WO2023119654A1 - 負極、二次電池及び電池パック - Google Patents

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Abstract

実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。

Description

負極、二次電池及び電池パック
 本発明の実施形態は、負極、二次電池及び電池パックに関する。
 近年のエレクトロニクス技術分野における技術の急速な発展により、電子機器の小型軽量化が進んでいる。そのような電子機器の駆動用又はバックアップ用の電源である二次電池についても、小型且つ軽量で、しかも、高エネルギー密度のものが切望されている。また、最近では、CO2削減の要請から電気自動車用、又は、家庭での夜間電力貯蔵用など、より大容量の蓄電システムの開発が急務となっている。このような要望に応える新しい二次電池として、容積密度の高いリチウム二次電池が注目されてきている。
 リチウム二次電池の電極材料に用いられるチタン酸リチウムには、例えば、Li4Ti512(以下、LTOと記載する)の化学式で表されるスピネル型チタン酸リチウムが用いられる。
日本国特開2019-169276号公報 日本国特開2008-311067号公報 日本国特開2012-178327号公報 日本国特表2019-535110号公報
 一般的な炭素材料を負極活物質として用いたリチウム二次電池と比較して、スピネル型チタン酸リチウムを負極活物質として用いた二次電池では、充放電による体積変化が少ないため、リチウムの挿入脱離に伴う容量の低下及び負極の劣化が進行しにくい。しかしながら、スピネル型チタン酸リチウムを含む負極は、一般に使用される負極活物質と比較して自己放電が大きい。それ故、充放電サイクルを繰り返すと、正極電位が上昇して正極の劣化が進行するという問題があった。
 また、負極表面での自己放電の発生は、活物質粒子と電解液との副反応による被膜形成を伴う。充放電サイクルを繰り返すと、この被膜形成により、室温抵抗と比較して低温環境での抵抗がより上昇しやすい傾向がある。つまり、スピネル型チタン酸リチウムを含む負極は、低温環境での充放電特性が劣化しやすいという問題を有している。
 本発明は、上記事情に鑑みてなされ、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を示す二次電池を実現可能な負極、この負極を含む二次電池、及びこの二次電池を含む電池パックを提供することを目的とする。
 実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。
 他の実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダと、複数の活物質粒子の表面の他の一部を被覆するアルミニウム含有被膜とを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.01質量%~0.50質量%の範囲内にある。複数の活物質粒子の質量に対する、アルミニウム含有被膜が含むアルミニウムの質量の割合は、0.04質量%~0.30質量%の範囲内にある。
 他の実施形態によると、二次電池が提供される。二次電池は、実施形態に係る負極と、正極と、電解質とを具備する。
 他の実施形態によると、電池パックが提供される。電池パックは、実施形態に係る二次電池を備える。
実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。 図1に示す二次電池のA部を拡大した断面図。 実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図3に示す二次電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図6に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。
 以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
 負極活物質表面が露出した状態にあると、自己放電に伴う被膜形成が継続的に生じると考えられる。このため、二次電池の充放電サイクルを繰り返すこと、及び/又は、経時劣化によって被膜形成が進み、正極電位が継続的に高まる。その結果、正負極間でのSOC(State of Charge)ずれに起因した正極劣化及び酸化性ガスの発生が生じるという問題がある。
 実施形態に係る負極によると、負極活物質表面における自己放電を抑制することができるため、正極電位の上昇を抑制することができる。この結果、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を示す二次電池を実現できる。
 (第1実施形態)
 第1実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。
 実施形態に係る負極は、更に集電体を含むことができる。負極は、例えば電池用負極、二次電池用負極、又は、リチウムイオン二次電池用負極である。
 活物質含有層は、集電体の片面又は両面に形成され得るシート状の層である。活物質含有層は、例えば、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。活物質含有層は、更に導電剤を含んでもよい。
 活物質含有層の厚さは、特に限定されないが、例えば10μm~120μmの範囲内にある。特に、入出力特性及び電極作製の簡便性の観点からは、12μm~70μmが望ましい。
 複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。複数の活物質粒子に占める、スピネル構造を有するチタン酸リチウムの質量の割合は、50質量%以上であり得る。当該割合は、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、100質量%であってもよい。即ち、複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムのみからなっていてもよい。複数の活物質粒子に含まれるスピネル構造を有するチタン酸リチウムの種類は、1種類又は2種類以上であり得る。
 スピネル構造を有するチタン酸リチウムは、例えば、一般式Li4+aTi512(-1≦a≦3)で表される化合物である。一般式の添字aは、チタン酸リチウムの充電状態に応じて上記範囲内で変化し得る変数である。
 複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムとは異なる、他の活物質を更に含んでいてもよい。
 他の活物質としては、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物及び直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物が挙げられる。
 単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、例えば、一般式LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される複合酸化物、及び、一般式LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つである。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、及び、-0.3≦δ≦0.3を満たす。
 単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体的な例として、例えば、Nb2TiO7、Nb2Ti29、Nb10Ti229、Nb14TiO37及びNb24TiO62を挙げることができる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物は、Nb及び/又はTiの少なくとも一部が異種元素に置換された置換ニオブチタン複合酸化物であってもよい。置換元素の例は、Na、K、Ca、Co、Ni、Si、P、V、Cr、Mo、Ta、Zr、Mn、Fe、Mg、B、Pb及びAlなどである。置換ニオブチタン複合酸化物は、1種類の置換元素を含んでいてもよく、2種類以上の置換元素を含んでいてもよい。
 直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
 スピネル構造を有するチタン酸リチウムは、一次粒子の形態で存在していてもよく、一次粒子が凝集してなる二次粒子の形態で存在していてもよい。粒子形態で存在しているスピネル構造を有するチタン酸リチウムの表面の少なくとも一部は、後述する第1バインダで被覆されている。スピネル構造のチタン酸リチウムが二次粒子又は一次粒子であることは、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscopy)観察によって判断することができる。
 スピネル構造のチタン酸リチウムの平均一次粒子径(d50)は、例えば、0.1μm~30μmの範囲内にあり、好ましくは0.7μm~10μmの範囲内にあり得る。
 第1バインダは、複数の活物質粒子の表面を被覆しやすい傾向を有するバインダである。とりわけ、第1バインダは、スピネル構造のチタン酸リチウムからなる粒子を被覆しやすい。一例によれば、第1バインダは、水に溶解すると共に、NMPなどの有機溶媒には溶解しないバインダである。実施形態に係る負極では、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部が第1バインダにより被覆されているため、活物質粒子表面と電解質との接触を抑制することができる。これにより、自己放電に伴う活物質粒子表面での被膜形成を抑制できる。それ故、正極電位が高まるのを抑制でき、SOCずれに起因した正極劣化、及び、正極における酸素ガスの発生を抑制できる。活物質粒子表面での被膜形成を抑制できるため、低温環境における抵抗上昇も生じにくくなる。従って、本実施形態に係る負極によれば、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現可能である。
 第1バインダは、ポリビニルピロリドン(PVP)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVAC)及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。中でも、活物質表面での濡れ性が良く表面被覆性が高いこと、及び、添加量に対するセル抵抗の上昇が比較的小さいことなどの観点から、第1バインダは、ポリビニルピロリドン及びカルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
 活物質含有層において、複数の活物質粒子の質量に対する第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。活物質含有層がこのような割合で第1バインダを含む場合、複数の活物質粒子の表面は、適切な量の第1バインダで被覆されることとなる。当該割合が0.05質量%未満であると、自己放電による被膜形成を抑制する効果が乏しい。それ故、充放電サイクルを繰り返すことによる抵抗上昇を抑制するのが困難である。
 前述の通り、第1バインダは活物質粒子を被覆する傾向がある。それ故、過剰量で第1バインダが存在している場合、活物質粒子表面が過剰に被覆される可能性がある。具体的には、上記割合が0.50質量%超であると、活物質粒子表面を被覆している第1バインダ量が多すぎる傾向がある。複数の活物質粒子の表面が、第1バインダによって過剰に被覆されると、充放電サイクルの初期における抵抗が高まるだけでなく、充放電サイクルを繰り返した場合の抵抗上昇率も高まる可能性があるため好ましくない。
 複数の活物質粒子の質量に対する第1バインダの質量の割合は、好ましくは、0.10質量%~0.40質量%の範囲内にある。
 第2バインダは、第1バインダとは異なるバインダである。一例によれば、第2バインダは、NMPなどの有機溶媒に溶解すると共に、水には溶解しないバインダである。第2バインダは、分散された活物質粒子の間隙を埋め、また、集電体に対して活物質含有層を結着させるために配合される。第2バインダは、複数の活物質粒子間を点接触で結着させる傾向を有する。
 第2バインダは、第1バインダを介して複数の活物質粒子間を結着していてもよく、第1バインダを介さずに複数の活物質粒子間を結着していてもよい。即ち、第2バインダは複数の活物質粒子の表面と直接接していてもよい。
 第2バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む。中でも、添加量の増加に伴うセル抵抗の上昇を小さくする観点から、第2バインダはPVDFを含むことが好ましい。
 活物質含有層において、複数の活物質粒子の質量に対する第2バインダの質量の割合は、例えば、1.5質量%~30質量%の範囲内にあり、好ましくは1.5質量%~5.0質量%の範囲内にある。当該割合が過剰に小さいと、活物質粒子間の結着性が低下してしてAC抵抗が上昇しやすく、室温抵抗の低下が起こりやすくなるというデメリットがある。当該割合が過剰に大きいと、二次電池に対して、抵抗上昇、容量低下及び出力特性低下等の悪影響を及ぼす傾向がある。
 導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブなどの繊維状炭素、及び、黒鉛のような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。
 活物質含有層中の複数の活物質粒子、導電剤、第1バインダ及び第2バインダの配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができるが、例えば、複数の活物質粒子、導電剤、第1バインダ及び第2バインダを、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下、0.05質量%以上0.50質量%以下、及び、1.5質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。
 集電体は、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、活物質が負極活物質として用いられる場合は、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
 また、集電体は、その表面に活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
 <バインダの含有量測定>
 活物質含有層における、複数の活物質粒子の質量に対する第1バインダの質量の割合、及び、複数の活物質粒子の質量に対する第2バインダの質量の割合の測定方法を説明する。
 二次電池から活物質含有層を取り出し、十分な量のNMPに分散させてNMP分散液を得る。この分散により、第2バインダがNMP分散液に溶解する。一方、この分散液に含まれる固体成分(以下、固体成分Aと呼ぶ)、即ち、活物質粒子、導電剤及び第1バインダは固体成分Aとして分散する。この分散液について、固体成分Aと溶液とをろ過などの手法で分離して、NMP溶液を採取する。NMP溶液からNMPを蒸発、乾固させることで、第2バインダの質量を測定することができる。
 次に、上記手順で得られた固体成分Aを純水に分散して、当該分散液を加熱する。こうして、第1バインダを純水中に溶解させる。その後、この分散液に含まれる固体成分(以下、固体成分Bと呼ぶ)、即ち、活物質粒子及び導電剤を、ろ過などの手法で分離して水溶液を採取する。水溶液から純水を蒸発、乾固させることで、第1バインダの質量を測定することができる。
 更に、固体成分Bを遠心分離に供することで、活物質粒子と導電剤とを分離する。こうして、活物質粒子の質量を測定することができる。
 <走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)>
 電極の断面についてSEM-EDX(Scanning Electron Microscope - Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を実施して元素マッピングを得る方法を説明する。SEM-EDXを実施することにより、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部が第1バインダにより被覆されている状態であることを確認することができる。
 まず、二次電池を完全放電状態とする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧又は電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させることを複数回繰り返し、放電時の電流値が定格容量の1/100以下となるようにすることで、電池を完全放電状態にすることができる。放電状態でも残留したリチウムイオンが存在することがある。
 完全放電状態(State of Charge:0%)とした電極を内蔵する二次電池を、アルゴンを充填したグローブボックス中で分解する。分解した二次電池から、測定対象の電極を取り出す。この電極を適切な溶媒で洗浄する。洗浄に用いる溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネートなどを用いると良い。洗浄が不十分であると、電極中に残留した炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの影響により、粒子を観察しにくくなる場合がある。このようにして取り出した対象の電極を、イオンミリング装置にて裁断する。電極を裁断する際は、電極を厚み方向に沿って裁断する。裁断後の電極の断面を、SEM試料台に貼り付ける。このとき、電極が試料台から剥がれたり浮いたりしないように、導電性テープなどを用いて処理を施す。SEM試料台に貼り付けた電極(活物質含有層)を、SEMで観察してSEM画像を得る。SEM測定時には10,000倍の倍率で観察する。また、電極を試料室に導入する際には、不活性雰囲気を維持することが好ましい。
 更に、EDXによって、上記SEM画像に対応した元素マッピング画像を得る。上記SEM画像と、元素マッピング画像とを組み合わせて考慮することにより、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部が第1バインダにより被覆されている状態であることを確認することができる。
 負極活物質の結晶構造及び元素組成は、例えば、以下に説明する粉末X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定及び誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)発光分光法により確認することができる。
 <活物質の粉末X線回折測定>
 活物質の粉末X線回折測定は、例えば次のように行うことができる。 
 まず、対象試料を平均粒子径が5μm程度となるまで粉砕する。粉砕した試料を、ガラス試料板上に形成された深さ0.2mmのホルダー部分に充填する。このとき、試料が十分にホルダー部分に充填されるように留意する。また、ひび割れ、空隙等が生じないように、過不足ない量の試料を充填するように注意する。次いで、外部から別のガラス板を押し付けて、ホルダー部分に充填された試料の表面を平らにする。充填量の過不足により、ホルダーの基準面より凹凸が生じることのないように注意する。
 次いで、試料が充填されたガラス板を粉末X線回折装置に設置し、Cu-Kα線を用いて回折パターン(XRDパターン;X‐Ray Diffraction pattern)を取得する。
 なお、試料の粒子形状により粒子の配向が大きくなる場合がある。試料の配向性が高い場合は、試料の充填の仕方によってピークの位置がずれたり、強度比が変化したりする可能性がある。このように配向性が著しく高い試料は、ガラスキャピラリを用いて測定する。具体的には、試料をキャピラリに挿入し、このキャピラリを回転式試料台に載置して測定する。このような測定方法により、配向性を緩和することができる。ガラスキャピラリとしては、直径1mm~6mmφのリンデマンガラス製キャピラリを用いることが好ましい。
 二次電池又は電極に含まれる活物質について粉末X線回折測定を行う場合は、例えば以下のように行うことができる。 
 まず、活物質の結晶状態を把握するために、活物質からリチウムイオンが完全に離脱した状態にする。例えば、活物質が負極において用いられている場合、電池を完全に放電状態にする。例えば、電池を25℃環境において0.1C電流で定格終止電圧又は電池電圧が1.0Vに到達するまで放電させることを複数回繰り返し、放電時の電流値が定格容量の1/100以下となるようにすることで、電池を放電状態にすることができる。放電状態でも残留したリチウムイオンが存在することもある。
 次に、アルゴンを充填したグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出して、適切な溶媒で洗浄する。適切な溶媒としては、例えばエチルメチルカーボネートを用いることができる。電極の洗浄が不十分であると、電極中に残留したリチウムイオンの影響で、炭酸リチウムやフッ化リチウムなどの不純物相が混入することがある。その場合は測定雰囲気を不活性ガス中で行える気密容器を用いるとよい。このとき、集電体である金属箔、導電剤及びバインダなどに由来するピークを、EDXを用いてあらかじめ測定して把握しておく。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作は省略することができる。集電体のピークと活物質のピークとが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。活物質含有層を物理的に剥離しても良い。活物質含有層は、適切な溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。集電体から活物質含有層を剥離するのに超音波処理を行った場合、溶媒を揮発させることで、電極体粉末(活物質、導電剤、バインダを含む)を回収することができる。回収した電極体粉末を、例えばリンデマンガラス製キャピラリ等に充填して測定することで、活物質の粉末X線回折測定を行うことができる。なお、超音波処理を行って回収した電極体粉末は、粉末X線回折測定以外の各種分析に供することもできる。
 <ICP発光分光法>
 活物質の組成は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光法を用いて分析することができる。このとき、各元素の存在比(モル比)は、使用する分析装置の感度に依存する。従って、測定されるモル比が、実際のモル比から測定装置の誤差分だけ数値がずれることがある。しかしながら、分析装置の誤差範囲で数値が逸脱したとしても、実施形態に係る活物質の性能を十分に発揮することができる。
 電池に組み込まれている活物質の組成をICP発光分光法により測定するには、具体的には以下の手順により行う。
 まず、粉末X線回折測定の項で説明した手順により、二次電池から、測定対象たる活物質を含んだ電極を取り出し、洗浄する。洗浄した電極から、活物質含有層など電極活物質が含まれている部分を剥離する。例えば、超音波を照射することにより電極活物質が含まれている部分を剥離することができる。具体例として、例えば、ガラスビーカー中に入れたエチルメチルカーボネートに電極を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から電極活物質を含む活物質含有層を剥離させることができる。
 次に、剥離した部分を大気中で短時間加熱して(例えば、500℃で1時間程度)、バインダ成分やカーボンなど不要な成分を焼失させる。この残渣を酸で溶解することで、活物質を含む液体サンプルを作成できる。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP分析に供することで、活物質中の組成を知ることができる。
 <第1実施形態に係る負極の製造方法>
 第1実施形態に係る負極は、例えば次の方法により作製することができる。
 まず、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む活物質粒子、導電剤及び第2バインダを、適当な溶媒に懸濁させてスラリーを調製する。このとき、当該スラリーに対して、第1バインダを更に添加する。第1バインダのスラリーへの添加は、例えば、エタノール溶液の形態で行う。得られるスラリーにおける固形分濃度は、例えば40質量%~65質量%の範囲内にある。活物質粒子、導電剤、第1バインダ及び第2バインダの配合割合は、前述した割合とする。
 作製したスラリーを、塗工機にてアルミニウム箔などの集電体に所望の目付けで塗布し、塗膜を乾燥させる。塗膜の乾燥には、例えば、120℃で48時間の真空乾燥を行うことが望ましい。かくして、集電体と集電体上に形成された活物質含有層とを具備する部材を作製する。得られる部材は、例えば、帯状である。同部材を所定の電極密度になるようにプレス処理を行う。こうして、第1実施形態に係る負極を作製することができる。
 本実施形態に係る負極は、以下の方法で作製してもよい。
 まず、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む活物質粒子、導電剤及び第2バインダを、適当な溶媒に懸濁させてスラリーを調製する。このスラリーを用いて、上述の製造方法と同様に、塗布、乾燥及びプレス処理を施して、第1バインダを含まない電極構造体を得る。続いて、この電極構造体を、第1バインダを含むエタノール溶液(第1バインダ含有溶液)に浸漬させる。浸漬処理は、例えば、電極構造体を室温で30秒以上120秒以下に亘り浸漬させることで行うことが望ましい。
 その後、電極構造体を、第1バインダ含有溶液から引き揚げ、部材に過剰に付着した溶液を拭い去る。次いで、電極構造体を乾燥に供する。乾燥は、例えば、120℃に設定したホットプレート上で乾燥させた後、120℃に設定した真空乾燥機内にて48h以上乾燥させることが望ましい。こうして、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を第1バインダにより被覆することができる。
 以上説明した第1実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。
 複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部が第1バインダにより被覆されているため、自己放電に伴う活物質粒子表面での被膜形成を抑制できる。それ故、充放電サイクルに伴う正極電位の上昇を抑制でき、SOCずれに起因した正極劣化、及び、正極における酸素ガスの発生を抑制できる。従って、本実施形態に係る負極によれば、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現可能である。
 (第2実施形態)
 第2実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダと、複数の活物質粒子の表面の他の一部を被覆するアルミニウム含有被膜とを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.01質量%~0.50質量%の範囲内にある。複数の活物質粒子の質量に対する、アルミニウム含有被膜が含むアルミニウムの質量の割合は、0.04質量%~0.30質量%の範囲内にある。
 第2実施形態に係る負極は、第1バインダと共に、アルミニウム含有被膜が複数の活物質粒子の表面を被覆していることを除いて、第1実施形態に係る負極と同様の構成を有する。第2実施形態に係る負極においては、第1バインダ及びアルミニウム含有被膜の混合物が複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆していてもよい。
 アルミニウム含有被膜は、前述した第1バインダと同様の作用を示す。即ち、アルミニウム含有被膜によって活物質粒子表面と電解質との接触が抑制されるため、自己放電に伴う活物質粒子表面での被膜形成を抑制でき、セル使用に伴うセル抵抗上昇特に低温抵抗の上昇を抑制することができる。それ故、充放電サイクルに伴う正極電位の上昇を抑制でき、SOCずれに起因した正極劣化、及び、正極における酸素ガスの発生を抑制できる。
 第2実施形態に係る負極に含まれる、複数の活物質粒子、第1バインダ及び第2バインダとしては前述の第1実施形態において説明したものと同一のものを使用することができる。但し、第2実施形態に係る負極では、活物質粒子表面上にアルミニウム含有被膜が存在しているため、その分だけ第1バインダの含有量を低減させることができる。
 具体的には、複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、例えば0.01質量%~0.50質量%の範囲内にあり、好ましくは0.03質量%~0.20質量%の範囲内にある。
 活物質含有層は、複数の活物質粒子の一部を被覆するアルミニウム含有被膜を含む。アルミニウム含有被膜は、アルミニウム(Al)成分を含んでいる。アルミニウム含有被膜は、どのような化学構造で存在しているのか明らかになっていないが、例えば、アルミニウム原子に対して、有機置換基が結合又は配位した構造を有する。アルミニウム含有被膜は、後述するように、有機アルミニウム化合物をアルミニウム源として作製される被膜である。有機アルミニウム化合物として、例えば、アルミニウムアルコキシド及びアルミニウムキレート(錯体)からなる群より選択される少なくとも一種を挙げることができる。有機置換基としては、例えば、下記に示すアルミニウムアルコキシド及びアルミニウムキレートが持つ置換基からなる群より選択される少なくとも一種が挙げられる。
 アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、ジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセトアセテート(Al(C4H9O)2(C6H9O3))、アルミニウムトリ-2-ブトキシド(Al(OC4H9)3)、ジ-2-ブトキシアルミニウムアセチルアセテート(Al(C4H9O)2(C5H7O2))、アルミニウムセカンダリーブトキシド(Al(O-sec-C4H9)3)等を用いることができる。アルミニウムキレートとしては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート(Al(C5H7O2)3)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセテート(Al(C5H7O2)(C6H9O3)2)、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート(Al(C6H9O3)3)等を用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物でもよい。
 複数の活物質粒子の表面上に共存する第1バインダとアルミニウム含有被膜とは、互いに化学結合していてもよく、化学結合していなくてもよい。アルミニウム原子には、例えば、メトキシ基が結合しているか又はアセチル基が配位していてもよい。
 活物質含有層において、複数の活物質粒子の質量に対する、アルミニウム含有被膜が含むアルミニウムの質量の割合は、0.04質量%~0.30質量%の範囲内にある。当該割合が0.04質量%未満であると、自己放電による被膜形成を抑制する効果が乏しい可能性がある。それ故、充放電サイクルを繰り返すことによる抵抗上昇を抑制するのが困難な可能性がある。当該割合が0.30質量%を超えると、活物質粒子表面を被覆しているアルミニウム含有被膜が多いため、抵抗が増大する恐れがある。当該割合は、好ましくは0.06質量%~0.25質量%の範囲内にある。
 活物質含有層中の複数の活物質粒子、導電剤、第1バインダ、第2バインダ及びアルミニウム含有被膜の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができるが、例えば、複数の活物質粒子、導電剤、第1バインダ、第2バインダ及びアルミニウム含有被膜を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下、0.01質量%以上0.50質量%以下、1.5質量%以上30質量%以下、及び、0.04質量%以上0.30質量%の割合で配合することが好ましい。
 <誘導結合プラズマ発光分光測定>
 活物質に対するアルミニウム含有量は誘導結合プラズマ発光分光法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry:ICP-AES)で分析することにより算出できる。
 具体的には、測定対象の活物質含有層を電極集電体から水系の溶媒もしくはNMPで剥がし、電極成分を溶媒に分散した分散液を作製する。この分散液から固形成分を取り出して回収する。固形成分に対する酸分解法やさらにアルカリ溶融法などを用いて得られた溶融物を酸性水溶液中に溶かし込む。なお、酸分解法では、適切な酸と固形成分を加圧容器に入れて、加熱することで固形分を酸に溶解させる。こうして電極構成成分を含んだサンプル溶液を得る。なお、電極構成成分には、主として活物質含有層を構成する金属成分が含まれ得る。
 サンプル溶液に対しICP分析法により定量分析を行う。分析結果から、活物質の組成を求める。また、活物質に対するアルミニウムの含有量は、活物質構成成分の最低一つ、例えばTiとAlの分析値および活物質組成から算出する。
 アルミニウム含有量を除く、各種測定は、第1実施形態において説明したのと同様の方法で実施できる。
 <第2実施形態に係る負極の製造方法>
 第2実施形態に係る負極は、例えば次の方法により作製することができる。
 まず、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む活物質粒子、導電剤及び第2バインダを、適当な溶媒に懸濁させてスラリーを調製する。このとき、当該スラリーに対して、第1バインダ及び有機アルミニウム化合物を更に添加する。第1バインダ及び有機アルミニウム化合物は、例えば、エタノール又はNMPに希釈した溶液の形態で準備する。混合方法としては、特に限定するものではないが、アルミニウム含有希釈液を当該スラリーに添加した後、第1バインダ成分を含む希釈液を添加することが、負極活物質の被覆を効率的に行うことができるので望ましい。
 活物質粒子、導電剤、第1バインダ、第2バインダ及び有機アルミニウム化合物の配合割合は、前述した割合とする。得られるスラリーにおける固形分濃度は、例えば40質量%~65質量%の範囲内にある。
 作製したスラリーを、塗工機にてアルミニウム箔などの集電体に所望の目付けで塗布し、塗膜を乾燥させる。塗膜の乾燥には、例えば、120℃で48時間の真空乾燥を行うことが望ましい。かくして、集電体と集電体上に形成された活物質含有層とを具備する部材を作製する。得られる部材は、例えば、帯状である。同部材を所定の電極密度になるようにプレス処理を行う。こうして、第2実施形態に係る負極を作製することができる。
 本実施形態に係る負極は、以下の方法で作製してもよい。
 まず、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む活物質粒子、導電剤及び第2バインダを、適当な溶媒に懸濁させてスラリーを調製する。このスラリーを用いて、上述の製造方法と同様に、塗布、乾燥及びプレス処理を施して、電極構造体を得る。この電極構造体には第1バインダ及びアルミニウム含有被膜は含まれていない。続いて、この電極構造体を、第1バインダ及び有機アルミニウム化合物を含む、エタノール溶液又はNMP溶液に含浸させる。その後、得られた電極構造体を乾燥処理に供することで、複数の活物質粒子の表面の一部を第1バインダにより被覆し、且つ、複数の活物質粒子の表面の他の一部をアルミニウム含有被膜により被覆することができる。ここでも、被覆する順番は特に限定されない。アルミニウム化合物を含む希釈液でまず被膜形成(含浸及び乾燥を含む)した後、第1バインダを含む希釈液で再度被膜を形成することが望ましい。理由は、アルミニウム化合物希釈液で被覆した後の被覆物がエタノール等の溶媒に不溶であるのに対して、第1バインダは、被覆後に可溶性溶媒に接触すると再度溶媒内に溶解してしまうため、被覆量の制御が困難であるためである。
 乾燥は、例えば、120℃に設定したホットプレート上で乾燥させた後、120℃に設定した真空乾燥機内にて48h以上乾燥させることが望ましい。
 第1バインダ及び有機アルミニウム化合物の希釈に用いる溶媒としてエタノールを例示したが、希釈液はエタノールに限られない。希釈液は、乾燥後に電極内に残存しないような比較的沸点の低い溶媒で、金属アルコキシドや電極構成成分と反応しにくいものが好ましい。電極に残存しない希釈溶媒を用いることで、電池の充放電時に残存溶媒により効率が低下するのを防ぐことができる。金属アルコキシドや電極構成成分と反応させないためには、水分含有量が少ないもの溶媒が望ましい。安全性およびコスト、並びに取り扱いやすさを鑑みると、エタノールを好適に用いることができる。他の例としてメタノールを挙げることができるが、毒性があるため取扱いに留意する。
 以上説明した第2実施形態によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダと、複数の活物質粒子の表面の他の一部を被覆するアルミニウム含有被膜とを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.01質量%~0.50質量%の範囲内にある。複数の活物質粒子の質量に対する、アルミニウム含有被膜が含むアルミニウムの質量の割合は、0.04質量%~0.30質量%の範囲内にある。
 第2実施形態に係る負極では、複数の活物質粒子の表面が第1バインダ及びアルミニウム含有被膜により被覆されているため、自己放電に伴う活物質粒子表面での被膜形成を抑制できる。それ故、充放電サイクルに伴う正極電位の上昇を抑制でき、SOCずれに起因した正極劣化、及び、正極における酸素ガスの発生を抑制できる。従って、本実施形態に係る負極によれば、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現可能である。
 (第3実施形態)
 第3実施形態によると、第1実施形態又は第2実施形態に係る負極と、正極と、電解質とを含む二次電池が提供される。二次電池は、例えばリチウムイオン二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含む非水電解質二次電池であり得る。
 二次電池は、正極と負極との間に配されたセパレータを更に具備することができる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。
 また、二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
 さらに、二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
 以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
 (1)負極
 第3実施形態に係る二次電池が備える負極として、第1又は第2実施形態に係る負極を使用することができる。
 負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.1g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
 (2)正極
 正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
 正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
 このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
 上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
 電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
 正極活物質の一次粒子径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒子径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
 正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
 結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxy methyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
 導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
 正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
 結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
 導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
 導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
 正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
 アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
 また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
 正極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。このようにして、正極を作製する。
 或いは、正極は、次の方法により作製してもよい。まず、活物質、導電剤及び結着剤を混合して、混合物を得る。次いで、この混合物をペレット状に成形する。次いで、これらのペレットを集電体上に配置することにより、正極を得ることができる。
 (3)電解質
 電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
 電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
 有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
 ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンオキサイド、アクリルポリマー、ポリアミド及びポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種を使用することができる。電解質としてゲル状電解質を使用することにより、正極からの金属溶出を抑えると共に水素等のガス発生を抑制することができる。その結果、優れたサイクル寿命特性が得られる。
 或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
 常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
 高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
 無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
 (4)セパレータ
 セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
 セパレータとして、固体電解質粒子を含む固体電解質層を使用することもできる。固体電解質層は、1種類の固体電解質粒子を含んでいても良く、複数種類の固体電解質粒子を含んでいてもよい。固体電解質層は、固体電解質粒子を含む固体電解質複合膜であってもよい。固体電解質複合膜は、例えば、固体電解質粒子を、高分子材料を用いて膜状に成形したものである。固体電解質層は、可塑剤及び電解質塩からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいても良い。固体電解質層が電解質塩を含んでいると、例えば、固体電解質層のアルカリ金属イオン伝導性をより高めることができる。
 高分子材料の例は、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエチレン系、シリコーン系及びポリスルフィド系を含む。
 固体電解質のリチウムイオン伝導率は、25℃において1×10-10S/cm以上であることが好ましい。固体電解質の25℃におけるリチウムイオン伝導率が1×10-10S/cm以上であることで、固体電解質表面近傍のリチウムイオン濃度が高くなりやすいため、レート性能及び寿命特性を高めることができる。固体電解質の25℃におけるリチウムイオン伝導率は、1×10-6S/cm以上であることがより好ましい。固体電解質のリチウムイオン伝導率の上限値は、一例によれば2×10-2S/cmである。
 固体電解質としては、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、及び窒化物固体電解質、ポリマー固体電解質等が挙げられる。固体電解質は、具体的には、硫化物系のLiSeP系ガラスセラミックス、ペロブスカイト型構造を有する無機化合物であるリチウムランタンチタン複合酸化物(例えば、Li0.5La0.5TiO)、LISICON型構造を有する無機化合物(例えば、Li3.6Si0.60.4)、NASICON型骨格を有する無機化合物、アモルファス状のLIPON(Li2.9PO3.30.46)、リチウムカルシウムジルコニウム酸化物(Li1.2Zr1.9Ca0.1(PO)、及び、ガーネット型構造を有する無機化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む。被覆層は、1種類の固体電解質を含んでいてもよく、2種類以上の固体電解質を含んでいてもよい。
 NASICON型骨格を有する無機化合物としては、一般式LiM2(PO43(Mは、Ti、Ge、Sr、Zr、Sn及びAlから選ばれる一種以上である)で表される無機化合物であることが好ましい。中でも、Li1+xAlGe2-x(PO、Li1+xAlZr2-x(PO、Li1+xAlTi2-x(PO(LATP)は、イオン伝導性が高く、水に対する電気化学的安定性が高いため好ましい。上記において、xは0≦x≦0.5を満たすことが好ましい。
 ガーネット型構造を有する無機化合物としては、例えば、Li5+xyLa3-y212(AはCa,Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、MはNb及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1つである)、Li32-xZr212(MはTa及びNbからなる群より選ばれる少なくとも1つである)、Li7-3xAlxLa3Zr312、及びLi7La3Zr212が挙げられる。上記において、xは、例えば0≦x<0.8であり、好ましくは、0≦x≦0.5である。yは、例えば0≦y<2である。ガーネット型構造を有する酸化物は、これら化合物のうちの1種からなっていてもよく、これら化合物の2種以上を混合して含んでいてもよい。これらの中でもLi6.25Al0.25La3Zr312及びLi7La3Zr212はイオン伝導性が高く、電気化学的に安定なため、放電性能とサイクル寿命性能に優れる。
 固体電解質が硫黄元素を含んでいると、硫黄成分が後述する有機電解質に溶解するため好ましくない。固体電解質は硫黄元素を含まないことが好ましい。
 好ましい固体電解質は、NASICON型骨格を有するLATP(Li1+xAlTi2-x(PO)、アモルファス状のLIPON、ガーネット型のリチウムランタンジルコニウム含有酸化物(例えば、LiLaZr12:LLZ)などの酸化物である。
 NASICON型骨格を有するLiM2(PO43で表される無機化合物の25℃におけるリチウムイオン伝導率は、例えば1×10-3S/cm~1×10-5S/cmの範囲内にある。LIPON(Li2.9PO3.30.46)の25℃におけるリチウムイオン伝導率は、3×10-6S/cmである。ガーネット型のLLZ(Li7La3Zr212)の25℃におけるリチウムイオン伝導率は、3×10-4S/cmである。
 固体電解質は、これらの中でも、NASICON型骨格を有するLATPであることが好ましい。LATPは、リチウムイオン伝導率が高く、水で分解することがないため、空気中においても安定に存在することができる。
 (5)外装部材
 外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
 ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
 ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
 金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
 金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
 外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
 (6)負極端子
 負極端子は、上述の負極活物質のLi吸蔵放出電位において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
 (7)正極端子
 正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
 次に、第3実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
 図1は、第3実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図2は、図1に示す二次電池のA部を拡大した断面図である。
 図1及び図2に示す二次電池100は、図1及び図2に示す袋状外装部材2と、図1に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
 袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
 図1に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図2に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
 負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図2に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
 正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
 図1に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
 第3実施形態に係る二次電池は、図1及び図2に示す構成の二次電池に限らず、例えば図3及び図4に示す構成の電池であってもよい。
 図3は、第3実施形態に係る二次電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図4は、図3に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
 図3及び図4に示す二次電池100は、図3及び図4に示す電極群1と、図3に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
 外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
 電極群1は、図4に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
 電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
 各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分3cを含む。この部分3cは、負極集電タブとして働く。図4に示すように、負極集電タブとして働く部分3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ(部分3c)は、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
 また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)と同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ(部分3c)に対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
 第3実施形態に係る二次電池は、第1実施形態又は第2実施形態に係る負極を備える。それ故、この二次電池は、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現できる。
 (第4実施形態)
 第4実施形態によると、組電池が提供される。第4実施形態に係る組電池は、第3実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
 第4実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
 次に、第4実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
 図5は、第4実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図5に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第3実施形態に係る二次電池である。
 バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図5の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
 5つの単電池100a-100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a-100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
 第4実施形態に係る組電池は、第3実施形態に係る二次電池を具備する。従って、この組電池は、低抵抗であり且つ高い容量維持率を達成することができる。
 (第5実施形態)
 第5実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第4実施形態に係る組電池を具備している。電池パックは、第4実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第3実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
 第5実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
 また、第5実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
 次に、第5実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
 図6は、第5実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図7は、図6に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
 図6及び図7に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
 図6に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
 組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
 複数の単電池100の少なくとも1つは、第3実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図7に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
 粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
 正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
 プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
 正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
 サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
 通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
 保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
 保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
 保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
 サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
 なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
 また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
 なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子の正側端子と負側端子としてそれぞれ用いてもよい。
 このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
 第5実施形態に係る電池パックは、第3実施形態に係る二次電池又は第4実施形態に係る組電池を備えている。従って、この電池パックは、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現できる。
 [実施例]
 以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
 下記に示す実施例1-1~実施例1-7は、前述の第1実施形態に対応する態様である。実施例2-1~2-8は、前述の第2実施形態に対応する態様である。
 (実施例1-1)
 下記に示す通りに、二次電池としてのラミネートセルを作製した。
 <負極の作製>
 負極活物質として、平均粒子径D50が0.9μmのスピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末、導電剤としてアセチレンブラック、第1バインダとしてポリビニルピロリドン(PVP:株式会社日本触媒製K-30)及び第2バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を準備した。これら材料を、得られる負極活物質含有層における質量比が100:3.0:0.10:2.5となるように混合した。この混合物をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に分散して負極スラリーを調製した。負極スラリー中の固形分濃度は58質量%であった。
 作製した負極スラリーを、片面における単位面積当たりの容量が1.05mAh/cm2となるようにアルミニウム箔の両面に塗布した後、塗膜を乾燥させて積層体を得た。その後、電極密度(アルミニウム箔を除く電極部分)が2.3g/cm3になるように積層体に対してプレス成形を行った後、真空中、130℃の温度環境下で12時間に亘り乾燥して負極を作製した。
 <正極の作製>
 市販のスピネル型リチウムマンガン酸化物(LiMn24)100質量部に、導電剤としてアセチレンブラックを5質量部の割合で混合して、混合物を得た。次に、この混合物をNMP中に分散して、分散液を得た。この分散液に、結着剤としてのPVdFをリチウムマンガン酸化物に対して5質量部の割合で混合し、正極スラリーを調製した。このスラリーを、ブレードを用いて、アルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。これを真空下130℃で12時間乾燥したのち、電極層(集電体を除く)の密度が2.1g/cm3となるように圧延して正極を得た。
 <電極群の作製>
 セルロース繊維75重量%及びポリエステル繊維(融点260℃)25重量%からなる、厚さ19μm、幅76mmの帯状のセパレータを準備した。先に作製した帯状の負極から、76mmx56mmの矩形状の負極を31枚切り出した。また、先に作製した帯状の正極から、片面75mmx55mmの矩形状の正極を30枚切り出した。セパレータを57mmごとに折り返しながら、31枚の負極及び30枚の正極を交互に挿入して九十九折りのセパレータを備える電極群を作製した。この電極群に対して、正極端子及び負極端子を電気的に接続した。
 <液状非水電解質の調製>
 混合溶媒として、炭酸プロピレン及び炭酸ジエチルの混合溶媒(体積比1:2)を準備した。この溶媒中に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1Mの濃度で溶解させた。かくして、液状非水電解質を調製した。
 <ラミネートセルの作製>
 複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムからなる外装部材に、作製した電極群を組み込み、120℃の環境下で8時間に亘り真空乾燥した。その後、先に調製した電解液を注入し、外装材をヒートシールにて封口し、設計容量2.5Ahのリチウムイオン二次電池を作製した。
 (実施例1-2~1-4)
 第1バインダの含有量を、表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。第1バインダの含有量とは、活物質粒子の合計質量に対する第1バインダの質量の割合を意味する。
 (実施例1-5~1-7)
 第1バインダの種類を、表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-1)
 第1バインダを添加しなかったことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-2~1-7)
 第1バインダの含有量を、表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-8)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.5μmの単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))粉末を使用したことを除いて、比較例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-9)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.6μmの単斜晶型ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)粉末を使用したことを除いて、比較例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-10)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.5μmの単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))粉末を使用し、また、第2バインダの含有量を表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例1-11)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.6μmの単斜晶型ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)粉末を使用し、また、第2バインダの含有量を表1に示す通りに変更したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (実施例2-1)
 負極スラリーを以下の通り調製したことを除いて、実施例1-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 負極活物質として、平均粒子径D50が0.9μmのスピネル構造を有するチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末、導電剤としてアセチレンブラック、第1バインダとしてポリビニルピロリドン(PVP:株式会社日本触媒製K-30)、アルミニウム源として、ジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセチルアセテート(株式会社マツモトファインケミカル製 商品名A-1033R 含有量:45% 残部溶媒)及び第2バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を準備した。これら材料を、得られる負極活物質含有層における質量比が100:3.0:0.05:2.47:2.5となるように混合した。ここで、アルミニウム源は、活物質100質量部に対するAl量が0.10質量部となるように、2.47質量部添加した。ジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセチルアセテート(Al(C4H9O)2(C6H9O3)の式量が302であり、Alの原子量が27であることから、このアルコキシド中のAl含有割合は9%である。また、アルミニウム源は、質量%濃度が45%のエタノール溶液であった。これらの条件から、0.10/0.09/0.45という計算を行って、得られた値が2.47[質量部]である。得られた混合物をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)中に分散して負極スラリーを調製した。負極スラリー中の固形分濃度は58質量%であった。
 (実施例2-2~2-5)
 第1バインダの含有量、アルミニウム源としてのジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセチルアセテートの添加量(得られる負極活物質層に含まれるアルミニウム量)を、表2に示す通りに変更したことを除いて、実施例2-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (実施例2-6~2-8)
 第1バインダの種類を、表2に示す通りに変更したことを除いて、実施例2-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例2-1~2-2)
 第1バインダの含有量、アルミニウム源としてのジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセチルアセテートの添加量(得られる負極活物質層に含まれるアルミニウム量)を、表2に示す通りに変更したことを除いて、実施例2-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例2-3~2-4)
 第1バインダの添加を省略し、且つ、アルミニウム源としてのジ-2-ブトキシアルミニウムエチルアセチルアセテートの添加量(得られる負極活物質層に含まれるアルミニウム量)を、表2に示す通りに変更したことを除いて、実施例2-1と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例2-5)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.5μmの単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))粉末を使用し、また、第2バインダの含有量を表2に示す通りに変更したことを除いて、比較例2-2と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 (比較例2-6)
 負極活物質として、平均粒子径D50が2.6μmの単斜晶型ニオブチタン複合酸化物(Nb2TiO7)粉末を使用し、また、第2バインダの含有量を表2に示す通りに変更したことを除いて、比較例2-2と同様の方法でラミネートセルを作製した。
 <充放電サイクル試験>
 前述の各例で作製したラミネートセルに対して、以下の条件で充放電サイクル試験を実施した。
 負極活物質として、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(以下、LTOと呼ぶ)を使用した二次電池、及び、単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))を使用した二次電池に対しては、2.7Vの電圧で、且つ、2C(5A)の電流で定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、1.5Vの電圧で、且つ、2C(5A)の電流で定電流(CC)放電を行った。
 また、負極活物質として、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物(以下、NTOと呼ぶ)を使用した二次電池に対しては、2.8Vの電圧で、且つ、1C(5A)の電流で定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、1.5Vの電圧で、且つ、2C(5A)の電流で定電流(CC)放電を行った。
 負極活物質としてLTOを使用した二次電池は55℃の環境下において、また、負極活物質としてTiO2(B)又はNTOを使用した二次電池は45℃の環境下において、充放電サイクル試験を行って、充電状態(SOC:State of Charge)50%における電池抵抗の変化を調べた。具体的には、前述の条件で2,000サイクルの充放電サイクル試験を行う前後の抵抗値の変化を、25℃及び-20℃の環境下のそれぞれで調べた。2,000サイクル後に抵抗値を調べる際には、各二次電池について25℃の環境下で1.5V、1Cでの放電を行った後、1C充電によりSOCを50%に調整し、次いで、25℃及び-20℃の恒温槽中で1C(2.5Ah)での10秒放電抵抗を調べた。
 以上の結果を下記表1及び表2に示す。表1及び表2では、各例の負極について、負極活物質組成、第1バインダの種類並びに量、アルミニウム量、第2バインダの種類並びに量を示している。また、各例についての上記充放電サイクル試験の結果を示している。
 表1及び表2において、第1バインダの「含有量(%)」の列には、当該バインダが含まれる負極活物質含有層中に含まれる、複数の活物質粒子の合計質量に対する第1バインダの質量の割合を百分率で示している。また、第2バインダの「含有量(%)」の列には、当該バインダが含まれる負極活物質含有層中に含まれる、複数の活物質粒子の合計質量に対する第2バインダの質量の割合を百分率で示している。「25℃初期抵抗率(%)」の列では、各例の二次電池についての25℃環境下での初期抵抗値を、比較例1-1の当該値を100とした場合の比率で示している。「2000cyc後、25℃、抵抗上昇率(%)」の列では、各例の二次電池についての25℃環境下での抵抗上昇率(初期抵抗値に対する2,000サイクル後の抵抗値の比)を、比較例1-1の当該値を100とした場合の比率で示している。「-20℃初期抵抗率(%)」の列では、各例の二次電池についての-20℃環境下での初期抵抗値を、比較例1-1の当該値を100とした場合の比率で示している。「2000cyc後、-20℃、抵抗上昇率(%)」の列では、各例の二次電池についての-20℃環境下での抵抗上昇率(初期抵抗値に対する2,000サイクル後の抵抗値の比)を、比較例1-1の当該値を100とした場合の比率で示している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 実施例1-1~1-7に示しているように、活物質粒子がスピネル構造を有するチタン酸リチウムを含み、第1バインダとしてのPVP、CMC、PVA又はPEGを所定量で含む負極を具備する二次電池では、25℃及び-20℃環境における初期抵抗が低い上に、抵抗上昇率も低く抑えられていた。即ち、実施例1-1~1-7では、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現できた。
 また、実施例2-1~2-8に示しているように、活物質粒子がスピネル構造を有するチタン酸リチウムを含み、第1バインダとしてのPVP、CMC、PVA又はPEGを所定量で含み、且つ、アルミニウムを所定量で含むアルミニウム含有被膜を備える、負極を具備する二次電池では、25℃及び-20℃環境における初期抵抗が低い上に、抵抗上昇率も低く抑えられていた。即ち、実施例2-1~2-8では、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現できた。
 第1バインダを含まない比較例1-1、及び、第1バインダの含有量が0.05質量%未満の比較例1-2では、初期抵抗は比較的低かったが、抵抗上昇率が非常に高かった。比較例1-4~1-7に示しているように、第1バインダの含有量が0.50質量%を超えて大きくなるに従って、初期抵抗も増大し、且つ、抵抗上昇率も大きくなる傾向があった。抵抗上昇率が比較的低い比較例の場合にも、初期抵抗が高い場合には、初期から2000サイクル後までを通じて抵抗値が高いことが読み取れる。
 比較例2-3及び2-4に示しているように、第1バインダを含むこと無しに、アルミニウム含有被膜のみを備える場合には、25℃及び-20℃の抵抗上昇率をバランス良く抑えることが難しい。比較例2-1~2-2に示しているように、第1バインダの含有量が0.50質量%を超えて大きくなるに従って、初期抵抗も増大し、且つ、抵抗上昇率も大きくなる傾向があった。
 比較例1-8~1-11、及び、比較例2-5~2-6に示しているように、負極活物質としてTiO2(B)又はNTOを使用した場合には、25℃及び-20℃環境での抵抗上昇率がいずれも高かった。
 以上に説明した少なくとも一つ実施形態及び実施例によると、負極が提供される。負極は、集電体と、集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備える。活物質含有層は、複数の活物質粒子と、複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、第1バインダとは異なる第2バインダとを含む。複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含む。第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含む。複数の活物質粒子の質量に対する、第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある。
 複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部が第1バインダにより被覆されているため、自己放電に伴う活物質粒子表面での被膜形成を抑制できる。それ故、充放電サイクルに伴う正極電位の上昇を抑制でき、SOCずれに起因した正極劣化、及び、正極における酸素ガスの発生を抑制できる。従って、本実施形態に係る負極によれば、優れたサイクル寿命特性及び低温特性を実現可能である。
 本発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
 1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、3c…負極集電タブ、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、21…バスバー、22…正極側リード、22a…他端、23…負極側リード、23a…他端、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、100…二次電池、200…組電池、300…電池パック、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線。
 

Claims (8)

  1.  集電体と、前記集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備え、
     前記活物質含有層は、複数の活物質粒子と、前記複数の活物質粒子の表面の少なくとも一部を被覆する第1バインダと、前記第1バインダとは異なる第2バインダとを含み、
     前記複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含み、
     前記第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含み、
     前記複数の活物質粒子の質量に対する、前記第1バインダの質量の割合は、0.05質量%~0.50質量%の範囲内にある負極。
  2.  集電体と、前記集電体の少なくとも一部に担持された活物質含有層とを備え、
     前記活物質含有層は、複数の活物質粒子と、前記複数の活物質粒子の表面の一部を被覆する第1バインダと、前記第1バインダとは異なる第2バインダと、前記複数の活物質粒子の前記表面の他の一部を被覆するアルミニウム含有被膜とを含み、
     前記複数の活物質粒子は、スピネル構造を有するチタン酸リチウムを含み、
     前記第1バインダは、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル及びポリアクリル酸からなる群より選択される少なくとも一種を含み、
     前記複数の活物質粒子の質量に対する、前記第1バインダの質量の割合は、0.01質量%~0.50質量%の範囲内にあり、
     前記複数の活物質粒子の質量に対する、前記アルミニウム含有被膜が含むアルミニウムの質量の割合は、0.04質量%~0.30質量%の範囲内にある負極。
  3.  前記第2バインダは、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド及びポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む請求項1又は2に記載の負極。
  4.  前記複数の活物質粒子の質量に対する、前記第2バインダの質量の割合は、1.5質量%~30質量%の範囲内にある請求項1~3の何れか1項に記載の負極。
  5.  前記スピネル構造を有するチタン酸リチウムは、一般式Li4+aTi512(-1≦a≦3)で表される請求項1~4の何れか1項に記載の負極。
  6.  請求項1~5の何れか1項に係る負極と、
     正極と、
     電解質とを具備する二次電池。
  7.  請求項6に記載の二次電池を具備する電池パック。
  8.  複数の前記二次電池を具備し、前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項7に記載の電池パック。
     
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