WO2022260005A1

WO2022260005A1 - シート状化粧料

Info

Publication number: WO2022260005A1
Application number: PCT/JP2022/022794
Authority: WO
Inventors: 瀬里秋山
Original assignee: 花王株式会社
Priority date: 2021-06-07
Filing date: 2022-06-06
Publication date: 2022-12-15
Also published as: CN116419745A; TW202312974A; KR20240017011A; JP2022187487A

Abstract

成分（Ａ）：融点が５０～１５０℃である油性成分、成分（Ｂ）：イオン性界面活性剤、成分（Ｃ）：水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下および成分（Ｄ）：水を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。

Description

シート状化粧料

　本発明は、シート状化粧料に関する。

　シート状の化粧料に関する技術として、特許文献１～４に記載のものがある。
　特許文献１（特開２０１１－２０７８１７号公報）には、炭素数１４～２２の高級アルコール、特定の構造を有する親水性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、特定の構造を有するグリセリンモノアルキルエーテルを特定の割合で含むとともに、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を更に含み、粘度が特定の範囲にある水中油型乳化化粧料をシートに含浸させたシート状化粧料について記載されている（請求項１、２）。また、同文献には、上記水中油型乳化化粧料は、べたつきがなく、みずみずしい感触を持ち、浸透感にも優れ、なおかつシート等に含浸させて使用したときに肌への密着性に優れていると記載されている（段落００１１）。

　特許文献２（特開２００３－３３５６２７号公報）には、ｏ／ｗ型エマルジョン化粧料を不織布等のシート材に含浸させてなり、拭き始めから終わりまでの間、均一でべたつかず良好な使用感を持続可能であり、特殊な装置を使用しなくても乳化や含浸等が可能であり生産性に優れ、経時安定性、保存安定性等に優れ、持ち運び便利な化粧料含浸シートを提供することを目的とする技術として（段落０００６）、水相を連続相とする二相型化粧料をシート材に含浸させてなり、二相型化粧料における、静置粘度および攪拌粘度がそれぞれ特定の範囲にある化粧料含浸シートについて記載されている（請求項１）。

　特許文献３（特開２０１１－１２６８４６号公報）には、複数枚のシート状基材が袋に包装されたシート状化粧料であって、特定の粘度を示す化粧料が複数枚のシート状基材に含浸されているシート状化粧料について記載されている（請求項１）。そして、同文献には、上記シート状化粧料は、複数枚のシート状基材が袋に包装されたものであっても、化粧料を容易に含浸させることができ、しかもシート状基材から垂れ落ちがなく、保湿効果の高い化粧料を用いたシート状化粧料を提供することができると記載されている（段落０００９）。

　また、特許文献４（特開２０００－６３２３０号公報）には、従来から提供されているものを超えた、極めてしわの改善効果に優れる、しわ改善手段を提供するための技術として（段落０００５）、しわ改善剤及び親水性ゲル形成剤を、その液状成分中に含むシート状化粧料について記載されている（請求項１）。

特開２０１１－２０７８１７号公報特開２００３－３３５６２７号公報特開２０１１－１２６８４６号公報特開２０００－６３２３０号公報

　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水

　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーを含む、シート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　本発明によれば、
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料が提供される。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水

　また、本発明によれば、前記本発明におけるシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体が提供される。

　本発明者らは、シート状化粧料の使用感をさらに向上すべく検討した。その結果、前述の技術においては、化粧料を含浸させたシート状化粧料を顔に付けた際のシートの肌ざわりの点で改善の余地があり、たとえば、シートの表面の凹凸やざらつきを感じやすかったり、シートを貼付中に顔を動かすと肌との摩擦を感じやすかったりする場合があることが見出された。また、化粧料の肌への浸透感、保湿持続性、液だれのなさ、シートの密着感およびべたつきのなさの点においても改善の余地があることが見出された。
　そこで、本発明においては、化粧料を含浸させたシート状化粧料を顔に付けた際のシートの肌ざわり、化粧料の肌への浸透感、保湿持続性、液だれのなさ、シートの密着感およびべたつきのなさのバランスに優れるシート状化粧料を提供する。

　本発明によれば、化粧料を含浸させたシート状化粧料を顔に付けた際のシートの肌ざわり、化粧料の肌への浸透感、保湿持続性、液だれのなさ、シートの密着感およびべたつきのなさのバランスに優れるシート状化粧料を提供することができる。

　以下、本発明の実施形態について説明する。なお、組成物に含まれる各成分はいずれも単独でまたは二種以上を組み合わせて含むことができる。また、本明細書中、数値範囲を表す「～」は、断りがなければ、以上から以下を表し、上限値および下限値をいずれも含む。

　（シート状化粧料）
　本実施形態において、シート状化粧料は、以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させたものである。すなわち、シート状化粧料は、さらに具体的には、以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むものである。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水

　本発明者らは、成分（Ａ）～（Ｄ）を含み、成分（Ｃ）の量が調整された液状化粧料を織布または不織布に含浸させてシート状化粧料とすることにより、シート状化粧料の使用感を優れたものとすることができることを新たに見出した。
　さらに具体的には、本実施形態におけるシート状化粧料を肌に適用することにより、シート状化粧料を顔に付けた際のシートの肌ざわりを向上することができ、さらに具体的には、シートの表面の凹凸やざらつきやシートを貼付中に顔を動かすと肌との摩擦感を抑制することも可能となる。
　また、本実施形態によれば、シートの肌ざわり、化粧料の肌への浸透感、保湿持続性、液だれのなさ、シートの密着感およびべたつきのなさのバランスを優れたものとすることができる。
　以下、各構成をさらに具体的に説明する。

（組成物）
　シート基材に含浸する組成物は、具体的には化粧料組成物であってもよい。

（成分（Ａ））
　成分（Ａ）は、融点が５０～１５０℃である油性成分である。融点が５０～１５０℃である油性成分は、常温（５～３５℃）において固体状の油性成分である。

　成分（Ａ）として、たとえば、セラミド類、スフィンゴシン類（天然物と合成物を含む。）などのスフィンゴ脂質；
コレステロール、デヒドロコレステロール、β－シトステロール、ステアロイルコレステリルエステル、イソステアロイルコレステリルエステル、植物油脂肪酸コレステリルエステルなどのステロール類；
ステアリン酸、ベヘン酸等の炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸；
セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、バチルアルコール、キミルアルコールなどの炭素数が１６以上２２以下のアルコール；
モノミリスチルグリセリルエーテル、モノセチルグリセリルエーテル、モノステアリルグリセリルエーテル、モノベヘニルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル等の炭素数１４以上２２以下のモノアルキルグリセリルエーテル；
ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、ジョジョバロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、モクロウ等のロウ；
炭素数１４以上２２以下のモノ脂肪酸グリセリンエステル（たとえば、グリセリンモノミリスチン酸エステル、グリセリンモノパルミチン酸エステル、グリセリンモノステアリン酸エステル、グリセリンモノベヘン酸エステル、グリセリンモノオレイン酸エステル、グリセリンモノイソステアリン酸エステル）、炭素数１４以上２２以下のモノ脂肪酸ソルビタンエステル（たとえば、モノミリスチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン）、ミリスチン酸ミリスチル、イソステアリン酸コレステリル、ベヘニル酸ベヘニル、トリミリスチン酸グリセリン、デキストリン脂肪酸エステル（たとえば、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸デキストリン、べヘニン酸デキストリン）等のエステル油；および
ワセリン、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス等の炭化水素油が挙げられる。

　このうち、セラミド類としては、天然セラミド（たとえばセラミド２）、スフィンゴシン誘導体などの他、特開昭６２－２２８０４８号公報、特開昭６３－２１６８１２号公報、特開昭６３－２２７５１３号公報、特開昭６４－２９３４７号公報、特開昭６４－３１７５２号公報、特開平８－３１９２６３号公報などに記載のセラミド類似構造物質が例示される。セラミド類は、優れた保湿効果および皮膚バリア機能を有し、保湿持続性や肌改善効果が高いため好ましい。
　セラミド類は、優れた保湿効果および皮膚バリア機能を有し、保湿持続性や肌改善効果が高いという観点から、好ましくは天然セラミド、下記一般式（１）または（２）で表される化合物であり、より好ましくは下記一般式（１）で表される化合物である。

（上記一般式（１）中、Ｒ¹¹は炭素数１０～２６の炭化水素基であり、Ｒ¹²は炭素数９～２５の炭化水素基であり、Ｘは－（ＣＨ₂）_n－（ｎは２～６の整数である。）である。）
　一般式（１）に示した化合物として、たとえば、Ｎ－（ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル）－Ｎ－ヒドロキシエチルヘキサデカナミドが挙げられる。
　一般式（１）で表わされる化合物は、疑似型セラミド類であり、セラミド機能成分であり、セラミドの働きを補い、肌状態（水分量など）を改善することができる。

（上記一般式（２）中、Ｒ¹およびＲ²は、同一または異なって、炭素数１～４０のヒドロキシル化されていてもよい炭化水素基であり、Ｒ³は炭素数１～６のアルキレン基または単結合であり、Ｒ⁴は水素原子、炭素数１～１２のアルコキシ基または２，３－ジヒドロキシプロピルオキシ基である。ただし、Ｒ³が単結合のとき、Ｒ⁴は水素原子である。）
　また、一般式（２）に示した化合物として、たとえば、長鎖二塩基酸　ビス３－メトキシプロピルアミドが挙げられる。

　また、上記一般式（１）および（２）中、炭化水素基は、好ましくはアルキル基またはアルケニル基である。

　成分（Ａ）は、保湿持続性や肌改善効果を向上する観点から、好ましくはセラミド類、セラミド類以外のスフィンゴ脂質、ステロール類、炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、より好ましくはセラミド類、炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、さらに好ましくはセラミド類および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有し、よりさらに好ましくはセラミド類を含む。

　組成物中の成分（Ａ）の含有量は、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点、保湿持続性向上の観点および液だれ抑制の観点から、組成物全体に対し、好ましくは０．１質量％以上であり、より好ましくは０．３質量％以上、さらに好ましくは０．７質量％以上、よりさらに好ましくは１．５質量％以上である。
　また、べたつき抑制の観点および浸透感の向上の観点から、組成物中の成分（Ａ）の含有量は、組成物全体に対し、好ましくは５質量％以下であり、より好ましくは４質量％以下、さらに好ましくは３質量％以下、よりさらに好ましくは２．５質量％以下である。

　成分（Ａ）が、セラミド類とモノ脂肪酸グリセリンエステルとを含有する場合、セラミド類の含有量は、保湿持続性や肌改善効果を向上する観点から、成分（Ａ）全体に対して２０質量％以上が好ましく、５０質量％以上がより好ましく、８０質量％以上がさらに好ましく、９９質量％以上がさらにより好ましく、また、たとえば１００質量％未満であってもよい。同様の観点から、成分（Ａ）がモノ脂肪酸グリセリンエステルを含有せずセラミド類を含有することが好ましく、成分（Ａ）がモノ脂肪酸グリセリンエステルを含有せずセラミド類の含有量が成分（Ａ）全体に対して１００質量％であるとより好ましい。

（成分（Ｂ））
　成分（Ｂ）はイオン性界面活性剤である。成分（Ｂ）は、具体的には、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上である。
　本実施形態においては、組成物が成分（Ａ）および（Ｂ）を含むため、組成物中の成分の凝集や合一を抑制して組成物の保存安定性を向上することができる。

　アニオン界面活性剤として、たとえば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸アルギニン等の炭素数１２以上２２以下の脂肪酸またはその塩；
ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、セチル硫酸ナトリウム等の炭素数１２以上２２以下のアルキル硫酸エステルまたはその塩；
ポリオキシエチレンラウリル硫酸トリエタノールアミン等の炭素数１２以上２２以下のアルキルエーテル硫酸エステルまたはその塩；
モノステアリルリン酸ナトリウム等の炭素数１２以上２２以下のアルキルリン酸またはその塩；
ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンステアリルエーテルリン酸ナトリウム等のポリオキシエチレン炭素数１２以上２２以下のアルキルエーテルリン酸またはその塩；
ジ－２－エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム等の炭素数１２以上２４以下のジアルキルスルホコハク酸またはその塩；
Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンナトリウム等の炭素数１２以上２２以下のＮ－アルキロイルメチルタウリンまたはその塩；ならびに、
ラウロイルサルコシンナトリウム等のＮ－炭素数１２以上２２以下のアシルサルコシンまたはその塩；ジラウロイルグルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、Ｎ－ステアロイル－Ｌ－グルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ステアロイル－Ｌ－グルタミン酸アルギニン、Ｎ－ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、Ｎ－ミリストイル－Ｌ－グルタミン酸ナトリウム等のＮ－炭素数１２以上２２以下のアシルグルタミン酸またはその塩；およびその他のアシルアミノ酸系界面活性剤（たとえばＮ－炭素数１２以上２２以下のアシルグリシン）が挙げられる。

　カチオン界面活性剤としては、第４級アンモニウム塩が好ましく、たとえば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム等の塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化トリアルキルメチルアンモニウム、アルキルアミン塩などが挙げられる。

　両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン、アルキルスルホベタイン、アミドアミノ酸塩、アルキルアミドプロピルベタインが挙げられる。

　成分（Ｂ）は、シートの肌ざわり向上の観点、液だれ抑制の観点、密着感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、好ましくはアニオン界面活性剤を含み、より好ましくは炭素数１２以上２２以下のＮ－アルキロイルメチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、さらに好ましくはＮ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である。同様の観点から、成分（Ｂ）が炭素数１２以上２２以下のＮ－アルキロイルメチルタウリンまたはその塩であることも好ましく、より好ましくはＮ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩である。

　組成物中の成分（Ｂ）の含有量は、シートの肌ざわり向上の観点、保湿持続性向上の観点および液だれ抑制の観点から、組成物全体に対し、好ましくは０．０１質量％以上であり、より好ましくは０．０５質量％以上、さらに好ましくは０．１５質量％以上、さらにより好ましくは０．３質量％以上である。
　また、浸透感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、組成物中の成分（Ｂ）の含有量は組成物全体に対し、好ましくは１質量％以下であり、より好ましくは０．８質量％以下、さらに好ましくは０．６質量％以下である。

（成分（Ｃ））
　成分（Ｃ）は水溶性高分子である。
　成分（Ｃ）として、具体的には、ゼラチン、コラーゲン等のタンパク質またはポリペプチド；
ヒアルロン酸およびその塩、キサンタンガム、コンドロイチン硫酸およびその塩、デキストリン、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、プルラン等の多糖類；
アルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマー、ポリアクリルアミド、アクリルアミドとアクリル酸との共重合体、少なくともアクリル酸塩またはアクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン塩とを共重合して得られる共重合体等のアクリル酸系高分子やポリビニルアルコール；
メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系高分子；
アルギン酸およびその塩等のアルギン酸系高分子；ならびに
カルボキシメチルキチン、キトサンが挙げられる。

　アクリル酸系高分子のうち、カルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸またはメタアクリル酸を構成モノマーとして含有するポリマーが挙げられ、具体的には、カーボポール９８０、カーボポール９８１（以上、Lubrizol Advanced Materials社製）が挙げられる。
　また、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーとしては、アクリル酸またはメタアクリル酸と、炭素数１～３５の脂肪酸とのエステル結合（アルキル変性）したアクリル酸またはメタアクリル酸エステルを構成モノマーとして含有するポリマーが挙げられる。
　中でもアルキル基の炭素数が１０～３０であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体（アクリル酸／アクリル酸アルキル（Ｃ１０－３０））コポリマーとして知られるものが、べたつきを抑制する観点から好ましい。かかるポリマーとして、具体的には、カーボポールＥＴＤ２０２０、カーボポール１３８２、ペムレンＴＲ－１、ペムレンＴＲ－２（Ｌｕｂｒｉｚｏｌ社製）などが挙げられる。

　ポリアクリルアミドとしては、具体的には、ＳＥＰＩＧＥＬ　３０５（ＳＥＰＰＩＣ社製）等が挙げられる。
　アクリルアミドとアクリル酸との共重合体としては、アクリルアミド／アクリル酸アンモニウム）コポリマーが挙げられ、具体的には、ＳＥＰＩＰＬＵＳ　２６５（ＳＥＰＰＩＣ社製）等が挙げられる。

　少なくともアクリル酸塩またはアクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン塩とを共重合して得られる共重合体としては、たとえば、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体、アクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体、アクリル酸とアクリル酸アミドとアクリル酸塩およびアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体が挙げられる。
　このうち、アクリル酸塩とアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体としては、たとえば（アクリル酸Ｎａ／アクリロイルジメチルタウリンＮａ）コポリマーが挙げられ、さらに具体的には、ＳＩＭＵＬＧＥＬ　ＥＧ（ＳＥＰＰＩＣ社製）等が挙げられる。
　アクリル酸ヒドロキシアルキルとアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体としては、たとえば（アクリル酸ヒドロキシエチル／アクリロイルジメチルタウリンＮａ）コポリマーが挙げられ、さらに具体的には、ＳＩＭＵＬＧＥＬ　ＦＬ、ＳＩＭＵＬＧＥＬ　ＮＳ、ＳＥＰＩＰＬＵＳ　Ｓ、ＳＥＰＩＮＯＶ　ＥＭＴ　１０（以上、ＳＥＰＰＩＣ社製）等が挙げられる。
　アクリル酸とアクリル酸アミドとアクリル酸塩およびアクリロイルジメチルタウリン塩との共重合体としては、たとえばポリアクリレート－１３が挙げられ、さらに具体的には、ＳＥＰＩＰＬＵＳ　４００（ＳＥＰＰＩＣ社製）等が挙げられる。

　成分（Ｃ）は、シートの肌ざわり向上の観点、液だれ抑制の観点、密着感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、好ましくはアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくはアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子を含み、さらに好ましくはアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含み、さらにより好ましくはアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含み、殊更好ましくはアルキル基の炭素数が１０～３０であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体およびヒドロキシプロピルメチルセルロース（ＨＰＭＣ）を含む。

　組成物中の成分（Ｃ）の含有量は、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点、保湿持続性向上の観点、液だれ抑制の観点、密着感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、組成物全体に対して０．０５質量％以上であり、好ましくは０．０６質量％以上、より好ましくは０．０７質量％以上であり、さらに好ましくは０．０８質量％以上である。
　また、浸透感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、組成物中の成分（Ｃ）の含有量は、組成物全体に対して１質量％以下であり、好ましくは０．８質量％以下、より好ましくは０．６質量％以下、さらに好ましくは０．５質量％以下、さらにより好ましくは０．２質量％以下である。

　また、成分（Ｃ）がアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子を含むとき、組成物中のセルロース系高分子の含有量に対するアクリル酸系高分子の含有量の質量比（アクリル酸系高分子／セルロース系高分子）は、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、好ましくは１以上であり、より好ましくは２以上、さらに好ましくは５以上である。
　また、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、上記質量比（アクリル酸系高分子／セルロース系高分子）は、好ましくは６０以下であり、より好ましくは４０以下、さらに好ましくは２０以下である。

　組成物中の成分（Ｃ）の含有量に対する成分（Ｂ）の含有量の質量比（（Ｂ）／（Ｃ））は、シートの肌ざわり向上の観点、保湿持続性向上の観点およびべたつき抑制の観点から、好ましくは０．１以上であり、より好ましくは０．５以上、さらに好ましくは１．０以上、さらにより好ましくは２．０以上であり、よりさらに好ましくは４．２以上である。
　また、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点およびべたつき抑制の観点から、上記質量比（（Ｂ）／（Ｃ））は、好ましくは３０以下であり、より好ましくは２０以下、さらに好ましくは１０以下であり、よりさらに好ましくは６．７以下である。

（成分（Ｄ））
　成分（Ｄ）は、水である。組成物中の成分（Ｄ）の含有量は、たとえば組成物中の成分（Ｄ）以外の成分を除いた残部とすることができる。

　また、組成物中の成分（Ｄ）の含有量は、シートの肌ざわり向上および組成物の保存安定性向上の観点から、組成物全体に対して好ましくは５０質量％以上であり、より好ましくは６０質量％以上、さらに好ましくは６５質量％以上、さらにより好ましくは７０質量％以上である。
　また、シートの肌ざわり向上および組成物の保存安定性向上の観点から、組成物中の成分（Ｄ）の含有量は、組成物全体に対して９９．９５質量％未満であり、好ましくは９８質量％以下、より好ましくは９５質量％以下、さらに好ましくは９０質量％以下、さらにより好ましくは８５質量％以下、殊更好ましくは８０質量％以下である。

　また、組成物は、成分（Ａ）～（Ｄ）以外の成分を含んでもよい。たとえば、組成物は以下の成分（Ｅ）をさらに含む。

（成分（Ｅ））
　成分（Ｅ）は多価アルコールである。ただし、成分（Ｅ）から前述の成分（Ｃ）は除かれる。
　成分（Ｅ）の炭素数は、保液性および組成物の肌への転写性に優れる観点から、好ましくは２以上、より好ましくは３以上であり、また、好ましくは８以下であり、より好ましくは６以下である。

　また、成分（Ｅ）として、たとえば炭素数２以上８以下の多価アルコールおよびこれらの重合体が挙げられる。
　炭素数２以上８以下の多価アルコールとして、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、１，３－プロパンジオール、１，２－プロパンジオール、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、１，３－ブチレングリコール、イソプレングリコールおよびこれらの重合体からなる群から選ばれる一種または二種以上が挙げられる。
　成分（Ｅ）の分子量は、たとえば２００以下であり、好ましくは１５０以下、さらにより好ましくは１００以下であり、また、たとえば５０以上である。

　シート状化粧料の保液性を向上する観点から、成分（Ｅ）は、好ましくはグリセリン、１，３－ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールからなる群から選ばれる一または二以上の化合物を含み、より好ましくはグリセリン、１，３－ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールからなる群から選ばれる二以上の化合物を含む。

　組成物中の成分（Ｅ）の含有量は、保湿持続性向上の観点から、組成物全体に対して好ましくは５質量％以上であり、より好ましくは１０質量％以上、さらに好ましくは１５質量％以上である。
　また、べたつき抑制の観点および組成物の保存安定性向上の観点から、組成物中の成分（Ｅ）の含有量は、組成物全体に対して好ましくは４０質量％以下であり、より好ましくは３０質量％以下、さらに好ましくは２５質量％以下である。

　また、組成物は、上述した成分以外の成分を含んでもよい。
　たとえば組成物は、ｐＨ調整剤、防腐剤、保湿剤、エキスまたは抽出物、その他の化粧料に用いられる有効成分や添加剤からなる群から選ばれる一種または二種以上を含んでもよい。
　このうち、ｐＨ調整剤として、たとえばコハク酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸およびその塩；リン酸等の無機酸およびその塩；Ｌ－アルギニン等のアミノ酸およびその塩；水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩化アンモニウム等の塩基が挙げられる。
　防腐剤として、たとえばフェノキシエタノール、メチルパラベンが挙げられる。
　保湿剤として、たとえばトリメチルグリシン、メチルグルセス－２０が挙げられる。
　エキスまたは抽出物として、たとえば、ユーカリエキス、アスナロエキス、ショウキョウエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、アロエエキス、スギナエキス、茶エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、ニンジンエキス、ハマメリス抽出液、プラセンタエキス、海藻エキス、マロニエエキス、ローズマリーエキス、ユズエキス、アスナロエキス、ローヤルゼリーエキス、アスナロ抽出液等の動・植物抽出液が挙げられる。
　その他の化粧料に用いられる有効成分や添加剤として、たとえば、アラントイン、グリチルリチン酸ジカリウム等の抗炎症剤；エデト酸二ナトリウム等のキレート剤；Ｌ－アスコルビン酸　２－グルコシド、ナイアシンアミド、Ｎ－アミジノ－Ｌ－プロリンが挙げられる。

　組成物が２５℃において液状の油剤を含むとき、その含有量は、組成物の粘度上昇ならびにこれに伴う浸透感低下およびべたつきを抑制する観点から、組成物全体に対して５質量％以下が好ましく、３質量％以下がより好ましく、１質量％以下がさらに好ましく、０．８質量％以下がさらにより好ましい。同様の観点から、組成物中の２５℃において液状の油剤の含有量は、０質量％であることも好ましい。
　２５℃において液状の油剤として、たとえば、２５℃において液状のメチルポリシロキサン等のシリコーン油、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油、スクワラン等の炭化水素油、ホホバ油等の植物油が挙げられる。
　ここで、２５℃において液状の油剤は、具体的には、融点が２５℃以下の油剤である。

　本実施形態において、組成物は、好ましくは２５℃において液体である。
　組成物の２５℃における粘度は、シートの肌ざわり向上の観点、保湿持続性向上の観点および液だれ抑制の観点から、好ましくは５０ｍＰａ・ｓ以上であり、より好ましくは１３０ｍＰａ・ｓ以上、さらに好ましくは１７０ｍＰａ・ｓ以上、さらにより好ましくは２８０ｍＰａ・ｓ以上であり、殊更好ましくは４００Ｐａ・ｓ以上である。
　また、化粧料の肌への浸透感を向上する観点およびべたつきを抑制する観点から、好ましくは５，０００ｍＰａ・ｓ以下であり、より好ましくは３，０００ｍＰａ・ｓ以下、さらに好ましくは２，５００ｍＰａ・ｓ以下、さらにより好ましくは２，０００ｍＰａ・ｓ以下である。
　ここで、組成物の粘度は、Ｂ型粘度計を用い、回転数１２ｒｐｍ、測定時間６０秒、測定温度２５℃で測定され、組成物の粘度によって、以下のローターによって測定される。
粘度２５０ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．１、
粘度２５０ｍＰａ・ｓ以上２，５００ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．２、
粘度２，５００ｍＰａ・ｓ以上１０，０００ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．３、
粘度１０，０００ｍＰａ・ｓ以上：ローターＮｏ．４

　また、組成物は、好ましくはベシクル粒子の分散液である。動的光散乱法（たとえば、ＺＥＴＡＳＩＺＥＲ　ｎａｎｏ－ＺＳ、Ｍａｌｖｅｒｎ　Ｐａｎａｌｙｔｉｃａｌ社製）により測定されるベシクル粒子の粒子径は、シートの肌ざわり向上の観点およびべたつき抑制の観点から、好ましくは１００ｎｍ以上であり、より好ましくは２００ｎｍ以上である。
　また、シートの肌ざわり向上の観点、べたつき抑制および組成物の保存安定性向上の観点から、上記粒子径は、好ましくは１，０００ｎｍ以下であり、より好ましくは８００ｎｍ以下である。

（シート基材）
　本実施形態において、シート状化粧料を構成するシート基材は、限定されず、組成物を含浸可能なシート状の支持体である。シート基材としては、織布または不織布が好ましい。シート基材は、積層体（すなわち、積層シート）であってもよく、たとえば、織布の積層体、不織布の積層体、織布と不織布の積層体などであってもよい。
　シート基材は、使用感の向上、加工のし易さ等の観点から、不織布を含むシート基材であることが好ましく、より好ましくは不織布である。上記不織布としては、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スティッチボンド不織布などが挙げられる。

　織布や不織布を構成する繊維としては、限定されず、たとえば、天然繊維、合成繊維、半天然繊維などが挙げられる。
　このうち、天然繊維としては、綿、パルプ、シルク、セルロース、麻、リンター、カボックなどが挙げられる。上記合成繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維（たとえば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等）、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維（たとえば、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等）などが挙げられる。
　半天然繊維としては、レーヨン、アセテートなどが挙げられる。
　織布や不織布を構成する繊維は、１種のみを用いてもよいし、２種以上を用いてもよい。また、２種以上の上記繊維からなる混紡繊維を用いてもよい。
　肌あたり、保湿持続性向上の観点から、シート基材を構成する繊維は、天然繊維または半天然繊維であることが殊更望ましく、よりいっそう好ましくはレーヨンおよびパルプである。シート基材の材料がレーヨンおよびパルプであるとき、（レーヨン／パルプ）の比はたとえば５／９５～９５／５であり、好ましくは５０／５０～９５／５であり、より好ましくは７０／３０～９０／１０である。

　また、シート基材には、エンボス加工処理が施されていてもよい。エンボス加工処理としては、限定されず、たとえば、裏面を押し上げて浮かす（したがって裏面は凹む）方式や、表面に特殊なインクを付着することで凸部を形成する（裏面は凹まない）方式などが挙げられる。

　シート基材は、織布や不織布等の種類に応じて、公知の製造方法により製造することができる。また、シート基材には市販品を用いることもできる。シート基材の市販品の具体例として、ダイワボウポリテック社製、商品名「ＲＨ」；ダイワボウポリテック社製、商品名「ＡＳ－４０」；フタムラ化学社製、商品名「ＴＣＦ４０４ＷＪ」；ユニチカ社製、商品名「コットエース　Ａ０６０Ｓ／Ａ１８」；ユニチカ社製、商品名「コットエース　Ｃ０３０Ｓ／Ａ１８」；クラレ社製、商品名「クラフレックスＪＰ２４４５Ｂ０１９」；クラレ社製、商品名「クラフレックスＪＰ０５０９Ｂ０５６」；クラレ社製、商品名「クラフレックスＪＰ４２５０Ｈ０２３」；旭化成社製、商品名「ベンリーゼＳＥ８０３」；旭化成社製、商品名「ベンリーゼＪＰ２５４」；旭化成社製、商品名「ベンリーゼＲＥ７５Ｋ」；三和紙業社製、商品名「サンモアＳＰ８７４０」；三和製紙社製、商品名「ＮＲ９１０６０」；伊野紙社製、商品名「Ｍ１－３０－２ＰＥ」などが挙げられる。

　シート基材の目付（坪量）は、限定されないが、シート状化粧料の使用感を向上させる観点から、好ましくは２０ｇ／ｍ²であり、より好ましくは４５ｇ／ｍ²以上、さらに好ましくは５０ｇ／ｍ²以上であり、また、好ましくは１５０ｇ／ｍ²以下であり、より好ましくは１２５ｇ／ｍ²以下、さらに好ましくは１００ｇ／ｍ²以下である。
　なお、シート基材の目付は、ＪＩＳ　Ｌ　１９１３に準拠し、不織布を一定面積の寸法に切り出してその質量（ｇ）を測定し、これを１ｍ²の質量に換算して求めることができる。

　シート基材の厚さは、シートの肌ざわり向上の観点および液だれ抑制の観点から、好ましくは０．１ｍｍ以上であり、より好ましくは０．３ｍｍ以上である。
　シートの肌ざわり向上の観点および液だれ抑制の観点から、シート基材の厚さは、好ましくは１．５ｍｍ以下であり、より好ましくは０．７ｍｍ以下である。
　ここで、シート基材の厚さは、押圧２０ｇｆ／ｃｍ²荷重のダイアルゲージによる測定により得られる。

　次に、シート状化粧料の製造方法を説明する。
　シート状化粧料の製造方法は、たとえば、組成物を準備する工程と、シート基材を準備する工程と、組成物をシート基材に含浸させる工程と、を含む。

　組成物を準備する工程においては、たとえば、以下の手順で組成物を調製することができる。すなわち、成分（Ａ）、成分（Ｂ）およびその他の成分を撹拌しながら加熱混合し、さらに加熱した成分（Ｄ）の一部を加え、均一に混合後、２５℃程度に冷却して第Ｉ相を得る。
　一方、成分（Ａ）以外の油性成分に成分（Ｃ）を添加して撹拌混合し、混合物を得た後、これを、成分（Ｄ）の残部および水性成分の加熱混合物に加えて混合後、２５℃程度に冷却して第ＩＩ相を得る。
　そして、撹拌しながら第Ｉ相に第ＩＩ相を２５℃で添加して均一になるまで混合し、組成物を得る。

　組成物を含浸させる工程においては、たとえば、アルミパウチ等の容器内でシート基材を組成物に浸漬することができる。

　組成物の含浸率は、シートの肌ざわり向上の観点、浸透感向上の観点および密着感向上の観点から、シート基材の質量に対して好ましくは３００質量％以上であり、より好ましくは５００質量％以上、さらに好ましくは７００質量％以上である。
　また、液だれ抑制の観点から、組成物の含浸率は、シート基材の質量に対して好ましくは２０００質量％以下であり、より好ましくは１８００質量％以下、さらに好ましくは１５００質量％以下である。

　（包装体）
　本実施形態において、包装体は、たとえば本実施形態におけるシート状化粧料が包装材に収容されているものであり、好ましくは密封されたものである。
　包装体の材料に制限はなく、たとえばアルミシート（アルミ箔）やシリカ蒸着フィルム等のバリア層を挟んでその表裏両面をたとえばポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル等により構成された合成樹脂フィルム層で覆った積層フィルム等とすることができる。
　また、包装体の形状に制限はなく、たとえばピロー袋、ガゼット袋、パウチ、箱、ボトル、ジャー等とすることができる。
　１つの包装材内に、１枚のシート状化粧料が収容されていてもよいし、２枚以上のシート状化粧料が収容されていてもよい。また、１つの包装材内に、２枚以上のシート状化粧料が連結した状態で収容されていてもよい。このとき、たとえば不織布にミシン目が設けられていてよく、使用する分のシート状化粧料をミシン目に沿って切り取って用いることができる。
　シート状化粧料は、たとえば折りたたんだ状態または巻いた状態で収納される。

　上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のシート状化粧料および包装材を開示する。
＜１＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水

＜２＞　成分（Ａ）が、好ましくはセラミド類、セラミド類以外のスフィンゴ脂質、ステロール類、炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、より好ましくはセラミド類、炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有し、さらに好ましくはセラミド類および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有し、よりさらに好ましくはセラミド類を含む、＜１＞に記載のシート状化粧料。
＜３＞　組成物中の成分（Ａ）の含有量が、組成物全体に対し、好ましくは０．１質量％以上であり、より好ましくは０．３質量％以上、さらに好ましくは０．７質量％以上、よりさらに好ましくは１．５質量％以上であり、また、好ましくは５質量％以下であり、より好ましくは４質量％以下、さらに好ましくは３質量％以下、よりさらに好ましくは２．５質量％以下である、＜１＞または＜２＞に記載のシート状化粧料。
＜４＞　成分（Ａ）がセラミド類とモノ脂肪酸グリセリンエステルとを含有するとともに、セラミド類の含有量が、成分（Ａ）全体に対して好ましくは２０質量％以上であり、より好ましくは５０質量％以上、さらに好ましくは８０質量％以上、さらにより好ましくは９９質量％以上であり、また、たとえば１００質量％未満である、＜１＞乃至＜３＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜５＞　前記成分（Ｂ）が、好ましくはアニオン界面活性剤を含み；
より好ましくは炭素数１２以上２２以下のＮ－アルキロイルメチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、さらに好ましくはＮ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である；または、
より好ましくは炭素数１２以上２２以下のＮ－アルキロイルメチルタウリンまたはその塩であり、さらに好ましくはＮ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩である、＜１＞乃至＜４＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜６＞　組成物中の成分（Ｂ）の含有量が、組成物全体に対し、好ましくは０．０１質量％以上であり、より好ましくは０．０５質量％以上、さらに好ましくは０．１５質量％以上、さらにより好ましくは０．３質量％以上であり、また、好ましくは１質量％以下であり、より好ましくは０．８質量％以下、さらに好ましくは０．６質量％以下である、＜１＞乃至＜５＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜７＞　前記成分（Ｃ）が、好ましくはアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、より好ましくはアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子を含み、さらに好ましくはアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含み、さらにより好ましくはアルキル基の炭素数が１０～３０であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体およびＨＰＭＣを含む、＜１＞乃至＜６＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜８＞　組成物中の成分（Ｃ）の含有量が、組成物全体に対して０．０５質量％以上であり、好ましくは０．０６質量％以上、より好ましくは０．０７質量％以上であり、さらに好ましくは０．０８質量％以上であり、また、１質量％以下であり、好ましくは０．８質量％以下、より好ましくは０．６質量％以下、さらに好ましくは０．５質量％以下、さらにより好ましくは０．２質量％以下である、＜１＞乃至＜７＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜９＞　成分（Ｃ）がアクリル酸系高分子およびセルロース系高分子を含み、組成物中のセルロース系高分子の含有量に対するアクリル酸系高分子の含有量の質量比（アクリル酸系高分子／セルロース系高分子）が、好ましくは１以上であり、より好ましくは２以上、さらに好ましくは５以上であり、また、好ましくは６０以下であり、より好ましくは４０以下、さらに好ましくは２０以下である、＜１＞乃至＜８＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１０＞　組成物中の成分（Ｃ）の含有量に対する成分（Ｂ）の含有量の質量比（（Ｂ）／（Ｃ））が、好ましくは０．１以上であり、より好ましくは０．５以上、さらに好ましくは１．０以上、さらにより好ましくは２．０以上であり、よりさらに好ましくは４．２以上であり、また、好ましくは３０以下であり、より好ましくは２０以下、さらに好ましくは１０以下であり、よりさらに好ましくは６．７以下である、＜１＞乃至＜９＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１１＞　組成物中の成分（Ｄ）の含有量が、組成物全体に対して好ましくは５０質量％以上であり、より好ましくは６０質量％以上、さらに好ましくは６５質量％以上、さらにより好ましくは７０質量％以上であり、また、９９．９５質量％未満であり、好ましくは９８質量％以下、より好ましくは９５質量％以下、さらに好ましくは９０質量％以下、さらにより好ましくは８５質量％以下、殊更好ましくは８０質量％以下である、＜１＞乃至＜１０＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１２＞　組成物が、好ましくは成分（Ｅ）：多価アルコールをさらに含み、より好ましくは炭素数２以上８以下の多価アルコールおよびこれらの重合体を含み、さらに好ましくはグリセリン、１，３－ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールからなる群から選ばれる一または二以上の化合物を含み、より好ましくはグリセリン、１，３－ブチレングリコールおよびジプロピレングリコールからなる群から選ばれる二以上の化合物を含む、＜１＞乃至＜１１＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１３＞　組成物中の成分（Ｅ）の含有量が、組成物全体に対して好ましくは５質量％以上であり、より好ましくは１０質量％以上、さらに好ましくは１５質量％以上であり、また、好ましくは４０質量％以下であり、より好ましくは３０質量％以下、さらに好ましくは２５質量％以下である、＜１２＞に記載のシート状化粧料。
＜１４＞　組成物中の２５℃において液状の油剤の含有量が、組成物全体に対して好ましくは５質量％以下であり、より好ましくは３質量％以下、さらに好ましくは１質量％以下、さらにより好ましくは０．８質量％以下、殊更好ましくは０質量％である、＜１＞乃至＜１３＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１５＞　２５℃における前記組成物の粘度が、好ましくは５０ｍＰａ・ｓ以上であり、より好ましくは１３０ｍＰａ・ｓ以上、さらに好ましくは１７０ｍＰａ・ｓ以上、さらにより好ましくは２８０ｍＰａ・ｓ以上であり、殊更好ましくは４００Ｐａ・ｓ以上であり、また、好ましくは５，０００ｍＰａ・ｓ以下であり、より好ましくは３，０００ｍＰａ・ｓ以下、さらに好ましくは２，５００ｍＰａ・ｓ以下、さらにより好ましくは２，０００ｍＰａ・ｓ以下である、＜１＞乃至＜１４＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１６＞　シート基材を構成する繊維が、好ましくは天然繊維または半天然繊維であり、より好ましくはレーヨンおよびパルプである、＜１＞乃至＜１５＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１７＞　組成物の含浸率が、シート基材の質量に対して好ましくは３００質量％以上であり、より好ましくは５００質量％以上、さらに好ましくは７００質量％以上であり、また、好ましくは２０００質量％以下であり、より好ましくは１８００質量％以下、さらに好ましくは１５００質量％以下である、＜１＞乃至＜１６＞いずれか１つに記載のシート状化粧料。
＜１８＞　＜１＞乃至＜１７＞いずれか１つに記載のシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体。
＜１９＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．１質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤　０．０１質量％以上１質量％以下
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２０＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）および（Ｅ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．１質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤　０．０１質量％以上１質量％以下
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
（Ｅ）多価アルコール　５質量％以上４０質量％以下
＜２１＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）セラミド類および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する油性成分　０．３質量％以上４質量％以下
（Ｂ）Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種のイオン性界面活性剤　０．０５質量％以上０．８質量％以下
（Ｃ）アルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む水溶性高分子　０．０８質量％以上０．５質量％以下
（Ｄ）水
＜２２＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）、（Ｄ）および（Ｅ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）セラミド類および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる少なくとも一つを含有する油性成分　０．３質量％以上４質量％以下
（Ｂ）Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種のイオン性界面活性剤　０．０５質量％以上０．８質量％以下
（Ｃ）アルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む水溶性高分子　０．０８質量％以上０．５質量％以下
（Ｄ）水
（Ｅ）多価アルコール　１５質量％以上２５質量％以下
＜２３＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２４＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２５＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２６＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２７＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２８＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜２９＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜３０＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
＜３１＞　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
＜３２＞　＜１９＞乃至＜３１＞いずれか１つに記載のシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体。

　以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。

　（実施例１～１１、比較例１～６）
　表１および表２に示す配合で各例の組成物を調製し、これをシート基材に含浸させて、各例のシート状化粧料を得た。
　表１、表２および後述の表３、表６において、各成分の量はアクティブ量（単位：質量％）である。

（組成物の調製方法）
　プロペラ攪拌機で撹拌しながら、成分（Ａ）、（Ｂ）および（Ｅ）を８０～９５℃で加熱混合し、さらに８０～９５℃に加熱した成分（Ｄ）の一部を加え、均一に混合後、２５℃まで冷却して第Ｉ相を得た。
　一方、プロペラ攪拌機で撹拌しながら、成分（Ａ）を除く油性成分に成分（Ｃ）を添加し、混合し、混合物を得た。その後、８０℃で加熱混合した残りの成分（Ｄ）および水性成分に、上記混合物を加え混合後、２５℃まで冷却して第ＩＩ相を得た。
　そして、プロペラ攪拌機で撹拌しながら、２５℃で第Ｉ相に第ＩＩ相を添加し、均一になるまで混合し、組成物を得た。

（組成物の粘度の測定）
　粘度は、Ｂ型粘度計（東機産業社社製、ＴＶＢ－１０型）を用い、回転数１２ｒｐｍ、測定時間６０秒、温度２５℃で測定した。ローターは、組成物の粘度によって、以下のローターを用いた。
粘度２５０ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．１、
粘度２５０ｍＰａ・ｓ以上２，５００ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．２、
粘度２，５００ｍＰａ・ｓ以上１０，０００ｍＰａ・ｓ未満：ローターＮｏ．３、
粘度１０，０００ｍＰａ・ｓ以上：ローターＮｏ．４

（シート状化粧料の製造方法）
　アルミパウチ内で、シート基材である不織布（レーヨン８５％、パルプ１５％；目付６０ｇ／ｍ²；平均厚さ０．４ｍｍ）に各例で得られた組成物を浸漬させてフェイスマスクを得た。組成物の含浸率は１２００質量％とした。

（評価方法）
　各例で得られたシート状化粧料について、シートの肌ざわり、浸透感、保湿持続性、液だれ、密着感およびべたつきを以下の方法で評価した。評価結果を表１および表２に示す。

（シートの肌ざわり）
（評価方法）
（１）シートの肌ざわり
　専門評価者１名が、シートの表面を指で触った時の滑らかさと、顔に貼付する際、貼付して顔を動かした際のシートそのものの凹凸やざらつきの感じにくさを以下に示す５段階の基準で評価した。
５：明らかに感じない
４：感じない
３：ほとんど感じない
２：やや感じる
１：明らかに感じる

（２）浸透感および密着感
　専門評価者１名が、シートを顔に貼付し、１０分後の組成物の肌への浸透感、密着感を以下に示す５段階の基準で評価した。
５：明らか強くに感じる
４：明らかに感じる
３：感じる
２：あまり感じない
１：感じない

（３）保湿感の持続（保湿持続性）
　専門評価者１名が、シートを顔に貼付し、１０分後にシートを剥離し、３０分後に保湿感の持続を以下に示す５段階の基準で評価した。
５：明らか強くに感じる
４：明らかに感じる
３：感じる
２：あまり感じない
１：感じない

（４）液だれ
　専門評価者１名が、シートを顔に貼付し、１０分後の組成物のシートからの液だれを以下に示す５段階の基準で評価した。
５：液だれが全くない
４：液だれがない
３：液だれがほとんどない
２：液だれがややある
１：明らかに液だれがある

（５）べたつき
　専門評価者１名が、シートを顔に貼付し、１０分後にシートを剥離し、べたつきのなさを以下に示す５段階の基準で評価した。
５：明らかに感じない
４：感じない
３：ほとんど感じない
２：やや感じる
１：明らかに感じる

　表１および表２で用いた成分の詳細を以下に示す。
Ｎ－（ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル）－Ｎ－ヒドロキシエチルヘキサデカナミド：スフィンゴリピッド　Ｅ、花王社製
セラミド２：Ｃｅｒａｍｉｄｅ　ＴＩＣ－００１、高砂香料工業社製
Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンナトリウム：ニッコール　ＳＭＴ、日光ケミカルズ社製
Ｎ－ステアロイル－Ｌ－グルタミン酸ナトリウム：アミソフトＨＳ－１１Ｐ、味の素社製
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体：ＰＥＭＵＬＥＮ　ＴＲ－１　ＰＯＬＹＭＥＲ、Ｌｕｂｒｉｚｏｌ社製
カルボキシビニルポリマー：カーボポール９８０、Ｌｕｂｒｉｚｏｌ社製
ヒドロキシプロピルメチルセルロース：メトローズ　６０ＳＨ－４０００、信越化学工業社製
ヒドロキシエチルセルロース：ＨＥＣ８５０Ｋ、ダイセル化学工業社製
グリセリン：化粧用濃グリセリン、花王社製
１，３－ブチレングリコール：１，３－ブチレングリコール－Ｐ、ＫＨネオケム社製
ジプロピレングリコール：ＤＰＧ－ＲＦ、ＡＤＥＫＡ社製
フェノキシエタノール：ハイソルブ　ＥＰＨ、東邦化学工業社製
メチルポリシロキサン：シリコーン　ＫＦ－９６Ａ－１０ＣＳ（－Ｇ）、信越化学工業社製
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール：エステモールＮ－０１、日清オイリオグループ社製
Ｌ－アルギニン：Ｌ－アルギニン　Ｃグレード、味の素社製

　表１および表２より、各実施例で得られたシート状化粧料においては、シートの肌ざわり、浸透感、保湿持続性、液だれのなさ、密着感およびべたつきのなさの各効果のバランスに優れていた。

　（処方例１～４）
　シート状化粧料における組成物の処方例を表３に示す。

　（実施例１～１１、比較例１～６：シートの肌ざわりの詳細評価）
　表１および表２に記載の各例の構成を有するシート状化粧料について、以下の方法でシートの肌ざわりをさらに評価した。評価結果を表４および表５に示す。
（シートの肌ざわり）
（評価方法）
（６）シートの肌ざわり（指で触った時の滑らかさ）
　専門評価者３名が、シートの表面を指で触った時の滑らかさを以下に示す５段階の基準で評価した。３名の合計点を表４および表５に示す。
５：明らかに滑らかに感じる
４：滑らかに感じる
３：やや滑らかに感じる
２：あまり滑らかに感じない
１：明らかに滑らかに感じない
（７）シートの肌ざわり（顔に貼付時）
　専門評価者３名が、シートを顔に塗布し、顔を動かした際のシートそのものの凹凸やざらつきの感じにくさを以下に示す５段階の基準で評価した。３名の合計点を表４および表５に示す。
５：明らかに感じない
４：感じない
３：ほとんど感じない
２：やや感じる
１：明らかに感じる

　（実施例１２、１３）
　表６に示す配合とした他は、実施例１にて前述の方法と同様の方法で各例の組成物を調製し、粘度を測定した。実施例１と同様に、得られた組成物をシート基材に含浸させて、各例のシート状化粧料を得た。
（評価方法）
　シートの肌ざわりについては、実施例１における上記（６）および（７）の方法で評価した。
　浸透感および密着感、保湿感の持続（保湿持続性）、液だれ、べたつきは、専門評価者３名で行った以外は、それぞれ、実施例１における上記（２）～（５）の方法で評価した。
　評価結果を表６にあわせて示す。

Claims

　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　前記成分（Ａ）が、セラミド類、前記セラミド類以外のスフィンゴ脂質、ステロール類、炭素数が１６以上２２以下の脂肪酸および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有する、請求項１に記載のシート状化粧料。
　前記成分（Ｂ）が、Ｎ－ステアロイル－Ｎ－メチルタウリンまたはその塩およびアシルアミノ酸系界面活性剤からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項１または２に記載のシート状化粧料。
　前記成分（Ｃ）が、アクリル酸系高分子およびセルロース系高分子からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項１乃至３いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　前記成分（Ｃ）が、アクリル酸系高分子およびセルロース系高分子を含む、請求項１乃至４いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　前記成分（Ｃ）が、アルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、請求項１乃至５いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　前記組成物中の前記成分（Ｃ）の含有量に対する前記成分（Ｂ）の含有量の質量比（（Ｂ）／（Ｃ））が、０．１以上３０以下である、請求項１乃至６いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　２５℃における前記組成物の粘度が、５０ｍＰａ・ｓ以上５，０００ｍＰａ・ｓ以下である、請求項１乃至７いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　前記成分（Ａ）が、セラミド類および炭素数が１６以上２２以下のアルコールからなる群から選ばれる一種または二種以上を含有する、請求項１乃至８いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　前記組成物の含浸率が、３００質量％以上２０００質量％以下である請求項１乃至９いずれか一項に記載のシート状化粧料。
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材中に含むシート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されたカルボキシビニルポリマーを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　以下の成分（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）および（Ｄ）を含む組成物をシート基材に含浸させた、シート状化粧料であって、前記成分（Ｃ）がアルキル変性されてもよいカルボキシビニルポリマーおよびヒドロキシアルキルセルロースを含む、シート状化粧料。
（Ａ）融点が５０～１５０℃である油性成分　０．７質量％以上５質量％以下
（Ｂ）イオン性界面活性剤
（Ｃ）水溶性高分子　０．０５質量％以上１質量％以下
（Ｄ）水
　請求項１乃至１５いずれか一項に記載のシート状化粧料が包装材内に収容されている、包装体。