WO2022191115A1

WO2022191115A1 - 車両

Info

Publication number: WO2022191115A1
Application number: PCT/JP2022/009657
Authority: WO
Inventors: 庸太朗森
Original assignee: 株式会社ストリーモ
Priority date: 2021-03-12
Filing date: 2022-03-07
Publication date: 2022-09-15
Also published as: JPWO2022191115A1; EP4306187A1; CN116981615A

Abstract

車両（１００）は、単一の前輪（１）と、前輪（１）の上方に配置された操舵部（１４）と、を有する第１構成部（１００Ａ）と、左右一対の後輪（２）と、乗員の足が載置される載置部（３０）と、を有する第２構成部（１００Ｂ）と、前後方向に延在する揺動軸線を中心にして、第１構成部（１００Ａ）と第２構成部（１００Ｂ）とを左右方向に揺動可能に連結する揺動部（５０）と、を備える。載置部（３０）は、略水平方向に延在するとともに後端が左右方向に延在する単一の板部材により構成される。

Description

車両

　本発明は、前輪と後輪とを有する車両に関する。

　従来より、単一の前輪と左右一対の後輪とを有する電動式の３輪車両が知られている（例えば特許文献１参照）。特許文献１記載の車両には、左右の後輪の内側に、立位姿勢の乗員の足が載置される左右一対のステップが設けられるとともに、前輪の上方に、前輪を転舵するためのハンドルが設けられ、電動モータにより後輪が駆動されて車両が走行する。

特開平８－３１０２５４号公報

　しかしながら、上記特許文献１記載の車両は、左右一対のステップを有するため、部品点数が増加し、コストの上昇を招く。

　本発明の一態様は、単一の前輪と、前輪の上方に配置された操舵部と、を有する第１構成部と、左右一対の後輪と、乗員の足が載置される載置部と、を有する第２構成部と、前後方向に延在する揺動軸線を中心にして、第１構成部と第２構成部とを左右方向に揺動可能に連結する連結部と、を備える。載置部は、略水平方向に延在するとともに後端が左右方向に延在する単一の板部材により構成される。

　本発明によれば、車両の部品点数が削減され、コストの上昇を抑えることができる。

本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す側面図。本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す平面図。図２の一部を省略して示す平面図。図３のIV-IV線に沿った断面図。図１のV-V線に沿った断面図。本発明の実施形態に係る車両を後方から見た状態を概略的に示す図。本発明の実施形態に係る車両の姿勢変更の動作を説明する図。本発明の実施形態に係る車両の姿勢変更の動作を説明する図であり、図７Ａに続く動作を示す図。本発明の実施形態に係る車両の姿勢変更の動作を説明する図であり、図７Ｂに続く動作を示す図。本発明の実施形態に係る車両の姿勢変更の動作を説明する図であり、図７Ｃに続く動作を示す図。図３の変形例を示す図。図８のIX-IX線に沿った断面図。本発明の実施形態に係る車両への乗車時の乗員のステップ上の足の配置を概略的に示す平面図。

　以下、図１～図１０を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両は、単一の前輪と左右一対の後輪とを有する三輪車両であり、ユーザが立位姿勢で乗車可能に構成される。

　図１，図２は、それぞれ本発明の実施形態に係る車両１００の全体構成を示す側面図および平面図であり、車両利用時における車両１００の走行姿勢、すなわち走行可能な姿勢を示す。なお、走行不能な姿勢を非走行姿勢と呼ぶ。図１には、ユーザＰＳの使用状態を併せて示す（二点鎖線）。以下では、図示のように車両１００の前後方向（長さ方向）、左右方向（幅方向）および上下方向（高さ方向）を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。図１は、車両１００を左から見た図であり、図２は、車両１００を上方から見た図である。

　図１，図２に示すように、車両１００は、前輪１および後輪２と、車両１００の骨格を構成するフレームＦＬとを有し、車両１００の左右方向の中心を通る中心線ＣＬ１（図２）を基準にして全体が左右対称に構成される。より詳しくは、前輪１は、中心線ＣＬ１に沿って配置され、左右の後輪２は中心線ＣＬ１を挟んで左右対称位置に配置される。前輪１は後輪２と同径である。なお、前輪１は後輪２よりも小径または大径であってもよい。フレームＦＬは、前フレーム１０と後フレーム２０とを有する。

　前フレーム１０は、上下方向に延在する断面略矩形状の縦パイプ１１と、縦パイプ１１の下端部の後面から後方に延在する傾斜フレーム１２とを有する。縦パイプ１１は、上端部が下端部よりも後方に位置するように傾斜して延在する。傾斜フレーム１２は、前方にかけて上り勾配（前上がり）で傾斜する。より詳しくは、傾斜フレーム１２は、後端部が前輪１の上端よりも下方に、前端部が前輪１の上端よりも上方に位置するように傾斜して延在し、傾斜フレーム１２の前端部は縦パイプ１１の後面に接合される。

　縦パイプ１１には断面略円筒形状の貫通孔が上下方向にわたって形成され、貫通孔に断面略円形状のハンドル軸１３が回転可能に挿入される。ハンドル軸１３の上端部には、ハンドル１４の左右方向中央部が固定され、下端部にはフロントフォーク１５が固定される。ハンドル軸１３は、縦パイプ１１に対し昇降可能（伸縮可能）に支持される。なお、図示は省略するが、縦パイプ１１の上端部には、ハンドル軸１３の高さを固定するロック機構が設けられる。

　前輪１の回転軸１ａは、左右一対のフロントフォーク１５により回転可能に支持される。前輪１は、ハンドル１４の回動操作（操舵）により転舵される。ハンドル１４は左右方向に略直線状に延在するバーハンドルであり、ハンドル１４の左右両端部には、ユーザＰＳによって把持される樹脂製ないしゴム製のグリップ１４ａが設けられる。左右一対のフロントフォーク１５の内側には、前輪１の上方から後方にかけて、前輪１の周囲を覆うように略円弧状のフロントフェンダー１６が取り付けられる。

　詳細な図示は省略するが、前輪１の内側には、走行モータ４（インホイールモータ）と、ブレーキユニット５とが収納される。例えば左側に走行モータ４が、右側にブレーキユニット５がそれぞれ配置される。車両１００は、走行モータ４の駆動により走行する電動車両として構成される。ブレーキユニット５は、例えばドラムブレーキを構成するドラムブレーキユニットとして構成される。なお、図示は省略するが後輪２にも同様にブレーキユニットが設けられる。これらブレーキユニット５は、ハンドル１４のグリップ１４ａの前方に設けられたブレーキレバー１４ｂの操作により作動し、前輪１および後輪２に制動力が付与される。なお、電動機としての走行モータ４は前輪１でなく後輪２内、または前輪１と後輪２の双方に設けられてもよい。前輪１と後輪２の双方に走行モータを設けることにより、車両１００の牽引能力や登坂能力を向上することができる。

　図示は省略するが、ハンドル１４には、メイン電源のオンオフを指令するスタータスイッチや右左折を報知するウィンカースイッチ、走行指令を入力するアクセルレバーなどが、ユーザにより操作可能に設けられる。ハンドル１４に、バッテリ残容量や設定車速等の車両情報を表示する表示部を設けることもできる。ハンドル１４の下方には、ウィンカースイッチの操作により点滅する左右一対のウィンカーランプが設けられる。縦パイプ１１の上端部には前照灯が設けられる。

　後フレーム２０は、車両１００の走行姿勢においてユーザＰＳの足が載置されるステップ３０を有する。ステップ３０の後方にはバッテリ４０が配置される。図３は、ステップ３０とバッテリ４０とを省略した車両１００の全体構成を示す平面図である。図３に示すように、後フレーム２０は、中心線ＣＬ１に沿って前後方向に延在する断面略矩形状ないし略円形状のメインフレーム２１と、メインフレーム２１に交差して左右方向に延在する断面略矩形状の前後一対の横フレーム２２，２３と、メインフレーム２１の後端部から左右方向に延在する左右一対の支持フレーム２４とを有する。なお、これらフレーム２１～２４を、図２には点線で示す。

　図１に示すように、メインフレーム２１の上面には前後２箇所に、それぞれ左右方向にかけて凹部２１ａが形成され、凹部２１ａに横フレーム２２，２３が嵌合されて接合される。図３に示すように、横フレーム２３の左右方向長さは横フレーム２２の左右方向長さよりも長く、かつ、左右の後輪２間の距離よりも短い。横フレーム２２，２３の上面は、路面１０１（図１）と平行な互いに同一の水平面上に位置するとともに、メインフレーム２１の上面よりも上方に位置する。なお、横フレーム２２，２３の上面がメインフレーム２１の上面と同一面上に位置してもよい。左右一対の支持フレーム２４は、メインフレーム２１の左右側面からそれぞれ左右方向に突設される。なお、メインフレーム２１を貫通して単一の支持フレーム２４を設けることもできる。

　図４は、後輪２の取付部の構成を示す断面図、すなわち図３のIV-IV線に沿って切断した断面図である。図４に示すように、支持フレーム２４の先端部にはシャフト２５が取り付けられる。シャフト２５には左右一対のベアリング２６を介して後輪２のホイール２ａが回転可能に支持される。なお、支持フレーム２４とベアリング２６との間には略円筒形状のカラー２７が介装される。シャフト２５の先端部には、ベアリング２６の位置を拘束するようにナット２８が螺合される。

　図１に示すように、前フレーム１０は、さらに傾斜フレーム１２の後方にベースフレーム１７を有する。図２に示すように、ベースフレーム１７は平面視略矩形状の板状部材であり、ベースフレーム１７の後方にステップ３０が配置される。ベースフレーム１７の幅（左右方向長さ）は横フレーム２２の幅とほぼ等しい。図１に示すように、ベースフレーム１７の前端部には、ベースフレーム１７よりも上方かつ前方に突出したブラケット１８が設けられる。

　傾斜フレーム１２の後端部は、左右方向に延在する軸線ＣＬ２を中心にしてブラケット１８に回動可能に支持される。これにより車両１００が折り畳み可能となり、車両１００を折り畳み状態で容易に運搬することができる（図７Ｄ参照）。図示は省略するが、ブラケット１８には、軸線ＣＬ２を支点とした傾斜フレーム１２の回動を阻止するロック機構が設けられる。このため車両１００を図１の走行姿勢に保持することができる。

　ステップ３０の構成について説明する。図１，図２に示すように、横フレーム２２，３の上面には、前後方向および左右方向に延在する平面視略矩形状の板材であるステップ（足置き）３０が搭載される。ステップ３０は溶接などにより横フレーム２２，２３に固定され、これによりステップ３０の前後方向両端部が横フレーム２２，２３により支持される。なお、メインフレーム２１の上面にもステップ３０を搭載し、メインフレーム２１と横フレーム２２，２３とによりステップ３０を支持してもよい。ステップ３０は、立位姿勢のユーザＰＳが両足を載せる載置部を構成し、ステップ３０の上面（載置面）は、路面１０１と平行な水平面として構成される。

　図２に示すように、ステップ３０は、後端部から前方にかけて一定の幅（左右方向長さ）で延在する後ステップ部３１と、前端部から後方にかけて一定の幅で延在する前ステップ部３２と、後ステップ部３１と前ステップ部３２との間の中間ステップ部３３とを有する。ステップ３０の後端３０ａは、左右方向に略直線状に延在する。ステップ３０は、ユーザＰＳの足裏全体が載置可能なようにその前後方向の長さと左右方向の幅とが規定される。

　具体的には、後ステップ部３１の幅Ｗａは、左右の後輪２の左右方向外側の端面間の長さＷ１よりも短く、左右方向内側の端面間の長さＷ２よりも長い。なお、幅Ｗａが長さＷ１またはＷ２とほぼ等しくてもよい。前ステップ部３２の幅Ｗｂは、ベースフレーム１７の幅とほぼ等しく、後ステップ部３１の幅Ｗａよりも短い。中間ステップ部３３は、前ステップ部３２と後ステップ部３１とを滑らかに接続するように平面視略台形状に形成される。これによりステップ３０の幅が前方から後方にかけて徐々に拡大する。

　このように単一の板部材によりステップ３０を構成することで、ステップを左右に分割して設ける場合に比べて部品点数が削減され、コストを低減することができる。また、ステップ３０の上面の面積を増大することができ、ユーザＰＳの足を置く場所の自由度が向上する。図１に示すように、ステップ３０の上面はベースフレーム１７の上面と同一の水平面上に位置する。このため、ユーザＰＳは、足裏をステップ３０の上面からベースフレーム１７の上面に容易に移動することができ、足裏の載置可能な範囲が拡大する。

　図２に示すように、ステップ３０の後端部には、左右一対のリアフェンダー３４が取り付けられる。リアフェンダー３４は、後輪２の前方から上方および後方にかけて、後輪２の周囲を覆うように略円弧状に形成される。右側のリアフェンダー３４の右端面から左側のリアフェンダー３４の左端面までの長さは、ハンドル１４の右端部から左端部までの長さよりも短く、車両１００の最大幅はハンドル１４によって規定される。

　ステップ３０の後方にはバッテリ４０のホルダ４１が配置される。ホルダ４１は、前面が開放された略ボックス形状に構成される。より詳しくは、ホルダ４１は、互いに対向して略水平方向に延在する底壁および上壁と、側壁と上壁との間に立設された左右一対の側壁および後壁と、を有し、底壁が、メインフレーム２１の後端部の上面および支持フレーム２４の上面に搭載されて支持される。

　ホルダ４１には、前面の開口部を介して略ボックス形状のバッテリ４０が挿入され、これによりバッテリ４０が支持される。底壁の上面はステップ３０の上面とほぼ同一高さに形成される。これにより、ステップ３０の上面に沿ってバッテリ４０を前後方向に滑らせながら、バッテリ４０をホルダ４１に容易に収容またはホルダ４１から容易に取り外すことができる。図示は省略するが、ホルダ４１の後壁には端子部が設けられ、バッテリ４０の収容状態において、この端子部にバッテリ４０の端子部が接続される。

　バッテリ４０は、走行モータ４に供給される電力が蓄えられるリチウムイオン電池などの二次電池であり、バッテリ４０は、ホルダ４１の後壁の端子部およびメインフレーム２１内を通る電力線を介して前輪１の走行モータ４に接続される。バッテリ４０から走行モータ４に供給される電力は、不図示の電力制御ユニットにより制御される。なお、バッテリ４０は縦パイプ１１の後方または内部に配置されてもよく、他の構造部材の周辺に配置されてもよい。

　図１に示すように、前フレーム１０と後フレーム２０とは、揺動部５０を介して連結される。すなわち、前フレーム１０の後端部に設けられたベースフレーム１７と、後フレーム２０の前端部に設けられたメインフレーム２１とは、揺動部５０を介して左右方向揺動可能に連結される。以下では、車両１００の揺動部５０よりも前側を第１構成部１００Ａ、後側を第２構成部１００Ｂと呼ぶことがある。第１構成部１００Ａは、前輪１とハンドル１４などを含む。第２構成部１００Ｂは、後輪２とステップ３０などを含む。第１構成部１００Ａは、第２構成部１００Ｂに対し、前後方向に延在する揺動軸線ＣＬ３を中心にして左右方向に揺動可能に設けられる。

　揺動部５０は、ベースフレーム１７の底面に固定されたナイトハルトゴムばね５１を有する。図５は、揺動部５０に設けられるナイトハルトゴムばね５１の概略構成を示す図である。図５に示すように、ナイトハルトゴムばね５１は、ベースフレーム１７の底面に固定された断面略矩形枠状のケース５１１に内蔵される。ケース５１１内には、後フレーム２０のメインフレーム２１と一体に設けられ、軸線ＣＬ３に沿って延在する断面略円筒形状のシャフト５１２が配置される。なお、メインフレーム２１の前端部を断面略円形状に構成し、これをシャフト５１２として用いてもよい。ナイトハルトゴムばね５１は、シャフト５１２と一体に回転可能なようにシャフト５１２にスプライン結合された略菱形のカムブロック５１３と、カムブロック５１３の凹状に形成された各面に対向して配置されたゴムローラ５１４とを有する。図５は、揺動部５０の揺動前の初期状態に対応する。

　図６は、車両１００を後方から見た図であり、揺動前の初期状態に対応する図である。なお、図６では、車両１００の構成を簡易的に示す。図６に示すように、初期状態では、縦パイプ１１は路面１０１に対し略垂直に延在する。この場合の車両１００の姿勢を基準姿勢と呼ぶ。

　この初期状態から、図５の揺動部５０のケース５１１にトルクが作用して、ケース５１１が軸線ＣＬ３を中心に回動すると、ケース５１１とカムブロック５１３との間でゴムローラ５１４が押圧されて弾性変形し、ゴムローラ５１４が楕円になる。このとき、軸線ＣＬ３を中心として、図６に示す前フレーム１０（第１構成部１００Ａ）がステップ３０（第２構成部１００Ｂ）に対し左右方向（矢印Ｒ１またはＲ２方向）に揺動し、縦パイプ１１が路面１０１に対し傾斜する。その結果、車両１００が傾斜姿勢となる。この場合、軸線ＣＬ３を中心としたケース５１１の回転角が大きくなるに従い、ケース５１１への回転抵抗は大きくなる。ケース５１１に作用するトルクが０になると、ゴムローラ５１４は、弾性力により元の形状に復帰し、前フレーム１０は図６の基準姿勢に戻る。

　このように前フレーム１０を、揺動部５０を介して揺動可能に設けることで、立位姿勢で車両１００に乗車するユーザＰＳは車両１００を左右方向に容易に旋回することができる。例えば、ユーザは車両１００を左右方向に旋回するとき、膝および足首を軽く曲げて上半身を左右に傾ける。これにより、後フレーム２０と一体のステップ３０が水平に保たれたまま、ステップ３０に両足を載せた安定した姿勢で、ベースフレーム１７とともに縦パイプ１１を揺動させ、前輪１を左右に傾斜させることができる。その結果、車両１００をスムーズに旋回させることができ、旋回性が向上する。

　また、揺動部５０にナイトハルトゴムばね５１が設けられることで、基準姿勢から前フレーム１０（ベースフレーム１７）を左右に揺動させた際に、前フレーム１０に復元力が作用し、前フレーム１０の揺動を良好に抑えることができる。なお、カムブロック５１３は四角形状ではなく、他の多角形状（例えば三角形状）に形成されてもよい。カムブロック５１３の全ての面が凹状に形成されるのではなく、例えば２つの面が凹状に形成され、これら凹状の面に対向してゴムローラ５１４が配置されてもよい。ナイトハルトゴムばね５１ではなく、コイルばね等の弾性部材により、前フレーム１０に復元力を作用させるようにしてもよい。すなわち、ダンパ部材の構成はナイトハルトゴムばね５１に限らない。

　図示は省略するが、立位姿勢のユーザの自重によりステップ３０に作用する荷重点（足裏から作用する荷重の中心点）は、平面視で前輪１の接地点と左右一対の後輪２のそれぞれの接地点とを結ぶ三角形の領域内に位置する。これにより、走行中および停車中のいずれにおいても、ユーザは車両１００に安定した姿勢で乗車することができる。

　図１に示すように、揺動部５０はステップ３０よりも下方に配置され、揺動の軸線ＣＬ３はステップ３０の下方を前後方向に延在する。このため、揺動部５０を設けたにも拘わらず、ステップ３０を容易に大型に形成することができる。また、ステップ３０上に起立したユーザＰＳの視界から揺動部５０が隠れるので、車両１００の見栄えがよい。

　本実施形態に係る車両１００は、上述したように前フレーム１０のブラケット１８の軸線ＣＬ２を中心にして折り畳み可能に設けられる。図７Ａ～図７Ｄは、車両１００の走行姿勢からの姿勢変更の一例を示す図である。なお、図７Ａ～図７Ｃの前後方向、左右方向および上下方向の各方向は、図１，図２に示した方向と一致する。折り畳み姿勢は、車両１００の非走行姿勢に含まれる。

　車両１００を走行姿勢から折り畳むとき、まず、図７Ａの矢印Ａ１に示すように、ハンドル軸１３のロック機構を解除して、ハンドル軸１３を縦パイプ１１内に最大に縮退する。次いで、ブラケット１８のロック機構を解除して、ブラケット１８よりも前側における前フレーム１０、すなわち第１構成部１００Ａのうち、ベースフレーム１７を除く部分を、矢印Ａ２に示すように軸線ＣＬ２を中心に後方に回動する。これにより、図７Ｂに示すように車両１００が折り畳まれる。前フレーム１０が最大に後方に回動した折り畳み姿勢では、ハンドル１４がホルダ４１の上壁の上面に当接する。この状態では、縦パイプ１１とメインフレーム２１とが略平行となり、前後のフレーム１０，２０の間にバッテリ４０が配置される。

　さらに、図７Ｂの矢印Ｂ１に示すように、後輪２を支点にして前輪１を上方に持ち上げる。これにより図７Ｃに示すように、メインフレーム２１が立ち上がり、車両１００を起立させることができる。このとき、左右一対の後輪２とハンドル１４に設けられた左右一対の突出部１４１とが路面１０１に当接する。これにより、車両１００は少なくとも３点（例えば４点）で安定して自立することができる。ブラケット１８には、軸線ＣＬ２と同軸に回動可能に取っ手１９が設けられる。図７Ｃの状態から車両１００を運搬するときは、図７Ｃの矢印Ｃ１に示すように、取っ手１９を上方に回動し、ユーザＰＳは取っ手１９を把持する。その状態で、図７Ｄに示すように、後輪２を支点にして車両１００を前方に傾ける。これにより後輪２を、路面１０１上を転がしながら、車両１００を容易に運搬することができる。

　本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
（１）本実施形態に係る車両１００は、単一の前輪１と、前輪１の上方に配置されたハンドル１４と、を有する第１構成部１００Ａと、左右一対の後輪２と、乗員の足が載置されるステップ３０（載置部）と、を有する第２構成部１００Ｂと、前後方向に延在する揺動軸線ＣＬ３を中心にして、第１構成部１００Ａと第２構成部１００Ｂとを左右方向に揺動可能に連結する揺動部５０（連結部）と、を備える（図１）。ステップ３０は、略水平方向に延在するとともに後端３０ａが左右方向に延在する単一の板部材により構成される（図２）。これによりステップを左右に分割して設ける場合に比べて部品点数が削減され、コストを低減することができる。また、ステップ３０の面積を容易に拡大できる。

（２）第２構成部１００Ｂは、左右一対の後輪２を回転可能に支持する支持フレーム２４を有する（図３）。ステップ３０の後端部は、メインフレーム２１を介して支持フレーム２４と一体に接続された横フレーム２３により支持される（図２）。これにより後輪２の近傍においてステップ３０を強固に支持することができる。すなわち、ステップ３０は後輪２に対し非揺動に設けられるため、ステップ３０を後輪支持部材と一体にして強固に支持することができる。

（３）第２構成部１００Ｂは、略前後方向に延在するメインフレーム２１と、メインフレーム２１の後端部に交差して左右方向に延在する支持フレーム２４とを有する（図３）。このため、左右の後輪２を回転可能に支持する支持フレーム２４の構成を簡素化でき、部品点数およびコストを低減できる。また、支持フレーム２４の剛性が増大し、後輪２を強固に支持することができる。

（４）第１構成部１００Ａは、ステップ３０の前方に配置され、上面が略水平方向に延在するベースフレーム１７を有する（図１，図２）。ステップ３０の上面とベースフレーム１７の上面とは、略同一面上に延在する（図１）。これにより、ユーザＰＳは、足裏をステップ３０からベースフレーム１７の上面まで容易に移動することができ、足裏の載置スペースが増大する。

（５）揺動部５０の軸線ＣＬ３は、ステップ３０の下方に位置する（図１）。これにより、揺動部５０と干渉することなくステップ３０を容易に大型化することができる。また、ステップ３０上に起立したユーザＰＳの視界から揺動部５０が隠れるので、車両１００の見栄えがよい。

（６）揺動部５０は、ステップ３０の前方に配置される。これにより第１構成部１００Ａと第２構成部１００Ｂとがステップ３０の前方で分けられ、ステップ３０の前方において車両１００の第１構成部１００Ａ（前輪１等）を左右方向に良好に揺動させることができる。

（７）ステップ３０は、左右の後輪２の前方に配置される。このため、左右の後輪２の内側にステップを設ける場合に比べ、車幅の増加を抑えることができる。その結果、車幅を縮小することができ、狭い通路での走行などを容易に行うことができる。

　上記実施形態は、種々の形態に変更することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、ステップ３０の前方に揺動部５０を配置したが、ステップ３０の前端よりも後方に揺動部５０を配置することもできる。図８は、その一例を示す車両１００の平面図であり、図９は、図８のIX-IX線に沿った断面図である。なお、図８では、図３と同様、ステップ３０とバッテリ４０などの図示を省略する。

　図８に示すように、揺動部５０は、ベースフレーム１７の下方ではなく左右の後輪２の間、より詳しくは後輪２の前端部よりも後方に配置される。中心線ＣＬ１に沿って前後方向に延在するメインフレーム１７０の前端部は、ベースフレーム１７に固定される。このため、メインフレーム１７０は、ベースフレーム１７と一体の前フレーム１０を構成する。図９に示すように、揺動部５０のシャフト５１２は、メインフレーム１７０の後端部に接合され、シャフト５１２とメインフレーム１７０とは、軸線ＣＬ３を中心にして一体に回動する。

　揺動部５０は、略ボックス状のケースフレーム５５により包囲され、ケースフレーム５５の内部に、揺動部５０のケース５１１（図５）が収容される。ケース５１１はケースフレーム５５と一体に設けられる。シャフト５１２は、ケースフレーム５５を前後方向に貫通するとともに、前後一対のベアリング５６によりケースフレーム５５に回転可能に支持される。シャフト５１２の後端部にはナット５７が螺合される。ケースフレーム５５の後端面には、ナット５７を覆うようにカバー５８が取り付けられる。図８に示すように、支持フレーム２４は、ケースフレーム５５の左右側面から左右方向に突設され、ケースフレーム５５と一体に設けられる。

　ケースフレーム５５は、前側が先細となるように段付き状に形成され、段部５５１の前側の先細部５５２の上面に、横フレーム２３が搭載されて接合される。前側の横フレーム２２は、滑り軸受け１７１を介してメインフレーム１７０の外周面に回動可能に支持される。これにより、前後一対の横フレーム２２，２３がメインフレーム１７０に対して回動可能となり、メインフレーム１７０がステップ３０に対し相対回転可能となる。このように揺動部５０を後輪２の前端部よりも後方に設けることで、揺動部５０を、ベースフレーム１７の下方に配置する場合（図１）に比べて高所に配置することができる。これにより、車両１００が段差等を乗り越える場合に、揺動部５０が段差に衝突することを回避することができる。

　ステップ３０の後端部は、段部５５１に当接される。ケースフレーム５５にはホルダ４１が固定される。ケースフレーム５５は、その上面がステップ３０の上面と同一面上になるように形成される。したがって、ステップ３０の上面を滑らせながら、バッテリ４０を、ホルダ４１の前側の開口４１ａを介してホルダ４１内に容易に収容することができる。

　なお、上記実施形態では、揺動部５０よりも前側の部材、すなわち前輪１と前フレーム１０（縦パイプ１１、ハンドル１４、ベースフレーム１７など）とを第１構成部１００Ａとして構成したが、単一の前輪と、前輪の上方に配置された操舵部と、を有するのであれば、第１構成部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態（図１～図７Ｄ）では、揺動部５０よりも後側の部材、すなわち後輪２と後フレーム２０（メインフレーム２１、支持フレーム２４、ステップ３０など）を第２構成部１００Ｂとして構成したが、左右一対の後輪と、乗員の足が載置される載置部と、を有するのであれば、第２構成部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、第１構成部１００Ａと第２構成部１００Ｂとを揺動部５０を介して左右方向に揺動可能に連結したが、第１構成部と第２構成部とを左右方向に揺動可能に連結するのであれば、連結部の構成はいかなるものでもよい。

　上記実施形態では、前ステップ部３２と後ステップ部３１と中間ステップ部３３とを有するようにステップ３０を形成したが、略水平方向に延在する単一の板部材により構成されるであれば、載置部としてのステップの構成はいかなるものでもよい。但し、上記実施形態のようにステップ３０を構成すると、以下のような効果を奏することもできる。図１０は、乗車時の乗員のステップ３０上の足の配置を概略的に示す平面図である。なお、図１０には、前輪１の接地点Ｐ１と左右一対の後輪２の接地点Ｐ２とが併せて示される。

　図１０に示すように、乗車時には、乗員の左右の両足の母指球ＲＦ１，ＬＦ１と踵骨ＲＦ２，ＬＦ２とがステップ３０上に配置される。これにより、コーナリングの際に、乗員は身体を傾けやすい。すなわち、足の指部分がステップ３０と当たらないため、足首を大きくひねることなく、踵と母指球を結ぶ線を軸として、身体を傾けることができる。また、ステップ３０を大型化することなく、乗員はステップ３０上で安定した起立姿勢をとることができる。ステップ３０を大型化する必要がないため、コストを抑えることができる。特に、本実施形態では、ステップ３０が、左右方向に所定幅Ｗａ（第１所定幅）を有する後ステップ部３１（第１載置部）と、Ｗａよりも短い所定幅Ｗｂ（第２所定幅）を有する前ステップ部３２（第２載置部）と、を有する（図２参照）。このため、図１０に示すように、乗員の一般的な乗車姿勢では、乗員の母指球ＲＦ１，ＬＦ１の中心と踵骨ＲＦ２，ＬＦ２の中心を結ぶ線分ＬＮ１，ＬＮ２の長さの半分以上が、平面視で前輪１の接地点Ｐ１と左右の後輪２のそれぞれの接地点Ｐ２とを結ぶ領域ＡＲ１内に含まれる。これにより、常に領域ＡＲ１内に乗員の重心が位置するようになるため、車両姿勢が安定化する。

　なお、ユーザの足を置くスペースを拡大する観点からは、ステップは、その後端が左右方向に延在して構成されることが好ましい。上記実施形態では、前後方向に延在するメインフレーム２１（第１フレーム）の後端部に交差して左右方向に延在する支持フレーム２４（第２フレーム）により、後輪２を回転可能に支持するようにしたが、支持部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、支持フレーム２４に接続された接続部、すなわちメインフレーム２１または横フレーム２３により、ステップ３０の後端部を支持するようにしたが、支持フレーム２４により支持してもよい。

　上記実施形態では、ステップ３０の前方に、第１構成部１００Ａの一部であるベースフレーム１７を配置したが、水平部の構成は上述したものに限らない。ステップ３０の上面とベースフレーム１７の上面とが同一面上になくてもよい。上記実施形態では、ステップ３０の下方に揺動部５０の軸線ＣＬ３が位置するようにしたが、揺動軸線の配置は上述したものに限らない。

　以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の１つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。

１　前輪、２　後輪、１４　ハンドル、１７　ベースフレーム、２１　メインフレーム、２３　横フレーム、２４　支持フレーム、３０　ステップ、５０　揺動部、１００　車両、１００Ａ　第１構成部、１００Ｂ　第２構成部

Claims

　単一の前輪と、前記前輪の上方に配置された操舵部と、を有する第１構成部と、
　左右一対の後輪と、乗員の足が載置される載置部と、を有する第２構成部と、
　前後方向に延在する揺動軸線を中心にして、前記第１構成部と前記第２構成部とを左右方向に揺動可能に連結する連結部と、を備え、
　前記載置部は、略水平方向に延在するとともに後端が左右方向に延在する単一の板部材により構成されることを特徴とする車両。
　請求項１に記載の車両において、
　前記第２構成部は、前記左右一対の後輪を回転可能に支持する支持部を有し、
　前記載置部の後端部は、前記支持部または前記支持部に接続された接続部により支持されることを特徴とする車両。
　請求項２に記載の車両において、
　前記第２構成部は、略前後方向に延在する第１フレームと、前記第１フレームの後端部に交差して左右方向に延在する第２フレームと、を有し、
　前記支持部は、前記第２フレームにより構成されることを特徴とする車両。
　請求項１～３のいずれか１項に記載の車両において、
　前記第１構成部は、前記載置部の前方に配置され、上面が略水平方向に延在する水平部を有し、
　前記載置部の上面と前記水平部の上面とは、略同一面上に延在することを特徴とする車両。
　請求項１～４のいずれか１項に記載の車両において、
　前記揺動軸線は、前記載置部の下方に位置することを特徴とする車両。
　請求項１～５のいずれか１項に記載の車両において、
　前記連結部は、前記載置部の前方に配置されることを特徴とする車両。
　請求項１～５のいずれか１項に記載の車両において、
　前記連結部は、前記後輪の前端部よりも後方に配置されることを特徴とする車両。
　請求項１～７のいずれか１項に記載の車両において、
　前記載置部は、左右方向に第１所定幅を有する第１載置部と、前記第１載置部の前方に設けられ、前記第１所定幅よりも短い第２所定幅を有する第２載置部と、を有することを特徴とする車両。