WO2023022050A1 - アミノアルキルテトラヒドロピラン誘導体 - Google Patents

アミノアルキルテトラヒドロピラン誘導体 Download PDF

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弘幸 荻野
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Abstract

下記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩である。 (前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)

Description

アミノアルキルテトラヒドロピラン誘導体
 本発明は、アミノアルキルテトラヒドロピラン誘導体、及びその製造方法に関する。
 痛みは生体の警告信号であるが、必要以上の強さの痛みが生じたり、痛みが慢性化したりすると、疾患として治療の対象となる。疼痛治療のために開発された全身性の鎮痛薬の多くは、構造、物性等から皮膚透過性が低いため、経口剤や注射剤などの投与方法によって使用されている。
 しかしながら、経口剤は、高齢者など嚥下困難な患者には適用が難しく、また薬効の持続性が足りない場合がある等の問題があり、注射剤は、侵襲的であることや、投薬には医療従事者の補助が必要であること等の問題がある。
 一方、経皮吸収製剤、中でも貼付剤は、投与が簡便であること、薬効の持続性があること、非侵襲的であること、投薬の中断が容易であること等の利点を有する。痛みの治療には長期間を要することが多いため、既存の鎮痛薬と薬効が同等もしくはそれ以上である薬物を含有する貼付剤の開発が望まれている。
 強い鎮痛作用を有しながらも、優れた経皮吸収性を示す薬物としては、例えば、3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール(以下、「化合物(6a)」と称することがある)が知られている(特許文献1)。また、特許文献1によれば化合物(6a)は、貼付剤に採用される組成物への溶解性に優れている。
 一方、薬物の中には、それ自体は薬効を示さず、体内の酵素によって代謝されることで、薬効を示す活性体を生じるものがある。そのような化合物は「プロドラッグ」として知られており、有効成分の前駆体として、安定性向上、吸収性改善、溶解性改善などの役割を果たす。プロドラッグを含有した貼付剤としては、例えば、非ステロイド系消炎鎮痛薬であるロキソプロフェンナトリウム貼付剤が挙げられる。ロキソプロフェンは体内の代謝酵素(カルボニル還元酵素)によりカルボニル基がヒドロキシル基へと変換されて、生じた活性体が消炎鎮痛作用を示す。
 しかしながら、貼付剤としては、エステル基がエステラーゼなどの代謝酵素で加水分解されてヒドロキシル基を生じるタイプのプロドラッグは知られていない。
国際公開第2019/156074号パンフレット
 本発明者らが、化合物(6a)の有機溶媒に対する溶解性を確認したところ、溶解性が十分でないことが判明した。また、化合物(6a)を含有する貼付剤を作製したところ、化合物(6a)の溶解性が十分でなく、化合物(6a)の結晶が析出する現象が認められた。
 薬物の溶解性が低いと、該薬物を含有する医薬組成物を製造する際の溶解工程が煩雑となったり、薬物の体内への吸収性が不十分となったりする可能性がある。
 また、貼付剤の粘着剤層中の薬物が結晶として析出すると、粘着剤層中に含まれる薬物の含量が低下し、薬効を十分に確保することができない。
 そこで、本発明では、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、各種有機溶媒、及び貼付剤用組成物への溶解性が優れている、下記一般式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と称することがある)の前駆化合物を開発することを目的とする。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
(前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 本発明者らが、前記目的を達成すべく鋭意検討したところ、下記一般式(16)で表される化合物(以下、「化合物(16)」と称することがある)、又はその薬学的に許容される塩が、各種有機溶媒、及び貼付剤用組成物への溶解性が優れている、前記化合物(1)の前駆化合物であり、前記化合物(16)を用いることにより、結晶析出の問題が無い貼付剤を作製できることを見出した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
(前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下のとおりである。即ち、
 <1> 下記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
(前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、各種有機溶媒、及び貼付剤用組成物への溶解性が優れている、下記一般式(1)で表される化合物の前駆化合物を提供することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
(前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 本発明の化合物は、通常、International Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC)の命名法に従って命名している。
 本発明の化合物の構造中に不斉炭素となる原子を有する場合、その絶対配置を位置番号とともにRとSによって示すことがある。相対配置は、化合物名表記においてはじめに記す不斉中心の絶対配置をR又はSとしたとき、星印(R又はS)を添える場合がある。ラセミ混合物は通常、RやSを用いずに記すが、R又はSの代わりにRS又はSRを用いるか、名称の前にrac-の接頭辞を置いて示す場合がある。
 <一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩>
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。
 前記炭素数1~12のアルキル基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。
 前記置換基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、ヒドロキシアミノ基、炭素数1~12のアルキルアミノ基、炭素数1~12のジアルキルアミノ基、炭素数7~12のアラルキルアミノ基、炭素数7~12のジアラルキルアミノ基、炭素数1~12のアルキルスルホニルアミノ基、スルホン酸基、スルホンアミド基、アジド基、トリフルオロメチル基、カルボキシル基、炭素数1~12のアシル基、炭素数7~12のアロイル基、ヒドロキシル基、炭素数1~12のアルキルオキシ基、炭素数1~12のアシルオキシ基、炭素数7~12のアロイルオキシ基、炭素数1~12のシリルオキシ基、炭素数1~12のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数1~12のアルキルチオ基などが挙げられる。
 前記置換基の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1~5個が挙げられる。
 これらの中でも、化合物の保存安定性向上及び十分な鎮痛活性を得る観点から、水素原子又は無置換のアルキル基が好ましく、水素原子、又はメチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
 製造容易性及び十分な鎮痛活性を得る観点から、RとRは同じであることが好ましい。
 前記一般式(16)中、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。
 前記炭素数1~12のアルキル基、前記置換基は、R~Rの説明において上述したとおりである。
 これらの中でも、製造容易性及び十分な鎮痛活性を得る観点から、無置換のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
 前記一般式(16)中、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表す。
 これらの中でも、製造容易性及び粘着剤組成物に対する溶解性向上の観点から、水素原子、又は無置換の炭化水素基が好ましく、無置換の炭化水素基がより好ましい。
 前記無置換の炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、直鎖炭化水素基、分岐炭化水素基、環状炭化水素基などが挙げられる。
 これらの中でも、一般式(16)で表される化合物の溶解性を向上させ、体内での一般式(16)で表される化合物から一般式(1)で表される化合物への変換を効率化する観点から、直鎖炭化水素基が好ましく、炭素数が1から18の直鎖炭化水素基が好ましく、炭素数1から12の直鎖炭化水素基がより好ましく、炭素数4から12の直鎖炭化水素基がさらに好ましく、炭素数6から10の直鎖炭化水素基が特に好ましく、炭素数7から9の直鎖炭化水素基が最も好ましい。
 前記置換基を有する炭化水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシル基を有する炭化水素、エステル基を有する炭化水素、アミド基を有する炭化水素、エーテル基を有する炭化水素、アルコキシド、アルキルアミノ基、アルキルスルフェニル基、芳香族骨格を含む炭化水素が挙げられる。
 これらの中でも、一般式(16)で表される化合物の溶解性をさらに向上させる観点から、エーテル基を有する炭化水素が好ましく、ポリエチレングリコール構造を有する炭化水素がさらに好ましい。
 前記一般式(16)中、1及び2は不斉炭素原子を表す。
 前記一般式(16)で表される化合物としては、下記一般式(16a)で表される化合物(以下、「化合物(16a)」と称することがある)、又は下記一般式(16b)で表される化合物(以下、「化合物(16b)」と称することがある)が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
(前記一般式(16a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(16)で表される化合物において上述したとおりである。)
 前記一般式(16a)で表される化合物の主生成物はトランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
(前記一般式(16b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(16)で表される化合物において上述したとおりである。)
 前記一般式(16b)で表される化合物の主生成物はシス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 前記トランス及びシスは、1の炭素に結合するフェニル基と2の炭素に結合する環外メチレン基(化合物(16a)、化合物(16b)の例ではアミノメチル基が有するメチレン基)の関係に基づいて定める。また前記「その混合物」は、例えば、エナンチオマー同士の混合物を意味し、エナンチオマー同士の等量混合物(ラセミ体)及び非等量混合物のいずれでもよい。
 前記一般式(16)で表される化合物としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物がより好ましく、製造容易性及び十分な鎮痛活性を得る観点から、下記一般式(17a)で表される化合物(以下、「化合物(17a)」と称することがある)がさらに好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
(前記一般式(17a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、Rは一般式(16)で表される化合物において上述したとおりである。)
 前記一般式(17a)で表される化合物の主生成物はトランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 前記化合物(16)、又はその薬学的に許容される塩は、吸水して水和物となったり、精製処理で用いる溶媒と溶媒和物を形成したりする可能性があり、また、複数の結晶多型を有する可能性がある。本発明では、このような水和物や溶媒和物、結晶多型も含まれる。
 前記化合物(16)、又はその薬学的に許容される塩における、「薬学的に許容される塩」は、特に限定されず、無機塩であっても有機塩であってもよい。
 前記無機塩としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられ、前記有機酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。
 これらの中でも、入手のしやすさの観点から、前記化合物(16)はフリー体、又は塩酸塩が好ましく、経皮吸収性を確保する観点から、フリー体が特に好ましい。
 前記化合物(16)、又はその薬学的に許容される塩(前駆化合物:プロドラッグ)は、皮膚などの体内において、エステラーゼなどで加水分解され、化合物(1)となる。
 前記化合物(17a)が加水分解されて生じる3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールは、強い鎮痛作用を示すことから、前記化合物(17a)、又はその薬学的に許容される塩や、前記化合物(16)、又はその薬学的に許容される塩は、慢性疼痛の治療及び/又は予防に用いることができる。
 <一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法>
 前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法は、下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、酸塩化物と、を混合する混合工程(以下、混合工程1と称する)を含み、さらにその他の工程1を含むことができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000011
(前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
-一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩-
 前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。前記R~Rは、前記一般式(16)で表される化合物の説明において上述したとおりである。
 前記一般式(1)中、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表す。前記R~Rは、前記一般式(16)で表される化合物の説明において上述したとおりである。
 前記一般式(1)中、1及び2は不斉炭素原子を表す。
 前記一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と称することがある)、又は下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と称することがある)が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000012
(前記一般式(1a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(1)で表される化合物において上述したとおりである。)
 前記一般式(1a)で表される化合物の主生成物はトランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000013
(前記一般式(1b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(1)で表される化合物において上述したとおりである。)
 前記一般式(1b)で表される化合物の主生成物はシス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 前記トランス及びシスは、1の炭素に結合するフェニル基と2の炭素に結合する環外メチレン基(化合物(1a)、化合物(1b)の例ではアミノメチル基が有するメチレン基)の関係に基づいて定める。また前記「その混合物」は、例えば、エナンチオマー同士の混合物を意味し、エナンチオマー同士の等量混合物(ラセミ体)及び非等量混合物のいずれでもよい。
 前記一般式(1)で表される化合物としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物(一般式(1a)で表される化合物)がより好ましく、3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール、3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール、又はそれら2つのエナンチオマーの混合物(下記式(6a)で表される化合物)がさらに好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000014
(前記式(6a)中、1及び2’は不斉炭素を表す。)
 前記式(6a)で表される化合物の主生成物はトランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
--一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法--
 前記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(2)で表されるアミン化合物(以下、「化合物(2)」と称することがある)、又はその塩を前駆体とし、塩基を用いてスルホニル基を加水分解することで、製造することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000015
(前記一般式(2)中、R~R1、2は、前記一般式(1)で表される化合物の説明において上述したとおりである。Qはスルホニル基を表す。)
 前記スルホニル基としては、アシル基の-C(=O)-が-S(=O)-に置き換えられた形の基が好ましい。
 前記スルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等の、アルカン部位にハロゲン原子が結合していてもよい炭素数1~4のアルカンスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、o-クロロベンゼンスルホニル基、m-クロロベンゼンスルホニル基、p-クロロベンゼンスルホニル基、o-ニトロベンゼンスルホニル基、m-ニトロベンゼンスルホニル基、p-ニトロベンゼンスルホニル基等の、ベンゼン環に炭素数1~4のアルキル基、ハロゲン原子等が結合していてもよいベンゼンスルホニル基;(+)-10-カンファースルホニル基などが挙げられる。
 これらの中でも、メタンスルホニル基、又はp-トルエンスルホニル基がより好ましく、メタンスルホニル基がさらに好ましい。
 前記一般式(2)で表される化合物としては、下記一般式(2a)で表される化合物、又は下記一般式(2b)で表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000016
(前記一般式(2a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~R、及びQは一般式(2)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(2a)で表される化合物は、トランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000017
(前記一般式(2b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~R、及びQは一般式(2)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(2b)で表される化合物は、シス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 トランス、シスの区別及び「その混合物」の意味は、前記一般式(1a)で表される化合物、前記一般式(1b)で表される化合物において上述したとおりである。
 前記一般式(2)で表されるアミン化合物としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物(前記一般式(2a)で表される化合物)よりが好ましい。
 前記一般式(2)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(3)で表されるフェノール誘導体(以下、「化合物(3)」と称することがある)をジスルホニル化して得られる、下記一般式(4)で表されるジスルホニル化合物(以下、「化合物(4)」と称することがある)をアミノ化することで(例えば、第2級アミンとの反応によってアミノ化することで)、製造することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000018
(前記一般式(3)中、R~R1、2は、前記一般式(1)で表される化合物の説明において上述したとおりである。)
(前記一般式(4)中、R~R1、2は、前記一般式(1)で表される化合物の説明において上述したとおりである。Qは前記一般式(1)で表される化合物の説明において上述したとおりである。)
 前記一般式(3)で表される化合物としては、下記一般式(3a)で表される化合物、又は下記一般式(3b)で表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000019
(前記一般式(3a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(3)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(3a)で表される化合物は、トランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000020
(前記一般式(3b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~R、は一般式(3)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(3b)で表される化合物は、シス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 トランス、シスの区別及び「その混合物」の意味は、前記一般式(1a)で表される化合物、前記一般式(1b)で表される化合物において上述したとおりである。
 前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物(前記一般式(3a)で表される化合物)よりが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000021
(前記一般式(4a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~R、及びQは一般式(4)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(4a)で表される化合物は、トランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000022
(前記一般式(4b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~R、及びQは一般式(4)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(4b)で表される化合物は、シス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 トランス、シスの区別及び「その混合物」の意味は、前記一般式(1a)で表される化合物、前記一般式(1b)で表される化合物において上述したとおりである。
 前記一般式(4)で表されるジスルホニル化合物としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物(前記一般式(4a)で表される化合物)よりが好ましい。
 前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体から得られる一般式(4)で表されるジスルホニル化合物をアミノ化することで、前記一般式(2)で表されるアミン化合物が収率よく製造できる。
 前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(5)で表されるアルコール誘導体(以下、「化合物(5)」と称することがある)を脱メチル化することで製造することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000023
(前記一般式(5)中、R~R1、2は、前記一般式(1)で表される化合物の説明において上述したとおりである。)
 前記一般式(5)で表される化合物としては、下記一般式(5a)で表される化合物、又は下記一般式(5b)で表される化合物が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000024
(前記一般式(5a)中、1及び2’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(5)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(5a)で表される化合物は、トランス体のエナンチオマー又はその混合物である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000025
(前記一般式(5b)中、1及び2’’は不斉炭素を表し、R~Rは一般式(5)で表される化合物において上述したとおりである。)
 一般式(5b)で表される化合物は、シス体のエナンチオマー又はその混合物である。
 トランス、シスの区別及び「その混合物」の意味は、前記一般式(1a)で表される化合物、前記一般式(1b)で表される化合物において上述したとおりである。
 前記一般式(5)で表されるアルコール誘導体としては、トランス体のエナンチオマー又はその混合物(前記一般式(5a)で表される化合物)よりが好ましい。
 前記一般式(5)で表されるアルコール誘導体からの脱メチル化反応では、高収率で前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体を製造できる。
---工程1:前記一般式(2)で表されるアミン化合物又はその塩から前記一般式(1)で表されるアミノアルキルテトラヒドロピラン誘導体、又はその薬学的に許容される塩を製造する工程---
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000026
(前記一般式(2)中、1及び2、並びにR~R、Qは上述のとおりである。)
(前記一般式(1)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
 本工程は、溶媒中、化合物(2)又はその塩に対し、塩基を作用させて、化合物(1)を製造する工程である。
 本工程の反応溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいて特に制限はなく、例えば、水;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、tert-ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert-ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルプロピレンウレア等のウレア系溶媒;ヘキサメチルホスホン酸トリアミド等のホスホン酸トリアミド系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒を用いることができる。好ましくは水、tert-ブタノール、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフランであり、さらに好ましくは水である。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。2種以上を併用する場合、水と水以外の溶媒との混合溶媒であることが好ましい。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、上限としては、前記化合物(2)又はその塩に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(2)又はその塩に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 本工程の加水分解に使用する塩基としては、トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の第3級アミン類;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の金属炭酸水素塩;リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リチウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム等の金属ヒドリドが挙げられる。好ましくは金属水酸化物、金属アルコキシドであり、より好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムであり、さらに好ましくは水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムであり、特に好ましくは水酸化ナトリウムである。
 前記塩基の使用量としては、好ましくは前記化合物(2)又はその塩に対して0.1~50倍モル量であり、さらに好ましくは1~20倍モル量である。
 本工程の反応温度は反応時間を短縮する一方で、副反応を抑制する目的で、好ましくは-40~150℃であり、より好ましくは-20~100℃であり、さらに好ましくは40~100℃である。
 本工程の反応時間について特に制限はなく、適宜設定すればよいが、好ましくは0.001~72時間であり、さらに好ましくは0.1~48時間である。
 本工程において、前記化合物(2)又はその塩、前記塩基、反応溶媒の混合順序や混合方法は特に制限されない。
 反応終了後の処理としては、反応液から目的物を取得するための一般的な処理を行ってもよい。例えば、反応終了後の反応液に水を必要に応じて加えるなどして目的物を含む塩基性水溶液とし、一般的な有機溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を用いて目的物を水層側に回収する洗浄操作を行うとよい。
 目的物を含む塩基性水溶液(水を含む反応混合物、前記有機溶媒による洗浄で回収される水層など)から目的物を取得する方法として、目的物を含む塩基性水溶液に一般的な抽出溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を加え、かつ酸を加える。酸を加えることにより、目的物を含む塩基性水溶液が塩基性、中性、又は酸性水溶液となり、目的物が抽出溶媒側に抽出されることで抽出液が得られる。
 前記酸としては、例えば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素塩;リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等のリン酸二水素塩;フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、L-酒石酸、D-酒石酸、マンデル酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はカンファ―スルホン酸であり、より好ましくはリン酸二水素カリウム、塩化水素である。なお、塩化水素は気体で取り扱いにくいため、代わりに塩酸を用いてもよい。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
 前記塩基性、中性、又は酸性水溶液としては、好ましくはpH5~11であり、さらに好ましくはpH6~9.5であり、特に好ましくはpH6.5~10である。
 前記酸と抽出溶媒(有機溶媒)を加えた抽出処理によって有機層を回収し、一旦除去された水層に再び前記抽出溶媒を加えて目的物を再抽出してもよい。前記一旦除去した水層は、塩基性、中性、酸性のいずれでもよいが、酸性(特にpHが5以下の酸性)(すなわち目的物を含む酸性水溶液)である場合には、該酸性水溶液から目的物を取得する方法として、該目的物を含む酸性水溶液に前記一般的な抽出溶媒(前記塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等)のみならず、塩基(例えば、加水分解に使用する上述の塩基と同様の塩基。好ましくは水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物)を加えることが好ましい。酸性水溶液に塩基を加えることでpHが前記好ましい範囲に調整でき(より好ましくは塩基性水溶液とすることができ)、層分離することで目的物が抽出溶媒(有機溶媒)に溶解した液(抽出液)が得られる。
 得られた抽出液(有機層)は減圧加熱等の操作により、抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。このようにして得られた目的物は、後続工程で使用できる十分な純度を有しているが、純度を高める目的で、晶析、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理等の一般的な精製手法によりさらに純度を高めてもよい。
 前記化合物(1)又はその薬学的に許容される塩(以下、化合物(1)又はその塩という)の晶析に用いる溶媒(以下、晶析溶媒という)としては、特に制限はなく、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒が挙げられる。これらの具体例としては、前記反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくはアルコール系溶媒、ニトリル系溶媒であり、さらに好ましくはエタノール、イソプロパノール、アセトニトリルであり、特に好ましくはアセトニトリルである。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合は、その混合比は特に制限されない。
 前記晶析溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(1)又はその塩に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(1)又はその塩に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 晶析を行う方法としては、特に限定されないが、例えば以下のような方法が挙げられ、有機溶媒の組み合わせにより、適切に選択すればよい。
(a)前記化合物(1)又はその塩を有機溶媒に溶解させた後、冷却して結晶化させる方法。
(b)前記化合物(1)又はその塩を有機溶媒に溶解させた後、品溶媒を添加、又は貧溶媒に濃縮置換することにより結晶化させる方法。
(c)前記化合物(1)又はその塩を有機溶媒中で混合し、リスラリーさせる方法。
 (a)、(b)、又は(c)の方法は、適宜組み合わせて結晶化を行ってもよい。また、結晶化の際には種晶を加えてもよい。
 上記(a)~(c)の晶析方法における実施温度は、特に限定されないが、使用する溶媒の種類により適宜選択すればよく、好ましくは使用する溶媒又は混合溶媒種に、前記化合物(1)又はその塩が溶解する温度未満で、目標とする析出量と結晶の品質に応じて設定すればよい。
 上記(a)~(c)の晶析方法により析出した前記化合物(1)又はその塩は、減圧濾過、加圧ろ過、又は遠心分離等の方法により分離、取得することができる。また、取得した結晶中に母液が残存して結晶の純度が低下する場合は必要に応じて、さらに有機溶媒で洗浄することにより、品質を高めることもできる。
 結晶の乾燥方法としては、熱分解や溶融を避けて約60℃以下で、減圧乾燥(真空乾燥)するのが好ましい。
---工程2:前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体から前記一般式(4)で表されるジスルホニル化合物に変換し、続いて前記一般式(2)で表される化合物又はその塩を製造する工程---
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000027
(前記一般式(3)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
(前記一般式(4)中、1及び2、並びにR~R、Qは上述のとおりである。)
(前記一般式(2)中、1及び2、並びにR~R、Qは上述のとおりである。)
 ジスルホニル化工程
 本工程は、溶媒中、前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体に対し、塩基存在下にスルホニル化剤で処理し、前記一般式(4)で表されるジスルホニル化合物を製造する工程である。
 本工程の反応溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいて特に制限はなく、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの具体例としては、工程1に反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒であり、特に好ましくはトルエン、又は塩化メチレンである。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(3)に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(3)に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 本工程のジスルホニル化に使用する塩基としては、第3級アミン類、金属水酸化物、金属炭酸水素塩、金属アルコキシド、金属ヒドリド等が挙げられる。これらの具体例としては、工程1で加水分解に使用する塩基として例示した塩基が挙げられる。好ましくは第3級アミン類であり、さらに好ましくはトリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、ジイソプロピルエチルアミンであり、特に好ましくはトリエチルアミンである。
 前記塩基の使用量としては、好ましくは前記化合物(3)に対して0.1~50倍モル量であり、さらに好ましくは1~20倍モル量である。
 本工程のスルホニル化剤としては、前記Qで表されるスルホニル基のハロゲン化物(塩化物、臭化物など)、酸無水物などが挙げられる。好ましくは、塩化メタンスルホニル、フッ化メタンスルホニル、臭化メタンスルホニル、メタンスルホン酸無水物、塩化エタンスルホニル、塩化ベンゼンスルホニル、塩化p-トルエンスルホニル、塩化o-クロロベンゼンスルホニル、塩化m-クロロベンゼンスルホニル、塩化p-クロロベンゼンスルホニル、塩化o-ニトロベンゼンスルホニル、塩化m-ニトロベンゼンスルホニル、塩化p-ニトロベンゼンスルホニル、無水トリフルオロメタンスルホニル、塩化(+)-10-カンファースルホニル等が挙げられる。より好ましくは塩化メタンスルホニル、又は塩化p-トルエンスルホニルであり、さらに好ましくは塩化メタンスルホニルである。
 前記スルホニル化剤の使用量としては、好ましくは前記化合物(3)に対して0.1~50倍モル量であり、さらに好ましくは2~10倍モル量である。
 本工程のジスルホニル化の反応温度は反応時間を短縮する一方で、副反応を抑制する目的で、好ましくは-40~80℃であり、さらに好ましくは-20~50℃である。
 本工程のジスルホニル化の反応時間について特に制限はなく、適宜設定すればよいが、好ましくは0.001~24時間であり、さらに好ましくは0.1~12時間である。
 本工程のジスルホニル化において、前記化合物(3)、塩基、スルホニル化剤、反応溶媒の混合順序や混合方法は特に制限されない。
 反応終了後の処理としては、反応液から生成物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば反応終了後の反応液に水を加えて洗浄、又は必要に応じて塩酸水溶液、硫酸水溶液、塩化アンモニウム水溶液等の酸水溶液を加えて洗浄を行う。また、一般的な抽出溶媒、例えばトルエン、塩化メチレン、ジエチルエーテル、酢酸エチル、ヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を用いて抽出を行ってもよい。得られた抽出液から減圧、加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。
 このようにして得られた目的物は、後続工程に使用できる十分な純度を有しているが、後続工程の収率、もしくは後続工程で得られる化合物の純度をさらに高める目的で分別蒸留やカラムクロマトグラフィー、活性炭処理、晶析等の一般的な精製手法により、さらに純度を高めてもよい。
 アミノ化工程
 本工程は、溶媒中、前記化合物(4)に対し、第2級アミンを作用させて、前記化合物(2)又はその塩を製造する工程である。
 反応溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいて特に制限はなく、例えば、水、アミド系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの具体例としては、工程1に反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくは水、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミドであり、さらに好ましくは水である。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(4)に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(4)に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 本工程のアミノ化に用いる第2級アミンとしては、NHR4R5(式中、R4、R5は前記と同じ)が挙げられ、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリンであり、好ましくはジメチルアミンである。なお、ジメチルアミンは気体で取り扱いにくいため、代わりにジメチルアミン塩酸塩、或いはジメチルアミン水溶液を用いてもよい。特に好ましくはジメチルアミン水溶液である。
 前記第2級アミンの使用量としては、好ましくは前記化合物(4)に対して0.1~100倍モル量であり、さらに好ましくは1~50倍モル量であり、特に好ましくは20倍モル量である。
 本工程の反応温度は反応時間を短縮する一方で、副反応を抑制する目的で、好ましくは-40~150℃であり、より好ましくは-20~120℃、さらに好ましくは40~100℃である。
 本工程の反応時間について特に制限はなく、適宜設定すればよいが、好ましくは0.001~72時間であり、さらに好ましくは0.1~48時間である。
 本工程において、前記化合物(4)、第2級アミン、反応溶媒の混合順序や混合方法は特に制限されない。
 反応終了後の処理としては、特に何も行わず、後続工程に進めてもよく、反応液から目的物を取得するための一般的な処理を行ってもよい。例えば、反応終了後の反応液に一般的な抽出溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を用いて抽出操作を行うとよい。
 このようにして得られた目的物を含む抽出液(有機層)は、後続工程の収率、もしくは後続工程で得られる化合物の純度をさらに高める目的で、抽出液に対し、水及び酸を加えて酸性とすることで、目的物を含む酸性水溶液(水層)として取得してもよい。目的物を水層側に転溶することで、有機不純物を低減できる。
 前記目的物である化合物(2)を含む抽出液に加える酸としては、例えば、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等の硫酸水素塩;リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等のリン酸二水素塩;フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、L-酒石酸、D-酒石酸、マンデル酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はカンファ―スルホン酸であり、より好ましくは硫酸水素カリウム、塩化水素である。なお、塩化水素は気体で取り扱いにくいため、代わりに塩酸を用いてもよい。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
 前記酸性水溶液としては、好ましくはpH7以下であり、さらに好ましくはpH6以下であり、特に好ましくはpH5以下である。
 次いで、目的物を含む酸性水溶液から有機層側に目的物を取得する方法として、目的物を含む酸性水溶液に一般的な抽出溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を加え、塩基を加えることで塩基性水溶液とすることで抽出液(有機層)が得られる。
 前記目的物を含む酸性水溶液に加える塩基としては、第3級アミン類、金属水酸化物、金属炭酸水素塩、金属アルコキシド、等が挙げられる。これらの具体例としては、工程1で加水分解に使用する塩基として例示した塩基が挙げられる。好ましくは金属水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウムである。なお、固体の水酸化ナトリウムは固体で潮解性があり、取り扱いにくいため、代わりに水酸化ナトリウム水溶液を用いてもよい。前記塩基性水溶液としては、好ましくはpH7以上であり、さらに好ましくはpH8以上であり、特に好ましくはpH9以上である。
 得られた抽出液は減圧加熱等の操作により、抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。また有機層側に目的物を取得せず、前記の目的物を含む酸性水溶液から水を除去することで化合物(2)の塩を得てもよい。このようにして得られた目的物(化合物(2)又はその塩)は、後続工程使用できる十分な純度を有しているが、純度を高める目的で、晶析、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理等の一般的な精製手法によりさらに純度を高めてもよい。
 前記化合物(2)の晶析に用いる溶媒としては、特に制限はなく、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒が挙げられる。これらの具体例としては、工程1に反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくはアルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒であり、さらに好ましくはエタノールである。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合は、その混合比は特に制限されない。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(2)に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(2)に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 晶析を行う方法としては、前記化合物(1)の晶析方法と同様の方法で行うことができる。
 結晶の乾燥方法は、前記化合物(1)の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
---工程3:前記一般式(5)で表されるアルコール誘導体から前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体を製造する工程---
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000028
(前記一般式(5)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
(前記一般式(3)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
 本工程は、溶媒中、前記一般式(5)で表されるアルコール誘導体(5)に対し、酸及び捕捉剤を作用させることで前記一般式(3)で表されるフェノール誘導体を製造する工程である。
 反応溶媒としては、反応に影響を与えない限りにおいて特に制限はなく、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、スルホキシド溶媒、アミド系溶媒、ウレア系溶媒、ホスホン酸トリアミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶等を用いることができる。これらの具体例としては、工程1に反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくは芳香族炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒であり、特に好ましくはトルエン、又は塩化メチレンである。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合、その混合比は特に制限されない。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(5)に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(5)に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 本工程に使用する酸としては、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素等のハロゲン化ホウ素、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)等のハロゲン化アルミニウムなどのルイス酸及びこれらの溶媒和物が挙げられ、好ましくは塩化アルミニウム(III)である。なお、三フッ化ホウ素については、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を用いてもよい。
 前記酸の使用量としては、好ましくは前記化合物(5)に対して0.01~20倍モル量であり、さらに好ましくは0.1~10倍モル量である。
 本工程に使用する捕捉剤としては、メタンチオール、エタンチオール、ブタンチオール、オクタンチオール、ドデカンチオール、チオグリコール酸等のチオール類;ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、テトラヒドロチオフェン、チオアニソール等のチオエーテル類が挙げられ、好ましくはチオール類であり、さらに好ましくは1-ドデカンチオールなどの炭素数が6~15程度のチオールである。
 前記捕捉剤の使用量としては、好ましくは前記化合物(5)に対して0.01~20倍モル量であり、さらに好ましくは0.1~10倍モル量である。
 本工程は-78℃の極低温で行うことも可能であるが、該極低温を必要としない点に利点がある。本工程の反応温度は反応時間を短縮する一方で、副反応を抑制する目的で、好ましくは-40~200℃であり、さらに好ましくは-20~150℃であり、特に好ましくは-10~50℃である。
 本工程の反応時間について特に制限はなく、適宜設定すればよいが、好ましくは0.001~72時間であり、さらに好ましくは0.1~48時間である。
 本工程の反応において、前記化合物(5)、酸、捕捉剤、反応溶媒の混合順序や混合方法は特に制限されない。
 反応終了後の処理としては、反応液から目的物を取得するための一般的な処理を行えばよい。例えば、反応終了後の反応液に水を加え、一般的な抽出溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を用いて抽出操作を行うとよい。また、必要に応じて目的物の抽出効率を改善する目的で塩化ナトリウム等の無機塩を加えてもよい。無機塩は固体でもよく、特に濃度が制限されない無機塩の水溶液を用いてもよい。
 このようにして得られた目的物を含む抽出液は、後続工程の収率、もしくは後続工程で得られる化合物の純度をさらに高める目的で、抽出液に対し、水及び塩基又は塩基の水溶液を加えて塩基性とすることで、目的物を含む塩基性水溶液として取得してもよい。
 前記抽出液に加える塩基としては、第3級アミン類、金属水酸化物、金属炭酸水素塩、金属アルコキシド、等が挙げられる。これらの具体例としては、工程1で加水分解に使用する塩基として例示した塩基が挙げられる。好ましくは金属水酸化物であり、さらに好ましくは水酸化ナトリウムである。なお、固体の水酸化ナトリウムは固体で潮解性があり、取り扱いにくいため、代わりに水酸化ナトリウム水溶液を用いてもよい。
 前記塩基性水溶液としては、好ましくはpH7以上であり、さらに好ましくはpH8以上であり、特に好ましくはpH9以上である。
 次いで、目的物を含む塩基性水溶液から目的物を取得する方法として、目的物を含む塩基性水溶液に一般的な抽出溶媒、例えば塩化メチレン、ジエチルエーテル、トルエン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等を加え、酸を加えることで酸性水溶液とすることで抽出液が得られる。
 前記酸としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ピバル酸、クロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、L-酒石酸、D-酒石酸、マンデル酸等のカルボン酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、又はカンファースルホン酸であり、より好ましくは塩化水素である。なお、塩化水素は気体で取り扱いにくいため、代わりに塩酸を用いてもよい。
 前記酸性水溶液としては、好ましくはpH7以下であり、さらに好ましくはpH6以下であり、特に好ましくはpH5以下である。
 得られた抽出液は水、或いは塩化ナトリウム水溶液等の水溶液を加えて洗浄を行ってもよい。得られた抽出液から減圧加熱等の操作により、反応溶媒及び抽出溶媒を留去すると目的物が得られる。このようにして得られた目的物は、後続工程使用できる十分な純度を有しているが、純度を高める目的で、晶析、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理等の一般的な精製手法によりさらに純度を高めてもよい。
 前記化合物(3)の晶析に用いる溶媒としては、特に制限はなく、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒;アルコール系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒が挙げられる。これらの具体例としては、工程1に反応溶媒として例示した溶媒が挙げられる。好ましくはアルコール系溶媒、ニトリル系溶媒であり、さらに好ましくはアセトニトリルである。これらは1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。2種以上を併用する場合は、その混合比は特に制限されない。
 前記溶媒の使用量としては、多すぎるとコストや後処理の観点で好ましくないため、前記化合物(3)に対して好ましくは50倍重量以下であり、さらに好ましくは20倍重量以下である。下限としては、前記化合物(2)に対して好ましくは0.1倍重量以上であり、さらに好ましくは0.5倍重量以上である。このような範囲であればコストも掛かり過ぎず、後処理も簡便である。
 晶析を行う方法としては、前記化合物(1)の晶析方法と同様の方法で行うことができる。
 結晶の乾燥方法も前記化合物(1)の乾燥方法と同様の方法で行うことができる。
-混合工程1-
 前記混合工程1は、溶媒中、下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、酸塩化物と、を混合することで前記一般式(16)で表される化合物を製造する工程である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000029
(前記一般式(1)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
(前記一般式(16)中、1及び2、並びにR~Rは上述のとおりである。)
 前記酸塩化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、塩化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ブタノイル、塩化ペンタノイル、塩化ヘキサノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化ノナノイル、塩化デカノイル、塩化ラウロイル、ミリスチン酸クロリド、パルミチン酸クロリド、ステアリン酸クロリド、ベヘン酸クロリド、塩化ベンゾイル、塩化ピバロイルなどが挙げられる。
 これらの中でも、対応する化合物(16)の溶解性の観点から、塩化アセチル、塩化プロパノイル、塩化ブタノイル、塩化ペンタノイル、塩化ヘキサノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化ノナノイル、塩化デカノイル、塩化ラウロイル、ミリスチン酸クロリド、パルミチン酸クロリド、ステアリン酸クロリド、ベヘン酸クロリドが好ましく、塩化ヘキサノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化ノナノイル、塩化デカノイル、塩化ラウロイルがより好ましい。
 前記酸塩化物の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生成物の収率向上と反応時間短縮の観点から、前記化合物(1)に対して0.5~20モル当量が好ましく、1.0~10モル当量がより好ましい。
 前記混合工程1における、溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテルなどが挙げられる。
 これらの中でも、生成物の収率向上の観点から、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、テトラヒドロフランが好ましく、トルエン、ジクロロメタンがより好ましい。
 前記混合工程1における、前記溶媒の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生成物の収率向上の観点から、化合物(1)1モルに対して0.1~100リットルが好ましく、0.5~20リットルがより好ましい。
 前記混合工程1における、混合の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、副生成物の生成抑制の観点から、48時間以下が好ましく、24時間以下がより好ましい。
 前記混合工程1を行う温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安全性の観点から、-80℃~40℃が好ましく、-20℃~30℃がより好ましい。
 前記混合工程1の混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、安全性の観点から、化合物(1)の溶液に酸塩化物を滴下する方法が好ましい。
-その他の工程1-
 前記その他の工程1としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記混合工程1後の洗浄工程、前記洗浄工程後のろ過工程、前記ろ過工程後の濃縮工程などが挙げられる。
 <医薬組成物>
 前記医薬組成物は、下記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含み、さらにその他の成分(A)を含むことができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000030
(前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩は、上述のとおりである。
 前記一般式(17a)で表される化合物が加水分解されて生じる3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールは、強い鎮痛作用を示すことから、前記医薬組成物は、慢性疼痛の治療及び/又は予防に用いることができる。
 前記医薬組成物における、前記その他の成分(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤、香料、流動化剤、着色剤、安定化剤、pH調整剤、コーティング剤などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 <貼付剤>
 前記貼付剤は、前記医薬組成物を含み、さらにその他の成分(B)を含むことができる。
 前記医薬組成物は、上述のとおりである。
 前記貼付剤に残存する、後述の混合工程2で使用する揮発性溶媒の含有量としては、前記貼付剤の構成成分の合計100質量%に対し0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
 前記貼付剤における前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の含有量、即ち、前記貼付剤の構成成分の合計100質量%に占める前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、十分な薬効を確保する観点から、下限値は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、貼付剤の十分な粘着力を確保する観点から、上限値は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
 前記一般式(17a)で表される化合物が加水分解されて生じる3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールは、強い鎮痛作用を示すことから、前記貼付剤は、慢性疼痛の治療及び/又は予防に用いることができる。
-その他の成分(B)-
 前記貼付剤における、前記その他の成分(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、基剤ポリマー、有機酸、アミド類、アルコール類、エステル類、エーテル類、可塑剤、粘着付与剤、抗酸化剤、充填剤などが挙げられる。
--基剤ポリマー--
 前記基剤ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性エラストマーや熱硬化性エラストマーなどが挙げられる。
 前記熱可塑性エラストマーとは、熱を加えると軟化して流動性を示し、冷却すればゴム状弾性体に戻る、熱可塑性を示すエラストマーであり、ウレタン系熱可塑性エラストマー、アクリル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマーなど、各種の熱可塑性エラストマーが知られている。
 前記熱硬化性エラストマーとは、熱を加えても軟化することのない、比較的耐熱性が高いエラストマーであり、アクリル系熱硬化性エラストマー、シリコーン系熱硬化性エラストマーや、加硫した天然ゴムなど、各種の熱硬化性エラストマーが知られている。
 なお、前記ウレタン系とはポリウレタン骨格を有する各種ポリマーからなることを意味し、前記アクリル系とはポリアクリル酸エステル及び/またはポリメタクリル酸エステルを骨格とする各種アクリルポリマーからなることを意味し、スチレン系とはポリスチレン骨格を有する各種ポリマーからなることを意味し、オレフィン系とはポリオレフィン骨格を有する各種ポリマーからなることを意味し、シリコーン系とはシリコーン骨格を有する各種ポリマーからなることを意味する。
 これらの中でも、安全性と製造効率の観点から、熱可塑性エラストマーが好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーがより好ましく、スチレン系ブロック共重合体がさらに好ましい。
 前記スチレン系ブロック共重合体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン・ブタジエンブロック共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン/ブチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン/ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・エチレン/プロピレンブロック共重合体、スチレン・エチレン/プロピレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソブチレンブロック共重合体、スチレン・イソブチレン・スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
 なお、前記「エチレン/ブチレン」はエチレン及びブチレンの共重合体ブロックを示し、前記「エチレン/プロピレン」はエチレン及びプロピレンの共重合体ブロックを示す。
 これらスチレン系ブロック共重合体は、1種のみを用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 上記スチレン系ブロック共重合体のうち、十分な皮膚粘着性及び貼付剤の凝集力向上による糊残り抑制の両立のほか、医薬品添加物としての使用実績や取り扱い性の観点から、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、及びスチレン・イソプレンブロック共重合体からなる群より選択される1種又は2種以上が特に好ましく用いられる。前記スチレン系ブロック共重合体としては、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物であることが最も好ましい。
 前記スチレン系ブロック共重合体として前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物を使用する場合、前記混合物中のスチレン・イソプレンブロック共重合体の含有量の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、十分な凝集力を確保する観点から、80質量%以下が好ましい。
 前記スチレン系ブロック共重合体として前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物を使用する場合、前記混合物中のスチレン・イソプレンブロック共重合体の含有量の下限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、十分な粘着力を確保する観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が最も好ましい。
 前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体におけるスチレン含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限値としては、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。また、前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20,000以上500,000以下が好ましく、30,000以上300,000以下がより好ましい。
 また、前記スチレン・イソプレンブロック共重合体におけるスチレン含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限値としては、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。また、前記スチレン・イソプレンブロック共重合体のGPCにより測定した重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000以上500,000以下が好ましく、20,000以上300,000以下がより好ましい。
 前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及び前記スチレン・イソプレンブロック共重合体は、それぞれ、自体公知の方法により製造した共重合体を用いることができる。また、前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及び前記スチレン・イソプレンブロック共重合体は、それぞれ、上記の特性を満たす市販の製品を使用することがきる。また、前記スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物も市販されており、上記の特性を満たすスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体とが上記の混合比率で混合された混合物の市販品を好適に使用することができる。
 前記市販品としては、例えば、KRATON POLYMERS社製の「KRATON(登録商標) D1111」、「KRATON(登録商標)D1163」、「KRATON(登録商標)D1113」、「KRATON(登録商標)D1119」、JSR社製の「JSR SIS(登録商標)5229」、「JSR SIS(登録商標)5002」、「JSR SIS(登録商標)5403」「JSR SIS(登録商標)5505」、日本ゼオン株式会社製の「Quintac(登録商標)3421」、「Quintac(登録商標)3433N」、「Quintac(登録商標)3520」、「Quintac(登録商標)3450」、「Quintac 3270」などが挙げられる。
 これらの中でも、上記トリブロック共重合体とジブロック共重合体との混合比率の観点から、「KRATON(登録商標)D1163」、「KRATON(登録商標)D1113」、「JSR SIS(登録商標)5403」「JSR SIS(登録商標)5505」、「Quintac(登録商標)3433N」、「Quintac(登録商標)3520」が好ましく、「JSR SIS(登録商標)5505」、「Quintac(登録商標)3520」がより好ましい。これらのスチレン系ブロック共重合体は、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物であり、前記混合物中のスチレン・イソプレンブロック共重合体の含有量が50質量%以上である。
 前記貼付剤における前記基剤ポリマーの含有量、即ち、前記貼付剤の構成成分の合計100質量%に占める前記基剤ポリマーの割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、貼付剤の形状の維持、及び皮膚粘着性の観点から、下限値としては、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、上限値としては、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
--有機酸--
 本明細書における有機酸とは、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有する有機化合物を指し、分子中にカルボキシル基以外の官能基を有していてもよい。
 前記有機酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロピオン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、レブリン酸等の脂肪族モノカルボン酸;オレイン酸、リノール酸、ソルビン酸等の脂肪族不飽和モノカルボン酸;乳酸(DL-乳酸、もしくは、L-乳酸及び/又はD-乳酸と無水乳酸の混合物)、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;アジピン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸等の多価カルボン酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸;アルギン酸、フィチン酸等の糖誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、脂肪酸が好ましく、脂肪族モノカルボン酸、脂肪族不飽和モノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、又は多価カルボン酸がより好ましく、カプリン酸、イソステアリン酸、又はオレイン酸がさらに好ましく、カプリン酸、又はオレイン酸が特に好ましく、オレイン酸が最も好ましい。
 前記有機酸の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、下限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、4000質量部以下が好ましく、3000質量部以下がより好ましく、2000質量部以下がさらに好ましい。
 もしくは、下限値として、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩1モル当量に対して0.5モル当量以上が好ましく、1モル当量以上がより好ましく、2モル当量以上がさらに好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩1モル当量に対して10モル当量以下が好ましく、9モル当量以下がより好ましく、8モル当量以下がさらに好ましい。
 なお、前記有機酸を2種以上含む場合は、その合計量を上記含有量とする。
--アミド類--
 本明細書におけるアミド類とは、分子内に少なくとも1つのアミド基を有する有機化合物を指し、分子中にアミド基以外の官能基を有していてもよいが、分子中にカルボキシル基を有するものは除く。
 前記アミド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、ラウリルピロリドン、2-ピロリドン等のピロリドン;アセトアニリド、クロタミトン、ニコチン酸アミド等の芳香族アミド;N,N-ジメチルアセトアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪族アミドなどが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性、分散性をさらに向上させる観点から、ピロリドン、又は芳香族アミドが好ましく、N-メチル-2-ピロリドン、又はクロタミトンがより好ましく、クロタミトンがさらに好ましい。
 前記アミド類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、下限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、4000質量部以下が好ましく、3000質量部以下がより好ましく、2000質量部以下がさらに好ましい。
 なお、前記アミド類を2種以上含む場合は、その合計量を上記含有量とする。
--アルコール類--
 本明細書におけるアルコール類とは、分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物を指し、分子中にヒドロキシル基以外の官能基を有していてもよいが、分子中にカルボキシル基及び/又はアミド基を有するものは除く。
 前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の直鎖飽和脂肪族アルコール;イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等の分岐鎖飽和脂肪族アルコール;オレイルアルコール、ゲラニオール等の不飽和脂肪族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール等の多価アルコール;ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール400、ポリオキシエチレン(2)エチルエーテル(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、モノステアリン酸エチレングリコール等のポリエーテル系アルコール;プロピレングリコールモノカプロエート、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノカプレート、プロピレングリコールモノラウレート、プロピレングリコールモノミリステート、プロピレングリコールモノステアレート、プロピレングリコールモノパルミトステアレート等のプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル;ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、フェノキシエタノール、チモール、オイゲノール、2-ナフトール、バニリン等の芳香族アルコール;マルトール、エチルマルトール等の環状アルコール;乳酸エチル、乳酸ラウリル、乳酸セチル等の乳酸アルキル化合物;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体;クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;α-テルピネオール、D-ボルネオール、DL-ボルネオール、L-メントール、DL-メントール等のテルペン類;ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等のソルビタン類;モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノオレイン酸ジグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、α-モノイソステアリルグリセリルエーテル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル等のグリセリン誘導体、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール等のステアリン酸誘導体;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のアミン類などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに向上させる観点から、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノラウレート、乳酸アルキル、又はベンジルアルコールが好ましく、プロピレングリコールモノカプリレート、乳酸アルキル、又はベンジルアルコールがより好ましく、プロピレングリコールモノカプリレート、又は乳酸アルキルがさらに好ましく、プロピレングリコールモノカプリレートが特に好ましい。
 市販品としては、プロピレングリコールモノカプリレートとして、例えばGattefosse社の「Capryol(商標) 90」、「Capryol(商標) PGMC」、ABITEC社の「CAPMUL(登録商標) PG-8」、日本サーファクタント工業株式会社の「NIKKOL SEFSOL-218」、CRODA社の「CRODAMOL(商標) PC」が挙げられる。プロピレングリコールモノラウレートとして、例えばGattefosse社の「Lauroglycol(商標) 90」、「Lauroglycol(商標) FCC」、ABITEC社の「CAPMUL(登録商標) PG-12」が挙げられる。乳酸アルキルとして、例えばAshland社の「CERAPHYL 41(商標)」、「CERAPHYL 31(商標)」が挙げられる。
 前記アルコール類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、下限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、4000質量部以下が好ましく、3000質量部以下がより好ましく、2000質量部以下がさらに好ましい。
 なお、前記アルコール類を2種以上含む場合は、その合計量を上記含有量とする。
--エステル類--
 本明細書におけるエステル類とは、分子内に少なくとも1つのエステル基を有する有機化合物を指し、分子中にカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基及び/又はアミド基を有するものは除く。
 前記エステル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソ吉草酸イソアミル、イソステアリルパルミテート、2-エチルヘキサン酸セチル(イソオクタン酸セチル)、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、モノステアリン酸バチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸メチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸エチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ココイルカプリルカプレート等の脂肪酸と一価の脂肪族アルコールとのエステル;アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル等のジエステル;プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールジカプレート、プロピレングリコールジカプリロカプレート、プロピレングリコールジアセテート等のプロピレングリコール系ジエステル;トリアセチン、トリカプリリン(トリオクタン酸グリセリン)、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン(トリエチルヘキサノイン)、トリグリセロールジイソステアレート、中鎖脂肪酸トリグリセリド等のグリセリン系エステル;O-アセチルクエン酸トリエチル、O-アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸系エステル;エチレンカーボネート、炭酸プロピレン、無水マレイン酸等の環状カーボネート;安息香酸ベンジル、酢酸ベンジル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコラート等の芳香族エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 前記エステル類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、下限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、7000質量部以下が好ましく、6000質量部以下がより好ましく、5000質量部以下がさらに好ましい。
 なお、前記エステル類を2種以上含む場合は、その合計量を上記含有量とする。
--エーテル類--
 本明細書におけるエーテル類とは、分子内に少なくとも1つのエーテル基を有する有機化合物を指し、分子中にカルボキシル基及び/又はヒドロキシル基及び/又はアミド基及び/又はエステル基を有するものは除く。
 前記エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルイソソルビドなどが挙げられる。
 前記エーテル類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の溶解性をさらに高める観点から、下限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、20質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、100質量部以上がさらに好ましく、200質量部以上が特に好ましく、上限値としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩100質量部に対し、4000質量部以下が好ましく、3000質量部以下がより好ましく、2000質量部以下がさらに好ましい。
 なお、前記エーテル類を2種以上含む場合は、その合計量を上記含有量とする。
--可塑剤--
 前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、スクワレン、スクワラン、プリスタン、などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、流動パラフィン、又は軽質流動パラフィンが好ましい。
 前記流動パラフィン及び前記軽質流動パラフィンは、無色無臭で液状の飽和炭化水素の混合物であるが、日本薬局方、米国薬局方、欧州薬局方等に規定する規格に適合するもの等を好ましく用いることができる。
 これらの中でも、粘着性の観点から、粘度の高い流動パラフィンが好ましい。
 具体的には、40℃における動粘度が60mm/s以上であるものが好ましく、70mm/s以上がより好ましく、80mm/s以上がさらに好ましい。
 なお、動粘度の上限は特に限定されないが、例えば、取扱いのしやすさや、入手のしやすさ等の観点から、500mm/s以下が好ましく、250mm/s以下がより好ましい。
 ここでいう「動粘度」とは、「第十七改正日本薬局方」の一般試験法の「2.53 粘度測定法」における「第2法 回転粘度計法(2.12 単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)」に準拠して測定した粘度(mPa・s)を動粘度に換算した値である。
 前記可塑剤の市販品としては、例えば、カネダ株式会社製の「ハイコール M-52」、カネダ株式会社製の「ハイコールM-72」、カネダ株式会社製の「ハイコールM-172」、カネダ株式会社製の「ハイコールM-352」、Sonneborn社製の「Kaydol」、Sonneborn社製の「Rudol」、Sonneborn社製の「Ervol」、Sonneborn社製の「Benol」、Sonneborn社製の「Blandol」、Sonneborn社製の「Carnation」、Sonneborn社製の「Klearol」、Sonneborn社製の「Lytol」、Sonneborn社製の「Hydrobrite 550PO」、Sonneborn社製の「Hydrobrite HV」、株式会社岸本特殊肝油工業所製「スクワラン」などが挙げられる。
 これらの中でも、カネダ株式会社製の「ハイコール M-352」、Sonneborn社製の「Kaydol」、Sonneborn社製の「Hydrobrite 550PO」、又はSonneborn社製の「Hydrobrite HV」が好ましい。
 前記貼付剤における、前記可塑剤の含有量、即ち、前記貼付剤の構成成分の合計100質量%に占める前記可塑剤の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、上限値としては、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
--粘着付与剤--
 前記粘着付与剤とは、通常貼付剤の分野で汎用される粘着付与剤であり、例えばロジン系樹脂、ポリテルペン系樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂、テルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、ロジン系樹脂、テルペン樹脂、又は脂環族飽和炭化水素樹脂が好ましい。
 前記ロジン系樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジンエステルなどが挙げられる。
 前記貼付剤における、前記粘着付与剤の含有量、即ち、前記貼付剤の構成成分の合計100質量%に占める前記粘着付与剤の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、上限値としては、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
--抗酸化剤--
 前記抗酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-ヒドロキシルトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、ヒドロキノン、オキシベンゾン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ルチン、カテキン等のフェノール類;1,2,3-ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;硫黄、L-システイン、L-シスチン、DL-メチオニン、L-メチオニン、アルファチオグリセリン、イソチオシアン酸アリル、チオグリコール酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオ硫酸ナトリウム、チオリンゴ酸ナトリウム、2-メルカプトベンズイミダゾール、チオ尿素、N,N-ジメチルチオウレア等の硫黄含有化合物;EDTA-2Na等のアミン類;トコフェロール、トコフェロール酢酸エステル、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、パルミチン酸アルコルビン酸、エリソルビン酸、ヘスペリジン、メチルヘスペリジン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル等のビタミン類などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 これらの中でも、ジブチルヒドロキシルトルエン、又は2-メルカプトベンズイミダゾールが好ましい。
--充填剤--
 前記充填剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無水ケイ酸、軽質無水ケイ酸、含水ケイ酸等のケイ素化合物、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、乾燥水酸化アルミニウムゲル、含水ケイ酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、カオリン、酸化チタンなどが挙げられる。前記充填剤は、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 前記貼付剤の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マトリックス型、リザーバー型などが挙げられるが、マトリックス型が好ましい。
 前記貼付剤は、粘着剤層を有し、さらにその他の要素を有する構造であってもよい。
 前記粘着剤層は、前記医薬組成物を含み、さらにその他の成分(B)を含むことができる。
 前記粘着剤層に残存する、後述の混合工程2で使用する揮発性溶媒の含有量としては、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量%に対し0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
 前記医薬組成物は、上述のとおりである。前記その他の成分(B)は、前記貼付剤における、前記その他の成分(B)として、上述したとおりである。
 前記粘着剤層における前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の含有量、即ち、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量%に占める前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、十分な薬効を確保する観点から、下限値は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上がさらに好ましく、2質量%以上が特に好ましく、粘着剤層の十分な粘着力を確保する観点から、上限値は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
 前記粘着剤層中における前記基剤ポリマーの含有量、即ち、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量%に占める前記基剤ポリマーの割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粘着剤層の形状の維持、及び皮膚粘着性の観点から、下限値としては、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上が好ましく、上限値としては、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、35質量%以下がさらに好ましい。
 前記粘着剤層における、前記可塑剤の含有量、即ち、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量%に占める前記可塑剤の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上が好ましく、上限値としては、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下が好ましい。
 前記粘着剤層における、前記粘着付与剤の含有量、即ち、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量%に占める前記粘着付与剤の割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上が好ましく、上限値としては、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下が好ましい。
 前記粘着剤層の、乾燥後の平均厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粘着剤層の粘着性向上の観点から、下限値としては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、200μm以上がさらに好ましく、製造効率の観点から、上限値としては、1000μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましい。
 前記その他の要素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、支持体、剥離ライナーなどが挙げられる。つまり、本発明の貼付剤は、支持体、粘着剤層、及び剥離ライナーがこの順で積層されたものであってもよい。
 前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、皮膚貼付用粘着シートや経皮吸収製剤に汎用されるものなどを使用することができる。
 前記支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
 前記支持体の構造としては、1層構造であってもよく、多層構造であってもよい。また、編布、織布、不織布、フィルム、発泡体、多孔質、網目構造、シート状、平板状であってもよい。
 さらに、支持体に静電気が蓄積することを防止するため、支持体を構成する前記織布、不織布、フィルム等に帯電防止剤を含有させてもよい。また、粘着剤層との良好な投錨性を得るため、支持体として不織布若しくは織布、又はこれらとフィルムの積層体を用いることができる。
 前記支持体の平均厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フィルムについては、下限値としては、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、上限値としては、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。織布、不織布、発泡性支持体などの多孔性シートについては、下限値としては、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、上限値としては、2,000μm以下が好ましく、1,000μm以下がより好ましい。
 前記剥離ライナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グラシン紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレンなどの樹脂フィルム;アルミフィルム;発泡ポリエチレンフィルム又は発泡ポリプロピレンフィルム;前記のうち2種以上の積層物などを用いることができる。また、前記剥離ライナーは、シリコーン加工、フッ素樹脂加工、エンボス加工、親水性加工、疎水性加工などを施したものなどを用いることもできる。
 前記剥離ライナーの平均厚さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下限値としては、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、上限値としては、200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましい。
 <貼付剤の製造方法>
 前記貼付剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、前記基剤ポリマー、前記有機酸、前記アミド類、前記アルコール類、前記エステル類、前記エーテル類、前記可塑剤、前記粘着付与剤、前記抗酸化剤、前記充填剤から選択される少なくとも1つと、を混合する混合工程(以下、混合工程2と称する)を含み、さらにその他の工程2を含むことができる。
 前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩、前記基剤ポリマー、前記有機酸、前記アミド類、前記アルコール類、前記エステル類、前記エーテル類、前記可塑剤、前記粘着付与剤、前記抗酸化剤、前記充填剤は、上述のとおりである。
 -混合工程2-
 前記混合工程2としては、前記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、前記基剤ポリマー、前記有機酸、前記アミド類、前記アルコール類、前記エステル類、前記エーテル類、前記可塑剤、前記粘着付与剤、前記抗酸化剤、前記充填剤から選択される少なくとも1つと、を混合できる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、揮発性溶媒存在下で混合する方法が好ましい。
 前記揮発性溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン等の芳香族系炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、t-ブチルメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類などが挙げられる。これらは、1種単独でも2種以上混合して使用してもよい。
 粘着剤層を構成する各成分の溶解性が良好な点から、トルエン等の芳香族系炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族系炭化水素、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等の酢酸エステル類を単独もしくは混合して使用することが好ましい。
 前記揮発性溶媒の前記混合工程2における使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粘着剤層の構成成分の合計100質量部に対し200質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。
 -その他の工程2-
 前記その他の工程2としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記混合工程2後の塗布工程、支持体と粘着剤層の積層工程、剥離ライナーの積層工程などが挙げられる。
 前記支持体、前記粘着剤層、前記剥離ライナーは、上述のとおりである。
 --前記混合工程2後の塗布工程--
 前記混合工程2で得られた粘着剤層形成用の塗工液の塗布は、例えば、ロールコーター、ダイコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどの慣用のコーターを用いて、前記支持体上又は前記剥離ライナー上で行うことができる。また、前記塗工液の乾燥は、加熱下、例えば、40℃以上150℃以下の温度で行うことが好ましく、使用する溶媒や使用量によって、乾燥温度や乾燥時間、乾燥方式を調整すればよい。
 --支持体と粘着剤層の積層工程--
 前記支持体と粘着剤層の積層工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記粘着剤層に前記支持体を圧着して、積層する方法などが挙げられる。
 --剥離ライナーの積層工程--
 前記剥離ライナーの積層工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記支持体と粘着剤層の積層工程前に、前記粘着剤層形成用の塗工液を剥離ライナー上に展延し、塗工液中の溶媒を乾燥して剥離ライナーの表面に粘着剤層を積層する工程(展延・乾燥工程)、又は、前記支持体と粘着剤層の積層工程後に、前記粘着剤層に前記剥離ライナーを圧着して、積層する工程などが挙げられる。
 以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下においては、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「area%」は面積百分率を意味する。
 以下の実施例において、使用したHPLC分析条件は下記のとおりである。
分析条件1
  測定機器:Agilent 1220 Infinity
  カラム:YMC Meteoric Core C18(150×4.6mm)
  流速:1.5mL/min
  検出波長:210nm
  注入量:10μL
  カラム温度:40℃
  移動相A:0.1%リン酸水溶液
  移動相B:アセトニトリル
  グラジエント条件(移動相B濃度、時間):15%(0分)→80%(8~15分)→15%(15.1~20分)
分析条件2
  測定機器:Agilent 1220 Infinity
  カラム:YMC Meteoric Core C18(150×4.6mm)
  流速:1.5mL/min
  検出波長:210nm
  注入量:10μL
  カラム温度:40℃
  移動相A:10mMラウリル硫酸ナトリウム水溶液(pH2)
  移動相B:アセトニトリル
  グラジエント条件(移動相B濃度、時間):30%(0分)→70%(8~15分)→30%(15.1~20分)
 以下の実施例において、使用した質量分析測定条件は下記のとおりである。
  測定機器:Waters ACQUITY UPLC H-Class
  カラム:BEH(50×2.1mm,1.7μm)
  流速:0.74mL/min
  検出波長:190-400nm
  注入量:10μL
  カラム温度:40℃
  移動相A:0.1%ギ酸/H
  移動相B:0.1%ギ酸/アセトニトリル
  グラジエント条件(移動相B濃度、時間):10%(0分)→90%(4.5分)→10%(4.5-5.0分)
  質量分析法:ESI(Electron Spray Ionization)
 以下の実施例において、核磁気共鳴スペクトル(以下H NMRとする)はテトラメチルシランを標準物質に用い、δ値(ppm)で表記した。また、測定溶媒には重クロロホルム(以下CDClとする)を用いた。
 実施例の欄で使用する記号の意味は以下のとおりである。
  DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
  (TfO)O:トリフルオロメタンスルホン酸無水物
  NaOMe:ナトリウムメトキシド
  THF:テトラヒドロフラン
  LiAlH:水素化リチウムアルミニウム
 (参考例1)
 [(3R,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノール及び[(3S,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノールの混合物(7a)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000031
 (参考例1-1)
 4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸メチル(8)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000032
 4-オキソテトラヒドロピラン-3-カルボン酸メチル(40.0g、252.9mmol、成都同創源医薬科技有限公司社製)をジクロロメタン(400g、ナカライテスク株式会社製)に溶解し、DIPEA(65.4g、505.8mmol、シグマ・アルドリッチ社製)を加えた後、0℃に冷却した。(TfO)O(78.5g、278.2mmol、東京化成工業株式会社製)を滴下し、0℃で10分間攪拌した。分析条件1で反応の終了を確認後、反応混合物を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(200g、ナカライテスク株式会社製炭酸水素ナトリウムと水を混合して調製)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)で乾燥させた。有機層を減圧下で濃縮することで化合物(8)を油状物として得た(124.8g、純分量73.4g、252.9mmol、収率100%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ4.45-4.46(t,2H,J=2.5Hz)、3.88-3.91(t,2H,J=5.5Hz)、3.82(s,3H)、2.52-2.56(m,2H).
 (参考例1-2)
 4-(3-メトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸メチル(9)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000033
 4-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸メチル(8)(124.8g、純分量73.4g、252.9mmo)を1,4-ジオキサン(400g、東京化成工業株式会社製)に溶解し、3-メトキシフェニルボロン酸(40.4g、265.5mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)、炭酸カリウム(52.4g、379.4mmol、ナカライテスク株式会社製)を加えて懸濁させた。窒素置換後、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノフェロセン)]ジクロロパラジウム(II)(1.9g、2.5mmol、シグマ・アルドリッチ社製)を加え、110℃に加熱し、還流下で終夜攪拌した。分析条件1にて反応終了を確認後、反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮した。濃縮物に水(300g)及び酢酸エチル(100g、ナカライテスク株式会社製)を加えて混合した後、層分離して有機層(有機層A)を回収した。層分離後の水層を酢酸エチル(200g、ナカライテスク株式会社製)で2回洗浄し、得られた洗浄液(有機層)を前記有機層(有機層A)と混合後、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン)(ナカライテスク株式会社製)で精製することで化合物(9)を油状化合物として取得した(57.3g、純分56.0g、225.6mmol、収率89.2%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.25-7.28(t,1H,J=7.8Hz)、6.83-6.86(dd,1H,J=2.5Hz,8.5Hz)、6.74-6.75(m,1H)、6.70(m,1H)、4.44-4.46(t,2H,J=2.8Hz)、3.88-3.91(t,2H,J=5.8Hz)、3.80(s,3H)、3.51(s,3H)、2.49-2.52(m,2H).
 (参考例1-3)
 (3R,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-カルボン酸メチル及び(3S,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-カルボン酸メチルの混合物(10b)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000034
 4-(3-メトキシフェニル)-3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-5-カルボン酸メチル(9)(108.3g、純分105.7g、425.9mmol)に酢酸エチル(161.5g、ナカライテスク株式会社製)、エタノール(713.0g、ナカライテスク株式会社製)を加えて溶解した。窒素雰囲気下、約50%水湿潤品の10%パラジウム炭素(32.5g、エヌ・イーケムキャット株式会社製)を加えて混合した後、雰囲気を水素置換し、室温で2.5時間攪拌した。分析条件1にて反応終了を確認後、反応混合物をセライトろ過し、ろ過ケーキを酢酸エチル(200mL、ナカライテスク株式会社製)で洗浄して洗浄液とろ液を合わせた。洗浄液とろ液の混合液を減圧下で濃縮することで、化合物(10b)を油状化合物として取得した(106.0g、純分90.6g、362.0mmol、収率85.0%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.22-7.25(t,1H,J=8.0Hz)、6.86-6.88(d,1H,J=8.5Hz)、6.83(m,1H)、6.75-6.78(dd,1H,J=2.5Hz,8.0Hz)、4.28-4.31(dd,1H,J=1.0Hz,12.0Hz)、4.18-4.22(m,1H)、3.80(s,3H)、3.74-3.79(m,1H)、3.55-3.60(m,1H)、3.53(s,3H)、3.05-3.08(m、1H)、2.92(s,1H)、2.70-2.79(m,1H)、1.72-1.75(m、1H).
 (参考例1-4)
 (3S,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-5-カルボン酸メチル及び(3R,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-5-カルボン酸メチルの混合物(10a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000035
 (3R,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-カルボン酸メチル及び(3S,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-カルボン酸メチルの混合物(10b)(104.9g、純分89.7g、358.2mmol)にメタノール(525.1g、ナカライテスク株式会社製)を加えて溶解し、28%NaOMe/メタノール溶液(82.6g、純分23.1g、428.4mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を加えた後、70℃で1時間攪拌した。分析条件1にて反応終了を確認後、反応混合物を室温まで冷却し、10%塩化アンモニウム水溶液(419.4g、ナカライテスク株式会社製塩化アンモニウム使用)中に添加した。減圧下で濃縮後、酢酸エチル(419.4g、ナカライテスク株式会社製)を加えて混合し、層分離して有機層(有機層A)を得た。層分離後の水層を酢酸エチル(419.4g、ナカライテスク株式会社製)にて洗浄した。得られた洗浄液(有機層)を前記有機層(有機層A)と混合した。混合液を10%塩化ナトリウム水溶液(104.9g、ナカライテスク株式会社製塩化ナトリウムと水を混合して調製)で洗浄して水層を除去した後、有機層を減圧下で濃縮することで化合物(10a)を油状化合物として取得した(104.5g、純分90.7g、362.1mmol、収率101.2%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.20-7.24(m,1H)、6.80-6.81(d、1H,J=8.0Hz)、6.75-6.77(m,2H)、4.16-4.19(dd,1H,J=4.5Hz,11.5Hz)、4.06-4.09(dd,1H,J=4.0Hz,11.5Hz)、3.80(s,3H)、3.52-3.58(m,2H)、3.48(s,3H)、3.01-3.06(m,1H)、2.90-2.95(m,1H)、1.77-1.90(m,2H).
 (参考例1-5)
 [(3R,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノール及び[(3S,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノールの混合物(7a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000036
 (3S,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-5-カルボン酸メチル及び(3R,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-5-カルボン酸メチルの混合物(10a)(87.5g、純分76.0g、303.8mmol)にTHF(612.5g、ナカライテスク株式会社製)を加えて溶解し、-5℃に冷却後、LiAlH(8.6g、227.2mmol、東京化成工業株式会社製)を分割して添加した。-5℃で1時間攪拌し、分析条件1にて反応終了を確認後、10%塩化アンモニウム水溶液(612.5g、ナカライテスク株式会社製塩化アンモニウムと水を混合して調製)を滴下した。ジクロロメタン(612.5g、ナカライテスク株式会社製)を添加後、反応混合物をセライトろ過し、ろ液を層分離して有機層(有機層A)を回収した。層分離後の水層をジクロロメタン(612.5g、ナカライテスク株式会社製)で2回洗浄した。得られた洗浄液(有機層)を前記有機層(有機層A)と混合した。混合液を水(175.0g)で洗浄して水層を除去した後、有機層を減圧下で濃縮し、トルエン(262.5g、ナカライテスク株式会社製)を追加して再度減圧下で濃縮することで化合物(7a)を油状化合物として取得した(73.5g、純分63.9g、287.4mmol、収率94.6%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.23-7.26(m,1H),6.81-6.83(d、1H,J=7.0Hz)、6.76-6.78(m,2H)、4.20-4.23(dd,1H,J=4.0Hz,11.0Hz)、4.04-4.07(dd,1H,J=4.0Hz,11.5Hz),3.81(s,3H)、3.47-3.52(m,1H)、3.42-3.45(m,1H)、3.35-3.39(t,1H,J=11.0Hz)、3.26-3.31(m,1H)、2.54-2.60(m,1H)、2.01-2.06(m,1H)、1.85-1.91(m,1H)、1.72-1.75(m,1H).
 (参考例2)
 3-[(3R,4R)-3-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(11a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000037
 [(3R,4R)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノール及び[(3S,4S)-4-(3-メトキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]-メタノールの混合物(7a)(36.0g、純分31.3g、140.7mmol)にジクロロメタン(541.1g、ナカライテスク株式会社製)を加えて溶解し、ドデカンチオール(71.2g、351.7mmol、東京化成工業株式会社製)を加えて0℃に冷却した。塩化アルミニウム(III)(46.9g、351.7mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を分割して添加し、室温で20時間攪拌した。分析条件1にて反応終了を確認後、反応混合物に水(312.7g)を加えて攪拌し、層分離して有機層(有機層A)を回収した。前記層分離で得られた水層にジクロロメタン(180.0g、ナカライテスク株式会社製)、塩化ナトリウム(80.0g、ナカライテスク株式会社製)を加え混合し、層分離することで得られた有機層を前記有機層(有機層A)と混合後、減圧下で濃縮し、トルエン(180.0g、ナカライテスク株式会社製)を用いて溶媒置換後、THF(50.0g、ナカライテスク株式会社製)を加えて混合した。水(93.8g)を添加し、30%水酸化ナトリウム水溶液(ナカライテスク株式会社製水酸化ナトリウムと水を混合して調製)を用いてpH13に調整した。有機層を除去することで得られた水層に濃塩酸を滴下し、pH7に調整後、酢酸エチル(180.0g、ナカライテスク株式会社製)を加えて混合し、濃塩酸でpH1に調整し、層分離して有機層(有機層B)を回収した。層分離後の水層を酢酸エチル(180.0g、ナカライテスク株式会社製)で洗浄し、得られた洗浄液(有機層)を前記有機層(有機層B)と混合後、混合液を20%食塩水(31.3g、ナカライテスク株式会社製塩化ナトリウムと水を混合して調製)で洗浄して水層を除去した後、有機層を減圧下で濃縮することで化合物(11a)を固体として取得した(25.2g、純分23.1g、110.7mmol、収率78.7%)。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.16-7.19(t,1H,J=7.8Hz)、6.70-6.76(m,3H)、6.16(s,1H)、4.26-4.30(dd,1H,J=4.5Hz,12.0Hz)、4.10-4.11(dd,1H,J=4.0Hz,11.5Hz)、3.51-3.55(m,1H)、3.44-3.47(dd,1H,J=3.5Hz,11.0Hz)、3.35-3.40(t,1H,J=11.3Hz)、3.24-3.28(dd,1H,J=7.5Hz,11.0Hz)、2.50-2.55(m,1H)、2.10-2.11(m,1H)、1.85-1.90(m,1H)、1.75-1.78(m,1H).
 (参考例3)
 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000038
 (参考例3-1)
 メタンスルホン酸[[(3R,4R)-4-(3-メチルスルホニルオキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]メチル]及びメタンスルホン酸[[(3S,4S)-4-(3-メチルスルホニルオキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]メチル]の混合物(12a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000039
 3-[(3R,4R)-3-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(11a)(21.4g、102.5mmol)をジクロロメタン(680.0g、ナカライテスク株式会社製)に溶解し、トリエチルアミン(31.1g、307.6mmol、ナカライテスク株式会社製)を加えて0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(35.2g、307.6mmol、東京化成工業株式会社製)を滴下し、0℃で10分間攪拌後、分析条件1にて反応終了を確認した。反応混合液を10%塩化アンモニウム水溶液(310.0g、ナカライテスク株式会社製塩化アンモニウムと水を混合して調製)で2回洗浄して水層を除去し、得られた有機層を減圧下で濃縮することで化合物(12a)を油状物として取得した(43.4g)。
 (参考例3-2)
 メタンスルホン酸[3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェニル]及びメタンスルホン酸[3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェニル]の混合物(13a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000040
 メタンスルホン酸[[(3R,4R)-4-(3-メチルスルホニルオキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]メチル]及びメタンスルホン酸[[(3S,4S)-4-(3-メチルスルホニルオキシフェニル)テトラヒドロピラン-3-イル]メチル]の混合物(12a)(43.4g)に50%ジメチルアミン水溶液(74.0g、純分37.0g、820.1mmol、東京化成工業株式会社製)を加えて80℃で終夜攪拌した。分析条件2にて反応終了を確認後、反応混合物を20℃に冷却し、2-メチルテトラヒドロフラン(164.5g、東京化成工業株式会社製)を用いて2回抽出した。2回の抽出で得られたそれぞれの有機層を混合し、混合液に5%硫酸水素カリウム水溶液(85.5g、ナカライテスク株式会社製硫酸水素カリウムを水と混合して調製)を加えた後、濃塩酸(ナカライテスク株式会社製)を用いてpH2に調整し、層分離して水層(水層A)を得た。層分離で得られた有機層に水(42.7g)を加えて洗浄した。得られた洗浄液(水層)を前記水層(水層A)と混合した。混合液に30%水酸化ナトリウム水溶液(ナカライテスク株式会社製水酸化ナトリウムと水を混合して調製)を添加してpH11に調整し、2-メチルテトラヒドロフラン(85.5g、東京化成工業株式会社製)で抽出した。抽出液を減圧下で濃縮することで化合物(13a)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液(55.8g)を取得した。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.37-7.40(t,1H,J=7.8Hz)、7.14-7.18(m,3H)、4.40(m,1H)、4.05-4.08(dd,1H,J=3.5Hz,11.0Hz)、3.46-3.51(m,1H)、3.17-3.21(m,4H)、2.42-2.44(m,1H)、2.15(m,7H)、1.81-1.89(m,2H)、1.74-1.77(m,1H)、1.61(m,1H).
 (参考例3-3)
 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000041
 メタンスルホン酸[3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェニル]及びメタンスルホン酸[3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェニル]の混合物(13a)の2-メチルテトラヒドロフラン溶液(55.8g)に水(50.0g)を加えて混合し、30%水酸化ナトリウム(41.0g、純分12.3g、307.6mmol、ナカライテスク株式会社製水酸化ナトリウムと水を混合して調製)を添加して80℃で22.5時間攪拌した。分析条件2にて反応終了を確認後、反応混合物を20℃に冷却し、水(85.4g)、ジクロロメタン(85.4g、ナカライテスク株式会社製)を加えて洗浄及び層分離して、水層側に目的物を回収した。得られた水層をジクロロメタン(85.4g、ナカライテスク株式会社製)で洗浄後、層分離して再び水層側に目的物を回収した。層分離した後の水層にジクロロメタン(85.4g、ナカライテスク株式会社製)を加え、リン酸二水素カリウム(ナカライテスク株式会社製)を用いてpH8に調整し、水層(水層A)を分離除去して有機層側(有機層A)に目的物を抽出した。次いで水層Aにジクロロメタン(85.4g、ナカライテスク株式会社製)を加えて有機層側(有機層B)に目的物を再抽出した。得られた有機層A、及び有機層Bを混合後、フィルターろ過(孔径1μm)を行い、ろ液を減圧下で濃縮した。濃縮物にアセトニトリル(82.9g、ナカライテスク株式会社製)を添加し、65℃で2時間攪拌後、0℃まで冷却し、フィルターろ過により固体と母液を分離し、冷アセトニトリルを用いて固体を洗浄した。得られた湿結晶を40℃で減圧乾燥することにより、化合物(6a)(19.0g、80.6mmol、収率78.6%、化学純度100area%)を取得した。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.16-7.19(t,1H,J=8.3Hz)、6.73-6.75(d,1H,J=8.0Hz)、6.68-6.69(m,2H)、4.32-4.35(dd,1H,J=11.5Hz,2.5Hz)、4.04-4.07(dd,1H,J=11.0Hz,4.5Hz)、3.46-3.51(t,1H,J=12.0Hz)、3.15-3.20(t,1H,J=10.8Hz)、2.30-2.35(m,1H)、2.01-2.08(m,8H)、1.82-1.90(m,2H)、1.71-1.74(m,1H).MS(ESI)m/z:236.4(M+H)
 (実施例1)
 デカノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びデカノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(14a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000042
 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(0.10g、0.42mmol)とトリエチルアミン(0.086g、0.84mol、ナカライテスク株式会社製)のトルエン(5mL、ナカライテスク株式会社製)溶液中に、室温で塩化デカノイル(0.80g、4.2mmol、東京化成工業株式会社製)を加え、室温で16時間攪拌混合した。その後、反応混合物に水(5mL)を加えて洗浄した。水層を除いた後、有機層を無水硫酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して0.11g(67%)の化合物(14a)を得た。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.31-7.35(t,1H,J=8.3Hz)、7.10-7.15(m,3H)、4.33-4.36(m,1H)、4.05-4.08(m,1H)、3.46-3.51(m,1H)、3.16-3.21(m,1H)、2.31-2.45(m,3H)、2.07-2.20(m,8H)、1.82-1.90(m,2H)、1.62-1.76(m,3H)、1.22-1.36(m,12H)、0.86-0.91(t,3H,J=7.5Hz).
 (実施例2)
 オクタノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びオクタノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(15a)の製造
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000043
 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(0。10g、0.42mmol)とトリエチルアミン(0.086g、0.84mol、ナカライテスク株式会社製)のトルエン(5mL、ナカライテスク株式会社製)溶液中に、室温で塩化オクタノイル(0.68g、4.2mmol、富士フイルム和光純薬株式会社製)を加え、室温で16時間攪拌混合した。その後、反応混合物に水(5mL)を加えて洗浄した。水層を除いた後、有機層を無水硫酸ナトリウム(東京化成工業株式会社製)で乾燥し、ろ過し、ろ液を減圧下で濃縮して0.10g(66%)の化合物(15a)を得た。
H NMR(500MHz、CDCl):δ7.31-7.35(t,1H,J=8.2Hz)、7.09-7.14(m,3H)、4.32-4.35(m,1H)、4.05-4.08(m,1H)、3.45-3.50(m,1H)、3.16-3.21(m,1H)、2.30-2.44(m,3H)、2.06-2.19(m,8H)、1.82-1.90(m,2H)、1.63-1.77(m,3H)、1.22-1.36(m,8H)、0.86-0.91(t,3H,J=7.4Hz).
1.溶解性評価
 (試験例1)
 20mgの3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))をサンプル管中に測り取り、800mgのプロピレングリコールモノカプリレート(Gattefosse社製)を加えて混合物とし、前記混合物を室温で1時間撹拌した。
 その後、下記の溶解性評価基準により、前記混合物中の固形分の有無を目視で確認し、溶解性を評価した。結果を表1に示した。
<溶解性評価基準>
 〇:前記混合物中で固形分は認められなかった。
 ×:前記混合物中で固形分が認められた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000044
 (試験例2)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、デカノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びデカノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(14a)(化合物(14a))に代えた以外は、試験例1と同様にして、溶解性を評価した。結果を表1に示した。
 (試験例3)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、オクタノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びオクタノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(15a)(化合物(15a))に代えた以外は、試験例1と同様にして、溶解性を評価した。結果を表1に示した。
 表1の結果より、化合物(6a)の溶解性は低いが、化合物(14a)及び化合物(15a)の溶解性は高いことが分かった。
2.結晶析出評価
 (試験例4)
 表2の試験例4に示す処方に従って、粘着剤層を構成する各成分を秤取した。なお、表2の各成分の数値は、質量%である。
 まず、3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))とオレイン酸(CRODA社製「Super refined Oleic Acid」)、プロピレングリコールモノカプリレート(Gattefosse社製「Capryol(商標) 90」)、クロタミトン(シグマ・アルドリッチ社製「クロタミトン」)、及びトルエンを混合撹拌(内温50~80℃)し、混合物Aを得た。
 スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体の混合物(JSR社製「5505」)とロジンエステル(荒川化学工業株式会社製「KE-311」)をトルエン中で混合撹拌(内温30~60℃)して溶解した後、上記混合物Aに加えて混合撹拌し(内温50~80℃)、さらにミリスチン酸オクチルドデシル(花王株式会社製「エキセパールーODM」)を加えて混合撹拌し(内温50~80℃)、粘着剤層形成用の塗工液を調製した。
 上記塗工液をシリコーン処理したポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(剥離ライナー、藤森工業株式会社製「フィルムバイナ 75E-0010 BD」)に塗布し、乾燥後の粘着剤層の平均厚みが約500μmとなるように調製した。80℃のオーブンにて50分間乾燥後、該粘着剤層の表面にPET製フィルム(支持体)をラミネートし、貼付剤を得た。
 下記の結晶析出評価基準により、前記貼付剤の粘着剤層中での結晶析出の有無を目視で確認し、結晶析出を評価した。結果を表2に示した。
<結晶析出評価基準>
〇:貼付剤を40℃/75%RHで3日間保存後、粘着剤層中で結晶析出が無いことを目視で確認した。
×:貼付剤を40℃/75%RHで3日間保存後、粘着剤層中で結晶が析出したことを目視で確認した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000045
 (試験例5)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、デカノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びデカノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(14a)(化合物(14a))に代えた以外は、試験例4と同様にして、結晶析出を評価した。結果を表2に示した。
 (試験例6)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、オクタノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びオクタノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(15a)(化合物(15a))に代えた以外は、試験例4と同様にして、結晶析出を評価した。結果を表2に示した。
 表2の結果より、化合物(6a)を含有した試験例4の貼付剤では、粘着剤層中で結晶析出が確認された。一方、化合物(14a)を含有した試験例5の貼付剤、及び化合物(15a)を含有した試験例6の貼付剤では粘着剤層中で結晶析出が確認されなかった。
3.皮膚透過性評価
 (試験例7)
 ヘアレスラット腹部摘出皮膚(日本エスエルシー、wistar、雄性、5週齢)を経皮吸収試験自動サンプリング装置(コスメディ製薬株式会社製、TransviewC12)の拡散セルに装着し、3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))、の2質量%プロピレングリコール溶液を調製し、各溶液を300μLずつ、拡散セルにセットした別々のラット皮膚上に適用した。バッファーとして0.01mol/Lリン酸緩衝生理食塩水(pH7.2から7.4)を用い、バッファー温度32℃で試験を行った。試験開始後、一定時間ごとにバッファーの一部をサンプリングし、バッファー中のラット皮膚を透過してきた薬物量をHPLCにより定量した。
 試験開始12時間後の各薬物の皮膚透過量を表3に示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000046
 (試験例8)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、デカノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びデカノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(14a)(化合物(14a))に代えた以外は、試験例7と同様にして、皮膚透過量を評価した。結果を表3に示した。
 (試験例9)
 前記3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノール及び3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノールの混合物(6a)(化合物(6a))を、オクタノイル 3-[(3R,4R)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレート及びオクタノイル 3-[(3S,4S)-3-(ジメチルアミノメチル)テトラヒドロピラン-4-イル]フェノレートの混合物(15a)(化合物(15a))に代えた以外は、試験例7と同様にして、皮膚透過量を評価した。結果を表3に示した。
 本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
 <1> 下記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000047
(前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
 <2> 前記<1>に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含むことを特徴とする医薬組成物である。
 <3> 前記<2>に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする貼付剤である。
 <4> 粘着剤層を有し、前記粘着剤層が、熱可塑性エラストマーを含む、前記<3>に記載の貼付剤である。
 <5> 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系ブロック共重合体を含む、前記<4>に記載の貼付剤である。
 <6> 前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物を含む、前記<5>に記載の貼付剤である。
 <7> 性疼痛の治療及び/又は予防に用いるための、前記<2>から<6>の何れかに記載の医薬組成物又は貼付剤である。
 <8> 下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、酸塩化物と、を混合する工程を含むことを特徴とする、前記<1>に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000048
(前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)

Claims (8)

  1.  下記一般式(16)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (前記一般式(16)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、Rは水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
  2.  請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含むことを特徴とする医薬組成物。
  3.  請求項2に記載の医薬組成物を含むことを特徴とする貼付剤。
  4.  粘着剤層を有し、
     前記粘着剤層が、熱可塑性エラストマーを含む、請求項3に記載の貼付剤。
  5.  前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系ブロック共重合体を含む、請求項4に記載の貼付剤。
  6.  前記スチレン系ブロック共重合体が、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とスチレン・イソプレンブロック共重合体との混合物を含む、請求項5に記載の貼付剤。
  7.  慢性疼痛の治療及び/又は予防に用いるための、請求項2から6の何れかに記載の医薬組成物又は貼付剤。
  8.  下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩と、酸塩化物と、を混合する工程を含むことを特徴とする、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩の製造方法。
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
    (前記一般式(1)中、R~Rは独立して水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、R~Rは独立して置換基を有していてもよい炭素数1~12のアルキル基を表し、1及び2は不斉炭素原子を表す。)
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