WO2023008391A1 - 食用油劣化抑制フィルタ及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

濾過助剤等を使用することなく、効率的かつ容易に食用油の劣化を抑制することができるとともに、劣化抑制剤の脱落により食品の風味が低下することを防止することができる食用油劣化抑制フィルタを提供する。食用油劣化抑制フィルタは、繊維（１０）と、炭酸塩、ケイ酸塩、酒石酸塩、酸化物、水酸化物、アルギン酸塩及びリン酸塩から選択された少なくとも１種の劣化抑制剤（１３）と、を有する。

Description

食用油劣化抑制フィルタ及びその製造方法

　本発明は、食用油の酸化劣化を抑制することができる食用油劣化抑制フィルタ及びその製造方法に関する。

　食用油は種々の食品に使用されているが、天ぷら、フライ等の揚げ物の調理に使用される食用油は、調理に伴う加熱や放置により酸化劣化し、食品の味、臭い、外観を悪化させるとともに、食中毒の原因となる場合がある。そして、酸化劣化した油は粘度が上昇し、油切れが悪くなるため、所定の基準以上に酸化劣化した食用油は廃棄される。このため、地球環境保全の観点から、食用油の酸化劣化を少しでも遅らせて、食用油の廃棄回数を少なくすることが望まれている。また、食用油の廃棄回数を少なくすることにより、揚げ物で使用する揚げ物調理器具（フライヤー）の清掃回数が減り、清掃に使用する水の量を減らせるメリットもある。

　そこで、食用油の酸化劣化を抑制するため、従来より種々の食用油用フィルタについての提案がなされている。
　例えば、特許文献１には、食用油用浄化剤として酒石酸塩を使用し、食用油にそのまま浄化剤を添加する方法が挙げられている。なお、特許文献１には、例えば酒石酸水素カリウム塩を紙で挟み、紙の周縁を閉じて袋状としたフィルタについても記載されている。
　また、特許文献２には、濾材の表面及び細孔の内面の少なくとも一方もしくは両方に、バインダにより食用油劣化抑制剤を付着させたフィルタが開示されている。
　さらに、特許文献３には、パルプなどの繊維と、活性炭粉末などの吸着剤とを水中で撹拌混合し、圧縮成形により脱水することにより得られる食用油ろ過用フィルタが記載されている。

日本国特許第６７６３２１９号公報 日本国特開２０２１－６３０号公報 日本国特許第４５９３１２７号公報

　しかしながら、特許文献１に記載のように、食用油に直接、食用油用浄化剤を添加した場合に、浄化剤が食品に付着し、食品の風味を損なう可能性がある。また、食用油用浄化剤を紙で挟み込み、袋状としたフィルタ構造の場合は、紙が破れた際に内部の浄化剤が漏出する可能性があるため、直接添加した場合と同様に、食品の風味を損なう可能性があり、さらなる改善の余地がある。

　また、特許文献２に記載のフィルタを製造する場合には、濾材をあらかじめ製造し、添加剤を付着させる必要があるため、製造コストが上昇するとともに、製造に必要とされる環境負荷物質やエネルギーの増加が懸念される。また、食用油劣化抑制剤を濾材にバインダで付着させるため、劣化抑制剤の一部がバインダで覆われて、食用油との接触効率が低下する。したがって、食用油の劣化抑制効果を十分に得るためには、多量の劣化抑制剤が必要となる。

　さらに、特許文献３に記載のフィルタは、吸着剤が繊維に付着したものであるため、脱色及び脱臭の効果は十分に得られるが、食用油の劣化を十分に抑制することができない。したがって、食用油の廃棄回数を削減することが困難であり、地球環境保全の観点から、さらなる改善の余地がある。また、繊維と吸着剤との接着力が弱い場合には、繊維から吸着剤が脱落し、特許文献１の場合と同様に、食品の風味を損なう可能性もある。

　なお、一般的に使用されている食用油用のフィルタは、濾紙の上に散布する粉状の濾過助剤が必要となる場合がある。濾過助剤は、食用油の劣化を抑制する作用を有するが、粉状であるため、散布する際に粉が舞ったり、濾過後の清掃時に、粘土状となった濾過助剤を回収する必要があり、作業効率の低下が問題となる。

　本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、濾過助剤等を使用することなく、効率的かつ容易に食用油の劣化を抑制することができるとともに、劣化抑制剤の脱落により食品の風味が低下することを防止することができる食用油劣化抑制フィルタを提供することを目的とする。
　また本発明は、優れた劣化抑制機能を有する食用油劣化抑制フィルタを容易に製造することができるとともに、製造時における環境負荷物質の生成を抑制することができ、これにより地球環境保全を実現することができる食用油劣化抑制フィルタの製造方法を提供することを目的とする。

　なお、このような課題に対して、本出願人は、日本国特願２０２１－１２１６６９にて、濾過助剤等を使用することなく、効率的かつ容易に食用油の劣化を抑制することができるとともに、劣化抑制剤の脱落により食品の風味が低下することを防止する技術を提案している。
　この日本国特願２０２１－１２１６６９では、食用油劣化抑制フィルタの製造方法として、「抄紙法（紙漉き）」とも称される、フィルタ基材である繊維と、劣化抑制剤とを水に加えて拡散混合して水性懸濁液を調製し、この水性懸濁液を脱水及び乾燥させる方法を提案している。この製造方法によれば、バインダ等を使用することなく、劣化抑制剤が繊維によって保持されているため、効率的に食用油の劣化を防止することができるとともに、劣化抑制剤の脱落が防止されたフィルタを容易に製造することができる。また、濾材を製造するための工程と、添加剤を付着させるための工程とが、１つの工程で実施できるため、製造コストの上昇を抑制することができるとともに、製造に必要とされる環境負荷物質やエネルギーの増加を抑制することができる。更には、水を分散媒とすることから、地球環境保全にも寄与している。

　しかしながら、上記製造方法において、劣化抑制剤として一般的に脱酸剤として知られている、酸化カルシウムや酸化マグネシウムなどの酸化物、特にはアルカリ土類金属酸化物を用いた場合、水性懸濁液中では下記式（１）に示す水和反応を起こしてしまい、十分な劣化抑制機能が失活するおそれがある。
　ＭＯ＋Ｈ_２Ｏ→Ｍ（ＯＨ）_２・・・（１）　ただし、Ｍはアルカリ土類金属

　そこで本発明は、劣化抑制剤として酸化物、特にはアルカリ土類金属酸化物を用いるとともに、地球環境保全を考慮して、食用油劣化抑制フィルタの製造時における懸濁液を得る工程において使用する液体として水を用いる場合においても、劣化抑制機能の失活を抑制することができる食用油劣化抑制フィルタ及びその製造方法を提供することも目的とする。

　本発明の上記目的は、食用油劣化抑制フィルタに係る下記［１］の構成により達成される。

［１］　繊維と、
　炭酸塩、ケイ酸塩、酒石酸塩、酸化物、水酸化物、アルギン酸塩及びリン酸塩から選択された少なくとも１種の劣化抑制剤と、
を有する、食用油劣化抑制フィルタ。

　また、食用油劣化抑制フィルタに係る本発明の好ましい実施形態は、以下の［２］～［１８］に関する。

［２］　前記劣化抑制剤が、酒石酸塩、酸化物及び水酸化物から選択された少なくとも１種である、［１］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［３］　前記劣化抑制剤が酸化物であり、かつ、更に、糖アルコールからなる水和反応遅延剤を有する、［２］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［４］　前記糖アルコールは、エリスリトール、グリセリン、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール及びソルビトールから選択された少なくとも１種である、［３］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［５］　前記糖アルコールは、グリセリン及びソルビトールのいずれか一方又は両方である、［４］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［６］　前記糖アルコールの分子量が５００以下である、［３］～［５］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［７］　前記劣化抑制剤が酸化物であり、かつ、更に、有機酸塩、硫酸塩、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも１種の水和反応遅延剤を有する、［２］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［８］　前記水和反応遅延剤は、クエン酸、硫酸カルシウム及びスクロースから選択された少なくとも１種を含む、［７］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［９］　前記水和反応遅延剤の分子量が５００以下である、［７］又は［８］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１０］　前記水和反応遅延剤を痕跡量含む、［３］～［９］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１１］　前記水和反応遅延剤を前記食用油劣化抑制フィルタ１ｇ当たり１０ｐｐｍ以上含む、［１０］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１２］　前記繊維は、叩解された繊維を含む、［１］～［１１］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１３］　前記繊維は、幹状部と、叩解により前記幹状部から分岐した枝状部と、を有し、
　前記枝状部が前記劣化抑制剤を含有する粒子を保持している、［１２］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１４］　前記繊維は、天然繊維及び人造繊維のいずれか一方又は両方である、［１２］又は［１３］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１５］　前記人造繊維は、再生繊維及び合成樹脂繊維のいずれか一方又は両方である、［１４］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１６］　前記繊維の内部及び表面の両方に、前記劣化抑制剤が存在する、［１］～［１５］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１７］　さらに、吸着剤を含む、［１］～［１６］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタ。
［１８］　前記吸着剤は、二酸化ケイ素、天然粘土、人工合成粘土及び活性炭から選択された少なくとも１種を含む、［１７］に記載の食用油劣化抑制フィルタ。

　また、本発明の上記目的は、食用油劣化抑制フィルタの製造方法に係る下記［１９］の構成により達成される。

［１９］　［１］～［１８］のいずれか１つに記載の食用油劣化抑制フィルタを製造する方法であって、
　前記繊維と、前記劣化抑制剤とを含む懸濁液を得る工程と、
　前記懸濁液を脱液し、乾燥させる工程と、
を有する、食用油劣化抑制フィルタの製造方法。

　本発明によれば、濾過助剤等を使用することなく、効率的かつ容易に食用油の酸化劣化を抑制することができるとともに、劣化抑制剤の脱落を防止することができる食用油劣化抑制フィルタを提供することができる。
　また、本発明の製造方法によれば、優れた劣化抑制機能を有する食用油劣化抑制フィルタを容易に製造することができる。また、製造時における環境負荷物質の生成を抑制することができ、これにより、地球環境保全を実現することができる。
　また、本発明によれば、地球環境保全を考慮して、食用油劣化抑制フィルタの製造時における懸濁液を得る工程において使用する液体として水を用いる場合においても、十分な劣化抑制機能の失活を抑制することができる食用油劣化抑制フィルタ及びその製造方法を提供することができる。

図１は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタの表面を示す図面代用写真である。 図２は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタの断面を示す図面代用写真である。 図３は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタを適用することができる食用油濾過装置の一例を示す模式図である。

　本発明に係る食用油劣化抑制フィルタの実施形態について、以下に説明する。なお、以下において、食用油劣化抑制フィルタを、単に「フィルタ」ということがある。また、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。また、本実施形態には種々の変更又は改良を加えることが可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。

［食用油劣化抑制フィルタ］
　本実施形態に係る食用油劣化抑制フィルタは、繊維と、劣化抑制剤と、を有する。以下に、本実施形態に係る食用油劣化抑制フィルタに使用することができる繊維及び劣化抑制剤について、詳細に説明する。

＜繊維＞
　フィルタの材料として使用される繊維としては、天然繊維及び人造繊維のいずれか一方又は両方を用いることができる。これらの繊維は、そのまま使用することもできるが、叩解されていることが好ましい。フィルタの材料となる繊維として、叩解された繊維を用いることにより、劣化抑制剤の保持力を大幅に向上させることができる。なお、叩解されることによって毛羽立ち、幹状部と、幹状部から分岐した枝状部とが形成される。
　枝状部は幹状部よりも細く、製造工程において、液中で枝状部が粒子状の劣化抑制剤に絡まるため、劣化抑制剤を強固に保持することができる。したがって、本実施形態のフィルタを用いて、使用済みの食用油を濾過した場合に、劣化抑制剤の脱落を防止することができ、濾過後の食用油に劣化抑制剤が混入することを防止することができる。
　なお、本実施形態における食用油劣化抑制フィルタにおいて、劣化抑制剤を十分に保持する効果を得るためには、上記枝状部の直径は、幹状部の直径の５０％以下であることが好ましく、４０％以下であることがより好ましく、３０％以下であることがさらに好ましい。
　なお、「叩解された繊維」とは、離解された繊維を含む。

　また、本実施例においては、フィルタ内で、繊維、好ましくは叩解された繊維に劣化抑制剤が保持されているため、一般的なフィルタに使用されるような粉体状の濾過助剤を使用する必要がない。したがって、助剤等を使用することなく、効率的かつ容易に食用油の酸化劣化を抑制することができるとともに、濾過助剤の散布の工程において、粉が舞ったり、濾過後の清掃時に、粘土状となった濾過助剤を回収する必要がなく、食用油の濾過時における作業効率を向上させることができる。
　なお、濾過助剤は、必要に応じて使用してもよく、一般的に用いられている使用量よりも減少させることもできる。

　後述するように、本実施形態に係るフィルタは、繊維、好ましくは叩解された繊維と、劣化抑制剤とを含む懸濁液を脱液し、乾燥することにより得られるが、懸濁液において、枝状部に保持される劣化抑制剤を含有する粒子を含んでいるのみでなく、劣化抑制剤が溶解した状態である場合には、繊維の内部及び表面の両方にも劣化抑制剤が存在すると考えられ、より一層、食用油の劣化を抑制する効果を得ることができる。

（天然繊維）
　天然繊維とは、天然の物質から製造された繊維のことである。天然繊維の種類は特に限定されるものではなく、例えば、木材パルプ、木綿、羊毛繊維、麻、絹等が挙げられる。本実施形態においては、天然繊維を単独で使用する他、後述する人造繊維を単独で使用しても、両方を使用してもよいが、毛羽立ちが良好である天然繊維を主成分とすることが好ましい。なお、主成分とは、フィルタを製造する際に使用する繊維の全質量に対して、天然繊維の使用量が５０質量％超である状態をいい、好ましくは６０質量％超、より好ましくは７０質量％超である。

（人造繊維）
　人造繊維を使用する場合には、再生繊維及び合成樹脂繊維から選択された少なくとも１種を使用することができる。再生繊維の例としては、レーヨン等が挙げられる。合成樹脂繊維の例としては、ポリエステル樹脂繊維、ポリオレフィン樹脂繊維（例えばポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維）、ポリアミド樹脂繊維（例えばポリアミド６６繊維）、ビニル樹脂繊維、アクリル樹脂繊維、ポリウレタン樹脂繊維等が挙げられる。これらの繊維はいずれも、叩解により毛羽立ち、枝状部が粒子状の劣化抑制剤を保持することができるため、劣化抑制剤が脱落することなく、食用油の劣化抑制効果を得ることができる。

　なお、使用する繊維が天然繊維及び人造繊維のいずれであっても、平均繊維長、平均繊維径については特に限定されないが、通常、平均繊維長が０．１～１５ｍｍ、平均繊維径が０．００５～０．１ｍｍのものが好適に用いられる。

（その他の繊維）
　本実施形態においては、上記天然繊維及び人造繊維の他に、他の繊維が含まれていてもよい。他の繊維としては、金属繊維、ガラス繊維、炭素繊維等が挙げられる。

＜劣化抑制剤＞
　本実施形態に係るフィルタに使用される劣化抑制剤は、食用油と接触することにより食用油の劣化を抑制する効果を有するものである。劣化抑制剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、酒石酸水素カリウム等の酒石酸塩、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、アルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、及びリン酸三マグネシウム等のリン酸塩から選択された少なくとも１種を使用することが好ましい。
　中でも、酒石酸塩、酸化物及び水酸化物から選択された少なくとも１種を使用することがより好ましい。

　さらに、劣化抑制剤は、製造工程中に化学合成したものであってもよい。例えば、酸化カルシウムは、水性懸濁液の溶媒である水と反応して水酸化カルシウムが合成されるが、水酸化カルシウムとしてフィルタ内に存在していてもよい。

　本実施形態に係るフィルタにおいて、フィルタ全質量に対する劣化抑制剤の質量は、１質量％以上であることが好ましく、８０質量％以下であることが好ましい。フィルタ全質量に対する劣化抑制剤の質量が１質量％以上であると、食用油の劣化を抑制する効果を得ることができる。また、フィルタ全質量に対する劣化抑制剤の質量が８０質量％以下であると、劣化抑制剤の脱落を防止する効果を得ることができる。複数の食用油劣化抑制剤を併用する場合は、その合計量が上記数値範囲内となるようにすることが好ましい。
　フィルタ全質量に対する劣化抑制剤の質量は、６０質量％以下であることがより好ましく、５０質量％以下であることがさらに好ましい。

　なお、フィルタ全質量に対する劣化抑制剤の質量は、例えば、繊維を溶解させず、劣化抑制剤を溶解させる液体でフィルタを洗浄し、繊維の表面及び内部に存在する劣化抑制剤を溶解させて除去した後、繊維の部分を乾燥させて、質量差を測定することにより、算出することができる。
　また、劣化抑制剤を溶解させず、繊維を溶解させる液体でフィルタを洗浄し、繊維を溶解させて除去した後、劣化抑制剤の部分を乾燥させて、質量差を測定することによっても、劣化抑制剤の質量を算出することができる。
　さらに、有機物を燃焼させて分解除去し、灰分を測定することによっても、劣化抑制剤の質量を算出することができる。

　また、劣化抑制剤として酸化物を使用する場合、例えばアルカリ土類金属の酸化物を挙げることができる。アルカリ土類金属とは、カルシウム（Ｃａ）、ストロンチウム（Ｓｒ）、バリウム（Ｂａ）、ラジウム（Ｒａ）の４元素の他、ベリリウム（Ｂｅ）及びマグネシウム（Ｍｇ）も含む。

　なお、アルカリ土類金属酸化物は、単独で使用してもよいが、アルカリ土類金属酸化物と他の劣化抑制剤を併用してもよい。他の劣化抑制剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩、酒石酸水素カリウムなどの酒石酸塩、アルギン酸カルシウムなどのアルギン酸塩、リン酸三マグネシウムなあるかりどのリン酸塩が挙げられ、これらを単独で、又は２種以上を組み合わせて使用することができる。

＜水和反応遅延剤＞
　上記のとおり、劣化抑制剤としてのアルカリ土類金属酸化物などの酸化物は、水和反応を起こしてしまい、十分な劣化抑制機能が失活するおそれがある。そこで、水和反応を遅らせる働きをするものとして、水和反応遅延剤を併用する。なお、具体的な水和反応遅延剤としては、糖アルコールが用いられる。

　糖アルコールとしては、具体的には、エリスリトール、グリセリン、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトールから選択された少なくとも１種を使用することが好ましい。また、その中でも、グリセリン及びソルビトールから選択された少なくとも１種を使用することが、水和反応抑制効果がより高いことから特に好ましい。

　また、上記糖アルコールの分子量が５００以下のものがより好ましく、２５０以下のものが特に好ましい。糖アルコールの分子量が５００以下であれば、分散媒である水に良好に溶解するため、水和反応の遅延効果がより高まる。

　後述する製造方法のように、環境保全を考慮して水性懸濁を用いることが好ましいが、アルカリ土類金属酸化物などの酸化物は水に難溶のため、粒状のまま繊維に付着してフィルタ中に残る一方で、糖アルコールは水溶性であるため、水性懸濁液の脱液の際に、水とともにフィルタから除かれる。しかしながら、糖アルコールは、微量であるものの、酸化物や繊維に付着してフィルタ中に残存する。このフィルタに残存している糖アルコールの量が、いわゆる「痕跡量」である。

　フィルタに残存している糖アルコールは、空気中の水分や、食用油に含まれる微量の水分と、酸化物とが水和反応を起こすのを抑制する効果がある。この効果を確実に得るためには、糖アルコールのフィルタ中での残存量として、食物油劣化抑制フィルタ１ｇ当たり１０ｐｐｍ以上含むことが好ましく、５０ｐｐｍ以上含むことがより好ましい。

　また、水和反応遅延剤として、有機酸塩、硫酸塩、単糖類及び二糖類から選ばれる少なくとも１種を用いることもできる。

　有機酸塩としては、クエン酸、酢酸、乳酸などやクエン酸カルシウム，クエン酸カリウム，クエン酸ナトリウムなどのクエン酸塩，酢酸カルシウム，酢酸カリウム，酢酸ナトリウムなどの酢酸塩，乳酸カルシウム，乳酸カリウム，乳酸ナトリウムなどの乳酸塩を挙げることができる。硫酸塩としては、硫酸カルシウムなどを挙げることができる。単糖類としては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースなどを挙げることができる。二糖類としては、スクロースなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、複数を併用して用いることもできる。また、その中でも、クエン酸、硫酸カルシウム及びスクロースから選択された少なくとも１種を使用することが、水和反応抑制効果がより高いことから特に好ましい。

　また、これらの分子量は５００以下がより好ましく、４００以下が特に好ましい。これらの分子量が５００以下であれば、分散媒である水に良好に溶解するため、水和反応の遅延効果がより高まる。

　上記した糖アルコールと同様、フィルタ中に痕跡量として残存し、空気中の水分や、食用油に含まれる微量の水分による水和反応を抑制する。この効果を確実に得るためには、水和反応遅延剤のフィルタ中での残存量として、食物油劣化抑制フィルタ１ｇ当たり１０ｐｐｍ以上含むことが好ましく、５０ｐｐｍ以上含むことがより好ましい。

＜その他の添加剤＞
　本実施形態に係るフィルタは、上記劣化抑制剤や水和反応抑制剤の他に、脱色、脱臭効果を有する吸着剤を使用してもよい。吸着剤としては、二酸化ケイ素、天然粘土、人工合成粘土及び活性炭から選択された少なくとも１種を使用することが好ましい。
　なお、吸着剤を用いた場合であっても、叩解された繊維の枝状部が吸着剤を保持することができ、濾過後の食用油に添加剤が混入することを防止することができるとともに、優れた脱色及び脱臭効果を得ることができる。

［食用油劣化抑制フィルタの製造方法］
　本実施形態に係る食用油劣化抑制フィルタは、まず、（１）繊維、好ましくは叩解された繊維と、（２）劣化抑制剤と、（３）必要に応じて他の劣化抑制剤や吸着剤を、適当な溶媒に投入して、これらが混合した懸濁液を得る。溶媒には、天然繊維を用いる場合は水を選択することができ、人造繊維を用いる場合は使用する繊維の叩解に適した液体を選択することができる。

　なお、懸濁液は、環境保全を考慮すると、水性懸濁液が好ましいが、劣化抑制剤として酸化物を用いる場合には、水和反応遅延剤を併用する。水和反応遅延剤は、劣化抑制剤と同時に水中に投入してもよいが、水和反応遅延剤を水に十分に溶解させた後に、劣化抑制剤を投入する方が、十分な劣化抑制機能の失活をより効果的に抑制できるため好ましい。

　叩解された繊維とするには、懸濁液を得る際に、上記の（２）成分や（３）成分とともに、繊維を水中に投入してリファイナやビータ等の叩解機、又はディゾルバやホモミキサ等の混合分散機等を用いて叩解処理を行う方法が挙げられる。このような叩解処理により、繊維を毛羽立たせることができるとともに、懸濁液中に繊維を均一に分散させることができる。

　なお、繊維のみを先に水中に投入し、上記叩解機又は混合分散機等により叩解処理を行った後に、劣化抑制剤を投入してもよい。

　また、懸濁液には、紙力増強剤、歩留まり向上剤、ｐＨ調整剤及び定着剤のような、フィルタの製造において一般的に使用されている薬品を添加してもよい。これらの添加量は、人体に影響がない範囲であれば特に限定されない。

　そして、懸濁液を脱液し、乾燥することにより、繊維に劣化抑制剤を含有する粒子が保持されたフィルタを得ることができる。
　なお、脱液には、水を蒸発させてもよし、濾過（抄紙）により脱水させてもよい。

　本実施形態に係る製造方法によると、バインダ等を使用することなく、劣化抑制剤が繊維によって保持されているため、効率的に食用油の劣化を防止することができるとともに、劣化抑制剤の脱落が防止されたフィルタを容易に製造することができる。
　また、濾材を製造するための工程と、添加剤を付着させるための工程とが、１つの工程で実施できるため、製造コストの上昇を抑制することができるとともに、製造に必要とされる環境負荷物質やエネルギーの増加を抑制することができる。
　さらに、劣化抑制剤として酸化物を用いる場合、水和反応遅延剤が水性懸濁液中に投入されるため、酸化物が水和反応を起こして、劣化抑制機能が失活してしまうことを効果的に抑制できる。

　なお、水和反応遅延剤を痕跡量、好ましくはフィルタ１ｇ当たり１０ｐｐｍ以上残存させるには、懸濁液中の水和反応遅延剤の含有量を調整すればよい。具体的には、懸濁液中の水和反応遅延剤の含有量を０．０１質量％以上、好ましくは０．０５質量％以上とするのがよい。

＜劣化抑制剤を含む溶液＞
　本実施形態において用いられる劣化抑制剤は、水以外の溶媒に溶解するものも使用することができる。上記製造方法において、叩解された繊維と劣化抑制剤が溶解した溶液とが混合されると、繊維の内部に溶液が染み込み、その後の脱液及び乾燥工程により、劣化抑制剤を含有する微細な粒子が繊維の内部に析出すると考えられる。
　また、叩解された繊維と劣化抑制剤を含む溶液とを混合する段階において、溶液中に劣化抑制剤を含有する粒子が含まれていると、すなわち、粒子の状態で溶液中に存在すると、繊維の枝状部に粒子が絡まりやすくなる。これらのことから、劣化抑制剤を含む溶液は、劣化抑制剤が溶解しているとともに、劣化抑制剤を含有する粒子を含んでいることが好ましい。

　本発明に係る食用油劣化抑制フィルタについて、以下に実施例を挙げてさらに説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

＜試験例１＞
　天然繊維として、コットン繊維を使用し、劣化抑制剤として酸化カルシウム及び酒石酸水素カリウムを使用し、さらに吸着剤として活性炭を使用して、これらを水中に投入し、ミキサーにより叩解処理をした。なお、水以外の材料の全質量に対して、コットン繊維を７０質量％、酸化カルシウムを１０質量％、酒石酸水素カリウムを１０質量％、活性炭を１０質量％とした。

　その後、濾過により脱水し、乾燥させることにより、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタを得た。そして、得られたフィルタの表面及び断面を電子顕微鏡により撮影し、繊維及び劣化抑制剤の様子を観察した。

　図１は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタの表面を示す図面代用写真である。また、図２は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタの断面を示す図面代用写真である。なお、図２の上方がフィルタ断面における表層部を示し、下方が中層部を示す。

　図１及び図２に示すように、コットン繊維１０は叩解されることにより、幹状部１１から分岐した枝状部１２が形成されている。この枝状部１２は幹状部１１よりも極めて細いため、粒子状の劣化抑制剤１３は枝状部１２に絡まれて、保持されている。
　なお、劣化抑制剤１３の粒径や、表層部、中層部等の位置にかかわらず、枝状部１２により確実に保持されており、バインダ等を使用することなく、フィルタから劣化抑制剤１３が脱落することを防止することができる。

　さらに、白金蒸着させた劣化抑制剤である酸化カルシウム表面の元素分析を行った。その結果、水溶解性がある酒石酸水素カリウム由来のカリウムが検出され、酸化カルシウム粉体に付着していることを確認できた。
　また、白金蒸着させた繊維表面の元素分析を行った。その結果、同じく酒石酸水素カリウム由来のカリウム（Ｋ）が検出され、繊維に劣化抑制剤が存在していることを確認できた。
　このことから，繊維に劣化抑制剤が染み込み，一層食用油の劣化を抑制する効果が得られるものと考えられる。

　続いて、図３は、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタを適用することができる食用油濾過装置の一例を示す模式図である。
　濾過装置２５は、食用油２０が貯留される油槽２１と、食用油２０が通液される環状の配管２２と、食用油２０を送液するポンプ２４と、食用油２０の濾過及び酸化劣化抑制を行う食用油劣化抑制フィルタが装填されている処理部２３と、を備えている。なお、油槽２１とポンプ２４と処理部２３とは、環状の配管２２で直列に連結されている。

　このように構成された濾過装置２５においては、油槽２１内の食用油２０がポンプ２４によって配管２２中を送液され、処理部２３において濾過及び酸化劣化の抑制がなされた後に、油槽２１に戻される。使用済みの食用油２０は、揚げカス等の不純物を含有していることに加えて酸化劣化しているが、処理部２３内の食用油劣化抑制フィルタを通ることにより、揚げカス等の不純物が濾過されるとともに、食用油２０の酸化劣化が抑制されて酸化速度が遅くなる。

　上記のように食用油２０を循環させながら処理を行うことにより、調理等に使用された後の食用油２０を連続的に処理することができる。また、例えば、揚げ物を揚げるフライヤーの油槽に、ポンプ２４と処理部２３とが配された配管２２を接続すれば、調理に使用している食用油２０を調理と並行して処理することができる。
　食用油劣化抑制フィルタの酸化劣化抑制性能が低下した場合、濾過性が低下した場合又は目詰まりし通液しなくなった場合は、処理部２３内の食用油劣化抑制フィルタを新品と交換する。
　また、流路内における食用油劣化抑制フィルタの前側に、更に通常の揚げカス捕集フィルタ等を設置することもできる。

　なお、本実施形態に係る食用油劣化抑制フィルタは、上記濾過装置２５への適用に限定されず、種々の濾過装置及び濾過器に適用することができる。

＜試験例２＞
（実施例１）
　天然繊維としてセルロース繊維を使用し、劣化抑制剤として酒石酸カルシウム及び酒石酸水素カリウムを使用し、さらに吸着剤として活性炭を使用して、これらを水中に投入し、ミキサーにより叩解処理をした。なお、水以外の材料の全質量に対して、酸化カルシウムを１０質量％、酒石酸水素カリウムを１０質量％、活性炭を１０質量％、セルロース繊維を７０質量％とした。その後、濾過により脱水し、乾燥させることにより、本実施例に係る食用油劣化抑制フィルタを得た。

　作製した食用油劣化抑制フィルタから、直径９０ｍｍ、厚さ２．８ｍｍの円板を裁断し、試験片Ａとした。なお、試験片Ａの密度は、０．２８ｇ／ｃｍ^３であった。

（実施例２）
　実施例１と同一の食用油劣化抑制フィルタから、直径９０ｍｍ、厚さ０．６ｍｍの円板を裁断し、試験片Ｂとした。なお、試験片Ｂの密度は、０．４３ｇ／ｃｍ^３であった。

（比較例）
　セルロース製の濾紙から、直径９０ｍｍ、厚さ１．０ｍｍの円板を裁断し、試験片Ｃとした。なお、試験片Ｃの密度は、０．３８ｇ／ｃｍ^３であった。

（酸化劣化抑制試験）
　試験片Ａ～Ｃを用いて、酸化劣化抑制試験を行った。試験には、図３に示す、ろ過装置２５を用いた。

　すなわち、濾過装置２５の処理部２３に、試験片Ａ～Ｃのいずれかのフィルタを装填するとともに、油槽２１に、食用油２０として市販のなたね油を４Ｌ投入し、１８０℃に維持した状態でボンプ２４にて送液して循環させ、処理部２３のフィルタ（試験片Ａ～Ｃ）にて濾過を行った。なお、油槽内の油は１８０℃に保った。
　８０時間後に食用油２０を採取し、酸価を測定した。食用油２０の酸価は、ＪＩＳ　Ｋ２５０１に準拠して、電位差滴定法（終点：ｐＨ１２）を用いて測定した。結果を下記に示す。なお、酸化抑制性能は、比較例の酸価を１とする相対値で示してある。

　このように、本発明に従う食用油劣化抑制フィルタによれば、繊維のみの場合に比べて酸化抑制性能が大幅に優れることがわかる。

　以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。

　なお、本出願は、２０２１年７月２６日出願の日本特許出願（特願２０２１－１２１６６９）、２０２１年１１月２４日出願の日本特許出願（特願２０２１－１９０４９０）及び２０２１年１１月２４日出願の日本特許出願（特願２０２１－１９０４９１）に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。

１０　繊維（コットン繊維）
１１　幹状部
１２　枝状部
１３　劣化抑制剤
２０　食用油
２１　油槽
２２　配管
２３　処理部
２４　ポンプ
２５　濾過装置

Claims (19)

1. 　繊維と、
   　炭酸塩、ケイ酸塩、酒石酸塩、酸化物、水酸化物、アルギン酸塩及びリン酸塩から選択された少なくとも１種の劣化抑制剤と、
   を有する、食用油劣化抑制フィルタ。
2. 　前記劣化抑制剤が、酒石酸塩、酸化物及び水酸化物から選択された少なくとも１種である、請求項１に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
3. 　前記劣化抑制剤が酸化物であり、かつ、更に、糖アルコールからなる水和反応遅延剤を有する、請求項２に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
4. 　前記糖アルコールは、エリスリトール、グリセリン、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール及びソルビトールから選択された少なくとも１種である、請求項３に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
5. 　前記糖アルコールは、グリセリン及びソルビトールのいずれか一方又は両方である、請求項４に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
6. 　前記糖アルコールの分子量が５００以下である、請求項３～５のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
7. 　前記劣化抑制剤が酸化物であり、かつ、更に、有機酸塩、硫酸塩、単糖類及び二糖類から選択される少なくとも１種の水和反応遅延剤を有する、請求項２に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
8. 　前記水和反応遅延剤は、クエン酸、硫酸カルシウム及びスクロースから選択された少なくとも１種を含む、請求項７に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
9. 　前記水和反応遅延剤の分子量が５００以下である、請求項７または８に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
10. 　前記水和反応遅延剤を痕跡量含む、請求項３～９のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
11. 　前記水和反応遅延剤を前記食用油劣化抑制フィルタ１ｇ当たり１０ｐｐｍ以上含む、請求項１０に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
12. 　前記繊維は、叩解された繊維を含む、請求項１～１１のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
13. 　前記繊維は、幹状部と、叩解により前記幹状部から分岐した枝状部と、を有し、
    　前記枝状部が前記劣化抑制剤を含有する粒子を保持している、請求項１２に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
14. 　前記繊維は、天然繊維及び人造繊維のいずれか一方又は両方である、請求項１２または１３に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
15. 　前記人造繊維は、再生繊維及び合成樹脂繊維のいずれか一方又は両方である、請求項１４に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
16. 　前記繊維の内部及び表面の両方に、前記劣化抑制剤が存在する、請求項１～１５のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
17. 　さらに、吸着剤を含む、請求項１～１６のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
18. 　前記吸着剤は、二酸化ケイ素、天然粘土、人工合成粘土及び活性炭から選択された少なくとも１種を含む、請求項１７に記載の食用油劣化抑制フィルタ。
19. 　請求項１～１８のいずれか１項に記載の食用油劣化抑制フィルタを製造する方法であって、
    　前記繊維と、前記劣化抑制剤とを含む懸濁液を得る工程と、
    　前記懸濁液を脱液し、乾燥させる工程と、
    を有する、食用油劣化抑制フィルタの製造方法。

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