WO2023152964A1

WO2023152964A1 - ワイピング装置及び圧延設備

Info

Publication number: WO2023152964A1
Application number: PCT/JP2022/005654
Authority: WO
Inventors: 陽一松井; 優太小田原
Original assignee: ＰｒｉｍｅｔａｌｓＴｅｃｈｎｏｌｏｇｉｅｓＪａｐａｎ株式会社
Priority date: 2022-02-14
Filing date: 2022-02-14
Publication date: 2023-08-17

Abstract

ワイピング装置は、搬送される金属の帯板の表面から液体を除去するためのワイピング装置であって、前記帯板の圧延面に接触可能に設けられるワイピング部を備え、前記ワイピング部は、前記圧延面にそれぞれ接触可能に設けられるとともに、前記ワイピング部の延在方向に沿ってそれぞれ延在する複数の分割部材を含み、前記複数の分割部材は、前記ワイピング部の前記延在方向に沿って配列される。

Description

ワイピング装置及び圧延設備

　本開示は、ワイピング装置及び圧延設備に関する。

　金属の帯板を圧延するための圧延設備にでは、圧延ロールに液体のクーラントを供給しながら圧延が行われる。圧延された帯板の表面にクーラントが残留すると品質上の問題となり得る。そこで、帯板の表面からクーラント等の液体を除去するためのワイピング装置が提案されている。

　特許文献１には、金属の帯板を圧延するための圧延ロールよりも下流側において、帯板の搬送方向に直交する方向に延びるとともに帯板の表面に接触するように設けられる静止型（接触式）のワイパーを含むワイピング装置が記載されている。

特開２０００－２１０７１０号公報

　ところで、例えば特許文献１に記載されるような長尺の一本構造（単一の部材からなる構造）のワイパーを含むワイピング装置の場合、ワイパーに部分的な欠損が生じた場合であってもワイパー全体を交換する必要がある。このため、メンテナンスコストが増大しやすい。

　上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、メンテナンスにかかるコストを低減可能なワイピング装置及び圧延設備を提供することを目的とする。

　本発明の少なくとも一実施形態に係るワイピング装置は、
　搬送される金属の帯板の表面から液体を除去するためのワイピング装置であって、
　前記帯板の圧延面に接触可能に設けられるワイピング部を備え、
　前記ワイピング部は、前記圧延面にそれぞれ接触可能に設けられるとともに、前記ワイピング部の延在方向に沿ってそれぞれ延在する複数の分割部材を含み、
　前記複数の分割部材は、前記ワイピング部の前記延在方向に沿って配列される。

　また、本発明の少なくとも一実施形態に係る圧延設備は、
　金属の帯板を圧延するための圧延ロールと、
　前記帯板の搬送方向にて前記圧延ロールの下流側に設けられる上述のワイピング装置と、
を備える。

　本発明の少なくとも一実施形態によれば、メンテナンスにかかるコストを低減可能なワイピング装置及び圧延設備が提供される。

一実施形態に係る圧延設備の概略図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の、帯板の搬送方向に沿った概略的な断面図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。一実施形態に係るワイピング装置の、帯板の搬送方向に沿った概略的な断面図である。図９のＡ－Ａ断面を示す図である。一実施形態に係るワイピング装置の概略的な平面図である。

　以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。

　図１は、幾つかの実施形態に係るワイピング装置を備えた圧延設備の概略図である。図１に示すように、一実施形態に係る圧延設備１は、金属（鋼等）の帯板Ｓを圧延するための圧延ロール２を含む圧延機４と、帯板Ｓの搬送方向にて圧延ロール２の下流側に設けられるワイピング装置１０と、を備える。図１に示すように、圧延設備１は、圧延ロール２で圧延された帯板Ｓを巻き取るための巻取り装置８を備えていてもよく、圧延ロール２と巻取り装置８の間に設けられ、帯板Ｓを圧延ロール２に案内するためのガイドロール６を備えていてもよい。ワイピング装置１０は、帯板Ｓの搬送方向にて圧延ロール２と巻取り装置８との間に設けられていてもよい。

　圧延機４においては、圧延ロール２に液体のクーラントを供給しながら圧延が行われる。このため、圧延ロール２を通過した帯板Ｓの表面にはクーラントが付着している。ワイピング装置１０は、帯板Ｓの表面からクーラント等の液体をワイピングすることで除去するためのワイピング装置である。

　図２及び図４～図８は、一実施形態に係るワイピング装置１０の概略的な平面図である。図３及び図９は、一実施形態に係るワイピング装置１０の、帯板Ｓの搬送方向に沿った概略的な断面図である。

　図１、図３及び図９に示すように、ワイピング装置１０は、帯板Ｓの圧延面に接触可能に設けられるワイピング部１２を備える。ワイピング部１２は、帯板Ｓの搬送方向に直交する方向（又は帯板Ｓの板幅方向）に沿って延びるように設けられる。なお、帯板Ｓの圧延面とは、帯板Ｓの表面のうち、圧延ロール２で圧延される面又は圧延ロール２で圧延された面（圧延ロール２の外周面と接する／接した面）を意味する。

　図２及び図４～図８に示すように、ワイピング部１２は、ワイピング部１２の延在方向（図中の直線Ｌの方向）に沿って配列される複数の分割部材１４を含む。複数の分割部材１４の各々は、帯板Ｓの圧延面に接触可能に設けられるとともに、ワイピング部１２の延在方向（直線Ｌの方向）に沿って延びるように設けられる。

　図２，図３及び図９に示すように、複数の分割部材１４は、単一の保持部４０に保持されていてもよい。なお、図２では保持部４０を破線で示し、図４～８では保持部４０の図示は省略している。図３及び図９に示す例示的な実施形態では、保持部４０は、ワイピング部１２の延在方向（保持部４０の長手方向）に沿って延びるとともに、帯板Ｓに向かって開口する溝４２を有し、該溝４２に複数の分割部材１４の各々の一部が挿入される。保持部４０には、ワイピング部１２の延在方向（保持部４０の長手方向）に交差する方向に延びるとともに、溝４２に開口する複数のねじ孔４４が設けられる。なお、複数の分割部材１４の各々に対応して各１以上のねじ孔４４が設けられる。複数の分割部材１４の各々は、複数のねじ孔４４にそれぞれ螺合される複数のボルト５２によって、保持部４０の溝４２の内壁面に向かって押し付けられることによって、保持部４０に取り付けられる。

　上述のように、ワイピング時に帯板Ｓの圧延面に接触するワイピング部１２が複数の分割部材１４を含むことにより、いずれかの分割部材１４に欠損等が生じた場合には、ワイピング部１２を部分的に交換すること（欠損等が生じた分割部材１４のみを交換すること）が可能である。よって、ワイピング装置１０のメンテナンスに係るコストを低減することができる。

　図２及び図４～図８に示すように、ワイピング部１２の延在方向にて隣り合う一対の分割部材１４は、該延在方向における分割部材１４の端面同士が対向するように配置されていてもよい。この場合、隣り合う一対の分割部材１４の一方の端部と他方の端部とが帯板Ｓの搬送方向から視て重なるように配置される場合に比べて、帯板Ｓの搬送方向におけるワイピング部１２のサイズを小さくすることができる。このため、コンパクトなワイピング装置１０を得ることができる。

　あるいは、特に図示しないが、帯板Ｓの搬送方向から視たとき、ワイピング部１２の延在方向にて隣り合う一対の分割部材１４の一方の端部と他方の端部とが重なるように配置されていてもよい。すなわち、隣り合う分割部材１４が帯板Ｓの搬送方向においてずれて配置されていてもよい。

　幾つかの実施形態では、例えば図４～図８に示すように、複数の分割部材１４は、ワイピング部１２の延在方向（直線Ｌの方向）における第１端面２２を有する第１部材２０と、第１部材２０の第１端面２２に対向する第２端面３２を有し、ワイピング部１２の延在方向において第１部材２０に隣接して設けられる第２部材３０と、を含む。第１端面２２及び第２端面３２の各々は、平面視において帯板Ｓの搬送方向に交差する第１方向に沿って延びる第１面２２ａ，３２ａを含む。すなわち、第１端面２２に含まれる第１面２２ａ、及び、第２端面３２に含まれる第１面３２ａは、平面視において同一方向（第１方向）に沿って延在している。

　なお、ワイピング部１２を構成する複数の分割部材１４の個数は限定されず、２以上の任意の個数であってもよい。また、例えば図４～図８に示すように、ワイピング部１２を構成する複数の分割部材１４は、第１端面２２及び第２端面３２の両方を有する分割部材１４（即ち、第１部材２０であり、かつ、第２部材３０である分割部材１４）を含んでもよい。このような分割部材１４の第１端面２２は、ワイピング部１２の延在方向にて該分割部材１４と隣り合う他の第２部材３０（分割部材１４）の第２端面３２に対向するとともに、該分割部材１４の第２端面３２は、ワイピング部１２の延在方向にて該分割部材１４と隣り合う他の第１部材２０（分割部材１４）の第１端面２２に対向するようになっている。

　ワイピング部１２が複数の分割部材１４を含む構成において、例えば隣り合う一対の分割部材１４の対向する端面が帯板Ｓの搬送方向に沿って延びる場合、隣り合う分割部材１４同士の間に隙間が生じると、該隙間を介してクーラントが搬送方向下流側に漏れてしまう（帯板Ｓの表面に残ってしまう）ことが考えられる。このようにして帯板Ｓの表面に液体が残ってしまうと、製品品質上の問題となることがある。
　上述の実施形態では、ワイピング部１２を構成する複数の分割部材１４のうち互いに隣り合う一対の分割部材１４，１４（第１部材２０及び第２部材３０）の対向する端面（第１端面２２及び第２端面３２）が、帯板Ｓの搬送方向に交差する方向（第１方向）に沿って延びる面（第１面２２ａ，３２ａ）を有する。したがって、これらの端面同士の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した帯板の搬送方向下流側への液体（クーラント等）の流出が、帯板Ｓの搬送方向に交差する方向に延びる第１面２２ａ，３２ａによって阻害される。このため、上述の隙間を介した帯板の搬送方向下流側への液体の漏れが生じにくい。よって、帯板Ｓの製品品質の低下を効果的に抑制することができる。

　図４～図８に示すように、第１端面２２の第１面２２ａ及び第２端面３２の第１面３２ａは、平面視において帯板Ｓの搬送方向に対して傾斜する第１方向に沿って延びていてもよい。

　また、第１端面２２の第１面２２ａ及び第２端面３２の第１面３２ａは、例えば図２～図８に示すように、平面視において直線状に延びる平坦面であってもよく、あるいは、平面視において湾曲する曲面であってもよい。

　幾つかの実施形態では、例えば図６又は図７に示すように、第１端面２２及び第２端面３２の各々は、平面視において上述の第１方向（第１面２２ａ，３２ａの延在方向）と交差する第２方向に沿って延びる第２面２２ｂ，３２ｂを含む。すなわち、第１端面２２に含まれる第２面２２ｂ、及び、第２端面３２に含まれる第２面３２ｂは、平面視において同一方向（第２方向）に沿って延在している。図６又は図７に示すように、第１端面２２の第１面２２ａの一端と第２面２２ｂの一端とが接続されていてもよく、あるいは、第２端面３２の第１面３２ａの一端と第２面３２ｂの一端とが接続されていてもよい。

　なお、図７に示す例示的な実施形態では、第１端面２２及び第２端面３２の各々は、平面視において上述の第２方向（第２面２２ｂ，３２ｂの延在方向）と交差する方向に沿って延びる第３面２２ｃ，３２ｃを含む。すなわち、第１端面２２に含まれる第３面２２ｃ、及び、第２端面３２に含まれる第３面３２ｃは、平面視において同一方向に沿って延在している。図７に示すように、第１端面２２の第２面２２ｂの一端と第３面２２ｃの一端とが接続されていてもよく、あるいは、第２端面３２の第２面３２ｂの一端と第３面３２ｃの一端とが接続されていてもよい。

　上述の実施形態によれば、ワイピング部１２を構成する複数の分割部材１４のうち互いに隣り合う一対の分割部材１４，１４（第１部材２０及び第２部材３０）の対向する端面（第１端面２２及び第２端面３２）が、上述の第１面２２ａ，３２ａ、及び、該第１面２２ａ，３２ａが延在する第１方向に交差する第２方向に沿って延びる第２面２２ｂ，３２ｂを含む。したがって、第１面２２ａ，３２ａ同士の間の隙間に液体が入り込んだとしても、該隙間の液体は第２面２２ｂ，３２ｂ同士の間の隙間に移動し難い。よって、分割部材１４，１４の端面同士（第１端面２２と第２端面３２）の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

　第１端面２２の第１面２２ａ及び第２面２２ｂ（及び第３面２２ｃ）、又は、第２端面３２の第１面３２ａ及び第２面３２ｂ（及び第３面３２ｃ）は、平面視においてジグザグ形状を形成してもよく（図６及び図７参照）、あるいは、滑らかな曲面を形成してもよい。

　幾つかの実施形態では、第１部材２０の第１端面２２の全部と、第２部材３０の第２端面３２の全部とが接触可能であってもよい。すなわち、第１部材２０の第１端面２２と第２部材３０の第２端面３２とが、互いに対応する形状を有していてもよい。

　上述の実施形態よれば、互いに隣り合う一対の分割部材１４，１４（第１部材２０及び第２部材３０）の対向する端面（第１端面２２及び第２端面３２）の全体が接触可能である。よって、分割部材の端面同士（第１端面２２と第２端面３２）の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば図９に示すように、複数の分割部材１４を保持するための保持部４０と、複数の分割部材１４の少なくとも１つとの間に、該分割部材１４に対して帯板Ｓに向かう付勢力を与えることが可能な弾性部材６０が設けられる。一実施形態では、保持部４０と、複数の分割部材１４との間に、該複数の分割部材１４の各々に対して帯板Ｓに向かう付勢力を与えることが可能な１つ又は複数の弾性部材６０が設けられる。

　図９に示す例示的な実施形態では、弾性部材６０は、保持部４０の溝４２（分割部材１４の一部が挿入される溝）の内部に設けられている。弾性部材６０は、上下方向において保持部４０と分割部材１４の間に設けられていてもよい。弾性部材６０は、ばね又はゴムを含んでもよい。

　圧延設備等において、帯板Ｓの厚さは板幅方向において完全に一定ではなく、ある程度の分布が生じる場合がある。この点、上述の実施形態によれば、板幅方向に配列される複数の分割部材１４の少なくとも１つは、該分割部材１４と保持部４０の間に設けられる弾性部材６０によって帯板Ｓに向かって付勢される。このため、板幅方向において帯板Ｓの厚さに分布がある場合であっても、分割部材１４は、弾性部材６０によって付勢されることによって、高さ方向における位置が調整され、板幅方向の各位置における帯板Ｓの表面に押し付けられる。よって、板幅方向におけるワイピングムラを効果的に抑制することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば図９に示すように、ワイピング装置１０は、第１部材２０（分割部材１４）に対し、平面視においてワイピング部１２の延在方向に直交する方向に沿って保持部４０に向かう押し付け力を第１部材２０に与えるための押し付け部５０を備える。図９に示すように、押し付け部５０は、保持部４０設けられたねじ孔４４に螺合されるボルト５２と、該ボルト５２の先端部に設けられ、第１部材２０（分割部材１４）を押圧するための押圧部材５４と、を含んでもよい。なお、ボルト５２は、押圧部材５４に対して回転可能に押圧部材５４に取り付けられていてもよい。

　図１０は、図９のＡ－Ａ断面を示す図である。幾つかの実施形態では、例えば図９及び図１０に示すように、第１部材２０（分割部材１４）は、平面視においてワイピング部１２の延在方向に対して傾斜する傾斜面１６を有し、押し付け部５０は、該傾斜面１６を押圧するように構成される。

　図９及び図１０に示す例示的な実施形態では、押し付け部５０の押圧部材５４は傾斜面１６に沿った面５５を有し、押し付け部５０は、該面５５を介して第１部材２０を押圧するように構成されている。

　図９及び図１０に示す例示的な実施形態では、第１部材２０（分割部材１４）は、平面視においてワイピング部１２の延在方向に延びる側面１８と、側面１８から凹むように設けられる凹部２６と、を含む。また、該凹部２６の底面２８が上述の傾斜面１６を含む。

　ここで図１１は、一実施形態に係るワイピング装置１０の概略的な平面図であり、一実施形態に係るワイピング装置１０の作用を説明するための図である。上述の実施形態では、第１部材２０は、平面視においてワイピング部１２の延在方向に対して傾斜する傾斜面１６を有し、押し付け部５０によってこの傾斜面１６が押圧される。このようにして傾斜面１６に加わる押し付け力（押圧力）は、第１部材２０を第２部材３０に向かって押し付けるように作用する成分Ｆ_Ａを有する（図１０及び図１１参照）。よって、分割部材１４の端面同士（第１端面２２と第２端面３２）の間の隙間が狭くなるため、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば図１１に示すように、第１端面２２を有する分割部材１４（第１部材２０）の各々は、同一方向に延在する傾斜面１６をそれぞれ有し、押し付け部５０は、第１部材２０の各々に対して押し付け力を与えるように構成されてもよい。

　上述の実施形態によれば、複数の分割部材１４のうち、第１端面２２（第１方向に沿って延びる第１面２２ａを有する端面）を有する分割部材１４（第１部材２０）にそれぞれ設けられる傾斜面１６が、ワイピング部１２の延在方向に対して傾斜する同一方向に延在する。よって、押し付け部５０によって各々の傾斜面１６に加わる押圧力によって、各第１部材２０が隣の第２部材３０に向かって同一方向に押し付けられる。よって、分割部材１４の端面同士（第１端面２２と第２端面３２）の間の各隙間が狭くなりやすく、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば図９に示すように、第１部材２０（分割部材１４）の側面１８から凹むように設けられる凹部２６は、上下方向に延びていてもよい。そして、押し付け部５０は、上下方向に延びる凹部２６の底面２８（傾斜面１６）を押圧するようになっていてもよい。ここで、上下方向における凹部２６の長さは、押し付け部５０のうち傾斜面１６と接する部分（図示する実施形態では押圧部材５４の面５５）の上下方向における長さよりも長い。また、ワイピング部１２の延在方向における凹部２６の長さは、押し付け部５０のうち傾斜面１６と接する部分（図示する実施形態では押圧部材５４の面５５）の該延在方向における長さよりも若干長い。

　上述の実施形態では、分割部材１４の側面１８に設けられる凹部２６が上下方向に沿って延びるので、該凹部２６によって、分割部材１４に対する押し付け部５０の上下方向の動きを案内することができる。よって、保持部４０と分割部材１４との間に上述した弾性部材６０を設けることで、押し付け部５０による押圧力を分割部材１４に作用させながら、弾性部材６０の付勢力によって、帯板Ｓの厚さ等に応じて分割部材１４が円滑に上下動することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば図５～図８に示すように、ワイピング部１２は、帯板Ｓの板幅方向に対して傾斜した方向に延在する。あるいは、ワイピング部１２は、帯板Ｓの搬送方向に直交する方向に対して傾斜した方向に延在する。

　上述の実施形態によれば、ワイピング部１２は板幅方向に対して傾斜した方向に延びるので、ワイピング部１２によって帯板Ｓの表面から除去された液体及び該液体に含まれる異物が、ワイピング部１２の上流側に滞留しにくく、傾斜するワイピング部１２に沿って帯板Ｓの側方に向けて排出されやすい。したがって、液体に含まれる異物（クーラントに混入した固形物（圧延ロールや帯板の摩耗により生じた金属粉等や、ワイピング部１２の摩耗カス等）の排出を促進することができる。よって、ワイピング部１２の上流側に滞留する異物に起因して帯板Ｓの表面に傷ができるのを効果的に抑制することができる。

　幾つかの実施形態では、例えば、図８に示すように、ワイピング部１２は、第１部分１２Ａと、第１部分１２Ａに隣接するとともに、帯板Ｓの搬送方向において第１部分１２Ａの下流側に位置する第２部分１２Ｂと、を含む。なお、第１部分１２Ａ及び第２部分１２Ｂは、それぞれ、帯板Ｓの板幅方向に対して傾斜した方向に延在する。そして、板幅方向（又は帯板Ｓの搬送方向に直交する方向）に対する第２部分１２Ｂの傾斜角度θ２は、板幅方向（又は帯板Ｓの搬送方向に直交する方向）に対する第１部分１２Ａの傾斜角度θ１よりも大きい。なお、図８における直線Ｌ０は、帯板Ｓの板幅方向（又は帯板Ｓの搬送方向に直交する方向）を示す直線であり、直線Ｌ１は、第１部分１２Ａの延在方向を示す直線であり、直線Ｌ２は、第２部分１２Ｂの延在方向を示す直線である。

　板幅方向に対して傾斜する方向に延びるワイピング部１２の場合、ワイピング部１２によって掃かれた液体は、ワイピング部１２に沿って流れてワイピング部１２のうち下流側の部位の近傍に集まる。このため、この位置において液体の高さが高くなり、圧延設備の高速運転をする場合等において液体が溢れてしまい、ワイピング部１２の下流側に流出するおそれがある。この点、上述の実施形態によれば、ワイピング部１２は、板幅方向に対して傾斜する第１部分１２Ａと、板幅方向に対する傾斜角度が第１部分１２Ａよりも大きい第２部分１２Ｂと、を有するので、第１部分１２Ａの下流側端部の近傍に集まった液体は、さらに下流側に位置する第２部分１２Ｂに向けて円滑に排出されやすい。よって、ワイピング部１２において液体が溢れて下流側に流出するのを抑制することができる。このため、帯板Ｓの製品品質の低下を効果的に抑制することができる。

　上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。

（１）本発明の少なくとも一実施形態に係るワイピング装置（１０）は、
　搬送される金属の帯板（Ｓ）の表面から液体を除去するためのワイピング装置であって、
　前記帯板の圧延面に接触可能に設けられるワイピング部（１２）を備え、
　前記ワイピング部は、前記圧延面にそれぞれ接触可能に設けられるとともに、前記ワイピング部の延在方向に沿ってそれぞれ延在する複数の分割部材（１４）を含み、
　前記複数の分割部材は、前記ワイピング部の前記延在方向に沿って配列される。

　上記（１）の構成によれば、ワイピング時に帯板の圧延面に接触するワイピング部が複数の分割部材を含むので、いずれかの分割部材に欠損等が生じた場合には、ワイピング部の部分的な交換（欠損等が生じた分割部材のみを交換）が可能である。よって、ワイピング装置のメンテナンスに係るコストを低減することができる。

（２）幾つかの実施形態では、上記（１）の構成において、
　前記複数の分割部材は、
　　前記延在方向における第１端面（２２）を有する第１部材（２０）と、
　　前記第１部材の前記第１端面に対向する第２端面（３２）を有し、前記延在方向において前記第１部材に隣接して設けられる第２部材（３０）と、
を含み、
　前記第１端面及び前記第２端面の各々は、平面視において前記帯板の搬送方向に交差する第１方向に沿って延びる第１面（２２ａ，３２ａ）を含む。

　上記（２）の構成によれば、ワイピング部を構成する複数の分割部材のうち互いに隣り合う一対の分割部材の対向する端面（第１端面及び第２端面）が、帯板の搬送方向に交差する方向（第１方向）に沿って延びる面（第１面）を有する。したがって、これらの端面同士の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した帯板の搬送方向下流側への液体（クーラント等）の漏れが生じにくい。よって、帯板の製品品質の低下を効果的に抑制することができる。

（３）幾つかの実施形態では、上記（２）の構成において、
　前記第１端面及び前記第２端面の各々は、平面視において前記第１方向と交差する第２方向に沿って延びる第２面（２２ｂ，３２ｂ）を含む。

　上記（３）の構成によれば、ワイピング部を構成する複数の分割部材のうち互いに隣り合う一対の分割部材の対向する端面（第１端面及び第２端面）が、上述の第１面、及び、該第１面が延在する第１方向に交差する第２方向に沿って延びる第２面を含む。したがって、第１面同士の間の隙間に液体が入り込んだとしても、該隙間の液体は第２面同士の間の隙間に移動し難い。よって、分割部材の端面同士の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

（４）幾つかの実施形態では、上記（２）又は（３）の構成において、
　前記第１端面の全部と前記第２端面の全部とが接触可能である。

　上記（４）の構成によれば、互いに隣り合う一対の分割部材の対向する端面（第１端面及び第２端面）の全体が接触可能である。よって、分割部材の端面同士の間に隙間が生じた場合であっても、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

（５）幾つかの実施形態では、上記（２）乃至（４）の何れかの構成において、
　前記ワイピング装置は、
　前記複数の分割部材を保持するための保持部（４０）と、
　前記第１部材に対し、平面視において前記延在方向に直交する方向に沿って前記保持部に向かう押し付け力を前記第１部材に与えるための押し付け部（５０）と、
を備え、
　前記第１部材は、平面視において前記延在方向に対して傾斜する傾斜面（１６）を有し、
　前記押し付け部は、前記傾斜面を押圧するように構成される。

　上記（５）の構成によれば、第１部材は、平面視においてワイピング部の延在方向に対して傾斜する傾斜面を有し、押し付け部によってこの傾斜面が押圧される。このようにして傾斜面に加わる押圧力は、第１部材を第２部材に向かって押し付けるように作用する成分を有する。よって、分割部材の端面同士（第１端面と第２端面）の間の隙間が狭くなるため、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

（６）幾つかの実施形態では、上記（５）の構成において、
　前記押し付け部は、
　　前記保持部に設けられたねじ孔に螺合されるボルト（５２）と、
　　前記ボルトの先端部に設けられ、前記傾斜面に沿った面を有する押圧部材（５４）と、
を含む。

　上記（６）の構成によれば、保持部に設けられるねじ孔に螺合されるボルトと、該ボルトの先端部に設けられる押圧部材と、を含む簡素な構成で押し付け部を形成することができる。

（７）幾つかの実施形態では、上記（５）又は（６）の構成において、
　前記複数の分割部材のうち、前記第１端面を有する分割部材の各々は、同一方向に延在する前記傾斜面を有し、
　前記押し付け部は、前記第１部材の各々に対して前記押し付け力を与えるように構成される。

　上記（７）の構成によれば、複数の分割部材のうち、第１端面（第１方向に沿って延びる第１面を有する端面）を有する分割部材（第１部材）にそれぞれ設けられる傾斜面が、ワイピング部の延在方向に対して傾斜する同一方向に延在する。よって、押し付け部によって各々の傾斜面に加わる押圧力によって、各第１部材が隣の第２部材に向かって同一方向に押し付けられる。よって、分割部材の端面同士（第１端面と第２端面）の間の各隙間が狭くなりやすく、該隙間を介した液体の漏れをより効果的に抑制することができる。

（８）幾つかの実施形態では、上記（１）乃至（７）の何れか一項の構成において、
　前記ワイピング部は、前記帯板の板幅方向に対して傾斜した方向に延在する。

　上記（８）の構成によれば、ワイピング部は板幅方向に対して傾斜した方向に延びるので、ワイピング部によって帯板の表面から除去された液体及び該液体に含まれる異物が、ワイピング部の上流側に滞留しにくく、傾斜するワイピング部に沿って帯板の側方に向けて排出されやすい。したがって、上記（８）の構成によれば、液体に含まれる異物（クーラントに混入した固形物（圧延ロールや帯板の摩耗により生じた金属粉等や、ワイピング部の摩耗カス等））の排出を促進することができる。よって、ワイピング部の上流側に滞留する異物に起因して帯板表面に傷ができるのを効果的に抑制することができる。

（９）幾つかの実施形態では、上記（８）の構成において、
　前記ワイピング部は、
　　第１部分（１２Ａ）と、
　　前記第１部分に隣接するとともに、前記帯板の搬送方向において前記第１部分の下流側に位置する第２部分（１２Ｂ）と、を含み、
　前記板幅方向に対する前記第２部分の傾斜角度（θ２）は、前記板幅方向に対する前記第１部分の傾斜角度（θ１）よりも大きい。

　上記（８）のように板幅方向に対して傾斜する方向に延びるワイピング部の場合、ワイピング部によって掃かれた液体は、ワイピング部に沿って流れてワイピング部のうち下流側の部位の近傍に集まる。このため、この位置において液体の高さが高くなり、圧延設備の高速運転をする場合等において液体が溢れてしまい、ワイピング部の下流側に流出するおそれがある。この点、上記（９）の構成によれば、ワイピング部は、板幅方向に対して傾斜する第１部分と、板幅方向に対する傾斜角度が第１部分よりも大きい第２部分と、を有するので、第１部分の下流側端部の近傍に集まった液体は、さらに下流側に位置する第２部分に向けて円滑に排出されやすい。よって、ワイピング部において液体が溢れて下流側に流出するのを抑制することができる。このため、帯板の製品品質の低下を効果的に抑制することができる。

（１０）幾つかの実施形態では、上記（１）乃至（９）の何れかの構成において、
　前記ワイピング装置は、
　前記複数の分割部材を保持するための保持部（４０）と、
　前記複数の分割部材の少なくとも１つと前記保持部との間に設けられ、前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに対して前記帯板に向かう付勢力を与えることが可能な弾性部材（６０）と、
を備える。

　圧延設備等において、帯板の厚さは板幅方向において完全に一定ではなく、ある程度の分布が生じる場合がある。上記（１０）の構成によれば、板幅方向に配列される複数の分割部材の少なくとも１つは、該分割部材と保持部との間に設けられる弾性部材によって帯板に向かって付勢される。このため、帯板の厚さに分布がある場合であっても、分割部材は、弾性部材によって付勢されることによって、高さ方向における位置が調整され、板幅方向の各位置における帯板の表面に押し付けられる。よって、板幅方向におけるワイピングムラを効果的に抑制することができる。

（１１）幾つかの実施形態では、上記（１０）の構成において、
　前記ワイピング装置は、
　前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに対し、平面視において前記延在方向に直交する方向に沿って前記保持部に向かう押し付け力を前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに与えるための押し付け部を備え、
　前記複数の分割部材の前記少なくとも１つは、
　　平面視において前記延在方向に沿って延びる側面（１８）と、
　　前記側面から凹むように設けられ、上下方向に沿って延びる凹部（２６）と、を有し、
　前記押し付け部は、前記凹部の底面（２８）を押圧するように構成される。

　上記（１１）の構成によれば、分割部材の側面に設けられる凹部の底面が平面視においてワイピング部の延在方向に対して傾斜する傾斜面を有し、押し付け部によってこの底面が押圧されるので、分割部材の端面同士の間の隙間が狭くなるため、該隙間を介した液体の漏れを効果的に抑制することができる。また、分割部材の側面に設けられる凹部が上下方向に沿って延びるので、該凹部によって、分割部材に対する押し付け部の上下方向の動きを案内することができる。よって、押し付け部による押圧力を分割部材に作用させながら、帯板の厚さに応じて分割部材が円滑に上下動することができる。

（１２）本発明の少なくとも一実施形態に係る圧延設備（１）は、
　金属の帯板を圧延するための圧延ロール（２）と、
　前記帯板の搬送方向にて前記圧延ロールの下流側に設けられる上記（１）乃至（１１）の何れか一項に記載のワイピング装置（１０）と、
を備える。

　上記（１２）の構成によれば、ワイピング時に帯板の圧延面に接触するワイピング部が複数の分割部材を含むので、いずれかの分割部材に欠損等が生じた場合には、ワイピング部の部分的な交換（欠損等が生じた分割部材のみを交換）が可能である。よって、ワイピング装置のメンテナンスに係るコストを低減することができる。

　以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。

　本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
　例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
　また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
　また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。

１　　　圧延設備
２　　　圧延ロール
４　　　圧延機
６　　　ガイドロール
８　　　巻取り装置
１０　　ワイピング装置
１２　　ワイピング部
１２Ａ　第１部分
１２Ｂ　第２部分
１４　　分割部材
１６　　傾斜面
１８　　側面
２０　　第１部材
２２　　第１端面
２２ａ　第１面
２２ｂ　第２面
２２ｃ　第３面
２６　　凹部
２８　　底面
３０　　第２部材
３２　　第２端面
３２ａ　第１面
３２ｂ　第２面
３２ｃ　第３面
４０　　保持部
４２　　溝
４４　　ねじ孔
５０　　押し付け部
５２　　ボルト
５４　　押圧部材
５５　　面
６０　　弾性部材
Ｓ　　　帯板

Claims

　搬送される金属の帯板の表面から液体を除去するためのワイピング装置であって、
　前記帯板の圧延面に接触可能に設けられるワイピング部を備え、
　前記ワイピング部は、前記圧延面にそれぞれ接触可能に設けられるとともに、前記ワイピング部の延在方向に沿ってそれぞれ延在する複数の分割部材を含み、
　前記複数の分割部材は、前記ワイピング部の前記延在方向に沿って配列される
ワイピング装置。
　前記複数の分割部材は、
　　前記延在方向における第１端面を有する第１部材と、
　　前記第１部材の前記第１端面に対向する第２端面を有し、前記延在方向において前記第１部材に隣接して設けられる第２部材と、
を含み、
　前記第１端面及び前記第２端面の各々は、平面視において前記帯板の搬送方向に交差する第１方向に沿って延びる第１面を含む
請求項１に記載のワイピング装置。
　前記第１端面及び前記第２端面の各々は、平面視において前記第１方向と交差する第２方向に沿って延びる第２面を含む
請求項２に記載のワイピング装置。
　前記第１端面の全部と前記第２端面の全部とが接触可能である
請求項２又は３に記載のワイピング装置。
　前記複数の分割部材を保持するための保持部と、
　前記第１部材に対し、平面視において前記延在方向に直交する方向に沿って前記保持部に向かう押し付け力を前記第１部材に与えるための押し付け部と、
を備え、
　前記第１部材は、平面視において前記延在方向に対して傾斜する傾斜面を有し、
　前記押し付け部は、前記傾斜面を押圧するように構成された
請求項２乃至４の何れか一項に記載のワイピング装置。
　前記押し付け部は、
　　前記保持部に設けられたねじ孔に螺合されるボルトと、
　　前記ボルトの先端部に設けられ、前記傾斜面に沿った面を有する押圧部材と、
を含む
請求項５に記載のワイピング装置。
　前記複数の分割部材のうち、前記第１端面を有する分割部材の各々は、同一方向に延在する前記傾斜面を有し、
　前記押し付け部は、前記第１部材の各々に対して前記押し付け力を与えるように構成された
請求項５又は６に記載のワイピング装置。
　前記ワイピング部は、前記帯板の板幅方向に対して傾斜した方向に延在する
請求項１乃至７の何れか一項に記載のワイピング装置。
　前記ワイピング部は、
　　第１部分と、
　　前記第１部分に隣接するとともに、前記帯板の搬送方向において前記第１部分の下流側に位置する第２部分と、を含み、
　前記板幅方向に対する前記第２部分の傾斜角度は、前記板幅方向に対する前記第１部分の傾斜角度よりも大きい
請求項８に記載のワイピング装置。
　前記複数の分割部材を保持するための保持部と、
　前記複数の分割部材の少なくとも１つと前記保持部との間に設けられ、前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに対して前記帯板に向かう付勢力を与えることが可能な弾性部材と、
を備える
請求項１乃至９の何れか一項に記載のワイピング装置。
　前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに対し、平面視において前記延在方向に直交する方向に沿って前記保持部に向かう押し付け力を前記複数の分割部材の前記少なくとも１つに与えるための押し付け部を備え、
　前記複数の分割部材の前記少なくとも１つは、
　　平面視において前記延在方向に沿って延びる側面と、
　　前記側面から凹むように設けられ、上下方向に沿って延びる凹部と、を有し、
　前記押し付け部は、前記凹部の底面を押圧するように構成された
請求項１０に記載のワイピング装置。
　金属の帯板を圧延するための圧延ロールと、
　前記帯板の搬送方向にて前記圧延ロールの下流側に設けられる請求項１乃至１１の何れか一項に記載のワイピング装置と、
を備える圧延設備。