WO2023042911A1 - 腋臭防止用組成物 - Google Patents

Abstract

【課題】　腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物の提供。 【解決手段】　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、腋臭防止用組成物であって、　アゾール成分の含有量が、腋臭防止用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物。　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、臭気物質産生抑制用組成物であって、　アゾール成分の含有量が、臭気物質産生抑制用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物。

Description

腋臭防止用組成物

　本発明は、腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物に関する。詳細には、本発明は、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物に関する。

　近年、体臭が周囲へ与える不快感が問題となっており、体臭の中でも、とりわけ腋臭を気にする人が増えている。そのため、様々な制汗剤やデオトラントが上市されている。また、腋臭防止剤や腋臭の防止方法も開発されており、特許文献１には、アゾールなどを含む殺菌組成物を腋窩に適用することを含む、ヒトの腋窩の悪臭発生を防止する方法が提案されている。

　一方、特許文献２には、抗真菌薬としてテルビナフィンを、制汗剤として塩化アルミニウム六水和物を、そして溶媒ビヒクルとしてエタノールを含む足白癬の処置のための溶液が開示されている。

米国特許出願公開第２００３／０１６１７９９号明細書 特表２０１９－５２６６３１号公報

　特許文献１には、殺菌組成物中のアゾールなどの含有量が具体的に開示されていない。
　また、引用文献２は、抗真菌薬と制汗剤とを併用した、足白癬の処置に有効な組成物の提供を目的とするものであり、腋臭を防止する手段や臭気物質の産生を抑制する手段を提案するものではない。また、特許文献２に開示された上記の足白癬の処置のための溶液中のテルビナフィンの濃度は、約１％である。

　本発明の目的は、腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物を提供することである。

　本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、少量のアゾール成分で腋臭を防止できることを見出し、本発明を完成した。
　また、本発明者らは、少量のアゾール成分で臭気物質の産生を抑制できることを見出し、本発明を完成した。

　すなわち本発明は、
［１］アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、腋臭防止用組成物であって、
　アゾール成分の含有量が、腋臭防止用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物、
［２］前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、［１］に記載の腋臭防止用組成物、
［３］収斂剤をさらに含む、［１］又は［２］に記載の腋臭防止用組成物、
［４］前記収斂剤がパラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の収斂剤である、［３］に記載の腋臭防止用組成物、
［５］前記アゾール成分の析出が抑制されている、［３］に記載の腋臭防止用組成物、
［６］抗酸化剤をさらに含む、［１］又は［２］に記載の腋臭防止用組成物、
［７］前記抗酸化剤がトコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の抗酸化剤である、［６］に記載の腋臭防止用組成物、
［８］前記アゾール成分の析出が抑制されている、［６］に記載の腋臭防止用組成物、
［９］前記腋臭防止用組成物の剤型がクリーム剤、液剤、スプレー剤、スティック剤及びロールオン剤からなる群から選ばれる剤型である、［１］又は［２］に記載の腋臭防止用組成物、
［１０］［１］又は［２］に記載の腋臭防止用組成物を腋に適用する、腋臭を防止する方法
に関する。

　また、本発明は、
［１１］アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、臭気物質産生抑制用組成物であって、
　アゾール成分の含有量が、臭気物質産生抑制用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物、
［１２］前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、［１１］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１３］前記臭気物質が３－ヒドロキシ－３－メチルヘキサン酸、３－メチル－２－ヘキセン酸、イソ吉草酸、３－メチル－３－スルファニルヘキサン－１－オール及び３－メルカプト－１－ヘキサノールからなる群から選択される少なくとも１種の臭気物質である、［１１］又は［１２］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１４］収斂剤をさらに含む、［１１］又は［１２］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１５］前記収斂剤がパラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の収斂剤である、［１４］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１６］前記アゾール成分の析出が抑制されている、［１４］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１７］抗酸化剤をさらに含む、［１１］又は［１２］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１８］前記抗酸化剤がトコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の抗酸化剤である、［１７］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［１９］前記アゾール成分の析出が抑制されている、［１７］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［２０］前記臭気物質産生抑制用組成物の剤型がクリーム剤、液剤、スプレー剤、スティック剤及びロールオン剤からなる群から選ばれる剤型である、［１１］又は［１２］に記載の臭気物質産生抑制用組成物、
［２１］［１１］又は［１２］に記載の臭気物質産生抑制用組成物を腋に適用する、臭気物質の産生を抑制する方法
に関する。

　さらに、本発明は、
［２２］アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法、
［２３］アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、トコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法、
［２４］前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、［２２］又は［２３］に記載の方法、
［２５］前記外用組成物の剤型が液剤である、［２２］又は［２３］に記載の方法、
［２６］前記外用組成物が、腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物からなる群から選択される少なくとも１つである、［２２］又は［２３］に記載の方法、
［２７］前記アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分が、ミコナゾール硝酸塩である、［１］に記載の腋臭防止用組成物
に関する。

　本発明の腋臭防止用組成物は、腋臭を防止することができるという効果を有する。
　また、本発明の腋臭防止用組成物は、特定の収斂剤又は特定の抗酸化剤を含有することにより、安定して保存することができるという効果を有する。

　本発明の臭気物質産生抑制用組成物は、臭気物質の産生を抑制できるという効果を有する。
　また、本発明の臭気物質産生抑制用組成物は、特定の収斂剤又は特定の抗酸化剤を含有することにより、安定して保存することができるという効果を有する。

　また、本発明は、組成物に含まれるアゾール成分の含有量を少量にすることにより、保存中のアゾール成分の析出が抑制されるという効果を有する。

図１は、試験例１における、実施例１の組成物と、比較例１の組成物とを用いた、腋臭防止効果に関するヒト官能評価試験の結果を示すグラフである。 図２は、試験例１における、実施例２の組成物と、比較例１の組成物とを用いた、腋臭防止効果に関するヒト官能評価試験の結果を示すグラフである。 図３は、試験例１における、実施例３の組成物と、比較例１の組成物とを用いた、腋臭防止効果に関するヒト官能評価試験の結果を示すグラフである。 図４は、試験例１における、実施例４の組成物と、比較例２の組成物とを用いた、腋臭防止効果に関するヒト官能評価試験の結果を示すグラフである。 図５は、試験例１における、実施例５の組成物と、比較例２の組成物とを用いた、腋臭防止効果に関するヒト官能評価試験の結果を示すグラフである。 図６は試験例２における３－ヒドロキシ－３－メチルヘキサン酸の産生抑制効果を示すグラフである。 図７は試験例２における３－メチル－２－ヘキセン酸の産生抑制効果を示すグラフである。 図８は試験例２におけるイソ吉草酸の産生抑制効果を示すグラフである。 図９は試験例２における３－メチル－３－スルファニルヘキサン－１－オールの産生抑制効果を示すグラフである。 図１０は試験例２における３－メルカプト－１－ヘキサノールの産生抑制効果を示すグラフである。

［腋臭防止用組成物］
　本発明は、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、腋臭防止用組成物であって、アゾール成分の含有量が、腋臭防止用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物に関する。
　本発明の腋臭防止用組成物の対象は腋臭であるが、他の部位（頭皮、顔部、体幹部、股間、足裏等）の臭いに使用することもできる。

＜アゾール成分＞
　本発明において、アゾール成分は、腋臭を防止する作用を発揮するものであり、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種である。
　本発明に使用し得るアゾール成分は特に限定されないが、例えば、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、クロコナゾール、ネチコナゾール、イソコナゾール、スルコナゾール、ビホナゾール、ボリコナゾール、ホスフルコナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾール及びそれらの塩等が挙げられ、前記塩としては、硝酸塩、塩酸塩等が挙げられる。
　上記アゾール成分は、１種類を単独で使用することもできるが、２種以上を混合して使用することもできる。
　アゾール成分としては、ミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、ケトコナゾール、スルコナゾール、ビホナゾール、ボリコナゾール、ホスフルコナゾール、ラノコナゾール、ルリコナゾール又はそれらの塩が好ましく、さらに日本国内で、外用医薬品や医薬部外品として使用されている実績のあるミコナゾール、ケトコナゾール又はそれらの塩がより好ましく、ミコナゾール又はその塩がさらに好ましく、とりわけミコナゾール硝酸塩が好ましい。
　また、別の態様として、アゾール成分としては、とりわけケトコナゾールが好ましい。

　本発明は少量、具体的には、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、０．２質量％以下のアゾール成分で、腋臭を防止できるという効果を発現することができるので、アゾール成分の含有量は、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、０．０１ないし０．２質量％であり、好ましくは０．０１ないし０．１質量％であり、より好ましくは０．０３ないし０．１質量％であり、さらに好ましくは０．０４ないし０．０６質量％である。

＜収斂剤＞
　本発明の腋臭防止用組成物は、収斂剤を含有してもよい。
　収斂剤を含有することにより、腋臭を防止する効果を向上させることができる。また、腋臭防止用組成物からアゾール成分が析出するのを抑制して、腋臭防止用組成物を安定して保存することができる。さらに、収斂剤は、その含有量によっては、収斂作用を発揮し得る。
　収斂剤としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛等の亜鉛塩、クロルヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム等のアルミニウム塩及びミョウバン等の金属塩、並びに、クエン酸、乳酸、タンニン酸、コハク酸、リンゴ酸及び酒石酸等の有機酸等が挙げられる。収斂剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明において、収斂剤としては、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリン酸からなる群から選ばれる少なくとも１種が好ましく、パラフェノールスルホン酸亜鉛及びクロルヒドロキシアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも１種がより好ましい。

　本発明において、収斂剤の含有量は腋臭を防止する効果を向上させ、また腋臭防止用組成物を安定して保存できるのに十分な量であれば特に限定されず、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、好ましくは０．０１ないし１５質量％であり、より好ましくは０．１ないし１０質量％であり、さらに好ましくは０．１ないし５質量％である。

　本発明において、アゾール成分：収斂剤の含有比率は、質量比にて、好ましくは１：１ないし１０００であり、より好ましくは１：１ないし３００であり、さらに好ましくは１：１ないし２０であり、とりわけ好ましくは、１：１ないし１０である。
　収斂剤がパラフェノールスルホン酸亜鉛である場合、アゾール成分：パラフェノールスルホン酸亜鉛の含有比率は、質量比にて、好ましくは１：１ないし１０００であり、より好ましくは１：１ないし３００であり、さらに好ましくは１：１ないし５０である。
　収斂剤がクロルヒドロキシアルミニウムである場合、アゾール成分：クロルヒドロキシアルミニウムの含有比率は、質量比にて、好ましくは１：１ないし１０００であり、より好ましくは１：１ないし３００であり、さらに好ましくは１：１ないし２００である。

＜抗酸化剤＞
　本発明の腋臭防止用組成物は、抗酸化剤を含有してもよい。
　抗酸化剤を含有することにより、腋臭防止用組成物からアゾール成分が析出するのを抑制して、腋臭防止用組成物を安定して保存することができる。また、抗酸化剤は、その含有量によっては、抗酸化作用を発揮し得る。
　抗酸化剤としては、人体への安全性が確認されているものであれば特に制限なく含有させることができるが、たとえば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ジブチルヒドロキシトルエン（ＢＨＴ）、ブチルヒドロキシアニソール（ＢＨＡ）、没食子酸プロピル、イソプロピルガレート、トコフェロール及びその誘導体（例えば、酢酸トコフェロール、トコフェリルリン酸ナトリウム等）、茶エキス（例えば、緑茶から水、エタノール、エタノール溶液、プロピレングリコール溶液又はグリセリン溶液で抽出して得られるエキス等）、ビタミンＡ及びその誘導体（例えば、レチノイン酸、パルミチン酸レチノール等）、ビタミンＣ及びその誘導体（例えば、アスコルビン酸２－グルコシド、３－Ｏ－エチルアスコルビン酸等）、フェルラ酸、リノール酸、ハイドロキノン、アスタキサンチン、ナイアシンアミド、γ－オリザノール、天然ビタミンＥ、プラセンタエキスなどを用いることができる。抗酸化剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明において、抗酸化剤としては、トコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種が好ましい。

　本発明において、抗酸化剤の含有量は腋臭を防止する効果を向上させ、また腋臭防止用組成物を安定して保存できるのに十分な量であれば特に限定されず、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、好ましくは０．０１ないし１５質量％であり、より好ましくは０．０５ないし１０質量％であり、さらに好ましくは０．０５ないし５質量％である。

　本発明において、アゾール成分：抗酸化剤の含有比率は、質量比にて、好ましくは１：１ないし１０００であり、より好ましくは１：１ないし３００であり、さらに好ましくは１：１ないし２０であり、とりわけ好ましくは、１：１ないし１０である。

＜その他の添加剤＞
　本発明の腋臭防止用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した成分以外に、油性基剤、保湿剤、界面活性剤、アルコール、清涼剤、香料、抗炎症剤、紫外線吸収剤、抗菌・防腐剤、増粘剤、キレート剤、ｐＨ調整剤、可溶化剤、溶解補助剤、安定化剤、色素、粉体（例えば、ヒドロキシアパタイト等）、吸着剤（例えば、ヒドロキシプロピル－β－シクロデキストリン等）、及び皮膜形成剤（例えば、（アクリレーツ／ジメチコン）コポリマー、アクリレーツコポリマー等）等を少なくとも１種以上含有してもよい。

　油性基剤としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸２－ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸２－オクチルドデシル、パルミチン酸２－エチルヘキシル、パルミチン酸２－ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸２－エチルヘキシル、ステアリン酸２－ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸２－オクチルドデシル、リシノール酸２－オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、２－エチルヘキサン酸セチル、２－エチルヘキサン酸セトステアリル、２－エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ２－エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ（カプリル・カプリン酸）プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ２－エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ２－エチルヘキサン酸グリセリル、トリ（カプリル・カプリン酸）グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ２－エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ２－エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル（１）、ネオペンタン酸２－オクチルドデシル、２－エチルヘキサン酸２－ヘキシルデシル、２－エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸２－エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸２－ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸２－オクチルドデシル、イソパルミチン酸２－エチルヘキシル、イソステアリン酸２－ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸２－オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸２－オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ２－エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ２－オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸２－エチルヘキシル、コハク酸ジ２－エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ２－エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ２－エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、１２－ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、１２－ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、１２－ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン（３）モノオキシプロピレンセチルエーテル及び酢酸ポリオキシエチレン（３）モノオキシプロピレンイソセチルエーテル等のエステル油；アボガド油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、オリーブ油、カカオ油、椿油、ヤシ油、木ロウ、ホホバ油、グレープシード油等の植物性油脂類；スクワラン、流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシンワックス、パラフィンワックス、ワセリン等の炭化水素類；セタノール、ステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の高級アルコール類；メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン類など挙げられる。油性基剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明の腋臭防止用組成物が油性基剤を含有する場合、油性基剤の含有量はその効果が認められる範囲であればよく、特に限定されない。剤型によって好適な含有量は異なるが、例えばクリーム剤については、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、好ましくは５ないし４０質量％であり、より好ましくは１０ないし３０質量％である。

　保湿剤としては、コンドロイチン硫酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、グリセリン、濃グリセリン、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、１，３－ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、セラミド、トリメチルグリシン、植物抽出エキス及びジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム等が挙げられる。保湿剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明の腋臭防止用組成物が保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量はその効果が認められる範囲であればよく、特に限定されない。一例として、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、０．１ないし７０質量％が好ましく、１ないし５０質量％がより好ましい。

　界面活性剤としては、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸デカグリセリル、モノオレイルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル及びトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明の腋臭防止用組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量はその効果が認められる範囲であればよく、特に限定されない。一例として、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、好ましくは０．１ないし３０質量％であり、より好ましくは０．５ないし１５質量％である。

　アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノール等の低級アルコール、並びにブタンジオール、プロパンジオール（プロピレングリコール、１，３－プロパンジオール）、ペンタンジオール、ヘキサンジオール及びオクタンジオール等の多価アルコール等が挙げられる。アルコールは１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。
　本発明の腋臭防止用組成物がアルコールを含有する場合、アルコールの含有量は、特に限定されないが、一例として、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、好ましくは１ないし８０質量％であり、より好ましくは１ないし６０質量％である。

　清涼剤としては、メントール、メンチルグリセリルエーテル、乳酸メンチル、ハッカ油、ペパーミント油、カンファー及びサリチル酸メチル等が挙げられる。清涼剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　香料としては、シトラール、ボルネオ―ル及びオイゲノール等の天然香料、アネトール、安息香酸ベンジル及び酢酸ベンジル等の合成香料、並びに調合香料等が挙げられる。香料は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　抗炎症剤としては、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノール、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム、酸化亜鉛、酢酸トコフェロール及びメントール等が挙げられる。抗炎症剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾイルメタン系紫外線吸収剤及び安息香酸エステル誘導体紫外線吸収剤等が挙げられる。紫外線吸収剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　抗菌・防腐剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、フェノキシエタノール、安息香酸及びグルコン酸クロルヘキシジン等が挙げられる。抗菌・防腐剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　増粘剤としては、アルギン酸、カルボキシビニルポリマー、グアーガム、キサンタンガム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ベントナイト、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体及び（アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ）コポリマー等が挙げられる。増粘剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　キレート剤としては、エデト酸塩［ＥＤＴＡ・２Ｎａ（エデト酸二ナトリウム）、ＥＤＴＡ・３Ｎａ（エデト酸三ナトリウム）、ＥＤＴＡ・４Ｎａ（エデト酸四ナトリウム）］、エチドロン酸（ヒドロキシエタンジホスホン酸）及びエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム等が挙げられる。キレート剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　ｐＨ調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、無水クエン酸、コハク酸、コハク酸ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、無水リン酸水素二ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。ｐＨ調整剤は１種単独で、又は２種以上を使用してもよい。

　本発明の腋臭防止用組成物は、上述した成分以外に、精製水や脱イオン水などの水を含有してもよい。
　本発明の腋臭防止用組成物が水を含有する場合、その含有量は、腋臭防止用組成物の全量（１００質量％）から上述した成分の合計量を差し引いた残部である。
　本発明の腋臭防止用組成物中の水の含有量は特に限定されないが、一例として、腋臭防止用組成物の総質量に基づいて、３５ないし９９質量％が挙げられ、好ましくは４０ないし９９質量％であり、より好ましくは４５ないし９９質量％である。

＜調製方法＞
　本発明の腋臭防止用組成物の調製方法は特に限定されないが、例えば、アゾール成分と、必要により任意成分及び水とを混合し、必要に応じて、加温、攪拌等の処理をして、各成分を溶解する方法、又はアゾール成分が分散若しくは溶解した溶液と、任意成分が分散若しくは溶解した溶液とをそれぞれ調製し、これら溶液を混合し、必要に応じて、加温、攪拌等の処理をして、各成分を溶解する方法等が挙げられる。
　得られた腋臭防止用組成物は、必要に応じて上記のｐＨ調整剤を添加して、所望のｐＨに調整することができる。
　本発明の腋臭防止用組成物のｐＨは特に限定されないが、好ましくは３以上であり、より好ましくはｐＨ４ないし８であり、さらに好ましくはｐＨ４．５ないし７である。

＜製剤形態＞
　本発明の腋臭防止用組成物の剤型としては、クリーム剤、液剤、乳剤、ローション剤、ゲル剤、スティック剤、ロールオン剤、スプレー剤、ハップ剤及び不織布等のシートに腋臭防止用組成物を含浸させた拭き取りシート剤等が挙げられる。
　また、剤型がクリーム剤や乳剤などの乳化状態である場合は、油中水型（Ｗ／Ｏ型）又は水中油型（Ｏ／Ｗ型）の何れでも良く、使用感が特に良好な観点から、油中水型（Ｗ／Ｏ型）が好ましい。
　本発明において、腋臭防止用組成物を塗布・噴霧等して、腋に十分に接触させる観点から、腋臭防止用組成物の剤型は、クリーム剤、液剤、スプレー剤、スティック剤及びロールオン剤の剤型が好ましく、油中水型（Ｗ／Ｏ型）クリーム剤及び液剤の剤型がより好ましい。

　本発明の腋臭防止用組成物の剤型をクリーム剤とした場合、その塗布量は、通常、０．０５ないし１ｇ／腋窩であり、好ましくは０．１ないし０．７ｇ／腋窩である。
　本発明の腋臭防止用組成物の剤型を液剤とした場合、その塗布量は、通常、０．０５ないし１ｇ／腋窩であり、好ましくは０．１ないし０．７ｇ／腋窩である。
　本発明の腋臭防止用組成物の剤型をスプレー剤とした場合、その塗布量は、通常、０．０５ないし１ｇ／腋窩であり、好ましくは０．１ないし０．７ｇ／腋窩である。
　本発明の腋臭防止用組成物の剤型をスティック剤とした場合、その塗布量は、通常、０．０５ないし１ｇ／腋窩であり、好ましくは０．１ないし０．７ｇ／腋窩である。
　本発明の腋臭防止用組成物の剤型をロールオン剤とした場合、その塗布量は、通常、０．０５ないし１ｇ／腋窩であり、好ましくは０．１ないし０．７ｇ／腋窩である。

［腋臭を防止する方法］
　本発明は、上記の腋臭防止用組成物を腋に適用する、腋臭を防止する方法に関する。
　腋臭防止用組成物を腋に適用する方法としては、塗布や噴霧等により、腋臭防止用組成物を腋に直接接触させる方法や、腋臭防止用組成物を含侵させたシート等を用いて、腋臭防止用組成物を腋に間接的に接触させる方法などが挙げられる。

［臭気物質産生抑制用組成物］
　本発明は、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、臭気物質産生抑制用組成物であって、アゾール成分の含有量が、臭気物質産生抑制用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物に関する。

＜アゾール成分＞
　本発明において、アゾール成分は、臭気物質の産生を抑制する作用を発揮するものである。
　本発明の臭気物質産生抑制用組成物に含まれるアゾール成分としては、腋臭防止用組成物で説明したアゾール成分を用いることができる。

＜臭気物質＞
　臭気物質としては特に限定されないが、３－ヒドロキシ－３－メチルヘキサン酸、３－メチル－２－ヘキセン酸、イソ吉草酸、３－メチル－３－スルファニルヘキサン－１－オール及び３－メルカプト－１－ヘキサノールからなる群から選択される少なくとも１種の臭気物質が好ましい。

＜収斂剤＞
　本発明の臭気物質産生抑制用組成物は、収斂剤を含有してもよい。
　収斂剤を含有することにより、臭気物質の産生を抑制する効果を向上させることができる。また、臭気物質産生抑制用組成物からアゾール成分が析出するのを抑制して、臭気物質産生抑制用組成物を安定して保存することができる。さらに、収斂剤は、その含有量によっては、収斂作用を発揮し得る。
　本発明の臭気物質産生抑制用組成物に含まれる収斂剤としては、腋臭防止用組成物で説明した収斂剤を用いることができる。

＜抗酸化剤＞
　本発明の臭気物質産生抑制用組成物は、抗酸化剤を含有してもよい。
　抗酸化剤を含有することにより、臭気物質産生抑制用組成物からアゾール成分が析出するのを抑制して、臭気物質産生抑制用組成物を安定して保存することができる。また、抗酸化剤は、その含有量によっては、抗酸化作用を発揮し得る。
　本発明の臭気物質産生抑制用組成物に含まれる抗酸化剤としては、腋臭防止用組成物で説明した抗酸化剤を用いることができる。

　本発明の臭気物質産生抑制用組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した成分以外に、腋臭防止用組成物で説明したその他の添加剤や水を含有してもよい。
　また、本発明の臭気物質産生抑制用組成物の調製方法及び製剤形態は、腋臭防止用組成物で説明したとおりである。

［臭気物質の産生を抑制する方法］
　本発明は、上記の臭気物質産生抑制用組成物を腋に適用する、臭気物質の産生を抑制する方法に関する。
　臭気物質産生抑制用組成物を腋に適用する方法としては、塗布や噴霧等により、臭気物質産生抑制用組成物を腋に直接接触させる方法や、臭気物質産生抑制用組成物を含侵させたシート等を用いて、臭気物質産生抑制用組成物を腋に間接的に接触させる方法などが挙げられる。

［アゾール成分の析出を抑制する方法］
　本発明は、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法に関する。
　また、本発明は、アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、トコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法に関する。

　外用組成物の剤型は特に限定されないが、液剤であることが好ましい。
　また、外用組成物は特に限定されないが、腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物からなる群から選択される少なくとも１つであることが好ましい。
　本発明の抑制方法に用いるアゾール成分や収斂剤および抗酸化剤として使用し得る各種成分としては、腋臭防止用組成物で説明したアゾール成分や収斂剤および抗酸化剤を用いることができる。

　外用組成物に収斂剤又は抗酸化剤として使用し得る各種成分を配合する方法は特に限定されず、外用組成物に前記各種成分を直接配合する方法や、前記各種成分が溶解又は分散している溶液を外用組成物に配合する方法などが挙げられる。

　以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

　試験例１：ミコナゾール硝酸塩の腋臭防止効果の評価
　表１に示した組成に従い、実施例１～３（クリーム剤）、実施例４及び５（液剤）並びに比較例１（クリーム剤）および比較例２（液剤）の腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を常法によって調製し、腋臭の防止効果を評価する官能評価試験に供した。
　表２に示した臭気評価基準に従い、上記の腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）の塗布前の腋窩のニオイの平均値が４～７の健常成人３０名を抽出し、比較例１もしくは２を対照とした二重盲検比較試験を行った。すなわち、被験者の一方の腋窩に実施例１、２、３、４、もしくは５の組成物を、もう一方の腋窩に比較例１もしくは２の組成物を左右ランダムに割付け塗布し、１日朝夕２回計４日間、１回につき約０．５ｇ塗布した。試験開始前には他の腋臭防止剤や殺菌成分を含有するボディソープの使用を１０日間禁止した。また、試験中シャワーの使用は認めたが、腋窩の洗浄は臨床施設の監督下で行われ、最終塗布から４８時間後の評価までは腋窩の洗浄も禁止した。最終塗布から２４時間後、４８時間後に下記表２に示した臭気評価基準に従って４人の臭気判定士が腋窩のニオイを判定し、その平均値を採用した。その結果を表３および図１ないし図５に示す。

　結果：本発明の腋臭防止用組成物は優れた腋臭防止効果を発揮することが確認できた。なお、試験例１と同様のヒト官能評価試験において、ミコナゾール硝酸塩０．２質量％を配合したクリーム剤を用いて試験を実施したところ、同様の腋臭防止効果が認められた。

　試験例２：ミコナゾール硝酸塩における臭気物質の産生抑制効果
　試験例１に参加した被験者（実施例２の組成物、比較例１の組成物を各腋窩に塗布した被験者を対象とした）の脇から塗布前、最終塗布から２４時間後、最終塗布から４８時間後に臭気成分をそれぞれ採取し、次に示す臭気成分の定量を行った。臭気成分は一般的に腋臭の原因とされている３－ヒドロキシ－３－メチルヘキサン酸、３－メチル－２－ヘキセン酸、イソ吉草酸、３－メチル－３－スルファニルヘキサン－１－オール、３－メルカプト－１－ヘキサノールの５成分とした。ヒト皮膚から発生するガスの採取はＰＦＳ（Ｐａｓｓｉｖｅ　Ｆｌｕｘ　Ｓａｍｐｌｅｒ）法を用いた。皮膚表面にＰＦＳを装着することにより、皮膚表面から発生する揮発性成分はＰＦＳ内を拡散し、ＰＦＳ内部に組み込まれた吸着材によって捕集される。本試験の吸着材はジーエルサイエンス株式会社製ＭｏｎｏＴｒａｐ（登録商標）　ＤＳＣ１８（０．７７８ｃｍ^２）を使用した。ＰＦＳの装着時間は２時間とし、採取後はＰＦＳを冷凍または冷蔵保管した。ＰＦＳ内部の吸着材から臭気成分を抽出し、捕集した成分はガスクロマトグラフ質量分析計（ＧＣＭＳ）を用いて分析を行った。ＰＦＳを回収できた２６名の平均値（±ＳＥ）を図６ないし図１０に示す。

　結果：アゾール系抗真菌剤であるミコナゾール硝酸塩を配合することにより、各種臭気成分の産生を抑制できた。この結果は試験例１の結果とも相関し、ミコナゾール硝酸塩等のアゾール系抗真菌剤は、広く臭気成分の産生を抑制し、優れた腋臭防止効果を発揮することが示唆された。

　試験例３：ミコナゾール硝酸塩の溶解性に及ぼす収斂剤成分の効果
　表４－１及び表４－２に記載される配合量で全体で質量１００％となるように腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。
　具体的には、ミコナゾール硝酸塩をプロピレングリコール（ＰＧ）とエタノールに溶解し、必要により８０℃程度に加温し、スターラーを用いて撹拌して、ミコナゾール硝酸塩が完全に溶解するのを確認した。これとは別に、収斂剤として使用し得る各種成分を水に溶解したものを必要により８０℃程度に加温し、前記各種成分が完全に溶解するのを確認した後、これをミコナゾール硝酸塩が溶解したものに加えた。さらに撹拌しながら精製水を加えて、各処方の腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。評価試験に用いる腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）をガラス製の密封容器に移し、すべての成分が完全に溶解していることを目視で確認した後、密封容器を室温及び０℃の環境に所定の期間放置することによって、ミコナゾール硝酸塩の析出が認められるか否かの観察を目視で行った。
　ミコナゾール硝酸塩の析出の有無を以下の基準に従って、判定した。
　〇：針状結晶が析出しなかった。
　×：針状結晶が析出した。
　なお、表中の各成分の量は、腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）の総質量に基づく質量％を表す。

　結果：収斂剤として使用し得るクロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、ミョウバン、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩の析出を抑制できた。すなわち、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛、ミョウバン、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩配合製剤が安定して保存できることを見出した。

　試験例４：ミコナゾール硝酸塩の溶解性に及ぼす抗酸化剤成分の効果
　表５に記載される配合量で全体で質量１００％となるように腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。
　具体的には、ミコナゾール硝酸塩をプロピレングリコール（ＰＧ）とエタノールに溶解し、必要により８０℃程度に加温し、スターラーを用いて撹拌して、ミコナゾール硝酸塩が完全に溶解するのを確認した。これとは別に、抗酸化剤として使用し得る各種成分を水に溶解したものを必要により８０℃程度に加温し、前記各種成分が完全に溶解するのを確認した後、これをミコナゾール硝酸塩が溶解したものに加えた。なお、水に溶解しない抗酸化剤はＰＧとエタノールに溶解させた。さらに撹拌しながら精製水を加えて、各処方の腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。評価試験に用いる腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）をガラス製の密封容器に移し、すべての成分が完全に溶解していることを目視で確認した後、密封容器を室温及び０℃の環境に所定の期間放置することによって、ミコナゾール硝酸塩の析出が認められるか否かの観察を目視で行った。
　ミコナゾール硝酸塩の析出の有無を以下の基準に従って、判定した。
　〇：針状結晶が析出しなかった。
　×：針状結晶が析出した。
　なお、表中の各成分の量は、腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）の総質量に基づく質量％を表す。

　結果：抗酸化剤として使用し得るｄｌ－α－トコフェロール、ｄ－δ－トコフェロール、トコフェリルリン酸Ｎａ、茶エキス、パルミチン酸レチノール、３－Ｏ－エチルアスコルビン酸、没食子酸プロピル、リノール酸を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩の析出を抑制できた。すなわち、ｄｌ－α－トコフェロール、ｄ－δ－トコフェロール、トコフェリルリン酸Ｎａ、茶エキス、パルミチン酸レチノール、３－Ｏ－エチルアスコルビン酸、没食子酸プロピル、リノール酸を配合することにより、ミコナゾール硝酸塩配合製剤が安定して保存できることを見出した。

　試験例５：ケトコナゾールの溶解性に及ぼす収斂剤成分の効果
　表６に記載される配合量で全体で質量１００％となるように腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。
　具体的には、ケトコナゾールをプロピレングリコール（ＰＧ）とエタノールに溶解し、必要により８０℃程度に加温し、スターラーを用いて撹拌して、ケトコナゾールが完全に溶解するのを確認した。これとは別に、収斂剤として使用し得る各種成分を水に溶解したものを必要により８０℃程度に加温し、前記各種成分が完全に溶解するのを確認した後、これをケトコナゾールが溶解したものに加えた。さらに撹拌しながら精製水を加えて、各処方の腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。評価試験に用いる腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）をガラス製の密封容器に移し、すべての成分が完全に溶解していることを目視で確認した後、密封容器を室温及び０℃の環境に所定の期間放置することによって、ケトコナゾールの析出が認められるか否かの観察を目視で行った。
　ケトコナゾールの析出の有無を以下の基準に従って、判定した。
　〇：針状結晶が析出しなかった。
　×：針状結晶が析出した。
　なお、表中の各成分の量は、腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）の総質量に基づく質量％を表す。

　結果：収斂剤として使用し得るクロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛を配合することにより、ケトコナゾールの析出を抑制できた。すなわち、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、パラフェノールスルホン酸亜鉛を配合することにより、ケトコナゾール配合製剤が安定して保存できることを見出した。

製剤例１：液剤
　下記表７に示す処方に基づいて、腋臭防止用組成物（臭気物質産生抑制用組成物）を調製した。各表中の数値は質量％を意味する。
　ミコナゾール硝酸塩、イソプロピルメチルフェノール、酸化亜鉛（亜鉛華）、ヒドロキシアパタイト、メントール、ミリスチン酸イソプロピル、メチルフェニルポリシロキサン、（アクリレーツ／ジメチコン）コポリマー、アクリレーツコポリマーはエタノールに溶解した。また、１，３－ブチレングリコール、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル－β－シクロデキストリン、ＥＤＴＡ・２Ｎａ、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウムは精製水に溶解した。そして、両者を混合して、各処方の液剤を調製した。

　各製剤は、ミコナゾール硝酸塩が析出することなく、室温で１年間安定に保存でき、４０℃湿度７５％で半年間安定に保存できる。

Claims (26)

1. 　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、腋臭防止用組成物であって、
   　アゾール成分の含有量が、腋臭防止用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物。
2. 　前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、請求項１に記載の腋臭防止用組成物。
3. 　収斂剤をさらに含む、請求項１又は請求項２に記載の腋臭防止用組成物。
4. 　前記収斂剤がパラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の収斂剤である、請求項３に記載の腋臭防止用組成物。
5. 　前記アゾール成分の析出が抑制されている、請求項３に記載の腋臭防止用組成物。
6. 　抗酸化剤をさらに含む、請求項１又は請求項２に記載の腋臭防止用組成物。
7. 　前記抗酸化剤がトコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の抗酸化剤である、請求項６に記載の腋臭防止用組成物。
8. 　前記アゾール成分の析出が抑制されている、請求項６に記載の腋臭防止用組成物。
9. 　前記腋臭防止用組成物の剤型がクリーム剤、液剤、スプレー剤、スティック剤及びロールオン剤からなる群から選ばれる剤型である、請求項１又は請求項２に記載の腋臭防止用組成物。
10. 　請求項１又は請求項２に記載の腋臭防止用組成物を腋に適用する、腋臭を防止する方法。
11. 　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する、臭気物質産生抑制用組成物であって、
    　アゾール成分の含有量が、臭気物質産生抑制用組成物に基づいて、０．０１ないし０．２質量％である、組成物。
12. 　前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、請求項１１に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
13. 　前記臭気物質が３－ヒドロキシ－３－メチルヘキサン酸、３－メチル－２－ヘキセン酸、イソ吉草酸、３－メチル－３－スルファニルヘキサン－１－オール及び３－メルカプト－１－ヘキサノールからなる群から選択される少なくとも１種の臭気物質である、請求項１１又は請求項１２に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
14. 　収斂剤をさらに含む、請求項１１又は請求項１２に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
15. 　前記収斂剤がパラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の収斂剤である、請求項１４に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
16. 　前記アゾール成分の析出が抑制されている、請求項１４に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
17. 　抗酸化剤をさらに含む、請求項１１又は請求項１２に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
18. 　前記抗酸化剤がトコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種の抗酸化剤である、請求項１７に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
19. 　前記アゾール成分の析出が抑制されている、請求項１７に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
20. 　前記臭気物質産生抑制用組成物の剤型がクリーム剤、液剤、スプレー剤、スティック剤及びロールオン剤からなる群から選ばれる剤型である、請求項１１又は請求項１２に記載の臭気物質産生抑制用組成物。
21. 　請求項１１又は請求項１２に記載の臭気物質産生抑制用組成物を腋に適用する、臭気物質の産生を抑制する方法。
22. 　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、クエン酸、乳酸、タンニン酸、ミョウバン、コハク酸、酒石酸及びリンゴ酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法。
23. 　アゾール及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも１種のアゾール成分を含有する外用組成物に、トコフェロール及びその誘導体、茶エキス、ビタミンＡ及びその誘導体、ビタミンＣ及びその誘導体、没食子酸プロピル並びにリノール酸からなる群から選ばれる少なくとも１種を配合することを含む、アゾール成分の析出を抑制する方法。
24. 　前記アゾールがミコナゾール又はケトコナゾールである、請求項２２又は請求項２３に記載の方法。
25. 　前記外用組成物の剤型が液剤である、請求項２２又は請求項２３に記載の方法。
26. 　前記外用組成物が、腋臭防止用組成物及び臭気物質産生抑制用組成物からなる群から選択される少なくとも１つである、請求項２２又は請求項２３に記載の方法。
     

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