WO2022029923A1

WO2022029923A1 - 医療機器用の物品容器の部品、医療機器用の物品容器、医療機器収納パック、医療機器用の物品

Info

Publication number: WO2022029923A1
Application number: PCT/JP2020/029988
Authority: WO
Inventors: 瑞起鈴木
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2020-08-05
Filing date: 2020-08-05
Publication date: 2022-02-10
Also published as: US20230181010A1

Abstract

医療機器用の物品容器の部品（２）は、医療機器用の物品を収納する膨出部（１０）と、フランジ部（１９）と、突出部（１６）とを備える。突出部（１６）は、膨出部（１０）から第２の方向に離間した位置に配置され、第２の方向とは異なる第３の方向に細長に延びて設けられている。

Description

医療機器用の物品容器の部品、医療機器用の物品容器、医療機器収納パック、医療機器用の物品

　本発明は、医療機器用の物品を収納するための医療機器用の物品容器の部品、医療機器用の物品容器、医療機器収納パック、医療機器用の物品に関する。

　物品を収納する容器は各種の分野で広く用いられているが、特に、医療機器用の物品を収納する容器は、内部が滅菌状態に維持される。

　例えば、日本国特開２０００－２２５１２６号公報には、収納部の周辺に設けた鍔部に滅菌紙を貼着して、収納部を密封する医療キット用容器が記載されている。ここで、鍔部には、密封をより確実にするための凸状部が形成されている。

　この医療キット用容器の収納部内に医療キットを収納し、滅菌紙を鍔部に貼着して密封し、ガンマ線または電子線を照射し、エチレンオキシド処理を行えば、滅菌処理された医療キットパックが製造される。

　しかし、このような構成の場合、容器の密封性は確保されているが、容器の開封性に対して十分な配慮がなされているとはいえず、容器を開け難い可能性がある。

　本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、容易な開封を可能とする医療機器用の物品容器の部品、医療機器用の物品容器、医療機器収納パック、および前記医療機器用の物品容器に収納される医療機器用の物品を提供することを目的としている。

　本発明の一態様による医療機器用の物品容器の部品は、第１の方向に膨出し、中空の内部に医療機器用の物品を収納するように構成された膨出部と、前記膨出部の周縁に設けられたフランジ部と、前記フランジ部から前記第１の方向に突出する突出部と、を備え、前記突出部は、前記膨出部から第２の方向に離間した位置に配置され、前記第１の方向および前記第２の方向とは異なる第３の方向に細長に延びて設けられている。

　本発明の一態様による医療機器用の物品容器は、前記医療機器用の物品容器の部品と、前記医療機器用の物品容器の部品に接合されるシール体と、を備える。

　本発明の一態様による医療機器収納パックは、前記医療機器用の物品容器の部品と、前記医療機器用の物品容器の部品に収納される前記医療機器用の物品と、前記医療機器用の物品容器の部品に接合されて前記医療機器用の物品の周囲を密封するシール体と、を備える。

　本発明の一態様による医療機器用の物品は、前記医療機器用の物品容器の部品と、前記医療機器用の物品容器の部品に接合されるシール体と、を備える医療機器用の物品容器の、前記膨出部の中空の内部に収納される。

本発明の第１の実施形態における医療機器用の物品容器を示す平面図。上記第１の実施形態における医療機器用の物品容器を示す図１のＦ２－Ｆ２断面図。上記第１の実施形態において、物品容器内に医療機器用の物品を収納した医療機器収納パックを手で保持して開封するときの作用を説明するための図。上記第１の実施形態において、シール体の開封状態に応じて取り出し可能な医療機器用の物品の位置を示す図。上記第１の実施形態において、箱の中に複数の医療機器収納パックを２列に収納した様子を示す斜視図。上記第１の実施形態において、箱の中に偶数の医療機器収納パックを２列に収納した様子を示す平面図。上記第１の実施形態において、２列に収納した医療機器収納パックの球面状凹部の外面と突出部の外面とが当接して、箱内における医療機器収納パックの移動が抑制される様子を示す要部拡大図。上記第１の実施形態において、箱の中に奇数の医療機器収納パックを２列に収納した様子を示す平面図。

　以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。

　なお、図面の記載において、同一または対応する要素には、適宜、同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、１つの図面内における、各要素の長さの関係、各要素の長さの比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、複数の図面の相互間においても、互いの長さの関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
［第１の実施形態］

　図１から図８は本発明の第１の実施形態を示したものであり、図１は医療機器用の物品容器１を示す平面図、図２は医療機器用の物品容器１を示す図１のＦ２－Ｆ２断面図である。

　物品容器１は、医療機器用の物品を滅菌状態で収納するための容器であり、例えばブリスターパックとして構成されている。ここで、医療機器用の物品は、医療機器あるいは医療機器の交換部品、医療機器の付属品などであり、具体例については後述する。

　医療機器用の物品容器１は、第１の部品である本体２と、第２の部品であるシール体３と、を備えている。

　本体２は、膨出部１０と、突出部１６と、膨出部１０および突出部１６を連結する略平面状のフランジ部１９と、を備えている。ここで、説明し易くするために、３次元の直交方向としてｘ，ｙ，ｚ方向を設定する。図１、図２等に示すように、ｘ方向は物品容器１の短辺方向、ｙ方向は物品容器１の長辺方向、ｚ方向は物品容器１の厚み方向である。

　膨出部１０は、フランジ部１９からｚ方向（第１の方向）に膨出し、中空の内部（凹部となっている収納部）に医療機器用の物品を収納するように構成されている。

　本実施形態の膨出部１０は、複数の膨出部、具体的には３つの膨出部１１，１２，１３を備えており、３つの医療機器用の物品を収納することができる。ただし、物品容器１に収納する物品の数は、１つ以上であれば任意の数で構わない。従って、膨出部の数も、物品の数に合わせた任意の数で構わない。

　膨出部１１と膨出部１２との間には、例えば、半円筒面をなす円筒状凹部１４が設けられている。円筒状凹部１４は、膨出部１１内部の中空と、膨出部１２内部の中空とを連結する。この円筒状凹部１４は、膨出部１１，１２内に各収納された物品を指で摘まむのを容易にする。

　また、膨出部１３の突出部１６側には、例えば、半球面の約半分をなす球面状凹部１５が設けられている。この球面状凹部１５は、膨出部１３内に収納された物品を指で摘まむのを容易にする。

　フランジ部１９は、膨出部１０の周縁に設けられた略平面状の部位である。フランジ部１９には、シール体３と接合されない部分である段差凹部１８が設けられている。

　突出部１６は、膨出部１０からｙ方向（第２の方向）に離間した位置に配置され、フランジ部１９からｚ方向（第１の方向）に突出して設けられている。この突出部１６が膨出部１０から離間するｙ方向（第２の方向）は、複数の膨出部１１，１２，１３の内の少なくとも２つの膨出部の配列方向、ここでは膨出部１１と膨出部１２の配列方向（ｘ方向）と直交している。

　ここで、突出部１６が膨出部１０から離間する距離は、膨出部１０と突出部１６との間に、物品容器１の膨出部１０を保持する手の親指の付け根や手の平の一部が、入り込むことのできる程度の距離である（図３参照）。

　突出部１６は、具体的に、上述した膨出部１０と同様に、ｚ方向（第１の方向）に膨出した、内部が中空の、他の膨出部として設けられている。

　なお、突出部１６は内部に物品を収納する必要がないために、突出部１６の内部を稠密に（つまり、本体２を形成する素材が詰まった状態に）構成することを禁止するものではない。しかし、突出部１６を内部が中空の他の膨出部として構成することで、膨出部１０と同一の工程において突出部１６を製造することができ、かつ物品容器１の軽量化を図ることができる。

　突出部１６は、ｚ方向（第１の方向）およびｙ方向（第２の方向）とは異なるｘ方向（フランジ部１９に沿った第３の方向）に細長に延びて設けられている。なお、ここでは突出部１６が細長に延びる第３の方向の好ましい例としてｙ方向と直交するｘ方向を挙げているが、これに限定されるものではなく、突出部１６が細長に延びる第３の方向は、ｘｙ平面に沿ったｙ方向と異なる方向であればよい。

　突出部１６のｘ方向（第３の方向）の長さＷ２は、図１に示すように、膨出部１０のｘ方向（第３の方向）の長さＷ１よりも大きいことが好ましい。これは、後で図３を参照して説明するように、物品容器１内に医療機器用の物品（例えば、図３に示すような鉗子栓３１、吸引ボタン３２、送気／送水ボタン３３）を収納した医療機器収納パック４０を保持する手が突出部１６に当接することで、医療機器収納パック４０を開封する力を加えても物品容器１が位置ずれせず、シール体３が確実かつ容易に開封されるようにするためである。

　さらに、突出部１６のｚ方向（第１の方向）の長さＤ２は、図２に示すように、膨出部１０のｚ方向（第１の方向）の長さＤ１よりも小さいことが好ましい。これは、後で図５～図８を参照して説明するように、複数の医療機器収納パック４０を箱５０に収納する際に、収納性（収納する際の箱５０内の空間の利用効率）を高めると共に、箱５０内における医療機器収納パック４０の移動を抑制するためである。

　シール体３は、膨出部１０の開口を少なくとも覆う（滅菌状態を維持して封止する）ように、フランジ部１９に接合されている。具体的に、本実施形態のシール体３は、本体２のフランジ部１９の辺縁とほぼ同一の辺縁を備える略矩形形状であり、膨出部１０の開口だけでなく、突出部１６（他の膨出部）の開口をさらに覆うように構成されている。

　シール体３は、図４の右上から左下へのハッチングが付された部分に示すように、周縁の接合部３ａにおいて、本体２における段差凹部１８の外周側のフランジ部１９の接合面１９ａと接合される。このとき、シール体３の右上には、フランジ部１９と接合されないツマミ部３ｃ（非接合部）が設けられる。ツマミ部３ｃは、フランジ部１９と接合されていないために、手指で容易に摘まむことができる。

　なお、ここでは、左手で医療機器収納パック４０を保持して、右手でシール体３を開封することを想定しているために、図４の右上部分にツマミ部３ｃを設けたが、これに限定されるものではない。

　例えば、右手で医療機器収納パック４０を保持して、左手でシール体３を開封する用途に供するために、図４の左上部分にツマミ部３ｃを設けてもよい。

　または、右手と左手の何れにより医療機器収納パック４０を保持してもよく、かつ左手と右手の何れでシール体３を開封してもよいようにするために、図４の右上部分と左上部分の両方にツマミ部３ｃを設けても構わない。

　図４に示すように、接合部３ａとツマミ部３ｃとの境界は、中央の頂点ｐ１と、シール体３の右辺と交わる位置の頂点ｐ２と、シール体３の上辺と交わる位置の頂点ｐ３とを有する折れ線をなしており、各頂点ｐ１，ｐ２，ｐ３における接合部３ａの境界がなす角度は鈍角となっている。

　具体的に、シール体３の右辺と線分ｐ２ｐ１がなす角度θ１が例えば３０°、シール体３の上辺と線分ｐ３ｐ１がなす角度θ２が例えば３０°となっていて、各頂点ｐ１，ｐ２，ｐ３における接合部３ａの境界の角度は例えば１５０°である。

　なお、図４に示す例では、接合部３ａが一定幅となるようにしたために、ツマミ部３ｃ付近の接合部３ａの内周側の境界が、外周側の境界に相似した形状、つまり鈍角をなす３つの頂点を有する形状となっている。しかし、接合部３ａを一定幅とすることは必須でないために、接合部３ａの内周側の境界を、例えば円弧形状としてもよいし、その他の形状としても構わない。

　また、ここでは接合部３ａとツマミ部３ｃとの境界における頂点の数を３としたが、４以上としても構わない。

　上述した本体２とシール体３との少なくとも一方、好ましくは両方とも、内部に収納する医療機器用の物品を視覚的に確認することができるように、光透過性のある（例えば、透明または半透明な）素材で構成されている。

　具体的に、本体２を構成する材料の一例は、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）とＰＥＴ系の樹脂を積層したラミネート樹脂である。また、シール体３を構成する材料の一例は、ＰＥ（ポリエチレン）とＰＥ系の樹脂を積層したラミネート樹脂である。

　本体２とシール体３にこれらの材料の組み合わせを用いることにより、本体２とシール体３とを熱接着または熱溶着により接合することができ、接着剤等を用いた接着工程が不要となる。さらに、本体２およびシール体３にラミネート樹脂を用いることにより、接合部分のシール性（水密性および気密性）が保たれ、収納した物品の滅菌性を良好に維持することができる。

　ただし、本体２およびシール体３を構成する材料の組み合わせは上述した例に限定されるものではなく、熱接着または熱溶着により接合することができ、シール性を保って滅菌性を維持することができれば、適宜の材料を用いて構わない。このようにして、物品容器１内に医療機器用の物品が収納された状態でシール体３がフランジ部１９に接合され、医療機器用の物品の周囲が密封された医療機器収納パック４０が完成する。

　ところで、物品容器１内に医療機器用の物品を収納した医療機器収納パック４０は、滅菌処理を施すことにより、滅菌パックとなる。この滅菌処理には、放射線滅菌、ガンマ線滅菌、ガス滅菌（例えば、エチレンオキサイトガス（ＥＯＧ）滅菌）などがある。

　滅菌処理として、放射線滅菌またはガンマ線滅菌を行う場合には、上述したようなラミネート樹脂を本体２およびシール体３の材料として用いることができる。これに対して、ガス滅菌を行う場合には、通気性がある滅菌紙のような多孔質材料を用いてシール体３を構成する必要がある。この場合には、例えば滅菌紙を材料とするシール体３を、接着剤等を用いて本体２に接合することになる。

　滅菌した医療機器収納パック４０のシール体３上には、生産、流通の過程を追跡することができるようにするためのトレーサビリティ用シール２１が貼り付けられる。トレーサビリティ用シール２１には、例えば、２次元バーコードや製造会社名などが記載される。

　トレーサビリティ用シール２１の貼り付け位置は、例えば図４の左上から右下へのハッチングが付された部分３ｂに示すように、膨出部１０よりもｙ方向側の、段差凹部１８および突出部１６上である。このように、トレーサビリティ用シール２１は、内部に収納する医療機器用の物品が見えるように、医療機器用の物品とは重ならない位置に貼り付けられる。

　これにより、医療機器収納パック４０内に医療機器用の物品が確実に収納されているか否かを、製造時に例えばカメラ（または、人間による目視）で容易にチェックすることができる。さらに、収納されている医療機器用の物品のチェックと同時に、トレーサビリティ用シール２１もカメラ（または、人間による目視）で容易にチェックすることができる。

　なお、図４の例では、ｚ方向に見たときに全ての医療機器用の物品の全体が見えるようにトレーサビリティ用シール２１を貼り付けているが、これに限定されるものではない。例えば、収納している全ての医療機器用の物品の少なくとも一部が見えるようにトレーサビリティ用シール２１を貼り付けても構わない。これは、少なくとも一部が見えていれば、対象となる物品が収納されていることを確認可能だからである。

　次に、図３は物品容器１内に医療機器用の物品を収納した医療機器収納パック４０を手で保持して開封するときの作用を説明するための図、図４はシール体３の開封状態に応じて取り出し可能な医療機器用の物品の位置を示す図である。なお、図３および図４においては、膨出部１０に収納した医療機器用の物品が見えるように、該当部分を透視して示している。

　本実施形態においては、膨出部１１に鉗子栓３１が、膨出部１２に吸引ボタン３２が、膨出部１３に送気／送水ボタン３３が、それぞれ収納されるようになっている。消化器系内視鏡の鉗子栓３１、吸引ボタン３２、および送気／送水ボタン３３は、一つにまとめて販売されることが多い医療機器用の物品の例である。

　なお、ここでは医療機器として消化器系内視鏡を例に挙げたが、内視鏡は消化器系に限定されるものではなく、その他の分野の内視鏡であっても構わない。さらに、医療機器用の物品は、内視鏡用の物品だけでなく、例えば、エネルギー処置具などの処置具用の物品でも良いし、医療に用いられるその他の機器用の物品であっても構わない。

　医療機器収納パック４０を開封する際には、片手、図３の例では左手の親指と、親指以外の他の指とで挟み込むように膨出部１０を保持する。このとき、左手の親指の付け根や手の平の一部が、膨出部１０と突出部１６との間に入り込んで、突出部１６に当接する状態となる。

　この状態で、右手の指（例えば親指と人差指）でツマミ部３ｃを摘まんで図３の矢印Ａの方向へ移動し、シール体３の開封を開始する。このとき、医療機器収納パック４０が例えば図３の矢印Ｂの方向に回転しようとするが、左手の親指の付け根や手の平の一部が突出部１６に当接しているために、回転を阻止することができる。

　これにより、シール体３を開封するための矢印Ａ方向の力が、医療機器収納パック４０の位置ずれに使われることなく、接合部３ａを剥離するために有効に使われる。

　さらにこのとき、接合部３ａとツマミ部３ｃとの境界に、両側の頂点ｐ２，ｐ３だけでなく、さらに中央の頂点ｐ１を設けたために、頂点ｐ２または頂点ｐ３から接合部３ａの剥離が開始されるようにツマミ部３ｃを傾けて引く動作を行わなくても、ツマミ部３ｃを自然に引く動作を行うだけで、例えば頂点ｐ１から接合部３ａの剥離を開始することが可能となる。こうして、接合部３ａの剥離が、何れかの頂点ｐ１，ｐ２，ｐ３から開始される確率を高めることができる。

　これにより、ツマミ部３ｃを摘まんで矢印Ａ方向に移動すると、矢印Ａ方向の開封力がまず頂点ｐ１，ｐ２，ｐ３の何れか１つ（例えば頂点ｐ１）に集中して作用することとなり、大きな力を要することなく接合部３ａの剥離を容易に開始することができる。

　こうして、頂点ｐ１，ｐ２，ｐ３の何れか１つを起点とする剥離が一旦始まれば、その後は適宜の力を作用させ続けることで、接合部３ａの剥離が円滑に進行する。

　接合部３ａの剥離が図４の開封位置ＯＰ１に到達した時点では、まだ、収納している鉗子栓３１、吸引ボタン３２、および送気／送水ボタン３３の何れも取り出すことはできない。

　接合部３ａの剥離が図４の開封位置ＯＰ２まで到達すると、鉗子栓３１を取り出すことが可能となる。このとき、円筒状凹部１４に指を差し入れることにより、鉗子栓３１を容易に摘まんで取り出すことができる。また、この状態では吸引ボタン３２および送気／送水ボタン３３はシール体３により覆われていて取り出すことができない。このために、鉗子栓３１を摘まむ際にもし医療機器収納パック４０を傾けたとしても、吸引ボタン３２および送気／送水ボタン３３が不用意に脱落するのを防止することができる。

　続いて、接合部３ａの剥離が図４の開封位置ＯＰ３まで到達すると、吸引ボタン３２を取り出すことが可能となる。このときも円筒状凹部１４に指を差し入れることにより、吸引ボタン３２を容易に摘まんで取り出すことができる。この状態では送気／送水ボタン３３はシール体３により覆われていて取り出すことができない。このために、吸引ボタン３２を摘まむ際にもし医療機器収納パック４０を傾けたとしても、送気／送水ボタン３３が不用意に脱落するのを防止することができる。

　その後、接合部３ａの剥離が図４の開封位置ＯＰ４まで到達すると、送気／送水ボタン３３を取り出すことが可能となる。このとき、球面状凹部１５に指を差し入れることにより、送気／送水ボタン３３を容易に摘まんで取り出すことができる。

　膨出部１１，１２，１３を図１に示すように本体２の右上部、左上部、中央部にそれぞれ配置して、膨出部１１，１２，１３内に鉗子栓３１、吸引ボタン３２、送気／送水ボタン３３を図３および図４に示すように収納し、かつ、ツマミ部３ｃをシール体３の図４における右上に配置した。このために、シール体３が図４の左下斜め方向へ向けて開封されることになり、脱落を防止しながら、鉗子栓３１、吸引ボタン３２、送気／送水ボタン３３を１つずつ順に取り出すことができる。

　次に、図５は箱５０の中に複数の医療機器収納パック４０を２列に収納した様子を示す斜視図、図６は箱５０の中に偶数の医療機器収納パック４０を２列に収納した様子を示す平面図、図７は２列に収納した医療機器収納パック４０の球面状凹部１５の外面と突出部１６の外面とが当接して、箱５０内における医療機器収納パック４０の移動が抑制される様子を示す要部拡大図である。

　ここで、図５～図７（および後述する図８）において、３次元の直交方向としてＸ，Ｙ，Ｚ方向を設定している。Ｘ方向は箱５０の深さ方向、Ｙ方向は箱５０の短辺方向、Ｚ方向は箱５０の長辺方向である。Ｘ，Ｙ，Ｚ方向は、箱５０内に２列に収納された複数の医療機器収納パック４０の内の、上側に収納された（後述する上側パック列４０Ａの）医療機器収納パック４０のｘ，ｙ，ｚ方向とそれぞれ同方向となるように設定されている。

　医療機器収納パック４０は、図５、図６等に示すように、箱５０の中に複数収納した状態で出荷される。

　図６は、箱５０の中に、偶数（図示の例では２６個）の医療機器収納パック４０を２列に収納した例を示している。以下では、図６において上側に収納された医療機器収納パック４０の列を上側パック列４０Ａ、下側に収納された医療機器収納パック４０の列を下側パック列４０Ｂと呼ぶことにする。

　下側パック列４０Ｂの医療機器収納パック４０は、上側パック列４０Ａの医療機器収納パック４０に対してＸ方向の軸周りに１８０°回転した（つまり、Ｙ方向の逆側を向いた）状態で、箱５０の中に収納されている。

　このとき、上側パック列４０Ａと下側パック列４０Ｂとは、Ｙ方向の位置を一部重複して収納されている。具体的に、上側パック列４０Ａの球面状凹部１５を含む突出部１６側と、下側パック列４０Ｂの球面状凹部１５を含む突出部１６側との、Ｙ方向の位置が重複している。

　このＹ方向の位置が重複している部分において、図７に示すように、下側パック列４０Ｂの医療機器収納パック４０の突出部１６の－Ｚ方向の外面が、上側パック列４０Ａの医療機器収納パック４０の膨出部１０の外面と当接し、上側パック列４０Ａの医療機器収納パック４０の球面状凹部１５の＋Ｚ方向の外面と近接して対向する。

　同様に、図６に示すように、上側パック列４０Ａの医療機器収納パック４０の突出部１６の＋Ｚ方向の外面が、下側パック列４０Ｂの医療機器収納パック４０の膨出部１０の外面と当接し、下側パック列４０Ｂの医療機器収納パック４０の球面状凹部１５の－Ｚ方向の外面と近接して対向する。

　これにより、複数の医療機器収納パック４０が全体としてＺ方向（＋Ｚ方向および－Ｚ方向）に広がり、箱５０の内壁に当接して、箱５０内における移動（Ｚ方向の移動だけでなく、Ｙ方向の移動）が抑制される。これにより、箱５０を運搬する際に、医療機器収納パック４０が箱５０の内部でがたつくのを防止することができる。

　なお、このような収納法を可能とするために、球面状凹部１５のｚ方向の厚みと、突出部１６のｚ方向の厚みとを合計した長さが、膨出部１０のｚ方向の厚みとほぼ同一であることが好ましい。

　また、箱５０のＹ方向の長さは、医療機器収納パック４０を２列に収納した後に、内部に長さＳＰ（Ｙ方向の長さがＳＰ）の空間が生じるように構成されている。このような構成を採用することで、長さＳＰの空間内に指などを差し込めば、医療機器収納パック４０を箱５０から容易に取り出すことができる。

　図８は、箱５０の中に奇数の医療機器収納パック４０を２列に収納した様子を示す平面図である。図８は、図６に示した収納法の変形例を示している。

　すなわち、箱５０の中に収納した医療機器収納パック４０の数が、図６では偶数であったのに対し、図８では図６の例よりも１つ少ない奇数（図示の例では２５個）となっている。

　図６の例と比較して、図８の例では上側パック列４０Ａの一番左側の医療機器収納パック４０が取り除かれていて、空間５０ａとなっている。なお、箱５０の内部に、Ｙ方向の長さＳＰの空間が生じるのは、図６の例と同様である。

　これにより、空間５０ａに手や指を差し入れることが可能となり、図６の例よりもさらに容易に医療機器収納パック４０を取り出すことができる。

　この収納法においても、図６の収納法と同様に、複数の医療機器収納パック４０が全体としてＺ方向に広がり、箱５０の内壁に当接する。その結果、例えば下側パック列４０Ｂの一番左側の医療機器収納パック４０の膨出部１０が、箱５０の左側の内壁に当接する。

　ただし、図８の収納法では、図６の収納法に比べて、上側パック列４０ＡのＺ方向への移動の抑制がやや弱くなるために、その結果として、複数の医療機器収納パック４０全体としてのＹ方向の移動の抑制もやや弱くなる。しかしながら、図８の収納法を採用しても、箱５０内における医療機器収納パック４０のＺ方向およびＹ方向の移動を図６の収納法に準じて抑制することができ、箱５０を運搬する際に、医療機器収納パック４０が箱５０の内部でがたつくのをある程度防止することができる。

　なお、上述した実施形態では、物品容器１に複数の医療機器用の物品を収納したが、これに限定されるものではなく、１つ以上の医療機器用の物品を収納すればよい。

　また、図５～図８においては箱５０内に医療機器収納パック４０を２列で収納する例を示したが、これに限定されるものではなく、１列で収納することも可能であるし、３列、４列などの複数列で収納しても構わない。

　このような第１の実施形態によれば、膨出部１０から第２の方向に離間した位置に突出部１６を配置し、突出部１６を第２の方向（および第１の方向）とは異なる第３の方向に細長に延びるように設けたために、物品容器１の膨出部１０を保持する手の親指の付け根や手の平の一部が、膨出部１０と突出部１６との間に入り込んで、突出部１６に当接し、医療機器収納パック４０の回転や位置ずれを阻止して、シール体３を容易かつ確実に開封することが可能となる。

　そして、シール体３が円滑に開封されることで、膨出部１０に収納した医療機器用の物品が、医療機器収納パック４０を開封する際に不用意に脱落するのを防止することができる。

　また、突出部１６を内部が中空の他の膨出部とすることにより、膨出部１０と同一の工程において突出部１６を製造することができ、かつ物品容器１の軽量化を図ることができる。

　シール体３が膨出部１０の開口だけでなくさらに突出部１６の開口を覆うことで、膨出部１０以外の部分を覆うシール体３の面積が増大し、収納する医療機器用の物品を被覆することなく、トレーサビリティ用シール２１を貼り付けることが可能となる。

　また、第３の方向が第２の方向と直交するように構成することで、膨出部１０と突出部１６の距離を確保しながら、物品容器１の外形を小型化することができる。

　膨出部１０が複数の膨出部１１，１２，１３を備える構成とすることで、複数の医療機器用の物品をまとめて収納することができる。これにより、セットで販売される物品に適した物品容器１となる。

　第２の方向が複数の膨出部１１，１２，１３の内の少なくとも２つの膨出部１１，１２の配列方向と直交するように構成したために、図４に示したように、ツマミ部３ｃを斜め方向に移動すれば、複数の医療機器用の物品を１つずつ順に取り出すことが可能となる。

　突出部１６の第１の方向の長さＤ２を、膨出部１０の第１の方向の長さＤ１よりも小さくすることで、箱内に例えば２列で医療機器収納パック４０を収納する際に、上側パック列４０Ａと下側パック列４０Ｂとの膨出部１０以外の部分を重ねることが可能となり、収納性を高めると共に、箱５０内における医療機器収納パック４０の移動を抑制することができる。

　突出部１６の第３の方向の長さＷ２が、膨出部１０の第３の方向の長さＷ１よりも大きくなるように構成することで、膨出部１０を保持する手の親指の付け根や手の平の一部が、膨出部１０と突出部１６との間に確実に入り込むようにすることができる。これにより、開封の際に、医療機器収納パック４０をより確実に保持することができる。

　なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明の態様を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることは勿論である。

Claims

　第１の方向に膨出し、中空の内部に医療機器用の物品を収納するように構成された膨出部と、
　前記膨出部の周縁に設けられたフランジ部と、
　前記フランジ部から前記第１の方向に突出する突出部と、
　を備え、
　前記突出部は、前記膨出部から第２の方向に離間した位置に配置され、前記第１の方向および前記第２の方向とは異なる第３の方向に細長に延びて設けられていることを特徴とする医療機器用の物品容器の部品。
　前記フランジ部は、前記膨出部の開口を少なくとも覆うようにシール体が接合される接合面が設けられることを特徴とする請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記突出部は、前記第１の方向に膨出し、内部が中空の他の膨出部であることを特徴とする請求項２に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記接合面は、前記シール体が前記他の膨出部の開口をさらに覆うように設けられることを特徴とする請求項３に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記第３の方向は、前記第２の方向と直交することを特徴とする請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記膨出部は、複数の膨出部を備えることを特徴とする請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記第２の方向は、前記複数の膨出部の内の少なくとも２つの膨出部の配列方向と直交することを特徴とする請求項６に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記突出部の前記第１の方向の長さは、前記膨出部の前記第１の方向の長さよりも小さいことを特徴とする請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　前記突出部の前記第３の方向の長さは、前記膨出部の前記第３の方向の長さよりも大きいことを特徴とする請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品。
　請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品と、
　前記医療機器用の物品容器の部品に接合されるシール体と、
　を備えることを特徴とする医療機器用の物品容器。
　請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品と、
　前記医療機器用の物品容器の部品に収納される前記医療機器用の物品と、
　前記医療機器用の物品容器の部品に接合されて前記医療機器用の物品の周囲を密封するシール体と、
　を備えることを特徴とする医療機器収納パック。
　前記前記医療機器用の物品は、鉗子栓、吸引ボタン、または送気／送水ボタンであることを特徴とする請求項１１に記載の医療機器収納パック。
　請求項１に記載の医療機器用の物品容器の部品と、前記医療機器用の物品容器の部品に接合されるシール体と、を備える医療機器用の物品容器の、前記膨出部の中空の内部に収納されることを特徴とする医療機器用の物品。