JP3989919B2 - パン類 - Google Patents
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Description
パンはわが国に於いても欠かせない食品の一つで種類も多い。その中でパン類は弾力性のあるものが主流であり、従来、この食感はパンとして好ましいものとされていた。しかし、最近の多様化志向により、弾力性とは逆の食感、即ち、柔らかく、かつ口溶けの良いものも求められている。
一方、上記の点を改善するため、油中水型乳化組成物を含む油脂組成物中に増粘剤を分散させ、パン類に配合する技術(特許文献6、7、8、9)が提案されているが、油脂組成物中に水相が存在することより、増粘剤が水に接触することを防ぐことができず、効果的な改善方法とはなっていなかった。
(A1)融点25〜50℃の油脂20〜70重量部
(D)糖類5〜30重量部
(E)油脂組成物1〜20重量部
を配合し、
小麦粉100重量部に対して、
(A)油脂20.5〜87重量部
(B)保湿剤0.001〜2重量部
(C)乳化剤0.1〜7重量部
(D)糖類5〜30重量部
を含有し、(C)乳化剤の内80重量%以上がグリセリン脂肪酸モノエステル及びプロピレングリコール脂肪酸モノエステルであるパン類を提供するものである。
また、本発明で使用する油脂(A)は、融点25〜50℃の油脂(A1)と融点20℃以下の液体油(A2)を併用することが好ましい。
融点25〜50℃の油脂(A1)は、パン製造の面から見るとパンの内相組織の改良や容積の増大、機械耐性の向上等の機能を持ち、一般的にはバター、ラード、マーガリン、ショートニングなどの可塑性を持ったものが一般的に用いられる。J.C.Baker等は添加された油脂がパン生地の成型醗酵工程中で固形であることが有効に働くための必要条件であることを確認している。液状油や醗酵温度で融解してしまう油脂を練り込んだパン生地は、油脂を使用しないパン生地と同様、オーブン内での膨張が早期に停止し、容積の小さいパンしか得られていない。この理由は液状油の生地の場合、澱粉の糊化やグルテンの熱凝固が起こらない低い温度で生じる水蒸気、空気などによって膨張する力を保持できず、これらが生地外に蒸散してしまうためであると述べている(田中康夫,松本博編,製パンの科学II 製パン材料の科学,光琳(1992)/J.C.Baker,M.D.Mize,Cereal Chem.,19,84(1942))。
よって、好ましい油脂の特性としては、融点として25〜50℃が必要であるが、好ましくは、27〜45℃、更に好ましくは、30〜40℃であり、室温における性状は、半固体又は固体状態である。油脂(A)中のSFC(25℃)は、5〜40%、10〜35%、15〜30%であることが好ましい。
上記油脂には動植物油及びそれらに水素添加をした硬化油(固体脂)、エステル交換油が用いられる。
具体的な油脂(A1)としては、動物油としては牛脂、豚脂、魚油が用いられ、植物油としては大豆油、パーム油、パーム核油、綿実油、落花生油、ナタネ油、コーン油、サフラワー油、サンフラワー油、米油等が挙げられる。
油脂(A1)の小麦粉100重量部に対する配合量は、20〜70重量部であるが、更に25 〜70重量部、特に30〜65重量部とすることが製パン作業性及び風味の点から好ましい。
老化防止効果を発現するためには、保湿剤の添加量は小麦粉100重量部に対して0.001〜2重量部、好ましくは0.05〜1.0重量部である。添加量が0.001重量部未満であると充分な老化防止効果が得られず、2重量部を超えると得られるパン類の食感が低下する。
蛋白質としては水に溶解した時、粘性を呈する物質であれば良く、乳蛋白質及び植物性蛋白質等が挙げられる。乳蛋白質としてはナトリウムカゼイン、カルシウムカゼイン、レンネットカゼイン、ミルクカゼイン、ミルクホエー、ラクトアルブミン、ラクトグロブリン等が挙げられる。
また、増粘多糖類としては、ジェランガム、カラヤガム、タマリンド種子ガム、タラガム、グルコマンナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、プルラン、グアーガム、イオタカラギナン、HMペクチン、LMペクチン、トラガントガム、結晶性セルロース、PGA(アルギン酸プロピレングリコールエステル)、SSHC(水溶性大豆多糖類)、ガティガム、メチルセルロース、サイリウムシード及びカシヤガム等が挙げられる。これら蛋白質及び増粘多糖類の中から1種を単独で用いても良いし、また異なる2種以上を組み合わせて用いても良い。中でも風味及び食感の点よりキサンタンガム、グアガム、ローカストビーンガムが好ましく、更に好ましくはキサンタンガムである。
乳化剤(C)の添加量は小麦粉100重量部に対して0.1〜7重量部、好ましくは0.1〜5重量部とすることが、(1)乳化剤自身により老化を抑制する点から好ましく、また、液体油(A2)を用いた場合には、(2)粉体状態にある保湿剤(B)を液体油(A2)中に固定分散化させ、結果としてパンの食感(口溶け性)を向上させる点から好ましい。
ここで、針入度とは、ASTM−D217(「ASTM針入度の測定方法」Annual Book of Standards 1994.Section 5,Volume 05.01内のD217)に記載された針入度の測定に準じて次のように測定される値である。即ち、縦115mm×横115mm×深さ90mmの容器に油脂組成物を詰め、表面を平らにする。これを測定温度(20℃)に30分間放置した後、102.5gの円錐形の荷重を装着した針(Penetrometer Cone)を、表面を接して静置し、5秒後の進入距離を0.1mm単位で表示する。ここで、針入度は一般に数値が小さいほど、測定試料が硬いことを表す。本発明において、油脂組成物が流動性が無く硬化した状態にあるためには、針入度が200以下、特に100以下にすることが好ましい。
また、ポリグリセリン脂肪酸モノエステルを構成するポリグリセリンの具体例としては、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、ナノグリセリン、デカグリセリンなどからなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物が挙げられる。特にグリセロールの重合度が1〜9のものが好ましい。
本発明に用いられるレシチンは、フォスファチジルコリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジン酸等によりなるリン脂質混合物であって、大豆あるいは、卵黄等から得られるレシチンが代表的なものである。また、レシチン誘導体としてはリゾレシチン、リゾフォスファチジン酸等が挙げられる。
本発明品中における糖類の配合量は、小麦粉を100重量部とした時のパン生地中で5〜30重量部であるが、更に10〜25重量部、特に12〜20重量部とすることが製パン作業性及びパン風味の点から好ましい。
また、油脂組成物中の(C)乳化剤の配合量は、(A2)/(C)の重量比率が6.5以下を満たした上で、更に14〜26重量部とすることが、上記(2)の点から好ましい。尚、このように(C)乳化剤を油脂組成物(E)としてパン中に配合する場合、更に必要量の(C)乳化剤を、油脂組成物(E)とは別個にパン中に配合することもできる。
具体的な油脂組成物(E)の製造方法としては、まず成分(A2)及び(C)を各成分の融点温度以上の温度で加熱し、均一溶解させた後、成分(B)を添加し、均一に混合撹拌する。上記均一になったものを上記各成分の融点以下の温度、好ましくは30℃以下まで冷却することにより目的の油脂組成物を得る。上記冷却速度は速いほうが好ましい。即ち、冷却により乳化剤が結晶化する際、徐冷よりも急冷の方がより結晶が粗大化しないことより乳化剤自身の分散性を向上させ、老化防止効果を促進する点より好ましい。上記製造において、高温状態にある均一混合物を冷却するの際には均一混合物を入れている容器自身を外部から冷却しても良いが、一般的にショートニング、マーガリン製造に用いられるチラー、ボテーター、コンビネーター等を用いて急冷する方が性能上好ましい。
本発明で使用する小麦粉中のデンプン量は、小麦粉100重量部中、65〜78重量部、好ましくは68〜75重量部、更に好ましくは69〜72重量部が好ましい。
本発明における実施例1〜5、及び比較例1〜2に使用した油脂組成物(a〜g)の組成を表1に示した。なお、油脂組成物fについては下記(A2)に替えて(A1)に該当する油脂を用いた。
〔油脂組成物の調製方法〕
1)容量2リットルのステンレス製ビーカーに成分(A2)及び(B)を秤量する。
2)上記1)を85℃水浴中にて均一溶解し、30分間放置する。
この際、アンカー型フックを用い、スリーワンモータ(HIDON社製TYPE60G)を用いて撹拌を行った。
3)上記2)に予め秤量しておいた成分(C)を撹拌しながら添加し、均一になったことを確認後、30分放置する。
4)上記3)において、水浴中に大量の氷を入れて、30℃まで冷却し、30℃に温度を維持したまま、撹拌を行い、所定の容器に移す。
5)上記4)を15℃恒温槽にて1晩(約12時間)放置し、針入度測定及び製パン評価を行った。
実施例1〜5、及び比較例1〜2における油脂組成物についての(A2)融点20℃以下の液体油と乳化剤(C)の配合比率及び針入度の測定結果を表1に示した。
1.生地調製条件(ストレート法)
縦型ミキサー(関東ミキサー 10コート)、フックを用い、ロールイン油脂以外の配合材料をミキサーに入れ、低速3分、中高速5分、高速12分で混捏し捏上温度を18℃とし、生地とした。次に生地ダメージを回復させるため温度27℃にてフロアタイムを40分とった後、生地を−4℃の恒温槽にて8時間保存をした。
上記生地ロールイン油脂と併せてシーターを用いて3つ折りを3回行い層状の生地を得た。上記生地を50gに分割し、発酵(ホイロ)を行った。ホイロの条件を以下に示す。
ホイロ温度 35℃
相対湿度 80%RH
ホイロ時間 30分
上記条件において調製したパン生地を210℃のオーブンで9分間焼成した。焼成後、20℃において30分間冷却後、ビニール袋に入れ、密閉化し、更に20℃において3日間保存したものをパンサンプルとした。
〔パン官能評価〕
パンを喫食した際の柔らかさ、しっとり感、口溶けどけ感について10名のパネラーによるモナディック評価を下記の基準により行った。なお、柔らかさは「老化抑制効果」を表す。
◎;10名中8名以上が良好であると判断した。
○;10名中5〜7名が良好であると判断した。
△;10名中3〜4名が良好であると判断した。
×;10名中8名以上が良好ではないと判断した。
これらの結果を表2に示す。
Claims (4)
- (A2)融点20℃以下の液体油50〜85重量部、(B)保湿剤0.1〜10重量部、(C)80重量%以上がグリセリン脂肪酸モノエステル及びプロピレングリコール脂肪酸モノエステルである乳化剤10〜35重量部を含有し、(A2)/(C)の比率が6.5以下である(E)油脂組成物を予め調製し、小麦粉100重量部に対して、
(A1)融点25〜50℃の油脂20〜70重量部
(D)糖類5〜30重量部
(E)油脂組成物1〜20重量部
を配合し、
小麦粉100重量部に対して、
(A)油脂20.5〜87重量部
(B)保湿剤0.001〜2重量部
(C)乳化剤0.1〜7重量部
(D)糖類5〜30重量部
を含有し、(C)乳化剤の内80重量%以上がグリセリン脂肪酸モノエステル及びプロピレングリコール脂肪酸モノエステルであるパン類。 - (C)乳化剤中、グリセリン脂肪酸モノエステル/プロピレングリコール脂肪酸モノエステルの重量比率が1/0.5〜2.0である請求項1記載のパン類。
- (A)油脂が、(A1)融点25〜50℃の油脂20〜70重量部、及び(A2)融点20℃以下の液体油0.5〜17重量部を配合するものである請求項1又は2記載のパン類。
- パン類がデニッシュペストリー、ブリオーシュ又はクロワッサンである請求項1〜3の何れか1項記載のパン類。
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