WO2022158133A1 - パウチ容器の製造方法および製造装置 - Google Patents

Abstract

スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を量産可能な製造装置を小型に構成可能にする。　パウチ容器１００Ａは、天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材１２０と、胴部となる部分を含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材１１０とを材料として、連続的に複数製造される。保持機構９０は、ベルト状フィルム部材１２０の搬送方向に沿って往復動し、往動時においてベルト状フィルム部材１２０を保持し、復動時においてその保持を解除する。保持機構９０によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分の切り出しは、繰り出し機構１２によるベルト状フィルム部材１２０の繰り出しの停止後であって保持機構９０によるベルト状フィルム部材１２０の保持の解除前に行なわれる。保持機構９０の復動時においては、ベルト状フィルム部材１２０がストッパ機構１６によって移動不能に保持される。

Description

パウチ容器の製造方法および製造装置

　本発明は、パウチ容器の製造方法および製造装置（以下、単に製造方法および製造装置と称する場合がある）に関し、特に、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器の製造方法および製造装置に関する。

　パウチ容器には、胴部および底襠部を備えたスタンディングタイプのものや、胴部およびスパウト付き天襠部を備えたスパウト付きタイプのもの、胴部および底襠部ならびにスパウト付き天襠部を備えたスパウト付きスタンディングタイプのもの等、種々のものがある。

　これら天襠部および底襠部の少なくともいずれかを具備したパウチ容器は、一般に、胴部の前壁部を構成する前側フィルム部材と、胴部の後壁部を構成する後側フィルム部材と、襠部を構成する襠部用フィルム部材とを材料として、これらフィルム部材同士を相互に接合することで製造される場合が多い。

　一般に、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器は、天襠部を構成する天襠部用フィルム部材に予めスパウトを組付けておき、その後にこれを胴部を構成する前側フィルム部材および後側フィルム部材に接合することで製造される。これは、先に天襠部用フィルム部材を含むフィルム部材同士を相互に接合した後にスパウトをこれに組付けることとした場合に、製造上、相当程度の困難性を伴うためである。

　ここで、上述したように、胴部を構成するフィルム部材を前側フィルム部材と後側フィルム部材とに分けずに、これを１枚のフィルム部材にて構成したものではあるが、天襠部を構成する天襠部用フィルム部材に予めスパウトを組付けておき、その後にこれを胴部を構成するフィルム部材に接合することでスパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を製造する具体的な製造方法および製造装置が開示された文献として、たとえば国際公開第２０２０／０５９６４７号（特許文献１）がある。

　当該特許文献１に開示されたパウチ容器の製造方法および製造装置は、胴部となる部分を含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材と、スパウト付き天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材とを材料として、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を連続的に製造することにより、高い生産効率にて量産を可能にするものである。

　これを実現するために、当該特許文献１に開示されたパウチ容器の製造方法および製造装置においては、接合しろが開かれた状態にある複数の枚葉チューブ状フィルム部材が上下に配置された一対のベルトコンベヤによって挟み込まれて搬送されつつ、これにベルト状フィルム部材のうちの、スパウトが組付けられた天襠部となる部分が順次供給されてそれらが相互に接合され、接合後においても、上記一対のベルトコンベヤを用いることにより、上記天襠部となる部分が接合された状態にある複数の枚葉チューブ状フィルム部材が搬送方向に沿って搬送されつつ、その後の加工が行なわれるように構成されている。

国際公開第２０２０／０５９６４７号

　上記特許文献１に開示の製造方法および製造装置を採用した場合には、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を効率的に製造することが可能になる反面、枚葉チューブ状フィルム部材（上記天襠部となる部分が接合された後の状態のものを含む）を搬送するために、非常に長いベルトコンベヤが必要になる。ここで、ベルトコンベヤは、その搬送方向ばかりでなく、搬送方向と直交する幅方向においても、比較的大きなフットプリントが必要なものであるため、当該構成を採用した場合には、製造装置が非常に大きなものとなってしまう。

　これを解決するためには、上記天襠部となる部分が接合された後の状態において、引き続き枚葉チューブ状フィルム部材をベルトコンベヤを用いて搬送するのではなく、他の搬送機構を用いて搬送することが考えられる。その場合、上記天襠部となる部分が接合された後においては、枚葉チューブ状フィルム部材が単一のベルト状フィルム部材に一体化された状態にあるため、枚葉チューブ状フィルム部材に代えてこの単一のベルト状フィルム部材を引っ張ることで搬送することも想定される。

　しかしながら、単一のベルト状フィルム部材は、複数の枚葉チューブ状フィルム部材が接合された当該単一のベルト状フィルム部材から個々のパウチ容器を切り出すために、上記天襠部となる部分が接合された後に実施される加工において、最終的には分断機構によって分断されるものであるため、上述した引っ張りによる搬送機構を何らの工夫もなく適用することはできない。

　したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を量産可能な製造装置を従来に比して小型に構成可能にすることにある。

　本発明に基づくパウチ容器の製造方法は、パウチ容器の天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材と、各々がパウチ容器の胴部となる部分を少なくとも含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材とを材料として、複数のパウチ容器が連続的に製造されるものであり、上記単一のベルト状フィルム部材が、当該単一のベルト状フィルム部材の長手方向に沿って第１搬送経路上を搬送される工程と、上記複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々が、上記第１搬送経路上を搬送されている上記単一のベルト状フィルム部材に供給される工程と、上記ベルト状フィルム部材に供給された上記枚葉チューブ状フィルム部材の軸方向の一端側に位置する天襠部側開口端が、上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程とを備えている。

　上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分には、上記枚葉チューブ状フィルム部材が供給されるに先だってスパウトが組付けられている。上記枚葉チューブ状フィルム部材が上記ベルト状フィルム部材に供給される工程において、上記枚葉チューブ状フィルム部材は、上記天襠部側開口端に設けられた接合しろが開かれた状態とされて、上記接合しろが上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に重ね合わせられるように供給される。
上記天襠部側開口端が上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程は、重ね合われた状態にある上記接合しろと上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とが相互に接合されることで行なわれる。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法は、さらに、上記天襠部側開口端が上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞された工程の後に、上記接合しろに接合された上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分、上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された上記接合しろ、および、上記接合しろに接合された上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に位置するスパウトのうちの少なくともいずれかが、上記第１搬送経路に沿って往復動可能に構成された保持機構によって上記第１搬送経路上において保持される工程と、上記保持機構によって保持された部分に該当する、上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分が、上記第１搬送経路上において上記ベルト状フィルム部材から切り出される工程と備えている。

　上記ベルト状フィルム部材が上記第１搬送経路上を搬送される工程は、繰り出し機構による上記ベルト状フィルム部材の繰り出しと、上記繰り出し機構による上記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止とが、時間的に交互に切換えられることで行なわれる。上記保持機構は、上記繰り出し機構による上記ベルト状フィルム部材の繰り出しに対応して上記ベルト状フィルム部材を保持しつつ上記ベルト状フィルム部材の搬送方向における下流側に向けて往動するとともに、上記繰り出し機構による上記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後において上記ベルト状フィルム部材の保持を解除して上記ベルト状フィルム部材の搬送方向における上流側に向けて復動する。上記保持機構によって保持された部分に該当する、上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分が切り出される工程は、上記繰り出し機構による上記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後であって上記保持機構による上記ベルト状フィルム部材の保持の解除前に行なわれる。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上記保持機構の復動時において、上記ベルト状フィルム部材がストッパ機構によって上記第１搬送経路上において移動不能に保持される。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上記保持機構により、上記接合しろに接合された上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分と上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された上記接合しろとが、挟み込まれて保持されることが好ましい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上記スパウトが、上記第１搬送経路上において上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に組付けられてもよい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上記枚葉チューブ状フィルム部材が上記ベルト状フィルム部材に供給される工程において、上記枚葉チューブ状フィルム部材は、上記軸方向と直交する両端部に一対の屈曲部が配置されるように偏平な形状とされ、かつ、上記一対の屈曲部の各々の延在方向における上記天襠部側開口端側の端部に切れ込みが形成されることにより、予め上記天襠部側開口端に上記接合しろが設けられた状態とされていてもよい。その場合には、上記天襠部側開口端が上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程が、上記枚葉チューブ状フィルム部材の上記接合しろに対して、上記枚葉チューブ状フィルム部材のその余の部分が交差するように起立した姿勢において、当該その余の部分を間に挟むように配置された一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと、当該一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと対を成す第２溶着ヘッドとによって、重ね合われた状態にある上記接合しろと上記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とが挟み込まれることにより、主たる溶着が行なわれる工程と、上記主たる溶着の後に、上記その余の部分が上記接合しろと平行に配置されるように上記枚葉チューブ状フィルム部材が折り畳まれる工程と、上記枚葉チューブ状フィルム部材の折り畳みの後に、対を成す第３溶着ヘッドおよび第４溶着ヘッドによって、上記一組の半割り形状の第１溶着ヘッドの境界部に対応した位置に存することとなる未溶着部が挟み込まれることにより、従たる溶着が行なわれる工程とを含んでいてもよい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法は、上記複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々が、第２搬送経路上において上記軸方向と直交する方向に整列された状態で移送されるように順次搬送される工程をさらに備えていてもよい。その場合には、上記枚葉チューブ状フィルム部材が上記第２搬送経路上を搬送される工程が、上記接合しろが開かれた状態となるように上記接合しろを拡開させる工程を含んでいることが好ましく、上記第２搬送経路上を搬送されて上記接合しろが拡開された後に、上記枚葉チューブ状フィルム部材が、上記ベルト状フィルム部材に供給されることが好ましい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造方法にあっては、上記複数の枚葉チューブ状フィルム部材が、上記軸方向の両端が開放された筒形状、上記軸方向の一端が開放されるとともに他端が閉塞された袋形状、および、上記軸方向の一端が開放されるとともに他端が底襠部となる部分によって閉塞された底襠部付き袋形状のいずれかの形状を有していることが好ましい。

　本発明に基づくパウチ容器の製造装置は、パウチ容器の天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材と、各々がパウチ容器の胴部となる部分を少なくとも含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材とを材料として、複数のパウチ容器を連続的に製造するものであって、単一のベルト状フィルム部材を当該単一のベルト状フィルム部材の長手方向に沿って繰り出す繰り出し機構と、上記繰り出し機構によって繰り出された単一のベルト状フィルム部材を搬送する第１搬送経路と、複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々を、上記第１搬送経路上を搬送されている、天襠部となる部分に予めスパウトが組付けられたベルト状フィルム部材に供給する供給機構と、ベルト状フィルム部材に供給された枚葉チューブ状フィルム部材の軸方向の一端側に位置する天襠部側開口端をベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞する閉塞処理機構とを備えている。

　枚葉チューブ状フィルム部材は、天襠部側開口端に設けられた接合しろが開かれた状態とされて、上記供給機構により、当該接合しろがベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に重ね合わせられるようにベルト状フィルム部材に供給される。上記閉塞処理機構は、重ね合われた状態にある枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろとベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とを相互に接合するものである。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置は、さらに、上記第１搬送経路に沿って往復動可能に構成されるとともに、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに接合されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろ、および、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに接合されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に位置するスパウトのうちの少なくともいずれかを、上記第１搬送経路上において保持する保持機構と、上記保持機構によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分を、上記第１搬送経路上においてベルト状フィルム部材から切り出す分断機構とを備えている。

　上記繰り出し機構は、ベルト状フィルム部材の繰り出しと、ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止とを、時間的に交互に切換えるものであり、上記保持機構は、上記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しに対応してベルト状フィルム部材を保持しつつベルト状フィルム部材の搬送方向における下流側に向けて往動するとともに、上記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後においてベルト状フィルム部材の保持を解除してベルト状フィルム部材の搬送方向における上流側に向けて復動する。上記分断機構は、上記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後であって上記保持機構によるベルト状フィルム部材の保持の解除前に、上記保持機構によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分を切り出すものである。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置は、さらに、上記保持機構の復動時において、上記ベルト状フィルム部材を上記第１搬送経路上において移動不能に保持するストッパ機構を備えている。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置にあっては、上記保持機構が、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに接合されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分と、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろとを挟み込んで保持するものであることが好ましい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置は、上記第１搬送経路上においてベルト状フィルム部材の天襠部となる部分にスパウトを組付けるスパウト組付け機構をさらに備えていてもよい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置にあっては、枚葉チューブ状フィルム部材が、その軸方向と直交する両端部に一対の屈曲部が配置されるように偏平な形状とされ、かつ、当該一対の屈曲部の各々の延在方向における天襠部側開口端側の端部に切れ込みが形成されることにより、予め天襠部側開口端に接合しろが設けられた状態とされていてもよい。その場合には、上記閉塞処理機構が、重ね合われた状態にある枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろとベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とを挟み込むことで主たる溶着を行なう主溶着機構と、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに対して枚葉チューブ状フィルム部材のその余の部分を平行に配置させる折り畳み機構と、上記主溶着機構によっても溶着されない未溶着部を挟み込むことで従たる溶着を行なう従溶着機構とを有していてもよい。その場合には、上記主溶着機構が、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに対して、枚葉チューブ状フィルム部材のその余の部分が交差するように起立した姿勢において、その余の部分を間に挟むように配置される一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと、当該一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと対を成す第２溶着ヘッドとを含んでいることが好ましく、また、上記従溶着機構が、上記折り畳み機構によって折り畳まれた状態にある枚葉チューブ状フィルム部材の、上記一組の半割り形状の第１溶着ヘッドの境界部に対応した位置に存することとなる未溶着部を挟むように配置される、対を成す第３溶着ヘッドおよび第４溶着ヘッドを含んでいることが好ましい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置は、複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々が順次搬送される第２搬送経路と、上記第２搬送経路上において、複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々をその軸方向と直交する方向に整列させた状態で移送する移送機構と、上記第２搬送経路上において、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろが開かれた状態となるようにこれを拡開させる拡開機構とをさらに備えていてもよい。その場合には、上記供給機構が、上記拡開機構によって接合しろが開かれた状態にある枚葉チューブ状フィルム部材を上記第１搬送経路上を搬送されているベルト状フィルム部材に供給するように構成されていることが好ましい。

　上記本発明に基づくパウチ容器の製造装置にあっては、上記移送機構が、その軸方向の両端が開放された筒形状、その軸方向の一端が開放されるとともに他端が閉塞された袋形状、および、その軸方向の一端が開放されるとともに他端が底襠部となる部分によって閉塞された底襠部付き袋形状のいずれかの形状を有する複数の枚葉チューブ状フィルム部材が移送可能なものであることが好ましい。

　本発明によれば、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を量産可能な製造装置を従来に比して小型に構成することができる。

実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従って製造されたパウチ容器の外観形状を示す斜視図および正面図である。 実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従った製造フローを示す図である。 実施の形態に係るパウチ容器の製造装置の斜視図である。 図３に示す製造装置の第１加工ゾーンを表わした概略斜視図である。 図３に示す製造装置の第２加工ゾーンを表わした概略斜視図である。 図５に示す拡開機構の動作を示す概略図である。 図５に示す供給兼主溶着機構の動作を示す概略図である。 図３に示す製造装置の第３加工ゾーンを表わした概略斜視図である。 図３に示す製造装置の第４加工ゾーンを表わした概略斜視図である。 図３に示す製造装置の第５加工ゾーンを表わした概略斜視図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 図１０に示す保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。 実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従って製造され得る他の種類のパウチ容器の折り畳んだ状態における正面図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。

　図１は、本発明の実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従って製造されたパウチ容器の外観形状を示す図であり、図１（Ａ）は、パウチ容器の正面および天面を表わす斜視図、図１（Ｂ）は、パウチ容器の背面および天面を表わす斜視図、図１（Ｃ）は、折り畳んだ状態における正面図である。まず、この図１を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従って製造されたパウチ容器１００Ａについて説明する。なお、図１においては、理解を容易とするために、後述する溶着部Ｗ１，Ｗ２，Ｗ４，Ｗ５に相当する部分に斜線を、溶着部Ｗ３に相当する部分に濃い色をそれぞれ付している（図４、図５、図８ないし図１５においても同様である）。

　図１（Ａ）ないし図１（Ｃ）に示すように、パウチ容器１００Ａは、いわゆるスパウト付きタイプと称されるものであり、胴部１０１と、天襠部１０２と、スパウト１０４とを主として備えている。スパウト１０４は、天襠部１０２に設けられており、当該スパウト１０４には、図示しないキャップが着脱可能に取付けられる。

　胴部１０１は、単一のフィルム状部材を丸めてその周方向の端部同士を溶着したチューブ状フィルム部材にて構成されている。これにより、胴部１０１の背面側の所定位置には、上下方向に沿って延びる溶着部Ｗ１が位置しているものの、当該胴部１０１の外周面（特に胴部１０１の幅方向の両端縁）には、切り立った形状の部位が位置しておらず、手触り感が良好なものとされている。

　天襠部１０２は、胴部１０１の軸方向の一端を閉塞するように胴部１０１の当該一端に溶着された襠部用フィルム部材にて構成されている。これにより、胴部１０１と天襠部１０２との境界には、天襠部１０２を平面形状に展開させた状態において平面視枠状の溶着部Ｗ２が位置しており（特に図１（Ｃ）参照）、当該溶着部Ｗ２によって胴部１０１と天襠部１０２との継ぎ目が構成されている。

　ここで、胴部１０１と天襠部１０２との境界のうち、胴部１０１の幅方向における両端縁（すなわち、胴部１０１の前壁部を構成する部分と後壁部を構成する部分との境目）の天襠部側の端部に対応する部分には、それぞれ溶着部Ｗ３がさらに設けられている。当該溶着部Ｗ３が設けられた部分は、天襠部１０２に対して胴部１０１の前壁部および後壁部が突き合わされた状態で立体的に接合される部分であるため、この溶着部Ｗ３を設けることにより、当該部分における隙間の発生が確実に防止できることになる。

　スパウト１０４は、外周面に雄ネジが形成された筒状の部材からなり、天襠部１０２の中央部に設けられた孔部を覆うように当該天襠部１０２に溶着されている。これにより、天襠部１０２に設けられた孔部を取り囲むように溶着部Ｗ４が位置しており、当該溶着部Ｗ４によって天襠部１０２とスパウト１０４との継ぎ目が構成されている。

　また、胴部１０１の軸方向の他端は、偏平に折り畳まれた状態において対向することとなる胴部１０１の前壁部および後壁部が溶着されることで閉塞されている。これにより、胴部１０１の上記他端には、左右方向に沿って延びる溶着部Ｗ５が位置している。

　ここで、胴部１０１を構成するチューブ状フィルム部材および天襠部１０２を構成する襠部用フィルム部材は、たとえば樹脂製のフィルム部材にて構成される。当該樹脂製のフィルム部材は、好ましくは、包装体としての基本性能（耐衝撃性、耐摩耗性、耐熱性等）を発揮するベースフィルム層と、溶着を可能にするためのシーラント層との積層体にて構成される。また、当該樹脂製のフィルム部材は、場合によっては、これらベースフィルム層およびシーラント層に加え、高いガスバリア性や遮光性等の付加性能を発揮するバリア層をこれらベースフィルム層とシーラント層との間に備えた積層体にて構成される。

　ベースフィルム層の材質としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート等に代表されるポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン、ナイロン６、ナイロン６６等に代表されるポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。

　シーラント層の材質としては、たとえば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン－プロピレン共重合体、未延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、エチレン－オレフィン共重合体、エチレン－アクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン－酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。

　バリア層の材質としては、アルミニウム等に代表される金属、塩化ビニリデン、エチレン－ビニルアルコール共重合体に代表される樹脂、酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられる。

　図２は、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従った製造フローを示す図である。図３は、本実施の形態に係るパウチ容器の製造装置の斜視図であり、図４、図５、図８ないし図１０は、それぞれ当該製造装置の第１ないし第５加工ゾーンを表わした概略斜視図である。ここで、理解を容易とするために、図４および図５においては、当該図中に含まれるステーションにおける加工が実施される前の状態を示しており、図８ないし図１０においては、当該図中に含まれるステーションにおける加工が終了した後の状態を示している。また、図６および図７は、それぞれ、図５に示す拡開機構および供給兼主溶着機構の動作を示す概略図であり、図１１ないし図１６は、図１０に保持機構および分断機構の動作を示す概略図である。以下、これら図２ないし図１６を参照して、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１について説明する。

　図２に示すように、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法は、上述したパウチ容器１００Ａの天襠部１０２となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材１２０（図４等参照）と、各々が上述したパウチ容器１００Ａの胴部１０１となる部分を含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材１１０（図５等参照）とを材料として、複数のパウチ容器１００Ａ（図１０等参照）を連続的に製造するものであり、単一のベルト状フィルム部材１２０に複数の枚葉チューブ状フィルム部材１１０が順次供給されることにより、これらが互いに溶着されるものである。

　ここで、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法にあっては、単一のベルト状フィルム部材１２０が後述する搬送機構１０（図４および図１０等参照）によって搬送されるとともに、複数の枚葉チューブ状フィルム部材１１０が後述する移送機構３０（図５参照）によって移送されつつ、これら単一のベルト状フィルム部材１２０と複数の枚葉チューブ状フィルム部材１１０との溶着が行なわれる。

　また、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法にあっては、ベルト状フィルム部材１２０と、これに供給された枚葉チューブ状フィルム部材１１０とが溶着されるに先立って、搬送された状態にあるベルト状フィルム部材１２０に所定の加工が施されるとともに、移送された状態にある枚葉チューブ状フィルム部材１１０に所定の加工が施される。さらに、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法にあっては、ベルト状フィルム部材１２０と、これに供給された枚葉チューブ状フィルム部材１１０とが溶着された後においても、これらに所定の加工が施される。

　これにより、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従うことにより、上述した複数のパウチ容器１００Ａが連続的に大量に製造できることになる。なお、この本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法は、図３に示すパウチ容器の製造装置１を用いることで具現化される。

　図３に示すように、製造装置１は、ベルト状フィルム部材１２０の搬送方向ＤＲ１に沿って延びる細長の外形を有しており、当該搬送方向ＤＲ１に沿って複数の加工ゾーンＺ１～Ｚ５に区画される。複数の加工ゾーンＺ１～Ｚ５は、搬送方向ＤＲ１の上流側から下流側に向けてこの順で位置している。

　図２および図４を参照して、まず、ステップＳ１において、ベルト状フィルム部材１２０が第１搬送経路へと繰り出される。このベルト状フィルム部材１２０の繰り出しは、第１加工ゾーンＺ１に設置された繰り出し機構１１によって主として行なわれる。

　図４に示すように、繰り出し機構１１は、送り出し機構１１ａと、送り出し機構１１ａの下流側に設置された引き出し機構１１ｂと、引き出し機構１１ｂの下流側に設置されたテンション調整機構１１ｃとを含んでいる。送り出し機構１１ａは、ベルト状フィルム部材１２０が巻き回されたリールおよび当該リールを回転自在に支持する支持部（図４において不図示）からなる。引き出し機構１１ｂは、ベルト状フィルム部材１２０を挟み込むように配置された一対のローラからなり、ベルト状フィルム部材１２０をその長手方向に沿って引き出すものである。テンション調整機構１１ｃは、ベルト状フィルム部材１２０にかかるテンションを調整するための複数のローラ等からなる。

　これにより、引き出し機構１１ｂが駆動することにより、送り出し機構１１ａによって回転自在に支持されたリールが図中に示す矢印ＡＲ１方向に回転することになり、ベルト状フィルム部材１２０が、その長手方向に沿って繰り出されることで第１搬送経路（当該第１搬送経路は、ベルト状フィルム部材１２０が送り出し機構１１ａから後述する保持機構９０に至るまでに通過する部分の経路を意味する）上を搬送されることになる。

　ここで、繰り出し機構１１によって繰り出されたベルト状フィルム部材１２０が、第１搬送経路上を円滑に移動することとなるように、当該第１搬送経路の最も下流側に位置する第５加工ゾーンＺ５には、ベルト状フィルム部材１２０を保持可能であるとともに第１搬送経路に沿って往復動可能な保持機構９０と、ベルト状フィルム部材１２０を一時的に移動不能に保持可能なストッパ機構１６とが設置されている（図１０等参照）。これら保持機構９０およびストッパ機構１６の詳細については、後述することとする。

　このベルト状フィルム部材１２０の搬送は、ベルト状フィルム部材１２０をいわゆるステップ送りする間欠搬送で行なわれる。このベルト状フィルム部材１２０の間欠搬送を実現する搬送方式としては、たとえば以下の２通りが想定される。

　第１の搬送方式は、テンション調整機構１１ｃが図示しない駆動機構によって上下方向に移動するように駆動されるとともに、引き出し機構１１ｂが一定の速度で常時駆動される方式である。この方式においては、テンション調整機構１１ｃの動作と、後述する保持機構９０およびストッパ機構１６の動作とが同期的に制御されることにより、引き出し機構１１ｂによって引き出された部分のベルト状フィルム部材１２０が、テンション調整機構１１ｃが下降することによって当該テンション調整機構１１ｃの近傍において一時的に留め置かれることになり、その後テンション調整機構１１ｃが上昇することにより、ベルト状フィルム部材１２０が繰り出され、これら動作が繰り返されることにより、上述した間欠搬送が実現可能になる。

　第２の搬送方式は、引き出し機構１１ｂが所定の時間的なインターバルをあけて駆動される方式である。この方式においては、引き出し機構１１ｂの動作と、後述する保持機構９０およびストッパ機構１６の動作とが同期的に制御されることにより、上述した間欠搬送が実現可能になる。この場合には、テンション調整機構１１ｃに含まれる図示しない弾性付勢機構によってがベルト状フィルム部材１２０が下方に向けて付勢されることにより、第１搬送経路上におけるベルト状フィルム部材１２０にかかるテンションが精度良く調整できることになる。

　図２および図４を参照して、次に、ステップＳ２において、ベルト状フィルム部材１２０の孔開けが行なわれる。このベルト状フィルム部材１２０の孔開けは、第１加工ゾーンＺ１に設置されたスパウト組付け機構２０に含まれる孔開け機構２１によって行なわれる。孔開け機構２１は、第１加工ゾーンＺ１の第１ステーションＳＴ１１に設置されており、この第１ステーションＳＴ１１には、上述したテンション調整機構１１ｃを通過した後のベルト状フィルム部材１２０が搬送される。

　図４に示すように、孔開け機構２１は、カット刃２１ａと、これを駆動する駆動機構２１ｂと、カットステージ２１ｃとを有している。カット刃２１ａとカットステージ２１ｃとは、ベルト状フィルム部材１２０を間に挟むように対向配置されている。第１ステーションＳＴ１１においては、カット刃２１ａが駆動機構２１ｂによって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ２方向に沿って移動することにより、ベルト状フィルム部材１２０に孔部１２１が形成される。

　図２および図４を参照して、次に、ステップＳ３において、ベルト状フィルム部材１２０にスパウト１０４が供給されるとともに、ステップＳ４において、ベルト状フィルム部材１２０にスパウト１０４が溶着される。このベルト状フィルム部材１２０へのスパウト１０４の供給および溶着は、第１加工ゾーンＺ１に設置されたスパウト組付け機構２０に含まれるスパウト供給兼溶着機構２２および冷却機構２３によって行なわれる。

　スパウト供給兼溶着機構２２は、第１加工ゾーンＺ１の第２ステーションＳＴ１２に設置されており、この第２ステーションＳＴ１２には、上述した孔開け機構２１を通過した後のベルト状フィルム部材１２０が搬送される。冷却機構２３は、第１加工ゾーンＺ１の第３ステーションＳＴ１３に設置されており、この第３ステーションＳＴ１３には、スパウト供給兼溶着機構２２を通過した後のベルト状フィルム部材１２０が搬送される。

　図４に示すように、スパウト供給兼溶着機構２２は、供給ステージ２２ａと、これを駆動する駆動機構２２ｂと、溶着ヘッド２２ｃと、これを駆動する駆動機構２２ｄとを有している。供給ステージ２２ａと溶着ヘッド２２ｃとは、ベルト状フィルム部材１２０を間に挟むように対向配置されている。第２ステーションＳＴ１２においては、供給ステージ２２ａが駆動機構２２ｂによって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ３方向に沿って移動することにより、当該供給ステージ２２ａ上に移載されたスパウト１０４がベルト状フィルム部材１２０に設けられた孔部１２１に挿入され、ヒータが内蔵された溶着ヘッド２２ｃが駆動機構２２ｄによって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ４方向に沿って移動することにより、ベルト状フィルム部材１２０の孔部１２１に挿入されたスパウト１０４のフランジ状の部位と、当該フランジ状の部位が宛がわれた部分のベルト状フィルム部材１２０とが、溶着ヘッド２２ｃと供給ステージ２２ａとによって挟み込まれ、これによりスパウト１０４がベルト状フィルム部材に溶着部Ｗ４を介して溶着される。

　冷却機構２３は、冷却ヘッド２３ａと、これを駆動する駆動機構２３ｂと、冷却ステージ２３ｃとを有している。冷却ヘッド２３ａと冷却ステージ２３ｃとは、ベルト状フィルム部材１２０を間に挟むように対向配置されている。第３ステーションＳＴ１３においては、冷却ヘッド２３ａが駆動機構２３ｂによって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ５方向に沿って移動することにより、溶着部Ｗ４が冷却ヘッド２３ａと冷却ステージ２３ｃとによって挟み込まれ、これにより溶着部Ｗ４が冷却される。

　以上において説明したステップＳ２～Ｓ４における加工を経ることにより、スパウト１０４は、溶着部Ｗ４を介してベルト状フィルム部材１２０に組付けられることになる。なお、ベルト状フィルム部材１２０にスパウト１０４が組付けられる部分は、ベルト状フィルム部材１２０のうちの天襠部となる部分である。

　ここで、本実施の形態においては、上述のとおり第１加工ゾーンＺ１においてベルト状フィルム部材１２０にスパウト１０４が組付けられるように構成しているが、これに代えて、予めスパウトが一定間隔で設けられたスパウト付きベルト状フィルム部材がパウチ容器の製造装置に搬入されるようにしてもよい。

　一方、図２および図５を参照して、ステップＳ２１においては、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が第２搬送経路へと搬入される。この枚葉チューブ状フィルム部材１１０の搬入は、図示しないたとえば吸着式移載機構等によって行なわれる。これにより、第２加工ゾーンＺ２に設けられた第１ステーションＳＴ２１においては、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が、移送機構３０によって移送可能に保持されることになる。

　図５に示すように、移送機構３０は、固定式吸着機構３１と可動式吸着機構３２とを有している。固定式吸着機構３１は、第２加工ゾーンＺ２に設けられた第１ないし第３ステーションＳＴ２１～ＳＴ２３に跨がって設けられている。一方、可動式吸着機構３２は、図示しない駆動機構によって図中に示す矢印ＡＲ６方向に沿って駆動されることにより、第１および第２ステーションＳＴ２１，ＳＴ２２に跨がった状態と、第２および第３ステーションＳＴ２２，ＳＴ２３に跨がった状態との間で固定式吸着機構３１に沿って往復動可能に構成されている。

　そのため、固定式吸着機構３１による吸着の有無ならびに可動式吸着機構３２による吸着の有無およびその移動が所定のタイミングで相互に関連付けて切換え制御されることにより、第１ステーションＳＴ２１に搬入された枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、搬送方向ＤＲ２に沿って第２搬送経路（当該第２搬送経路は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が移送機構３０によって移送されることで通過する経路を意味する）上を整列した状態で移送されることになり、第１ステーションＳＴ２１、第２ステーションＳＴ２２、第３ステーションＳＴ２３の順に移動する。

　上述した移送機構３０は、上述したベルト状フィルム部材１２０が搬送される第１搬送経路の下方に設置されており、これにより第２搬送経路は、当該第１搬送経路と並走するようにその下方に位置している。より詳細には、移送機構３０は、第１加工ゾーンＺ１に位置する第３ステーションＳＴ１３が設けられた位置よりも第１搬送経路に沿った下流側の位置に設置されており、これにより第２搬送経路は、当該部分において第１搬送経路に並走している。なお、理解を容易にするために、図５においては、各ステーションＳＴ２１～ＳＴ２３間の距離を実際よりも広げて図示している。

　ここで、第１ステーションＳＴ２１に搬入された枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、その軸方向に位置する天襠部側開口端１１１が、第１搬送経路上を搬送されているベルト状フィルム部材１２０側を向いた状態とされる。ここで、ベルト状フィルム部材１２０は、本製造装置１に搬入されるに先立って所定の形状を有することとなるように、別途種々の加工が施されたものである。

　具体的には、枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、パウチ容器１００Ａの前壁部となる部分と後壁部となる部分とが相互に重ね合わされることによって偏平な形状とされており、これにより当該枚葉チューブ状フィルム部材１１０の軸方向と直交する両端部（すなわち、幅方向の両端部）には、一対の屈曲部１１２が位置している。ここで、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１によって製造されるパウチ容器１００Ａの胴部１０１は、上述したように単一のフィルム状部材を丸めてその周方向の端部同士を溶着したチューブ状フィルム部材によって構成されるものであるため、上述した一対の屈曲部１１２は、この溶着によって形成された溶着部Ｗ１（図１（Ｂ）参照）以外の部分を折り曲げることで形成されている。

　また、枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、上述した一対の屈曲部１１２の各々の延在方向における天襠部側開口端１１１側の端部に切れ込み１１３が形成されたものであり、これによって天襠部側開口端１１１には、溶着しろ１１４が設けられている。この溶着しろ１１４は、天襠部側開口端１１１を開くことができるように設けられたものであり、溶着しろ１１４を構成する部分の一対の壁部は、互いに遠ざかる方向に展開可能である。

　図２、図５および図６を参照して、ステップＳ２２においては、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４が拡開される。この枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４の拡開は、第２加工ゾーンＺ２に設置された拡開機構４０によって行なわれる。拡開機構４０は、第２加工ゾーンＺ２の第２ステーションＳＴ２２に設置されており、この第２ステーションＳＴ２２には、第１ステーションＳＴ２１にて搬入された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が移送機構３０によって当該第１ステーションＳＴ２１から移送されることで搬送される。なお、図６（Ａ）ないし図６（Ｅ）は、この溶着しろ１１４の拡開動作を経時的に表わしたものである。

　図５および図６（Ａ）ないし図６（Ｅ）に示すように、拡開機構４０は、一組の吸着機構４１と、一組の第１押し型４２と、第２押し型４３と、これを駆動する駆動機構４４とを有している。一組の吸着機構４１は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０を間に挟むように対向配置されており、図示しない駆動機構によって図５中に示す矢印ＡＲ７方向に沿って駆動される。一組の第１押し型４２も、枚葉チューブ状フィルム部材１１０を間に挟むように対向配置されており、図示しない駆動機構によって図５中に示す矢印ＡＲ８方向に沿って駆動される。第２押し型４３は、一組の第１押し型４２に対向するように枚葉チューブ状フィルム部材１１０の上方に位置しており、駆動機構４４によって図５中に示す矢印ＡＲ９方向に沿って駆動される。

　図５および図６（Ａ）に示すように、第２ステーションＳＴ２２においては、移送機構３０によって移送された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が、一組の第１押し型４２の間に配置される。その際、一組の第１押し型４２が互いに近づいたり遠ざかったりするように往復動することにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の移送時においてこれら一組の第１押し型４２の間に枚葉チューブ状フィルム部材１１０が確実に挟まれるようにしてもよい。

　次に、図６（Ｂ）に示すように、一組の吸着機構４１が図示しない駆動機構によって駆動されることで図中矢印ＡＲ７ａ方向（図６（Ａ）参照）に向けて移動することにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４がこれら一組の吸着機構４１によって保持される。

　次に、図６（Ｃ）に示すように、一組の吸着機構４１が図示しない駆動機構によって駆動されることで図中矢印ＡＲ７ｂ方向（図６（Ｂ）参照）に向けて回動することにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４がこれら一組の吸着機構４１によって拡開される。

　次に、図６（Ｄ）に示すように、一組の第１押し型４２が図示しない駆動機構によって駆動されることで図中矢印ＡＲ８ａ方向（図６（Ｃ）参照）に向けて移動するとともに、第２押し型４３が駆動機構４４によって駆動されることで図中矢印ＡＲ９ａ方向（図６（Ｃ）参照）に向けて移動することにより、拡開された状態にある枚葉チューブ状フィルム部材１１０の天襠部側開口端が、これら一組の第１押し型４２と第２押し型４３とによって挟み込まれて押圧される。なお、その際、一組の吸着機構４１による溶着しろ１１４の保持が解除される。

　ここで、第２押し型４３の押圧面には、Ｖ字溝４３ａが設けられており、一組の第１押し型４２の上端は、このＶ字溝４３ａに対応した先細り形状を有しており、第１押し型４３のＶ字溝４３ａに一組の第１押し型４２の上端が挿入されることにより、これら一組の第１押し型４２と第２押し型４３とによって枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４の根元部に折り癖が形成されることになる。

　次に、図６（Ｅ）に示すように、第２押し型４３が駆動機構４４によって駆動されることで図中矢印ＡＲ９ｂ方向（図６（Ｄ）参照）に向けて移動することにより、折り癖が形成された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が一組の第１押し型４２によって保持された状態とされる。この状態において、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４は、上述した折り癖によって拡開した状態が維持されることになる。

　その後、図５に示すように、枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、移送機構３０によって第３ステーションＳＴ２３へと移送され、一組の吸着機構４１および一組の第１押し型４２は、それぞれ図６（Ａ）に示す初期位置へと復帰する。

　図２、図５、図７および図８を参照して、次に、ステップＳ５において、ベルト状フィルム部材１２０に枚葉チューブ状フィルム部材１１０が供給されるとともに、ステップＳ６において、ベルト状フィルム部材１２０に枚葉チューブ状フィルム部材１１０が溶着される。このベルト状フィルム部材１２０への枚葉チューブ状フィルム部材１１０の供給および溶着（主溶着）は、第２加工ゾーンＺ２および第３加工ゾーンＺ３に設置された供給兼主溶着機構５０によって行なわれる。ここで、供給兼主溶着機構５０は、ベルト状フィルム部材１２０に枚葉チューブ状フィルム部材１１０を共有する供給機構と、ベルト状フィルム部材１２０に枚葉チューブ状フィルム部材１１０を溶着する閉塞処理機構の一部とを兼ね備えたものである。

　供給兼主溶着機構５０の一部は、第２加工ゾーンＺ２の第３ステーションＳＴ２３に設置されており、残る一部は、第３加工ゾーンＺ３の第１ステーションＳＴ３１に設置されている。第３ステーションＳＴ２３には、上述したスパウト組付け機構２０を通過した後のベルト状フィルム部材１２０と、上述した拡開機構４０を通過した後の枚葉チューブ状フィルム部材１１０が搬送される。第１ステーションＳＴ３１には、第２加工ゾーンＺ２に位置する部分の供給兼主溶着機構５０を通過した後のベルト状フィルム部材１２０およびこれに溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が搬送される。なお、図７（Ａ）ないし図７（Ｆ）は、ベルト状フィルム部材１２０への枚葉チューブ状フィルム部材１１０の供給および溶着動作を経時的に表わしたものである。

　図５、図７（Ａ）ないし図７（Ｆ）および図８に示すように、供給兼主溶着機構５０は、第３ステーションＳＴ２３に設置された、一組の半割形状の第１溶着ヘッド５１と、これを駆動する駆動機構５２と、第２溶着ヘッド５３と、これを駆動する駆動機構５４と、一組のガイドバー５５と、これを駆動する駆動機構５６とを有している。また。供給兼主溶着機構は、第１ステーションＳＴ３１に設置された、冷却ヘッド５７と、これを駆動する駆動機構５８と、冷却ステージ５９とを有している。一組の第１溶着ヘッド５１は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０を挟むように対向配置されており、駆動機構５２によって図５中に示す矢印ＡＲ１０方向に沿って駆動されるとともに、図示しない他の駆動機構によって図５中に示す矢印ＡＲ１１方向に沿って駆動される。第２溶着ヘッド５３は、一組の第１溶着ヘッド５１に対向するように枚葉チューブ状フィルム部材１１０の上方に位置しており、駆動機構５４によって図５中に示す矢印ＡＲ１２方向に沿って駆動される。
一組のガイドバー５５は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の側方に位置しており、駆動機構５６によって図５中に示す矢印ＡＲ１３方向に沿って駆動される。冷却ヘッド５７と冷却ステージ５９とは、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が溶着されたベルト状フィルム部材１２０を間に挟むように対向配置されており、このうちの冷却ヘッド５７は、駆動機構５８によって図８中に示す矢印ＡＲ１４方向に沿って駆動される。

　図５および図７（Ａ）に示すように、第３ステーションＳＴ２３においては、移送機構３０によって移送された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が、一組の半割形状の第１溶着ヘッド５１の間に配置される。このとき、一組の第１溶着ヘッド５１は、溶着しろ１１４よりも下方に位置する部分の枚葉チューブ状フィルム部材１１０に所定の距離をもって対向して位置する初期位置に配置されている。また、一組のガイドバー５５は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４の上方に位置する初期位置に配置されている。

　次に、図７（Ｂ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１が駆動機構５２によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１０ａ方向（図７（Ａ）参照）に向けて移動することにより、溶着しろ１１４よりも下方に位置する部分の枚葉チューブ状フィルム部材１１０が、これら一組の第１溶着ヘッド５１によって挟み込まれる。

　次に、図７（Ｃ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１が駆動機構５２とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１１ａ方向（図７（Ｂ）参照）に向けて移動することにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４が一組の第１溶着ヘッド５１と一組のガイドバー５５とによって挟み込まれる。これにより、溶着しろ１１４が拡開された状態が保持されることになる。

　次に、図７（Ｄ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１が駆動機構５２とは異なる図示しない他の駆動機構によって引き続き図中矢印ＡＲ１１ａ方向（図７（Ｃ）参照）に向けて駆動されるとともに、一組のガイドバー５５が駆動機構５６とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されることにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４が一組の第１溶着ヘッド５１と一組のガイドバー５５とによって挟み込まれた状態が維持されたまま、枚葉チューブ状フィルム部材１１０がベルト状フィルム部材１２０に向けて移動させられる。このとき、移送機構３０による枚葉チューブ状フィルム部材１１０の保持も同時に解除される。

　そして、枚葉チューブ状フィルム部材１１０がベルト状フィルム部材１２０に所定量だけ近づいた状態において、一組のガイドバー５５が駆動機構５６によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１３ａ方向に向けて回動することにより、当該一組のガイドバー５５が一組の第１溶着ヘッド５１上の位置から待避させられる。

　さらに、図７（Ｅ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１が駆動機構５２とは異なる図示しない他の駆動機構によってさらに図中矢印ＡＲ１１ａ方向（図７（Ｄ）参照）に向けて駆動されるとともに、第２溶着ヘッド５３が駆動機構５４によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１２ａ方向（図７（Ｄ）参照）に向けて移動することにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０がベルト状フィルム部材に供給される。これにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４と、ベルト状フィルム部材１２０のスパウト１０４が組付けられた部分（すなわち、天襠部となる部分）とが重なり合うとともに、この重ね合わされた部分が、一組の第１溶着ヘッド５１と第２溶着ヘッド５３とによって挟み込まれる。

　その際、ヒータが内蔵された一組の第１溶着ヘッド５１および第２溶着ヘッドによって重ね合わされた枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４とベルト状フィルム部材とが挟み込まれることにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４がベルト状フィルム部材１２０に溶着部Ｗ２（図８等参照）を介して溶着される。

　次に、図７（Ｆ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１による枚葉チューブ状フィルム部材１１０の挟み込みが解除されつつ、当該一組の第１溶着ヘッド５１が駆動機構５２とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１１ｂ方向（図７（Ｅ）参照）に向けて移動するとともに、第２溶着ヘッド５３が駆動機構５４によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１２ｂ方向（図７（Ｅ）参照）に向けて移動することにより、ベルト状フィルム部材１２０およびこれに溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０に対する一組の第１溶着ヘッド５１および第２溶着ヘッド５３による保持が解除される。これにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０とベルト状フィルム部材１２０とが一体化され、ベルト状フィルム部材１２０に溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、当該ベルト状フィルム部材１２０から垂れ下がった状態となる。

　その後、図８に示すように、ベルト状フィルム部材１２０およびこれに溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、第１ステーションＳＴ３１へと移送される。また、図７（Ｆ）に示すように、一組の第１溶着ヘッド５１が、駆動機構５２によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１０ｂ方向に向けて移動するとともに、一組のガイドバー５５が、駆動機構５６とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されるとともに、駆動機構５６によって駆動されることで図中矢印ＡＲ１３ｂ方向に向けて回動することにより、これら一組の第１溶着ヘッド５１および一組のガイドバー５５が、それぞれ図７（Ａ）に示す初期位置に復帰する。

　なお、移送機構３０は、上述したような固定式吸着機構３１および可動式吸着機構３２の組み合わせによって構成されている必要は必ずしもなく、種々変更が可能である。たとえば、固定式吸着機構３１を設けずに可動式吸着機構３２のみを用いて移送機構３０を構成してもよいし、吸着式ではない他の形式（たとえばローラー式等）の移送機構を用いることとしてよい。

　次に、図８に示すように、第１ステーションＳＴ３１においては、冷却ヘッド５７が駆動機構５８によって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ１４方向に沿って移動することにより、溶着部Ｗ２が冷却ヘッド５７と冷却ステージ５９とによって挟み込まれ、これにより溶着部Ｗ２が冷却される。

　以上において説明したステップＳ５，Ｓ６における加工を経ることにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０は、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に接合されることになる。

　図２および図８に示すように、次に、ステップＳ７において、余剰部１２２が切除される。この余剰部１２２の切除は、第３加工ゾーンＺ３に設置された切断機構６０によって行なわれる。切断機構６０は、第３加工ゾーンＺ３の第２ステーションＳＴ３２に設置されており、この第２ステーションＳＴ３２には、上述した供給兼主溶着機構５０を通過した後のベルト状フィルム部材１２０およびこれに溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０が搬送される。

　図８に示すように切断機構６０は、カット刃６１と、これを駆動する駆動機構６２と、カットステージ６３とを有している。カット刃６１とカットステージ６３とは、ベルト状フィルム部材１２０およびこれに溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０を間に挟むように対向配置されている。第２ステーションＳＴ３２においては、カット刃６１が駆動機構６２によって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ１５方向に沿って移動することにより、余剰部１２２の切除が行なわれる。

　ここで、余剰部１２２は、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分の周囲領域（当該周囲領域は、上述したステップＳ６において形成された溶着部Ｗ２の外側の領域である）のうち、ベルト状フィルム部材１２０の幅方向に位置する部分であり、切断機構によってこの余剰部１２２が切除されることにより、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分の周囲領域のうち、ベルト状フィルム部材１２０の長手方向に位置する部分には、連結部１２３が形成されることになる。この連結部１２３は、枚葉チューブ状フィルム部材１１０と、この枚葉チューブ状フィルム部材１１０が溶着された部分のベルト状フィルム部材１２０とによって構成される分断前パウチ容器を、ベルト状フィルム部材１２０の長手方向に沿って連結する部分である。

　図２および図９に示すように、次に、ステップＳ８において、分断前パウチ容器が折り畳まれる。この分断前パウチ容器の折り畳みは、第４加工ゾーンＺ４に設置された折り畳み機構としての姿勢変更バー１４によって行なわれる。姿勢変更バー１４は、ベルト状フィルム部材１２０を搬送する搬送機構１０に含まれるものであり、第１搬送経路上を搬送される分断前パウチ容器に接触するように当該第１搬送経路に沿って斜め配置されている。

　この姿勢変更バー１４の近傍を分断前パウチ容器が通過することにより、分断前パウチ容器の一部である枚葉チューブ状フィルム部材１１０が当該姿勢変更バー１４に接触し、これによって枚葉チューブ状フィルム部材１１０のうちの溶着しろ１１４以外の部分がその姿勢を変更し、接合しろ１１４と平行に配置される。これにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が折り畳まれることになる。

　なお、第１搬送経路のうちの姿勢変更バー１４よりも下流側の位置には、搬送機構１０に含まれる搬送ステージ１５が設置されており、上述した枚葉チューブ状フィルム部材１１０が折り畳まれた状態は、当該折り畳まれた部分の枚葉チューブ状フィルム部材１１０が搬送ステージ１５によって支持されることにより、その後も維持されることになる。

　図２および図９に示すように、次に、ステップＳ９において、未溶着部が溶着される。
この未溶着部の溶着（従溶着）は、第４加工ゾーンＺ４に設置された従溶着機構７０によって行なわれる。従溶着機構７０は、第４加工ゾーンＺ４の第１ないし第３ステーションＳＴ４１～ＳＴ４３に設置されている。ここで、従溶着機構７０は、ベルト状フィルム部材１２０に枚葉チューブ状フィルム部材１１０を溶着する閉塞処理機構の一部を成すものである。第１ステーションＳＴ４１には、姿勢変更バー１４を通過した後の分断前パウチ容器が搬送される。第２ステーションＳＴ４２には、第１ステーションＳＴ４１に位置する部分の従溶着機構７０を通過した後の分断前パウチ容器が搬送される。第３ステーションＳＴ４３には、第２ステーションＳＴ４２に位置する部分の従溶着機構７０を通過した後の分断前パウチ容器が搬送される。

　図９に示すように、従溶着機構７０は、第１ステーションＳＴ４１に設置された、上流側第３溶着ヘッド７１と、これを駆動する駆動機構７２と、上流側第４溶着ヘッド７３とを有している。また、従溶着機構７０は、第２ステーションＳＴ４２に設置された、下流側第３溶着ヘッド７４と、これを駆動する駆動機構７５と、下流側第４溶着ヘッド７６とを有している。さらに、従溶着機構７０は、第３ステーションＳＴ４３に設置された、冷却ヘッド７７と、これを駆動する駆動機構７８と、冷却ステージ７９とを有している。上流側第３溶着ヘッド７１と上流側第４溶着ヘッド７３とは、分断前パウチ容器を挟むように対向配置されており、このうちの上流側第３溶着ヘッド７１が駆動機構７２によって図中に示す矢印ＡＲ１６方向に沿って駆動される。下流側第３溶着ヘッド７４と下流側第４溶着ヘッド７６とは、分断前パウチ容器を挟むように対向配置されており、このうちの下流側第３溶着ヘッド７４が駆動機構７５によって図中に示す矢印ＡＲ１７方向に沿って駆動される。冷却ヘッド７７と冷却ステージ７９とは、分断前パウチ容器を挟むように対向配置されており、このうちの冷却ヘッド７７が駆動機構７８によって図中に示す矢印ＡＲ１８方向に沿って駆動される。

　ここで、未溶着部は、上述したステップＳ６において枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４とベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分とが供給兼主溶着機構５０によって溶着されることで形成されたに溶着部Ｗ２のうち、未だその溶着が完全には行なわれていない部分のことである。この未溶着部は、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に対して枚葉チューブ状フィルム部材の胴部のうちの前壁部となる部分および後壁部となる部分が突き合わされた状態で供給兼主溶着機構５０による溶着が行なわれた部分であり、溶着部Ｗ２のうちの上述した一組の半割り形状の第１溶着ヘッド５１の境界部に対応した位置に存している。

　第１ステーションＳＴ４１においては、ヒータが内蔵された上流側第３溶着ヘッド７１が駆動機構７２によって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ１６方向に沿って移動することにより、分断前パウチ容器の未溶着部が上流側第３溶着ヘッド７１と上流側第４溶着ヘッド７３とによって挟み込まれ、第２ステーションＳＴ４２においては、ヒータが内蔵された下流側第３溶着ヘッド７４が駆動機構７５によって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ１７方向に沿って移動することにより、分断前パウチ容器の未溶着部が下流側第３溶着ヘッド７４と下流側第４溶着ヘッド７６とによって挟み込まれ、これらにより未溶着部に溶着部Ｗ３が形成される。ここで、溶着部Ｗ３の形成のために、二度の溶着が行なわれる理由は、上述した未溶着部の溶着を確実ならしめるためである。

　第３ステーションＳＴ４３においては、冷却ヘッド７７が駆動機構７８によって駆動されることで図中に示す矢印ＡＲ１８方向に沿って移動することにより、溶着部Ｗ３が冷却ヘッド７７と冷却ステージ７９とによって挟み込まれ、これにより溶着部Ｗ３が冷却される。

　以上において説明したステップＳ９における加工を経ることにより、未溶着部がもはや在しなくなり、枚葉チューブ状フィルム部材１１０がベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に完全な意味において接合されることになる。

　図２および図１０ないし図１６に示すように、次に、ステップＳ１０において、ベルト状フィルム部材１２０にスリット１２４が形成されるとともに、ステップＳ１１において、ベルト状フィルム部材１２０が分断され、さらにステップＳ１２において、パウチ容器１００Ａが搬出される。このうち、スリット１２４の形成およびベルト状フィルム部材１２０の分断は、第５加工ゾーンＺ５に設置された分断機構８０によって行なわれ、パウチ容器１００Ａの搬出は、第５加工ゾーンＺ５に設置された保持機構９０によって行なわれる。なお、第５加工ゾーンＺ５には、これに加えて、上述した搬送機構１０のストッパ機構１６が設置されている。

　ここで、第５加工ゾーンＺ５には、第１ないし第５ステーションＳＴ５１～ＳＴ５５が設けられている。第１ステーションＳＴ５１には、上述した従溶着機構７０を通過した後の分断前パウチ容器が搬送され、この第１ステーションＳＴ５１に搬送された分断前パウチ容器は、その後、第２ないし第５ステーションＳＴ５２～ＳＴ５５をこの順で搬送される。

　上述したように、ベルト状フィルム部材１２０の搬送は、繰り出し機構１１による間欠搬送によって行なわれ、そのため、ベルト状フィルム部材１２０に形成された連結部１２３によって相互に連結された分断前パウチ容器の搬送も、この繰り出し機構１１による間欠搬送によって行なわれる。この間欠搬送は、より厳密な意味においては、後述するように、この第５加工ゾーンＺ５に設置されたストッパ機構１６と上述した繰り出し機構１１とが連動して動作することで実現されるものである。ここで、図１１ないし図１６は、この間欠搬送の１ステップ分の繰り出し動作を経時的に表わしたものであり、図１０は、このうちの図１４に示す状態を示している。なお、図１１ないし図１６においては、理解を容易とするために、後述するストッパ機構１６の上側パッド１６ａおよび駆動機構１６ｂ、分断機構８０のカット刃８１および駆動機構８２、保持機構９０の駆動機構９４および位置決め機構９５のうちの押さえ部材９５ｂ等の図示は省略している。

　分断機構８０は、カット刃８１と、これを駆動する駆動機構８２と、カットステージ８３と、分断アーム８４とを有している。このうちのカット刃８１、駆動機構８２およびカットステージ８３は、第３ステーションＳＴ５３と第４ステーションＳＴ５４との間に設置されており、残る分断アーム８４は、第４ステーションＳＴ５４と第５ステーションＳＴ５５との間に設置されている。カット刃８１とカットステージ８３とは、ベルト状フィルム部材１２０の連結部１２３を間に挟むように対向配置されており、このうちのカット刃８１は、駆動機構８２によって駆動されることで図１０中に示す矢印ＡＲ１９方向に沿って移動する。また、分断アーム８４は、図示しない駆動機構によって駆動されることにより、図１０中に示す矢印ＡＲ２０方向に沿って移動する。

　ストッパ機構１６は、第３ステーションＳＴ５３に設置されており、上側パッド１６ａと、これを駆動する駆動機構１６ｂと、下側パッド１６ｃと、これを駆動する駆動機構１６ｄとを有している。上側パッド１６ａと下側パッド１６ｃとは、ベルト状フィルム部材１２０を挟むように対向配置されている。このうち、上側パッド１６ａは、駆動機構１６ｂによって駆動されることで図１０中に示す矢印ＡＲ２１方向に沿って移動し、下側パッド１６ｃは、駆動機構１６ｄによって駆動されることで図１０に示す矢印ＡＲ２２方向に沿って移動する。なお、上側パッド１６ａおよび下側パッド１６ｃは、ベルト状フィルム部材１２０を挟み込むことにより、第１搬送経路上においてベルト状フィルム部材１２０を移動不能に保持する。

　保持機構９０は、第１ないし第３保持アーム９１～９３と、これらを一体に駆動する駆動機構９４とを有している。駆動機構９４によって図中に示す矢印ＡＲ２２方向に沿って駆動されることにより、第１保持アーム９１は、第２ステーションＳＴ５２と第３ステーションＳＴ５３との間を、第２保持アーム９２は、第３ステーションＳＴ５３と第４ステーションＳＴ５４との間を、第３保持アーム９３は、第４ステーションＳＴ５４と第５ステーションＳＴ５５との間をそれぞれ往復動する。なお、第１ないし第３保持アーム９１～９３は、それぞれ分断前パウチ容器のうちの、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４と、当該溶着しろ１１４に溶着されたベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分とを挟み込んで保持する。

　保持機構９０は、上述した第１ないし第３保持アーム９１～９３および駆動機構９４に加えて、位置決め機構９５を有している。位置決め機構９５は、位置決めステージ９５ａと、押さえ部材９５ｂとを含んでおり、これら位置決めステージ９５ａと押さえ部材９５ｂとは、ベルト状フィルム部材１２０を挟むように対向配置されている。位置決めステージ９５ａの上面には、複数の受け孔９５ａ１（図１６参照）が設けられており、押さえ部材９５ｂの下面には、複数の針９５ｂ１（当該針９５ｂ１は、図１０において現われないが、図１１ないし図１４においてその断面が現われている）が設けられている。

　位置決めステージ９５ａおよび押さえ部材９５ｂは、第１ないし第３保持アーム９１～９３を駆動する駆動機構９４によって駆動されることで第１ないし第３保持アーム９１～９３と同期して図１０中に示す矢印ＡＲ２４方向に沿って移動する。これにより、位置決めステージ９５ａおよび押さえ部材９５ｂは、第１ステーションＳＴ５１と第２ステーションＳＴ５２との間の位置と、第２ステーションＳＴ５２と第３ステーションＳＴ５３との間の位置とを往復動する。また、押さえ部材９５ｂは、駆動機構９４とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されることで図１０中に示す矢印ＡＲ２５方向に沿って移動する。

　位置決め機構９５は、繰り出し機構１１によるベルト状フィルム部材１２０の繰り出しの際に、当該ベルト状フィルム部材１２０が位置ずれしてしまうことを防止するためのものである。すなわち、押さえ部材９５ｂが、上述した駆動機構９４とは異なる図示しない他の駆動機構によって駆動されることで位置決めステージ９５ａに接近することにより、その下面に設けられた複数の針９５ｂ１がベルト状フィルム部材１２０の連結部１２３に突き刺さり、連結部１２３を貫通することで位置決めステージ９５ａに設けられた複数の受け孔９５ａ１に挿入される。これにより、この複数の針９５ｂ１が突き刺さった部分のベルト状フィルム部材１２０の連結部１２３が移動不能に固定されることになり、これによって位置決め機構によってベルト状フィルム部材１２０の位置ずれが防止されることになる。

　まず、図１１に示すように、第５加工ゾーンＺ５においては、保持機構９０によってベルト状フィルム部材１２０が保持されている。具体的には、第１保持アーム９１によって第２ステーションＳＴ５２に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれており、第２保持アーム９２によって第３ステーションＳＴ５３に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれており、第３保持アーム９３によって第４ステーションＳＴ５４に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれており、これらによってベルト状フィルム部材１２０が保持されている。また、第１ステーションＳＴ５１と第２ステーションＳＴ５２との間においては、位置決め機構９５によってこれら第１および第２ステーションＳＴ５１，ＳＴ５２に配置された分断前パウチ容器の間に位置する連結部１２３が位置決めされて挟み込まれており、これによってもベルト状フィルム部材１２０が保持されている。

　なお、このとき、第３ステーションＳＴ５３においては、ベルト状フィルム部材１２０がストッパ機構１６によって挟み込まれていない。また、第５ステーションＳＴ５５には、分断前パウチは配置されていない。

　次に、図１２に示すように、繰り出し機構１１（図４参照）の繰り出しに連動して、駆動機構９４が駆動することにより、第１ないし第３保持アーム９１～９３が図１１中に示す矢印ＡＲ２３ａ方向に向けて移動する（すなわち、ベルト状フィルム部材１２０の搬送方向の下流側に向けて往動する）とともに、位置決め機構９５が図１１中に示す矢印ＡＲ２４ａ方向に向けて移動することにより、第１ないし第４ステーションＳＴ５１～ＳＴ５４に配置された分断前パウチ容器が、それぞれ次のステーションである第２ないし第５ステーションＳＴ５２～ＳＴ５５へと搬送される。このとき、第５ステーションＳＴ５５へと搬送された分断前パウチ容器の枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４以外の部分は、搬送ステージ１５による支持が解除されるため、下方に垂れ下がるようにその姿勢が変更される。

　次に、図１３に示すように、第３ステーションＳＴ５３において、ベルト状フィルム部材１２０がストッパ機構１６によって保持される。具体的には、ストッパ機構１６の上側パッド１６ａおよび下側パッド１６ｃによって第３ステーションＳＴ５３に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれ、これによってベルト状フィルム部材１２０が保持された状態となる。なお、図１３においては、理解を容易とするために、ストッパ機構１６によって保持された部分のベルト状フィルム部材１２０に、仮想的に斜め格子状の模様を付している。

　次に、図１４に示すように、第３ステーションＳＴ５３と第４ステーションＳＴ５４との間において、分断機構８０のカット刃８１が駆動機構８２によって駆動されることで図１０中に示す矢印ＡＲ１９方向に沿って移動することにより、当該第３ステーションＳＴ５３と第４ステーションＳＴ５４との間に位置するベルト状フィルム部材１２０の所定位置（より具体的には、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部と上述した周囲領域との境目の位置（すなわち、連結部１２３の両端））にスリット１２４が設けられる。このスリット１２４の形成は、ベルト状フィルム部材１２０を完全に切り離すものではなく、一部が繋がった状態に維持されるようにその切断が行なわれるものである。

　また、これと同時に、第４ステーションＳＴ５４と第５ステーションＳＴ５５との間においては、分断機構８０の分断アーム８４が図示しない駆動機構によって駆動されることで図１３中に示す矢印ＡＲ２０ａ方向に向けて移動させられ、その移動後において当該第４ステーションＳＴ５４と第５ステーションＳＴ５５との間に位置する連結部１２３が挟み込まれて保持され、さらにその後、分断アーム８４が図示しない駆動機構によって駆動されることで図１３中に示す矢印ＡＲ２０ｂ方向に向けて移動させられることにより、この第４ステーションＳＴ５４と第５ステーションＳＴ５５との間に位置する連結部１２３が切除される。この連結部１２３の切除は、上述したカット刃８１によるスリット１２４の形成後に行なわれるものであるため、当該連結部１２３は、この分断アーム８４の動作によってベルト状フィルム部材１２０の他の部分から容易に引き千切られる。

　この連結部１２３の切除により、第５ステーションＳＴ５５に配置された分断前パウチ容器がベルト状フィルム部材１２０から切り離されることになり、パウチ容器１００Ａが搬出可能に切り出されることになる。

　この後、切り出されたパウチ容器１００Ａは、製造装置１からの搬出のために第３保持アーム９３によって保持された状態から、図示しない他の移送機構に移載されて製造装置１から搬出され、また、切除された連結部１２３は、分断アーム８４による保持が解除されることで製造装置１に別途設けられた回収箱によって回収される。

　次に、図１５に示すように、保持機構９０によるベルト状フィルム部材１２０の保持が解除される。具体的には、第１保持アーム９１による、第３ステーションＳＴ５３に配置された分断前パウチ容器の挟み込み、ならびに、第２保持アーム９２による、第４ステーションＳＴ５４に配置された分断前パウチ容器の挟み込みがそれぞれ解除され、さらに、位置決め機構９５による、第２および第３ステーションＳＴ５２，ＳＴ５３に配置された分断前パウチ容器の間に位置する連結部１２３の挟み込みが解除され、これによって保持機構９０によるベルト状フィルム部材１２０の保持が解除される。なお、このとき、ストッパ機構１６によるベルト状フィルム部材１２０の保持は維持されているため、上述した保持機構９０による保持の解除が行なわれても、ベルト状フィルム部材１２０が位置ずれ（巻き戻し等）を起こすことがない。

　次に、図１６に示すように、駆動機構９４が駆動することにより、第１ないし第３保持アーム９１～９３が図１５中に示す矢印ＡＲ２３ｂ方向に向けて移動する（すなわち、ベルト状フィルム部材１２０の搬送方向の上流側に向けて復動する）とともに、位置決め機構９５が図１５中に示す矢印ＡＲ２４ｂ方向に向けて移動する。これにより、第１ないし第３保持アーム９１～９３は、それぞれ第２ないし第４ステーションＳＴ５２～ＳＴ５４に復帰することになり、位置決め機構９５は、第１ステーションＳＴ５１と第２ステーションＳＴ５２との間の位置に復帰することになる。なお、その際にも、ストッパ機構１６によるベルト状フィルム部材１２０の保持は維持されているため、ベルト状フィルム部材１２０が位置ずれ（巻き戻し等）を起こすことはない。

　この後、保持機構９０によってベルト状フィルム部材１２０があらためて保持される。
具体的には、第１保持アーム９１によって第２ステーションＳＴ５２に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれ、第２保持アーム９２によって第３ステーションＳＴ５３に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれ、第３保持アーム９３によって第４ステーションＳＴ５４に配置された分断前パウチ容器が挟み込まれ、これらによってベルト状フィルム部材１２０が保持される。また、第１ステーションＳＴ５１と第２ステーションＳＴ５２との間において、位置決め機構９５によってこれら第１および第２ステーションＳＴ５１，ＳＴ５２に配置された分断前パウチ容器の間に位置する連結部１２３が挟み込まれ、これによってもベルト状フィルム部材１２０が保持される。

　以上において説明した本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１においては、上述したように、繰り出し機構１１によってベルト状フィルム部材１２０が間欠的に繰り出されるとともに、保持機構９０が、第１搬送経路に沿って往復動するように構成されている。そして、繰り出し機構１１によるベルト状フィルム部材１２０の繰り出し時においては、これに対応して保持機構９０が往動するように構成されており、この保持機構９０の往動時には、ベルト状フィルム部材１２０が当該保持機構９０によって保持される。また、保持機構９０によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分の分断機構８０による切り出しは、繰り出し機構１１によるベルト状フィルム部材１２０の繰り出しの停止後であって保持機構９０によるベルト状フィルム部材１２０の保持の解除前のタイミングにおいて行なわれる。さらに、保持機構９０は、ベルト状フィルム部材１２０の保持を解除した後に復動することになるが、保持機構９０の復動の際には、ベルト状フィルム部材１２０がストッパ機構１６によって保持された状態とされる。

　そのため、このように構成することにより、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に枚葉チューブ状フィルム部材１１０が溶着された後の状態においても、ベルト状フィルム部材１２０を比較的小型の装置であるストッパ機構１６および保持機構９０の少なくともいずれかによって常時保持することが可能になるため、ベルト状フィルム部材１２０が位置ずれ（巻き戻し等）を起こすことなくこれを搬送することができる。したがって、当該溶着後において、従来のように枚葉チューブ状フィルム部材１１０を製造装置が大型化する原因となるベルトコンベヤを用いて搬送する必要がなくなり、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を量産可能な製造装置を従来に比して大幅に小型に構成することが可能になる。

　また、上述した本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１とすることにより、ベルト状フィルム部材１２０が搬送される第１搬送経路と、枚葉チューブ状フィルム部材１１０が搬送される第２搬送経路とを、鉛直方向に並べて配置することができるため、これを水平方向に並べて配置する場合に比べて、製造装置１のフットプリントを大幅に小さくすることもできる。

　また、上述した本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１においては、枚葉チューブ状フィルム部材１１０とベルト状フィルム部材１２０との溶着を、一組の半割形状の第１溶着ヘッド５１とこれと対を成す第２溶着ヘッド５３とを用いた主たる溶着と、対となる第３および第４溶着ヘッド７１，７３，７４，７６とを用いた従たる溶着とに分けて行なうように構成している。そのため、このように構成することにより、溶着不良の発生を大幅に抑制することが可能になり、歩留まりを向上させることができる。

　また、上述した本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１においては、拡開機構４０ならびに供給兼主溶着機構５０のガイドバー５５を用いることにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４の拡開とその状態の維持とを実現可能にしている。そのため、このように構成することにより、溶着しろ１１４を確実に拡開させた状態でベルト状フィルム部材１２０に供給することが可能になり、この意味においても歩留まりを向上させることができる。

　さらには、上述した本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１とすることにより、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の胴部となる部分を必要以上に搬送機構や保持機構によって保持する必要がなく、特に、分断前パウチ容器をベルト状フィルム部材１２０から切り離す前後において、これを、ベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分に溶着された枚葉チューブ状フィルム部材１１０の溶着しろ１１４と、当該溶着しろ１１４に溶着されたベルト状フィルム部材１２０の天襠部となる部分とを保持機構９０の第１ないし第３保持アーム９１～９３によって挟み込んで保持する構成とすることができるため、枚葉チューブ状フィルム部材１１０の胴部となる部分に予め印刷処理等が施されている場合にも、これを傷つけてしまうおそれを大幅に低減することもできる。

　したがって、本実施の形態に係るパウチ容器の製造方法および製造装置１とすることにより、スパウト付き天襠部を備えたパウチ容器を量産可能な製造装置を従来に比して大幅に小型に構成することができるばかりでなく、より高い品質でこれを効率的に製造することが可能になる。

　図１７は、上述した実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従って製造され得る他の種類のパウチ容器の折り畳んだ状態における正面図である。上述した実施の形態においては、枚葉チューブ状フィルム部材１１０として、単一のフィルム状部材を丸めてその周方向の端部同士を溶着したものにてこれを構成した場合を例示したが、この他の形態の枚葉チューブ状フィルム部材を利用してもよい。

　図１７（Ａ）に示すパウチ容器１００Ｂは、底襠部ならびにスパウト付き天襠部を備えたスパウト付きスタンディングタイプのものであり、当該パウチ容器１００Ｂにあっては、胴部１０１が一対のシート状フィルム部材にて構成されている。すなわち、胴部１０１は、前壁部を構成するシート状フィルム部材と、後壁部を構成するシート状フィルム部材とによって構成されており、これら一対のシート状フィルム部材の幅方向の両端部同士が溶着部Ｗ６によって溶着されている。また、胴部１０１の天襠部側開口端とは反対側に位置する軸方向の端部には、底襠部が設けられており、当該底襠部を構成する襠部用フィルム部材は、その周縁が胴部１０１を構成する上記一対のシート状フィルム部材の軸方向の一端に溶着部Ｗ５によって溶着されている。

　このようなパウチ容器１００Ｂは、上述した実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従いつつ、枚葉チューブ状フィルム部材として、軸方向の一端が開放されるとともに他端が底襠部となる部分によって閉塞された底襠部付き袋形状の枚葉チューブ状フィルム部材を用いることで製造が可能である。

　この他にも、上述した実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従いつつ、枚葉チューブ状フィルム部材として、軸方向の両端が開放された筒形状の枚葉チューブ状フィルム部材を用い、この枚葉チューブ状フィルム部材にスパウト付き天襠部を組付けた後に、底側の処理をさらに行なうようにしてもよい。

　図１７（Ｂ）に示すパウチ容器１００Ｃは、上述したパウチ容器１００Ｂと基本的な構成は同じであるものの、胴部１０１の幅方向の一端に把手１０１ａを有するとともに、天襠部１０２のうちの当該把手１０１ａが位置する側とは反対側に寄せてスパウト１０４が組付けられているものである。上述した実施の形態に係るパウチ容器の製造方法に従えば、このような通常とは異なる異形状のパウチ容器を容易に製造することができる。

　ここで、上述した実施の形態においては、保持機構が３つの保持アームを具備している場合を例示して説明を行なったが、これは、分断前パウチ容器をベルト状フィルム部材１２０から切り離すに際して、スリットを形成した後に連結部を引き千切るように構成したためであり、他の手法を用いる場合には、保持アームを１つまたは２つとしてもよいし、さらには４つ以上とすることもできる。

　また、上述した実施の形態においては、ストッパ機構によってベルト状フィルム部材が挟み込んで保持されるとともに、保持機構によって分断前パウチ容器が挟み込んで保持されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、ストッパ機構および保持機構による保持は、このような手法に限定されるものではなく、他の手法を用いることとしてもよい。さらには、上述した実施の形態においては、保持機構に保持アームに加えて、位置決め機構を設けた場合を例示して説明を行なったが、場合によっては位置決め機構を廃止してもよい。

　また、上述した実施の形態においては、保持機構により、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に溶着された枚葉チューブ状フィルム部材の溶着しろと、当該溶着しろに溶着されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とが保持されるように構成した場合を例示して説明を行なったが、この他にも、これら部分のいずれかのみを保持機構によって保持するように構成してもよいし、溶着しろに溶着されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に位置するスパウトを保持機構によって保持するように構成してもよい。

　このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。

　１　製造装置、１０　搬送機構、１１　繰り出し機構、１１ａ　送り出し機構、１１ｂ　引き出し機構、１１ｃ　テンション調整機構、１４　姿勢変更バー、１５　搬送ステージ、１６　ストッパ機構、１６ａ　上側パッド、１６ｂ　駆動機構、１６ｃ　下側パッド、１６ｄ　駆動機構、２０　スパウト組付け機構、２１　孔開け機構、２１ａ　カット刃、２１ｂ　駆動機構、２１ｃ　カットステージ、２２　スパウト供給兼溶着機構、２２ａ　供給ステージ、２２ｂ　駆動機構、２２ｃ　溶着ヘッド、２２ｄ　駆動機構、２３　冷却機構、２３ａ　冷却ヘッド、２３ｂ　駆動機構、２３ｃ　冷却ステージ、３０　移送機構、３１　固定式吸着機構、３２　可動式吸着機構、４０　拡開機構、４１　吸着機構、４２　第１押し型、４３　第２押し型、４３ａ　Ｖ字溝、４４　駆動機構、５０　供給兼主溶着機構、５１　第１溶着ヘッド、５２　駆動機構、５３　第２溶着ヘッド、５４　駆動機構、５５　ガイドバー、５６　駆動機構、５７　冷却ヘッド、５８　駆動機構、５９　冷却ステージ、６０　切断機構、６１　カット刃、６２　駆動機構、６３　カットステージ、７０　従溶着機構、７１　上流側第３溶着ヘッド、７２　駆動機構、７３　上流側第４溶着ヘッド、７４　下流側第３溶着ヘッド、７５　駆動機構、７６　下流側第４溶着ヘッド、７７　冷却ヘッド、７８　駆動機構、７９　冷却ステージ、８０　分断機構、８１　カット刃、８２　駆動機構、８３　カットステージ、８４　分断アーム、９０　保持機構、９１　第１保持アーム、９２　第２保持アーム、９３　第３保持アーム、９４　駆動機構、９５　位置決め機構、９５ａ　位置決めステージ、９５ａ１　受け孔、９５ｂ　押さえ部材、９５ｂ１　針、１００Ａ～１００Ｃ　パウチ容器、１０１　胴部、１０１ａ　把手、１０２　天襠部、１０４　スパウト、１１０　枚葉チューブ状フィルム部材、１１１　天襠部側開口端、１１２　屈曲部、１１３　切れ込み、１１４　溶着しろ、１２０　ベルト状フィルム部材、１２１　孔部、１２２　余剰部、１２３　連結部、１２３ａ　孔、１２４　スリット、Ｗ１～Ｗ６　溶着部。

Claims (7)

1. 　パウチ容器の天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材と、各々がパウチ容器の胴部となる部分を少なくとも含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材とを材料として、複数のパウチ容器が連続的に製造されるパウチ容器の製造方法であって、
   　前記単一のベルト状フィルム部材が、当該単一のベルト状フィルム部材の長手方向に沿って第１搬送経路上を搬送される工程と、
   　前記複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々が、前記第１搬送経路上を搬送されている前記単一のベルト状フィルム部材に供給される工程と、
   　前記ベルト状フィルム部材に供給された前記枚葉チューブ状フィルム部材の軸方向の一端側に位置する天襠部側開口端が、前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程とを備え、
   　前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分には、前記枚葉チューブ状フィルム部材が供給されるに先だってスパウトが組付けられており、
   　前記枚葉チューブ状フィルム部材が前記ベルト状フィルム部材に供給される工程において、前記枚葉チューブ状フィルム部材は、前記天襠部側開口端に設けられた接合しろが開かれた状態とされて、前記接合しろが前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に重ね合わせられるように供給され、
   　前記天襠部側開口端が前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程は、重ね合われた状態にある前記接合しろと前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とが相互に接合されることで行なわれ、
   　さらに、
   　前記天襠部側開口端が前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞された工程の後に、前記接合しろに接合された前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分、前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された前記接合しろ、および、前記接合しろに接合された前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に位置するスパウトのうちの少なくともいずれかが、前記第１搬送経路に沿って往復動可能に構成された保持機構によって前記第１搬送経路上において保持される工程と、
   　前記保持機構によって保持された部分に該当する、前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分が、前記第１搬送経路上において前記ベルト状フィルム部材から切り出される工程と備え、
   　前記ベルト状フィルム部材が前記第１搬送経路上を搬送される工程は、繰り出し機構による前記ベルト状フィルム部材の繰り出しと、前記繰り出し機構による前記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止とが、時間的に交互に切換えられることで行なわれ、
   　前記保持機構は、前記繰り出し機構による前記ベルト状フィルム部材の繰り出しに対応して前記ベルト状フィルム部材を保持しつつ前記ベルト状フィルム部材の搬送方向における下流側に向けて往動するとともに、前記繰り出し機構による前記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後において前記ベルト状フィルム部材の保持を解除して前記ベルト状フィルム部材の搬送方向における上流側に向けて復動し、
   　前記保持機構によって保持された部分に該当する、前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分が切り出される工程は、前記繰り出し機構による前記ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後であって前記保持機構による前記ベルト状フィルム部材の保持の解除前に行なわれ、
   　前記保持機構の復動時において、前記ベルト状フィルム部材がストッパ機構によって前記第１搬送経路上において移動不能に保持される、パウチ容器の製造方法。
2. 　前記保持機構により、前記接合しろに接合された前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分と前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された前記接合しろとが、挟み込まれて保持される、請求項１に記載のパウチ容器の製造方法。
3. 　前記スパウトが、前記第１搬送経路上において前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に組付けられる、請求項１または２に記載のパウチ容器の製造方法。
4. 　前記枚葉チューブ状フィルム部材が前記ベルト状フィルム部材に供給される工程において、前記枚葉チューブ状フィルム部材は、前記軸方向と直交する両端部に一対の屈曲部が配置されるように偏平な形状とされ、かつ、前記一対の屈曲部の各々の延在方向における前記天襠部側開口端側の端部に切れ込みが形成されることにより、予め前記天襠部側開口端に前記接合しろが設けられた状態とされており、
   　前記天襠部側開口端が前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞される工程は、
   　前記枚葉チューブ状フィルム部材の前記接合しろに対して、前記枚葉チューブ状フィルム部材のその余の部分が交差するように起立した姿勢において、当該その余の部分を間に挟むように配置された一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと、当該一組の半割り形状の第１溶着ヘッドと対を成す第２溶着ヘッドとによって、重ね合われた状態にある前記接合しろと前記ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とが挟み込まれることにより、主たる溶着が行なわれる工程と、
   　前記主たる溶着の後に、前記その余の部分が前記接合しろと平行に配置されるように前記枚葉チューブ状フィルム部材が折り畳まれる工程と、
   　前記枚葉チューブ状フィルム部材の折り畳みの後に、対を成す第３溶着ヘッドおよび第４溶着ヘッドによって、前記一組の半割り形状の第１溶着ヘッドの境界部に対応した位置に存することとなる未溶着部が挟み込まれることにより、従たる溶着が行なわれる工程とを含む、請求項１から３のいずれかに記載のパウチ容器の製造方法。
5. 　前記複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々が、第２搬送経路上において前記軸方向と直交する方向に整列された状態で移送されるように順次搬送される工程をさらに備え、　前記枚葉チューブ状フィルム部材が前記第２搬送経路上を搬送される工程は、前記接合しろが開かれた状態となるように前記接合しろを拡開させる工程を含み、
   　前記第２搬送経路上を搬送されて前記接合しろが拡開された後に、前記枚葉チューブ状フィルム部材が、前記ベルト状フィルム部材に供給される、請求項４に記載のパウチ容器の製造方法。
6. 　前記複数の枚葉チューブ状フィルム部材が、前記軸方向の両端が開放された筒形状、前記軸方向の一端が開放されるとともに他端が閉塞された袋形状、および、前記軸方向の一端が開放されるとともに他端が底襠部となる部分によって閉塞された底襠部付き袋形状のいずれかの形状を有している、請求項１から５のいずれかに記載のパウチ容器の製造方法。
7. 　パウチ容器の天襠部となる部分を複数含む単一のベルト状フィルム部材と、各々がパウチ容器の胴部となる部分を少なくとも含む複数の枚葉チューブ状フィルム部材とを材料として、複数のパウチ容器を連続的に製造するパウチ容器の製造装置であって、
   　単一のベルト状フィルム部材を当該単一のベルト状フィルム部材の長手方向に沿って繰り出す繰り出し機構と、
   　前記繰り出し機構によって繰り出された単一のベルト状フィルム部材が搬送される第１搬送経路と、
   　複数の枚葉チューブ状フィルム部材の各々を、前記第１搬送経路上を搬送されている、天襠部となる部分に予めスパウトが組付けられたベルト状フィルム部材に供給する供給機構と、
   　ベルト状フィルム部材に供給された枚葉チューブ状フィルム部材の軸方向の一端側に位置する天襠部側開口端をベルト状フィルム部材の天襠部となる部分によって閉塞する閉塞処理機構とを備え、
   　枚葉チューブ状フィルム部材は、天襠部側開口端に設けられた接合しろが開かれた状態とされて、前記供給機構により、当該接合しろがベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に重ね合わせられるようにベルト状フィルム部材に供給され、
   　前記閉塞処理機構は、重ね合われた状態にある枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろとベルト状フィルム部材の天襠部となる部分とを相互に接合するものであり、
   　さらに、
   　前記第１搬送経路に沿って往復動可能に構成されるとともに、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに接合されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に接合された枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろ、および、枚葉チューブ状フィルム部材の接合しろに接合されたベルト状フィルム部材の天襠部となる部分に位置するスパウトのうちの少なくともいずれかを、前記第１搬送経路上において保持する保持機構と、
   　前記保持機構によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分を、前記第１搬送経路上においてベルト状フィルム部材から切り出す分断機構とを備え、
   　前記繰り出し機構は、ベルト状フィルム部材の繰り出しと、ベルト状フィルム部材の繰り出しの停止とを、時間的に交互に切換えるものであり、
   　前記保持機構は、前記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しに対応してベルト状フィルム部材を保持しつつベルト状フィルム部材の搬送方向における下流側に向けて往動するとともに、前記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後においてベルト状フィルム部材の保持を解除してベルト状フィルム部材の搬送方向における上流側に向けて復動し、
   　前記分断機構は、前記繰り出し機構によるベルト状フィルム部材の繰り出しの停止後であって前記保持機構によるベルト状フィルム部材の保持の解除前に、前記保持機構によって保持された部分に該当する、ベルト状フィルム部材の天襠部となる部分を切り出すものであり、
   　さらに、
   　前記保持機構の復動時において、前記ベルト状フィルム部材を前記第１搬送経路上において移動不能に保持するストッパ機構を備える、パウチ容器の製造装置。

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