JP2012219046A - 皮膚外用防臭組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】コリネバクテリウム・キセロシスなど体臭の発生に影響の大きい皮膚常在菌に対しても十分な抗菌作用を発揮し、防臭効果があり、しかも皮膚に塗布した際にべたつきが少なく使用感が良好な、皮膚外用防臭組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】成分(A)ベンジルグリセリルエーテルと、成分(B)イソプロピルメチルフェノールと、成分(C)多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤とを配合し、前記成分(A)の配合量が0.01質量%以上5質量%以下であり、かつ成分(A)/成分(B)の質量比が0.1以上100以下である、皮膚外用防臭組成物とする。
【選択図】なし
【解決手段】成分(A)ベンジルグリセリルエーテルと、成分(B)イソプロピルメチルフェノールと、成分(C)多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤とを配合し、前記成分(A)の配合量が0.01質量%以上5質量%以下であり、かつ成分(A)/成分(B)の質量比が0.1以上100以下である、皮膚外用防臭組成物とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、皮膚外用防臭組成物に関する。
体臭は、汗、皮脂、および角質老廃物などが皮膚常在菌により代謝、分解されることで発生する。その対策としては、制汗成分であるクロルヒドロキシアルミニウムまたは酸化亜鉛などを配合したデオドラント組成物が一般的に知られているが、制汗成分のみでは、防臭という観点において必ずしも効果が十分であるとは言い難い。
体臭を抑える方法として、体臭の原因となる成分を生成する皮膚常在菌の繁殖を抑制または殺菌する抗菌剤を使用することも考えられる。皮膚に適用する化粧料や医薬部外品に配合して使用し得る抗菌剤には様々なものがあり、例えば、トリクロサン、塩化ベンジルコニウム、およびイソプロピルメチルフェノールなどが挙げられる。
化粧料、皮膚外用組成物、および口腔用組成物など、人体に使用することが予定される組成物であって抗菌剤(概念として殺菌剤を含む)が配合される製品については、様々な開発が進められており、例えば、以下のようなものが知られている。化粧品等に用い得る抗菌剤として、2−エチルグリセリルエーテルなどのアルキルグリセルエーテルが開示されている(特許文献1)。また、化粧料または皮膚外用剤に用い得る抗菌剤として、所定のジカルボン酸と所定のポリオキシエチレンモノアルキルエーテルとのジエステルが開示されている(特許文献2)。また、皮膚外用組成物などに用いる抗菌剤としては、3−ベンジルオキシ−1,2−プロパンジオールなどのグリセリン誘導体も開示されている(特許文献3および4)。また、口腔細菌に対する殺菌作用を有する口腔用組成物として、ベンジルグリセルエーテルと、イソプロピルメチルフェノールと、アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤とを含有する組成物が開示されている(特許文献5)。
皮膚常在菌には、様々な種類が存在する。一部の皮膚常在菌は皮膚病に関連することもあり、特定の細菌に対して効果を発揮する抗菌剤は活発に探索されている。しかし、化粧料または医薬部外品などの皮膚外用組成物として一般に使用可能な形態では、既存の抗菌剤が効きにくい細菌もおり、そのような細菌には、例えば、コリネバクテリウム・キセロシス(Corynebacterium xerosis)が含まれる。コリネバクテリウム・キセロシスは、生物学的分類上、放線菌に分類される真正細菌の一種であり、皮膚常在菌の中でも不快な臭気を持つ低級脂肪酸(イソ吉草酸)の代謝量が多い細菌であり、この細菌の繁殖は不快臭の原因となりやすい。そのため、体臭を抑制するためには、コリネバクテリウム・キセロシスの繁殖を抑制または殺菌することが有効である。
トリクロサンおよび塩化ベンザルコニウムは、医薬部外品や化粧料などに汎用される抗菌剤ではあるが、コリネバクテリウム・キセロシスに対し、防臭効果を得られるほどの抗菌作用はない。イソプロピルメチルフェノールは、抗菌スペクトルが広いという利点があり、皮膚常在菌に対してもある程度効果を発揮し得ものの、コリネバクテリウム・キセロシスに対する抗菌作用は低く、やはりこれ単独で十分な防臭効果を得るのは困難である。
さらに、本発明者らは、抗菌剤であるベンジルグリセルエーテルを用いることを検討した。しかし、ベンジルグリセルエーテルを有効成分とする皮膚外用組成物を、コリネバクテリウム・キセロシスなどの皮膚常在菌に作用させて防臭効果を得るように配合すると、ベンジルグリセルエーテルの配合量が多くなりすぎ、肌に塗布するにはべたつき感が強くなるため、使用感について問題が残った。
本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたものであり、体臭の発生に影響の大きい皮膚常在菌に対しても十分な抗菌作用を発揮し、防臭効果があり、しかも皮膚に塗布した際にべたつき少なく使用感が良好な、皮膚外用防臭組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を進めたところ、意外なことに、個々の成分単独では十分にコリネバクテリウム・キセロシスに対し抗菌作用を発揮しない成分であっても、所定の複数の成分を組み合わせて用いることにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対し十分に抗菌作用を発揮し、防臭効果を得られることを見出し、さらには使用感も良好な組成物とし得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づきなされたものであり、下記の組成物等を提供する。
〔1〕成分(A)ベンジルグリセリルエーテルと、
成分(B)イソプロピルメチルフェノールと、
成分(C)多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤と、
を含有し、前記成分(A)の配合量が0.01質量%以上5質量%以下であり、かつ成分(A)/成分(B)の質量比が0.1以上100以下である、皮膚外用防臭組成物。
〔2〕前記成分(B)の配合量が、0.001質量%以上0.5質量%以下である、上記〔1〕に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔3〕前記成分(C)が、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリエチレングリコール−12ジメチコン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の成分である、請求項1または2に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔4〕水を70質量%以上含む、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔5〕さらに、成分(D)クロルヒドロキシアルミニウムおよび/またはパラフェノールスルホン酸亜鉛を含有する、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔6〕腋窩部に塗布用である、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
成分(B)イソプロピルメチルフェノールと、
成分(C)多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤と、
を含有し、前記成分(A)の配合量が0.01質量%以上5質量%以下であり、かつ成分(A)/成分(B)の質量比が0.1以上100以下である、皮膚外用防臭組成物。
〔2〕前記成分(B)の配合量が、0.001質量%以上0.5質量%以下である、上記〔1〕に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔3〕前記成分(C)が、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリエチレングリコール−12ジメチコン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の成分である、請求項1または2に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔4〕水を70質量%以上含む、上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔5〕さらに、成分(D)クロルヒドロキシアルミニウムおよび/またはパラフェノールスルホン酸亜鉛を含有する、上記〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
〔6〕腋窩部に塗布用である、上記〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
本発明によれば、体臭の発生に影響の大きい皮膚常在菌に対しても十分な抗菌作用を発揮し、防臭効果があり、しかも皮膚に塗布した際にべたつきが少なく使用感が良好な、皮膚外用防臭組成物を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、本明細書において、「抗菌」の用語には、細菌の繁殖抑制および殺菌の概念を含むものとする。本明細書において数値範囲を「〜」を使用して示す場合、特に断りがない限り、下限と上限の数値をそれぞれ含むものとする。例えば、数値範囲「0.01質量%〜5質量%」は、特段の断りがない限り、下限が0.01質量%以上、上限が5質量%以下の意味である。また、本明細書においては、物質名について次のように略記する場合がある:BG(ベンジルグリセリルエーテル);IPMP(イソプロピルメチルフェノール);POE(ポリオキシエチレン);POP(ポリオキシプロピレン);PEG(ポリエチレングリコール);PO(プロピレンオキサイド);EO(エチレンオキサイド)。
本発明は、下記の成分(A)および成分(B)を含む組成物を提供する。
成分(A):ベンジルグリセリルエーテル
成分(B):イソプロピルメチルフェノール
成分(A)および成分(B)の抗菌剤の組み合わせにより、抗菌剤の濃度が低濃度であっても、不快な体臭の発生に大きな影響がある皮膚常在菌(例えば、コリネバクテリウム・キセロシス)の繁殖抑制または殺菌が可能である。そのため、成分(A)および成分(B)を含む組成物は、不快臭の発生を抑制する防臭組成物とすることができる。不快な体臭の原因物質としては、皮膚常在菌が生成するイソ吉草酸などの低級脂肪酸がある。成分(A)および成分(B)を含む組成物は、不快な体臭の原因物質を生成する細菌の繁殖抑制または殺菌が可能なので、低級脂肪酸生成抑制用組成物としてもよい。成分(A)および(B)を含む組成物は、さらに他の成分を配合したり、それらの配合量を調整することにより、皮膚外用防臭組成物として好ましい形態の組成物とし得る。なお、以下に示す皮膚外用防臭組成物についての好適な条件は、本発明の組成物を抗菌組成物または低級脂肪酸生成抑制用組成物として用いる場合にも適用し得る。
成分(A):ベンジルグリセリルエーテル
成分(B):イソプロピルメチルフェノール
成分(A)および成分(B)の抗菌剤の組み合わせにより、抗菌剤の濃度が低濃度であっても、不快な体臭の発生に大きな影響がある皮膚常在菌(例えば、コリネバクテリウム・キセロシス)の繁殖抑制または殺菌が可能である。そのため、成分(A)および成分(B)を含む組成物は、不快臭の発生を抑制する防臭組成物とすることができる。不快な体臭の原因物質としては、皮膚常在菌が生成するイソ吉草酸などの低級脂肪酸がある。成分(A)および成分(B)を含む組成物は、不快な体臭の原因物質を生成する細菌の繁殖抑制または殺菌が可能なので、低級脂肪酸生成抑制用組成物としてもよい。成分(A)および(B)を含む組成物は、さらに他の成分を配合したり、それらの配合量を調整することにより、皮膚外用防臭組成物として好ましい形態の組成物とし得る。なお、以下に示す皮膚外用防臭組成物についての好適な条件は、本発明の組成物を抗菌組成物または低級脂肪酸生成抑制用組成物として用いる場合にも適用し得る。
本発明の皮膚外用防臭組成物は、上記成分(A)および(B)に加え、好ましくは成分(C)を含む。
成分(C):多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤
成分(C):多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤
本発明の皮膚外用防臭組成物における成分(A)の配合量は、好ましくは0.01質量%〜5質量%である。さらに、成分(A)/成分(B)の質量比は、好ましくは0.1〜100である。成分(A)〜(C)を所定の割合で配合することにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対しても十分に抗菌性を発揮して、優れた防臭効果を得ることができる。しかも、抗菌作用を保ちつつ、成分(A)のベンジルグリセルエーテルを低濃度に抑えることができるため、べたつき感も低く、使用感の点においても優れた皮膚外用組成物とすることができる。
成分(A)ベンジルグリセリルエーテルの配合量は、防臭効果および使用感の両立の観点から、好ましくは0.01質量%〜5質量%である。さらに、成分(A)の配合量の下限としてより好ましくは0.5質量%以上であり、上限としてより好ましくは2質量%以下である。成分(A)の下限をこのように規定することにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対しても抗菌作用を発揮し、防臭効果に優れたものとすることできる。他方、成分(A)の上限をこのように規定することにより、べたつき感を抑制し、使用感に優れた皮膚外用組成物とすることができる。
ベンジルグリセルエーテルの調製は、既知の方法に従って実施できる。例えば、グリセリンとベンジルアルコールとをゼオライト触媒の存在下で反応させる(エーテル化反応)により、ベンジルグリセルエーテルを得ることができる。
成分(A)に対し、成分(B)のイソプロピルメチルフェノールは、所定の配合比率で配合されることが好ましい。成分(A)と成分(B)の配合比率(成分(A)/成分(B))は、好ましくは、0.1〜100である。さらに、成分(A)と成分(B)の配合比率の下限としてより好ましくは10以上であり、上限としてより好ましくは50以下である。配合比率の下限をこのように規定することにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対しても抗菌性を発揮し、防臭効果を得ることができる。他方、配合比率の上限をこのように規定することにより、べたつきなど不快な使用感を抑制することができる。
成分(B)の配合量は、上記の配合比率を満たす範囲内において配合される。さらに、成分(B)の配合量(質量%)は、好ましくは、0.001質量%〜0.5質量%である。成分(B)の配合量の下限としてより好ましくは、0.01質量%以上であり、上限としてより好ましくは、0.5質量%以下である。成分(B)の下限をこのように規定することにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対しても抗菌作用を発揮し、防臭効果がより優れたものとすることができる。他方、成分(B)の上限をこのように規定することにより、低温下での保存安定性をより良好に保つことができる。
成分(C)として、多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤が配合される。成分(C)は、主に、成分(A)および成分(B)を均一に可溶化するために配合される。成分(C)の配合量は、好ましくは0.05質量%〜5質量%である。成分(C)の配合量の下限としてより好ましくは、0.1質量%以上であり、上限としてより好ましくは、2質量%以下である。成分(C)の下限をこのように規定することにより、成分(A)および成分(B)を均一に可溶化させ、低温下での保存安定性にも優れ、しかも防臭効果により優れたものとすることができる。他方、成分(C)の上限をこのように規定することにより、べたつきなど不快な使用感をより抑制することができる。HLBを指標とした場合、ノニオン性界面活性剤として好ましくはHLBが8〜18のものが挙げられ、より好ましくは8〜14のものが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては具体的には、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(但し、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの炭素原子数は4〜22である。アルキル基は直鎖であっても分岐していてもよい。アルキル基には不飽和結合が含まれてもよい。アルキレン基の炭素原子数は好ましくは2〜4で、平均付加モル数は、5〜50好ましくは、10〜40である。)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(平均EO付加モル数は、10〜80、好ましくは、30〜60である。)、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素原子数は好ましは10〜22、平均EO付加モル数は、5〜60、好ましくは、10〜50である。)、モノ脂肪酸ポリエチレングリコール(但し、モノ脂肪酸の炭素原子数は好ましくは10〜22、平均EO付加モル数は、5〜150、好ましくは、10〜150である。)、ポリ(2〜10)グリセリン脂肪酸エステル(脂肪酸の炭素原子数は好ましくは10〜22)、およびポリエーテル変性シリコン(POE・メチルポリシロキサン共重合体、POE・POPメチルポリシロキサン共重合体)などが挙げられる。ノニオン性界面活性剤のより具体的な例としては、POPブチルエーテル、POE硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸POEグリセリル、POEステアリルエーテル、ポリエーテル変性シリコン(POE・メチルポリシロキサン共重合体:PEG−12ジメチコン)、およびステアリン酸ポリエチレングリコールなどが挙げられ、好ましくは、POPブチルエーテル、POE硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸POEグリセリル、POEステアリルエーテル、およびポリエーテル変性シリコン(POE・メチルポリシロキサン共重合体:PEG−12ジメチコン)が挙げられる。さらに具体的には、POP(17PO)ブチルエーテル、POE(60EO)硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸POE(20EO)グリセリル、POE(30EO)ステアリルエーテル、PEG−12ジメチコン、およびステアリン酸PEG−150(HLB=18)などが挙げられる。これらの中でも、特に、低温保存安定性、抗菌作用の点から、例えば、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油およびポリエーテル変性シリコン(POE・メチルポリシロキサン共重合体)が好ましく、具体的には、POP(17PO)ブチルエーテル、POE(60EO)硬化ヒマシ油(HLB=14)、トリイソステアリン酸POE(20EO)グリセリル(HLB=8)、およびPEG−12ジメチコンを好適に用い得る。
尚、HLBは、有機概念図におけるIOB×10で示される。前記有機概念図におけるIOBとは、前記有機概念図における有機性値(OV)に対する無機性値(IV)の比、即ち「無機性値(IV)/有機性値(OV)」をいう。前記有機概念図とは、藤田穆により提案されたものであり、その詳細は、“Pharmaceutical Bulletin”, ,1954, vol.2, 2, pp.163−173、「化学の領域」、 1957、 vol.11, 10, pp.719−725、「フレグランスジャーナル」、 1981、 vol.50, pp.79−82などで説明されている。即ち、全ての有機化合物の根源をメタン(CH4)とし、他の化合物は全てメタンの誘導体とみなして、その炭素数、置換基、変態部、環などにそれぞれ一定の数値を設定し、そのスコアを加算して有機性値及び無機性値を求める。この値を、有機性値をX軸、無機性値をY軸にとった図上にプロットしていくものである。この有機概念図は、「有機概念図−基礎と応用−」(甲田善生著、三共出版、1984)などにも示されている。
多価アルコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、およびヘキシレングリコールなどが挙げられ、低温保存安定性、抗菌作用の点から、好ましくは、プロピレングリコールおよび1,3−ブチレングリコールが挙げられる。
本発明の皮膚外用防臭組成物には、成分(D)として制汗剤を配合してもよい。制汗剤を配合することにより、コリネバクテリウム・キセロシスなどの皮膚常在菌が汗を代謝または分解することによる不快臭成分の生成を抑制することができる。制汗剤の例として、好ましくは、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、ブロモヒドロキシアルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム/ジルコニウム、硫酸アルミニウムカリウム、クロルヒドロキシアルミニウム、およびパラフェノールスルホン酸亜鉛などが挙げられ、防臭効果の点から、より好ましくは、クロルヒドロキシアルミニウムおよびパラフェノールスルホン酸亜鉛が挙げられる。制汗剤の配合量は、好ましくは2質量%〜20質量%である。下限をこのように規定することにより、コリネバクテリウム・キセロシスに対する抗菌性を発揮し、防臭効果を得ることができる。他方、上限をこのように規定することにより、べたつきなど不快な使用感を抑制することができる。
本発明の皮膚外用防臭組成物には、デオドラント組成物などに用いられるその他の成分を配合してもよい。配合し得るその他の成分としては、例えば、油脂類、ワックス類、シリコーン類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、高分子化合物、酸化防止剤、色素、乳化安定剤、pH調整剤、防腐剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、清涼剤、アミノ酸、ビタミン剤、および各種植物抽出エキスなどが挙げられる。
本発明の皮膚外用防臭組成物は、化粧料、医薬品、医薬部外品などの各種製品に用いることができ、エアゾール、クリーム、ローション、スプレー、スティックなど、これらに適した剤型を採用し得る。本発明の皮膚外用防臭組成物は、例えば、制汗デオドラントローション、化粧水、デオドラント化粧水、美容化粧水、乳液、ハンドソープ、デオドラントパウダースプレー、ボディーソープ、シャンプー、リンス及びトリートメントなどとして調製し得る。特に、制汗デオドラントローション、デオドラント化粧水に適用することが好ましい。
本発明の皮膚外用防臭組成物は、コリネバクテリウム・キセロシスという、既存の抗菌剤単独では抗菌作用を及ぼしにくい細菌に対しても有効でありながら、抗菌性の有効成分の含有量を極めて低濃度に抑えることができる。そのため、本発明の皮膚外用防臭組成物は、有効成分が低濃度の水溶液とすることができる。本発明の皮膚外用防臭組成物の好ましい一形態としては、例えば、水を、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、93質量%以上、または95質量%以上含む水溶液とし得る。さらに本発明の皮膚外用防臭組成物の好ましい一形態としては、エタノールを含まない水溶液とし得る。一般に、エタノールを高濃度配合すれば、細菌に対する抗菌性は容易に向上し得るが、エタノールに対して過敏な反応を示す被用者もおり、エタノールを含まない組成物とすることにより、より広い範囲の被用者に対し好適な皮膚外用組成物とすることができる。エタノールを含まない形態の場合、水の含有量は、例えば90質量%以上、93%質量以上、または95質量%以上含む水溶液とし得る。
また、本発明の皮膚外用防臭組成物の好ましい一形態としては、腋窩部に塗布用の皮膚外用組成物とし得る。コリネバクテリウム属の皮膚常在菌は、皮膚の様々な箇所に存在し得る。しかし、コリネバクテリウム・キセロシスは、腋窩部に局在する傾向がある。腋窩部は汗を分泌しやすいこともあって、コリネバクテリウム・キセロシスが繁殖しやすいと考えられる。本発明の皮膚外用防臭組成物は、コリネバクテリウム・キセロシスに対しても抗菌性を発揮するため、腋窩部に塗布することが好適な使用形態として挙げられる。
本発明の皮膚外用防臭組成物は、皮膚に塗布するなど、一般的な皮膚外用組成物の使用方法と同様の方法によって使用し得る。使用頻度等は、被用者の症状に応じ適宜調整してよい。投与時期は特に限定されず、被用者が所望するときに使用し得る。不快臭の発生抑制という観点からは、投与予定の部位(例えば腋窩部など)を洗浄した直後に、本発明の皮膚外用組成物を塗布することが好ましい。
以下、本発明の実施例を示し、本発明についてより詳細に説明する。但し、本発明が、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における配合量の単位は、いずれも質量%である。
<1.ベンジルグリセリルエーテルの製造>
50mLのナス型フラスコに、グリセリン10.2g(0.11mmol:和光純薬工業社製)、ベンジルアルコール12.4g(0.11mmol:和光純薬工業社製)、ゼオライト触媒(5524G、ZEOLYST社製)0.5gを添加し、150℃で7時間反応(エーテル化反応)させた。反応液をピリジンと無水酢酸各0.5gを用いてアセチル化し、以下の条件からなるGC分析を行い、目的とするベンジルグリセリルエーテルが
収率70%、選択率97%で得られたことを確認した。反応液を150℃で760mmHgから徐々に減圧し、5mmHgでベンジルアルコールを留去させた後、昇温して170℃でグリセリンを含む液を留去させ、さらに徐々に昇温して180℃でベンジルグリセリルエーテルを蒸留し、目的物であるベンジルグリセリルエーテルを得た。
50mLのナス型フラスコに、グリセリン10.2g(0.11mmol:和光純薬工業社製)、ベンジルアルコール12.4g(0.11mmol:和光純薬工業社製)、ゼオライト触媒(5524G、ZEOLYST社製)0.5gを添加し、150℃で7時間反応(エーテル化反応)させた。反応液をピリジンと無水酢酸各0.5gを用いてアセチル化し、以下の条件からなるGC分析を行い、目的とするベンジルグリセリルエーテルが
収率70%、選択率97%で得られたことを確認した。反応液を150℃で760mmHgから徐々に減圧し、5mmHgでベンジルアルコールを留去させた後、昇温して170℃でグリセリンを含む液を留去させ、さらに徐々に昇温して180℃でベンジルグリセリルエーテルを蒸留し、目的物であるベンジルグリセリルエーテルを得た。
[GC(ガスクロマトグラフィー)分析条件]
測定装置:ヒューレットパッカード製HP−5890
カラム:HP Ultra2
オーブン温度:100℃→300℃(10℃/min.)、10分保持
キャリヤーガス:He
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃(FID)
スプリット比:50:1
注入量:1μL
測定装置:ヒューレットパッカード製HP−5890
カラム:HP Ultra2
オーブン温度:100℃→300℃(10℃/min.)、10分保持
キャリヤーガス:He
注入口温度:320℃
検出器温度:320℃(FID)
スプリット比:50:1
注入量:1μL
[収率、選択率]
ベンジルグリセリルエーテルの収率および選択率は、上記GC分析による面積比を基準に、以下の式(1)、(2)により求めた。
収率(%)=[TM/(G+TM+BP)]×100 式(1)
選択率(%)=(TM/R)×100 式(2)
式(1)、(2)中、TM、G、およびBPは、それぞれ次のGC面積比を示す。
TM:反応液中における、目的物であるベンジルグリセリルエーテル体のGC面積比
G :反応液中における、原料であるグリセリンのGC面積比
BP:反応液中における、反応副成物のGC面積比
なお、BPで示した反応副成物とは、TMを除く、本反応で得られるグリセリン由来の反応物すべてを示し、例えば、グリセリンに2個のベンジル基を有する1,3−ジ(ベンジルオキシ)2−プロパノールやジグリセリンなどが挙げられる。
また、式中、Rは反応液中における全反応生成物のGC面積比合計値を示す。ここで、「全反応生成物」は、反応終了後に反応液中に含まれるグリセリンとベンジルアルコール以外の全ての生成物を示す。なお、1%未満のGC面積比のものは切り捨てて算出した。
ベンジルグリセリルエーテルの収率および選択率は、上記GC分析による面積比を基準に、以下の式(1)、(2)により求めた。
収率(%)=[TM/(G+TM+BP)]×100 式(1)
選択率(%)=(TM/R)×100 式(2)
式(1)、(2)中、TM、G、およびBPは、それぞれ次のGC面積比を示す。
TM:反応液中における、目的物であるベンジルグリセリルエーテル体のGC面積比
G :反応液中における、原料であるグリセリンのGC面積比
BP:反応液中における、反応副成物のGC面積比
なお、BPで示した反応副成物とは、TMを除く、本反応で得られるグリセリン由来の反応物すべてを示し、例えば、グリセリンに2個のベンジル基を有する1,3−ジ(ベンジルオキシ)2−プロパノールやジグリセリンなどが挙げられる。
また、式中、Rは反応液中における全反応生成物のGC面積比合計値を示す。ここで、「全反応生成物」は、反応終了後に反応液中に含まれるグリセリンとベンジルアルコール以外の全ての生成物を示す。なお、1%未満のGC面積比のものは切り捨てて算出した。
<2.試料およびその評価試験>
表1〜3に示す組成の制汗デオドラントローション(試料)(すなわち、実施例1〜33および比較例1〜12の組成物)を、下記のとおり調製した。得られた試料について、抗菌作用、防臭効果、使用感(べたつき)、および低温下での保存安定性の4項目を評価した。各評価項目についての評価方法は下記に示すとおりである。評価結果は表1〜3に示す。
表1〜3に示す組成の制汗デオドラントローション(試料)(すなわち、実施例1〜33および比較例1〜12の組成物)を、下記のとおり調製した。得られた試料について、抗菌作用、防臭効果、使用感(べたつき)、および低温下での保存安定性の4項目を評価した。各評価項目についての評価方法は下記に示すとおりである。評価結果は表1〜3に示す。
<2−1.制汗デオドラントローション(試料)の調製>
100mLビーカーに表1〜4に示す組成で、精製水を用いて常法により調製し、pHが中性付近であることを確認後、全量が100gになるよう精製水で調整し、試料を得た。使用した試薬は以下の通りである。なお、ベンジルグリセリルエーテルは上記合成例で得られたものを使用した。
100mLビーカーに表1〜4に示す組成で、精製水を用いて常法により調製し、pHが中性付近であることを確認後、全量が100gになるよう精製水で調整し、試料を得た。使用した試薬は以下の通りである。なお、ベンジルグリセリルエーテルは上記合成例で得られたものを使用した。
使用した原料の詳細は下記の通りである。
イソプロピルメチルフェノール (和光純薬工業社製)
チモール (和光純薬工業社製)
メントール (l−メントール、和光純薬工業社製)
ヒノキチオール (和光純薬工業社製)
POP(17)ブチルエーテル (日油株式会社製)
POE(60)硬化ヒマシ油 (日本エマルジョン株式会社社製)
トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル (日本エマルジョン株式会社製)
1,3−ブチレングリコール (ダイセル化学工業株式会社製)
プロピレングリコール (和光純薬工業社製)
ステアリン酸PEG−150(日本エマルジョン株式会社製)
グリセリン (日光ケミカル株式会社製)
クロルヒドロキシアルミニウム(多木化学株式会社製)
パラフェノールスルホン酸亜鉛(マツモトファインケミカル株式会社製)
3−フェノキシ1,2−プロパンジオール (東京化成工業株式会社製)
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル (株式会社成和化成製)
3−ベンジルオキシ−1,2−プロパンジオール (シグマ社製)
フェノキシエタノール (日光ケミカル株式会社製)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:シノリンSPE−1250、新日本理化株式会社製)
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(エナジコールL30B、ライオン株式会社製)
安息香酸ナトリウム(商品名:Sodium Benzoate、BFGoodrich Kalama Inc.製)
クエン酸(商品名:ケッショウクエンサンL、扶桑化学工業株式会社製)
香料 (長谷川香料株式会社製)
イソプロピルメチルフェノール (和光純薬工業社製)
チモール (和光純薬工業社製)
メントール (l−メントール、和光純薬工業社製)
ヒノキチオール (和光純薬工業社製)
POP(17)ブチルエーテル (日油株式会社製)
POE(60)硬化ヒマシ油 (日本エマルジョン株式会社社製)
トリイソステアリン酸POE(20)グリセリル (日本エマルジョン株式会社製)
1,3−ブチレングリコール (ダイセル化学工業株式会社製)
プロピレングリコール (和光純薬工業社製)
ステアリン酸PEG−150(日本エマルジョン株式会社製)
グリセリン (日光ケミカル株式会社製)
クロルヒドロキシアルミニウム(多木化学株式会社製)
パラフェノールスルホン酸亜鉛(マツモトファインケミカル株式会社製)
3−フェノキシ1,2−プロパンジオール (東京化成工業株式会社製)
2−エチルヘキシルグリセリルエーテル (株式会社成和化成製)
3−ベンジルオキシ−1,2−プロパンジオール (シグマ社製)
フェノキシエタノール (日光ケミカル株式会社製)
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:シノリンSPE−1250、新日本理化株式会社製)
ラウリン酸アミドプロピルベタイン(エナジコールL30B、ライオン株式会社製)
安息香酸ナトリウム(商品名:Sodium Benzoate、BFGoodrich Kalama Inc.製)
クエン酸(商品名:ケッショウクエンサンL、扶桑化学工業株式会社製)
香料 (長谷川香料株式会社製)
<2−2.抗菌作用の評価>
皮膚常在菌に対する抗菌作用を評価するために、以下の手順で評価を行った。皮膚常在菌として、コリネバクテリウム・キセロシス(IFO12684)を利用した。
皮膚常在菌に対する抗菌作用を評価するために、以下の手順で評価を行った。皮膚常在菌として、コリネバクテリウム・キセロシス(IFO12684)を利用した。
[試験方法]
1)コリネバクテリウム・キセロシス(IFO12684)のマイクロバンク菌株(ビーズ)1個を、白金線で取り出し、TSA(Tryptic Soy Agar)培地に播種し、37℃、2日間培養した。
2)培養した菌をリン酸緩衝液に分散(生菌数106〜7)し、評価対象とする試料を最終濃度が100ppmになるように添加し、試験液とした。
3)試験液を37℃、5時間培養した。
4)上記3)の培養後の試験液をリン酸緩衝液で10〜10000倍まで希釈し、SCDLP培地(Soybean−Casein Digest, LecithinおよびPolysorbate 80を含有する培地)に播種した。
5)24時間培養後、コロニー数をカウントし、生菌数を算出し、下記の評価基準に照らして評価した。
1)コリネバクテリウム・キセロシス(IFO12684)のマイクロバンク菌株(ビーズ)1個を、白金線で取り出し、TSA(Tryptic Soy Agar)培地に播種し、37℃、2日間培養した。
2)培養した菌をリン酸緩衝液に分散(生菌数106〜7)し、評価対象とする試料を最終濃度が100ppmになるように添加し、試験液とした。
3)試験液を37℃、5時間培養した。
4)上記3)の培養後の試験液をリン酸緩衝液で10〜10000倍まで希釈し、SCDLP培地(Soybean−Casein Digest, LecithinおよびPolysorbate 80を含有する培地)に播種した。
5)24時間培養後、コロニー数をカウントし、生菌数を算出し、下記の評価基準に照らして評価した。
[抗菌作用の評価基準]
◎:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が2log cfu/mL以上
◎〜○:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が1.5log cfu/mL以上2log cfu/mL未満
○:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が1log cfu/mL以上1.5log cfu/mL未満
△:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が0.5log cfu/mL以上1log cfu/mL未満
×:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が0.5log cfu/mL未満
◎:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が2log cfu/mL以上
◎〜○:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が1.5log cfu/mL以上2log cfu/mL未満
○:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が1log cfu/mL以上1.5log cfu/mL未満
△:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が0.5log cfu/mL以上1log cfu/mL未満
×:試料無添加の生菌数から試料添加の生菌数を引いた対数値が0.5log cfu/mL未満
<2−3.防臭効果の評価>
男女被験者20名に対し、各々の片方の腋窩部及び胸部には何も処理せず、もう片方の腋窩部および胸部に評価対象とする各試料80mgを塗布し、その後、塗布開始から8時間後に、各被験者が腋窩部及び胸部をガーゼ(5cm×5cm)で10往復拭き取って下記の判定基準に基づいて防臭効果を官能評価した。
男女被験者20名に対し、各々の片方の腋窩部及び胸部には何も処理せず、もう片方の腋窩部および胸部に評価対象とする各試料80mgを塗布し、その後、塗布開始から8時間後に、各被験者が腋窩部及び胸部をガーゼ(5cm×5cm)で10往復拭き取って下記の判定基準に基づいて防臭効果を官能評価した。
[臭いの評価基準]
以下の基準により、各被験者のガーゼに付着した臭いに対する評価をした。
3点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果が非常に高いと感じる。
2点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果がかなり高いと感じる。
1点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果がやや高いと感じる。
0点:塗布部側は無塗布部と同等であると感じる。
以下の基準により、各被験者のガーゼに付着した臭いに対する評価をした。
3点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果が非常に高いと感じる。
2点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果がかなり高いと感じる。
1点:塗布部側は無塗布部よりも防臭効果がやや高いと感じる。
0点:塗布部側は無塗布部と同等であると感じる。
[防臭効果の判定基準]
上記の臭いの評価基準にしたがって得られた点数に基づき、20人の被験者の平均点を求め、下記の判定基準にしたがって防臭効果を評価した。
◎:20人の被験者の平均点が2.5点以上
◎〜○:20人の被験者の平均点が2点以上2.5点未満
○:20人の被験者の平均点が1.5点以上2点未満
△:20人の被験者の平均点が1点以上1.5点未満
×:20人の被験者の平均点が1点未満
上記の臭いの評価基準にしたがって得られた点数に基づき、20人の被験者の平均点を求め、下記の判定基準にしたがって防臭効果を評価した。
◎:20人の被験者の平均点が2.5点以上
◎〜○:20人の被験者の平均点が2点以上2.5点未満
○:20人の被験者の平均点が1.5点以上2点未満
△:20人の被験者の平均点が1点以上1.5点未満
×:20人の被験者の平均点が1点未満
<2−4.使用感(べたつき)の評価>
男女被験者20名に対して、各々の前腕内側部に、評価対象の試料を50mg塗布し、肌のべたつきについて以下の基準に基づき官能評価を行った。結果を、被験者20名の平均値から、下記の評価基準、判定基準で評価した。
男女被験者20名に対して、各々の前腕内側部に、評価対象の試料を50mg塗布し、肌のべたつきについて以下の基準に基づき官能評価を行った。結果を、被験者20名の平均値から、下記の評価基準、判定基準で評価した。
[使用者による評価基準]
5点:非常にベタつく
4点:べたつく
3点:少しベタつく
2点:ほとんどベタつかない
1点:全くベタつかない
5点:非常にベタつく
4点:べたつく
3点:少しベタつく
2点:ほとんどベタつかない
1点:全くベタつかない
[使用感の判定基準]
◎:被験者20名の平均点が、1.0〜1.5点
◎〜○:被験者20名の平均点が、1.6〜2.0点
○:被験者20名の平均点が、2.1〜3.0点
△:被験者20名の平均点が、3.1〜4.0点
×:被験者20名の平均点が、4.1〜5.0点
◎:被験者20名の平均点が、1.0〜1.5点
◎〜○:被験者20名の平均点が、1.6〜2.0点
○:被験者20名の平均点が、2.1〜3.0点
△:被験者20名の平均点が、3.1〜4.0点
×:被験者20名の平均点が、4.1〜5.0点
<2−5.低温保存安定性の評価>
評価対象の試料を50mL入透明ガラス瓶に30mL充填し、−5℃の恒温槽に静置した。経時的に外観変化を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
評価対象の試料を50mL入透明ガラス瓶に30mL充填し、−5℃の恒温槽に静置した。経時的に外観変化を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
[低温保存安定性の評価基準]
◎:1ヶ月経過時において、成分の析出、分離が認められない。
○:2週間経過時において、成分の析出、分離が認められる。
△:1週間経過時において、成分の析出、分離が認められる。
×:1日経過時において、成分の析出、分離が認められる。
◎:1ヶ月経過時において、成分の析出、分離が認められない。
○:2週間経過時において、成分の析出、分離が認められる。
△:1週間経過時において、成分の析出、分離が認められる。
×:1日経過時において、成分の析出、分離が認められる。
比較例1に示されるように、成分(C)を含まない場合、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。これは、成分(A)および(B)が水に十分に溶解しなかったことが主たる要因と推察される。したがって、成分(A)および(B)を含む水溶液の形態とする場合は、さらに成分(C)を添加することが望ましいことが明らかとなった。
比較例2に示されるように、成分(B)を含まない場合(すなわち、抗菌剤として成分(A)のみの場合)、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。
また、比較例11に示されるように、成分(B)の代わりに、成分(B’)を配合しても、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。
また、比較例11に示されるように、成分(B)の代わりに、成分(B’)を配合しても、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。
比較例10に示されるように、成分(A)を含まない場合(すなわち、抗菌剤として成分(B)のみの場合)、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。比較例3に示されるように、成分(A)の配合量が少なすぎると、抗菌作用が不十分であり、防臭効果も十分に得られなかった。比較例4に示されるように、成分(A)の量が多くなると、抗菌作用および防臭効果は向上するものの、べたつき感が増し、使用感が悪化する傾向が認められた。また、比較例7、8および9に示されるように、成分(A)の代わりに成分(A’)に示す各成分を配合した場合、成分(A)の配合と比べて、抗菌作用が劣り、防臭効果も十分ではなかった。
比較例5および6に示されるように、成分(A)および(B)の配合量が、所定量含まれていても、成分(A)/成分(B)の配合比が過大または過小であると、十分な防臭効果を得にくい場合があることが示された。
実施例1〜24に示されるように、成分(A)〜(C)を、それぞれ所定の割合で配合したところ、抗菌作用が高く、防臭効果があり、しかも皮膚に塗布した際にべたつきが少なく使用感が良好な、皮膚外用防臭組成物が得られた。また、実施例25〜33に示されるように、防臭効果については、さらに他の成分として制汗剤(成分(D))を添加することにより、他の効果を損なうことなく、向上させることができることが明らかとなった。
<3.製品例>
下記の製品を調製し、その評価を行った。なお、評価方法は、それぞれ上記の抗菌作用、防臭効果、使用感、および保存安定性に係る評価方法、評価基準及び判定基準と同じである。
下記の製品を調製し、その評価を行った。なお、評価方法は、それぞれ上記の抗菌作用、防臭効果、使用感、および保存安定性に係る評価方法、評価基準及び判定基準と同じである。
[実施例34:デオドラント化粧水]
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で配合し、デオドラント化粧水を得た。デオドラント化粧水の評価は、上記の制汗デオドラント化粧水の場合と同様にして行った。
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で配合し、デオドラント化粧水を得た。デオドラント化粧水の評価は、上記の制汗デオドラント化粧水の場合と同様にして行った。
ベンジルグリセリルエーテル 2.0(質量%)
イソプロピルメチルフェノール 0.1
1,3−ブチレングリコール 1.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.5
精製水 95.8
計 100
成分(A)/成分(B)=20
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果:◎、使用感:◎、低温保存安定性:◎
イソプロピルメチルフェノール 0.1
1,3−ブチレングリコール 1.5
メチルパラベン 0.1
香料 0.5
精製水 95.8
計 100
成分(A)/成分(B)=20
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果:◎、使用感:◎、低温保存安定性:◎
[実施例35:美容化粧水]
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で常法により配合し、美容化粧水を得て、顔と腕部を評価対象とし、試料80mgを塗布後、制汗デオドラントローションに準拠して防臭効果を評価した。その他の評価項目は制汗デオドラントローションに準拠した。
ベンジルグリセリルエーテル 0.5(質量%)
イソプロピルメチルフェノール 0.05
POP(17)ブチルエーテル 1.0
プロピレングリコール 1.0
ジメチコン 0.1
リン酸アスコビルMg 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 1.0
香料 0.5
精製水 95.25
計 100
成分(A)/成分(B)=10
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果◎、使用感:◎、保存安定性:◎
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で常法により配合し、美容化粧水を得て、顔と腕部を評価対象とし、試料80mgを塗布後、制汗デオドラントローションに準拠して防臭効果を評価した。その他の評価項目は制汗デオドラントローションに準拠した。
ベンジルグリセリルエーテル 0.5(質量%)
イソプロピルメチルフェノール 0.05
POP(17)ブチルエーテル 1.0
プロピレングリコール 1.0
ジメチコン 0.1
リン酸アスコビルMg 0.1
ヒドロキシエチルセルロース 1.0
香料 0.5
精製水 95.25
計 100
成分(A)/成分(B)=10
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果◎、使用感:◎、保存安定性:◎
[実施例36:シャンプー]
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で常法により配合してシャンプーを得た。
シャンプーの評価は次のようにして行った。男女被験者20名に対し、各々の頭部片側には標準試料(コントロール)3gを、もう片側に評価対象とする試料3gを施して洗髪し、その後、洗髪から8時間後に、各被験者が頭部をガーゼ(5cm×5cm)で10往復拭き取り、シャンプーと標準試料(コントロール)とを対比して、防臭効果を官能評価した。臭いの評価基準は、制汗デオドラントローションについての評価基準に準拠した。また、その他の評価項目についても制汗デオドラントローションの場合に準拠して評価を行った。
標準試料(コントロール)には、POE(2)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム5%、ラウリン酸アミドプロピルベタイン12%、安息香酸ナトリウム1%、プロピレングリコール3%、クエン酸0.5%、香料0.5%、精製水78%からなるものを調製した。
防臭効果の評価方法は上記の通リで、その他の評価項目は、その他の評価項目は制汗デオドラントローションに準拠した。
下記成分を下記の配合量(単位:質量%)で常法により配合してシャンプーを得た。
シャンプーの評価は次のようにして行った。男女被験者20名に対し、各々の頭部片側には標準試料(コントロール)3gを、もう片側に評価対象とする試料3gを施して洗髪し、その後、洗髪から8時間後に、各被験者が頭部をガーゼ(5cm×5cm)で10往復拭き取り、シャンプーと標準試料(コントロール)とを対比して、防臭効果を官能評価した。臭いの評価基準は、制汗デオドラントローションについての評価基準に準拠した。また、その他の評価項目についても制汗デオドラントローションの場合に準拠して評価を行った。
標準試料(コントロール)には、POE(2)ラウリルエーテルサルフェートナトリウム5%、ラウリン酸アミドプロピルベタイン12%、安息香酸ナトリウム1%、プロピレングリコール3%、クエン酸0.5%、香料0.5%、精製水78%からなるものを調製した。
防臭効果の評価方法は上記の通リで、その他の評価項目は、その他の評価項目は制汗デオドラントローションに準拠した。
ベンジルグリセリルエーテル 0.5(質量%)
イソプロピルメチルフェノール 0.05
プロピレングリコール 3.0
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 12.0
安息香酸ナトリウム 1.0
クエン酸 0.5
香料 0.5
精製水 77.45
計 100
成分(A)/成分(B)=10
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果:◎、使用感:◎、低温保存安定性:◎
イソプロピルメチルフェノール 0.05
プロピレングリコール 3.0
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 5.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 12.0
安息香酸ナトリウム 1.0
クエン酸 0.5
香料 0.5
精製水 77.45
計 100
成分(A)/成分(B)=10
(評価)
抗菌作用:◎、防臭効果:◎、使用感:◎、低温保存安定性:◎
本発明は、防臭に関する製品群に係る産業で有用であり、特にデオドラント組成物およびこれを利用する衛生用品、化粧料などの分野において有用である。
Claims (6)
- 成分(A)ベンジルグリセリルエーテルと、
成分(B)イソプロピルメチルフェノールと、
成分(C)多価アルコールおよび/またはノニオン性界面活性剤と、
を含有し、前記成分(A)の配合量が0.01質量%以上5質量%以下であり、かつ成分(A)/成分(B)の質量比が0.1以上100以下である、皮膚外用防臭組成物。 - 前記成分(B)の配合量が、0.001質量%以上0.5質量%以下である、請求項1に記載の皮膚外用防臭組成物。
- 前記成分(C)が、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリエチレングリコール−12ジメチコン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールからなる群より選ばれる1種以上の成分である、請求項1または2に記載の皮膚外用防臭組成物。
- 水を70質量%以上含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
- さらに、成分(D)クロルヒドロキシアルミニウムおよび/またはパラフェノールスルホン酸亜鉛を含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
- 腋窩部に塗布用である、請求項1から5のいずれか一項に記載の皮膚外用防臭組成物。
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2011
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