WO2023162796A1 - 茶飲料及び茶飲料の製造方法 - Google Patents

茶飲料及び茶飲料の製造方法 Download PDF

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娟 張
伸介 武田
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不二製油株式会社
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    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23FCOFFEE; TEA; THEIR SUBSTITUTES; MANUFACTURE, PREPARATION, OR INFUSION THEREOF
    • A23F3/00Tea; Tea substitutes; Preparations thereof
    • A23F3/16Tea extraction; Tea extracts; Treating tea extract; Making instant tea

Abstract

本発明は、蛋白質素材を配合した場合でも透明感がある茶飲料を提供することを目的とする。また、さらには蛋白質素材を配合した場合でも茶飲料の本来の自然な風味が阻害されず良好な風味の茶飲料を提供することを目的とする。 蛋白質含量、溶液の濁度、分子量の数値が特定の範囲にある植物性蛋白質素材を用いることで、透明感があり風味の良好な茶飲料が得られることを見いだした。

Description

茶飲料及び茶飲料の製造方法
 本発明は、茶飲料及び茶飲料の製造方法に関する。
 様々な飲料がペットボトル容器等に入れて市販されており、その中でも茶飲料はよく飲まれている。近年、運動をしている人を中心に手軽に蛋白質を摂取できるという点で蛋白質を配合する飲料も多くでてきている。このような状況で蛋白質を配合した茶飲料のニーズもでてきている。
 茶飲料へ蛋白成分を配合する技術として、乳成分を焙じ茶飲料に配合する技術(特許文献1)、乳タンパク等の蛋白質を含む抹茶粉末組成物を製造する技術(特許文献2)等がある。
特開2018-108031号公報 WO2021-166982号公報
 茶飲料に蛋白質素材を配合した場合に濁りが生じ、本来の透明感のある茶飲料が製造できない問題がある。
 本発明は、蛋白質素材を配合した場合でも透明感がある茶飲料を提供することを目的とする。また、さらには蛋白質素材を配合した場合でも茶飲料の本来の自然な風味が阻害されず良好な風味の茶飲料を提供することを目的とする。
 本発明者らは、上記の課題の解決に対し鋭意検討を重ねた結果、蛋白質含量、溶液の濁度、分子量の数値が特定の範囲にある植物性蛋白質素材を用いることで、透明感がある茶飲料を得られ、さらに蛋白質素材を配合した場合でも茶葉由来の自然な風味が阻害されず良好な風味の茶飲料が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
 すなわち本発明は、
(1)以下のA~Cを満たす植物性蛋白質素材を含有し、吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下である茶飲料、
A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下、
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
(2)植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、(1)記載の茶飲料、
A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下、
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
(3)植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、(1)記載の茶飲料、
A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が0.9以下、
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
(4)茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、(1)記載の茶飲料、
(5)茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、(2)記載の茶飲料、
(6)茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、(3)記載の茶飲料、
(7)以下のA~Cを満たす植物性蛋白質素材を茶飲料に対して、茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%となるように添加することを特徴とする、吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下である茶飲料の製造方法、
A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下、
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
(8)植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、(7)記載の茶飲料の製造方法、
A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
(9)植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、(7)記載の茶飲料の製造方法、
A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上、
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が0.9以下、
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、
である。
 本発明により、蛋白を配合した、透明感がある茶飲料を製造することができる。さらには、蛋白質素材を配合した場合でも茶葉由来の自然な風味が阻害されず良好な風味の茶飲料を製造することができる。
(茶飲料)
 本発明の茶飲料は、以下のA~Cを満たす植物性蛋白質素材を含有し、吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下であるという特徴がある。
A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上。
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
 上記特定の植物性蛋白質素材を配合することで、透明感があり、風味の良好な茶飲料を製造することができる。なお、本発明において「透明感がある」とは、茶飲料を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度の値が1.0以下であるものをいう。
 茶飲料中の蛋白質含量は、好ましくは0.05~5重量%であり、より好ましくは0.1~5重量%である。さらに好ましくは、0.2~5重量%、0.5~5重量%、1~5重量%、0.1~4重量%、0.2~4重量%、0.5~4重量%、1~4重量%、0.2~3重量%、0.5~3重量%、1~3重量%を選択することもできる。
 本発明の植物性蛋白質素材は茶飲料中の蛋白質含量が上記の範囲となるように茶飲料に配合すれば良い。
 本発明の茶飲料は低粘度ですっきりとした飲み口のものである。具体的には茶飲料の粘度は、好ましくは10mPa・s以下であり、より好ましくは8mPa・s以下であり、さらに好ましくは6mPa・s以下、5mPa・s以下である。なお、粘度は20℃の室温でB型粘度計で測定するものとする。
 本発明の茶飲料の吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度は、好ましくは0.9以下であり、より好ましくは0.7以下である。なお、濁度は島津製作所製のUV-1800 modelで、光路長1cmの石英セルを用いて測定する。
 また、本発明の茶飲料は、遠心分離したときの沈殿物が少ないという特徴もあり、本発明では沈殿率として算出する。具体的には茶飲料40gを遠心管に入れ、3000×g、5分間の条件で遠心分離し、得られたウエット状態の沈殿量の茶飲料中の割合を沈殿率(重量%)として表す。沈殿率は、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1.5重量%以下であり、さらに好ましくは1重量%以下である。
 本発明の茶飲料として、特に制限されないが、好ましくは、ウーロン茶、ほうじ茶、紅茶、ルイボス茶、麦茶、緑茶、玄米茶、ジャスミン茶、プーアル茶、グァバ茶、ウコン茶、ハーブティ、マテ茶、白茶、テン茶、ハトムギ茶、コーン茶、豆茶、黒豆茶、あずき茶、そば茶、昆布茶、ドクダミ茶、甘茶、アマチャヅル茶、杜仲茶、各種ブレンド茶、モモ,リンゴ,パイナップル,ナシ,オレンジ,グレープフルーツ,レモン等の果実茶などである。より好ましくは、ウーロン茶、ほうじ茶、紅茶、ルイボス茶、白茶、ハトムギ茶、あずき茶、そば茶である。さらに好ましくは、ウーロン茶、ほうじ茶、紅茶、ルイボス茶である。
(植物性蛋白質素材)
 本発明の植物性蛋白質素材は、以下の要件A~Cを満たす。
A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上。
B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。

 要件Aの蛋白質含量は好ましくは、70重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、さらに好ましくは85重量%以上、88重量%以上、90重量%以上を選択することができる。
 なお、蛋白質含量は、試料中の全窒素量をケルダール法により求めて係数6.25を乗じ、試料に対する百分率として測定し固形分換算で表したものである。
 要件Bの濁度は、好ましくは、0.9以下であり、より好ましくは0.7以下である。
 なお、濁度は島津製作所製のUV-1800 modelで測定する。
 要件Cの重量平均分子量は、下限は、好ましくは5kDa以上であり、より好ましくは6kDa以上であり、さらに好ましくは7kDa以上、8kDa以上、9kDa以上、10kDa以上、30kDa以上、50kDa以上、80kDa以上、100kDa以上も選択することができる。また、上限は好ましくは250kDa以下であり、より好ましくは230kDa以下であり、さらに好ましくは、210kDa以下、200kDa以下、180kDa以下、160kDa以下も選択することができる。
 具体的な好ましい態様として、例えば、5kDa~300kDa、10kDa~300kDa、50kDa~300kDa、100kDa~300kDa、3kDa~250kDa、5kDa~250kDa、10kDa~250kDa、50kDa~250kDa、100kDa~250kDa、3kDa~200kDa、5kDa~200kDa、10kDa~200kDa、50kDa~200kDa、100kDa~200kDa、3kDa~180kDa、5kDa~180kDa、10kDa~180kDa、50kDa~180kDa、100kDa~180kDa、3kDa~160kDa、5kDa~160kDa、10kDa~160kDa、50kDa~160kDa、100kDa~160kDa等を選択することができる。
 なお、重量平均分子量の測定条件を以下に示す。
〇重量平均分子量の測定条件
 溶離液で蛋白質素材を0.1重量%濃度に調整し、0.2μmフィルターでろ過したものを試料液とする。2種のカラム直列接続によってゲルろ過システムを組み、はじめに分子量マーカーとなる既知のタンパク質等(表1)をチャージし、分子量と保持時間の関係において検量線を求める。次に試料液をチャージし、各分子量画分の含有量比率%を全体の吸光度のチャート面積に対する、特定の分子量範囲(時間範囲)の面積の割合によって求める(1stカラム:「TSK gel G3000SWXL」(SIGMA-ALDRICH社製)、2ndカラム:「TSK gel G2000SWXL」(SIGMA-ALDRICH社製)、溶離液:1%SDS+1.17%NaCl+50mMリン酸バッファー(pH7.0)、23℃、流速:0.4ml/分、検出:UV220nm)。
(表1)分子量マーカー
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
 本発明において、植物性蛋白質素材の種類としては大豆、エンドウ、緑豆、ヒヨコ豆、ササゲ等の豆類やキャノーラ種子、小麦、米、麻、クルミ等に由来する蛋白質が挙げられ、本発明の植物性蛋白質素材に必要な要件を満たす限り、その起源は特に限定されない。ある実施形態では、植物性蛋白質の種類は、大豆、エンドウ及び緑豆から選択される1種以上に由来する蛋白質を選択できる。またある実施形態では、植物性蛋白質の種類は、流通量が豊富で原料の確保がしやすい大豆に由来する蛋白質を選択できる。
 典型的な例として、植物性蛋白質素材の由来が大豆である場合、大豆原料として脱脂大豆フレークを用い、これを適量の水中に分散させて水抽出を行い、繊維質を主体とする不溶性画分を除去して得られる抽出大豆蛋白(脱脂豆乳)が、大豆蛋白質素材に包含される。また、該抽出大豆蛋白を塩酸等の酸によりpH4.5前後に調整し、蛋白質を等電点沈澱させて酸可溶性画分(ホエー)を除去し、酸不溶性画分(カード)を再度適量の水に分散させてカードスラリーを得、水酸化ナトリウム等のアルカリにより中和して中和スラリーを得、該中和スラリーから得られる分離大豆蛋白も、大豆蛋白質素材に包含される。
 これらの抽出大豆蛋白や分離大豆蛋白は、溶液の状態において高温加熱処理装置によって加熱殺菌され、スプレードライヤー等により噴霧乾燥され、大豆蛋白質素材として最終的に製品化される。
 ただし、上記の製造法に限定されるものではなく、大豆蛋白質の純度が大豆原料から高められる方法であればよい。また脱脂大豆からエタノールや酸によりホエーを除去して得られる濃縮大豆蛋白も大豆蛋白質素材に含まれる。これらのうち、分離大豆蛋白は、蛋白質含量が通常固形分中90重量%程度と高い点において、抽出大豆蛋白よりもよく利用されている。
 本発明の植物性蛋白質素材は、上記要件A~Cの要件の他、好ましくは、要件Dとして5重量%の水溶液のpHについて7.0~7.8の性質を有するものとすることができる。pHは、より好ましくは7.4~7.8である。
 本茶飲料に添加される上記要件A~Cを全て満たす植物性蛋白質素材は、植物性タンパク質素材の製造メーカー、例えば不二製油株式会社等から購入する、又は製造メーカーに製造を依頼することによって、容易に入手することができる。
 ちなみに、不二製油株式会社では上記A~Cの全特性を備える新たな植物性蛋白質素材として、「プロリーナTX」(仮称)シリーズを試験製造できている。したがって、当業者はこれを指定すれば容易に当該製品又は試験サンプルを入手することができる。なお、従来の市販の大豆蛋白質素材である「フジプロE」、「フジプロCL」、「フジプロAL」、「プロリーナRD-1」、「プロリーナHD101R」、大豆ペプチド「ハイニュート」などは、何れも上記A~Cの全特性を満たす植物性蛋白質素材に該当しない。したがって、これらを用いたとしても本茶飲料を製造することはできない。大豆ペプチド「ハイニュート」のような分子量3kDa未満のものを添加した茶飲料は、茶飲料の本来の自然な風味が損なわれ、風味不良となる。また、茶飲料の濁度も高くなる。
(植物性蛋白質素材の製造)
 以下に、本発明の要件A~Cを全て満たす植物性蛋白質素材を製造するための参考態様を大豆を例に以下に示す。ただし、本発明の技術的思想は要件A~Cの要件を満たす植物性蛋白質素材を茶飲料に適用することを本質とするものであるから、植物性蛋白質素材の製法が特定の植物の種類や特定の製造態様に限定されないことは当然である。
 大豆蛋白質素材を製造するには、下記のように従来の分離大豆蛋白を製造する工程をベースとすることができる。ただし、蛋白質を濃縮する方法は、一般的な酸沈殿による方法を採用できるし、膜ろ過による濃縮法や濃縮大豆蛋白から水抽出する方法なども採用できる。
 蛋白質を抽出するための大豆原料としては、脱脂大豆を使用するのが一般的だが、全脂大豆や部分脱脂大豆も使用できる。全脂大豆や部分脱脂大豆を使用した場合には、抽出工程後に高速遠心分離を行って上層に分離した油分を除去し、低油分化できる。
 次に大豆原料と水とを混合し、スラリー状態に分散させ、必要により撹拌しつつ蛋白質を抽出する。
 次に、該スラリーから不溶性食物繊維(オカラ)を遠心分離機やろ過等の分離手段により除去し、抽出大豆蛋白溶液(豆乳)を得る。
 次に、該抽出大豆蛋白溶液からオリゴ糖や酸可溶性蛋白質などの酸可溶性画分(ホエー)を除去し、大豆蛋白質の濃縮液を得る。典型的な手段としては酸沈殿法を用いることができ、該抽出大豆蛋白溶液のpHを塩酸やクエン酸等の酸により4~5の等電点付近に調整し、蛋白質を不溶化させ、沈殿させる。次に遠心分離やろ過等の分離手段により酸可溶性画分を除去し、酸不溶性画分である「カード」を回収して再度適量の水に分散させてカードスラリーを得る。なお、酸沈殿法以外の大豆蛋白質の濃縮手段としては、限外濾過等が挙げられる。
 そして、得られたカードスラリーを最終的にpH7付近に調整した中和スラリーを得る。次に、該中和スラリーをプロテアーゼ等の蛋白質加水分解酵素で反応させ、所望の加水分解度となるような反応条件(温度、時間)で酵素分解を行う。次いで、高温加熱処理によって加熱殺菌を行った後、スプレードライヤー等で乾燥し、大豆蛋白素材を得る。該植物性蛋白質素材は、その水溶液がおおよそpH6.5~8.0のpHを有する。スプレードライヤーによる乾燥の方法としては、ディスク型のアトマイザー方式や1流体、2流体ノズルによるスプレー乾燥の何れも利用できる。
 ここで、本発明のA~Cの要件を全て満たす大豆蛋白質素材を得るために、下記の付加工程を採用してよい。すなわち第一に、少なくとも1回の加熱処理を行い、最終的に2回以上の加熱処理を行って製品化される。この2回以上の加熱処理は、何れも直接蒸気吹込み式高温瞬間加熱処理が好ましい。該加熱処理は、高温高圧の水蒸気を直接大豆蛋白溶液に吹き込み、加熱保持した後、真空フラッシュパン内において急激に圧力開放させるUHT殺菌の方式である。この加熱処理条件は、100~170℃、好ましくは110~165℃の範囲で、加熱時間は0.5秒~5分間、好ましくは1秒~60秒間が適当である。この際、加熱処理の対象となる大豆蛋白質を含む溶液又はスラリーは製造工程の各段階で調整されるpHに応じて3~12の範囲において加熱処理されるが、該加熱処理方式が採用される市販の加熱殺菌装置を用いることができ、VTIS殺菌装置(アルファラバル社製)やジェットクッカー装置等を用いることができる。
 なお、任意の実施形態において、本飲料中には上記の特定の植物性蛋白質素材の他に、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、他の蛋白質素材を併用することができる。例えば植物性蛋白質素材と共に、カゼインや濃縮乳蛋白(MPC)などの各種乳蛋白質素材や大豆ペプチド等の植物蛋白由来のペプチド、コラーゲンペプチドなどを本飲料に添加することもできる。この場合、植物性蛋白質素材と乳蛋白質素材の混合割合は、固形分換算で60:40~99:1が好ましく、70:30~99:1がより好ましく、80:20~99:1がさらに好ましく、90:10~99:1が最も好ましい。
(茶飲料の製造)
 本発明の茶飲料は公知の方法により製造することができる。例えば、茶葉、穀物、豆類、雑穀、ハーブ、果実などの原料から、水、温水、熱水等を用いて抽出などして得られた茶エキスに加水したものに、本発明の植物性蛋白質素材を配合して茶飲料とすることができる。茶飲料は、必要に応じ、容器に充填される。
 抽出時は必要に応じて攪拌を行い、上記抽出後にカートリッジフィルター、ろ紙、フィルタープレス、膜ろ過等を用いたろ過や遠心分離、デカンテーションなどにより固液分離して茶エキスを得ることもできる。また、植物性蛋白質素材は茶エキスと同時に添加しても良いし、植物性蛋白質素材を水に添加してから茶エキスを添加しても良い。また、必要に応じて、アスコルビン酸等の酸化防止剤、pH調整剤、甘味料、着色料なども原料として使用することができる。
 茶エキスを用いる場合の茶エキスの茶飲料中の濃度は特に限定されないが、概ね、0.05~3重量%であり、好ましくは、0.05~2重量%、より好ましくは0.1~2重量%である。
 また、別の方法として、茶葉から茶飲料を製造する任意の工程で、本発明の植物性蛋白質素材を配合して、茶飲料とすることもできる。
 この場合、上記の茶エキスの茶飲料中の濃度に相当する濃度の茶飲料を製造すれば良い。
 また、必要に応じて、加熱殺菌してもよく、加熱殺菌装置としては、レトルト殺菌機、プレート式殺菌機、チューブ式殺菌機等が一般に用いられる。
 以下に実施例を記載することで本発明を説明する。尚、例中の部及び%は特に断らない限り重量基準を意味するものとする。
 (試験材料)
 植物性蛋白質素材として、大豆蛋白質素材を用いて試験を行った。既存の大豆蛋白質素材として市販品A(プロリーナRD-1)を用意した。また、新たに大豆蛋白質素材として製造した試作品B、C「プロリーナTX」(仮称)を用意した。また、市販品Dとして、大豆ペプチドであるハイニュートAMを用意した。これらは全て不二製油(株)に問合わせることにより入手できる。
 これらの大豆蛋白質素材について、大豆蛋白質素材の固形分中の蛋白質含量、5%溶液の濁度、重量平均分子量について分析した。結果を表2に示した。
(表2)
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
 表2のように、本発明の植物性蛋白質素材である、試作品B、Cは蛋白質含量が60%以上、濁度が1.0以下、重量平均分子量が3kDa~300kDaの範囲内である。一方、市販品Aは濁度が1.0を超える値となっており、また、市販品Dは重量平均分子量が3kDa未満となっている。
 なお、5重量%の水溶液のpHは、市販品Aは、7.2、試作品Bは、7.6、試作品Cは、7.6、市販品Dは、6.2であった。
(実施例1~2、比較例1~2)ウーロン茶飲料の検討
 表3に基づき、水に各植物性蛋白質素材とウーロン茶エキス(ウーロン茶エキス、佐藤食品工業(株)製)を配合し、混合溶解後、重曹で溶液のpHを7.4に調整後、140℃、30秒間の条件でUHT殺菌を行い容器に充填し、冷却して茶飲料を得た。
 得られた茶飲料について、濁度、粘度、沈殿率、風味について評価し、結果を表3に示した。なお、濁度については機器の測定限界値が4.0のため、測定値が4.0以上の場合は「4.0以上」と表記した。
(表3)
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
 実施例1、2のウーロン茶飲料の濁度は1.0以下であり、風味も良好であった。一方、比較例1のウーロン茶飲料は濁度が4.0以上であり濁っており、また、茶飲料の本来の自然な風味が阻害され、不良であった。また、比較例2のウーロン茶飲料は、茶飲料の本来の自然な風味が阻害され、不良であり、濁度も高かった。
(実施例3~8)各種茶飲料の検討
 茶エキスとして、表4に記載のルイボス茶エキス(ルイボス茶エキスT-75、佐藤食品工業製)、ほうじ茶エキス(ほうじ茶エキスH0102、佐藤食品工業製)、紅茶エキス(紅茶エキスB0101、佐藤食品工業製)を用いた以外は実施例1と同様にして茶飲料を得た。得られた茶飲料について実施例1と同様に評価した。配合、評価結果を表4に示した。
(表4)
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000004
 実施例3~8の茶飲料は濁度が1.0以下であり、風味も良好だった。
 以上の結果から、A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上、B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下、C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa、の要件を満たす植物性蛋白質素材を茶飲料に添加することで、濁度が低く透明感があり、茶飲料の本来の自然な風味が阻害されない良好な風味の茶飲料を製造できることが確認された。

Claims (9)

  1. 以下のA~Cを満たす植物性蛋白質素材を含有し、吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下である茶飲料。
    A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
  2. 植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、請求項1記載の茶飲料。
    A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
  3. 植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、請求項1記載の茶飲料。
    A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が0.9以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
  4. 茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、請求項1記載の茶飲料。
  5. 茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、請求項2記載の茶飲料。
  6. 茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%である、請求項3記載の茶飲料。
  7. 以下のA~Cを満たす植物性蛋白質素材を茶飲料に対して、茶飲料中の蛋白質含量が0.05~5重量%となるように添加することを特徴とする、吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下である茶飲料の製造方法。
    A:蛋白質含量が固形分換算で60重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
  8. 植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、請求項7記載の茶飲料の製造方法。
    A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が1.0以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
  9. 植物性蛋白質素材が以下のA~Cを満たす、請求項7記載の茶飲料の製造方法。
    A:蛋白質含量が固形分換算で70重量%以上。
    B:pH7.4の5重量%水溶液を吸光光度計でOD610nmで測定したときの濁度が0.9以下。
    C:ゲルろ過による分子量分布測定において、重量平均分子量が3kDa~300kDa。
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