JP7361098B2 - 癒合促進デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、癒合促進デバイスに関する。
医療の分野において、生体器官を外科的手術により接合する手技(例えば、消化管の吻合術)が知られている。上記のような手技が行われた場合、生体器官同士が接合された接合部における癒合の遅延が生じないことが術後の予後決定因子として重要であることも知られている。
生体器官を接合する手技では種々の方法や医療器具が用いられるが、例えば、生分解性の縫合糸により生体器官を縫合する方法や、ステープラーによる吻合を行う機械式の接合装置(特許文献1を参照)を利用する方法が提案されている。特に、機械式の接合装置を利用して吻合術を行う場合、縫合糸を用いた方法と比較して接合部における生体器官同士の接合力を高めることができるため、縫合不全のリスクを低減させることが可能になる。
特表2007-505708号公報
しかしながら、接合部における癒合の進行の程度は、患者の接合対象部位(被接合部位)における生体組織の状態等にも依存する。そのため、例えば、特許文献1に記載されているような接合装置を使用した場合においても、患者の生体組織の状態如何によっては、縫合不全のリスクを十分に低減させることができない可能性もある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数の貫通孔を有する生分解性のシートを被接合部位の間に挟ませた状態で留置することで、外科手術等の術後における吻合部の癒合を促進させ得ることを新規に見出した。
さらに本発明者らは、術者が手技を簡便に行えるように、上述したシートに円形の挿通孔を形成し、上述した接合装置等のように生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通孔に挿通させ、手技中に当該医療器具に上述したシートを保持させることについても鋭意検討した。その結果、当該医療器具の挿入部の放射方向(挿入方向と交差する方向)の最大寸法に比べて挿通孔の直径が僅かでも大きい場合、当該医療器具が上述したシートを十分に保持できない可能性があることを発見した。
そこで本発明は、外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができ、生体器官を接合する手技に用いる医療器具によって十分に保持できる癒合促進デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一実施形態に係る癒合促進デバイスは、癒合促進シートを有し、前記癒合促進シートは、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部を含み、前記癒合促進シートには、前記生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能なスリットが前記本体部に形成されている。前記本体部は、前記スリットの延在方向に破断することを抑制する破断抑制部を有する。破断抑制部は、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成された補強シートを含む。補強シートには医療器具を挿通可能な挿通孔が形成されており、補強シートは、平面視において挿通孔の周縁が前記スリットの周縁と交差するように本体部上に配置されている。
本発明に係る癒合促進デバイスによれば、接合対象となる生体器官の被接合部位の間に癒合促進シートの本体部を挟み込ませることにより、生体器官の生体組織の癒合を促進することができる。また、生体器官を接合する手技に用いる医療器具をスリットに挿通させた状態では、癒合促進シートにおいてスリットの周辺に位置する部分が当該医療器具の挿入に伴って折れ曲がり、当該医療器具の外周面に接触する。そのため、癒合促進シートは、生体器官を接合する手技に用いる医療器具によって十分に保持できる。以上より、本発明に係る癒合促進デバイスは、外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができ、生体器官を接合する手技に用いる医療器具によって十分に保持できる。
本発明の癒合促進デバイスの一形態を示す斜視図であって、癒合促進デバイスを癒合促進シートの裏面側から見た図である。 図1の2-2線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。 図1に示す癒合促進デバイスを癒合促進シートの表面側から見た平面図であって、生体器官を接合する手技に用いる医療器具をスリットに挿入する前の状態を示す図である。 図1に示す癒合促進デバイスを癒合促進シートの表面側から見た平面図であって、生体器官を接合する手技に用いる医療器具をスリットに挿入した状態の一例を示す図である。 図3Bの4-4線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。 癒合促進デバイスにおける破断抑制部の変形例1を示す平面図であって、癒合促進デバイスを表面側から見た図である。 図5Aの5B-5B線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。 癒合促進デバイスにおける破断抑制部の変形例2を示す平面図である。 癒合促進デバイスにおける破断抑制部の変形例3を示す平面図である。 癒合促進デバイスを用いた処置方法の各手順を示すフローチャートである。 処置方法の実施形態(膵実質-空腸吻合術)の手順を示すフローチャートである。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な断面図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な断面図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 膵実質-空腸吻合術を説明するための模式的な斜視図である。 本発明の癒合促進デバイスの他の使用例の説明に供する図である。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張され、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の癒合促進デバイス100の一形態を示す斜視図であり、癒合促進デバイス100を癒合促進シート110の裏面114側から見た図である。図2は、図1の2-2線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。図3Aは、図1に示す癒合促進デバイス100を癒合促進シート110の表面113側から見た平面図であって、生体器官を接合する手技に用いる医療器具をスリット120に挿入する前の状態を示す図である。図3Bは、図1に示す癒合促進デバイス100を癒合促進シート110の表面113側から見た平面図であって、生体器官を接合する手技に用いる医療器具をスリット120に挿入した状態の一例を示す図である。図4は、図3Bの4-4線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。なお、図3Aおよび図3Bでは、後述する貫通孔112、141を省略している。
<癒合促進デバイス100>
図1に示すように、癒合促進デバイス100は、癒合促進シート110を有する。癒合促進シート110は、複数の貫通孔112を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部111を含む。癒合促進シート110には、生体器官を接合する手技に用いる医療器具(以下、単に「医療器具」とも称する)を挿通可能なスリット120が形成されている。また、本実施形態では、スリット120は、本体部111に形成されており、癒合促進デバイス100は、本体部111がスリット120延在方向X1、X2に破断することを抑制する破断抑制部130をさらに有する。
癒合促進デバイス100は、図10~図17に示すように、所定の生体器官同士を接合する手技(例えば、消化管の吻合術)に適用することができる。なお、本実施形態では、癒合促進デバイス100を膵実質と空腸を接合する手技に適用し、生体器官を接合する手技に用いる医療器具が、膵管チューブ910である例を説明する。
膵管チューブ910は、膵実質と空腸が接合された接合部に膵管から排出される膵液が漏出することを抑制するために用いられる医療器具である。膵実質と空腸を接合する手技において、膵管チューブは、膵管チューブの一端部が膵管に挿入され、かつ、膵管チューブの他端部が空腸の内部等を経て体外に導出された状態で、生体内に留置される。留置された膵管チューブは、膵管から排出される膵液を体外へ排出することで接合部に膵液が漏出することを抑制する。なお、スリット120に挿通させる膵管チューブ910の形状は、図3B、図10~図17に示す形状に限定されない。
以下、癒合促進デバイス100の各部について詳述する。なお、以下の説明では、膵管チューブ910の挿入方向Zが、癒合促進シート110の表面113側から裏面114側に向う方向である例を説明する。ただし、膵管チューブ910の挿入方向Zは、癒合促進シート110の裏面114側から表面113側に向う方向であってもよい。また、癒合促進シート110において、医療器具(膵管チューブ910)が挿通する部分の略中心Cから、癒合促進シート110の面方向の外側に向って放射状に広がる方向を放射方向と称する。
<癒合促進シート110>
図1に示すように、癒合促進シート110は、複数の貫通孔112を有する生分解性シートから形成されるとともに生体組織の癒合を促進する本体部111を有している。
本体部111に形成された貫通孔112は、図1に示すように、本体部111の面方向において規則的かつ周期的に設けられている。ただし、各貫通孔112は、本体部111の面方向の各部においてランダムに設けられていてもよい。
各貫通孔112は、図2に示すように、本体部111の厚み方向(図2の上下方向)に沿って表面113と裏面114との間で略垂直に延びている。なお、各貫通孔112は、本体部111の厚み方向に沿う断面において、表面113と裏面114との間でジグザグ状に屈曲していたり、湾曲していたりしてもよい。
各貫通孔112は、略円形の平面形状(本体部111の表面113又は本体部111の裏面114を平面視した際の形状)を有する。ただし、各貫通孔112の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。また、貫通孔112ごとに平面形状や断面形状が異なっていてもよい。
本体部111は、略円形の平面形状を有する。ただし、本体部111の平面形状は、特に限定されず、例えば、楕円形や多角形(矩形や三角形等)であってもよい。
本体部111の厚み(図2に示す寸法T)は特に制限されないが、好ましくは0.05~0.3mmであり、より好ましくは0.1~0.2mmである。本体部111の厚みが0.05mm以上である場合(特に0.1mm以上である場合)、癒合促進シート110の取り扱い時に本体部111が破損しない程度の強度を備えさせることができる。一方、本体部111の厚みが0.3mm以下である場合(特に0.2mm以下である場合)、本体部111が適用される生体組織に本体部111が密着して生体組織に追随するのに十分な柔軟性を備えさせることができる。
本体部111は、貫通孔112のピッチP(図2に示す距離Pであり、隣接する貫通孔112の間の距離)に対する貫通孔112の孔径D(図2に示す距離D)の比の値が、0.25以上40未満であることが好ましい。なお、貫通孔112の平面形状が真円である場合、貫通孔112の孔径Dは真円の直径に等しくなる。一方、貫通孔112の平面形状が真円ではない場合には、貫通孔112の開口部(貫通孔112において表面113又は裏面114に面した部分)の面積と同じ面積を有する真円の直径(円相当径)を当該貫通孔112の孔径Dとすることができる。
本体部111は、複数の貫通孔112を有するため、各貫通孔112に対応する孔径Dの値が複数存在する。そこで、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、複数の貫通孔112にそれぞれ対応する孔径Dの値の2点以上の算術平均値を孔径Dの代表値として用いるものとする。一方、複数の貫通孔112のピッチPは、2つの貫通孔112の開口部同士の最短距離で定義する。ただし、ピッチPの値についても隣接する貫通孔112の組み合わせに対応するピッチPの値が複数存在する。したがって、本実施形態では、上述した比の値を算出するにあたっては、隣接する貫通孔112の組み合わせにそれぞれ対応するピッチPの値の2点以上の算術平均値をピッチPの代表値として用いるものとする。
なお、上記の貫通孔112のピッチP、孔径D、ピッチPに対する孔径Dの比等は、一例であり、これに限定されることはない。
本体部111は、生分解性の材料で構成することができる。本体部111の構成材料について特に制限はなく、例えば、生分解性樹脂が挙げられる。生分解性樹脂としては、例えば、特表2011-528275号公報、特表2008-514719号公報、国際公報第2008-1952号、特表2004-509205号公報等に記載されるものなどの公知の生分解性(共)重合体が使用できる。具体的には、(1)脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体;(2)上記(1)を構成する一以上の単量体から構成される共重合体などが挙げられる。すなわち、生分解性シートは、脂肪族ポリエステル、ポリエステル、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ポリカーボネート、ポリホスファゼン、ポリリン酸エステル、ポリビニルアルコール、ポリペプチド、多糖、タンパク質、セルロースからなる群から選択される重合体、ならびに前記重合体を構成する一以上の単量体から構成される共重合体からなる群より選択される少なくとも一種の生分解性樹脂を含むことが好ましい。
本体部111の製造方法は特に限定されないが、例えば、上述した生分解性樹脂からなる繊維を作製し、当該繊維を用いてメッシュ形状のシートを製造する方法が挙げられる。生分解性樹脂からなる繊維を作製する方法としては、特に限定されないが、例えば、エレクトロスピニング法(電界紡糸法・静電紡糸法)や、メルトブロー法等が挙げられる。本体部111は、上記の方法のうち1種のみを選択して用いてもよいし、2種以上を選択し適宜組み合わせてもよい。なお、本体部111の製造方法のさらに別の例として、上述した生分解性樹脂からなる繊維を常法に従って紡糸し、得られた繊維をメッシュ状に編むことによって本発明に係る生分解性シートを製造してもよい。
本体部111は、本体部111を構成する生分解性樹脂等の構成材料によって生体反応を惹起させる。本体部111は、この作用により、フィブリン等の生体成分の発現を誘導する。このようにして誘導された生体成分は、本体部111の貫通孔112を貫通するようにして集積することで、癒合を促進することができる。したがって、接合対象となる生体器官同士の間に癒合促進シート110の本体部111を配置することにより、上記のメカニズムによる癒合の促進が生じる。
<スリット120>
図3Aに示すように、スリット120は、本体部111を平面視した際に本体部111の面方向の略中央に形成されている。ただし、本体部111においてスリット120を形成する位置は、上記に限定されない。
なお、本明細書において「スリット」とは、癒合促進シートを厚み方向に貫通し、かつ、医療器具の挿入方向Yと交差する少なくとも一の方向に延在する細隙を意味する。ここで、「一の方向に延在する」とは、一の方向に直線状に延びていることだけでなく、蛇行等しながら一の方向に延びていることも含む。
図1および図3Aに示すように、スリット120は、本実施形態では、互いに交差する一対の切れ目121、122を含む。このような構成によれば、スリット120が一つの切れ目のみによって構成されている場合と比較して、術者は、スリット120に容易に膵管チューブ910を挿入できる。ただし、スリット120を構成する切れ目の数は一以上であれば、特に限定されない。
以下、一対の切れ目121、122のそれぞれを、第1切れ目121および第2切れ目122と称する。
第1切れ目121は、第1の放射方向X1に延在している。第2切れ目122は、第1の放射方向X1と異なる第2の放射方向X2に延在している。なお、第1切れ目121および第2切れ目122は、直線状に放射方向X1、X2に延在しているが、蛇行等しながら放射方向X1、X2に延在してもよい。以下、第1の放射方向X1を、第1切れ目121の延在方向X1とも称し、第2の放射方向X2を、第2切れ目121の延在方向X2とも称する。また、第1の放射方向X1および第2の放射方向X2を、スリット120の延在方向X1、X2とも称する。
第1切れ目121の長さ(延在方向X1に沿う寸法)および第2切れ目122の長さ(延在方向X2に沿う寸法)は、挿通させる医療器具の挿入部(本実施形態では、膵管チューブ910の端部)の放射方向の最大寸法に応じて適宜設定できる。なお、図3Aでは、第1切れ目121の長さと第2切れ目122の長さが同一である形態を図示しているが、第1切れ目121の長さと第2切れ目122の長さは異なっていてもよい。
<破断抑制部130>
図1に示すように、破断抑制部130は、本実施形態では、複数の貫通孔141を有する生分解性シートから形成された補強シート140を含む。補強シート140は、本体部111を形成する生分解性シートと同様の生分解性シートによって形成できる。なお、図1、図3Aおよび図3B等では、補強シート140が、平面視において円形の外形を有する形態を示している。ただし、補強シート140の平面視における外形は、特に限定されず、例えば、楕円形、多角形等であってもよい。
補強シート140には、生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能な挿通孔142が形成されている。挿通孔142は、補強シート140を厚み方向に貫通する。図3Aでは、挿通孔142が、互いに交差する一対の切れ目143、144によって構成されている例を図示している。ただし、挿通孔142は、医療器具の挿入部を挿通可能であればよく、平面視において丸形、楕円形、多角形等の外形を有する孔であってもよい。
以下、一対の切れ目143、144のそれぞれを、第3切れ目143および第4切れ目144と称する。
第3切れ目143は、第3の放射方向X3に延在している。第4切れ目144は、第3の放射方向X3と異なる第4の放射方向X4に延在している。なお、第3切れ目143および第4切れ目144は、直線状に放射方向X3、X4に延在しているが、蛇行等しながら放射方向X3、X4に延在してもよい。
図3Aに示すように、補強シート140は、平面視において挿通孔142の周縁142aがスリット120の周縁120aと交差するように本体部111上に配置されている。図3Aでは、補強シート140は、第3切れ目143と第4切れ目144が交差する部分と第1切れ目121と第2切れ目122が交差する部分と平面視において重なるように、本体部111上に配置されている。また、図3Aでは、補強シート140は、第3切れ目143および第4切れ目144が、第1の放射方向X1および第2の放射方向X2と異なる方向に延在するように、配置されている。ただし、補強シート140の位置は、平面視において挿通孔142の周縁142aがスリット120の周縁120aと交差する限り特に限定されない。
図1および図4に示すように、補強シート140は、本実施形態では、本体部111の裏面114上に配置されている。ただし、補強シート140は、本体部111の表面113上に配置されていてもよい。
図4に示すように、補強シート140の外周縁の近辺140aは、本体部111に接合されている。補強シート140の外周縁の近辺140aは、全周に亘って本体部111に接合されていてもよいし、部分的に本体部111に接合されていてもよい。補強シート140を本体部111に接合する方法は特に限定されないが、例えば、生分解性の糸や生分解性の接着材料等を用いる方法等が挙げられる。
図3Aに示すように、第3切れ目143の長さ(第3切れ目143の延在方向X3に沿う寸法)および第4切れ目144の長さ(第4切れ目143の延在方向X4に沿う寸法)は、挿通させる医療器具の挿入部の放射方向の最大寸法に応じて適宜設定できる。なお、図3Aでは、第3切れ目143の長さと第4切れ目144の長さが同一である形態を図示しているが、第3切れ目143の長さと第4切れ目144の長さは異なっていてもよい。また、図3Aでは、全ての切れ目121、122、143、144の長さが同一である形態を図示しているが、全ての切れ目121、122、143、144の長さは同一でなくてもよい。
次に、膵管チューブ910が、本体部111の表面113側から挿入される場合を例に、医療器具が本体部111に形成されたスリット120および補強シート140に形成された挿通孔142に挿入された際の癒合促進デバイス100の各部の状態について説明する。
図3Bおよび図4に示すように、膵管チューブ910が本体部111の表面113側から挿入された状態では、癒合促進シート110(本体部111)においてスリット120の周辺に位置する部分110aが膵管チューブ910の挿入に伴って折れ曲がり、膵管チューブ910の外周面に接触する。そのため、癒合促進シート110は、膵管チューブ910によって十分に保持できる。そのため、術者は、膵管チューブ910に癒合促進シート110を保持させて、癒合促進シート110を簡便に接合対象となる膵実質上に容易に配置できる。
なお、本実施形態では、スリット120は本体部111に形成されている。本体部111には複数の貫通孔112が形成されている。そのため、膵管チューブ910がスリット120に挿入された際や膵管チューブ910がスリット120を挿通した状態で術者が本体部111を牽引して膵実質B1等の生体器官に対して本体部111を位置調整する際等に、本体部111はスリット120の延在方向X1、X2に破れる可能性がある。これに対し、癒合促進デバイス100は、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを抑制する破断抑制部130を有する。そのため、膵管チューブ910をスリット120に挿入した際に、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを抑制できる。
具体的には、本実施形態では、膵管チューブ910は、本体部111に形成されたスリット120だけでなく、破断抑制部130を構成する補強シート140の挿通孔142も挿通する。補強シート140は、図3Aに示すように、平面視において挿通孔142の周縁142aがスリット120の周縁120aと交差するように配置されている。そのため、図3Bに示すように、挿通孔142の周縁142aは、膵管チューブ910がスリット120を押し広げることを抑制する。そのため、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを抑制できる。また、挿通孔142の周縁142aは、膵管チューブ910がスリット120を押し広げることを抑制するため、膵管チューブ910は癒合促進シート110を好適に保持できる。
以上説明したように、本実施形態に係る癒合促進デバイス100は、癒合促進シート110を有する。癒合促進シート110は、複数の貫通孔112を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部111を含む。癒合促進シート110には、生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能なスリット120が形成されている。
上記癒合促進デバイス100によれば、接合対象となる生体器官の被接合部位の間に癒合促進シートの本体部111を挟み込ませることにより、生体器官の生体組織の癒合を促進することができる。また、スリット120に生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通させた状態では、癒合促進シート110においてスリット120の周辺に位置する部分110aが当該医療器具の挿入に伴って折れ曲がり、当該医療器具の外周面に接触する。そのため、癒合促進シート110は、生体器官を接合する手技に用いる医療器具によって十分に保持できる。以上より、上記癒合促進デバイス100は、外科手術等の術後における縫合不全のリスクを低減させることができ、生体器官を接合する手技に用いる医療器具によって十分に保持できる。
また、スリット120は本体部111に形成されており、癒合促進デバイス100は、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを抑制する破断抑制部130をさらに有する。そのため、本体部111は複数の貫通孔112が形成されており、医療器具を挿入した際にスリット120の延在方向X1、X2に破断しやすいが、破断抑制部130は、スリット120に医療器具を挿入する際に本体部111が破断することを抑制できる。
また、破断抑制部130は、複数の貫通孔141を有する生分解性シートから形成された補強シート140を含む。補強シート140には、医療器具を挿通可能な挿通孔142が形成されている。補強シート140は、平面視において挿通孔142の周縁142aがスリット120の周縁120aと交差するように本体部111上に配置されている。このような構成によれば、挿通孔142の周縁142aは、医療器具がスリット120を押し広げることを抑制する。そのため、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを抑制できる。また、挿通孔142の周縁142aは、医療器具がスリット120を押し広げることを抑制するため、医療器具は癒合促進シート110を好適に保持できる。
また、スリット120は、互いに交差する一対の切れ目121、122を含む。そのため、スリット120を構成する切れ目が一つである場合と比較して、術者は、スリット120に容易に膵管チューブ910を挿入できる。
次に、上述した癒合促進デバイス100の破断抑制部130の変形例1~3について説明する。なお、変形例1~3の説明において、上述した癒合促進デバイス100で説明した構成や内容については、その説明を適宜省略する。
<変形例1>
図5Aは、癒合促進デバイス100における破断抑制部130の変形例1を示す平面図であって、癒合促進デバイス100を癒合促進シート110の表面113側から見た図である。図5Bは、図5Aの5B-5B線に沿う断面の一部を拡大して示す断面図である。
図5Aに示すように、破断抑制部130を構成する補強シート140に形成された挿通孔242は、円形であってもよい。挿通孔242の直径は、スリット120を構成する切れ目121、122の長さよりも小さく、かつ、スリット120に挿入される医療器具の挿入部の放射方向の最大寸法以下であることが好ましい。そして、補強シート140は、図5Bに示すように、癒合促進シート110において膵管チューブ910が挿入される側(表面113側)とは反対側(裏面114側)に設けることが好ましい。
このような構成によれば、図5Bに示すように、癒合促進シート110のスリット120の周辺に位置する部分110aは、膵管チューブ910の挿入に伴って折れ曲がった際に挿通孔242の周縁242aによって支持される。挿通孔242の直径は、スリット120に挿入される医療器具の挿入部の放射方向の最大寸法以下であるため、挿通孔242の周縁242aは、癒合促進シート110において折れ込んだ部分110aが医療器具の挿入部の外周面に接触するように促す。これによって、癒合促進シート110と医療器具の接触面積を増加させることができる。そのため、膵管チューブ910は、癒合促進シート110を好適に保持できる。
なお、変形例1のように補強シート140に形成された挿通孔242が切り目によって構成されていない場合、補強シート140は全面に亘って本体部111に接合されていてもよい。
<変形例2>
図6は、癒合促進デバイス100における破断抑制部130の変形例2を示す平面図である。
図6に示すように、破断抑制部130は、本体部111においてスリット120の端部の近傍に形成された孔部151~154を含み、各孔部151~154は、スリット120において各孔部151~154に最も近い部分の延在方向と交差する方向に延在している。
以下、複数の孔部151~154のそれぞれを、第1孔部151、第2孔部152、第3孔部153、および第4孔部154と称する。
図6では、第1孔部151および第2孔部152は、第1切れ目121の延在方向X1の両端部に連なっている。同様に、第3孔部153および第4孔部154は、第2切れ目122の延在方向X2の両端部に連なっている。そして、第1孔部151および第2孔部152は、第1孔部151および第2孔部152に最も近い第1切れ目121の延在方向X1と交差する方向に延在している。同様に、第3孔部153および第4孔部154は、第3孔部153および第4孔部154に最も近い第2切れ目122の延在方向X2と交差する方向に延在している。このような構成によれば、膵管チューブ910がスリット120を押し広げることによって本体部111に作用する応力が、スリット120の延在方向X1、X2と交差する方向に分散される。そのため、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを効果的に抑制できる。
なお、ただし、第1孔部151および第2孔部152は、第1切れ目121の端部の近傍に設けられていればよく、第1切れ目121の端部から離間していてもよい。同様に、第3孔部153および第4孔部154は、第2切れ目122の端部の近傍に設けられていればよく、第2切れ目122の端部から離間していてもよい。なお、「スリットの端部の近傍」とは、特に限定されないが、例えば、スリットの端部から0~2mm程度の範囲を意味する。各孔部151~154がスリット120の端部から離間している場合、仮に膵管チューブ910がスリット120を押し広げることによってスリット120の端部を起点として本体部111が僅かに破断したとしても、各孔部151~154によって破断を堰き止めることができる。
なお、図6では、各孔部151~154は、円弧状に延びる切れ目によって構成している。ただし、各孔部151~154の形状は、第1切れ目121の延在方向X1と交差する方向に延在している限り特に限定されない。例えば、各孔部151~154は、直線状に延びる切れ目や蛇行する切れ目等によって構成してもよいし、切れ目ではなく平面視で楕円形や長方形等の外形を有する貫通孔によって構成してもよい。
また、各孔部151~154の周縁には、生分解性の補強体を設けてもよい。これによって、各孔部151~154の周縁を補強することができる。
以上説明したように、破断抑制部130は、破断抑制部130は、本体部111においてスリット120の端部の近傍に形成された孔部151~154を含み、各孔部151~154は、スリット120において各孔部151~154に最も近い部分の延在方向と交差する方向に延在していてもよい。このような構成によれば、膵管チューブ910がスリット120を押し広げることによって本体部111に作用する応力をスリット120の延在方向X1、X2と交差する方向に分散することができる。そのため、孔部151~154は、本体部111がスリット120の延在方向X1、X2に破断することを効果的に抑制できる。
<変形例3>
図7は、癒合促進デバイス100における破断抑制部130の変形例3を示す平面図である。
図7では、スリット220は、4つの切れ目221~224を含む。そして、4つの切れ目221~224のうちの一の切れ目221に対して、残りの切れ目222~224が交差している。このような構成によれば、上述したように癒合促進シート110に互いに交差する一対の切れ目121、122のみが形成されている形態と比較して、癒合促進シート110と膵管チューブ910との間に作用する摩擦力を増加させることができる。そのため、医療器具は、癒合促進シート110を好適に保持できる。
図7に示すように、破断抑制部130は、各スリット220の端部に設けられた補強体160を含んでもよい。補強体160は、生分解性材料によって形成できる。補強体160によってスリット220の端部を補強できるため、本体部111がスリット220の延在方向X1、X2に破断することを効果的に抑制できる。なお、図7では、補強体160は、スリット220の端部にのみ設けられているが、補強体は、スリット220の周縁の全周に設けられていてもよい。補強体が、スリット220の周縁の全周に設けられていている場合、医療器具がスリット220を押し広げようとする力に対する反発力を増加させることができる。そのため、癒合促進シート110は医療器具によって好適に保持できる。
以上説明したように、破断抑制部は130、スリット120の端部に設けられた補強体160を含んでもよい。このような構成によれば、本体部111が各スリット120の延在方向X1、X2に破断することを効果的に抑制できる。
また、スリット220は、3以上の切れ目221~224を含み、3以上の切れ目221~224のうちの一の切れ目221に対して残りの切れ目222~224が交差していてもよい。このような構成によれば、医療器具は、癒合促進シート110を好適に保持できる。
なお、破断抑制部は、補強シート140、孔部151~154、補強体160の少なくとも2以上を含んでもよい。また、破断抑制部の構成は、本体部がスリットの延在方向に破断することを抑制できる限り特に限定されない。例えば、破断抑制部は、スリットの端部を円形に打ち抜いた孔であってもよい。このような構成によれば、スリットの端部に作用する応力を分散させることができる。
<処置方法の実施形態(生体器官吻合術)>
次に、癒合促進デバイスを用いた処置方法を説明する。
図8は、癒合促進デバイスを用いた処置方法の各手順を示すフローチャートである。
処置方法は、癒合促進デバイスおよび医療器具を準備すること(S11)を含む。処置方法はさらに、医療器具の挿入部を癒合促進シートに形成されたスリットに挿入させて、医療器具に癒合促進シートを保持させた状態で一対の被接合部位の間に癒合促進デバイスを配置すること(S12)を含む。一方の被接合部位と他方の被接合部位との間に癒合促進シートの本体部の少なくとも一部を配置した状態で一方の被接合部位と他方の被接合部位とを接合すること(S13)、を含む。
処置方法により接合される生体器官および生体器官における被接合部位は特に限定されず、任意に選択することができる。以下の説明では、膵実質-空腸吻合術を例に挙げて説明する。ただし、上記処置方法は、大腸吻合術や胃管吻合術に適用されてもよい。また、以下に説明する各手技において使用される癒合促進デバイスとしては、例えば、前述した癒合促進デバイスの中から任意のものを選択することが可能であるし、その他の癒合促進デバイスを選択することもできる。ただし、以下の説明では、各手技に好適に用いることができる代表的な例として、特定の癒合促進デバイスの使用例を説明する。また、以下に説明する各手技において、公知の手技手順や公知の医療装置・医療器具等については詳細な説明を適宜省略する。
以下、本明細書の説明において「生体器官の間に癒合促進シートを配置する」とは、生体器官に癒合促進シートが直接的にまたは間接的に接触した状態で配置されること、生体器官との間に空間的な隙間が形成された状態で癒合促進シートが配置されること、またはその両方の状態で癒合促進シートが配置されること(例えば、一方の生体器官に癒合促進シートが接触し、他方の生体器官には癒合促進シートが接触していない状態で配置されること)の少なくとも一つを意味する。また、本明細書の説明において「周辺」とは、厳密な範囲(領域)を規定するものではなく、処置の目的(生体器官同士の接合)を達成し得る限りにおいて、所定の範囲(領域)を意味する。また、各処置方法において説明する手技手順は、処置の目的を達成し得る限りにおいて、順番を適宜入れ替えることが可能である。また、本明細書の説明において「相対的に接近させる」とは、接近させる対象となる2つ以上のものを、互いに接近させること、一方のみを他方のみに接近させることの両方を意味する。
<処置方法の実施形態(膵実質-空腸吻合術)>
図9は、処置方法の実施形態(膵実質-空腸吻合術)の手順を示すフローチャートであり、図10~図17は、膵実質-空腸吻合術の説明に供する図である。
本実施形態に係る処置方法において、接合対象となる生体器官は、膵頭十二指腸切除後の膵実質B1と、空腸B2である。以下の説明では、切断した膵実質B1の切断面B1a周辺(一方の被接合部位)と空腸B2の腸壁の任意の部位(他方の被接合部位)を接合する手順を説明する。また、本実施形態では、図1に示した癒合促進デバイス100の使用例を説明する。
図9に示すように、本実施形態に係る処置方法は、癒合促進デバイス100および膵管チューブ910を準備すること(S101)、膵管チューブ910の端部912を癒合促進シート110に形成されたスリット120に挿入させて、膵管チューブ910に癒合促進シート110を保持させた状態で膵実質B1上に癒合促進デバイス100を配置すること(S102)、癒合促進シート110を固定部材で膵実質B1に固定すること(S103)、膵実質B1と空腸B2の間で癒合促進シート110を挟み込むこと(S104)、膵実質B1と空腸B2の間に癒合促進シート110を挟み込んだ状態で接合すること(S105)、膵実質B1と空腸B2の間に癒合促進シート110を留置すること(S106)、を含む。
次に、図10~図17を参照して、本実施形態に係る処置方法の一例を具体的に説明する。なお、図15では、後述する複数の両端針920a~920eを省略している。
まず、術者は、癒合促進デバイス100および膵管チューブ910を準備する。
次に、図10に示すように、術者は、膵管チューブ910の端部912を癒合促進シート110に形成されたスリット120に挿入して膵管チューブ910に癒合促進シート110を保持させた状態で膵実質B1上に癒合促進デバイス100を配置する。
癒合促進デバイス100を膵実質B1の切断面B1aに配置する具体的な手順は特に限定されないが、例えば、以下の手順で行うことができる。まず、術者は、膵管チューブ910の端部911が空腸B2の吻合予定部位の貫通孔B2aから空腸B2の内部を通り、空腸B2の貫通孔B2bから空腸B2の外部に出るように、膵管チューブ910を空腸B2に挿通させておく。次に、術者は、膵管チューブ910が癒合促進シート110のスリット120を挿通して癒合促進シート110を保持した状態で、膵管チューブ910の端部912を膵実質B1の膵管B1bに仮挿入する。そして、術者は、癒合促進シート110を膵実質B1の切断面B1aに付着させる。なお、膵管チューブ910としては、例えば、端部912に抜け防止用のコブ(凸部)が形成された樹脂製の公知のものを利用することができる。膵管B1bに仮挿入された膵管チューブ910は、手技中に膵管B1bから膵液等の体液が漏出することを抑制する。このような手順によれば、術者は、癒合促進デバイス100の配置及び膵管チューブ910の仮挿入を一度に行うことができる。
なお、この際、術者は、癒合促進シート110を牽引して、癒合促進シート110の位置調整を行ってもよい。
次に、術者は、癒合促進シート110を固定部材で膵実質B1に固定する。なお、以下の説明では、複数の両端針920a~920eを固定部材として用いて癒合促進シート110を膵実質B1に固定する手順の一例を説明する。両端針920a~920eとしては、生体吸収性を備える吸収糸(縫合糸)と、吸収糸の両端に取り付けられた生体適合性を備える針部と、を有する公知のものを用いることができる。なお、後述する両端針930、940a~940eについても、吸収糸および針部を備えるように構成している。
まず、術者は、図11に示すように、膵実質B1の後壁B1c(膵実質B1の周方向の背側の部分)および癒合促進シート110において後壁B1c上に配置された部分から、膵実質B1の前壁B1d(膵実質B1の周方向の腹側の部分)および癒合促進シート110において前壁B1d上に配置された部分に向かって、両端針920aを運針する。次に、術者は、空腸B2の吻合予定部位(貫通孔B2aの周辺)の空腸漿膜筋層を挿通するように両端針920aを運針する。術者は、このような操作を繰り返し、図12に示すように、癒合促進シート110、膵実質B1、および空腸B2の空腸漿膜筋層に複数の両端針920a~920eを挿通させる。このように、術者は、膵実質B1と空腸B2を縫合する複数の両端針920a~920eを利用して、癒合促進シート110を膵実質B1に固定できる。
なお、膵実質B1、および空腸B2の空腸漿膜筋層に挿通させる両端針の本数や両端針を挿通させる位置は特に限定されない。また、術者は、複数の両端針920a~920eではなく、生分解性のステープル等を固定部材として、癒合促進シート110を膵実質B1に固定してもよい。
次に、術者は、図12に示すように、膵管チューブ910の端部912を膵管B1bから抜去する。
次に、術者は、図12に示すように、膵管B1bの内腔側から膵実質B1の切断面B1aの前壁B1d側の部分に向かって、両端針930を通す。両端針930は、空腸B2を挿通させない状態でピンセット等の把持器具(図示省略)で手技の邪魔にならないように保持される。
次に、術者は、図12および図14に示すように、膵管B1bの内腔側から膵実質B1の切断面B1aに向かって、両端針940aの一端を運針する。次に、術者は、図13および図14に示すように、両端針940aの他端を空腸B2の貫通孔B2aに挿入し、空腸B2の内部から空腸B2の外部に向かって両端針940aの他端を運針する。そして、術者は、図15に示すように、膵管B1bの周方向の異なる部位および空腸B2に、複数の両端針940a~940eを挿通させる。
次に、術者は、図15に示すように、膵実質B1の後壁B1cおよび膵管B1bを空腸B2の吻合予定部位に密着させる。そして、複数の両端針940a~940eのうち、膵管B1bの周方向の背側(後壁B1c側)を挿通する両端針940c~940eを結紮する。
次に、術者は、図16に示すように、膵管チューブ910の端部912を膵管B1bに再挿入する。次に、術者は、両端針930において膵管B1bの内側から延びる針部931を、空腸B2に形成した貫通孔B2aに挿入し、空腸B2の内部から空腸B2の外部に向かって針部931運針する。
次に、術者は、両端針930、940a、940bを結紮する(図示省略)。なお、膵管B1bおよび空腸B2に挿通させる両端針の本数や両端針を挿通させる位置は特に限定されない。
次に、術者は、図17に示すように、術者の指を以って空腸B2を膵実質B1に対して押さえつけながら両端針920a~920eを結紮する。これによって、膵実質B1と空腸B2が癒合促進シート110を挟み込んだ状態で縫合される。空腸B2は、縫合時に生じる張力により、膵実質B1の切断面B1aおよび癒合促進シート110の本体部111を包み込むように変形する。
術者は、膵実質B1の切断面B1aと空腸B2の腸壁との間に癒合促進デバイス100の本体部111が挟み込まれた状態で癒合促進シート110を留置する。癒合促進シート110の本体部111は、膵実質B1の切断面B1aと空腸B2の腸壁とに接触しつつ、膵実質B1の切断面B1aと空腸B2の腸壁との間に留置されることにより、膵実質B1の生体組織と空腸B2の腸壁の生体組織の癒合を促進する。
以上のように、本実施形態に係る処置方法は、膵実質B1および空腸B2を接合する手技に適用される。また、上記の処置方法では、切断された膵実質B1の切断面B1a周辺と空腸B2の腸壁(空腸漿膜筋層)を接合する。この処置方法によれば、膵実質B1の切断面B1aと空腸B2の腸壁の間に挟み込んだ癒合促進シート110の本体部111により、膵実質B1の生体組織と空腸B2の腸壁の生体組織の癒合を促進することができ、膵実質-空腸吻合術後の縫合不全のリスクを低減させることができる。
また上記処置方法では、膵管チューブ910が癒合促進シート110のスリット120を挿通して癒合促進シート110を保持した状態で、膵管チューブ910の端部912を膵実質B1の膵管B1bに仮挿入する。そのため、術者は、癒合促進デバイス100の配置及び膵管チューブ910の仮挿入を一度に行うことができる。この際、癒合促進シート110においてスリット120の周辺に位置する部分が膵管チューブ910の挿入に伴って折れ曲がり、膵管チューブ910の外周面に接触する。そのため、癒合促進シート110は、膵管チューブ910によって十分に保持できる。その結果、術者は、癒合促進シート110を簡便に配置できる。
なお、本発明に係る癒合促進デバイスは、図18に示すように、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2の接合に適用してもよい。例えば、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2を接合する手技では、ステープルにより生体組織の周囲を円周状に縫合する接合装置950を用いることができる。接合装置950は、被係合部951aを備える第1係合部951と、被係合部951aと係合する係合ピン952aを備える第2係合部952と、を有する。大腸の口側A1と大腸の肛門側A2の接合に用いる癒合促進シート310には、例えば、被係合部951a(または係合ピン952a)を挿通可能なスリット320が形成されていてもよい。このように、接合装置950に癒合促進シート310を保持させることによって、癒合促進シート310を大腸の口側A1と大腸の肛門側A2の間に簡便に配置できる。
また、第1係合部951および第2係合部952は、大腸の口側A1と大腸の肛門側A2を接合する際に、癒合促進シート310においてスリット320を含む領域を打ち抜き刃(図示省略)によって打ち抜く。癒合促進シート310において打ち抜かれる領域(切除される領域)は、必ずしも複数の貫通孔が形成された生分解性シートによって構成されている必要はない。すなわち、スリット320は、必ずしも癒合促進シート310の本体部(複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する部分)に形成されていなくてもよい。
本出願は、2019年3月28日に出願された日本国特許出願第2019-64729号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
100 癒合促進デバイス、
110、310 癒合促進シート、
111 本体部、
112 貫通孔、
120、220、320 スリット、
120a スリットの周縁、
121、122、221~224 切れ目、
130 破断抑制部、
140 補強シート、
141 貫通孔、
142、242 挿通孔、
142a、242a 挿通孔の周縁、
151~154 孔部、
160 補強体、
910 膵管チューブ(生体器官を接合する手技に用いる医療器具)、
950 接合装置(生体器官を接合する手技に用いる医療器具)、
A1 大腸の口側、
A2 大腸の肛門側、
B1 膵実質、
B2 空腸、
X1、X2 スリットの延在方向、
Z 生体器官を接合する手技に用いる医療器具の挿入方向

Claims (5)

  1. 癒合促進シートを有し、
    前記癒合促進シートは、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部を含み、
    前記癒合促進シートには、前記生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能なスリットが前記本体部に形成されており、
    前記本体部は、前記スリットの延在方向に破断することを抑制する破断抑制部を有し、
    前記破断抑制部は、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成された補強シートを含み、
    前記補強シートには、前記医療器具を挿通可能な挿通孔が形成されており、
    前記補強シートは、平面視において前記挿通孔の周縁が前記スリットの周縁と交差するように前記本体部上に配置されている、癒合促進デバイス。
  2. 癒合促進シートを有し、
    前記癒合促進シートは、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部を含み、
    前記癒合促進シートには、前記生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能なスリットが前記本体部に形成されており、
    前記本体部は、前記スリットの延在方向に破断することを抑制する破断抑制部を有し、
    前記破断抑制部は、前記本体部において前記スリットの端部の近傍に形成された孔部を含み、
    前記孔部は、前記スリットにおいて前記孔部に最も近い部分の延在方向と交差する方向に延在している、癒合促進デバイス。
  3. 癒合促進シートを有し、
    前記癒合促進シートは、複数の貫通孔を有する生分解性シートから形成され、接合対象となる生体器官の間において生体組織の癒合を促進する本体部を含み、
    前記癒合促進シートには、前記生体器官を接合する手技に用いる医療器具を挿通可能なスリットが前記本体部に形成されており、
    前記本体部は、前記スリットの延在方向に破断することを抑制する破断抑制部を有し、
    前記破断抑制部は、前記スリットの端部に設けられた生分解性の補強体を含む、癒合促進デバイス。
  4. 前記スリットは、互いに交差する一対の切れ目を含み、
    前記切れ目は、前記スリットの端部から端部までである請求項1~3のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
  5. 前記スリットは、3以上の切れ目を含み、
    前記切れ目は、前記スリットの端部から端部までであり、
    前記3以上の切れ目のうちの一の切れ目に対して残りの切れ目が交差している請求項のいずれか1項に記載の癒合促進デバイス。
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