WO2022054672A1

WO2022054672A1 - ポンプ及び、ポンプを備えるギヤ装置

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Publication number: WO2022054672A1
Application number: PCT/JP2021/032159
Authority: WO
Inventors: 俊貴民部
Original assignee: いすゞ自動車株式会社
Priority date: 2020-09-14
Filing date: 2021-09-01
Publication date: 2022-03-17
Also published as: JP2022048010A

Abstract

互いに噛合する一対の第１ギヤ２０及び第２ギヤ３０と、第１ギヤ２０及び第２ギヤ３０を回転可能に収容する収容室１６，１７が形成されたハウジング１１と、収容室１６，１７に流体を吸入させる吸入口４０と、収容室１６，１７から流体を吐出させる吐出口４１と、ハウジング１１に設けられると共に、ハウジング１１の外部と収容室１６，１７とをギヤ径方向に連通させており、第２ギヤ３０のギヤ歯３１の一部をハウジング１１の外部に露出させて第３ギヤ６５と噛合させる開口部４２と、ハウジング１１の開口部４２に臨む端部から延びると共に、第２ギヤ３０と第３ギヤ６５との噛合部Ｘをギヤ回転軸方向の一端側から覆うプレート部材１８と、を備えた。

Description

ポンプ及び、ポンプを備えるギヤ装置

　本開示は、ポンプ及び、ポンプを備えるギヤ装置に関する。

　一般に、変速機等のギヤ装置のケース内には、噛合要素や摺動要素に潤滑油を供給するポンプが設けられている。この種のポンプの一例として、例えば特許文献１，２には、変速機ケース内に潤滑油を圧送循環させる外接噛合型のギヤポンプが開示されている。

特開２０１０－２４２７２９号公報特開２０２０－００２８７９号公報

　上記特許文献１記載の構造によれば、ギヤポンプのハウジング内に収容された一対の噛合ギヤのうち、一方の噛合ギヤを変速機のメインシャフトに固定することで、該メインシャフトから駆動力を直接的に取り出している。このため、ギヤポンプ内の噛合ギヤの幅分だけ、メインシャフトを軸方向に拡張する必要があり、装置全体の小型化に改善の余地があるといえる。

　これに対し、上記特許文献２記載の構造では、ギヤポンプのハウジングに、一方の噛合ギヤのギヤ歯を部分的に露出させる開口部を設け、該開口部から露出するギヤ歯に駆動ギヤを噛合させることにより、装置全体の小型化を可能としている。しかしながら、ポンプによって圧送される潤滑油の一部（例えば、約半分）が開口部から放出されることとなり、潤滑油の流れに改善の余地があるといえる。

　本開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、潤滑油の流れを改善することにより、潤滑効率の向上を図ることを目的とする。

　本開示のポンプは、互いに噛合する一対の第１ギヤ及び第２ギヤと、前記第１ギヤ及び前記第２ギヤを回転可能に収容する収容室が形成されたハウジングと、前記収容室に流体を吸入させる吸入口と、前記収容室から前記流体を吐出させる吐出口と、前記ハウジングに設けられると共に、前記ハウジングの外部と前記収容室とをギヤ径方向に連通させており、前記第２ギヤのギヤ歯の一部を前記ハウジングの外部に露出させて第３ギヤと噛合させる開口部と、前記ハウジングの前記開口部に臨む端部から延びると共に、前記第２ギヤと前記第３ギヤとの噛合部をギヤ回転軸方向の一端側から覆うプレート部材と、を備える。

　また、前記第３ギヤはシャフトに支持されており、前記プレート部材は、前記シャフトの外周面に向けて延びると共に、前記外周面と対向する先端面が前記外周面に沿って湾曲する円弧面状に形成されていることが好ましい。

　また、前記シャフトの内部には、前記流体を捕集可能な流体捕集部が設けられており、前記シャフトの外周面のうち、前記第３ギヤに対して前記プレート部材とは反対側の外周面には、前記シャフト内を径方向に延びて前記流体捕集部と連通する流体取り入れ流路が開口することが好ましい。

　また、前記第３ギヤの歯幅が前記第２ギヤの歯幅よりも短く形成されており、前記プレート部材の側面が、前記第２ギヤ及び前記第３ギヤの側面形状に沿った段付き状に形成されていることが好ましい。また、前記第３ギヤのギヤ歯の歯数は、前記第２ギヤのギヤ歯の歯数よりも多いことが好ましい。

　本開示のギヤ装置は、前記ポンプを備えるギヤ装置であって、前記流体は、前記ギヤ装置の潤滑要素に供給される潤滑油であり、前記ギヤ装置は、前記潤滑油を封入したギヤケースを備えており、前記ハウジングは、一方側が開放された有底筒状に形成されると共に、開放側を前記ギヤケースの側壁によって閉塞されている。

　また、前記ギヤケースは変速機ケースであり、前記変速機ケース内には、インプットシャフトに設けられたリバース用メインギヤ、カウンタシャフトに設けられたリバース用カウンタギヤ及び、前記リバース用メインギヤと前記リバース用カウンタギヤとに噛合するアイドルギヤが配されており、前記第３ギヤが、前記アイドルギヤ又は前記アイドルギヤと一体回転可能なギヤであることが好ましい。

　本開示の技術によれば、潤滑油の流れを改善することにより、潤滑効率の向上を図ることができる。

本実施形態に係るポンプ及び、ポンプを備えたギヤ装置を示す模式的な断面図である。（Ａ）は、本実施形態に係るポンプをギヤ径方向に切り欠いて示す模式的な断面図であり、（Ｂ）は、本実施形態に係るポンプをギヤ回転軸方向に切り欠いて示す模式的な断面図である。本実施形態に係るバッフルプレートを説明する模式的な断面図である。本実施形態に係るバッフルプレートをギヤ回転軸方向から視た模式図である。

　以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係るポンプ及び、ポンプを備えるギヤ装置について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。

［全体構成］
　図１は、本実施形態に係るポンプ１０及び、ポンプ１０を備えたギヤ装置５０を示す模式的な断面図である。

　図１に示すように、ギヤ装置５０は、例えば、減速ギヤ列７５が出力側に配されたアウトプットリダクションタイプの変速機である。変速機５０の変速機ケース５１（ギヤケースの一例）内には、潤滑油が封入されている。また、変速機ケース５１内には、不図示のベアリング等を介して回転可能に支持されたインプットシャフト５２、アウトプットシャフト５３及び、カウンタシャフト５４が配置されている。

　インプットシャフト５２及び、アウトプットシャフト５３は同軸上に配置されている。カウンタシャフト５４は、インプットシャフト５２及びアウトプットシャフト５３に対して平行に配置されている。これらインプットシャフト５２、アウトプットシャフト５３、及びカウンタシャフト５４のうち、少なくともインプットシャフト５２には、潤滑油を流通させる軸方向油路５５及び、複数本の径方向油路５６～５８が設けられている。

　インプットシャフト５２には、入力側から順に、リバース用メインギヤ６０及び、複数の前進段用メインギヤ７０が設けられている。カウンタシャフト５４には、入力側から順にリバース用カウンタギヤ６１及び、複数の前進段用カウンタギヤ７１が設けられている。カウンタシャフト５４及びアウトプットシャフト５３の出力端側には、互いに常時噛合して減速ギヤ列７５を構成する一対のギヤ７６，７７が、アウトプットシャフト５３，カウンタシャフト５４にそれぞれ一体回転可能に設けられている。

　前進段用メインギヤ７０及び、前進段用カウンタギヤ７１は、互いに常時噛合する。前進段用メインギヤ７０は、インプットシャフト５２に相対回転可能に設けられている。前進段用カウンタギヤ７１は、カウンタシャフト５４に一体回転可能に設けられている。前進段用メインギヤ７０は、同期装置９０によってインプットシャフト５２に選択的に結合可能に構成されている。

　同期装置９０は、ハブ９１と、スリーブ９２と、ドグギヤ９３と、シンクロナイザリング９４とを備えている。ハブ９１は、外周歯を有すると共に、インプットシャフト５２に一体回転可能に設けられている部品である。スリーブ９２は、ハブ９１の外周歯と噛合する内周歯を有する部品である。ドグギヤ９３は、前進段用メインギヤ７０に一体回転可能に設けられている部品である。シンクロナイザリング９４は、ハブ９１とドグギヤ９３との間に設けられている部品である。

　同期装置９０は、スリーブ９２のシフト移動に伴いシンクロナイザリング９４が押圧されると、シンクロナイザリング９４とドグギヤ９３との間に同期荷重が生じる。スリーブ９２とドグギヤ９３とが同期荷重により回転同期すると、スリーブ９２がさらにシフト移動してドグギヤ９３と噛合することにより、前進段用メインギヤ７０をインプットシャフト５２と結合させるように構成されている。なお、リバース用の結合装置９８も同期装置９０と略同様に構成されるため、詳細な説明は省略する。

　リバース用メインギヤ６０は、インプットシャフト５２に一体回転可能に設けられている。リバース用カウンタギヤ６１は、カウンタシャフト５４に相対回転可能に設けられており、結合装置９８によってカウンタシャフト５４に選択的に結合可能に構成されている。アイドルギヤ６２（本開示の第３ギヤの一例）は、変速機ケース５１に取り付けられたアイドルシャフト６３（本開示のシャフトの一例）に、例えばニードルベアリング６４を介して回転可能に支持されている。アイドルギヤ６２は、リバース用メインギヤ６０及び、リバース用カウンタギヤ６１と常時噛合する。

　ポンプ１０は、いわゆる外接噛合型のギヤポンプであって、リバース用メインギヤ６０及びアイドルギヤ６２と離間対向する変速機ケース５１の側壁５１Ａの内壁面に取り付けられている。

　具体的には、ポンプ１０は、ハウジング１１と、ハウジング１１内に収容された一対の従動ギヤ２０，３０（本開示の第１ギヤ及び第２ギヤの一例）とを備えている。また、側壁５１Ａには吸入口４０が設けられ、ハウジング１１には吐出口４１が設けられている。

　吸入口４０は、変速機ケース５１の外側（例えば、クラッチハウジング側）に配された第１油路８０を介して変速機ケース５１の底部に接続されている。第１油路８０は、変速機ケース５１に形成された油路やホース部材等で形成されている。吐出口４１は、第２油路８１及び、径方向油路５６を介して軸方向油路５５に接続されている。第２油路８１は、吐出口４１と径方向油路５６とを接続する配管部材等により形成されている。

　本実施形態において、ポンプ１０は、アイドルギヤ６２と一体回転可能な駆動ギヤ６５（本開示の第３ギヤの一例）によって駆動される。具体的には、ポンプ１０は、不図示の駆動源からインプットシャフト５２、リバース用メインギヤ６０及び、アイドルギヤ６２を経由して伝達される動力により駆動する。ポンプ１０が駆動すると、変速機ケース５１の底部に貯留されている潤滑油が第１油路８０を介して汲み上げられると共に、第２油路８１から径方向油路５６、さらには軸方向油路５５に供給されることで、変速機ケース５１内の同期装置９０やベアリング等の各潤滑要素に潤滑油が供給されるようになっている。以下、本実施形態に係るポンプ１０の詳細構成について説明する。

［ポンプ］
　図２（Ａ）は、本実施形態に係るポンプ１０をギヤ径方向に切り欠いて示す模式的な断面図であり、図２（Ｂ）は、本実施形態に係るポンプ１０をギヤ回転軸方向に切り欠いて示す模式的な断面図である。

　図２に示すように、ポンプ１０は、ハウジング１１と、第１従動ギヤ２０と、第２従動ギヤ３０とを備えている。第１従動ギヤ２０のギヤ歯２１は、第２従動ギヤ３０のギヤ歯３１と常時噛合する。これら第１従動ギヤ２０、及び第２従動ギヤ３０の歯数は、好ましくは同数で設定されている。

　ハウジング１１は、一方側が開放する有底筒状に形成されている。具体的には、ハウジング１１は、ハウジング側壁部１２（図２（Ｂ）参照）と、ハウジング周壁部１３とを有する。ハウジング側壁部１２は、変速機ケース５１の側壁５１Ａと離間対向する部位である。ハウジング周壁部１３は、各ギヤ歯２１，３１の歯先と対向する部位である。

　ハウジング周壁部１３の周縁にはフランジ部１５が設けられている。ハウジング１１は、フランジ部１５を変速機ケース５１の側壁５１Ａに、不図示のボルト等で固定することにより、変速機ケース５１に取り付けられている。すなわち、変速機ケース５１の側壁５１Ａが、ハウジング１１の開放側を閉塞する蓋部材として機能するようになっている。なお、ハウジング１１の開放側を閉塞する蓋部材を、側壁５１Ａとは別個の部材により構成することもできる。

　ハウジング１１の内部には、側壁５１Ａのハウジング側壁部１２と対向する面、ハウジング側壁部１２の側壁５１Ａと対向する面及び、ハウジング周壁部１３の内周面により画定される第１ギヤ収容室１６及び、第２ギヤ収容室１７が区画形成されている。

　第１ギヤ収容室１６は、第１従動ギヤ２０の外径と略同径の円筒穴状に形成されており、その内部には第１従動ギヤ２０が回転可能に収容されている。第２ギヤ収容室１７は、第２従動ギヤ３０の外径と略同径の円筒穴状に形成されており、その内部には第２従動ギヤ３０が回転可能に収容されている。第１ギヤ収容室１６及び、第２ギヤ収容室１７は、各ギヤ歯２１，３１の噛合部位にて互いに連通する。

　第１従動ギヤ２０は、第１支持シャフト２２に設けられている。第１支持シャフト２２は、一端側をハウジング側壁部１２に、他端側を変速機ケース５１の側壁５１Ａにそれぞれ回転可能に軸支されている。

　第２従動ギヤ３０は、第２支持シャフト３２に設けられている。第２支持シャフト３２は、一端側をハウジング側壁部１２に、他端側を変速機ケース５１の側壁５１Ａにそれぞれ回転可能に軸支されている。

　側壁５１Ａには、第１油路８０に接続された吸入口４０が設けられている。また、ハウジング側壁部１２には、第２油路８１に接続された吐出口４１が設けられている。

　本実施形態において、ハウジング周壁部１３のうち、駆動ギヤ６５の歯先に臨む部位には、開口部４２が切り欠き形成されている。開口部４２は、第２ギヤ収容室１７と外部（変速機ケース５１内の空間）とをギヤ径方向に連通させて、第２従動ギヤ３０のギヤ歯３１の少なくとも１歯以上を露出させる開口である。開口部４２から露出する第２従動ギヤ３０のギヤ歯３１には、駆動ギヤ６５のギヤ歯６６が噛合する。

　駆動ギヤ６５は、アイドルギヤ６２のギヤハブ６２Ａに一体回転可能に設けられている。具体的には、図２（Ｂ）に示すように、ギヤハブ６２Ａは略円筒状に形成されており、その内周側には、変速機ケース５１の側壁５１Ａに向けて延びる円筒状のボス部６２Ｂが形成されている。駆動ギヤ６５は、その内周面をボス部６２Ｂの外周面にスプライン嵌合等によって一体回転可能に固定されている。

　駆動ギヤ６５及びアイドルギヤ６２は、互いにギヤ回転軸方向に離間対向しており、これらの間には所定の空間Ｓ１が設けられている。また、駆動ギヤ６５及び側壁５１Ａは、互いにギヤ回転軸方向に離間対向しており、これらの間には所定の空間Ｓ２が設けられている。アイドルギヤ６２のボス部６２Ｂと変速機ケース５１の側壁５１Ａとの間には、所定の隙間が確保されており、アイドルシャフト６３の外周の一部が空間Ｓ２に露出するようになっている。

　アイドルシャフト６３は、中空軸状に形成されており、その内部空間Ｓ３（本開示の流体捕集部の一例）は、潤滑油を一時的に捕集可能なオイルキャッチタンクとして機能する。

　具体的には、アイドルシャフト６３の空間Ｓ２に露出する部位には、アイドルシャフト６３の外周部を径方向に貫通し、空間Ｓ２と内部空間Ｓ３とを連通させる油取り入れ流路６３Ａ（本開示の流体取り入れ流路の一例）が設けられている。また、アイドルシャフト６３のニードルベアリング６４を支持する部位には、アイドルシャフト６３の外周部を径方向に貫通し、内部空間Ｓ３とニードルベアリング６４とを連通させる油供給流路６３Ｂが設けられている。すなわち、空間Ｓ２から油取り入れ流路６３Ａを介して内部空間Ｓ３内に捕集された潤滑油が、油供給流路６３Ｂ等を介してニードルベアリング６４や他の潤滑要素に適宜に供給されるようになっている。

　本実施形態において、駆動ギヤ６５のギヤ歯６６の歯数は、好ましくは、第２従動ギヤ３０のギヤ歯３１の歯数よりも多く設定されている。すなわち、駆動ギヤ６５がアイドルギヤ６２と一体回転すると、駆動ギヤ６５によって第２従動ギヤ３０が増速回転され、これに伴い第１従動ギヤ２０も増速回転するように構成されている。

　図２（Ａ）中に矢印Ｒで示すように、各従動ギヤ２０，３０が回転すると、図中の破線Ａで示すように、吸入口４０から取り込まれて第１従動ギヤ２０と第１ギヤ収容室１６との隙間を流れる潤滑油は、吐出口４１から第２油路８１（図２（Ｂ）参照）内に向けて圧送される。一方、図２（Ａ）中に破線Ｂで示すように、吸入口４０から取り込まれて第２従動ギヤ３０と第２ギヤ収容室１７との隙間を流れる潤滑油は、開口部４２から第２従動ギヤ３０と駆動ギヤ６５との噛合部Ｘに流れ込み、これら第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛み合いによってギヤ回転軸方向へと押し出されるようになっている。

　図２（Ｂ）に示すように、ハウジング側壁部１２の端部には、バッフルプレート１８（本開示のプレート部材）が設けられている。バッフルプレート１８は、ハウジング側壁部１２の端部からアイドルギヤ６２のボス部６２Ｂ（又は、アイドルシャフト６３）に向けて延び、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛合部Ｘをギヤ回転軸方向の一端側（空間Ｓ１側）から覆うように形成された部品である。このバッフルプレート１８は、噛合部Ｘから空間Ｓ１側に押し出される潤滑油を堰き止めて、空間Ｓ２側へと積極的に導くガイドプレートとして機能する。以下、バッフルプレート１８の詳細構成について説明する。

［バッフルプレート］
　図３は、本実施形態に係るバッフルプレート１８を説明する模式的な断面図であり、図４は、本実施形態に係るバッフルプレート１８をギヤ回転軸方向から視た模式図である。

　図３に示すように、バッフルプレート１８は、ハウジング側壁部１２の開口部４２に臨む端部からアイドルギヤ６２のボス部６２Ｂの外周面に向けて突出しており、ハウジング側壁部１２と一体又は別体に設けられている。なお、バッフルプレート１８をハウジング側壁部１２とは別体とする場合には、該バッフルプレート１８を変速機ケース５１等の非回転部材に固定してもよい。

　バッフルプレート１８の第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５と対向する側面は、これら第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の側面形状に沿った段付き状に形成されている。より詳しくは、駆動ギヤ６５の歯幅は、第２従動ギヤ３０の歯幅よりも短く形成されており、駆動ギヤ６５の側面が第２従動ギヤ３０の側面よりもバッフルプレート１８から離間する方向にオフセットするようになっている。本実施形態のバッフルプレート１８は、先端部１８Ｂを基端部１８Ａよりも駆動ギヤ６５側に突出させる段付き状とすることにより、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５との隙間（対向空間）を狭めるように構成されている。

　これにより、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛合部Ｘから押し出される潤滑油の空間Ｓ１側への流れが、バッフルプレート１８の側面によって効果的に堰き止められるようになる。先端部１８Ｂの突出量をどの程度とするかは、先端部１８Ｂの突出端面が駆動ギヤ６５の側面と干渉しない範囲で、駆動ギヤ６５と第２従動ギヤ３０との歯幅の差等、周辺構成の具体的な寸法に応じて適宜に設定すればよい。

　図４に示すように、バッフルプレート１８は、第２従動ギヤ３０を露出させる開口部４２の開口幅と略同等の長さで形成されており、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛合部Ｘをギヤ回転軸方向の一端側から確実に覆うように設けられている。また、ボス部６２Ｂの外周面と対向するバッフルプレート１８の先端面は、ボス部６２Ｂの外周面に沿って湾曲する円弧面状に形成されている。すなわち、バッフルプレート１８の先端面を円弧面状とすることにより、ボス部６２Ｂの外周面との隙間（対向空間）が効果的に狭められるようになっている。

　これにより、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛合部Ｘから押し出され、駆動ギヤ６５とバッフルプレート１８との隙間に流れ込む潤滑油の空間Ｓ１側への漏出を効果的に抑制することが可能となる。バッフルプレート１８の先端面とボス部６２Ｂの外周面との隙間をどの程度とするかは、これらバッフルプレート１８及びボス部６２Ｂが互いに干渉しない範囲で適宜に設定すればよい。

　なお、図示例において、バッフルプレート１８の先端面は、ボス部６２Ｂの外周面と対向するものとして説明したが、アイドルギヤ６２がボス部６２Ｂを備えない構造であれば、バッフルプレート１８の先端面は、アイドルシャフト６３の外周面と直接的に対向してもよい。この場合は、バッフルプレート１８の先端面をアイドルシャフト６３の外周面に沿った円弧面状に形成すればよい。

　以上詳述した本実施形態のポンプ１０によれば、ハウジング側壁部１２の開口部４２に臨む端部に、該端部からアイドルギヤ６２のボス部６２Ｂの外周面に向けて延びると共に、第２従動ギヤ３０及び駆動ギヤ６５の噛合部Ｘをギヤ回転軸方向の空間Ｓ１側から覆うバッフルプレート１８を設けることにより、図３中に矢印Ｙ１で示す噛合部Ｘから空間Ｓ１側に向けて押し出される潤滑油の流れを堰き止めるように構成されている。

　これにより、図３中に矢印Ｙ２で示す噛合部Ｘから空間Ｓ２に向けた潤滑油の流量が増大し、図３中に矢印Ｙ３で示すように、オイルキャッチタンクとして機能するアイドルシャフト６３の内部空間Ｓ３への潤滑油供給量を効果的に確保できるようになり、ポンプ１０による潤滑効率を確実に向上させることが可能となる。

　また、ポンプ１０のハウジング１１に、第２ギヤ収容室１７と外部とをギヤ径方向に連通させる開口部４２を設け、該開口部４２から露出する第２従動ギヤ３０に駆動ギヤ６５を噛合させることにより、駆動力がハウジング１１内にギヤ径方向から取り込まれるようになっている。これにより、駆動力を回転軸方向から取り入れる従前構造に比べ、変速機５０の軸方向長さが効果的に短縮されるようになり、変速機５０の小型化を図ることが可能になる。

　また、駆動力をギヤ径方向から取り込むことで、ハウジング１１内の第１従動ギヤ２０又は第２従動ギヤ３０に駆動力を回転軸方向から伝達するためのシャフト等の連結部品が不要となり、部品点数を効果的に削減することができる。

　また、リバース用のアイドルギヤ６２と一体的に設けられた駆動ギヤ６５にポンプ１０の第２従動ギヤ３０を噛合させることで、アイドルギヤ６２の回転に伴う振動が第２従動ギヤ３０の押し付け力によって抑制されるようになり、リバース用ギヤ列（リバース用メインギヤ６０、リバース用カウンタギヤ６１、及びアイドルギヤ６２）の騒音等を効果的に低減することが可能になる。

［その他］
　なお、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変形して実施することが可能である。

　例えば、駆動ギヤ６５は、第２従動ギヤ３０に噛合するものとして説明したが、レイアウト等に応じて開口部４２から第１従動ギヤ２０を露出させ、駆動ギヤ６５を第１従動ギヤ２０と噛合させるように構成してもよい。

　また、ポンプ１０に駆動力を伝達するギヤは駆動ギヤ６５に限定されず、アイドルギヤ６２を第２従動ギヤ３０（又は、第１従動ギヤ２０）に噛合させて、アイドルギヤ６２から直接的に駆動力を取り出すように構成してもよい。

　また、第２従動ギヤ３０（又は、第１従動ギヤ２０）とインプットシャフト５２に固定されたリバース用メインギヤ６０とを噛合させてもよく、或いは、第２従動ギヤ３０（又は、第１従動ギヤ２０）とカウンタシャフト５４に相対回転可能な前進段用カウンタギヤ７１とを噛合させることにより、ポンプ１０の駆動力を取り出してもよい。

　また、変速機５０は、アウトプットリダクションタイプに限定されず、インプットリダクションタイプであってもよい。インプットリダクションタイプの場合は、変速機ケース５１内の出力側の内壁にポンプ１０を配置し、隣接する出力側のギヤから駆動力を取り出すように構成すればよい。

　また、ポンプ１０のハウジング１１は、変速機ケース５１の側壁５１Ａによって閉塞されるものとして説明したが、蓋部材を別個に備えるように構成してもよい。蓋部材を備える場合には、ポンプ１０を変速機ケース５１内の任意の場所に配置することができる。

　また、本実施形態の適用は、変速機５０に限定されず、例えば、デファレンシャルギヤ装置やトランスファ装置等、潤滑油を封入するギヤケースを備える他のギヤ装置にも広く適用することが可能である。また、ポンプ１０が圧送する流体は、潤滑油に限定されず、冷却水等の他の液体であってもよい。

１０・・・ポンプ、１１・・・ハウジング、１２・・・ハウジング側壁部、１３・・・ハウジング周壁部、１６・・・第１ギヤ収容室（収容室）、１７・・・第２ギヤ収容室（収容室）、１８・・・バッフルプレート（プレート部材）、１８Ａ・・・基端部、１８Ｂ・・・先端部、２０・・・第１従動ギヤ（第１ギヤ）、２１・・・ギヤ歯、３０・・・第２従動ギヤ（第２ギヤ）、３１・・・ギヤ歯、４０・・・吸入口、４１・・・吐出口、４２・・・開口部、５０・・・変速機（ギヤ装置）、５１・・・変速機ケース（ギヤケース）、５２・・・インプットシャフト、５４・・・カウンタシャフト、６０・・・リバース用メインギヤ、６１・・・リバース用カウンタギヤ、６２・・・アイドルギヤ（第３ギヤ）、６３・・・アイドルシャフト（シャフト）、６３Ａ・・・油取り入れ流路（流体取り入れ流路）、Ｓ３・・・内部空間（流体捕集部）、６５・・・駆動ギヤ（第３ギヤ）

Claims

　互いに噛合する一対の第１ギヤ及び第２ギヤと、
　前記第１ギヤ及び前記第２ギヤを回転可能に収容する収容室が形成されたハウジングと、
　前記収容室に流体を吸入させる吸入口と、
　前記収容室から前記流体を吐出させる吐出口と、
　前記ハウジングに設けられると共に、前記ハウジングの外部と前記収容室とをギヤ径方向に連通させており、前記第２ギヤのギヤ歯の一部を前記ハウジングの外部に露出させて第３ギヤと噛合させる開口部と、
　前記ハウジングの前記開口部に臨む端部から延びると共に、前記第２ギヤと前記第３ギヤとの噛合部をギヤ回転軸方向の一端側から覆うプレート部材と、
　を備えるポンプ。
　前記第３ギヤはシャフトに支持されており、
　前記プレート部材は、前記シャフトの外周面に向けて延びると共に、前記外周面と対向する先端面が前記外周面に沿って湾曲する円弧面状に形成されている、
　請求項１に記載のポンプ。
　前記シャフトの内部には、前記流体を捕集可能な流体捕集部が設けられており、
　前記シャフトの外周面のうち、前記第３ギヤに対して前記プレート部材とは反対側の外周面には、前記シャフト内を径方向に延びて前記流体捕集部と連通する流体取り入れ流路が開口する、
　請求項２に記載のポンプ。
　前記第３ギヤの歯幅が前記第２ギヤの歯幅よりも短く形成されており、
　前記プレート部材の側面が、前記第２ギヤ及び前記第３ギヤの側面形状に沿った段付き状に形成されている、
　請求項１から３の何れか一項に記載のポンプ。
　前記第３ギヤのギヤ歯の歯数は、前記第２ギヤのギヤ歯の歯数よりも多い、
　請求項１から４の何れか一項に記載のポンプ。
　請求項１から５の何れか一項に記載のポンプを備えるギヤ装置であって、
　前記流体は、前記ギヤ装置の潤滑要素に供給される潤滑油であり、
　前記ギヤ装置は、前記潤滑油を封入したギヤケースを備えており、
　前記ハウジングは、一方側が開放された有底筒状に形成されると共に、開放側を前記ギヤケースの側壁によって閉塞されている、
　ギヤ装置。
　前記ギヤケースは変速機ケースであり、
　前記変速機ケース内には、インプットシャフトに設けられたリバース用メインギヤ、カウンタシャフトに設けられたリバース用カウンタギヤ及び、前記リバース用メインギヤと前記リバース用カウンタギヤとに噛合するアイドルギヤが配されており、
　前記第３ギヤが、前記アイドルギヤ又は前記アイドルギヤと一体回転可能なギヤである、
　請求項６に記載のギヤ装置。