WO2021225042A1

WO2021225042A1 - 穿孔刃、穿孔装置、画像形成装置及び後処理装置

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Publication number: WO2021225042A1
Application number: PCT/JP2021/012160
Authority: WO
Inventors: 里菜岡田
Original assignee: 京セラドキュメントソリューションズ株式会社
Priority date: 2020-05-08
Filing date: 2021-03-24
Publication date: 2021-11-11
Also published as: JPWO2021225042A1; JP7294532B2; US20230137030A1

Abstract

本発明の目的は、穿孔処理時の負荷を低減し、穿孔処理時間を短縮化することである。穿孔刃（７）は、周方向に交互に形成された複数の頂部（７２１）及び複数の谷部（７２２）を有する刃先部（７２）を備える。刃先部（７２）の刃先線（７３）は、谷部（７２２）に対応した第１領域（７３１）と、頂部（７２１）から谷部（７２２）に向かう第２領域（７３２）と、第１領域（７３１）と第２領域（７３２）とを繋ぐ第３領域（７３３）と、を有する。前記刃先部（７２）の側面視において、前記第１領域（７３１）は、穿孔軸線（７Ａ）上の点を中心とする第１円弧（７４１）に沿った曲線を形成し、前記第２領域（７３２）は、前記頂部（７２１）の頂点（７２１１）と穿孔軸線（７Ａ）との間の領域内の点を中心とする第２円弧（７４２）に沿った曲線を形成し、第３領域（７３３）は、第１円弧（７４１）と第２円弧（７４２）とに共通の接線に沿った直線を形成する。

Description

穿孔刃、穿孔装置、画像形成装置及び後処理装置

　本発明は、シートに孔を穿孔するための穿孔刃、当該穿孔刃を備えた穿孔装置、画像形成装置及び後処理装置に関する。

　従来、画像形成後のシートが排紙トレイに排出される前に、穿孔装置がシートに孔を空ける穿孔処理を行うことが知られている。この種の穿孔装置は、穿孔軸に沿って延びる穿孔刃と、当該穿孔刃を穿孔軸に沿って往復移動させる移動機構とを備え、穿孔刃の往復移動によってシートに孔を空ける。

　特許文献１，２には、前記穿孔装置がシートに孔を空ける際に発生する負荷を低減するための技術が開示されている。この技術では、穿孔刃の刃先部は、交互に形成された刃頂部及び刃谷部を有し、前記刃先部の刃先線は、前記刃頂部がシートに食い込む際に発生する負荷、及び前記刃谷部がシートを切り抜く際に発生する負荷を低減することが可能な形状で形成されている。

特開２０１１－１４８０４０号公報特開２０１２－５６０４０号公報

　しかしながら、従来技術では、穿孔刃における刃先部の刃先線の形状について、刃頂部と刃谷部との間の穿孔軸に沿った長さは考慮されていない。このような刃頂部と刃谷部との間の穿孔軸に沿った長さは、前記穿孔刃がシートに孔を空ける際に要する穿孔処理時間と相関関係にある。

　本発明の目的は、シートに孔を空ける穿孔処理における負荷を低減し、さらに穿孔処理時間の短縮化が可能な穿孔刃、穿孔装置、画像形成装置及び後処理装置を提供することにある。

　本発明の一の局面に係る穿孔刃は、シートに綴じ孔を空ける穿孔装置に含まれる。前記穿孔刃は、穿孔軸線に沿ってダイス部材のダイス孔に挿入される。前記穿孔装置は、前記穿孔刃と前記ダイス孔の孔端縁とによって前記シートに綴じ孔を空ける。前記穿孔刃は、本体部と刃先部とを備える。前記本体部は、前記穿孔軸線に沿って延びる円筒状である。前記刃先部は、前記本体部の一端に形成され、周方向に交互に形成された複数の頂部及び複数の谷部を有する。前記刃先部の先端縁を成す刃先線は、前記谷部に対応した第１領域と、前記頂部に対応した第２領域と、前記第１領域と前記第２領域とを繋ぐ第３領域と、を有する。前記刃先部の側面視において、対向する前記頂部の各々の頂点が両端に位置する場合に、前記谷部の底ピークが中央に位置し、前記第１領域は、前記谷部の底ピークを通る前記穿孔軸線上の点を中心とする第１円弧に沿った曲線を形成し、前記第２領域は、当該第２領域における前記頂部の頂点と前記穿孔軸線との間の領域内の点を中心とする第２円弧に沿った曲線を形成し、前記第３領域は、前記第１円弧と前記第２円弧とに共通の接線に沿った直線を形成する。

　また、本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、前記画像形成処理後のシートに孔を空ける、上記の穿孔装置と、を備える。

　また、本発明の他の局面に係る後処理装置は、シートに画像を形成する画像形成装置に隣接して配置される。前記後処理装置は、前記画像形成装置から排出されたシートを受入れる搬入口と、前記シートに孔を空け前記穿孔装置と、前記シートを排出する搬出口と、前記搬出口から排出された前記シートが積載される排出トレイと、を備える。

　本発明によれば、シートに孔を空ける穿孔処理における負荷を低減し、さらに穿孔処理時間の短縮化が可能な穿孔刃、穿孔装置及び画像形成装置を提供することができる。

図１は、本発明の一実施形態に係る穿孔刃が適用された穿孔装置を含む後処理装置及び画像形成本体部を備えた画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。図２は、穿孔装置を示す斜視図である。図３は、穿孔装置の穿孔部を示す正面図であり、穿孔刃が上昇状態であるときの状態を示す図である。図４は、穿孔装置の穿孔部を示す正面図であり、穿孔刃が下降状態であるときの状態を示す図である。図５は、穿孔刃の斜視図である。図６は、穿孔刃の刃先部の形状を説明する図であって、図６（Ａ）は刃先部を下方から見た平面図であり、図６（Ｂ）は刃先部の先端縁の形状の展開図である。図７は、穿孔刃の刃先部を拡大して示す図である。

　以下、本発明の実施形態に係る穿孔刃、当該穿孔刃を備えた穿孔装置及び画像形成装置について、図面に基づいて説明する。

　図１は、画像形成装置１の内部構造を概略的に示す断面図である。前記画像形成装置１は、本発明の一実施形態に係る穿孔刃が適用された穿孔装置５１を含む後処理装置５及び画像形成本体部１ａを備える。図１に示される画像形成本体部１ａは、いわゆる胴内排紙型のモノクロ複写機である。しかしながら、当該画像形成本体部１ａは、カラー複写機、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。

　画像形成装置１は、画像形成本体部１ａと後処理装置５とを含む。画像形成本体部１ａは、シートに対して画像形成処理を行う。後処理装置５は、画像形成本体部１ａに隣接して配置され、画像形成処理が施されたシート又は複数枚のシートからなるシート束に対して所定の後処理を行う後処理部を備える。前記後処理とは、例えばシートに綴じ孔を空ける穿孔処理、シート束にステープル針を打ち込むステープル処理、シートを折り畳む中折り処理、シートに対してシフト動作や幅合わせ動作などを行う整合処理などである。

　画像形成本体部１ａは、本体筐体１００と、この本体筐体１００の上部に配置された画像読取部２ａと、画像読取部２ａの上面に配置された自動原稿給送装置（ＡＤＦ）２ｂと、を備えている。本体筐体１００の内部には、給紙部３ａ、搬送路３ｂ、画像形成部４ａ、定着部４ｂ及びシート排出部３ｃが収容されている。

　自動原稿給送装置２ｂは、所定の第１原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。前記第１原稿読取位置は、画像読取部２ａにおける第１コンタクトガラス２４が組み付けられた位置である。一方、原稿シートが、ユーザーによって所定の第２原稿読取位置に載置される場合は、自動原稿給送装置２ｂは、画像読取部２ａの上面から上方へ持ち上げられる。前記第２原稿読取位置は、画像読取部２ａにおける前記第２コンタクトガラス２５が配置された位置である。自動原稿給送装置２ｂは、原稿シートが載置される原稿トレイ２１と、前記第１原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部２２と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ２３とを含む。

　画像読取部２ａは、箱形の筐体構造を有し、その上面には第１コンタクトガラス２４と第２コンタクトガラス２５とが嵌め込まれている。第１コンタクトガラス２４は、自動原稿給送装置２ｂから自動給送される原稿シートの画像の読取用である。第２コンタクトガラス２５は、手置きされる原稿シートの画像の読取用である。画像読取部２ａは、原稿シートの画像を光学的に読み取る。

　本体筐体１００内の給紙部３ａは、複数のカセット３１（３１Ａ，３１Ｂ，３１Ｃ，３１Ｄ）を含む。各カセット３１は、回転駆動する給紙ローラー３２（３２Ａ，３２Ｂ，３２Ｃ，３２Ｄ）を備える。給紙ローラー３２は、前記画像形成処理が実行されるときに１枚ずつシートを搬送路３ｂに送り込む。

　搬送路３ｂは、本体筐体１００内に配置されている。シートは、搬送路３ｂに沿って、給紙部３ａから胴内排出トレイ３３、或いは後処理装置５まで搬送される。搬送路３ｂには、シートの案内のためのガイド板と搬送ローラー対３４（３４Ａ，３４Ｂ，３４Ｃ）とレジストローラー対３５とが設けられている。搬送ローラー対３４は、シート搬送時に回転駆動される。レジストローラー対３５は、搬送されるシートを画像形成部４ａの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせてシートを送り出す。

　画像形成部４ａは、トナー画像を生成し、そのトナー画像をシート上に転写する。すなわち、画像形成部４ａは、シートに画像を形成する。画像形成部４ａは、感光体ドラム４１と、この感光体ドラム４１の周囲に配置された、帯電器４２、露光器４３、現像装置４４、転写ローラー４５及びクリーニング装置４６とを含む。

　感光体ドラム４１は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電器４２は、感光体ドラム４１の表面を均一に帯電する。露光器４３は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有する。露光器４３は、感光体ドラム４１の周面に、原稿画像の画像データに基づくレーザー光Ｌを照射することにより静電潜像を形成する。現像装置４４は、感光体ドラム４１の周面にトナーを供給することにより、感光体ドラム４１上に形成された静電潜像を現像する。転写ローラー４５は、感光体ドラム４１と共に転写ニップ部を形成すると共に、転写バイアスが与えられる。感光体ドラム４１上のトナー像は、前記転写ニップ部を通過するシートに対して転写される。クリーニング装置４６は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム４１の周面を清掃する。

　定着部４ｂは、シートに転写されたトナー像を定着させる。定着部４ｂは、発熱体を内蔵する加熱ローラー４７と、加熱ローラー４７に圧接される加圧ローラー４８とを含む。トナー像が転写されたシートが、加熱ローラー４７と加圧ローラー４８とで形成される定着ニップを通過する。これにより、トナーが溶融及び加熱され、トナー像がシートに定着する。定着処理後のシートは、シート排出部３ｃに送られる。

　シート排出部３ｃは、対外排出ローラー対３６Ａと対内排出ローラー対３６Ｂとを有する。対外排出ローラー対３６Ａは、画像形成後のシートを後処理装置５の方向に送り出す。対内排出ローラー対３６Ｂは、画像形成後のシートを胴内排出トレイ３３の方向に送り出す。各排出ローラー対３６Ａ，３６Ｂは、排出動作時に回転駆動され、シートを機外に排出する。また、シート排出部３ｃは、シートの搬送方向を切り替える切り替えレバー３７を有する。

　後処理装置５は、本体筐体１００に隣接して配置される後処理装置筐体５００と、この後処理装置筐体５００内に配置された後処理部とを含む。本実施形態では、前記後処理部として、穿孔装置５１、ステープル処理装置５２、中折り装置５３及び整合部５７が備えられている。穿孔装置５１、ステープル処理装置５２及び整合部５７は、後処理装置筐体５００内の上部付近に収容され、中折り装置５３は、後処理装置筐体５００内の下部付近に収容されている。

　後処理装置筐体５００の、本体筐体１００と対向する側面には、画像形成処理後のシートを後処理装置筐体５００内へ受け入れる搬入口６０が形成されている。後処理装置筐体５００の、本体筐体１００に対し反対側の側面には、後処理装置筐体５００からシートを排出するメイン搬出口６１及びサブ搬出口６２が形成されている。これらメイン搬出口６１及びサブ搬出口６２にそれぞれ対応するメイン排出トレイ５４及びサブ排出トレイ５５が、後処理装置筐体５００に取り付けられている。この他、後処理装置筐体５００の内部には、第１搬送経路Ｌ１、第２搬送経路Ｌ２、第３搬送経路Ｌ３、第４搬送経路Ｌ４、第１合流部Ｑ１、第１分岐部Ｂ１、第２分岐部Ｂ２、第３分岐部Ｂ３及び待避ドラム６３が備えられている。

　第１搬送経路Ｌ１は、搬入口６０から搬入されたシートをメイン搬出口６１に搬送するための搬送経路である。メイン搬出口６１から排出されたシートは、メイン排出トレイ５４に排出される。

　第３搬送経路Ｌ３は、第１搬送経路Ｌ１から第１分岐部Ｂ１において分岐して形成される。第３搬送経路Ｌ３は、第１分岐部Ｂ１からサブ搬出口６２に至る搬送経路である。サブ搬出口６２から排出されたシートは、サブ排出トレイ５５に排出される。

　第２搬送経路Ｌ２は、第１搬送経路Ｌ１から第２分岐部Ｂ２において分岐して形成される。第２搬送経路Ｌ２は、第２分岐部Ｂ２から中折り装置５３まで下方に延びる搬送経路である。第４搬送経路Ｌ４は、第２搬送経路Ｌ２から第３分岐部Ｂ３において分岐し、待避ドラム６３の周りに沿って湾曲し、第１合流部Ｑ１において第１搬送経路Ｌ１に合流する搬送経路である。

　第１分岐部Ｂ１には、第１切り換え爪６４が配置されている。第１切り換え爪６４は、第１搬送経路Ｌ１を搬送されるシートの搬送先を、そのままの第１搬送経路Ｌ１と第３搬送経路Ｌ３とのいずれか一方へ切り換える。第２分岐部Ｂ２には、第２切り換え爪６５が配置されている。第２切り換え爪６５は、シートの搬送先を第１搬送経路Ｌ１と第２搬送路経路Ｌ２とのいずれか一方へ切り換える。

　第１分岐部Ｂ１の上流側に隣接する位置に、第１搬送ローラー対６６が配置されている。また、第１搬送経路Ｌ１の下流端であって、メイン搬出口６１の近傍には、第４搬送ローラー対６８が配置されている。さらに、第１搬送経路Ｌ１の、第４搬送ローラー対６８よりも上流側には、第２搬送ローラー対６９が配置されている。第１搬送経路Ｌ１を通過するシートは、これら第１搬送ローラー対６６、第２搬送ローラー対６９及び第４搬送ローラー対６８によって、搬入口６０からメイン搬出口６１、及びメイン排出トレイ５４まで搬送される。

　第３搬送経路Ｌ３の下流端であって、サブ搬出口６２の近傍には、第３搬送ローラー対６７が配置されている。第３搬送経路Ｌ３を搬送されたシートは、この第３搬送ローラー対６７によってサブ排出トレイ５５に排出される。

　穿孔装置５１は第１搬送経路Ｌ１の入口側に配置されている。穿孔装置５１は、シートに対して所定のタイミングで綴じ孔を空ける穿孔処理を行う。穿孔装置５１は、シートの搬送方向の後端側に穿孔処理を施す。この穿孔処理の際、シートは一時的に停止される。この穿孔装置５１の詳細については、後述する。

　ステープル処理装置５２は、複数枚のシートからなるシート束に対してステープル針を打ち込むステープル処理を行う。ここでのステープル処理は、シート束の角部若しくは端部にステープル針を打ち込む、いわゆる端綴じのための処理である。ステープル処理が実行される場合、第４搬送ローラー対６８の搬送ニップ部が解除された状態で、シートは第１搬送経路Ｌ１に沿ってメイン搬出口６１付近まで搬送され、さらにステープルトレイ５２１上に搬入される。これにより、シートはステープルトレイ５２１上に積載される。ステープル処理が施されたシート束は、搬送ニップ部が復元された第４搬送ローラー対６８によって、ステープルトレイ５２１からメイン排出トレイ５４へ搬出される。

　中折り装置５３は、シート束の中央付近にステープル針を打ち込む中央綴じを行うと共に、当該シート束を中央部で２つ折りに折り畳む中折り処理を行う。中折り処理が施されるシートは、第１搬送経路Ｌ１から第２分岐部Ｂ２を経て第２搬送経路Ｌ２に導かれ、中折り装置５３に搬入される。中折り処理が施されたシート束は、後処理装置筐体５００の下部に備えられた中折りシート排出トレイ５６に排出される。なお、中折り装置５３は、前記中折り処理だけを行うものであってもよい。

　整合部５７は、シフト動作または整合処理を行う。前記シフト動作は、シート又はシート束を、シートの搬送方向と直交するシート幅方向にシフトさせる動作である。前記整合処理は、シート束の端縁を揃える幅合わせ動作などを含む。整合部５７は、ステープル処理装置５２によってステープル処理が施される際に、シート束に対してステープル位置を定めるための前記シフト動作または前記幅合わせ動作を実行する。また、整合部５７は、前記ステープル処理が施されない場合にも動作することがある。例えば、整合部５７は、シートをメイン排出トレイ５４へオフセット排紙させてスタックする場合にも動作する。オフセット排紙とは、例えば、複数枚のシートからなる１グループの原稿シート群につき複数セットの複写が行われる場合に、１セットの複写シート群の単位で、前記複写シート群をシート幅方向にシフトさせた上でメイン排出トレイ５４上へスタックさせることである。

　前記ステープル処理、前記シフト動作または前記幅合わせ動作が施されたシート又はシート束は、第４搬送ローラー対６８によりメイン搬出口６１から排出され、メイン排出トレイ５４上にスタックされる。メイン排出トレイ５４は、排出されたシートの束の増加に従って、最上位の位置から順次下降される。その後、当該シートの束がメイン排出トレイ５４から取り除かれると、メイン排出トレイ５４は、上昇して基準位置に戻る。サブ排出トレイ５５は、第３搬送ローラー対６７によりサブ搬出口６２から排出されるシートがスタックされるトレイである。主として、後処理装置５で特に後処理が施されずに排出されるシート、または穿孔処理だけが施されたシートが、サブ排出トレイ５５上にスタックされる。

　待避ドラム６３は、周面を備え、所定の回転方向に回転駆動される。待避ドラム６３は、複数のシート束に連続してステープル処理が施される場合に、先のシート束がステープル処理装置５２でステープル処理されている間、次のシート束の１枚目を待避ドラム６３の表面に巻き付けて待機させる。この待避ドラム６３の働きにより、ステープル処理が行われる間、画像形成本体部１ａからのシートの搬入を一時的に停止させる必要がなくなり、生産性が向上する。

　次に、図１に加えて図２～図４を参照して、本実施形態に係る穿孔装置５１について詳述する。図２は、穿孔装置５１の斜視図である。また、図３及び図４は、穿孔装置５１の穿孔部５１Ａを示す正面図であり、図３が穿孔刃７の上昇状態を示し、図４が穿孔刃７の下降状態を示す。

　搬入口６０から後処理装置５に搬入されたシートＳは、第１搬送経路Ｌ１を搬送されて穿孔装置５１に至る。穿孔装置５１は、穿孔部５１Ａと、検知部５１Ｂと、移動装置５１Ｃと、を有する。穿孔部５１Ａは、第１搬送経路Ｌ１を搬送されたシートＳに綴じ孔を空ける穿孔処理を行う。検知部５１Ｂは、シートＳの搬送方向Ｄ１と直交するシート幅方向Ｄ２におけるシートＳの両側縁の位置を検知する。移動装置５１Ｃは、穿孔部５１Ａと検知部５１Ｂとをシート幅方向Ｄ２に移動させる。穿孔部５１Ａと検知部５１Ｂとは、後処理装置筐体５００に設けられた不図示のレール部上をシート幅方向Ｄ２に移動可能である。

　穿孔部５１Ａは、４個の穿孔刃７と、昇降機構７Ｍ（移動機構）と、ガイド部材８と、ダイス部材９と、を備えている。４個の穿孔刃７は、シート幅方向Ｄ２に所定の間隔を隔てて配置されている。昇降機構７Ｍは、各穿孔刃７を穿孔軸線７Ａに沿って往復移動（昇降）させる。ガイド部材８は、各穿孔刃７の昇降をガイドする。穿孔刃７、昇降機構７Ｍ及びガイド部材８は、上ガイドフレーム５１Ｄに支持されている。ダイス部材９は、第１搬送経路Ｌ１を挟んでガイド部材８と対向して配置されるように下ガイドフレーム５１Ｅに支持されている。

　上ガイドフレーム５１Ｄは、上面が開口した断面形状が略Ｕ字状の、シート幅方向Ｄ２に延びる枠状部材である。下ガイドフレーム５１Ｅは、シート幅方向Ｄ２に延びる枠状部材である。下ガイドフレーム５１Ｅの断面形状は、下面が開口した略Ｕ字状である。下ガイドフレーム５１Ｅの下端部におけるシート幅方向Ｄ２の両端付近に、コロ５１Ｅ１が設けられている。コロ５１Ｅ１は、後処理装置筐体５００の前記レール部をシート幅方向Ｄ２に走行可能である。

　穿孔刃７は、シート幅方向Ｄ２の一方側に配置された穿孔刃７ａと、シート幅方向Ｄ２の他方側に配置された穿孔刃７ｂと、穿孔刃７ａと穿孔刃７ｃとの間に配置された２個の穿孔刃７ｃと、を有する。各穿孔刃７は、穿孔軸線７Ａに沿って延びる円筒形状に形成されている。穿孔刃７ａの穿孔軸線７Ａと穿孔刃７ｂの穿孔軸線７Ａとの距離は、シートＳのシート幅と同等である。穿孔刃７の詳細については、後述する。

　ガイド部材８は、穿孔刃７を挿通可能な円形状のガイド孔８１を有する円筒形状に形成されている。ガイド部材８は、当該ガイド孔８１へ挿通された穿孔刃７の昇降移動をガイドする。穿孔刃７は、後記の昇降機構７Ｍにより、穿孔軸線７Ａに沿って昇降駆動される。ガイド部材８は、各穿孔刃７にそれぞれ対応して設けられる。各ガイド部材８は、ガイド孔８１の中心が穿孔軸線７Ａ上に位置するように、上ガイドフレーム５１Ｄに位置決めされている。

　ダイス部材９は、シート幅方向Ｄ２に延びる矩形筒状の部材である。ダイス部材９は、第１搬送経路Ｌ１を挟んでガイド部材８と対向して配置される。ダイス部材９は、全ての穿孔刃７において共通に使用される。ダイス部材９の上面には、穿孔刃７の刃先部の挿入を許容する円形状のダイス孔９１が、各穿孔刃７にそれぞれ対応して形成されている。ダイス部材９は、各ダイス孔９１の中心が各穿孔刃７の穿孔軸線７Ａ上に位置するように、下ガイドフレーム５１Ｅに固定されている。

　ガイド部材８のガイド孔８１にガイドされつつ下降する穿孔刃７の刃先部は、ダイス部材９のダイス孔９１に挿入される。その際、穿孔刃７とダイス孔９１の孔端縁とによって、第１搬送経路Ｌ１に搬送されたシートＳに、綴じ孔が空けられる。

　昇降機構７Ｍは、穿孔刃７を穿孔軸線７Ａに沿って昇降させる機構である。昇降機構７Ｍは、各穿孔刃７にそれぞれ対応して設けられる。各昇降機構７Ｍは、穿孔刃７を支持する支持部材７Ｍ１と、支持部材７Ｍ１に係合するカム７Ｍ２と、を有する。支持部材７Ｍ１は、シート搬送方向Ｄ１に延びる平板部７Ｍ１ａと、板状片を略半円状に湾曲させた形状の湾曲部７Ｍ１ｂとで形成されている。平板部７Ｍ１ａの下面のシート搬送方向Ｄ１における中央付近には、穿孔刃７が略垂直となるように固定されている。湾曲部７Ｍ１ｂは、その両端部が平板部７Ｍ１ａの上面のシート搬送方向Ｄ１の両端部に支持されている。支持部材７Ｍ１における平板部７Ｍ１ａと湾曲部７Ｍ１ｂとの間には、正面視にて略半円状の中空部７Ｍ１ｃが形成されている。

　支持部材７Ｍ１と上ガイドフレーム５１Ｄとの間において、ガイド部材８の外周には、コイルばね７Ｍ３が介装されている。コイルばね７Ｍ３は、支持部材７Ｍ１を上方に付勢している。

　各昇降機構７Ｍの各カム７Ｍ２は、扁平な円柱状の形状であり、軸心から偏心した位置において回転軸７Ｍ２１に支持されている。回転軸７Ｍ２１は、各支持部材７Ｍ１の中空部７Ｍ１ｃを貫通している。回転軸７Ｍ２１におけるシート幅方向Ｄ２の端部が、第１側板部５１Ｄ１と第２側板部５１Ｄ２とに軸支されている。第１側板部５１Ｄ１および第２側板部５１Ｄ２は、上ガイドフレーム５１Ｄの上面のシート幅方向Ｄ２の端部から立設されている。

　また、回転軸７Ｍ２１のシート幅方向Ｄ２の一端部と第１側板部５１Ｄ１との間には、コイルばね７Ｍ４が介装されている。コイルばね７Ｍ４は、回転軸７Ｍ２１をシート幅方向Ｄ２の一方側に付勢している。回転軸７Ｍ２１は、不図示のソレノイドによって軸方向に移動可能となっている。回転軸７Ｍ２１は、シート幅方向Ｄ２の中央の２個の昇降機構７Ｍと両端の２個の昇降機構７Ｍとにおいて、選択的にカム７Ｍ２と支持部材７Ｍ１とを係合させる。すなわち、両端の２個の昇降機構７Ｍにおいてカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１に係合すると、中央の２個の昇降機構７Ｍにおいてはカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１から離脱し、シート幅方向Ｄ２の両端の２個の穿孔刃７ａ，７ｂのみが昇降する。一方、中央の２個の昇降機構７Ｍにおいてカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１に係合すると、両端の２個の昇降機構７Ｍにおいてはカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１から離脱し、シート幅方向Ｄ２の中央の２個の穿孔刃７ｃのみが昇降する。通常状態においては、前述のように回転軸７Ｍ２１はコイルばね７Ｍ４でシート幅方向Ｄ２の一方側に付勢されている。これにより、両端の２個の昇降機構７Ｍにおいてカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１に係合し、シート幅方向Ｄ２の両端の２個の穿孔刃７ａ，７ｂのみが昇降する。前記ソレノイドが切り替えられると、回転軸７Ｍ２１はコイルばね７Ｍ４が付勢力に抗してシート幅方向Ｄ２の他方側に移動し、中央の２個の昇降機構７Ｍにおいてカム７Ｍ２が支持部材７Ｍ１に係合して、中央の２個の穿孔刃７ｃのみが昇降する。

　回転軸７Ｍ４のシート幅方向の他方端には、ギア列を介してモーター７Ｍ５の回転軸が接続されている。モーター７Ｍ５が回転軸７Ｍ４を駆動すると、カム７Ｍ２は支持部材７Ｍ１の中空部７Ｍ１ｃ内で回転する。この際、カム７Ｍ２のカム面７Ｍ２Ｓが支持部材７Ｍ１の湾曲部７Ｍ１ｂの内面に係合すると、穿孔刃７は上昇した状態に維持される（図３）。また、カム７Ｍ２のカム面７Ｍ２Ｓが支持部材７Ｍ１の平板部７Ｍ１ａの上面に係合すると、支持部材７Ｍ１はコイルばね７Ｍ３の付勢力に抗して押し下げられる（図４）。これにより、穿孔刃７がガイド部材８のガイド孔８１にガイドされてほぼ垂直に下降し、第１搬送経路Ｌ１に突き出た穿孔刃７の刃先部が、ダイス部材９のダイス孔９１との間でシートＳに綴じ孔を空ける。

　また、回転軸７Ｍ２１のシート幅方向Ｄ２の他端部には、ホームポジション検知用のセンサ７Ｍ２２、および回転軸７Ｍ２１の回転速度制御用のロータリーエンコーダ７Ｍ２３等が設けられている。

　検知部５１Ｂは、図２に示すように、第１検知部５１Ｂ１と、第２検知部５１Ｂ２と、を有する。第１検知部５１Ｂ１は、穿孔刃７ａに対してシート幅方向Ｄ２の一方側においてシート搬送方向Ｄ１の上流側に配置されている。第２検知部５１Ｂ２は、穿孔刃７ｂに対してシート幅方向Ｄ２の他方側においてシート搬送方向Ｄ１の上流側に配置されている。

　検知部５１Ｂとしては、例えば光センサを採用することができる。光センサは、対向して配置される発光部と受光部とを有する。前記発光部および前記受光部のいずれか一方は上ガイドフレーム５１Ｄに固定されており、他方は下ガイドフレーム５１Ｅに固定されている。つまり、検知部５１Ｂは穿孔部５１Ａと一体に設けられている。発光部と受光部との間にシートＳが存在すると、前記発光部から発光される光の光路が遮断されて前記受光部で受光される光量が変化する。検知部５１Ｂは、この光量の変化に基づいてシートＳのシート幅方向Ｄ２の側縁を検知する。

　移動装置５１Ｃは、穿孔部５１Ａに対してシート幅方向Ｄ２の他方側の下方に配置されている。移動装置５１Ｃは、ラック及びピニオンギアからなる駆動機構５１Ｃ１と、ピニオンギアを回転させるモーター５１Ｃ２と、を有する。ラックは、下ガイドフレーム５１Ｅの下面にシート幅方向Ｄ２に延びるように配置されている。ピニオンギアは、モーター５１Ｃ２の回転軸に接続されており、モーター５１Ｃ２は、支持プレート５１Ｅ２に取り付けられている。モーター５１Ｃ２によってピニオンギアが回転すると、ピニオンギアと噛み合うラックと共に穿孔部５１Ａと検知部５１Ｂとが往復移動する。その際、穿孔部５１Ａおよび検知部５１Ｂは、基準位置を中心として第１の穿孔位置と第２の穿孔位置との間をシート幅方向Ｄ２に往復移動する。

　次に、穿孔刃７の詳細について、図３及び図４に加えて、図５～図７を参照して説明する。図５は穿孔刃７の斜視図であり、図６は穿孔刃７の刃先部７２の形状を説明する図であり、図７は穿孔刃７の刃先部７２を拡大して示す図である。なお、図６（Ａ）は刃先部７２を下方から見た平面図であり、図６（Ｂ）は刃先部７２の先端縁の形状の展開図である。

　穿孔刃７は、本体部７１と、本体部７１の一端に形成された刃先部７２と、を備える。本体部７１は、穿孔軸線７Ａに沿って延びる円筒状である。刃先部７２は、周方向に交互に形成された複数の頂部７２１及び谷部７２２を有する。本体部７１と刃先部７２とは一体に形成され、穿孔刃７は全体として、当該穿孔刃７の中心を通る中心軸となる穿孔軸線７Ａに沿って延びる円筒形状に形成される。本実施形態では、図５及び図６（Ａ）に示すように、刃先部７２は、互いに対向する２つの頂部７２１と、互いに対向する２つの谷部７２２とを有する。このような構成の刃先部７２においては、頂部７２１と谷部７２２とが周方向に９０度ごとに交互に配置される。すなわち、刃先部７２の先端縁の形状は、図６（Ｂ）の展開図が示すように、谷部７２２の底ピーク７２２１が周方向の０度の位置に存在する場合、９０度の位置に頂部７２１の頂点７２１１が存在し、１８０度の位置に谷部７２２の底ピーク７２２１が存在し、２７０度の位置に頂部７２１の頂点７２１１が存在するような波形形状となる。

　刃先部７２において、頂部７２１は、穿孔軸線７Ａの軸方向一方側（下方側）に最も突出した部位である。頂部７２１は、穿孔刃７によってシートＳに綴じ孔を空ける穿孔処理の起点となる。頂部７２１は、穿孔刃７による穿孔処理において、シートＳに食い込む。刃先部７２において、谷部７２２は、穿孔軸線７Ａの軸方向他方側（上方側）に最も退避した部位である。谷部７２２は、穿孔刃７による穿孔処理の終点となる。谷部７２２は、穿孔刃７による穿孔処理において、シートＳを切り抜く。

　刃先部７２の先端縁が形成する刃先線７３は、第１領域７３１と、第２領域７３２と、第３領域７３３と、を有する。第１領域７３１は、谷部７２２に対応した領域である。第２領域７３２は、頂部７２１から谷部７２２に向かう領域である。第２領域７３２は、頂部７２１に対応している。第３領域７３３は、第１領域７３１と第２領域７３２とを繋ぐ領域である。図７に示すように、刃先部７２の側面視において、互いに対向する２つの頂部７２１の各々の頂点７２１１が両端に位置する場合に、２つの谷部７２２の各々の底ピーク７２２１が中央に位置し、第１領域７３１は、谷部７２２の底ピーク７２２１を通る穿孔軸線７Ａ上の点を中心７４１１とする第１円弧７４１に沿った曲線を形成し、第２領域７３２は、当該第２領域７３２における頂部７２１の頂点７２１１と穿孔軸線７Ａとの間の領域内の点を中心７４２１とする第２円弧７４２に沿った曲線を形成し、第３領域７３３は、第１円弧７４１と第２円弧７４２とに共通の接線に沿った直線を形成する。

　上記構成の刃先部７２を備えた穿孔刃７がシートＳに綴じ孔を空けるときに、まず、頂部７２１がシートＳに食い込み、さらに刃先部７２の刃先線７３における第２領域７３２の曲線部分及び第３領域７３３の直線部分がシートＳを切り裂き、さらに第１領域７３１の曲線部分を含む谷部７２２の全面がシートＳを切り抜く。ここで、上記構成の刃先部７２を備えた穿孔刃７と逆Ｖ字刃とを比較する。前記逆Ｖ字刃は、刃先線の形状が側面視で逆Ｖ字形状の穿孔刃である。なお、上記構成の刃先部７２における頂部７２１から谷部７２２に亘る部分の穿孔軸線７Ａに沿う方向の長さと、逆Ｖ字刃における頂部から谷部に亘る部分の穿孔軸線７Ａに沿う方向の長さとは、同じとする。この場合、上記構成の刃先部７２の頂部７２１は、逆Ｖ字刃の頂部よりも鋭利であり、シートＳに対する食い込み性能が高い。また、刃先部７２の谷部７２２は、逆Ｖ字刃の谷部よりも緩やか形状であり、谷部７２２の全面によるシートＳの切り抜き性能が高い。このため、上記構成の刃先部７２を備えた穿孔刃７においては、頂部７２１がシートＳに食い込んでから谷部７２２がシートＳを切り抜くまでの間に、刃先部７２は、刃先線７３に沿ってスムーズにシートＳに綴じ孔を空けることができる。その結果、穿孔刃７による穿孔処理における負荷を低減することが可能となる。さらに、穿孔刃７を往復移動させる昇降機構７Ｍにおけるモーター７Ｍ５の負荷を低減することができる。そのため、モーター７Ｍ５の駆動に伴う動作音および振動音等の騒音が抑制される。また、モーター７Ｍ５として小型のモーターを採用することができ、穿孔装置５１の小型化を図ることも可能である。

　また、刃先部７２の刃先線７３において頂部７２１から谷部７２２に向かう第２領域７３２が形成する第２円弧７４２の中心７４２１は、穿孔軸線７Ａ上に位置しておらず、当該穿孔軸線７Ａからずれて位置している。一方、従来技術において、頂部７２１に対応した円弧の中心は、穿孔軸線７Ａ上に位置する。穿孔刃７が採用される場合、前記従来技術が採用される場合よりも、頂部７２１から谷部７２２に亘る部分の穿孔軸線７Ａに沿う方向の長さを短くすることが可能となる。その結果、穿孔刃７による穿孔処理の時間の短縮化を図ることが可能となる。

　更に、本実施形態の穿孔刃７における刃先部７２の側面視において、互いに対向する２つの頂部７２１の各々の頂点７２１１が両端に位置する場合に、２つの谷部７２２の各々の底ピーク７２２１が中央に位置し、刃先線７３は、穿孔軸線７Ａを対称軸とする線対称な形状である。この場合、穿孔刃７がシートＳに綴じ孔を空けるときに、刃先線７３上におけるシートＳに対する当接部位は、刃先部７２の前記側面視において、穿孔軸線７Ａを対称軸とする線対称の位置関係にある。これにより、刃先部７２は、刃先線７３に沿ってシートＳを穿孔軸線７Ａに直交する方向において均等に切り抜いていくことができる。その結果、よりスムーズにシートＳに綴じ孔を空けることができる。

　更に、本実施形態の穿孔刃７においては、第１円弧７４１の中心７４１１は、穿孔軸線７Ａに沿う方向において、第２円弧７４２の中心７４２１よりも谷部７２２の底ピーク７２２１に近く、かつ、第１円弧７４１の半径７４１２は、第２円弧７４２の半径７４２２よりも小さい。これにより、谷部７２２によるシートＳの切り抜き性の向上を図ることができる。

Claims

　穿孔軸線に沿ってダイス部材のダイス孔に挿入される穿孔刃と前記ダイス孔の孔端縁とによってシートに綴じ孔を空ける穿孔装置における前記穿孔刃であって、
　前記穿孔軸線に沿って延びる円筒状の本体部と、
　前記本体部の一端に形成され、周方向に交互に形成された複数の頂部及び複数の谷部を有する刃先部と、を備え、
　前記刃先部の先端縁を成す刃先線は、前記谷部に対応した第１領域と、前記頂部に対応した第２領域と、前記第１領域と前記第２領域とを繋ぐ第３領域と、を有し、
　前記刃先部の側面視において、対向する前記頂部の各々の頂点が両端に位置する場合に、
　　前記谷部の底ピークが中央に位置し、
　　前記第１領域は、前記谷部の底ピークを通る前記穿孔軸線上の点を中心とする第１円弧に沿った曲線を形成し、
　　前記第２領域は、当該第２領域における前記頂部の頂点と前記穿孔軸線との間の領域内の点を中心とする第２円弧に沿った曲線を形成し、
　　前記第３領域は、前記第１円弧と前記第２円弧とに共通の接線に沿った直線を形成する、穿孔刃。
　前記刃先部の前記側面視において、前記刃先線は、前記穿孔軸線を対称軸とする線対称な形状である、請求項１に記載の穿孔刃。
　前記第１円弧の中心は、前記穿孔軸線に沿う方向において、前記第２円弧の中心よりも前記谷部の底ピークに近く、
　前記第１円弧の半径は、前記第２円弧の半径よりも小さい、請求項１に記載の穿孔刃。
　請求項１に記載の穿孔刃と、
　前記穿孔刃を前記穿孔軸線に沿って往復移動させる移動機構と、を備える、穿孔装置。
　シートに画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、
　前記画像形成処理後のシートに孔を空ける、請求項４に記載の穿孔装置と、を備える、画像形成装置。
　シートに画像を形成する画像形成装置に隣接して配置され、
　前記画像形成装置から排出されたシートを受入れる搬入口と、
　前記シートに孔を空ける請求項４に記載の穿孔装置と、
　前記シートを排出する搬出口と、
　前記搬出口から排出された前記シートが積載される排出トレイと、を備える、後処理装置。