WO2024070771A1 - 積層体、仮想現実表示装置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、2層のコレステリック液晶層を含み、塗布処理によって形成されるコレステリック液晶層の反射率が高い積層体の提供を課題とする。本発明の積層体は、第1液晶化合物を含む第1組成物を用いて形成された第1コレステリック液晶層と、上記第1コレステリック液晶層上に、第2液晶化合物を含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層とを含む積層体であって、第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、第1液晶化合物と、第2液晶化合物とが異なる化合物であって、コレステリック液晶相に由来する明線および暗線のうち、第1コレステリック液晶層側とは最も離れた位置の暗線を表層暗線とし、第2コレステリック液晶層の厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線を中間暗線とした際に、中間暗線の幅に対する表層暗線が存在する領域幅の比が、1.2以下である。

Description

積層体、仮想現実表示装置
 本発明は、積層体、および、積層体を含む仮想現実表示装置に関する。
 液晶化合物を含む組成物を用いて形成された層を2層以上有する積層体は、種々の用途に使用されている。上記のような積層体は、積層体に含まれる液晶化合物に由来する光学特性から、光学用途に用いられる場合が多い。
 例えば、特許文献1では、第1の光学異方性層と第1の光学異方性層の表面に設けられた第2の光学異方性層を含み、第1の光学異方性層は、液晶化合物を配向させ重合させて固定化された層であり、液晶化合物の第2の光学異方性層と接している側の表面チルト角が5~80°である光学フィルム(積層体)が開示されている。
 一方で、上記のような積層体において、コレステリック液晶化合物の配向方向を固定化してなる層(コレステリック液晶層)を用いる態様も知られている。
特開2014-142618号公報
 コレステリック液晶層を2層以上有する積層体は、コレステリック液晶層の特性を用いた素子として用いられる場合がある。
 このような場合、特定の波長領域の電磁波の反射率(以下、単に「反射率」ともいう。)が高いことが求められる。
 また、上記のようなコレステリック液晶層を2層以上有する積層体の製造は、製造工程を削減できる点で、液晶化合物を含む組成物を順次塗布して行われることが好ましい。すなわち、液晶化合物を含む組成物により一方のコレステリック液晶層を形成し、形成した一方のコレステリック液晶層に対して、液晶化合物を含む組成物を塗布して他方のコレステリック液晶層を形成することが好ましい。
 本発明者らが特許文献1に記載の方法を参考にし、液晶化合物を含む組成物を順次塗布してコレステリック液晶層を2層有する積層体を製造したところ、得られた積層体の反射率が昨今求められる水準に達しておらず、改善が必要であることを知見した。
 そこで、本発明は、2層のコレステリック液晶層を含み、塗布処理によって形成されるコレステリック液晶層の反射率が高い積層体の提供を課題とする。
 また、本発明は、積層体を用いた仮想現実表示装置の提供も課題とする。
 本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。すなわち、以下の構成により上記課題が解決されることを見出した。
 〔1〕 第1液晶化合物を含む第1組成物を用いて形成された第1コレステリック液晶層と、
 上記第1コレステリック液晶層上に、第2液晶化合物を含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層とを含む積層体であって、
 上記第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、
 上記第1液晶化合物と、上記第2液晶化合物とが異なる化合物であって、
 走査型電子顕微鏡で上記第2コレステリック液晶層の断面観察を行って観察される、上記第2コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明線および暗線のうち、上記第1コレステリック液晶層側とは最も離れた位置の暗線を表層暗線とし、上記第2コレステリック液晶層の厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線を中間暗線とした際に、
 上記第2コレステリック液晶層の厚み方向における上記中間暗線の幅に対する、上記第2コレステリック液晶層の厚み方向において上記表層暗線が存在する領域幅の比が、1.2以下である、積層体。
 〔2〕 上記第2コレステリック液晶層の厚み方向における上記中間暗線の幅に対する、上記第2コレステリック液晶層の厚み方向において上記中間暗線が存在する領域幅の比が、3.0以下である、〔1〕に記載の積層体。
 〔3〕 第1液晶化合物を含む第1組成物を用いて形成された第1コレステリック液晶層と、
 上記第1コレステリック液晶層上に、第2液晶化合物を含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層とを含む積層体であって、
 上記第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、
 上記第1液晶化合物と、上記第2液晶化合物とが異なり、
 上記第2コレステリック液晶層が界面活性剤を含み、
 上記第2コレステリック液晶層の上記第1コレステリック液晶層側とは反対側の表面において、長径が0.5μm以上である上記界面活性剤の凝集物の数が、10000個/mmよりも少ない、積層体。
 〔4〕 上記界面活性剤が、第1界面活性剤および第2界面活性剤を含む、〔3〕に記載の積層体。
 〔5〕 上記第1界面活性剤が、上記第1組成物に含まれる界面活性剤であって、
 上記第1界面活性剤が液晶性であって、液晶相から等方性液相への相転移温度が100℃以上であるか、
 上記第1界面活性剤が非液晶性であって、融点が90℃以上である、〔4〕に記載の積層体。
 〔6〕 上記第1界面活性剤が芳香環構造を4環以上有する、〔4〕または〔5〕に記載の積層体。
 〔7〕 上記第1界面活性剤の分子量が5000以下である、〔4〕~〔6〕のいずれか一つに記載の積層体。
 〔8〕 上記第1界面活性剤が、後述する式(11)で表される、〔4〕~〔7〕のいずれか一つに記載の積層体。
 〔9〕 上記第2液晶化合物が棒状液晶化合物である、〔3〕~〔8〕のいずれか一つに記載の積層体。
 〔10〕 〔1〕~〔9〕のいずれか1つに記載の積層体を含む、仮想現実表示装置。
 本発明によれば、2層のコレステリック液晶層を含み、塗布処理によって形成されるコレステリック液晶層の反射率が高い積層体を提供できる。
 また、本発明によれば、積層体を用いた仮想現実表示装置も提供できる。
本発明の積層体の一例を示す図である。 図1に示す積層体中の第2コレステリック液晶層A12の第1コレステリック液晶層A10側とは反対側近傍の走査型電子顕微鏡による断面拡大図の模式図である。
 以下、本発明について詳細に説明する。
 以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされる場合があるが、本発明はそのような実施態様に制限されない。
 以下、本明細書における各記載の意味を表す。
 本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 本明細書において、第1液晶化合物と、第2液晶化合物とが異なる化合物であるという場合、第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、第2液晶化合物が棒状液晶化合物である態様、および、第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、第2液晶化合物が第1液晶化合物とは異なる円盤状液晶化合物である態様を含むものとする。
[積層体の第1実施態様]
 本発明の積層体の第1実施態様は、第1液晶化合物Aを含む第1組成物Aを用いて形成された第1コレステリック液晶層Aと、上記第1コレステリック液晶層A上に、第2液晶化合物Aを含む第2組成物Aを用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層Aとを含む積層体である。ここで、上記第1組成物Aに含まれる第1液晶化合物Aが、円盤状液晶化合物であって、上記第1組成物Aに含まれる第1液晶化合物Aと、上記第2組成物Aに含まれる第2液晶化合物Aとが異なる化合物である。
 また、走査型電子顕微鏡で上記第2コレステリック液晶層Aの断面観察を行って観察される、上記第2コレステリック液晶層Aのコレステリック液晶相に由来する明線および暗線のうち、上記第1コレステリック液晶層A側とは最も離れた位置の暗線を表層暗線とし、上記第2コレステリック液晶層Aの厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線を中間暗線とした際に、上記第2コレステリック液晶層Aの厚み方向における上記中間暗線の幅に対する、上記第2コレステリック液晶層Aの厚み方向において上記表層暗線が存在する領域幅の比が、1.2以下である。
 なお、コレステリック液晶層とは、コレステリック配向した液晶化合物を固定化してなる層を指す。
 積層体の第1実施態様について、図を参照しながら説明する。
 図1に示すように、積層体100は、第1コレステリック液晶層A10と、第2コレステリック液晶層A12とから構成されている。第1コレステリック液晶層A10は、第1液晶化合物Aを含む第1組成物Aを用いて形成されたものである。また、第2コレステリック液晶層A12は、第2液晶化合物Aを含む第2組成物Aを用いて、第1コレステリック液晶層A10上に塗布処理により形成されたものである。
 一般的に、走査型電子顕微鏡にてコレステリック液晶層の断面観察を行うと、コレステリック液晶相に由来して、厚さ方向に、明線と暗線とが交互に積層した縞模様が観察される。図1の第1コレステリック液晶層A10および第2コレステリック液晶層A12においても、走査型電子顕微鏡による断面観察において、上記縞模様が観察される。
 図2において、第2コレステリック液晶層A12の第1コレステリック液晶層A10側とは反対側近傍の走査型電子顕微鏡による断面拡大図の模式図を示す。図2を用いて、中間暗線の幅および表層暗線が存在する領域幅について説明する。
 第2コレステリック液晶層A12では、コレステリック液晶相に由来する明線26と、暗線28とが、第2コレステリック液晶層A12の厚み方向において交互に存在する状態が観察される。なお、第2コレステリック液晶層A12の厚み方向の中間位置を、図2中では中間位置Mとして示す。
 ここで、中間位置Mに最も近接する位置の暗線28を中間暗線28bとし、第1コレステリック液晶層10A側とは最も離れた位置の暗線28を表層暗線28aとする。図2において、表層暗線28aは、第2コレステリック液晶層A12の厚み方向に振幅を有する波状の形状で配置されている。
 第2コレステリック液晶層A12は、塗布処理により形成される層である。一般的に、塗布処理によりコレステリック液晶層を形成する場合、空気界面側における液晶化合物の配向制御が十分にできない場合が多い。そのため、空気界面側における、コレステリック液晶相に由来する明線および暗線が波状の形状になりやすい。それに対して、塗布処理によりコレステリック液晶層を形成する場合、コレステリック液晶層の厚み方向の中間位置では液晶化合物が配向されやすく、結果として、直線状の明線および暗線が形成されやすい。
 図2に示すように、幅Wbが、上記中間暗線28bの幅に該当する。
 また、図2に示すように、領域幅Wraが、上記表層暗線28aが第2コレステリック液晶層A12の厚み方向において存在する領域の幅に該当する。領域幅Wraは、走査型電子顕微鏡での断面観察図において、波状の表層暗線28aを厚み方向に投影した長さにも該当する。
 本実施態様においては、上記幅Wbに対する、領域幅Wraの比(Wra/Wb)が、1.2以下であり、1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、1.0以上が挙げられる。
 なお、比(Wra/Wb)の値が1.0に近いことは、表層暗線が第2コレステリック液晶層Aの厚み方向に広がって(例えば波打った状態で)存在しておらず、表層暗線が直線的に存在することを表す。上記状態は、第2コレステリック液晶層Aにおける第2液晶化合物Aの配向が乱れていないことを反映していると考えられる。機序は必ずしも定かではないが、上記状態が達成されると、第2液晶化合物Aによる意図しない方向への反射が抑制され、コレステリック液晶層の反射率が高くなると考えられる。
 以下、領域幅Wraおよび幅Wbを求める際の具体的な方法について説明する。
 領域幅Wraおよび幅Wbを求める際の断面観察は、以下の手順で行う。
 まず、第1コレステリック液晶層Aおよび第2コレステリック液晶層Aを含む積層体をエポキシ樹脂で包埋処理する。包埋処理した積層体をウルトラミクロトームで切削して積層体の断面が現れた観察用サンプルを得る。観察用サンプルを得る際は、積層体の表面に対して垂直な方向に切削を行う。ウルトラミクロトームによる切削は、切削薄片の厚みが200nmとなるように行う。
 得られた観察用サンプルに対し、表面の導電性を担保するため、表面にカーボン蒸着処理を行う。
 その後、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)により、観察用薄片の観察を行う。SEMとしては、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の「S-4800」を使用できる。SEMによる観察は、加速電圧を2kVに設定し、倍率20000倍で二次電子像を取得する。なお、観察対象によって加速電圧および倍率は適宜変更してもよい。
 この際得られる二次電子像(観察像)は、通常、1つの画素のビット深さが8ビット(0~255)のグレースケール画像である。なお、各画素が示す値が大きいほど白に近づき、各画素が表す値が小さいほど黒に近づく。
 上記観察手順によれば、第2コレステリック液晶層Aのコレステリック液晶相に由来する明線および暗線がみられる像(観察像)が取得できる。
 上記手順で得られた観察像に対し、下記手順の解析を行って、領域幅Wraおよび幅Wbを求める。
 まず、観察像の第2コレステリック液晶層Aに対応する領域の画素のうち、最も明るい画素の明るさと、最も暗い画素の明るさとの明るさの平均値である平均値明るさを取得し、上記平均明るさを閾値とする。
 また、観察像において、第2コレステリック液晶層Aの厚みを測長して第2コレステリック液晶層Aの平均厚みを得る。上記平均厚みは、第2コレステリック液晶層Aの厚みを5箇所で測長し、その算術平均値とする。
 次に、観察像において、各画素において上記閾値よりも暗い(値が小さい)画素は0(黒)とし、上記閾値よりも明るい(値が大きい)画素は1(白)とする画像処理を行い、処理観察像を得る。処理観察像においては、明線の領域が白となり、暗線の領域が黒となる。
 処理観察像において、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線(図2では中間暗線28b)の平均幅を求め、上記幅Wbとする。暗線の平均幅は、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向に暗線の幅を5箇所で測長し、その算術平均値とする。
 また、処理観察像において、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向において、第1コレステリック液晶層A側とは最も離れた位置の暗線(図2では表層暗線28a)が存在する領域幅を求め、上記領域幅Wraとする。上記領域幅は、第1コレステリック液晶層A側とは最も近い暗線が存在する位置から、第1コレステリック液晶層A側とは離れた側の暗線が存在する位置までの第2コレステリック液晶層Aの厚み方向の幅を測長する。
 以上の方法で、上記領域幅Wraおよび幅Wbが求められる。
 なお、処理観察像において、第2コレステリック液晶層Aの第1コレステリック液晶層A側とは反対側の表面付近で、不連続な黒の領域が観察される場合があるが、これは暗線とはしない。上記暗線は、処理観察像において、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向と直交する方向に連続的に存在する黒の領域の部分を指す。
 なお、領域幅Wraを求める手順と同様にして、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線(図2では中間暗線28b)が存在する領域幅(以下、「領域幅Wrb」ともいう。)も求められる。
 ここで、上記幅Wbに対する領域幅Wrbの比(領域幅Wrb/幅Wb)の値は、3.0以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。上記幅Wbに対する領域幅Wrbの比の値の下限は、1.0が挙げられる。
 上記幅Wbに対する領域幅Wrbの比の値が1.0に近いことは、第2コレステリックB液晶層Aの厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線が、第2コレステリック液晶層Aの厚み方向に広がって(例えば波打った状態で)存在しておらず、上記暗線が直線的に存在することを表す。上記幅Wbに対する領域幅Wrbの比の値が上記好ましい範囲であると、コレステリック液晶層の反射率を高くしやすい。
 以下、積層体の第1実施態様の各構成、および、各構成に用いられる材料について説明する。
<第1コレステリック液晶層A>
 本発明の積層体の第1実施態様は、第1液晶化合物Aを含む第1組成物Aを用いて形成された第1コレステリック液晶層Aを含む。すなわち、第1コレステリック液晶層Aは、コレステリック配向した第1液晶化合物Aを固定化してなる層である。したがって、第1コレステリック液晶層Aは、後述する第1組成物Aに含まれる成分に由来する成分を含んでいてもよい。
 上記コレステリック配向した第1液晶化合物Aを固定化してなる層とは、外場および外力等によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、第1コレステリック液晶層Aにおいては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、第1コレステリック液晶層A中の第1液晶化合物Aは、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、第1液晶化合物Aは、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
 第1コレステリック液晶層Aは、コレステリック配向した第1液晶化合物Aにより、特定の波長領域の電磁波(光)を反射できる。第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、第1コレステリック液晶層Aの平均屈折率nを用いて、λ=n×Pの関係で表される。なお、第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長は、以下のようにして求めることができる。分光光度計UV3150(島津製作所)を用いて第1コレステリック液晶層Aの透過スペクトルを液晶層1の法線方向から測定すると、中心波長λ付近の領域において、透過率が低下するピークを有するスペクトルが得られる。このうち、最も大きいピークの値の1/2の値の透過率となる2つの波長のうち、短波長側の波長の値をλ(nm)、長波長側の波長の値をλ(nm)とし、反射光の中心波長λは、下記式で求められる。
 λ=(λ+λ)/2
 第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長λは、特に制限されないが、可視光領域(波長400~700nm)にあることが好ましい。
 第1コレステリック液晶層Aの中心波長λにおける反射率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
 コレステリック液晶相のピッチは、第1液晶化合物Aとともに用いるカイラル剤の種類、およびその添加濃度で変化し、上記いずれか1つ以上を調整することで所望のピッチのコレステリック液晶相が得られる。なお、螺旋の旋回方向、およびピッチの測定方法については、「液晶化学実験入門」日本液晶学会編 シグマ出版2007年出版、46頁、および「液晶便覧」液晶便覧編集委員会 丸善 196頁に記載の方法を用いることができる。
 第1コレステリック液晶層Aの形成において、界面活性剤を含む第1組成物Aを用いた場合、第1コレステリック液晶層Aにおいて、第2コレステリック液晶層Aとの界面付近に、界面活性剤が多く含まれる場合が多い。界面活性剤の分布を確認する方法としては、例えば、イオンスパッタリングしながら飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)で深さ方向の界面活性剤に由来する二次イオン強度を分析する方法が挙げられる。TOF-SIMSについては、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 2次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。なお、イオンビームを照射しながらTOF-SIMSで積層体の深さ方向の成分を分析する際において、表面深さ領域1~2nmの成分分析を行った後、さらにイオンビームで深さ方向に1nmから数百nm掘り進んで、次の表面深さ領域1~2nmの成分分析を行う一連の操作を繰り返す。
 第1コレステリック液晶層Aの厚みは、0.1~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
 以下、第1コレステリック液晶層Aの形成に用いる第1組成物Aについて説明する。
<第1組成物A>
 第1コレステリック液晶層Aの形成に用いる第1組成物Aは、第1液晶化合物Aを含む。
 以下、第1組成物Aに含まれる成分、および、含まれていてもよい成分について説明する。
(第1液晶化合物A)
 第1液晶化合物Aは、円盤状液晶化合物であれば特に制限されず、公知の円盤状液晶化合物を用いることができる。ただし、第1液晶化合物Aは、後述する第2液晶化合物Aとは異なる化合物を選択する。
 第1液晶化合物Aをコレステリック配向させる方法としては、例えば、第1液晶化合物Aと、カイラル剤とを含む第1組成物Aを用いる方法が挙げられる。
 第1液晶化合物Aは、重合性基を有する重合性液晶化合物であってもよい。第1液晶化合物Aとしては、円盤状液晶化合物が好ましい。
 重合性円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落0020~0067や特開2010-244038号公報の段落0013~0108に記載のものを好ましく用いることができる。
 第1液晶化合物Aは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 第1組成物A中における第1液晶化合物Aの含有量は特に制限されないが、第1組成物A中の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90質量%以下の場合が多い。
 なお、固形分とは、溶媒を除去した第1コレステリック液晶層Aを形成し得る成分を意味し、その性状が液体状であっても固形分とする。
(第1界面活性剤A1)
 第1組成物Aは、第1界面活性剤A1を含んでいてもよい。第1界面活性剤A1は、第1組成物Aを塗布した際に、塗布膜の空気界面側に濃縮しやすく、かつ、第1液晶化合物Aの配向を制御できる成分であることが好ましい。
 第1実施態様において、第1界面活性剤A1は特に制限されないが、好ましい態様も含め、後述する第2実施態様に用いられる第1界面活性剤B1を用いることも好ましい。第1界面活性剤A1の好ましい特性等も、第1界面活性剤B1と同様であることが好ましい。
 後述する第2実施態様に用いられる第1界面活性剤B1を用いることで、上述した暗線領域幅/暗線幅比を上記範囲に調整しやすい。
 第1組成物Aの全固形分に対する第1界面活性剤A1の含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(溶媒)
 第1組成物Aは、溶媒を含んでいてもよい。
 溶媒は、第1組成物Aに含まれる成分を溶解できれば特に制限されない。溶媒としては、例えば、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、カーボネート系溶媒、ケトン系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭素系溶媒、水、および、アルコール系溶媒が挙げられる。
 溶媒は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(その他の成分)
 第1組成物Aは、上述した成分以外の他の成分を含んでいてもよい。
 例えば、第1組成物Aは、重合開始剤を含んでいてもよい。第1組成物Aが重合開始剤を含む場合、より効率的に重合性液晶化合物の重合が進行する。
 重合開始剤としては公知の重合開始剤が挙げられ、光重合開始剤、および、熱重合開始剤が挙げられ、光重合開始剤が好ましい。
 第1組成物A中における重合開始剤の含有量は特に制限されないが、第1組成物A中の全固形分に対して、0.01~20質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましい。
 また、第1組成物Aは、その他の成分としてカイラル剤を含んでいてもよい。
 第1組成物Aがカイラル剤を含むことにより、第1液晶化合物Aを螺旋軸に沿って捩れ配向させることができる。
 カイラル剤の種類は、特に制限されない。公知のカイラル剤(例えば、日本学術振興会第142委員会編「液晶デバイスハンドブック」,第3章4-3項,TN、STN用カイラル剤,199頁,1989年に記載)のいずれも用いることができる。
 カイラル剤としては、光照射により螺旋誘起力が変化する感光性カイラル剤(以下、単に「カイラル剤A」ともいう。)であってもよい。カイラル剤Aは、液晶性であっても、非液晶性であってもよい。カイラル剤Aは、一般に不斉炭素原子を含む場合が多い。なお、カイラル剤Aは、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物または面性不斉化合物であってもよい。
 カイラル剤Aは、重合性基を有していてもよい。
 第1組成物Aは、カイラル剤Aを2種以上含んでいてもよいし、少なくとも1種のカイラル剤Aと少なくとも1種の光照射により螺旋誘起力が変化しないカイラル剤とを含んでいてもよい。
 第1組成物A中における上記カイラル剤Aの含有量は特に制限されないが、第1液晶化合物Aが均一に配向しやすい点で、第1液晶化合物Aの全質量に対して、5.0質量%以下が好ましく、3.0質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。カイラル剤Aの含有量の下限は特に制限されないが、第1液晶化合物Aの全質量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.02質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。
<第2コレステリック液晶層A>
 本発明の積層体の第1実施態様は、第1コレステリック液晶層A上に、第2液晶化合物Aを含む第2組成物Aを用いて塗布処理により形成される第2コレステリック液晶層Aを含む。すなわち、第2コレステリック液晶層Aは、コレステリック配向した第2液晶化合物Aを固定化してなる層である。したがって、第2コレステリック液晶層Aは、後述する第2組成物Aに含まれる成分に由来する成分を含んでいてもよい。
 上記コレステリック配向した第2液晶化合物Aを固定化してなる層とは、外場および外力等によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、第2コレステリック液晶層Aにおいては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、第2コレステリック液晶層A中の第2液晶化合物Aは、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、第2液晶化合物Aは、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
 第2コレステリック液晶層Aは、コレステリック配向した第2液晶化合物Aにより、特定の波長領域の電磁波(光)を反射できる。第2コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、第2コレステリック液晶層Aの平均屈折率nを用いて、λ=n×Pの関係で表される。なお、第2コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長は、第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長と同様にして求めることができる。
 第2コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長λは、特に制限されないが、可視光領域にあることが好ましい。
 第2コレステリック液晶層Aの中心波長λにおける反射率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
 コレステリック液晶相のピッチは、第2液晶化合物Aとともに用いるカイラル剤の種類、およびその添加濃度で変化し、上記いずれか1つ以上を調整することで所望のピッチのコレステリック液晶相が得られる。
 第2コレステリック液晶層Aは、上記第1コレステリック液晶層Aの形成に用いる第1組成物Aに含まれる成分を含んでいてもよい。例えば、第2コレステリック液晶層Aは、上記第1界面活性剤を含んでいてもよい。
 また、第2コレステリック液晶層Aの形成において、界面活性剤を含む第2組成物Aを用いた場合、第1コレステリック液晶層A側とは反対側の第2コレステリック液晶層Aの表面に、界面活性剤が多く含まれる場合が多い。第2コレステリック液晶層A中の界面活性剤の分布は、第1コレステリック液晶層Aで記載した方法と同様の方法で確認できる。
 第2コレステリック液晶層Aの厚みは、0.1~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
 以下、第2コレステリック液晶層Aの形成に用いる第2組成物Aについて説明する。
<第2組成物A>
 第2コレステリック液晶層Aの形成に用いる第2組成物Aは、第2液晶化合物Aを含む。
 以下、第2組成物Aに含まれる成分、および、含まれていてもよい成分について説明する。
(第2液晶化合物A)
 第2液晶化合物Aは、特に制限されず、公知の液晶化合物を用いることができる。ただし、第2液晶化合物Aは、第1液晶化合物Aとは異なる化合物を選択する。液晶化合物としては、例えば、棒状液晶化合物、および、円盤状液晶化合物が挙げられる。第2液晶化合物Aをコレステリック配向させる方法としては、例えば、第2液晶化合物Aと、カイラル剤とを含む第2組成物Aを用いる方法が挙げられる。
 第2液晶化合物Aは、重合性基を有する重合性液晶化合物であってもよい。
 第2液晶化合物Aとしては、重合性棒状液晶化合物または重合性円盤状液晶化合物が好ましく、積層体の厚み方向のレタデーションを低減する点で、重合性棒状液晶化合物がより好ましい。
 なお、重合性棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1や特開2005-289980号公報の段落0026~0098に記載のものを好ましく用いることができる。
 重合性円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落0020~0067や特開2010-244038号公報の段落0013~0108に記載のものを好ましく用いることができる。
 第2液晶化合物Aは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 第2組成物A中における第2液晶化合物Aの含有量は特に制限されないが、第2組成物A中の全固形分に対して、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90質量%以下の場合が多い。
 なお、固形分とは、溶媒を除去した第2コレステリック液晶層Aを形成し得る成分を意味し、その性状が液体状であっても固形分とする。
(第2界面活性剤A2)
 第2組成物Aは、第2界面活性剤A2を含んでいてもよい。第2界面活性剤A2は、第2組成物Aを塗布した際に、塗布膜の空気界面側に濃縮しやすく、かつ、第2液晶化合物Aの配向を制御できる成分であることが好ましい。
 第1実施態様において、第2界面活性剤A2は特に制限されないが、後述する第2実施態様に用いられる第2界面活性剤B2を用いることが好ましい。
 上記好ましい態様とすると、上述した暗線領域幅/暗線幅比を上述した範囲に調整しやすい。
 第2組成物Aの全固形分に対する第2界面活性剤A2の含有量は、0.01~1質量%が好ましく、0.05~0.5質量%がより好ましい。
(溶媒およびその他の成分)
 第1実施態様に用いられる第2組成物Aは、溶媒およびその他の成分を含んでいてもよい。
 第1実施態様に用いられる第2組成物Aが含んでていてもよい溶媒およびその他成分は、第1実施態様の第1組成物Aと同様であるため、説明を省略する。
<基材>
 積層体の第1実施態様は、基材を含んでいてもよい。
 基材としては、透明基材が好ましい。なお、透明基材とは、可視光領域の光線の透過率が60%以上である基材を意図し、その透過率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
 基材を構成する材料としては、例えば、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、環状ポリオレフィン、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、および、ポリエステル等のフィルムを用いることができる。なかでも、セルロースアシレートフィルム、環状ポリオレフィン、ポリアクリレート、または、ポリメタクリレートが好ましい。また市販品のセルロースアセテートフィルム(例えば、富士フイルム株式会社製の「TD80U」や「Z-TAC」等)を利用することもできる。
 また、支持体は、透過光の偏光度に与える悪影響を抑制する観点、および、光学フィルムの光学検査を容易にする観点から、位相差が小さいことが好ましい。具体的には、Reの大きさが10nm以下であることが好ましく、Rthの大きさの絶対値が50nm以下であることが好ましい。
 基材には、種々の添加剤(例えば、光学的異方性調整剤、波長分散調整剤、微粒子、可塑剤、紫外線防止剤、劣化防止剤、および、剥離剤など)が含まれていてもよい。
 基材の厚みは特に制限されないが、10~200μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、20~90μmがさらに好ましい。
 また、基材は複数枚の積層からなっていてもよい。
 基材はその上に設けられる層との接着を改善するため、基材の表面に表面処理(例えば、グロー放電処理、コロナ放電処理、紫外線(UV)処理、火炎処理)を実施してもよい。
 本発明の積層体の第1実施態様は、上述したように第1コレステリック液晶層Aおよび第2コレステリック液晶層Aを含めばよく、他の構成を含んでいてもよい。
 他の構成としては、上記第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層以外の他のコレステリック液晶層、粘着剤層、密着層、配向層、反射防止層、位相差層、および、光吸収異方性層等が挙げられる。
 なお、本発明の積層体の第1実施態様は、積層体がコレステリック液晶層を3層以上有し、これらの層がいずれも、それぞれの層上に液晶化合物を含む組成物を用いて塗布処理により順次形成された層である態様であってもよい。具体的には、積層体がコレステリック液晶層C1、コレステリック液晶層C2、および、コレステリック液晶層C3をこの順に有する場合において、コレステリック液晶層C2が、コレステリック液晶層C1上に液晶化合物を含む組成物を用いて塗布処理により形成された層であって、コレステリック液晶層C3が、コレステリック液晶層C2上に液晶化合物を含む組成物を用いて塗布処理により形成された層である態様であってもよい。なお、上記態様の場合、コレステリック液晶層C1およびコレステリック液晶層C2の少なくとも一方に含まれる液晶化合物が、円盤状液晶化合物である。例えば、コレステリック液晶層C1に含まれる液晶化合物が棒状液晶化合物であって、コレステリック液晶層C2に含まれる液晶化合物が円盤状液晶化合物であって、コレステリック液晶層C3に含まれる液晶化合物が棒状液晶化合物であってもよい。また、コレステリック液晶層C1に含まれる液晶化合物が円盤状液晶化合物であって、コレステリック液晶層C2に含まれる液晶化合物が棒状液晶化合物であって、コレステリック液晶層C3に含まれる液晶化合物が円盤状液晶化合物であってもよい。
 上記態様の場合、コレステリック液晶層C2は、コレステリック液晶層C1との関係で第2コレステリック液晶層に該当し得る。また、コレステリック液晶層C2は、コレステリック液晶層C3との関係で、第1コレステリック液晶層にも該当し得る。
 積層体がコレステリック液晶層を3層以上する場合、上記それぞれの層が反射する光の中心波長は、それぞれ同一でもよく、異なっていてもよい。上記それぞれの層が反射する光の中心波長が異なる層を積層することで、例えば可視光領域全域の光を反射することができる。
 また、積層体を仮想現実表示装置に適用する場合、仮想現実表示装置から発せられる光の波長に合わせて、それぞれの層が反射する光の中心波長を調整することが好ましい。
 積層体の反射率は、可視光領域全域にわたって40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
<積層体の製造方法>
 積層体の第1実施態様は、例えば以下の方法で製造できる。
 上記基材上に上記第1組成物Aを塗布し、塗布膜に対して配向処理および重合処理を行って第1コレステリック液晶層Aを形成し、第1コレステリック液晶層A上に上記第2組成物Aを塗布し、塗布膜に対して配向処理および重合処理を行って第2コレステリック液晶層Aを形成する方法が挙げられる。
 配向処理は特に制限されないが、例えば、塗布膜に対して電場を印加する方法、および、塗布膜を加熱する方法が挙げられる。なお、塗布膜を形成する前に、予め配向膜を形成しておき、配向膜上に塗布膜を形成してもよい。
 配向膜を形成する方法としては、公知の材料で形成される膜をラビングする方法が挙げられ、塗膜をラビングする方法が好ましい。ラビング処理の方向は特に制限されず、液晶化合物を配向させたい方向に応じて、適宜、最適な方向が選択される。また、塗布膜を形成する基板に対してラビング処理を行い、ラビング処理を行った基板上に塗布膜を形成してもよい。
 ラビング処理は、LCD(liquid crystal display)の配向膜の配向処理工程として広く採用されている処理方法を適用できる。具体的には、配向膜または樹脂基材の表面を、紙、ガーゼ、フェルト、ゴム、ナイロン繊維、または、ポリエステル繊維等を用いて一定方向に擦る方法が挙げられる。
 重合処理は特に制限されないが、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線の照射は、酸素濃度が低い環境で実施することも好ましい。なお、本明細書において、「紫外線」とは、波長200~400nmの電磁波を主として含む電磁波をいい、波長300~400nmの電磁波を主として含むことが好ましい。紫外線の光源は特に制限されず、公知の光源を用いることができ、フィルター等を用いて任意の波長域を含む紫外線を照射してもよい。紫外線の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、および、発光ダイオード(LED)等が挙げられる。
 照射エネルギーは、5mJ/cm~100J/cmが好ましく、30~600mJ/cmがより好ましく、100~400mJ/cmがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
 第2コレステリック液晶層Aの形成後、その上に形成される他の層への界面活性剤の影響を低減させるため、第2コレステリック液晶層Aの表面に表面処理(例えば、コロナ放電処理)を行ってもよい。例えば、第2コレステリック液晶層Aの表面にコロナ放電処理を行うと、第2コレステリック液晶層Aの表面付近に存在し得る第2界面活性剤A2の影響を低減することができる。第2コレステリック液晶層Aの表面にコロナ放電処理を行う場合、第2コレステリック液晶層Aの形成に用いられる第2組成物Aは、第2液晶組成物Aとして棒状液晶化合物を含むことが好ましい。
 なお、第1コレステリック液晶層Aの形成後は、第1コレステリック液晶層Aの表面に表面処理(例えば、コロナ放電処理)を行わないことが好ましい。すなわち、第1コレステリック液晶層Aを形成したあと、表面処理を行わずに第2組成物Aを塗布することが好ましい。これは、一般的に、上記のような処理を行うと、第2コレステリック液晶層Aの配向性が低下する場合があるためである。より具体的には、一般的に、円盤状液晶化合物を含む液晶層上に、棒状液晶化合物を含む液晶層を形成する場合、円盤状液晶化合物を含む液晶層の表面に対してコロナ処理と行うと、その表面が親水化する。円盤状液晶化合物を含む液晶層の表面が親水化した状態で、棒状液晶化合物を含む層を形成しようとすると、棒状液晶化合物は疎水性である場合が多いため、棒状液晶化合物の配向性が低下する場合がある。
[積層体の第2実施態様]
 本発明の積層体の第2実施態様は、第1液晶化合物Bを含む第1組成物Bを用いて形成された第1コレステリック液晶層Bと、上記第1コレステリック液晶層B上に、第2液晶化合物Bを含む第2組成物Bを用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層Bとを含む積層体である。ここで、上記第1組成物Bに含まれる第1液晶化合物Bが、円盤状液晶化合物であって、上記第1液晶化合物Bと、上記第2液晶化合物Bとが異なる化合物である。また、上記第2コレステリック液晶層Bが界面活性剤を含み、上記第2コレステリック液晶層Bの上記第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面において、長径が0.5μm以上である上記界面活性剤の凝集物の数が、10000個/mmよりも少ない。
 なお、コレステリック液晶層とは、コレステリック配向した液晶化合物を固定化してなる層を指す。
 積層体の第2実施態様の界面活性剤の凝集物について、以下に説明する。
 積層体の第2コレステリック液晶層Bの第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面(以下、単に「第2コレステリック液晶層Bの表面」ともいう。)における長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数は、以下のようにして求める。
 まず、積層体の第2コレステリック液晶層Bの表面を、飛行時間型2次イオン質量分析法(TOF-SIMS:Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry)で分析して、分析領域におけるマススペクトルのマッピングデータを取得する。なお、TOF-SIMSについては、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 2次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。
 上記TOF-SIMSによる分析の詳細な条件は、例えば後述する実施例に記載の条件で測定できる。
 上記分析においては、分析領域(例えば40μm四方)を例えば縦横256分割した区画とし、分析領域の区画毎にイオンビームを照射して、第2コレステリック液晶層Bの表面に由来する2次イオンのマススペクトルを得る。この際、第2コレステリック液晶層Bに含まれる界面活性剤に由来する2次イオンに対応する2次イオンの検出強度をマッピングすると、界面活性剤の凝集物の有無を確認できる。なお、界面活性剤に由来する2次イオンとは、界面活性剤に由来するフラグメントイオンを意図する。
 マッピングする2次イオンは、界面活性剤に由来する2次イオンを、界面活性剤の種類および第2コレステリック液晶層Bに含まれる成分によって適宜選択すればよく、後述するイオン種に限定されない。
 界面活性剤に由来する2次イオンとしては、界面活性剤に含まれる基に由来する2次イオン(フラグメントイオン)が挙げられ、界面活性剤に含まれる基としては、例えば、フッ化アルキル基、フッ化アルキルオキシ基、フッ化ポリエーテル基、および、シロキサン結合を有する有機基(例えば、アルキル基を有するポリシロキサン鎖を有する基、フッ化アルキル基を有するポリシロキサン鎖を有する基、アクリル基を有するポリシロキサン鎖を有する基等)等が挙げられる。上記で列挙した基に含まれるフッ化アルキル基は、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子に置換されているパーフルオロアルキル基であってもよく、アルキル基の水素原子が一部置換されている部分フッ化アルキル基であってもよい。
 次に、界面活性剤に由来する2次イオンに対応する2次イオンの検出強度をマッピングした像において、検出強度が大きい部分が偏在していて界面活性剤の凝集物と認められる領域の有無を確認する。界面活性剤の凝集物と認められるそれぞれの領域について、領域に接する2本の平行線の距離が最も長くなるようにした際の平行線間の距離を、界面活性剤の凝集物の長径とする。上記手順により、分析領域における長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数をカウントする。
 分析領域における長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数のカウントを、第2コレステリック液晶層Bの別の領域についても行い、10箇所について凝集物の数のカウントを行う。上記10回の凝集物の数のカウントで得られた凝集物の個数の算術平均を、分析領域の面積で除し、単位面積あたりの凝集物の数(単位:個/mm)を算出する。
 本発明の積層体の第2実施態様は、このようにして得られた単位面積あたりの凝集物の数が、10000個/mmよりも少ない。単位面積あたりの凝集物の数は、1000個/mm以下が好ましく、100個/mm以下がより好ましい。単位面積あたりの凝集物の数の下限としては、0個/mm以上が挙げられる。
 なお、第2コレステリック液晶層Bの第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面が露出していない場合、イオンビームを照射して積層体の最表面を切削しながらTOF-SIMSによる分析を行うと、第2コレステリック液晶層Bの第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面における凝集物の数が得られる。
 なお、第2コレステリック液晶層Bの第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面において、長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数が、10000個/mmよりも少ない場合、コレステリック液晶層の反射率が高くなる機序は必ずしも定かではないが、以下のように推測される。すなわち、界面活性剤の凝集物の数が上記範囲であると、界面活性剤が有効に作用しやすく、第2コレステリック液晶層Bにおける第2液晶化合物Bの配向が乱れにくいと考えられる。そうすると、第2液晶化合物Bの配向が乱れることによる意図しない方向への反射が抑制され、コレステリック液晶層の反射率が高くなると考えられる。
 以下、積層体の第2実施態様の各構成、および、各構成に用いられる材料について説明する。
<第1コレステリック液晶層B>
 本発明の積層体の第2実施態様は、第1液晶化合物Bを含む第1組成物Bを用いて形成された第1コレステリック液晶層Bを含む。すなわち、第1コレステリック液晶層Bは、コレステリック配向した第1液晶化合物Bを固定化してなる層である。したがって、第1コレステリック液晶層Bは、後述する第1組成物Bに含まれる成分に由来する成分を含んでいてもよい。
 上記コレステリック配向した第1液晶化合物Bを固定化してなる層とは、外場および外力等によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、第1コレステリック液晶層Bにおいては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、第1コレステリック液晶層B中の第1液晶化合物Bは、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、第1液晶化合物Bは、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
 第1コレステリック液晶層Bは、コレステリック配向した第1液晶化合物Bにより、特定の波長領域の電磁波(光)を反射できる。第1コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、第1コレステリック液晶層Bの平均屈折率nを用いて、λ=n×Pの関係で表される。なお、第1コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長は、第1実施態様の第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長と同様にして求めることができる。
 第1コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長λは、可視光領域にあることが好ましい。
 第1コレステリック液晶層Bの中心波長λにおける反射率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
 第1コレステリック液晶層Bの厚みは、0.1~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
<第1組成物B>
 第1コレステリック液晶層Bの形成に用いる第1組成物Bは、第1液晶化合物Bを含む。第1組成物Bは、第1界面活性剤B1を含むことが好ましい。
 以下、第1組成物Bに含まれる成分、および、含まれていてもよい成分について説明する。
(第1液晶化合物B)
 第1液晶化合物Bは、円盤状液晶化合物であれば特に制限されず、公知の円盤状液晶化合物を用いることができる。ただし、第1液晶化合物Bは、後述する第2液晶化合物Bとは異なる化合物を選択する。第1液晶化合物Bをコレステリック配向させる方法としては、例えば、第1液晶化合物Bと、カイラル剤とを含む第1組成物Bを用いる方法が挙げられる。
 第1液晶化合物Bは、重合性基を有する重合性液晶化合物であってもよい。第1液晶化合物Bとしては、重合性円盤状液晶化合物がより好ましい。
 第1液晶化合物Bとして用いられる化合物の例示は、第1実施態様の第1液晶化合物Aの例示と同様であるため、記載を省略する。
(第1界面活性剤B1)
 第1組成物Bは、第1界面活性剤B1を含んでいてもよい。第1界面活性剤B1は、第1組成物Bを塗布した際に、塗布膜の空気界面側に濃縮しやすく、かつ、第1液晶化合物Bの配向を制御できる成分であることが好ましい。
 第1界面活性剤B1は、液晶性を示し、液晶相から等方性液相への相転移温度が100℃以上であるか、第1界面活性剤B1が非液晶性であって、融点が90℃以上であることも好ましい。上記特性を満たす場合、例えばロールトゥロール方式で基材上に第1コレステリック液晶層Bを形成した際、基材の第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面に第1界面活性剤B1が転写しにくいと考えられる。第1界面活性剤B1が基材に転写しにくいと、第2コレステリック液晶層Bを形成する際に塗布膜が均一になりやすく、得られる積層体を仮想現実表示装置に用いた場合、画像が鮮明に視認できる。
 第1界面活性剤B1は、基材に転写しにくいことが好ましい。上記基材への転写量については、以下に記載する方法で転写量を見積もることができる。なお、以下、第1界面活性剤B1が、フルオロアルキル基を有する場合の方法について説明する。
 まず、基材上に第1コレステリック液晶層を形成する。次に、形成した第1コレステリック液晶層の基材とは反対側の表面と、基材の第1コレステリック液晶層とは反対側の表面とが対向するように第1コレステリック液晶層付き基材を重ね合わる。重ね合わせた状態で、45℃の環境において、基材側に重りを載せて0.01MPaの圧力を3日間加える。その後、第1コレステリック液晶層の基材とは反対側の表面と接していた面の基材表面を、X線電子分光法よりフッ素量を分析する。
 X線光電子分光によって分析されるフッ素原子の含有量は、全原子に対して、10原子%以下が好ましく、5原子%以下がより好ましく、2原子%以下が更に好ましい。フッ素原子の含有量の下限としては、0原子%以上が挙げられる。
 第1界面活性剤B1は、後述する第2組成物Bおよび形成される塗布膜に対する溶解性が高い点で、繰り返し単位を有さない低分子化合物であることが好ましく、低分子化合物である第1界面活性剤B1の分子量は、5000以下が好ましい。低分子化合物である第1界面活性剤B1の分子量は、1000~5000がより好ましく、2000~4000がさらに好ましい。
 また、第1界面活性剤B1は、第1液晶化合物Bの配向制御能の点で、芳香環構造を3つ以上有することも好ましく、芳香環構造を4つ以上有することがより好ましい。芳香環構造が縮環構造(例えば、ナフタレン環)の場合であっても、その芳香環構造の数は1つとする。ただし、上記芳香環構造が縮環構造であって、縮環構造がフェナントレン環、フルオレン環、アントラセン環である場合は、その縮環構造に含まれる芳香環構造の数は2とする。
 第1界面活性剤B1は、塗布膜の空気界面側に濃縮しやすく、かつ、後述する第2組成物Bおよび形成される塗布膜に対する溶解性が高い点で、フルオロアルキル基を有することが好ましく、直鎖状のパーフルオロアルキル基を有することが好ましい。
 第1界面活性剤B1としては、より具体的には、下記式(11)で表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 式(11)中、Rfは、直鎖状のパーフルオロアルキル基を表す。
 Rfが式(11)中において2個以上含まれる場合、それぞれのRfは同一の基を表してもよく、異なる基を表してもよいが、同一の基を表すことが好ましい。
 直鎖状のパーフルオロアルキル基の炭素数は、2~8が好ましく、3~6がより好ましく、4がさらに好ましい。
 式(11)中において、含まれるRfの数は、2~9が好ましく、3~6がより好ましく、3または4がさらに好ましい。
 式(11)中、p1は、1~3の整数を表す。なかでも、p1は1~2が好ましい。
 式(11)中、A11は、それぞれ独立に、p1+1価の炭化水素基を表す。p1+1の炭化水素基は、酸素原子および窒素原子からなる群から選択される1種以上の原子を含んでいてもよい。
 A11表されるp1+1価の炭化水素基の炭素数は、2~40が好ましく、3~30がより好ましい。
 A11表されるp1+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素構造、芳香族炭化水素構造、および、これらの構造を組み合わせてなる構造を含むことが好ましい。
 上記脂肪族炭化水素構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい。脂肪族炭化水素構造の炭素数は、2~10が好ましく、2~6がより好ましい。
 上記芳香族炭化水素構造としては、例えば、ベンゼン構造、および、ナフタレン構造が挙げられる。なかでも、ベンゼン構造が好ましい。
 A11で表されるp1+1価の炭化水素基には、酸素原子および窒素原子からなる群から選択される1種以上の原子が2つ以上含まれていてもよい。
 式(11)中、q1は、2~4の整数を表す。
 複数のp1およびA11はそれぞれ異なっていてもよく、同一であってもよいが、同一であることが好ましい。
 q1およびp1は、Rfの数が上述した好ましい範囲となるように設定されることも好ましい。例えば、p1が1の場合、q1は3が好ましく、p1が2の場合、q1は2または3が好ましく、p1が3の場合、q1は2が好ましい。
 式(11)中、X12は、q1+1価の芳香環基を表す。
 X12が表すq1+1価の芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X12が表すq1+1価の芳香環基には、炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および、硫黄原子からなる群から選択される1種以上の原子)が含まれていてもよい。
 X12が表すq1+1価の芳香環基としては、例えば、ベンゼン、および、ナフタレンからなる群から選択される化合物から、q1+1個の水素原子を取り除いてなる基が挙げられる。
 式(11)中、X13は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香環基を表す。
 X13が表す芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X13が表す芳香環基には、炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および、硫黄原子からなる群から選択される1種以上の原子)が含まれていてもよい。
 X13が表す芳香環基としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、および、1,2,4-オキサジアゾールからなる群から選択される化合物から、2個の水素原子を取り除いてなる基が挙げられる。なお、水素原子を取り除く位置は特に制限されず、例えば、X13が表す芳香環基が、ベンゼンから2個の水素原子を取り除いてなる基である場合、一方の水素原子に対する他方の水素原子の位置はいずれであってもよく、パラ位が好ましい。
 また、X13が表す芳香環基が、ナフタレンから2個の水素原子を取り除いてなる基である場合、一方の水素原子に対する他方の水素原子の位置は、オルト位(1,2位)、メタ位(1,3位)、パラ位(1,4位)、アナ位(1,5位)、エピ位(1,6位)、カタ位(1,7位)、ペリ位(1,8位)、プロス位(2,3位)、および、アンフィ位(2,6位)のいずれであってもよく、パラ位、アナ位、または、アンフィ位が好ましい。
 X13で表される芳香環基が有していてもよい置換基としては、-CN、-R、-OR、-OH、-(CH-OH、-F、-COOR、および、-CORからなる群から選択される1種以上の置換基が挙げられる。Rは、炭素数1~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を表す。mは、1~3の整数を表す。Rで表されるアルキル基の炭素数は、1~6が好ましく、1~4がより好ましい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1-プロピル基、2-プロピル基、1-ブチル基、および、t-ブチル基が挙げられる。
 X13で表される芳香環基が有していてもよい置換基は、-R、-OR、-COOR、および、-CORからなる群から選択される1種以上の置換基が好ましい。
 式(11)中、L13およびL14は、それぞれ独立に、単結合、-CO-、-COO-、-CONR-、-O-、-(CH-、-(CH-O-、-O-(CH-、-CO-CH=CH-、-COO-(CH-、または、-C≡C-を表す。Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1~3の整数を表す。
 L13は、単結合、-COO-、-CONR-、-O-、または、-COO-(CH-が好ましく、単結合、-COO-、または、-CONR-がより好ましく、単結合、または、-COO-がさらに好ましく、-COO-が特に好ましい。
 L14は、単結合、-CO-、-COO-、-CONR-、-O-、-(CH-、-O-(CH-、-COO-(CH-、-CO-CH=CH-、または、-C≡C-が好ましく、単結合、-COO-、または、-CONR-がより好ましく、単結合、または、-COO-がさらに好ましく、-COO-が特に好ましい。
 式(11)中、r1は、0~4の整数を表す。ただし、L14が-COO-CH-である場合、r1は0を表す。
 r1が2以上の場合、L13およびX13が表す基は、それぞれ異なっていてもよく、同一であってもよい。
 r1は、1~3が好ましく、1または2がより好ましい。
 また、式(11)において、r1が2以上であるか、r1が1であり、かつ、X13が複数の環構造を有する2価の芳香環基であることも好ましい。
 式(11)中、X14は、-CN、-R、-OR、-OH、-(CH-OH、-F、もしくは、-COORが置換していてもよい1価の芳香環基を表すか、または、下記構造の基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 上記構造中、*は、L14との結合位置を表す。
 Rは、炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。mは、1~3の整数を表す。
 Rで表されるアルキル基の炭素数は、1~12が好ましく、1~8がより好ましい。Rで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、プロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。Rは、直鎖状のアルキル基が好ましい。
 上記芳香環基に置換していてもよい置換基は、後述する液晶組成物に用いられる液晶化合物に応じて選択されることも好ましい。
 X14が表す芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X14が表す芳香環基には、炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および、硫黄原子からなる群から選択される1種以上の原子)が含まれていてもよい。
 単環構造としては、フェニル基、および、ピリジル基等が挙げられる。多環構造としては、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、および、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。
 X14が表す芳香環基は、上記置換基を有さないことも好ましい。
 上述した式(11)で表される第1界面活性剤B1は下記式(12)で表される化合物であることも好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
 式(12)中、Rfは、直鎖状のパーフルオロアルキル基を表す。
 Rfが式(12)中において2個以上含まれる場合、それぞれのRfは同一の基を表してもよく、異なる基を表してもよいが、同一の基を表すことが好ましい。
 直鎖状のパーフルオロアルキル基の炭素数は、2~8が好ましく、3~6がより好ましく、4がさらに好ましい。
 式(12)中において、Rfの数は、2~9が好ましく、3~6がより好ましく、3または4がさらに好ましい。
 式(12)中、p2は、1~3の整数を表す。
 式(12)中、X21は、単結合、p2+1価の芳香環基、または、p2+1価の炭素数3~10の脂肪族炭化水素基を表す。
 X21が表すp2+1価の芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X21が表すp2+1価の芳香環基としては、ベンゼン、および、ナフタレンからなる群から選択される化合物から、p2+1個の水素原子を取り除いてなる基が挙げられる。なかでも、ベンゼンからp2+1個の水素原子を取り除いてなる基が好ましい。
 X21が表すp2+1価の炭素数3~10の脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい。
 X21が表すp2+1価の炭素数3~10の脂肪族炭化水素基としては、例えば、n-プロパン、n-ブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、イソブタン、3-エチルペンタン、ネオペンタン、ネオヘキサン、シクロブタン、および、シクロヘキサンからなる群から選択される化合物から、p2+1個の水素原子を取り除いてなる基が挙げられる。なかでも、n-プロパンからp2+1個の水素原子を取り除いてなる基が好ましい。
 なお、X21が単結合を表す場合、p2は1である。
 式(12)中、L21は、下記式(2-1)~(2-4)で表される2価の連結基を表す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 式(2-1)~(2-4)中、pは、1~3の整数を表す。
 式(2-1)~(2-4)中、**は、X21との結合位置を表し、*は、Rfとの結合位置を表す。
 式(12)中、q2は、2~4の整数を表す。
 複数のp2、L21、X21、および、L22はそれぞれ異なっていてもよく、同一であってもよいが、同一であることが好ましい。
 q2およびp2は、Rfの数が上述した好ましい範囲となるように設定されることも好ましい。例えば、p2が1の場合、q2は3が好ましく、p2が2の場合、q2は2または3が好ましく、p2が3の場合、q2は1または2が好ましい。
 式(12)中、X22は、q2+1価の芳香環基を表す。
 X22が表すq2+1価の芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X22が表すq2+1価の芳香環基としては、X12が表すq1+1価の芳香環基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
 式(12)中、X23は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香環基を表す。
 X23が表す芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X23が表す芳香環基としては、X13が表す芳香環基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
 また、X23が有していてもよい置換基は、X13が有していてもよい置換基と同様であり、好ましい態様も同様である。
 式(12)中、L22、L23およびL24は、それぞれ独立に、単結合、-CO-、-COO-、-CONR-、-O-、-(CH-、-(CH-O-、-O-(CH-、-CO-CH=CH-、-COO-(CH-、または、-C≡C-を表す。Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1~3の整数を表す。
 L22は、単結合、-COO-、-CONR-、-O-、または、-COO-(CH-が好ましく、単結合、-O-、または、-COO-がより好ましい。
 L23は、単結合、-COO-、-CONR-、-O-、または、-COO-(CH-が好ましく、単結合、-COO-、または、-CONR-がより好ましく、単結合、または、-COO-がさらに好ましく、-COO-が特に好ましい。
 L24は、単結合、-CO-、-COO-、-CONR-、-O-、-(CH-、-O-(CH-、-COO-(CH-、-CO-CH=CH-、または、-C≡C-が好ましく、単結合、-COO-、または、-CONR-がより好ましく、単結合、または、-COO-がさらに好ましく、-COO-が特に好ましい。
 式(12)中、r2は、0~4の整数を表す。ただし、L24が-CO-O-CH-である場合、r2は0を表す。
 r2は、1~3が好ましい。
 式(12)中、X24は、-CN、-R、-OR、-OH、-(CH-OH、-F、または、-OCOORが置換していてもよい1価の芳香環基を表す。Rは、炭素数1~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を表す。mは、1~3の整数を表す。Rの具体例および好ましい態様は、式(11)で説明したRのものと同様である。
 X24が表す芳香環基は、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。
 X24が表す芳香環基には、炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、窒素原子、酸素原子、および、硫黄原子からなる群から選択される1種以上の原子)が含まれていてもよい。X24が表す芳香環基の具体例および好ましい態様は、式(11)のX14のものと同様である。
 上述した式(11)で表される第1界面活性剤B1は、繰り返し単位を有さない低分子化合物であるため、後述する第2組成物Bおよび形成される塗布膜に対する溶解性が高いと考えられる。さらに、液晶の構造に含まれる剛直なユニット(例えばメソゲン基と呼ばれる芳香環基を含む基)に類似する基を分子中に含むため、第1液晶化合物Bに対する配向制御能が高いと考えられる。
 上述した式で表される第1界面活性剤B1を用いると、形成した第1コレステリック液晶層B上に第2コレステリック液晶層Bを塗布処理によって形成する際、第2組成物Bに対する第1界面活性剤B1の溶解性が高いことで、第2組成物Bをムラなく塗布でき、第2コレステリック液晶層Bをムラなく形成しやすい。また、第2組成物Bに溶解した第1界面活性剤B1は、第2組成物Bの塗布膜の空気界面側に濃縮すると考えられるが、第2組成物Bによって形成される塗布膜に対する溶解性が高いため、第1界面活性剤B1に由来する凝集物を形成しにくい。結果として、第1コレステリック液晶層Bの形成に第1界面活性剤B1を用いると、第2コレステリック液晶層Bの上述した界面活性剤の凝集物の数を上記範囲に調整しやすい。
(溶媒およびその他の成分)
 第2実施態様に用いられる第1組成物Bは、溶媒およびその他の成分を含んでいてもよい。
 第2実施態様に用いられる第1組成物Bが含んでていてもよい溶媒およびその他成分は、第1実施態様の第1組成物Aと同様であるため、説明を省略する。
<第2コレステリック液晶層B>
 本発明の積層体の第2実施態様は、第1コレステリック液晶層B上に、第2液晶化合物Bを含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される第2コレステリック液晶層Bを含む。すなわち、第2コレステリック液晶層Bは、コレステリック配向した第2液晶化合物Bを固定化してなる層である。したがって、第2コレステリック液晶層Bは、後述する第2組成物Bに含まれる成分に由来する成分を含んでいてもよい。
 上記コレステリック配向した第2液晶化合物Bを固定化してなる層とは、外場および外力等によって配向形態に変化を生じさせることがない状態に変化した層であればよい。なお、第2コレステリック液晶層Bにおいては、コレステリック液晶相の光学的性質が層中において保持されていれば十分であり、第2コレステリック液晶層B中の第2液晶化合物Bは、もはや液晶性を示していなくてもよい。例えば、第2液晶化合物Bは、硬化反応により高分子量化して、もはや液晶性を失っていてもよい。
 第2コレステリック液晶層Bは、コレステリック配向した第2液晶化合物Bにより、特定の波長領域の電磁波(光)を反射できる。第2コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長λは、コレステリック液晶相における螺旋構造のピッチP(=螺旋の周期)に依存し、第2コレステリック液晶層Bの平均屈折率nを用いて、λ=n×Pの関係で表される。なお、第2コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長は、第1コレステリック液晶層Aが反射する光の中心波長と同様にして求めることができる。
 第2コレステリック液晶層Bが反射する光の中心波長λは、可視光領域にあることが好ましい。
 第2コレステリック液晶層Bの中心波長λにおける反射率は、40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
 また、第2コレステリック液晶層Bは、界面活性剤を含む。
 なお、上述したように、第2実施態様の積層体において、第2コレステリック液晶層Bの上記第1コレステリック液晶層B側とは反対側の表面において、長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数が、25個/mmよりも少なく、10個/mm以下が好ましい。長径が0.5μm以上である界面活性剤の凝集物の数の下限としては、0個/mmが挙げられる。
 第2コレステリック液晶層Bに含まれる界面活性剤は、互いに種類の異なる第1界面活性剤および第2界面活性剤を含むことが好ましい。
 上記第1界面活性剤は、第1コレステリック液晶層Bの形成に用いる第1組成物Bに含まれる第1界面活性剤B1であることが好ましい。また、上記第2界面活性剤は、後述する第2コレステリック液晶層Bの形成に用いる第2組成物Bに含まれる第2界面活性剤B2であることが好ましい。
 第2コレステリック液晶層Bの厚みは、0.1~10μmが好ましく、0.3~5μmがより好ましい。
<第2組成物B>
 第2コレステリック液晶層Bの形成に用いる第2組成物Bは、第2液晶化合物Bを含む。
 以下、第2組成物Bに含まれる成分、および、含まれていてもよい成分について説明する。
(第2液晶化合物B)
 第2液晶化合物Bは、特に制限されず、公知の液晶化合物を用いることができる。ただし、第2液晶化合物Bは、上記第1液晶化合物Bとは異なる化合物を選択する。液晶化合物としては、例えば、棒状液晶化合物、および、円盤状液晶化合物が挙げられる。第2液晶化合物Bをコレステリック配向させる方法としては、例えば、第2液晶化合物Bと、カイラル剤とを含む第1組成物Bを用いる方法が挙げられる。
 第2液晶化合物Bは、重合性基を有する重合性液晶化合物であってもよい。
 第2液晶化合物Bとしては、円盤状液晶化合物が好ましく、重合性円盤状液晶化合物がより好ましい。
 第2液晶化合物Bとして用いられる化合物の例示は、第1実施態様の第2液晶化合物Aの例示と同様であるため、記載を省略する。
(第2界面活性剤B2)
 第2組成物Bは、第2界面活性剤B2を含んでいてもよい。第2界面活性剤B2は、第2組成物Bを塗布した際に、塗布膜の空気界面側に濃縮しやすく、かつ、第2液晶化合物Bの配向を制御できる成分であることが好ましい。
 第2界面活性剤B2としては、従来公知の界面活性剤が挙げられるが、フッ素系化合物が好ましい。
 フッ素系化合物としては、含フッ素基を有する繰り返し単位を含む高分子フッ素系化合物が好ましい。上記含フッ素基を有する繰り返し単位の含フッ素基としては、含フッ素アルキル基が好ましい。含フッ素アルキル基は、パーフルオロアルキル基であってもよく、部分フッ化アルキル基であってもよい。高分子フッ素系化合物は、含フッ素基を有する繰り返し単位以外の他の繰り返し単位を含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、環構造を含む基を有する繰り返し単位が挙げられる。環構造を含む基としては、芳香環構造を含む基、および、脂環構造を含む基が挙げられる。上記環構造には、炭素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子、窒素原子)が含まれていてもよい。
 フッ素系化合物としては、特開2001-330725号公報中の段落0028~0056に記載の化合物、および、特開2005-062673号公報中の段落0069~0126に記載の化合物も挙げられる。
 なお、第2界面活性剤B2は、第1界面活性剤B1で記載した化合物であってもよい。
(溶媒およびその他の成分)
 第2実施態様に用いられる第2組成物Bは、溶媒およびその他の成分を含んでいてもよい。
 第2実施態様に用いられる第2組成物Bが含んでいてもよい溶媒およびその他成分は、第1実施態様の第1組成物Aと同様であるため、説明を省略する。
<基材>
 積層体の第2実施態様は、基材を含んでいてもよい。
 積層体の第2実施態様が含んでていてもよい基材の好ましい態様は、第1実施態様が含んでいてもよい基材の好ましい態様と同様であるため、説明を省略する。
 本発明の積層体の第2実施態様は、上述したように第1コレステリック液晶層Bおよび第2コレステリック液晶層Bを含めばよく、他の構成を含んでいてもよい。
 他の構成としては、第1コレステリック液晶層Bおよび第2コレステリック液晶層B以外の他のコレステリック液晶層、粘着剤層、密着層、配向層、反射防止層、位相差層、および、光吸収異方性層等が挙げられる。
 また、積層体を仮想現実表示装置に適用する場合、仮想現実表示装置から発せられる光の波長に合わせて、それぞれの層が反射する光の中心波長を調整することが好ましい。
 積層体の反射率は、可視光領域全域にわたって40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることがさらに好ましく、49%以上であることが特に好ましい。反射率の上限は、50%以下が挙げられる。
<積層体の製造方法>
 積層体の第2実施態様は、例えば以下の方法で製造できる。
 上記基材上に上記第1組成物Bを塗布し、塗布膜に対して配向処理および重合処理を行って第1コレステリック液晶層Bを形成し、第1コレステリック液晶層B上に上記第2組成物Bを塗布し、塗布膜に対して配向処理および重合処理を行って第2コレステリック液晶層Bを形成する方法が挙げられる。
 上記配向処理としては、例えば、加熱処理が挙げられる。また、重合処理としては、例えば、活性光線の照射処理が挙げられる。また、第1組成物Bまたは第2組成物Bに溶媒が含まれる場合、塗布膜に含まれる溶媒を除去する処理を行ってもよい。
 なお、第2コレステリック液晶層Bに界面活性剤が含まれるようにするためには、界面活性剤を含む第2組成物Bを用いるか、第2組成物Bに対する溶解性が高い界面活性剤を含む、第1組成物Bを用いて第1コレステリック液晶層Bを形成すればよい。
 また、表面処理、配向処理および重合処理については、第1実施態様に記載の積層体の製造方法と同様である。
 なお、第1コレステリック液晶層Bの形成後は、第1コレステリック液晶層Bの表面に表面処理(例えば、コロナ放電処理)を行わないことが好ましい。すなわち、第1コレステリック液晶層Bを形成したあと、表面処理を行わずに第2組成物Bを塗布することが好ましい。これは、一般的に、上記のような処理を行うと、第2コレステリック液晶層Bの配向性が低下する場合があるためである。より具体的には、一般的に、円盤状液晶化合物を含む液晶層上に、棒状液晶化合物を含む液晶層を形成する場合、円盤状液晶化合物を含む液晶層の表面に対してコロナ処理と行うと、その表面が親水化する。円盤状液晶化合物を含む液晶層の表面が親水化した状態で、棒状液晶化合物を含む層を形成しようとすると、棒状液晶化合物は疎水性である場合が多いため、棒状液晶化合物の配向性が低下する場合がある。
[仮想現実表示装置]
 本発明の仮想現実表示装置は、本発明の積層体を含む。
 本発明の仮想現実表示装置において、本発明の積層体は、反射偏光子として用いられることが好ましい。特に、本発明の積層体は、反射偏光子とハーフミラーとの間で光を反射させて往復させる往復光学系を有する仮想現実表示装置における反射偏光子として用いられることが好ましい。
 反射光学系の構成、および、仮想現実表示装置の構成は、特開平7-120679号公報、および、特開2017-227720号公報等を参考にできる。
 以下に実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。
 以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきではない。
[積層体の製造]
 実施例および比較例に用いた積層体は、以下の手順で製造した。具体的には、まず、基材上に、液晶化合物を含む組成物を塗布し、所定の処理を行ってコレステリック液晶層を形成した。形成したコレステリック液晶層上に、液晶化合物を含む組成物を塗布し、所定の処理を行ってコレステリック液晶層とし、積層体を得た。
 以下、各組成物およびコレステリック液晶層の形成方法について説明する。
<組成物>
 以下に示す組成物は、いずれもコレステリック液晶層を形成するための組成物である。なお、「R」を含む記号を付した組成物は、棒状液晶化合物を含む組成物を指し、「D」を含む記号を付した組成物は、円盤状液晶化合物を含む組成物を指す。
(組成物R-1)
 70℃に保温された容器中にて、以下に示す成分を撹拌して溶解させ、組成物R-1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 組成物R-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・メチルエチルケトン               176.9質量部
・シクロヘキサノン                 44.2質量部
・棒状液晶化合物A1(混合物)           50.0質量部
・下記棒状液晶化合物A2              50.0質量部
・光重合開始剤B                  1.00質量部
・カイラル剤A1                  3.00質量部
・界面活性剤 F1                 0.06質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 棒状液晶化合物A1(混合比は質量比)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 棒状液晶化合物A2
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 光重合開始剤B
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
 カイラル剤A1
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 なお、カイラル剤A1は、光によって螺旋誘起力(HTP:Helical Twisting Power)が減少するカイラル剤(カイラル剤A)である。
 界面活性剤F1(繰り返し単位の比率は質量比)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(組成物R-2)
 カイラル剤A1の添加量を3.63質量部、界面活性剤F1の添加量を0.15質量部に変更した以外は、組成物R-1と同様に組成物R-2を調製した。
(組成物D-1)
 50℃に保温された容器中にて、以下に示す成分を撹拌して溶解させ、組成物D-1を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 組成物D-1
―――――――――――――――――――――――――――――――――
・円盤状液晶化合物(A)                80質量部
・円盤状液晶化合物(B)                20質量部
・重合性モノマーE1                   4質量部
・界面活性剤F2                  0.06質量部
・光重合開始剤(BASF社製、イルガキュアー907)   3質量部
・ピリジニウム塩A                  0.1質量部
・ボロン酸モノマーA                   3質量部
・上記カイラル剤A1                4.00質量部
・メチルエチルケトン                 151質量部
・シクロヘキサノン                   37質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 円盤状液晶化合物(A)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
 円盤状液晶化合物(B)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
 重合性モノマーE1
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
 界面活性剤F2
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
 なお、界面活性剤F2は非液晶性であって、融点は94℃であった。また、界面活性剤F2に含まれる芳香環構造の数は、4である。
 ピリジニウム塩A
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
 ボロン酸モノマーA
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(組成物D-2)
 カイラル剤A1の添加量を5.28質量部に変更した以外は、組成物D-1と同様に組成物D-2を調製した。
(組成物D-3)
 界面活性剤F2を下記界面活性剤F3に変更した以外は、組成物D-1と同様に組成物D-3を調製した。
 界面活性剤F3
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
 なお、界面活性剤F3は非液晶性であって、融点は50℃であった。また、界面活性剤F3に含まれる芳香環構造の数は、3である。
(組成物D-4)
 界面活性剤F2を上記界面活性剤F3に変更した以外は、組成物D-2と同様に組成物D-3を調製した。
(組成物D-5)
 界面活性剤F2を下記界面活性剤F4に変更した以外は、組成物D-1と同様に組成物D-5を調製した。
 界面活性剤F4
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
 なお、界面活性剤F4は非液晶性であって、融点は108℃であった。
(組成物D-6)
 界面活性剤F2を上記界面活性剤F4に変更した以外は、組成物D-2と同様に組成物D-6を調製した。
(組成物D-7)
 カイラル剤A1の添加量を3.1質量部に変更した以外は、組成物D-1と同様に調製した。
(組成物D-8)
 円盤状液晶化合物(A)および(B)の代わりに円盤状液晶化合物(C)を用いた以外は、D-1と同様に調製した。
 円盤状液晶化合物(C)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
(組成物D-9)
 カイラル剤A1の添加量を4.1質量部に変更した以外は、組成物D-1と同様に調製した。
(組成物D-10)
 カイラル剤A1の添加量を4.6質量部に変更した以外は組成物D-8と同様に調製した。
<積層体の製造手順>
 以下の手順で実施例および比較例に用いた積層体を得た。
(積層体1)
 仮支持体として、厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡株式会社製、A4100)を準備した。このPETフィルムは、一方の面に易接着層を有する。
 上記PETフィルムの易接着層が無い面に対してラビング処理を行い、上記組成物R-1をワイヤーバーコーターで塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を110℃で120秒間乾燥した。その後、塗布膜を80℃に保持し、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)でメタルハライドランプの紫外光(照度100mW/cm、照射量250mJ/cm)を照射して液晶化合物の配向方向を固定化し、PETフィルム上にコレステリック液晶層1を形成した。紫外光の照射は、塗布膜側から行った。また、組成物R-1の塗布量は、形成されるコレステリック液晶層1の膜厚が4.5μmとなるように調整した。
 コレステリック液晶層1は、赤色光を反射するコレステリック液晶層であった(反射光の中心波長:650nm)。なお、コレステリック液晶層1は、本発明の第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層のいずれにも該当しない。
 次に、コレステリック液晶層1のPETフィルム側とは反対側の表面に対し、放電量150W・min/mでコロナ処理を行った後、コロナ処理を行った面上に組成物D-1をワイヤーバーコーターで塗布して塗布膜を形成した。続いて、塗布膜を70℃、2分間乾燥した後、103℃で3分間加熱熟成を行って、均一な配向状態を得た。その後、塗布膜を45℃に保持し、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)でメタルハライドランプの紫外光(照度100mW/cm、照射量250mJ/cm)を照射して液晶化合物の配向方向を固定化し、コレステリック液晶層1上にコレステリック液晶層2を形成した。紫外光の照射は、塗布膜側から行った。また、組成物D-1の塗布量は、形成されるコレステリック液晶層2の膜厚が3.3μmとなるように調整した。
 コレステリック液晶層2は、黄色光を反射するコレステリック液晶層であった(反射光の中心波長:600nm)。なお、コレステリック液晶層2は、本発明の第1コレステリック液晶層に該当する。
 次に、コレステリック液晶層2のPETフィルム側とは反対側の表面に対し、組成物R-2をワイヤーバーコーターで塗布して塗布膜を形成した後、塗布膜を110℃で120秒間乾燥した。その後、塗布膜を80℃に保持し、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)でメタルハライドランプの紫外光(照度100mW/cm、照射量250mJ/cm)を照射して液晶化合物の配向方向を固定化し、コレステリック液晶層2上にコレステリック液晶層3を形成した。紫外光の照射は、塗布膜側から行った。また、組成物R-2の塗布量は、形成されるコレステリック液晶層3の膜厚が2.7μmとなるように調整した。
 コレステリック液晶層3は、緑色光を反射するコレステリック液晶層であった(反射光の中心波長:550nm)。なお、コレステリック液晶層3は、本発明の第2コレステリック液晶層に該当する。
 次に、コレステリック液晶層3のPETフィルム側とは反対側の表面に対し、放電量150W・min/mでコロナ処理を行った後、コロナ処理を行った面上に組成物D-2をワイヤーバーコーターで塗布して塗布膜を形成した。続いて、塗布膜を70℃、2分間乾燥した後、100℃で3分間加熱熟成を行って、均一な配向状態を得た。その後、塗布膜を45℃に保持し、窒素雰囲気下(酸素濃度100ppm以下)でメタルハライドランプの紫外光(照度100mW/cm、照射量250mJ/cm)を照射して液晶化合物の配向方向を固定化し、コレステリック液晶層3上にコレステリック液晶層4を形成した。紫外光の照射は、塗布膜側から行った。また、組成物D-2の塗布量は、形成されるコレステリック液晶層4の膜厚が2.5μmとなるように調整した。
 コレステリック液晶層4は、青色光を反射するコレステリック液晶層であった(反射光の中心波長:460nm)。なお、コレステリック液晶層4は、本発明の第1コレステリック液晶層および第2コレステリック液晶層のいずれにも該当しない。
 上記手順で積層体1を得た。
(積層体2)
 組成物D-1の代わりに組成物D-3を用い、組成物D-2の代わりに組成物D-4を用いた以外は、積層体1と同様の手順で積層体2を得た。
(積層体3)
 組成物R-1の代わりに組成物D-7を用い、組成物D-1の代わりに組成物D-8を組成物R-2の代わりに組成物D-9を用い、組成物D-2の代わりに組成物D-10を用いた以外は、積層体1と同様の手順で積層体3を得た。
 なお、各層の積層時には、上記組成物D-1を塗布してコレステリック液晶層2を形成する際の条件を適用した。すなわち、各組成物を塗布する前にコロナ処理を実施した。
(積層体4)
 組成物D-1の代わりに組成物D-5を用い、組成物D-2の代わりに組成物D-6を用いた以外は、積層体1と同様の手順で積層体4を得た。
[測定]
<凝集物の測定>
 上述した手順で、積層体1~3においてコレステリック液晶層3まで作製した状態のサンプルに対し、コレステリック液晶層3のコレステリック液晶層2側とは反対側の表面を、TOF-SIMSで分析し、界面活性剤に由来する2次イオンについてマッピングを行い、界面活性剤に由来する凝集物の数をカウントした。
<暗線領域幅/暗線幅比の測定>
 上述した手順で、積層体1~4の暗線領域幅/暗線幅比を得た。
 観察には、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の「S-4800」を使用した。SEMによる観察は、加速電圧を2kVに設定し、倍率20000倍で二次電子像を取得した。
 なお、上述した幅Wbに対する領域幅Wrbの比(領域幅Wrb/幅Wb)の値は、いずれの積層体においても1.0であった。
<界面活性剤の転写>
 上述した方法でX線光電子分光法によってコレステリック液晶層2から基材に対する界面活性剤の転写の程度を評価した。
 後段の表では、以下の基準で記載する。
 A:全原子に対して、フッ素原子の含有量が2原子%未満
 B:全原子に対して、フッ素原子の含有量が2原子%以上5原子%未満
 C:全原子に対して、フッ素原子の含有量が5原子%以上
[評価]
<反射率>
 分光光度計(日本分光社製、V-550)を用いて積層体1~4の反射率測定を行った。なお、反射率は、コレステリック液晶層1~4のそれぞれの反射光の中心波長における反射率を測定した。
<画像鮮鋭性の評価>
 実施例1では、往復光学系を採用した仮想現実表示装置である、Huawei社製の仮想現実表示装置「Huawei VR Glass」のレンズを分解し、もっとも視認側のレンズを取り出した。このレンズは、視認側が凸面の平凸レンズであり、平面の側に反射円偏光子が貼合されていた。このレンズから反射円偏光子を剥離し、平面の側に、後段に作製方法を示す光学積層シート1を、吸収型偏光子の側が視認側となるように貼合した。光学積層シート1を貼合したレンズを再度本体に組み込み、仮想現実表示装置を作製した。
 同様にして、実施例2および3、比較例1に用いた仮想現実表示装置を作製した。
 作製した実施例1~3、および、比較例1の仮想現実表示装置において、画像表示装置に白黒のチェッカーパターンを表示させ、目視にて、画像鮮鋭性の程度を下記基準で評価した。なお、画像鮮鋭性が悪いと、チェッカーパターンの一部または全部が歪んで見える。
 A:チェッカーパターンの歪みがほとんど認識されない。
 B:チェッカーパターンの歪みが僅かに認識されるが気にならない。
 C:チェッカーパターンの歪みがはっきりと認識される。
(光学積層シートの作製)
 上記積層体1~4を用いて光学積層シート1~4を作製した。
 代表的に積層体1を用いた光学積層シート1の作製手順を示す。積層体2~4を用いた光学積層シート2~4も下記手順と同様の手順で作製した。なお、光学積層シート1~3は、実施例1~3にそれぞれ用い、光学積層シート4は比較例1に用いた。
 まず、デクセリアルズ株式会社製の反射防止フィルム「AR200-T0810-JD」に、東亞合成株式会社製の紫外線硬化型接着剤「アロニックス UVX-6282」を塗布した。次に、積層体1のコレステリック液晶層4と塗布した接着剤層とが対向するように積層体1と反射防止フィルムとを貼り合わせ、貼り合わせた状態で、紫外線を照射(300mJ/cm)して接着剤を硬化させた。接着剤を硬化した後、積層体1のPETフィルムを剥離して除去し、積層シートを得た。積層シートは、反射防止フィルム、接着剤層、コレステリック液晶層4、コレステリック液晶層3、コレステリック液晶層2、および、コレステリック液晶層1をこの順に有していた。
 なお、硬化後の接着剤層の厚みは、35μmであった。また、硬化後の接着剤層の屈折率は、1.48であった。
 上記積層シートのコレステリック液晶層1側の表面に対し、λ/4位相差板を上記接着剤で貼合して接着し、さらに、λ/4位相差板のコレステリック液晶層1側とは反対側の表面に、吸収型偏光子を上記接着剤で貼合して接着した。吸収型偏光子の貼合の際には、λ/4位相差板の遅相軸と、吸収型偏光子の吸収軸とのなす角が45°となるように向きを調整した。
 なお、硬化後の接着剤層の厚みは、35μmであった。
 次に、吸収型偏光子上に、リンテック株式会社製粘着剤シート「NCF-D692(15)」を貼合し、光学積層シート1を得た。光学積層シート1は、反射防止フィルム、接着剤層、コレステリック液晶層4、コレステリック液晶層3、コレステリック液晶層2、コレステリック液晶層1、接着剤層、λ/4位相差板、接着剤層、吸収型偏光子、および、粘着剤シートをこの順に有していた。なお、得られた光学積層シート1は、一辺の長さが30um以上である異物の数が、1m当たり90個であった。
 得られた光学積層シート1は、ピコ秒レーザー加工機を用いて、直径35mmの円形に裁断した。さらに、吸収型偏光子の吸収軸の方位を表すように、端部の一部を切り落とし、切り欠きを作製した。なお、加工の際には、裁断端面の角度が光学積層シート1の鉛直方向に対して5°以下になるように、加工条件を調整した。
<ゴーストの評価>
 画像鮮鋭性の評価で作製した実施例1~3、および、比較例1の仮想現実表示装置において、画像表示装置に白黒のチェッカーパターンを表示させ、目視にて、ゴーストの程度を下記基準で評価した。なお、ゴーストが発生すると、二重像が視認され、二重像が視認される部分のコントラストが低下する。
 A:二重像がほとんど見えない
 B:二重像が僅かに見えるが気にならない
 C:二重像がはっきり見える
[結果]
 積層体の構成、ならびに、積層体の測定結果および評価結果を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000021
 表1の結果から、実施例の積層体は、コレステリック液晶層の反射率が高いことが確認された。一方、暗線領域幅/暗線幅比が所定範囲でないか、凝集物の数が一定値以上である比較例の積層体は、第2コレステリック液晶層の反射率が低かった。
 実施例1と実施例2との比較から、コレステリック液晶層2に用いられる界面活性剤(第1界面活性剤)が非液晶性であって、融点が90℃以上である場合、コレステリック液晶層の反射率により優れ、画像鮮鋭性が優れることが確認された。また、界面活性剤(第1界面活性剤)の転写も少ないことが確認された。
 実施例1と実施例2との比較から、コレステリック液晶層2に用いられる界面活性剤(第1界面活性剤)が芳香環構造を4環以上有する場合、コレステリック液晶層の反射率により優れ、画像鮮鋭性が優れることが確認された。
 実施例1と実施例2との比較から、コレステリック液晶層2に用いられる界面活性剤(第1界面活性剤)が上記式(11)で表される界面活性剤である場合、コレステリック液晶層の反射率により優れ、画像鮮鋭性が優れることが確認された。
 実施例1および2と実施例3との比較から、コレステリック液晶層1および3に棒状液晶化合物が含まれ、コレステリック液晶層2および4に円盤状液晶化合物が含まれる(第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、第2液晶化合物が棒状液晶化合物である)場合、ゴーストが発生しにくいことが確認された。
 100 積層体
 10 第1コレステリック液晶層
 12 第2コレステリック液晶層
 26 第2液晶層明線
 28 第2液晶層暗線
 28a 表層暗線
 28b 中間暗線
 M 中間位置

Claims (10)

  1.  第1液晶化合物を含む第1組成物を用いて形成された第1コレステリック液晶層と、
     前記第1コレステリック液晶層上に、第2液晶化合物を含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層とを含む積層体であって、
     前記第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、
     前記第1液晶化合物と、前記第2液晶化合物とが異なる化合物であって、
     走査型電子顕微鏡で前記第2コレステリック液晶層の断面観察を行って観察される、前記第2コレステリック液晶層のコレステリック液晶相に由来する明線および暗線のうち、前記第1コレステリック液晶層側とは最も離れた位置の暗線を表層暗線とし、前記第2コレステリック液晶層の厚み方向の中間位置に最も近接する位置の暗線を中間暗線とした際に、
     前記第2コレステリック液晶層の厚み方向における前記中間暗線の幅に対する、前記第2コレステリック液晶層の厚み方向において前記表層暗線が存在する領域幅の比が、1.2以下である、積層体。
  2.  前記第2コレステリック液晶層の厚み方向における前記中間暗線の幅に対する、前記第2コレステリック液晶層の厚み方向において前記中間暗線が存在する領域幅の比が、3.0以下である、請求項1に記載の積層体。
  3.  第1液晶化合物を含む第1組成物を用いて形成された第1コレステリック液晶層と、
     前記第1コレステリック液晶層上に、第2液晶化合物を含む第2組成物を用いて塗布処理により形成される、第2コレステリック液晶層とを含む積層体であって、
     前記第1液晶化合物が円盤状液晶化合物であり、
     前記第1液晶化合物と、前記第2液晶化合物とが異なり、
     前記第2コレステリック液晶層が界面活性剤を含み、
     前記第2コレステリック液晶層の前記第1コレステリック液晶層側とは反対側の表面において、長径が0.5μm以上である前記界面活性剤の凝集物の数が、10000個/mmよりも少ない、積層体。
  4.  前記界面活性剤が、第1界面活性剤および第2界面活性剤を含む、請求項3に記載の積層体。
  5.  前記第1界面活性剤が、前記第1組成物に含まれる界面活性剤であって、
     前記第1界面活性剤が液晶性であって、液晶相から等方性液相への相転移温度が100℃以上であるか、
     前記第1界面活性剤が非液晶性であって、融点が90℃以上である、請求項4に記載の積層体。
  6.  前記第1界面活性剤が芳香環構造を4環以上有する、請求項5に記載の積層体。
  7.  前記第1界面活性剤の分子量が5000以下である、請求項5に記載の積層体。
  8.  前記第1界面活性剤が、下記式(11)で表される、請求項5に記載の積層体。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
     式(11)中、Rfは、直鎖状のパーフルオロアルキル基を表す。
     式(11)中、p1は、1~3の整数を表す。
     式(11)中、A11は、それぞれ独立に、p1+1価の炭化水素基を表す。前記炭化水素基は、酸素原子および窒素原子からなる群から選択される1種以上の原子を含んでいてもよい。
     式(11)中、q1は、2~4の整数を表す。
     式(11)中、X12は、q1+1価の芳香環基を表す。
     式(11)中、X13は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい2価の芳香環基を表す。
     式(11)中、L13およびL14は、それぞれ独立に、単結合、-CO-、-COO-、-CONR-、-O-、-(CH-、-(CH-O-、-O-(CH-、-CO-CH=CH-、-COO-(CH-、または、-C≡C-を表す。Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基を表す。nは、1~3の整数を表す。
     式(11)中、r1は、0~4の整数を表す。ただし、L14が-COO-CH-である場合、r1は0を表す。
     式(11)中、X14は、-CN、-R、-OR、-OH、-(CH-OH、-F、もしくは、-COORが置換していてもよい1価の芳香環基を表すか、または、下記構造の基を表す。下記構造中、*は、L14との結合位置を表す。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     Rは、炭素数1~20の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。mは、1~3の整数を表す。
  9.  前記第2液晶化合物が棒状液晶化合物である、請求項3に記載の積層体。
  10.  請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体を含む、仮想現実表示装置。
     
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