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、を有する半導体装置である。トランジスタは、第1の導電層、第2の導電層、第3の導電層、半導体層、及び第3の絶縁層を有する。第1の絶縁層は第1の導電層の上方に位置し、且つ、第1の導電層に達する第1の開口を有する。第2の導電層は第1の絶縁層の上方に位置する。半導体層は第2の導電層、ならびに第1の開口における第1の絶縁層の側面及び第1の導電層の上面に接する。第3の絶縁層は第1の開口内における半導体層と接する。第2の絶縁層は第3の絶縁層の上方に位置し、且つ、第1の開口と重なる位置に第3の絶縁層に達する第2の開口を有する。第3の導電層は第2の開口、及び第1の開口を埋めるように設けられる。
 また、上記において、第2の絶縁層は、第3の絶縁層よりも厚い部分を有することが好ましい。
 また、上記において、第3の導電層の上面と接し、且つ、第2の絶縁層を介して半導体層または第2の導電層と重なる部分を有する配線を有することが好ましい。
 また、上記において、第2の開口は一方向に延伸する部分を有することが好ましい。このとき、第3の導電層の、第2の開口内に位置する部分は、配線として機能することが好ましい。
 また、上記において、第1の開口は、下端の開口径よりも、上端の開口径が大きいことが好ましい。
 また、本発明の他の一態様は、第1の開口を有する第1の絶縁層を形成し、第1の絶縁層の第1の開口における側面に接して半導体層を形成し、第1の絶縁層及び半導体層を覆って第3の絶縁層を形成し、第3の絶縁層上であって第1の開口と重なる位置にダミー層を形成し、第3の絶縁層及びダミー層を覆う第2の絶縁層を形成し、第2の絶縁層の上部をエッチングしてダミー層の上面を露出させ、ダミー層を除去して第2の絶縁層に第1の開口と重なり、且つ、第3の絶縁層に達する第2の開口を形成し、第2の開口内に導電層を形成する、半導体装置の作製方法である。
 また、上記において、ダミー層の除去は、ウェットエッチング法を用いて行うことが好ましい。
 また、上記いずれかにおいて、さらに、第2の絶縁層上に導電層と接する配線を形成することが好ましい。
 本発明の一態様によれば、微細化が容易な半導体装置を提供できる。または、高集積化が可能な半導体装置を提供できる。または、寄生容量が低減された半導体装置を提供できる。または、配線の負荷が低減された半導体装置を提供できる。または、信頼性の高い半導体装置を提供できる。または、良好な電気特性を示す半導体装置を提供できる。または、動作速度が高い半導体装置を提供できる。
 本発明の一態様によれば、新規な構成を有する半導体装置、記憶装置、表示装置、または電子機器を提供できる。本発明の一態様によれば、先行技術の問題点の少なくとも一を、少なくとも軽減できる。
 なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
図1A及び図1Bは、半導体装置の構成例である。
図2A乃至図2Cは、半導体装置の構成例である。
図3A及び図3Bは、半導体装置の構成例である。
図4A乃至図4Dは、半導体装置の構成例である。
図5A乃至図5Dは、半導体装置の構成例である。
図6A乃至図6Dは、半導体装置の構成例である。
図7A乃至図7Cは、半導体装置の構成例である。
図8A乃至図8Dは、半導体装置の構成例である。
図9A乃至図9Dは、半導体装置の構成例である。
図10A及び図10Dは、半導体装置の作製方法例を説明する図である。
図11A及び図11Cは、半導体装置の作製方法例を説明する図である。
図12A及び図12Bは、半導体装置の作製方法例を説明する図である。
図13A及び図13Bは、半導体装置の作製方法例を説明する図である。
図14A乃至図14Cは、記憶装置の構成例である。
図15A及び図15Bは、記憶装置の構成例である。
図16A及び図16Bは、記憶装置の構成例である。
図17A及び図17Bは、記憶装置の構成例である。
図18は、記憶装置の構成例である。
図19は、記憶装置の構成例である。
図20A及び図20Bは、記憶装置の構成例である。
図21A乃至図21Dは、記憶装置の構成例である。
図22は、記憶装置の構成例である。
図23A及び図23Bは、表示装置の構成例である。
図24は、表示装置の構成例である。
図25は、表示装置の構成例である。
図26は、表示装置の構成例である。
図27A乃至図27Cは、表示装置の構成例である。
図28A及び図28Bは、表示装置の構成例である。
図29A乃至図29Dは、電子機器の構成例である。
図30A乃至図30Fは、電子機器の構成例である。
図31A乃至図31Gは、電子機器の構成例である。
図32A及び図32Bは、電子部品の構成例である。
図33A乃至図33Cは、大型計算機の構成例である。
図34Aは、宇宙用機器の構成例である。図34Bは、ストレージシステムの構成例である。
 以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
 なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチングパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
 なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
 なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
 トランジスタは半導体素子の一種であり、電流または電圧を増幅する機能、及び、導通または非導通を制御するスイッチング動作などを実現することができる。本明細書におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)及び薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)を含む。
 また、「ソース」と「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合、または回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」と「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
 また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極または配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、コイル、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
 なお、本明細書等において、ある構成要素の上面形状とは、その平面視における当該構成要素の輪郭形状のことを言う。また平面視とは、当該構成要素の被形成面、または当該構成要素が形成される支持体(例えば基板)の表面の法線方向から見ることを言う。
 なお、本明細書等において「上面形状が概略一致」とは、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重なり合わず、上層が下層の内側に位置すること、または上層が下層の外側に位置することもあり、この場合も「上面形状が概略一致」という場合がある。
 なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
 また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「絶縁層」という用語は、「絶縁膜」という用語に相互に交換することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
 本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の構成例、及び作製方法例について説明する。以下では、半導体装置の一例として、トランジスタについて説明する。
 本発明の一態様のトランジスタは、ソース電極とドレイン電極とが異なる高さ(例えばトランジスタが設けられる基板面または絶縁平面に対して垂直な方向における高さ)に位置し、半導体層を流れる電流は高さ方向に流れる。すなわち、チャネル長方向が高さ方向(縦方向)の成分を有するということができるため、本発明の一態様は、縦型トランジスタ、縦型チャネルトランジスタなどとも呼ぶことができる。
 より具体的には、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方である下部電極と、他方である上部電極との間に第1のスペーサとして機能する絶縁層が設けられ、当該絶縁層に設けられた第1の開口の内部において、下部電極と上部電極を繋ぐように、チャネルが形成される半導体層が設けられる。第1の開口の内部には、半導体層と重ねてゲート絶縁層と、ゲート電極とが設けられる。ソース電極、半導体層、及びドレイン電極を重ねて設けることが可能なため、半導体層を平面上に配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタと比較して、大幅に占有面積を縮小することができる。
 さらに、ゲート電極と電気的に接続するゲート配線を設けることが好ましい。このとき、ゲート配線と上部電極との間に、第2のスペーサとして機能する絶縁層を設ける。例えば、第2のスペーサはゲート絶縁層よりも厚いことが好ましい。また、第2のスペーサは、酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどの低誘電率材料を用いることが好ましい。これにより、ゲート配線と上部電極との寄生容量を効果的に低減することができる。
 ゲート電極は、第2のスペーサに設けられた第2の開口、及び第1のスペーサに設けられた第1の開口のそれぞれの内部に設けられる。ゲート電極は、その上面が第2のスペーサ上に設けられるゲート配線と接する構成とすることができる。
 または、ゲート電極自体をゲート配線として用いてもよい。例えば、第2のスペーサに設ける第2の開口を配線と同様の形状とし、当該第2の開口に埋め込まれるようにゲート電極を形成する。これにより、ゲート配線を別途設ける必要がないため工程を簡略化できる。
 半導体装置の作製方法としては、まず第1のスペーサの第1の開口に位置する側面に沿って半導体層とゲート絶縁層を形成し、その上に第2のスペーサを形成した後に、ゲート電極を埋め込むための第2の開口を形成する。なおこの方法では、第2の開口の形成時、第2のスペーサの一部をゲート絶縁層に達するまでエッチングする必要がある。このときゲート絶縁層がエッチングダメージを受けると、トランジスタの信頼性が低下してしまう恐れがある。そこで、第2のスペーサを形成する前に、後にゲート電極が設けられる位置にダミーパターン(ダミーゲートともいう)を形成し、ダミーゲートを覆うように第2のスペーサを形成する。続いて、第2のスペーサの上部をエッチングしてダミーゲートの上面を露出させた後にダミーゲートを除去し、当該ダミーゲートを除いた後の窪みを埋めるように、ゲート電極を形成する。このような方法により、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
 ここで、トランジスタのチャネル長は、第1のスペーサとして機能する絶縁層の厚さによって精密に制御することが可能となるため、プレーナ型のトランジスタと比較して、チャネル長のばらつきを極めて小さくできる。さらには、当該絶縁層を薄くすることで、極めてチャネル長の短いトランジスタも作製することができる。例えばチャネル長が2μm以下、1μm以下、500nm以下、300nm以下、200nm以下、100nm以下、50nm以下、30nm以下、または20nm以下であって、5nm以上、7nm以上、または10nm以上のトランジスタを作製することができる。そのため、量産用の露光装置では実現できなかった、極めて小さいチャネル長のトランジスタを実現することができる。また、最先端のLSI技術で用いられる極めて高額な露光装置を用いることなく、チャネル長が10nm未満のトランジスタを実現することもできる。
 本発明の一態様のトランジスタは、チャネル長を極めて小さくでき、占有面積を縮小することができ、大きな電流を流すことができ、寄生容量を小さくでき、高速に動作させることができる。本発明の一態様のトランジスタは、様々な半導体装置に適用することができる。例えば、記憶装置、演算装置、表示装置、撮像装置などがある。
 以下では、より具体的な例について図面を参照して説明する。
[構成例]
 図1A、図1Bに、それぞれトランジスタ10の斜視概略図を示す。図1Bは、図1Aの一部を切り欠いた斜視図である。また、図1A、図1Bでは一部の構成要素(層間絶縁層など)については輪郭のみ破線で示している。
 図1A及び図1Bでは、X方向、Y方向、及びZ方向を矢印で示している。なお、図1Aと図1Bとで同じX、Y、Zの符号で示しているが、必ずしもこれらの間で方向が一致しなくてもよい。
 また、図2Aにトランジスタ10の平面図を、図2B、図2Cにはそれぞれ図2A中の切断線A1−A2、B1−B2に対する断面概略図を示している。なお図2Aでは、一部の構成要素(絶縁層など)を省略している。
 トランジスタ10は、基板(図示しない)上に設けられる絶縁層11上に設けられる。トランジスタ10は、ソース電極及びドレイン電極の一方として機能する導電層31と、半導体層21と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層22と、ゲート電極として機能する導電層23と、ソース電極及びドレイン電極の他方として機能する導電層32と、を有する。導電層31、及び導電層32は配線としても機能する。
 絶縁層11上に導電層31が設けられ、導電層31上に絶縁層41が設けられる。絶縁層41上には導電層32が設けられる。絶縁層41は導電層31に達する開口20aを有する。半導体層21は、絶縁層41の開口20aの内壁(側面、側壁ともいう)に接して設けられ、導電層31の上面、ならびに導電層32の上面及び側面とそれぞれ接する。絶縁層22は、絶縁層45、導電層32、及び半導体層21を覆って設けられる。絶縁層22の開口20aの内側に位置する部分は、半導体層21の上面に沿って設けられる。
 絶縁層22上に、絶縁層42が設けられる。絶縁層42は、開口20aと重なり、且つ絶縁層22に達する開口20bを有する。導電層23は、開口20a及び開口20b内に埋め込まれるように、絶縁層22の表面に接して設けられる。
 絶縁層42及び導電層23は、それぞれ上面が平坦化され、上面の高さが概略一致している。絶縁層42上には、配線として機能する導電層33が設けられる。導電層33は、導電層23の上面に接して設けられる。導電層33は、例えばゲート配線として機能する。
 ここで、導電層31は絶縁層44に埋め込まれ、導電層32は絶縁層45に埋め込まれ、導電層33は絶縁層46に埋め込まれている。さらにこれらは、上面が平坦化されており、導電層と絶縁層の上面の高さが概略一致している。このような構成とすることで、段差の影響を無くすことができるため好ましい。絶縁層44、絶縁層45、及び絶縁層46は層間絶縁層として機能する。例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコンなどの低誘電率の無機絶縁材料を用いることが好ましい。
 上記のような構成のトランジスタ10は、ソース電極とドレイン電極とが、異なる高さに位置しているため、半導体を流れる電流は高さ方向に流れることとなる。すなわち、チャネル長方向が高さ方向(縦方向)の成分を有するということができるため、本発明の一態様のトランジスタは、VFET(Vertical Field Effect Transistor)、縦型トランジスタ、縦型チャネルトランジスタ、などとも呼ぶことができる。トランジスタ10は、ソース電極、半導体、及びドレイン電極を、それぞれ重ねて設けることが可能となるため、半導体を平面上に配置した、いわゆるプレーナ型のトランジスタ(横型トランジスタ、LFET(Lateral FET)などとも呼ぶことができる)と比較して、大幅に占有面積を縮小することができる。
 また、トランジスタ10のチャネル長は、スペーサとして機能する絶縁層41の厚さによって精密に制御することが可能となるため、プレーナ型のトランジスタと比較して、チャネル長のばらつきを極めて小さくできる。さらには、絶縁層41を薄くすることで、極めてチャネル長の短いトランジスタも作製することができる。例えばチャネル長が50nm以下、30nm以下、または20nm以下であって、5nm以上、7nm以上、または10nm以上のトランジスタを作製することができる。そのため、最先端のLSI技術で用いられる極めて高額な露光装置を用いることなく、従来の量産用の露光装置であっても、チャネル長が10nm未満のトランジスタを実現することもできる。
 半導体層21には様々な半導体材料を用いることができるが、特に金属酸化物を含む酸化物半導体を用いることが好ましい。適切な条件で形成された酸化物半導体を用いることで、高いオン電流と極めて低いオフ電流を兼ね備えたトランジスタを低コストで実現することができる。以下では特に断りのない場合、半導体層21に酸化物半導体を用いた場合の好適な構成例について説明する。
 導電層31及び導電層32は、それぞれ上面に半導体層21が接する構成となる。そのため半導体層21に酸化物半導体を用いた場合、半導体層21となる半導体膜の成膜工程またはその後にかかる熱の影響などにより導電層31及び導電層32の露出した表面近傍が酸化し、半導体層21との間に絶縁性の酸化物膜が形成され、接触抵抗が増大してしまう恐れがある。そこで、導電層31及び導電層32の少なくとも最上部には導電性の酸化物を含む酸化物導電体を用いることが好ましい。これにより、導電層31及び導電層32の表面の酸化による接触抵抗の上昇を防止することができる。導電層31及び導電層32は、酸化物層、金属酸化物層、または酸化物導電体層などとも呼ぶことができる。
 導電層31は、ソース配線及びドレイン配線の一方として用いることができる。また導電層32は、ソース配線及びドレイン配線の他方として用いることができる。このように、導電層31及び導電層32の一方または双方を配線として用いる場合、電気抵抗が低いことが好ましい。そのため、金属、合金、またはこれらの窒化物など、酸化物導電体と比較して導電性の高い材料を用いることが好ましい。特に、導電層31及び導電層32の一方または双方を当該導電性の高い材料の層を含む積層構造とし、少なくとも最上部には上述した酸化物導電体を用いることが好ましい。
 ここで、トランジスタ10は、ゲート配線として機能する導電層33と、ソース配線またはドレイン配線として機能する導電層32の交差部に設けられる。そのため、導電層33と導電層32の交差部において、これらが重畳する部分には寄生容量が生じることとなる。しかしながら、本発明の一態様では、導電層33と導電層32との間には絶縁層42が設けられているため、絶縁層42を設けない場合(例えば導電層33と導電層32とが絶縁層22を介して重なる場合)と比較して、寄生容量が大幅に低減されている。
 さらに、絶縁層42の厚さを厚くすることにより、導電層33と導電層32との間の寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁層42は、絶縁層22よりも厚くすることができる。また、絶縁層42を、絶縁層44、絶縁層45、または絶縁層46の少なくとも一つよりも厚くすることがより好ましい。絶縁層42は厚いほど、導電層33と導電層32との寄生容量を減らすことができるため好ましいが、生産性を考慮した厚さとすればよい。例えば絶縁層41の厚さの2倍以下、または3倍以下とすることができる。
 図2B、図2Cには、図1A、図1Bにおける絶縁層41として、絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cの積層膜を用いた場合を示している。また、図3Aには、図2Bの拡大図を示している。
 半導体層21は、絶縁層41bの開口20a内の内壁と接して設けられる。絶縁層41bには酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。特に、加熱により酸素を放出する酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。また、絶縁層41bを酸素に対するバリア性を有する絶縁層41a及び41cで挟み込む構造とすることが好ましい。これにより、絶縁層41bに含まれる酸素は、絶縁層41a、絶縁層41c、及び半導体層21に囲まれた領域に閉じ込めることが可能で、絶縁層41b中の酸素が工程中に脱離し、減少することを防ぐことができるため、より効率的に半導体層21に酸素を供給することができる。
 半導体層21のうち、絶縁層41bと接する部分は酸素欠損が低減された領域であり、i型の領域と言える。一方、絶縁層41bと接しない部分はキャリアを多く含むn型の領域とすることが好ましい。すなわち、半導体層21の絶縁層41bと接する部分をチャネル形成領域、それよりも外側の領域を低抵抗領域(ソース領域、またはドレイン領域ともいう)と呼ぶことができる。図3Aでは、半導体層21のチャネル形成領域21iと、低抵抗領域21nとに異なるハッチングパターンを付して示している。
 このとき、トランジスタ10のチャネル長Lは、図3Aに示すように、半導体層21の導電層31と接する部分と導電層32と接する部分とを最短距離でつなぐ経路上であって、絶縁層41bと接する部分の長さということができる。絶縁層41bの開口20aの側壁の角度(θ)が90度のとき、チャネル長Lは絶縁層41bの厚さと一致する。θを90度よりも小さく(または大きく)することで、チャネル長Lを絶縁層41bの厚さよりも大きくすることができる。
 一方、トランジスタ10のチャネル幅Wは、開口20aの形状に依存する。図3Bは、図3A中の絶縁層41bが設けられる高さに位置する切断線C1−C2で切断したときの切断面を、Z方向から見た時の平面図である。ここでは、開口20aを円筒状の形状とした場合について示している。開口20aの輪郭が直径Rの円であるとき、チャネル幅Wは、開口20aの円周(すなわち、=π×R)とみなすことができる。ここで、絶縁層41bの開口20aの側壁の角度θが90度からずれる場合には、高さに応じて開口20aの円周が異なる。その場合には、開口20aの径が最も小さい高さの円周をチャネル幅Wとみなしてもよいし、開口20aの上端の高さにおける円周をチャネル幅Wとみなしてもよい。
 半導体層21及び絶縁層22は、絶縁層41bの開口20aの内壁に沿って形成されるため、成膜方法によっては、この部分の厚さが薄くなる場合がある。例えばスパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法では、基板面に対して平行な面に成膜される膜と比較して、基板面に対して傾斜している面又は垂直な面に成膜される膜が薄くなる傾向がある。一方、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法または熱CVD法などの成膜方法では、被形成面の角度に寄らず厚さの均一な膜を成膜することができる。例えば、絶縁層41bの開口20aの側壁の角度θが75度以上、80度以上、または85度以上の場合には、ALD法を用いて半導体層21及び絶縁層22を形成することが好ましい。
 絶縁層42に設けられる開口20bの径は、絶縁層41bに設けられる開口20aと同じ、またはこれよりも大きい方が好ましい。開口20bを開口20aよりも大きくすることで、開口20bを形成する際の位置ずれなどにより開口20aと開口20bが重ならず、開口20aが塞がってしまうことを防ぐことができる。
 ここで、絶縁層42の厚さは、チャネル長L以上としてもよい。例えば、絶縁層42の厚さを、絶縁層41bの厚さ以上とすることにより、より効果的に寄生容量を低減することができる。
[構成要素について]
〈基板〉
 トランジスタを形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムを材料とした半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などを用いることもできる。さらには、絶縁体基板に導電層または半導体層が設けられた基板、半導体基板に導電層または絶縁層が設けられた基板、導電体基板に半導体層または絶縁層が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
〈半導体層〉
 半導体層21は、金属酸化物(酸化物半導体)を有することが好ましい。
 半導体層21に用いることができる金属酸化物として、例えば、In酸化物、Ga酸化物、及びZn酸化物が挙げられる。金属酸化物は、少なくともInまたはZnを含むことが好ましい。また、金属酸化物は、Inと、元素Mと、Znと、の中から選ばれる二または三を有することが好ましい。なお、元素Mは、酸素との結合エネルギーが高い金属元素又は半金属元素であり、例えば、酸素との結合エネルギーがInよりも高い金属元素又は半金属元素である。元素Mとして、具体的には、Al、Ga、Sn、Y、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Mo、Hf、Ta、W、La、Ce、Nd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Si、Ge、及びSbなどが挙げられる。金属酸化物が有する元素Mは、上記元素のいずれか一種または複数種であることが好ましく、特に、Al、Ga、Y、及びSnから選ばれた一種または複数種であることが好ましく、Gaがより好ましい。なお、Inと、Mと、Znと、を有する金属酸化物を、以降ではIn−M−Zn酸化物と呼ぶ場合がある。なお、本明細書等において、金属元素と半金属元素をまとめて「金属元素」と呼ぶことがあり、本明細書等に記載の「金属元素」には半金属元素が含まれることがある。
 金属酸化物がIn−M−Zn酸化物の場合、当該In−M−Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。例えば、このようなIn−M−Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=2:1:3、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:3、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8、In:M:Zn=6:1:6、In:M:Zn=5:2:5、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。金属酸化物中のインジウムの原子数比を大きくすることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることができる。
 また、In−M−Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比未満であってもよい。例えば、このようなIn−M−Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:3:2、In:M:Zn=1:3:3、In:M:Zn=1:3:4、またはこれらの近傍の組成等が挙げられる。金属酸化物中のMの原子数比を大きくすることで、酸素欠損の生成を抑制することができる。
 半導体層21は、例えば、In−Zn酸化物、In−Ga酸化物、In−Sn酸化物、In−Ti酸化物、In−Ga−Al酸化物、In−Ga−Sn酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Ti−Zn酸化物、In−Ga−Sn−Zn酸化物、In−Ga−Al−Zn酸化物などを用いることができる。また、Ga−Zn酸化物を用いてもよい。
 なお、金属酸化物は、Inに代えて、又は、Inに加えて、周期の数が大きい金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属元素の軌道の重なりが大きいほど、金属酸化物におけるキャリア伝導は大きくなる傾向がある。よって、周期の数が大きい金属元素を含むことで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。周期の数が大きい金属元素として、第5周期に属する金属元素、及び第6周期に属する金属元素などが挙げられる。当該金属元素として、具体的には、Y、Zr、Ag、Cd、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuなどが挙げられる。なお、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、及びEuは、軽希土類元素と呼ばれる。
 また、金属酸化物は、非金属元素の一種または複数種を有してもよい。金属酸化物が非金属元素を有することで、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる場合がある。非金属元素として、例えば、炭素、窒素、リン、硫黄、セレン、フッ素、塩素、臭素、及び水素などが挙げられる。
 金属酸化物の形成は、スパッタリング法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法を好適に用いることができる。なお、金属酸化物をスパッタリング法で形成する場合、成膜後の金属酸化物の組成はターゲットの組成と異なる場合がある。特に亜鉛は、成膜後の金属酸化物における含有率が、ターゲットと比較して50%程度にまで減少する場合がある。
 本明細書等において、金属酸化物のある金属元素の含有率とは、金属酸化物に含まれる金属元素の原子数の総数に対する、その元素の原子数の割合をいう。例えば金属酸化物が金属元素X、金属元素Y、金属元素Zを含み、当該金属酸化物に含まれる金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数をA、A、Aとしたとき、金属元素Xの含有率は、A/(A+A+A)で示すことができる。また、金属酸化物中の金属元素X、金属元素Y、金属元素Zのそれぞれの原子数の比(原子数比)が、B:B:Bで示されるとき、金属元素Xの含有率は、B/(B+B+B)で示すことができる。
 例えば、Inを含む金属酸化物の場合、Inの含有率を高くすることにより、オン電流の大きいトランジスタを実現することができる。
 半導体層21にGaを含まない、またはGaの含有率の低い金属酸化物を用いることにより、正バイアス印加に対する信頼性が高いトランジスタとすることができる。つまり、PBTS(Positive Bias Temperature Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。また、Gaを含む金属酸化物を用いる場合は、Inの含有率よりも、Gaの含有率を低くすることが好ましい。これにより、高移動度で且つ信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
 一方、Gaの含有率を高くすることにより、光に対する信頼性の高いトランジスタとすることができる。つまり、NBTIS(Negative Bias Temperature Illumination Stress)試験でのしきい値電圧の変動量が小さいトランジスタとすることができる。具体的には、Gaの原子数比がInの原子数比以上である金属酸化物はバンドギャップがより大きくなり、トランジスタのNBTIS試験でのしきい値電圧の変動量を小さくすることができる。
 また、亜鉛の含有率を高くすることにより、結晶性の高い金属酸化物となり、金属酸化物中の不純物の拡散を抑制できる。したがって、トランジスタの電気特性の変動が抑制され、信頼性を高めることができる。
 半導体層21は、2以上の金属酸化物層を有する積層構造としてもよい。半導体層21が有する2以上の金属酸化物層は、組成が互いに同じ、または概略同じであってもよい。組成が同じ金属酸化物層の積層構造とすることで、例えば、同じスパッタリングターゲットを用いて形成できるため、製造コストを削減できる。なお、異なる組成の酸化物半導体層を2以上積層した積層構造としてもよい。また、ALD法を用いることで、組成が厚さ方向に連続的に異なる金属酸化物層を形成することもできる。これにより、決まった組成の膜を用いる場合と比較して設計の選択の幅が広がるだけでなく、組成の異なる2層の間に生じる界面準位などの生成を防ぐことができるため、電気特性及び信頼性を高めることができる。
 半導体層21を2層構造とする場合、二層目、すなわちゲート電極に近い側に一層目よりも高移動度の材料(導電性の高い材料)を用いることが好ましい。これによりノーマリオフであり、且つオン電流の大きいトランジスタとすることができる。そのため低い消費電力と高い性能を両立することができる。または、一層目、すなわちソース電極及びドレイン電極と接する側に、二層目よりも高移動度の材料を用いてもよい。これにより半導体層21とソース電極またはドレイン電極との接触抵抗を小さくできるため、寄生抵抗が低減され、オン電流の大きいトランジスタとすることができる。
 また、半導体層21を3層構造とする場合、二層目に一、三層目よりも高移動度の材料を用いることが好ましい。これにより、オン電流が高く、且つ信頼性の高いトランジスタを実現できる。
 上述した移動度の高さ、導電性の高さの違いは、例えばインジウムの含有率の高さに置き換えることができる。そのほか、インジウムの他に導電性の向上に寄与する元素を含むか否か、またはその含有量なども移動度および導電性に影響する。高移動度の材料の一例としては、例えばIn:Ga:Zn=4:3:2[原子数比]及びその近傍の材料、In:Zn=1:1[原子数比]及びその近傍の材料、In:Zn=4:1[原子数比]及びその近傍の材料、In:Sn:Zn=40:X:10[原子数比](Xは0.1以上5以下、代表的にはX=1)及びその近傍の材料などが挙げられる。一方、上述した材料と比較して移動度または導電性の低い材料としては、In:Ga:Zn=1:3:2[原子数比]及びその近傍の材料、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]及びその近傍の材料、In:Ga:Zn=2:2:1[原子数比]及びその近傍の材料、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]及びその近傍の材料、In:Ga:Zn=1:1:2[原子数比]及びその近傍の材料などが挙げられる。
 半導体層21は、結晶性を有する金属酸化物層を用いることが好ましい。例えば、CAAC(c−axis aligned crystal)構造、多結晶構造、微結晶(nc:nano−crystal)構造等を有する金属酸化物層を用いることができる。結晶性を有する金属酸化物層を半導体層21に用いることにより、半導体層21中の欠陥準位密度を低減でき、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
 半導体層21に用いる金属酸化物層の結晶性が高いほど、半導体層21中の欠陥準位密度を低減できる。一方、結晶性の低い金属酸化物層を用いることで、大きな電流を流すことができるトランジスタを実現することができる。
 酸化物半導体を用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと記す)は、非晶質シリコンを用いたトランジスタと比較して電界効果移動度が極めて高い。また、OSトランジスタは、オフ状態におけるソース−ドレイン間のリーク電流(以下、オフ電流ともいう)が著しく小さく、当該トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することが可能である。また、OSトランジスタを適用することで、半導体装置の消費電力を低減することができる。
 本発明の一態様である半導体装置は、例えば、表示装置に適用することができる。表示装置の画素回路に含まれる発光デバイスの発光輝度を高くする場合、発光デバイスに流す電流量を大きくする必要がある。そのためには、画素回路に含まれている駆動トランジスタのソース−ドレイン間電圧を高くする必要がある。OSトランジスタは、シリコンを用いたトランジスタ(以下、Siトランジスタと記す)と比較して、ソース−ドレイン間において耐圧が高いため、OSトランジスタのソース−ドレイン間には高い電圧を印加することができる。したがって、画素回路に含まれる駆動トランジスタをOSトランジスタとすることで、発光デバイスに流れる電流量を大きくし、発光デバイスの発光輝度を高くすることができる。
 トランジスタが飽和領域で動作する場合において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも、ゲート−ソース間電圧の変化に対して、ソース−ドレイン間電流の変化を小さくすることができる。このため、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを適用することで、発光デバイスに流れる電流量を細かく制御することができる。このため、画素回路における階調を大きくすることができる。また、発光デバイスの電気特性(例えば抵抗)の変動、または電気特性のばらつきが生じたとしても、安定した電流を流すことができる。
 上記のとおり、画素回路に含まれる駆動トランジスタにOSトランジスタを用いることで、「黒浮きの抑制」、「発光輝度の上昇」、「多階調化」、「発光デバイスの製造ばらつきの影響の抑制」などを図ることができる。
 OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい、つまり放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境においても好適に用いることができる。OSトランジスタは、放射線に対する信頼性が高いともいえる。例えば、X線のフラットパネルディテクタの画素回路に、OSトランジスタを好適に用いることができる。また、OSトランジスタは、宇宙空間で使用する半導体装置に好適に用いることができる。放射線として、電磁放射線(例えば、X線、及びガンマ線)、及び粒子放射線(例えば、アルファ線、ベータ線、陽子線、及び中性子線)が挙げられる。
 なお、半導体層21に用いることができる半導体材料は、酸化物半導体に限定されない。例えば、単体元素よりなる半導体、または化合物半導体を用いることができる。単体元素よりなる半導体としては、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、非晶質シリコンを含む)またはゲルマニウムなどが挙げられる。化合物半導体として、例えば、ヒ化ガリウム、シリコンゲルマニウムが挙げられる。化合物半導体として、有機半導体、窒化物半導体、または酸化物半導体等が挙げられる。なお、これらの半導体材料に、ドーパントとして不純物が含まれてもよい。
 または、半導体層21は、半導体として機能する層状物質を有してもよい。層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合またはイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス結合のような、共有結合またはイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
 上記層状物質として、例えば、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物などが挙げられる。カルコゲン化物は、カルコゲン(第16族に属する元素)を含む化合物である。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイドなどが挙げられる。トランジスタの半導体層として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe)、硫化タングステン(代表的にはWS)、セレン化タングステン(代表的にはWSe)、タングステンテルル(代表的にはWTe)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe)などが挙げられる。
 半導体層21に用いる半導体材料の結晶性は特に限定されず、非晶質半導体、単結晶性半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(多結晶半導体、微結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
〈ゲート絶縁層〉
 絶縁層22はトランジスタのゲート絶縁層として機能し、容量素子の誘電層としても機能する。半導体層21に酸化物半導体を用いた場合、絶縁層22の少なくとも半導体層21と接する膜には、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、及びGa−Zn酸化物の一または複数を用いることができる。このほか、絶縁層22として、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜を用いることもできる。また、絶縁層22は積層構造を有していてもよく、例えば酸化物絶縁膜と窒化物絶縁膜とをそれぞれ1以上有する積層構造としてもよい。
 なお、本明細書等において、酸化窒化物は窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指す。窒化酸化物は酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
 また、絶縁層22は、high−k材料からなる絶縁材料を積層して用いることが好ましく、比誘電率が高い(high−k)材料と、当該high−k材料より絶縁耐力が大きい材料との積層構造を用いることが好ましい。例えば、絶縁層22として、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの順番で積層された絶縁膜(ZAZともいう)を用いることができる。また、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムの順番で積層された絶縁膜(ZAZAともいう)を用いることができる。また、例えば、ハフニウムジルコニウム酸化物、酸化アルミニウム、ハフニウムジルコニウム酸化物、酸化アルミニウムの順番で積層された絶縁膜を用いることができる。酸化アルミニウムのような、比較的絶縁耐力が大きい絶縁体を積層して用いることで、絶縁耐力が向上し、容量素子の静電破壊を抑制できる。
 また、絶縁層22として、強誘電性を示す材料を用いてもよい。強誘電性を示す材料としては、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、HfZrO(Xは0よりも大きい実数とする)などの金属酸化物が挙げられる。
〈導電層〉
 導電層31及び導電層32は、それぞれ上面が半導体層21と接する。ここで、半導体層21として酸化物半導体を用いた場合、導電層31または導電層32の上部に例えばアルミニウムなどの酸化しやすい金属を用いると、導電層31または導電層32と半導体層21との間に絶縁性の酸化物(例えば酸化アルミニウム)が形成され、これらの導通を妨げる恐れがある。そのため、導電層31及び導電層32の少なくとも最上部には、酸化しにくい導電材料、酸化しても電気抵抗が低く保たれる導電材料、または酸化物導電性材料を用いることが好ましい。
 導電層31及び導電層32としては、例えばチタン、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、ルテニウム、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。これらは、酸化されにくい導電性材料、または、酸化しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
 または、酸化インジウム、酸化亜鉛、In−Sn酸化物、In−Zn酸化物、In−W酸化物、In−W−Zn酸化物、In−Ti酸化物、In−Ti−Sn酸化物、In−Sn−Si酸化物、Ga−Zn酸化物などの導電性酸化物を用いることができる。特にインジウムを含む導電性酸化物は、導電性が高いため好ましい。または、上記半導体層21に適用できるIn−Ga−Zn酸化物などの酸化物材料も、キャリア濃度を高めることで導電層として用いることができる。
 導電層23はゲート電極として機能し、様々な導電性材料を用いることができる。導電層23としては、例えばアルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンなどから選ばれた金属元素、当該金属元素を成分とする合金を用いることが好ましい。また、上記金属または合金の窒化物、もしくは上記金属または合金の酸化物を用いてもよい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
 また導電層23には、上記導電層31及び導電層32に用いることができる、窒化物、及び酸化物を適用してもよい。
 導電層31及び導電層32は、配線としても機能するため、低抵抗な導電性材料を積層して用いることもできる。また導電層33は低抵抗であるほど好ましい。導電層31、導電層32、及び導電層33としては、上記導電層23と同様の導電性材料を用いることができる。
〈絶縁層〉
 絶縁層41(又は絶縁層41b)は、半導体層21と接する部分を有する。半導体層21に酸化物半導体を用いた場合、半導体層21と絶縁層41との界面特性を向上させるため、絶縁層41の少なくとも半導体層21と接する部分には酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを好適に用いることができる。
 また、絶縁層41には、加熱により酸素を放出する膜を用いるとより好ましい。これにより、トランジスタ10の作製工程中にかかる熱により半導体層21に酸素が供給され、半導体層21中の酸素欠損の低減を図ることができ、信頼性を高めることができる。絶縁層41に酸素を供給する方法としては、酸素雰囲気下における加熱処理、酸素雰囲気下におけるプラズマ処理などが挙げられる。また、絶縁層41の上面に対してスパッタリング法により、酸素雰囲気下で酸化物膜を成膜することで酸素を供給してもよい。その後、当該酸化物膜を除去してもよい。
 絶縁層41は、スパッタリング法、またはプラズマCVD法などの成膜方法で形成することが好ましい。特に、スパッタリング法を用い、成膜ガスに水素ガスを用いない成膜方法で成膜することで、水素の含有量の極めて少ない膜とすることができる。そのため、半導体層21に水素が供給されることを抑制し、トランジスタ10の電気特性の安定化を図ることができる。
 絶縁層41a及び絶縁層41cは、酸素が拡散しにくい膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層41bに含まれる酸素が、加熱により絶縁層41aを介して絶縁層11側に透過すること、及び、絶縁層41cを介して絶縁層22側に透過することを防ぐことができる。言い換えると、酸素が拡散しにくい絶縁層41a及び絶縁層41cで絶縁層41bの上下を挟むことで、絶縁層41bに含まれる酸素を閉じ込めることができる。これにより、半導体層21に効果的に酸素を供給することができる。
 絶縁層41a及び絶縁層41cとしては、例えば窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、及びハフニウムアルミネートの一または複数を用いることができる。特に窒化シリコン及び、窒化酸化シリコンは自身からの不純物(例えば、水及び水素)の放出が少なく、酸素及び水素が透過しにくい特徴を有するため、絶縁層41a及び絶縁層41cとして好適に用いることができる。
[変形例]
 以下では、上記構成例とは一部の構成が異なる例について説明する。なお、上記と重複する部分については説明を省略する場合がある。
〈変形例1〉
 図4A、図4Bに、トランジスタ10aの断面概略図を示す。図4Aは図2Bと同様に、導電層32の延伸方向に平行な切断面における断面図であり、図4Bは図2Cと同様に、導電層33の延伸方向に平行な切断面における断面図である。トランジスタ10aは、上記トランジスタ10と比較して開口20bの形状が主に異なる。
 トランジスタ10aでは、半導体層21の端部が開口20bの内側に位置している。また図4Aに示すように、開口20bの径は導電層33の幅よりも大きい。
 このように、開口20bの径を大きくすることで、導電層23と導電層33との接触面積を大きくできるため、これらの接触抵抗を低減することができる。
〈変形例2〉
 図4C、図4Dに示すトランジスタ10bは、開口20aの側壁がテーパ形状である場合の例である。トランジスタ10bでは、開口20aの下端の径(開口径)よりも、上端の径(開口径)の方が大きい。
 開口20aの側壁をテーパ形状とすることで、半導体層21、絶縁層22などの被覆性が向上し、スパッタリング法などの成膜方法を用いても、膜中の低密度な領域などの欠陥の生成を抑制できる。例えば角度θは、45度以上90度以下、または60度以上90度未満、または70度以上90度未満とすることができる。なお、ALD法などの被覆性が極めて高い成膜方法を用いる場合には、角度θが90度よりも大きくてもよい。
 開口20aの側壁がテーパ形状である場合、トランジスタ10cのチャネル幅に対応する開口20aの径は導電層31側から導電層32側に向かって大きくなる。このとき、トランジスタ10cに流れる電流の大きさは最も小さい径である部分に制限される。したがって、トランジスタ10cのチャネル幅は、最も小さい径の部分の周長とみなすことができる。したがって、開口20aの側壁をテーパ形状とすることで、開口20aの上端の径よりも小さいチャネル幅のトランジスタを作製することができる。
 また、図5A、図5Bに示すトランジスタ10cと、図5C、図5Dに示すトランジスタ10dは、開口20aだけでなく開口20bも、側壁の角度が90度からずれている場合の例である。特に図5C、図5Dに示すように、開口20bの上端の径が下端の径よりも大きいことで、導電層23と導電層33との接触面積を大きくできるため好ましい。
〈変形例3〉
 図6A、図6Bに示すトランジスタ10eは、主に導電層26及び絶縁層27を有する点で上記トランジスタ10と相違している。
 導電層26は第2のゲート電極(またはバックゲート電極)として機能する。また絶縁層27は導電層26と半導体層21との間に位置し、第2のゲート絶縁層(またはバックゲート絶縁層)として機能する。導電層26には、固定電位、または任意の信号を与えることができる。導電層26を設け、導電層26に適当な電位を与えることにより、半導体層21のバックチャネル側の電位を固定することができるため、電気特性のばらつきを減らすことができる。また、導電層26は、導電層31、導電層32、または導電層23のいずれか一つと電気的に接続され、同一の電位が与えられてもよい。
 導電層26は絶縁層41bに埋め込まれている。そのため導電層26は絶縁層41aと絶縁層41cの間に設けられている。絶縁層27は、導電層32、絶縁層41c、導電層26、及び絶縁層41aの側面に沿って設けられている。例えば絶縁層27は、導電層32、絶縁層41c、導電層26、及び絶縁層41aに開口を形成し、被覆性の高い成膜方法により当該開口を覆う絶縁膜を成膜したのちに、異方性のエッチングを行うことで形成することができる。
〈変形例4〉
 図6C、図6Dに示すトランジスタ10fは、主に導電層31の形状が異なる点で、トランジスタ10、トランジスタ10aなどと相違している。
 導電層31には凹部が設けられ、当該凹部に沿って半導体層21、絶縁層22、及び導電層23が設けられている。このとき、導電層23の下端の高さが、導電層31の上面の高さよりも低いことが好ましい。
 トランジスタ10fにおいて、半導体層21の導電層31と接する部分はチャネル形成領域よりも低抵抗な領域となる。したがって、導電層23の下端の高さが導電層31の上面よりも低く位置することで、半導体層21のチャネル形成領域全体に均一にゲート電界を与えることができ、半導体層21中にゲート電界が届きにくいために高抵抗な領域(オフセット領域)ができることを防ぐことができる。そのため、オン電流が高められたトランジスタを実現することができる。このような構成を実現するためには、例えば導電層31の厚さを、少なくとも半導体層21の厚さと絶縁層22の厚さの総和よりも厚くすることが好ましい。
〈変形例5〉
 上記では、導電層33と導電層32との寄生容量を低減可能な構成について説明したが、例えば高速動作が求められない回路など、配線容量に求められる要求が厳しくない場合には、導電層23がゲート電極とゲート配線を兼ねる構成とし、導電層33を設けない構成としてもよい。これにより、作製工程を大幅に削減することができる。
 図7A、図7B、図7Cに示すトランジスタ10gは、導電層33を有さない点、及び導電層23の形状が一部異なる点で、トランジスタ10と主に相違している。
 トランジスタ10gでは、絶縁層42に設けられる開口20bの形状(すなわち導電層23の形状)が、円筒形ではなく、一方向に延伸した形状となっている。トランジスタ10gでは、開口20bおよび導電層23がY方向に延伸した形状である場合の例を示している。
 このとき、開口20bの延伸方向と直交する方向の径(図7Bにおける開口20bの径)が小さいほど、すなわち、導電層23の幅が細いほど、導電層23と導電層32とが交差する面積を縮小でき、これらの間の寄生容量を低減できるため好ましい。例えば、当該径を、半導体層21の幅以下、もしくは、開口20aの径と同等またはそれ以下とすることが好ましい。
 図8A、図8Bに示すトランジスタ10hでは、開口20bの延伸方向と直交する方向の径が、半導体層21の幅よりも大きい場合の例を示している。このように、導電層23の幅を広げることで、導電層23の配線抵抗を低減することができる。
 図8C、図8Dに示すトランジスタ10iは、上記トランジスタ10bの変形例であり、導電層23が配線を兼ねる構成である。また同様に、図9A、図9Bに示すトランジスタ10jは、上記トランジスタ10eの変形例であり、図9C、図9Dに示すトランジスタ10kは、上記トランジスタ10fの変形例である。
 以上が、変形例についての説明である。
[作製方法例]
 続いて、本発明の一態様の半導体装置の作製方法について説明する。ここでは、上記トランジスタ10の作製方法の一例について説明する。
 図10A乃至図13Bは、以下で例示する半導体装置の作製方法の各工程における断面概略図である。各図において、左側に図2Bに対応する断面を、右側に図2Cに対応する断面をそれぞれ並べて示している。
 以下において、絶縁層を形成するための絶縁性材料、導電層を形成するための導電性材料、または半導体層を形成するための半導体材料は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いて成膜することができる。
 なお、スパッタリング法にはスパッタリング用電源に高周波電源を用いるRFスパッタリング法、直流電源を用いるDCスパッタリング法、さらにパルス的に電極に印加する電圧を変化させるパルスDCスパッタリング法がある。RFスパッタリング法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタリング法は主に金属導電膜を成膜する場合に用いられる。また、パルスDCスパッタリング法は、主に、酸化物、窒化物、炭化物などの化合物をリアクティブスパッタリング法で成膜する際に用いられる。
 なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
 プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能である。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
 また、ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD法などを用いることができる。
 CVD法およびALD法はスパッタリング法とは異なり、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
 また、CVD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。例えば、CVD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送または圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
 また、ALD法では、異なる複数種のプリカーサを同時に導入することで任意の組成の膜を成膜することができる。または、異なる複数種のプリカーサを導入する場合、各プリカーサのサイクル数を制御することで任意の組成の膜を成膜することができる。またCVD法と同様に、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。
 まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁層11を形成する。絶縁層11としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層11の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを用いることができる。絶縁層11の被形成面が平坦でない場合には、絶縁層11の成膜後に絶縁層11の上面が平坦となるように平坦化処理を行うことが好ましい。
 続いて、絶縁層11上に導電層31となる導電膜を形成する。続いて当該導電膜上にフォトリソグラフィ法等によりレジストマスクを形成し、導電膜の当該レジストマスクに覆われない部分をエッチングにより除去したのち、レジストマスクを除去する。これにより、導電層31を形成することができる。続いて、絶縁層44となる絶縁膜を成膜し、導電層31と重なる部分を除去することで、絶縁層44と、絶縁層44に埋め込まれた導電層31とを形成することができる(図10A)。絶縁層44となる絶縁膜の加工は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いることが好ましく、例えば導電層31の上面が露出するまで当該絶縁膜を加工することで、図10Aに示す絶縁層44を形成することができる。
 なお、絶縁層44となる絶縁膜を先に形成したのち、当該絶縁膜に開口を形成し、当該開口を埋めるように導電膜を形成し、絶縁膜の上面が露出するまでCMP法を用いた研磨処理(平坦化処理)を行うことで、絶縁層44と導電層31とを形成してもよい。
 絶縁層44と導電層31の上面の高さが一致するように平坦化処理を行うことで、続いて形成する絶縁層41の上面を平坦にすることができる。なお、絶縁層44を設けず、導電層31を覆って絶縁層41を設けてもよく、その場合には絶縁層41の上面に対してCMP法による平坦化処理を行なって上面を平坦化させることが好ましい。
 続いて、導電層31及び絶縁層44上に、絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41c(以下、これらをまとめて絶縁層41と呼ぶ場合がある)を形成する(図10B)。絶縁層41a、絶縁層41b、及び絶縁層41cはそれぞれスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いて行えばよい。
 ここで、絶縁層41の厚さがトランジスタのチャネル長に影響するため、絶縁層41の厚さにばらつきが生じないようにすることが重要である。
 また、絶縁層41bを、酸素を含む雰囲気でスパッタリング法を用いて成膜することで、膜中の多くの酸素を含む絶縁層41bを形成することができる。また、成膜ガスに水素を含む分子を用いなくてもよいスパッタリング法を用いることで、絶縁層41b中の水素濃度を低減できる。このように、絶縁層41bを成膜することで、絶縁層41bから半導体層21のチャネル形成領域に酸素を供給し、酸素欠損の低減を図ることができる。
 続いて絶縁層41上に、導電層32及び絶縁層45を形成する(図10C)。導電層32と絶縁層45とは、導電層31及び絶縁層44と同様の方法で形成することができる。
 続いて、導電層32及び絶縁層41に、導電層31に達する開口20aを形成する(図10D)。
 開口20aの側壁は、導電層31の上面に対して垂直であることが好ましい。このような構成とすることで、占有面積の小さなトランジスタを作製することができる。または、開口20aの側壁はテーパ形状としてもよい。テーパ形状とすることで、開口20aの内部に形成する膜の被覆性を高めることができる。
 開口20aの最大幅(平面視において開口20aが円形である場合は最大径)は、できるだけ微細であることが好ましい。例えば、開口20aの最大幅は、1μm以下、500nm以下、300nm以下、150nm以下、100nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、又は20nm以下であって、5nm以上であることが好ましい。特に、開口20aを微細に加工するには、EUV光などの短波長の光、または電子ビームを用いたリソグラフィー法を用いることが好ましい。
 開口20aはアスペクト比が大きいため、異方性エッチングを用いて形成することが好ましい。特に、ドライエッチング法による加工は微細加工に適しているため好ましい。また、当該加工におけるエッチングの条件は、導電層32、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aのそれぞれで異なってもよい。なお、導電層32、絶縁層41c、絶縁層41b、及び絶縁層41aのそれぞれで開口20aの側壁の角度が異なっていてもよい。
 また、絶縁層41のエッチング時に、導電層31の上部の一部がエッチングされ、開口20aの底部における導電層31が薄くなる場合がある。または、開口20aの形成後に続けて導電層31の上部の一部をエッチングし、導電層31を薄くしてもよい。
 続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行なってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行なってもよい。以上のような加熱処理を行うことで、半導体層となる酸化物半導体膜の成膜前に、絶縁層41などに含まれる、水、水素などの不純物を低減できる。
 また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、絶縁層41などに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
 続いて、絶縁層41、導電層31、導電層32、開口20a、絶縁層45などを覆って半導体層21となる半導体膜を成膜し、不要な部分をエッチングにより除去することで半導体層21を形成する(図11A)。
 当該半導体膜としては、酸化物半導体膜を用いることができる。当該酸化物半導体膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いて行えばよい。ここで、当該酸化物半導体膜は、アスペクト比の大きい開口20aの底部及び側壁に接して形成されることが好ましい。よって、当該酸化物半導体膜の成膜は、被覆性が良好な成膜方法を用いることが好ましく、CVD法またはALD法などを用いることがより好ましい。例えば、当該酸化物半導体膜として、ALD法を用いて、In−Ga−Zn酸化物を成膜すればよい。なお、開口20aがテーパ形状である場合には、酸化物半導体膜を、スパッタリング法を用いて成膜することができる。
 また、酸化物半導体膜の成膜中、または成膜後に、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、当該酸化物半導体膜中の不純物濃度を低減させる処理を行うと好ましい。なお、不純物としては、特に、水素、及び炭素が挙げられる。また、マイクロ波処理を行うことで、酸化物半導体膜の結晶性を高めることができる場合がある。ここで、マイクロ波処理とは、例えばマイクロ波を用いて高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いた処理のことを指す。
 酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行うことで、マイクロ波、またはRF等の高周波を用いて酸素ガスをプラズマ化し、当該酸素プラズマを作用させることができる。また、酸化物半導体に作用する酸素は、酸素原子、酸素分子、酸素イオン、及び酸素ラジカル(Oラジカルともいう、不対電子をもつ原子、分子、またはイオン)など様々な形態がある。なお、酸化物半導体に作用する酸素は、上述の形態のいずれか一または複数であればよく、特に酸素ラジカルであると好適である。
 また、上述の酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う際に、基板を加熱することで、酸化物半導体膜中の不純物濃度を、さらに低減させることができるため好適である。上述の基板を加熱する温度としては、100℃以上650℃以下、好ましくは200℃以上600℃以下、さらに好ましくは300℃以上450℃以下で行えばよい。
 上述の酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う際に基板を加熱することで、SIMSにより得られる酸化物半導体膜中の炭素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とすることができる。
 なお、上記においては、酸化物半導体膜に対して、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行う構成について例示したが、これに限定されない。例えば、酸化物半導体膜近傍に位置する、絶縁膜、より具体的には酸化シリコン膜に対して、酸素を含む雰囲気でマイクロ波処理を行なってもよい。これにより、当該酸化シリコン膜中に含まれる水素をHOとして、外部に放出させることができる。酸化物半導体膜近傍に位置する、酸化シリコン膜から水素を放出させることで、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
 また、半導体層21を積層構造とする場合、各層の成膜方法は同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、半導体層21を2層の積層構造とする場合、酸化物半導体膜の下層をスパッタリング法で成膜し、酸化物半導体膜の上層をALD法で成膜してもよい。スパッタリング法を用いて成膜された酸化物半導体膜は結晶性を有しやすい。そこで、結晶性を有する酸化物半導体膜を酸化物半導体膜の下層として設けることで、酸化物半導体膜の上層の結晶性を高めることができる。また、スパッタリング法で成膜した酸化物半導体膜の下層にピンホールまたは段切れなどが形成されたとしても、それらと重畳する部分を、被覆性の良好なALD法で成膜した酸化物半導体膜の上層で塞ぐことができる。
 ここで、酸化物半導体膜は、開口20aにおける導電層31上面、開口20aにおける絶縁層41の側面、及び絶縁層41上の導電層32の側面及び上面に接して形成されることが好ましい。
 酸化物半導体膜の成膜後、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、上記酸化物半導体膜が多結晶化しない温度範囲で行えばよく、250℃以上650℃以下、好ましくは400℃以上600℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、窒素ガスと酸素ガスの混合雰囲気で加熱処理をする場合、酸素ガスを20%程度にすればよい。また、加熱処理は減圧状態で行なってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行なってもよい。
 また、上記加熱処理で用いるガスは、高純度化されていることが好ましい。例えば、上記加熱処理で用いるガスに含まれる水分量が1ppb以下、好ましくは0.1ppb以下、より好ましくは0.05ppb以下にすればよい。高純度化されたガスを用いて加熱処理を行うことで、上記酸化物半導体膜などに水分等が取り込まれることを可能な限り防ぐことができる。
 ここで、半導体膜が、多くの酸素を含む絶縁層41bと接した状態で、上記加熱処理を行うことが好ましい。これにより絶縁層41bから半導体膜のチャネル形成領域となる部分に酸素を供給し、酸素欠損の低減を図ることができる。
 なお、上記においては、上記酸化物半導体膜の成膜後に加熱処理を行ったが、本発明はこれに限られるものではない。さらに後の工程で加熱処理を行ってもよい。
 続いて、絶縁層45、導電層32、及び半導体層21を覆って、絶縁層22を形成する(図11B)。絶縁層22の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、ALD法などを適宜用いることができる。
 絶縁層22は、開口20a内における半導体層21の側面に、出来るだけ均一な厚さで設けることが好ましい。そのため被覆性に極めて優れた成膜方法であるALD法により、絶縁層22を形成することが特に好ましい。なお、開口20aの側壁がテーパ形状である場合には、絶縁層22を、スパッタリング法などの成膜方法を用いて成膜することができる。
 続いて、絶縁層22上であって、開口20aと重なる位置に、ダミー層35を形成する(図11C)。
 ダミー層35は、後に導電層23が設けられる位置に形成する。そのため、ダミー層35の一部は、開口20aに埋め込まれるように設ける。またダミー層35は、その上部が、絶縁層22の導電層32及び半導体層21と重なる部分の上面よりも上側に突出するように形成する。当該突出部の高さが高いほど、後に形成する絶縁層42の厚さを厚くできるため好ましい。
 ダミー層35は、後の工程で除去する層であるため、ダミー層35が接する膜(絶縁層22、絶縁層42など)とエッチングの選択比を大きくとれる材料を用いることが好ましい。例えば、ダミー層35は、絶縁層22及び絶縁層42と組成の異なる膜を用いることができる。より具体的には、ダミー層35は、絶縁層22及び絶縁層42とは異なる構成元素を含む膜、絶縁層22及び絶縁層42と同じ構成元素を含むが組成が異なる膜、絶縁層22及び絶縁層42とは密度の異なる膜などを用いることができる。また、絶縁層22及び絶縁層42のいずれか一方または双方に、ダミー層35とは異なる構成元素を含む膜を用いてもよい。
 特に、ダミー層35は、絶縁層22への成膜ダメージができるだけ小さい成膜方法、または条件で成膜することが好ましい。スパッタリング法、CVD法で成膜する場合には、電源電圧を下げるなど、できるだけ被形成面に対してダメージの小さな条件で成膜することが好ましい。また、真空蒸着法、ALD法、または湿式法などの成膜方法は、被形成面へのダメージが非常に小さいため、ダミー層35の形成に適している。ダミー層35の形成に用いることのできる湿式法としては、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、インクジェット、ディスペンス、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドクターナイフ、スリットコート、ロールコート、カーテンコート、ナイフコート等が挙げられる。
 また、ダミー層35は、ウェットエッチング法により除去可能な材料を用いることが好ましい。これにより、ダミー層35のエッチング時の絶縁層22へのダメージを、ドライエッチング法を用いた場合と比較して、著しく軽減することができる。
 ダミー層35としては、絶縁層22及び絶縁層47と組成の異なる膜であれば、様々な材料を用いることができる。例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどの無機絶縁膜、アルミニウム、銅、モリブデン、タングステンなどの金属膜、酸化インジウム、酸化亜鉛などの酸化物導電体膜などが挙げられる。
 また、ダミー層35として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体などの、有機膜を用いることもできる。このような有機絶縁膜は、被形成面に対する成膜ダメージの小さな成膜方法(例えば湿式法、または真空蒸着法)で形成可能で、且つ、ウェットエッチング可能な薬液(エッチャント)の選択の自由度が高いため、好ましい。
 ダミー層35の形成後、等方性のエッチングを行うことで、ダミー層35を縮小(シュリンクともいう)させてもよい。これにより、フォトリソグラフィ法で微細なパターンの形成が困難な材料を用いた場合であっても、ダミー層35の微細化が可能となる。
 続いて、絶縁層22及びダミー層35を覆って絶縁層42を形成する(図12A)。絶縁層42は絶縁層41bなどと同様の方法で形成することができる。このとき、絶縁層42の上面には、ダミー層35の形状を反映した凹凸が形成される。
 続いて、絶縁層42に対しCMP法を用いた研磨処理(平坦化処理)を行い、ダミー層35の上面を露出させる(図12B)。このとき同時に、絶縁層42の上面を平坦化することができる。
 続いて、ダミー層35をエッチングにより除去する(図13A)。上述のように、ダミー層35は、絶縁層22及び絶縁層42とエッチングの選択比の高い方法によりエッチングすることが好ましい。特に、ダミー層35はウェットエッチング法により除去することが好ましい。このとき、絶縁層22及び絶縁層42に対してエッチングの選択比の高いエッチャント及びエッチング条件を用いてエッチングすることが重要である。
 例えば、ダミー層35に有機膜を用いた場合では、エッチャントに有機溶剤を用いたウェットエッチング法を用いることにより、絶縁層22へのエッチングダメージを限りなく小さくすることができる。
 または、ダミー層35に有機物を用いた場合では、酸素を含む雰囲気下でのプラズマ処理(アッシングともいう)により、ダミー層35をエッチングしてもよい。
 ダミー層35を除去することにより、絶縁層42に開口20bを形成することができる。
 ダミー層35の除去後、加熱処理を行ってもよい。特にダミー層35のエッチングにウェットエッチングを用いた場合には、加熱処理により絶縁層42及び絶縁層22の表面に吸着した水を除去することができるため好ましい。加熱処理の方法については上記の記載を参照できる。
 続いて、絶縁層42上に後に導電層23となる導電膜を形成する。導電膜は、その一部が開口20a及び開口20bに埋め込まれるように設ける。当該導電膜は、被覆性または埋め込み性の高い成膜方法で成膜されることが好ましく、例えばCVD法またはALD法などを用いることがより好ましい。なお、開口20a及び開口20bの側壁がテーパ形状である場合には、当該導電膜を、スパッタリング法を用いて成膜することができる。
 続いて、CMP法、ドライエッチング法などにより、絶縁層42の上面が露出するまで導電膜の上部をエッチングすることで、開口20a及び開口20bに埋め込まれた導電層23を形成する(図13B)。
 最後に、絶縁層42及び導電層23上に導電層33及び絶縁層46を形成する。導電層33及び絶縁層46は、導電層31及び絶縁層44と同様の方法で形成することができる。
 以上の工程により、トランジスタ10を作製することができる。
 本発明の一態様の作製方法により、ゲート絶縁層が受けるダメージを軽減することができるため、信頼性の高い半導体装置を実現することができる。また、ゲート配線と、ソース配線及びドレイン配線の一方との間に、厚い層間絶縁層を形成することが可能なため、寄生容量が低減され、高速動作が求められる回路に適用可能なトランジスタを実現できる。
 以上が作製方法例についての説明である。
[応用例]
 以下では、トランジスタと容量素子を用いた記憶装置の構成について説明する。
 図14Aには、メモリセル30の回路図を示している。メモリセル30は、一つのトランジスタTr1と、一つの容量素子Cにより構成され、1Tr1Cとも表記することができる。トランジスタTr1は、ゲートが配線WLに、ソース及びドレインの一方が配線BLに、他方が容量素子Cの一方の電極に、それぞれ接続されている。容量素子Cは、他方の電極が配線PLに接続されている。
 メモリセル30は、トランジスタTr1を介して配線BLから入力されるデータ電位を容量Cに保持することで、データを格納することができる。またトランジスタTr1を非導通状態とすることで、データを保持することができる。またトランジスタTr1を導通状態とすることで、保持されたデータに対応した電位が配線BLに出力され、データを読み出すことができる。配線WLには、トランジスタTr1の導通、非導通を制御する信号が与えられる。また配線PLには、所定の電位(例えば固定電位)が与えられる。
 図14B、図14Cには、メモリセル30の断面図を示す。図14Bは導電層32の延伸方向に沿った断面図であり、図14Cは導電層31及び導電層33の延伸方向に沿った断面図である。メモリセル30は、容量素子50上にトランジスタ10が積層された構成を有する。トランジスタ10が上記トランジスタTr1に、容量素子50が上記容量素子Cに、それぞれ対応する。
 トランジスタ10の構成は、上記記載を参照できるため、説明を省略する。なお、ここではトランジスタ10を用いた場合の例を示すが、トランジスタ10に限られず、上記で説明した各種トランジスタに置き換えることができる。
 容量素子50は、導電層51と、導電層52、と、これらの間に挟持された絶縁層53と、を有する。容量素子50は、いわゆるMIM(Metal−Insulator−Metal)容量を構成している。
 容量素子50は絶縁層11上に設けられる。絶縁層11上には、導電層34と、導電層34上に絶縁層47が設けられている。絶縁層47には導電層34に達する開口20cが設けられる。開口20cの内部において、絶縁層47の側面及び導電層34の上面に接して導電層51が設けられる。また絶縁層47及び導電層51を覆って、絶縁層53が設けられる。絶縁層53上には絶縁層48が設けられ、絶縁層48には開口20cと重なる開口20dが設けられる。導電層52は、開口20d及び開口20cに埋め込まれるように設けられる。
 導電層52と絶縁層48は、上面が平坦化され、上面の高さが概略一致する。導電層52及び絶縁層48上には絶縁層44と導電層31が設けられる。導電層31は、導電層52の上面に接して設けられる。
 図14B、図14Cにおいて、導電層32は配線BLに対応し、導電層33は配線WLに対応し、導電層34は上記配線PLに対応する。
 導電層34、導電層51、及び導電層52には、低抵抗な導電性材料を用いることができる。例えば、上記導電層23に用いることのできる材料を適用できる。
 絶縁層53は、容量素子50の誘電体層として機能する。絶縁層53は厚さが薄く、比誘電率が高いほど、容量素子50の容量を大きくできる。例えば、上記絶縁層22に用いることのできるhigh−k材料を用いることが好ましい。
 図15A、図15Bには、2個のメモリセル30を共通の配線に接続する記憶装置の例を示している。図15Aは記憶装置の上面概略図であり、図15Bは、図15A中の切断線A3−A4における断面概略図である。
 配線WLとして機能する導電層33は、2つのメモリセル30に個別に設けられる。配線BLとして機能する導電層32は、2つのメモリセル30に共通して設けられる。
 また、配線BLとして機能する導電層32は、各層間絶縁層に埋め込まれ、プラグ(接続電極ともいう)として機能する導電層61、及び導電層62と電気的に接続されている。導電層61は、絶縁層11の下方に設けられたセンスアンプ(図示しない)に電気的に接続される構成としてもよい。また導電層61は、絶縁層65よりも上に積層されたメモリセルの導電層32と電気的に接続される構成としてもよい。
 絶縁層65は、バリア層として機能し、外部から水、水素などの不純物が記憶装置に拡散することを防ぐ機能を有する。
 また、メモリセル30を3次元的にマトリクス状に配置することで、メモリセルアレイを構成することができる。メモリセルアレイの一例として、図16A及び図16Bに、X方向、Y方向、及びZ方向に、4個×2個×4個のメモリセル30を配置した記憶装置の例を示す。図16Aは記憶装置の平面図であり、図16Bは図16A中の切断線A3−A4で切断した断面図である。
 4つのメモリセル30からなる群をメモリユニット60と呼ぶことができる。図16A、図16Bでは、8つのメモリユニット(メモリユニット60[1,1]乃至メモリユニット60[2,4])を示している。メモリユニット60[a,b](a、bはそれぞれ正の整数)において、aはY方向のアドレスを、bはZ方向のアドレスをそれぞれ示している。
 メモリユニット60は、導電層61または導電層62を中心にして、2つずつメモリセル30が対称に配置されている。導電層62により、Z方向に積層される各メモリユニット60の導電層32同士が電気的に接続されている。このように、複数のメモリユニット60を積層することで、単位面積当たりの記憶容量を大きくすることができ、微細化または高集積化が可能な記憶装置を提供できる。
 図17A、図17Bでは、接続部をメモリユニットの端に配置した場合の例を示している。図17Aは記憶装置の平面図であり、図17Bは断面図である。ここでは、メモリセルアレイの一例として、3個×3個×m個(mは2以上の整数)のメモリセル30を配置した記憶装置の例を示す。メモリセル30を有する層のうち、1層目を層70[1]、m層目(最も上)を層70[m]と表記する。
 導電層63はメモリユニットの外側に設けられる。導電層63は、導電層63を含む層70よりも上部の層の配線と接続されていてもよい。例えば、層70[1]に設けられる導電層63は、層70[2]に設けられる配線と電気的に接続されている。なお、これに限られず、導電層63は、自身を含む層70よりも下に位置する層70の配線と電気的に接続される構成としてもよい。
 図18に、センスアンプを含む駆動回路が設けられる層上に、メモリセル30を有する層が積層して設けられた記憶装置の断面構成例を示す。
 図18では、トランジスタ90の上方に容量素子50と、その上にトランジスタ10と、が積層されている例を示している。トランジスタ90は、センスアンプが有するトランジスタの一つである。
 メモリセル30と重なるように、センスアンプを設ける構成にすることで、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線の負荷が小さくなるため、センスアンプでの読み出しの感度を向上させることができる。そのため、メモリセルの保持容量を低減することができる。
 トランジスタ90は、基板91上に設けられ、ゲートとして機能する導電層94と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層93と、基板91の一部からなる半導体領域92と、ソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域95a及び低抵抗領域95bと、を有する。トランジスタ90は、pチャネル型またはnチャネル型のいずれでもよい。
 ここで、図18に示すトランジスタ90はチャネルが形成される半導体領域92(基板91の一部)が凸形状を有する。また、半導体領域92の側面及び上面を、絶縁層93を介して、導電層94が覆うように設けられている。このようなトランジスタ90は半導体基板の凸部を利用していることからFIN型トランジスタとも呼ばれる。
 トランジスタ90が設けられる層とメモリセル30が設けられる層との間には、層間絶縁層と配線層とが交互に積層された構成(多層配線層ともいう)を有することが好ましい。図18では、トランジスタ90の低抵抗領域95bが、配線及びプラグを介してメモリセル30のビット線として機能する導電層32と電気的に接続されている例を示している。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
 本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置について図19乃至図22を用いて説明する。本実施の形態では、センスアンプを含む駆動回路が設けられる層上に、メモリセルを有する層が積層して設けられた記憶装置の構成例について説明する。
<記憶装置の構成例>
 図19に、本発明の一態様に係る記憶装置480の構成例を示すブロック図を示す。図19に示す記憶装置480は、層420と、積層された層470と、を有する。
 層420は、Siトランジスタを有する層である。層470では、素子層430[1]乃至430[m](mは2以上の整数。)が積層して設けられる。素子層430[1]乃至430[m]は、OSトランジスタを有する層である。OSトランジスタを有する層が積層して設けられる層470は、層420上に積層して設けることができる。
 素子層430[1]乃至430[m]が有するOSトランジスタ及び容量素子といった素子は、メモリセルを構成する。図19では、素子層430[1]乃至430[m]において、m行n列(nは2以上の整数)のマトリクス状に配置された複数のメモリセル432を有する例を示している。
 図19では、1行1列目のメモリセル432をメモリセル432[1,1]と示し、m行n列目のメモリセル432をメモリセル432[m,n]と示している。また、本実施の形態などでは、任意の行を示す場合にi行と記す場合がある。また、任意の列を示す場合にj列と記す場合がある。よって、iは1以上m以下の整数であり、jは1以上n以下の整数である。また、本実施の形態などでは、i行j列目のメモリセル432をメモリセル432[i,j]と示している。なお、本実施の形態などにおいて、「i+α」(αは正または負の整数)と示す場合は、「i+α」は1を下回らず、mを超えない。同様に、「j+α」と示す場合は、「j+α」は1を下回らず、nを超えない。
 また図19では、一例として、行方向に延在するm本の配線WLと、行方向に延在するm本の配線PLと、列方向に延在するn本の配線BLと、を図示している。本実施の形態などでは、1本目(1行目)に設けられた配線WLを配線WL[1]と示し、m本目(m行目)に設けられた配線WLを配線WL[m]と示す。同様に、1本目(1行目)に設けられた配線PLを配線PL[1]と示し、m本目(m行目)に設けられた配線PLを配線PL[m]と示す。同様に、1本目(1列目)に設けられた配線BLを配線BL[1]と示し、n本目(n列目)に設けられた配線BLを配線BL[n]と示す。なお素子層430[1]乃至430[m]の層数と、配線WL(及び配線PL)の本数は、同じでなくてもよい。
 i行目に設けられた複数のメモリセル432は、i行目の配線WL(配線WL[i])とi行目の配線PL(配線PL[i])に電気的に接続される。j列目に設けられた複数のメモリセル432は、j列目の配線BL(配線BL[j])と電気的に接続される。
 配線BLは、データの書き込み及び読み出しを行うためのビット線として機能する。配線WLは、スイッチとして機能するアクセストランジスタのオンまたはオフ(導通状態または非導通状態)を制御するためのワード線として機能する。配線PLは、キャパシタに接続される定電位線としての機能を有する。なおバックゲート電位を伝える配線を別途設けることができる。
 素子層430[1]乃至430[m]がそれぞれ有するメモリセル432は、配線BLを介してセンスアンプ446(Sense Amplifier)に接続される。配線BLは、層420が設けられる基板表面の平行方向及び垂直方向に配置することができる。素子層430[1]乃至430[m]が有するメモリセル432から延びて設けられる配線BLを、基板表面の水平方向に配置される配線に加え、垂直方向に配置される配線で構成することで、素子層430とセンスアンプ446との間の配線の長さを短くできる。メモリセルとセンスアンプとの間の信号伝搬距離を短くでき、ビット線の抵抗及び寄生容量が大幅に削減されるため、消費電力及び信号遅延の低減が実現できる。そのため、記憶装置480の消費電力及び信号遅延の低減が実現できる。またメモリセル432が有するキャパシタの容量を小さくしても動作させることが可能となる。そのため、記憶装置480の小型化が実現できる。
 層420は、PSW471(パワースイッチ)、PSW472、及び周辺回路422を有する。周辺回路422は、駆動回路440、コントロール回路473(Control Circuit)、及び電圧生成回路474を有する。なお層420が有する各回路は、Siトランジスタを有する回路である。
 記憶装置480において、各回路、各信号及び各電圧は、必要に応じて、適宜取捨することができる。あるいは、他の回路または他の信号を追加してもよい。信号BW、信号CE、信号GW、信号CLK、信号WAKE、信号ADDR、信号WDA、信号PON1、信号PON2は外部からの入力信号であり、信号RDAは外部への出力信号である。信号CLKはクロック信号である。
 また、信号BW、信号CE、及び信号GWは制御信号である。信号CEはチップイネーブル信号であり、信号GWはグローバル書き込みイネーブル信号であり、信号BWはバイト書き込みイネーブル信号である。信号ADDRはアドレス信号である。信号WDAは書き込みデータであり、信号RDAは読み出しデータである。信号PON1、信号PON2は、パワーゲーティング制御用信号である。なお、信号PON1、信号PON2は、コントロール回路473で生成してもよい。
 コントロール回路473は、記憶装置480の動作全般を制御する機能を有するロジック回路である。例えば、コントロール回路は、信号CE、信号GW及び信号BWを論理演算して、記憶装置480の動作モード(例えば、書き込み動作、読み出し動作)を決定する。または、コントロール回路473は、この動作モードが実行されるように、駆動回路440の制御信号を生成する。
 電圧生成回路474は負電圧を生成する機能を有する。信号WAKEは、信号CLKの電圧生成回路474への入力を制御する機能を有する。例えば、信号WAKEにHレベルの信号が与えられると、信号CLKが電圧生成回路474へ入力され、電圧生成回路474は負電圧を生成する。
 駆動回路440は、メモリセル432に対するデータの書き込み及び読み出しをするための回路である。駆動回路440は、行デコーダ442、列デコーダ444、行ドライバ443、列ドライバ445、入力回路447、出力回路448に加え、前述したセンスアンプ446を有する。
 行デコーダ442及び列デコーダ444は、信号ADDRをデコードする機能を有する。行デコーダ442は、アクセスする行を指定するための回路であり、列デコーダ444は、アクセスする列を指定するための回路である。行ドライバ443は、行デコーダ442が指定する配線WLを選択する機能を有する。列ドライバ445は、データをメモリセル432に書き込む機能、メモリセル432からデータを読み出す機能、読み出したデータを保持する機能等を有する。
 入力回路447は、信号WDAを保持する機能を有する。入力回路447が保持するデータは、列ドライバ445に出力される。入力回路447の出力データが、メモリセル432に書き込むデータ(Din)である。列ドライバ445がメモリセル432から読み出したデータ(Dout)は、出力回路448に出力される。出力回路448は、Doutを保持する機能を有する。また、出力回路448は、Doutを記憶装置480の外部に出力する機能を有する。出力回路448から出力されるデータが信号RDAである。
 PSW471は周辺回路422へのVDDの供給を制御する機能を有する。PSW472は、行ドライバ443へのVHMの供給を制御する機能を有する。ここでは、記憶装置480の高電源電圧がVDDであり、低電源電圧はGND(接地電位)である。また、VHMは、ワード線を高レベルにするために用いられる高電源電圧であり、VDDよりも高い。信号PON1によってPSW471のオン・オフが制御され、信号PON2によってPSW472のオン・オフが制御される。図19では、周辺回路422において、VDDが供給される電源ドメインの数を1としているが、複数にすることもできる。この場合、各電源ドメインに対してパワースイッチを設ければよい。
 素子層430[1]乃至430[m]は、層420上に重ねて設けることができる。図20Aに、層420上に5層(m=5)の素子層430[1]乃至430[5]を重ねて設けられる様子を示す記憶装置480の斜視図を示している。
 図20Aでは、1層目に設けられた素子層430を素子層430[1]と示し、2層目に設けられた素子層430を素子層430[2]と示し、5層目に設けられた素子層430を素子層430[5]と示している。また図20Aにおいて、X方向に延びて設けられる配線WL、及び配線PLと、Y方向及びZ方向(駆動回路が設けられる基板表面に垂直な方向)に延びて設けられる配線BL及び配線BLBと、を図示している。配線BLBは、反転ビット線である。なお、図面を見やすくするため、素子層430それぞれが有する配線WL及び配線PLの記載を一部省略している。
 図20Bに、図20Aで図示した配線BL及び配線BLBに接続されたセンスアンプ446、及び配線BL及び配線BLBに接続された素子層430[1]乃至430[5]が有するメモリセル432の構成例を説明する模式図を示す。なお、1つの配線BL及び配線BLBに複数のメモリセル(メモリセル432)が電気的に接続される構成を「メモリストリング」ともいう。
 図20Bでは、配線BLBに接続されるメモリセル432の回路構成の一例を図示している。メモリセル432は、トランジスタ437及び容量素子438を有する。トランジスタ437、容量素子438、及び各配線(BL、及びWLなど)についても、例えば配線BL[1]及び配線WL[1]を配線BL及び配線WLなどのようにいう場合がある。メモリセル432には、例えば、先の実施の形態で例示したメモリセル30を適用することができる。つまり、トランジスタ437として、トランジスタ10を用い、容量素子438として、容量素子50を用いることができる。また、センスアンプ446が有するトランジスタとしては、トランジスタ90(図18参照)を用いることができる。
 メモリセル432において、トランジスタ437のソースまたはドレインの一方は配線BLに接続される。トランジスタ437のソースまたはドレインの他方は容量素子438の一方の電極に接続される。容量素子438の他方の電極は、配線PLに接続される。トランジスタ437のゲートは配線WLに接続される。
 配線PLは、容量素子438の電位を保持するための定電位を与える配線である。複数の配線PL同士を接続して1つの配線として用いることで配線数を削減することができる。
 本発明の一態様では、OSトランジスタは積層して設けるとともに、ビット線として機能する配線を、層420が設けられる基板表面の垂直方向に配置する。加えて、メモリセル432が有するトランジスタ437及び容量素子438を、層420が設けられる基板表面の垂直方向に並べて配置する。各素子及び各配線を基板表面の垂直方向に設けることで、素子層間の配線の長さを短くできるとともに、単位面積当たりに設けられる素子の密度を高めることができる。そのため、記憶容量及び消費電力の低減に優れた記憶装置とすることができる。
[メモリセル432、センスアンプ446の構成例]
 図21A及び図21Bには、上述したメモリセル432に対応する回路図、及び当該回路図に対応する回路ブロック図を示す。図21A及び図21Bに図示するように、メモリセル432は図面等においてブロックとして表す場合がある。なお図21A及び図21Bに図示する配線BLは、配線BLBに置き換えた場合も同様に表すことができる。
 また、図21C及び図21Dには、上述したセンスアンプ446に対応する回路図、及び当該回路図に対応する回路ブロック図を示す。センスアンプ446は、スイッチ回路482、プリチャージ回路483、プリチャージ回路484、増幅回路485を図示している。また、配線BL、配線BLBの他、読み出される信号を出力する配線SA_OUT、配線SA_OUTBを図示している。
 スイッチ回路482は、図21Cに図示するように、例えばnチャネル型のトランジスタ482_1、482_2を有する。トランジスタ482_1、482_2は、信号CSELに応じて、配線SA_OUT、配線SA_OUTBの配線対と、配線BL、配線BLBの配線対と、の導通状態を切り替える。
 プリチャージ回路483は、図21Cに図示するように、nチャネル型のトランジスタ483_1乃至483_3で構成される。プリチャージ回路483は、信号EQに応じて、配線BL及び配線BLBを電位VDD/2に相当する中間電位VPREにプリチャージするための回路である。
 プリチャージ回路484は、図21Cに図示するように、pチャネル型のトランジスタ484_1乃至484_3で構成される。プリチャージ回路484は、信号EQBに応じて、配線BL及び配線BLBを電位VDD/2に相当する中間電位VPREにプリチャージするための回路である。
 増幅回路485は、図21Cに図示するように、配線SAPまたは配線SANに接続された、pチャネル型のトランジスタ485_1、485_2及びnチャネル型のトランジスタ485_3、485_4で構成される。配線SAPまたは配線SANは、VDDまたはVSSを与える機能を有する配線である。トランジスタ485_1乃至485_4は、インバータループを構成するトランジスタである。
 また、図21Dには図21C等で説明したセンスアンプ446に対応する回路ブロック図を示す。図21Dに図示するように、センスアンプ446は図面等においてブロックとして表す場合がある。
 図22は、図19の記憶装置480の回路図である。図22では、図21A乃至図21Dで説明した回路ブロックを用いて図示している。
 図22に図示するように素子層430[m]を含む層470は、メモリセル432を有する。図22に図示するメモリセル432は、一例として、対になる配線BL[1]及び配線BLB[1]、または配線BL[2]及び配線BLB[2]に接続される。配線BLに接続されるメモリセル432は、データの書き込みまたは読み出しがされるメモリセルである。
 配線BL[1]及び配線BLB[1]は、センスアンプ446[1]に接続され、配線BL[2]及び配線BLB[2]は、センスアンプ446[2]に接続される。センスアンプ446[1]及びセンスアンプ446[2]は、図21Cで説明した各種信号に応じてデータの読み出しを行うことができる。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
 本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを適用することのできる表示装置の構成例について説明する。
 本発明の一態様のトランジスタは、極めて微細なものとすることができるため、本発明の一態様のトランジスタを適用する表示装置は、極めて高精細な表示装置とすることができる。例えば、本発明の一態様の表示装置は、腕時計型、及び、ブレスレット型などの情報端末機(ウェアラブル機器)の表示部、並びに、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、及び、メガネ型のAR向け機器などの頭部に装着可能な機器(HMD:Head Mounted Display)の表示部に用いることができる。
[表示モジュール]
 図23Aに、表示モジュール280の斜視図を示す。表示モジュール280は、表示装置200Aと、FPC290と、を有する。なお、表示モジュール280が有する表示パネルは表示装置200Aに限られず、後述する表示装置200Bまたは表示装置200Cであってもよい。
 表示モジュール280は、基板291及び基板292を有する。表示モジュール280は、表示部281を有する。表示部281は、画像を表示する領域である。
 図23Bに、基板291側の構成を模式的に示した斜視図を示している。基板291上には、回路部282と、回路部282上の画素回路部283と、画素回路部283上の画素部284と、が積層されている。また、基板291上の画素部284と重ならない部分に、FPC290と接続するための端子部285が設けられている。端子部285と回路部282とは、複数の配線により構成される配線部286により電気的に接続されている。
 画素部284は、周期的に配列した複数の画素284aを有する。図23Bの右側に、1つの画素284aの拡大図を示している。画素284aは、赤色の光を発する発光素子110R、緑色の光を発する発光素子110G、及び、青色の光を発する発光素子110Bを有する。
 画素回路部283は、周期的に配列した複数の画素回路283aを有する。1つの画素回路283aは、1つの画素284aが有する3つの発光デバイスの発光を制御する回路である。1つの画素回路283aには、1つの発光デバイスの発光を制御する回路が3つ設けられる構成としてもよい。例えば、画素回路283aは、1つの発光デバイスにつき、1つの選択トランジスタと、1つの電流制御用トランジスタ(駆動トランジスタ)と、容量素子と、を少なくとも有する構成とすることができる。このとき、選択トランジスタのゲートにはゲート信号が、ソースにはソース信号が、それぞれ入力される。これにより、アクティブマトリクス型の表示パネルが実現されている。
 回路部282は、画素回路部283の各画素回路283aを駆動する回路を有する。例えば、ゲート線駆動回路、及び、ソース線駆動回路の一方または双方を有することが好ましい。このほか、演算回路、メモリ回路、及び電源回路等の少なくとも一つを有していてもよい。また、回路部282に設けられるトランジスタが画素回路283aの一部を構成してもよい。すなわち、画素回路283aが、画素回路部283が有するトランジスタと、回路部282が有するトランジスタと、により構成されていてもよい。
 FPC290は、外部から回路部282にビデオ信号及び電源電位等を供給するための配線として機能する。また、FPC290上にICが実装されていてもよい。
 表示モジュール280は、画素部284の下側に画素回路部283及び回路部282の一方または双方が重ねて設けられた構成とすることができるため、表示部281の開口率(有効表示面積比)を極めて高くすることができる。例えば表示部281の開口率は、40%以上100%未満、好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上95%以下とすることができる。また、画素284aを極めて高密度に配置することが可能で、表示部281の精細度を極めて高くすることができる。例えば、表示部281には、2000ppi以上、好ましくは3000ppi以上、より好ましくは5000ppi以上、さらに好ましくは6000ppi以上であって、20000ppi以下、または30000ppi以下の精細度で、画素284aが配置されることが好ましい。
 このような表示モジュール280は、極めて高精細であることから、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、またはメガネ型のAR向け機器に好適に用いることができる。例えば、レンズを通して表示モジュール280の表示部を視認する構成の場合であっても、表示モジュール280は極めて高精細な表示部281を有するためにレンズで表示部を拡大しても画素が視認されず、没入感の高い表示を行うことができる。また、表示モジュール280はこれに限られず、比較的小型の表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。例えば腕時計などの装着型の電子機器の表示部に好適に用いることができる。
[表示装置200A]
 図24に示す表示装置200Aは、基板331、発光素子110R、発光素子110G、発光素子110B、容量240、及びトランジスタ320を有する。
 基板331は、図23Aにおける基板291に相当する。
 トランジスタ320は、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体が適用された、縦チャネル型のトランジスタである。トランジスタ320は、半導体層321、絶縁層323、導電層324、導電層325、及び導電層326等を有する。
 トランジスタ320には、実施の形態1で例示した各種トランジスタを適用できる。
 基板331上に、絶縁層332が設けられている。絶縁層332は、基板331から水または水素などの不純物がトランジスタ320に拡散すること、及び半導体層321から絶縁層332側に酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層332としては、例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、窒化シリコン膜などの、酸化シリコン膜よりも水素または酸素が拡散しにくい膜を用いることができる。
 絶縁層332上に導電層327が設けられ、導電層327上に導電層325が設けられている。また導電層325上に絶縁層334と、絶縁層334上に導電層326が設けられている。絶縁層334及び導電層326には開口が設けられ、当該開口内に、半導体層321が設けられている。半導体層321及び導電層326を覆って絶縁層323と、絶縁層323上に絶縁層264が設けられ、絶縁層264に設けられた開口内に、導電層324が設けられている。また絶縁層264及び導電層324上に絶縁層265及び導電層328が設けられている。また絶縁層265及び導電層328上に絶縁層266が設けられている。
 絶縁層264、絶縁層265、及び絶縁層266は、層間絶縁層として機能する。絶縁層266と絶縁層265との間に、トランジスタ320に絶縁層266等から水または水素などの不純物が拡散することを防ぐバリア層を設けてもよい。バリア層としては、絶縁層332と同様の絶縁膜を用いることができる。
 導電層326の一方と電気的に接続するプラグ274は、絶縁層266、絶縁層265、及び絶縁層264に埋め込まれるように設けられている。ここで、プラグ274は、絶縁層266、絶縁層265及び絶縁層264のそれぞれの開口の側面、及び導電層326の上面の一部を覆う導電層274aと、導電層274aの上面に接する導電層274bとを有することが好ましい。このとき、導電層274aとして、水素及び酸素が拡散しにくい導電材料を用いることが好ましい。
 また、絶縁層266上に容量240が設けられている。容量240は、導電層241と、導電層245と、これらの間に位置する絶縁層243を有する。導電層241は、容量240の一方の電極として機能し、導電層245は、容量240の他方の電極として機能し、絶縁層243は、容量240の誘電体として機能する。
 導電層241は絶縁層266上に設けられ、絶縁層254に埋め込まれている。導電層241は、プラグ274によってトランジスタ320の導電層326と電気的に接続されている。絶縁層243は導電層241を覆って設けられる。導電層245は、絶縁層243を介して導電層241と重なる領域に設けられている。
 容量240を覆って、絶縁層255aが設けられ、絶縁層255a上に絶縁層255bが設けられ、絶縁層255b上に絶縁層255cが設けられている。
 絶縁層255a、絶縁層255b、及び絶縁層255cには、それぞれ無機絶縁膜を好適に用いることができる。例えば、絶縁層255a及び絶縁層255cに酸化シリコン膜を用い、絶縁層255bに窒化シリコン膜を用いることが好ましい。これにより、絶縁層255bは、エッチング保護膜として機能させることができる。本実施の形態では、絶縁層255cの一部がエッチングされ、凹部が形成されている例を示すが、絶縁層255cに凹部が設けられていなくてもよい。
 絶縁層255c上に発光素子110R、発光素子110G、及び、発光素子110Bが設けられている。発光素子110R、発光素子110G、及び、発光素子110Bの詳細は、実施の形態4で説明する。
 発光素子110Rは、画素電極111R、有機層112R、共通層114、及び共通電極113を有する。発光素子110Gは、画素電極111G、有機層112G、共通層114、及び共通電極113を有する。発光素子110Bは、画素電極111B、有機層112B、共通層114、及び共通電極113を有する。共通層114と共通電極113は、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bに共通に設けられる。
 発光素子110Rが有する有機層112Rは、少なくとも赤色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光素子110Gが有する有機層112Gは、少なくとも緑色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光素子110Bが有する有機層112Bは、少なくとも青色の光を発する発光性の有機化合物を有する。有機層112R、有機層112G、及び有機層112Bは、それぞれEL層とも呼ぶことができ、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(発光層)を有する。
 表示装置200Aは、発光色ごとに、発光デバイスを作り分けているため、低輝度での発光と高輝度での発光で色度の変化が小さい。また、有機層112R、112G、112Bがそれぞれ離隔しているため、高精細な表示パネルであっても、隣接する副画素間におけるクロストークの発生を抑制することができる。したがって、高精細であり、かつ、表示品位の高い表示パネルを実現することができる。
 隣り合う発光素子の間の領域には、絶縁層125、樹脂層126、及び層128が設けられる。
 発光素子の画素電極111R、画素電極111G、及び、画素電極111Bは、絶縁層255a、絶縁層255b、及び、絶縁層255cに埋め込まれたプラグ256、絶縁層254に埋め込まれた導電層241、及びプラグ274によってトランジスタ320の導電層326と電気的に接続されている。絶縁層255cの上面の高さと、プラグ256の上面の高さは、一致または概略一致している。プラグには各種導電材料を用いることができる。
 また、発光素子110R、110G、及び110B上には保護層121が設けられている。保護層121上には、接着層171によって基板170が貼り合わされている。
 隣接する2つの画素電極111間には、画素電極111の上面端部を覆う絶縁層が設けられていない。そのため、隣り合う発光素子の間隔を極めて狭くすることができる。したがって、高精細、または、高解像度の表示装置とすることができる。
[表示装置200B]
 以下では、上記とは一部の構成が異なる表示装置について説明する。なお、上記と共通する部分はこれを参照し、説明を省略する場合がある。
 図25に示す表示装置200Bは、半導体層が平面上に形成されたプレーナ型のトランジスタであるトランジスタ320Aと、縦チャネル型トランジスタであるトランジスタ320Bとが積層された例を示している。トランジスタ320Bは、上記表示装置200Aにおけるトランジスタ320と同様の構成を有する。
 トランジスタ320Aは、半導体層351、絶縁層353、導電層354、一対の導電層355、絶縁層356、及び、導電層357を有する。
 基板331上に、絶縁層352が設けられている。絶縁層352は、基板331から水または水素などの不純物がトランジスタ320に拡散すること、及び半導体層351から絶縁層352側に酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層352としては、例えば酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、窒化シリコン膜などの、酸化シリコン膜よりも水素または酸素が拡散しにくい膜を用いることができる。
 絶縁層352上に導電層357が設けられ、導電層357を覆って絶縁層356が設けられている。導電層357は、トランジスタ320Aの第1のゲート電極として機能し、絶縁層356の一部は、第1のゲート絶縁層として機能する。絶縁層356の少なくとも半導体層351と接する部分には、酸化シリコン膜等の酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。絶縁層356の上面は、平坦化されていることが好ましい。
 半導体層351は、絶縁層356上に設けられる。半導体層351は、半導体特性を示す金属酸化物(酸化物半導体ともいう)膜を有することが好ましい。一対の導電層355は、半導体層351上に接して設けられ、ソース電極及びドレイン電極として機能する。
 一対の導電層355の上面及び側面、並びに半導体層351の側面等を覆って絶縁層358、絶縁層350が設けられている。絶縁層358は、半導体層351に水または水素などの不純物が拡散すること、及び半導体層351から酸素が脱離することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層358としては、上記絶縁層352と同様の絶縁膜を用いることができる。
 絶縁層358及び絶縁層350に、半導体層351に達する開口が設けられている。当該開口の内部に、半導体層351の上面に接する絶縁層353と、導電層354とが埋め込まれている。導電層354は、第2のゲート電極として機能し、絶縁層353は第2のゲート絶縁層として機能する。
 導電層354の上面、絶縁層353の上面、及び絶縁層350の上面は、それぞれ高さが一致または概略一致するように平坦化処理され、これらを覆って絶縁層359が設けられている。絶縁層359は、トランジスタ320に水または水素などの不純物が拡散することを防ぐバリア層として機能する。絶縁層359としては、上記絶縁層352と同様の絶縁膜を用いることができる。
 トランジスタ320には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
[表示装置200C]
 図26に示す表示装置200Cは、半導体基板にチャネルが形成されるトランジスタ310と、縦チャネル型トランジスタであるトランジスタ320とが積層された構成を有する。
 トランジスタ310は、基板301にチャネル形成領域を有するトランジスタである。基板301としては、例えば単結晶シリコン基板などの半導体基板を用いることができる。トランジスタ310は、基板301の一部、導電層311、低抵抗領域312、絶縁層313、及び、絶縁層314を有する。導電層311は、ゲート電極として機能する。絶縁層313は、基板301と導電層311の間に位置し、ゲート絶縁層として機能する。低抵抗領域312は、基板301に不純物がドープされた領域であり、ソースまたはドレインの一方として機能する。絶縁層314は、導電層311の側面を覆って設けられる。
 また、基板301に埋め込まれるように、隣接する2つのトランジスタ310の間に素子分離層315が設けられている。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
 本実施の形態では、本発明の一態様のトランジスタを用いて作製される表示装置に適用可能な、表示装置の構成例について説明する。以下で例示する表示装置は、上記実施の形態3の画素部284などに適用することができる。
 本発明の一態様は、発光素子(発光デバイスともいう)を有する表示装置である。表示装置は、発光色の異なる2つ以上の画素を有する。画素は、それぞれ発光素子を有する。発光素子は、それぞれ一対の電極と、その間にEL層を有する。発光素子は、有機EL素子(有機電界発光素子)であることが好ましい。発光色の異なる2つ以上の発光素子は、それぞれ異なる発光材料を含むEL層を有する。例えば、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する3種類の発光素子を有することで、フルカラーの表示装置を実現できる。
 発光色がそれぞれ異なる複数の発光素子を有する表示装置を作製する場合、少なくとも発光材料を含む層(発光層)をそれぞれ島状に形成する必要がある。EL層の一部または全部を作り分ける場合、メタルマスクなどのシャドーマスクを用いた蒸着法により島状の有機膜を形成する方法が知られている。しかしながらこの方法では、メタルマスクの精度、メタルマスクと基板との位置ずれ、メタルマスクのたわみ、及び蒸気の散乱などによる成膜される膜の輪郭の広がりなど、様々な影響により、島状の有機膜の形状及び位置に設計からのずれが生じるため、表示装置の高精細化、及び高開口率化が困難である。また、蒸着の際に、層の輪郭がぼやけて、端部の厚さが薄くなることがある。つまり、島状の発光層は場所によって厚さにばらつきが生じることがある。また、大型、高解像度、または高精細な表示装置を作製する場合、メタルマスクの寸法精度の低さ、及び熱などによる変形により、製造歩留まりが低くなる懸念がある。そのため、ペンタイル配列などの特殊な画素配列方式を採用することなどにより、疑似的に精細度(画素密度ともいう)を高める対策が取られていた。
 なお、本明細書等において、島状とは、同一工程で形成された同一材料を用いた2以上の層が物理的に分離されている状態であることを示す。例えば、島状の発光層とは、当該発光層と、隣接する発光層とが、物理的に分離されている状態であることを示す。
 本発明の一態様は、EL層をファインメタルマスク(FMM)などのシャドーマスクを用いることなく、フォトリソグラフィにより、微細なパターンに加工する。これにより、これまで実現が困難であった高い精細度と、大きな開口率を有する表示装置を実現できる。さらに、EL層を作り分けることができるため、極めて鮮やかで、コントラストが高く、表示品位の高い表示装置を実現できる。なお、例えば、EL層をメタルマスクと、フォトリソグラフィと、の双方を用いて微細なパターンに加工してもよい。
 また、EL層の一部または全部を物理的に分断することができる。これにより、隣接する発光素子間で共通に用いる層(共通層ともいう)を介した、発光素子間のリーク電流を抑制することができる。これにより、クロストークに起因した意図しない発光を防ぐことができ、コントラストの極めて高い表示装置を実現できる。特に、低輝度における電流効率の高い表示装置を実現できる。
 本発明の一態様は、白色発光の発光素子と、カラーフィルタとを組み合わせた表示装置とすることもできる。この場合、異なる色の光を呈する画素(副画素)に設けられる発光素子に、それぞれ同じ構成の発光素子を適用することができ、全ての層を共通層とすることができる。さらに、それぞれのEL層の一部または全部を、フォトリソグラフィにより分断してもよい。これにより、共通層を介したリーク電流が抑制され、コントラストの高い表示装置を実現できる。特に、導電性の高い中間層を介して、複数の発光層を積層したタンデム構造を有する素子では、当該中間層を介したリーク電流を効果的に防ぐことができるため、高い輝度、高い精細度、及び高いコントラストを兼ね備えた表示装置を実現できる。
 EL層をフォトリソグラフィ法により加工する場合、発光層の一部が露出し、劣化の要因となる場合がある。そのため、少なくとも島状の発光層の側面を覆う絶縁層を設けることが好ましい。当該絶縁層は、島状のEL層の上面の一部を覆う構成としてもよい。当該絶縁層としては、水及び酸素に対してバリア性を有する材料を用いることが好ましい。例えば、水または酸素を拡散しにくい、無機絶縁膜を用いることができる。これにより、EL層の劣化を抑制し、信頼性の高い表示装置を実現できる。
 さらに、隣接する2つの発光素子間には、いずれの発光素子のEL層も設けられない領域(凹部)を有する。当該凹部を覆って共通電極、または共通電極及び共通層を形成する場合、共通電極がEL層の端部の段差により分断されてしまう現象(段切れともいう)が生じ、EL層上の共通電極が絶縁してしまう場合がある。そこで、隣接する2つの発光素子間に位置する局所的な段差を、平坦化膜として機能する樹脂層により埋める構成(LFP:Local Filling Planarizationともいう)とすることが好ましい。当該樹脂層は、平坦化膜としての機能を有する。これにより、共通層または共通電極の段切れを抑制し、信頼性の高い表示装置を実現できる。
 以下では、本発明の一態様の表示装置の、より具体的な構成例について、図面を参照して説明する。
[構成例1]
 図27Aに、本発明の一態様の表示装置100の上面概略図を示す。表示装置100は、基板101上に、赤色を呈する発光素子110R、緑色を呈する発光素子110G、及び青色を呈する発光素子110Bをそれぞれ複数有する。図27Aでは、各発光素子の区別を簡単にするため、各発光素子の発光領域内にR、G、Bの符号を付している。
 発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bは、それぞれマトリクス状に配列している。図27Aは、一方向に同一の色の発光素子が配列する、いわゆるストライプ配列を示している。なお、発光素子の配列方法はこれに限られず、Sストライプ配列、デルタ配列、ベイヤー配列、ジグザグ配列などの配列方法を適用してもよいし、ペンタイル配列、ダイヤモンド配列などを用いることもできる。
 発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bとしては、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)、またはQLED(Quantum−dot Light Emitting Diode)を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、例えば蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、及び熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)が挙げられる。EL素子が有する発光物質としては、有機化合物だけでなく、無機化合物(量子ドット材料など)を用いることができる。
 また、図27Aには、共通電極113と電気的に接続する接続電極111Cを示している。接続電極111Cは、共通電極113に供給するための電位(例えばアノード電位、またはカソード電位)が与えられる。接続電極111Cは、発光素子110Rなどが配列する表示領域の外に設けられる。
 接続電極111Cは、表示領域の外周に沿って設けることができる。例えば、表示領域の外周の一辺に沿って設けられていてもよいし、表示領域の外周の2辺以上にわたって設けられていてもよい。すなわち、表示領域の上面形状が長方形である場合には、接続電極111Cの上面形状は、帯状(長方形)、L字状、コの字状(角括弧状)、または四角形などとすることができる。
 図27B、図27Cはそれぞれ、図27A中の一点鎖線A1−A2、一点鎖線A3−A4に対応する断面概略図である。図27Bには、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bの断面概略図を示し、図27Cには、接続電極111Cと共通電極113とが接続される接続部140の断面概略図を示している。
 発光素子110Rは、画素電極111R、有機層112R、共通層114、及び共通電極113を有する。発光素子110Gは、画素電極111G、有機層112G、共通層114、及び共通電極113を有する。発光素子110Bは、画素電極111B、有機層112B、共通層114、及び共通電極113を有する。共通層114と共通電極113は、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bに共通に設けられる。
 発光素子110Rが有する有機層112Rは、少なくとも赤色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光素子110Gが有する有機層112Gは、少なくとも緑色の光を発する発光性の有機化合物を有する。発光素子110Bが有する有機層112Bは、少なくとも青色の光を発する発光性の有機化合物を有する。有機層112R、有機層112G、及び有機層112Bは、それぞれEL層とも呼ぶことができ、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(発光層)を有する。
 以下では、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bに共通する事項を説明する場合には、発光素子110と呼称して説明する場合がある。同様に、有機層112R、有機層112G、及び有機層112Bなど、アルファベットで区別する構成要素についても、これらに共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略した符号を用いて説明する場合がある。
 有機層112、及び共通層114は、それぞれ独立に電子注入層、電子輸送層、正孔注入層、及び正孔輸送層のうち、一以上を有することができる。例えば、有機層112が、画素電極111側から正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層の積層構造を有し、共通層114が電子注入層を有する構成とすることができる。
 画素電極111R、画素電極111G、及び画素電極111Bは、それぞれ発光素子毎に設けられている。また、共通電極113及び共通層114は、各発光素子に共通な一続きの層として設けられている。各画素電極と共通電極113のいずれか一方に可視光に対して透光性を有する導電膜を用い、他方に反射性を有する導電膜を用いる。各画素電極を透光性、共通電極113を反射性とすることで、下面射出型(ボトムエミッション型)の表示装置とすることができ、反対に各画素電極を反射性、共通電極113を透光性とすることで、上面射出型(トップエミッション型)の表示装置とすることができる。なお、各画素電極と共通電極113の双方を透光性とすることで、両面射出型(デュアルエミッション型)の表示装置とすることもできる。
 共通電極113上には、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bを覆って、保護層121が設けられている。保護層121は、上方から各発光素子に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。
 画素電極111の端部はテーパ形状を有することが好ましい。画素電極111の端部がテーパ形状を有する場合、画素電極111の端部に沿って設けられる有機層112も、テーパ形状とすることができる。画素電極111の端部をテーパ形状とすることで、画素電極111の端部を乗り越えて設けられる有機層112の被覆性を高めることができる。また、画素電極111の側面をテーパ形状とすることで、作製工程中の異物(例えば、ゴミ、またはパーティクルなどともいう)を、洗浄などの処理により除去することが容易となり好ましい。
 なお、本明細書等において、テーパ形状とは、構造の側面の少なくとも一部が、基板面に対して傾斜して設けられている形状のことを指す。例えば、傾斜した側面と基板面とがなす角(テーパ角ともいう)が90°未満である領域を有すると好ましい。
 有機層112は、フォトリソグラフィ法により島状に加工されている。そのため、有機層112は、その端部において、上面と側面との成す角が90度に近い形状となる。一方、FMM(Fine Metal Mask)などを用いて形成された有機膜は、その厚さが端部に近いほど徐々に薄くなる傾向があり、例えば端部まで1μm以上10μm以下の範囲にわたって、上面がスロープ状に形成されるため、上面と側面の区別が困難な形状となる。
 隣接する2つの発光素子間には、絶縁層125、樹脂層126及び層128を有する。
 隣接する2つの発光素子間において、互いの有機層112の側面が樹脂層126を挟んで対向して設けられている。樹脂層126は、隣接する2つの発光素子の間に位置し、それぞれの有機層112の端部、及び2つの有機層112の間の領域を埋めるように設けられている。樹脂層126は、滑らかな凸状の上面形状を有しており、樹脂層126の上面を覆って、共通層114及び共通電極113が設けられている。
 樹脂層126は、隣接する2つの発光素子間に位置する段差を埋める平坦化膜として機能する。樹脂層126を設けることにより、共通電極113が有機層112の端部の段差により分断されてしまう現象(段切れともいう)が生じ、有機層112上の共通電極が絶縁してしまうことを防ぐことができる。樹脂層126は、LFP(Local Filling Planarization)層ともいうことができる。
 樹脂層126としては、有機材料を有する絶縁層を好適に用いることができる。例えば、樹脂層126として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シリコーン樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等を適用することができる。また、樹脂層126として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリグリセリン、プルラン、水溶性のセルロース、またはアルコール可溶性のポリアミド樹脂などの有機材料を用いてもよい。
 また、樹脂層126として、感光性の樹脂を用いることができる。感光性の樹脂としてはフォトレジストを用いてもよい。感光性の樹脂は、ポジ型の材料、またはネガ型の材料を用いることができる。
 樹脂層126は、可視光を吸収する材料を含んでいてもよい。例えば、樹脂層126自体が可視光を吸収する材料により構成されていてもよいし、樹脂層126が、可視光を吸収する顔料を含んでいてもよい。樹脂層126としては、例えば、赤色、青色、または緑色の光を透過し、他の光を吸収するカラーフィルタとして用いることのできる樹脂、またはカーボンブラックを顔料として含み、ブラックマトリクスとして機能する樹脂などを用いることができる。
 絶縁層125は、有機層112の側面に接して設けられている。また絶縁層125は、有機層112の上端部を覆って設けられている。また絶縁層125の一部は、基板101の上面に接して設けられている。
 絶縁層125は、樹脂層126と有機層112との間に位置し、樹脂層126が有機層112に接することを防ぐための保護膜として機能する。有機層112と樹脂層126とが接すると、樹脂層126の形成時に用いられる有機溶媒などにより有機層112が溶解する可能性がある。そのため、有機層112と樹脂層126との間に絶縁層125を設ける構成とすることで、有機層112の側面を保護することが可能となる。
 絶縁層125としては、無機材料を有する絶縁層とすることができる。絶縁層125には、例えば、酸化絶縁膜、窒化絶縁膜、酸化窒化絶縁膜、及び窒化酸化絶縁膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層125は単層構造であってもよく積層構造であってもよい。酸化絶縁膜としては、酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化マグネシウム膜、インジウムガリウム亜鉛酸化物膜、酸化ガリウム膜、酸化ゲルマニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化ネオジム膜、酸化ハフニウム膜、及び酸化タンタル膜などが挙げられる。窒化絶縁膜としては、窒化シリコン膜及び窒化アルミニウム膜などが挙げられる。酸化窒化絶縁膜としては、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜などが挙げられる。窒化酸化絶縁膜としては、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化金属膜、または酸化シリコン膜などの無機絶縁膜を絶縁層125に適用することで、ピンホールが少なく、EL層を保護する機能に優れた絶縁層125を形成することができる。
 なお、本明細書などにおいて、酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。例えば、酸化窒化シリコンと記載した場合は、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンと記載した場合は、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
 絶縁層125の形成は、スパッタリング法、CVD法、PLD法、ALD法などを用いることができる。絶縁層125は、被覆性が良好なALD法を用いて形成することが好ましい。
 また、絶縁層125と、樹脂層126との間に、反射膜(例えば、銀、パラジウム、銅、チタン、及びアルミニウムなどの中から選ばれる一または複数を含む金属膜)を設け、発光層から射出される光を上記反射膜により反射させる構成としてもよい。これにより、光取り出し効率を向上させることができる。
 層128は、有機層112のエッチング時に、有機層112を保護するための保護層(マスク層、犠牲層ともいう)の一部が残存したものである。層128には、上記絶縁層125に用いることのできる材料を用いることができる。特に、層128と絶縁層125とに同じ材料を用いると、加工のための装置等を共通に用いることができるため、好ましい。
 特にALD法により形成した酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化金属膜、または酸化シリコン膜などの無機絶縁膜はピンホールが少ないため、EL層を保護する機能に優れ、絶縁層125及び層128に好適に用いることができる。
 保護層121としては、例えば、少なくとも無機絶縁膜を含む単層構造または積層構造とすることができる。無機絶縁膜としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜などの酸化物膜または窒化物膜が挙げられる。または、保護層121としてインジウムガリウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウムスズ酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物などの半導体材料または導電性材料を用いてもよい。
 保護層121としては、無機絶縁膜と、有機絶縁膜の積層膜を用いることもできる。例えば、一対の無機絶縁膜の間に、有機絶縁膜を挟んだ構成とすることが好ましい。さらに有機絶縁膜が平坦化膜として機能することが好ましい。これにより、有機絶縁膜の上面を平坦なものとすることができるため、その上の無機絶縁膜の被覆性が向上し、バリア性を高めることができる。また、保護層121の上面が平坦となるため、保護層121の上方に構造物(例えばカラーフィルタ、タッチセンサの電極、またはレンズアレイなど)を設ける場合に、下方の構造に起因する凹凸形状の影響を軽減できるため好ましい。
 図27Cには、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続する接続部140を示している。接続部140では、接続電極111C上において、絶縁層125及び樹脂層126に開口部が設けられる。当該開口部において、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続されている。
 なお、図27Cには、接続電極111Cと共通電極113とが電気的に接続する接続部140を示しているが、接続電極111C上に共通層114を介して共通電極113が設けられていてもよい。特に共通層114にキャリア注入層を用いた場合などでは、当該共通層114に用いる材料の電気抵抗率が十分に低く、且つ厚さも薄く形成できるため、共通層114が接続部140に位置していても問題は生じない場合が多い。これにより、共通電極113と共通層114とを同じ遮蔽マスクを用いて形成することができるため、製造コストを低減できる。
[構成例2]
 以下では、上記構成例1とは一部の構成が異なる表示装置について説明する。なお、上記構成例1と共通する部分はこれを参照し、説明を省略する場合がある。
 図28Aに、表示装置100aの断面概略図を示す。表示装置100aは、発光素子の構成が異なる点、及び着色層を有する点で、上記表示装置100と主に相違している。
 表示装置100aは、白色光を呈する発光素子110Wを有する。発光素子110Wは、画素電極111、有機層112W、共通層114、及び共通電極113を有する。有機層112Wは、白色発光を呈する。例えば、有機層112Wは、発光色が補色の関係となる2種類以上の発光材料を含む構成とすることができる。例えば、有機層112Wは、赤色の光を発する発光性の有機化合物と、緑色の光を発する発光性の有機化合物と、青色の光を発する発光性の有機化合物と、を有する構成とすることができる。また、青色の光を発する発光性の有機化合物と、黄色の光を発する発光性の有機化合物と、を有する構成としてもよい。
 隣接する2つの発光素子110W間において、それぞれの有機層112Wは分断されている。これにより、有機層112Wを介して隣接する発光素子110W間に流れるリーク電流を抑制することができ、当該リーク電流に起因したクロストークを抑制できる。そのため、コントラスト、及び色再現性の高い表示装置を実現できる。
 保護層121上には、平坦化膜として機能する絶縁層122が設けられ、絶縁層122上には着色層116R、着色層116G、及び着色層116Bが設けられている。
 絶縁層122としては、有機樹脂膜、または上面が平坦化された無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層122は、着色層116R、着色層116G、及び着色層116Bの被形成面を成すため、絶縁層122の上面が平坦であることで、着色層116R等の厚さを均一にできるため、色純度を高めることができる。なお、着色層116R等の厚さが不均一であると、光の吸収量が着色層116Rの場所によって変わるため、色純度が低下してしまう恐れがある。
[構成例3]
 図28Bに、表示装置100bの断面概略図を示す。
 発光素子110Rは、画素電極111、導電層115R、有機層112W、及び共通電極113を有する。発光素子110Gは、画素電極111、導電層115G、有機層112W、及び共通電極113を有する。発光素子110Bは、画素電極111、導電層115B、有機層112W、及び共通電極113を有する。導電層115R、導電層115G、及び導電層115Bはそれぞれ透光性を有し、光学調整層として機能する。
 画素電極111に、可視光を反射する膜を用い、共通電極113に、可視光に対して反射性と透過性の両方を有する膜を用いることにより、微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現することができる。このとき、導電層115R、導電層115G、及び導電層115Bの厚さをそれぞれ、最適な光路長となるように調整することで、白色発光を呈する有機層112を用いた場合であっても、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bからは、それぞれ異なる波長の光が強められた光を得ることができる。
 さらに、発光素子110R、発光素子110G、及び発光素子110Bの光路上には、それぞれ着色層116R、着色層116G、着色層116Bが設けられることで、色純度の高い光を得ることができる。
 また、画素電極111及び導電層115の端部を覆う絶縁層123が設けられている。絶縁層123は、端部がテーパ形状を有していることが好ましい。絶縁層123を設けることで、その上に形成される有機層112W、共通電極113、及び保護層121などによる被覆性を高めることができる。
 有機層112W及び共通電極113は、それぞれ一続きの膜として、各発光素子に共通して設けられている。このような構成とすることで、表示装置の作製工程を大幅に簡略化できるため好ましい。
 ここで、画素電極111は、その端部が垂直に近い形状であることが好ましい。これにより、絶縁層123の表面に傾斜が急峻な部分を形成することができ、この部分を被覆する有機層112Wの一部に厚さの薄い部分を形成すること、または有機層112Wの一部を分断することができる。そのため、フォトリソグラフィ法などによる有機層112Wの加工を行うことなく、隣接する発光素子間に生じる有機層112Wを介したリーク電流を抑制することができる。
 以上が、表示装置の構成例についての説明である。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
 本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図29乃至図31を用いて説明する。
 本実施の形態の電子機器は、表示部に本発明の一態様のトランジスタが適用された表示パネル(表示装置)を有する。本発明の一態様の表示装置は、高精細化及び高解像度化が容易であり、また、高い表示品位を実現できる。したがって、様々な電子機器の表示部に用いることができる。
 電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
 特に、本発明の一態様の表示パネルは、精細度を高めることが可能なため、比較的小さな表示部を有する電子機器に好適に用いることができる。このような電子機器としては、例えば、腕時計型及びブレスレット型の情報端末機(ウェアラブル機器)、並びに、ヘッドマウントディスプレイなどのVR向け機器、メガネ型のAR向け機器、及び、MR向け機器など、頭部に装着可能なウェアラブル機器等が挙げられる。
 本発明の一態様の表示パネルは、HD(画素数1280×720)、FHD(画素数1920×1080)、WQHD(画素数2560×1440)、WQXGA(画素数2560×1600)、4K(画素数3840×2160)、8K(画素数7680×4320)といった極めて高い解像度を有していることが好ましい。特に4K、8K、またはそれ以上の解像度とすることが好ましい。また、本発明の一態様の表示パネルにおける画素密度(精細度)は、100ppi以上が好ましく、300ppi以上が好ましく、500ppi以上がより好ましく、1000ppi以上がより好ましく、2000ppi以上がより好ましく、3000ppi以上がより好ましく、5000ppi以上がより好ましく、7000ppi以上がさらに好ましい。このように高い解像度及び高い精細度の一方または双方を有する表示パネルを用いることで、臨場感及び奥行き感などをより高めることが可能となる。また、本発明の一態様の表示パネルの画面比率(アスペクト比)については、特に限定はない。例えば、表示パネルは、1:1(正方形)、4:3、16:9、16:10など様々な画面比率に対応することができる。
 本実施の形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
 本実施の形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
 図29A乃至図29Dを用いて、頭部に装着可能なウェアラブル機器の一例を説明する。これらウェアラブル機器は、ARのコンテンツを表示する機能、及びVRのコンテンツを表示する機能の一方または双方を有する。なお、これらウェアラブル機器は、AR、VRの他に、SRまたはMRのコンテンツを表示する機能を有していてもよい。電子機器が、AR、VR、SR、及びMRなどのうち少なくとも一つのコンテンツを表示する機能を有することで、使用者の没入感を高めることが可能となる。
 図29Aに示す電子機器700A、及び、図29Bに示す電子機器700Bは、それぞれ、一対の表示パネル751と、一対の筐体721と、通信部(図示しない)と、一対の装着部723と、制御部(図示しない)と、撮像部(図示しない)と、一対の光学部材753と、フレーム757と、一対の鼻パッド758と、を有する。
 表示パネル751には、本発明の一態様の表示パネルを適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。
 電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、光学部材753の表示領域756に、表示パネル751で表示した画像を投影することができる。光学部材753は透光性を有するため、使用者は光学部材753を通して視認される透過像に重ねて、表示領域に表示された画像を見ることができる。したがって、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、AR表示が可能な電子機器である。
 電子機器700A、及び、電子機器700Bには、撮像部として、前方を撮像することのできるカメラが設けられていてもよい。また、電子機器700A、及び、電子機器700Bは、それぞれ、ジャイロセンサなどの加速度センサを備えることで、使用者の頭部の向きを検知して、その向きに応じた画像を表示領域756に表示することもできる。
 通信部は無線通信機を有し、当該無線通信機により映像信号等を供給することができる。なお、無線通信機に代えて、または無線通信機に加えて、映像信号及び電源電位が供給されるケーブルを接続可能なコネクタを備えていてもよい。
 また、電子機器700A、及び、電子機器700Bには、バッテリが設けられており、無線及び有線の一方または双方によって充電することができる。
 筐体721には、タッチセンサモジュールが設けられていてもよい。タッチセンサモジュールは、筐体721の外側の面がタッチされることを検出する機能を有する。タッチセンサモジュールにより、使用者のタップ操作またはスライド操作などを検出し、様々な処理を実行することができる。例えば、タップ操作によって動画の一時停止または再開などの処理を実行することが可能となり、スライド操作により、早送りまたは早戻しの処理を実行することなどが可能となる。また、2つの筐体721のそれぞれにタッチセンサモジュールを設けることで、操作の幅を広げることができる。
 タッチセンサモジュールとしては、様々なタッチセンサを適用することができる。例えば、静電容量方式、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式、光学方式等、種々の方式を採用することができる。特に、静電容量方式または光学方式のセンサを、タッチセンサモジュールに適用することが好ましい。
 光学方式のタッチセンサを用いる場合には、受光デバイス(受光素子ともいう)として、光電変換デバイス(光電変換素子ともいう)を用いることができる。光電変換デバイスの活性層には、無機半導体及び有機半導体の一方または双方を用いることができる。
 図29Cに示す電子機器800A、及び、図29Dに示す電子機器800Bは、それぞれ、一対の表示部820と、筐体821と、通信部822と、一対の装着部823と、制御部824と、一対の撮像部825と、一対のレンズ832と、を有する。
 表示部820には、本発明の一態様の表示パネルを適用することができる。したがって極めて精細度の高い表示が可能な電子機器とすることができる。これにより、使用者に高い没入感を感じさせることができる。
 表示部820は、筐体821の内部の、レンズ832を通して視認できる位置に設けられる。また、一対の表示部820に異なる画像を表示させることで、視差を用いた3次元表示を行うこともできる。
 電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、VR向けの電子機器ということができる。電子機器800Aまたは電子機器800Bを装着した使用者は、レンズ832を通して、表示部820に表示される画像を視認することができる。
 電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、レンズ832及び表示部820が、使用者の目の位置に応じて最適な位置となるように、これらの左右の位置を調整可能な機構を有していることが好ましい。また、レンズ832と表示部820との距離を変えることで、ピントを調整する機構を有していることが好ましい。
 装着部823により、使用者は電子機器800Aまたは電子機器800Bを頭部に装着することができる。なお、図29Cなどにおいては、メガネのつる(テンプルなどともいう)のような形状として例示しているがこれに限定されない。装着部823は、使用者が装着できればよく、例えば、ヘルメット型またはバンド型の形状としてもよい。
 撮像部825は、外部の情報を取得する機能を有する。撮像部825が取得したデータは、表示部820に出力することができる。撮像部825には、イメージセンサを用いることができる。また、望遠、広角などの複数の画角に対応可能なように複数のカメラを設けてもよい。
 なお、ここでは撮像部825を有する例を示したが、対象物の距離を測定することのできる測距センサ(以下、検知部ともよぶ)を設ければよい。すなわち、撮像部825は、検知部の一態様である。検知部としては、例えばイメージセンサ、または、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などの距離画像センサを用いることができる。カメラによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを用いることにより、より多くの情報を取得し、より高精度なジェスチャー操作を可能とすることができる。
 電子機器800Aは、骨伝導イヤホンとして機能する振動機構を有していてもよい。例えば、表示部820、筐体821、及び装着部823のいずれか一または複数に、当該振動機構を有する構成を適用することができる。これにより、別途、ヘッドホン、イヤホン、またはスピーカなどの音響機器を必要とせず、電子機器800Aを装着しただけで映像と音声を楽しむことができる。
 電子機器800A、及び、電子機器800Bは、それぞれ、入力端子を有していてもよい。入力端子には映像出力機器等からの映像信号、及び、電子機器内に設けられるバッテリを充電するための電力等を供給するケーブルを接続することができる。
 本発明の一態様の電子機器は、イヤホン750と無線通信を行う機能を有していてもよい。イヤホン750は、通信部(図示しない)を有し、無線通信機能を有する。イヤホン750は、無線通信機能により、電子機器から情報(例えば音声データ)を受信することができる。例えば、図29Aに示す電子機器700Aは、無線通信機能によって、イヤホン750に情報を送信する機能を有する。また、例えば、図29Cに示す電子機器800Aは、無線通信機能によって、イヤホン750に情報を送信する機能を有する。
 また、電子機器がイヤホン部を有していてもよい。図29Bに示す電子機器700Bは、イヤホン部727を有する。例えば、イヤホン部727と制御部とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤホン部727と制御部とをつなぐ配線の一部は、筐体721または装着部723の内部に配置されていてもよい。
 同様に、図29Dに示す電子機器800Bは、イヤホン部827を有する。例えば、イヤホン部827と制御部824とは、互いに有線接続されている構成とすることができる。イヤホン部827と制御部824とをつなぐ配線の一部は、筐体821または装着部823の内部に配置されていてもよい。また、イヤホン部827と装着部823とがマグネットを有していてもよい。これにより、イヤホン部827を装着部823に磁力によって固定することができ、収納が容易となり好ましい。
 なお、電子機器は、イヤホンまたはヘッドホンなどを接続することができる音声出力端子を有していてもよい。また、電子機器は、音声入力端子及び音声入力機構の一方または双方を有していてもよい。音声入力機構としては、例えば、マイクなどの集音装置を用いることができる。電子機器が音声入力機構を有することで、電子機器に、いわゆるヘッドセットとしての機能を付与してもよい。
 このように、本発明の一態様の電子機器としては、メガネ型(電子機器700A、及び、電子機器700Bなど)と、ゴーグル型(電子機器800A、及び、電子機器800Bなど)と、のどちらも好適である。
 図30Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
 電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、光源6508及び制御装置6509などを有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。なお、制御装置6509としては、例えば、CPU、GPU、及び記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を有する。本発明の一態様の半導体装置は、表示部6502、制御装置6509などに適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を制御装置6509に用いることで、消費電力を低減させることができるため好適である。
 表示部6502に、本発明の一態様の表示パネルを適用することができる。
 図30Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
 筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
 保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
 表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
 表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
 図30Cにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
 図30Cに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、及び、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
 なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間など)の情報通信を行うことも可能である。
 図30Dに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214、制御装置7216等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。制御装置7216としては、例えば、CPU、GPU、及び記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を有する。本発明の一態様の半導体装置は、表示部7000、制御装置7216などに適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を制御装置7216に用いることで、消費電力を低減させることができるため好適である。
 図30E及び図30Fに、デジタルサイネージの一例を示す。
 図30Eに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
 図30Fは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
 表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
 表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
 また、図30E及び図30Fに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、使用者が所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
 また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数の使用者が同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
 図30C乃至図30Fにおいて、表示部7000に、本発明の一態様の表示パネルを適用することができる。
 図31A乃至図31Gに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を検知、検出、または測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
 図31A乃至図31Gに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画を撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
 図31A乃至図31Gに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
 図31Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字及び画像情報をその複数の面に表示することができる。図31Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メールまたはSNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、電波強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
 図31Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
 図31Cは、タブレット端末9103を示す斜視図である。タブレット端末9103は、一例として、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲーム等の種々のアプリケーションの実行が可能である。タブレット端末9103は、筐体9000の正面に表示部9001、カメラ9002、マイクロフォン9008、スピーカ9003を有し、筐体9000の左側面には操作用のボタンとしての操作キー9005、底面には接続端子9006を有する。
 図31Dは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチ(登録商標)として用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、及び、充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
 図31E乃至図31Gは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図31Eは携帯情報端末9201を展開した状態、図31Gは折り畳んだ状態、図31Fは図31Eと図31Gの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
 本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置の応用例について説明する。本発明の一態様の半導体装置は、例えば、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、及びデータセンター(Data Center:DCとも呼称する)に用いることができる。本発明の一態様の半導体装置を用いた、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、及びデータセンターは、低消費電力化といった高性能化に有効である。
 本発明の一態様の半導体装置が適用された電子部品等は、実施の形態5で例示した電子機器に適用することができる。
[電子部品]
 電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図を、図32Aに示す。図32Aに示す電子部品700は、モールド711内に半導体装置710を有している。図32Aは、電子部品700の内部を示すために、一部の記載を省略している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は電極パッド713と電気的に接続され、電極パッド713は半導体装置710とワイヤ714を介して電気的に接続されている。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
 また、半導体装置710は、駆動回路層715と、記憶層716と、を有する。なお、記憶層716は、複数のメモリセルアレイが積層された構成である。駆動回路層715と、記憶層716と、が積層された構成は、モノリシック積層の構成とすることができる。モノリシック積層の構成では、TSV(Through Silicon Via)などの貫通電極技術、及び、Cu−Cu直接接合などの接合技術、を用いることなく、各層間を接続することができる。駆動回路層715と、記憶層716と、をモノリシック積層の構成とすることで、例えば、プロセッサ上にメモリが直接形成される、いわゆるオンチップメモリの構成とすることができる。オンチップメモリの構成とすることで、プロセッサと、メモリとのインターフェース部分の動作を高速にすることが可能となる。
 また、オンチップメモリの構成とすることで、TSVなどの貫通電極を用いる技術と比較し、接続配線などのサイズを小さくできるため、接続ピン数を増加させることも可能となる。接続ピン数を増加させることで、並列動作が可能となるため、メモリのバンド幅(メモリバンド幅ともいう)を向上させることが可能となる。
 また、記憶層716が有する、複数のメモリセルアレイを、OSトランジスタを用いて形成し、当該複数のメモリセルアレイをモノリシックで積層することが好ましい。複数のメモリセルアレイをモノリシック積層の構成とすることで、メモリのバンド幅、及びメモリのアクセスレイテンシの一方または双方を向上させることができる。なお、バンド幅とは、単位時間あたりのデータ転送量であり、アクセスレイテンシとは、アクセスしてからデータのやり取りが始まるまでの時間である。なお、記憶層716にSiトランジスタを用いる構成の場合、OSトランジスタと比較し、モノリシック積層の構成とすることが困難である。そのため、モノリシック積層の構成において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも優れた構造であるといえる。
 また、半導体装置710を、ダイと呼称してもよい。なお、本明細書等において、ダイとは、半導体チップの製造工程で、例えば円盤状の基板(ウエハともいう)などに回路パターンを形成し、さいの目状に切り分けて得られたチップ片を表す。なお、ダイに用いることのできる半導体材料として、例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、または窒化ガリウム(GaN)などが挙げられる。例えば、シリコン基板(シリコンウエハともいう)から得られたダイを、シリコンダイという場合がある。
 次に、電子部品730の斜視図を図32Bに示す。電子部品730は、SiP(System in Package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、及び複数の半導体装置710が設けられている。
 電子部品730では、半導体装置710を広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路に用いることができる。
 パッケージ基板732は、例えば、セラミックス基板、プラスチック基板、または、ガラスエポキシ基板を用いることができる。インターポーザ731は、例えば、シリコンインターポーザ、または樹脂インターポーザを用いることができる。
 インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSVを用いることもできる。
 HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
 また、シリコンインターポーザを用いた、SiP及びMCM等では、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
 一方で、シリコンインターポーザ、及びTSVなどを用いて端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する場合、当該端子ピッチの幅などのスペースが必要となる。そのため、電子部品730のサイズを小さくしようとした場合、上記の端子ピッチの幅が問題になり、広いメモリバンド幅を実現するために必要な多くの配線を設けることが、困難になる場合がある。そこで、前述したように、OSトランジスタを用いたモノリシック積層の構成が好適である。TSVを用いて積層したメモリセルアレイと、モノリシック積層したメモリセルアレイと、を組み合わせた複合化構造としてもよい。
 また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、半導体装置710と半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
 電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。図32Bでは、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
 電子部品730は、BGA及びPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。実装方法としては、例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J−leaded package)、及び、QFN(Quad Flat Non−leaded package)が挙げられる。
[大型計算機]
 大型計算機5600の斜視図を図33Aに示す。大型計算機5600には、ラック5610にラックマウント型の計算機5620が複数格納されている。なお、大型計算機5600を、スーパーコンピュータと呼称してもよい。
 図33Bに計算機5620の一例の斜視図を示す。計算機5620は、マザーボード5630する。マザーボード5630には複数のスロット5631、及び複数の接続端子が設けられる。スロット5631には、PCカード5621が挿入されている。加えて、PCカード5621は、接続端子5623、接続端子5624、接続端子5625を有し、それぞれ、マザーボード5630に接続されている。
 図33CにPCカード5621の一例を示す。PCカード5621は、例えばCPU、GPU、記憶装置などを備えた処理ボードである。PCカード5621は、ボード5622と、ボード5622に実装される、接続端子5623、接続端子5624、接続端子5625、電子部品5626、電子部品5627、電子部品5628、接続端子5629などを有する。なお、図33Cには、電子部品5626、電子部品5627、及び電子部品5628以外の部品を図示している。
 接続端子5629は、マザーボード5630のスロット5631に挿入することができる形状を有しており、接続端子5629は、PCカード5621とマザーボード5630とを接続するためのインターフェースとして機能する。接続端子5629の規格としては、例えば、PCIeなどが挙げられる。
 接続端子5623、接続端子5624、接続端子5625は、例えば、PCカード5621に対して電力供給、信号入力などを行うためのインターフェースとすることができる。また、例えば、PCカード5621によって計算された信号の出力などを行うためのインターフェースとすることができる。接続端子5623、接続端子5624、接続端子5625のそれぞれの規格としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、SATA(Serial ATA)、SCSI(Small Computer System Interface)などが挙げられる。また、接続端子5623、接続端子5624、接続端子5625から映像信号を出力する場合、それぞれの規格としては、HDMI(登録商標)などが挙げられる。
 電子部品5626は、信号の入出力を行う端子(図示しない)を有しており、当該端子をボード5622が備えるソケット(図示しない)に対して差し込むことで、電子部品5626とボード5622を電気的に接続することができる。
 電子部品5627及び電子部品5628は、複数の端子を有しており、当該端子をボード5622が備える配線に対して、例えば、リフロー方式のはんだ付けを行うことで、実装することができる。電子部品5627としては、例えば、FPGA、GPU、CPUなどが挙げられる。電子部品5627として、例えば、電子部品730を用いることができる。電子部品5628としては、例えば、記憶装置などが挙げられる。電子部品5628として、例えば、電子部品700を用いることができる。
 大型計算機5600は並列計算機としても機能できる。大型計算機5600を並列計算機として用いることで、例えば、人工知能の学習、及び推論に必要な大規模の計算を行うことができる。
[宇宙用機器]
 本発明の一態様の半導体装置は、宇宙用機器に好適に用いることができる。
 本発明の一態様の半導体装置は、OSトランジスタを含む。OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい。つまり放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境において好適に用いることができる。例えば、OSトランジスタは、宇宙空間にて使用する場合に好適に用いることができる。具体的には、OSトランジスタを、スペースシャトル、人工衛星、または、宇宙探査機に設けられる半導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。放射線として、例えば、X線、及び中性子線が挙げられる。なお、宇宙空間とは、例えば、高度100km以上を指すが、本明細書に記載の宇宙空間は、熱圏、中間圏、及び成層圏のうち一つまたは複数を含んでもよい。
 図34Aには、宇宙用機器の一例として、人工衛星6800を示している。人工衛星6800は、機体6801と、ソーラーパネル6802と、アンテナ6803と、二次電池6805と、制御装置6807と、を有する。なお、図34Aにおいては、宇宙空間に惑星6804を例示している。
 また、図34Aには、図示していないが、二次電池6805に、バッテリマネジメントシステム(BMSともいう)、またはバッテリ制御回路を設けてもよい。前述のバッテリマネジメントシステム、またはバッテリ制御回路に、OSトランジスタを用いると、消費電力が低く、且つ宇宙空間においても高い信頼性を有するため好適である。
 また、宇宙空間は、地上に比べて100倍以上、放射線量の高い環境である。なお、放射線として、例えば、X線、及びガンマ線に代表される電磁波(電磁放射線)、並びにアルファ線、ベータ線、中性子線、陽子線、重イオン線、中間子線などに代表される粒子放射線が挙げられる。
 ソーラーパネル6802に太陽光が照射されることにより、人工衛星6800が動作するために必要な電力が生成される。しかしながら、例えばソーラーパネルに太陽光が照射されない状況、またはソーラーパネルに照射される太陽光の光量が少ない状況では、生成される電力が少なくなる。よって、人工衛星6800が動作するために必要な電力が生成されない可能性がある。生成される電力が少ない状況下であっても人工衛星6800を動作させるために、人工衛星6800に二次電池6805を設けるとよい。なお、ソーラーパネルは、太陽電池モジュールと呼ばれる場合がある。
 人工衛星6800は、信号を生成することができる。当該信号は、アンテナ6803を介して送信され、例えば地上に設けられた受信機、または他の人工衛星が当該信号を受信することができる。人工衛星6800が送信した信号を受信することにより、当該信号を受信した受信機の位置を測定することができる。以上より、人工衛星6800は、衛星測位システムを構成することができる。
 また、制御装置6807は、人工衛星6800を制御する機能を有する。制御装置6807としては、例えば、CPU、GPU、及び記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を用いて構成される。なお、制御装置6807には、本発明の一態様であるOSトランジスタを含む半導体装置を用いると好適である。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、放射線照射による電気特性の変動が小さい。つまり放射線が入射しうる環境においても信頼性が高く、好適に用いることができる。
 また、人工衛星6800は、センサを有する構成とすることができる。例えば、可視光センサを有する構成とすることにより、人工衛星6800は、地上に設けられている物体に当たって反射された太陽光を検出する機能を有することができる。または、熱赤外センサを有する構成とすることにより、人工衛星6800は、地表から放出される熱赤外線を検出する機能を有することができる。以上より、人工衛星6800は、例えば地球観測衛星としての機能を有することができる。
 なお、本実施の形態においては、宇宙用機器の一例として、人工衛星について例示したがこれに限定されない。例えば、本発明の一態様の半導体装置は、宇宙船、宇宙カプセル、宇宙探査機などの宇宙用機器に好適に用いることができる。
 以上の説明の通り、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、広いメモリバンド幅の実現が可能なこと、放射線耐性が高いこと、といった優れた効果を有する。
[データセンター]
 本発明の一態様の半導体装置は、例えば、データセンターなどに適用されるストレージシステムに好適に用いることができる。データセンターは、データの不変性を保障するなど、データの長期的な管理を行うことが求められる。長期的なデータを管理する場合、膨大なデータを記憶するためのストレージ及びサーバの設置、データを保持するための安定した電源の確保、あるいはデータの保持に要する冷却設備の確保、など建屋の大型化が必要となる。
 データセンターに適用されるストレージシステムに本発明の一態様の半導体装置を用いることにより、データの保持に要する電力の低減、データを保持する半導体装置の小型化を図ることができる。そのため、ストレージシステムの小型化、データを保持するための電源の小型化、冷却設備の小規模化、などを図ることができる。そのため、データセンターの省スペース化を図ることができる。
 また、本発明の一態様の半導体装置は、消費電力が少ないため、回路からの発熱を低減することができる。よって、当該発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの悪影響を低減できる。また、本発明の一態様の半導体装置を用いることにより、高温環境下においても動作が安定したデータセンターを実現できる。よってデータセンターの信頼性を高めることができる。
 図34Bにデータセンターに適用可能なストレージシステムを示す。図34Bに示すストレージシステム7000は、ホスト7001(Host Computerと図示)として複数のサーバ7001sbを有する。また、ストレージ7003(Storageと図示)として複数の記憶装置7003mdを有する。ホスト7001とストレージ7003とは、ストレージエリアネットワーク7004(SAN:Storage Area Networkと図示)及びストレージ制御回路7002(Storage Controllerと図示)を介して接続されている形態を図示している。
 ホスト7001は、ストレージ7003に記憶されたデータにアクセスするコンピュータに相当する。ホスト7001同士は、ネットワークで互いに接続されていてもよい。
 ストレージ7003は、フラッシュメモリを用いることで、データのアクセススピード、つまりデータの記憶及び出力に要する時間を短くしているものの、当該時間は、ストレージ内のキャッシュメモリとして用いることのできるDRAMが要する時間に比べて格段に長い。ストレージシステムでは、ストレージ7003のアクセススピードの長さの問題を解決するために、通常ストレージ内にキャッシュメモリを設けてデータの記憶及び出力を短くしている。
 前述のキャッシュメモリは、ストレージ制御回路7002及びストレージ7003内に用いられる。ホスト7001とストレージ7003との間でやり取りされるデータは、ストレージ制御回路7002及びストレージ7003内の当該キャッシュメモリに記憶されたのち、ホスト7001またはストレージ7003に出力される。
 前述のキャッシュメモリのデータを記憶するためのトランジスタとして、OSトランジスタを用いてデータに応じた電位を保持する構成とすることで、リフレッシュする頻度を減らし、消費電力を小さくすることができる。またメモリセルアレイを積層する構成とすることで小型化が可能である。
 なお、本発明の一態様の半導体装置を、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、及びデータセンターの中から選ばれるいずれか一または複数に適用することで、消費電力を低減させる効果が期待される。そのため、半導体装置の高性能化、または高集積化に伴うエネルギー需要の増加が見込まれる中、本発明の一態様の半導体装置を用いることで、二酸化炭素(CO)に代表される、温室効果ガスの排出量を低減させることも可能となる。また、本発明の一態様の半導体装置は、低消費電力であるため地球温暖化対策としても有効である。
 本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
10a:トランジスタ、10b:トランジスタ、10c:トランジスタ、10d:トランジスタ、10e:トランジスタ、10f:トランジスタ、10g:トランジスタ、10h:トランジスタ、10i:トランジスタ、10j:トランジスタ、10k:トランジスタ、10:トランジスタ、11:絶縁層、20a:開口、20b:開口、20c:開口、20d:開口、21i:チャネル形成領域、21n:低抵抗領域、21:半導体層、22:絶縁層、23:導電層、26:導電層、27:絶縁層、30:メモリセル、31:導電層、32:導電層、33:導電層、34:導電層、35:ダミー層、41a:絶縁層、41b:絶縁層、41c:絶縁層、41:絶縁層、42:絶縁層、44:絶縁層、45:絶縁層、46:絶縁層、47:絶縁層、48:絶縁層、50:容量素子、51:導電層、52:導電層、53:絶縁層、60[1,1]:メモリユニット、60[2,4]:メモリユニット、60[a,b]:メモリユニット、60:メモリユニット、61:導電層、62:導電層、63:導電層、65:絶縁層、70[1]:層、70[2]:層、70[m]:層、70:層、90:トランジスタ、91:基板、92:半導体領域、93:絶縁層、94:導電層、95a:低抵抗領域、95b:低抵抗領域

Claims (8)

  1.  トランジスタと、第1の絶縁層と、第2の絶縁層と、を有し、
     前記トランジスタは、第1の導電層、第2の導電層、第3の導電層、半導体層、及び第3の絶縁層を有し、
     前記第1の絶縁層は、前記第1の導電層の上方に位置し、且つ、前記第1の導電層に達する第1の開口を有し、
     前記第2の導電層は、前記第1の絶縁層の上方に位置し、
     前記半導体層は、前記第2の導電層、ならびに前記第1の開口における前記第1の絶縁層の側面及び前記第1の導電層の上面に接し、
     前記第3の絶縁層は、前記第1の開口内における前記半導体層と接し、
     前記第2の絶縁層は、前記第3の絶縁層の上方に位置し、且つ、前記第1の開口と重なる位置に、前記第3の絶縁層に達する第2の開口を有し、
     前記第3の導電層は、前記第2の開口、及び前記第1の開口を埋めるように設けられる、
     半導体装置。
  2.  請求項1において、
     前記第2の絶縁層は、前記第3の絶縁層よりも厚い部分を有する、
     半導体装置。
  3.  請求項1において、
     配線を有し、
     前記配線は、前記第3の導電層の上面と接し、且つ、前記第2の絶縁層を介して前記半導体層または前記第2の導電層と重なる部分を有する、
     半導体装置。
  4.  請求項1において、
     前記第2の開口は、一方向に延伸する部分を有し、
     前記第3の導電層の、前記第2の開口内に位置する部分は、配線として機能する、
     半導体装置。
  5.  請求項1において、
     前記第1の開口は、下端の開口径よりも、上端の開口径が大きい、
     半導体装置。
  6.  第1の開口を有する第1の絶縁層を形成し、
     前記第1の絶縁層の、前記第1の開口における側面に接して、半導体層を形成し、
     前記第1の絶縁層及び前記半導体層を覆って、第3の絶縁層を形成し、
     前記第3の絶縁層上であって、前記第1の開口と重なる位置に、ダミー層を形成し、
     前記第3の絶縁層及び前記ダミー層を覆う第2の絶縁層を形成し、
     前記第2の絶縁層の上部をエッチングして、前記ダミー層の上面を露出させ、
     前記ダミー層を除去して、前記第2の絶縁層に、前記第1の開口と重なり、且つ、前記第3の絶縁層に達する第2の開口を形成し、
     前記第2の開口内に導電層を形成する、
     半導体装置の作製方法。
  7.  請求項6において、
     前記ダミー層の除去は、ウェットエッチング法を用いて行う、
     半導体装置の作製方法。
  8.  請求項6または請求項7において、
     さらに、前記第2の絶縁層上に、前記導電層と接する配線を形成する、
     半導体装置の作製方法。
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