WO2023008581A1 - 脂肪塊組成物、及び代替肉 - Google Patents

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Abstract

融点が0.1℃以上である油脂を含有する粒状体と、陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーと、を含み、粒状体の平均粒径が50μm以上500μm以下である脂肪塊組成物、及び代替肉。

Description

脂肪塊組成物、及び代替肉
 本開示は、脂肪塊組成物、及び代替肉に関する。
 畜肉に含まれる脂身は、弾力を有し、咀嚼時に油脂が滲みだす独特の食感を有するものである。そして、脂身の性状は畜肉を食した際における食感、風味などに大きく影響を与える要素である。
 近年、健康維持の観点から、畜肉の摂取を控え、大豆等の植物由来の植物性タンパク質を原料とする肉用食品(以下、「代替肉」と称することがある)を摂取することを推奨する状況にかわりつつある。このような状況下、代替肉の食感、風味などをより畜肉に近づけるために、脂身に似た食感を有する食材を代替肉中に含ませる試みがなされている。それに伴い、脂身に似た食感を有する食材の開発が行われている。
 例えば、特許文献1には、「20℃における1質量%水溶液のB型粘度計による粘度が4,000~11,000mPa・sであり、かつ65℃のおける1.5質量%水溶液の貯蔵弾性率G’(65℃)が2,500~4,500Paであるアルキルセルロースと、食用油脂と、水とを少なくとも含む水中油型組成物。」が提案されている。
 特許文献2には、「油脂又は調味した油脂を内蔵したマイクロカプセルを、水又は蛋白、多糖類、植物繊維などを適当に水に分散させた液に分散し、これを低温下で食肉に注入又は挿入することを特徴とする霜降り状食肉の製造方法。」が提案されている。
 特許文献3には、「50μm~800μmの粒子径を有する油滴を10~60重量%含有する水中油型乳化スラリーが、ゲル化処理されて得られる、水中油型乳化物大豆蛋白質ゲル食品であって、50μm~800μmの直径を有する油滴の平面占有率が10~60%であり、非ミオシンのゲル化素材によるゲルが連続相として存在し、ゲルが蛋白質架橋酵素により架橋されたものである、水中油型乳化物大豆蛋白質ゲル食品。」が提案されている。
 特許文献4には、「少なくとも1種のイオン化性乳化剤又はその塩と、イオン化性ポリペプチド、その塩、イオン化性ヒドロコロイド及びその塩からなる群の中から選択される1種以上の物質とから生成され、前述の乳化剤、ポリペプチド及びヒドロコロイド上の電荷が同一符号の場合、架橋剤の存在下で生成されるイオン性錯体を含む組成物。」が提案されている。
 特許文献5には、「下記を特徴とする、肉類似製品に用いるための脂肪のテクスチャー化法:(a)トリグリセリド脂肪100部と油溶性ゲル化剤約2~約20部とをゲル化温度より高い温度で混合すること、(b)該混合物をゲル化温度より低い温度に冷却し、その際該混合物を攪拌し、それによってゲル化脂肪の離散した不規則形状の粒子を提供すること。」が提案されている。
  特許文献1:特許第6446473号公報
  特許文献2:特開昭62-146584号公報
  特許文献3:特許第6265121号公報
  特許文献4:特表平7-502172号公報
  特許文献5:特開昭52-057357号公報
 脂身に似た食感を演出するためには、咀嚼時の油の放出量が多いことが好ましいが、従来の食材は、脂身に似た食感はあっても油の放出量が不十分であった。
 そこで本開示の実施形態の課題は、従来の食材と比べて噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物、及び代替肉を提供することである。
 上記課題は、以下の手段により解決される。即ち
<1> 融点が0.1℃以上である油脂を含有する粒状体と、
 陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーと、を含み、
 粒状体の平均粒径が50μm以上500μm以下である脂肪塊組成物。
<2> 界面活性剤を含有し、
 イオン架橋性ポリマーと、界面活性剤の親水部と、のHSP距離が10以下である<1>に記載の脂肪塊組成物。
<3> イオン架橋性ポリマーを含有するゲルを含み、
 粒状体の体積に対する、ゲルの体積が10%以上300%以下である<1>又は<2>に記載の脂肪塊組成物。
<4> 厚さ2mm、縦の長さ:横の長さの比=1:1、かつ2gの脂肪塊組成物を90℃のホットプレートで5分間加熱した後、加熱後の脂肪塊組成物の表面から厚さ方向に300g/cmの圧力で1分間加圧した場合において、加熱前の脂肪塊組成物に含有される油脂の量に対する、加熱後の脂肪塊組成物の加圧時に加熱後の脂肪塊組成物から放出された液体の量が30質量%以上である<1>~<3>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<5> 粒状体の粒径のCV値が30%以下である<1>~<4>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<6> 油脂の融点が1℃以上30℃以下である<1>~<5>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<7> 油脂がココナッツ油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、及びオレイン酸から選択される少なくとも1種である<1>~<6>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<8> 粒状体が水を含有する<1>~<7>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<9> シート状であり、厚さが0.5mm以上である<1>~<8>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物。
<10> タンパク質を含む赤身様部分と、
 <1>~<9>のいずれか1つに記載の脂肪塊組成物と、を含む代替肉。
 本開示の実施形態によれば、従来の食材と比べて噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物及び代替肉が提供される。
 以下、本開示の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
 本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
 各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
 組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数
種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
 本明細書において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
 本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
<脂肪塊組成物>
 本開示に係る脂肪塊組成物は、融点が0.1℃以上である油を含有する粒状体と、陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーと、を含む。
 そして、本開示に係る脂肪塊組成物は、粒状体の平均粒径が50μm以上500μm以下である。
 本開示に係る脂肪塊組成物は、上記構成により、噛んだ際における油分の放出量が多くなる。その理由は、次の通り推測される。
 畜肉に含まれる脂身は、内部に油脂を含む脂肪細胞を多数含んで構成されている。よって、畜肉に含まれる脂身は、多数の油滴を含んだ状態に近い。本開示の脂肪塊組成物は、融点が0.1℃以上である油を含有する粒状体を含むため、脂肪塊組成物の構造が、畜肉に含まれる脂身の構造と類似した構造となる。これにより、咀嚼時に畜肉の脂身と同様に、本開示に係る脂肪塊組成物は、油分を脂肪塊組成物から放出しやすくなる。
 そして、本開示に係る脂肪塊組成物は、粒状体の平均粒径が50μm以上500μm以下である。粒径の小さい粒状体は、内包する油脂の量が少ない。そのため粒径の小さい粒状体が含まれると脂肪塊組成物を噛んだ際の油分の放出量が少なくなりやすい。一方、粒径の大きい粒状体は、不安定であるため、加熱調理などの調理を行うと粒状体から油脂が漏出しやすい。これにより、粒状体の平均粒径が上記数値範囲内であることで、脂肪塊組成物中に含有される油脂の量が多くなりやすい。そのため、脂肪塊組成物を咀嚼した際における、油分の放出量が向上しやすくなる。
 また、本開示に係る脂肪塊組成物は、陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーを含有することで、脂肪塊組成物に含有される粒状体を好ましい粒径に保つことができる。さらに、脂肪塊組成物に弾力が付与され、より食感が畜肉の脂身に近くなりやすい。
 そのため、本開示に係る脂肪塊組成物は、従来の食材に比べて噛んだ際における油分の放出量が多くなると考えられる。
(粒状体)
 粒状体は、融点が0.1℃以上である油脂(以下、単に「特定油脂」とも称する)を含有する。
 そして、粒状体の平均粒径は50μm以上500μm以下である。
-粒状体の組成-
 粒状体は、融点が0.1℃以上である油脂を含有し、必要に応じて、水、その他添加剤を含有する。
・油脂
 粒状体が含有する、融点が0.1℃以上である油脂としては、例えば、植物性油脂、動物性油脂、脂肪酸などが挙げられる。
 ここで、脂肪酸とは、長鎖炭化水素の1価のカルボン酸であり一般式CCOOH(n、mは1以上の整数である。)で表せるものである。
 植物性油脂としては、例えば、ナタネ油、大豆油、パーム油、オリーブ油、ヤシ油、米油、コーン油、ココナッツ油、キャノーラ油などが挙げられる。
 動物性油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ラード、鯨脂、魚油などが挙げられる。
 脂肪酸としては、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルチミン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エイコセン酸、エルカ酸等の不飽和脂肪酸などが挙げられる。
 粒状体が含有する油脂としては、脂肪塊組成物を噛んだ際における油分の放出量を多くする観点からココナッツ油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、及びオレイン酸から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
 上記油脂は、融点が0.1℃以上である。そのため、上記油脂を用いた場合、後述する脂肪塊組成物の製造において、粒状体がより形成されやすくなる。そのため、脂肪塊組成物を噛んだ際における油分の放出量を高めやすい。
 油脂の融点は0.1℃以上であるが、1℃以上30℃以下であることが好ましく、2℃以上25℃以下であることがより好ましく、5℃以上25℃以下であることが更に好ましい。
 油脂の融点を1℃以上とすることで、後述する脂肪塊組成物の製造において、粒状体がより形成されやすくなる。
 また、油脂の融点を30℃以下とすることで、後述する脂肪塊組成物の製造において、室温(例えば25℃)下で粒状体に水を含有する脂肪塊組成物を製造しやすくなり、製造工程が簡便となりやすい。
 油脂の融点は、「日本油化学会制定 基準油脂分析試験法2.2.4.2(1996)1996年版」に準拠して測定する。
 油脂の含有量は、脂肪塊組成物全体に対して、10質量%以上98質量%以下であることが好ましく、20質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
・水
 用途によっては、粒状体は水を含有することが好ましい場合がある。
 水としては、食品に利用可能な水であればよく、特に限定はない。
 粒状体が水を含有することで、脂肪塊組成物を咀嚼した際において、油脂に加えて水も脂肪塊組成物から放出され、より畜肉に含まれる脂身に近い食感となりやすい場合がある。
 また、粒状体が水を含有することで、粒状体中に水溶性の成分(例えば、うまみ成分などの調味料、香料など)を含ませやすくなり、畜肉に含まれる脂身に近い食感をより演出しやすくなる。
 水の含有量は、粒状体に含有される特定油脂の量に対して、1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、5質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上50質量%以下であることが更に好ましい。
・その他添加剤
 その他の添加剤としては、例えば、調味料、酸味料、苦味料、香辛料、甘味料、酸化防止剤、着色料、発色料、香料、安定剤、保存料等が挙げられる。
 その他の添加剤の含有量としては、粒状体全体に対して、0質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
-粒状体の特徴-
・粒状体の平均粒径
 粒状体の平均粒径は50μm以上500μm以下であるが、50μm以上400μm以下であることが好ましく、90μm以上300μm以下であることがより好ましい。
 粒状体の平均粒径を50μm以上とすることで、既述の通り、脂肪塊組成物を咀嚼した際における、油分の放出量が向上しやすくなる。
 また、粒状体の平均粒径を500μm以下とすることで、粒状体の粒径が小さくなる。そのため、脂肪塊組成物を目視した時に、脂肪塊組成物中に多数の粒状体が含まれていることが視認されにくくなる。そのため、脂肪塊組成物の外観もより畜肉に含まれる脂身に近くなる。
 更に、粒状体の平均粒径を500μm以下とすることで、粒状体の粒径が小さくなるため、脂肪塊組成物を食した際における舌ざわりが滑らかとなりやすい。そのため、脂肪塊組成物の食感もより良好となりやすい。
 粒状体の平均粒径は、脂肪塊組成物を透過型光学顕微鏡により観測することで測定される。
 透過型顕微鏡としては例えば、ツァイス社製、製品名:倒立顕微鏡Axio Observer.Z1等が使用できる。
 以下、粒状体の平均粒径の測定手順について説明する。
 脂肪塊組成物を、100mMのエチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬製)水溶液に1時間浸漬する。1時間後に浮遊していた粒状体を比重分離することで脂肪塊組成物から粒状体を回収し、60mmΦのポリスチレン製シャーレにのせる。この時、回収した粒状体がシャーレの深さ方向に重ならないようにする。そして、シャーレに回収した粒状体を透過型光学顕微鏡で観測し、対物倍率5倍で撮影する。撮影して得られた画面に含まれる粒状体の画像を200個以上選択する。画像処理ソフトウェア(例えばImageJ)にて各粒状体の円相当径(粒状体の画像の面積に相当する真円の直径)を算出する。算出した各粒状体の円相当径の算術平均値を算出し、その算術平均値を粒状体の平均粒径とする。
・粒状体の粒径のCV値
 粒状体の粒径のCV値(coefficient of variation;変動係数)は30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることが更に好ましい。
 粒径の小さい粒状体は、内包する油脂の量が少ない。そのため粒径の小さい粒状体が含まれると脂肪塊組成物を噛んだ際の油分の放出量が少なくなりやすい。一方、粒径の大きい粒状体は、不安定であるため、加熱調理などの調理を行うと粒状体から油脂が漏出しやすい。
 以上のことから、保管時は油脂を多く含みつつも安定的に保持されるが、噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物とするためには、粒状体の粒径のばらつきが少ないことが好ましい。つまり、脂肪塊組成物に含まれる粒状体の粒径分布が狭いことが好ましい。
 粒状体の粒径のCV値を30%以下とすることで、脂肪塊組成物に含まれる粒状体の粒径が均一に近い状態となりやすい。そのため、噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物となりやすい。
 粒径のCV値とは、下記式で求められる値である。
 式:粒径のCV値(%)=(粒状体の円相当径の標準偏差/粒状体の平均粒径)×100
 ここで、粒状体の平均粒径は既述の方法で測定される値である。
 また、粒状体の円相当径の標準偏差は、粒状体の平均粒径の測定において算出した200個の粒状体の円相当径の標準偏差である。
(イオン架橋性ポリマー)
 脂肪塊組成物は、陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーを含む。
 ここで、「可食性」とは、ヒトが経口摂取した際に健康状態に対して悪影響を及ぼさない性質を意味する。
 「イオン架橋性ポリマー」とは、イオンとの反応により架橋するポリマーを意味する。
 可食性のイオン架橋性ポリマーとしては、カルボキシ基、カルボン酸陰イオン基(-COO)、スルホ基、及びスルホン酸陰イオン基(-SO )からなる群から選択される少なくとも一種を有する多糖類が挙げられる。
 可食性のイオン架橋性ポリマーとしては、例えば、アルギン酸、カラギナン、LMペクチン、HMペクチン、LAジェランガム等が挙げられる。
 脂肪塊組成物の耐熱性向上の観点から、可食性のイオン架橋性ポリマーとしては、アルギン酸、LMペクチン、及びLAジェランガムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
 可食性のイオン架橋性ポリマーの1質量%水溶液(水溶液全体に対して、イオン架橋性ポリマーを1質量%含有する水溶液)の粘度は、10mPa・s以上3000mPa・s以下が好ましく、20mPas以上1000mPas以下であることがより好ましい。
 可食性のイオン架橋性ポリマーの1質量%水溶液の粘度は、20℃の温度条件下で、音叉振動式粘度計で測定される値である。
 音叉振動式粘度計としては、例えば、A&D製のSV-10が使用可能である。
 陽イオンとしては、イオン価数が2価以上の金属イオンであることが好ましい。
 金属イオンとしては、例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、鉄イオン(II)、銅イオン(II)、亜鉛イオン、マンガンイオン等の2価金属イオン;アルミニウムイオン、鉄イオン(III)等の3価金属イオンが挙げられる。
 安定した架橋構造を得る観点から、金属イオンとしてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、及び亜鉛イオンから選択される少なくとも1種であることが好ましく、カルシウムイオンであることがより好ましい。
 陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量は、脂肪塊組成物全体に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
(界面活性剤)
 脂肪塊組成物は、界面活性剤を含有することが好ましい。
 脂肪塊組成物が界面活性剤を含有することで、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際において油脂の放出量がより多くなる。その理由については以下の通りと推測される。
 脂肪塊組成物中の粒状体同士が接触している場合、加熱調理時において、粒状体から油脂が漏出しやすくなる。そうすると、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際において油脂の放出量が減少しやすくなる。
 界面活性剤を含有することで、粒状体とイオン架橋性ポリマーとのなじみが良好となりやすく、粒状体同士の隙間にイオン架橋性ポリマーが存在しやすくなる。そうすると、粒状体同士が適度に距離を有しやすくなり、加熱調理時において、粒状体から油脂の漏出抑えられる。その結果、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際においての油脂の放出量が多くなる。
 界面活性剤としては、可食性の界面活性剤が挙げられる。
 可食性の界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、レシチン等が挙げられる。
 グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノグリセリドを主成分として含有することが好ましい。
 ここで主成分とは、モノグリセリドの含有量が、グリセリン脂肪酸エステル全体に対して90質量%以上であることをいう。
 モノグリセリドとしては、炭素数2以上24以下の飽和又は不飽和の脂肪酸とグリセリンとのモノエステル化物であることが好ましい。
 脂肪酸としては、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等が挙げられる。
 グリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリドを含有してもよい。
 ジグリセリドとしては、炭素数2以上24以下の飽和又は不飽和の脂肪酸とグリセリンとのジエステル化物であることが好ましい。
 ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数2以上24以下の飽和又は不飽和の脂肪酸とポリグリセリンとのエステル化物であることが好ましい。
 ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、具体的には、モノミリスチン酸ポリグリセリル、ジミリスチン酸ポリグリセリル、トリミリスチン酸ポリグリセリル、モノパルミチン酸ポリグリセリル、ジパルミチン酸ポリグリセリル、トリパルミチン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、ジステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、ジモノオレイン酸ポリグリセリル、トリモノオレイン酸ポリグリセリル等が挙げられる。
 有機酸モノグリセリドとは、モノグリセリドのグリセリン由来の水酸基を、さらに有機酸を用いてエステル化したものである。
 有機酸としてはクエン酸、コハク酸、酢酸、および乳酸等が挙げられ、クエン酸およびコハク酸が好ましく、クエン酸がより好ましい。
 ソルビタン脂肪酸エステルとは、ソルビタンと脂肪酸とのエステル化物をいう。
 ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンと、炭素数2以上18以下の飽和又は不飽和の脂肪酸と、のエステル化物であることが好ましい。
 ソルビタン脂肪酸エステルとしては、具体的には、モノカプリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどが挙げられる。
 プロピレングリコール脂肪酸エステルとは、脂肪酸とプロピレングリコールとのエステル化物である。
 プロピレングリコール脂肪酸エステルの合成に用いられる脂肪酸としては、炭素数2以上24以下の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましい。
 プロピレングリコール脂肪酸エステルとしては、具体的には、例えば、プロピレングリコールパルミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、及びプロピ
レングリコールベヘン酸エステル等が挙げられる。
 ショ糖脂肪酸エステルとは、ショ糖と脂肪酸とのエステル化物である。
 ショ糖脂肪酸エステルの合成に用いられる脂肪酸としては、炭素数2以上24以下の飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましい。
 ショ糖脂肪酸エステルとしては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸からなる群から選択される1種又は2種以上の脂肪酸と、ショ糖とのエステル化物が好ましい。
 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとは、ポリグリセリン脂肪酸エステルとリシノレイン酸縮合物とのエステル化物である。
 ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルとしては、具体的には、既述のポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例として記載した化合物と、リシノレイン酸縮合物と、のエステル化物が挙げられる。
 レシチンとは、ホスファチジルコリン自体、又は、少なくともホスファチジルコリンを含む混合物を指す。
 少なくともホスファチジルコリンを含む混合物とは、一般的に、ホスファチジルコリンの他に、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、N-アシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、スフィンゴエタノールアミン等を含み得る混合物である。
 レチチンとしては、酵素分解レシチン(所謂、リゾレシチン)を用いることができる。
 酵素分解レシチンは、ホスホリパーゼ等の酵素により、ホスファチジルコリン分子が持つ1つの脂肪酸が失われたリゾホスファチジルコリンを含む組成物である。なお、本開示の脂肪塊組成物において、酵素分解レシチンは、水素添加処理を行い、結合脂肪酸を飽和脂肪酸にすることで酸化安定性を向上させたものである、水素添加された酵素分解レシチンを含む。
 界面活性剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
 界面活性剤のHLB値は、例えば、乳化分散性の観点から、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましい。
 乳化剤のHLB値の上限は、特に制限されないが、一般的には、20以下であり、18以下であることが好ましい。
 HLBは、通常、界面活性剤の分野で使用される親水性-疎水性のバランスを意味する。HLB値は、以下に示す川上式を用いて計算する。なお、界面活性剤として、市販品を使用する場合には、市販のカタログデータを優先して採用する。
 HLB=7+11.7log(Mw/Mo)
 ここで、Mwは界面活性剤の親水基の分子量、Moは界面活性剤の疎水基の分子量を示す。
 界面活性剤の疎水基とは、水に対する親和性が低い原子団である。疎水基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキルシリル基、パーフルオロアルキル基等が挙げられる。具体的には、界面活性剤が上述の「グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、又はレシチン」である場合、脂肪酸由来のアルキル基、及びアルケニル基を指す。
 界面活性剤の親水基とは、水に対する親和性が高い原子団である。具体的には、界面活性剤の構造のうち、疎水基以外の原子団を指す。
 イオン架橋性ポリマーと、界面活性剤の親水部と、のHSP距離が10以下であることが好ましく、9以下であることがより好ましく、8以下であることが更に好ましい。
 脂肪塊組成物中の粒状体同士が接触していると、加熱調理時において、粒状体から油脂が漏出しやすくなる。そうすると、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際において油脂の放出量が減少しやすくなる。
 イオン架橋性ポリマーと、界面活性剤の親水部と、のHSP距離を上記数値範囲内とすることで、粒状体同士の隙間にイオン架橋性ポリマーが存在しやすくなる。そうすると、粒状体同士が適度に距離を有しやすくなり、加熱調理時において、粒状体から油脂が漏出しにくくなる。それに伴い、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際において油脂の放出量が多くなる。
 HSP距離は、イオン架橋性ポリマー及び界面活性剤の親水部の構造を変えることにより調整することができる。
 HSP距離は、3種類の凝集エネルギー密度値(δD:分散項、δP:分散極及びδH:水素結合項)を組合せたものであり、それぞれの単位は、[J/cm1/2である。
 HSP距離の算出は以下の通り行う。
 HSP距離は、市販されているソフトウェアであるHSPiP4th Edition version4.0.04における登録値又は推算値として取得することができる。
 このソフトウェアは、http://hansen-solubility.com/index.html等のサイトから取得可能である。また、こうしたソフトウェアに基づいてHSPを求めるには、ハンセンらによる文献(例えば、C. M. Hansen
 solubility parameteres: a user7S handbook 2nd edition, CEC press, 2007, ISBN -10: 0849372488)に基づくことができる。
 脂肪塊組成物全体に対する、界面活性剤の含有量は、0.05質量%以上2質量%以下であることが好ましく、0.10質量%以上1質量%以下であることがより好ましい。
(陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーを含有するゲル)
 脂肪塊組成物は、陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーを含有するゲルを含むことが好ましい。
 ゲルとは、少なくとも、水及び陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーを含有し、弾性固体としての挙動を示すものを指す。
 脂肪塊組成物がゲルを含有することで、粒状体同士が適度に距離を有した状態をより維持しやすくなる。そのため、加熱調理時において、粒状体から油脂がより漏出しにくくなる。それに伴い、加熱調理後の脂肪塊組成物を噛んだ際において油脂の放出量がより多くなりやすい。
 ゲルは、少なくとも陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマー、及び水を含有することが好ましく、必要に応じて陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマー、及び水以外のその他の添加剤を含有することが好ましい。
 ゲルに含有される陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーは、既述の陽イ
オンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーが適用される。
 ゲルに含有される水としては、食品に利用可能な水であればよく、特に限定はない。
 ゲルに含有されるその他の添加剤としては、調味料、酸味料、苦味料、香辛料、甘味料、酸化防止剤、着色料、発色料、香料、安定剤、保存料等が挙げられる。
 ゲル中における陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量は、ゲル全体に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上5質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上3質量%以下であることが更に好ましい。
 ゲル中におけるその他の添加剤の含有量は、ゲル全体に対して、0質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
 粒状体の体積に対する、ゲルの体積は、10%以上300%以下であることが好ましく、30%以上200%以下であることがより好ましく、50%以上150%以下であることが更に好ましい。
 粒状体の体積に対する、ゲルの体積は以下の通り測定を行う。
 まず、脂肪塊組成物の体積を、レーザー体積計を用いて測定する。レーザー体積計としては、例えば、キーエンス製VL-300が使用可能である。
 その後、粒状体の平均粒径の測定手順にて記載した手順にて脂肪塊組成物から粒状体を回収し、回収した粒状体を50℃条件下で1時間静置することで粒状体を合一した後、体積計にてその体積を測定する。体積計としては、例えばメスシリンダーが使用可能である。
 粒状体の体積に対する、ゲルの体積は、以下の式より求める。
 式:粒状体の体積に対する、ゲルの体積=[(脂肪塊組成物の体積(m)-粒状体の体積(m))/脂肪塊組成物の体積(m)]×100
(液体漏出量比)
 厚さ2mm、縦の長さ:横の長さの比=1:1、かつ2gの脂肪塊組成物を90℃のホットプレートで5分間加熱した後、加熱後の脂肪塊組成物の表面から厚さ方向に200g/cmの圧力で1分間加圧した場合において、加熱前の脂肪塊組成物に含有される油脂の量に対する、加熱後の脂肪塊組成物の加圧時に加熱後の脂肪塊組成物から放出された液体の量(以下、単に「加圧時の液体漏出量比-1」とも称する)が30質量%以上であることが好ましい。
 厚さ2mm、縦の長さ:横の長さの比=1:1、かつ2gの脂肪塊組成物を90℃のホットプレートで5分間加熱した後、加熱後の脂肪塊組成物の表面から厚さ方向に300g/cmの圧力で1分間加圧した場合において、加熱前の前記脂肪塊組成物に含有される油脂の量に対する、加熱後の脂肪塊組成物の加圧時に加熱後の脂肪塊組成物から放出された液体の量(以下、単に「加圧時の液体漏出量比-2」とも称する)が30質量%以上であることがより好ましい。
 加圧時の液体漏出量比-1及び加圧時の液体漏出量比-2を30質量%以上とすることで、噛んだ際における油分の放出量がより多い脂肪塊組成物となりやすい。
 噛んだ際における油分の放出量が更に多い脂肪塊組成物とする観点から、加圧時の液体漏出量比-1及び加圧時の液体漏出量比-2は、40質量%以上90質量%以下とすることがより好ましい。
 以下に、加圧時の液体漏出量比-1及び加圧時の液体漏出量比-2(以下、加圧時の液体漏出量比-1及び加圧時の液体漏出量比-2をまとめて「加圧時の液体漏出量比」とも称する)の測定手順について詳細に説明する。
・測定手順の概要
 加圧時の液体漏出量比の測定手順は、(1)試験片の切り出し工程、(2)乾燥工程(3)加熱工程、及び(4)加圧工程の4つの工程を経る。
 そして、加圧時の液体漏出量比の算出は(2)乾燥工程において算出される「処理前の試験片に含まれる油脂の量」及び(4)加圧工程において算出される「加圧時の液体漏出量」を用いて以下の式によって行う。
 式:(「加圧時の液体漏出量」÷「処理前の試験片に含まれる油脂の量」)×100
・測定手順の具体的な説明
 以下に、加圧時の液体漏出量比の測定手順について具体的に説明する。
(1)試験片の切り出し工程
 脂肪塊組成物から、厚さ2mm、縦の長さ:横の長さの比=1:1、かつ2gの脂肪塊組成物(以下、試験片とも称する)を2つ切り出す。
(2)乾燥工程
 2つの試験片のうち1つを80℃オーブン(オーブンは、DG400 ヤマト科学製)で2日間乾燥させた後、質量を秤量する。試験片の初期質量(つまり2g)からの質量の変化量が試験片に含有される水分量にあたる。そして、算出した水分量から、試験片に含まれる界面活性剤及び陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量を算出する。試験片の初期質量と、算出した水、界面活性剤及び陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量と、の差[すなわち、試験片の初期質量-(水の含有量+界面活性剤の含有量+陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量)]を算出し、その差の値を「処理前の試験片に含まれる油脂の量」とする。
(3)加熱工程
 次に、2つの試験片のうち残りの1つをスライドガラス(S2441 松浪硝子工業製)に乗せる。この時、試験片の厚さ方向をスライドガラス表面と垂直となる様にする。スライドガラスを介してホットプレート(DP-1S AS ONE製)にて90℃、5分間加熱する。加熱した試験片の表面をキムワイプ(登録商標、日本製紙クレシア製。以下同様とする。)によりふき取る。この時、ふき取り前後のキムワイプの質量が変化しなくなるまでふき取る。ここで、ふき取り後の試験片を「加熱後の試験片」と称する。その後、加熱後の試験片の質量を秤量する。試験片の初期質量(つまり2g)との差(すなわち、試験片の初期質量-ふき取り後の試験片の質量)を算出し、その差分を「加熱時の液体漏出量」とする。
(4)加圧工程
 続いて、加熱後の試験片の表面から厚さ方向に1分間加圧する。このとき、加圧時の液体漏出量比-1の測定においては200g/cmの圧力で1分間加圧する(例えば、加熱後の試験片の表面に25mm角、200gのSUS製錘を乗せ、1分間静置する)。一方、加圧時の液体漏出量比-2の測定においては300g/cmの圧力で1分間加圧する(例えば、加熱後の試験片の表面に25mm角、1875gのSUS製錘を乗せ、1分間静置する)。加圧した試験片の表面をキムワイプによりふき取る。この時、ふき取り前後のキムワイプの質量が変化しなくなるまでふき取る。ここで、ふき取り後の試験片を「加圧後の試験片」と称する。加圧後の試験片の質量を秤量し、加熱後の試験片の質量と、加圧後の試験片の質量と、の差(加熱後の試験片の質量-加圧後の試験片の質量)を算出し、その差分を「加圧時の液体漏出量」とする。
 そして、(「加圧時の液体漏出量」÷「処理前の試験片に含まれる油脂の量」)×100を算出して得られた値を「加圧時の液体漏出量比」とする。
 なお、後述の実施例にて算出した「加熱時の液体漏出量比」は、(「加熱時の液体漏出量」÷「処理前の試験片に含まれる油脂の量」)×100を算出して得られた値とする。
(脂肪塊組成物の形状)
 脂肪塊組成物の形状は特に限定されないが、脂肪塊組成物を噛んだ際における油分の放出量を増加する観点から、シート状であり、かつ厚さが0.5mm以上であることが好ましい。
 ここでシート状であるとは、縦横の長さに対して厚さが薄い形状を意味する。
 使用方法によるが、脂肪塊組成物を噛んだ際における油分の放出量をより増加する観点
から、シート状の脂肪塊組成物の厚さは、1mm以上とすることがより好ましい。
 脂肪塊組成物の製造のしやすさの観点から、シート状の脂肪塊組成物の厚さは、50mm以下とすることがより好ましく、10mm以下とすることが更に好ましく、5mm以下とすることが更に好ましい。
 シート状の脂肪塊組成物の厚さの測定は、非接触式の厚み計で行う。
 厚み計としては、例えば、コムス株式会社製、品名TAP-2H-50XYが使用可能である。
(脂肪塊組成物の製造方法)
 脂肪塊組成物の製造方法は、
 (1)水溶液中に油脂を含有する液滴を形成する工程(液滴形成工程)と、
 (2)上記液滴中の油脂を固化し、固化した油脂を含有する粒子を得る工程(油脂固化工程)と、
 (3)上記粒子に対して、可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液及び陽イオンを含有する水溶液を添加し、可食性のイオン架橋性ポリマーを架橋する工程(架橋工程)と、
 を有することが好ましい。
(1)液滴形成工程
 水溶液中に油脂を含有する液滴を形成する方法としては、水溶液中に油脂を分散する方法が挙げられる。
 水溶液中に油脂を分散する方法としては、水溶液及び油脂を乳化機により乳化する方法が好ましい。
 なお、油脂は融点が0.1℃以上のものを適用する。
 乳化機としては、例えば、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の撹拌羽根を備えた回転式攪拌機、スタティックミキサー等の静止型混合器、ホモジナイザー、クレアミックス等のローター・ステーター型乳化機、磨砕機能を備えたミル型乳化機、マントンゴーリン式圧力乳化機等の高圧乳化機、高圧下でキャビテーションを発生させる高圧ノズル型乳化機、マイクロフルイダイザー等の高圧下で液同士を衝突させることによりせん断力を与える高圧衝突型乳化機、超音波でキャビテーションを発生させる超音波乳化機、細孔を通して均一乳化を行う膜乳化機等が例示される。
 油脂を含有する液滴の粒径の均一性向上の観点から、乳化機としては、膜乳化機を用いることが好ましい。
 膜乳化機を用いて乳化する場合、乳化方法は、直接膜乳化法、又は透過膜乳化法のいずれであってもよいが、直接膜乳化法であることが好ましい。
 膜乳化機が備える多孔質膜としては、例えば、SPG(Shirasu Porous
 Glass:シラス多孔質ガラス)膜が好適である。SPG膜はたとえばSPGテクノ株式会社から購入することができる。
 膜乳化機を用いた乳化方法としては、例えば、水及び界面活性剤を含有する水溶液に対して、多孔質膜を介して油脂を分散する方法が好ましい。
 乳化に用いる水溶液と、油脂と、の質量比(水溶液の質量/油脂の質量)は、10/1以上2/1以下とすることが好ましい。
(2)油脂固化工程
 液滴中の油脂を固化し、固化した油脂を含有する粒子を得る方法としては、例えば、油硬化剤を用いて硬化する方法、油脂を含有する液滴を冷却する方法などが挙げられるが、
噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物を得る観点から、油脂を含有する液滴を冷却する方法が好ましい。
 油脂を含有する液滴を冷却する方法としては、例えば、(1)水溶液中に油脂を含有する液滴を形成する工程によって得られる油脂を含有する液滴を含む水溶液を、冷蔵庫などを用いて冷却する方法が挙げられる。
 冷却温度としては、0℃を超え油脂の融点以下とすることが好ましい。
 冷却時間としては特に限定されず、液滴が含有する油脂が固化するまで行うことが好ましい。
 冷却後、固化した油脂を含有する粒子が溶液の上澄みに集まることがあり、その場合、粒子を含有する上澄みを回収することが好ましい。そして、回収した粒子を含有する上澄みを用いて下記架橋工程を行うことが好ましい。
 粒子を含有する上澄みを回収する方法としては、例えば、分液漏斗を用いて粒子を含有する上澄み以外の水溶液を排出する方法が挙げられる。
 油脂固化工程によって得られる粒子を含有する水溶液中の油脂の含有量は、溶液全体に対して、40質量%以上90質量%以下とすることが好ましい。
(3)架橋工程
 油脂固化工程により得られる粒子に対して、可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液及び陽イオンを含有する水溶液を添加し、可食性のイオン架橋性ポリマーを架橋する工程である。
 架橋工程は、具体的には、油脂固化工程によって得られる粒子を含有する水溶液に対して、可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液を添加し、撹拌した後、続いて陽イオンを含有する水溶液を添加して可食性のイオン架橋性ポリマーを架橋する方法が挙げられる。
 可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液中における、可食性のイオン架橋性ポリマーの含有量は、水溶液全体に対して、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
 可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液の添加量としては、油脂固化工程によって得られる粒子を含有する水溶液の質量に対して、50質量%以上200質量%以下であることが好ましい。
 陽イオンを含有する水溶液としては、陽イオンを含む塩を溶解する水溶液が挙げられる。
 陽イオンを含む塩を溶解する水溶液中における、塩の含有量は、水溶液全体に対して、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
 陽イオンを含有する水溶液の添加量としては、可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液の添加量に対して、50質量%以上200質量%以下であることが好ましい。
<代替肉>
 代替肉は、タンパク質を含む赤身様部分と、脂肪塊組成物と、を含むことが好ましい。
 ここで、脂肪塊組成物としては、既述の脂肪塊組成物が適用される。
(赤身様部分)
 赤身様部分とは、生肉様代替肉中の、赤身に見える部分に相当する部分を指す。
 赤身様部分は、タンパク質を含有し、必要に応じて、油脂、結着剤、及びその他の添加剤を含有することが好ましい。
-タンパク質-
 赤身様部分は、タンパク質を含有する。
 タンパク質は、植物性タンパク質及び動物性タンパク質の少なくとも1種を含有することが好ましく、植物性タンパク質を含有することがより好ましい。
 植物性タンパク質とは、植物から採取されるタンパク質である。
 植物性タンパク質としては、植物から採取されるタンパク質であれば特に限定されない。植物性タンパク質の由来としては、例えば、小麦、大麦、オーツ麦、米、トウモロコシ等の穀類;大豆、えんどう豆、小豆、ひよこ豆、レンズ豆、そら豆、緑豆、ハウチワ豆等の豆類; アーモンド、落花生、カシューナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツ、マカデミアンナッツ、アマニ、ゴマ、菜種、綿実、サフラワー、向日葵等の種実類;じゃがいも、さつまいも、山のいも、きくいも、キャッサバ等のいも類;アスパラガス、アーティチョーク、カリフラワー、ブロッコリー、枝豆等の野菜類;バナナ、ジャックフルーツ、キウイフルーツ、ココナッツ、アボカド、オリーブ等の果実類;マッシュルーム、エリンギ、しいたけ、しめじ、まいたけ等のきのこ類;クロレラ、スピルリナ、ユーグレナ、のり、こんぶ、わかめ、ひじき、てんぐさ、もずく等の藻類等が挙げられる。これらの中でも、塊肉に似た外観及び食感を有する代替肉を得る観点から、食部タンパク質の由来としては、小麦、大豆、えんどう豆、及び米からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、大豆及び小麦からなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
 植物性タンパク質は、1種の植物由来のタンパク質を含有してもよいし、2種以上の植物由来のタンパク質を含有してもよい。
 動物性タンパク質とは、動物から採取されるタンパク質である。
 動物性タンパク質としては、動物から採取されるタンパク質であれば特に限定されない。動物性タンパク質としては、例えば、コラーゲン、ゼラチン、ケラチン、フィブロイン、セリシン、カゼイン、コンキオリン、エラスチン、プロタミン、卵黄タンパク質、卵白タンパク質等が挙げられる。
 動物性タンパク質は、1種のみを含有してもよいし、2種以上含有してもよい。
 より畜肉に近い食感を有する代替肉を得る観点から、タンパク質は筋肉様の組織を有していることが好ましい。
 ここで筋肉様の組織とは、繊維の束に類似した構造を有し、一定の方向に繊維状に割くことができる組織をいう。
 畜肉の赤身は筋肉に由来する。そして筋肉は、筋繊維の束により構成される。よって畜肉の赤身は繊維の束のような構造を有している。本開示に係る代替肉の赤身様部分が含有するタンパク質が、筋肉様の組織を有することで、畜肉を食した際に感じられる筋繊維の存在によってもたらされる食感の演出が可能となる。
 タンパク質が筋肉様の組織を有するようにする方法としては、タンパク質(必要に応じて、タンパク質と共に水等を添加してもよい)を押出機によって押出成形する方法が挙げられる。
 タンパク質を押出成形することで、タンパク質は押出機の押出方向に沿った繊維の束に類似した構造を有し、押出機の押出方向に繊維状に割くことができる組織を有する。
 タンパク質の含有量は、赤身様部分全体に対して、50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、70質
量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
-油脂-
 赤身様部分は、油脂を含有してもよい。
 油脂としては、植物性油脂、動物性油脂などが挙げられる。
 植物性油脂としては、脂肪塊組成物の説明において述べたものと同一のものが挙げられる。
 動物性油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、ラード、鯨脂、魚油などが挙げられる。
-結着剤-
 赤身様部分は、必要に応じて結着剤を含有することが好ましい。
 赤身様部分が結着剤を含有することで、赤身様部分が一つのまとまった形状を維持しやすくなる。
 結着剤としては、可食性であり、かつ赤身様部分の形状を維持できるものであれば特に限定されない。
 結着剤としては、例えば、タンパク質、増粘多糖類、澱粉等が挙げられる。
 結着剤として用いられるタンパク質は、赤身様部分に含有されるタンパク質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
 結着剤として用いられるタンパク質としては、例えば、植物性タンパク質、動物性タンパク質、酵素などが挙げられる。
 結着剤として用いられる植物性タンパク質としては、例えば、小麦、大豆、米などを由来とするタンパク質が挙げられる。
 結着剤として用いられる動物性タンパク質としては、例えば、乳タンパク質、卵白などが挙げられる。
 酵素としては、例えば、トランスグルタミナーゼなどが挙げられる。
 増粘多糖類としては、例えば、カラギナン、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、カードラン、グアガム、トラガントガム、アラビアガム、ジェランガム、タマリンドシードガム、カシアガム、タラガム、アルギン酸、寒天、グルコマンナン、大豆多糖類、ゼラチン、プルラン、サイリウム、キトサン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等が挙げられる。
 澱粉としては、例えば、小麦澱粉、キャッサバ澱粉、米澱粉、もち米澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、馬鈴薯澱粉、葛澱粉、蓮根澱粉、緑豆澱粉、甘藷澱粉、ワキシー馬鈴薯澱粉、ワキシーキャッサバ澱粉、ワキシー小麦澱粉等が挙げられる。
 ここで、結着剤としてはトランスグルタミナーゼを用いることが好ましい。
 トランスグルタミナーゼは市販品を用いることができ、例えば、味の素株式会社製 アクティバ(登録商標)シリーズが挙げられる。
 赤身様部分に含有される結着剤の含有量は、赤身様部分全体に対して、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
-その他の添加剤-
 赤身様部分は必要に応じて、タンパク質、油脂及び結着剤以外のその他の添加剤を含有することが好ましい。
 その他の添加剤としては、例えば、水、調味料、酸味料、苦味料、香辛料、甘味料、酸化防止剤、着色料、発色料、香料、安定剤、保存料等が挙げられる。
 その他の添加剤の含有量としては、0質量以上20質量%以下であることが好ましい。
<代替肉の製造方法>
 代替肉の製造方法としては、赤身様部分と、脂肪塊組成物と、を接触させる工程(第1工程)と、結着剤を用いて固定する工程(第2工程)と、を含むことが好ましい。
(赤身様部分の製造方法)
 本開示に係る代替肉の製造方法は、以下の通り行うことが好ましい。
 赤身様部分を製造する手順の例としては、下記手順が挙げられる。
 手順(1-1)少なくともタンパク質を含有する赤身様部分の原料を押出機から押し出し、押し出された赤身様部分の原料を赤く着色した後、畜肉の赤身肉の形状に似た形状に成型する。
 手順(1-2)市販の大豆肉を赤色の着色剤で着色し、着色した代替肉を畜肉の赤身肉の形状に似た形状に成型する。
 手順(1-3)少なくともタンパク質、及び着色剤を含有する赤身様部分の原料を押出機から押し出し、押し出された赤く着色した赤身様部分を塊肉の赤身肉の形状に似せた形状に成形する。
 手順(1-4)赤く着色した市販の大豆肉を、塊肉の赤身肉の形状に似せた形状に成形する。
 以下に上記手順(1-1)~手順(1-4)の手順について詳細に説明する。
-手順(1-1)-
・赤身肉様部分の原料
 赤身様部分の原料としては、少なくともタンパク質を含有するが、押出機からの赤身様部分の原料の押し出し効率化の観点から、水も含有することが好ましい。
 赤身様部分の原料としては、タンパク質10質量部に対して水を2質量部以上6質量部以上含有することが好ましい。
・押出条件
 押出機は、特に限定されず、公知の単軸スクリュー押出機、非噛み合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、噛み合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、および、噛み合い型同方向回転二軸スクリュー押出機を用いることができる。
 押出機のバレル温度は、バレル前半部(赤身様部分の原料供給部から、バレル中央までの部分)の温度を60℃以上100℃以下とすることが好ましく、バレル中央(バレルの軸方向長さ中央)の温度を90℃以降170℃以下とすることが好ましく、バレル後半部(バレル中央からバレルの先端までの部分)の温度を140℃以上180℃以下とすることが好ましい。
 押出機は、バレルの先端にダイを装着していることが好ましい。
 ダイはシート状の押出物が得られるダイであることが好ましい。
 ダイの吐出口の隙間(リップクリアランス)は1mm以上10mm以下であることが好ましい。
 ダイの長さは、30mm以上100mm以下であることが好ましい。
 ダイは冷却ダイであることが好ましい。ここで冷却ダイとは、例えば冷却液(水またはグリコールなど)の循環により冷却されるダイをいう。
 冷却ダイを用いることで、押し出された赤身様部分の原料の膨化が抑制されやすくなる。そのため、冷却ダイを用いて押し出された赤身様部分の原料を用いて製造した赤身様部分は繊維質となりやすい。
 冷却ダイを用いる場合、冷却ダイの吐出口の温度を90℃以上120℃以下とすることが好ましい。
・成形
 押し出された赤身様部分の原料は、必要に応じて、切断して使用することが好ましい。
 塊肉に似た外観を有する代替肉とする観点からは、例えば、押し出された赤身様部分の原料の押出方向の長さを10mm以上50mmの長さとし、押出方向と直交する方向の長さを2mm以上8mm以下とすることが好ましい。
 押し出された赤身様部分の原料は、着色剤を用いて赤く着色することが好ましい。
 着色剤としては、可食性かつ赤色の着色剤であることが好ましい。
 着色剤としては、例えば、天然ビーツ赤色色素等が挙げられる。
 押し出された赤身様部分の原料に対して、結着剤を添加することが好ましく、必要に応じて調味料を添加してもよい。
 押し出された赤身様部分の原料を塊状に集めて、畜肉の赤身肉の形状に似た形状に成型することで、代替肉の赤身様部分を製造する。
 より畜肉に近い食感を有する代替肉を得る観点から、押し出された赤身様部分の原料を塊状に集める際、押し出された赤身様部分の原料の押出方向をそれぞれ同一に近い方向にそろえることが好ましい。
-手順(1-2)-
 赤身様部分を製造する手順としては、市販の大豆肉を赤色の着色剤で着色し、着色した代替肉を畜肉の赤身肉の形状に似せた形状に成型する手順であってもよい。
 大豆肉とは、大豆由来の植物性タンパク質を含む原料を用いて人工的に製造される食材であり、畜肉に近い食感を有する物を指す。
 大豆肉は、必要に応じて、切断して使用することが好ましい。
 畜肉に似た外観を有する代替肉とする観点からは、例えば、大豆肉の縦幅を10mm以上50mmとし、横幅を2mm以上8mm以下とし、厚さを1mm以上5mm以下の寸法とすることが好ましい。
 また、一般的に市販の大豆肉は、大豆由来の植物タンパク質を含む原料を押出機から押し出し、膨化させることで得られる。そのため、市販の大豆肉は筋肉様の組織を有していることが一般的である。そのため、大豆肉の寸法を調整する際、大豆肉の有する筋肉様の組織が有する繊維の束に類似した構造に沿って割くことで調整することが好ましい。
 大豆肉は、着色剤を用いて赤く着色することが好ましい。
 着色剤としては、手順(1-1)において挙げたものと同様の着色剤が挙げられる。
 また、大豆肉に対して、結着剤を添加することが好ましく、必要に応じて調味料を添加してもよい。
 塊状に集めて、畜肉の赤身肉の形状に似た形状に成型することで、代替肉の赤身様部分を製造する。
 より畜肉に近い食感を有する代替肉を得る観点から、大豆肉を塊状に集める際、大豆肉の有する筋肉様の組織が有する繊維の束に類似した構造の方向をそれぞれ同一に近い方向にそろえることが好ましい。
-手順(1-3)-
 着色剤を押出成形後の赤身様部分の原料に添加することに代えて、押出成形前の赤身様
部分の原料に着色剤を添加するようにすること以外は、手順(1-1)と同様に赤身様部分を製造することが好ましい。
-手順(1-4)-
 市販の大豆肉を着色剤で着色することに代えて、あらかじめ赤く着色された大豆肉を用いること以外は、手順(1-2)と同様に赤身様部分を製造することが好ましい。
(第1工程)
 第1工程は、赤身様部分と、脂肪塊組成物と、を接触させる工程である。
 赤身様部分と、脂肪塊組成物と、を接触させる方法としては、特に限定されないが、例えば、図1の様なステーキ肉に似た外観を有する代替肉を製造する場合、赤身様部分をステーキ肉の赤身に似た形状に成型し、脂肪塊組成物をステーキ肉の脂身に似た形状に成型した後、赤身様部分及び脂肪塊組成物を接触させることが好ましい。
(第2工程)
 第2工程は、第1工程で得られた赤身様部分と、脂肪塊組成物と、の接触体を結着剤を用いて固定する工程である。
 上記接触体を固定する方法としては、例えば、結着剤を上記接触体全体にまぶした後、静置する方法が挙げられる。
 ここで結着剤としては、既述のものが適用可能であるが、酵素であることが好ましく、トランスグルタミナーゼであることがより好ましい。
 以上の工程を経て代替肉が製造されることが好ましい。
 以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
<実施例1>
(1)液滴形成工程
 以下の通り、水相及び油相を用意した。
 水相:水道水99.5質量部、界面活性剤としてリョートーシュガーエステル M-1695 (三菱ケミカル製) 0.5質量部を、合計5kgとなるよう秤量し、スリーワンモーター(新東科学製)にて30分間攪拌し、完全に溶解させた。
 油相:油脂としてココナッツ油(COCOWELL製、品名:有機プレミアムココナッツオイル(M041))を1kg秤量した。
 水相を連続相、油相を分散相として、パイプ状SPG膜(SPGテクノ製、細孔径50μm)を用いて膜乳化を行った。具体的には、管状の容器内にパイプ状SPG膜を挿入して配置し、容器の一端から他端に向けて、パイプ状SPG膜の内側(内管路)に水相を流量50mL/minで流し、パイプ状SPG膜の外側(外管路(容器とSPG膜との間の流路))に油相を流量10mL/minで流した。
 この結果、油脂を含有する液滴を含む水溶液(以下、液滴分散液とも称する)を得た。なお、油脂を含有する液滴の粒径は190μm、CV値は19%であった。
 ここで、油脂を含有する液滴の粒径及びCV値は、既述の粒状体の平均粒径及び粒状体の粒径のCV値の測定と同様にして測定した。
(2)油脂固化工程
 液滴分散液を分液漏斗に加えた後、30分間静置を行った。液滴分散液が、油脂を含有する液滴を含む相と、水相とに分離したため、水相を分液漏斗から排出し、油脂を含有す
る液滴を含む相を回収した。
 回収した油脂を含有する液滴を含む相を、庫内の温度を5℃とした冷蔵庫中に1時間静置し冷却し、油脂の固化を行い、粒子を含有する水溶液(以下、粒子含有液とも称する)を得た。
(3)架橋工程
 可食性のイオン架橋性ポリマーとしてアルギン酸ナトリウム(キミカ社製、キミカアルギンI-1)1質量部、界面活性剤としてリョートーシュガーエステル M-1695 (三菱ケミカル製)0.5質量部、及び水道水98.5質量部を混合し可食性のイオン架橋性ポリマーを含有する水溶液(以下、イオン架橋性ポリマー溶液とも称する)を得た。
 イオン架橋性ポリマー溶液100質量部に対して、粒子含有液100質量部を添加し、撹拌機(スリーワンモーター、ヤマト科学社製)でゆっくり撹拌を行い、得られた溶液(粒子含有液2とする)をステンレスバットに溶液の厚みが3mmとなるように流し込んだ。
 陽イオンを含む塩として塩化カルシウム(富士フイルム和光純薬社製、食品添加物グレード)1質量部を水道水99質量部に溶解し、陽イオンを含有する水溶液を調整した。ステンレスパッドに含まれる粒子含有液2と同質量の陽イオンを含有する水溶液を、ステンレスパッドに流し込み、庫内の温度を5℃とした冷蔵庫中に2時間静置し可食性のイオン架橋性ポリマーを架橋(ゲル化)し、粗脂肪塊組成物を得た。
 粗脂肪塊組成物を水道水で洗浄した後、表面の水分をキムタオルでふき取ることで、脂肪塊組成物を得た。
<実施例2~4>
 (1)液滴形成工程において、パイプ状SPG膜の細孔径、並びに、水相及び油相の流量を表1の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<実施例5~7>
 (1)液滴形成工程及び(3)架橋工程において使用する界面活性剤の種類を、表1に記載の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<実施例8~11>
 (3)架橋工程においてイオン架橋性ポリマー溶液の添加量を下記の通りに変更することで粒状体の体積に対する、ゲルの体積を表1及び表2の通りに調整したこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
 実施例8:7質量部
 実施例9:21質量部
 実施例10:250質量部
 実施例11:400質量部
<実施例12、13>
 (1)液滴形成工程において、水相及び油相の流量を表2の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<実施例14>
 (1)液滴形成工程において、水相及び油相を用意した後、水相及び油相を50mLガラスバイアル(ケニス製)に加え、撹拌子(直径:8mm、長さ:30mm、アズワン製)及びマグネットスターラーを用いて400rpm(revolutions per minutes)の撹拌速度で30秒間撹拌して液滴分散液を得たこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<実施例15、16>
 (1)液滴形成工程及び(3)架橋工程において使用する界面活性剤の添加量を、下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
(実施例15の界面活性剤の添加量)
 (1)液滴形成工程:0.1質量部
 (3)架橋工程  :0.1質量部
(実施例16の界面活性剤の添加量)
 (1)液滴形成工程:2質量部
 (3)架橋工程  :2質量部
<実施例17~20>
 (1)液滴形成工程において油相として用いる油脂を、表2の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
 なお、油脂の詳細については以下の通りである。
・オリーブ油:富士フイルム和光純薬製
・パーム油:富士フイルム和光純薬製
・キャノーラ油:日清オイリオ製、品名:日清キャノーラ脂
・オレイン酸:富士フイルム和光純薬製
<実施例21、22>
 (3)架橋工程において、イオン架橋性ポリマー溶液を以下の通りに調製したこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
(実施例21のイオン架橋性ポリマー溶液調製手順)
 可食性のイオン架橋性ポリマーとしてアルギン酸ナトリウム(キミカ社製、キミカアルギンI-1)0.2質量部、界面活性剤としてリョートーシュガーエステル M-1695 (三菱ケミカル製)0.5質量部、及び水道水99.3質量部を混合して調製した。
(実施例22のイオン架橋性ポリマー溶液調製手順)
 可食性のイオン架橋性ポリマーとしてアルギン酸ナトリウム(キミカ社製、キミカアルギンI-1)3質量部、界面活性剤としてリョートーシュガーエステル M-1695 (三菱ケミカル製)0.5質量部、及び水道水96.5質量部を混合して調製した。
<実施例23>
 (1)液滴形成工程において油相の調製を以下の通りとした乳化物としたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
 油相:溶液全体に対して20質量%のハイミー(味の素社製)を含有する水溶液20質量部を、油脂であるココナッツ油80質量部に添加し、合計1kgの混合溶液とした。その後、この混合溶液をスリーワンモーター(新東科学製)にて30分間攪拌し乳化することで乳化物とした。
<実施例24>
 (3)架橋工程において添加する可食性のイオン架橋性ポリマーの種類をLMペクチン(三晶製SLENDID(登録商標) speciality pectin 100J)としたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<比較例1>
 特許第6446473号公報の実施例1と同一の手順にて脂肪塊組成物を得た。
<比較例2>
 特許第6265121号公報の実施例1と同一の手順にて脂肪塊組成物を得た。
<比較例3>
 (1)液滴形成工程において油相として用いる油脂を、表3の通りとしたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
 なお、油脂の詳細については以下の通りである。
・ひまし油:富士フイルム和光純薬製
<比較例4、5>
 (1)液滴形成工程において、パイプ状SPG膜の細孔径、並びに、水相及び油相の流量を表3の通りにしたこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<比較例6>
 (3)架橋工程において、アルギン酸ナトリウムの替わりにゼラチンを使用し、陽イオンを含有する水溶液の替わりに水道水をステンレスパッドに流し込んだこと以外は実施例1と同様にして脂肪塊組成物を得た。
<各種測定>
 各例で得られた脂肪塊組成物について、「厚さ」、「粒状体の平均粒径」、「粒状体の粒径のCV値」、「粒状体の体積に対する、ゲルの体積」、「加熱時の液体漏出量比」、及び「加圧時の液体漏出量比」を既述の方法に従って測定した。
 なお、「加圧時の液体漏出量比」は、加圧時の液体漏出量比-2の測定結果を示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表中の用語について以下に説明する。
・界面活性剤の種類の次に記載された括弧内の数値
 (1)液滴形成工程及び(3)架橋工程における界面活性剤の添加量を示す。
 例えば、実施例1は「リョートーシュガーエステル M-1695(0.5質量部)」と記載されている。これは、(1)液滴形成工程において添加されるリョートーシュガー
エステル M-1695の量が0.5質量部であり、(3)架橋工程において添加されるリョートーシュガーエステル M-1695の量が0.5質量部である。
・アルギン酸ナトリウム濃度について
 (3)架橋工程における、アルギン酸ナトリウムの添加量を示す。なお、アルギン酸ナトリウムをアルギン酸ナトリウム以外のポリマー(具体的にはLMペクチン、ゼラチン)に替えている例については、ポリマーの種類についても示す。
・その他の乳化法
 (1)液滴形成工程において、膜乳化以外の方法で液滴分散液を得た場合、乳化条件の概要を示す。
<実施例101>
 以下の手順により、代替肉を作製した。
(赤身様部分の原料の作成)
 昭和フレッシュRF(昭和産業社製、脱脂大豆粉)とPRO-グル65(鳥越製粉社製、小麦グルテン粉)を質量比(脱脂大豆粉/小麦グルテン粉)で7:3として混ぜ合わせ、赤身様部分の原料前駆体を得た。スクリュー長が1100mmでスクリュー先端部の最高温度が155℃になるよう設定した2軸スクリュー押出機の吐出部に、出口温度が105℃になるよう冷却ダイ(ダイ幅:100mm、リップクリアランス:3mm)を取り付けた。250g/minで赤身様部分の原料前駆体を押出機に導入し、赤身様部分の原料前駆体全体に対して50質量%の水を押出機に加えながら赤身様部分の原料前駆体を押出し、赤身様部分の原料を得た。
(代替肉の作製)
 300gの赤身様部分の原料を3Lの沸騰水で10分間茹で、水気を切った。5mm程度の太さの短冊状になるように裂き、塩コショウ及びハイミー(味の素社製)で味付け、ナツメグにて香り付けを行い、短冊状タンパク1を得た。4℃に冷却した短冊状タンパク1にスーパーカード(味の素社製トランスグルタミナーゼ)30g及びフジプロFR(不二製油社製大豆粉)30gを添加し、均等になるよう混ぜ合わせ、代替肉前駆体1を得た。実施例1で得られた脂肪塊組成物を2mm程度の太さの短冊状に切り、短冊状脂肪塊組成物1を得た。4℃に冷却した代替肉前駆体1を、繊維方向(赤身様部分の原料の押出方向)がそろう様に並べて重ね合わせながら、4℃に冷却した短冊状脂肪塊組成物1を加え、ブロック肉様になるように形を整えた。このとき短冊状脂肪塊組成物1はステーキ様の代替肉の表面が霜降り肉様になる様にした。その後、2時間、4℃にて圧力を加え続けて成形し、粗代替肉を得た。粗代替肉を、粗代替肉中の短冊状脂肪塊組成物1の繊維方向(赤身様部分の原料の押出方向)と垂直した方向に切断し、厚さ25mmのステーキ様の代替肉を得た。
<評価>
 得られた代替肉を200℃のホットプレートで加熱調理を行った。加熱調理後の代替肉を食したところ、代替肉を噛んだ際における脂肪塊組成物からの油分の放出が十分であり、畜肉に似た食感を有していた。
 上記結果から、本実施例の脂肪塊組成物は、比較例の脂肪塊組成物と比較して、加圧時の液体漏出量比が大きく、噛んだ際における油分の放出量が多い脂肪塊組成物であることがわかる。
 2021年7月30日に出願された日本国特許出願第2021-126192号及び2022年7月28日に出願された日本国特許出願第2022-120580号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (10)

  1.  融点が0.1℃以上である油脂を含有する粒状体と、
     陽イオンで架橋された可食性のイオン架橋性ポリマーと、を含み、
     前記粒状体の平均粒径が50μm以上500μm以下である脂肪塊組成物。
  2.  界面活性剤を含有し、
     前記イオン架橋性ポリマーと、前記界面活性剤の親水部と、のHSP距離が10以下である請求項1に記載の脂肪塊組成物。
  3.  前記イオン架橋性ポリマーを含有するゲルを含み、
     前記粒状体の体積に対する、前記ゲルの体積が10%以上300%以下である請求項1又は請求項2に記載の脂肪塊組成物。
  4.  厚さ2mm、縦の長さ:横の長さの比=1:1、かつ2gの脂肪塊組成物を90℃のホットプレートで5分間加熱した後、加熱後の前記脂肪塊組成物の表面から厚さ方向に300g/cmの圧力で1分間加圧した場合において、加熱前の前記脂肪塊組成物に含有される前記油脂の量に対する、加熱後の前記脂肪塊組成物の加圧時に加熱後の前記脂肪塊組成物から放出された液体の量が30質量%以上である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  5.  前記粒状体の粒径のCV値が30%以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  6.  前記油脂の融点が1℃以上30℃以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  7.  前記油脂がココナッツ油、オリーブ油、パーム油、キャノーラ油、及びオレイン酸から選択される少なくとも1種である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  8.  前記粒状体が水を含有する請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  9.  シート状であり、厚さが0.5mm以上である請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物。
  10.  タンパク質を含む赤身様部分と、
     請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の脂肪塊組成物と、を含む代替肉。
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