JP4298696B2 - 焼き菓子類 - Google Patents

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本発明は、液体油を含有する新規な食感を有する焼き菓子類に関する。
近年、消費者の嗜好性は多様化し、既存の概念に捕らわれない新しいタイプの食品、或はこれまでにない食感の食品が求められる傾向にあり、焼き菓子類に於いても同様に新規な食感が求められている。
従来、焼き菓子(日本ではその多くがクッキー、ビスケットと称される)においては、軽く、サクミのある食感が求められており、特にソフトクッキーと称されるものが好まれている。ソフトクッキーにおいては、油脂及び砂糖の配合比率を多くすることにより食感を軽く、サクミのあるものとしているが、一方で、口の中でダマになり、ねとつく食感となり、また粉っぽくなるという欠点があった。更に、油脂増量により型抜き性の低下が生じたり、油浸みが生じる等の製造上の問題点があり、風味及び食感上も油っぽくなっていた。
上記に対し、食用油脂、糖質、水分及び乳化剤からなる水中油型乳化物を添加する技術(特許文献1)が提案されているが作業性の問題から添加量が限定され、
その効果は充分なものではなかった。
また、多糖類等からなる増粘剤を用いた従来の技術としては、増粘剤を粉末状態にて小麦粉等に分散させて用いる技術(特許文献2、3)、増粘性多糖類を油脂に配合する技術(特許文献4)、増粘剤及び澱粉を含有し、かつ比重0.50〜0.85g/mlである油脂組成物を用いる技術(特許文献5)などが提案されているが、これら技術では焼き菓子生地調製中に増粘剤自身が吸水・凝集してしまい、分散効率が低下することにより老化防止効果が効率的に発揮されない上、増粘剤が凝集することにより良好な食感が得にくい場合があった。
一方、上記の点を改善するため、油中水型乳化組成物を含む油脂組成物中に増粘剤を分散させ、焼き菓子類に配合する技術(特許文献6)が提案されているが、油脂組成物中に水相が存在することより、増粘剤が水に接触することを防ぐことができず、効果的な改善方法とはなっていなかった。更に、増粘剤を活性剤を用いて液体油中に分散させ、パン類に配合する技術(特許文献7)が提案されているが、焼き菓子への応用はない。
特開平10−327738号公報 特開平9−224550号公報 特開平11−276081号公報 特開平11−61175号公報 特開平11−18670号公報 特開昭58−183030号公報 特許第3540313号公報
本発明が解決しようとする課題は、軽く、サクミがあり、かつ口の中でダマにならず、粉っぽくない焼き菓子類の提供にある。
本発明は、小麦粉100重量部に対して、次の成分(A)〜(D)を下記比率になるように配合し、
(A)油脂5〜72重量部
(B)保湿剤0.001〜2重量部
(C)乳化剤0.1〜6重量部
(D)糖類5〜90重量部
予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後、他の副材料及び小麦粉と混合して得られる生地を用いて、成形、焼成することにより得られる焼き菓子類を提供するものである。
本発明で使用する油脂(A)は、動物性、植物性のいずれでも良く、バター、ラード、マーガリン、ショートニングなどの可塑性を持ったもの、液状油、又はそれらに水素添加をした硬化油(固体脂)、エステル交換油等、幅広いものを用いることができる。配合量は5〜72重量部であるが、好ましくは8〜50重量部、更に10〜40重量部とすることが好ましい。
また、本発明で使用する油脂(A)は、融点25〜50℃の油脂(A1)と融点20℃以下の液体油(A2)を併用することが好ましい。
液状油や作業温度で融解してしまう油脂を練り込んだ焼き菓子生地は、作業中及びオーブン内で油浸みを生じ、製造ラインを汚染してしまう。よって、好ましい油脂の特性としては、融点として25〜50℃が必要であるが、好ましくは、27〜45℃、更に好ましくは、30〜40℃であり、室温における性状は、半固体又は固体状態である。油脂(A)中のSFC(25℃)は、5〜40%、10〜35%、15〜30%であることが好ましい。ここでSFCとは、油脂中の固体脂含量のことであり、MARAN23(レゾナンス社)にて測定した。
上記油脂には動植物油及びそれらに水素添加をした硬化油(固体脂)、エステル交換油が用いられる。
本発明の態様において用いることのできる具体的な油脂(A1)としては、動物油としては牛脂、豚脂、魚油を用いることが好ましく、植物油としては大豆油、パーム油、パーム核油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、米油等を用いることが好ましい。
油脂(A1)の小麦粉100重量部に対する配合量は、5〜55重量部であることが好ましいが、更に8 〜45重量部、特に10〜35重量部とすることが作業性及び風味の点から好ましい。55重量部を超える場合は風味において油っぽくなる傾向にある。
本発明の態様において用いることのできる融点20℃以下の液体油(A2)は、ナタネ油、コーン油、大豆油、パーム油、米油、魚油等の食用油脂の内、融点が20℃以下のものが好ましい。更に融点が10℃以下の液状油が好ましく、中でもナタネ油、コーン油、大豆油及び米油が好ましい。更に、液状油としてはジアシルグリセロール、中鎖脂肪酸を含有したトリグリセライド又はジグリセライドも上記融点条件を満たすものであれば使用できる。融点20℃以下の液体油(A2)の最適な配合量としては小麦粉100重量部に対して0.5〜17重量部であり、好ましくは1〜10重量部である。
本発明における(B)保湿剤としては、蛋白質、増粘多糖類等が挙げられる。
老化防止効果を発現するためには、保湿剤の添加量は小麦粉100重量部に対して0.001〜2重量部、好ましくは0.05〜1.0重量部である。添加量が0.001重量部未満であると充分な老化防止効果が得られず、2重量部を超えると得られる焼き菓子類の食感が低下する。
蛋白質としては水に溶解した時、粘性を呈する物質であれば良く、乳蛋白質及び植物性蛋白質等が挙げられる。乳蛋白質としてはナトリウムカゼイン、カルシウムカゼイン、レンネットカゼイン、ミルクカゼイン、ミルクホエー、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン等が挙げられる。
また、増粘多糖類としては、ジェランガム、カラヤガム、タマリンド種子ガム、タラガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グアーガム、イオタカラギナン、HMペクチン、LMペクチン、トラガントガム、結晶性セルロース、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、SSHC(水溶性大豆多糖類)、ガティガム、メチルセルロース、サイリウムシード及びカシヤガム等が挙げられる。これら蛋白質及び増粘多糖類の中から1種を単独で用いても良いし、また異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。中でも風味及び食感の点よりキサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガムが好ましく、更に好ましくはキサンタンガムである。
本発明で使用する乳化剤(C)としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、レシチン誘導体等が挙げられる。また、これらから選択された2種以上の混合系で用いられることが好ましい。
乳化剤(C)の添加量は小麦粉100重量部に対して0.1〜6重量部、好ましくは0.1〜5重量部とすることが、(1)乳化剤自身によるクリーム状組成物の泡沫安定性の観点から好ましく、また、液体油(A2)を用いた場合には、(2)粉体状態にある保湿剤(B)を液体油(A2)中に固定分散化させ、結果として焼き菓子類の食感(サクミ感、ダマになりにくさ、粉っぽくなさ)を向上させる点から好ましい。
更に、(C)乳化剤は、グリセリン脂肪酸エステルとプロピレングリコール脂肪酸エステルを用いることが、上記(1)の点から好ましい。本発明の態様において用いることのできるグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンと脂肪酸のエステル又はその誘導体であり、グリセリン脂肪酸モノエステル(通常モノグリセリドという)、グリセリン脂肪酸ジエステル、グリセリン有機酸脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等を用いることが好ましい。また、本発明の態様において用いることのできるプロピレングリコール脂肪酸エステルとは、プロピレングリコールと脂肪酸のエステルであり、モノエステル型、ジエステル型のものを用いることが好ましい。中でも、グリセリン脂肪酸モノエステル、プロピレングリコール脂肪酸モノエステルが上記(1)の点から好ましく、特に、これらを併用することが好ましい。即ち、グリセリン脂肪酸モノエステルとプロピレングリコール脂肪酸モノエステルの合計が乳化剤中80重量%以上であり、かつ、グリセリン脂肪酸エステル/プロピレングリコール脂肪酸モノエステル=1/0.5〜2の重量比率で、好ましくはほぼ1/1の重量比率であることが好ましい。また、融点20℃以下の液体油(A2)/乳化剤(C)の重量比率が6.5以下(液体油配合量を乳化剤配合量で割った値)、更に1.7〜6.5、特に2.0〜6.5、殊更3.0〜6.5とすることが、上記(2)の点から好ましい。即ち、液体油(A2)を流動性が無い状態まで硬度を持たせることが可能となり、かつ、同じ液体油中に分散されている粉体状態の保湿剤(B)を均一に、かつ、沈澱すること無く固定分散化できる。
本発明の態様において、液体油が流動性が無く硬度を有した状態の尺度として、針入度を定めることができる。
ここで、針入度とは、ASTM−D217(「ASTM針入度の測定方法」Annual Book of Standards 1994.Section 5,Volume 05.01内のD217)に記載された針入度の測定に準じて次のように測定される値である。即ち、縦115mm×横115mm×深さ90mmの容器に油脂組成物を詰め、表面を平らにする。これを測定温度(20℃)に30分間放置した後、102.5gの円錐形の荷重を装着した針(Penetrometer Cone)を、表面を接して静置し、5秒後の進入距離を0.1mm単位で表示する。ここで、針入度は一般に数値が小さいほど、測定試料が硬いことを表す。本発明において、油脂組成物が流動性が無く硬度を有する状態にあるためには、針入度が200以下、特に100以下にすることが好ましい。
また、前記(1)の点から、グリセリン脂肪酸モノエステルを用いることが特に好ましい。より効果的にクリーム状組成物の泡沫安定化効果を発現させるためには、グリセリン脂肪酸モノエステルを5〜20重量部、更に7〜15重量部配合することが好ましい。グリセリン脂肪酸モノエステルがこの範囲にあると、他の乳化剤を用いた場合に比べて焼き菓子類の生地の泡沫安定化効果が高くなる。また、前記(2)の点から、プロピレングリコール脂肪酸モノエステルの配合量は、5〜20重量部、更に7〜15重量部とすることが好ましい。
本発明の態様において用いることのできるグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルの構成成分としての脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の炭素数12〜22の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸が挙げられ、更に飽和脂肪酸が好ましく、特に炭素数14〜22の飽和脂肪酸が好ましい。これら脂肪酸は単一の種類で構成されていても良いが、2種以上の混合系で構成されていてもよい。
前述のグリセリン脂肪酸エステルの1形態として記載されているグリセリン有機酸脂肪酸モノエステルとは、グリセリン脂肪酸モノエステルの3位のOH基を有機酸でエステル化した化合物である。有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸等の低級脂肪酸で構成される脂肪族モノカルボン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、クエン酸等のオキシ酸、及びグリシン、アスパラギン酸等のアミノ酸が例示される。特に、クエン酸、コハク酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸が好適で、HLBは4〜14のものが好適である。
また、市販のグリセリン有機酸脂肪酸モノエステルは、未反応の有機酸やグリセリン脂肪酸モノエステルを一部含むが、このような市販のグリセリン有機酸脂肪酸モノエステルも本発明に使用することができる。
本発明の態様において用いることのできるポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンの具体例としては、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、ナノグリセリン、デカグリセリンなどからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げられる。特にグリセロールの重合度が1〜9のものが好ましい。
本発明の態様において用いることのできるポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルは、ポリグリセリンと縮合リシノレイン酸とのエステルであり、通常、グリセリン重合度2〜3のポリグリセリンとリシノレイン酸が3〜5の縮合リシノレイン酸とのモノもしくはジエステルの混合物が用いられる。
本発明の態様において用いることのできるショ糖脂肪酸エステルとは、ショ糖と脂肪酸のエステルであり、モノ、ジ、トリ及びポリエステル等を含み、構成脂肪酸としては炭素数12〜24の脂肪酸の単一又は2種以上の混合系が好ましい。また、HLBは5〜15のものが好適である。
本発明の態様において用いることのできるソルビタン脂肪酸エステルとは、ソルビタンと脂肪酸のエステルであり、構成脂肪酸としては炭素数12〜24の脂肪酸の単一又は2種以上の混合系が好ましい。ソルビタン脂肪酸エステルにはモノエステル型とトリエステル型のものがあるが、本発明の態様においては、モノエステル型のものが好適である。
本発明の態様において用いることのできるレシチンは、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸等によりなるリン脂質混合物であって、大豆あるいは、卵黄等から得られるレシチンが代表的なものである。また、レシチン誘導体としてはリゾレシチン、リゾフォスファチジン酸等が挙げられる。
本発明で使用する糖類(D)は、通常焼き菓子類に用いられるすべての糖類を用いることができる。具体的にはグルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、マルトース、ショ糖、麦芽糖、水飴、異性化糖、転化糖、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、デキストリンなどの多糖類、澱粉加水分解物などの還元糖、ソルビトール、マルチトール、キシリトールなどの糖アルコール類、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウムなどを使用することができ、これらは1種又は2種以上の混合系で使用することができる。
本発明品中における糖類の配合量は、小麦粉を100重量部とした時の焼き菓子生地中で5〜90重量部であるが、更に10〜80重量部、特に20〜70重量部とすることが作業性及び風味の点から好ましい。
本発明における焼き菓子類は、小麦粉100重量部に対する比率が下記になるように、(A)油脂5〜72重量部、(B)保湿剤0.001〜2重量部、(C)乳化剤0.1〜6重量部、及び(D)糖類5〜90重量部を予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後、他の副材料及び小麦粉と混合して得られる生地を用いて、成形、焼成することにより製造する。この手順により製造することにより、上記(1)の効果が得られ、また(B)保湿剤が水と接触し難く、焼き菓子類の食感(サクミ感、ダマになりにくさ、粉っぽくなさ)を向上させることができる。
本発明においては、(A2)融点20℃以下の液体油、(B)保湿剤、(C)乳化剤を事前に混合した油脂組成物(E)を予め調製し、これを小麦粉100重量部に対して1〜20重量部、(A1)融点25〜50℃の油脂5〜55重量部、(D)糖類を5〜90重量部配合し、予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後、他の副材料及び小麦粉と混合して得られる生地を用いて、成形、焼成することが好ましい。油脂組成物(E)としては、(A2)融点20℃以下の液体油50〜85重量部、(B)保湿剤0.1〜10重量部、(C)乳化剤10〜35重量部を含有し、(A2)/(C)の重量比率が6.5以下であるように調製したものが、上記(1)及び(2)の効果の点から好ましい。
また、油脂組成物中の(C)乳化剤の配合量は、(A2)/(C)の重量比率が6.5以下を満たした上で、更に14〜26重量部とすることが、上記(2)の点から好ましい。尚、このように(C)乳化剤を油脂組成物(E)として焼き菓子類中に配合する場合、更に必要量の(C)乳化剤を、油脂組成物(E)とは別個に焼き菓子中に配合することもできる。
また、本発明の態様においては、油脂組成物(E)は、(A1)融点25〜50℃の油脂、(D)糖類を配合し、予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後、他の副材料と共に配合することとしても良いが、上記(1)及び(2)の効果の点から、(A1)成分、及び(D)成分と共に配合し、クリーム状組成物を調する方法によるのが好ましい。
なお、本発明の態様における油脂組成物(E)には、その他の成分として、保存料、pH調製剤、色素、香料等を適宜使用してもよい。
具体的な油脂組成物(E)の製造方法としては、まず成分(A2)及び(C)を各成分の融点温度以上の温度で加熱し、均一溶解させた後、成分(B)を添加し、均一に混合撹拌する。上記均一になったものを上記各成分の融点以下の温度、好ましくは30℃以下まで冷却することにより目的の油脂組成物を得る。上記冷却速度は速いほうが好ましい。即ち、冷却により乳化剤が結晶化する際、徐冷よりも急冷の方がより結晶が粗大化しないことにより乳化剤自身の分散性を向上させ、老化防止効果を促進する点より好ましい。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却するの際には均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却しても良いが、一般的にショートニング、マーガリン製造に用いられるチリングマシン、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷する方が性能上好ましい。
本発明の態様において、焼き菓子類調製時に油脂組成物(E)を使用する場合の配合量は、焼き菓子類に使用する小麦粉100重量部に対して、1〜20重量部、更に3〜10重量部であることが、前記(1)及び(2)の効果を発現する点から好ましい。
本発明で使用する小麦粉とは、薄力粉が主に用いられる。一般には小麦粉の分類は小麦粉中蛋白量で定義され、薄力粉は6.5〜8%と規定される。
本発明の態様において、使用する小麦粉中のデンプン量は、小麦粉100重量部中、65〜78重量部、好ましくは68〜75重量部、更に好ましくは69〜72重量部が好ましい。
本発明における焼き菓子類の原料としては、主原料としての小麦粉の他に、副材料であるイースト、イーストフード、水、加工澱粉、乳製品、食塩、調味料(グルタミン酸ソーダ類や核酸類)、保存料、ビタミン、カルシウム等の強化剤、蛋白質、アミノ酸、化学膨張剤、フレーバー等の中から、適宜必要なものを使用することができる。更に、一般に原料として用いると老化しやすくなるレーズン等の乾燥果実、小麦ふすま、全粒粉、チョコ及びチョコレート類等を適宜使用できる。
なお、クリーム状組成物調製時に泡沫安定性に問題が無ければ適宜、食塩、水、フレーバー等を添加しても問題無い。
本発明の態様において、加工澱粉を用いることが食感(サクミ感、塊になりにくさ、粉っぽくなさ)を向上させる点から好ましい。加工澱粉の具体例としては、アセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、酢酸デンプン、酸化デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、リン酸化デンプン、リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン等が挙げられるが、デンプンから簡単な工程で、高純度で比較的安価に製造できる点、風味、食感を向上させる点から、アセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、オクテニルコハク酸化デンプンが好ましい。加工澱粉の配合量は、小麦粉100重量部に対して5〜50重量部、更に10〜40重量部、特に15〜30重量部とすることが、風味、食感(サクミ感、塊になりにくさ、粉っぽくなさ)を向上させる点から好ましい。
アセチル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりアセチル化することにより得ることができる。具体的には無水酢酸、または酢酸ビニルをデンプンに反応させることにより得ることができる。また、Z-700(タピオカ由来、日澱化学社)、さくら(タピオカ由来、松谷化学工業)、MT-01B(タピオカ由来、日本食品化工)、ADIX-H(ワキシーコーン由来、日本食品化工)、マプス#449(ワキシーコーン由来、日本食品化工)等の市販品を用いることもできる。アセチル化の程度としては、アセチル価(デンプン中の無水グルコース1残基当たりのアセチル基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5であり、更に0.01〜0.1であるのが好ましい。
ヒドロキシプロピル化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりヒドロキシプロピル化することにより得ることができる。具体的にはプロピレンオキサイドをデンプンに反応させることにより得ることができる。また、ナショナルフリジェックス(タピオカ由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、ゆり(タピオカ由来、松谷化学工業)、ナショナル1658(コーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、サームフロー(ワキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)、サームテックス(ワキシーコーン由来、ナショナルスターチアンドケミカル社)等の市販品を用いることもできる。ヒドロキシプロピル化の程度としては、置換度(デンプン中の無水グルコース1 残基当たりのヒドロキシプロピル基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.05〜0.5であり、更に0.1〜0.3であるのが好ましい。
オクテニルコハク酸化デンプンは、デンプン又は加工デンプンを通常の方法によりオクテニルコハク酸化することにより得ることができる。具体的にはオクテニルコハク酸無水物をデンプンに反応させることにより得ることができる。また、アミコール乳華(タピオカ由来、日澱化学社)等の市販品を用いることもできる。オクテニルコハク酸化の程度としては、オクテニルコハク酸価(デンプン中の無水グルコース1残基当たりのオクテニルコハク酸基の数)が0.001〜1であるのが好ましく、より好ましくは0.005〜0.5であり、更に0.01〜0.1であるのが好ましい。
また、前記加工デンプンは、それぞれ他の加工処理を組み合わせることにより別の加工デンプンとしても良い。組み合わせることのできる加工処理としては酢酸、リン酸等のエステル化処理やヒドロキシプロピル化、カルボキシメチルエーテル化等によるエーテル化処理、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、アジピン酸、エピクロルヒドリン等、常用の架橋剤を用いた架橋化処理、酸化処理、酸処理、漂白処理、湿熱処理、熱処理、酵素処理等が挙げられ、その内1種又は2種以上の加工を組み合わせても良い。中でも、エステル化処理が好ましく、リン酸化処理、特にリン酸架橋処理が好ましい。リン酸化処理の程度としては、結合リン含量が0.0001〜2%の範囲が挙げられるが、0.0001〜0.5%、更に0.0001〜0.2%であるものが風味、食感(サクミ感、塊になりにくさ、粉っぽくなさ)を向上させる点から好ましい。
本発明の焼き菓子類としては、クッキー、ビスケット等が好ましく、更に油脂及び糖の配合量の多いソフトクッキー、ソフトビスケットが好ましい。一般にソフトクッキーは小麦粉100重量部に対して油脂と糖の合計が40重量部を超える配合をいう。
本発明の態様において、焼き菓子類の製造方法としては、ロータリー、カッチングエンボス、ワイヤーカット、ルートプレスト及びデポジット等が挙げられるが、ソフトクッキー及びソフトビスケットにおいては、ロータリーが製品形状が安定である点から好ましい。
〔油脂組成物の調製〕
本発明において使用した油脂組成物a〜eの組成、及び針入度の測定結果を表1に示した。油脂組成物の調製方法を次に示す。
1)容量2リットルのステンレス製ビーカーに成分(A2)又は(A1)、及び(B)を秤量する。
2)上記1)を85℃水浴中にて均一溶解し、30分間放置する。
この際、アンカー型フックを用い、スリーワンモータ(HIDON社製TYPE60G)を用いて撹拌を行った。
3)上記2)に予め秤量しておいた成分(C)を撹拌しながら添加し、均一になったことを確認後、30分放置する。
4)上記3)において、水浴中に大量の氷を入れて、30℃まで冷却し、30℃に温度を維持したまま、撹拌を行い、所定の容器に移す。
5)上記4)を15℃恒温槽にて1晩(約12時間)放置し、針入度測定及び製パン評価を行った。
Figure 0004298696
上記油脂組成物a〜eを配合した実施例1〜7、比較例1、2及び5、油脂組成物無添加配合である比較例3、及びクッキー調製方法を変更した比較例4についてソフトクッキーの評価を行った。評価を行ったクッキー配合を表2に示す。
〔ソフトクッキーの製造条件〕
1.生地調製条件(X)
ミキサー(ホバート社製 N−50モデル:5コート)、ビーターを用い、表2に示した配合量のショートニング、油脂組成物(a、b、c、d又はe)、砂糖、食塩を秤量後ミキサーに入れ、低速30秒、続いて中速2分間撹拌し、一旦ミキサー壁に付着した材料をかきとり、ミキサー内に落とし入れ、更に中速にて比重が0.7になるまで撹拌し含気させたクリーム状組成物を得た。上記クリーム状組成物を低速にて30秒撹拌をする間に卵、水、重炭酸アンモニウムを加えた後、更に1分間撹拌した。更にミキサーに薄力粉を入れ低速にて45秒撹拌し、クッキー生地を得た。
2.生地調製条件(Y)
上記生地調整条件中、油脂組成物aを、卵、水、重炭酸アンモニウムと共に加え、その他は同様にしてクッキー生地を得た。
3.生地調製条件(Z)
ミキサー(ホバート社製 N−50モデル:5コート)、ビーターを用い、油脂組成物はcを用い、表2に示した配合量の全ての原料を秤量後ミキサーに入れ、低速30秒、続いて中速2分間撹拌し、一旦ミキサー壁に付着した材料をかきとり、ミキサー内に落とし入れ、更に高速にて10分間撹拌し、クッキー生地を得た。
4.生地の成形及び焼成条件
上記クッキー生地を麺棒にて厚さ4mmまで伸ばした後に直径50mmの大きさの円形の型抜きにて生地を抜いた。上記型抜きした生地を天板に乗せ、上火200℃/下火180℃のオーブンで8分間焼成した。焼成後、20℃において15分間冷却後、ビニール袋に乾燥剤(シリカゲル)と共に入れ、密閉化し、更に20℃において7日間保存したものをパンサンプルとした。
実施例及び比較例の評価として、クッキーサンプルについて官能評価を行なった。
〔クッキー官能評価〕
クッキーを喫食した際のサクミ感、ダマになりにくさについて10名のパネラーによるモナディック評価を下記の基準により行った。
4;10名中8名以上が良好であると判断した。
3;10名中5〜7名が良好であると判断した。
2;10名中3〜4名が良好であると判断した。
1;10名中8名以上が良好ではないと判断した。
これらの結果を表3に示す。
Figure 0004298696
Figure 0004298696
上記の如く、油脂、保湿剤、乳化剤、糖類の配合量を本発明の範囲とし、予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後に小麦粉等と配合して得られる生地を用いて製造した焼き菓子は、サクミ感が向上し、かつダマになりにくさも向上することがわかった。また、小麦粉の一部に加工澱粉を組み合わせて得られた生地を用いて製造した焼き菓子は、塊になりにくさの点で更に向上することが分かった。

Claims (2)

  1. (A2)融点20℃以下の液体油50〜85重量部、(B)保湿剤0.1〜10重量部、(C)乳化剤10〜35重量部を含有し、(A2)/(C)の比率が6.5以下である(E)油脂組成物を予め調製し、更に小麦粉100重量部に対して比率が下記になるように配合し、
    (A1)融点25〜50℃の油脂5〜55重量部
    (D)糖類5〜90重量部
    (E)油脂組成物1〜20重量部
    予め含気させ、クリーム状組成物を調製した後、他の副材料及び小麦粉と混合して得られる生地を用いて、成形、焼成することにより得られる焼き菓子類。
  2. 焼き菓子類がクッキー又はビスケットである請求項1記載の焼き菓子類。
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