WO2023047966A1 - 医療デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】生体器官同士の癒合を促進する機能を備えるとともに、操作時のハンドリング性が向上された医療デバイスを提供する。 【解決手段】医療デバイス(100)は、吻合部の癒合を促進するシート状の本体部(110)と、本体部の面方向の外周部(116)よりも本体部の面方向の中心部(O1)側に配置され、本体部の面方向と交差する第1方向へ突出するとともに内腔(134)が形成された筒部(130)と、本体部と筒部を接続する接続部(140)と、を有し、筒部の硬度と、接続部の硬度と、本体部の硬度の関係が下記式(1)を満たすように構成されている。 筒部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(1)

Description

医療デバイス
 本発明は、生体器官の吻合術に使用される医療デバイスに関する。
 医療の分野において、生体器官を外科的手術により接合する手技(例えば、消化管を接合する吻合術)が知られている。上記のような手技が行われた場合、生体器官同士が接合された接合部(以下、「吻合部」とも記載する)における癒合の遅延が生じないことが術後の予後決定因子として重要であることも知られている。
 生体器官を接合する手技では種々の方法や医療器具が用いられるが、例えば、生分解性の縫合糸により生体器官を縫合する方法や、ステープラーによる吻合を行う機械式の吻合装置(特許文献1を参照)を利用する方法が提案されている。特に、機械式の吻合装置を利用して吻合術を行う場合、縫合糸を用いた方法と比較して吻合部における生体器官同士の接合力を高めることができるため、縫合不全のリスクを低減させることが可能になる。
 しかしながら、吻合部における癒合の進行の程度は、患者の吻合対象部位における生体組織の状態等にも依存する。そのため、例えば、特許文献1に記載されているような吻合装置を使用した場合においても、患者の生体組織の状態如何によっては、縫合不全のリスクを十分に低減させることができない可能性もある。
 上記のような課題に対応するために、生体器官を接合する吻合術において、下記特許文献2に記載された医療デバイスの使用が提案されている。
 特許文献2に記載された医療デバイスは、貫通孔が形成されたシート状の本体部を備える。術者は、医療デバイスを使用して手技を実施する際、吻合装置にシート状の本体部をセットする。術者は、吻合装置を使用して、シート状の本体部を吻合対象となる生体器官の間に挟み込んだ状態で留置する。シート状の本体部は、貫通孔に生体成分を集積させることによって吻合部の癒合を促進させる。そのため、上記の医療デバイスを使用して吻合術を実施することにより、吻合部における接合力を効果的に高めることが可能になる。
特表2007-505708号公報 国際公開第2019/156230号
 上記の医療デバイスを使用して吻合術を実施する場合、次のような課題が想定される。
 医療デバイスが備えるシート状の本体部は、生体内に留置された状態において生体器官の動きに追従可能となるために所望の柔軟性及び薄さを備えるように構成することが好ましい場合がある。ただし、そのようにシート状の本体部を構成した場合、術者が吻合装置に医療デバイスをセットする際、本体部が容易に変形してしまう可能性が高まる。本体部が変形すると、本体部を吻合装置にセットする作業に手間を要する。また、手技を実施している間、本体部が吻合装置のセット位置からズレたり、吻合装置から脱落したりすることも考えられる。さらに、術者が医療デバイスを取り扱う際、本体部に過剰な力を掛けてしまうと、本体部を破損させてしまうことも考えられる。
 本発明は、生体器官同士の癒合を促進することが可能な本体部を備えるとともに、使用時のハンドリング性が向上された医療デバイスを提供することを目的とする。
 本発明の一形態に係る医療デバイスは、複数の貫通孔が形成され、生体器官の吻合部に適用されることによって生体成分の発現を誘導し、誘導された前記生体成分が前記貫通孔を貫通して集積することにより前記吻合部の癒合を促進するシート状の本体部と、
 前記本体部の面方向の外周部よりも前記本体部の面方向の中心部側に配置され、前記本体部の面方向と交差する第1方向へ突出するとともに内腔が形成された筒部と、
 前記本体部と前記筒部を接続する接続部と、を有し、
 前記筒部の硬度と、前記接続部の硬度と、前記本体部の硬度の関係が下記式(1)を満たす、ことを特徴とする
 筒部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(1)。
 本発明の一形態によれば、生体器官同士の癒合を促進することが可能な本体部を備えるとともに、使用時のハンドリング性が向上された医療デバイスを提供することができる。
本発明の一形態に係る医療デバイスの斜視図である。 図1に示す2-2線に沿う医療デバイスの本体部の部分断面図である。 医療デバイスの平面図である。 図3に示す4-4線に沿う医療デバイスの断面図である。 医療デバイスの作用効果を説明するための部分断面図である。 医療デバイスの寸法例を説明するための部分断面図である。 医療デバイスを使用した処置方法の手順を示すフローチャートである。 処置方法の実施形態(大腸吻合術)の手順を示すフローチャートである。 大腸吻合術を説明するための模試的な断面図である。 大腸吻合術を説明するための模試的な断面図である。 大腸吻合術を説明するための模試的な断面図である。 変形例1に係る医療デバイスの断面図である。 変形例2に係る医療デバイスの断面図である。 変形例3に係る医療デバイスの断面図である。 変形例4に係る医療デバイスの断面図である。 変形例5に係る医療デバイスの断面図である。 変形例6に係る医療デバイスの断面図である。 変形例7に係る医療デバイスの断面図である。 変形例8に係る医療デバイスの断面図である。 変形例9に係る医療デバイスの断面図である。 変形例10に係る医療デバイスの断面図である。 変形例11に係る医療デバイスの断面図である。
 (実施形態)
 以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
 図1は、本実施形態に係る医療デバイス100を示す斜視図である。図2は、図1に示す2-2線に沿う医療デバイス100の本体部110の一部を拡大して示す断面図である。図3は、医療デバイス100を本体部110の表面111側から見た平面図である。図4は、図3に示す4-4線に沿う医療デバイス100の断面図である。図5及び図6は、医療デバイス100の一部を拡大して示す断面図である。なお、図3~図6では、本体部110の貫通孔112の図示を省略している。
 <医療デバイス>
 医療デバイス100は、図1、図4を参照して概説すると、シート状の本体部110と、本体部110に配置された固定部120と、を有する。
 医療デバイス100は、図9~図11に示すように、所定の生体器官同士を接合する手技(例えば、消化管の吻合術)に適用することができる。後述するように、本明細書の説明では、医療デバイス100を使用した手技例として大腸吻合術を説明する。
 術者は、医療デバイス100を使用した手技において、接合対象となる二つ以上の生体器官の間に医療デバイス100の本体部110の少なくとも一部を留置する。医療デバイス100の本体部110は、二つの生体器官の生体組織の癒合を促進する癒合促進用デバイスとして機能する。
 具体的には、本体部110は、生体器官の吻合部に適用されることによって、生体器官の生体成分の発現を誘導する。本体部110は、誘導された生体成分が貫通孔112を貫通して集積することによって癒合を促進させることができる。
 <本体部>
 本体部110は、図1、図3に示すように、複数の貫通孔112が形成されたシート状の部材で構成されている。
 複数の貫通孔112は、本体部110の厚み方向(図2の上下方向)に沿って、本体部110の表面111と本体部110の裏面113との間を貫通している。なお、本明細書においては説明の便宜上、「複数の貫通孔」及び「貫通孔」には同一の符号112を使用する。
 本体部110は、図3に示す平面視において、円形を有するように構成することができる。ただし、本体部110の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。
 本体部110の厚み方向は、各図において矢印Z1-Z2で示す。本体部110の面方向は、各図において矢印X1-X2又は矢印Y1-Y2で示す。
 本体部110は、図4に示すように、本体部110の面方向の中心部O1(図1、図3を参照)を含む所定の範囲に形成された孔部114を有する。
 本体部110の中心部O1は、本体部110が回転対称な形状を有する場合、本体部110の回転中心である。
 孔部114には、接合装置700の第1係合器具710が備える第1係合部713を挿通させることができる。
 術者は、医療デバイス100及び接合装置700を使用した手技において、本体部110の孔部114、後述する筒部130の内腔134、接続部140の孔部144に第1係合器具710の第1係合部713を挿通させることにより、第1係合部713に医療デバイス100を固定(保持)させることができる(図4、図9を参照)。
 本体部110に形成された各貫通孔112は、図1に示すように、本体部110の面方向において規則的かつ周期的に設けられている。ただし、各貫通孔112は、本体部110の面方向の各部においてランダムに設けられていてもよい。
 各貫通孔112は、図2に示すように、本体部110の厚み方向(図2の上下方向)に沿って表面111と裏面113との間で略垂直に延びている。なお、各貫通孔112は、本体部110の厚み方向に沿う断面において、表面111と裏面113との間でジグザグ状に屈曲していたり、湾曲していたりしてもよい。
 各貫通孔112は、略円形の平面形状を有する。ただし、各貫通孔112の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)、不規則な平面形状等であってもよい。また、貫通孔112ごとに平面形状や断面形状が異なっていてもよい。
 本体部110の厚みT(図2に示す寸法T)は特に制限されないが、医療デバイス100の取り扱い時に本体部110の破損を防止する観点より、好ましくは0.05~0.3mmであり、より好ましくは0.1~0.2mmである。なお、本体部110の厚みTが0.3mm以下である場合(特に0.2mm以下である場合)、本体部110の柔軟性を高めることができる。これにより、本体部110は、生体組織に密着して、生体組織の動きに対する追従が高まる。
 本体部110は、例えば、貫通孔112のピッチP(図2に示す距離Pであり、隣接する貫通孔112の間の距離)に対する貫通孔112の孔径d(図2に示す距離)の比の値が、0.25以上40未満であることが好ましい。なお、貫通孔112の平面形状が真円である場合、貫通孔112の孔径dは真円の直径に等しくなる。一方、貫通孔112の平面形状が真円でない場合には、貫通孔112の開口部(貫通孔112において表面111又は裏面113に面した部分)の面積と同じ面積を有する真円の直径(円相当径)を当該貫通孔112の孔径dとすることができる。
 本体部110は、複数の貫通孔112を有するため、各貫通孔112に対応する孔径dの値が複数存在する。そこで、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、複数の貫通孔112にそれぞれ対応する孔径dの値の2点以上の算術平均値を孔径dの代表値として用いるものとする。一方、複数の貫通孔112のピッチPは、2つの貫通孔112の開口部同士の最短距離で定義する。ただし、ピッチPの値についても隣接する貫通孔112の組み合わせに対応するピッチPの値が複数存在する。したがって、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、隣接する貫通孔112の組み合わせにそれぞれ対応するピッチPの値の2点以上の算術平均値をピッチPの代表値として用いるものとする。
 なお、上記の貫通孔112のピッチP、孔径d、ピッチPに対する孔径dの比等は、一例であり、これに限定されることはない。
 本体部110は、例えば、生分解性の材料で構成することができる。本体部110の構成材料について特に制限はなく、例えば、生分解性ポリマーが挙げられる。生分解性ポリマーとしては、例えば、特表2011-528275号公報、特表2008-514719号公報、国際公報第2008-1952号、特表2004-509205号公報等に記載されるものなどの公知の生分解性(共)重合体が使用できる。具体的には、(1)脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体;(2)上記(1)を構成する一以上の単量体から構成される共重合体などが挙げられる。すなわち、本体部110は、脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体、ならびに前記重合体を構成する一以上の単量体から構成される共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
 本体部110の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した生分解性ポリマーからなる繊維を作製し、当該繊維を用いてメッシュ形状のシートを製造する方法が挙げられる。生分解性樹脂からなる繊維を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。本体部110は、上記の方法のうち1種のみを選択して用いてもよいし、2種以上を選択し適宜組み合わせてもよい。なお、本体部110の製造方法のさらに別の例として、上述した生分解性樹脂からなる繊維を常法に従って紡糸し、得られた繊維をメッシュ状に編むことによって本発明に係る生分解性シートを製造する方法、該繊維を圧縮することによって該生分解性シートを製造する方法、該繊維を織らずに絡み合わせることによって該生分解性シートを製造する方法を挙げることができる。
 本体部110は、生分解性ポリマー等の構成材料によって生体反応を惹起させる。本体部110は、この作用により、フィブリン等の生体成分の発現を誘導する。このようにして誘導された生体成分は、本体部110の貫通孔112を貫通するようにして集積することで、癒合を促進することができる。したがって、接合対象となる生体器官同士の間に本体部110を配置することにより、上記のメカニズムによる癒合の促進が生じる。
 なお、本体部110の材質は、癒合を促進させることが可能であれば、生分解性でなくてもよい。
 本体部110の孔部114は、各貫通孔112よりも大きな孔径d0(図6を参照)を備える。
 孔部114は、円形の平面形状を有するように構成することができる。孔部114の孔径d0は、例えば、5mm~25mmに形成することができる。なお、孔部114の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。また、孔部114の大きさも特に限定されない。
 医療デバイス100は、図6に示すように、本体部110の孔部114、筒部130の内腔134、接続部140の孔部144が本体部110の面方向で重なるように配置されている。また、本体部110の孔部114の孔径d0は、筒部130の内径d1及び接続部140の孔部144の孔径d2と略同一に形成されている。
 なお、医療デバイス100は、第1係合器具710の第1係合部713を挿通させることが可能であれば、本体部110の孔部114の孔径d0、筒部130の内腔134の内径d1、接続部140の孔部144の孔径d2は、同一に形成されていなくてもよい。また、本体部110の孔部114、筒部130の内腔134、接続部140の孔部144が本体部110の面方向の同一の位置で全範囲に渡って重なるように配置されていなくてもよい。
 孔部114は、本体部110に予め作製されていてもよいし、吻合術を実施している間に術者が作成してもよい。また、術者は、手技の進行等に応じて、本体部110の形状や構造等に関する種々の変形を選択することができる。
 図3の平面図を参照して、医療デバイス100の各部と吻合術に使用される接合装置700の各部の位置関係について説明する。
 第1領域E1は、その少なくとも一部に、接合装置700の第1係合器具710と第2係合器具720とが互いに重なる領域を有する(図11を参照)。なお、第1領域E1は、接合装置700の外径(第1係合器具710及び第2係合器具720の最大外径)よりも大きくてもよい。
 第2領域E2は、接合対象となる生体器官(例えば、大腸)の内腔と連通する開口部を本体部110に形成するために、接合装置700によって打ち抜かれる部分である。
 接合装置700が備える各係合器具710、720は、カッター(刃部)を備えている。接合装置700は、生体器官を接合する際、各係合器具710、720同士を係合させて、縫合と同時に本体部110の一部を打ち抜く(図10、図11を参照)。
 医療デバイス100では、固定部120を本体部110の中心部O1を含む範囲に配置している。また、固定部120は、打ち抜きの対象範囲となる第2領域E2よりも中心部O1側に収まる範囲に配置している。そのため、固定部120は、接合装置700を使用して吻合部を形成する際、本体部110の一部とともに打ち抜かれて切除される(図11を参照)。
 第3領域E3(図3中の網掛け部分)は、各係合器具710、720により生体器官同士を接合する際に、生体器官の間に挟み込まれた状態で留置される接合箇所に相当する。第3領域E3は、生体器官の間に留置されることにより、吻合部の癒合を促進する。接合装置700を使用した手技では、第3領域E3に対して接合部材(例えば、ステープル)を供給し、第3領域E3を生体器官に対して接合する。
 接合装置700が公知の自動吻合装置で構成される場合、第1係合器具710は、例えば、ヘッド部711と、ヘッド部711に接続された第1係合部713(シャフト)を備えるアンビルで構成することができる(図4を参照)。
 第2係合器具720は、例えば、第1係合部713に係合可能な第2係合部723(係合ピン)を備えるトロッカーで構成することができる(図10、図11を参照)。
 接合装置700は、例えば、公知のサーキュラーステープラーを使用することができる。ただし、接合装置700の具体的な構造や種類等について特に制限はない。
 <固定部>
 固定部120は、図1、図4、図5に示すように、筒部130と、接続部140と、縁部150と、を有する。
 固定部120は、図4、図9に示すように、第1係合器具710に医療デバイス100をセットした状態において、第1係合部713に対する医療デバイス100の固定力(保持力)を高める機能を持つ。
 筒部130は、本体部110の面方向の外周部116よりも本体部110の面方向の中心部O1側に配置されている。
 上記の「本体部110の外周部116」は、本体部110の外周縁から中心部O1側に向かう第3領域E3よりも外周側の任意の範囲で定義することができる。
 筒部130は、本体部110の面方向と交差する第1方向へ突出している。筒部130の内側には、第1係合器具710の第1係合部713を挿通可能な内腔134が形成されている。
 上記の「第1方向」は、外力が付与されていない無負荷状態における本体部110の厚み方向(図4、図5、図6の上下方向)と同一の方向である。また、上記の「第1方向」は、筒部130が延在する「軸方向」(図4に示す軸線C1に沿う方向)と同義である。以下、「第1方向」を「軸方向」とも記載する。
 筒部130の内腔134は、図4に示すように、筒部130の軸方向に沿って略同一の断面形状で延びている。ただし、後述する各変形例で説明するように、筒部130の内腔134の断面形状は、筒部130の軸方向に沿って一定の形状でなくてもよい(図18~図21を参照)。
 図3に示すように、筒部130の外周部分及び内腔134の平面形状は、例えば、円形に形成することができる。ただし、上記各部の平面形状は、第1係合部713が筒部130を挿通可能な限り特に限定されず、例えば、楕円形や多角形等であってもよい。また、筒部130の外周部と内腔134は、相似形状でなくてもよく、例えば、互いに異なる平面形状を有していてもよい。
 筒部130は、接続部140側(本体部110側)に位置する一端部131aと、一端部131aと反対側に位置する他端部131bと、を有する。
 筒部130の一端部131aは接続部140の孔部144に臨んで開口している。筒部130の他端部131bは接続部140が位置する部分と反対側の外部に臨んで開口している。
 医療デバイス100を使用した手技では、第1係合器具710の第1係合部713は、一端部131a側から他端部131b側に向けて筒部130の内腔134に挿通させることができる。第1係合部713の挿入方向を図4中の矢印Bで示す。
 接続部140は、図1、図4、図5に示すように、本体部110と筒部130を接続している。
 接続部140は、例えば、本体部110と筒部130を接続可能な接着剤141で構成することができる。ただし、接続部140は、本体部110と筒部130とを接続可能な限り、具体的な構造、材質、形状等について特に制限はない。例えば、接続部140は、後述するように、筒部130をなす樹脂材料と本体部110をなす生分解性ポリマーとが溶着された溶着部142で構成することもできる(図16、図18を参照)。
 筒部130は、図4、図5、図6に示すように、筒部130と一体的に形成された縁部150を備える。
 縁部150は、筒部130よりも本体部110の面方向の外周部116側まで延在している。具体的には、縁部150は、筒部130の一端部131a付近から本体部110の外周部116側に向けて延在している。
 なお、縁部150は、その少なくとも一部が筒部130の外周部分よりも本体部110の外周部116側まで延在している限り、平面視上における具体的な形状や大きさについて特に制限はない。
 縁部150は、例えば、筒部130とともに樹脂材料で構成される場合、公知の成形方法を利用して一体成形で製造することができる。
 筒部130は、縁部150を含む全体が本体部110の表面111側に位置している。接続部140は、縁部150と本体部110の表面111との間に配置している。
 接続部140には、第1係合部713を挿通可能な孔部144が形成されている。
 医療デバイス100には、本体部110の中心部O1側から本体部110の外周部116側に向かう第2方向において、物性が互いに異なる3つの領域が形成されている。
 上記の「第2方向」は、外力が付与されていない無負荷状態における本体部110の面方向と同一の方向である。また、上記の「第2方向」は、本体部110が円形の平面形状に形成されている場合、本体部110の「径方向」と同義である。以下、「第2方向」を「径方向」とも記載する。
 図3、図6に示すように、本体部110の中心部O1及びその周囲を囲む位置には、筒部130と、縁部150と、接続部140と、本体部110が軸方向に重なる領域(「第1軸領域115a」とする)が形成されている。また、第1軸領域115aよりも径方向の外側には、縁部150と、接続部140と、本体部110が軸方向に重なる領域(「第2軸領域115b」とする)が形成されている。また、第2軸領域115bよりも径方向の外側には、本体部110のみが存在する領域(「第3軸領域115c」)が形成されている。
 <筒部の硬度、接続部の硬度、本体部の硬度の関係について>
 医療デバイス100は、筒部130の硬度と、接続部140の硬度と、本体部110の硬度の関係が下記式(1)を満たすように構成することができる
 筒部130の硬度>接続部140の硬度>本体部110の硬度・・・(1)
 上記硬度は、例えば、JISで規定される「ショアA硬度」である。
 術者は、医療デバイス100を第1係合器具710にセットする際、図4に示すように、筒部130の一端部131a側(本体部110の裏面113側)から、筒部130の内腔134内へ第1係合部713を挿入する。
 術者は、第1係合器具710に医療デバイス100をセットするのに先立ち、第1係合部713を大腸の口側A1に挿入し、第1係合部713を大腸の口側A1から突出させた状態で巾着縫合し、縫合部A11を形成することができる。縫合部A11の外表面は縫合に伴い凹凸形状となる。医療デバイス100は、第1係合部713の縫合部A11から露出した部分にセットすることができる(図9を参照)。
 術者は、医療デバイス100を第1係合器具710にセットする際、本体部110から第1方向に突出した筒部130を手指や器具等で把持しながら所定の操作を行うことができる。
 医療デバイス100は、前述したように筒部130の硬度が接続部140の硬度及び本体部110の硬度よりも大きい。そのため、術者が筒部130を手指や器具等で把持した際に、筒部130が変形したり、破損したりすることを防止できる。術者は、筒部130を備えていない医療デバイス100を取り扱う場合と比較して、医療デバイス100を第1係合器具710に簡単かつ円滑にセットすることができる。
 術者は、筒部130の内腔134に第1係合部713を挿入することにより、医療デバイス100を第1係合部713に固定することができる。術者は、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態を維持させることにより、医療デバイス100を第1係合部713に対して安定的に固定することができる。
 医療デバイス100は、前述したように筒部130の硬度が本体部110の硬度よりも大きい。そのため、筒部130の内腔134内に第1係合部713が挿入された状態において、内腔134が医療デバイス100の径方向に不用意に広がらない。そのため、医療デバイス100は、第1係合部713の挿入前後において筒部130の内径を所定の大きさに維持することができる。そのため、術者は、吻合術を開始する前及び実施している間に、筒部130が第1係合器具710から脱落することを防止できる。
 術者は、第1係合器具710に医療デバイス100をセットした後、吻合部を形成するまでの間、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入されて嵌め込まれた状態を維持することができる。そのため、術者は、第1係合器具710のセット位置から医療デバイス100が位置ズレすることを防止できる。
 医療デバイス100は、前述したように筒部130と本体部110を接続する接続部140の硬度が筒部130の硬度よりも小さく、かつ、本体部110の硬度よりも大きい。そのため、医療デバイス100は、筒部130と本体部110が接続された境界付近における硬度が筒部130、接続部140、本体部110に向けて段階的に小さくなる。接続部140は、筒部130と本体部110の間で硬度の変化を緩やかにし、筒部130と本体部110が接続された境界付近に応力集中が発生した際に、本体部110が破損したり、本体部110から筒部130が分離したりすることを防止する。
 本実施形態では、筒部130は、筒部130と一体的に形成された縁部150を介して本体部110と接続されている。後述するように、縁部150は、筒部130と同一の硬度、若しくは筒部130よりも小さく、かつ、接続部140及び本体部110よりも大きな硬度を備えるように構成することができる。そのため、医療デバイス100は、縁部150が接続部140を介して本体部110と接続されている場合においても、前述した接続部140による「硬度の変化を緩やかにする機能」を発揮することができる。
 <第1方向(軸方向)の伸度及び収縮度について>
 医療デバイス100は、第1方向において、筒部130の伸度と、接続部140の伸度と、本体部110の伸度の関係が下記式(2)を満たし、かつ、
 第1方向において、筒部130の収縮度と、接続部140の収縮度と、本体部110の収縮度の関係が下記式(3)を満たすように構成することができる
 筒部の伸度<接続部の伸度<本体部の伸度・・・(2)
 筒部の収縮度>接続部の収縮度>本体部の収縮度・・・(3)。
 上記の「第1方向における伸度及び収縮度」は、各部の「最大変形量」を意味する。つまり、外力を付加していない無負荷状態から第1方向に沿って所定の外力(軸方向へ伸縮させる力)を付加した際にどの程度まで変形が許容されるかを示す指標である。伸度及び収縮度の大きさは、後述するように、各部の構成材料、肉厚、高さ、及び体積等によって調整することが可能なパラメータである。なお、後述する「第2方向における伸度及び収縮度」についても「第1方向における伸度及び収縮度」と同様に定義することができる。
 筒部130は、接続部140及び本体部110と比較して、第1方向における硬度が大きいことに加えて、第1方向における伸度が小さい。そのため、筒部130は、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態において、固定部120に対して筒部130を第1係合部713から脱落させる方向の外力(軸方向に沿う外力)が付与された際に、軸方向に伸長し難くなる。それにより、筒部130は、上記の軸方向に沿う外力が付与された際に、第1係合部713に対する抵抗を生じさせて、第1係合部713が筒部130の内腔134から抜け出ることを防止する。
 また、筒部130は、接続部140及び本体部110と比較して、第1方向における硬度が大きいことに加えて、第1方向における収縮度が大きい。そのため、筒部130は、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態において、固定部120に対して筒部130を第1係合部713から脱落させる方向の外力(第1方向に沿う外力)が付与された際に、軸方向に収縮し易くなる。それにより、筒部130は、上記の軸方向に沿う外力が付与された際に、第1係合部713に対する抵抗を生じさせて、第1係合部713が筒部130の内腔134から抜け出ることを防止する。
 また、本体部110及び接続部140は、前述したように、筒部130よりも硬度が低く、かつ、伸度が高い。そのため、術者は、筒部130の内腔134に第1係合部713を挿入する際、筒部130の内腔134に通じる入口部分となる接続部140の孔部144及び本体部110の孔部114付近を軸方向に伸長させるように変形させることができる。したがって、術者は、筒部130の内腔134内へ第1係合部713をより一層簡単かつ円滑に挿入することができる。
 <筒部の硬度、縁部の硬度、接続部の硬度、本体部の硬度の関係について>
 医療デバイス100は、筒部130の硬度と、縁部150の硬度と、接続部140の硬度と、本体部110の硬度の関係が下記式(4)満たすように構成することができる
 筒部の硬度≧縁部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(4)
 上記硬度は、例えば、JISで規定される「ショアA硬度」である。
 前述したように、術者は、医療デバイス100を第1係合器具710にセットする際、図4に示すように、筒部130の一端部131a側(本体部110の裏面113側)から、筒部130の内腔134へ第1係合部713を挿入する。術者は、筒部130の内腔134に第1係合部713の一部を挿入した後、手指等により縁部150を押して、筒部130の内腔134へさらに第1係合部713を押し込むことができる。そのため、術者は、本体部110に直接触れずに、第1係合部713を筒部130の内腔134に簡単かつ確実に挿入することができる。
 縁部150は、本体部110及び接続部140よりも硬度が大きい。そのため、上記のような押し込む作業を実施した際、手指等で縁部150にしっかりと押し込む力を伝えることができる。さらに、縁部150、接続部140、本体部110の順に硬度が小さくなっているため、縁部150と本体部110の間では硬度の変化が緩やかである。そのため、縁部150に力を加えた際、縁部150と本体部110が接続された境界付近で本体部110の破損が生じることを防止できる。
 なお、縁部150は、筒部130と同一の硬度を有するように形成してもよいし、筒部130よりも小さな硬度を有するように形成してもよい。
 医療デバイス100は、本体部110の面方向の一部と重なる位置に縁部150が配置されている。そのため、医療デバイス100は、本体部110全体がシート状の部材で構成されている場合と比較して、柔軟な部分の面積が小さい。したがって、本体部110にはヨレ等の変形が生じ難い。そのため、医療デバイス100は、第1係合器具710に医療デバイス100がセットされた状態や、凹凸形状をなす縫合部A11の外表面に接触するように本体部110が配置された状態においても、本体部110にヨレ等の変形が生じることを効果的に防止できる。
 縁部150は、図4、図5に示すように、筒部130の突出方向側の端部に位置する他端部131bよりも本体部110側に位置する。そのため、接続部140は、筒部130及び縁部150と面方向において重なる比較的広い範囲で縁部150と本体部110を接続する。それにより、接続部140は、筒部130及び縁部150を本体部110に対して強固に接続することができる。
 <第2方向(径方向)の伸度及び収縮度について>
 医療デバイス100は、第2方向において、筒部130の伸度と、縁部150の伸度と、接続部140の伸度と、本体部110の伸度の関係が下記式(5)を満たし、かつ、
 第2方向において、筒部130の収縮度と、縁部150の収縮度と、接続部140の収縮度と、本体部110の収縮度の関係が下記式(6)を満たすように構成することができる
 筒部130の伸度≦縁部150の伸度<接続部140の伸度<本体部110の伸度・・・(5)
 筒部130の収縮度≧縁部150の収縮度>接続部140の収縮度>本体部110の収縮度・・・(6)。
 前述したように、医療デバイス100は、中心部O1側から外周部116側に向けて(つまり、径方向に向けて)、筒部130、縁部150、接続部140、本体部110が軸方向に重なる第1軸領域115aと、縁部150、接続部140、本体部110が軸方向に重なる第2軸領域115bと、本体部110のみが存在する第3軸領域115cが順に配置されている(図3及び図6を参照)。
 上記式(5)の関係が満たされることにより、第2方向を基準とした第1軸領域115a、第2軸領域115b、及び第3軸領域115cの伸度の大小関係は「第1軸領域115a≦第2軸領域115b<第3軸領域115c」となる。そのため、筒部130は、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態において、固定部120に対して筒部130を第2方向に広げるような外力が付与された際に、径方向に伸長し難いものとなる。したがって、筒部130は、筒部130の内径が広がることを防止できるため、筒部130の内腔134から第1係合部713が抜け出ることを効果的に防止できる。
 また、上記式(6)の関係が満たされることにより、第2方向を基準とした第1軸領域115a、第2軸領域115b、第3軸領域115cの収縮度の大小関係は「第1軸領域115a≧第2軸領域115b>第3軸領域115c」となる。そのため、筒部130は、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態において、筒部130の内径が狭まるように収縮し易いものとなる。筒部130は、筒部130の内腔134に挿入された第1係合部713との間で抵抗を生じさせ易くなるため、筒部130の内腔134から第1係合部713が抜け出ることを効果的に防止できる。
 <構成材料及び寸法について>
 医療デバイス100は、前述した式(1)~(6)の関係を満たすための一例として、例えば、下記のような材料及び寸法で形成することができる。
 筒部130は、例えば、シリコーンエラストマーによって構成することができる。縁部150は、筒部130と一体的に形成される場合、筒部130と同様の材料で構成することができる。なお、筒部130及び縁部150の構成材料はシリコーンエラストマーに限定されない。筒部130及び縁部150は、例えば、接続部140を構成する材料よりも、硬く、伸長し難く、かつ収縮し易い他の材料で構成することも可能である。
 本体部110を構成する材料としては、例えば、前述した例示の各構成材料(例えば、生分解性ポリマー)を使用することができる。
 前述した筒部130、縁部150、接続部140、及び本体部110の各物性(硬度、第1方向における伸度及び収縮度、第2方向における伸度及び収縮度)は、各部の構造(厚み、高さ、体積等)に応じて任意に調整することができる。例えば、筒部130の肉厚D1(管壁厚さ)を増加させると、筒部130の構成材料の量が増加するため、第1方向及び第2方向の硬度、伸度、収縮度を増加させることができる。このような調整方法を採用した場合、各物性の変化量への影響は第2方向(径方向)に顕著なものとなる。同様に、筒部130の高さh1を増加させると、筒部130の構成材料の量が増加するため、第1方向の硬度、伸度、収縮度を増加させることができる。また、筒部130よりも小さな高さ(厚み)の縁部150を設けた場合、縁部150を備えない筒部130と比較して筒部130の構成材料の量が増加するため、主に、第2方向(径方向)の伸度、収縮度を増加させることが可能になる。
 上記のような点を考慮し、例えば、以下のような寸法例を採用することができる(図6を参照)。
 筒部130の高さh1は、例えば、1mm~3mmに形成することができる。
 接続部140の高さ(厚み)h2は、例えば、0.1mm~0.3mmに形成することができる。
 縁部150の高さ(厚み)h3は、例えば、0.1mm~0.5mmに形成することができる。
 本体部110の厚みTは、例えば、0.05mm~0.3mmに形成することができる。
 筒部130の内径d1は、例えば、4.8mm~6.6mmに形成することができる。なお、本体部110の孔部114の孔径d0及び接続部140の孔部144の孔径d2は、例えば、筒部130の内径d1と同一に形成することができる。
 筒部130の肉厚D1は、例えば、1mm~1.5mmとすることができる。
 接続部140の第2方向の延在長さD2は、例えば、4mm~5mmとすることができる。
 縁部150の第2方向の延在長さD3は、例えば、4mm~5mmとすることができる。なお、医療デバイス100では、接続部140の第2方向の延在長さD2と縁部150の第2方向の延在長さD3を略同一に形成しているが、これらの寸法は同一でなくてもよい。
 上記寸法例において、筒部130の内径d1は、吻合術に使用される第1係合器具710の第1係合部713の外径に応じて任意に変更することが可能である。例えば、筒部130の内径d1は、第1係合部713の外径と略同一又は小さく形成されることにより、第1係合部713が筒部130に挿入された際、筒部130の内周面が第1係合部713の外周面と密着する。そのため、第1係合部713から筒部130が脱落することをより効果的に防止することができる。
 また、筒部130の高さh1は1.5mm~2.5mmであることがより好ましく、縁部150の高さh2は0.25mm~0.35mmであることがより好ましい。これは、次のような理由による。
 吻合術に使用される第1係合器具710の種類によっては、筒部130の内腔134に挿入させた第1係合部713を筒部130の軸方向に対して傾斜させることが可能に構成されたものがある。筒部130の高さh1及び/又は縁部150の高さh3が第1係合部713の脱落を防止する機能を発揮するために必要な寸法よりも過剰に大きく形成されていると、第1係合部713を傾斜させた際、第1係合部713が筒部130及び/又は縁部150と干渉してしまう。その結果、第1係合部713の傾斜可能な角度範囲が制限されてしまう。このような点を考慮し、筒部130の高さh1及び縁部150の高さh2は、上記に例示した寸法であることが好ましい。
 <処置方法の実施形態(大腸吻合術)>
 次に、医療デバイス100を用いた処置方法を説明する。
 図7は、医療デバイス100を用いた処置方法の各手順を示すフローチャートである。
 処置方法は、生体器官の接合対象となる一方の被接合部位に、生体組織の癒合を促進する本体部を備える医療デバイスを配置すること(S11)、一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に医療デバイスの本体部の少なくとも一部を配置した状態で一方の被接合部位と他方の被接合部位とを接合すること(S12)、を含む。
 本実施形態の処置方法により接合される生体器官、及び生体器官の被接合部位は特に限定されず、任意に選択することができる。ただし、以下の説明では、大腸吻合術を例に挙げて説明する。
 以下に説明する手技において使用される医療デバイスとしては、例えば、図1に例示した構造のものを選択することが可能である。ただし、医療デバイスの具体的な構成について特に制限はない。例えば、後述する各変形例の医療デバイスを使用することも可能である。
 以下の説明では、大腸吻合術に好適に用いることができる代表的な例として、医療デバイスの使用例を説明する。以下に説明する手技において、公知の手技手順や公知の医療装置・医療器具等についての詳細な説明は適宜省略する。
 本明細書の説明において「生体器官の間に医療デバイスを配置する」とは、生体器官に医療デバイスが直接的に又は間接的に接触した状態で配置されること、生体器官との間に空間的な隙間が形成された状態で医療デバイスが配置されること、又はその両方の状態で医療デバイスが配置されること(例えば、一方の生体器官に医療デバイスが接触し、他方の生体器官には医療デバイスが接触していない状態で配置されること)の少なくとも一つを意味する。また、本明細書の説明において「周辺」とは、厳密な範囲(領域)を規定するものではなく、処置の目的(生体器官同士の接合)を達成し得る限りにおいて、所定の範囲(領域)を意味する。また、各処置方法において説明する手技手順は、処置の目的を達成し得る限りにおいて、順番を適宜入れ替えることが可能である。また、本明細書の説明において「相対的に接近させる」とは、接近させる対象となる2つ以上のものを、互いに接近させること、一方のみを他方のみに接近させることの両方を意味する。
 <処置方法の実施形態(大腸吻合術)>
 図8は、処置方法の実施形態(大腸吻合術)の手順を示すフローチャートである。図9~図11は、大腸吻合術の説明に供する図である。図9~図11では、医療デバイス100及び生体器官などについて簡略化して図示している。
 本実施形態に係る処置方法において、接合対象となる生体器官は、癌腫瘍の切除に伴い切断された大腸である。具体的には、接合対象となる生体器官は、切断した大腸の口側A1と、切断した大腸の肛門側A2である。以下の説明では、切断した大腸の口側A1の口部周辺(一方の被接合部位)と、切断した大腸の肛門側A2の腸壁の一部(他方の被接合部位)を接合する手順を説明する。
 図8に示すように、本実施形態に係る処置方法は、大腸の口部周辺に医療デバイスを配置すること(S101)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁を相対的に接近させること(S102)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁との間で医療デバイスの本体部を挟み込むこと(S103)、大腸の口部周辺と大腸の腸壁との間に医療デバイスの本体部を挟み込んだ状態で接合すること(S104)を含む。
 図9~図11を参照して、本実施形態に係る処置方法を説明する。
 術者は、患者の臍の周辺部にポート(各種の医療器具等を生体内外に移動させるための導入部)を形成し、さらに患者の腹部を膨らませる。
 次に、術者は、臍のあたりに切開部(図示省略)を形成し、図9に示すように、切開部から口側A1の患部を体外に取り出して、大腸の口側A1に接合装置700の第1係合器具710を挿入する。術者は、第1係合器具710のヘッド部711及び第1係合部713を大腸の口側A1に挿入する。術者は、大腸の口側A1に縫合部A11を形成する。
 次に、術者は、図9に示すように、大腸の口側A1の生体組織に医療デバイス100を配置する(S101)。術者は、医療デバイス100を配置する際、第1係合器具710が備える第1係合部713を筒部130の内腔134に挿通させる(図4を参照)。この際、術者は、本体部110の裏面113が縫合部A11の外表面と接触するように医療デバイス100をセットすることができる。
 次に、術者は、医療デバイス100が配置された大腸の口側A1を切開部から患者の体内に導入する。
 次に、術者は、大腸の肛門側A2に、接合装置700の第2係合器具720を配置する。第2係合器具720を大腸の肛門側A2に配置(挿入)するのに伴って、大腸の肛門側A2には貫通孔A21が形成される。なお、貫通孔A21を形成する具体的なタイミングについて特に制限はない。
 術者は、大腸の口側A1に対して本体部110を保持した状態を維持しつつ、第1係合器具710の第1係合部713と第2係合器具720の第2係合部723とを係合せることによって、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2との間に本体部110を配置することができる。具体的には、術者は、図10に示すように、大腸の口側A1の縫合部A11に対して医療デバイス100を保持した状態を維持しつつ、第1係合器具710と第2係合器具720を相対的に接近させて係合させる(S102)。
 次に、術者は、第1係合器具710と第2係合器具720との間で、大腸の口側A1の口部周辺、本体部110、本体部110に配置した固定部120、大腸の肛門側A2の腸壁に形成した貫通孔A21の周辺部を挟み込む(S103)。
 術者は、第1係合器具710と第2係合器具720との間に挟み込まれた大腸の口側A1の一部と、本体部110と、本体部110に配置した固定部120と、大腸の肛門側A2の一部を接合装置700によって打ち抜くように切断する。また、この際、術者は、接合装置700を操作することにより、切除した部位の周囲をステープル(図示省略)により接合する(S104)。
 次に、術者は、図11に示すように、接合装置700を、例えば、大腸の肛門側A2から肛門を介して生体外へ取り出す。このとき、術者は、接合装置700が打ち抜いた本体部110の第2領域E2よりも中心部O1側に位置する大腸の口側A1の一部と、医療デバイス100の本体部110の一部(固定部120を含む部分)と、大腸の肛門側A2の一部を接合装置700とともに生体外へ取り出すことができる。
 一方で、術者は、第2領域E2よりも外周部116側に配置された本体部110の第3領域E3(図3を参照)を大腸の口側A1の口部周辺と大腸の肛門側A2の腸壁との間に挟み込んだ状態で生体内に留置する。本体部110のうち留置された部分は、接合対象となる大腸の口側A1の口部周辺と大腸の肛門側A2の腸壁に対して癒合の促進機能を効果的に発揮する。
 このような処置方法によれば、医療デバイス100の本体部110を一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に挟み込ませるという簡便な方法により、吻合術(例えば、大腸吻合術)後の縫合不全のリスクを低減させることができる。
 (作用効果)
 以上説明したように、本実施形態に係る医療デバイス100は、複数の貫通孔112が形成され、生体器官の吻合部に適用されることによって生体成分の発現を誘導し、誘導された生体成分が貫通孔112を貫通して集積することにより吻合部の癒合を促進するシート状の本体部110と、
 本体部110の面方向の外周部116よりも本体部110の面方向の中心部O1側に配置され、本体部110の面方向と交差する第1方向へ突出するとともに内腔134が形成された筒部130と、
 本体部110と筒部130を接続する接続部140と、を有し、
 筒部130の硬度と、接続部140の硬度と、本体部110の硬度の関係が下記式(1)を満たすように構成されている
 筒部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(1)。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、生体器官同士の癒合を促進することができ、かつ使用時におけるシート状の本体部110のハンドリング性が向上されたものとなる。
 また、医療デバイス100は、第1方向において、筒部130の伸度と、接続部140の伸度と、本体部110の伸度の関係が下記式(2)を満たし、かつ、
 第1方向において、筒部130の収縮度と、接続部140の収縮度と、本体部110の収縮度の関係が下記式(3)を満たすように構成されている
 筒部の伸度<接続部の伸度<本体部の伸度・・・(2)
 筒部の収縮度>接続部の収縮度>本体部の収縮度・・・(3)。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、接合装置700の第1係合器具710へのセットを簡単かつ円滑に行うことができる。さらに、医療デバイス100は、第1係合器具710の第1係合部713から筒部130が脱落することを効果的に防止することができる。
 また、医療デバイス100は、本体部110が生分解性ポリマーで構成されており、筒部130が樹脂材料で構成されている。接続部140は、接着剤141で構成されている。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、接着剤141によって筒部130及び本体部110を簡単に接続することができる。また、筒部130の構成材料及び接着剤141の構成材料を適切に選択することにより、筒部130及び接続部140の各物性を所望の大きさに調整することができる。
 また、医療デバイス100は、筒部130と一体的に形成され、筒部130よりも本体部110の面方向の外周部116側まで延在する縁部150を有する。接続部140は、筒部130及び/又は縁部150と本体部110とを接続する。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、術者は、第1係合部713に医療デバイス100をセットする際、手指等により縁部150を押して、筒部130の内腔134へ第1係合部713を押し込むことができる。また、縁部150を本体部110に接続することにより、本体部110のより広い範囲に亘って接続部140を配置することができる。それにより、縁部150と一体的に形成された筒部130を本体部110に対してより強固に接続することができる。
 また、医療デバイス100は、筒部130の硬度と、縁部150の硬度と、接続部140の硬度と、本体部110の硬度の関係が下記式(4)を満たし、
 本体部110の中心部O1側から本体部110の外周部116側に向かう第2方向において、筒部130の伸度と、縁部150の伸度と、接続部140の伸度と、本体部110の伸度の関係が下記式(5)を満たし、かつ、
 第2方向において、筒部130の収縮度と、縁部150の収縮度と、接続部140の収縮度と、本体部110の収縮度の関係が下記式(6)を満たすように構成されている
 筒部の硬度≧縁部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(4)
 筒部の伸度≦縁部の伸度<接続部の伸度<本体部の伸度・・・(5)
 筒部の収縮度≧縁部の収縮度>接続部の収縮度>本体部の収縮度・・・(6)。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、接合装置700の第1係合器具710に医療デバイス100をセットする作業をより一層簡単かつ円滑に行うことができる。さらに、医療デバイス100は、第1係合器具710の第1係合部713から筒部130が脱落することをより一層効果的に防止することができる。
 また、医療デバイス100は、筒部130が本体部110の面方向の中心部O1を含む範囲に配置されている。
 上記のように構成された医療デバイス100によれば、接合装置700を使用した手技において、吻合部を形成した後、本体部110に筒部130(固定部120)が残置することを防止できる。
 次に、上述した実施形態の変形例を説明する。以下の説明では、既に説明した内容についての重複した説明を省略する。また、以下の説明で特に言及しない内容については、上述した実施形態と同一のものとすることができる。なお、変形例で示す各断面図は、前述した実施形態の図4に対応した断面図である。
 (変形例1)
 図12には、変形例1に係る医療デバイス100Aの断面図を示す。
 図12に示すように、接続部140は、縁部150と本体部110の間のみに配置することも可能である。このように構成した場合、筒部130が位置する部分と軸方向において重なる部分には、縁部150及び接続部140が配置されない。そのため、固定部120の軸方向の物性変化がより一層緩やかなものとなる。したがって、医療デバイス100Aを取り扱う際に、本体部110が破損することをより確実に防止することができる。
 (変形例2)
 図13には、変形例2に係る医療デバイス100Bの断面図を示す。
 図13に示すように、変形例2に係る医療デバイス100Bは、筒部130が本体部110を厚み方向に貫通するように配置されている。
 筒部130の一端部131aは本体部110の裏面113側に配置されており、筒部130の他端部131bは本体部110の表面111側に配置されている。
 医療デバイス100Bを使用した手技では、医療デバイス100Bを第1係合器具710にセットする際に、筒部130の一端部131a側の部分が縫合部A11よりも大腸の口側A1の内部(図4を参照)まで入り込んでしまう場合がある。
 医療デバイス100Bは、縁部150が本体部110の表面111側に配置されている。そのため、医療デバイス100Bは、上記のように筒部130の一端部131a側の部分が縫合部A11よりも大腸の口側A1の内側まで入り込んでしまった場合においても、縁部150が本体部110の表面111側で本体部110を支持する。したがって、本体部110が大腸の口側A1から浮いたり、変形してヨレたりすることを縁部150によって防止することができる。
 (変形例3)
 図14には、変形例3に係る医療デバイス100Cの断面図を示す。
 図14に示すように、筒部130は、筒部130の一端部131aが本体部110の孔部114付近に位置するように配置することができる。このように構成した場合、第1係合器具710の第1係合部713が筒部130の内腔134に挿入された状態において、筒部130の軸方向に沿ってより広い範囲で第1係合部713と筒部130の内周面が接触する。そのため、筒部130が第1係合部713から脱落することをより一層効果的に防止することができる。
 (変形例4)
 図15には、変形例4に係る医療デバイス100Dの断面図を示す。
 図15に示すように、変形例4に係る医療デバイス100Dは、筒部130よりも本体部110の面方向の外周部116側に配置され、本体部110よりも硬度の高い第1補強部117aと、第1補強部117aよりも本体部110の面方向の外周部116側に配置され、本体部110よりも硬い第2補強部117bと、を有する。
 第1補強部117a及び第2補強部117bは、生体器官に接合される第3領域E3(図3を参照)よりも外側に配置することができる。
 第1補強部117aは、本体部110において貫通孔112を形成していない部分によって構成することができる。このように構成することにより、第1補強部117aは、本体部110よりも硬度が大きく、かつ、生体器官の動きに対して追従可能な柔軟性を備えることができる。
 第2補強部117bは、例えば、本体部110よりも硬質な部材(例えば、樹脂材料)を本体部110に接合することで構成することができる。
 本体部110、第1補強部117a、第2補強部117bの硬度の大小関係は、例えば、「本体部110<第1補強部117a≦第2補強部117b」とすることができる。また、第2方向における伸度の大小関係は、例えば、「本体部110>第1補強部117a≧第2補強部117b」とすることができる。また、第2方向における収縮度の大小関係は、例えば、「本体部110<第1補強部117a≦第2補強部117b」とすることができる。本変形例に係る医療デバイス100Dは、第2方向において物性変化が緩やかなため、第1補強部117aと本体部110が接続された境界付近で本体部110の破損が生じることを防止できる。
 医療デバイス100Dは、本体部110の外周部116側に配置された第1補強部117a及び第2補強部117bを備えることにより、本体部110が凹凸形状の縫合部A11に接触した状態で配置されるような場合においても、本体部110にヨレ等の変形が生じることを防止できる。また、術者は、医療デバイス100Dを取り扱う際、第1補強部117a及び第2補強部117bを手指で把持することができる。したがって、医療デバイス100Dは、第1補強部117a及び第2補強部117bを備えることにより、ハンドリング性がより一層向上したものとなる。
 (変形例5)
 図16には、変形例5に係る医療デバイス100Eの断面図を示す。
 図16に示すように、変形例5に係る医療デバイス100Eは、筒部130が本体部110の表面111に対して接続されている。
 本体部110は、筒部130が接続された表面111と反対側の裏面113に形成された空間部118を有する。
 空間部118は、筒部130が接続された位置と平面視において重なる範囲に形成されている。空間部118は表面111側に向けて凸状に窪んでいる。
 術者は、医療デバイス100Eを第1係合器具710にセットする際、空間部118に縫合部A11(図4を参照)の一部が収まるように医療デバイス100Eを配置することができる。このように医療デバイス100Eを配置することにより、縫合部A11に対して本体部110を安定した状態で保持させることができる。
 空間部118の断面形状は、本体部110の中心部O1側に向けて徐々に大きくなるような形状であることが好ましい。空間部118は、このような形状を有することにより、縫合部A11を収容し易くなる。
 接続部140は、筒部130をなす樹脂材料と本体部110をなす生分解性ポリマーとが溶着された溶着部142で構成されている。例えば、医療デバイス100Eの製造工程において、本体部110の表面111側に筒部130を配置した状態で、本体部110の裏面113側から熱及び圧力を付与することにより、筒部130の一部及び本体部110の一部を溶着させつつ、表面111側に凸状に窪んだ空間部118を形成することができる。
 上記のような製造方法で製造された医療デバイス100Eは、前述した実施形態に係る医療デバイス100と同様に、筒部130、縁部150、接続部140(溶着部142)、本体部110の各々が第1方向(軸方向)及び第2方向(径方向)において所望の物性を備えたものとなるように構成することができる。そのため、前述した医療デバイス100と同様の効果を奏することができる。
 接続部140を形成する際に本体部110に対して付与する熱及び圧力を調整することにより、第1方向に沿って固定部120から本体部110に向けて接続部140内における本体部110の混入割合を徐々に減少させるように構成することができる。このように構成することにより、前述した実施形態に係る医療デバイス100と同様に、医療デバイス100Eの第2方向(径方向)において異なる物性を備えた各領域115a、115b、115c(図6を参照)を形成することができる。
 なお、空間部118の断面形状は、図16に示すような円弧状(表面111側に向けて湾曲した形状)のみに限定されない。空間部118は、例えば、多角形や矩形の断面形状を備えていてもよい。
 (変形例6)
 図17には、変形例6に係る医療デバイス100Fの断面図を示す。
 図17に示すように、医療デバイス100Fは、筒部130が縁部150を備えていない。そのため、医療デバイス100Fでは、筒部130の一端部131aが接続部140を介して本体部110と接続されている。このように、医療デバイス100Fは、筒部130、接続部140、及び本体部110によって構成することも可能である。なお、この変形例では、接続部140は接着剤141で構成している。
 (変形例7)
 図18には、変形例7に係る医療デバイス100Gの断面図を示す。
 医療デバイス100Gは、前述した変形例6に係る医療デバイス100Fと同様に、筒部130が縁部150を備えていない。この変形例では、接続部140は溶着部142で構成している。このように、医療デバイス100Gは、縁部150の有無に関わらず、接続部140の形態については任意のものを選択することができる。
 (変形例8)
 図19には、変形例8に係る医療デバイス100Hの断面図を示す。
 図19に示すように、医療デバイス100Hは、筒部130の第1方向(軸方向)に位置する一端部131aと、一端部131aと反対側に位置する他端部131bとで内腔134の断面形状が異なる。具体的には、筒部130は、一端部131aの方が他端部131bよりも大きな内径を備えている。
 図19に示すように、筒部130の内腔134の断面形状は、一端部131a側から他端部131b側に向けて徐々に内径が小さくなるように形成されている。そのため、術者が筒部130の内腔134に第1係合部713を挿入する際、筒部130の軸方向に沿って第1係合部713を容易に押し込むことができる。また、筒部130の内腔134に押し込まれた第1係合部713は、筒部130の他端部131b側で筒部130の内周面と接触する。そのため、第1係合部713に対する筒部130の保持力を高めることができる。
 (変形例9)
 図20には、変形例9に係る医療デバイス100Iの断面図を示す。
 図20に示すように、筒部130の一端部131a側には、軸方向に沿って内径が徐々に小さくなる第1部位136aが形成されている。また、筒部130の他端部131b側には、軸方向に沿って略一定の内径を備える第2部位136bが形成されている。
 医療デバイス100Iは、前述した変形例8に係る医療デバイス100Hと同様に、筒部130の一端部131a側から第1係合部713を挿入する際、筒部130の軸方向に沿って第1係合部713を容易に押し込むことができる。また、筒部130の内腔134に押し込まれた第1係合部713は、筒部130の他端部131b側で筒部130の内周面と接触する。第2部位136bが軸方向に沿って略一定の内径を備えるため、第1係合部713に対する筒部130の保持力を効果的に高めることができる。
 (変形例10)
 図21には、変形例10に係る医療デバイス100Jの断面図を示す。
 図21に示すように、筒部130の一端部131aは、筒部130の他端部131bよりも大きな内径を有する。また、筒部130の内周面には、他端部131b側に向けて傾斜した複数の傾斜面137が形成されている。術者が筒部130の一端部131a側から第1係合部713を筒部130の内腔134に挿入すると、第1係合部713が傾斜面137に沿って円滑に移動する。そのため、術者は、筒部130の軸方向に沿って第1係合部713を容易に押し込むことができる。また、筒部130の内腔134に第1係合部713が挿入された状態において、各傾斜面137は第1係合部713が一端部131a側へ移動することを抑制する抵抗を生じさせる。そのため、医療デバイス100Jは、第1係合部713に対する筒部130の保持力を効果的に高めることができる。
 (変形例11)
 図22には、変形例11に係る医療デバイス100Kの断面図を示す。
 図22に示すように、筒部130の一端部131a側には、軸方向に沿って一定の内径を備える第1部位138aが形成されている。また、筒部130の他端部131b側には、第1部位138aよりも小さく、かつ軸方向に沿って一定の内径を備える第2部位138bが形成されている。
 術者が筒部130の一端部131a側から第1係合部713を挿入する際、大きな内径を備える一端部131a付近から第1係合部713を容易に挿入させることができる。また、筒部130の内腔134に押し込まれた第1係合部713は、筒部130の他端部131b側で筒部130の内周面と接触する。そのため、第1係合部713に対する筒部130の保持力を高めることができる。
 以上、実施形態及び変形例を通じて本発明に係る医療デバイスを説明したが、本発明は実施形態及び変形例で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
 接合対象となる生体器官、被接合部位、具体的な手技手順等は、実施形態において説明したものに限定されない。
 医療デバイスの各部の材質、大きさ、外形形状、断面形状、具体的な構造等は、医療デバイスが備える本体部により生体器官の生体組織の癒合を促進する機能を持つ限り、特に限定されない。
 実施形態及び各変形例で説明した構造は、それぞれの機能が損なわれることがない限り、任意かつ選択的に組み合わせることが可能である。
 本出願は、2021年9月27日に出願された日本国特許出願第2021-156611号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
100、100A、100B、100C、100D、100E、100F、100G、100H、100I、100J、100K  医療デバイス
110  本体部
111  本体部の表面
112  貫通孔
113  本体部の裏面
114  孔部
115a 第1軸領域
115b 第2軸領域
115c 第3軸領域
116  外周部
117a 第1補強部
117b 第2補強部
118  空間部
120  固定部
130  筒部
131a 筒部の一端部
131b 筒部の他端部
134  内腔
140  接続部
141  接着剤
142  溶着部
144  孔部
150  縁部
700  接合装置
710  第1係合器具
711  ヘッド部
713  第1係合部
720  第2係合器具
723  第2係合部
A1   口側
A11  縫合部
A2   肛門側
A21  貫通孔
O1   本体部の中心部

Claims (9)

  1.  複数の貫通孔が形成され、生体器官の吻合部に適用されることによって生体成分の発現を誘導し、誘導された前記生体成分が前記貫通孔を貫通して集積することにより前記吻合部の癒合を促進するシート状の本体部と、
     前記本体部の面方向の外周部よりも前記本体部の面方向の中心部側に配置され、前記本体部の面方向と交差する第1方向へ突出するとともに内腔が形成された筒部と、
     前記本体部と前記筒部を接続する接続部と、を有し、
     前記筒部の硬度と、前記接続部の硬度と、前記本体部の硬度の関係が下記式(1)を満たすことを特徴とする医療デバイス。
     筒部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(1)
  2.  前記第1方向において、前記筒部の伸度と、前記接続部の伸度と、前記本体部の伸度の関係が下記式(2)を満たし、かつ、
     前記第1方向において、前記筒部の収縮度と、前記接続部の収縮度と、前記本体部の収縮度の関係が下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の医療デバイス。
     筒部の伸度<接続部の伸度<本体部の伸度・・・(2)
     筒部の収縮度>接続部の収縮度>本体部の収縮度・・・(3)
  3.  前記本体部は、生分解性ポリマーで構成され、
     前記筒部は、樹脂材料で構成され、
     前記接続部は、接着剤若しくは前記筒部をなす前記樹脂材料と前記本体部をなす前記生分解性ポリマーとが溶着された溶着部で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の医療デバイス。
  4.  前記筒部と一体的に形成され、前記筒部よりも前記本体部の面方向の外周部側まで延在する縁部を有し、
     前記接続部は、前記筒部及び/又は前記縁部と前記本体部とを接続している、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  5.  前記筒部の硬度と、前記縁部の硬度と、前記接続部の硬度と、前記本体部の硬度の関係が下記式(4)を満たし、
     前記本体部の中心部側から前記本体部の外周部側に向かう第2方向において、前記筒部の伸度と、前記縁部の伸度と、前記接続部の伸度と、前記本体部の伸度の関係が下記式(5)を満たし、かつ、
     前記第2方向において、前記筒部の収縮度と、前記縁部の収縮度と、前記接続部の収縮度と、前記本体部の収縮度の関係が下記式(6)を満たすことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
     筒部の硬度≧縁部の硬度>接続部の硬度>本体部の硬度・・・(4)
     筒部の伸度≦縁部の伸度<接続部の伸度<本体部の伸度・・・(5)
     筒部の収縮度≧縁部の収縮度>接続部の収縮度>本体部の収縮度・・・(6)
  6.  前記筒部は、前記本体部の面方向の中心部を含む範囲に配置されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  7.  前記筒部よりも前記本体部の面方向の外周部側に配置され、前記本体部よりも大きな硬度を備える第1補強部と、
     前記第1補強部よりも前記本体部の面方向の外周部側に配置され、前記本体部よりも大きな硬度を備える第2補強部と、を有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  8.  前記筒部は、前記本体部の表面及び裏面のうちの一方の面に対して接続されており、
     前記筒部が接続された前記一方の面と反対の他方の面側には、前記筒部が接続された位置と平面視において重なる範囲において前記一方の面側に凸状に窪んだ空間部が形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  9.  前記筒部の内腔は、前記第1方向に沿って位置する前記筒部の一端部と、前記一端部と反対側に位置する他端部とで断面形状が異なり、前記一端部の方が前記他端部よりも大きな内径を備えることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の医療デバイス。
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