WO2022097491A1 - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

Abstract

この発明は、複数の吐出ヘッドを一括して保持するヘッド保持部と、搬送方向に搬送される印刷媒体の上方の印刷空間と、印刷空間から離れた退避空間との間でヘッド保持部を移動させるヘッド一括移動部と、を備えている。このため、印刷媒体の搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列された複数の吐出ヘッドを印刷空間と退避空間との間で往復移動させながら各吐出ヘッドからインクを印刷媒体に吐出して高品質な画像を低コストで印刷することができる。

Description

印刷装置および印刷方法

　この発明は、互いに異なるインクを吐出する複数の吐出ヘッドを印刷空間と退避空間との間で移動させる印刷装置および印刷方法に関するものである。

　以下に示す日本出願の明細書、図面および特許請求の範囲における開示内容は、参照によりその全内容が本書に組み入れられる：
　特願２０２０－１８６３００（２０２０年１１月９日出願）。

　吐出ヘッドからインクジェット方式で水性や油性などのインクを印刷媒体に吐出して印刷媒体の上面に画像を印刷する印刷装置が知られている。例えば特許文献１に記載の印刷装置では、印刷媒体の搬送方向に沿って複数の吐出ヘッドが配列されている。そして、各吐出ヘッドはノズル面から液滴状のインクを印刷媒体の上面に吐出して印刷する。このため、ノズル面に付着する付着物が乾燥して固着すると、ノズルの目詰まりが発生して印刷性能の低下を招く。そこで、上記特許文献１では、印刷を行う印刷空間、つまり搬送方向に搬送される印刷媒体の上方空間から水平方向に離れた退避空間にメンテナンス部が設けられている。そして、メンテナンス部を用いてフラッシングやパージングなどのクリーニング処理が行われる。また、ノズル面でのインクの乾燥を防止するため、メンテナンス部によるキャッピング処理が行われる。

特開２０１７－１７７３６２号公報

　特許文献１に記載された印刷装置では、それぞれ異なる色のインクを吐出する４つの吐出ヘッドが印刷媒体の搬送方向と平行に配列されている。これら複数の吐出ヘッドを印刷空間および退避空間の間で往復移動させるために、２つの移動機構も搬送方向に並設されている。より具体的には、ブラック、シアン、マゼンタおよびイエローをそれぞれ吐出する４つの吐出ヘッドがこの順序で搬送方向に配列されている。これらのうちブラックのインクを吐出する吐出ヘッドはブラック用移動機構により移動される。また、このブラック用移動機構に隣接してカラー用移動機構が設けられ、シアン、マゼンタおよびイエローのインクをそれぞれ吐出する３つの吐出ヘッドを移動させる。このように移動機構を並設させることを考慮し、ブラック用の吐出ヘッドとシアン用の吐出ヘッドとは搬送方向に離間して設けられている。その結果、次のような問題が発生することがある。一つ目として、ブラックのインクが供給される位置と、それ以外のインクが供給される位置とが搬送方向に離れ、これが印刷精度の低下を招く主要因の一つとなっている。また、二つ目として、移動機構を複数設ける必要があるとともに、それに対応してメンテナンス部も複数設ける必要があり、装置コストの増大を招く。

　この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、印刷媒体の搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列された複数の吐出ヘッドを印刷空間と退避空間との間で往復移動させながら各吐出ヘッドからインクを印刷媒体に吐出して高品質な画像を低コストで印刷することができる印刷技術を提供することを目的とする。

　この発明の一態様は、搬送方向に搬送される印刷媒体に互いに異なる複数のインクを吐出して画像を印刷する印刷装置であって、搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列され、それぞれ異なるインクを吐出面から下方に吐出する複数の吐出ヘッドと、複数の吐出ヘッドを一括して保持するヘッド保持部と、搬送方向に搬送される印刷媒体の上方の印刷空間と、印刷空間から離れた退避空間との間でヘッド保持部を移動させるヘッド一括移動部と、を備えることを特徴している。

　この発明の他の態様は、搬送方向に搬送される印刷媒体に互いに異なる複数のインクを吐出して画像を印刷する印刷方法であって、それぞれ異なるインクを下方に吐出する複数の吐出ヘッドを、搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列した状態で、一括して搬送方向に搬送される印刷媒体の上方の印刷空間に移動させる工程と、印刷空間に移動された複数の吐出ヘッドにより印刷する工程と、複数の吐出ヘッドを一括して印刷空間から離れた退避空間に移動させる工程と、を備えることを特徴としている。

　このように構成された発明では、所望の画像を印刷媒体に印刷するために、複数の吐出ヘッドが用いられる。これらの吐出ヘッドは搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列されており、一括して印刷空間に移動された後でそれぞれ吐出面からインクを印刷媒体に吐出する。これにより、印刷媒体に上記画像が印刷される。また、これらの吐出ヘッドは一括して印刷空間から退避空間に移動され、これにより作業者は各吐出ヘッドに対して容易にアクセス可能となる。

　以上のように、画像印刷に必要な複数の吐出ヘッドを、印刷媒体の搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列したまま、一括して印刷空間と退避空間との間で往復移動させることができる。このように複数の吐出ヘッドの移動をヘッド一括移動部のみで行うことができるため、装置コストの低減が可能となっている。しかも、複数の移動手段によりヘッド移動を行う従来技術よりも吐出ヘッドの相互間隔を狭めることができ、印刷品質を高めることができる。

　上述した本発明の各態様の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部又は全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部又は全部を達成するために、上述した本発明の一態様に含まれる技術的特徴の一部又は全部を上述した本発明の他の態様に含まれる技術的特徴の一部又は全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。

本発明に係る印刷装置の第１実施形態を装備する印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。 カラー印刷部、カラーメンテナンス部およびそれらに関連する構成を模式的に示す図である。 カラー印刷部およびカラーメンテナンス部を印刷媒体の搬送方向の下流側から見た側面図である。 印刷待機時、印刷時および作業者によるメンテナンス時における、カラー印刷部３２およびカラーメンテナンス部の位置を示す図である。 本発明に係る印刷装置の第２実施形態で実行される上下移動メニューを示すフローチャートである。 図４に示す上下移動メニューにしたがった動作の一例を模式的に示す図である。 本発明に係る印刷装置の第３実施形態における上下移動メニューにしたがった動作を模式的に示す図である。

　図１は本発明に係る印刷装置の第１実施形態を装備する印刷システムの一例を模式的に示す正面図である。図１および以下に示す図では、装置各部の配置関係を明確にするために、印刷システム１を構成する塗布装置２、印刷装置３および乾燥装置４を配列する水平方向を「Ｘ方向」とし、図１の右手側から左手側に向かう水平方向を「＋Ｘ方向」と称し、逆方向を「－Ｘ方向」と称する。また、Ｘ方向と直交する水平方向Ｙのうち、装置の正面側を「＋Ｙ方向」と称するとともに、装置の背面側を「－Ｙ方向」と称する。さらに、鉛直方向Ｚにおける上方向および下方向をそれぞれ「＋Ｚ方向」および「－Ｚ方向」と称する。

　この印刷システム１は、装置各部を制御部９により制御することで、繰出ロール１１から巻取ロール１２へロール・トゥ・ロールで長尺帯状の印刷媒体Ｍを搬送しつつ、塗布処理、印刷処理および乾燥処理を印刷媒体Ｍに施す。すなわち、塗布装置２が塗布液を印刷媒体Ｍに塗布する。そして、当該印刷媒体Ｍに対して印刷装置３がインクジェット方式で各種インクを付着させて画像を印刷する。さらに、乾燥装置４が印刷媒体Ｍに付着するインクを乾燥させる。なお、印刷媒体Ｍの素材は、ＯＰＰ(oriented polypropylene)あるいはＰＥＴ(polyethylene terephthalate)等のフィルムである。ただし、印刷媒体Ｍの素材はフィルムに限られず、紙等でもよい。かかる印刷媒体Ｍは、可撓性を有する。また、以下では、印刷媒体Ｍの両面のうち、画像が印刷される面を表面Ｍ１と、表面Ｍ１の反対側の面を裏面Ｍ２と適宜称する。

　塗布装置２は、液状のプライマー（塗布液）を貯留するパン２１と、パン２１に貯留されたプライマーに部分的に浸かるグラビアローラ２２と、印刷媒体Ｍを搬送する搬送部２３とを有する。塗布装置２では、搬送部２３により搬送される印刷媒体Ｍにグラビアローラ２２が下方から接触する塗布領域が設けられており、搬送部２３は、印刷媒体Ｍの表面Ｍ１を下方に向けつつ塗布領域に沿って印刷媒体Ｍを搬送する。一方、グラビアローラ２２は、その周面にプライマーを保持しつつ回転することで塗布領域にプライマーを供給する。こうして、グラビアローラ２２により供給されたプライマーが塗布領域において印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に塗布される。また、塗布領域では、印刷媒体Ｍの進行方向と、グラビアローラ２２の周面の回転方向とが逆である。つまり、いわゆるリバースキス方式でプライマーが印刷媒体Ｍに塗布される。そして、搬送部２３は、プライマーが塗布された印刷媒体Ｍの表面Ｍ１を上方へ向けつつ、塗布装置２から印刷装置３へ印刷媒体Ｍを搬出する。

　印刷装置３は、筐体３１と、筐体３１内に配置されたカラー印刷部３２と、筐体３１内においてカラー印刷部３２の上方に配置された白印刷部３３と、筐体３１内に配置された複数のローラによって印刷媒体Ｍを搬送する搬送部３４とを備える。

　カラー印刷部３２は、搬送部３４によって搬送される印刷媒体Ｍの上方において、印刷媒体Ｍの搬送方向に配列された複数（４個）の吐出ヘッド３２１を有する。複数の吐出ヘッド３２１は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に上方から対向するノズルを有し、互いに異なる色のカラーインクをインクジェット方式でノズルから吐出する。ここで、カラーインクとは、白色以外のインクを意味し、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック等のインクを含む。こうして、カラー印刷部３２の複数の吐出ヘッド３２１は、それぞれの下方を通過する印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に上方からカラーインクを吐出することで、印刷媒体Ｍの表面Ｍ１にカラー画像を印刷する。

　また、白印刷部３３は、搬送部３４によって搬送される印刷媒体Ｍの上方に配置された単一の吐出ヘッド３３１を有する。吐出ヘッド３３１は、その下方を通過する印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に上方から対向するノズルを有し、白インクをインクジェット方式でノズルから吐出する。こうして、白印刷部３３の吐出ヘッド３３１は、その下方を通過する印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に上方から白インクを吐出することで、印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に白画像を印刷する。

　なお、図１への図示を省略しているが、印刷装置３の筐体３１内には、２種類の乾燥部が設けられている。一方はカラー印刷部３２により印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に付着されたカラーインクを乾燥させるプレ乾燥部である。他方は白印刷部３３により印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に付着された白インクを乾燥させる上方乾燥部である。

　また、カラー印刷部３２および白印刷部３３は、インクジェット方式でインクをノズル面から吐出する。このため、印刷工程を長時間行っていると、次第にインクの吐出不良が発生する。また、印刷を一時的に停止させたときに、ノズル面に付着したインクが固化して、吐出不良が生じる場合もある。そこで、カラー印刷部３２に対応してカラーメンテナンス部（後で説明する図２Ａおよび図２Ｂ中の符号３５）が設けられている。カラーメンテナンス部は、通常印刷時には吐出ヘッド３２１から水平方向Ｙに離れている。そして、吐出ヘッド３２１のメンテナンスが必要となると、カラーメンテナンス部は吐出ヘッド３２１の直下位置に移動して各種メンテナンスを行う。そして、メンテナンス終了後に吐出ヘッド３２１から水平方向Ｙに離れる。これらの点については、白印刷部３３も同様である。つまり、白印刷部３３に対応して白メンテナンス部が吐出ヘッド３３１から水平方向Ｙに離れて設けられている。メンテナンス時には、白メンテナンス部は吐出ヘッド３３１の直下位置に移動して各種メンテナンスを行い、その後に吐出ヘッド３３１から水平方向Ｙに離れる。

　また、特許文献１に記載されているように、作業者が吐出ヘッド３２１、３３１のノズル面に対して直接アクセスして作業することもある。このため、印刷装置３では、カラー印刷部３２および白印刷部３３が水平方向Ｙに移動可能となっている。そして、作業者のアクセスが必要となると、カラー印刷部３２および白印刷部３３が印刷位置から水平方向Ｙに離れた退避位置に移動される。

　このように印刷装置３では、カラー印刷部３２およびカラーメンテナンス部をＹ方向に移動させる水平移動機構が設けられ、白印刷部３３および白メンテナンス部をＹ方向に移動させる水平移動機構が設けられている。これらの水平移動機構のうちカラー印刷部３２を移動させる水平移動機構が本発明の「ヘッド一括移動部」の一例に相当している。また、カラーメンテナンス部を移動させる水平移動機構が本発明の「メンテナンス移動部」の一例に相当している。また、印刷装置３では、カラー画像を印刷するカラー印刷部３２と、白画像を印刷する白印刷部３３とが設けられているが、カラー画像が本発明の「画像」の一例に相当するとともにカラー印刷部３２を含む印刷装置３が本発明の「印刷装置」の一例に相当している。なお、カラー印刷部３２、カラーメンテナンス部およびそれらを移動させる機構の詳細については後で詳述する。

　乾燥装置４は印刷装置３から搬送されてくる印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に付着するインクを乾燥させるものである。乾燥装置４は筐体４１（乾燥炉）を有している。また、筐体４１では、（＋Ｘ）方向側にローラ４２、４３、４６が配置されるとともに（－Ｘ）方向側にエアターンバー４４、４５が配置されている。これによって、（＋Ｙ）方向側から見て略Ｓ字状の搬送経路が構成され、当該搬送経路に沿って印刷媒体Ｍが搬送される。この搬送中に印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に付着するインクが乾燥される。そして、乾燥処理を受けた印刷媒体Ｍは乾燥装置４から搬出され、巻取ロール１２に巻き取られる。

　次に、カラー印刷部３２、カラーメンテナンス部および移動機構について図２Ａ、図２Ｂおよび図３を参照しつつ説明する。図２Ａは、カラー印刷部、カラーメンテナンス部およびそれらに関連する構成を模式的に示す図である。また、図２Ｂは、カラー印刷部およびカラーメンテナンス部を印刷媒体の搬送方向の下流側から見た側面図である。また、図３は、印刷待機時、印刷時および作業者によるメンテナンス時における、カラー印刷部３２およびカラーメンテナンス部の位置を示す図である。なお、これらの図面において、符号Ｄは印刷媒体Ｍの搬送方向を示しており、特に図２Ａおよび図２Ｂにおいては、印刷媒体Ｍの搬送方向Ｄが（＋Ｘ）方向とほぼ一致している。また、後で説明するように吐出ヘッド３２１の昇降方向、つまり上下方向もＺ方向とほぼ一致する。

　カラー印刷部３２では、図２Ａに示すように、印刷媒体Ｍが制御部９からの搬送指令に応じて作動する搬送部３４により搬送方向Ｄに搬送される。また、上記搬送方向Ｄと平行な方向に、カラー画像を印刷するために必要な４つの吐出ヘッド３２１が隣接して配列されている。４つの吐出ヘッド３２１は、図２Ｂに示すように、印刷媒体Ｍの表面Ｍ１と対向可能な下面を有しており、当該下面にインクを吐出する吐出面３２１ａが設けられている。なお、吐出ヘッド３２１の詳しい構成については、例えば特許文献１に記載されているため、ここでは吐出ヘッド３２１の構成説明は省略する。

　図２Ａに示すように、ブラック用吐出ヘッド３２１、シアン用吐出ヘッド３２１、マゼンタ用吐出ヘッド３２１およびイエロー用吐出ヘッド３２１がこの順序で、吐出面３２１ａを下方に向けた状態で、搬送方向Ｄに隣接して配列されている。これらの吐出ヘッド３２１から互いに異なる色のインクが印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に吐出されてカラー画像が形成される。以下、これらの吐出ヘッド３２１を区別して説明する際には、ブラック用吐出ヘッド、シアン用吐出ヘッド、マゼンタ用吐出ヘッドおよびイエロー用吐出ヘッドを、それぞれ「ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋ」、「シアン用吐出ヘッド３２１Ｃ」、「マゼンタ用吐出ヘッド３２１Ｍ」および「イエロー用吐出ヘッド３２１Ｙ」と称する。一方、これらを区別せずに説明する際には、単に「吐出ヘッド３２１」と称する。

　カラー印刷部３２では、図２Ａに示すように、互いに隣接配列された４つの吐出ヘッド３２１を取り囲むようにヘッド搭載枠５２が設けられている。そして、ヘッド搭載枠５２に４つの吐出ヘッド３２１が搭載されている。このように本実施形態では、ヘッド搭載枠５２は４つの吐出ヘッド３２１を上下方向に移動可能に一括して保持しており、本発明の「ヘッド保持部」として機能する。

　また、ヘッド搭載枠５２には、ヘッド水平移動部５３が接続されている。このため、制御部９からの水平移動指令に応じてヘッド水平移動部５３が作動することで、４つの吐出ヘッド３２１を搭載したヘッド搭載枠５２が、印刷媒体Ｍの上方の印刷空間Ｓｐと、印刷空間Ｓｐから（－Ｙ）方向に離れたメンテナンス空間Ｓｍとの間で往復移動される。なお、本実施形態では、ヘッド搭載枠５２の往復移動を実行するときには、吐出ヘッド３２１とメンテナンス搭載枠５５との干渉を回避するため、全吐出ヘッド３２１は後で説明する原点（昇降範囲の上昇限）に位置決めされている。

　また、図２Ｂへの図示を省略しているが、イエロー用吐出ヘッド３２１ＹのＹ方向端部とヘッド搭載枠５２との間にヘッド昇降機構が設けられている。このヘッド昇降機構は、イエロー用昇降部５４Ｙと接続されている。このため、制御部９からの昇降指令に応じて昇降部５４Ｙが作動することで、ヘッド搭載枠５２に保持されたまま、イエロー用吐出ヘッド３２１Ｙは一定の昇降範囲で昇降して上下方向に位置決めされる。本実施形態では、上下方向に６段階、つまり昇降範囲の上昇限である原点、キャッピング処理に適したＣＡＰ位置、クリーニング処理に適したクリーニング位置、印刷待機に適した印刷待機位置、印刷する際の印刷位置および作業者による吐出面３２１ａのメンテナンスに適したメンテナンス位置（後の図５および図６中の下降限位置）にイエロー用吐出ヘッド３２１Ｙを位置決め可能となっている。なお、その他のインク色の吐出ヘッド３２１Ｍ、３２１Ｃ、３２１Ｋもイエロー用吐出ヘッド３２１Ｙと同様に、それぞれシアン用昇降部５４Ｃ、マゼンタ用昇降部５４Ｍおよびブラック用昇降部５４Ｋにより上下方向に位置決めされる。このように、本実施形態では、各色の吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙをそれぞれ独立して昇降して位置決め可能となっている。

　図２Ｂに示すように、ヘッド搭載枠５２の下方側でメンテナンス搭載枠５５が印刷空間Ｓｐとメンテナンス空間Ｓｍとの間で往復自在に設けられている。メンテナンス搭載枠５５にカラーメンテナンス部３５が搭載されている。カラーメンテナンス部３５は、吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａに対向可能に設けられ、吐出ヘッド３２１に対してキャッピング処理およびクリーニング処理などを実行する機能を有している。このように本実施形態では、メンテナンス搭載枠５５はカラーメンテナンス部３５を保持しており、本発明の「メンテナンス保持部」として機能する。なお、カラーメンテナンス部３５の詳しい構成については、例えば特許文献１に記載されているため、ここではカラーメンテナンス部３５の構成説明は省略する。

　メンテナンス搭載枠５５には、メンテナンス水平移動部５６が接続されている。このため、制御部９からの水平移動指令に応じてメンテナンス水平移動部５６が作動することで、カラーメンテナンス部３５を搭載したメンテナンス搭載枠５５が待機空間Ｓｗｔとメンテナンス空間Ｓｍとの間で往復移動される。この待機空間Ｓｗｔとは、図２Ｂに示すように、印刷空間Ｓｐと印刷媒体Ｍとで挟まれた空間を意味している。

　メンテナンス搭載枠５５およびヘッド搭載枠５２の移動を制御する制御部９では、図２Ａに示すように、ＣＰＵ（= Central Processing Unit）やＲＡＭ（=Random Access Memory）等を有するコンピューターにより構成される演算処理部９１と、ハードディスクドライブなどの記憶部９２と、駆動制御部９３とが設けられている。演算処理部９１は、予め記憶部９２に記憶されている印刷プログラムやメンテナンスプログラムを適宜読み出し、ＲＡＭ（図示省略）に展開し、印刷処理やメンテナンス処理を行う。また、制御部９には、表示操作部６が接続されている。この表示操作部６は、演算処理部９１による印刷処理やメンテナンス処理に関する各種情報などを表示したり、作業者により入力される各種情報を受け付けて演算処理部９１に与える機能を有している。このように本実施形態では、表示操作部６が本発明の「入力部」の一例に相当しているが、表示操作部６の代わりに、各種情報を表示する表示装置と、作業者から各種情報のみを受け付ける入力装置とを用いてもよいことは言うまでもない。

　駆動制御部９３は、演算処理部９１による印刷処理やメンテナンス処理にしたがって、ヘッド水平移動部５３、昇降部５４Ｋ、５４Ｃ、５４Ｍ、５４Ｙおよびメンテナンス水平移動部５６を制御する。これによって、次に図３を参照しつつ詳述するように、印刷処理前の印刷待機、印刷処理および作業者によるメンテナンス作業において、カラー印刷部３２およびカラーメンテナンス部３５が適切な位置に移動される。なお、白印刷部３３および白メンテナンス部（図示省略）についても、吐出ヘッド３３１が１本であるのに対応して白用昇降部（図示省略）のみが設けられている点を除いてカラー側と同様に構成され、駆動制御部９３により白印刷部３３および白メンテナンス部が適切な位置に移動される。

　印刷待機においては、図３の（ａ）欄に示すように、駆動制御部９３からの移動指令に応じて、ヘッド水平移動部５３がヘッド搭載枠５２を印刷空間Ｓｐに移動させる。また、メンテナンス水平移動部５６がメンテナンス搭載枠５５を待機空間Ｓｗｔに移動させる。これにより、４本の吐出ヘッド３２１が一括して印刷媒体Ｍの上方に移動されて位置決めされる。また、カラーメンテナンス部３５が印刷媒体Ｍと吐出ヘッド３２１との間に移動されて位置決めされる。これによって、カラーメンテナンス部３５は４本の吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａと対向する。また、印刷待機中にキャッピング処理を実行する際には、昇降部５４Ｋ、５４Ｃ、５４Ｍ、５４Ｙの一部または全部がそれぞれ独立し、キャッピング処理の対象となる吐出ヘッド３２１をＣＡＰ位置に位置決めする。クリーニング処理を実行する際にも、昇降部５４Ｋ、５４Ｃ、５４Ｍ、５４Ｙによる吐出ヘッド３２１の個別昇降によりクリーニング処理の対象となる吐出ヘッド３２１をクリーニング位置に位置決めする。

　演算処理部９１による印刷処理が実行される際には、図３の（ｂ）欄に示すように、カラーメンテナンス部３５がメンテナンス水平移動部５６により待機空間Ｓｗｔからメンテナンス空間Ｓｍに移動される。その後で、昇降部５４Ｋ、５４Ｃ、５４Ｍ、５４Ｙにより吐出ヘッド３２１が印刷位置まで下降される。これにより、吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａと印刷媒体Ｍの表面Ｍ１との間隔がインクジェット印刷に適した値に調整される。この間隔調整の完了後に、上記間隔を維持しながら各吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａから互いに異なる色のインクが搬送方向Ｄに搬送される印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に吐出される。その結果、カラー画像が印刷媒体Ｍに形成される（印刷処理）。

　印刷装置３では、印刷処理の累積時間が一定時間を超える、あるいは印刷処理や印刷待機中にトラブルが発生するなどの要因により、作業者が吐出面３２１ａに直接的にアクセスしてメンテナンスを行う（以下「作業者メンテナンス」という）が必要となることがある。この場合、演算処理部９１は、作業者メンテナンスを自動的に検出する、あるいは表示操作部６を介した作業者による作業者メンテナンス指令を受け付けることで、カラー印刷部３２がメンテナンス空間Ｓｍに移動される。つまり、図３の（ｃ）欄に示すように、ヘッド水平移動部５３がヘッド搭載枠５２をメンテナンス空間Ｓｍに移動させる。このとき、カラーメンテナンス部３５がメンテナンス空間Ｓｍに位置している際には、カラーメンテナンス部３５はメンテナンス水平移動部５６により待機空間Ｓｗｔに移動される。これによって、メンテナンス空間Ｓｍには、カラー印刷部３２のみが位置決めされる。これにより、各吐出面３２１ａはメンテナンス空間Ｓｍの下方に位置する作業空間Ｓｗｋに向けて大きく露出している。したがって、吐出ヘッド３２１の下方側から作業者（同図において１点鎖線にて図示されている）が直接的に、しかも容易にアクセス可能となる。

　以上のように、本実施形態によれば、カラー印刷部３２ではカラー画像を印刷媒体Ｍに印刷するのに使用される吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙを一括して印刷空間Ｓｐとメンテナンス空間Ｓｍとの間で移動させるように構成している。したがって、吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙを水平移動させるための機構が単一化され、従来装置よりも簡素化することができる。

　また、吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙの一括移動により搬送方向Ｄにおいて吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙを隣接して配列している。このため、互いに隣接する吐出ヘッド３２１の間隔を狭めることができ、カラー画像を高品質で印刷することができる。すなわち、従来装置のように吐出ヘッドの間隔が開くと、カラー印刷部３２内を搬送している印刷媒体Ｍの搬送状況（バタツキや斜行など）により各吐出ヘッドから印刷媒体Ｍの表面Ｍ１に着弾されるインク位置が設計位置から搬送方向Ｄや印刷媒体Ｍの幅方向にずれることがある。これに対し、吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙの相互間隔が狭く、印刷位置が搬送方向Ｄに集中することで上記搬送状況の影響を受け難く、各色ともインクを設計位置に着弾させることができる。その結果、カラー画像の品質を高めることができる。

　ところで、上記第１実施形態では、作業者メンテナンスを行う際に、ヘッド水平移動部５３により４本の吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙを一括してメンテナンス空間Ｓｍに移動させるのみであった。このため、例えば図３の（ｃ）欄に示すように吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙが同一高さ位置に位置決めされ、４つの吐出面３２１ａが横並び状態となっている。ここで、特定の吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａに下方から直接的にアクセスして作業する場合について検討すると、当該吐出ヘッド３２１をメンテナンス対象吐出ヘッドとして下方に突出させるのが好適である。というのも、これによりメンテナンス対象吐出ヘッド３２１の吐出面３２１ａがその他の吐出面３２１ａよりも下方に位置することとなり、作業性を高めることができる。そこで、第２実施形態では、メンテナンス空間Ｓｍに位置する吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｃ、３２１Ｍ、３２１Ｙの上下方向における位置を切り替えて作業者によるメンテナンス性を高める上下移動メニューが制御部９に追加的に組み込まれている。

　図４は、本発明に係る印刷装置の第２実施形態で実行される上下移動メニューを示すフローチャートである。図５は、図４に示す上下移動メニューにしたがった動作の一例を模式的に示す図である。なお、第２実施形態の装置構成は第１実施形態と基本的に同一であり、第２実施形態が第１実施形態と相違する点は、メンテナンスプログラムに以下に詳述する上下移動メニューが組み込まれている点のみである。この点については、後で図６を参照しつつ説明する第３実施形態においても同様である。

　第２実施形態では、作業者メンテナンスが必要となると、上下移動操作画面６１が表示操作部６に表示される（ステップＳ１）。上下移動操作画面６１は、例えば図５の上段に示された構成を有している。上下移動操作画面６１では、カラー印刷部３２を構成する吐出ヘッド３２１および白印刷部３３を構成する吐出ヘッド３３１から移動対象吐出ヘッドを指定するためのアイコン６２Ｙ、６２Ｍ、６２Ｃ、６２Ｋ、６２Ｗが表示されている。アイコンの代わりに、ラジオボタンなどを表示してもよい。ここで、例えばブラック用吐出ヘッド３２１Ｋに対してメンテナンス作業を施す場合、作業者はブラック用のアイコン６２Ｋをタッチする。すると、演算処理部９１は、ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋが移動対象吐出ヘッドとして選択されたことを取得する（ステップＳ２）。なお、アイコン６２Ｋが選択された状態を、同図ではハッチングで示している。

　また、上下移動操作画面６１では、２つのドロップダウンリスト６３ＣＬ、６３Ｗが表示されている。ドロップダウンリスト６３ＣＬはカラー印刷部３２において選択された移動対象吐出ヘッド３２１の移動先を指摘するためのものである。このドロップダウンリスト６３ＣＬでは、作業者が昇降範囲における移動対象吐出ヘッド３２１の移動先として６つの移動先（原点、ＣＡＰ位置、クリーニング位置、印刷待機位置、印刷位置、下降限位置）から選択可能となっている。もう一方のドロップダウンリスト６３Ｗもドロップダウンリスト６３ＣＬと同様の機能を有している。これらのドロップダウンリスト６３ＣＬ、６３Ｗによる選択が行われると、演算処理部９１は移動対象吐出ヘッド３２１の移動先を取得する（ステップＳ３）。

　次のステップＳ４では、演算処理部９１は上下移動操作画面６１に表示された実行ボタン６４がタッチされたか否かを判定する。実行ボタン６４のタッチを確認しない間（ステップＳ４で「ＮＯ」）、演算処理部９１は移動対象吐出ヘッドの取得（ステップＳ２）と移動先の取得（ステップＳ３）とを繰り返す。一方、実行ボタン６４がタッチされると、演算処理部９１はメンテナンス作業を行うためにヘッド搭載枠５２が印刷空間Ｓｐからメンテナンス空間Ｓｍに移動される間、あるいはヘッド搭載枠５２がメンテナンス空間Ｓｍに移動した後に、移動対象吐出ヘッド、例えばブラック用吐出ヘッド３２１Ｋを上下移動させる昇降部５４Ｙを制御してステップＳ３で選択された移動先に移動される。例えばステップＳ３で移動先として作業者メンテナンスに適した下降限位置が選択されると、昇降部５４Ｋはブラック用吐出ヘッド３２１Ｋを下降させて下降限位置に移動させる。これにより、例えば図５の下段に示すように、ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋを除く他の吐出ヘッド３２１Ｙ、３２１Ｍ、３２１Ｃが原点（昇降範囲の上昇限）に位置したまま、ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋが下方に突出する。このため、メンテナンス空間Ｓｍの下方、つまり作業空間Ｓｗｋからブラック用吐出ヘッド３２１Ｋの吐出面３２１ａへの直接的なアクセスが容易となり、作業者メンテナンスを効率的に行うことができる。

　なお、上記第２実施形態では、ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋを移動対象吐出ヘッドとして選択した場合について説明したが、その他の吐出ヘッド３２１Ｙ、３２１Ｍ、３２１Ｃを移動対象吐出ヘッドとして選択する場合も同様である。また、移動対象吐出ヘッドの選択数も「１」に限定されるものではない。例えば次に説明するように上方からメンテナンス作業時には、移動対象吐出ヘッドの好適な選択数は「３」である。

　上記第２実施形態では、メンテナンス空間Ｓｍの下方からアクセスしてメンテナンス作業を行っているが、メンテナンス空間Ｓｍに位置する４つの吐出ヘッド３２１に対して上方から直接的にアクセスしてメンテナンス作業を施す場合にも、例えば図６に示すように、上記上下移動メニューを効果的に使用することができる（第３実施形態）。

　図６は、本発明に係る印刷装置の第３実施形態における上下移動メニューにしたがった動作を模式的に示す図である。第３実施形態が第２実施形態と大きく相違する点は、メンテナンス対象吐出ヘッド３２１以外の吐出ヘッド３２１を原点よりも下方の位置、例えば下降限位置に移動させることでメンテナンス対象吐出ヘッド３２１のみを上方に突出させる点であり、その構成および動作は第２実施形態と同一である。

　この第３実施形態では、作業者メンテナンスが必要となると、上下移動操作画面６１が表示操作部６に表示される（ステップＳ１）。上下移動操作画面６１は、例えば図６の上段に示された構成を有している。ここで、例えばイエロー用吐出ヘッド３２１Ｙに対して作業者メンテナンスを施す場合、作業者はイエロー以外のアイコン、つまりブラック用のアイコン６２Ｋ、マゼンタ用アイコン６２Ｍおよびシアン用アイコン６２Ｃをタッチする。すると、演算処理部９１は、ブラック用吐出ヘッド３２１Ｋ、マゼンタ用アイコン６２Ｍおよびシアン用アイコン６２Ｃが移動対象吐出ヘッド３２１として選択されたことを取得する（ステップＳ２）。なお、アイコン６２Ｋ、アイコン６２Ｍおよびアイコン６２Ｃが選択された状態を、同図ではハッチングで示している。
 

　また、同図の上段に示すように、移動先として下降限位置が選択されると、演算処理部９１は移動対象吐出ヘッド３２１の移動先を取得する（ステップＳ３）。そして、実行ボタン６４がタッチされたタイミングで、演算処理部９１はヘッド搭載枠５２の印刷空間Ｓｐからメンテナンス空間Ｓｍへの移動中あるいはヘッド搭載枠５２のメンテナンス空間Ｓｍへの移動後に、移動対象吐出ヘッド３２１、例えばイエロー用吐出ヘッド３２１Ｙ以外の吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｍ、３２１Ｃを昇降させるための昇降部５４Ｋ、５４Ｍ、５４Ｃを制御してステップＳ３で選択された移動先に移動される。例えばステップＳ３で移動先として下降限位置が選択されると、昇降部５４Ｋ、５４Ｍ、５４Ｃはそれぞれブラック用吐出ヘッド３２１Ｋ、マゼンタ用吐出ヘッド３２１Ｍおよび、シアン用吐出ヘッド３２１Ｃを下降させて下降限位置に移動させる。例えば図６の下段に示すように、イエロー用吐出ヘッド３２１Ｙを原点（昇降範囲の上昇限）に位置させたまま、他の吐出ヘッド３２１Ｋ、３２１Ｍ、３２１Ｃが下降限位置に位置する。これによって、イエロー用吐出ヘッド３２１Ｙが上方に突出し、メンテナンス空間Ｓｍの上方からイエロー用吐出ヘッド３２１Ｙの上端部への直接的なアクセスが容易となる。その結果、作業者メンテナンスを効率的に行うことが可能となる。

　以上のように、上記した実施形態では、ヘッド搭載枠５２がそれぞれ本発明の「ヘッド保持部」の一例に相当している。また、昇降部５４Ｙ、５４Ｍ、５４Ｃ、５４Ｋが「ヘッド個別移動部」の一例に相当している。また、メンテナンス空間Ｓｍが本発明の「退避空間」の一例に相当している。また、移動対象吐出ヘッド３２１および移動先が本発明の「吐出ヘッドの指定に関する情報」の一例に相当している。

　なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば上記実施形態では、印刷装置３は白印刷部３３を有しているが、カラー印刷部３２のみを有する印刷装置に対して本発明を適用することができる。また、カラー印刷部３２を構成する吐出ヘッド３２１の数は「４」に限定されるものではない。すなわち、互いに異なるインクを吐出する複数の吐出ヘッドを隣接して配列し、これらの吐出ヘッドから吐出されるインクにより所望の画像を形成する印刷装置に対して本発明を適用することができる。

　また、第２実施形態および第３実施形態では、４本の吐出ヘッド３２１のうちの１本をメンテナンス対象吐出ヘッドとしているが、その本数は「１」に限定されるものはなく、任意である。

　また、第２実施形態では、移動対象吐出ヘッド３２１の移動先を下降限位置に指定するとともに移動対象以外の吐出ヘッド３２１を原点に位置させることで上下方向における吐出ヘッド３２１の高さ位置を相違させ、それによってメンテナンス対象吐出ヘッドを下方に突出させている。上記高さ位置の組み合わせは「下降限位置」および「原点」に限定されるものではなく、その他の組み合わせてであってもよい。また、移動対象吐出ヘッド３２１の移動先をドロップダウンリスト６３ＣＬにより選択するように構成しているが、固定化してもよい。移動対象吐出ヘッド３２１が指定されると、その移動先を自動的に「下降限位置」に設定するように構成してもよい。なお、これらの点については、第３実施形態においても同様である。

　以上、特定の実施例に沿って発明を説明したが、この説明は限定的な意味で解釈されることを意図したものではない。発明の説明を参照すれば、本発明のその他の実施形態と同様に、開示された実施形態の様々な変形例が、この技術に精通した者に明らかとなるであろう。故に、添付の特許請求の範囲は、発明の真の範囲を逸脱しない範囲内で、当該変形例または実施形態を含むものと考えられる。

　この発明は、互いに異なるインクを吐出する複数の吐出ヘッドを印刷空間と退避空間との間で移動させる印刷技術全般に適用することができる。

　３…印刷装置
　６…表示操作部（入力部）
　３４…搬送部
　３２…カラー印刷部
　３５…カラーメンテナンス部
　５２…ヘッド搭載枠（ヘッド保持部）
　５３…ヘッド水平移動部（ヘッド一括移動部）
　５４Ｃ，５４Ｋ，５４Ｍ，５４Ｙ…昇降部（ヘッド個別移動部）
　５５…メンテナンス搭載枠（メンテナンス保持部）
　５６…メンテナンス水平移動部
　６１…上下移動操作画面
　９３…駆動制御部
　３２１，３２１Ｃ，３２１Ｋ，３２１Ｍ，３２１Ｙ…吐出ヘッド
　３２１ａ…（吐出ヘッドの）吐出面
　Ｄ…搬送方向
　Ｍ…印刷媒体
　Ｓｍ…メンテナンス空間（退避空間）
　Ｓｐ…印刷空間
　Ｓｗｋ…作業空間
　Ｓｗｔ…待機空間
 

Claims (8)

1. 　搬送方向に搬送される印刷媒体に互いに異なる複数のインクを吐出して画像を印刷する印刷装置であって、
   　前記搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列され、それぞれ異なるインクを吐出面から下方に吐出する複数の吐出ヘッドと、
   　前記複数の吐出ヘッドを一括して保持するヘッド保持部と、
   　前記搬送方向に搬送される前記印刷媒体の上方の印刷空間と、前記印刷空間から離れた退避空間との間で前記ヘッド保持部を移動させるヘッド一括移動部と、
   を備えることを特徴とする印刷装置。
2. 　請求項１に記載の印刷装置であって、
   　前記複数の吐出ヘッドを互いに独立して上方および下方に移動させるヘッド個別移動部をさらに備える印刷装置。
3. 　請求項２に記載の印刷装置であって、
   　前記ヘッド一括移動部が前記ヘッド保持部を前記退避空間に移動させることにより前記複数の吐出ヘッドを前記退避空間に位置させ、
   　前記ヘッド個別移動部が前記複数の吐出ヘッドを選択的に上方および下方に移動させることにより前記複数の吐出ヘッドからメンテナンス対象吐出ヘッドを選択的に前記退避空間から下方に突出させる印刷装置。
4. 　請求項２に記載の印刷装置であって、
   　前記ヘッド一括移動部が前記ヘッド保持部を前記退避空間に移動させることにより前記複数の吐出ヘッドを前記退避空間に位置させ、
   　前記ヘッド個別移動部が前記退避空間に位置する前記複数の吐出ヘッドを選択的に上方および下方に移動させることにより前記複数の吐出ヘッドからメンテナンス対象吐出ヘッドを選択的に前記退避空間から上方に突出させる印刷装置。
5. 　請求項３または４に記載の印刷装置であって、
   　前記ヘッド個別移動部により移動させる前記吐出ヘッドの指定を受け付ける入力部をさらに備える印刷装置。
6. 　請求項５に記載の印刷装置であって、
   　前記入力部で受け付けた前記吐出ヘッドの指定に関する情報に基づいて前記ヘッド個別移動部を制御する駆動制御部をさらに備える印刷装置。
7. 　請求項１ないし６のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   　前記複数の吐出面に対向可能に設けられるメンテナンス部と、
   　前記メンテナンス部を保持するメンテナンス保持部と、
   　前記搬送方向に搬送される前記印刷媒体と前記印刷空間とで挟まれた待機空間と、前記退避空間との間で前記メンテナンス保持部を移動させるメンテナンス移動部と、をさらに備え、
   　前記複数の吐出ヘッドが前記退避空間に位置するとき、前記メンテナンス移動部が前記メンテナンス保持部を前記待機空間に移動して前記退避空間の下方から前記複数の吐出面へのアクセスを可能とする作業空間を形成する印刷装置。
8. 　搬送方向に搬送される印刷媒体に互いに異なる複数のインクを吐出して画像を印刷する印刷方法であって、
   　それぞれ異なるインクを下方に吐出する複数の吐出ヘッドを、前記搬送方向と平行な方向において互いに隣接して配列した状態で、一括して前記搬送方向に搬送される前記印刷媒体の上方の印刷空間に移動させる工程と、
   　前記印刷空間に移動された前記複数の吐出ヘッドにより印刷する工程と、
   　前記複数の吐出ヘッドを一括して前記印刷空間から離れた退避空間に移動させる工程と、
   を備えることを特徴とする印刷方法。

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