WO2023013503A1 - エステル分散シリカゾル及びその製造方法 - Google Patents

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    • C09C1/00Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
    • C09C1/28Compounds of silicon

Definitions

  • Example 3 A water-dispersed silica sol (average primary particle size by BET method: 11 nm, pH: 3, silica concentration: 33% by mass, manufactured by Nissan Chemical Industries, Ltd.) was prepared. 1000 g of the above silica sol was charged into a glass reactor with an internal volume of 2 L equipped with a stirrer, a condenser, a thermometer and two injection ports, and the sol in the reactor was boiled and generated in a separate boiler. The evaporated methanol vapor was continuously blown into the silica sol in the reactor, and water was replaced with methanol while the liquid level was gradually raised.
  • a silica sol using a carboxylic acid ester as a dispersion medium and a method for producing the same are provided.
  • Organosilica sols can be subjected to silanization of the silica particle surface, and the addition of amines provides silica sols with improved stability.

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Abstract

【課題】 カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルとその製造方法の提供。 【解決手段】 シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR1(ただし、R1は酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)で表されるアルコキシ基が存在する該シリカ粒子を分散質として含有し、R2-COO-R1構造(ただし、R1は酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、R2は酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾル。上記分散質が、Si-OR0及びSi-OR1(ただし、R0は炭素原子数1~4のアルキル基であり、R1は酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、R0とR1は同じ化学基ではない。)との少なくとも2種類のアルコキシ基が存在し、(Si-OR1)/(Si-OR0)のモル比が0.002~50の割合で有する該シリカ粒子である。上記Si-OR0がSi-OCH3、又はSi-OC2H5である。動的光散乱法による平均粒子径が5~200nmである。

Description

エステル分散シリカゾル及びその製造方法
 本発明はカルボン酸エステルに分散したシリカゾルとその製造方法に関する。
 樹脂やフィルムへのコーティング組成物中にシリカ粒子を含有させ被膜物性を改善する試みや、樹脂マトリックス中にシリカ粒子を含有させ硬化物の物性を改善する試みがなされている。それらはコロイド状シリカの分散液(シリカゾル)が用いられるが、有機物との相溶性を向上させるために非水系溶媒に分散したシリカゾル(オルガノシリカゾル)が用いられている。
 例えば、下記の(A) 及び(B)工程:
(A)分散媒中に100℃以下の沸点を有する親水性溶媒を25~100質量%含有する親水性無機酸化物ゾルに、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を2個以上有するケイ素アルコキシド、又は1個以上のケイ素原子に結合したヒドロキシ基と1個以上のケイ素原子に結合したアルコキシ基を有するケイ素アルコキシドを添加して、該ゾル中の無機酸化物粒子を表面処理する工程、及び
(B)炭素数3~12の1級アルコールの共存下に、(A)工程で得られた表面処理された無機酸化物ゾルの分散媒を非アルコール性有機溶媒にて置換する工程を含む有機溶媒分散無機酸化物ゾルの製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
 この方法ではシリカ等の無機酸化物粒子の表面のヒドロキシ基がアルコールと反応し、アルコキシ基を導入し有機化してトルエン等の有機溶媒に分散した無機酸化物ゾルを得る方法が開示されている。例えばメタノール分散シリカゾルにフェニルトリメトキシシランを反応させ、トルエン溶媒に分散させたシリカゾルが開示されている。
 炭素原子間の不飽和結合含有有機基及びアルコキシ基が表面に結合した平均粒子径5~100nmのシリカ粒子をケトン系溶媒に分散したゾル(シリカゾル)であって、炭素原子間の不飽和結合含有有機基が0.5~2.0個/nm、アルコキシ基が0.1~2.0個/nm、(炭素原子間の不飽和結合含有有機基)/(アルコキシ基)=0.5~5.0モル比の割合で結合した上記シリカゾルが開示されている(特許文献2参照)。
 pHが酸性領域にある疎水性シリカゾルをアルカリで処理することにより、pHを上昇させた疎水性シリカゾルの製造方法が開示されている(特許文献3参照)。
特開2005-200294号公報 国際公開2020-230823号 特開平4-092808号公報
 本発明はカルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルとその製造方法を提供することを目的とする。本件オルガノシリカゾルはシリカ粒子表面のシラン処理を行う事ができ、そしてアミンの添加により安定性が向上したシリカゾルを供給する。
 本発明は第1観点として、シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)で表されるアルコキシ基が存在する該シリカ粒子を分散質として含有し、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾル、
 第2観点として、上記分散質が、シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR及びSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)で表される少なくとも2種類のアルコキシ基が存在し、(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合で有する該シリカ粒子である第1観点に記載のシリカゾル、
 第3観点として、上記シリカ粒子は動的光散乱法による平均粒子径が5~200nmである第1観点又は第2観点に記載のシリカゾル、
 第4観点として、Rがエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-メトキシ-2-プロピル基、1-エトキシ-2-プロピル基、又はフェニル基である第1観点又は第2観点に記載のシリカゾル、
 第5観点として、Rがメチル基、エチル基、又はプロピル基である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載のシリカゾル、
 第6観点として、上記シリカ粒子のシラン被覆が、式(1)乃至式(3):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
(式(1)中、Rはそれぞれアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、もしくはシアノ基を有する有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであって、Rはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、aは1~3の整数を示し、
式(2)及び式(3)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~3のアルキル基、又は炭素原子数6~30のアリール基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R及びRはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、Yはアルキレン基、NH基、又は酸素原子を示し、bは1~3の整数であり、cは0又は1の整数であり、dは1~3の整数である。)
からなる群より選ばれる少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載のシリカゾル、
 第7観点として、上記アミンは総炭素原子数が5~35の第2級アミン又は第3級アミンである第1観点又は第2観点に記載のシリカゾル、
 第8観点として、上記アミンを含有するシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1乃至1:2:1で混合した液体のpHが4.0~9.5である第7観点に記載のシリカゾル、
 第9観点として、下記(A)工程~(B)工程を含み、該(A)工程終了後から(B)工程の中で、下記(A-1)工程、及び該(A-1)工程終了後に下記(A-2)工程を含む請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のシリカゾルの製造方法、
(A)工程:動的光散乱法による平均粒子径5~200nmであるシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程、
(B)工程:(A)工程で得られたシリカゾルのROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程、
(A-1)工程:(A)工程で得られたシリカゾルを上記式(1)乃至式(3)で示される少なくとも1種のシラン化合物で被覆する工程、(A-2)工程:(A-1)工程で得られたシリカゾルに総炭素原子数5~35の第2級アミン又は第3級アミンを添加する工程、及び
 第10観点として、上記(A)工程が動的光散乱法による平均粒子径5~200nmであるシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程であり、
上記(B)工程が(A)工程で得られたシリカゾルのアルコールROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程、である第9観点に記載のシリカゾルの製造方法である。
 エステル系溶媒、特にカルボン酸エステルは低臭、低毒性という環境性能が評価され、炭化水素やケトン系溶媒の代替品として需要が伸びている。塗料、インキ、接着剤などの希釈用途をはじめ、医薬・農薬の反応溶媒、誘導品基礎原料、洗浄剤など数多くの用途で使用される溶媒について、エステル系溶媒によるケトン系溶剤の代替、溶媒リサイクル体制の確立など利用価値が高い。
 一方、樹脂やフィルムへのコーティング組成物中にシリカ粒子含有させ被膜物性を改善する試みや、樹脂マトリックス中にシリカ粒子を含有させ硬化物の物性を改善する試みがなされている。
 種々の用途にシリカ粒子を含有させることでパフォーマンスの向上を計る場合に、シリカ粒子はコロイド粒子を用いるためシリカ粉体では凝集が避けられず、コロイド状シリカ分散体(シリカゾル)の形で樹脂等に添加するが、その場合に樹脂との相溶性の高い有機溶媒に分散したシリカゾルが用いられる。
 本発明では溶媒として利用価値の高いカルボン酸エステル溶媒に分散したシリカゾルを提供するものである。
 オルガノシリカゾルは通常は水溶媒に分散したシリカゾル(水性シリカゾル)を製造し、分散媒を水から低級アルコール(例えばメタノール)に溶媒置換し、更に目的とするカルボン酸エステル溶媒に置換する事によって、カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルが得られる。
 本発明ではカルボン酸エステルのエステル基に隣接する化学基を含む基がシリカ粒子の表面又は近傍にアルコキシ基として存在する事で、該カルボン酸エステル溶媒への分散安定性が向上する事を見出した。
 シリカ粒子表面又は近傍には少なくともカルボン酸エステルのエステル基に隣接する有機基(R基)がエステル交換反応によりシラノール基(Si-OR基)として存在する事で、エステル溶媒に分散性の高いシリカ粒子が得られる。
 また、シリカ粒子は表面にシラノール基が存在し、分散媒を水から例えばメタノールに置換する事によってシラノールの水酸基がメトキシ基に変換する事が知られている。また、分散媒をメタノールからカルボン酸エステルに置換する事により、上記メトキシ基とカルボン酸エステルとの間でのエステル交換反応により、シリカ粒子の表面又は近傍のシラノール基は少なくとも2種類のアルコキシ基に置換されている。例えば、メトキシ基と、エステルの有機基によるアルコキシ基との少なくとも2種類のアルコキシ基が存在する。
 これらの少なくとも2種類のアルコキシ基の存在割合が、カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルの安定性に大きく影響するものである。
 エステル交換反応は酸性サイドで促進されやすく、またアルコキシ基の加水分解も酸性サイドで促進されやすいので、分散媒はアルカリサイドに維持する事が好ましく、例えばアミン化合物を含有する事で維持できる。
 カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルは、シリカ粒子表面のシラン化合物で被覆することによって、シラノールに変化しない官能基を共有結合で結合する事により、カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルの安定性に寄与するものである。
 本発明は、シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)のアルコキシ基が存在する該シリカ粒子を分散質として含有し、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾルである。
 更には、本発明はシラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR及びSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示し、更にRは炭素原子数1~4のアルキル基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)との少なくとも2種類のアルコキシ基を、(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合で有する該シリカ粒子を分散質として含有し、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾルである。
 上記(Si-OR)/(Si-OR)のモル比は0.002~50、又は0.01~40の範囲とする事ができる。
 上記Si-ORとSi-ORにおいてRとRは同じ化学基ではない。即ち、Si-ORがSi-OCHであれば、Si-ORはRがメチル基以外の酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10までの有機基を示すものである。
 また、炭素原子数はR<Rの関係を有する事もできる。炭素原子数はR<Rの関係を有するとは、Si-ORとSi-ORの関係において、Si-ORがSi-OCHであれば、Si-ORはRがエチル基以上の炭素原子数を有する有機基であることを示し、エチル基から酸素原子を有していても良い炭素原子数10までの有機基を示すものである。
 上記Si-ORとSi-ORは、シリカ粒子表面のシラノール基の水酸基が、水性シリカゾルの分散媒である水性媒体をアルコールに置換した時にアルコールと可逆反応により生じるアルコキシ基である。
 上記Si-ORは例えばSi-OCH、Si-OC、Si-OCを示すことができる。そしてSi-OCH、又はSi-OCであることが好ましく、特にSi-OCHを好ましく例示する事ができる。
 また上記Si-OR基(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)は、分散媒のアルコールを、R-COO-R構造のカルボン酸エステルに置換した時に、Si-ORとR-COO-Rとの間で可逆的に生じるエステル交換反応によるアルコキシ基である。上記R同士が同じ有機基であった場合には、シリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR基が形成される。
 また、本発明はシラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR(Rは炭素原子数1~4のアルキル基)及びSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)で表される少なくとも2種類のアルコキシ基を、(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合、特には(Si-OR)/(Si-OCH)のモル比が0.002~50の割合で有する該シリカ粒子を分散質として含有し、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾルである。
 上記Si-OR(特にはSi-OCH)は、シリカ粒子表面のシラノール基の水酸基が、水性シリカゾルの分散媒である水性媒体をROHに置換した時にROHと可逆反応により生じるアルコキシ基である。
 また上記Si-OR基(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)は、分散媒のROH(特にはメタノール)を、R-COO-R構造のカルボン酸エステルに置換した時に、Si-ORとR-COO-Rとの間で可逆的に生じるエステル交換反応によるアルコキシ基である。
 本発明では(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合で、特には(Si-OR)/(Si-OCH)のモル比が0.002~50の割合で存在する事が好ましい。
 R-COO-R構造を有するカルボン酸エステルは、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。上記酸素原子はエーテル結合やヒドロキシ基の形で存在する事ができる。
 上記Rは例えばエチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、1-メトキシ-2-プロピル基、1-エトキシ-2-プロピル基、1-プロポキシ-2-プロピル基、2-エトキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシ-2-エチル基、3-メトキシブチル基、フェニル基等が挙げられる。Rはエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、1-メトキシ-2-プロピル基、1-エトキシ-2-プロピル基、及びフェニル基を好ましく用いる事ができる。
 上記Rは例えばメチル基、エチル基、1-ヒドロキシエチル基、プロピル基等が挙げられる。Rはメチル基、エチル基、及びプロピル基を好ましく用いる事ができる。
 R-COO-R構造を有するカルボン酸エステルは、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸secブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、酢酸フェニル、乳酸フェニル、プロピオン酸フェニル等が挙げられる。
 本発明のゾルは固形分として0.1~60質量%、又は1~55質量%、又は10~55質量%である。ここで固形分とはゾルの全成分から溶媒成分を除いたものである。
 本発明のゾルはシリカ粒子の動的光散乱法(DLS法)による平均粒子径が5~200nm、又は5~150nmの範囲で得られ、シリカ粒子の透過型電子顕微鏡観察による平均一次粒子径が5~200nm、又は5~150nm、又は5~100nmの範囲で得られる。
 本発明のシリカゾルは下記(A)工程~(B)工程:
(A)工程:動的光散乱法による平均粒子径5~200nmであるシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程、
(B)工程:(A)工程で得られたシリカゾルのROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程、を経て得られる。
 そして、上記製造方法は、
(A)工程が動的光散乱法による平均粒子径5~200nmであるシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程であり、
(B)工程が(A)工程で得られたシリカゾルのアルコールROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程とする事もできる。
 そして、炭素原子数はR<Rの関係を有する事もできる。
 (A)工程のシリカゾルは炭素原子数1~4のアルコールROHを分散媒とするシリカゾルを用いる事ができる。このアルコールはメタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。特に上記アルコールはメタノールが好ましい。
 炭素原子数1~4のアルコールROHを分散媒とするシリカゾルは、水性シリカゾルを出発原料として得られる。水性シリカゾルは水ガラスを出発原料として、a)水ガラスを陽イオン交換して活性珪酸を得る工程、b)活性珪酸を加熱してシリカ粒子を得る工程からなる。a)工程では活性珪酸を高純度化するために鉱酸(例えば、塩酸、硝酸、又は硫酸)を添加して、シリカ以外の金属不純物を溶出させた陽イオン交換及び陰イオン交換で金属不純物や不要なアニオンを除去した活性珪酸を用いる事ができる。b)工程では活性珪酸にアルカリ成分(例えばNaOH、KOH)を添加してシリカ粒子の粒子成長を行う。シリカ粒子の粒子成長を促進させるために、a)工程で得られた活性珪酸にアルカリを添加したシード液とフィード液を準備して、シード液を加熱しながらフィード液を供給してシリカ粒子径を増大させることによって任意の粒子径とする水性シリカゾルを得る事ができる。
 さらに好ましくはb)工程で添加したアルカリ成分のうち、粒子の外部に存在しているアルカリイオンを除去した酸性のシリカゾルが本発明の出発原料として適している。
 本発明の(A)工程では水性シリカゾルの水性媒体を炭素原子数1~4のアルコールROH(ただしRは炭素原子数1~4のアルキル基を示す。このアルコールは特にはメタノール)に溶媒置換して動的光散乱法による平均粒子径5~200nmのシリカ粒子を分散質とし、炭素原子数1~4のアルコールを分散媒とするシリカゾルを得ることができる。
 (B)工程は、(A)工程で得られたシリカゾルの炭素原子数1~4のアルコールROH(ただしRは炭素原子数1~4のアルキル基を示す。このアルコールは特にはメタノール)の一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程である。
 上記ROH(特にはメタノール)の一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造を有するカルボン酸エステルの添加は、いわゆる溶媒置換でもあるが、完全にROHを除去する必要はなく、後工程でROHを除去する事も、一部のROHが残存する事も可能である。ROHの除去とR-COO-R構造を有するカルボン酸エステルの添加は、両者を同時に行う事も、何れか一方を先に行う事もできる。
 上記溶媒置換は蒸発法や限外ろ過法で行う事ができる。例えば50~100℃の温浴中に(A)工程で得られたROHを分散媒とするシリカゾルをフラスコに入れ、フラスコ内の液温が40~90℃でカルボン酸エステルを添加して溶媒置換を行う事ができる。溶媒置換は常圧下又は減圧下で行う事ができる。減圧下では例えば50~600Torrの圧力度で行う事ができる。溶媒置換にかかる時間は0.1~10時間程度で実施する事ができる。
 本発明では上記(A)工程終了後から(B)工程の中で下記(A-1)工程:
(A-1)工程:(A)工程で得られたシリカゾルを上記式(1)乃至式(3)からなる群より選ばれる少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物で被覆する工程、を行う事ができる。
 式(1)中、Rはそれぞれアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、もしくはシアノ基を有する有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであって、Rはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、aは1~3の整数を示し、
 式(2)及び式(3)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~3のアルキル基、又は炭素原子数6~30のアリール基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R及びRはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、Yはアルキレン基、NH基、又は酸素原子を示し、bは1~3の整数であり、cは0又は1の整数であり、dは1~3の整数である。
 上記アルキル基は炭素原子数1~18のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、1-メチル-シクロプロピル基、2-メチル-シクロプロピル基、n-ペンチル基、1-メチル-n-ブチル基、2-メチル-n-ブチル基、3-メチル-n-ブチル基、1,1-ジメチル-n-プロピル基、1,2-ジメチル-n-プロピル基、2,2-ジメチル-n-プロピル基、1-エチル-n-プロピル基、シクロペンチル基、1-メチル-シクロブチル基、2-メチル-シクロブチル基、3-メチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロプロピル基、2,3-ジメチル-シクロプロピル基、1-エチル-シクロプロピル基、2-エチル-シクロプロピル基、n-ヘキシル基、1-メチル-n-ペンチル基、2-メチル-n-ペンチル基、3-メチル-n-ペンチル基、4-メチル-n-ペンチル基、1,1-ジメチル-n-ブチル基、1,2-ジメチル-n-ブチル基、1,3-ジメチル-n-ブチル基、2,2-ジメチル-n-ブチル基、2,3-ジメチル-n-ブチル基、3,3-ジメチル-n-ブチル基、1-エチル-n-ブチル基、2-エチル-n-ブチル基、1,1,2-トリメチル-n-プロピル基、1,2,2-トリメチル-n-プロピル基、1-エチル-1-メチル-n-プロピル基、1-エチル-2-メチル-n-プロピル基、シクロヘキシル基、1-メチル-シクロペンチル基、2-メチル-シクロペンチル基、3-メチル-シクロペンチル基、1-エチル-シクロブチル基、2-エチル-シクロブチル基、3-エチル-シクロブチル基、1,2-ジメチル-シクロブチル基、1,3-ジメチル-シクロブチル基、2,2-ジメチル-シクロブチル基、2,3-ジメチル-シクロブチル基、2,4-ジメチル-シクロブチル基、3,3-ジメチル-シクロブチル基、1-n-プロピル-シクロプロピル基、2-n-プロピル-シクロプロピル基、1-i-プロピル-シクロプロピル基、2-i-プロピル-シクロプロピル基、1,2,2-トリメチル-シクロプロピル基、1,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、2,2,3-トリメチル-シクロプロピル基、1-エチル-2-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-1-メチル-シクロプロピル基、2-エチル-2-メチル-シクロプロピル基及び2-エチル-3-メチル-シクロプロピル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等があげられるが、これらに限定されない。
 また、アルキレン基は上述のアルキル基から誘導されるアルキレン基を上げる事ができる。
 上記アリール基は炭素原子数6~30のアリール基であり例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、ピレン基等が挙げられる。
 アルケニル基としては炭素数2~10のアルケニル基であり、エテニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-エテニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-エチルエテニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-n-プロピルエテニル基、1-メチル-1-ブテニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、2-エチル-2-プロペニル基、2-メチル-1-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-3-ブテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-i-プロピルエテニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1,2-ジメチル-2-プロペニル基、1-シクロペンテニル基、2-シクロペンテニル基、3-シクロペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1-メチル-1-ペンテニル基、1-メチル-2-ペンテニル基、1-メチル-3-ペンテニル基、1-メチル-4-ペンテニル基、1-n-ブチルエテニル基、2-メチル-1-ペンテニル基、2-メチル-2-ペンテニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
 上記アルコキシ基は炭素原子数1~10のアルコキシ基が挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、s-ブトキシ基、t-ブトキシ基、n-ペンチロキシ基、1-メチル-n-ブトキシ基、2-メチル-n-ブトキシ基、3-メチル-n-ブトキシ基、1,1-ジメチル-n-プロポキシ基、1,2-ジメチル-n-プロポキシ基、2,2-ジメチル-n-プロポキシ基、1-エチル-n-プロポキシ基、n-ヘキシロキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
 上記アシルオキシ基は炭素原子数2~10のアシルオキシ基が挙げられ、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、i-プロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、i-ブチルカルボニルオキシ基、s-ブチルカルボニルオキシ基、t-ブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、3-メチル-n-ブチルカルボニルオキシ基、1,1-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、2,2-ジメチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、1-エチル-n-プロピルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、1-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基、2-メチル-n-ペンチルカルボニルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
 上記ハロゲン基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
 エポキシ基を有する有機基は例えば、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-グリシドキシプロピル基等が挙げられる。
 上記(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基の双方をあらわす。(メタ)アクリロイル基を有する有機基は例えば、3-メタクリロキシプロピル基、3-アクリロキシプロピル基等が挙げられる。
 メルカプト基を有する有機基は例えば、3-メルカプトプロピル基が挙げられる。
 アミノ基を有する有機基は例えば、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)アミノプロピル基、N-フェニル-3-アミノプロピル基、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピル基等が挙げられる。
 ウレイド基を有する有機基は例えば、3-ウレイドプロピル基が挙げられる。
 シアノ基を有する有機基は例えば、3-シアノプロピル基が挙げられる。
 上記式(2)及び式(3)はトリメチルシリル基をシリカ粒子の表面又は近傍に形成できる化合物が好ましい。
 それら化合物としては以下に例示することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
 上記式中、R12はアルコキシ基であり、例えばメトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
 シリカ粒子の表面のヒドロキシ基、例えばシリカ粒子であればシラノール基と上記シラン化合物が反応してシロキサン結合によりシリカ粒子の表面に上記シラン化合物を被覆する工程である。反応温度は20℃からその分散媒の沸点の範囲までの温度で行うことができるが、例えば20℃~100℃の範囲で行うことができる。反応時間は0.1~6時間程度で行うことができる。
 好ましい官能基としてトリメチルシリル基、モノメチルシリル基、ジメチルシリル基、メタクリロキシプロピルシリル基、フェニル基等であり、それに対応するシラン化合物としてヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
 上記シラン化合物はシリカ粒子表面の被覆量として、シラン化合物中のケイ素原子の個数が0.1個/nm~6.0個/nmの被覆量に相当するシラン化合物をシリカゾルに添加してシリカ粒子表面の被覆を行う事ができる。
 上記シラン化合物の加水分解には水が必要であるが、水性溶媒のゾルであればそれら水性溶媒が用いられ、炭素原子数1~4のアルコールROH溶媒のゾルであれば水性媒体をアルコールに溶媒置換した時にアルコール溶媒中に残存する水分を用いる事ができる。残存する水分は水性媒体のゾルを、炭素原子数1~4のアルコール溶媒のゾルに溶媒置換するときに残存する水分であり、例えば上記アルコール中に1質量%以下、例えば0.01~1質量%に存在する水分を用いる事ができる。また、加水分解は触媒を用いて行うことも、触媒なしで行う事もできる。
 触媒なしで行う場合はシリカ粒子表面が酸性サイドで存在する場合であり、pH2~6(メタノールと水を1:1で含有して測定)のメタノールシリカゾルを用いる事ができる。
 触媒を用いる場合は、加水分解触媒として金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、無機塩基を挙げることができる。加水分解触媒としての金属キレート化合物は、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム等が挙げられる。加水分解触媒としての有機酸は、例えば酢酸、シュウ酸等が挙げられる。加水分解触媒としての無機酸は、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げられる。加水分解触媒としての有機塩基は、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、第4級アンモニウム塩が挙げられる。加水分解触媒としての無機塩基としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
 本発明では(A-1)工程終了後に、下記(A-2)工程:
(A-2)工程:(A-1)工程で得られたシリカゾルに総炭素原子数5~35の第2級アミン又は第3級アミンを添加する工程、を含むことができる。
 上記アミンの含有量はシリカ粒子のSiOの100gに対して0.01~10.0ミリモル、又は0.01~5.0ミリモルに設定する事ができる。
 またアミンの添加量はシリカゾルのpHが4.0~9.5となる量である事が好ましく、4.0~7.5となる量であることが更に好ましい。アミンの添加量はシリカゾル中の含有量として存在する。本発明のエステル分散シリカゾルのpHはシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1ないしは1:2:1で混合した液体を測定する。
 上記第2級アミンとしては例えばエチルnプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルブチルアミン、nプロピルブチルアミン、ジブチルアミン、エチルペンチルアミン、nプロピルペンチルアミン、イソプロピルペンチルアミン、ジペンチルアミン、エチルオクチルアミン、iプロピルオクチルアミン、ブチルオクチルアミン、ジオクチルアミン等が挙げられる。
 上記第3級アミンとしては例えばトリエチルアミン、エチルジnプロピルアミン、ジエチルnプロピルアミン、トリnプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エチルジブチルアミン、ジエチルブチルアミン、イソプロピルジブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、トリブチルアミン、エチルジペンチルアミン、ジエチルペンチルアミン、トリペンチルアミン、メチルジオクチルアミン、ジメチルオクチルアミン、エチルジオクチルアミン、ジエチルオクチルアミン、トリオクチルアミン、ベンジルジブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等が挙げられる。
 上記アミンの中でも総炭素原子数が6~35のアルキル基を有する第2級アミン及び第3級アミンが好ましく、例えばジイソプロピルアミン、トリペンチルアミン、トリイソプロピルアミン、ジメチルオクチルアミン、トリオクチルアミン等が挙げられる。
 本発明ではカルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルであるために、シリカ粒子は表面に非可逆的な疎水基が存在する事が好ましい。それゆえに式(1)乃至式(3)で示される少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物で被覆される事が好ましい。これらのシラン被覆は酸性サイドで行われるものである。
 そして、メタノール溶媒ゾルからカルボン酸エステルゾルに溶媒置換する例で示せば、シリカ粒子表面のシラノール基がメタノール溶媒中で一部がメトキシ基に変化するが、メタノール溶媒をカルボン酸エステルに置換する事によってメトキシ基のメチル基がカルボン酸エステルのエステル結合に隣接するアルキル基とのエステル交換反応によりアルコキシ基に変化する。アルコキシ基の増大により粒子間反発が減少し凝集傾向となる。この反応は酸性サイドで促進されるが、上記アミンの添加によりエステル交換反応は停止し、(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合、特には(Si-OR)/(Si-OCH)のモル比が0.002~50の割合で有するシリカ粒子となる。
 また、メタノール溶媒ゾルからプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶媒ゾルに溶媒置換する例で示せば、メタノール溶媒ゾルではシリカ粒子表面にはシラノール基とメトキシ基が存在し、溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換する事によってエステル交換により、1-メトキシ-2-プロポキシ基は存在するが、シラノール基の酸性により一部はメトキシ基がメタノールに戻り、カルボン酸エステル溶媒にメタノールとプロピレングリコールモノメチルエーテルが混在する事になる。このシラノールの酸性を制御するためにも上記アミンは必要である。
 本発明はカルボン酸エステルに分散したシリカゾルであり、例えば接着剤、離型剤、半導体封止材、LED封止材、塗料、フィルム内添材、ハードコート剤、フォトレジスト材、印刷インキ、洗浄剤、クリーナー、各種樹脂用添加剤、絶縁用組成物、防錆剤、潤滑油、金属加工油、フィルム用塗布剤、剥離剤等に使用する事ができる。
(粒子結合アルコールの分析方法)
 サンプル4mlにn-ヘキサン20mlを添加し、遠心分離(2770G)後に上澄みを捨て、沈降物を分離した。さらに沈降物をアセトン2~4mlを加え再溶解した後、再びn-ヘキサンを凝集するまで添加し遠心分離(2770G)で沈降物を分離する操作を2回行い。得られた沈降物を150℃で真空乾燥して乾燥粉末を得た。
 上記で得られた粉末0.2gを0.05N水酸化ナトリウム水溶液10mLと混合して1日室温で置いたのち、未溶解物がある場合は濾過又は遠心分離で除去し、溶液部分をガスクロマトグラフィー測定することで、表面に結合したアルコール量を測定した。
(実施例1)
 メタノール分散シリカゾル(BET法による平均一次粒子径45nm、シリカ濃度40.5質量%、水分1.5%、日産化学株式会社製)を準備した。
 上記メタノールゾルの900gを2Lナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、ヘキサメチルジシロキサン9.0gを添加した後、液温を60℃で2時間保持した。
 その後、ロータリーエバポレーターにて圧力500Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながらPGMEA(酢酸プロピレングリコールメチルエーテル)360gを供給し、ゾルの分散媒を一部PGMEAに置換した。マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、ヘキサメチルジシロキサン9.0gを添加した後、液温を60℃で2時間保持した。
 その後ロータリーエバポレーターにて圧力400~100Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながらPGMEAを供給し、ゾルの分散媒をPGMEAに置換した。置換後のゾルをマグネチックスターラーで攪拌しながらトリ-n-オクチルアミンを1.42g(シリカ粒子のSiOの100gに対して1.1ミリモル)添加し、PGMEA分散シリカゾル(SiOが30.1質量%、粘度(20℃)4.9mPa・s、水分0.2質量%、メタノール0.2質量%、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径87nm、シリカ粒子へのトリメチルシリル基結合量1.1個/nm、のシリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.4個/nm、1-メトキシ-2-プロポキシ基の結合量0.06個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.15であった。ただし、-ORは1-メトキシ-2-プロポキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ4.8であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、室温又は50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例2)
 鎖状粒子形状のメタノール分散シリカゾル(BET法による平均一次粒子径11nm、シリカ濃度20.5質量%、水分1.5%、日産化学株式会社製)を準備した。
 上記メタノールゾルの1000gを2Lナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、ヘキサメチルジシロキサン10.0gを添加した後、液温を60℃で2時間保持した。
 その後、ロータリーエバポレーターにて圧力400Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながらPGMEA(酢酸プロピレングリコールメチルエーテル)450gを供給し、ゾルの分散媒を一部PGMEAに置換した。その後マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、ヘキサメチルジシロキサン10.0gを添加した後、液温を60℃で2時間保持し、冷却後トリn-ペンチルアミン0.62g(シリカ粒子のSiOの100gに対して1.3ミリモル)を攪拌しながら添加した。
 その後ロータリーエバポレーターにて圧力400~80Torr、浴温度80~90℃で溶媒を蒸発留去させながらPGMEAを供給し、ゾルの分散媒をPGMEAに置換し、PGMEA分散シリカゾル(SiOが18.2質量%、粘度(20℃)8.4mPa・s、水分0.1質量%、メタノール0.1質量%、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径39nm、シリカ粒子へのトリメチルシリル基結合量1.4個/nm、のシリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.35個/nm、1-メトキシ-2-プロポキシ基の結合量0.08個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.23であった。ただし、-ORは1-メトキシ-2-プロポキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 また、アミンの含有量がシリカ粒子のSiOの100gに対して1.49ミリモルであった。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ5.6であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、室温又は50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例3)
 水分散シリカゾル(BET法による平均一次粒子径11nm、pH3、シリカ濃度33質量%、日産化学株式会社製)を準備した。
上記シリカゾルの1000gを撹拌機、コンデンサー、温度計及び注入口2個を備えた内容積2Lのガラス製反応器に仕込み、反応器内のゾルを沸騰させたままの状態で、別のボイラーで発生させたメタノールの蒸気を反応器内のシリカゾル中に連続的に吹き込んで、液面徐々に上昇させながらメタノールによる水の置換を行った。留出液の体積が9Lになったところで置換を終了して、メタノール分散シリカゾルを1100g得た。得られたメタノール分散シリカゾルは、SiO濃度30.5質量%、水分1.6質量%、粘度2mPa・sであった。
 上記メタノールゾルの1000gを2Lナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、n-ブチルアルコール150g、メチルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名KBM-13)77.5gを添加した後、液温を60℃で5時間保持した。その後、ロータリーエバポレーターにて圧力500~80Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながら酢酸n-ブチルを供給し、ゾルの分散媒を酢酸n-ブチルに置換した後、トリn-ペンチルアミンを0.06g(シリカ粒子のSiOの100gに対して0.9ミリモル)添加して、透明性コロイド色の酢酸n-ブチル分散シリカゾル(SiOが40.5質量%、粘度(20℃)3.2mPa・s、水分0.02質量%、メタノール0.02質量%、n-ブチルアルコール4質量%、酢酸n-ブチルで希釈して測定した動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径19nm、シリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.44個/nm、ブトキシキ基の結合量0.71個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が1.61であった。ただし、-ORはブトキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:2:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ5.3であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例4)
 実施例3と同様にして作成したメタノール分散シリカゾル750gを1Lナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、n-ブチルアルコール63.2g、メチルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名KBM-13)58.2gを添加し、液温60℃で5時間加熱した後、ジメチルジメトキシシラン(信越化学製、商品名KBM-22)17.0gを加えて更に63℃で3時間加熱した後、n-トリペンチルアミンを0.46g(シリカ粒子のSiOの100gに対して0.9ミリモル)添加した。
 その後、ロータリーエバポレーターにて減圧度500~80Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながら酢酸n-ブチルを供給し、ゾルの分散媒を酢酸n-ブチルに置換して、透明性コロイド色の酢酸n-ブチル分散シリカゾル(SiOが44.0質量%、粘度(20℃)3.6mPa・s、水分0.02質量%、メタノール0.2質量%、n-ブチルアルコール4質量%、酢酸n-ブチルで希釈して測定した動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径16nm、シリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.43個/nm、ブトキシ基の結合量0.27個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.63であった。ただし、-ORはブトキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 また、アミンの含有量がシリカ粒子のSiOの100gに対して0.61ミリモルであった。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ5.2であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例5)
 実施例3と同様にして作成したメタノール分散シリカゾル800gを1Lナスフラスコに仕込み、マグネチックスターラーでゾルを攪拌しながら、メチルトリメトキシシラン(信越化学製、商品名KBM-13)31.5gを添加し、液温50℃で3時間加熱した後、ロータリーエバポレータにて圧力500Torrで蒸留しながら酢酸n-ブチル240gを供給し、ゾルの分散媒の一部を酢酸ブチルで置換した。次いでゾルにマグネチックスターラーで攪拌しながらジメチルジメトキシシラン(信越化学製、商品名KBM-22)18.2gを加えて更に63℃で3時間加熱した後、ヘキサメチルジシロキサン8.0gを添加し、60℃で2時間加熱した。冷却後上記反応液に攪拌しながらn-トリペンチルアミンを0.49g(シリカ粒子のSiOの100gに対して0.9ミリモル)添加した。
 その後、ロータリーエバポレーターにて減圧度450~80Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながら酢酸n-ブチルを供給し、ゾルの分散媒を酢酸n-ブチルに置換して、透明性コロイド色の酢酸n-ブチル分散シリカゾル(SiOが43.5質量%、粘度(20℃)4.9mPa・s、水分0.02質量%、メタノール0.4質量%、n-ブチルアルコール1.5質量%、酢酸n-ブチルで希釈して測定した動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径19nm、シリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.27個/nm、ブトキシ基の結合量0.05個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.19であった。ただし、-ORはブトキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ4.7であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例6)
 メタノール分散シリカゾル(平均一次粒子径80nm、シリカ濃度30質量%、水分1.5%、日産化学株式会社製)を準備した。
 上記メタノールゾルの1000gを2Lナスフラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターにて圧力300Torr、浴温度60℃でSiOが35質量%になるまで濃縮した後、酢酸エチルを添加してSiOを30質量%に調整し、メタノール・酢酸エチル混合溶媒ゾルを得た。
 次いで、マグネチックスターラーで混合溶媒ゾルを攪拌しながら、ヘキサメチルジシロキサン20.0gを添加した後、液温を60℃で4時間保持した。冷却後上記反応液に攪拌しながらn-トリペンチルアミンを0.3g(シリカ粒子のSiOの100gに対して0.43ミリモル)添加した。
 その後、ロータリーエバポレーターにて圧力500Torr、浴温度80℃で溶媒を蒸発留去させながら酢酸エチルを供給し、ゾルの分散媒を酢酸エチルに置換し、酢酸エチル分散シリカゾル(SiO2が30.6質量%、粘度(20℃)1.5mPa・s、水分0.06質量%、メタノール0.05質量%、エタノール0.02質量%、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径121nm、シリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.34個/nm、エトキシ基の結合量0.01個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.029であった。ただし、-ORはエトキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ4.5であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、室温又は50℃で4週間保持した後も粘度の上昇がなかった。
(実施例7)
 水分散シリカゾル(BET法による平均一次粒子径12nm、pH3、シリカ濃度33.5質量%、日産化学株式会社製)を準備した。
 上記シリカゾルの300gを500mlのナスフラスコに仕込み、エタノールをチャージしながら圧力140Torr、浴温80℃で蒸留をおこない、SiO 30.4質量%、水分12.4質量%のゾルを得た。
 マグネチックスターラーで上記ゾルを攪拌しながら、フェニルトリエトキシシラン(信越化学製、商品名KBE-103)14.5gを添加した後、液温を67℃で2時間保持した。その後加熱を中断してジイソプロピルアミンを0.32g(シリカ粒子のSiOの100gに対して3.2ミリモル)添加し、さらに液温67℃で1時間加熱した。その後ロータリーエバポレーターにて圧力140~65Torr、浴温度85~95℃で溶媒を蒸発留去させながらPGMEAを供給し、ゾルの分散媒をPGMEAに置換することにより、透明性コロイド色のPGMEA分散シリカゾル(SiOが30.5質量%、粘度(20℃)3.8mPa・s、水分0.06質量%、1-メトキシ-2-プロパノール0.1質量%、PGMEAで希釈して測定した動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径23nm、シリカ粒子へのエトキシ基の結合量0.01個/nm、1-メトキシ-2-プロポキシ基の結合量0.34個/nmを得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が34であった。ただし、-ORは1-メトキシ-2-プロポキシ基を示し、-ORはエトキシ基を示す。
 このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ6.1であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、50℃で4週間保持した後も粘度や動的光散乱法粒子径の上昇がなかった。
(比較例1)
 トリ-n-オクチルアミンの添加を行わなかった以外は実施例1と同様の操作で、PGMEA分散シリカゾル(SiOが30.5質量%、粘度(20℃)6.1mPa・s、水分0.2質量%、メタノール0.2質量%、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径110nm、シリカ粒子へのトリメチルシリル基の結合量1.1個/nm、のシリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.4個/nm、1-メトキシ-2-プロポキシ基の結合量0.06個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.15であった。ただし、-ORは1-メトキシ-2-プロポキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ3.6であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、室温で4週間保持した後、粘度は11.5mPa・s、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径は115nmとなった。
(比較例2)
 酢酸n-ブチル置換後にアミンの添加を行わなかった以外は実施例2と同様にして、透明性コロイド色の酢酸n-ブチル分散シリカゾル(SiOが40.5質量%、粘度(20℃)3.2mPa・s、水分0.02質量%、メタノール0.02質量%、n-ブチルアルコール4質量%、酢酸n-ブチルで希釈して測定した動的光散乱法粒子径20nm、シリカ粒子へのメトキシ基の結合量0.42個/nm、ブトキシ基の結合量0.70個/nm)を得た。(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が1.67であった。ただし、-ORはブトキシ基を示し、-ORはメトキシ基を示す。このシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:2:1で混合した液体のpHをpHメーターで測定したところ3.5であった。
 このゾルは密閉ガラス容器に入れ、50℃で4週間保持した後、粘度が6.0mPa・s、動的光散乱法によるシリカ粒子の平均粒子径が37nmまで上昇した。
 カルボン酸エステルを分散媒とするシリカゾルとその製造方法を提供する。オルガノシリカゾルはシリカ粒子表面のシラン処理を行う事ができ、そしてアミンの添加により安定性が向上したシリカゾルを供給する。
 

Claims (10)

  1. シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示す。)で表されるアルコキシ基が存在する該シリカ粒子を分散質として含有し、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルを含む溶媒を分散媒として含有し、及びアミンを含有するシリカゾル。
  2. 上記分散質が、シラン被覆されたシリカ粒子の表面又は近傍にSi-OR及びSi-OR(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示し、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)で表される少なくとも2種類のアルコキシ基が存在し、(Si-OR)/(Si-OR)のモル比が0.002~50の割合で有する該シリカ粒子である請求項1に記載のシリカゾル。
  3. 上記シリカ粒子は動的光散乱法による平均粒子径が5~200nmである請求項1又は請求項2に記載のシリカゾル。
  4. がエチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、1-メトキシ-2-プロピル基、1-エトキシ-2-プロピル基、又はフェニル基である請求項1又は請求項2に記載のシリカゾル。
  5. がメチル基、エチル基、又はプロピル基である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリカゾル。
  6. 上記シリカ粒子のシラン被覆が、式(1)乃至式(3):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    (式(1)中、Rはそれぞれアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、ウレイド基、もしくはシアノ基を有する有機基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであって、Rはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、aは1~3の整数を示し、
    式(2)及び式(3)中、R及びRはそれぞれ炭素原子数1~3のアルキル基、又は炭素原子数6~30のアリール基で且つSi-C結合によりケイ素原子と結合しているものであり、R及びRはそれぞれアルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を示し、Yはアルキレン基、NH基、又は酸素原子を示し、bは1~3の整数であり、cは0又は1の整数であり、dは1~3の整数である。)
    からなる群より選ばれる少なくとも1種のシラン化合物の加水分解物である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシリカゾル。
  7. 上記アミンは総炭素原子数が5~35の第2級アミン又は第3級アミンである請求項1又は請求項2に記載のシリカゾル。
  8. 上記アミンを含有するシリカゾルとメタノールと純水を質量比で1:1:1乃至1:2:1で混合した液体のpHが4.0~9.5である請求項7に記載のシリカゾル。
  9. 下記(A)工程~(B)工程を含み、該(A)工程終了後から(B)工程の中で、下記(A-1)工程、及び該(A-1)工程終了後に下記(A-2)工程を含む請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載のシリカゾルの製造方法。
    (A)工程:動的光散乱法による平均粒子径5~200nmであるシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程、
    (B)工程:(A)工程で得られたシリカゾルのROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示す。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程、
    (A-1)工程:(A)工程で得られたシリカゾルに含まれるシリカ粒子を上記式(1)乃至式(3)で示される少なくとも1種のシラン化合物で被覆する工程、
    (A-2)工程:(A-1)工程で得られたシリカゾルに総炭素原子数5~35の第2級アミン又は第3級アミンを添加する工程。
  10. 上記(A)工程が、動的光散乱法による平均粒子径5~200nmのシリカ粒子を分散質とし、アルコールROH(ただしRは酸素原子を有していても良い炭素原子数1~10の有機基を示す。)を分散媒とするシリカゾルを得る工程であり、
     上記(B)工程が(A)工程で得られたシリカゾルのアルコールROHの一部乃至全部の除去と、R-COO-R構造(ただし、Rは酸素原子を有していても良い炭素原子数2~10の有機基を示し、Rは炭素原子数1~10のアルキル基を示し、RとRは同じ化学基ではない。)を有するカルボン酸エステルの添加を行う工程、である請求項9に記載のシリカゾルの製造方法。
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