WO2023063104A1

WO2023063104A1 - 化粧料組成物

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Publication number: WO2023063104A1
Application number: PCT/JP2022/036541
Authority: WO
Inventors: 香代子直井
Original assignee: 株式会社資生堂
Priority date: 2021-10-13
Filing date: 2022-09-29
Publication date: 2023-04-20
Also published as: CN117940105A

Abstract

ＵＶＡ及びＵＶＢ領域における紫外線吸収効果を有し、かつ使用性が改善された化粧料組成物を提供する。　紫外線吸収剤、疎水化処理シリカ粉末、及び油分を含み、かつ　前記紫外線吸収剤が、下記式（Ｉ）の構造を有する化合物Ｉを含む、化粧料組成物。（式中、－ＯＡは、アルコキシ基を表す）

Description

化粧料組成物

　本発明は、化粧料組成物に関する。

　紫外線から皮膚を守ることは、スキンケア、ボディケアにとって重要な課題の１つである。日焼けや炎症等を引き起こすことが知られている中波長紫外線（ＵＶＢ領域：波長２９０～３２０ｎｍ）のみならず、長波長紫外線（ＵＶＡ領域：波長３２０～４００ｎｍ）の皮膚への影響（光老化等）が知られる。

　これまでの紫外線防御用の化粧料には、紫外線吸収剤としてｐ－メトキシケイヒ酸－２－エチルヘキシルが一般的に配合されていることが多い。ｐ－メトキシケイヒ酸－２－エチルヘキシルは、ＵＶＢ領域において紫外線を吸収する効果を有するが、ＵＶＡ領域においてはより良好な紫外線吸収能力を有する紫外線吸収剤が求められている。

　これに対して、特許文献１で開示されている紫外線吸収剤は、ＵＶＡ領域にもＵＶＢ領域にも吸収能を有して広範囲な波長において紫外線抑制作用を持ち、紫外線照射の時間の経過と共にＵＶＡ及びＵＶＢ領域において紫外線吸収能が増大するという従来には見られなかった特性を有し、更に溶解性にも優れている。

　より具体的には、特許文献１の紫外線吸収剤は、一般式Ｉ：

（式中、－ＯＡはアルコキシ基を表す。）で表される化合物を有効成分として含む。

国際公開第２００９／０４１０９８号

　本発明では、ＵＶＡ及びＵＶＢ領域における紫外線吸収効果を得るために、上記一般式Ｉで表された化合物を配合した化粧料組成物、例えば油中水型の化粧料組成物を試みた。

　しかしながら、上記一般式Ｉで表された化合物を配合した油中水型の化粧料組成物は、その使用性（特に、べたつき、伸びの重さ、及びなじみの良さに基づく使用性）において、配合する前よりも悪くなってしまうという問題があった。

　本発明は、上記の事情を改善しようとするものであり、その目的は、ＵＶＡ及びＵＶＢ領域における紫外線吸収効果を有し、かつ使用性が改善された化粧料組成物を提供することである。

　上記の目的を達成する本発明は、以下のとおりである。

　〈態様１〉
　紫外線吸収剤、疎水化処理シリカ粉末、及び油分を含み、かつ
　前記紫外線吸収剤が、下記式（Ｉ）の構造を有する化合物Ｉを含む、化粧料組成物：

　（式中、－ＯＡは、アルコキシ基を表す）
　〈態様２〉
　前記化合物Ｉの含有量が、０．０１～５．０質量％である、態様１に記載の組成物。
　〈態様３〉
　前記紫外線吸収剤の含有量が、３．０～２５質量％であり；
　前記疎水化処理シリカ粉末の含有量が、０．５～１０質量％であり；かつ
　前記油分の含有量が、５．０～６０質量％である、
態様１又は２に記載の組成物。
　〈態様４〉
　前記疎水化処理シリカ粉末が、シリコーン処理されたシリカ粉末である、態様１～３のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様５〉
　前記油分が、極性油を含む、態様１～４のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様６〉
　前記油分が、シリコーン油を含む、態様１～５のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様７〉
　前記シリコーン油が、揮発性の非環状シリコーン油を含む、態様６に記載の組成物。
　〈態様８〉
　紫外線散乱剤粒子を更に含む、態様１～７のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様９〉
　３０℃の温度において１２ｒｐｍの回転速度で測定したときに、粘度が５００ｍＰａ・ｓ～１０，０００ｍＰａ・ｓである、態様１～８のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様１０〉
　油中水型である、態様１～９のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様１１〉
　使用時に振とうさせて用いる２層分離型である、態様１～１０のいずれか一項に記載の組成物。
　〈態様１２〉
　日焼け止め化粧料である、態様１～１１のいずれか一項に記載の組成物。

　本発明によれば、ＵＶＡ及びＵＶＢ領域における紫外線吸収効果を有し、かつ使用性が改善された化粧料組成物を提供することができる。

　以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、発明の本旨の範囲内で種々変形して実施できる。

　《化粧料組成物》
　本発明の化粧料組成物（以下、単に「本発明の組成物」とも称する）は、
　紫外線吸収剤、疎水化処理シリカ粉末、及び油分を含み、かつ
　紫外線吸収剤が、下記式（Ｉ）の構造を有する化合物Ｉを含む、化粧料組成物：

　（式中、－ＯＡは、アルコキシ基を表す）
である。

　本発明者らの鋭意研究により、紫外線吸収剤としての化合物Ｉを、例えば油中水型の化粧料組成物に配合すると、組成物全体の使用性が悪くなってしまう課題が見出された。

　従来から、化粧料組成物の使用性を向上するために、シリカ粉末等の使用性改善粉末が知られている。しかしながら、化合物Ｉを配合した化粧料組成物に対して、シリカ粉末を配合しても、その使用性の改善効果は見られなかった。

　本発明者らの更なる鋭意研究により、化合物Ｉを含む化粧料組成物に対して、疎水化処理シリカ粉末を用いることによって、組成物全体の使用性は、特異的に改善されたことが見出された。

　なお、本発明において、組成物の使用性とは、組成物を皮膚に適用する際の、べたつき感、伸びの重さ、及びなじみの良さに基づく使用性を指す。よって、使用性が改善された本発明の組成物は、皮膚に適用される際には、べたつきを感じず、伸びの重さも感じず、なじみの良さが感じられる組成物である。

　〈紫外線吸収剤〉
　本発明の組成物は、紫外線吸収剤を含む。

　本発明の組成物において、紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されず、例えば、３．０質量％以上、４．０質量％以上、５．０質量％以上、６．０質量％以上、７．０質量％以上、８．０質量％以上、９．０質量％以上、又は１０質量％以上であってよく、また２５質量％以下、２０質量％以下、１５質量％以下、又は１２質量％以下であってよい。

　なお、本発明において、組成物の各成分の含有量に関して、特に断りのない限り、含有量は、組成物全体における含有量を指す。

　（化合物Ｉ）
　本発明にかかる紫外線吸収剤は、下記式（Ｉ）の構造を有する化合物Ｉを含む：

　（式中、－ＯＡは、アルコキシ基を表す）

　式（Ｉ）において、－ＯＡは、アルコキシ基を表し、より具体的には、例えばメトキシ基、又はエトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。

　本発明において、化合物Ｉは、特許文献１で開示されている一般式Ｉで表された化合物の構造と同じであってよい。

　本発明の組成物は、化合物Ｉを含むことによって、ＵＶＡ及びＵＶＢ領域における紫外線吸収効果を有する。

　本発明の組成物において、化合物Ｉの含有量は、特に限定されず、例えば、０．０１質量％以上、０．０５質量％以上、０．１質量％以上、０．５質量％以上、１．０質量％以上、１．５質量％以上、２．０質量％以上、２．５質量％以上、又は３．０質量％以上であってよく、また、５．０質量％以下、４．５質量％以下、４．０質量％以下、３．５質量％以下、３．０質量％以下、２．５質量％以下、又は２．０質量％以下であってよい。

　（その他の紫外線吸収剤）
　本発明の組成物において、紫外線吸収剤は、上述した化合物Ｉ以外のその他の紫外線吸収剤を更に含んでよい。

　本発明において、その他の紫外線吸収剤として、例えば、安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ケイ皮酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、β，β－ジフェニルアクリラート誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジリデンショウノウ誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、アントラニル誘導体、イミダゾリン誘導体、ベンザルマロナート誘導体、４，４－ジアリールブタジエン誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。

　安息香酸誘導体としては、例えばパラ－アミノ安息香酸（ＰＡＢＡ）エチル、エチル－ジヒドロキシプロピルＰＡＢＡ、エチルヘキシル－ジメチルＰＡＢＡ、グリセリルＰＡＢＡ、ＰＥＧ－２５－ＰＡＢＡ、及びジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。

　サリチル酸誘導体としては、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、ジプロピレングリコールサリチレート、及びＴＥＡサリチラート等が挙げられるが、これらに限定されない。

　ケイ皮酸誘導体としては、オクチルメトキシシンナメート、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シンノキセート、ＤＥＡメトキシシンナメート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、グリセリル－エチルヘキサノエート－ジメトキシシンナメート、及びジ－（２－エチルヘキシル）－４'－メトキシベンザルマロネート等が挙げられるが、これらに限定されない。

　ジベンゾイルメタン誘導体としては、４－ｔｅｒｔ－ブチル－４’－メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられるが、これらに限定されない。

　β，β－ジフェニルアクリレート誘導体としては、オクトクリレン等が挙げられるが、これらに限定されない。

　ベンゾフェノン誘導体としては、ベンゾフェノン－１、ベンゾフェノン－２、ベンゾフェノン－３またはオキシベンゾン、ベンゾフェノン－４、ベンゾフェノン－５、ベンゾフェノン－６、ベンゾフェノン－８、ベンゾフェノン－９、及びベンゾフェノン－１２等が挙げられるが、これらに限定されない。

　ベンジリデンショウノウ誘導体としては、３－ベンジリデンショウノウ、４－メチルベンジリデンショウノウ、ベンジリデンショウノウスルホン酸、メト硫酸ショウノウベンザルコニウム、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、及びポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ等が挙げられるが、これらに限定されない。

　フェニルベンゾイミダゾール誘導体としては、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。

　トリアジン誘導体としては、アニソトリアジン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチヘキシルブタミドトリアゾン、及び２，４，６－トリス（ジイソブチル－４’－アミノベンザルマロナート）－ｓ－トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されない。

　フェニルベンゾトリアゾール誘導体としては、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びメチレンビス（ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール等が挙げられるが、これらに限定されない。

　アントラニル誘導体としては、アントラニル酸メンチル等が挙げられるが、これらに限定されない。

　イミダゾリン誘導体としては、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオナート等が挙げられるが、これらに限定されない。

　ベンザルマロナート誘導体としては、ベンザルマロナート官能基を有するポリオルガノシロキサン等が挙げられるが、これらに限定されない。

　４，４－ジアリールブタジエン誘導体としては、１，１－ジカルボキシ（２，２’－ジメチルプロピル）－４，４－ジフェニルブタジエン等が挙げられるが、これらに限定されない。

　本発明の組成物において、その他の紫外線吸収剤を更に含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば１．０質量％以上、２．０質量％以上、２．５質量％以上、５．０質量％以上、又は１０質量％以上であってよく、また２０質量％以下、１５質量％以下、又は１２質量％以下であってよい。

　〈疎水化処理シリカ粉末〉
　本発明の組成物は、疎水化処理シリカ粉末を含む。疎水化処理シリカ粉末を含むことによって、組成物全体の使用性を向上させることができる。

　本発明において、疎水化処理シリカ粉末とは、シリカ粉末の表面を疎水化処理したものを指す。

　本発明において、シリカ粉末の疎水化処理の方法としては、特に限定されず、例えば、シリコーン処理、脂肪酸処理、脂肪酸石鹸処理、脂肪酸エステル処理、高級アルコール処理、シリカゲルの液体成分を空気で置き換えることによって(乾燥することによって)得られる多孔質材料であるシリカエアロゲルをベースとするシリル化処理、湿式法シリカゾルを疎水化処理・乾燥して疎水化処理シリカ粒子を得る方法、親水性シリカ粒子分散液に、シラザン化合物あるいは１官能シラン化合物を加えてシリカ粒子表面をトリオルガノシリル化して疎水化処理シリカ粒子を得る方法、４官能シラン化合物を加水分解、縮合して親水性シリカ粒子分散液を得た後、親水性有機溶媒を水に置換して、次いで３官能シラン化合物で疎水化した後、更に分散媒をケトン系溶媒に置換し、シラザン化合物あるいは１官能シラン化合物でシリカ粒子表面に残存する反応性基をトリオルガノシリル化して疎水化処理する方法、親水性シリカ粒子分散液に３官能シラン化合物を加えて疎水化した後、１官能シラン化合物を加えて疎水化処理シリカ粒子を得る方法等が挙げられるが、これらに限定されない。

　より具体的には、シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーンオイル；メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルシラン；トリフルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン等による処理等が挙げられるが、これらに限定されない。

　脂肪酸処理としては、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ロジン酸、１２－ヒドロキシステアリン酸等による処理等が挙げられるが、これらに限定されない。

　脂肪酸石鹸処理としては、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、１２－ヒドロキシステアリン酸等による処理等が挙げられるが、これらに限定されない。

　脂肪酸エステル処理としては、デキストリン脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル等による処理等が挙げられるが、これらに限定されない。

　また、シリル化処理としては、例えばＤｏｗ　Ｃｏｒｎｉｎｇ社によりＶＭ－２２７０の名称で販売されているシリル化シリカを用いることができるが、これには限定されない。

　本発明において、疎水化処理シリカ粉末の粒径は、特に限定されず、例えば０．０１～２０μｍであってよい。なお、粒径は、透過型電子顕微鏡で観察したときの面積円相当粒子径として評価することができる。

　本発明において、１種類又は２種類以上の疎水化処理シリカ粉末を用いることができる。本発明の組成物において、疎水化処理シリカ粉末含有量は、特に限定されず、例えば０．５質量％以上、１．０質量％以上、１．５質量％以上、２．０質量％以上、２．５質量％以上、３．０質量％以上、３．５質量％以上、４．０質量％以上、４．５質量％以上、５．０質量％以上、５．５質量％以上、又は６．０質量％以上であってよく、また、１０質量％以下、９．５質量％以下、９．０質量％以下、８．５質量％以下、８．０質量％以下、７．５質量％以下、７．０質量％以下、６．５質量％以下、又は６．０質量％以下であってよい。

　〈油分〉
　本発明の組成物は、油分を含む。

　本発明の組成物において、油分の含有量は、特に限定されず、例えば５．０質量％以上、１０質量％以上、１５質量％以上、２０質量％以上、２５質量％以上、３０質量％以上、３５質量％以上、４０質量％以上、又は５０質量％以上であってよく、また、６０質量％以下、５５質量％以下、５０質量％以下、４５質量％以下、４０質量％以下、３５質量％以下、又は３０質量％以下であってよい。

　本発明において、油分は、特に限定されず、例えば、極性油、シリコーン油、又は炭化水素油等を含んでよい。上述した化合物Ｉを溶解させる観点から、本発明の組成物は極性油を含むことが好ましい。また、べたつき等を抑制する観点から、本発明の組成物はシリコーン油を含むことが好ましい。

　（極性油）
　本発明において、「極性油」とは、シリコーン油以外の化粧料に使用可能な油分の中で極性が高い油分を指し、例えば、ＩＯＢ値が０．１０以上、０．１１以上、０．１２以上、又は０．１３以上のものを指す。また、本発明にかかる極性油のＩＯＢ値は、０．５０以下、０．４５以下、又は０．４０以下であってよい。なお、ＩＯＢ値とは、Ｉｎｏｒｇａｎｉｃ／Ｏｒｇａｎｉｃ　Ｂａｌａｎｃｅ（無機性／有機性比）の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。ＩＯＢ値は、具体的には、ＩＯＢ値＝無機性値／有機性値として表される。「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子１個について「有機性値」が２０、水酸基１個について「無機性値」が１００といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のＩＯＢ値を算出することができる（例えば、甲田善生著、「有機概念図－基礎と応用－」、ｐ．１１～１７、三共出版、１９８４年発行参照）。

　なお、本発明において、ＩＯＢ値０．１０以上の、紫外線吸収剤として用いられる油分は、ここでいう「極性油」から除かれる。

　本発明において、極性油として、例えばＩＯＢ値が０．１０以上の、エステル油、エーテル油、高級アルコール、及び脂肪酸からなる群より選択される少なくとも一つであってよい。

　より具体的には、極性油は、例えば、シクロヘキサン－１，４－ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール（ＩＯＢ１．０３）、カプリル酸フェノキシエチル（ＩＯＢ０．２９）、ＰＰＧ－３０ブテス‐３０（ＩＯＢ０．９４）、セバシン酸ジイソプロピル（ＩＯＢ０．４）、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール（ＩＯＢ０．３３）、コハク酸ジエチルヘキシル（ＩＯＢ０．３２）、イソノナン酸イソノニル（ＩＯＢ０．２）、ミリスチン酸イソプロピル（ＩＯＢ値＝０．１８）、パルミチン酸オクチル（ＩＯＢ値＝０．１３）、パルミチン酸イソプロピル（ＩＯＢ値＝０．１６）、ステアリン酸ブチル（ＩＯＢ値＝０．１４）、ラウリン酸ヘキシル（ＩＯＢ値＝０．１７）、ミリスチン酸ミリスチル（ＩＯＢ値＝０．１１）、オレイン酸デシル（ＩＯＢ値＝０．１１）、イソノナン酸イソトリデシル（ＩＯＢ値＝０．１５）、エチルヘキサン酸セチル（ＩＯＢ値＝０．１３）、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル（ＩＯＢ値＝０．３５）、コハク酸ジオクチル（ＩＯＢ値＝０．３６）、ジステアリン酸グリコール（ＩＯＢ値＝０．１６）、ジイソステアリン酸グリセリル（ＩＯＢ値＝０．２９）、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール（ＩＯＢ値＝０．２５）、リンゴ酸ジイソステアリル（ＩＯＢ値＝０．２８）、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン（ＩＯＢ値＝０．１６）、トリ２－エチルヘキサン酸グリセリル（トリエチルヘキサノイン）（ＩＯＢ値＝０．３５）、トリオクタン酸トリメチロールプロパン（ＩＯＢ値＝０．３３）、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン（ＩＯＢ値＝０．１６）、アジピン酸ジイソブチル（ＩＯＢ値＝０．４６）、Ｎ－ラウロイル－Ｌ－グルタミン酸－２－オクチルドデシルエステル（ＩＯＢ値＝０．２９）、アジピン酸２－ヘキシルデシル（ＩＯＢ値＝０．１６）、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル（ＩＯＢ値＝０．２８）、パルミチン酸２－エチルヘキシル（ＩＯＢ値＝０．１３）、エチルヘキサン酸２－エチルヘキシル（ＩＯＢ値＝０．２）、トリイソステアリン（ＩＯＢ値＝０．１６）、ジピバリン酸ＰＰＧ－３（ＩＯＢ値＝０．５２）、及びトリ（カプリル酸／カプリン酸）グリセリル（ＩＯＢ値＝０．３３）からなる群より選択される少なくとも一つであってよいが、これらに限定されない。

　本発明において、油分に含まれる極性油の量は、特に限定されず、例えば油分の合計１００質量部に対して、５．０質量部以上、１０質量部以上、１５質量部以上、又は２０質量部以上であってよく、また９０質量部以下、８０質量部以下、７０質量部以下、６０質量部以下、５０質量部以下、４０質量部以下、３０質量部以下、又は２０質量部以下であってよい。

　（シリコーン油）
　本発明において、シリコーン油とは、化粧料に使用可能な油分の中で、シロキサン結合による主骨格をもつものを指す。

　本発明において、シリコーン油は、揮発性シリコーン油であってもよく、不揮発性シリコーン油であってもよい。使用性及び安定性の観点から、シリコーン油は、揮発性シリコーン油であることが好ましい。

　なお、本発明において、「揮発性」の指針として、１気圧（１０１．３２５ｋＰａ）下における沸点を使用することができる。この沸点は、例えば２５０℃以下、２４０℃以下、又は２３０℃以下であってよく、また、８０℃以上、１００℃以上、１２０℃以上、１５０℃以上、又は１６０℃以上であってよい。また、本開示において「不揮発性」とは、十分に大きい平底皿に試料を入れて、１０５℃で３時間放置したときの揮発分が５％以下を呈するものを意図する。

　また、本発明において、シリコーン油は、非環状シリコーン油（すなわち、鎖状シリコーン油）であってもよく、環状シリコーン油であってもよい。使用性の観点から、シリコーン油は、非環状シリコーン油であることが好ましい。

　シリコーン油の具体例として、例えばポリジメチルシロキサン（ジメチコン）、トリシロキサン、カプリリルメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等の非環状シリコーン油、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油、並びにこれらの２以上の混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのうち、特にポリジメチルシロキサン（ジメチコン）、及びトリシロキサン等の揮発性の非環状シリコーン油が好ましい。

　本発明において、油分に含まれるシリコーン油の量は、特に限定されず、例えば油分の合計１００質量部に対して、５．０質量部以上、１０質量部以上、１５質量部以上、又は２０質量部以上であってよく、また９０質量部以下、８０質量部以下、７０質量部以下、６０質量部以下、５０質量部以下、４０質量部以下、３０質量部以下、又は２０質量部以下であってよい。

　（炭化水素油）
　本発明において、炭化水素油は、上述した極性油以外の、炭化水素油を指す。

　炭化水素油は、揮発性炭化水素油であってもよく、不揮発性炭化水素油であってもよい。

　炭化水素油の具体例としては、例えばデカン、ドデカン、イソドデカン、イソヘキサデカン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パラフィン、及びこれらの２以上の混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。

　〈その他の成分〉
　本発明の組成物は、上述した成分のほかに、化粧品分野において使用することができる他の成分を更に含んでもよい。その他の成分としては、例えば、任意の水性成分、紫外線散乱剤粒子、界面活性剤、水溶性成分、保湿剤、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、各種抽出液、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、ｐＨ調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、その他の薬剤、並びに各種粉体等の他の成分を更に含んでもよいが、これらに限定されない。

　（水性成分）
　本発明の組成物は、水性成分として水を含んでよい。水は、特に限定されず、イオン交換水等であってよい。

　本発明の組成物において、水性成分を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば、５．０質量％以上、１０質量％以上、１２質量％以上、１５質量％以上、１８質量％以上、２０質量％以上、２２質量％以上、２５質量％以上、２８質量％以上、３０質量％以上、３２質量％以上、３５質量％以上、３８質量％以上、４０質量％以上、４２質量％以上、又は４５質量％以上であってよく、また７０質量％以下、６０質量％以下、又は５０質量％以下であってよい。

　（紫外線散乱剤粒子）
　本発明の組成物は、紫外線防御効果を高める観点から、紫外線散乱剤粒子を更に含むことが好ましい。

　紫外線散乱剤粒子としては、特に限定されず、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及び酸化セリウムからなる群より選択される少なくとも一種であってよい。

　紫外線散乱剤粒子は、疎水化処理されたものであってもよい。ここで、疎水化処理は、疎水化される公知の表面処理剤を用いて行えばよいが、例えば、脂肪酸処理、脂肪酸エステル処理、脂肪酸石鹸処理、フッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、Ｎ－アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アミノ酸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理、シラン化合物処理、シラザン化合物処理等が挙げられる。

　紫外線散乱剤粒子は、平均一次粒子径が、特に限定されず、例えば５ｎｍ以上、１０ｎｍ以上、又は１５ｎｍ以上であってもよく、また２００ｎｍ以下、１００ｎｍ以下、又は５０ｎｍ以下であってもよい。なお、「平均一次粒子径」は、ＳＥＭ画像における一次粒子の投影面積円相当径として求めてよい。

　紫外線散乱剤粒子の形状は、特に限定されず、例えば球状、板状、棒状、紡錘状、針状、不定形状等が挙げられる。

　本発明の組成物において、紫外線散乱剤粒子を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば１．０質量％以上１５質量％以下である。

　（界面活性剤）
　本発明において、界面活性剤は、分散剤として機能するもの、乳化剤として機能するもの、又はそれらの機能を兼備するもののいずれであってもよい。

　界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、イソステアリン酸、ＰＥＧ－１０ジメチコン、ＰＥＧ－９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、及びラウリルＰＥＧ－９ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等が挙げられるが、これらに限定さない。

　本発明の組成物において、界面活性剤を含む場合のその含有量は、特に限定されず、例えば０．５質量％以上１０質量％以下である。

　（水溶性成分）
　本発明の組成物は、例えば低級アルコール等の水溶性成分を更に含んでよい。低級アルコールとしては、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、及びヘキサノール等挙げられるが、これらに限定されない。

　また、水溶性成分が含まれる場合のその含有量は、特に限定されず、例えば１．０～２０質量％であってよい。

　〈本発明の組成物の粘度〉
　３０℃の温度において１２ｒｐｍの回転速度で測定したときに、本発明の組成物の粘度は、塗布時の液垂れを抑制する観点から、５００ｍＰａ・ｓ以上、８００ｍＰａ・ｓ以上、１，０００ｍＰａ・ｓ以上、１，５００ｍＰａ・ｓ以上、又は２，０００ｍＰａ・ｓ以上であってよく、また、伸びの良さと、塗布のしやすさを向上させる観点から、１０，０００ｍＰａ・ｓ以下、８，０００ｍＰａ・ｓ以下、５，０００ｍＰａ・ｓ以下、又は３，０００ｍＰａ・ｓ以下であってよい。

　〈本発明の組成物の形態〉
　本発明の組成物の形態は、特に限定されず、例えばクレーム状、乳液状、液体状、又は粉末状等であってよい。また、本発明の組成物は、油中水型であってよい。油中水型の化粧料組成物は、保湿性や耐水性等の観点から好ましく用いられる。

　また、本発明の組成物は、特に静置時には２層に分かれ、使用時に振とうさせて用いる２層分離型であってよい。

　〈本発明の組成物の用途〉
　本発明の組成物は、化粧料又はその原料として好適に使用することができる。すなわち、本発明は、特に、日焼け止め化粧料組成物を提供する。

　〈本発明の組成物の製造方法〉
　本発明の組成物は、通常の化粧料の調製方法に基づいて製造することができる。例えば、本発明の組成物が油中水型化粧料組成物である場合には、水相成分と油相成分とをそれぞれ調製した後、水相成分を油相中に徐々に添加して、必要に応じて乳化機等で乳化させることによって、本発明の組成物を製造することができる。

　以下に実施例を挙げて、本発明について更に詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。

　《実施例、比較例、及び参考例》
　下記の表１の組成に基づき、各の実施例、比較例、及び参考例の油中水型組成物を調製した。

　なお、化合物Ｉとしては、下記構造式で示す化合物を用いた：

　《評価》
　〈粘度〉
　上記で調製した各組成物の粘度を、３０℃の温度において、Ｂ型粘度計を用いて、ローター番号３により、１２ｒｐｍの回転速度で測定した。それぞれの結果を、表１に示す。

　〈使用性〉
　上記で調製した各組成物に対して、下記の基準に基づき、顔へ直接塗布したときの使用性を評価した。なお、評価は、３名のパネラーにより総合的に行った。それぞれの結果を表１に示す。

　（塗布後のべたつき感）
　「Ａ」：べたつき感を感じない；
　「Ｂ」：べたつき感をやや感じる；
　「Ｃ」：べたつき感を感じる。

　（塗布時の伸びの重さ）
　「Ａ」：伸びの重さを感じない；
　「Ｂ」：伸びの重さをやや感じる；
　「Ｃ」：伸びの重さを感じる。

　（なじみの良さ）
　「Ａ」：なじみの良さを感じる；
　「Ｂ」：なじみの良さをやや感じない；
　「Ｃ」：なじみの良さを感じない。

　表１から明らかなように、化合物Ｉを含まない参考例１の組成物（未処理のシリカ粉末を含有）及び参考例２の組成物（疎水化処理シリカ粉末を含有）では、互いに使用性には差がなく、いずれも良好の使用性があることが分かった。

　その一方で、化合物Ｉを含む比較例１及び２の組成物は、未処理のシリカ粉末を使用したにも関わらず、いずれも参考例１及び２の組成物に比べて使用性が悪くなったことが分かった。

　これに対して、化合物Ｉを含む実施例１及び２の組成物は、疎水化処理シリカ粉末を含むことによって、いずれも比較例１及び２の組成物に比べて使用性が改善されて、良好な使用性を得ることができた。この結果から、疎水化処理シリカ粉末は、化合物Ｉを含む組成物の使用性を、特異的に改善できることが示唆された。

Claims

　紫外線吸収剤、疎水化処理シリカ粉末、及び油分を含み、かつ
　前記紫外線吸収剤が、下記式（Ｉ）の構造を有する化合物Ｉを含む、化粧料組成物：

　（式中、－ＯＡは、アルコキシ基を表す）
　前記化合物Ｉの含有量が、０．０１～５．０質量％である、請求項１に記載の組成物。
　前記紫外線吸収剤の含有量が、３．０～２５質量％であり；
　前記疎水化処理シリカ粉末の含有量が、０．５～１０質量％であり；かつ
　前記油分の含有量が、５．０～６０質量％である、
請求項１又は２に記載の組成物。
　前記疎水化処理シリカ粉末が、シリコーン処理されたシリカ粉末である、請求項１～３のいずれか一項に記載の組成物。
　前記油分が、極性油を含む、請求項１～４のいずれか一項に記載の組成物。
　前記油分が、シリコーン油を含む、請求項１～５のいずれか一項に記載の組成物。
　前記シリコーン油が、揮発性の非環状シリコーン油を含む、請求項６に記載の組成物。
　紫外線散乱剤粒子を更に含む、請求項１～７のいずれか一項に記載の組成物。
　３０℃の温度において１２ｒｐｍの回転速度で測定したときに、粘度が５００ｍＰａ・ｓ～１０，０００ｍＰａ・ｓである、請求項１～８のいずれか一項に記載の組成物。
　油中水型である、請求項１～９のいずれか一項に記載の組成物。
　使用時に振とうさせて用いる２層分離型である、請求項１～１０のいずれか一項に記載の組成物。
　日焼け止め化粧料である、請求項１～１１のいずれか一項に記載の組成物。